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全国厚生関係部局長会議資料

平成10年1月21日(水)

年金局


目   次

1 次期年金制度改正について

2 ドイツとの社会保障協定について

3 年金積立金の管理運用について

(参 考)

 厚生年金基金の事業概況

 国民年金基金の事業概況



1 次期年金制度改正について


(1)次期年金制度改正の考え方
 少子・高齢化の進展、経済基調の変化等公的年金制度を取り巻く状況は極めて厳しくなっており、平成11年の次期財政再計算においては、給付と負担の均衡を確保し、将来世代の負担が過重なものとならないよう制度の抜本的な見直しを行い、将来にわたって安心して年金が受給できる制度としていくことが必要となっている。

(2)今後のスケジュール

 昨年5月27日から、年金審議会において、次期財政再計算に向けての検討を開始した。
 年金審議会では、制度改正に係る基本的事項をはじめ、給付と負担の適正化、厚生年金基金、年金積立金の自主運用の在り方等幅広く検討を行っており、昨年12月5日の年金審議会で「論点整理」が取りまとめられた。今後、年金審議会では更に検討が進められ、本年9月頃に意見書を取りまとめる予定となっている。
 また、厚生省として、昨年12月5日に、給付と負担の枠組みについて「5つの選択肢」を提示した。
 年金制度改正に当たっては情報開示に努めることとしており、今後、年金制度の仕組みや現状、「5つの選択肢」の内容をわかりやすく説明した「年金白書」の取りまとめ、「有識者調査」の実施等を行うこととしている。

(3)「論点整理」について

 年金審議会においては、昨年の5月から12回にわたり、次期年金制度改正に関する諸問題について、様々な角度から審議を重ねてきたが、一巡目の議論を終えたところで、それまでの議論を整理するとともに、国民的議論に資するよう、「論点整理」を取りまとめた。

(4)「5つの選択肢」等について

 公的年金制度の改革をめぐっては、現行制度の枠組みを維持した上での改革案から現行制度を基本から見直し新しい体系に組み直す案まで様々な考え方がすでに各方面で提言されている。
 また、第3号被保険者やパート労働者の取扱い、少子化対策、学生の取扱いなど個別のテーマについても種々の指摘や提言がある。
 公的年金を長期的に安定して運営し、給付と負担の均衡を図るため、給付と負担をどのような水準で均衡させるかが最も重要な課題である。
 その検討を進めるため、それぞれの改革案の具体的内容とそれが給付や負担に及ぼす影響を具体的数値で示すこととし、次期制度改正の議論の素材として、給付と負担の在り方に関する枠組みについて、5つの選択肢を提示することとした。あわせて、それらの給付と負担の均衡を図るための主な手法と、それが保険料へ及ぼす影響について試算結果を示すこととした。
 このほか、女性の年金の在り方などの個別テーマや企業年金や個人年金の在り方などの諸課題についても引き続き検討を深めていく必要がある。

「年金改革・5つの選択肢」の概要

A案 現行制度の給付設計を維持する案
 前回の平成6年改正に基づく給付水準や支給開始年齢等を維持する。
 厚生年金の最終保険料率は、月収の34.3%(ボーナスを含む年収の26.4%)に上昇。

B案 厚生年金保険料率を月収の30%以内にとどめる案
 厚生年金の最終保険料率を、前回の平成6年改正の前提であった月収の30%(ボーナスを含む年収の23%程度)以内にとどめることとし、その範囲内に収まるよう給付設計を見直す。
 平成37(2025)年度時点で支出総額を1割程度抑制することが必要。

C案 厚生年金保険料率を年収(ボーナス含む)の20%程度にとどめる案
 厚生年金の最終保険料率を、ボーナスを含む年収の20%程度(月収の26%程度)にとどめることとし、その範囲内に収まるよう給付設計を見直す。
 平成37(2025)年度時点で支出総額を2割程度抑制することが必要。

D案 厚生年金保険料率を現状程度に維持する案
 厚生年金の最終保険料率を、現状程度の月収の20%程度(ボーナスを含む年収の15%程度)にとどめることとし、その範囲内に収まるよう給付設計を見直す。
 平成37(2025)年度時点で支出総額を4割程度抑制することが必要。

E案 厚生年金の廃止(民営化)案
 公的年金は基礎年金を基本に1階建ての年金とするとともに、厚生年金は廃止し、積立方式による民間の企業年金又は個人年金に委ねる。


「次期年金制度改正についての『論点整理』」(年金審議会)
における検討項目一覧

1. 制度改正に係る総括的事項

2. 公的年金の基本的在り方

3. 公的年金制度

(1) 給付と負担の水準
(2) 給付の仕組み

(1) スライド方式
(2) 高齢在職者、高所得者等に対する給付
(3) 支給開始年齢
(3) 保険料負担
(4) 総報酬制
(5) 基礎年金
(6) 次期財政再計算における経済的前提等
(7) 上記以外の項目
(1) 第3号被保険者
(2) 離婚の場合の年金権等
(3) パート労働者等の取扱い
(4) 少子化への対応
(5) 学生への適用等
(6) 障害年金
(7) 施設入所者の年金給付
(8) 年金制度の一元化
(8) 年金現業業務

4. 厚生年金基金等

(1) 厚生年金基金

(1) 代行制度
(2) 拠出建て給付設計の導入
(3) 支払保証制度
(2) 企業年金に関する包括的な基本法の在り方

5. 年金積立金の運用


2 ドイツとの社会保障協定について

(1) 状況
 国際化に伴い、在留邦人等が外国の滞在期間中に日本と外国の年金制度に二重に加入しなければならない等の問題が生じている。
 このため、ドイツとの間で、日本とドイツを仕事で往来する者等についていずれかの国の年金制度にのみ加入すればよいこととする等を内容とする「日・独社会保障協定(仮称。以下単に「協定」という。)」を締結することとしている。
 協定については、数次にわたる政府間交渉を経て、現在、両国政府部内で最終調整中であり、できるだけ早期に署名を行うこととしている。
また、この協定を実施に移すために必要な厚生年金保険法等の公的年金各法の特例等を定める法律案(以下「実施特例法」という。)を、協定について署名が行われ次第、協定案とともに国会に提出する予定である。

(2) 実施特例法案の内容

協定の実施に伴い、厚生年金保険など公的年金制度について、

(1) ドイツの制度に加入する者等は日本の制度に加入することを要しない(二重加入の防止)

(2) 年金受給のために必要な加入期間について、日本とドイツの制度加入期間を通算する(加入期間の通算)

等の特例等を設ける。

(3) ドイツ以外の国との今後の取組み

 今後とも、人的交流の活発な国を中心に二国間の年金協定の締結に向けた取組みを進め、国際化時代に対応した年金制度にしていくこととしている。


3 年金積立金の管理運用について

(1)厚生年金・国民年金積立金の累積状況
平成9年度末積立金累積額(予算)133兆6,474億円

(2)年金福祉事業団

年金積立金還元融資事業

貸付事業の資金計画額

   福祉施設設置整備資金貸付事業   224億円
被保険者住宅資金貸付事業   1兆5,021億円
年金担保小口資金貸付事業    1,320億円
―――――――――――――――――――――――――――――
  合      計   1兆6,565億円

年金積立金自主運用事業

自主運用事業の資金計画額

年金財源強化事業    2兆8,000億円
資金確保事業   1兆  575億円
―――――――――――――――――――――――――――――
  合      計    3兆8,575億円

*平成10年度末累積運用額

年金財源強化事業     18兆1,860億円
資金確保事業    7兆5,670億円
―――――――――――――――――――――――――――――
  合      計   25兆7,530億円


(3)特別地方債
厚生福祉施設整備事業   2,151億円
一般廃棄物処理事業  5,554億円
住宅事業    67億円
簡易水道事業    967億円
病院事業   4,770億円
と畜場整備事業   57億円
観光その他事業   85億円
―――――――――――――――――――――――
合      計   1兆3,651億円



(参 考)

厚生年金基金の事業概況

1.基金数、加入員数

年度(末) 基金数 加入員数
1,735 11,571千人
1,804 11,919
1,842 12,051
1,878 12,130
1,883 12,096
9(H.10.1.1) 1,881 12,362

2.年金給付

年度(末) 受給者数 1件当たり年金額
(月額) プラスアルファ部分のみ
635,557 36,787 17,908
702,929 40,055 19,632
770,969 43,625 21,802
864,713 47,108 23,891
958,096 50,574 25,932

(注)加算部分について全額一時金選択をした者を除く。

3.積立金残高

(単位:億円)
年度(末) 信託 生保
205,118 115,415 320,534
222,810 132,753 355,564
238,621 146,750 385,370
257,209 161,653 418,862
292,604 156,986 449,590

(注) 1.連合会分を含む。
2.平成8年度については、信託協会、生命保険協会調べ。

4.資産運用拡大実施状況

年度(末) 運用拡大認定
基金数
投資一任契約等
締結基金数
627 176
681 300
758 332
830 401
952 539
9(H.10.1.1) 983 654


国民年金基金の事業概況

1.基金数及び加入員数

(単位:千人)
年度末 地 域 型 職 能 型 合 計
基金数 加入員数 基金数 加入員数 基金数 加入員数
47 472 23 102 70 574
47 539 25 118 72 657
47 635 25 136 72 771
47 695 25 145 72 840
47 756 25 153 72 909
平成9年10月末 47 777 25 155 72 932

2.平均掛金額

(単位:円)
年度末 1口目 2口目以降 合 計
10,680 9,372 20,052
10,553 9,328 19,881
10,344 9,112 19,456
10,333 9,230 19,563
10,357 8,855 19,212
平成9年10月末 10,389 8,932 19,321

3.年代別加入者割合

年 齢 20〜29歳 30〜39歳 40〜49歳 50〜59歳
割合 4年度末 9.9 % 21.9 % 39.6 % 28.6 %
5年度末 9.1 % 21.2 % 38.9 % 30.8 %
6年度末 9.0 % 21.1 % 38.4 % 31.5 %
7年度末 8.3 % 20.6 % 38.8 % 32.3 %
8年度末 7.8 % 20.2 % 37.9 % 34.1 %
平成9年10月末 7.0 % 20.0 % 36.8 % 36.2 %



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