（４）在宅医療の状況

　調査日に在宅医療を受けた推計患者数は、7万2千人であり、これを病院－一般診療所別にみると、病院は1万5千人、一般診療所は5万5千人となっている。
　また、在宅医療の内訳は往診3万2千人、訪問診療3万1千人、医師・歯科医師以外の訪問1万人となっている。これを病院－一般診療所別にみると、病院が実施している在宅医療に占める往診の割合は24.9%（4千人）、訪問診療の割合は40.9%（6千人）であり、一般診療所が実施している在宅医療に占める往診の割合は50.4%（2万8千人）、訪問診療の割合は41.2%（2万3千人）である。
　年齢階級別にみると、年齢が高くなるにつれて在宅医療を受ける割合が増加し、65歳以上では外来患者275万9千人の2.3%（6万4千人）が、90歳以上では外来患者5万5千人の20.2%（1万1千人）が在宅医療を受けている。また、在宅医療を受けている患者の88.5%が65歳以上である。（表５）

　
表５　年齢階級別にみた在宅医療を受けた推計患者数
　
（単位：千人）　　平成８年10月

	（　総　数　）				（　病　院　）				（一般診療所）
	在宅医療	往　診	訪問診療	医師・歯科医師以外の訪問	在宅医療	往　診	訪問診療	医師・歯科医師以外の訪問	在宅医療	往　診	訪問診療	医師・歯科医師以外の訪問
総　　数	72.3	31.6	30.9	9.8	15.2	3.8	6.2	5.2	55.1	27.8	22.7	4.6
0～14歳	1.1	1.0	0.0	0.1	0.2	0.1	0.0	0.1	0.9	0.9	－	0.0
15～34	1.1	0.8	0.1	0.1	0.5	0.3	0.0	0.1	0.6	0.5	0.1	0.0
35～64	5.8	3.2	1.7	0.9	2.0	0.8	0.5	0.7	3.3	2.3	0.7	0.2
65歳以上	64.0	26.4	28.9	8.7	12.5	2.5	5.7	4.4	50.1	23.9	21.8	4.4
（再掲）
70歳以上	60.0	24.6	27.2	8.2	11.6	2.3	5.3	4.0	47.2	22.3	20.7	4.2
75歳以上	53.3	21.7	24.3	7.3	10.0	1.9	4.6	3.5	42.1	19.8	18.5	3.8
90歳以上	11.1	4.4	5.4	1.3	1.8	0.4	1.0	0.5	9.2	4.0	4.4	0.8

注：１　（総数）には、歯科診療所を含む。
　　２　総数には、年齢不詳を含む。

（用語の説明）

　「往診」とは、患者の求めにより必要に応じて患家に赴き診療を行うもの。
　「訪問診療」とは、患家の要請によるものではなく、計画的な医学管理の下に定期的に訪問して実施されるものであり、医師・歯科医師が訪問して、診療報酬上で点数が算定されるものをいう。
　「医師・歯科医師以外の訪問」とは、患家の要請によるものではなく、計画的な医学管理の下に定期的に訪問して実施されるものであり、医師・歯科医師以外の者が訪問して、診療報酬上で点数が算定されるものをいう。

　在宅医療を受けている患者を傷病分類別にみると、病院では「IX循環器系の疾患」7千人（病院の在宅医療患者の47.9%）、「XIII筋骨格系及び結合組織の疾患」1千人（同7.0%）、「V精神及び行動の障害」1千人（同6.8%）、「VI神経系の疾患」1千人（同6.6%）などとなっており、一般診療所では「IX循環器系の疾患」2万9千人（一般診療所の在宅医療患者の52.6%）、「XIII筋骨格系及び結合組織の疾患」5千人（同8.6%）、「X呼吸器系の疾患」3千人（同6.1%）などとなっている。（表６）

　
表６　傷病分類別にみた在宅医療を受けた推計患者数

（単位：千人）　　平成８年10月

傷　　　病　　　分　　　類			（　病　院　）				（　一般診療所　）
傷　　　病　　　分　　　類			在宅医療	往　診	訪問診療	医師・歯科医師以外の訪問	在宅医療	往　診	訪問診療	医師・歯科医師以外の訪問
	総　　　　　　数		15.2	3.8	6.2	5.2	55.1	27.8	22.7	4.6
I	感染症及び寄生虫症		0.2	0.1	0.1	0.1	0.7	0.5	0.2	0.1
	結核	（再掲）	0.0	－	0.0	0.0	0.0	0.0	－	－
	ウイルス肝炎	（再掲）	0.1	0.0	0.0	0.0	0.2	0.1	0.0	0.0
II	新生物		0.6	0.2	0.2	0.1	1.8	1.1	0.6	0.1
	胃の悪性新生物	（再掲）	0.1	0.0	0.0	0.0	0.6	0.4	0.1	0.0
	大腸の悪性新生物	（再掲）	0.1	0.0	0.0	0.0	0.2	0.1	0.1	－
	肝及び肝内胆管の悪性新生物	（再掲）	0.0	0.0	－	0.0	0.2	0.1	0.1	－
	気管，気管支及び肺の悪性新生物	（再掲）	0.1	0.0	0.0	0.0	0.2	0.1	0.1	0.0
III	血液及び造血器の疾患並びに免疫機構の障害		0.0	0.0	0.0	0.0	0.3	0.2	0.1	0.0
IV	内分泌，栄養及び代謝疾患		0.7	0.2	0.2	0.3	2.5	1.4	1.0	0.1
	糖尿病	（再掲）	0.6	0.1	0.2	0.2	1.8	0.9	0.9	0.1
V	精神及び行動の障害		1.0	0.3	0.2	0.5	1.9	1.0	0.7	0.2
	血管性及び詳細不明の痴呆	（再掲）	0.5	0.2	0.2	0.1	1.4	0.6	0.7	0.1
	精神分裂病，分裂病型障害及び妄想性障害	（再掲）	0.3	0.1	0.0	0.3	0.2	0.2	0.0	0.0
VI	神経系の疾患		1.0	0.1	0.4	0.4	2.7	1.2	1.3	0.2
VII	眼及び付属器の疾患		0.1	0.1	0.0	0.0	0.8	0.3	0.1	0.4
VIII	耳及び乳様突起の疾患		0.0	0.0	0.0	－	0.3	0.2	0.0	0.0
IX	循環器系の疾患		7.3	1.2	3.5	2.5	29.0	13.3	13.3	2.4
	高血圧性疾患	（再掲）	1.7	0.4	0.9	0.4	9.7	5.4	3.9	0.4
	（心疾患（高血圧性のものを除く））	（再掲）	1.0	0.2	0.5	0.3	3.7	1.7	1.7	0.3
	（脳血管疾患）	（再掲）	4.4	0.6	2.1	1.7	15.0	5.9	7.4	1.6
X	呼吸器系の疾患		0.8	0.2	0.3	0.3	3.4	2.3	1.0	0.1
	喘息	（再掲）	0.2	0.0	0.1	0.1	0.9	0.6	0.2	0.0
XI	消化器系の疾患		0.7	0.3	0.2	0.1	2.2	1.4	0.7	0.1
	歯及び歯の支持組織の疾患	（再掲）	0.2	0.2	－	－	0.0	－	0.0	－
	食道，胃及び十二指腸の疾患	（再掲）	0.3	0.1	0.1	0.1	1.2	0.8	0.4	0.1
	肝疾患	（再掲）	0.1	0.1	0.0	0.0	0.4	0.3	0.1	0.0
XII	皮膚及び皮下組織の疾患		0.2	0.2	0.0	0.1	0.9	0.4	0.2	0.3
XIII	筋骨格系及び結合組織の疾患		1.1	0.3	0.4	0.3	4.7	2.8	1.7	0.3
XIV	尿路性器系の疾患		0.3	0.1	0.1	0.1	0.7	0.4	0.3	0.1
XV	妊娠，分娩及び産じょく		0.0	0.0	－	－	－	－	－	－
XVI	周産期に発生した病態		－	－	－	－	－	－	－	－
XVII	先天奇形，変形及び染色体異常		0.1	0.0	0.0	0.0	0.0	－	0.0	0.0
XVIII	症状，徴候及び異常臨床所見・異常検査所見で他に分類されないもの		0.2	0.1	0.1	0.1	0.8	0.3	0.4	0.0
XIX	損傷，中毒及びその他の外因の影響		0.5	0.1	0.2	0.2	1.3	0.7	0.2	0.4
XXI	健康状態に影響を及ぼす要因及び保健サービスの利用		0.2	0.2	0.0	0.0	1.2	0.4	0.8	0.0
	歯の補てつ	（再掲）	0.0	0.0	－	－	－	－	－	－

注：　患者数は、主傷病についてみたものである。　　　　　　　　　　　　