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健康保険法等の一部改正について





保険局

21世紀の本格的な少子高齢社会の到来を控え、我が国の社会保障全体の構造改革が緊急の課題とされており、その一環として医療保険制度の構造改革が不可避となっています。こうした構造改革を進めていくためにも、現在の医療保険財政の危機を回避し、現行の医療保険制度の運営の安定を確保することが緊急の課題であることから、医療保険改革の第1段階として平成9年度に給付と負担の見直し等の改正を実施するものであります。
厚生省においては、平成7年3月以降、医療保険審議会において、医療保険制度の諸課題について精力的に検討を開始し、平成8年11月に「今後の医療保険制度のあり方と平成9年改正について」と題する建議書をいただきました。その後、諮問・答申を経て、平成9年2月10日に、「健康保険法等の一部を改正する法律案」(閣法第36号)を国会(第140国会)に提出しました。改正法案は、5月8日に衆議院本会議で修正可決、6月13日に参議院本会議で修正可決され、衆議院に回付されました。これを受けて、衆議院においては、6月16日に回付案を可決し、これをもって改正法は成立し、6月20日に公布されました(平成9年法律第94号)。
この法律の概要は下記のとおりです。
健康保険法等の一部を改正する法律の概要

I.改正の趣旨

(1) 医療保険制度の安定的な運営の確保、世代間の負担の公平等を図るため、被用者保険の被保険者本人の一部負担の割合及び老人医療受給対象者の一部負担金の額の改定、薬剤に係る一部負担の創設等の措置を講ずること。
(2) 医療保険制度及び老人保健制度の全般にわたる改革を図るため、その基本的事項について審議会に諮問する旨の規定を整備すること。

II.改正の概要

1 健康保険法の一部改正
(1) 医療保険制度等の在り方の検討に関する事項
健康保険制度については、これが医療保険制度の基本をなすものであることにかんがみ、高齢化の進展、疾病構造の変化、社会経済情勢の変化等に対応し、その他の医療保険制度及び老人保健制度並びにこれらに密接に関連する制度と併せてその在り方に関して常に検討が加えられ、その結果に基づき、医療保険の運営の効率化、給付の内容及び費用負担の適正化並びに医療の質の向上を総合的に図りつつ、実施されなければならないこと。
厚生大臣又は社会保険庁長官は、次に掲げる事項を、あらかじめ審議会に諮問すること。
(ア) 健康保険制度その他の医療保険制度及び老人保健制度の在り方に関する事項並びにこれらの制度の全般にわたる改善に関する基本的事項
(イ) 健康保険事業の運営に関する事項であって、企画、立案又は実施の大綱に関するもの
(2) 一部負担に関する事項
被保険者本人に係る一部負担に関する事項
被保険者本人の療養の給付等に係る一部負担の割合について、1割とする経過措置を廃止し、法律本則に規定する2割とすること。
外来の際の薬剤に係る一部負担に関する事項
(ア) 療養を受ける者(6歳未満の者を除く。)は、当該療養に 薬剤の支給(注射や検査に伴うもの、入院に伴うもの、診療報酬が定額であるもの等を除く。)が含まれるときは、被保険者2割、被扶養者3割の一部負担のほかに、薬剤の支給を受けるごとに、1日分につき、2種類又は3種類の場合は30円、4種類又は5種類の場合は60円、6種類以上の場合は100円(外用薬については、1調剤につき、1種類の場合は50円、2種類の場合は100円、3種類以上の場合は150円、頓服薬については、1種類1調剤分につき10円)を一部負担として支払うこと。
(イ) (ア) の一部負担の額の算定において、1剤の薬剤の1日分頓服薬及び外用薬については、1剤の薬剤の1調剤分)の支給に要する費用の額が厚生大臣の定める額を超えない場合は、当該1剤の薬剤を一種類の薬剤とみなすこと。
(ウ) (ア)及び(イ)のほか、(ア)の一部負担の額の算定方法に関し必要
な事項は政令で定めること。

(3) 政府管掌健康保険の保険料率に関する事項
政府管掌健康保険の保険料率を1,000分の82から1,000分の85に引き上げること。
当分の間、政府管掌健康保険の保険料率は、2年から5年の範囲内で厚生大臣が定める期間を通じて財政の均衡を保つことができるように定めること。

2 船員保険法の一部改正
被保険者本人に係る一部負担及び外来の際の薬剤に係る一部負担に関し、 健康保険法の改正と同様の改正を行うこと。

3 国民健康保険法の一部改正
外来の際の薬剤に係る一部負担に関する事項
外来の際の薬剤に係る一部負担に関し、健康保険法の改正と同様の改正を行うこと。
国民健康保険組合に対する国庫補助に関する事項
(ア) 国民健康保険組合に対する療養の給付等に係る100分の32の国庫補助の対象額から、健康保険法の適用除外承認を受けて新たに当該国民健康保険組合の組合員となる者等に係る額(以下「特定給付額等」という。)を控除するとともに、特定給付額等については、特定割合をもって補助することができること。
(イ) (ア)の特定割合は、100分の32を下回る割合であって、健康保険法による健康保険事業に要する費用に対する国の補助の割合を勘案して、政令で定めること。
国民健康保険の財政の基盤の安定のための措置に係る国の負担額の特例に関する事項
国及び地方公共団体の負担による国民健康保険の財政の基盤の安定のための措置に係る国の負担額の特例を平成10年度まで延長すること

4 老人保健法の一部改正
訪問指導に関する事項
訪問指導の対象者を、寝たきりの状態にある者等から、これらの者を含 め、その心身の状況、その置かれている環境等に照らして療養上の保健指 導が必要であると認められる者に改めること。
一部負担に関する事項
(ア) 外来一部負担金の額を、保険医療機関等ごとに、1月につき1,020円から1日につき500円(ただし、同 一の月に同一の保険医療機関等において4回の支払を限度とする。)に改めること。
(イ) 入院一部負担金の額を、保険医療機関等ごとに、1日につき710円から1,200円(ただし、平成9年度(施行日以後に限る。)においては1日につき1,000円、平成10年度においては1日につき 1,100円)に改めること。
(ウ) 低所得者に係る入院一部負担金の額を、保険医療機関等ごとに、1日につき300円(ただし、二か月を限度とする。)から1日につき500円に改めること。
(エ) 外来の際の薬剤に係る一部負担に関し、健康保険法の改正と同様の改正を行うこと。ただし、低所得者については、当該一部負担を支払うことを要しないこと。
(オ) (ア)の一部負担金の額は平成11年度以降、 (イ)の一部負担金の額は平成13年度以降、2年度ごとに、それぞれ1日平均 外来医療費額及び1日平均入院医療費額の変動率に応 じ、10円以上の変動がある場合に改定する((ウ)の一 部負担金の額は、(イ)の一部負担金の額の改定に準じる。)こと。

5 この法律は、一部の規定を除き平成9年9月1日から施行すること。

6 政府は、薬剤の支給に係る一部負担その他この法律による改正に係る事項 について、この法律の施行後の薬剤費を含む医療費の動向、医療保険の財政 状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、この法律の施行後3年以内に検討を 加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずる こと。


一部負担見直しの概要


  現 行 改 正 後
健 保
船 保
共 済
本人 1割
(本則は2割だが国会の承認を得て告示するまでは1割)
家族 入院 2割
外来 3割
本人 2割
家族 入院 2割
外来 3割
外来薬剤(6歳未満の者は免除)
 ・内服薬 投薬ごとに
  1日分につき1種類 0円
     2〜3種類30円
     4〜5種類60円
     6種類以上100円
 ・外用薬 投薬ごとに
     1種類50円
     2種類100円
     3種類以上 150円
 ・頓服薬 投薬ごとに1種類につき
10円
国民健康保険
(一般)
一般被保険者     3割 一般被保険者     3割
外来薬剤(6歳未満の者は免除)
  ※健保と同じ内容

 

老人保健
・入院1日 710円
(低所得者300円/日2か月を限度)
・外来1月 同一保険医療機関等ごとに
1,020円
・入院1日 9年度1,000円
10年度1,100円
11年度1,200円
  (低所得者は500円/日)
・外来1回 500円
  (同一保険医療機関等ごとに1月4回を限度)
・外来薬剤(低所得者は免除)
 ※健保と同じ内容
1)「低所得者」とは、市町村民税非課税世帯等に属する老齢福祉年金受給者。
2)老人保健の外来一部負担金(500円)は平成11年度以降、入院一部負担金(1,200円、低所得者に ついては500円)は平成13年度以降、1日当たり医療費の伸びに応じてスライド(2年に1回)。


(参考)

下記のものは、厚生省のホームページに登載しております。

○医療保険審議会建議書
・今後の医療保険制度のあり方と平成9年改正について
→「厚生省ホームページ」の「報道発表資料」の「年月別区分(平成8 年11月分)」の項



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