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I 調査の概要

1 調査の目的

 本調査は、出生・死亡・死産・婚姻及び離婚の人口動態事象と職業及び産業の経済的な特徴との関連を明らかにし、人口及び厚生行政施策などの基礎資料を得ることを目的とした。

2 調査の沿革

 本調査は、明治32年の人口動態調査発足以降、昭和42年まで毎年実施していた。
 昭和43年以降は国勢調査年に職業・産業を調査することとし、昭和45年度から人口動態特殊報告として5年毎に本報告書を刊行し、国勢調査の職業・産業別人口を分母として発生比率を求め、出生・死亡・死産・婚姻及び離婚についての解析を実施している。
 なお、死亡に関しては昭和26〜27年及び昭和29〜30年の2回について人口動態特殊報告として 「職業別・産業別死因統計」を刊行している。

3 調査対象・集計対象の範囲及び調査事項

  調査対象の範囲 集計対象の範囲 調 査 事 項
出 生 人口動態調査と同じ 日本において
発生した
日本人
母の年齢が15歳以上 子どもが生まれたときの父母の職業(大分類)
死 亡 年齢が15歳以上 年齢が15歳以上 死亡したときの本人の職業・産業(大分類)
死 産 人口動態調査と同じ 母の年齢が15歳以上 死産があったときの父母の職業(大分類)
婚 姻 日本において発生した
日本人
同居開始前の夫妻の職業(大分類)
離 婚 別居する前の夫妻の職業(大分類)
注:人口動態調査は出生・死亡・婚姻・離婚及び死産の全数を対象としている。

4 調査の期間

 平成7年4月1日から平成8年3月31日までの期間に事件発生のものであって、定められた届出期間に届け出られたもの。

5 調査の方法

 市区町村において人口動態各調査票作成の際、各届書に記載された職業又は産業について該当する分類番号を調査票に記入する方法で行った。
 届書の届出義務者及び届出期間は、次のとおりである。

種 別 届 出 義 務 者 届 出 先 届 出 期 間1)
出 生 1父又は母 2同居者 3出産に立ち会った医師・助産婦又はその他の者 市区町村長 14日
死 亡 1同居の親族 2その他の同居者 3家主・地主又は家屋もしくは土地の管理人
4同居の親族以外の親族
 7日
死 産 1父又は母 2同居人 3死産に立ち会った医師
4死産に立ち会った助産婦 5その他の立会者
 7日
婚 姻 夫 妻 夫又は妻の
本籍地もし
くは所在地
の市区町村
規定なし
離 婚 夫 妻 協議離婚は規定なし
調停・審判・判決離は10日
注:1)出生・死亡及び裁判による離婚は届出事件発生の日から、死産はその翌日から起算。

6 調査の報告経路



7 結果の集計

 集計は、厚生省大臣官房統計情報部が行った。

8 利用上の注意

(1) 本調査は、年度単位(当年4月1日〜翌年3月31日)で調査、集計しているので、年単位(1月1日〜12月31日)で集計している人口動態統計の数値とは一致しない。また、父の職業別にみた出生子及び死産胎児は、嫡出子に限っている。

(2) 職業・産業の分類は、平成7年国勢調査に用いた職業分類・産業分類の大分類に準拠している。職業・産業の分類については次の注意が必要である。

(1) 職業・産業の項目は、事件(出生、死亡、死産、婚姻及び離婚)発生時の一時点の状況を示すものであり、個人の生涯を通じての状況や長期間従事した職業・産業の状況を示すものではない。
(2) 諸率を算出するための人口は、平成7年国勢調査報告(総務庁統計局)による15歳以上の日本人人口を使用しており、平成7年10月1日現在の職業・産業の状況を示している。
(3) 平成7年1月から「第10回修正国際疾病、傷害及び死因統計分類(ICD-10)」を我が国の死因分類に適用したこと及び死亡診断書の改正を行ったことによる影響がある。

(4) 諸率については、発生件数の多少に関わらず計算結果を計上しているが、発生件数が少ないもの、特に、発生件数が100未満のものについては数値が不安定であり、比較等に用いる際には注意が必要であるため、表中において*印を付し、数値の比較検討対象からは除いている。

 一般に、発生件数の少ない事象は、偶発的要因により変動するものであるため、その出生数(B)や死亡数(D)を基に算出された諸率も偶然変動を含んでおり、「真の値」を示すものではない。

 しかし、その偶然変動の大きさは確率的に評価することができ、死亡率の場合、
σ=1/√D とした時、95%の確率で、

死亡率×(1−1.96σ) < 真の値 < 死亡率×(1+1.96σ)

となることがわかっている。
 たとえば、ある職業の死亡数が10 000、死亡率(人口十万対、以下同様。)が110であり、全職業の死亡率が100である場合、95%の確率で、

107.84 < 真の値 < 112.16
107.84 = 110 ×(1−1.96× 1/√10000 )
112.16 = 110 ×(1+1.96× 1/√10000 )

となり、100<107.84のため、全職業の死亡率(100)を上回っていると、95%の確率でいうことができる。
 死亡率が同じ110であっても、死亡数が100の場合には、95%の確率で、
88.44 < 真の値 < 131.56
88.44 = 110 ×(1−1.96× 1/√100 )
131.56 = 110 ×(1+1.96× 1/√100 )
となり、この場合には、当該職業の死亡状況は全職業の死亡率(100)を上回っていると断言することはできないことになる。
 一般に出生数や死亡数が少ないほど偶然変動は大きくなり、出生数や死亡数が100未満の時には、指標として用いる場合に注意が必要である。

9 用語の解説

標準化出生率  年齢構成の異なる人口集団の間での出生率について、その年齢構成の差を取り除いて比較ができるようにした出生率をいう。
年齢調整死亡率  年齢構成の異なる人口集団の間での死亡率や、特定の年齢層に偏在する死因別死亡率について、その年齢構成の差を取り除いて比較ができるように調整した死亡率をいう。
無配偶婚姻率  配偶者を有さない者の数に対する婚姻数をいう。
標準化婚姻率  年齢構成の異なる人口集団の間での婚姻率について、その年齢構成の差を取り除いて比較ができるようにした婚姻率をいう。
標準化無配偶婚姻率  年齢構成の異なる人口集団の間での無配偶婚姻率について、その年齢構成の差を取り除いて比較ができるようにした無配偶婚姻率をいう。
有配偶婚姻率  配偶者を有する者の数に対する離婚数をいう。
標準化離婚率  年齢構成の異なる人口集団の間での離婚率について、その年齢構成の差を取り除いて比較ができるようにした離婚率をいう。
標準化有配偶婚姻率  年齢構成の異なる人口集団の間での有配偶離婚率について、その年齢構成の差を取り除いて比較ができるようにした有配偶離婚率をいう。
人 口  平成7年国勢調査報告による人口の労働力状態は以下のとおりに分類される。
就 業 者 : 収入になる仕事を少しでもした人。
完全失業者 : 収入になる仕事を少しもしなかった人のうち、仕事に就くことが可能であって、かつ公共職業安定所に申し込むなどして積極的に仕事を探していた人。
非労働力人口: 収入になる仕事を少しもしなかった人のうち、休業者及び完全失業者以外の人。

 本報告書ではこのうちの完全失業者と非労働力人口を合わせたものを「無職」または「無業」という。

10 比率の解説

(1)出 生

父(母)の年齢階級・職業別出生率 父(母)の職業別標準化出生率
注:父の場合は、出生子が嫡出子に限る。
(2)死 亡
性・年齢階級・職業(産業)別死亡率 性・職業(産業)別年齢調整死亡率
(3)死 産
出産数 父(母)の年齢階級・職業別死産率
注:父の場合は、出生子及び死産胎児が嫡出子に限る。
(4)周産期死亡
周期死亡数 父(母)の職業別周期死亡率 父(母)の職業別早期新生児死亡率
注:父の場合は、出生子及び死産胎児が嫡出子に限る。
(5)婚 姻
夫(妻)の年齢階級・職業別婚姻率 夫(妻)の年齢階級・職業別無配偶婚姻率 夫(妻)の職業別標準化婚姻率 夫(妻)の職業別標準化無配偶婚姻率
(6)離 婚
夫(妻)の年齢階級・職業別離婚率 夫(妻)の年齢階級・職業別有配偶離婚率 夫(妻)の職業別標準化離婚率 夫(妻)の職業別標準化有配偶離婚率



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