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全国厚生関係部局長会議資料

障害保健福祉部


(企画課)

1 平成12年度障害保健福祉部予算(案)の概要

【部所管予算額】 560,175百万円 → 616,774百万円 (対前年比110.1%)
※ 訪問介護(ホームヘルプサービス)事業等老人保健福祉局からの組み替え分(28,075百万円)を除いた場合対前年比105.1%

I「障害者プラン」の推進

(11年度) (12年度)
254,593百万円 276,670百万円
(対前年比108.7%)

 障害者の地域における自立を支援するため、地域生活援助事業(グループホーム)等障害者の住まいの確保、授産施設等障害者の働く場の確保等平成14年度の目標達成に向けて一層の推進を図る。

1 住まいや働く場ないし活動の場の確保

(1) 地域生活援助事業(グル−プホ−ム)

ア 知的障害者地域生活援助事業
3,007百万円 → 3,711百万円
イ 精神障害者地域生活援助事業
971百万円 → 1,152百万円

(2) 福祉ホーム

ア 身体障害者福祉ホーム
70百万円 → 76百万円
イ 精神障害者福祉ホーム
156百万円 → 172百万円

(3) 授産施設

ア 身体障害者通所授産施設
4,537百万円 → 4,907百万円
イ 知的障害者授産施設(通所)
26,740百万円 → 29,426百万円
ウ 精神障害者(入所・通所)授産施設
2,218百万円 → 3,080百万円
エ 通所授産施設における障害種別を超えた相互利用の促進
 (身体障害者、知的障害者、精神障害者)

(4) 福祉工場

 精神障害者福祉工場

290百万円 → 327百万円

(5)小規模作業所に対する助成(在宅重度障害者通所援護事業費等)

2,855百万円 → 3,064百万円
 2,595か所 → 2,785か所

2 地域における障害児療育システムの構築と総合的な支援体制の整備

(1) 障害児通園(デイサービス)事業

2,478百万円 → 2,813百万円

(2) 重症心身障害児(者)通園事業

1,253百万円 → 1,632百万円

(3) 生活等支援事業

ア 市町村障害者生活支援事業
1,075百万円 → 1,383百万円
イ 障害児(者)地域療育等支援事業
1,789百万円 → 2,594百万円
ウ 精神障害者地域生活支援センター
1,001百万円 → 1,764百万円

3 精神障害者の保健医療福祉施策の充実

(1) 精神障害者社会適応訓練事業
 (通院患者リハビリテーション事業)

763百万円 → 802百万円

(2) 精神障害者生活訓練施設(援護寮)

3,123百万円 → 4,157百万円

(3) 精神科デイ・ケア施設の整備 736か所 → 815か所

4 介護等のサ−ビスの充実

(1) 訪問介護(ホ−ムヘルプサ−ビス)事業費

13,714百万円 → 17,730百万円

・訪問介護員(ホ−ムヘルパ−)の増員
・知的障害者について、本人支援の観点を含めた事業に拡充
・訪問介護員(ホームヘルパー)養成研修事業の実施

(2) 精神障害者訪問介護(ホームヘルプサービス)事業の充実

ア 精神障害者訪問介護(ホームヘルプサービス)試行的事業
86百万円 → 111百万円
・ 実施か所の増 47か所 → 59か所

(新)イ 精神障害者訪問介護員(ホームヘルパー)研修試行的事業

8百万円

(3) 短期入所(ショートステイ)事業費

2,381百万円 → 3,079百万円
・日中預かりの導入(障害児・知的障害者)

(4) 日帰り介護(デイサービス)事業

ア 身体障害者日帰り介護(デイサービス)事業費
5,342百万円 → 6,477百万円
・事業費補助方式の導入
(新)・訪問入浴サービスの導入

イ 在宅知的障害者日帰り介護(デイサ−ビス)事業費
854百万円 → 1,046百万円
・身体障害者日帰り介護(デイサービス)を利用する場合の利用単価の設定

(5) 身体障害者療護施設

43,090百万円 → 45,054百万円
ア 身体障害者療護施設通所型における定員の拡大
300人 → 400人
イ 身体障害者療護施設通所型を併設できる施設の拡大
・重度身体障害者更生援護施設
・重度身体障害者授産施設
ウ 身体障害者療護施設における特別介護経費加算
 (筋萎縮性側索硬化症(ALS)加算)
134人 → 221人
エ 筋萎縮性側索硬化症(ALS)を受け入れる身体障害者療護施設の受入体制の充実
○ 職員の加算
・ 神経内科医(嘱託) 98か所 149か所
・ 非常勤看護婦 36か所 72か所

(6) 知的障害者更生施設

124,741百万円 → 128,289百万円

【施設整備等関係共通】

○ 社会福祉施設及び社会復帰施設の施設整備費等
 (社会福祉施設整備費・設備費,保健衛生施設整備費・設備費へ一括計上)
・ 身体障害者療護施設の居室の改善
 (個室化の促進)定員の2割までの加算 → 定員の3割までの加算

5 社会参加の推進

○ 市町村障害者社会参加促進事業

1,856百万円 → 2,056百万円
・ メニュー事業
ア 実施か所数 330か所 → 370か所
イ 1か所当たり事業費 15,000千円

II 障害者プラン関係以外の施策

精神保健福祉法改正の趣旨を踏まえ、精神障害者の適正な医療及び保護の確保等を図るとともに、身体障害者福祉審議会等の意見具申の趣旨を踏まえ障害者の自立と社会参加を推進するための施策の充実を図る。また、労働省における障害者雇用施策との緊密な連携を図り、生活支援から一般雇用まで連続性のある施策を展開する。

〔企画課〕

(新)○ 知的障害児(者)基礎調査

116百万円

○ 障害者ケアマネジメント体制整備推進事業
 47か所 → 59か所

536百万円 → 623百万円

○ 手当等の給付

106,357百万円 → 110,949百万円
(1) 特別児童扶養手当
70,882百万円 → 75,066百万円
・物価スライドの特例

 平成11年の消費者物価指数の下落が見込まれるが、平成12年度の手当額は前年度と同額とする。

1級(月額) 51,550円
2級(月額) 34,330円

(2) 特別障害者手当等

35,475百万円 → 35,883百万円
・物価スライドの特例

 平成11年の消費者物価指数の下落が見込まれるが、平成12年度の手当額は前年度と同額とする。

特別障害者手当 (月額) 26,860円
障害児福祉手当 (月額) 14,610円
福祉手当(経過措置分)(月額) 14,610円

・所得制限限度額の引き上げ

 本人(2人世帯:年収) 540.0万円→550.4万円

○ 厚生科学研究費(厚生科学課に一括計上)

・障害保健福祉総合研究経費
381百万円 → 382百万円
・感覚器障害及び免疫・アレルギー等研究経費
 (感覚器障害分)
577百万円 → 578百万円

〔社会参加推進室〕

1 社会参加の推進

(新)(1) 障害者生活訓練・コミュニケーション支援等事業

611百万円
 地域で自立した生活をするうえで欠かすことのできない生活訓練、コミュニケーション手段の確保及び移動を支援するための事業の実施
 (「障害者の明るいくらし」促進事業から移し替え)

ア 1県当たり事業費 19,900千円

イ 事業の充実等
(ア) 盲導犬育成事業、手話通訳派遣事業の増
(新)(イ) 盲ろう者向け通訳・介助員派遣試行事業の実施

(2) 「障害者の明るいくらし」促進事業 1,857百万円 → 1,364百万円

ア 基本事業
・1県当たり事業費 45,100千円

イ 全国障害者スポーツ大会開催事業費

ウ 障害保健福祉圏域計画推進事業

(3) 中央障害者社会参加推進センター運営事業

29百万円 → 29百万円

(4) 身体障害者自立支援事業
 33か所

378百万円 → 379百万円

(5) 障害者や高齢者にやさしいまちづくり推進事業
 23か所

115百万円 → 115百万円

(6) 障害者スポーツの振興

43百万円 → 64百万円
(新)・日本パラリンピック委員会設置等に伴う体制強化

(7) 身体障害者福祉促進事業委託費

672百万円 → 678百万円

(8) 国連・障害者の十年記念施設「障害者国際交流センター(仮称)」の整備

1,295百万円 → 3,516百万円
・3年計画の最終年次

(9) 補装具の給付(身体障害者・身体障害児)

14,657百万円 → 15,744百万円

2 労働省との連携施策

25百万円
(新)○ 情報機器の活用による重度障害者の社会参加・就労支援連携試行的事業の実施(市町村障害者社会参加促進事業の活用)


〔国立施設管理室〕

○ 国立更生援護施設の整備・運営の充実

10,148百万円 → 10,203百万円

〔障害福祉課〕

1 在宅福祉施策等の充実

(1) 日常生活用具給付等事業

− 百万円 → 2,479百万円
 (老人保健福祉局から組み替え)
(新)・住宅改修費の助成

(2) 身体障害者訪問診査

115百万円 → 121百万円
・訪問診査の対象人員の増
(ア)医師、看護婦による訪問
 18,350人 → 19,570人
(イ)PT等による訪問
 3,670人 → 3,920人

(3) 知的障害者生活支援事業等

284百万円 → 395百万円
ア 知的障害者生活支援事業(生活支援ワーカー)
 63か所 → 103か所
イ 知的障害者福祉ホーム
 87か所 → 87か所

2 施設福祉の充実

136,483百万円 → 136,618百万円

(新)(1) 授産活動活性化特別対策事業

(2) 福祉職俸給表への対応、一般生活費等の改善

3 労働省との連携施策

(新)(1) 情報機器の活用による重度障害者の社会参加・就労支援連携試行的事業の実施(身体障害者日帰り介護(デイサービス)事業の活用)

13百万円

(2) 知的障害者の生活支援と就業支援を総合的に行う「障害者就業・生活支援センター(仮称)」設置に向けた試行的事業
 (知的障害者生活支援事業の再掲)

21百万円 → 32百万円


〔精神保健福祉課〕

1 地域精神保健福祉施策の充実

(新)(1) 精神保健福祉担当職員等特別研修事業

64百万円
*平成14年度から在宅福祉サービスに関する事務を行う市町村職員等に対する研修の実施

(2) 精神保健福祉センター特定相談等事業
 54か所 → 56か所

109百万円 → 113百万円

(3) 精神障害者社会復帰促進センター事業

30百万円 → 31百万円

(4) 精神障害者手帳交付事業

8百万円 → 9百万円

2 精神障害者社会復帰施設の充実

6,856百万円 → 9,606百万円
○ 運営費の補助基準額の引き上げ
・ 職員配置の増(指導員、事務員等)
・ 福祉職俸給表への対応、民間施設給与改善費等

3 長期在院患者の療養体制整備事業

23百万円 → 71百万円
・ 療養体制を確保するための医療・福祉的ケア施設
 5か所 → 10か所

4 より良い精神医療の確保

(1) 精神医療費の公費負担

40,128百万円 → 42,866百万円

(2) 精神科救急医療システム整備事業

473百万円 → 1,204百万円
ア 実施か所数の増
 35か所 → 47か所
(新)イ 移送事業の創設

(3) 精神障害者身体合併症治療体制整備試行的事業
 4か所

17百万円 → 17百万円

(新)(4) 精神障害者通院医療対策費

4百万円
*在宅精神障害者数の増加等に鑑み、今後の通院医療及び通院公費負担制度のあり方を再検討

5 老人性痴呆疾患センター運営費
 134か所 → 137か所

311百万円 → 325百万円

6 更生医療・育成医療の給付

7,552百万円 → 7,566百万円

7 労働省との連携施策

3百万円 → 19百万円
 精神障害者の生活支援と就業支援を総合的に行う「障害者就業
・生活支援センター(仮称)」設置に向けた試行的事業
 (精神障害者地域生活支援センター運営費の再掲)

III 平成12年度税制改正(障害者関係)

○ 精神障害者地域生活支援センターの法定化に伴う税制上の所要の措置
 (固定資産税、都市計画税、不動産取得税、特別土地保有税)

 精神障害者地域生活支援センターに係る非課税措置を創設


(参考1)

○ 障害者プランの推進

整備目標設定事項 11年度予算 11年度補正後 12年度予算 14年度整備量
         
グループホーム 10,365人分 10,365人分 (+ 2,088人分) 12,453人分 15,860人分
 (知的障害者) 6,724人分 6,724人分 (+ 1,356人分) 8,080人分 10,800人分
 (精神障害者) 3,641人分 3,641人分 (+ 732人分) 4,373人分 5,060人分
         
福祉ホーム 2,472人分 2,792人分 (+ 550人分) 3,342人分 4,200人分
 (身体障害者) 812人分 852人分 (+ 160人分) 1,012人分 1,200人分
 (精神障害者) 1,660人分 1,940人分 (+ 390人分) 2,330人分 3,000人分
         
  計 12,837人分 13,157人分 (+ 2,638人分) 15,795人分 20,060人分
           
授産施設 57,351人分 58,407人分 (+ 3,213人分) 61,620人分 65,800人分
 (身体障害者(通所)) 7,833人分 8,098人分 (+ 1,063人分) 9,161人分 10,000人分
 (知的障害者(通所)) 44,238人分 44,379人分 (+ 1,060人分) 45,439人分 46,800人分
 (精神障害者(入所・通所)) 5,280人分 5,930人分 (+ 1,090人分) 7,020人分 9,000人分
           
精神障害者福祉工場 810人分 990人分 (+ 300人分) 1,290人分 1,770人分
           
  計 58,161人分 59,397人分 (+ 3,513人分) 62,910人分 67,570人分
           
障害児通園(デイサービス)事業 502か所 502か所 (+ 50か所) 552か所 1,002か所
重症心身障害児(者)通園事業 121か所 123か所 (+ 38か所) 161か所 236か所
           
  計 623か所 625か所 (+ 88か所) 713か所 1,238か所
           
精神障害者社会適応訓練事業 4,546人分 4,546人分 (+ 240人分) 4,786人分 5,280人分
           
精神障害者生活訓練施設(援護寮) 4,020人分 4,060人分 (+ 620人分) 4,680人分 6,000人分
           
市町村障害者生活支援事業 160か所 160か所 (+ 40か所) 200か所 690か所
障害児(者)地域療育等支援事業 320か所 320か所 (+ 100か所) 420か所 690か所
精神障害者地域生活支援センター 145か所 145か所 (+ 50か所) 195か所 650か所
           
訪問介護(ホームヘルパー) 32,800人 32,800人 (+ 4,400人) 37,200人 45,300人
           
短期入所(ショートステイ) 3,155人分 3,270人分 (+ 547人分) 3,817人分 4,650人分
           
日帰り介護(デイサービス) 817か所 823か所 (+ 28か所) 851か所 1,010か所
           
身体障害者療護施設 22,086人分 22,086人分 (+ 1,300人分) 23,386人分 25,000人分
知的障害者更生施設 92,258人分 92,258人分 (+ 1,351人分) 93,609人分 95,600人分


(参考2)

介護保険法施行に伴う障害者施策の対応について

介護保険法案採決の際の附帯決議を踏まえ、介護保険サービスと遜色のないものとなるよう施策の充実を図るとともに、障害者施策から介護保険への円滑な移行を図る。

1.居宅介護等事業

(1) 訪問介護(ホームヘルプサービス)事業

 全身性障害者、視覚障害者及び聴覚障害者等については、社会生活の継続性を確保する観点から、介護保険に移行しても、サービスの低下をきたさないよう、必要量を確保する。

(2) 訪問介護員養成研修事業

 障害児・者に対する訪問介護員(ホームヘルパー)の人材確保を図るため、養成研修事業を実施する。

2.短期入所(ショートステイ)事業

 身体障害者が介護保険の指定を受けた短期入所(ショートステイ)施設を利用できるよう、利用単価の設定を行う。

3.日帰り介護(デイサービス)事業

(1) 身体障害者が介護保険の指定を受けた日帰り介護(デイサービス)施設を利用できるよう、利用単価の設定を行う。

(2) 介護保険と同様、訪問入浴サービスを導入する。

4.日常生活用具給付等事業

 介護保険と同様、住宅改修費の助成を行う。


〔参考〕

○介護保険法の円滑な実施のための特別対策
・障害者ホームヘルプサービス利用者に対する支援措置
 低所得世帯で、障害者施策によるホームヘルプサービスを利用していた者等について、介護保険の利用者負担を3%に軽減する。


2 障害者プランの推進について

(1)障害者プラン関係予算について

 平成8年度を初年度とする7か年の計画として策定された「障害者プラン〜ノーマライゼーション7か年戦略」(平成7年12月障害者対策推進本部決定)も計画の後半にさしかかり、厚生省としても、在宅サービスや社会福祉施設の整備など各種保健福祉サービスの充実について、平成14年度の数値目標達成に向け、積極的かつ着実なプランの推進に努めているところである。
 平成12年度予算案における障害者プラン関係予算については、厳しい財政状況の中、約2,767億円(対前年度比8.7%増)が認められたところである。また平成11年度第2次補正予算においても、在宅福祉サービスを中心とした障害者プラン関係施設の前倒し整備に必要な経費として約48億円の予算を確保したところであり、今後、平成12年度予算と併せて切れ目のない執行を行うこととしており引き続き障害者プランの積極的な推進を図ることとしている。
 障害者プランを推進していくためには、財政面における支援はもとより、保健福祉サービス体系について、市町村域・障害保健福祉圏域・都道府県域の各圏域ごとの機能分担を明確にし、各種サービスを面的、計画的に整備することにより、重層的なサービス体系を構築することが重要であることから、「厚生省関係障害者プランの推進方策について」(大臣官房障害保健福祉部長通知平成8年11月15日障第219号)の趣旨を踏まえ、それら圏域を機軸とした関係施策の推進に努められたい。
 特に、数値目標を設定していない府県・指定都市においては、同通知において示している具体的な数値目標の項目について、速やかに数値目標を設定されたい。また、未だに障害保健福祉圏域が設定されていない県も見受けられるので障害者プランの推進を図るためにも早急に関係機関と調整し、圏域を設定するようお願いする。

(2)市町村障害者計画の策定推進について

 総理府が行った地方障害者計画の策定状況調査によると、平成11年3月末現在における市町村での障害者計画の策定率は49.4%であり、数値目標が設定されているものは更にその37.8%にとどまっている状況にある。
 その背景の一つとして、人口規模が小さい市町村においては、単独で計画を策定することが難しいことが掲げられている。
 そこで、市町村障害者計画の早期策定を実現するためには、まず、都道府県が、障害保健福祉圏域ごとに圏域内の各市町村に対して障害者計画に関する提言等を行い、次いでそれをもとに各市町村が圏域内での障害者施策の役割分担や、相互の協力及び連携を加味した各々の市町村計画を策定する、いわば、共同作業的な手法も有効であると考えられることから、平成11年度予算において、障害保健福祉圏域計画推進事業を創設したところである。
 ついては、策定率の低い自治体においては、障害保健福祉圏域計画推進事業を積極的に活用され、再度、障害保健福祉圏域内で計画策定作業が円滑に進められるよう市町村に対する強力な支援をお願いする。
 また、計画の策定にあたっては、必ず障害者の参画を得て行うとともに、地域の特性や実状に応じた内容となるよう留意願いたい。

3 社会福祉基礎構造改革と障害保健福祉施策の見直しについて

(1) 経緯と検討状況

・ 社会福祉基礎構造改革全体の在り方については、中央社会福祉審議会社会福祉構造改革分科会において、平成10年6月に中間まとめ、12月に追加意見が取りまとめられた。
・ また、障害保健福祉施策の見直しについては、この社会福祉基礎構造改革の議論を踏まえて、障害者関係3審議会(身体障害者福祉審議会、中央児童福祉審議会障害福祉部会、公衆衛生審議会精神保健福祉部会)の合同企画分科会及び各審議会において検討が重ねられ、昨年1月、今後の障害保健福祉施策の在り方に関する意見具申が取りまとめられた。
・ これらを踏まえ、身体障害者、知的障害者及び障害児に係る福祉サービスに関し、措置制度から利用制度への変更、身体障害者生活訓練等事業や知的障害者デイサービス事業等の法定化、知的障害者福祉に関する事務の市町村への委譲などを行うための身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、児童福祉法等の一部改正を含む「社会福祉の増進のための関係法律の整備等に関する法律案(仮称)」が厚生大臣から中央社会福祉審議会、身体障害者福祉審議会及び中央児童福祉審議会に対し諮問され、9月に了承する旨の答申が行われた。
・ この法案については、次の通常国会に提出する予定であり、現在、その準備に取り組んでいるところ。

(2)社会福祉基礎構造改革の全体像について

 別添資料(P.20〜25)参照

4 身体障害の認定について

(1)身体障害者手帳交付事務について

 平成12年度より身体障害者手帳交付事務については、機関委任事務から自治事務へ移ることとなる。このため、従来、「身体障害者障害程度等級表について」(昭和59年9月28日社更第127号社会局長通知)等において示していた身体障害者認定基準の解釈についてはガイドライン(技術的助言)として位置づけられることとなる。
 これまでの取扱いを踏まえ、引き続き、公平・公正な認定が行われるよう御配慮願いたい。
 また、身体障害の程度の再認定に係る事務については、これまで、「身体障害者障害程度の再認定の取扱いについて」(昭和61年5月1日社更第91号社会局長通知)においてその具体的な取扱いを示し、適正な運用をお願いしているところであるが、同事務については、平成12年度以降においても、引き続き都道府県、指定都市及び中核市に事務をお願いする必要があることから、新たに政令に規定したところである。
 再認定に係る事務については、これまで、一部の自治体において、手帳交付の際、再認定の要否が適切に判断されていない、再認定の時期が到来しても診査が速やかに行われていない等、事務の執行が必ずしも適正に行われていない状況がみられたところである。
 障害認定事務は、身体障害者手帳制度の要であり、公平・公正であることが強く求められることから、身体障害者福祉法等に定める手続きにしたがい、適正な運用の確保が図られるよう、一層の御尽力をお願いする。

(2)「ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能障害」に係る障害認定について

 HIV感染者の身体障害認定については、平成10年4月1日に施行され、まもなく2年を迎えるところである。
 HIV感染者の障害認定にあたっての留意点については、既に配布している「『ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害』身体障害認定の手引き」によって示しているところであるが、今後も引き続きその取扱いについて周知徹底を図る必要がある。
 特に、障害認定の窓口業務等に携わる者が、HIV感染者への理解を深め、プライバシーに十分配慮した適切な対応を行うことが重要であり、引き続き、障害認定担当者、サービス事業関係者等に対する業務説明や研修を実施するなど、当事者が安心して手帳交付やサービス利用の申請を行えるよう、一層の環境整備をお願いする。

5 障害者ケアマネジメント体制整備推進事業について

 本事業は、平成9年度から、身体障害、知的障害、精神障害の各障害ごとに段階的に実施してきたものを、平成11年度に統合し、事業名を「障害者介護等支援サービス体制整備推進事業」と変更したものである。
 さらに、平成12年度は、事業名を「障害者ケアマネジメント体制整備推進事業」と変更することとしている。
 地域で暮らす障害者にとっては、その生活ニーズを満たすためのサービスの提供主体が広く散在しているため、必要なサービスを見いだすことが困難な状況にある。そこで、障害者の地域生活を支援する観点から、ケアマネジメントを希望する障害者に対して、保健・医療・福祉サービス等の一体的な提供が必要であり、そのためには、ケアマネジメントの手法を確立する必要がある。
 ケアマネジメントの実施は、今後の在宅障害者に対するサービス提供体制の中で重要な役割を果たすものであり、平成15年度には全国的な普及を目指し、計画的に準備を進めているところである。
 しかしながら、平成11年度における本事業の実施状況をみると、3障害を合わせると17の県・指定都市において全く実施していない状況にある。
 本事業の重要性にかんがみ、平成12年度は、全都道府県・指定都市において実施されるよう特段の御配慮をお願いする。
 また、障害種別ごとに実施してきた事業を統合したことを踏まえ、ケアマネジメントの体制整備を総合的かつ効果的に推進することに留意していただきたい。
 なお、ケアマネジメントを試行的に実施する推進事業の実施に当たっては、各障害種別ごとに、複数のか所を選定して実施してもさしつかえないので、積極的に協議願いたい。

6 知的障害児(者)基礎調査の実施について

 障害者の生活を支援し、自立と社会参加を促進することは、今後の障害福祉行政の重要な課題であり、これを実現し、知的障害児(者)福祉施策の一層の推進を図るためには、知的障害児(者)の実態とニーズを正しく把握する必要がある。
 本調査は、これまで、おおむね5年ごとに実施していることから、平成12年度に調査を実施することとしている。
 調査の詳細については、現在、検討しているところであるが、調査は、都道府県、指定都市及び中核市が、福祉事務所の協力を得て調査員を選定して実施する方法を予定しているので、調査の円滑な実施について、御協力をお願いする。

7 厚生科学研究費について

(1)障害保健福祉総合研究事業について

 「障害者プラン」に対応した、障害のある人も家庭や地域で通常の生活ができるようにする社会づくり(ノ−マライぜ−ション)及びリハビリテ−ションの理念に基づいた障害保健福祉施策の推進のための基盤的施策や、身体障害・知的障害・精神障害等に関する研究を効果的に進めるため、平成10年度から障害保健福祉総合研究事業を実施しているところであるが、平成12年度においても新規課題の公募を実施する予定であるので、関係研究機関等に対して周知されたい。

(2)感覚器障害研究事業について

 視聴平衡覚領域における障害又は日常生活上支障となる症状について、原因疾患発症機序の解明とその予防・治療方法、支援機器の開発・改良に関する研究及び視聴平衡覚障害者の社会参加に関する研究を効果的に進めるため、平成9年度から感覚器障害研究を実施しているところであるが、平成12年度においても新規課題の公募を実施する予定であるので、関係研究機関等に対して周知されたい。

8 特別児童扶養手当等について

 特別児童扶養手当、特別障害者手当、障害児福祉手当及び福祉手当(経過措置分)の手当額については、物価の変動に応じて自動的に額を改定する「自動物価スライド制」がとられているが、平成11年の消費者物価は、現状のまま推移すれば0.3%程度下落することが見込まれる。
 このため、特段の措置を講じなければ、法律にしたがって、平成12年度の手当額は引き下げとなるが、現下の社会経済情勢にかんがみ、平成12年度限りの特例措置を講じ、平成11年の消費者物価が下落しても、平成12年度の手当額は引き下げないこととし、そのために必要な法案を次期通常国会に提出することとしている。
 また、所得制限限度額については、特別障害者手当及び障害児福祉手当等の本人分は、平成12年8月から引き上げる予定であるが、特別児童扶養手当の本人分及び特別児童扶養手当・特別障害者手当等の扶養義務者分は、最近の勤労者の所得が伸びていないことから据え置く予定であるので了知されたい。

本人  
 特別児童扶養手当 (4人世帯・年収) 770.7万円 据え置き
 その他 (2人世帯・年収) 540.0万円 550.4万円
扶養義務者等 (6人世帯・年収) 954.2万円 据え置き

9 心身障害者扶養保険制度について

 心身障害者扶養保険制度については、都道府県、指定都市のご協力を得て、平成8年1月より安定化方策を講じたところであるが、引き続き制度の安定化及び周知について、特段の配慮を願いたい。
 また、平成11年度の特別調整費(公費負担分)の各道府県、指定都市における負担額の社会福祉・医療事業団への納付について、よろしくお取り計らい願いたい。

10 地方分権の推進について

(1)地方分権推進一括法の制定と施行に向けての準備

・ 昨年7月、「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」が公布された。本法律は、平成10年5月に策定された「地方分権推進計画」を実施するため、機関委任事務の廃止及び事務区分(自治事務、法定受託事務)の整理、地方公共団体の機関等の必置規制の見直し、権限委譲の推進等を内容とするものである。施行は、平成12年4月1日となっている。
・ 現在、本法律の施行に向けての準備作業を進めているところであり、昨年12月には「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う厚生省関係政令の整備等に関する政令」が公布され、この中で身体障害者福祉法施行令など障害保健福祉部所管の政令について、必要な改正を行ったところである(概要別添(P.29〜34))。
 また、身体障害者福祉法施行規則等の省令についても、現在、別添の概要案(P.35〜40)に沿って改正作業を進めているところである。
・ さらに、これまで機関委任事務については、地方公共団体に対する国の包括的指揮監督権の一環としての通知等を発出することが可能であったが、地方分権一括法施行後は、「技術的助言及び勧告並びに資料の提出の要求」(地方分権一括法による改正後の地方自治法第245条の4。以下「技術的助言等」という。)としての通知等又は法定受託事務の処理基準としての通知等のみしか発出できなくなる。
 このため、既に発出している通知等について、平成12年4月1日以降「技術的助言等」として位置づけられるものか、あるいは法定受託事務の処理基準として位置づけられるものかを明示するための通知を発出する予定としており、現在、準備を進めているところである。
・ 各都道府県等におかれては、これらの法律、政令、省令及び通知等の改正を踏まえ、条例・規則の制定等必要な準備を進められたい。

(2)地方分権一括法における障害保健福祉部所管法律の改正の概要

 別添資料(P.26〜28)参照

(3)地方分権一括法の施行に伴う障害保健福祉部所管政令の改正の概要

 別添資料(P.29〜34)参照

(4)地方分権一括法の施行に伴う障害保健福祉部所管省令の改正(案)について

 別添資料(P.35〜40)参照


(国立施設管理室)

国立更生援護施設の運営について

 国立更生援護施設は、国が身体障害者のリハビリテーションに関する施策を推進するため医療から職能訓練まで一貫した体系のもとに総合的なリハビリテーションを実施しているところであり、その成果を全国の関係施設等に普及させることを目的として設置・運営している。
 各都道府県・指定都市・中核市においては、管内の障害者(児)のリハビリテーションの需要等に応えるため、平成11年度においてホームページ等インターネットの開設を行ったところであり、これら国立施設の訓練内容、処遇技術、情報等の諸機能を有効に活用されるようお願いする。

(1)国立身体障害者リハビリテーションセンター

 国立身体障害者リハビリテーションセンターにおいては、我が国の身体障害者の中核的リハビリテーション施設として、1)総合的リハビリテーションの実施2)リハビリテーション技術の研究と開発3)リハビリテーション関係専門職員の養成・研修の実施4)リハビリテーションに関する情報・資料の収集と提供5)リハビリテーションに関する国際協力等を行っているところである。

ア 総合的リハビリテーションの実施
 病院及び更生訓練所においては身体障害者の障害の種類や程度に応じて、各専門分野の職員によって評価判定を行い、個々の障害者について策定したリハビリテーションプログラムにそって社会復帰のための治療と訓練を行っている。
イ リハビリテーション技術の研究開発
 研究所において、「福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律」の具現化を図るとともに、障害者プラン並びにゴールドプラン21の推進を図るため、リハビリテーションに関する医学的、工学的、社会学的研究及び高齢障害者等のための介護機器の研究開発などを行っている。
ウ リハビリテーション関係専門職員の養成・研修
 学院においては、身体障害者のリハビリテーションの需要の高度化・多様化への対応を図るとともに障害者プランを支援するための身体障害者のリハビリテーションに従事する各種専門職員の養成・研修事業を実施している。
 ついては、今後、平成12年度における養成・研修計画をお示しするが、市町村等の関係機関・施設に対しこれらの関係職員の積極的参加について周知方お願いする。
エ リハビリテーションに関する情報の収集・提供
 国内外のリハビリテーションに関する情報や資料を収集・提供しているが、図書資料の電子化を図ることにより、利用者の利便性を一層向上させることとしている。
 
オ リハビリテーションに関する国際協力
 国際協力については、従来より海外からの研修生の受け入れや発展途上国への専門職員の派遣を行うなどその推進に努めてきているところであるが、平成7年5月世界保健機関(WHO)から、障害予防とリハビリテーションに関して「指定研究協力センター」として指定され、平成11年5月には再指定されるなど、リハビリテーションの分野で国際協力の一層の推進を図っていくこととしている。
カ 身体障害者リハビリテーション関係機関の連携強化
 我が国におけるリハビリテーション技術水準の向上を図るため、国及び地方、民間を通じて関係機関が連携を密にし、取り組んでいくことが重要であると考えられるので、今後一層の情報交換を行うとともに、相互の連携を更に強化することとしている。

(2)国立視力障害センター(国立光明寮)

 国立視力障害センターにおいては、視覚障害者の自立と社会参加を促進するため、1)あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師を養成する理療教育2)中途失明者等に対して基礎的な日常生活動作を修得させるための生活訓練を実施しているところである。
 ついては、管下市町村に対して、各都道府県を対象地域とする各国立視力障害センター(国立身体障害者リハビリテーションセンターを含む。)と連絡を密にされるとともに、これら各センターを各ブロックにおける視覚障害者のリハビリ施設として積極的に活用され、中途失明者等の視覚障害者の自立と社会参加への支援に努められるよう、指導方お願いする。

(3)国立重度障害者センター(国立保養所)

 国立重度障害者センターにおいては、重度身体障害者の自立と社会参加を促進するため、医学的管理の下に各種リハビリテーションを実施しているところである。
 また、重度身体障害者更生援護施設のモデル施設として、特に脊髄(頸髄)損傷者を中心とした医学的リハビリテーション及び職能訓練等を更に充実して実施している。
 ついては、実習研修機能をもつ国立施設として積極的に活用されるよう管下市町村に対して指導方お願いする。

(4)国立知的障害児施設(国立秩父学園)

 国立知的障害児施設においては、唯一の国立知的障害児施設として、1)全国から知的障害の程度の著しい児童又は視覚等に障害のある知的障害児を入所させ、その保護・指導を行う2)知的障害児の保護指導業務に従事する専門職員の養成・研修を実施している。今後更に、知的障害児の障害の重度化、加齢化に対応するため在宅の自閉症及び発達障害のある児童を対象とした外来診療並びに通園療育指導事業を開始し、保護・指導の充実を図ることとしている。
 ついては、当施設の活用につき各児童相談所をはじめ関係機関に対して指導方お願いする。


(社会参加推進室)

1 障害者の社会参加促進事業について

 障害者の社会参加促進事業の実施については、従来よりその推進にご尽力いただいているところであるが、平成12年度においては、以下の方針により補助することとしているので、各事業の積極的な取り組みによって障害者の社会参加が一層促進されるよう努められたい。

(1)障害者生活訓練・コミュニケーション支援等事業

 障害者が地域で自立した生活を送る上で、生活訓練、コミュニケーション手段の確保及び移動を支援することは極めて重要であることから、「障害者の明るいくらし」促進事業において現に行われているメニュー事業のうち、生活訓練事業、音声機能障害者発声訓練・指導者養成事業、点字による即時情報ネットワーク事業、奉仕員等養成・派遣事業、手話通訳設置事業、盲導犬育成事業の6事業を「障害者生活訓練・コミュニケーション支援等事業」として新たに位置付け、より一層の推進を図ることとしたほか、盲導犬の新規育成頭数の増及び手話通訳派遣事業の充実を図る予定であるので了知願いたい。
 また、盲ろう者に対する施策として、新たに通訳・介助員の派遣等を試行的に行う「盲ろう者向け通訳・介助員派遣試行事業」を実施する予定であるが、本事業の趣旨に鑑み、補助に当たっては、各都道府県の実情に即して弾力的に行えるよう配慮することとしているので、積極的な取り組みについて特段のご配意をお願いしたい。なお、本事業は、(福)全国盲ろう者協会が社会福祉・医療事業団の長寿社会福祉基金により行う「盲ろう者在宅福祉推進事業」の対象者と重複しない形で実施するものである。

(2)「障害者の明るいくらし」促進事業

 本事業については、「障害者生活訓練・コミュニケーション支援等事業」の創設により27事業から21事業となるが、都道府県障害者社会参加推進センター設置事業等の必須事業を始め、情報支援、スポーツ振興支援、啓発広報等、在宅の障害者が地域において共に暮らし、また、生活の質的向上を図るために重要な事業であることから、今後とも引き続き、事業の一層の推進に努められたい。
 また、事業の実施に当たっては、障害者団体の代表者等が参画する都道府県障害者社会参加推進センターと緊密な連絡・調整を図り、身体、知的、精神の各障害分野の需要を踏まえつつ、均衡のとれた事業が実施できるよう配意願いたい。

(3)市町村障害者社会参加促進事業

ア 事業の積極的な推進
 本事業は、障害者の最も身近な市町村において障害者の自立と社会参加を促進するために行うものであり、「障害者プラン」に基づき概ね人口5万人規模を単位として実施することとしているが、事業の着実な推進を図るため、平成12年度予算(案)では、新たに40か所増の合計370か所で実施を予定している。
 なお、人口規模が小さいこと等により、市町村が単独で実施することが困難である場合には、障害保健福祉圏域内における複数市町村による共同事業として実施するなど、広域的な取り組みが必要である。したがって、今後ともこうした形での事業実施が必要な地域に対する指導並びに調整に努められ、事業の一層の推進を図るようご尽力願いたい。
 また、単独実施が可能な人口5万人以上の市についても、未だ取り組みの行われていない市もあるので、平成12年度の実施に向けて特に重点的な指導をお願いしたい。
イ 円滑実施のための特例措置
 平成12年度においては、本事業の一層の推進を図るため〔第1コミュニケーション支援〕から〔第8精神障害者支援〕の14事業の中から1事業以上(平成11年度は3事業以上)を実施する場合についても、障害者プランの最終年の平成14年度までに原則として5事業以上実施を要件に補助対象とする予定であるので、管下市町村に対し周知方お願いする。

(4)市町村障害者生活支援事業

 本事業は、1)在宅福祉サービス等の利用援助、2)社会資源の活用や障害者自身の社会生活力を高めるための支援、3)当事者相談、等を総合的に実施することで障害者の地域生活を支援するものであり、「障害者プラン」に基づき、障害保健福祉圏域(概ね人口30万人)に概ね2か所を目途に行うこととしている。平成12年度予算(案)では、事業の着実な推進を図るため、新たに40か所増の合計200か所で実施を予定している。
 本事業については、全体的に取り組みが低調であり、特に人口規模の小さい市町村において、その傾向が顕著である。小規模市町村にあっては、この事業がその全部又は一部を身体障害者療護施設等を運営している社会福祉法人等に委託することも可能であることから、障害保健福祉圏域内の複数市町村による共同実施について指導並びに調整に努められ、事業の一層の推進を図られたい。
 なお、平成12年度においては、単独実施が可能な概ね人口15万人以上の市について、特に本事業の実施が促進されるよう重点的かつ積極的な指導をお願いしたい。また、広域実施の場合の核として期待される人口10万人以上の市についても、周辺町村を含めた共同実施について検討するとともに、その調整に時間を要する場合には先行的に単独で開始することも含め積極的な指導をお願いしたい。
 なお、事業の実施に当たっては、利用者の利便性に配慮した公共施設の有効活用や手話通訳者の配置など、障害者の円滑な利用に資する環境づくりにも十分配意願いたい。

2 障害者スポーツの推進について

(1)障害者スポーツの推進

 これからの障害者スポーツは、スポーツが生活をより豊かにするという視点に立って、身近な地域で障害者がスポーツを楽しめる機会の提供や障害者がそれぞれのレベルに応じてスポーツを楽しめる環境づくり、国際的に活躍できる選手の育成などを実現するための基盤整備等を行うことが大きな課題となっている。
 こうした課題に応え、知的障害者等を含めた我が国の障害者スポーツの振興を図るための中核組織として、昨年8月に(財)日本身体障害者スポーツ協会の寄附行為の改正を行い、(財)日本障害者スポーツ協会(以下「スポーツ協会」という。)に改組するとともに、内部組織として国際大会への参加や競技スポーツを所管する日本パラリンピック委員会を新たに設置したところである。
 また、平成11年度第2次補正予算において、スポーツ協会を通じて全国の障害者スポーツ施設や団体等に障害者スポーツ用具を無償で貸与する「障害者スポーツ用具貸与事業」の創設や平成12年度予算(案)において全国の障害者スポーツの協会、団体、指導者等の関係者間の連携を深め、円滑な意志疎通を図るための連絡協議会開催費を確保するなど運営面の充実・強化を図ることとしている。
 各都道府県・指定都市におかれては、こうした動向を踏まえつつ、今後、地域における障害者スポーツの振興を図るため、管下の障害者スポーツ協会、障害者スポーツ団体等の組織、連携のあり方について必要な見直しを図るとともに、我が国の障害者スポーツの体系的な振興に資するため、(財)日本障害者スポーツ協会との十分な連携についても指導方配意願いたい。

(2)障害者スポーツ大会の開催

ア 全国身体障害者スポーツ大会及び全国知的障害者スポーツ大会の開催
 平成12年度における標記大会が、それぞれ次のとおり開催される予定であるので、各都道府県・指定都市におかれては、選手団の派遣等についてご配意願いたい。
○ 第36回全国身体障害者スポーツ大会(きらりんぴっく富山大会)

会 期: 平成12年10月28日(土)・29日(日)
主 催: 厚生省、(財)日本障害者スポーツ協会、富山県、富山市他

○ 第9回全国知的障害者スポーツ大会(ゆうあいピック岐阜大会)

会 期: 平成12年10月21日(土)・22日(日)
主 催: 厚生省、(福)全日本手をつなぐ育成会、(財)日本知的障害者
愛護協会、岐阜県、岐阜市他

 なお、平成13年度から身体障害者スポーツ大会と知的障害者スポーツ大会を統合し、全国障害者スポーツ大会として開催することとしているが、各都道府県・指定都市におかれては、円滑な移行が図られるよう関係機関等との調整等準備方よろしくお願いしたい。

イ シドニーパラリンピック大会
 本年10月18日〜29日までの12日間、オーストラリアのシドニーにおいて、オリンピックに引き続いてパラリンピック夏季競技大会が開催される予定である。我が国においても、長野パラリンピック以降の障害者スポーツへの国民各層の関心や期待の高まりを受け、過去最大級の選手団の派遣が予定されている。
 ついては、各都道府県・指定都市におかれても選手の育成、強化並びに派遣に係る便宜の提供等について格段のご配意をお願いしたい。

3 障害者情報提供円滑化支援事業について

 障害者に対する情報提供事業については、平成10年度第1号補正及び第3号補正により、デジタル録音図書の製作、障害者情報ネットワーク(ノーマネット)のマルチメディアシステム化等、情報提供基盤の整備を行い、障害者の情報入手機会の均等化を図ったところである。
 さらに、この度の平成11年度第2号補正においては、障害者の障害特性に応じた情報提供基盤を一層充実させるため、次の事業を実施することとしているので管下関係機関等に周知願いたい。

(1)点字図書情報ネットワーク整備事業

 全国の点字図書館の図書情報を集約し、データベースを共有するシステムを構築するなど、利用者の情報入手の即時性及び利便性の向上を図る事業(平成12年度中にサービス開始)。

(2)デジタル録音図書等製作用機器整備事業

 音質が良く劣化の少ないデジタル録音図書を製作するため、点字図書館の中核的機関にデジタル録音機器等を整備する事業(平成11年度中に整備予定)。

(3)デジタル録音図書再生用機器整備事業

 全国の点字図書館等にデジタル録音図書再生装置(読書機)を追加整備し、デジタル録音図書利用者のサービス向上を図る事業(平成11年度中に整備予定)。

(4)音声による新聞情報提供システム整備事業

 点字を読むことが困難な者でも音声で新聞情報を入手できるシステム(電話ナビゲーションシステム)を構築するとともに、地方の点字図書館等においても新聞情報や地域の情報を音声により提供できるシステムを整備することにより、視覚障害者が身近な点字図書館等から容易に音声による情報入手ができるよう基盤整備を行う事業(平成12年4月からサービス開始予定)。

(5)聴覚障害者情報提供システム整備事業

 聴覚障害者が必要とする各種情報のデータベースを構築し、全国の聴覚障害者が自宅でパソコンにより字幕入りビデオ、手話通訳試験等に関する情報を迅速に入手できるよう基盤整備を行い、聴覚障害者の情報入手の即時性及び利便性の向上を図る事業(平成12年4月からサービス開始予定)。

(6)障害者情報ネットワーク端末機器等整備事業

ア 平成7年度に地方機関に整備された障害者情報ネットワーク(ノーマネット)の端末パソコンを更新し、マルチメディアシステムによる各種情報を迅速に提供できるよう基盤整備を行う事業。
イ 盲ろう者団体に対しても、障害者情報の提供が受けられるよう地方組織にパソコン等を整備するととともに、盲ろう者向通訳・介助者の養成研修用機材の整備等を行う事業。
ウ 聴覚障害者に対する情報提供基盤の整備を行い、聴覚障害者の情報入手機会の拡大を図る事業(平成12年4月からサービス開始予定)。

4 補装具給付事業について

(1)地方分権の推進に伴う改正事項について

 平成11年7月8日に「地方分権の推進を図るための法律の整備等に関する法律」(以下「地方分権一括法」という。)が成立し、平成12年4月1日より身体障害者(児)の補装具給付事務が自治事務になるとともに、身体障害児の補装具給付事務が都道府県から市町村へ移譲されることとなる。
 なお、主な改正事項は次のとおりであり、当該改正事項を含め、平成12年度の身体障害者(児)の補装具給付事務の取扱いについては、現行の取扱いを踏まえた業務運営指針(ガイドライン)を作成することとしているので、これに基づき事務が円滑に実施されるよう市町村、関係機関への十分な指導方よろしくお願いする。

ア 身体障害児に係る補装具の給付事務手続
 身体障害児に係る補装具の給付事務については、給付の決定等を現在の都道府県知事に代わって市町村長が行うこととなるなど、身体障害者の補装具給付事務と同様の取扱いとなる。
イ 基準外交付に係る厚生大臣の承認の廃止
 身体障害者(児)の補装具の基準外交付に係る厚生大臣の承認については廃止するものとし、今後は、市町村において給付できるものとする。

(2)介護保険で貸与される福祉用具と補装具給付の適用関係

ア 介護保険の給付対象である福祉用具については、高齢身体障害者等が利用する場合であっても、原則として、介護保険の保険給付として貸与することとなる。
イ 介護保険で貸与される福祉用具の中に、補装具と同様の品目(標準型車いす等)が含まれているが、高齢身体障害者等がこれらの品目の貸与を受ける場合、介護保険の対象となる標準的な既製品の中では対応できず、障害者の身体状況に個別に対応することが必要と判断される障害者については、身体障害者福祉法に基づく補装具給付制度により対応できるものとする。

ウ 介護保険の対象となっていない補装具については、従来どおり身体障害者福祉法に基づく補装具として給付するものである。
エ 上記イの取扱いにおける留意事項
(ア) 要介護(要支援)認定を受けた障害者については、介護支援専門員(ケアマネージャー)や福祉用具専門相談員の助言を得ながら上記イの福祉用具の利用を判断することとなるが、その過程において次に該当する場合には、ケアマネージャー等が市町村の介護保険担当部署へ通知し、通知を受けた介護保険担当部署は身体障害者担当部署へ連絡するものとする。身体障害者担当部署においては、医師の意見書や更生相談所の判定に基づき判断する。
○ 障害者の身体的状況から、標準的な既製品の福祉用具を貸与することの適否が明確でなく、医学的判断により対応することが適当と考えられる場合。
○ 障害者の身体的状況及び外見上明らかに改造やオーダーメイドにより製作しなければならないと判断される場合。
(イ) 要介護(要支援)認定されなかった障害者等が身体障害者福祉法による補装具の給付を希望する場合には、その者の身体状況等を勘案し、その必要性等について補装具給付制度で改めて判断するものとする。
(ウ) 介護保険により保険給付として貸与された福祉用具を使用していた障害者の身体状況が変化し、介護保険の福祉用具で対応できなくなった場合には、身体障害者福祉法による補装具給付制度により対応できるものとする。


(監査指導室)

平成12年度における障害保健福祉行政事務指導監査の実施について

 障害福祉施設等に対する指導監査については、かねてから格段のご協力を煩わしているところであるが、平成12年度における障害保健福祉行政事務指導監査については、近年における行政の動向、当省、各都道府県、政令指定都市及び中核市の指導監査結果並びに社会福祉法人における不祥事案等に鑑み、それぞれの関係法令・通達に基づく適正かつ厳正な執行を確保する観点から、特段のご配意を煩わしたい。

(1)障害福祉施設等の指導監査関係

 障害福祉施設等に対する指導監査については、地方分権の推進に関する関係法律の整備等に関する法律(平成11年法律第87号)の施行(平成12年4月1日)に伴い、社会福祉法人に対する指導監査(法人監査)は法定受託事務、障害福祉施設に対する指導監査(施設監査)は自治事務と整理されることから、現在、従来お示ししてきた「主眼事項、着眼点」について見直しを検討しているところであり、まとまり次第お示ししたいと考えている。
 具体的には、法人監査については、社会・援護局等関係部局とともに「処理基準」をお示しし、施設監査については、技術的助言・勧告として、それぞれの事項に応じた「主眼事項、着眼点」を含む指導監査の実施方針をお示しすることとしたい。

(2)特別児童扶養手当及び特別障害者手当等支給事務に対する指導監査について

 指導監査は、制度の適正な執行・運営を確保するため、次の事項((4)、(8)は特別児童扶養手当を除く)に主眼をおいて原則として年1回実施されたい。

(1) 実施体制
(2) 請求書受理事務
(3) 支給要件審査
(4) 障害程度認定
(5) 所得審査
(6) 現況(所得状況)届の審査
(7) 受給資格喪失時点の確認
(8) 手当支払事務
(3)精神保健福祉法に関する行政事務指導監査について

 精神保健福祉法に関する当省が行う行政事務指導監査については、別途、重点事項を定め実施することとしているのでご了知願いたい。
 また、当該行政事務指導監査については、平成12年度においても、公衆衛生関係行政事務指導監査と併せて実施することとしているが、引き続き都道府県・指定都市が行う精神病院に対する実地指導の検証として、精神病院を対象とするので、関係部局との連携を密にし、指導監査が円滑に行えるよう特段の配慮を願いたい。


(障害福祉課)

1 訪問介護員(ホームヘルパー)について

(1)障害者に対するサービス体制の確保及び充実について

 訪問介護員(ホームヘルパー)については、障害者プランで障害者専任のホームヘルパーとして45,000人(身体障害者、障害児、知的障害者、難病分)を平成14年度までに計画的に上乗せすることとしており、平成12年度予算(案)では、4,400人増の37,200人分を計上しているところである。
 本事業は、従来から高齢者を対象とした訪問介護(ホームヘルプサービス)事業と一体的に実施してきたところであるが、高齢者については平成12年度から介護保険制度に移行することとなる。そのため、障害主管部局においては、障害の特性や多様な要望に的確に対応できるよう、専門性を確保するなど障害者のための制度として、本事業のより一層の充実を図っていくことが求められている。
 ついては、管下市町村に対して、地域の障害者のニーズ等を十分踏まえ、必要なホームヘルパーを確保するよう助言指導を徹底願いたい。
 また、平成12年度から、知的障害者のホームヘルプサービス事業について、その対象者を重度者から中軽度者に拡充し、一人暮らしの知的障害者本人も支援できる事業とすることとしているので、管下市町村に周知願いたい。

(2)ホームヘルパー養成研修事業について

 本事業についても、従来から高齢者に対するホームヘルパー養成研修と一体的に実施してきたところである。しかし、高齢者に係るものについては、介護保険制度への移行に伴い、従来の国庫補助による事業を廃止することとしているため、平成12年度以降は、障害者に対するホームヘルパーの養成及び確保を推進するという観点から、障害者施策としてホームヘルパー養成研修事業を実施することとしているので、その養成及び確保に努められたい。
 なお、重度の視覚障害者及び脳性まひ者等全身性障害者の社会参加を促進するに当たっては、ガイドヘルパーが重要な役割を果たしているので、その養成及び確保についても特段の配慮をお願いする。

2 身体障害者日帰り介護(デイサービス)事業について

(1)事業費補助方式の導入について

 本事業については、平成12年度から現行の1か所当たりの単価による運営費補助方式から、利用人員1人当たりの単価による事業費補助方式に移行することとしているので、管下市町村に対し、事業費補助方式への移行に向けての体制整備を行うよう助言指導願いたい。
 なお、現在実施しているデイサービス事業について、事業費補助方式に直ちに移行することが困難な場合も想定されるため、平成12年度については、経過的に現行の運営費補助方式を選択することも認めることとしている。ただし、これは経過措置であり、最終的には事業費補助方式へ移行することとなるので、できるだけ早期に事業費補助方式への移行が図られるよう助言指導願いたい。

(2)訪問入浴サービスの実施について

 平成12年度から、従来のサービスメニューに加え、身体障害者の居宅等に訪問して入浴サービスを提供する訪問入浴サービスを導入することとしている。これにより、現在、高齢者施策の中で実施している障害者に対する当該サービスを平成12年度から障害者施策として実施することとなるので、管下市町村に対し周知願いたい。
 なお、補助方式は、1か所当たりの運営費補助方式又は利用人員1人当たりの事業費補助方式の選択を認めるとともに、訪問入浴サービスを実施する民間事業者への委託も可能とする予定である。

(3)相互利用にかかる通知の廃止について

 本事業は、従来から「老人デイサービス運営事業及び身体障害者デイサービス事業の運営について」(平成3年5月30日付老人保健福祉部老人福祉課長、社会局更生課長連名通知)により、相互利用を実施してきたところであるが、介護保険制度の施行に伴い、本通知は廃止されることとなる。
 ついては、現在、相互利用により高齢者のデイサービスを利用している身体障害者が、身体障害者デイサービス施設が近隣にないなどの理由によりデイサービス事業を利用することができなくなるような場合に、介護保険制度の通所介護施設を利用することができるように、障害者施策においてその利用単価を設定することとしているので、管下市町村に周知願いたい。

3 身体障害者短期入所(ショートステイ)事業について

 本事業については、従来から老人短期入所施設との相互利用モデル事業を実施していたところであるが、介護保険制度の施行に伴い、当該モデル事業は廃止されることとなる。
 そのため、現在、このモデル事業により短期入所事業を利用している身体障害者が、身体障害者短期入所施設が近隣にないなどの理由により短期入所事業を利用することができなくなるような場合に、介護保険制度の短期入所生活介護施設を利用することができるように、障害者施策においてその利用単価を設定することとしているので、管下市町村に周知願いたい。

4 日常生活用具給付等事業について

(1)住宅改修費の導入について

 在宅で生活する身体障害者(児)で下肢、体幹機能等の障害により移動機能障害がある者が、段差解消や手すりの設置など比較的小規模な住環境の改善を行う場合に、これに要する経費の一部を補助する住宅改修費を日常生活用具給付等事業に導入することで、在宅の身体障害者(児)の地域における自立を促進することとしているので、管下市町村に周知願いたい。

(2)補助基準単価の見直しについて

 補助基準単価については、各品目ごとに導入時の市場価格等を参考にして設定してきているところであるが、市場価格は流通状況や物価動向等により年々変動している。そのため、市場の実態等が反映されるよう基準単価の見直しを行い、補助金の適正化及び効率化を図ることとしているので、留意願いたい。

5 障害者施策と介護保険の調整について

(1)介護保険制度と障害者施策の関係については、平成11年10月27日付けの事務連絡にて基本的な考え方を示したところであるが、平成12年度予算(案)の決定等、その後の状況も踏まえて考え方を示すので、必要な準備を進めていただきたい。なお、現時点では、事務連絡に示した方針のうち、変更した部分はないので申し添える。

(2)障害者についても、40歳以上の者は、身体障害者療護施設の入所者等を除き、介護保険の被保険者となり、保険料を納めていただくこととなる。そして、65歳以上(特定疾病による場合は40歳以上65歳未満)の障害者が要介護又は要支援状態となった場合には、要介護又は要支援認定を受け、介護保険から介護保険法に定める保険給付を受けることができる。その際、障害者施策と介護保険とで共通する在宅介護サービスについては、介護保険から保険給付を受けることが基本となるので、65歳以上(特定疾病による場合は40歳以上65歳未満)の障害者が、在宅介護サービスを利用しようとする場合は、介護保険法に基づく要介護等認定申請を行うよう指導されたい。

(3)この際、社会全体で介護を支えるという介護保険の趣旨や、介護保険の保険料を払う見返りとして介護保険からサービスを受けることが基本であること、後述のような低所得の障害者の利用料負担の軽減措置についても十分説明を行い、理解を得るよう努められたい。

(4)一方、障害者施策で実施されている在宅サービスのうち、ガイドヘルプサービスや各種の社会参加促進事業など介護保険の保険給付にはないサービスについては、引き続き障害者施策から提供される。また、施設サービスについては、介護保険施設と障害者施設では、それぞれ目的、機能が異なっており、これらに照らして、障害者施設への入所(通所を含む。)が必要であると認められる場合には、介護保険法に定める保険給付を受けることができる場合であっても、障害者施設への入所(通所を含む。)が認められる。したがって、これらの介護保険と重ならないサービスについては、要介護認定の申請を行う必要がないことを念のため申し添える。

(5)ホームヘルプサービスについては、原則として介護保険と共通するサービスであるので、65歳以上(特定疾病による場合は40歳以上65歳未満)の障害者は、介護保険の保険給付としてサービスを受けることが基本となる。ただし、介護保険法の保険給付に比べてより濃密なサービスが必要であると認められる全身性障害者や、コミュニケーション援助等固有のニーズに基づくサービスが必要であると認められる聴覚障害者及び視覚障害者並びに知的障害者については、社会生活の継続性を確保する観点から、介護保険では対応できない部分について、引き続き障害者施策から必要なサービスを提供することができるよう、平成12年度予算(案)において対応しているところである。
 なお、障害者施策から介護保険制度への移行に伴い、サービス水準が低下することは一般的には考えにくいことから、現時点では上述の4障害種別(全身性、視覚、聴覚、知的)以外の65歳以上(特定疾病による場合は40歳以上65歳未満)の障害者については障害者施策からサービスを提供することは想定していないが、今後、要介護認定の最終的な結果に基づき、障害者施策からサービスを提供すべきと認められる事例があれば、当方まで情報提供願いたい。

(6)デイサービスについては、65歳以上(特定疾病による場合は40歳以上65歳未満)の障害者は、介護保険の保険給付としてデイサービスを受けることが基本となるが、創作的活動、文化的活動及び社会適応訓練といった障害者に固有のサービスを受ける必要があると認められる場合には、給食や入浴といった介護保険と共通するサービスも含め一括して障害者施策のデイサービスを利用することとなる。
 なお、指定通所介護事業者の指定等を受ける場合には、介護保険給付としてサービスを提供する定員が、当該デイサービスを提供する事業所の利用定員のうち半数を超えないよう指導されたい。

(7)ショートステイについても、65歳以上(特定疾病による場合は、40歳以上65歳未満)の障害者は、介護保険の保険給付を受けることが基本となる。ただし、障害者が障害者施策で実施されているショートステイの利用を希望し、かつ、身近に介護保険の短期入所生活介護事業所がない場合など、市町村がやむを得ない事情があると認める場合には、障害者施策のショートステイの利用を認めても差し支えない。

(8)身体障害者療護施設等の入所者については、上述のとおり、介護保険の被保険者とならないが、退所後は介護保険の被保険者となるものであり、要介護等認定の結果該当すれば、介護保険施設に入所(要介護と認定された場合に限る。)し、又は在宅で介護保険の居宅サービスを利用することができる。なお、身体障害者療護施設等からの退所後すぐに特別養護老人ホーム等へ入所する必要があると認められる場合には、運用上、身体障害者療護施設等の入所中であっても要介護認定の申請等、介護保険給付を受けるための準備を開始して差し支えないこととするので留意されたい。この際、住民票を身体障害者療護施設等から直接特別養護老人ホーム等へ移す場合であっても、介護保険の保険者は、当該障害者の自宅等がある場合には当該自宅等がある市町村となるので、念のため申し添える。

(9)利用者負担については、介護保険給付としてサービスを受ける場合には原則1割負担、障害者施策からサービスを受ける場合には、従来どおり所得に応じた負担をいただくことになる。なお、平成12年度予算(案)において、介護保険法の円滑な実施のための特別対策として、低所得者の利用者負担の軽減を図るため、従来、障害者施策からホームヘルプサービスを受けていた65歳以上(特定疾病による場合は40歳以上65歳未満)の低所得の障害者(生計中心者が所得税非課税である場合)が介護保険給付としてホームヘルプサービスを受ける場合には、上述の1割ではなく3%に負担を軽減することとされている。

6 情報機器の活用による重度障害者の社会参加・就労支援連携試行的事業の実施について

 平成12年度から厚生省と労働省とが連携して、重度障害者の社会参加と就労支援を一体的に促進するため、パソコン等の情報機器を活用して重度障害者が自宅等で仕事に従事できる可能性を高めるための試行的事業を、全国10か所で実施することとしているので、労働関係部局と連携を図りながら管下市町村に対して助言指導願いたい。
 厚生省における施策としては、現行の身体障害者デイサービス事業または市町村障害者社会参加促進事業においてパソコン等活用訓練を実施し、情報機器を活用するための基礎技術を習得させるものである。
 一方、労働省における施策としては、基礎技術を習得した者に対し、日本障害者雇用促進協会と同協会から委託を受けた支援機関において、遠隔教育システムによる技能向上指導や集合指導等、実際の就労に際し必要となる実践的能力を高めるための訓練を行うものである。

7 授産活動活性化特別対策事業の実施について

 近年の不況の影響を受けて、授産施設等における授産活動に支障が生じていることを踏まえ、平成11年8月31日付け障第568号「授産施設等の製品等の利用促進について」により、受注機会の確保などをお願いしたところであるが、これに加えて、平成12年度から授産活動の活性化のための事業を実施することとしている。これは、各都道府県において、管下の授産施設の現状等を把握した上で、授産施設関係者等の参画を得て授産活動の活性化対策を策定し、この対策に基づき、都道府県が指定した社会福祉法人等を中心にして、授産活動の活性化のために必要な事業を実施するものであり、平成12年度においては16都道府県で実施することとしているので、積極的に活用願いたい。

8 身体障害者療護施設通所型を併設できる施設の拡大について

 身体障害者が住み慣れた地域社会での生活を送りつつ、身体障害者療護施設を利用できるよう、平成9年度から身体障害者療護施設通所型の整備を行ってきたところであるが、依然として身体障害者療護施設への入所待機者が多い現状を踏まえ、平成12年度から、重度身体障害者更生援護施設及び重度身体障害者授産施設に身体障害者療護施設通所型を併設できることとしている。
 なお、身体障害者療護施設と同様に、それぞれA型及びB型を設ける予定であり、施設整備の対象となるA型については、次の事項を条件とする予定である。

1)併設施設と同一敷地内に併設又は合築して実施するものとし、定員は5人以上20人以内とすること。
2)通所利用に必要な休養室、便所等を設けること。
3)浴室、厨房等の設備については、重度身体障害者更生援護施設及び重度身体害者授産施設の既存設備を利用して差し支えないが、入浴や機能回復訓練等を実施するに当たり、利用者の処遇に支障がないものであること。

9 通所授産施設の相互利用の促進について

 平成12年度から、身体障害者通所授産施設と精神障害者通所授産施設における相互利用を実施することとしている。既に平成5年度から身体障害者と知的障害者、平成11年度から知的障害者と精神障害者において相互利用を実施しており、今般の身体障害者と精神障害者間の相互利用により、三障害の種別を超えて通所授産施設の相互利用が可能となる。
 なお、身体障害者が精神障害者の通所授産施設を利用する場合にあっては、身体障害者通所授産施設の措置費単価を、精神障害者が身体障害者通所授産施設を利用する場合にあっては、精神障害者通所授産施設の補助単価を支弁することとする予定である。

10 知的障害者の地域生活の支援について

(1)平成12年度予算(案)において、知的障害者のホームヘルプサービス事業の対象を重度者から中軽度者に拡充し、一人暮らしをしている知的障害者本人も支援できることとした。
 それに加えて、福祉ホームやグループホームの利用者もホームヘルプサービス事業の対象とする予定である。
 ついては、知的障害者の障害特性を理解したホームヘルパーの養成・確保及び生活支援ワーカーによる支援体制を確立することにより、地域で暮らす知的障害者の支援ニーズに対応できるよう努められたい。
 なお、生活支援ワーカーについては、対前年度40人増の103人に増員し、知的障害者通勤寮のみならず、更生施設・授産施設等へも積極的な配置を行い、施設退所後の支援等の強化を図ることとしている。

(2)これに合わせて、平成12年度から知的障害者福祉ホーム及び知的障害者グループホームの就労要件を撤廃するとともに、知的障害者デイサービス事業の施設要件を緩和することにより公民館及び空き教室等でデイサービス事業を実施できるようにし、重度者の地域生活支援の強化を図ることとしている。
 また、昨今の経済情勢による一般企業の倒産やリストラにより、知的障害者が離職し、再就職もままならない事例が増大していることから、昨年7月知的障害者授産施設等での定員外の受け入れについて通知を発出したところであるが、知的障害者通勤寮を利用している者も通所授産施設等を利用できるように、通勤寮の入所要件を福祉的就労まで緩和することとしている。

(3)一方、高齢の知的障害者の福祉施策の在り方について、地域生活支援及び施設サービスの両面から検討するため、近く「高齢知的障害者の福祉施策検討委員会(仮称)」を発足させることとしている。この委員会では、1)地域で暮らす高齢知的障害者の支援、2)障害者施設における高齢化への対応、3)高齢者施策との連携の在り方(高齢者施策・施設の活用)等について、学識経験者、施設経営者、地域生活支援事業者、地方行政関係者等をメンバーとして検討を行い、今夏を目途に検討結果のとりまとめを行うこととしている。

(4)また、知的障害者本人が地域における各種福祉制度を利用するためには、知的障害者本人が制度や利用方法等を理解することが必要である。
 このため、知的障害者に分かり易いパンフレット等を作成するなど制度の周知について、ご配慮願いたい。

11 障害児・知的障害者の短期入所(ショートステイ)事業における日中預かりの導入について

 本事業については、障害児・知的障害者のいる家族等の負担の軽減を図るため、障害児施設、知的障害者施設等において一定期間保護等を行ってきたところである。
 しかしながら、現行制度では1泊以上1週間程度の利用を前提としているため、宿泊を伴わない数時間あるいは半日間単位のような一時的な利用を必要とする場合に対応できない。
 ついては、このような需要に対応するため、平成12年度から、当面入所施設において宿泊を伴わない日中預かりの利用を認めることとしているので、本事業の円滑な実施を図られるよう努められたい。

12 障害児(者)地域療育等支援事業等について

(1)障害児(者)地域療育等支援事業について

 本事業は、概ね人口30万人に2か所程度の実施施設を指定して、在宅の障害児(者)に対し療育等の相談、指導、各種サービスの利用の援助等が受けられるよう計画的に実施しているところである。しかしながら、障害保健福祉圏域を設定したにもかかわらず本事業を実施していないところが見受けられる。
 本事業のうち地域生活支援事業は、社会福祉基礎構造改革の一環として、法定化を予定しており、今後の障害福祉施策において重要な役割を果たすこととなるので、本事業を積極的に実施されるようお願いする。
 なお、本事業に携わる職員の研修や調査研究などの実施を目的として、実施施設が会員となって、「障害児(者)地域療育等支援事業の全国連絡協議会」が設立され、その設立総会及び研修会が1月29日に開催される予定である。ついては、都道府県等の担当職員の研修会への積極的な参加について配慮されたい。

(2)障害児通園(デイサービス)事業について

 本事業は、在宅の障害児(者)に対し、通園の方法により、日常生活の基本動作の訓練や集団生活への適応の訓練を行うものであるが、未だ実施していない市町村が見受けられるので、管下市町村に対し、本事業の実施について助言指導願いたい。

(3)重症心身障害児(者)通園事業について

 本事業は、在宅の重度の知的障害及び重度の肢体不自由が重複する重症心身障害児・者に対し、通園の方法により日常生活の基本動作、機能訓練等必要な療育を行うことにより、運動機能等の発達を促し、併せて保護者等の家庭における療育技術の習得を図る事業である。しかしながら、一部の都道府県、指定都市において未だ実施されていないところが見受けられる。
 本事業は、各都道府県・指定都市ごとに、原則A型1か所、B型3か所で実施することとしているが、国庫補助に当たり、平成12年度からは地域の実情に応じて弾力的な取扱いとする予定であるので、本事業を積極的に実施されるようお願いする。

13 障害者・児施設のサービス評価基準について

 障害者・児施設のサービス評価については、障害者関係3審議会の合同企画分科会の中間報告及び中央社会福祉審議会社会福祉構造改革分科会において『施設におけるサービスを客観的に評価する基準及び第三者による評価の仕組みについての検討が必要』とされており、社会福祉基礎構造改革の一環として、関係法律の改正も予定されているところである。
 これらを踏まえ、昨年1月、「障害者・児施設のサービス評価基準検討委員会」を設置し、更に検討委員会の中にワーキンググループを設け、身体障害者・児、知的障害者・児及び精神障害者の入所施設及び通所施設のサービス評価基準の作成に向けて検討を進めてきたところである。
 今後、検討委員会において障害者・児施設のサービス評価基準案がまとまり次第、これをもとに全国のいくつかの施設において試行的に自己評価を実施し、それを踏まえて平成11年度中には最終的なとりまとめを行い、平成12年度には障害者・児施設におけるサービス評価の基準として普及を図っていくこととしている。また、平成12年度に社会・援護局が予定している「第三者評価モデル事業」のなかでも、この評価基準を試行的に一部活用し、平成13年度以降の本格的な第三者評価の実施につなげていきたいと考えている。

(参考)

◯ 障害者・児施設のサービス評価基準の基本理念
1 利用者の権利擁護
2 利用者主体のサービス
3 地域に開かれた施設

◯ 障害者・児施設のサービス評価基準
1 人権への配慮
2 利用者に応じた個別プログラム
3 日常生活支援サービス
4 生活環境の整備
5 地域との連携
6 役員及び職員の研修
7 緊急時の対応

14 平成12年度障害者施設の整備方針について

 障害者施設の整備については、障害者プランに基づき、平成14年度末の整備目標に向けて計画的に整備していくこととしている。
 施設整備の協議に当たっては、平成8年11月15日付障企第219号障害保健福祉部長通知「厚生省関係障害者プランの推進方策について」に示されている障害者計画、障害保健福祉圏域の設定状況等を十分考慮の上、整備計画を立てるとともに、施設整備費の適切な執行を図る観点から、国庫補助協議対象施設の精査に努められたい。

(1)障害者計画、障害保健福祉圏域の設定状況等を踏まえ、施設整備の必要性を総合的に検討し、真に緊急性の高い施設の整備を優先させること。
 なお、広域的な観点から複数の市町村の連携による施設整備の促進にも留意されたいこと。
 また、指定都市、中核市の所在する道府県においては、当該市との調整が十分に行われたものであること。

(2)施設整備に当たっては、単に入所待機者が多いことのみで判断せず、待機者の生活状況、特にホームヘルプサービス、デイサービス及びショートステイ等の在宅福祉サービスの活用状況などについて点検したうえで、入所の必要性の判断を客観的に行うこと。
 なお、障害者施設は、その専門的機能を活用して、障害者の地域生活の支援事業を積極的に実施するよう指導されたい。

(3)昨年、平成11年度第2次補正予算が成立し、障害者プラン関連施設の整備についても、障害者の地域生活を支援する観点から、デイサービス、ショートステイ、通所授産施設等の整備を重点的に行うこととしたところである。
 平成12年度においても、関係審議会の意見具申を踏まえ、引き続き、障害者の地域生活支援の強化に係る施設整備を重点的に行うこととしているので、了知されたい。

(4)例年、国庫補助内示後に事業を取りやめる事例が見受けられるが、その内容をみると必ずしも都道府県(市)における審査が適正に行われているとは認め難いものもあるので、法人審査、施設選定には万全を期されたい。

(5)また、平成12年度より、次の改善措置を講じることとしているので、整備計画において十分に検討されたい。

1) 身体障害者療護施設の入所者の生活環境の向上を図るため、居室の個室化の促進を図る。

現行 改善
施設定員の2割まで
1人当たり4m2を加算
施設定員の3割まで
1人当たり4m2を加算

2) 既設の身体障害者療護施設において、増(改)築整備を伴わずに筋萎縮性側索硬化症(ALS)等居室を整備する場合であっても、特殊介護設備の整備を認め、筋萎縮性側索硬化症(ALS)等の障害者の受け入れ体制の拡充を図る。

15 障害者施設等における不祥事の発生防止及びその対応について

 障害者施設等の施設整備費の不正受給、人権侵害の防止及び早期対応等については、機会あるごとに要請してきているところであるが、依然としてこれら不祥事が発生していることは、誠に遺憾である。
 ついては、以下の事項に留意の上、管下法人・施設の指導監督に万全を期せられたい。

(1)施設整備に係る不正の防止について

 社会福祉法人及び社会福祉施設に対する指導監督については、平成9年3月28日社援企第68号障害保健福祉部長、社会・援護局長、老人保健福祉局長、児童家庭局長連名通知「社会福祉法人の認可等の適正化並びに社会福祉法人及び社会福祉施設に対する指導監督の徹底について」により、実施されているところであるが、依然として施設整備に係る不正受給等の不祥事が生じており、引き続き、施設整備業務の再点検の強化と未然防止策の検討を図り、再発防止に努められたい。

(2)人権侵害等の防止について

 障害者の福祉の向上を図ることを目的としている社会福祉施設において、預貯金の横領や体罰等の人権侵害事例が見られることは、公費で運営されている社会福祉事業の信頼を損い、また、適切な施設運営に真摯に取り組んでいる他の同種施設までが社会の不信感を被ることとなり、看過し難い問題である。
 このような不祥事が発生した場合は、その背景、事実関係の究明、法人及び関係者の責任の明確化、再発防止への取り組み、社会福祉事業法の規定に基づき講じた措置等一連の顛末を整理することにより、今後の不祥事の未然防止を図るとともに類似例が発生した場合の迅速な対応が行えるよう情報の集約を図られたい。
 また、指導監査等の実効性を高めるためにも、援護の実施機関にあっては、措置権者として、援護の委託をした障害者に対する処遇状況を適宜把握し、都道府県等が法人・施設の指導監査を行う際には、予め関係機関から入所者の処遇状況に関する情報を徴した上で、指導監査に努められたい。

16 知的障害者福祉法制定40周年記念特別表彰等について

 知的障害者福祉法が昭和35年に制定され本年で40周年を迎えることから、これを記念して厚生大臣の特別表彰等を行うことを予定している。
 なお、被表彰者の範囲等詳細については、別途示す予定であるので了知願いたい。


(精神保健福祉課)

1 精神保健福祉法の施行について

平成11年6月4日に「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律」(平成11年法律第65号)が公布され、平成12年4月1日の法施行に向けて、厚生省において現在、政省令等の整備を行っており、追って通知することとしているので、都道府県におかれては、関係法令の主旨を踏まえ体制整備をお願いしたい。
 なお、法施行のための体制整備にあたり、特に留意すべき点について、以下のとおり要点を整理したので、参考とされたい。

(1)移送制度の円滑な実施について

 平成11年の精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下「法」という。)の改正において、都道府県知事(指定都市にあっては市長。以下同じ。)は、その指定する指定医の診察の結果、直ちに入院させなければ医療及び保護を図る上で著しく支障がある精神障害者であってその精神障害のため本人の同意に基づく入院にないと判定されたものを、医療保護入院又は応急入院させるため、応急入院指定病院に移送できることとした。
 また、措置入院に付随して従来から行われていた措置入院のための移送についても、法分上明確にしたところである。
 したがって、各都道府県等におかれては、平成12年4月1日の法施行に向けて、「移送に関するガイドライン(案)」を参照とし、移送制度の運用が円滑に行われるよう体制整備をお願いしたい。
 特に、移送体制の整備に当たっては、以下の点に留意されたい。

ア 措置入院
(ア)基本的考え方
 措置入院に付随して従来から行われていた措置入院のための移送について、法文上明確にされたが、この中で移送に際して告知を義務づける等、患者の人権に配慮して移送を行うことを規定しており、この主旨を踏まえ移送体制を整備すること。
(イ)事前調査の実施
 指定医の診察の必要性を判断するために、移送の対象となると考えられる者の居宅等において、移送のための事前調査を行う体制を整備すること。
(ウ)指定医の診察を行う場所への搬送
 事前調査の結果、措置入院のための指定医の診察が必要と判断されたとき、診察を行う場所に移送の対象者を搬送することも法に規定する移送制度に含まれるため、そのための搬送体制についても整備すること。
(エ)移送に係る記録用紙等の整備
 事前調査の結果を記録する「事前調査票」、移送の経過を記録する「移送記録票」、指定が行った診察等を記録する「診察記録票」、書面による告知の様式をあらかじめ整備しておくこと。
(オ)職員の同行
 事前調査から入院までの全過程において、都道府県職員(指定都市においては市職員。)が同行することとしており、円滑に移送が行われるよう人員体制の整備を図ること。
(カ)補助者
 指定医の診察及び実際の搬送に当たって、必要に応じて補助者をつけられるよう体制を整備すること。
(キ)車両等の整備
 移送の対象者を必要な場所に移送することが必要となったとき、速やかに車両等を用いて搬送できるよう体制を整備すること。なお、移送の対象者を車両等を用いて搬送する部分については委託することができる。

イ 医療保護入院及び応急入院
(ア)基本的考え方
医療保護入院等のための移送は、家族等が説得の努力を尽くしても本人の理解が得られない場合に限り緊急避難的に行うものであるため、事前調査を十分行ったうえで、本制度の適応について適切に判断すること。
(イ)相談の受付窓口の整備
 移送に係る相談の窓口を整備し、その周知に努めるとともに、利用者が利用しやすい体制となるよう配慮すること。
(ウ)事前調査の実施
 措置入院の場合に準じる。
(エ)指定医の選定
 事前調査の結果、指定医による診察が必要と判断したとき、速やかに指定医の診察が居宅等において行われるよう体制を整備すること。なお、この診察を行う指定医は、診察の結果入院が必要となった患者が入院する医療機関以外に所属していることを原則とすること。
(オ)移送に係る記録用紙等の整備
 措置入院の場合に準じる。
(カ)職員の同行
 措置入院の場合に準じる。
(キ)補助者
 措置入院の場合に準じる。
(ク)車両等の整備
 措置入院の場合に準じる。
(ケ)入院手続き
 入院に当たって、既に都道府県知事が指定する指定医によって入院の必要性が判定されているため、重ねて判定を行う必要はないこと。その場合、病院に診察記録票の写しを手渡すこと。

(2)精神医療審査会機能の強化について

 今回の法改正において、精神医療審査会の機能強化を図ったところであり、これを受けて精神医療審査会マニュアル(昭和63年5月13日健医発第574号)を改正することとしているので、各都道府県等におかれては、その主旨を踏まえ法施行に向けて体制整備を行われたい。
 なお、精神医療審査会の体制整備に当たっては、特に以下の点に留意されたい。

ア 精神医療審査会委員定数
 今回の法改正により5人以上15名以内としていた委員定数の規定を外したところであるので、審査すべき案件の数に応じて、審査が迅速(請求等があってから概ね1ヶ月以内。)かつ適切に行われるよう合議体の数を整備すること。

イ 情報公開について
 審査結果が報告された以後は、精神障害者の個人情報以外の情報は公開するよう努めること。

ウ 審査方法の充実
 今回の法改正により、審査を行うに当たって新たに審査会委員による診察、診療録その他帳簿書類の提出の命令、出頭を命じての審問等を行うことができることを規定したところであるので、必要に応じてこれらの審査方法を積極的に活用すること。

エ 電話相談の取扱
 都道府県知事に寄せられた電話相談について、内容を審査会に報告するとともに、事例によっては口頭による退院請求として取り扱うこと。

オ 実地調査との関連
 精神医療審査会からの求めがあったとき、精神病院の立入調査に指定医である審査会委員を同行させること。

カ 指定医の処分の関連
 審査会の審査の過程で指定医の不適切な行為が明らかになったとき、その件について精査の上、厚生大臣に通知すること。

(3)入院患者の開放処遇について

 法第37条第1項の規定に基づく厚生大臣が定める精神病院に入院中の者の処遇に関する基準として、任意入院患者は、原則として開放的な環境で処遇(本人の求めに応じ、夜間を除いて病院の出入りが自由に可能な処遇をいう。以下「開放処遇」という。)とすることとしたところであるので、各都道府県におかれては、管下の精神病院において任意入院患者が開放処遇とされるよう指導監督等の徹底を図られたい。
 なお、任意入院患者の開放処遇に向けた精神病院の指導監督等に当たって、特に次の点に留意されたい。

ア 入院患者への周知
 任意入院患者に対して、開放処遇を受けることを文書により伝えることとしていること。

イ 開放処遇の制限
 任意入院患者の開放処遇の制限は、当該患者の症状からみて、その開放処遇を制限しなければ医療又は保護を図ることが著しく困難であると医師が判断する場合にのみ行われることであること。その場合、患者に対して開放処遇の制限を行う理由を文書で知らせるよう努めるとともに、診療録に開放処遇の制限に関する事項を記載することとしていること。また、指定医は開放処遇の制限を行ってから72時間以内に診察を行うとともに、その他、必要に応じて積極的に診察を行うよう努めることとしていること。

(4)精神障害者社会復帰施設の設備運営基準について

 改正精神保健福祉法の規定に基づき、厚生省令により「精神障害者社会復帰施設の設備及び運営に関する基準」(以下「設備運営基準」という。)を定めることとしている。
 設備運営基準は、精神障害者社会復帰施設が精神障害者の人権の尊重に特に配慮しながら、障害者の自立と社会参加の促進のために設置、運営される必要があるとの観点から、社会復帰施設の職員や構造設備、運営に関する基本的な事項を幅広く盛り込むとともに、1)社会復帰施設における利用者等の人権の擁護に十分配慮すること、2)社会復帰施設における利用者への援助が、利用者の心身の状況や希望等を勘案して策定される「援助に関する計画」に沿って、説明と同意を行いつつ、計画的かつ懇切丁寧になされることが重要であること、3)社会復帰施設の運営については、透明性が確保されることが重要であることなどの趣旨を盛り込むこととしている。
 また、設備運営基準は、平成12年4月1日以降すべての社会復帰施設にその遵守を義務づける「最低基準」であることから、特に、構造・設備の基準や人員配置基準の数値的基準等については、既存の社会復帰施設の構造・設備、人員配置の実状等にも十分配慮した内容とすることとしている。
 また、この設備運営基準に沿った適正な運用を確保するため、都道府県知事、指定都市市長が行う社会復帰施設に対する指導監督の実施要領等についても別途通知することとしている。
 各都道府県、指定都市におかれては、これらの設備運営基準及び関連通知に基づき、引き続き社会復帰施設の適切な運営の確保に努められるようお願いする。

(5)精神病院に対する指導監督等の徹底について

 精神保健福祉施策の推進については、かねてより人権に配慮した適切な医療・保護の確保に努めていただいているところであるが、厚生省としては、新潟県の国立療養所犀潟病院における措置入院中の患者死亡事例(平成10年)等精神病院における人権侵害事案の発生が後を絶たないことから精神保健福祉法の施行に関し、都道府県知事等が精神病院に対して実施した実地指導等を踏まえ、国としてこれを検証することにより、より適正な入院患者の医療・保護の確保を図ることを目的とする「精神病院実地検証」を実施している。これは、従来より実施している公衆衛生関係行政事務指導監査の際に、直接精神病院への立入検査を実施し、各都道府県・指定都市が毎年実施している精神病院に対する実地指導方法の確認等を行うものである。
 これまでの精神病院実地検証では、全病院において道県市が指摘した事項以外の問題点が散見されている。
 各都道府県・指定都市においては、管下医療機関に対し実地指導等を実施する際には、今一度、精神保健福祉法及び平成10年3月3日障第113号・健政発第232号・医薬発第176号・社援第491号厚生省大臣官房障害保健福祉部長、健康政策局長、医薬安全局長、社会・援護局長通知「精神病院の指導監督等の徹底について」等各種通知の趣旨を踏まえ、管下医療機関に対する一層の指導の強化を図られたくお願いする。
 また、精神病院に対する指導監督については、改正精神保健福祉法においてもその強化が図られており、新たに1)都道府県知事は、入院中の者の処遇が適当でないと認めるときは、精神病院の管理者に改善計画の提出等を命じることができること、2)改善命令等に従わない精神病院については、期間を定めて入院による医療の提供の全部又は一部を制限することを命じることができるものとされたところであり、おって関係通知を改正する予定であることを念のため申し添える。

2 精神障害者社会復帰対策の推進等について

(1)精神障害者社会復帰施設の整備促進等について

 精神障害者社会復帰施設・事業等については、昭和62年の法改正で社会復帰対策の推進を法律に位置付けるとともに、平成7年12月に策定された障害者プランに数値目標を盛り込むなど、計画的な推進を図っているところであるが、精神障害者社会復帰施設等については、これまで地元の理解が得られにくいことや、自治体の財政事情等の理由により施設の種類によっては整備が遅れている状況にあり、障害者プランの達成に支障が生じることも考えられる。各都道府県・指定都市におかれては、障害者計画における具体的な数値目標の設定を行い、併せて貴管下の障害者計画の未策定市町村に対し早急に計画を策定するよう指導願いたい。なお、管内の社会復帰施設等の整備の進捗状況等について改めて評価・点検を行い、精神障害者社会復帰・福祉施策の推進に努められたい。
 なお、平成11年度第2次補正予算において、経済対策の観点から、精神障害者社会復帰施設の施設・設備整備費について、必要な予算措置を行ったところであり、事業の前倒しについて協力願いたい。
 また、同補正予算において、精神病院における任意入院患者の開放処遇の促進を図るための病棟出入口扉の改修事業を精神病院療養環境改善整備事業に盛り込んだところである。当該事業は、先般の精神保健福祉法の改正により、任意入院患者は基本的に開放処遇を行うことととなることから、病棟出入口扉を自動開閉扉等に替える改修事業を新たに補助対象とすることとしたところである。各都道府県・指定都市においては管下関係医療機関への働きかけをお願いしたい。

(2)精神障害者社会復帰施設の運営費の改善内容について

 精神障害者社会復帰施設については、近年、利用者の高齢化や単身化の進行、障害の重度化、自立度の低下が顕著になるなど、施設を取り巻く状況が変化している。
 また、関係者から、1か所当たりの運営費が不十分で施設の運営上支障を来す場合があり、このことが社会復帰施設の計画的整備の阻害の一因になっているとの指摘があり、運営費補助の内容改善に対する強い要望が寄せられてきた。
 こうした状況に対応するため、平成12年度予算において、生活訓練施設等の指導員、事務員各1名の増員、地域生活支援センターの施設長の設置、施設職員の処遇の改善など運営費の大幅な内容改善を盛り込んだところである。
 各都道府県・指定都市におかれては、所要の予算措置を行うとともに、施設の安定的運営の確保について引き続き協力願いたい。

(3)身体障害者施設との相互利用の推進について

 平成12年度から精神障害者通所授産施設と身体障害者通所授産施設における相互利用を実施することとしている。精神障害者と他の障害者施設の相互利用の促進については、既に平成11年度から精神障害者と知的障害者において相互利用を実施しており、今般の精神障害者と身体障害者間の相互利用により、三障害それぞれの通所授産施設において相互利用が可能となる。
 なお、精神障害者が身体障害者通所授産施設を利用する場合にあっては、精神障害者通所授産施設の補助単価を、身体障害者が精神障害者の通所授産施設を利用する場合にあっては、身体障害者通所授産施設の措置費単価を支弁することとする予定である。

(4)精神障害者訪問介護試行的事業の実施について

 今回の法改正において、精神障害者にホームヘルパーを派遣する精神障害者居宅介護等事業が法定化され、市町村を中心に平成14年度より実施することとなったところである。
 本事業を円滑に実施するため、今年度より実施している精神障害者訪問介護(ホームヘルプサービス)試行的事業を引き続き実施することとしているが、今年度は試行的事業を実施していない都道府県、指定都市もみられ、低調であることから、平成12年度においては、本事業の重要性に鑑み、全都道府県・指定都市において実施されるよう特段の御配慮をお願いする。
 また、新たに試行的事業に参画した市町村やホームヘルパーの協力も得ながら、試行的事業の成果を集約・解析し、精神障害者ホームヘルパーの養成研修等のあり方、内容等について検討を行うための事業を精神障害者社会復帰促進センター((財)全国精神障害者家族会連合会)に委託し、全国2か所で行うこととしている。
 各都道府県、指定都市においては、平成14年度の実施に備え、これらの事業への参画と積極的な取組をお願いしたい。

(5)精神障害者ケアマネジメント体制整備について

 本事業は、従来より精神障害、身体障害、知的障害の各障害ごとに段階的に実施してきたものを今年度より3障害を統合して実施しているものである。
 精神障害者の地域生活を支援する観点から、ケアマネジメントを希望する精神障害者に対して保健・医療・福祉サービスの一体的な提供が必要であり、そのためにはケアマネジメントの手法を確立する必要がある。
 また、今回の法改正により平成14年度から市町村がホームヘルプサービスをはじめとした精神障害者居宅生活支援事業等在宅福祉施策を実施することから、当該業務を円滑に行うためにもケアマネジメントの手法の確立は重要となる。
 しかしながら、今年度の本事業の実施状況は低調であり、特に精神障害者に係る事業は他の障害に比べても遅れている状況である。
 本事業の重要性に鑑み、平成12年度は全都道府県・指定都市において実施されるよう特段の御配慮をお願いする。

(6)精神保健福祉担当職員等特別研修事業の実施について

 今回の法改正において精神保健福祉施策に係る関係機関の役割分担を見直し、平成14年度から市町村が精神保健福祉手帳及び通院医療費公費負担の申請の受理、精神障害者の福祉に関する相談、精神障害者居宅生活支援事業の実施等の新たな業務を実施することとなった。
 市町村がこれらの事務を円滑に実施できるよう、専門性や広域的な調整が必要な事項については保健所を通じて都道府県が支援することとしているが、平成12年度においては都道府県に対する補助事業として、市町村職員等に対して、市町村が平成14年度以降新たに実施する事務について指導・研修を行う精神保健福祉担当職員等特別研修事業を実施することとした。
 各都道府県、指定都市におかれては、当該趣旨を御理解の上、事業の実施について特段の配慮を願いたい。なお、実施に際しての実施要綱等については別途通知することとしている。



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