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4 死因分析


(1)死因別死亡確率
 人はいずれ、何らかの死因で死亡することになるが、生命表の上で、ある年齢の者が将来どの死因で死亡するかを計算し確率の形で表したものが死因別死亡確率である。
 平成8年の死因別死亡確率をみると、0歳では男女とも悪性新生物で将来死亡する確率が最も高く、脳血管疾患、心疾患、肺炎の順に続いている。0歳に比べ65歳では男女とも悪性新生物の死亡確率が低く、他の死亡確率が高くなっている。また、3大死因(悪性新生物、脳血管疾患、心疾患)の死亡確率は、男女ともに全体の半分を超えている。
 前年と比較すると、悪性新生物と心疾患の死亡確率が上昇し、脳血管疾患の死亡確率が低下しており、0歳の女では悪性新生物と脳血管疾患の順位が逆転している。(表6、図2)

   図2 死因別死亡確率(主要死因) (単位:%) データ取得
図2

   表6 死因別死亡確率(主要死因)の推移 (0歳・65歳) (単位:%) データ取得

主な死因
 
年齢
 
  男    女  
S40年S50年S60年H7年H8年S40年S50年S60年H7年H8年
悪性新生物
 
0歳
65歳
15.0
13.0
18.56
16.54
24.02
22.05
28.36
26.90
29.53
28.13
12.4
9.2
13.86
10.96
16.38
13.91
18.76
16.61
19.49
17.31
脳血管疾患
 
0歳
65歳
27.4
30.5
26.55
29.43
17.61
19.17
15.29
16.55
15.09
16.23
27.0
29.0
28.28
30.19
21.57
22.63
19.66
20.58
19.48
20.32
心  疾  患
 
0歳
65歳
11.4
12.7
14.94
16.25
19.31
20.67
14.61
15.24
14.95
15.56
12.3
12.9
16.86
17.96
22.10
23.28
17.63
18.47
18.30
19.14
肺炎
 
0歳
65歳
5.3
6.2
6.35
7.39
9.03
10.58
10.72
12.37
10.36
11.91
5.4
5.6
6.00
6.41
7.82
8.43
10.92
11.71
10.03
10.72

注: 昭和60年以前の肺炎の欄には、当時の区分である肺炎・気管支炎の死亡確率を表示してある。           


(2)特定死因を除去した場合の平均余命の延び

 ある死因が克服された場合、その死因によって死亡していた者は、その死亡年齢以後に他の死因で死亡することになる。その結果死亡時期が繰り越され、余命が延びることになる。この延びは、その死因のために失われた余命としてみることができ、これによって各死因がどの程度平均余命へ影響しているかを測ることができる。
 平成8年についてみると、0歳における延びは、男女とも悪性新生物が最も大きく、次に男が心疾患、女が脳血管疾患となっている。一方、65歳における延びは0歳における延びと比較してみると、女の場合は、順位に変動はないが、男の場合は、脳血管疾患が心疾患を上回っていることが分かる。(表7)
 3大死因(悪性新生物、脳血管疾患、心疾患)を除去した場合の延びは、0歳では男9.09年、女8. 00年、65歳では男7.21年、女6.59年となっている。


   表7 特定死因を除去した場合の平均余命の延びの推移(主要死因)(0歳・65歳)

(単位:年) データ取得
主な死因
 
年齢
 
  男    女  
S40年S50年S60年H7年H8年S40年S50年S60年H7年H8年
悪性新生物
 
0歳2.022.593.293.844.071.982.232.442.762.90
65歳1.071.532.102.692.900.841.101.391.721.84
脳血管疾患
 
0歳3.033.001.731.421.432.923.171.991.731.74
65歳2.532.671.501.241.252.522.961.831.621.62
心  疾  患
 
0歳1.151.592.001.491.551.241.722.041.561.64
65歳0.871.281.631.171.220.931.541.881.451.53
肺炎
 
0歳0.700.620.700.790.770.710.610.590.780.72
65歳0.370.510.720.810.790.350.470.560.770.71

注: 昭和60年以前の肺炎の欄には、当時の区分である肺炎・気管支炎の余命の延びを表示してある。           


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