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第II編 関連分析


1 分析の概要


1.分析の目的

 病院を利用する患者の受療の状況や医療に対する意識等について、患者側からの需要面と医療施設側からの供給面の両面からその関連を分析することにより、患者の医療に対する認識や行動を明らかにし、今後の医療行政の基礎資料とする。
 なお、平成 9年 3月厚生統計協議会報告「厚生統計の今後の在り方について」において、医療の需要と供給の動態をより的確にとらえるための医療統計の改善の必要性に関する提言がなされたことを踏まえて本分析を行った。

2.分析の対象施設

 本分析においては、平成 8年10月の受療行動調査で調査対象の一般病院650施設のうち、デ−タ・リンケ−ジができた施設637か所を分析の対象とした。これら施設についての病院の種類別の内訳数(平成8年医療施設静態調査の病院の種類とのデ−タ・リンケ−ジによる)は以下のとおりである。

特定機能病院
療養型病床群を有する病院
老 人 病 院
小 病 院1)
中 病 院1)
大 病 院1)
  20
25
109
311
103
69
総施設数 637
 1)については、用語の定義を参照

3.分析の客体

 調査日(平成 8年10月15〜17日の3日間のうち医療施設ごとに指定した1日)に、本分析の対象施設の637施設を利用した外来患者(通常の外来診療時間内に施設を利用した患者)及び入院患者を分析の客体とした。

  分析の対象客体数
(A)
分析の有効客体数
(B)
データマッチ率
(B)/(A) (%)
総  数
外  来
入  院
91 891
55 740
36 151
76 406
44 914
31 492
83.1
80.6
87.1

4.分析の項目

 医療機関の選択理由、予約患者の状況、紹介患者の状況、病気の説明に対する患者の理解度、高齢患者の状況、患者の満足度等。

5.分析の方法

 平成8年に受療行動調査と平行して実施した患者調査と医療施設静態調査の二つの調査からデ−タ・リンケージできた患者(実数)を用いて、施設情報ならびに患者情報の関連について分析を行った。
 集計にあたっては、探索的な目的で、対象客体が集落抽出されていることからカイ2乗検定法のRaoによる修正を用いた。
 なお、質問に対する回答が不備のものにいては、分析の対象から除外しているため、図、表、統計表間の数値が異なる場合がある。
 分析は厚生省大臣官房統計情報部で行った。

6.用語の定義等

(1) 本分析における病院の種類に関する表章のうち、「小病院」、「中病院」、「大病院」については次のとおり定義した。
 「小病院」:特定機能病院、療養型病床群を有する病院及び老人病院以外の一般病院で、病床規模が20 床〜99床の病院をいう。
 「中病院」:特定機能病院、療養型病床群を有する病院及び老人病院以外の一般病院で、病床規模が100 床〜499 床の病院をいう。
 「大病院」:特定機能病院、療養型病床群を有する病院及び老人病院以外の一般病院で、病床規模が500床以上の病院をいう。
 また、療養型病床群を有する病院は、以下「療養型病床群」と略す。

(2) 外来・入院比(本分析では、以下「外来比」と略す。)
 外来比は、平成8 医療施設静態調査の外来患者数及び入院患者数を用いて次式により本分析の対象施設ごとに算出した。
  外来比=外来患者数/入院患者数
    外来患者数:9月24日〜9月30日の外来患者延べ数をこの間の外来診療日数で除した数
    入院患者数:9月30日現在の在院患者数
 また、分析の対象にした病院(特定機能病院、小病院、中病院、大病院)の外来比の平均値等は下表のとおりである。

  外来比の
平 均 値
外来比の
標準偏差
施 設 数
特定機能病院
小  病  院
中  病  院
大  病  院
2.6
4.4
2.7
2.4
0.7
2.2
1.2
1.0
20
307
103
69

7.用語の解説

(1) 特定機能病院
  特定機能病院として厚生大臣の承認を得ている病院(医療法第4条の2)

(2) 療養型病床群を有する病院
  病院の一般病床のうち一群のものであって、主として長期にわたり療養を必要とする患者を収容するための病床を有する病院をいう。

(3) 老人病院
  特例許可老人病院及び特例許可老人病院以外の老人病院。

(4) データマッチ率
  リンケージするデータの主要項目が互いに合致する割合をいう。

(5) カイ2乗検定法
  二つの設問項目の回答について、回答に関連があるかどうかを調べる統計学的方法の一つ。ここでは、その値に後段で述べる方法での修正が加えられている。

(6) 有意差
  確率的にみて偶然では生じない程の大きな差をいう。


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