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全国厚生関係部局長会議資料

平成10年1月21日(水)

保 険 局


目 次

1.平成10年度医療費関連施策

2.国民健康保険制度等の改正案について

国民健康保険制度等改正案要綱
国民健康保険制度等改正関係資料

3.医療保険制度の抜本改革について

4.医療費適正化について


1 国民健康保険制度等改正案要綱

第1 改正の趣旨
 老人保健制度の抜本的改革は、平成12年度を目途に実施することとされているが、老人医療費拠出金の算定方法については、平成7年改正において、平成10年3月を目途に検討を行い、所要の措置を講ずるものとするとの検討規定が置かれている。近年、人口の高齢化等に伴い、退職者に係る老人医療費拠出金が増大してきていること、また、老人加入率が著しく高い保険者数が増加してきていることに鑑み、抜本的改革が行われるまでの間においても、現行制度の下における老人医療費拠出金の負担の公平化を図ることとし、あわせて、診療報酬の不正請求の防止等所要の改正を行うものとする。

第2 老人医療費拠出金に関する事項

1 退職者に係る老人医療費拠出金の負担の見直し(国民健康保険制度)

 退職者に係る老人医療費拠出金について、現在、市町村国民健康保険が負担している額の2分の1を、退職者医療制度において負担するものとすること。

2 老人加入率上限に関する特例の見直し(老人保健制度)

 老人医療費拠出金の算定に用いられる老人加入率の上限を、現行の25%から、当分の間、30%に改めること。
第3 診療報酬の不正請求の防止に関する事項

1 保険医療機関の指定等の取消しに係る再指定等を行わないことができる期間の延長(健康保険制度)

 保険医療機関の指定及び保険医の登録等の取消しが行われた場合に、再指定等を行わないことができる期間を、現行の最長2年から最長5年に改めること。

2 加算金の割合の引上げ(健康保険制度、国民健康保険制度等)

 診療報酬の不正請求に係る返還金に対する加算金の割合を、現行の10%から40%に改めること。

第4 保険医療機関の病床の指定等に関する事項(健康保険制度)

(1) 都道府県知事は、病床過剰地域において、医療法に基づく勧告が行われた病院等から保険医療機関の指定申請等があったときは、新たな病床の全部又は一部を除いて保険医療機関の指定等を行うことができるものとすること。

(2) 都道府県知事は、既存の保険医療機関等の病床を含め、保険医療機関の指定申請等のあった病院等について、医師、看護婦その他の従業者の員数が医療法に定める標準を勘案して厚生大臣が定める基準に満たないとき、その他適正な入院医療の効率的な提供を図る上で保険医療機関等として著しく不適当と認められるときは、その病床の全部又は一部を除いて保険医療機関の指定等を行うことができるものとすること。

第5 その他

1 健康保険組合等の予算に係る認可の見直し(健康保険制度(政令事項)、国民健康保険制度)

 健康保険組合、健康保険組合連合会、国民健康保険組合及び国民健康保険団体連合会の予算に係る監督庁の認可を、監督庁への届出に改めること。

2 市町村国民健康保険の事務費負担金の一般財源化(国民健康保険制度)

 市町村国民健康保険の事務費負担金については、一般財源化するものとすること。

3 その他所要の改正を行うこと。

第6 施行期日

(1) 第2の1(退職者に係る老人医療費拠出金の負担の見直し) 平成10年7月1日から施行
(2) 第2の2(老人加入率上限に関する特例の見直し)及び第5の2(市町村国民健康保険の事務費負担金の一般財源化) 平成10年4月1日から施行
(3) 第3(診療報酬の不正請求の防止に関する事項)、第4(保険医療機関の病床の指定等に関する事項)及び第5の1(健康保険組合等の予算に係る認可の見直し) 公布日より3月を超えない範囲において政令で定める日から施行



2 国民健康保険制度等改正関係資料

I 老人医療費拠出金に関する事項について

(1) 退職者に係る老人医療費拠出金の負担の見直し

ア 退職者医療制度の概要

(1) 退職者医療制度の発足
 退職者医療制度は、昭和59年10月から実施。
(2) 退職者医療制度の対象者
 退職者医療制度の対象者は、市町村国保に加入している厚生年金等の被用者年金受給者及びその家族のうち、老人保健制度の対象者でないもの。
 (対象者数 本人:約290万人、家族:約130万人)
(3) 退職者医療制度の負担の仕組み
 退職者の保険給付費と保険料との差額は、被用者保険から拠出。
 退職者の保険給付費や保険料は、一般の国保とは区分経理。
(参考)退職者医療制度の負担の仕組み(平成8年度)

    ・退職者の保険給付費     約1兆2,900億円
    ・退職者の保険料       約4,000億円
 ―――――――――――――――――――――――――
      被用者保険による拠出分    約8,900億円


(イ) 退職者に係る老人医療費拠出金の負担の見直し

 退職者に係る老人医療費拠出金(平成8年度 約2,000億円)については、退職者が加入している市町村国保が全額負担している。
現在、市町村国保が負担している額の2分の1を退職者医療制度で負担することに改める。
(平成10年度財政効果 国庫負担△360億円)


イ 老人加入率上限に関する特例の見直し

○ 老人保健制度は、70歳以上の老人医療費を、患者一部負担のほか、公費と各保険者の拠出金で賄う制度(全医療保険者の共同事業)

老人医療費 10.4兆円(平成10年度予算案ベース)

・患者一部負担 0.9兆円
・公 費 3.2兆円
・拠出金 6.4兆円

○ 患者一部負担の内容

外 来 1日につき 500円(月4回を限度)+ 薬剤負担
入 院 1日につき  10年度 1,100円 + 食費負担
    11年度 1,200円 + 食費負担

○ 公費負担

・ 給付費の3割(老人保健施設など介護的要素の強い医療については5割)は、公費により負担(国2/3、県1/6、市町村1/6)

○ 各保険者の負担する拠出金

・ 全国平均の老人加入率で調整するのが原則だが、現行制度は、老人加入率が25%を超える保険者については老人加入率が25%として調整している。

平成9年度 25%として調整
下矢印
平成10年度 30%に改める

(注)
 上限(改正後30%)以上に加入している分は調整しきれず、当該保険者の負担増になる。(平成10年度財政効果 国庫負担△200億円)


(2) 診療報酬の不正請求防止等に関する事項について

ア 保険医療機関の指定取消しに係る再指定等を行わないことができる期間の延長について

I 現行の指定拒否・登録拒否の要件

1.保険医療機関・保険薬局

 都道府県知事は、保険医療機関等の指定の申請があった場合に、当該医療機関等が以下に該当する場合は、指定を拒むことができる。

(1) 指定取消を受けてから2年を経過しないとき
(2) 診療、調剤内容の適切を欠くおそれがあるとして重ねて都道府県知事の指導を受けたとき
(3) その他保険医療機関等として著しく不適当と認めるとき

2.保険医・保険薬剤師

 都道府県知事は、保険医等の登録の申請があった場合に、当該医師等が以下に該当する場合は、登録を拒むことができる。

(1) 登録取消を受けてから2年を経過しないとき
(2) その他保険医等として著しく不適当と認めるとき

II 保険医療機関等の指定取消等の状況

各 年 度 H4 H5 H6 H7 H8
保険医療機関等の取消(件数) 21 24 17 15 40
保険医等の取消(人数) 23 30 17 18 24

(3) 保険医療機関の病床の指定に関する事項について

 医療法に定める医療計画及び勧告について

(1) 医療計画の目的

 地域医療の体系的な医療供給体制の整備を促進するため、医療資源の効率的活用、医療施設間の機能連係等の確保を図る。

(2) 医療計画の内容

医療計画図

(3) 医療計画の達成の推進のための勧告

 医療計画の達成の推進のため特に必要がある場合は、都道府県知事は病院開設者等に対し、都道府県医療審議会の意見を聴いて、病院の開設、病床数の増加等に関して勧告できる。


(3)退職者に係る老人医療費拠出金の額の推移(推計)


  市町村国保の被保険者数のうち、退職者の数が占める割合
市町村国保に賦課される老人医療費拠出金の額
退職者に係る老人医療費拠出金の額
C=A×B
昭和60年度 6.39 %
(100.0)
1兆3,755億円
(100.0)
879 億円
(100.0)
平成2年度 8.90 %
(139.3)
1兆4,226億円
(103.4)
1,266 億円
(144.0)
平成7年度 10.82 %
(169.3)
1兆7,486億円
(127.1)
1,892 億円
(215.2)
平成8年度 10.94 %
(171.2)
1兆8,996億円
(138.1)
2,078 億円
(236.4)

※ カッコ内の数字は、昭和60年度を100とした場合の指数。


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