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米国ファイザー社のバイアグラ(ViagraTM)に関するドクターレター

(仮訳)

 

19985

 

医師の皆様へ

 

米国ファイザー医薬事業部 Sexual Healthチームのメディカル・ディレクターとして、また、救急医療認定医としてこの手紙を発信します。周知の通り、PDE-5 cGMP - specific type 5 phosphodiesterase)の阻害剤であるVIAGRATM(成分名:クエン酸シルデナフィル)がファイザー社により発見・開発され、男性の勃起不全( Erectile Dysfunction: ED)治療薬としてFDAにより承認されました。添付文書には、VIAGRAの併用禁忌薬剤としては硝酸塩系物質(0rganic Nitrate)が挙げられていることもご存知のことと思います。ファイザー社は、これらとVIAGRAとの併用が不注意により起こり得ることがあり、救急医療現場において、こうした患者さんが診断や治療を受ける可能性があることを認識しております。ファイザー社は、勃起不全というこの薬の適応症を考えますと、救急医療に従事する医師の皆様が必ずしもVIAGRAに関連する情報をルーチンに受けることがあまり期待出来ないと考え、また、弊社にすでに幾つかの質問が寄せられたこともあり、この手紙を全ての救急医療に従事する医師の皆様にお送りすることが当薬剤を服用する患者さんの安全のために重要なことと考え、発信することにいたしました。

 

添付文書に加え、ここに「一酸化窒素と血圧調整」と題した文書を同封し、追加情報を皆様にお知らせいたします。注意深くお読み頂いた上、周囲の方々にも内容を徹底して頂きたく存じ上げます。この中では、二重盲験によるプラセボ・コントロール試験としてニトログリセリン舌下錠ないしは硝酸イソソルビドとの相互作用に関する臨床試験を行い、 VIAGRA 服用患者に起きた血圧の急激かつ大幅な低下の幾つかの症例データが得られたことをお示しし、禁忌となった背景である生理学上のメカニズムを説明しています。米国において一般的に処方されている短時間作用型および長時間作用型硝酸剤のリストも添付してあります。

 

 性行為が一般的に心臓の活動および心筋の酸素消費量を増やすことはよく知られています。このため、添付文書中の「一般的注意事項( Precautions: General )」の記載にある通り、医師の皆様におかれましては VIAGRA の処方を検討している患者さんの循環器系の状態を考慮して頂きたいこと、また特に、どのような剤形や頻度であれ、硝酸塩系物質( 0rganic Nitrates )を服用する患者さんには VIAGRA を処方しないで頂きたいことをお知らせしております。私たちは適切な診断と治療を行うために、併用禁忌に関する事項について救急医療に携わる医師の皆様の注意を喚起したいケースをいくつか考えてみました。

 

1. 自宅でVIAGRAと硝酸剤を併用し、重症の低血圧になり救急医療機関に運び込まれるケース:私たちは今後も引き続き、処方医や患者さんに対し、硝酸剤との併用の禁忌についてお知らせしていきます。しかし、これにもかかわらず、硝酸剤を使用中であるか、使川する可能性のある患者さんがVIAGRAを服用することが考えられます。例えば、狭心症の既応歴のある患者さんがVIAGRAを服用し性行為に及び、この行為により酸素消賞量が増して心肺・循環器系の負担が増えることにより狭心症発作を起こし、VIAGRAが体内に残っているうちに(例えば)ニトログリセリン舌下錠等を使用した場合、その患者さんは急激な血圧低下を起こす可能性があります。ご存知の通り、血圧の低下に伴う症状として、無兆候から、めまいや浮遊感等の軽微な兆候、さらには失神(主に起立性)、極端な場合には重篤な冠動脈環流量の減少と心筋部の虚血・壊死が起こり得ます。こうした患者さんは救急車で運ばれたり、救急医療機関を受診することがあり、治療を必要とします。

 

2. 狭心症の既応歴の無い患者さんがVIAGRA を服用し性行為におよび、狭心症を初めて発症するケース:こういった患者さんは、胸の痛みがまだ残るうちに救急医療機関に運び込まれ、一般的な治療として短時間作用型硝酸剤を投与されることがよく行われています。もし、救急医療医師が前述の禁忌について知らす、VIAGRAの服用について患者さんに間診せず、ニトログリセリン系舌下錠、経皮吸収剤(貼付剤)、静脈注射剤を使用した場合、ケース1.と同様な反応が起こる可能性があります。<注意:添付文書にある禁忌には、一酸化窒素供与剤と同様に作用するニトロプルシド・ナトリウム(Sodium Nitroprussideも含まれます。>

 類似した例としては、胸痛を来した患者さんが救急医療機関へ電話して相談する場合があります。地域により、こうした場合、(プロトコール・マニュアルないしは医師からのオーダーに基づき)救急隊員による事前治療が許可されていることがあり、短時間作用型硝酸剤がその場や救急車内で投与される可能性がありますが、この場合も前述と同様の反応が起こり得ます。

 

3. これに特化した研究は実施しておりませんが、recreational useとして硝酸剤を含む薬剤(amyl nitrate/nitrateまたは”poppers”等)をVIAGRAと併用した場合、同様の反応が起こることが考えられます。ご存知の通り、これらの硝酸剤は性行為と共に使われます。VIAGRAを服用し性行為におよび、その行為中に患者さんがこれらの薬を使うことが予想されます。

 

 加えて、FDAによるVIAGRAの承認は男性のED治療としてのみ承認されていますが、女性が自分自身の判断または医師による適用外処方で服用するケースがあり得ます。従って、以上に述べましたことは主に男性に起こり得るものですが、この様な適用外使用が続けば、女性にも同様の事象が起こることが考えられます。

この手紙に述べました情報が、VIAGRAを服用している可能性のある患者さんを診療される際に役立つことを期待いたします。更にVIAGRAに関する情報が必変なときには、ファイザ一社のメディカル・インフォメーソョン、またはウェブサイト(www.viagra.com.)へのコンタクトを実施して下さい。これらの重要事項に注意を留めて頂き感謝申し上げます。

 

Rechard L. Siegel, M.D.

Medical Director

Sexual Health

Pfizer Inc.

 

 

 

一酸化窒素と血圧調節

 

・一酸化窒素(NO)は、広く生体内に分布する血管拡張因子です。心臓脈管循環系におけるNOの供給源は、内皮細胞および血管周囲神経末端です。生理的な条件下では、血管壁への刺激の変化がNO(主に内皮細胞由来)の放出を引き起こします。循環血中のNO量はわずかであり、またNO自体も不安定です。その作用は、放出された場所に局所的で、血管抵抗を変化させ、血圧の調整に関与します。

 

循環血中のNO量が        弱い局所的な          わずかな

  少ない ───────── 血管拡張作用 ──────── 血圧低下

(主に内皮細胞由来)

 

・生理的な条件下において、シルデナフィルの血圧への影響は、軽度から中程度である。

この範囲の血圧の変化は、用量に相関せず(25mg~800mgの用量範囲)、また、めまいを

伴う顔面紅潮や軽い頭痛を除いては、関連する症状は一般には出現しておりません。

 

循環血中のNO量が        局所の血管拡張          

  少ない ─────────── 作用の増加 ──────── 弱い血圧低下

(主に内皮細胞由来)

 

・患者さんが硝酸薬の治療を受けている場合は、循環血中に高いレベルのNOが存在します。

血管平滑筋に存在するcGMPホスホジエステラーゼタイプ5PDE-5)を阻害する

ことにより、シルデナフィルは循環血中NOのもつ血管拡張作用を高め、その結果として、

血圧が有意に低下します。

 

外因薬の硝酸     循環血中の    シルデナフィルに     臨床的に有意

(薬剤の投与)──  NO量の増加 ───  よってNOの ──  な血圧低下

                    血管拡張作用が増強

 

 

シルデナフィルと硝酸薬以外の血管拡張剤との併用

 

 硝酸薬を投与されている患者さんにおける血圧低下を、シルデナフィルが増強し得るという現象は、その他の血管拡張剤では、見られておりません。シルデナフィルの臨床試験(フェ-ズU・V)における安全性データを見ますと、高血圧治療剤を服用している患者さんにシルデナフィルを併用しても血圧低下に伴う症状(めまい等)を悪化するりスクは高くありませんでした。

 このことは、高血圧または狭心症の治療のために、カルシウム桔抗楽、ACE阻害剤、αブロッカー、βブロッカー、利尿剤を単独もしくは併用で服用している」患者さんにあてはまります。

 

LIST OF REPRESENTATIVE ORGANIC NITRATES

一般的に処方されている硝酸剤のリスト(米国)

 

Nitroglycerin

 

Deponit

Minitran

Nitrek

Nitro-Bid

Nitrocine

Nitro-Derm

Nitro Disc

Nitro-Dur

Nitrogard

Nitroglycerin

Nitroglycerin T/R

Nitroglyn

Nitrol Ointment

Nitrolan

Nitrolingual Spray

Nitrong

Nitropar

Nitropress

Nitroprex

Nitro S.A.

Nitrospan

Nitrostat

Nitro-Trans System

Nitro Transdermal

Nitro-Time

Transderm-Nitro

Tridil

 

Isosorbide Mononitrate

 

Imdur

ISMO

Isosorbide Mononitrate

Monoket

 

Isosorbide Nitrate

 

Dilatrate-SR

Iso-bid

Isordil

Isordil Tembids

Isosorbide Dinitrate

Isosorbide Dinitrate LA

Sorbitrate

Sorbitrate SA

 

Pentaerythritol Tetranitrate

 

Peritrate

Peritrate SA

 

Erythrityl Tetranitrate

 

Cardilate

 

Isosorbide Dinitrate/Phenobarbital

 

Isordil w/PB

 

Illicit Substances Containing Organic Nitrates

 

e.g., amyl nitrate or nitrite (It is known that amyl nitrate or nitrite is sometimes abused. In abused situations, amyl nitrate or nitrite may be known by various names, including "poppers.")

 

e.g., butyl nitrate




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