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3 再分配によるジニ係数の変化(表3)

(1) 所得分配・所得再分配の状況は、世帯を所得の低い順に並べ、世帯数の累積比率を横軸に、所得額の累積比率を縦軸にとって描いたロ−レンツ曲線によっても観察できる。所得が完全に均等に分配されていれば、ロ−レンツ曲線は、原点を通る傾斜45度の直線(均等分布線)に一致し、不均等であればあるほどその直線から遠ざかる。一世帯が所得を独占し、他の世帯の所得がゼロである完全不均等の場合には、ロ−レンツ曲線はABC線になる。(図1)

(2) ジニ係数は、ロ−レンツ曲線と均等分布線とで囲まれた面積の均等分布線より下の三角形の面積に対する比率によって、分配の均等度を表わしたものである。したがって、ジニ係数は0から1までの値をとり、0に近いほど分布が均等、1に近いほど不均等ということになる。


(3) 平成8年調査では当初所得のジニ係数0.4412に対して再分配所得のジニ係数は0.3606となり、再分配によって均等化が進んでいる。

(4) 再分配によるジニ係数の改善度は、18.3%で、過去の調査に比べて最高の値となっている。
 (注)
ジニ係数の
改善度(%)=
当初所得のジニ係数 − 再分配所得のジニ係数 ×100
────────────
当初所得のジニ係数


(5) 社会保障による改善度は、15.7%で前回の13.2%より改善の度合いが大きく、過去の調査に比べて最高の値となっている。


表3 所得再分配による所得格差是正効果(ジニ係数)

調査年次 当初所得 再分配所得 税による
再分配所得
(当初所得−税金)
社会保障による再分配
所得(当初所得+医療費
+社会保障給付金−社会保険料)
ジニ係数 ジニ係数 改善度 ジニ係数 改善度 ジニ係数 改善度
         
昭和59年 0.3975 0.3426 13.8 0.3824 3.8 0.3584 9.8
62年 0.4049 0.3382 16.5 0.3879 4.2 0.3564 12.0
平成2年 0.4334 0.3643 15.9 0.4207 2.9 0.3791 12.5
5年 0.4394 0.3645 17.0 0.4255 3.2 0.3812 13.2
8年 0.4412 0.3606 18.3 0.4338 1.7 0.3721 15.7



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