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厚生省発老第108号

平成10年11月26日

医療保険福祉審議会

老人保健福祉部会長  井形 昭弘 殿

厚生大臣 宮下 創平

諮  問  書

介護保険法施行令及び介護保険の国庫負担金の算定等に関する政令(仮称)を別添要綱のとおり制定することについて、介護保険法(平成9年法律第123号)第8条及び介護保険法施行法(平成9年法律第124号)第14条の規定に基づき、貴会の意見を求めます。


(別添)

介護保険法施行令案要綱及び介護保険の国庫負担金の算定等に関する政令(仮称)案綱について

第1 介護保険法施行令案要綱

1 特別会計の勘定

介護給付又は予防給付(以下「介護給付等」という。)に係る居宅サービス、居宅介護支援又は施設サービスを事業として行う市町村は、介護保険に関する特別会計を保険事業勘定及び介護サービス事業勘定に区分するものとすること。

2 特定疾病

特定疾病は、次に掲げるものとすること。

1)初老期における痴呆
2)脳血管疾患
3)筋萎縮性側索硬化症
4)パーキンソン病
5)脊髄小脳変性症
6)シャイ・ドレーガー症候群
7)糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症及び糖尿病性神経障害
8)閉塞性動脈硬化症
9)慢性閉塞性肺疾患
10)両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
11)慢性関節リウマチ
12)後縦靱帯骨化症
13)脊柱管狭窄症
14)骨折を伴う骨粗鬆症
15)早老症

3 療養型病床群以外の介護療養型医療施設の病床

介護療養型医療施設における病床は、療養型病床群以外に、医療法(昭和23年法律第205号)に規定する人員及び施設等に関する特例に係る都道府県知事の許可を受けた病院又は国の開設する病院のいずれかが有する老人性痴呆疾患療養病棟の病床とすること。

4 介護認定審査会に関する事項

(1)委員定数基準

介護認定審査会の委員の定数は、(5)の合議体を必要な数設置することができる員数とすること。

(2)委員の任期

委員の任期は、2年間とし、再任されることができるものとすること。

(3)会長

介護認定審査会の会長は委員の互選によって選出し、介護認定審査会の会務を総理するものとすること。

(4)会議

介護認定審査会は、会長及び過半数の委員の出席がなければ、開催し、議決することができないものとすること。また、議事は、出席した委員の過半数をもって決し、可否同数のときは、会長の決するところによるものとすること。

(5)合議体
1)要介護認定及び要支援認定(以下「要介護認定等」という。)に係る審査及び判定の案件は、委員のうちから会長が指名する概ね5人の者によって構成される合議体において行うものとし、認定審査会において別段の定めをした場合のほかは、合議体の議決をもって認定審査会の議決とするものとすること。

2)合議体は、構成する委員の過半数の出席がなければ、会議を開き、議決することはできないものとすること。また、議事は、出席した委員の過半数をもって決し、可否同数のときは、構成する委員の互選により選出される合議体の長の決するところによるものとすること。

5 他の法令による給付との調整に関する事項

要介護認定又は要支援認定を受けた被保険者(以下「要介護被保険者等」という。)が要介護状態又は要介護状態となるおそれのある状態につき次の法令に基づく給付を受けることができる場合において介護保険法(以下「法」という。)に基づく介護給付等を行わない限度は、これらの法令に基づき受けることができる給付の限度とすること。

1)船員保険法(昭和14年法律第73号)の規定による療養の給付(船員法(昭和22年法律第105号)の規定による療養補償に相当するものに限る。)及び介護料

2)労働基準法(昭和22年法律第49号。他の法律において例による場合を含む。)の規定による療養補償

3)労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)の規定による療養補償給付及び療養給付並びに介護補償給付及び介護給付

4)船員法(他の法律において例による場合を含む。)の規定による療養補償

5)災害救助法(昭和22年法律第118号)の規定による扶助金(災害救助法施行令(昭和22年政令第225号)の規定による療養扶助金に限る。)

6)消防組織法(昭和22年法律第226号)の規定による損害の補償

7)消防法(昭和23年法律第186号)の規定による損害の補償

8)水防法(昭和24年法律第193号)の規定による損害の補償

9)国家公務員災害補償法(昭和26年法律第191号。他の法律において準用し、又は例による場合を含む。)の規定による療養補償及び介護補償

10)警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律(昭和27年法律第245号)の規定による療養給付及び介護給付

11)海上保安官に協力援助した者等の災害給付に関する法律(昭和28年法律第33号)の規定による療養給付及び介護給付

12)公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する法律(昭和32年法律第143号)の規定による療養補償及び介護補償

13)証人等の被害についての給付に関する法律(昭和33年法律第109号)の規定による療養給付及び介護給付

14)災害対策基本法(昭和36年法律第223号)の規定による損害の補償

15)戦傷病者特別援護法(昭和38年法律第168号)の規定による療養の給付及び更生医療の給付

16)地方公務員災害補償法(昭和42年法律第121号)の規定による療養補償及び介護補償

17)原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(平成6年法律第117号)の規定による医療の給付

18)労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律(平成7年法律第35号)附則第8条の規定によりなおその効力を有するものとされる同法附則第7条の規定による改正前の炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法(昭和42年法律第92号)第8条の規定による介護料

6 特例居宅介護サービス費等を支給する場合

特例居宅介護サービス費又は特例居宅支援サービス費については法に規定する場合のほか次に掲げる場合において、特例居宅介護サービス計画費若しくは特例居宅支援サービス計画費又は特例施設介護サービス費については法に規定する場合のほか1に掲げる場合において、それぞれ支給するものとすること。

1)やむを得ない理由により要介護被保険者等が被保険者証を提示しないで指定居宅サービス、指定居宅介護支援又は指定施設サービスを受けた場合において、必要があると認めるとき。

2)要介護認定の効力が生じた日前に、やむを得ない理由により基準該当居宅サービスを受けた場合において、必要があると認めるとき。

3)要介護認定の効力が生じた日前に、やむを得ない理由により離島等において指定居宅サービス及び基準該当居宅サービス以外の居宅サービス又はこれに相当するサービスを受けた場合において、必要があると認めるとき。

7 居宅介護サービス費等が支給限度額を超える場合の支給額の算定方法

介護給付等を行うことにより、当該介護給付等に係る区分又は種類ごとの総額が区分支給限度額又は種類支給限度額を超えるときは、当該介護給付等の費用からその超える額を控除した額を基準として算定した額を、当該介護給付等に係る支給額とすること。

8 保険料滞納者等に対する保険給付の制限等に関する事項

(1)保険料を滞納している要介護被保険者等に対して制裁措置を行わない特別の事情

支払方法の変更又は支払の一時差止を行わない特別の事情を、要介護被保険者等が次に掲げる事情があることにより保険料を納付することが困難と認められる場合とすること。

また、既にこれらの措置が行われている要介護被保険者等について当該措置を解除する特別の事情を、滞納している保険料額が著しく減少したこと又は次に掲げる事情があることにより保険料の納付が困難となったと認められる場合とすること。

1)保険料を滞納している要介護被保険者等又はその属する世帯の生計を主として維持する者が、震災、風水害、火災等の災害により、住宅、家財等について著しい損害を受けたこと。

2)保険料を滞納している要介護被保険者等の属する世帯の生計を主として維持する者が死亡したこと、又はその者が心身に重大な障害を受け、若しくは長期間入院したことにより、その者の収入が著しく減少したこと。

3) 1)又は2)に準ずる事由があること。

(2)保険料徴収権消滅期間を有する要介護被保険者等に係る給付額減額等の措置に関する事項

1)保険料徴収権消滅期間の算定方法

保険料徴収権消滅期間は、要介護被保険者等が要介護認定等を受けた日から遡って10年の間の当該市町村の第一号被保険者であった各年度の保険料額のうち保険料を徴収する権利が時効により消滅している保険料額を、各年度の保険料額で除して算定するものとすること。

2)給付額減額期間の算定方法

給付額減額期間は、aの期間にbの数を乗じて得た数の2分の1に相当する数を月数に換算して算定するものとすること。

a 保険料徴収権消滅期間

b 保険料徴収権消滅期間を、保険料徴収権消滅期間と保険料納付済期間(保険料を納付済みの期間として1)に準ずる方法により算定するものとする。)を合計した期間で除して得た数

3)保険料徴収権消滅期間を有する要介護被保険者等に対して給付額減額等を行わない特別の事情

保険料徴収権消滅期間を有する要介護被保険者等に対して給付額減額等が行われない特別の事情は、要介護被保険者等が(1)の1から3までに掲げる事情があることにより居宅サービス等を受けるために必要な費用を負担することが困難であると認められる場合とすること。

9 保険料の算定に関する基準

(1)保険料率の設定方法

保険料率は、以下に掲げる第一号被保険者の区分に従い、それぞれについて定める標準割合に各市町村において算定した基準額を乗じて得た額とすること。

なお、特別の必要があると認められる場合には、必要な額を確保できる範囲内において、標準割合及び基準所得金額について市町村が別段の定めをすることができるものとし、4)及び5)の区分についてはこれを三つに分けることができるものとすること。

1)次に掲げる被保険者 0.5

a 老齢福祉年金の受給権者であって、かつ、ア又はイに該当するもの

ア その者の属する世帯の世帯主及び世帯員全員が市町村民税非課税であるもの(以下「市町村民税世帯非課税者」という。)。

イ 生活保護法(昭和25年法律第144号)に規定する要保護者(以下「要保護者」という。)のうち、基準額に0.5を乗じて得た額の保険料を課されたならば保護(同法に規定する保護をいう。以下同じ。)を必要としない状態になるもの。

b 生活保護法に規定する被保護者。

c 基準額に0.75を乗じて得た額の保険料を課された場合に要保護者となる者のうち、基準額に0.5を乗じて得た額の保険料を課されたならば保護を必要としない状態になるもの。

2)次に掲げる被保険者 0.75

a 市町村民税世帯非課税者。

b 基準額と同額の保険料を課された場合に要保護者となる者のうち、基準額に0.75を乗じて得た額の保険料を課されたならば保護を必要としない状態になるもの。

3)次に掲げる被保険者 1.0

a 市町村民税が課されない者。

b 基準額に1.25を乗じて得た額の保険料を課された場合の要保護者となる者のうち、基準額と同額の保険料を課されたならば保護を必要としない状態になるもの。

4)次に掲げる被保険者 1.25

a 1から3のいずれにも該当しない者であって、被保険者本人の地方税法(昭和25年法律第226号)第292条第1項第13号に規定する合計所得金額が基準所得金額(すべての市町村に係る第一号被保険者数の見込数等を勘案して厚生大臣が定める額であり、当面は250万円(告示事項)とする。)未満であるもの。

b 基準額に1.5を乗じて得た額の保険料を課された場合に生活保護の要保護者となる者のうち、基準額に1.25を乗じて得た額の保険料を課されたならば保護を必要としない状態となるもの。

5)1から4のいずれにも該当しない者 1.5

(2)基準額の算定方法

基準額は、事業運営期間ごとに、各市町村において、1に掲げる額を2に掲げる率で除して得た額を、3に掲げる数で除して得た額として算定すること。

1)aに掲げる額の見込額からbに掲げる額の見込額を控除した額

a 介護給付及び予防給付に要する費用の額、市町村特別給付に要する費用の額、財政安定化基金拠出金の納付に要する費用の額、財政安定化基金償還金の償還に要する費用の額、保健福祉事業に要する費用の額等の介護保険事業に要する費用の額の合計額。

b 国の負担金、国の調整交付金、都道府県の負担金、市町村の負担金、介護給付費交付金等の介護保険事業に要する費用のための収入の合計額。

2)事業運営期間において見込まれる保険料収納率。

3)事業運営期間の各年度において見込まれる(1)の区分ごとの被保険者数にそれぞれの区分の割合を乗じて得た数の合計。

10 保険料の特別徴収に関する事項

(1)特別徴収の対象となる年金

保険料の特別徴収の対象となる年金は、次のとおりとすること。

1)国民年金法(昭和34年法律第141号)による老齢基礎年金及び同法附則第9条の3第1項による老齢年金

2)昭和60年改正前の国民年金法による老齢年金及び通算老齢年金

3)昭和60年改正前の厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)による老齢年金、通算老齢年金及び特例老齢年金

4)昭和60年改正前の船員保険法による老齢年金及び通算老齢年金

5)昭和60年改正前の国家公務員共済組合法(昭和33年法律第128号)及び国家公務員等共済組合法の長期給付に関する施行法(昭和33年法律第129号)による退職年金、減額退職年金及び通算退職年金

6)昭和60年改正前の農林漁業団体職員共済組合法(昭和33年法律第99号)による退職年金、減額退職年金及び通算退職年金

7)昭和60年改正前の私立学校教職員共済法(昭和28年法律第245号)による退職年金、減額退職年金及び通算退職年金

8)昭和60年改正前の地方公務員等共済組合法(昭和37年法律第152号)及び地方公務員等共済組合法の長期給付等に関する施行法(昭和37年法律第153号)による退職年金、減額退職年金及び通算退職年金

(2)特別徴収を行わない者の年金額
(1)に掲げる年金の支払を受けている第一号被保険者について保険料の特別徴収を行わないこととする年金額を、年額18万円未満の額とすること。
(3)保険料の特別徴収の対象となる年金の順位
(1)に掲げる年金の支払を受けている第一号被保険者について、これらの年金給付のうち2種類以上を受けており、かつ、それらに老齢基礎年金が含まれない場合において特別徴収の対象となる年金の順位は、(1)の2)から8)の順位によるものとすること。

11 介護保険審査会

(1)公益を代表する委員の定数基準

介護保険審査会における公益を代表する委員の定数は、要介護認定又は要支援認定に関する処分に対する審査請求の事件を取り扱う合議体を必要な数設置することができる員数とすること。

(2)審査請求書の記載事項等

審査請求書の記載事項、移送の通知、保険者等に対する通知、裁決書の記載事項及び関係人に対する旅費等について、必要な規定を置くこと。

12 経過措置

(1)介護認定審査会の委員の任期に関する特例

平成13年4月1日より前に任命された委員の任期は、4の(2)にかかわらず、平成12年4月1日から起算して1年を経過する日までとすること。

(2)介護保険審査会の委員の任期に関する特例

平成13年4月1日より前に任命された委員の任期は、法の規定にかかわらず、平成12年4月1日から起算して1年を経過する日までとすること。

(3)療養型病床群以外の介護療養型医療施設の病床に関する特例

介護療養型医療施設における病床は、平成15年3月31日までの間は、3に定めるもののほか、介護力強化病院に係る病床とすること。

(4)平成12年度における保険料の特別徴収に関する事項

1)特別徴収を行わない者の年金額

平成12年度において、10の(1)に掲げる年金の支払を受けている第一号被保険者について保険料の特別徴収を行わないこととする年金額を、年額18万円未満の額とすること。

仮徴収の額

2)平成12年度において保険料の特別徴収を行う場合における仮徴収の額は、平成12年度を初年度とする事業運営期間における全市町村の保険料の基準額の見込額の平均の半年分の額を、平成12年4月1日から9月30日までの間における特別徴収に係る年金給付の支払の回数で除して得た額(省令事項)とすること。ただし、その額によることが適当でないと認める市町村においては、その市町村における基準額の見込額等を勘案して別に条例で定める額とすることができるものとすること。

13 その他

その他所要の規定の整備を行うこと。

14 施行期日

この政令は、平成12年4月1日から施行すること。ただし、12の(4)については、平成11年10月1日から施行すること。

第2 介護保険の国庫負担金の算定等に関する政令(仮称)案要綱

1 国、都道府県又は市町村の介護給付費等に対する負担金の額

国、都道府県又は市町村が介護給付及び予防給付(以下「介護給付等」という。)に要した費用の額に対して毎年度負担する負担金の額は、各市町村につき、当該年度における介護給付等に要した費用の額(条例により支給限度額の引上げ措置を講じている市町村については、その引上げ措置が講じられていないものとして算定した費用の額。以下「標準給付費額」という。)に基づき算定するものとすること。

2 介護給付費交付金の額

(1)介護給付費交付金の額

社会保険診療報酬支払基金(以下「支払基金」という。)が市町村に対して毎年度交付する介護給付費交付金の額は、各市町村につき、当該年度における標準給付費額に基づき算定するものとすること。

(2)第二号被保険者負担率

平成12年度から平成14年度までにおける第二号被保険者負担率は、100分の33とすること。

3 財政安定化基金に関する事項
(1)財政安定化基金による交付事業

財政安定化基金による交付金の額は、(1)の額((1)額が(3)の額を超えるときは、(3)の額)の2分の1に相当する額とすること。

ただし、実績保険料収納額が最低責任保険料収納額(確保することが必要な保険料額に各市町村の第一号被保険者の数等を勘案して設定する最低責任保険料収納率(省令事項)を乗じて得た額)に不足すると見込まれる市町村に対する交付金の額は、(2)に掲げる額((2)の額が(3)の額を超えるときは、(3)の額)の2分の1とすること。

(1)予定保険料収納額から実績保険料収納額を控除した額の見込額。

(2)予定保険料収納額から最低責任保険料収納額を控除した額の見込額。

(3)基金事業対象費用額から基金事業対象収入額を控除した額の見込額。

なお、都道府県は、市町村が保険料収納率を不当に過大に見込んだことにより交付金の額が不当に過大となると認められる場合等必要な場合には、交付額の減額等ができるものとすること。

(2)財政安定化基金による貸付事業

(1)財政安定化基金による貸付金の額は、次の額に1.1を乗じて得た額を限度とすること。

a 事業運営期間の最終年度を除く各年度においては、当該年度の単年度基金事業対象費用額から当該年度の単年度基金事業対象収入額を控除して得た額の見込額。

b 事業運営期間の最終年度においては、アの額からイの額を控除して得た額(実績保険料収納額が最低責任保険料収納額に不足すると見込まれる市町村については、さらにウの額を控除して得た額。)。

ア 事業運営期間における基金事業対象費用額から事業運営期間における基金事業対象収入額を控除して得た額の見込額。

イ 事業運営期間の各年度における基金事業借入金(最終年度に係るものを除く。)及び基金事業交付金の額。

ウ 事業運営期間における最低責任保険料収納額から実績保険料収納額を控除して得た額の見込額。

なお、都道府県は、市町村が確保することが必要な保険料額を不当に過小に見込み又は保険料収納率を不当に過大に見込んだことにより貸付金の額が不当に過大となると認められる場合等必要な場合には、貸付額の減額等ができるものとすること。

(2)据置期間及び償還期間

基金事業貸付金の据置期間は貸付けを受けた事業運営期間中とし、償還期限はその次の事業運営期間の最終年度の末日とすること。また、償還期限までの間は、無利子とすること。

(3)基金事業対象収入額の算定方法

基金事業対象収入額は、各市町村につき、当該事業運営期間における、収納した保険料額に当該市町村の基金事業対象比率を乗じて得た額並びに国の負担金、国の調整交付金、都道府県の負担金、市町村の負担金、介護給付費交付金の額等の合計額とすること。
また、単年度基金事業対象収入額についても、当該単年度について同様の方法により算定するものとすること。

(4)基金事業対象費用額の算定方法

基金事業対象費用額は、各市町村につき、当該事業運営期間における標準給付費額、財政安定化基金拠出金の納付に要する費用の額及び財政安定化基金償還金の償還に要する費用の額の合計額とすること。
また、単年度基金事業対象費用額についても、当該単年度について同様の方法により算定するものとすること。

(5)財政安定化基金拠出金等の算定方法等

1)財政安定化基金拠出金の額

財政安定化基金に対して事業運営期間において市町村が拠出する額は、aの額にbの率を乗じて得た額とすること。

a 事業運営期間における都道府県内の全市町村における標準給付費額の見込額に財政安定化基金拠出率(すべての都道府県の財政安定化基金の収支の状況等を勘案して、三年ごとに厚生大臣が定める率。なお、平成12年度から平成14年度までは1000分の5とする(告示事項)。)を標準として条例で定める率を乗じて得た額から財政安定化基金から生じた収入の額を控除した額。

b 事業運営期間における都道府県内の全市町村における標準給付費額の見込額の総額に占める事業運営期間における当該市町村における標準給付費額の見込額の割合。

2)財政安定化基金に対する都道府県からの繰入額

財政安定化基金に対して事業運営期間において都道府県が繰り入れる額は、1)のaの額に3を乗じて得た額とすること。

3)財政安定化基金に対する国の負担金の額

財政安定化基金に対して事業運営期間において国が負担する額は、1)のaの額とすること。

4 市町村相互財政安定化事業に関する事項

(1)市町村相互財政安定化事業による調整の対象となる介護給付等の額

市町村相互財政安定化事業による調整の対象となる介護給付等の額は、各市町村につき、事業実施期間における標準給付費額に基づき算定するものとすること。

(2)市町村相互財政安定化事業による調整の方法

市町村相互財政安定化事業による調整は、各事業実施期間につき、1)の額が2)の額を超える市町村にあってはその超える額を基準として規約で定めるところにより算定した額を負担し、1)の額が2)の額に満たない市町村にあってはその満たない額を基準として規約の定めるところにより算定した額の交付を受けるものとすること。

1)調整保険料率に事業実施期間の各年度において見込まれる第1の9の(1)の区分ごとの被保険者数にそれぞれの区分の割合を乗じて得た額を標準として規約で定める額。

2)aに掲げる額の見込額からbに掲げる額の見込額を控除した額

a 標準給付費額、財政安定化基金拠出金の納付に要する費用の額及び財政安定化基金償還金の償還に要する費用の額の合計額。

b 国の負担金、国の調整交付金、都道府県の負担金、市町村の負担金及び介護給付費交付金の額の合計額。

(3)調整保険料率の算定方法

調整保険料率は、事業実施期間ごとに、市町村相互財政安定化事業を行う市町村における(2)2の額の総額を、事業実施期間の各年度において見込まれる第1の9(1)の区分ごとの被保険者数の総数にそれぞれの区分の割合を乗じて得た数の合計で除して得た額を標準として規約で定める額とすること。

5 介護給付費納付金に関する事項

(1)医療保険者が合併、分割又は解散をした場合における介護給付費納付金の   額の算定の特例

医療保険者が合併、分割又は解散をした場合における介護給付費納付金の額の算定は、現行の老人保健法(昭和57年法律第80号)の規定による老人保健拠出金の算定の特例の例により行うものとすること。

(2)介護給付費納付金等の徴収の請求

医療保険者が、支払基金から督促を受けた介護給付費納付金及び延滞金を指定期限までに完納しない場合における支払基金から厚生大臣又は都道府県知事への徴収の請求の手続は、現行の老人保健法の規定による老人保健拠出金の手続の例により行うものとすること。

6 その他

その他所要の規定の整備を行うこと。

7 施行期日

この政令は、平成12年4月1日から施行すること。


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