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社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の
一部を改正する等の法律の概要

平成12年6月
厚 生 省

I 趣 旨

○ 本改革は、昭和26年の社会福祉事業法制定以来大きな改正の行われていない社会福祉事業、社会福祉法人、措置制度など社会福祉の共通基盤制度について、今後増大・多様化が見込まれる国民の福祉への要求に対応するため、見直しを行うものである。

○ この見直しは、平成12年4月から施行されている介護保険制度の円滑な実施や成年後見制度の補完、地方分権の推進、社会福祉法人による不祥事の防止などに資するものである。

II 制度改正の概要

1 改正等の対象となる法律(8本)

・社会福祉事業法(「社会福祉法」に題名改正。)
・身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、児童福祉法、民生委員法、社会福祉施設職員等退職手当共済法、生活保護法の一部改正。
・公益質屋法の廃止。

2 改正の内容

(1)利用者の立場に立った社会福祉制度の構築

(1)福祉サービスの利用制度化

[別紙1]


※1 公費助成については、現行の水準を維持
※2 要保護児童に関する制度などについては、措置制度を存続

(2)利用者保護のための制度の創設

【社会福祉法】
ア)地域福祉権利擁護制度(福祉サービス利用援助事業)
[別紙2]
○痴呆性高齢者など自己決定能力の低下した者の福祉サービス利用を支援するため、民法の成年後見制度を補完する仕組みとして制度化
○都道府県社会福祉協議会等において実施
イ)苦情解決の仕組みの導入
[別紙3]
○福祉サービスに対する利用者の苦情や意見を幅広く汲み上げ、サービスの改善を図る観点から、
・社会福祉事業経営者の苦情解決の責務を明確化
・第三者が加わった施設内における苦情解決の仕組みの整備
・上記方法での解決が困難な事例に備え、都道府県社会福祉協議会に、苦情解決のための委員会(運営適正化委員会)を設置
※運営適正化委員会は、地域福祉権利擁護制度の運営にも関与
ウ)利用契約についての説明・書面交付義務付け

(2)サービスの質の向上

(1)事業者によるサービスの質の自己評価などによる質の向上

【社会福祉法】
【運用事項】
・福祉専門職について、保健医療との連携、介護保険への対応、全体の資質向上などの観点から教育課程の見直し
・サービスの質を評価する第三者機関の育成
(2)事業運営の透明性の確保、サービス利用者の選択に資するため、
・事業者によるサービス内容に関する情報の提供
・財務諸表及び事業報告書の開示を社会福祉法人に対して義務付け
・国、地方公共団体による情報提供体制の整備
【社会福祉法】

(3)社会福祉事業の充実・活性化

(1)社会福祉事業の範囲の拡充

【社会福祉法】
○社会福祉に対する需要の多様化に対応し、権利擁護のための相談援助事業、手話通訳事業、知的障害者デイサービス事業等9事業を追加
[別紙4]
(2)社会福祉法人の設立要件の緩和
○地域におけるきめ細かな福祉活動を推進するため、
・障害者の通所授産施設の規模要件の引き下げ
(20人以上→10人以上)
【社会福祉法】
【運用事項】
・小規模通所授産施設又はホームヘルプ事業を行う社会福祉法人の設立のための資産要件(1億円)を大幅引き下げ(1千万円を軸に検討中)。

(3)社会福祉法人の運営の弾力化

【運用事項】
・施設ごとの会計区分を弾力化し、法人単位の経営を確立すること。
・利用制度化した事業については、利用料収入を施設整備費の償還に充てる ことを認めること。
・行政監査の重点化・効率化を図ること。

(4)地域福祉の推進

(1)市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画
【社会福祉法】
(2)知的障害者福祉等に関する事務の市町村への委譲
【知的障害者福祉法、児童福祉法】

(3)社会福祉協議会、共同募金、民生委員・児童委員の活性化
【社会福祉法、民生委員法、児童福祉法】
○市町村社会福祉協議会を地域福祉の推進役として明確に位置づけるとともに、二以上の市町村を区域として設立することができること。都道府県社会福祉協議会の役割として社会福祉事業従事者の養成研修、社会福祉事業の経営指導を行うことを明確にすること。
○県内配分を原則とする共同募金について、大規模災害に対応した広域配分を可能にするとともに、配分の透明性確保のための配分委員会設置の義務付けや、「過半数配分の原則」の撤廃を行うこと。
○住民の立場に立った活動を行う民生委員・児童委員の職務内容を明確にすること。

(5)その他の改正

 社会福祉施設職員等退職手当共済法の見直し、公益質屋法の廃止 等

3 成立日

 平成12年5月29日

4 公布日及び施行日

 平成12年6月7日公布、施行。ただし、

・ 身体障害者生活訓練等事業、盲導犬訓練施設の社会福祉事業への追加、助産施設及び母子生活支援施設の入所方式の見直し、社会福祉施設職員等退職手当共済法の見直しについては、平成13年4月1日 施行
・ 措置制度の利用制度への変更、地域福祉計画の策定、知的障害者福祉等に関する事務の市町村への委譲に関する規定については、平成15年4月1日施行


照会先 厚生省 社会・援護局企画課 03−3595−2612


[別紙1]

障害者福祉サービスの利用制度化

[支援費支給制度の概要]
(身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、児童福祉法(障害児関係))

1.基本的な仕組み

(1) 障害者福祉サービスの利用について支援費支給を希望する者は、都道府県知事の指定した指定事業者・施設に直接に利用の申込みを行うとともに、市町村に支給の申請を行う。

(2) 市町村は、支給を行うことが適切であると認めるときは、支給決定を行う。

(3) 本人が決定の範囲内で障害者福祉サービスを利用したときは、利用料の全体額から、本人及び扶養義務者の負担能力に応じて定めた利用者負担額を控除した額を支給する。(ただし、当該助成を指定事業者・施設が代理受領する方式をとる。)

(4) 本人及び扶養義務者は、指定事業者・施設に対し、障害者福祉サービスの利用に要する費用のうち自己負担分を支払う。


(5) やむを得ない事由により上記の方式の適用が困難な場合には、市町村が措置によりサービスの提供や施設へ入所を決定。


[別紙2]

地域福祉権利擁護事業の実施方法の例

(社会福祉協議会が実施する場合)



[別紙3]

福祉サービスに関する苦情解決の仕組みの概要図



[別紙4]

新たに社会福祉事業として法定される事業(9事業)

事 業 名 事 業 の 内 容 現 状
福祉サービス利用
援助事業(注1)
痴呆高齢者、知的障害者、精神障害者等に対し、福祉サービス利用の相 談・助言、手続き等の支援を行う事業 47都道府県社会福祉協議会
(平成11年10月より実施)
身体障害者
相談支援事業(注2)
それぞれ身体障害者、知的障害者、障害児に対し、福祉に関する相談・指導、関係機関との連絡調整等の支援を行う事業 全国で200カ所
(平成12年度予算案)
知的障害者
相談支援事業(注3)
全国で420カ所
(平成12年度予算案)
障害児
相談支援事業(注3)
身体障害者
生活訓練等事業
(平成13年4月施行)
点字や手話の訓練等、身体障害者が日常生活・社会生活を営むために必要な訓練等の援助を行う事業 「障害者の明るいくらし促進事業」(都道府県事業)及び「市町村障害者社会参加促進事業」(市町村事業)のメニューとして全国で実施。
手話通訳事業 聴覚、言語、音声機能障害者に対し、手話通訳の便宜の供与を行う事業
盲導犬訓練施設
(平成13年4月施行)
盲導犬の訓練を行うとともに、視覚障害者に対し、盲導犬の利用に必要な訓練を行う施設 全国で8カ所
約850頭の盲導犬が稼動
知的障害者
デイサービス事業
知的障害者又は介護者に対し、手芸や工作等の創造的活動、社会適応訓練、介護方法の指導等を行う事業 全国で120カ所
(平成12年度予算案)
知的障害者
デイサービスセンター
知的障害者デイサービス事業に係る便宜の供与を目的とする施設
(注1)現在、「地域福祉権利擁護事業」として実施。
(注2)現在、「市町村障害者生活支援事業」として実施。
(注3)現在、知的障害者と障害児とを併せ、「障害児(者)地域療育等支援事業」として実施。


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