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全国厚生関係部局長会議資料

平成10年1月21日(水)

障害保健福祉部


(企 画 課)

1 平成10年度障害保健福祉部予算(案)等の概要

【部所管予算案】519,586百万円 → 534,782百万円 (対前年比102.9%)

I「障害者プラン」数値目標設定事項

  (9年度)      (10年度)
224,550百万円 → 237,757百万円
       (対前年比 105.9%)
1 住まいや働く場ないし活動の場の確保

(1)地域生活援助事業(グル−プホ−ム)
ア 精神薄弱者地域生活援助事業   2,447百万円
4,536人分 → 5,368人分

イ 精神障害者地域生活援助事業   828百万円
2,970人分 → 3,168人分

(2)福祉ホーム
ア 身体障害者福祉ホーム   65百万円
457人分 → 537人分

イ 精神障害者福祉ホーム   143百万円
1,210人分 → 1,310人分

(3)授産施設
ア 身体障害者通所授産施設   4,115百万円
5,423人分 → 6,023人分

イ 精神薄弱者(通所)授産施設   25,605百万円
41,122人分 → 42,722人分
ウ 精神障害者(入所・通所)授産施設   1,896百万円
3,800人分 → 4,240人分

(4)福祉工場
精神障害者福祉工場運営費   216百万円
15か所 → 19か所

(5)小規模作業所に対する助成   2,661百万円
2,244か所 → 2,419か所

2 地域における障害児療育システムの構築と総合的な支援体制の整備

(1)障害児通園(デイサービス)事業   2,172百万円
407か所 → 452か所

(2)重症心身障害児(者)通園事業   834百万円
・A型(標準利用人員15人)
15か所 → 20か所

・B型(標準利用人員5人)
38か所 → 56か所

(3)生活等支援事業
ア 市町村障害者生活支援事業   768百万円
80か所 → 120か所

イ 障害児(者)地域療育等支援事業   1,154百万円
140か所 → 200か所

ウ 精神障害者地域生活支援事業   743百万円
94か所 → 115か所

(新)(4)障害児通園施設の相互利用制度の実施
3 精神障害者の保健医療福祉施策の充実

(1)精神障害者社会適応訓練事業(通院患者リハビリテーション事業)   724百万円
2,624事業所 → 2,691事業所

(2)精神障害者生活訓練施設(援護寮)   2,552百万円
2,840人分 → 3,380人分

(3)精神障害者社会復帰施設の整備
・施設整備費 都市部特例割増単価(5%)
・設備整備費 非常用通報装置

(4)精神科デイ・ケア施設の整備
570か所 → 648か所

4 介護等のサ−ビスの充実

(1)訪問介護(ホ−ムヘルプサ−ビス)事業費(老人保健福祉局に一括計上)   10,075百万円
・訪問介護員(ホ−ムヘルパ−)の増員 15,500人分 → 24,100人分

(2)短期入所(ショートステイ)事業費   1,681百万円
1,836人分 → 2,210人分
(新)・障害者及び介護者のための家庭介護(ホームケア)促進事業の実施
(身体障害者短期入所事業分)
・生活等訓練事業の実施(障害児(者)短期入所事業分)

(3)日帰り介護(デイサービス)事業
ア 身体障害者日帰り介護(デイサービス)事業費   4,835百万円
582か所 → 632か所

イ 在宅精神薄弱者日帰り介護(デイサ−ビス)事業費   659百万円
45か所 → 53か所
(4)身体障害者療護施設   41,635百万円
19,169人分 → 20,269人分

(新)ア 身体障害者療護施設における筋萎縮性側索硬化症(ALS)による
障害者の受入れ体制の整備
(ア)特別介護経費の加算
(イ)特殊介護設備を備えた専用居室の確保
・施設整備費 基準面積 15.3平方メートル/1人当たり
・設備整備費 初度設備費 特殊介護設備

イ 身体障害者療護施設通所型における定員の拡大
100人 → 200人

(5)精神薄弱者更生施設   119,271百万円
88,296人分 → 90,199人分

【施設整備等関係共通】
○ 社会福祉施設及び社会復帰施設の施設整備費等
(社会福祉施設整備費・設備費,保健衛生施設整備費・設備費へ一括計上)
・障害者プラン関係施設の着実な整備

5 社会参加の推進

○ 市町村障害者社会参加促進事業   1,742百万円
(1)メニュー事業
ア 実施か所数   240か所 → 300か所
イ 1か所当たり事業費   15,000千円

(2)市町村障害者計画策定試行的事業
ア 実施か所数(新規指定分)   59か所
イ 1か所当たり事業費   1,800千円

(新)(3)精神薄弱者及び精神障害者の社会参加促進事業のメニューの追加
II その他の施策

〔企画課〕

○ 障害者介護等サービス体制整備支援試行的事業(身体障害者)   219百万円

○ 手当等の給付   103,512百万円
(1)特別児童扶養手当   68,747百万円
・手当額の物価改定の実施
物価スライド制に基づき、手当額は+1.9%を見込んで計上
(今後、年末までの物価の動向を踏まえ確定)。
1級(月額)50,350円 → 51,300円
2級(月額)33,530円 → 34,170円

・所得制限限度額の引上げ
本人(4人世帯:年収) 760.1万円 → 770.7万円
扶養義務者等(6人世帯:年収) 946.3万円 → 954.2万円

(2)特別障害者手当等   34,765百万円
・手当額の物価改定の実施
物価スライド制に基づき、手当額は+1.9%を見込んで計上
(今後、年末までの物価の動向を踏まえ確定)。
特別障害者手当 (月額) 26,230円 → 26,730円
障害児福祉手当 (月額) 14,270円 → 14,540円
福祉手当(経過措置分)(月額) 14,270円 → 14,540円

・所得制限限度額の引上げ
本人(2人世帯:年収) 518.8万円 → 531.6万円
扶養義務者等(6人世帯:年収) 946.3万円 → 954.2万円

○ 厚生科学研究費(厚生科学課に一括計上)
・障害保健福祉総合研究経費   373百万円
障害者等保健福祉総合研究経費、精神保健医療研究費、心身
障害研究費(障害保健福祉部分)を統合し、新規計上

・感覚器障害及び免疫・アレルギー等研究経費(感覚器障害分)   576百万円
〔社会参加推進室〕

○ 社会参加の推進
(1)「障害者の明るいくらし」促進事業   1,624百万円
* 身体障害者、精神薄弱者、精神障害者ごとの社会参加事業を統合し、
総合的かつ効果的な事業の実施を図る。
ア 基本事業
・1県当たり事業費   34,800千円 → 56,000千円
・事業の追加等
(新)(ア)「障害者110番」運営事業の実施
(新)(イ)相談員活動強化事業の実施
(ウ)盲導犬の育成
イ 特別事業
(ア)全国身体障害者スポーツ大会開催事業費(平成10年11月神奈川大会)
(イ)全国精神薄弱者スポーツ大会開催事業費(平成10年10月茨城大会)

(2)障害者社会参加推進センター運営事業   221百万円
*三障害(身体障害者、精神薄弱者、精神障害者)共通のセンターとして機能強化
ア 都道府県障害者社会参加推進センター
イ 中央障害者社会参加推進センター

(3)身体障害者自立支援事業   373百万円
33か所

(4)障害者や高齢者にやさしいまちづくり推進事業   125百万円
ア 実施か所数   25か所
イ (ア)やさしいまちづくり総合計画推進事業 125,000千円
・1か所当たり事業費 15,000千円 計画策定等経費(2年継続)
・補 助 率   1/3
(イ)障害者等生活環境基盤整備事業    (915,000千円「施設整備費」に計上)

(5)障害者スポーツの振興   86百万円
(新)・国際障害者スポーツ大会(フェスピック)派遣事業   20百万円
(平成11年1月 第7回フェスピックバンコック大会)

(6)身体障害者福祉促進事業委託費   729百万円
(7)国連・障害者の十年記念施設「障害者国際交流センター(仮称)」の整備   588百万円
・建設費の初年度分

(8)補装具の給付(身体障害者・身体障害児)   12,686百万円

〔国立施設管理室〕

○ 国立更生援護施設の整備・運営の充実   11,065百万円

〔障害福祉課〕

1 在宅福祉施策等の充実
(1)日常生活用具給付等事業(老人保健福祉局に一括計上)
(新)ア 電気式「痰」吸引器〈身体障害者・児〉
(新)イ ネブライザー(吸入器)〈身体障害児〉

(2)身体障害者訪問診査費   111百万円
・訪問診査の対象人員の増
(ア)医師、看護婦による訪問 17,315人 → 17,800人
(イ)PT等による訪問 3,460人 → 3,560人

(3)精神薄弱者通勤寮等運営事業   2,304百万円
ア 精神薄弱者通勤寮
・基本事業 141か所 →143か所
・生活支援事業 45か所 → 50か所

イ 精神薄弱者福祉ホーム
86か所 → 87か所
ウ 精神薄弱者福祉工場
32か所 → 38か所

(4)障害者介護等サービス体制整備支援試行的事業(精神薄弱者)   138百万円
(精神薄弱者介護サービス調整指針試行事業を改称)
5か所 → 47か所

2 施設福祉の充実   131,002百万円
・一般生活費等の改善

〔精神保健福祉課〕

1 地域精神保健福祉施策の充実   441百万円
(新)(1)障害者介護等サービス体制整備支援試行的事業(精神障害者)
0か所 → 5か所
(新)(2)精神保健福祉士法制度運営指導事業
(3)精神障害者手帳交付事業
(4)社会復帰相談事業(保健医療局に一括計上)
(5)精神障害者社会復帰促進センター事業
(6)精神保健福祉センター運営費

2 より良い精神医療の確保   38,863百万円
(1)精神医療費の公費負担
(2)精神科救急医療システム整備事業
(3)精神医療適正化対策費
(新)(4)精神障害者身体合併症治療体制整備試行的事業
0か所 → 4か所

3 老人性痴呆疾患センター運営費   294百万円
125か所 → 128か所
4 更生医療・育成医療の給付   6,835百万円

III 平成10年度税制改正(障害者関係)

1 特別障害者控除及び同居特別障害者控除の引き上げ(所得税、個人住民税)
・ 特別障害者控除の額及び同居特別障害者控除の額を引き上げる。
 【控除額の引き上げ】
               現行制度   →    引き上げ後
 特別障害者控除   所得税 35万円(+5万円)  40万円
           住民税 28万円(+2万円)  30万円
 同居特別障害者控除 所得税 30万円(+5万円)  35万円
           住民税 21万円(+2万円)  23万円
2 地価税が非課税となる医療・福祉従事者養成施設の範囲の拡大(精神保健福祉士の養成施設) (地価税)
・ 精神保健福祉士の養成施設について地価税を非課税とする。

3 所得税の障害者控除等の対象となる身体障害者等の範囲の拡大(HIV感染者への拡大) (所得税、相続税、贈与税、住民税、自動車税、軽自動車税、自動車取得税)
・ 所得税の障害者控除等の対象となる身体障害者等の範囲を、HIV(ヒト免疫不全ウイル ス)感染による免疫機能障害者にまで拡大することを政令の内容を見て検討する。


2 障害者プランの推進について
 平成7年12月政府の障害者対策推進本部(現 障害者施策推進本部)は「障害者プラン〜ノーマライゼーション7か年戦略」を決定した。障害者プランは、平成8年度から14年度までの7か年を計画期間として関係19省庁における障害者施策を計画的かつ強力に推進しようとするものである。
  厚生省では、平成9年度における障害者プラン関係予算として約2,246億円を、更に平成10年度予算案においても財政状況が極めて厳しい中、約2,378億円(対前年比105.9%)を確保して、障害者プランの着実な推進を図ることとしている。
  障害者プランを具体化していくためには、各地方公共団体において、具体的な数値目標を設定した障害者計画の策定等により、計画的に施策を推進していくことが必要であるが、都道府県・指定都市における数値目標を設定した障害者計画の策定状況は未だ5割にとどまっており、また、総理府の調査によると平成9年3月末現在における市町村での障害者計画の策定は17.9%であり、数値目標が盛り込まれているのは更にその18.6%にとどまっている状況にある。
  未だ数値目標を設定していない都道府県・指定都市においては、「厚生省関係障害者プランの推進方策について」(大臣官房障害保健福祉部長通知 平成8年11月15日障第219号)に示されている具体的な数値目標の項目について、速やかに数値目標を設定するとともに、市町村に対しては、できるだけ数値目標を盛り込んだ障害者計画の策定をするよう、引き続き指導をお願いする。
  また、計画の策定にあたっては、必ず障害者の参画を得て行うとともに、地域の特性や実状に対応した計画を策定するよう指導をお願いしたい。
  更に、障害者プランでは、保健福祉サービス体系について、市町村域・障害保健福祉圏域・都道府県域の各圏域ごとの機能分担を明確にし、各種のサービスを面的、計画的に整備することにより、重層的なサービス体系を構築することとしている。このため、各都道府県・指定都市においては速やかに障害保健福祉圏域を設定するようお願いしているが、未だに4割弱しか設定されていない状況にあるので、障害者プランの推進を図るためにも早急に関係機関の間で調整し、圏域を設定するようお願いする。


3 合同企画分科会中間報告について

(1) 経緯

・障害保健福祉施策は、平成7年12月に決定された障害者プランに基づき推進しているが、今後の施策の在り方について、介護保険制度との関連に留意しつつ、特にその総合化の観点から全般的な検討を行うため、平成8年10月に身体障害者福祉審議会、中央児童福祉審議会障害福祉部会及び公衆衛生審議会精神保健福祉部会に企画分科会を設置し、合同で審議を行ってきた。
・小委員会の5回の審議を含め、14回にわたり審議が行われ、平成9年12月9日に、「今後の障害保健福祉施策の在り方について」(中間報告)として中間的なとりまとめが行われた。
(2) 中間報告の主な内容
1) 障害保健福祉施策の総合化
・ 市町村における保健福祉サービス提供体制の一元化の推進。一方では、市町村に対する専門的支援の強化
・ 在宅サービス、施設の三障害間の相互利用の推進
・ 障害者種別間でのサービスの整合性の確保
2) 障害の重度・重複化等への対応
・ 夜間の介護体制等による家族の負担の軽減
・ 重度・重複の精神薄弱者のための施設形態の創設の検討
・ ALS(筋萎縮性側索硬化症)等重度障害者への対応改善
3) 介護保険制度との関連での整理
・ 高齢者と比較して遜色のないサービスを提供するための訪問入浴等の導入の検討
・ 措置制度について利用者本位のサービス提供のための仕組みの検討
4) 障害者の権利擁護
・ 随時対応する相談事業の実施
・ 「精神薄弱」の用語の見直し
(3) 今後の進め方
・ 中間報告の主要論点についてさらに検討を深めることとしている。また、精神保健福祉制度の見直しについては別途検討を行うこととしており、平成10年1月を目途に関係団体等からの要望の取りまとめを行っているところである。障害保健福祉施策全体について、平成10年の夏から秋頃に最終的なとりまとめを行う予定である。
・ なお、今後の検討に当たっては、中央社会福祉審議会における社会福祉事業の在り方の検討とも整合性の確保を図っていくこととしている。


4 「ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害」に係る障害認定について

(1)経緯

 HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染者の具体的な身体障害認定基準の作成につ いて検討するため、昨年5月に「障害認定に関する検討会」が設置され、9回にわ たる審議ののち、「ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害」に係る障害程 度等級及び認定基準案が作成された。平成9年12月16日には、この検討会の報 告書に基づき、「ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害」に係る障害程度 等級が身体障害者福祉審議会審査部会に諮問答申され、身体障害者福祉法施行令及 び施行規則の改正(1月19日公布)、認定基準等の通達の改正等を経て、平成10 年4月1日よりHIV感染者が身体障害者として認定される予定である。
(2)HIV感染症による免疫の機能障害を身体障害とする意義
ア 障害の重度化防止やHIV感染者の生活の質的向上の観点から福祉サービスを提供することが有効であること。
イ HIV感染者は、最近の医学の進歩により、日常生活の制限を受けながら長期間生存するケースが増加していること。
ウ HIV感染者は、身体障害者福祉法の趣旨に合致すること。
・機能障害の存在
・障害の永続性
・自立と社会経済活動への参加の可能性
(3)実施に向けた対応
 「ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害」が身体障害として認定されるにあたり、更生医療の給付、訪問介護員(ホームヘルパー)の派遣、日帰り介護事業(デイサービス)や短期入所事業(ショートステイ)の利用等、身体障害者福祉法上のサービスの提供等に係る事務が適切に実施されるよう、身体障害者認定に係る医師の指定や関係機関等への周知等必要な準備をお願いしたい。
  なお、2月2日に、事務担当者説明会を行う予定である。


5 障害者介護等サービス体制整備支援試行的事業について

(1)事業の趣旨

ア 地域における障害者の生活を支援し、自立と社会参加を促進するため、公的サービスの量的・質的確保とともに、障害者の多様な需要に対応した総合的サービス提供体制が必要とされていることから、在宅保健福祉サービスを中心とした介護等サービス提供支援の事業を試行的に実施する。
イ 介護等サービス提供支援の業務を担う介護等支援専門員等の養成研修を行う。
(2)事業の概要
ア 国レベル
(ア)障害者介護等サービス体制整備検討委員会の設置
(イ)介護等支援専門員養成指導者研修の実施
・各障害分野(身体障害者、精神薄弱者、精神障害者)1県1名程度
イ 県レベル
(ア)都道府県等障害者介護等サービス体制整備支援試行的事業実施委員会の設置
・試行的事業実施市町村の選定等
(イ)介護等支援専門員養成研修の実施
・各障害分野 7名程度
(ウ)試行的事業の実施
・介護等サービス提供支援を試行的に実施
(3)実施か所数
 身体障害者及び精神薄弱者に係る事業については都道府県等47カ所、精神障害者に係る事業については5カ所での実施を予定しているので、積極的な取組みをお願いしたい。


6 厚生科学研究費について

(1)障害保健福祉総合研究事業について

 障害者保健福祉施策を効果的に進めるため、平成10年度から、現行の障害者等保健福祉総合研究事業、心身障害研究事業(障害保健福祉部分)及び精神保健医療研究事業を統合し、障害保健福祉総合研究事業とすることとしているので関係研究機関等に周知されたい。
(2)感覚器障害研究事業について
 感覚器の障害について、その原因疾患・発症の機構(メカニズム)の解明とその予防、重症化防止方法、リハビリテーション手法、支援機器の開発等に資するため、平成9年度から感覚器障害研究を実施しているところであるが、平成10年度においても実施する予定であるので、関係研究機関等に周知されたい。


7 特別児童扶養手当等について
 特別児童扶養手当、特別障害者手当、障害児福祉手当及び福祉手当(経過措置分)における所得制限限度額について、平成10年8月から本人及び扶養義務者等の所得制限の限
度額を見直す予定であるので了知されたい。
本人
特別児童扶養手当 4人世帯・年収) 760.1万円 → 770.7万円
その他 2人世帯・年収) 518.8万円 → 531.6万円
扶養義務者等 6人世帯・年収) 946.3万円 → 954.2万円


8 心身障害者扶養保険制度について
 心身障害者扶養保険制度については、都道府県、指定都市のご協力を得て、平成8年1月より安定化方策を講じたところであるが、引き続き制度の安定化について、特段の配慮を願いたい。
  また、平成9年度の特別調整費(公費負担分)の各道府県、指定都市における負担額の社会福祉・医療事業団への納付について、よろしくお取り計らい願いたい。


(企画課国立施設管理室)


国立更生援護施設の運営について

 国立更生援護施設については、身体障害者更生施設及び精神薄弱児施設のモデル施設として、総合的なリハビリテーションを一貫した体系の下に実施するとともに、技術水準の向上を図り、その成果を全国の関係施設等に普及させることを目的として運営してきている。
  各都道府県(市)においては、管内の障害者(児)のリハビリテーションの需要等に応えるため、これら国立施設の訓練内容、処遇技術、情報等の諸機能を有効に活用されるようお願いする。

(1)国立身体障害者リハビリテーションセンター

 国立身体障害者リハビリテーションセンターにおいては、我が国の中核的リハビリテーション施設として、1)総合的リハビリテーションの実施2)リハビリテーション技術の研究開発3)リハビリテーション関係専門職員の養成・研修4)リハビリテーションに関する情報の収集・提供5)リハビリテーションに関する国際協力等を行っているところである。

ア リハビリテーション技術の研究開発
 当センター研究所においては、「福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律」の具現化を図るとともに、障害者プラン並びに新ゴールドプランの推進を図るため、リハビリテーションに関する医学的、工学的、社会学的研究及び高齢障害者等のための介護機器の研究開発などを行っている。
イ リハビリテーション関係専門職員の養成・研修
 当センター学院においては、身体障害者のリハビリテーションの需要の高度化・多様化への対応及び障害者プランを支援するための身体障害者のリハビリテーションに従事する各種専門職員の養成・研修事業を実施しており、管下関係機関・施設に対しこれらの関係職員の積極的参加について周知方お願いする。
ウ リハビリテーションに関する国際協力
 国際協力については、従来から海外からの研修生の受け入れや発展途上国への専門職員の派遣を行うなどその推進に努めてきているところであるが、平成7年5月世界保健機関(WHO)から、障害予防とリハビリテーションに関して「指定研究協力センター」として指定されており、平成9年11月にWHO国際セミナーを開催したほか、リハビリテーションの分野で国際協力の一層の推進を図っていくこととしている。
エ 身体障害者リハビリテーション関係機関の連携強化
 各都道府県(市)の関係機関においても、リハビリテーション技術の研究開発等を鋭意推進されているところであるが、我が国におけるリハビリテーション技術水準の向上を図るためには、国、地方、民間を通じて関係機関が連携を密にし、取り組んで行くことが極めて重要であると考えられるので、今後研究開発が一層推進されるよう情報交換を行い、相互の連携を更に強化して参りたい。

(2)国立視力障害センター(国立光明寮)

 国立視力障害センターにおいては、視覚障害者の自立と社会参加を促進するため、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師を養成する理療教育及び中途失明者等に対して基礎的な日常生活動作を修得させるための生活訓練を実施しているところであり、今後更に、教育訓練内容の充実を図り、きめ細かな理療教育・生活訓練指導を実施することとしている。
  ついては、管下市町村に対して、各都道府県を対象地域とする各国立視力障害センター(国立身体障害者リハビリテーションセンターを含む。)と連絡を密にされるとともに、これら施設を積極的に活用され、中途失明者等の視覚障害者の自立と社会参加への支援に努められるよう、指導方特段の配慮をお願いする。

(3)国立重度障害者センター(国立保養所)

 国立重度障害者センターにおいては、重度身体障害者の自立と社会参加を促進するため、医学的管理の下に各種リハビリテーションを実施しているところである。
  重度身体障害者更生援護施設のモデル施設として、特に脊髄(頸髄)損傷者を中心とした重度身体障害者の医学的リハビリテーション及び職能訓練等を更に充実して実施することとしているので、脊髄(頸髄)損傷者をはじめ重度身体障害者の自立と社会参加を支援するため、両施設を積極的に活用されるよう管下市町村に対して指導方特段の配慮をお願いする。

(4)国立精神薄弱児施設(国立秩父学園)

 国立精神薄弱児施設においては、唯一の国立精神薄弱児施設として、全国から精神薄弱の程度の著しい児童又は視覚等に障害のある精神薄弱児を入所させ、その保護・指導を行うとともに、精神薄弱児の保護指導業務に従事する専門職員の養成・研修を実施しているところであり、今後更に、精神薄弱児の障害の重度化、加齢化に対応するための保護・指導の充実を図ることとしている。
  ついては、当施設を積極的に活用されるよう各児童相談所をはじめ関係機関に対して指導方特段の配慮をお願いする。


(企画課社会参加推進室)


1 障害者の社会参加促進事業について
 障害者の社会参加については、従来よりその推進にご尽力いただいてきたところであるが、平成10年度予算(案)においては、これまで障害種別に行ってきた社会参加推進のための施策の統合・総合化を図ることとしている。
  具体的には、以下のとおりであり、下記の事業の積極的実施によって障害者の社会参加が一層促進されるよう努められたい。

(1)「障害者の明るいくらし」促進事業

 都道府県事業として三障害ごとに行っている「「障害者の明るいくらし」促進事業」、「精神薄弱者社会活動総合推進事業」、「地域精神保健福祉対策促進事業」について、それぞれの事業内容を整理し、「共通分野」と「障害別分野」とに体系化し、総合的かつ効果的に実施できるように改めることとした。
  なお、共通分野の具体的な内容については、次のとおりであるので、実施事業の選択に当たっては、障害者の需要を踏まえながら、均衡のとれた事業が実施できるよう配慮願いたい。

【共通分野】
第1 相談支援(必須)
1) 「障害者110番(仮称)」運営事業(新規)
2) 相談員活動強化事業(新規)
第2 情報支援
第3 生活訓練
第4 スポーツ振興等地域交流支援
第5 啓発広報
【障害別分野】
第1 身体障害者支援
第2 精神薄弱者支援
第3 精神障害者支援

○「障害者110番(仮称)」運営事業

 近年、障害者の人権に関わる事件が頻発する状況に鑑み、常設の相談窓口による人権相談等に応じる事業を創設することとしている。
  なお、本事業は、平成10年度より全都道府県・指定都市での実施を予定しているので、準備を含め、格段の配慮を願いたい。
  本事業の内容は概ね次のとおりである。
1) 年間を通じて(日祭日を含め)来所、電話、ファックスによる相談窓口を常設する。利用時間帯は障害者が利用しやすい時間帯とする。
2) 窓口には、常設の相談員を配置するほか、問題の内容に応じて法律・教育・行政等の関係者からなる「専門相談チーム」を編成して、訪問などによる相談体制を整備することにより、問題の解決に当たる。
○相談員活動強化事業
 障害者の身近な地域における身体障害者相談員及び精神薄弱者相談員等の活動を支援するため、具体的活動事例等を用いて実践的な研修を行う事業を創設することとしている。
  本事業は「「障害者110番(仮称)」運営事業」の実施とともに相談体制の強化を狙いとしており、平成10年度より全都道府県・指定都市での実施を予定しているので、特に留意願いたい。

(2)市町村障害者社会参加促進事業
ア 基本事業

 この事業は、障害者の最も身近な市町村において身体障害者の社会参加を促進するものであり、「障害者プラン」において目標値の設定がなされているが、事業の着実な推進を図るため、平成10年度予算(案)では、新たに60か所、合計300か所での実施を予定している。
  また、都道府県事業(「障害者の明るいくらし」促進事業)の総合化と同様、本事業についても、新たに精神薄弱者及び精神障害者のメニューを追加し、市町村の事業として、三障害合わせて実施できるように改めることとしている。
  なお、この事業は、概ね人口5万人規模を単位として実施することとしているが、市町村が単独で実施することが困難である場合には、障害保健福祉圏域内における中心的な市町村を核とする複数市町村による共同実施等ができるように調整・指導されるとともに、事業の内容によっては、都道府県で実施している社会参加促進事業の知識、経験や都道府県社会参加推進センターとの連携も必要となるので、市町村において事業が円滑に実施できるよう指導願いたい。
イ 市町村障害者計画策定試行的事業
 市町村における障害者計画の策定を支援するための事業であり、平成10年度予算(案)において、平成9年度に引き続き59か所での実施を予定している。本事業を活用し、市町村障害者計画の策定が一層推進されるよう、ご配意願いたい。
(3)都道府県障害者社会参加推進センター運営事業(都道府県身体障害者社会参加促進センター運営事業を改称)
 障害者の社会参加施策の効率的かつ均衡ある展開を図るため、既存の「身体障害者社会参加促進センター」を三障害(身体障害、精神薄弱、精神障害)共通のセンターとしてその機能の強化、拡充を図ることとしている。
  これに伴い、名称を「身体障害者社会参加促進センター」から「障害者社会参加推進センター」に改称することとした。
  今後は、精神薄弱者や精神障害者の関係団体も含め、障害の専門性を考慮しながら実施することとしているので、関係団体と十分な連絡調整を取りつつ、効果的に事業が実施できるよう配慮願いたい。なお、詳細については別途お示しする予定である。
  また、「中央身体障害者社会参加促進センター運営事業」についても「中央障害者社会参加推進センター運営事業」に改め、三障害総合的に事業を実施することとしているので、これとの連携についても指導願いたい。

(4)市町村障害者生活支援事業

 この事業は、全ての身体障害者の需要に応えるため、在宅福祉サービス等の利用援助、社会資源の活用や障害者自身の社会生活力を高めるための支援、当事者相談(ピアカウンセリング)を総合的に実施することで、障害者の地域生活を支援するものである。「障害者プラン」において目標値の設定がなされているが、事業の着実な推進を図るため、平成10年度予算(案)では、新たに40か所、合計120か所の実施を予定している。
  障害者プランにおける目標は、障害保健福祉圏域で概ね2か所を整備することとしているが、この事業の全部又は一部を身体障害者療護施設等を運営している社会福祉法人等に委託することもできるので、同圏域内の複数市町村による共同実施等も含めて管下市町村と調整・協議を行い、計画的に整備されたい。


2 障害者スポーツの推進

(1)長野パラリンピック冬季競技大会の開催

 3月5日(木)から14日(土)までの間、長野において、アジアで初めての冬季パラリンピックが開催される。
  近年のパラリンピックはより競技性が高まり、この長野大会にも各国から大勢の一流選手の参加が見込まれているが、我が国においても、これら選手に伍して戦える選手の育成強化に努めてきたところであり、数次の強化訓練事業を経て選抜された70名の選手が参加することとしている。大会は、競技者としての誇りをもった内外選手が繰り広げる迫力ある競技によって見応えのあるものになると期待している。
  また、精神薄弱者のクロスカントリースキーが、冬季パラリンピック史上初めて 正式競技種目として実施されることとなっている。
  大会を間近に控え、各報道機関等もこの大会を積極的に取りあげるなど開催機運も高まってきており、国としても、国民各層の理解と協力の下、国際的行事として所期の目的が達成できるよう是非とも成功させたいと考えているので、各都道府県・指定都市におかれても、ご支援、ご協力願いたい。

(2)全国身体障害者スポーツ大会、ゆうあいピック等の開催

ア 第34回全国身体障害者スポーツ大会(かながわゆめ大会)及びゆうあいピック茨城大会(第7回全国精神薄弱者スポーツ大会)については、次のとおり開催される予定であるので、各都道府県・指定都市におかれては、選手団の派遣等について御配意を願いたい。
  なお、ゆうあいピック茨城大会については、宿泊施設や競技施設・設備等の関係上、総出場選手数や競技別出場選手数に制限を加えなければ円滑な大会運営が望めない状況となったため、先般、同大会への選手派遣に係る留意事項を通知したところであるので特段の御配意を願いたい。
  また、大会の開催費用に対する補助金は、これまで(財)日本身体障害者スポーツ協会及び(社福)全日本手をつなぐ育成会に補助してきたところであるが、平成10年度からは、「障害者の明るいくらし」促進事業の特別事業によって、それぞれの大会の開催都道府県に補助することとしているので御了知願いたい。
○ 第34回全国身体障害者スポーツ大会
会 期: 平成10年11月7日(土)・8日(日)
主 催: 厚生省、(財)日本身体障害者スポーツ協会
神奈川県、横浜市、川崎市他
○ ゆうあいピック茨城大会
会 期: 平成10年10月17日(土)・18日(日)
主 催: 厚生省、(社福)全日本手をつなぐ育成会、(財)日本精神薄
弱者愛護協会
茨城県、水戸市、ひたちなか市、那珂町、東海村他
イ 第7回極東・南太平洋身体障害者スポーツ大会(フェスピック)が、次のとおり開催される予定である。詳細は、別途(財)日本身体障害者スポーツ協会から連絡されることとなるが、選手派遣等についてよろしく御協力願いたい。

名 称: 第7回フェスピックバンコック大会
会 期: 平成11年1月10日(日)〜16日(土)
主 催: フェスピック連盟
フェスピックバンコック大会組織委員会
開催地: バンコック市

(3)身体障害者スポーツ指導員等の養成

 平成10年度予算(案)においては、冬季競技スポーツの充実強化、精神薄弱者スポーツの推進を図るため、冬季競技スポーツに精通した指導員の養成及び精神薄弱者スポーツ指導者の養成について、新たに(財)日本身体障害者スポーツ協会において実施することとしている。
  事業の詳細については、別途同協会から通知されることとなるが、管下関係団体等に対する周知並びに積極的参加の働きかけについて御協力願いたい。


3 国連・障害者の十年記念施設「障害者国際交流センター(仮称)」の整備
 国連・障害者の十年記念施設「障害者国際交流センター(仮称)」については、大阪府堺市に建設を予定し、現在設計作業を進めているところであるが、平成10年度から建設に着手し、3年計画(平成10〜12年度)で建設する予定である。#そのため、平成10年度予算(案)においては、初年度分の経費として約6億円を計上したところである。
  この施設は、障害者国際協力・交流機能、障害者の文化・芸術の発信機能、大規模災害時の障害者支援機能等を有した、全国の障害者の「完全参加と平等」の実現へのシンボル的意味をもち、かつ、障害者の社会参加活動の拠点となるような施設として整備を行うこととしている。
  なお、施設の概要は以下のとおりである。
〔施設の概要〕
建設予定地
大阪府堺市茶山台1丁4番(泉北ニュータウン泉ヶ丘地区)
施設面積
約12,000平方メートル
※ ホール、研修室、宿泊室等を有した施設とする予定
経 費
総事業費 約59億円
うち平成10年度においては建設費の初年度分とし
て約6億円を計上


(企画課監査指導室)

平成10年度における障害保健福祉行政指導監査の実施について

 管下市町村等の実施機関及び障害福祉施設等に対する指導監査については、かねてから格段のご協力を煩わしているところであるが、平成10年度における障害保健福祉行政指導監査については、近年における行政の動向及び当省・各都道府県の指導監査結果並びに社会福祉法人等の経営施設における不祥事件等に鑑み、それぞれの関係法令・通達に基づく適正かつ厳正な執行を確保する観点から、特段のご配意を煩わしたい。
 特に、平成9年4月1日から社会福祉事業法の一部改正により、社会福祉法人に対する指導監督等の権限と同法により設置された社会福祉施設の監督等の権限を政令指定都市及び中核市の長に移譲した道府県にあっては、事務の移譲後、今だ間もないこともあり当該政令指定都市及び中核市の実施する指導監査事務が円滑に行われるよう、特段のご協力をお願いする。
  なお、厚生省が行う平成10年度の指導監査実施計画(案)については、全国障害保健福祉主管課長会議においてお示しする予定である。
  おって、障害保健福祉行政指導監査の実施については、次の事項に留意の上、効果的な実施に努められたい。

(1)障害福祉施設等の指導監査関係

ア 障害福祉施設等に対する指導監査について
 障害福祉施設は、その設置根拠が身体障害者福祉法、精神薄弱者福祉法及び児童福祉法等にわたりその施設の種類は多数におよぶが、その設置目的に沿って保護、介護、リハビリテーション、治療教育等の入所者処遇を行うためには、法人・施設市及び中核市の指導監査の果たす役割は極めて重要である。
  特に、社会福祉法人及び障害福祉施設等における不祥事件・事故等をみると、理事会等が法人運営について十分機能していなかったり、会計事務に関する内部牽制体制が確立されていないこと等に起因することが多いので、事件の発生を未然に防止する見地からも、これらの点に十分配慮した指導監査を実施する等により常時その実態を把握し、その責任者に対して、社会福祉事業の趣旨及び適正な経理の取扱等について十分な理解と認識を求める必要がある。
(ア)指導監査体制の充実
 障害福祉施設等に対する指導監査に当たっては、対象施設が多種にわたることから、それぞれの施設の専門性に応じた監査と一貫した指導が必要となるので、都道府県・政令指定都市及び中核市における指導監査専管組織の設置等指導監査体制の整備及び総合調整機能の充実を図り、監査の整合性、一貫性の確保に努められたい。特に、中核市においては障害福祉施設及び社会福祉法人に対する指導監査権限が移譲されて間もないことでもあり、指導監査体制の整備及び府県との 調整には、特段の配慮を願いたい。
(イ)入所者処遇に重点をおいた指導監査の実施
 各種の障害を有する入所者個々の人格・人権を尊重した適切な入所者処遇が確保 されているかに重点をおいた指導監査を実施するとともに、職員の資質向上の ための研修及び福利厚生等の志気高揚策の充実に努め、有用な人材の確保とその 定着化により、入所者処遇の向上が図られるよう指導されたい。

(ウ)問題等を有する法人・施設に対する重点指導
 問題等を有する法人・施設が指導監査等に基づく指示を受けながら未改善のままである事例が見受けられる。
  このような問題を抱える法人・施設に対する指導監査の実施に当たっては、問題発生の原因や経緯を把握し、その問題点に対応した具体的方針等を持って重点的かつ継続的に実施する必要がある。
  なお、事例によっては、必要に応じ担当課長自らが実地に指導監査を実施するとともに、指導監査結果による指導改善事項については、期限を付してその是正改善等の措置を講じるよう指導されたい。
(エ)平成10年度指導監査の主眼事項等
 平成10年度の指導監査に当たっては、次の事項に主眼をおいて、原則として年1回実施されたい。
1) 入所者の処遇
a 生活者としての処遇
b 生活環境
c 預り金の管理
d 自立への援助
2) 職員の処遇
a 給与水準
b 労働時間の短縮等労働条件
c 業務体制と業務省力化
d 職員研修
e 福利厚生
f 職員確保・定着化
3) 法人及び施設運営
a 法人の運営管理体制
b 施設の運営管理体制
c 内部牽制体制
d 寄付金の取扱
e 不祥事未然防止対策
f 防災対策
g 地域への対応

イ 実施機関の入所措置等に対する指導監査について
 指導監査に当たっては、次の事項に主眼をおいて、原則として年1回実施されたい。
1) 実施体制
2) 入所措置等
3) 費用徴収事務

(2)特別児童扶養手当及び特別障害者手当等支給事務に対する指導監査について

 指導監査は、制度の適正な執行・運営を確保するため、次の事項に主眼をおいて、原則として年1回実施されたい。
1) 実施体制
  2) 請求書受理事務
  3) 支給要件審査
  4) 障害程度認定
  5) 所得審査
  6) 現況(所得状況)届の審査
  7) 受給資格喪失時点の確認
  8) 手当支払事務

(3)精神保健福祉法に関する行政事務指導監査について

 精神保健福祉法に関する行政事務指導監査については、別途、重点事項を定め実施することとしているのでご了知願いたい。
  10年度においても、公衆衛生関係行政事務指導監査と併せて実施することとしているが、この際に精神病院も対象とすることを予定しているので、関係部局との連携を密にし、指導監査が円滑に行えるよう特段の配慮を願いたい。


(障害福祉課)


1 障害者施設の整備及び運営について

(1)身体障害者療護施設における筋萎縮性側索硬化症(ALS)による障害者の受入 体制の整備について

 平成10年度から身体障害者療護施設において、筋萎縮性側索硬化症(ALS)による障害者のうち、入院治療は必要ないが日常生活において常時の介護を必要とする障害者を受け入れる体制を整備することとしている。
ア 特別介護経費の加算
 ALSによる障害者は日常生活において常時の介護を行う必要があり、その介護に当たっては特別の消耗品を必要とすることなどから、平成10年度予算(案)において特別管理費の加算を計上したところである。

 加算単価 1人当たり月額20,000円(特別管理費に計上)
イ 特殊介護設備を備えた専用居室の確保
 身体障害者療護施設に、筋萎縮性側索硬化症(ALS)等の障害者のための人工呼吸器や喀痰吸引器等の特殊な設備を備えた専用居室の整備を図ることとしたものであり、平成10年度以降に新たに整備する施設のうち、定員規模が50人以上の施設については、1施設当たり2床程度の専用居室を、また既存施設については、定員規模が50人以上の施設において、毎年各都道府県1か所1人ずつの受入体制がとれるよう専用居室の確保を図ることとしたものである。

(ア)施設整備費(現行の身体障害者短期入所(ショートステイ)用居室並び)
・国庫補助基準面積 15.3平方メートル×利用(増加)定員

(イ)設備整備費(現行の身体障害者短期入所(ショートステイ)用居室並び)
・初度設備 121,000円×利用(増加)定員
・特殊介護設備 厚生大臣が必要と認めた額
(2)障害児通園施設の相互利用制度の実施について
 平成8年3月中央児童福祉審議会障害福祉部会から、「障害児が生活する身近な地域で指導、訓練を受けることができるように、障害種別ごとの体系となっている通園施設を一本化し、種別を超えた利用を可能とする。」旨の意見具申を受けたところであるが、その具体化の第一段階として平成10年度予算(案)で、精神薄弱児通園施設、難聴幼児通園施設、肢体不自由児通園施設において、本来の対象とは異なる障害児の受け入れを認めることとしたものである。なお、この事業に係る経費については措置費から支弁することとしている。

(3)強度行動障害特別処遇加算費について

 生活環境に対する極めて特異な不適応行動を頻回に示し、日常の生活に困難を生じている、いわゆる強度行動障害を示す者について、精神薄弱者更生施設等に特別処遇体制を整え、適切な指導、訓練を行うための「強度行動障害特別処遇事業」を平成5年度より予算補助事業として試行的に実施してきたところである。
  今後、これを一般的な施策として普及する観点から、平成10年度より措置費制度に「強度行動障害特別処遇加算費」を設けることとし、これに伴い当該補助金は廃止することとした。
  なお、従来この試行的事業に先駆的に取り組むことを評価し、当該事業の対象となる入所者についても重度加算費の支弁対象としていたところであるが、今般、一般施策化することに伴い、強度行動障害特別処遇加算の対象者には重度加算費は適用しないこととなる。

(4)平成10年度における施設整備費の協議等について

ア 平成10年度障害者施設整備協議
 障害者施設の整備については、障害者プランの整備目標に基づき平成14年度までに計画的に整備していくこととしている。
  平成10年度社会福祉施設整備費予算(案)については、財政構造改革の趣旨のもとに、社会福祉施設建設工事等についての三省合同実態調査の結果及び公共工事コスト縮減対策に関する行動指針等を踏まえ、必要な事業量確保のための必要最小限の予算額が計上されている。
  したがって、来年度の施設整備費の執行は非常に厳しいものとなることが予想されており、各都道府県(市)におかれては、障害者施設の国庫補助協議に際して次の諸点に留意し、国庫補助協議対象施設の精査に努められたい。
1) 障害者計画の策定状況、障害保健福祉圏域の設定状況等踏まえ、施設整備の必 要性を総合的に検討し、真に緊急性の高い施設の整備を優先させること。
2) 身体障害者療護施設及び精神薄弱者更生施設を重度障害者の身近な地域に生活等の場として計画的に整備していくためには、地域的な均衡についても配慮する必要があり、そのためには障害保健福祉圏域における施設の整備率が非常に重要となるので、調整に当たっては各圏域ごとの整備率の均衡を十分考慮すること。
  なお、これらの施設の整備計画については、市町村における在宅福祉施策等の積極的な取り組みを前提に整備需要の把握を行われたい。
3) 例年、国庫補助内示後に事業を取りやめる事例が見受けられるが、その内容をみると必ずしも都道府県(市)における審査が適正に行われているとは認め難いものもあるので、来年度の社会福祉施設整備費予算(案)の厳しい状況を踏まえ、法人審査、施設選定には万全を期されたい。
4) 平成10年度には国庫補助基準単価の見直しと民間社会福祉施設に対する社会福祉・医療事業団の融資制度の見直しが行われる予定であるので、社会福祉法人の資金計画については、厳密に審査を行われたい。

イ 障害者施設整備業務の再点検
 平成8年度決算結果報告において、会計検査院から社会福祉施設整備費で実施した障害者施設整備事業において、不適切な最低制限価格の設定や建築工事の一括下請負について指摘を受けたところである。
  各都道府県(市)におかれては、「社会福祉法人の認可等の適正化並びに社会福祉法人及び社会福祉施設に対する指導監督の徹底について」平成9年3月28日社援企第68号障害保健福祉部長、社会・援護局長、老人保健福祉局長、児童家庭局長連名通知を踏まえ、施設整備業務の再点検の強化と未然防止策の検討を図り、再発防止に努められたい。


2 在宅施策

(1)訪問介護員(ホームヘルパー)について

・ ホームヘルパーの増員
 本事業の実施については、高齢者を対象とした訪問介護(ホームヘルプサービス)事業と一体的にその拡充が図られてきたところであるが、障害者プランでは障害者専用のホームヘルパーとして45,000人(身体障害者・児、精神薄弱者・児、難病分を含む)を平成14年度までに計画的に上乗せすることとしており、平成10年度予算(案)では、8,600人増の24,100人分を計上したところである。
  本事業が障害者の自立と社会参加を支える役割を担うためには、障害の特性や多様な要望に的確に対応できる制度運用面のきめ細かな配慮が重要である。ついては、実施体制の確保を図る観点から、障害主管部局として管下市町村において必要な増員が図られるよう強力に指導するとともに、地域の障害者の要望を十分反映する等、制度の運用に当たっても、引き続き管下市町村に対する指導を徹底願いたい。

(2)短期入所事業(ショートステイ)について

ア 障害者及び介護者のための家庭介護(ホームケア)促進事業の実施(身体障害者短期入所事業分)
 身体障害者短期入所事業(ショートステイ)において、障害者及び介護を行う家族等を概ね1週間程度入所させ、障害者自身には日常動作訓練及び介護の受け方の指導を行うとともに、介護者に対しては介護実習を行うものである。ただし、介護者に係る経費については本人負担とする。
  また、対象となる障害者及び介護者に対し、家庭介護に関する指導、助言を行うとともに、家庭における介護方法等を記載した「障害者及び介護者のための家庭介護(ホームケア)方法書」を作成し、交付するものである。

イ 生活等訓練事業の実施(障害児(者)短期入所事業分)
 障害児(者)短期入所事業において、障害児(者)及び保護者等を概ね1週間程度入所させ、障害児(者)には日常動作訓練等を行うとともに、保護者等には、家庭における養育方法の正しい知識、技術を習得させる。ただし、保護者等に係る経費については本人負担とする。
  また、保護者等から家庭における養育についての相談を受け、指導、助言を行い養育指針となる方法書を作成し、交付するものである。

(3)身体障害者相談員設置費及び精神薄弱者相談員設置費の一般財源化について

ア 身体障害者相談員
 身体障害者福祉法第12条の3の規定による身体障害者相談員の設置については、昭和42年より実施されてきたところであるが、制度創設から30年が経過し、各地方公共団体において概ね同化・定着したことから、平成10年度より一般財源化をする予定である。
  しかしながら、障害者の地域活動の中核体となる相談員の役割はなおも重要であり、従来より障害者概ね200人に1人の割合で相談員を設置してきたことを踏まえ、一般財源化されることにより水準の低下につながらないよう今後もその確保や資質の向上に努められたい。
  なお、相談員の手当については、地方交付税の基準財政需要算定上の単位費用に算定される予定である。

イ 精神薄弱者相談員

 精神薄弱者福祉法第15条の2の規定による精神薄弱者相談員の設置については、昭和43年より実施されてきたところであるが、身体障害者相談員と同様に一般財源化をするとともに地方交付税上の措置を講じられる予定である。
  精神薄弱者相談員については、従来より福祉事務所1か所に概ね4人の割合で相談員を設置してきたことを踏まえ、今後ともその確保や資質の向上に努められたい。


3 精神薄弱者援護施設における不祥事の発生防止及びその対応について
 精神薄弱者の人権侵害の防止及び早期対応については、機会あるごとに注意喚起してきているところであるが、先般、福島県知事が社会福祉事業法第54条第2項に基づく改善措置を命じた社会福祉法人「幸愛会」(精神薄弱者更生施設「白河育成園」運営)等にみられるように、依然として入所者に対する体罰等の人権侵害事例が発生していることは、誠に遺憾である。
  精神薄弱者援護施設において、体罰や入所者預かり金の不正使用等の不祥事が根絶されない要因としては、愛のムチと称する体罰を必要視ないしは容認する風潮がみられること、入所者の障害基礎年金を寄付財源に見込んだ不当な資金計画の下での事業開始があること、入所者が外部に訴える力が弱いということに付け込んだいわゆる密室の中での独善的運営に陥りやすいこと等がその一因であると考えられる。
  ついては、以下のような事項に留意の上、管下法人・施設の指導監督に万全を期されたい。

(1)このような不祥事は、多額な公費が投入されている社会福祉事業の信頼が損なわれ、また、適切な施設運営に厳しい努力をしている他の同種施設までが社会の不信感を被ることになる。
  不祥事を起こした法人及び関係者の責任を明らかにして再発を防止し、不祥事により損なわれた信頼を回復するためにも、迅速かつ厳正な対応が求められたい。

(2)不祥事が発覚した場合であっても、入所者の措置に係る問題や法人の借入金処理の問題等を抱えていることから、社会福祉事業法第54条の積極的な適用がなされているとは言い難い状況にある。
  しかしながら、上記趣旨にかんがみれば、社会福祉事業法に基づく措置を講じ、かつ情報公開により積極的に不祥事に係る関係者の責任を明らかにすることも必要である。特に、不祥事に関する具体的な問題点を言及している情報等が寄せられた場合は、速やかに入所措置を講じている福祉事務所、保護者、施設関係団体その他関係者の協力を得て情報の収集・分析を行うとともに、社会福祉事業法第54条の規定に基づく調査を実施する必要がある。

(3)社会福祉事業法に基づく措置を講ずることに伴い、入所者の措置替えの必要性が想定される場合は、近隣他施設での定員超過受け入れ、短期入所専用居室の暫定的活用、精神薄弱者地域生活援助事業(グループホーム)の緊急的実施等の検討も必要になると思われるので、個別に厚生省に協議されたい。

(4)福祉事務所が入所措置を講ずるにあたっては、対象者の障害状況や介護等の援助の必要の度合い、家庭状況等を勘案して入所の優先度が考慮されるべきであり、寄付金の如何に影響される性格のものではない。このことからすれば、法人が施設整備の際に入所を前提にした寄附要請を保護者に行うことは問題であり、保護者に誤った認識と期待を抱かせ、法人・施設運営のトラブルの要因ともなるので、法人認可や施設整備に伴う審査の際には十分留意されたい。

(5)福祉事務所は措置権者として、援護の委託をした精神薄弱者に対する処遇状況を適宜把握することとし、都道府県等が法人・施設の指導監査を行う際には、予め関係福祉事務所から入所者の処遇状況に関する情報を徴した上、実効ある指導監査に努められたい。


(精神保健福祉課)

1.精神病院における不祥事の発生防止及びその対応について
 精神保健福祉施策の推進については御高配をお願いし、かねてより人権に配慮した適 切な精神医療の確保に努めていただいているところであるが、近年、長野県の栗田病院、 高知県の山本病院、大阪府の大和川病院等、入院患者に対する暴行事件等患者の人権を 無視した精神病院における不祥事が相次いで発生し、精神病院に対する国民の不信を招 き、大きな社会問題となっていることは、誠に遺憾である。
  特に大阪府の大和川病院においては、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づき、患者の人権の確保や常勤の精神保健指定医の確保等について改善命令を行ったところである。また、精神保健指定医については、昭和62年の精神衛生法改正で精神保健指定医が制度化されて以来、医師免許の取消し等に伴う場合を除き、初めて指定の取消しを行ったところである。
  このような不祥事の発生に鑑み、現在、昭和31年6月8日衛発第357号厚生省公衆衛生・医務局長連名及び昭和59年6月22日衛発第425号・医発第583号・社保第62号厚生省公衆衛生・医務・社会局長連名通知等に基づき実施されている精神病院に対する実地指導等について、必要な見直しを行うこととしており、あらためて精神病院に対する指導監督等の徹底について通知することとしている。
  各都道府県、指定都市におかれては、精神病院の入院患者の処遇について、精神保健福祉法に基づき、行動制限、通信・面会等に係る処遇が適切に行われ、人権に配慮した適切な精神医療が確保され、今後、二度とこのような不祥事が起こらないよう、地方精神保健福祉審議会においても十分に審議いただき、管下精神医療機関に対する指導を徹底する等、引き続き格段の配慮をお願いする。
○ 実地指導の見直しのポイント(案)
・ 事前通知については、最長でも1週間から10日間の予告期間をもって行うこととするが、場合によっては予告期間なしに実施できること。
・ 精神保健指定医を同行させること。
・ 実地指導項目を明確化し、昭和62年以降の法律改正に伴う新規事項についても指導項目に盛り込むこと。


2.精神障害者社会復帰・福祉施策の推進

(1)障害者プランの推進

 精神障害者社会復帰施設・事業等については、平成7年12月に策定された障害者 プランにおいて多くの数値目標を盛り込むなど計画的な推進を図っているところであ るが、精神障害者社会復帰施設等については、昭和62年の法改正で社会復帰対策の 推進を法律に位置付けて以来、まだ歴史が浅いことに加え、これまで地元の理解が得 られにくい等の理由により、自治体からの整備要望も少なく、他障害の施策に比べ整 備が遅れている現状にある。
  現状のままでは、障害者プランの達成に支障が生じることも考えられるため、各都道府県・指定都市におかれては、障害者計画における具体的な数値目標の設定及び障害保健福祉圏域の設定等を行うとともに、貴管下市町村に対し早急に障害者計画を策定するよう指導する等、精神障害者社会復帰・福祉施策の推進体制を整え、その推進に努められたい。

(2)精神障害者保健福祉手帳に基づく援助施策の推進について

 平成7年10月に創設した精神障害者保健福祉手帳制度は、関係各方面の協力により、各種の支援策を促進し、もって精神障害者の社会復帰及び自立と社会参加の促進を図ることを目的とするものである。
  平成9年11月末現在で96,203人が本手帳の交付を受けており、厚生省としても、平成10年度予算案では、生活福祉資金貸付制度の対象に精神障害者世帯を加えるとともに、特別障害者控除の引き上げを行うなど、社会復帰及び自立と社会参加の促進を図ることとしたところであり、他の手帳制度と同様な支援策を講じられるよう、引き続き関係各方面に協力を依頼しているが、各都道府県、指定都市におかれても、その趣旨を踏まえ、手帳に基づく各種の援助施策の拡充に努めるよう、特段の尽力をお願いする。


3.精神保健福祉士法の施行について
 精神保健福祉士法は、精神障害者の社会復帰の促進が我が国の精神保健福祉行政の最大かつ緊急の課題となっていることを踏まえ、精神障害者の保健及び福祉に関する専門的知識及び技術をもって、精神障害者の社会復帰に関する相談援助を行う人材の養成・確保を図ることを目的とするものであり、第140回通常国会に法律案が提出され、継続審議となっていたところであるが、昨年12月の臨時国会において可決・成立した。
  同法の施行のための直近のスケジュールは以下のとおり。
平成10年1月8日 : 精神保健福祉士法の一部の施行期日を定める政令及び
精神保健福祉士法施行令の公布
平成10年1月30日 : 精神保健福祉士法施行規則等の関係省令・告示の公布
平成10年2月1日 : 精神保健福祉士法のうち、養成施設の指定等に係る部
分についての施行
平成10年2月1日 : 指定養成施設の申請の受付開始
平成10年2月中旬〜下旬: 精神保健福祉士養成施設指導要領等の関係通知の発出
平成10年4月1日 : 精神保健福祉士法の施行
平成10年秋 : 現任者講習会の開催
平成11年当初 : 第1回精神保健福祉士試験の実施

 精神保健福祉士法の施行に当たっての細目については、上記に記述してあるとおり、2月中旬以降に追って連絡をする予定であるので、各都道府県等におかれても、精神保健福祉士法が円滑に実施されるよう、特段の配慮を願いたい。
  また、早急に精神科ソーシャルワーカーの人材の確保を図るため、現在、精神科ソーシャルワーカーとして業務に従事している者については、可能な限り離職することなく、その資質の向上を促すことが必要であることから、法施行後一定期間(平成15年3月31日まで)に限って、現任者についての特例措置を設けた。
  具体的には、本年4月1日において、5年以上精神障害者の社会復帰の相談・援助業務に従事している者に対しては、講習会を受講することで受験資格を取得できるというものであり、貴都道府県等の精神保健福祉センター、保健所又は市町村保健センターにも当該措置の該当者がいると思われるが、これらの者についても4月1日現在で当該業務を行っていなければ経過措置の対象外となるので、これらの者に対する人事上の配慮等についても御協力願いたい。


4.精神障害者の身体合併症治療体制整備試行的事業の実施について
 身体症状を併せ持つ精神障害者(いわゆる身体合併症患者)については、精神障害と身体疾患を並行して治療する必要があることから、平成8年度から2年間にわたり「精神障害者の身体合併症の治療体制の整備に関する状況調査事業」を実施した結果、全国レベルでの身体合併症の発生頻度や合併症病床の必要数等が明らかになったところである。
  これらを踏まえ、医療体制のあり方については、具体的な検討が必要であることから、平成10年度において、当該検討に必要な基礎的データの収集等を行い、その結果を評価、分析するため、合併症治療体制の整備を試行的に行うための事業を実施することとしている。
  各都道府県におかれては、当該趣旨を御理解の上、事業の実施に関して特段の配慮を願いたい。なお、実施に際しての実施要綱等については、別途通知することとしている。
  また、平成7年度から実施している精神科救急医療システム整備事業については、平成10年度予算案においても30県分の予算を確保しているところであるが、現時点において20県に満たない都府県での実施にとどまっていることから、未実施の道府県においては、本事業の趣旨を踏まえ、早期実施に向け積極的な取組みをお願いする。


5.厚生科学研究「若年痴呆の実態に関する研究」について
 頭部外傷、脳血管障害、アルツハイマー病等の疾病により、重度の知能障害に至ったものを「器質性精神障害」といい、このうち、発達途上(概ね18歳まで)に発生したものは「精神薄弱」として、65歳以上の老人は「老人性痴呆」として、各々精神薄弱者福祉施策、老人福祉施策の対象となっている。しかしながら、その対象外にある18歳から64歳までの、いわゆる「若年痴呆」を有する者については、身体障害等の障害がない者については現行障害者制度の対象とならず、施策の狭間にあることが指摘されてきたため、平成8年度厚生科学研究「若年痴呆に関する研究」において、我が国における「若年痴呆」を有する者の人数及びその保健医療サービスの活用状況等の実態の把握を行うため調査研究を行い、当該研究の成果が報告書として取りまとめられたところであるので、関係機関への情報提供等、業務の参考に供されたい。

  なお、平成9年度においても、引き続き調査研究を継続する予定である。

6.テレビ番組の視聴による健康被害への対応について

 昨年の12月16日に放映されたテレビアニメ番組「ポケットモンスター」の視聴者の間で、気分不良、意識障害、けいれん等の発作等の健康被害が全国的に発生した問題については、その原因は特定されていないが、精神保健上の問題である場合も考えられることから、健康被害を受けた方等から相談の求めがあった場合には、精神保健福祉センターなどにおいて相談を受けられるようにするため、適切な相談事業等の実施方について都道府県・指定都市の衛生主管部(局)長に対し、12月18日付で通知したところである。
  引き続き、関係医療機関との連携を図りつつ、その適切な実施について遺漏のなきよう配意願いたい。
  なお、この番組の視聴中に引き起こされた健康被害の原因を明らかにし、今後の対応に関し検討を行うため、厚生科学特別研究「光感受性発作に関する臨床研究班」を設置し、今年度内を目途に研究報告書を取りまとめる予定である。当該研究の成果に基づいて、適切な精神保健相談及び関係機関への情報提供等を実施されたい。



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