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総 社 第 17 号
平成10年1月30日

厚生大臣 小 泉 純 一 郎 殿

社会保障制度審議会
会長 宮 澤 健 一

国民健康保険制度等の改正について(答申)


 平成10年1月22日厚生省発保第9号で諮問のあった標記の件について、本審議会の意見は下記のとおりである。



 本審議会は、平成7年勧告において、医療保険における財政基盤の強化と、医療制度及び老人保健制度を含めた医療保障制度の抜本的な改革の必要性を指摘している。
 老人医療費拠出金に関する事項も抜本改革の課題の1つであり、今回の諮問案がその一環であると理解できないことはないが、予算編成上の緊急措置的な面が強く、国民の納得を得るうえで、提案が拙速のきらいがあり、抜本改革との関係も明確ではない。
 だが、近年の老人医療費の急増は、平成12年を目途に実施されるとする老人保健制度の抜本改革を待てない状況にあると考えられる。
 その意味では、今回の改正が、退職者にかかわる老人医療費拠出金の増大と老人加入者数が著しく高い保険者数の増加を踏まえ、現行の老人保健制度の枠組みの中で、負担の公平化を図ろうとするやむをえない面もあることも否定できない。
 なお、診療報酬の不正請求防止等、国民の医療不信を解消する方策も盛り込まれていることは評価できるものであり、医療費適正化に当たっては、国民の視点に立って、既得権などにとらわれることなく、積極的に推進することが必要と考える。
 近年、財政構造改革の流れの中で、特に社会保障の分野において国民の費用負担が大きくなっているのも事実であり、今後も、財政対策を優先した改正を繰り返すことは国民の社会保障制度全体への不信感を強めることにもなりかねない。
 21世紀を目前にひかえ、抜本改革が遅れたり、後退したりすることのないよう、政府に望むとともに、改革に至る議論の情報を広く国民に公開し、国民が安心できる医療保障制度抜本改革の具体的検討を進めることを強く期待したい。



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