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7 人口動態統計100年の年次推移

 人口動態調査は明治32年から個票を用いて中央で集計するようになり、このような近代的な統計制度となってから平成10年をもって100年を経過した。

(1)人口動態総覧率の年次推移
 出生率(人口千対)と死亡率(人口千対)の年次推移をみると、明治から大正にかけて出生率・死亡率ともに高かったが、死亡率は昭和の初めから徐々に低下し始め、出生率は戦後急激に低下し、多産多死から少産少死へと推移し、自然増加率(人口千対)は年々低下している。
 乳児死亡率(出生千対)の推移をみると、昭和14年までは100以上、即ち、生まれたこどものおよそ10人に1人が1年以内に死亡していたが、乳児死亡率は51年に、新生児死亡率(出生千対)は42年に10を下回り、現在は乳児死亡は250人に1人、新生児死亡は500人に1人の割合となっている。
 死産率(出産(出生+死産)千対)の推移をみると、明治32年頃は高率で推移していたが徐々に低下した。戦後は急激な上昇をみたが昭和36年をピークに低下傾向にあり、現在は明治32年とくらべると約1/3となっている。
 婚姻率(人口千対)の推移をみると、第1次・2次婚姻ブームの2つの大きな山が特徴的である。
 離婚率(人口千対)の推移をみると、明治32年頃は高率で推移していたが、徐々に低下した。戦後は一旦上昇した後ほぼ横ばいに推移し、昭和39年以降上昇傾向となり、平成6年以降は毎年記録を更新している。

図13 人口動態総覧(率)100年の年次推移(明治32年〜平成10年) 出生 死亡
乳児死亡 新生児死亡
死産
婚姻 離婚

(2)死因別死亡率(人口10万対)の年次推移
 死因別死亡率の100年の推移をみると、死因構造の中心が感染症からいわゆる慢性疾患へ大きく変化している。
 戦前は結核・胃腸炎・肺炎・脳血管疾患による死亡が多く、悪性新生物・心疾患の死亡は少なかった。
 戦後は結核・胃腸炎・肺炎による死亡が急激に減少し、その後、結核・胃腸炎は更に減少し続け、近年は1万人に1人未満の死亡となっている。肺炎も減少傾向にあったが、近年は人口の高齢化に伴い増加傾向にある。
 悪性新生物と心疾患は戦後急速に上昇し、脳血管疾患とともに昭和33年から3大死因となっている。
 不慮の事故は、大正12年の関東大震災の影響を除けば、戦前戦後を通してほぼ横ばいに推移している。

図14 死因別にみた死亡率100年の年次推移(明治32年〜平成10年)

注:死因別死亡率への影響について
 1)大正7年 スペイン風邪の流行による肺炎等への影響
 2)大正12年 関東大震災、平成7年 阪神・淡路大震災による不慮の事故への影響
 3)平成7年 死亡診断書の様式改正及びICD-10適用による心疾患、脳血管疾患、肺炎への影響


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