平成12年版厚生白書の概要

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第6章 新しい高齢者像を求めて −21世紀の高齢社会を迎えるにあたって−

第1節 新しい高齢者像を求めて

○ 変わる高齢者
 高齢者の姿は様々である。これから一段と大きな人口規模の集団が高齢期を迎える頃には、健康で活動的な高齢者の数はさらに増え、高齢者は更に多様化していくであろう。
○ 現在では、「70歳以上を高齢者と思う」とする者が最も多い。過去の調査と比べると、高齢者と考える年齢は高くなっている。また、60歳以上の者の25%は、75歳以上を高齢者と捉えており、高齢者と考える年齢が高くなっている。(図6-1-1)

図6-1-1 高齢者(老人)とは何歳くらいの人か?

〇 高齢者や高齢社会に関する通念の払拭
 高齢者を「弱者」とみる画一的な見方を払拭し、長年にわたって知識・経験・技能を培い豊かな能力と意欲をもつ者として高齢者を捉えていくことが、高齢社会をより豊かに活力があるものとしていくことにつながっていく。
 ゴールドプラン21においても、明るく活力ある高齢社会を実現するための基本的な目標の一つとして「活力ある高齢者像」を社会全体で構築していくことを目指すとしている。
 WHOでも高齢化や高齢社会に関する通念・神話を打破することが活力ある高齢化につながるとしている。

第2節 新しい高齢者像にふさわしい社会保障システムを求めて

1 自立した高齢者が多様な生き方を選択する社会

〇 地域、社会の中で、長年培ってきた知識、経験を生かしながら、多様な生き方を選択する、健康で活動的な高齢者、さらに年齢にとらわれない(エイジフリーな)高齢者の姿も見られるようになってきている。
〇 すべての高齢者が自立して、その人らしく多様な生き方を選択することができる社会が長寿を真に輝かせることにつながるであろう。これからの社会保障はこうした社会を支えるものとしていくことが求められよう。

2 すべての世代が共に支え合う社会

〇 急速な高齢化とその一方で進む少子化の中で、現役世代から高齢世代だけではなく、高齢世代内や高齢世代と現役世代とのお互いの支え合いも含め、すべての世代が共に支え合うという視点も重要になってくる。
○ 地域・住民が主体的に創意工夫しながら、地域の中でのお互いの支え合いが芽生え、厚みのある地域サービスが提供される土壌が培われていくことも期待される。

3 これからの社会保障のあり方

〇 今後とも、少子高齢化という人口変動の中で、経済社会との調和を図りながら、持続的に安定した社会保障のあり方が求められている。
〇 年金、医療、介護の各制度間の相互関係や整合性に留意しながら、必要な調整も含め、総合的な社会保障を目指していくことが必要であろう。来年1月から厚生労働省が発足する予定であり、社会保障と雇用施策との連携も含めて考えていく必要がある。
〇 今後高齢者の数が増大し負担の増加も避け難い中で、効率的な仕組みが一層求められるとともに、所得、資産の低い者に対する配慮をしつつ、世代間や世代内の公平性に配慮していくことも必要である。
 個人、家庭、地域社会、公的部門等社会を構成するものの機能と適切な役割分担、その中での社会保障の位置付けと機能、若い世代の社会保障への信頼を確保しつつ社会全体で支える社会保障にふさわしい給付と負担や財源のあり方を含めて考えていくことも求められる。
○ 現在「社会保障構造の在り方について考える有識者会議」が開催され、社会保障をめぐる幅広い議論が行われており、こうした議論を通じて、来る新世紀の社会にふさわしい社会保障制度の創造につながっていくことが期待される。


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