保険局
I.改正の趣旨
(1) | 医療保険制度の安定的な運営の確保、世代間の負担の公平等を図るため、被用者保険の被保険者本人の一部負担の割合及び老人医療受給対象者の一部負担金の額の改定、薬剤に係る一部負担の創設等の措置を講ずること。 |
(2) | 医療保険制度及び老人保健制度の全般にわたる改革を図るため、その基本的事項について審議会に諮問する旨の規定を整備すること。 |
II.改正の概要
ア | 健康保険制度については、これが医療保険制度の基本をなすものであることにかんがみ、高齢化の進展、疾病構造の変化、社会経済情勢の変化等に対応し、その他の医療保険制度及び老人保健制度並びにこれらに密接に関連する制度と併せてその在り方に関して常に検討が加えられ、その結果に基づき、医療保険の運営の効率化、給付の内容及び費用負担の適正化並びに医療の質の向上を総合的に図りつつ、実施されなければならないこと。 | |
イ | 厚生大臣又は社会保険庁長官は、次に掲げる事項を、あらかじめ審議会に諮問すること。 | |
(ア) | 健康保険制度その他の医療保険制度及び老人保健制度の在り方に関する事項並びにこれらの制度の全般にわたる改善に関する基本的事項 | |
(イ) | 健康保険事業の運営に関する事項であって、企画、立案又は実施の大綱に関するもの |
ア | 被保険者本人に係る一部負担に関する事項 | |
被保険者本人の療養の給付等に係る一部負担の割合について、1割とする経過措置を廃止し、法律本則に規定する2割とすること。 | ||
イ | 外来の際の薬剤に係る一部負担に関する事項 | |
(ア) | 療養を受ける者(6歳未満の者を除く。)は、当該療養に 薬剤の支給(注射や検査に伴うもの、入院に伴うもの、診療報酬が定額であるもの等を除く。)が含まれるときは、被保険者2割、被扶養者3割の一部負担のほかに、薬剤の支給を受けるごとに、1日分につき、2種類又は3種類の場合は30円、4種類又は5種類の場合は60円、6種類以上の場合は100円(外用薬については、1調剤につき、1種類の場合は50円、2種類の場合は100円、3種類以上の場合は150円、頓服薬については、1種類1調剤分につき10円)を一部負担として支払うこと。 | |
(イ) | (ア) の一部負担の額の算定において、1剤の薬剤の1日分頓服薬及び外用薬については、1剤の薬剤の1調剤分)の支給に要する費用の額が厚生大臣の定める額を超えない場合は、当該1剤の薬剤を一種類の薬剤とみなすこと。 | |
(ウ) | (ア)及び(イ)のほか、(ア)の一部負担の額の算定方法に関し必要 な事項は政令で定めること。 |
ア | 政府管掌健康保険の保険料率を1,000分の82から1,000分の85に引き上げること。 |
イ | 当分の間、政府管掌健康保険の保険料率は、2年から5年の範囲内で厚生大臣が定める期間を通じて財政の均衡を保つことができるように定めること。 |
ア | 外来の際の薬剤に係る一部負担に関する事項 | |
外来の際の薬剤に係る一部負担に関し、健康保険法の改正と同様の改正を行うこと。 | ||
イ | 国民健康保険組合に対する国庫補助に関する事項 | |
(ア) | 国民健康保険組合に対する療養の給付等に係る100分の32の国庫補助の対象額から、健康保険法の適用除外承認を受けて新たに当該国民健康保険組合の組合員となる者等に係る額(以下「特定給付額等」という。)を控除するとともに、特定給付額等については、特定割合をもって補助することができること。 | |
(イ) | (ア)の特定割合は、100分の32を下回る割合であって、健康保険法による健康保険事業に要する費用に対する国の補助の割合を勘案して、政令で定めること。 | |
ウ | 国民健康保険の財政の基盤の安定のための措置に係る国の負担額の特例に関する事項 | |
国及び地方公共団体の負担による国民健康保険の財政の基盤の安定のための措置に係る国の負担額の特例を平成10年度まで延長すること |
ア | 訪問指導に関する事項 | |
訪問指導の対象者を、寝たきりの状態にある者等から、これらの者を含 め、その心身の状況、その置かれている環境等に照らして療養上の保健指 導が必要であると認められる者に改めること。 | ||
イ | 一部負担に関する事項 | |
(ア) | 外来一部負担金の額を、保険医療機関等ごとに、1月につき1,020円から1日につき500円(ただし、同 一の月に同一の保険医療機関等において4回の支払を限度とする。)に改めること。 | |
(イ) | 入院一部負担金の額を、保険医療機関等ごとに、1日につき710円から1,200円(ただし、平成9年度(施行日以後に限る。)においては1日につき1,000円、平成10年度においては1日につき 1,100円)に改めること。 | |
(ウ) | 低所得者に係る入院一部負担金の額を、保険医療機関等ごとに、1日につき300円(ただし、二か月を限度とする。)から1日につき500円に改めること。 | |
(エ) | 外来の際の薬剤に係る一部負担に関し、健康保険法の改正と同様の改正を行うこと。ただし、低所得者については、当該一部負担を支払うことを要しないこと。 | |
(オ) | (ア)の一部負担金の額は平成11年度以降、 (イ)の一部負担金の額は平成13年度以降、2年度ごとに、それぞれ1日平均 外来医療費額及び1日平均入院医療費額の変動率に応 じ、10円以上の変動がある場合に改定する((ウ)の一 部負担金の額は、(イ)の一部負担金の額の改定に準じる。)こと。 |
現 行 | 改 正 後 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
健 保 船 保 共 済 |
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国民健康保険 (一般) |
一般被保険者 3割 | 一般被保険者 3割 外来薬剤(6歳未満の者は免除) ※健保と同じ内容 |
老人保健 |
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(参考)