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健政発第382号
医薬発第427号
平成11年3月31日

各都道府県知事 殿

厚生省健康政策局長

厚生省医薬安全局長


医療分野における「コンピュータ西暦2000年問題」への対応について(通知)

 コンピュータのプログラムが西暦2000年以降の日付に対応していない場合にシステムが正常に機能しない、いわゆる「コンピュータ西暦2000年問題」(以下「2000年問題」という。)については、平成10年10月20日付けで厚生省健康政策局長、医薬安全局長及び大臣官房障害保健福祉部長連名通知『医療分野における「コンピュータ西暦2000年問題」への対応について』において、医療機関及び医療用具製造業者等へそれぞれ適切な対応をとるよう周知徹底方お願いしたところである。
 今般、社団法人日本医師会と協力して『医療分野における「コンピュータ西暦2000年問題」への対応〜自主的総点検表〜』(以下、「自主的総点検表」という。)を策定し、「医療用具製造業者等リスト」及び「2000年問題発生のおそれがある製品リスト」とともに病院、一般診療所、歯科診療所及び助産所へ送付したところであるが、新規開設等現時点で厚生省において把握していない対象施設にも(別紙1(1))による関係書類の送付等を行うとともに、「自主的総点検表」を参考として「2000年問題」への遺漏なき取組みがなされるよう指導方お願いする。(別紙1参照)
 また、平成10年12月7日付け厚生省医薬安全局審査管理課長及び安全対策課長連名通知に基づく、全ての医療用具製造・輸入販売業者等を対象とした調査結果を(別紙2)のとおりとりまとめたので貴管下医療機関へ周知方お願いする。
 なお、本通知の写しを日本医師会会長、日本歯科医師会会長、日本薬剤師会会長、日本看護協会会長、日本助産婦会会長、日本病院会会長、全日本病院協会会長、日本病院薬剤師会会長、日本医療法人協会会長、全国自治体病院協議会会長、日本精神病院協会会長、日本私立医科大学協会会長、日本臨床工学技士会会長、保健医療福祉情報システム工業会会長、日本医療機器関係団体協議会会長、在日米国商工会議所医療機器小委員会委員長及び欧州ビジネス協議会医療機器委員会委員長宛に発出していることを申し添える。


(別紙1)

都道府県に求められる対応について

(1)対象医療機関の把握

(1) 対象リスト(同封フロッピーディスク)に掲載されている病院、一般診療所、歯科診療所及び助産所宛、下記送付物を直接郵送したところである。しかし、何らかの事由により厚生省宛不達返送された医療機関名については、都道府県へ追ってお知らせする。(4月下旬予定)
 なお、当該リストは平成10年10月末現在の「医療施設動態調査」によるものである。
 また、当該リストには老人保健施設が掲載されているが、当該老人保健施設は本通知の対象外としているので留意ありたい。

<医療機関宛送付物> (見本同封)
・医療機関宛協力依頼文
・医療分野における「コンピュータ西暦2000年問題」への対応〜自主的総点検表〜
・医療用具製造業者等リスト
・2000年問題発生のおそれがある製品リスト
・自主的総点検状況報告用ハガキ(2枚)

(2) 対象リストに掲載されていない医療機関(今後の新規開設及び休止明け等)については、都道府県へ送付する予備分(4月中旬予定)より随時送付されたい。その際、対象医療機関には国の開設するもの(国立病院・療養所、国立大学附属病院等)は含まれないので留意ありたい。
(3) その際、自主的総点検状況報告用ハガキについては、対象リストの最終番号より追加番号をハガキに記入して送付のこと。これについては、対象リストへの追加(追加番号、施設名、住所、有床無床等)を行うこと。
(4) 自主的総点検状況報告の集計には対象施設の把握が必要なことから、各都道府県において(1)〜(3)により修正・管理された対象リストをフロッピーディスク(ラベルに都道府県名・バージョン名を記入)にて下記の通り送付されたい。
○第1回集計用:4月30日時点での対象リスト (5月7日必着)
 第2回集計用:6月30日時点での対象リスト (7月7日必着)

○送付先:厚生省健康政策局総務課

(5) 追加送付及び対象リストの管理については、6月30日以降も平成11年12月末まで引き続き適切に対応されたい。

(2)自主的総点検状況報告の取扱い

 自主的総点検状況報告用ハガキについては厚生省にて集計を行い、その集計結果については都道府県へお知らせすることとしている。
 (第1回:5月下旬予定、第2回7月下旬予定)

(3)管下医療機関への指導について
 自主的総点検状況報告の集計結果を基に都道府県による次の指導を検討・予定しているところであるので留意ありたい。

(1) 第1回集計結果に基づき、平成11年6月末までに保有する機器等について可能な限り模擬テストを完了するよう指導する。
(2) 第1回報告がなされなかった医療機関に対しては、自主的総点検の実施状況を確認し、平成11年6月末までに保有する機器等について可能な限り模擬テストを完了するよう指導するとともに、第2回報告への協力を要請する。
(3) 第2回集計結果に基づき、模擬テストを完了していない医療機関に対しては、早急に模擬テストを完了するよう指導する。
(4) なお、救命救急センターや災害拠点病院等の救急医療機関に対しては、当該救急医療機関が2000年問題発生時における自院以外の患者等の受入れの拠点となり得ることを想定し、上記の点について特に指導を行うこと。

(4)危機管理計画について

 現在厚生省において「危機管理計画策定マニュアル」の策定を検討しているところであるので了知ありたい。なお、「自主的総点検表」の中では各医療機関において「危機管理計画」を策定する旨記載しているところであるが、「危機管理計画策定マニュアル」が示されるまで各医療機関において策定する必要がないものではないので留意ありたい。
 また、本年末に向けて、各都道府県等地域における救急医療体制にも万全を期されるよう十分に留意願いたい。

(5)医療機関からの照会等への対応

(1) 医療機関からの照会等については都道府県において可能な限り対応されるよう協力方お願いする。
(2) 日本医師会等関係各団体へも協力方お願いしたところであるので了知ありたい。

○自主的総点検について

 自主的総点検とは、平成10年9月11日付けで高度情報通信社会推進本部(本部長:小渕恵三内閣総理大臣)にて決定された「コンピュータ西暦2000年問題に関する行動計画」(以下、「行動計画」という。)において、「2000問題」への対応が必要な各分野に求められている自主的な取組のことである。具体的には、責任体制の明確化、対応が必要な機器等の把握、それぞれの機器等の優先順位付け、対応方法の確認、模擬テストの実施による安全性確認、危機管理計画の策定等が挙げられる。
 この「行動計画」において「模擬テストについては、可能な限り平成11年6月末までに完了するよう要請する。」とされており、各医療機関においても同様の対応が求められている。

○危機管理計画について

 危機管理計画とは、「自主的総点検」により「2000年問題」への対応に万全を期した上でもなお万が一の事態に備えて策定するいわば「非常事態対応マニュアル」のようなものである。これは2000年1月1日0時時点(越年時点)での機器等の使用の有無、有床無床の区別なく全ての医療機関に策定することが求められる。


(別紙2)

医療用具製造業者等の実態調査結果について

平成11年3月31日
厚生省医薬安全局

1 調査の概要

(1)目的

 本調査は、平成10年12月末日時点での医療用具業界における「コンピュータ西暦2000年問題」(以下「2000年問題」という。)への対応状況を把握するため、都道府県及び業界団体を通じ調査を行ったものである。
 (平成10年12月7日付け医薬審第1072号、医薬安第140号通知)

(2)調査対象

 全ての医療用具の製造業者、輸入販売業者、外国製造承認取得者及び国内管理人(以下「製造業者等」という。)を対象とした。


2 調査結果

(1)回答状況

 製造業者等3,310社を対象に調査票を配布し、2,978社から回答が得られた。このうち、559社が2000年問題の対象になるマイコンチップを搭載した医療用具を取り扱っていた。また、回答の得られなかった332社のうち161社は都道府県等の追跡調査により2000年問題の対象になる医療用具を全く取り扱っていないことが判明し、今回の調査で3,139社(約95%)の製造業者等の状況が明らかになった。

(2)559社の2000年問題への取り組み体制等について(図1〜図7)

(1) 541社の製造業者等で2000年問題担当役員又は統括部署を既に設置あるいは設置を予定していた(図1)。
(2) 400社の製造業者等で2000年対応窓口の設置あるいは設置を予定していた(図2)。設置予定がないと回答した製造業者等に対しては、今後、医療機関等からの問い合わせに対応できる体制の整備を求めることとしている。
(3) 危機管理計画については、67社の製造業者等で策定済み、101社が策定中、164社が策定を予定しているが、227社においては策定の予定無しとしていた(図3)。
 危機管理計画は不測の事態に対応するために策定することが必要であるため、策定の予定がないと回答した製造業者等に対しては、今後、策定を求めることとしている。
(4) 医療用具の使用者が特定できるとしている製造業者等が445社あり、そのうち346社は使用者に情報提供を完了しているか又は今後予定していた(図4)。情報提供の予定がないとする製造業者等については、2000年問題の発生のおそれがあると判断した場合等には、情報の提供を求めていく予定である。
(5) インターネット等を用いた情報提供は、157社で既に行っているか今後予定していた(図5)。
(6) 優先医療用具の2000年問題への対応については、優先医療用具を取り扱っている306社のうち213社は全ての製品について2000年問題発生のおそれがないことを確認している(図6)。残り93社のうち、
ア) 13社は2000年問題発生のおそれはあったものの既に修正作業及び模擬テスト等を完了、
イ) 27社はその作業中、
ウ) 22社が輸出元国(製造元)に照会中である等、問題発生の可能性について確認中、
エ) 31社は対応の予定がない
としていた。対応の予定がないとする製造業者等については、詳細を確認した うえで、2000年問題への対応の必要性があると認められる製造業者等に対しては、早急に対応するよう求めることとしている。
(7) 優先医療用具以外の医療用具については、優先医療用具以外の医療用具を取り扱っている556社のうち、378社で問題が無いことを確認している。残り178社のうち、
ア) 30社は2000年問題発生のおそれはあったものの既に修正作業等及び模擬テストを完了、
イ) 94社はその作業中
ウ) 40社は輸出元国(製造元)に照会中である等、問題発生の可能性について確認中
エ) 14社は対応の予定がない
としていた。対応の予定がないとする製造業者等については、今後の対応状況を確認しながら指導等を行うこととしている。

(3) 2000年問題発生のおそれがある機器(934品目)について(別添:2000年問題発生のおそれがある製品リスト)

 放置すると重篤な健康被害につながるおそれがあると報告されたものが放射線治療器で1件確認されたが、OSのバージョンアップ及びそのOSに対応したソフトウエアに更新することでトラブルを回避することが可能と回答されており、既に医療機関に情報提供を行うとともに更新作業中であったが、今後その進捗状況についての逐次報告を受けることとしている。

(1)優先医療用具について
 現在、82品目について2000年問題発生のおそれがあることが確認されているが、そのうち10品目については調査中であった。判明した問題点は次のようなもので、重篤な健康被害が発生するおそれはなく、既にプログラム変更等の対応を完了又は着手していた。
ア) 日付の表示あるいは記録上のみの問題(61品目)、
イ) 時計の修正が出来なくなる(2品目)、
ウ) 過去のデータがプリントアウト出来なくなる(2品目)、
エ) 過去のデータの取扱いに問題が生じる(7品目)

(2)その他の医療用具について
 現在、852品目について2000年問題発生のおそれがあることが確認されており、そのうち28品目については調査中であった。判明した問題点は次のようなもので、多くは、検査システムである等、問題が発生しても患者への健康影響を与えるものではないとされており、既にプログラム変更等の対応を完了又は着手していた。
ア) 日付の表示あるいは記録上のみの問題(631品目)
イ) 年齢や推定分娩予定日等の計算に誤りが生じる(41品目)
ウ) 日付を誤認し動作に支障をきたす(33品目)
エ) 2000年以降起動しなくなる(32品目)
オ) 医療用具そのものではなくそれを操作・管理するためのコンピュータで問題が発生するもの(37品目)


3 総括

・ 今回の調査で、約95%の製造業者等のコンピュータ西暦2000年問題への対応状況が明らかになった。

・ 医療用具の中には2000年問題の発生するおそれのあるものがいくつか散見された。
 重篤な健康被害が発生するおそれがあるのは1件であり、今後逐次報告をうけることになっており、その他は、日付の表示あるいは記録上の問題であり、重篤な健康被害が発生するおそれはないとするものであった。

・ 今後、本調査で回答の得られていない製造業者等に対して、早急に報告を求めるとともに、修正作業中の製造業者及び、輸出元国に照会する等問題発生の可能性について確認中の製造業者等に対しては、四半期毎のフォローアップ調査を行い遺漏なき対応を求めることとしている。

・ これらの情報を基に、念のため全ての医療用具製造業者等に対し、自社製品の2000年問題への対応を再度徹底することを求めるとともに、今後新たに問題発生のおそれがある医療用具が判明した場合には逐次報告を求め、広く情報提供することとしている。

・ 次回以降の追跡調査において、報告が得られなかった製造業者等についてはその会社名を公表する方針である


(図1) 2000年問題に対する取組体制について

回答559社(マイコンチップを搭載した医療用具を取り扱う製造業者等)

図

(1) 2000年問題担当役員及び統括部署を明確化し、当該役員に対応の進捗状況を定期的に報告している。
(2) 2000年問題担当役員及び統括部署を明確化したが、当該役員に対応の進捗状況を定期的に報告していない。
(3) 2000年問題担当役員は置き、当該役員に各担当部署が対応の進捗状況を定期的に報告している。
(4) 2000年問題担当役員は置いているものの、十分機能しているとは言い難い。
(5) 2000年問題担当役員はいないが、統括部署が責任を持って対応している。
(6) 2000年問題担当役員も統括部署も置いていないが設置する予定。
(7) 設置する予定はない。


(図2) 2000年問題対応窓口を設置したか

回答559社(マイコンチップを搭載した医療用具を取り扱う製造業者等)

図

(1) 設置した。
(2) 設置していないが、設置する予定。
(3) 設置する予定はない。


(図3)危機管理計画の策定状況

回答559社(マイコンチップを搭載した医療用具を取り扱う製造業者等)

図

(1) 策定済み
(2) 策定中
(3) 策定する予定
(4) 策定する予定はない


(図4)使用者が特定できる場合における情報提供について

回答445社(マイコンチップを搭載した医療用具を取り扱う製造業者等のうち使用者が特定出来る製造業者等)

図

(1) 使用者への情報提供を完了している。
(2) 使用者への情報提供中。
(3) 使用者への情報提供を今後行う予定。
(4) 使用者への情報提供を行う予定はない。


(図5)インターネット等を用いた情報提供について

回答559社(マイコンチップを搭載した医療用具を取り扱う製造業者等)

図

(1) インターネット等による情報提供を全製品について既に行っている。
(2) インターネット等による情報提供を一部の製品について行っている。
(3) インターネット等による情報提供を行う予定である。
(4) インターネット等による情報提供を行う予定はない。


(図6)優先医療用具についての対応状況

回答306社(マイコンチップを搭載した優先医療用具を取り扱う製造業者等)

図

(1) 全ての製品について、2000年問題が発生のおそれがないことを確認した。
(2) 2000年問題の発生する(又はそのおそれのある)用具はあるものの修正作業等及び模擬テストを全ての製品について完了した。
(3) 修正作業等あるいは模擬テストの実施中。
(4) 2000年問題の発生する可能性について調査中。
(5) 対応の予定はない。


(図7)優先医療用具以外の医療用具に対する対応状況

回答556社(優先医療用具以外の医療用具を取り扱う製造業者等)

図

(1) 全ての製品について、2000年問題が発生のおそれがないことを確認した。
(2) 2000年問題の発生する(又はそのおそれのある)用具はあるものの修正作業等及び模擬テストを全ての製品について完了した。
(3) 修正作業等あるいは模擬テストの実施中。
(4) 2000年問題の発生する可能性について調査中。
(5) 対応の予定はない。


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