平成11年版厚生白書の概要

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第1部 「社会保障と国民生活」

序 章

○ 「社会保障(Social Security)」という言葉は、アメリカの社会保障法の制定(1935年)過程でつくられたもので、20世紀に生まれた新しい言葉である。ちょうどその頃、我が国では、保健衛生、社会福祉、社会保険及び労働行政を所管する官庁として厚生省が誕生した(1938(昭和13)年)。以来、本年で厚生省創設61年目を迎えている。

○ 我が国の社会保障は、第2次世界大戦後の半世紀に、経済社会や人口構造等のめまぐるしい変化を踏まえつつ、各時代における人々の努力により、社会保障に対する国民各層の様々な要求にこたえながら、その充実が図られてきた。

○ 今日、我が国の社会保障は、人の誕生から亡くなるまでの一生涯にわたって、病気や負傷、障害、失業、介護、老齢など、生活上の不安をもたらす様々な事態に対して、幅広く対応しており、安心して安定した日常生活を送る上で不可欠なものとなっている。

○ 一方、最近の経済不況とともに、社会の第一線で仕事に従事している現役世代を中心に、社会保障制度に対する不安が高まっているのはなぜだろうか。現役世代の不安はどのような点にあり、また、今後、どのような制度設計や運営を行うことが不安感の解消につながるだろうか。

○ 今回の白書では、まず、次の2点を明らかにしている。

(1)社会保障の目的と機能を明確にし、実際の国民生活や国民経済において社会保障が具体的にどのような効果をもたらしているのか明らかにすること(第1章及び第2章)。
(2)第2次世界大戦後約50年間に、我が国の社会保障がどのように発展し、どのような水準に到達しているのか明らかにすること(第1章第1節及び第3章)。

○ 最後に、第4章において、21世紀の社会保障に向けての方向性を展望する。特に、社会保障の将来に対して不安感を抱くことがないように、社会保障の負担に対する認識の持ち方や、21世紀の高齢社会の見方を変える発想の転換等を示すとともに、今後の社会保障制度の検討の際に必要な5つの視点を提示する。


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