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2. 健康危機管理対策の推進について

(1)健康危機管理対策の重要性

 昨年7月以降、和歌山市及び新潟市を始めとし全国30数カ所において、毒物混入による健康被害等に係る事件が発生し、社会的な問題となったことはご承知のとおりである。
 特に、和歌山市の事件においては、4名の方が死亡し、63名の方が入通院を余儀なくされるなど、地域住民の生命・健康に甚大な影響を与えることとなった。
 この様に、食中毒のみならず、感染症、医薬品、飲料水等の分野において健康危機が発生した場合、住民の生命や健康に極めて大きな影響を与えるおそれがある。
 こうした健康危機が発生した場合、できる限りその拡大を防止するとともに、迅速かつ的確な医療の確保等を通じて、地域住民の生命・健康を守ることは地方公共団体の重要な任務であり、その取組みを支援することは国の責務である。
 このため、昨年9月には、各都道府県等の協力の下に第1回健康危機管理対策に関する都道府県等担当課長会議を開催したところである。

(2)厚生省における健康危機管理体制

 現在、厚生省においては、健康危機管理体制を確保し、迅速かつ的確に対策を実施するため、「厚生省健康危機管理基本指針」を策定し、健康危機管理に関し、組織全体としての部局横断的な基本的枠組みを設けるとともに、併せて、部局横断的連絡調整組織である「厚生省健康危機管理調整会議」を設置し、健康危険情報の共有化、緊急連絡体制の確保、応急対策の調整等組織相互間の有機的な連携を確保することとしている。
 また、感染症、食中毒、医薬品、飲料水の各分野、国立病院等、国立試験研究機関のそれぞれにおける健康危機管理対策を定めた「健康危機管理実施要領」を策定しているところであり、これらに基づき、各種の健康危機における平常時及び健康危機発生時の対応を図ることとしているところである。

(3)都道府県等における健康危機管理体制の整備

 地域における健康危機に対する体制を確保するためには、都道府県等における健康危機管理体制を整備することが重要である。
 このため、厚生省の健康危機管理体制等を参考としつつ、併せて次の点に留意しながら、健康危機管理体制の整備について当該地方公共団体部内で積極的な検討をお願いする。
 また、既に都道府県等においては、健康危機管理に係る要綱等を作成され、提出いただいているところであるが、未だ体制整備等の取組みが十分になされていないところもあることから、当該都道府県においては、早急な対応をお願いする。

1)部局横断的な総合的取組みの重要性

2)調整機関及び関係部局の対応事項の明確化
 (情報の集約及び関係部局の対応事項の調整・明確化等)

3)幅広い情報の迅速な提供
 (保健所等における的確・迅速な調査の実施、初動体制の強化等)

4)関係部局間の情報の共有化
 (情報提供先の明示及び治療に関する情報の収集提供等)

5)当面の対応の確定とフォローアップ
 (調整の結果としての当面の対応の確定及び適切なフォローアップ)

6)関係機関との連携
 (医療機関、検査機関、消防当局、警察当局等)

7)都道府県及び市町村間の連携
 (連携担当者の明確化等)

(4)毒劇物混入事件への対応

 昨年における一連の毒劇物混入事件に関しては、9月に政府として内閣官房に関係10省庁からなる「毒劇物対策会議」が設置され、毒劇物に係る総合的対策が検討され、11月27日に同対策会議において、中期的な対応も含め、具体的対策等についての報告書が取りまとめられたところである。
 同報告書に盛り込まれた各種の対策については、関係省庁が連携をとり、一体となって総合的に推進することとされており、その実施状況については、関係省庁から本年3月に報告を行うこととされているところである。
 各都道府県におかれては、同報告書の具体化に向け、各部局から必要な連絡を行うこととしているが、毒劇物混入事件に係る事件の発生の抑制と地域住民の不安の払拭に最大限御尽力をいただくようお願いする。
 また、同報告書を踏まえ、2月15日より国立公衆衛生院において各都道府県等で健康危機管理対策の指導的業務に携わる職員を対象とした研修会の開催を予定しているところであるので、各都道府県においては関係職員の参加方について特段の御配慮をお願いする。



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