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特定家庭用機器廃棄物の収集及び運搬並びに再商品化に関する基本方針の骨子案に対する御意見について


平成11年6月21日
厚生省水道環境部リサイクル推進室


 特定家庭用機器廃棄物(家庭用のエアコン、テレビ、電気冷蔵庫及び電気洗濯機が廃棄物となったもの)に係る特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)の基本方針の骨子案について、案を厚生省ホームページに掲載し、平成11年3月31日から4月27日まで御意見を募集し、計9件の御意見をいただきました。お寄せいただいた御意見の概要と当省の考え方につきまして御報告します。ありがとうございました。

御意見の概要と当省の考え方

1.「特定家庭用機器廃棄物の収集及び運搬並びに再商品化等の基本的方向」

<いただいた御意見の概要>

(1) 大量生産、大量消費、大量廃棄社会と生産の抜本転換という文言を明記すべきである。
(2) 製造業者の回収責任、販売業者の回収・引渡責任をもっと強く述べる必要がある。
(3) 小売業者が消費者より「中古品」として引き取った場合、産業廃棄物としての処理が可能となるような、「法」の抜け道をつくらないようにしてほしい。

<当省の考え方>

(1)については、「廃棄された物をどのように処理するかという観点を転換し、製品の開発、製造から消費、排気等に至る各段階において、廃棄物の排出の抑制、使用済製品の再使用及び部品又は原材料としての利用である再商品化の促進という観点を持った、環境への負荷の少ない循環型経済システムを構築することが必要」との記述することとしたいと考えます。
(2)で御指摘の点は、既にこの法律で義務として規定されているものです。基本方針では、この法律を円滑に実施していくために、小売業者、製造業者のみならず、消費者及び事業者を含めた関係者が、「適切な役割分担の下でそれぞれが積極的に参加することが必要」としたいと考えます。
(3)については、廃棄物処理及び清掃に関する法律の処理基準を特定家庭用機器廃棄物について改正し、どのような経路を特定家庭用機器廃棄物がたどった場合でも、この法律の再商品化等と同程度の処理を確保することとしています。

2.「特定家庭用機器廃棄物の排出の抑制のための方策に関する事項についての御意見」

<いただいた御意見の概要>

(1) 排出の抑制のための方策は、国の政策と措置を中心に組み立てるべきである。また、国の施策として、研究や普及開発しかないのは疑問である。
(2) 排出の抑制に関する小売業者や製造業者の義務を示すことが必要である。また、法律では製造業者等の責務がまず掲げられており、基本方針についても、消費者及び事業者を最初に記述せず、法律の順序に倣うべきである。
(3) 小売り業者が排出抑制を真剣に考え、取り組む実効性ある方策を作ってほしい。
(4) 部品の保持期間を、製品の最終販売日よりに20年間義務づけるべきであり、また、規格の統一を強制力をもって推進する方針を明確にすべきである。また、製造業者が排出抑制を真剣に考え取り組む実効性ある方策を作ってほしい。さらに、製造業者は「再利用・リサイクルを前提にした設計」を行い、国や自治体はこれを後押しする政策をとるべきである。
(5) 資源を浪費する業者が不利になるような国の政策を示すことが必要。

<当省の考え方>

(1)については、国は、特定家庭用機器の使用者としての位置づけから、不必要な買換えの抑制、耐久性に優れ、修理が容易な機器の選択等を盛り込み、関係者の排出の抑制を促進するために、特定家庭用機器の耐久性の向上に関する調査研究、消費者及び事業者に対する普及、啓発その他の施策を講ずることを盛り込むこととしたいと考えます。
(2)について、関係者の順序は、特定家庭用機器廃棄物の排出から再商品化等が行われるまでを順をおって記述することとしたいと考えます。
(3)については、小売業者は、消費者及び事業者が特定家庭用機器を長期間使用できるよう、部品の交換・追加、使用方法や修理実施体制等の情報提供を行うとともに、小売業者自らも修理の実施等を行うことを記述したいと考えます。
(4)については、製造業者は、耐久性、修理のしやすさ等に配慮した特定家庭用機器のの設計及びその部品又は原材料の選択を工夫するという製造段階での取組だけでなく、修理の実施体制の整備、部品の交換・追加のための部品の供給、使用方法に関する情報の提供による使用段階での排出抑制への取組を盛り込むこととしたいと考えます。
(5)については、省資源に関する重要な御指摘ですが、具体的な方策については、この法律だけでなく資源・廃棄物政策全体の中で検討されるべきものと考えます。

3.「特定家庭用機器廃棄物の収集及び運搬並びに再商品化等の促進のための方策に関する事項」についての御意見

【特定家庭用機器廃棄物の収集及び運搬に関する事項について】

<いただいた御意見の概要>

(1) 排出者の項では「小売業者になるべく引き渡すこと」とあるが、3−1(5)市町村の項では「小売業者との連携努めること」とあり、市町村が小売業者と同列的に回収義務があるような表現になっているが、この法律は、小売業者の回収が基本ではないのか。また、「確実に引き渡す適正な者」の選別基準は考えているのか。
 また、これを排出者(消費者)にどう示すのか。
(2) 対象機器の運搬にあたっては、小売業者の引取り義務以外のものでも小売業者ルートに乗せるのが望ましいのではないか。
(3) 消費者は小売業者、製造業者等が求める料金の支払いに応ずることが責務となっているが、その料金体系は全国どこでも同じ金額でできる限り低料金とすべき。
(4) 小売業者の項及び3−2の(1)製造業者の項にある「…料金の内容についての説明・公表」は表現が馴染まない。「排出者の費用負担の説明」に修正するか、この部分を削除願いたい。
(5) 「製造業者の請求する料金の内容についての説明を行う」を「料金の必要性についての説明」程度の表現に留めてほしい。
(6) 指定引取場所について、物流業者の活用を含め、経済性、効率性及び地域性を考慮し共同で設置することが望ましい。また、「適正な引渡しに支障が生じている地域が生じた場合」について、誰が判断するのか。また、公正な(客観的)判断されるシステムを検討してほしい。
(7) 不法投棄防止のために製造業者の排出者責任、または、直接の排出者へのデポジット制度を盛り込んでほしい。
(8) 国や自治体が不法投棄の実態を調査・公表し、不法投棄の多い製品を製造する製造業者や、販売の多い販売業者に協力を求めることが検討されるべき。
(9) 不法投棄防止策の実施、行政が不法投棄を回収した場合の支援対象の確立等の措置が必要である。
(10) 回収率や、再商品化率の低い業者は不利になるような体制作りを行えば、適正な収集運搬がされるのでは。
(11) 「冷媒用として含有されるフロン類が漏出しないよう」について、セパレート型エアコンの取り外しを確実に行う(漏出防止)よう徹底することが必要であり、有効なシステムを整備してほしい。
(12) 製造業者等について、「…漏出しないよう留意すること」を「冷媒として含有されるフロン類が絶対に漏出しないように現有に管理し速やかに破壊あるいはそれに準じた処置をすること」等の強い表現にすべき。
(13)エアコンディショナーの「対象」と「非対象」の区分の明確化について、具体的解説をおこなってほしい。

<当省の考え方>

(1)及び(2)は特定家庭用機器廃棄物の排出・収集に関する御意見ですが、この法律は、小売業者による収集運搬を基本とし、これを義務付けたものであり、市町村はこれを補完する立場にあります。また、小売業者は引取り義務を有する特定家庭用機器廃棄物以外の特定家庭用機器廃棄物を引き取ることは、この法律では問題ないものとしています。このため、基本方針では、消費者及び事業者は「製造業者等に確実に引き渡すことのできる者としてなるべく小売業者に引き渡」すと記述したいと考えます。また「確実に引き渡すことのできる者」は小売業者を指します。
(3)から(5)は料金に関する御意見ですが、この法律での料金は、基本的には、小売業者、製造業者等の責任において設定されます。一律の料金とするかどうかは当該小売業者、製造業者等が判断するものですが、設定された料金は全てあらかじめ公表されることとなります。その際、料金の内容について必要な情報を提供することが当該料金を支払うこととなる消費者及び事業者の理解を得るため重要であることから、基本方針に盛り込むこととしたいと考えます。
(6)は指定引取場所に関する御意見ですが、指定引取場所は製造業者等が設置するものであり、共同設置等の手法は当該製造業者等が判断するものです。しかしながら、この法律では、指定引取場所の適正配置について主務大臣の勧告等の手続を規定しているとともに、適正な引渡しに支障が生じた場合には、市町村の申し出に応じて主務大臣が判断し、必要な措置を講ずることとされています。
(7)から(10)は確実な収集の確保、不法投棄の防止に関する御意見ですが、この法律では、小売業者の引取及び引渡義務、製造業者の引取義務を規定し、義務違反については、勧告・命令されに罰則の適用があります。基本方針においては、この法律の諸規定に加え、確実かつ適正な収集及び運搬、不法投棄の防止のため関係者が行うべき事項を具体的に記述したいと考えます。厚生省としては、法の趣旨の周知徹底、法の適正な運用により不法投棄の防止に努める所存です。
(11) 及び(12)は特定家庭用機器廃棄物の運搬の際の留意点に関する御意見ですが、特定家庭用機器廃棄物の適正な運搬については、廃棄物処理法の廃棄物処理基準の適用が あるほか、基本方針においても、再商品化等に必要な行為の実施が困難にならないよう御意見の提示された事項を盛り込みたいと考えます。
(13)は収集対象となる特定家庭用機器廃棄物の対象範囲を明確にすべきとの御意見ですが、必要に応じて法令の解釈を示していきたいと考えます。

【特定家庭用機器廃棄物の再商品化等に関する事項について】

<いただいた御意見の概要>

(1) 「再商品化が技術的困難性や環境への負荷の程度等の観点から適切でない場合」の判断基準が曖昧だと、何でも熱回収になってしまうのではないか。「適切でない場合」を国民全体で議論すべきである。
(2) 「全体の消費量の減量と再利用拡大、長寿化」、「新たな資源投入を減らし、リサイクル資源の割合を高める」の2点により廃棄物を削減する方向をはっきり打ち出すべきである。
(3) 「プリント基板に含有される鉛等の金属類」は削除してほしい。
(4) 鉛などの金属類の回収について、全く記述がないのは問題である。鉛などの金属の回収についても検討が必要。
(5) 合金の規格化など、もとの用途への再商品化を前提とした材料設計が抜けている。
 また、ガラス材料、プラスチック材料についても同様である。
(6) 「再商品化の方向」に「プラスチック類のリサイクルを考慮した製品設計」を加えてほしい。
(7) 「利用拡大の方向」に「新たな用途の拡大」、「再生プラスチック類の市場創出やその需要拡大に向けた関係者の努力」を加えてほしい。
(8) プラスチックの利用そのものを減らすという方向性がない。また、プラスチックについて再商品化を原則とすべきである。
(9) 冷媒用フロンについて、「回収冷媒容器の経済性に優れた物流体制の構築」、「回収冷媒容器に係る高圧ガス保安法の規制緩和」を追加してほしい。また、高い回収率を達成するよう、具体的な目標を提示すべきである。
(10) 断熱材フロンについて、「燃焼無害化の早期技術開発」を追加してほしい。また、断熱材フロンについて、確実に回収すること、回収のための具体的な目標を提示すべきである。
(11) 製造業者について、「部品や材料の事前選別の励行」ではなく「部品や材料の事前選別の促進」としてほしい。
(12) 素材メーカーの役割分担を明確にし、国のより一層の支援をお願いしたい。
(13) 国について、「特定家庭用機器廃棄物の再商品化の促進に資する施策を講ずること」とあるが、製造業者をどう支援するのか具体的な政策と措置がない。また、研究開発や普及しかないのは問題である。
(14) 事業者及び消費者について、「再商品化」した商品の「積極的な購入」のための、利用促進の方策を具体的に示すべきべきある。また、事業者及び消費者について、2つの項目とも、消費者に求めるのは難しいのではないか。

<当省の考え方>

(1)及び(2)は再商品化と熱回収とその方向性に関する御意見です。この法律の本格施行当初の再商品化等の基準を5月28日付け政令で定めたところですが、エアコン60%、テレビ55%、電気冷蔵庫及び電気洗濯機50%とし、これは再商品化のみの値です。この法律は熱回収よりも再商品化(マテリアルリサイクル)を優先して行うこととしており、法の運用に当たってもその方向で実施していきたいと考えます。また、製品の減量、新たな資源投入量の減は、基本的には製造業者等において判断されるものですが、特定家庭用機器廃棄物の排出の抑制のための諸方策とともに、法の運用の中で検討していきたいと考えます。
(3)及び(4)は、鉛等の重金属類の取扱に関する御意見ですが、基本方針において、鉛等の金属の再商品化の促進を盛り込みたいと考えます。
(5)については、製造業者の役割として「材料を供給する事業者等とも協力しつつ、再商品化等に適した材料の開発や規格の統一等に努めること」を盛り込みたいと考えます。
(6)から(8)はプラスチック類に関する御意見ですが、製造業者が製品の材料としてプラスチック類をどれだけ使用するかは、製品自体の機能との関係も含め、製造業者が判断するものです。しかしながら、基本方針においては、プラスチック類の再商品化等の促進のための諸方策として、種類ごとの選別技術の向上、施設整備の促進等とともに、新たな用途の開発及び需要拡大に向けた関係事業者の協力を盛り込みたいと考えます。
(9)及び(10)はフロン類に関する御意見ですが、冷媒フロンについては、回収効率の向上、適正かつ能率的な再利用、破壊の確保を盛り込むとともに、断熱材フロンについては、技術開発、施設整備を盛り込むこととしたいと考えます。御意見にある具体的な技術的事項については、「技術開発」で一括したいと考えます。
(11)については、よりよい再商品化等の実施のためには、材料・部品の事前選別が重要であることから、基本方針には「部品や材料の事前選別を励行する」としたいと考えます。
(12)については、「特定家庭用機器の材料の供給をする事業者」について記述を設け、「適正かつ能率的な再商品化等に必要な行為の実施に資する材料の開発及び供給」とともに、「再商品化等により得られたもの」の「積極的利用」を盛り込むこととしたいと考えます。
(13)は国の取組に関する御意見ですが、国レベルで行うべき研究開発の実施とその成果の普及などの情報提供を通じ、製造業者等の実施する再商品化等及びその費用の低減のための技術的な支援を行いたいと考えます。また、再商品化等に必要な行為の用に供する施設の整備を促進するための技術的な支援等も盛り込むこととしたいと考えます。
(14)については、消費者及び事業者は、特定家庭用機器の購入に当たって、リサイクルし易い製品を選択することを記述したいと考えます。これは、製造業者等からの情報提供を適切に判断することにより可能と考えます。

4.「環境の保全に資するものとしての特定家庭用機器廃棄物の再商品化等の意義に関する知識の普及に係る事項について」

<いただいた御意見の概要>

(1) 「資源エネルギー投入量の削減、廃棄物の減量に資する商品を比較できる指標やラベルの整備」、「環境に影響を及ぼすおそれのある物質の環境への放出の抑制に資する商品を比較できる指標やラベルの整備」などの具体的な規定を検討すべきである。
(2) 使用済み家電が適正にリサイクルされているか、再商品化された商品が再び市場に出回っているか、有害物の処理はどのように行なわれたかなどの情報を把握し開示する方針を明確にすべきである。
(3) 漠然と「普及・啓発」を図るのではなく。商品の「良い」「悪い」について広報するべきである。

<当省の考え方>

(1)から(3)の御意見に関して、特定家庭用機器廃棄物の再商品化等の推進のためには、広範な国民の協力が必要と考えます。そのため、環境教育、環境学習、広報活動を通じて、再商品化等の促進が環境の保全に資することについての国民の理解を深め、関係者の協力を求めたいと考えており、その旨を基本方針に盛り込みたいと考えます。御指摘の点については、新しいリサイクルの仕組みを実効あるものとするため、適切な情報の把握と提供に努めていきたいと考えます。

5.「その他特定家庭用機器廃棄物の収集及び運搬並びに再商品化等に関する重要事項について」

<いただいた御意見の概要>

(1) ライフ・サイクル・アセスメントの手法の検討に当たっては、その手法の妥当性について市民の意見を聞き、取り入れながら進めるべきである。
(2) 収集運搬料金の必要性について、国は自治体における粗大ゴミレベルでの現状のコストとリサイクル率の実情を公表させ、家電リサイクル法の排出者の費用負担の妥当性につき広報・普及・啓発に努めるべきである。
(3) 製品が不法投棄されたら、製造者が困るような広報を国がおこなったらどうか。

<当省の考え方>

(1)はライフ・サイクル・アセスメントの手法についての御意見ですが、その手法の確立に当たっては、広く知見を有する方々の協力が必要と考えるところです。
(2)は料金の妥当性について広報等に関する御意見ですが、国としても、この法律に基づき設定される料金の妥当性の確保に努めるとともに、法の趣旨及び内容について広報活動等を通じて国民への周知と理解・協力を得ることに努めたいと考えます。
(3)については、不法投棄はまず、不法投棄を行う者に責任があることを御認識ください。

6.その他の御意見

<いただいた御意見の概要>

(1) 特定家庭用機器廃棄物の排出者から、官庁を適用除外とすべきである。
(2) 輸送コストについて。メーカー側の運搬費用や宅配便によるコストを見込むべきである。

<当省の考え方>

(1)については、行政機関はその事務執行に当たり特定家庭用機器を使用する立場にあり、使用後は排出するものであることから、排出者としての責務があることは避けられないものと考えます。
(2)については、製造業者の設定する料金には当然、これらの費用が見込まれるものと考えます。


<貴重な御意見をお寄せいただきありがとうございました。今後とも廃棄物処理・リサイクルにつきまして、御理解と御協力の程、お願いいたします。>


問い合わせ先
厚生省水道環境部リサイクル推進室

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