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全国厚生関係部局長会議資料(社会・援護局)


1 社会福祉法人の認可等の権限移譲について

(企画課)

 民間活動に係る規制の改善及び行政事務の合理化のための厚生省関係法律の一部を改正する法律(平成8年法律第107号)において、社会福祉事業法(昭和26年法律第45号)の一部が改正され、平成9年4月1日から、これまで都道府県知事に対して委任されてきた社会福祉法人の認可、指導監督等の事務が指定都市又は中核市の長に委任されることとなっている。移譲される事務の内容は、次のとおりであるが、権限が移譲される指定都市及び中核市にあっては、都道府県と十分密接な連携をとり、施行日までに遺憾のないよう準備方お願いする。

(1)社会福祉法人の認可、指導監督等の権限の移譲について

 社会福祉法人の行う事業が一の指定都市又は中核市にとどまる場合における当該法人の設立認可、指導監督等の権限については、当該法人の所在地の指定都市又は中核市の長に移譲されるものであること。

(2)社会福祉事業の監督等の権限の移譲について

 社会福祉事業法第7章(社会福祉事業)の規定が適用される社会福祉事業に係る許可、監督等の権限については、今後政令において定める予定であるが、原則として、事業経営地である指定都市又は中核市の長に移譲されるものであること。 ただし、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律において社会福祉事業法の定めるところによるとされている事務については、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に係る事務が中核市に移譲されていないこと等を踏まえ、中核市に移譲しない予定であること。なお、詳細については、別途通知する予定である。

2 臨時福祉特別給付金の支給について

(企画課)

 今般の消費税率の引上げ、地方消費税の導入等に伴い、激変緩和の観点から、老齢福祉年金の受給者等及び高齢の低所得者の生活の安定と福祉の向上並びに低所得の在宅ねたきり老人等に対する在宅介護の支援に資するため、臨時特例の措置として、平成8年度補正予算(第1号)成立後、次により、臨時福祉特別給付金(以下「臨時給付金」という。)を支給することとしているので、管下市町村に対する指導等よろしく取り計らい願いたい。

(1)臨時給付金の種類

(1) 臨時福祉給付金(以下「福祉給付金」という。)
(2) 臨時介護福祉金(以下「介護福祉金」という。)
(3) 臨時特別給付金(以下「特別給付金」という。)

(2)福祉給付金の内容

(1) 支給対象者
ア 平成9年2月1日(以下「基準日」という。)における同月分の
  老齢福祉年金受給者
  障害基礎年金のうち旧障害福祉年金に相当するものの受給者
  遺族基礎年金のうち旧母子・準母子福祉年金に相当するものの受給者
  児童扶養手当受給者
  障害児福祉手当受給者
  特別障害者手当受給者
  福祉手当(経過措置分)受給者
  原子爆弾被爆者諸手当(医療特別手当、特別手当、健康管理手当又は保健手当)受給者
イ 基準日における同月分の特別児童扶養手当の支給に係る障害児
ウ ただし、上に掲げる者のうち、生活保護受給者、社会福祉施設入所者等については、それぞれの制度を通じて別途一時金が支給されるので、福祉給付金の支給対象とはならない。
(2) 支給額
 支給対象者1人につき10,000円

(3)介護福祉金の内容

(1) 支給対象者
ア 基準日において、市町村民税の所得割の納付すべき額がない者(その者が他の者の控除対象配偶者又は扶養親族の場合は、当該他の者の市町村民税の所得割の納付すべき額がない場合。)又は生活保護受給者で、次のいずれかに該当する者
 65歳以上のねたきり又は痴呆の者であって常時介護を要する状態が6月以上継続していると認められる者
 障害児福祉手当受給者、特別障害者手当受給者又は福祉手当受給者
イ ただし、上に掲げる者のうち、社会福祉施設や病院等に継続して3月を超えて入院(入所)している者は、在宅介護の支援という介護福祉金の趣旨から支給対象とはならない。
(2) 支給額
支給対象者1人につき30,000円

(4)特別給付金の内容

(1) 支給対象者

ア 基準日において、個人の市町村民税の納付すべき額がない年齢65歳以上の者(その者が他の者の控除対象配偶者又は扶養親族の場合は、当該他の者の個人の市町村民税の納付すべき額がない場合。)であって、福祉給付金の支給を受けることができない者

イ ただし、福祉給付金と同様に、アの者のうち、生活保護受給者、社会福祉施設入所者等については、それぞれの制度を通じて別途一時金が支給されるので、特別給付金の支給対象とはならない。
(2) 支給額
支給対象者1人につき10,000円

(5)臨時給付金の支給方法等


(1) 臨時給付金は、平成8年度補正予算成立後、その全額が国の負担により支給されるが、臨時給付金の支給に関し必要な事務は、都道府県知事、市町村長に委託するものとする。

(2) 市町村長は、支給対象者を代理して、臨時給付金を受領するものとする。

(3) 支給対象者のねたきり等の支給要件の確認は、市町村長が行うものとする。

(4) 支給対象者は、原則として平成9年3月25日までに支給申請をしなければならないものとする。

3 生活保護制度の運営について

(保護課)

(1)平成9年度生活保護基準の改定

ア 平成9年度の生活扶助基準については、消費税率引上げによる影響を含め当該年度に予想される国民生活の動向を勘案して、水準均衡方式により改定することとしている。  これにより、標準3人世帯の生活扶助基準は2.2%の引上げとなる。

標準3人世帯(33歳男・29歳女・4歳子)
平成8年度 平成9年度
1級地−1 158,375円 161,859円
1級地−2 151,248 154,575
2級地−1 144,121 147,292
2級地−2 136,994 140,008
3級地−1 129,868 132,724
3級地−2 122,741 125,441


イ 世帯人員別の生活扶助基準については、家計の弾力性に乏しい少人数世帯の特性や世帯人員別の消費構造の差異を勘案し、一般世帯における世帯人員別の消費支出の実態に合わせるよう是正を図ることとしている。

ウ なお、生活扶助基準以外の他の扶助基準等については、これらの扶助の性格を踏まえ、消費税率引上げによる影響を含め各種実態料金の状況等を総合的に勘案し、所要の改善を図ることとしている。
(2)生活保護の動向

 最近の保護動向をみると、全体的な保護動向としては減少からほぼ横ばいで推移してきており、被保護人員は平成8年6月現在で88万人、保護率も平成7年5月以降からほぼ7.0‰で推移している。
 また、被保護世帯数も同様の傾向で推移していたが、平成5年度より増加傾向となり、平成8年6月現在で60万7千世帯となっている。
 保護動向に影響を与える主な要因としては、景気の動向等の経済的要因、高齢化社会の進行や核家族化等の社会的要因、他法他施策の整備状況、実施機関の適正実施の取組み等種々の要因が考えられるが、景気が緩やかながら回復の動きを続けている反面、雇用情勢は完全失業率が高い水準で推移するなど、なお厳しい状況が続いていることから、今後とも景気動向を注視していく必要がある。

(3)生活保護の適正実施の推進等


ア 生活保護の適正な運営については、各都道府県、市において格段の御努力をいただいているところであるが、引き続き福祉事務所として組織的な対応を図るとともに、保護の受給要件の的確な把握、年金・社会保険等他法他施策の活用、きめ細やかな面接相談と実態に応じたフォローアップ等を図り、国民の理解と信頼を失うことのないよう、制度の適正かつ円滑な実施について管下実施機関を指導されたい。

イ 医療扶助については、保護費負担金の約6割が医療扶助費であり、被保護者の約8割が医療扶助を受給していること、また、保護開始時の約8割が傷病を原因としていることなどからも明らかなように、本制度における医療扶助の占める割合は大きく、その適正運営は制度全体に大きな影響を与えている。
 このため、従来からレセプト審査や指定医療機関への指導・検査に御努力いただいているところであるが、今後とも、なお一層の充実強化を図られたい。


ウ 被保護世帯のうち高齢、母子、傷病障害世帯などの要援護世帯の占める割合が年々増加しており、これらの世帯の実情に対応したきめ細かい適切な処遇を図る観点から、

(1)世帯の生活実態の把握の徹底
(2)他法他施策の活用及び関係機関との連携の充実強化
(3)研修等を通じた査察指導機能及びケースワーク技術の向上
(4)職員の資質の向上等に積極的に取り組むよう管下実施機関を指導されたい。

エ 総務庁は、生活保護行政の運営の適正化をはかる観点から、平成7年度に22都道府県・指定都市において実地調査を行い、昨年12月に勧告を行ったところである。
 総務庁の指摘事項のうち、マニュアルの作成等については、各都道府県の意見等を踏まえ対応したいと考えているが、個々の決定実施に係る問題については、こうしたケースが生じることのないよう、引き続き、収入認定、稼働能力の活用及び扶養の履行等について、現行実施要領の取り扱い方針、総務庁の勧告内容を踏まえ、管下実施機関に指導の徹底を図られたい。
 なお、級地については、地域における生活水準が社会・経済情勢によって変動するものであることから、適宜検討を行ってきたところであるが、今後ともそれらの動向を見極め適切に対処して参りたい。

4 婦人保護事業の推進について

(保護課)

(1)今日の売春問題を取り巻く状況は、社会情勢の変化や国民の性に対する意識の変化等を反映して、売春形態の多様化、潜在化が進み、その対応はますます複雑、困難化している。
 このような状況を踏まえ、売春の未然防止等に重点をおいた事業運営を図る観点から、各都道府県においては、婦人相談所、婦人相談員及び婦人保護施設等の連携体制の強化、啓発活動の積極的推進及び要保護女子の早期発見等について更なる取り組みの強化に努めて頂きたい。
 また、海外から興業、観光を装って入国し、風俗営業関係等に従事する外国人女性についても売春防止法による相談や一時保護の対象となるが、依然としてその取り組みに低調な都道府県も見受けられるところである。外国人女性の取り扱いにおいては、法務省入国管理局等との連絡を密にし、入国管理局に送致するのまでの間適切に所要の対応を行うよう重ねてお願いする。

(2)総理府において男女共同参画審議会(仮称)の設置及び売春対策審議会の発展的継承を内容とした法律案が次期通常国会に提出される予定である。
 売春防止対策は、売春防止法の制定から40年が経過し売春をめぐる社会情勢が一変したことを踏まえ、女性の人権の保障、男女共同参画社会の実現という新たな観点に立って審議されることとなるところである。
 このような状況を踏まえ、厚生省においては、今後、新たな審議会での審議を踏まえ、必要に応じ婦人保護事業の拡充や見直しを行っていくこととしているので了知願いたい。

5 災害救助法の運用について

(保護課)

(1)災害救助法による応急救助は、発災直後の混乱状況下における被災者の保護と社会秩序の維持を目的とするものであり、災害応急対策において極めて重要な役割を担うものである。
 阪神・淡路大震災における災害応急対策を例に挙げるまでもなく、災害救助法による応急救助は、大規模な災害が発生した場合において、被災者の救出、食品及び飲料水の供給、日本赤十字社等の救護班による医療、避難所及び応急仮設住宅の設置等を応急的、一時的に行うものである。

(2)災害は、全国各地域において毎年発生しているところであり、災害救助法による応急救助の迅速かつ的確な実施が要求されるため、平素からその実施体制を確保しておくとともに、管下市町村に対する指導の徹底を図られたい。

(3)災害が発生した際においては、災害救助法の適用についての判断を速やかに行う必要があることから、その被害状況を迅速に把握し、当課に対し遅滞なく報告するようお願いする。また、応急救助の程度、方法や特別基準の要否等の実施方針を迅速かつ的確に策定し、これを踏まえて国、都道府県が一体となって対応することが必要であるので、当課と連携を密にするよう特にお願いする。

(4)阪神・淡路大震災における経験等を踏まえ、厚生省においては、平成8年3月に学識経験者からなる「災害救助研究会」(会長:三浦文夫 日本社会事業大学大学院特任教授)を設置し、特に大規模災害を中心とした災害救助の実施上の問題点、今後のあり方等を総合的に検討し、同年5月に検討結果がとりまとめられたところである。
 現在、この検討結果を踏まえ、災害救助の程度、方法及び期間等を定めた基準等の大幅な見直し作業をおこなっており、本年3月を目途に関係通知の改正等を行い併せて説明会を行うこととしている。

(5)また、平成9年度予算(案)において、災害救助調査研究・研修事業費を計上しているところであるが、本事業は、阪神・淡路大震災はもとより、各災害時における公、民の対応等を調査し、効果的な災害救助について科学的、実践的に研究するとともに、その成果をも踏まえ、迅速かつ的確な応急救助の方法について、都道府県災害担当職員に対して研修を行うものであるので、関係職員の参加について特段の配慮を御願いする。
 なお、本事業の実施主体として日本赤十字社を予定している。

(6)災害弔慰金の支給等に関する法律の円滑な実施

災害弔慰金及び災害見舞金の支給並びに災害援護資金の貸付けについては、発災直後の極めて混乱した状況の下で、迅速、的確に事務を遂行する必要があるため、平素から実施体制の確保について十分配慮し、管下市町村の指導の徹底を図られたい。

6 地域福祉の推進について

(地域福祉課)

 急速に少子・高齢化が進展する中で、国においては、「新ゴールドプラン」、「エンゼルプラン」、「障害者プラン」を策定し、国、地方公共団体を通じこれらの、公的施策の一層の充実を図っているところである。
 地域社会においては、社会福祉協議会(以下、本項において「社協」という。)、民生委員をはじめとして、ボランティア団体、地域住民等による助け合い活動や様々な福祉活動が活発になってきている。また、平成7年1月の阪神・淡路大震災におけるボランティア活動が一つの契機となって、国民のボランティア活動等に対する関心はかつてない高まりを見せている。
 地域福祉を進めていくうえで、公的施策の充実はもとより、このような地域社会における住民相互の助け合いや交流活動、社協等の民間福祉活動等を積極的に進めていくことが重要である。
 厚生省においては、今後とも、次のような取組みを通じて地域福祉の推進を図っていくこととしている。

(1) 社協については、市区町村社協を中心として、事業型社協の推進、「ふれあいの まちづくり事業」の実施等により、地域に密着した社協活動の一層の充実を図る。
(2) ボランティア活動については、社協に設置されたボランティアセンターへの助成 等を通じ、国民の自主的・自発的な福祉活動への参加を促進するための基盤整備を 積極的に図っていく。
 特に9年度予算(案)においては、都道府県・指定都市ボランティアセンター活動事業において、福祉教育推進事業の一環として「高校生介護等体験特別事業」を創設することとしている。
(3) 民生委員については、地域住民の身近なところで活動する民生委員の特徴に鑑み、民生委員に対する研修の充実により、資質の向上、活動の強化を図る。
 このため、全国社会福祉協議会(以下、本項において「全社協」という。)に対する国庫補助により実施している民生委員の研修事業について、次のとおり充実を図ることとしている。

○ 3年間の任期中に、全ての民生委員を研修の対象とする。
  ・ 新任民生委員は、3年間に2回研修の対象とする。
  ・ 新任以外の民生委員は、3年間に1回研修の対象とする。

各都道府県・指定都市・中核市においては、このような動向に十分留意され、地域社会において社協、民生委員、ボランティア等の活動が一層活発になるよう、その指導等に積極的に取り組まれたい。

(1)社協活動の推進
ア ふれあいのまちづくり事業の推進
(ア)ふれあいのまちづくり事業は、市区町村社協が実施主体となって、地域住民の参加と関係機関との連携のもと、地域に即した創意と工夫により具体的な課題に対応するとともに、住民相互の助け合いや交流の輪を広げ、共に支え合う地域社会づくりに寄与する事業である。
 本事業については、これまでの事業実績や平成7年9月の中央社会福祉審議会地域福祉専門分科会小委員会報告「地域福祉の展開に向けて」を踏まえ、8年7月に実施要綱を改正し、一層の充実を図ることとしたところであるので、改正の趣旨を十分に踏まえ、事業の適正な実施等について指導、助言されたい。

(イ)平成9年度予算(案)においては、4年度指定に係るA型70か所分及びB型7か所分の指定替え経費を確保したところである。なお、1か所当たりの事業費については、補助金の整理合理化の観点から見直しを行ったので留意されたい。

(参考)「ふれあいのまちづくり事業」1か所当たり事業費

 8年度 9年度(案)
[A型]
 ○ 1、2、3年次 15,986千円 15,747千円
 ○ 4年次 14,986千円 14,747千円
 ○ 5年次 11,128千円 10,853千円
[B型] 4,058千円 4,094千円

(ウ)平成9年度においては、3年度指定社協のうち1年間の事業継続を行った市区町村社協及び4年度指定の市区町村社協についての指定替えを行う。国庫補助の決定に当たっては、2月以降年度内にヒアリングを予定しているので、事業実施市区町村社協を積極的に掘り起こし、その事業内容や実施体制、取組み意欲や事業実施により期待される成果などを十分精査した上で協議願いたい。また、市区町村の社会資源や財政状況等を勘案し、B型の選択も検討されたい。

(エ)現在、本事業を実施している市区町村社協に対しては、その事業効果が十分上がるよう指導・支援されたい。また、平成8年度以降新規指定の市区町村社協については、実施要綱に基づく事業実施3年目の評価に向けて、毎年の事業実施に係る成果等を整備しておくよう指導、助言されたい。
 指定終了となる市区町村社協については、本事業の実施により得られた成果の定着が図られるよう指導・支援されたい。

イ 事業型社協の推進
(ア)市区町村社協においては、地域における在宅福祉サービス等の充実を図るため、社会福祉を目的とする事業を企画、実施するなど、地域に密着した具体的事業を行っていくことが求められており、全国の市区町村社協において、具体的な福祉サービスの提供等の事業を行っている市区町村社協数は、年々着実に増加している。

(参考)市区町村社協における主な事業の実施状況

 5年度 7年度

 ・ホームヘルプサービス 2,245社協 2,422社協
 ・デイサービス 537社協 909社協
 ・食事サービス 2,432社協 2,519社協
 (387万食) (566万食)


 厚生省においては、このような「事業型社協」を一層推進していくこととしているので、都道府県・指定都市においては、管下市区町村及び管下社協に対する積極的な指導・支援をされたい。
 また、各種事業の受託等市町村との十分な連携を図るとともに、住民参加による事業の推進についても併せて配慮願いたい。

(イ)厚生省においては、事業型社協の推進のため、平成6年度に「事業型社協推進事業」を創設し、都道府県・指定都市社協が積極的に事業型の市区町村社協を育成、指導していくこととしたところである。
 各都道府県・指定都市においては、今後とも、事業型社協の推進のため、「ふれあいのまちづくり事業」の成果をも十分に踏まえながら、管下都道府県・指定都市社協に対する指導・支援に特段の配意をされたい。
 なお、9年度予算(案)において「事業型社協推進事業」の1か所当たり事業費については、補助金の整理合理化の観点から見直しを行ったので留意されたい。

(参考)「事業型社協推進事業費」1か所当たり事業費

 8年度 9年度(案)
 4,953千円 2,730千円

(2)ボランティア活動の基盤整備

厚生省においては、「国民の社会福祉に関する活動への参加の促進を図るための措置に関する基本的な指針」(平成5年4月)や「ボランティア活動の中長期的な振興方策について(意見具申)」(5年7月)等に基づき、国民の自主性、自発性を尊重しつつ、いつでも、どこでも、誰でも、気軽に、楽しくボランティア活動に参加できるよう、ボランティアセンターに対する助成などを通じて、その基盤整備を図っているところである。
 都道府県・指定都市においては、これらを踏まえ、ボランティア活動の促進に特段の指導・支援を行われたい。また、ボランティア基金や地域福祉基金等の積極的な活用について配慮されたい。

ア ボランティアセンター事業の推進
(ア)都道府県・指定都市ボランティアセンター活動事業
 広域的な観点からボランティア活動の促進を図る都道府県・指定都市ボランティアセンター活動事業においては、これまで福祉教育推進事業(学童・生徒のボランティア活動普及事業等)や養成・研修事業(ボランティア活動コーディネーターの養成等)等に取り組んでいるところである。
 平成9年度予算(案)においては、新規事業として、「高校生介護等体験特別事業」を創設することとしている。本事業は、福祉教育推進事業の一環として、福祉教育の推進に熱心な高等学校を高校生介護等体験指定校として指定(59か所)し、介護講座、社会福祉施設での1週間程度の宿泊介護等体験活動、体験発表等を行う事業である。
 なお、「福祉救援ボランティア活動マニュアル等策定事業」については、経費の性格から除外したので留意されたい。


 (参考)「都道府県・指定都市ボランティアセンター活動事業」
1か所当たり事業費
8年度 9年度(案)
21,151千円 21,288千円

(イ)市区町村ボランティアセンター活動事業
 住民に最も身近な市区町村におけるボランティア活動の拠点として、相談や登録・あっせん、入門講座の開催、福祉救援ボランティア活動の促進等を行う市区町村ボランティアセンター活動事業については、平成9年度予算(案)において、国庫補助対象箇所数を413か所から443か所(30か所増)に拡大することとし、市区町村社協における本事業の幅広い実施をめざしているところである。
 本事業の国庫補助期間は実施要綱において原則3年間としていることから、9年度には、6年度に指定した295か所分の指定替えについても、30か所の新規指定と併せて行う。9年度の国庫補助の決定に当たっては、2月以降年度内にヒアリングを予定しているので、事業実施市区町村社協を積極的に掘り起こし、その事業内容や実施体制、取組み意欲や事業実施により期待される成果などを十分精査した上で協議願いたい。
 現在、本事業を実施している市区町村社協に対しては、その事業効果が十分上がるよう指導・支援されたい。また、本年度で国庫補助の指定が終了する社協に対しては、9年度以降、事業の定着が図られるよう指導・支援されたい。
 なお、国庫補助の対象としているものを含め、全国では2千5百以上の市区町村社協にボランティアセンターが設置されているので、都道府県・指定都市・中核市においては、国庫補助対象のセンターのみに止まることなく支援されたい。


 (参考)「市区町村ボランティアセンター活動事業」1か所当たり事業費

8年度 9年度(案)
4,156千円 4,190千円

イ ボランティア功労者に対する厚生大臣表彰等
(ア)ボランティア活動が広がっていくためには、誰もがボランティア活動に参加しやすくなるための基盤整備や啓発・広報等を推進するとともに、ボランティア活動が社会的に評価されることが重要である。
 このような観点から、厚生省においては、都道府県・指定都市・中核市等からの推薦に基づき、ボランティア功労者に対する厚生大臣表彰を毎年実施し、ボランティア活動の社会的評価の向上を図っているところである。

(イ)平成8年度においては、「厚生大臣感謝状」の新設や活動年数等表彰要件の見直しなどの表彰要綱の大幅な改正を行ったところである。
 都道府県・指定都市・中核市においては、各地域で活動している様々な個人や団体について推薦願いたい。
 また、被表彰者等について、広報や活動事例の紹介等そのPRにも積極的に努められたい。

(ウ)福祉分野等のボランティア功労者に対する表彰制度を設けていない場合は、制度化について検討されたい。
ウ その他
(ア)全国ボランティアフェスティバルの開催
 全国ボランティアフェスティバルの開催地は、全国ボランティアフェスティバル推進協議会の中央3団体(全社協、中央共同募金会及び日本赤十字社)において、次のとおり決定されている。なお、平成11年度及び12年度については、8年11月29日に新たに決定されたところである。
・9年度(第6回) 山口県(9年10月18日・19日に開催予定)
・10年度(第7回) 山形県
・11年度(第8回) 宮崎県
・12年度(第9回) 徳島県

 各都道府県・指定都市・中核市においては、本フェスティバルへのボランティア等の幅広い参加等について協力願いたい。
 また、13年度以降の開催を希望する場合は、全国ボランティアフェスティバル推進協議会(事務局:全社協)へ要望するとともに、社会・援護局地域福祉課へもその旨連絡願いたい。

(イ)ボランティア活動保険
 ボランティア活動保険は、全社協と民間損害保険会社との契約に基づき、市区町村社協を受付窓口として運営されており、平成8年4月から内容の一層の充実が図られたところである。都道府県・指定都市・中核市においては、ボランティアが安心して活動に取り組むことができるよう、ボランティア活動保険の普及等について配慮されたい。

(3)民生委員活動の推進

ア 民生委員活動の充実強化
 民生委員は、社会奉仕の精神をもって、地域住民に身近なところで相談・支援等の活動を行っており、今後とも、地域住民の立場に立ち、地域の福祉需要に即した活動をより活発に行っていくことが必要である。
 しかし、その活動状況を見ると、各都道府県・指定都市ごとに大きな格差が見られるところであるので、民生委員の職務の指揮監督に当たり、民生委員活動の実態を十分に把握、検討の上、民生委員に対する研修の積極的な実施等を通じて、その資質の向上、今後の活動の一層の充実強化に努められたい。

イ 人権・同和問題に関する理解の促進等
 民生委員法第15条では、民生委員の職務の遂行に当たり、個人の人格の尊重、差別的な取扱いの禁止について規定しており、全ての民生委員が、研修等を通じて人権問題や同和問題についての理解と認識を一層深めるとともに、日々の活動において、基本的人権の尊重や差別意識の解消に向けて、積極的に実践していくことが必要である。
 都道府県・指定都市・中核市においては、今後とも、都道府県・指定都市民生委員児童委員協議会等と連携し、人権・同和問題に関する理解と認識を深めるための研修等につき特段の配意をされたい。

ウ 平成9年度予算(案)の状況
 平成9年度予算(案)においては、全国社会福祉協議会に対する国庫補助により実施している民生委員の研修事業について、次のとおり充実を図ることとしている。
○ 3年間の任期中に、全ての民生委員を研修の対象とする。

・ 新任民生委員は、3年間に2回研修の対象とする。
・ 新任以外の民生委員は、3年間に1回研修の対象とする。

(参考)「平成9年度第66回全国民生委員児童委員大会」の開催日程等

1 日 時:平成9年5月12日(月)・13日(火)
2 会 場:「東京国際フォーラム」等

7 生活福祉資金貸付制度の運営について

 (地域福祉課)

(1)制度の効果的運営

生活福祉資金貸付制度は、低所得世帯、身体障害者世帯、高齢者世帯等を対象とし、その経済的自立と生活意欲の助長促進等を図ることを目的とするものである。
 平成7年度には、約17千件、約171億円の貸付けを行う等低所得対策等の中核的な施策として大きな役割を果たしてきた。
 また、阪神・淡路大震災に際しては、災害発生直後に被災した世帯に対し特例として「小口資金貸付制度」を実施し、更に、昨年7月には応急仮設住宅等から恒久住宅への円滑な移転を支援するために、福祉資金において特例措置を講じたところである。
 このように、生活福祉資金は低所得世帯等のために極めて大きな役割を果たしているだけでなく、その時々のニーズにも的確、機動的に対応しているところである。
 近年の貸付状況を見ると、修学資金は伸びているものの更生資金や住宅資金等は若干減少している。また、貸付実績については、各都道府県ごとに格差が見られるところである。
 本制度は、世帯の自立及び生活のための援助に役立てるための制度であるので、その運営を担っている管下都道府県・市区町村社会福祉協議会に対し、制度の積極的な広報、啓発等を一層徹底するとともに、民生委員をはじめ関係機関等との連絡調整を密にし、対象世帯の貸付需要に適切に対応できるよう指導の徹底を願いたい。

(2)貸付原資の国庫補助等

平成9年度予算(案)においては、資金需要に応ずるとともに、昨年度に引き続いて中国残留邦人等の国民年金の保険料免除期間にかかる保険料に充てるための特例措置に対応するため、国庫補助金9億円の貸付原資の追加を予定しているので、各都道府県においても所要の財政措置について特段の配意を願いたい。

8 今後の地方改善事業について

 (地域福祉課)

 「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」(地対財特法)失効後の方策の在り方については、平成8年5月17日に地域改善対策協議会において、意見具申「同和問題の早期解決に向けた今後の方策の基本的な在り方について」がなされたところであり、また、政府においては、7月26日に「同和問題の早期解決に向けた今後の方策について」が閣議決定されたところである。
 閣議決定においては、同和問題の早期解決に向けた今後の方策について、地域改善対策特定事業の一般対策への移行及び経過的な法的措置等を講ずることとされたところであり、地対協意見具申においては、「特別対策の終了、すなわち一般対策への移行が、同和問題の早期解決を目指す取組みの放棄を意味するものでないことは言うまでもない。」と指摘されている。
 今後とも、差別意識の解消をはじめ、同和問題の早期解決に向け、積極的に取り組んでいく必要がある。

(1)地域改善対策特定事業の一般対策への移行等

 地域改善対策特定事業については、従来、地対財特法に基づき実施されてきたが、同法が本年3月末をもって失効することに伴い、平成8年5月17日の地対協意見具申及び同年7月26日の閣議決定を踏まえ、一般対策への移行及び経過的な法的措置等を講ずることとされたところである。また、同年12月17日には、「人権擁護施策推進法」が成立したところである。
 厚生省が所管する地域改善対策特定事業については、今後、次のとおり取り扱うこととしたので、特段の配意を願いたい。
ア 地区道路・橋梁等整備事業(隣保館整備事業を除く)
(ア)地区道路、橋梁、共同作業場、下水排水路及び墓地移転事業については、一般対策へ移行することとし、類似の一般対策である不良環境地区改善施設(設備)整備費補助金を受け皿として今後の需要に対応する。
 また、不良環境地区改善施設(設備)整備費補助金の名称を地方改善施設(設備)整備費補助金と変更する。


(イ)その際、地域改善対策の一般対策移行分にかかる補助率については、閣議決定を踏まえ、平成9年度以降の5年間に限り、2/3とする。

イ 隣保館整備事業
(ア)隣保館整備事業については、一般対策へ移行することとし、社会福祉事業法の第2種社会福祉事業として社会福祉施設等施設(設備)整備費補助金において新たに整備事業を実施する。
 あわせて、不良環境地区改善施設(設備)整備事業において実施してきた生活館(ウタリ対策分を除く)についても同様とする。

(イ)その際、地域改善対策の一般対策移行分にかかる補助率については、閣議決定を踏まえ、平成9年度以降の5年間に限り、2/3とする。

(ウ)また、新たに老朽施設の改築費等を補助の対象とする。
 なお、用地費については、今後、他の社会福祉施設と同様、補助対象外とする。

(エ)さらに、指定都市及び中核市を除く市町村立の隣保館整備については、新たに都道府県の負担を導入する。
(参考)隣保館及び生活館整備事業にかかる経費の負担割合

[市町村立の場合]

都道府県 市町村
地域改善対策の
一般対策移行分
2/3 1/6 1/6
その他 1/2 1/4 1/4

[指定都市立及び中核市立の場合]
都道府県 指定都市
・中核市
地域改善対策の
一般対策移行分
2/3 1/3
その他 1/2 1/2

ウ 隣保館運営事業
(ア)隣保館運営事業については、一般対策に移行することとし、社会福祉事業法の第2種社会福祉事業として、新たな補助制度を創設する。
(イ)その際、不良環境地区の生活館(ウタリ対策分を除く)として整備を行ってきたものについて、新たに運営費を補助できることとする。
(ウ)また、指定都市及び中核市を除く市町村立の隣保館及び生活館については、新たに都道府県の負担を導入する。

 (参考)隣保館及び生活館運営事業にかかる経費の負担割合
[市町村立の場合]
 
都道府県 市町村
1/2 1/4 1/4

[指定都市立及び中核市立の場合]
 
都道府県 指定都市
・中核市
1/2 1/2

(エ)地対協意見具申を踏まえ、隣保館活動の特段の充実強化を図るため、隣保館運営費において次の3事業を創設する。
a 地域交流促進事業の創設

休日における隣保館活動や多様な講座等を開催することにより、周辺地域との交流を促進し、差別意識の解消を図る。

b 継続的相談援助事業の創設

隣保館と各種関係機関の職員との連携によって、長期的、多角的に相談やアフターケアを行う。

c 広域隣保活動事業の創設

隣保館の設置されていない市町村等において、隣保館以外の公的施設(公民館、教育集会所等)を利用して隣保事業の展開を図る。

エ 生活相談員設置事業
 地域改善対策特定事業のうち生活相談員設置事業については、平成8年7月26日の閣議決定において「平成9年度以降5年間で計画的な削減を完了することとし、経過的に所要の法的措置を講ずる。」とされており、平成9年度以降の5年間で計画削減を図る。

(平成8年度) (平成9年度)
57人 46人

(2)不良環境地区改善施設(設備)整備事業等


 不良環境地区改善施設(設備)整備事業(「地方改善施設(設備)整備事業」と改称)については、生活館(ウタリ対策分を除く)運営費について補助の対象とする等の措置を講じたので、配意願いたい。

ア 生活館整備事業
(ア)従来不良環境地区改善施設(設備)整備事業において実施してきた生活館整備事業(ウタリ対策分を除く)については、社会福祉施設等施設(設備)整備事業に組み入れる。

(イ)隣保館整備と同様、新たに老朽施設の改築費等を補助の対象とする。
(ウ)隣保館整備と同様、指定都市及び中核市を除く市町村立の生活館について新たに都道府県の負担を導入する。

イ 生活館運営事業
 不良環境地区の生活館(ウタリ対策分を除く)として整備を行ってきたものについて、新たに運営費を補助できることとする。

ウ 不良環境地区改善施設(設備)整備事業の対象事業
 従来実施してきた不良環境地区改善施設(設備)整備事業の対象事業のうち、共同浴場、共同井戸、ごみ焼却炉、街灯整備事業の4事業については、近年の整備実績等を勘案し、これを廃止する。

(3)平成9年度における地方改善事業の実施に当たって留意すべき事項


ア 地区道路等の整備
 地区道路、橋梁、共同作業場、下水排水路及び墓地移転事業の整備に当たっては、その事業の必要性、目的、効果等を十分検討した上で協議するよう関係市町村を指導願いたい。

イ 隣保館及び生活館の整備
 隣保館及び生活館(ウタリ対策分を除く)の整備については、平成9年度より新たに、老朽施設の改築費等を補助対象とすることとしたので、協議に当たっては、管下市町村の施設の老朽の状況を勘案した上で協議するよう指導願いたい。

ウ 隣保館活動の充実強化
 地対協意見具申においては、隣保館について「周辺地域を含めた地域社会全体の中で、福祉の向上や人権啓発の拠点となる開かれたコミュニティーセンターとして、今後一層発展していくことが望まれる。」と指摘されている。
 この趣旨を踏まえ、平成9年度においては、隣保館活動の特段の充実強化を図るため、地域交流促進事業等を創設することとしたところであり、従来からの施策とあわせ、隣保館活動の充実強化が図られるよう指導願いたい。

(4)人権・同和問題に関する理解


差別の解消に資するうえで人権問題や同和問題についての啓発・研修のもつ意義は大きく、心理的差別の解消等への取組みが積極的になされることが重要である。
 このため、管下行政関係職員をはじめ、社会福祉・保健衛生に携わる関係者等に対し、積極的な啓発・研修を行うなど、人権・同和問題に関する理解が深められるよう、特段の配意を願いたい。

9 消費生活協同組合の指導・育成について

 (地域福祉課)

(1)健全な管理運営


 生協は、全国で約1,200組合が設立されており、その事業内容は、供給事業や共済事業など幅広い分野に及び、事業高や契約額においても膨大な額に上っている。しかしながら、中には、経営不振に陥っている生協や運営を巡って種々の問題が生じている生協が見受けられ、従来にも増して生協の適正・健全な運営の確保が要請されているところである。
 生協は、生協法に基づく特別の法人であり、税制においても普通法人に比べ優遇されているように、その社会的責務は非常に大きく、法人の管理運営にあたっては、適正な執行と事業の健全性が確保されなければならない。また、事業ごとの収支の明確化や組合員に対する情報開示など生協法の趣旨に則って運営されなければならない。
 このため、都道府県においては、必要な指導体制の確保に努め、所管する生協に対し、計画的かつ効果的な実地の検査指導を行うことにより、組合の経営状況、組合員名簿の整備、員外利用の防止、政治的中立の確保、広告・宣伝のあり方、組合員借入金の適正な管理などについて、法令等に則り適切な指導に当たられたい。
 また、一部には、消費の伸び悩み等により経営が悪化している生協や不適切な財務処理が行われている生協が見受けられるので、今回、改正された「消費生活協同組合財務処理規則」等に基づき、適正な財務処理及び組合員等に対する透明性の確保等が図られるよう指導するとともに、特に、累積赤字を抱えている生協については、事業改善計画の策定などにより経営の健全化に向けた指導に留意されたい。
 なお、最近は個々の組合員の意識の低下から、生協が単なる事業の利用の場となっている傾向がある。ついては、人と人との結合並びに相互扶助といった基本理念に則って、組合員に対する十分な情報提供や知識の向上に努め、組合員が生協の運営に積極的に参加するよう、併せて指導に配慮されたい。
(2)自賠法改正等の施行
第134回臨時国会において、衆議院運輸委員長の提案による「自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律」(以下「自賠法改正法」という。)が平成7年12月13日に成立し、同法附則第9条により消費生活協同組合法(昭和23年法律第200号)の一部改正が行われたところである。
 自賠法改正法は、平成7年12月20日法律第137号として公布され、平成8年12月1日をもって施行された。
 この法律の施行により、従来、損害保険会社及び農業協同組合にのみ取扱いが認められていた自賠責保険について、新たに消費生活協同組合等についても当該事業の実施主体として認められたところである。
 また、自賠法改正法の施行等に併せ、「消費生活協同組合法施行規則の一部を改正する省令」(平成8年厚生省令第67号)及び「消費生活協同組合共済事業財務処理規則の一部を改正する省令」(平成8年厚生省令第68号)が、平成8年11月29日に公布され、平成8年12月1日をもって施行されたところである。
 自賠法改正法等の施行に関しては、社会・援護局長通知、「「自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律(消費生活協同組合法関係)」及び「消費生活協同組合法施行規則の一部を改正する省令」の施行について」(平成8年12月2日社援地第101号)及び「「消費生活協同組合共済事業財務処理規則の一部を改正する省令」の施行について」(平成8年12月2日社援地第102号)をもって通知したところであるので御承知願いたい。

10 社会福祉施設の整備等について


 (施設人材課)

(1)平成9年度予算(案)における改善状況
ア 社会福祉施設等施設整備費
 (ア)施設整備費については、前年度当初予算額に比べ308億6千万円増(対前年度比17.1%増)の2,108億7,900万円を計上し、「新ゴールドプラン」、「障害者プラン」、「緊急保育対策等5か年事業」の着実な推進を図ることとしている。
 また、従来、地域改善対策特定事業として実施してきた隣保館整備事業については、平成8年7月26日閣議決定「同和問題の早期解決に向けた今後の方策について」を踏まえ一般対策へ移行することとし、不良環境地区改善施設整備事業において実施してきた生活館(ウタリ対策分を除く)とあわせて、社会福祉施設等施設整備費に移し替えを行った。

[具体的な社会福祉施設等施設整備費の内容]

 (1) 新ゴールドプラン関連施設整備分として1,606億1,800万円を計上し、地方老人保健福祉計画を踏まえた計画的な整備を進める。

 (2) 障害者プラン関連施設整備分として、従来からの整備量に加えて91億1,700万円を計上し、平成8年度を初年度とする7か年計画の2年次目として障害者施設の整備を推進する。

 (3) 緊急保育対策整備分として、従来からの整備量に加えて83億3,800万円を計上し、昭和40年代から50年代にかけて多数整備された保育所について改築整備を行うとともに、保育所の多機能化のための整備を推進する。

 (4) 老朽社会福祉施設緊急改築整備分として、従来からの整備量に加えて44億600万円を計上し、災害に強く、快適な居住空間を備えた施設への改築整備を引き続き推進する。

 (5) 一般整備分として241億1,500万円を計上し、上記以外のその他の施設整備についても所要の整備量を確保する。

 (6) 隣保館等施設整備分として32億8,500万円を計上し、隣保館整備事業及び不良環境地区の生活館の整備を進める。

 (7) 障害者等生活環境基盤整備事業分として10億円を計上し、既存の公共施設にスロープや障害者用トイレ、自動ドア等の整備を行うなど障害者や高齢者にやさしいまちづくりを引き続き推進する。

(イ)平成9年度における内容改善は次のとおり。
(1) 昇降機設備の補助対象範囲の拡大

 昇降機設備については、社会福祉施設の利用者に対するサービスの向上及び介護職員の勤務条件を改善する観点から、重度の施設から順次対象施設の範囲の拡大を図ってきた。平成9年度においては、入所施設のほか、新たに通所・利用施設(介護福祉士等養成施設、聴覚障害者情報提供施設、公益質屋、保育所、難聴幼児通園施設、職員養成施設、補装具製作施設を除く。)に補助対象を拡大する。
(2) 身体障害者療護施設に通所部門を整備する場合の補助制度の創設

 身体障害者療護施設の待機者のうち、通所を希望する者及び施設入所者であって、家庭の介護力等により在宅での生活が可能な者に対し、通所利用の途を開き、地域社会での社会参加を促進するために、身体障害者療護施設に通所部門を整備する場合の補助制度を創設する。

・利用定員 20人以内
・1人当たり補助基準面積 24.8平方メートル
(3) 小規模身体障害者療護施設(単独型)の創設

 身体障害者療護施設については、重度身体障害者更生援護施設等に併設して整備する場合にのみ小規模での設置を認めていたが、身体障害者療護施設を中心とした在宅福祉施策の推進や同施設の有する専門的機能を地域社会に還元するなど、今後障害者がより身近な地域で施設機能を活用できるよう、小規模身体障害者療護施設(単独型)を創設する。

・定 員 30人
・1人当たり補助基準面積 35.5平方メートル
(4) 在宅複合型施設の設置要件の緩和

 在宅複合型施設は、在宅介護支援センター、老人デイサービスセンター、老人短期入所施設及びホームヘルプサービス事業等それぞれの事業のサービス拠点を合築複合化して整備し、利用者のニーズに応じたサービスを効率的に実施するものである。在宅福祉サービスの拠点施設の整備の促進を図る観点から、老人短期入所施設の設置要件を緩和し、在宅福祉サービスの基盤整備をより一層推進する。
 ・老人短期入所施設 30人 20人
(5) 子育て支援短期利用(ショートステイ)事業用居室の対象施設の拡大

 現在、養護施設等において空き室を利用し、保護者の疾病、出産等の社会的事由により子供のショートステイ事業を行っているが、その需要は近年ますます高まってきている。このため、入所児童の増減に影響されず安定的にショートステイ事業を実施するために、今後、これらの施設の改築等の際に専用室を併せて整備し、子育てを支援する。


・拡大対象施設 養護施設、母子寮、乳児院

イ 社会福祉施設等設備整備費
(ア)設備整備費については、前年度当初予算額に比べ8億5,300万円増(対前年度比6.3%増)の144億6,500万円を計上し、整備量に対応した必要な額を確保した。

(イ)新たな施設整備に伴う初度設備費の補助
(1) 身体障害者療護施設に通所部門を整備する場合

・初度設備 205,000円×利用(増加)定員
・送迎バス(リフト付き) 厚生大臣が必要と認めた額
(2) 小規模身体障害者療護施設(単独型)の創設

・初度設備 205,000円×利用(増加)定員
(3) 子育て支援短期利用(ショートステイ)事業用居室の対象施設の拡大に伴う整備

・初度設備 112,000円×利用(増加)定員
(4) サテライト型デイサービス事業の創設に伴う初度設備

・初度設備 1か所当たり補助基準額 3,606千円

(2)平成9年度の整備方針等


ア 平成9年度においては、次の事項を基本として整備を図る方針であるので、これらを十分踏まえ、各々の整備計画内容を十分精査し、真に必要と認められる事業のうち、優先度の高いものについて協議をお願いする。

(ア)「新ゴールドプラン」に基づき、地方老人保健福祉計画に示された必要整備量を踏まえた計画的な整備を着実に推進する。
(イ)「障害者プラン」に基づき、平成14年度末の整備目標に向けて計画的に障害者施設の整備を推進する。
(ウ)「緊急保育対策等5か年事業」に基づき、老朽化している保育所の改築整備を促進するとともに、地域のニーズに応じた保育所の多機能化を図るための整備を推進する。
(エ)国民の生活水準の向上に対応した居住環境の向上を図るとともに、施設入所者等の安全性を確保する観点から、災害に強く、快適な居住空間を備えた施設とするため、老朽施設の改築、大部屋解消のための増改築等の整備を推進する。

イ 平成9年度施設整備費の国庫補助協議について

 平成9年度の社会福祉施設整備費の国庫補助協議については、別途通知することとしているが、国庫補助協議が相当数見込まれることから、協議に際しては十分精査の上、優先度の高いものに厳選して協議されたい。

ウ その他の留意事項
(ア)補助金の富裕団体の調整について

 富裕団体向けの補助金等の調整については、平成9年度においても、引き続き補助金等の整理合理化の一環として富裕団体に対して調整措置を講ずることとしているので了知願いたい。

(イ)一般財源化について

 補助金の整理合理化の一環として、平成9年度から老人福祉施設付設作業所について一般財源化を図った。

(3)社会福祉施設整備業務の再点検について

ア 社会福祉施設整備費の繰越し事務の適正な取り扱いについて

 社会福祉施設施設整備費の明許繰越(事故繰越)に係る所要の手続きを経て、大蔵省の各財務局で繰越承認を得ているにもかかわらず、繰越相当額を誤って県費に受け入れたまま決算を行った等の事務処理が散見された。
 ついては、かかる事態が生じないよう細心の注意をお願いするとともに、場合によっては繰越手続きの誤りとして県費で負担する事態も生じかねないので、県の事業所管課と国費係(支出官)は緊密な連携のもとに円滑な事務処理をお願いしたい。
 また、「社会福祉施設等施設整備費負担(補助)金の繰越しによる事業内容の変更申請手続きについて」(平成7年3月16日社援施第58号社会・援護局長、老人保健福祉局長、児童家庭局長連名通知)により周知しているところであるが変更申請の手続きに当たっても遺憾のないよう取り扱われたい。

イ 施設整備業務等の再点検のための調査委員会の設置について

 今回の社会福祉法人の施設整備費補助金等の仕組みを悪用した事件については、現在省内に調査委員会を設け、事実関係の究明を進めるとともに、施設整備費補助金全体を通じた業務の再点検を行い、再発防止策について検討を進めているところである。
 今回の事件で明らかになった問題点については、都道府県等の意見も十分踏まえ、具体的な改善事項について、特別養護老人ホーム等の社会福祉施設については1月末を目途にとりまとめる予定にしている。
 都道府県等におかれても施設整備費の業務の再点検について検討をお願いするとともに、適正な執行について万全を期すよう管下社会福祉施設に対する指導の徹底をお願いしたい。

ウ 社会福祉施設整備費の国庫補助基準単価の調査について

 社会福祉施設整備費の国庫補助基準単価については、平成6年度に三省合同実態調査(大蔵、自治、厚生)を行うとともに、建築工事費の変動等を踏まえ、平成8年度までに所要の改善を図ってきたところである。
 平成9年度においては、消費税引上げの影響を含めた実勢単価等について、あらためて関係省庁の協力も得ながら実態調査することとしている。
 具体的な調査内容、調査方法等について検討を行い、決定次第ご協力をお願いすることとしているのであらかじめ了知願いたい。

(4)施設の適正な運営

ア 施設の役割と適正な運営管理の推進
(ア)社会福祉施設は、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」及び「重度障害者施設緊急整備」等の着実な推進により老人福祉施設、精神薄弱者援護施設、身体障害者更生援護施設を中心に増加し、平成7年10月1日現在の措置費対象施設は、3万3千か所、利用者は、252万人となっており、その運営に要する経費は、利用者の自己負担を含め、総額3兆656億円となっている。その事業規模から見ても、社会福祉施設に対する国民の期待と関心は益々大きくなっており、その期待に応えるため適正かつ効率的な運営に努めることはもちろんのこと、国民の福祉に対する多様なニーズに応えるため、社会福祉施設運営指針等を活用した施設の自主評価を積極的に行うなど、さらにサービスの向上に努める必要がある。
 また、施設は、在宅福祉サービスや地域福祉活動等地域における拠点としての機能を担うよう期待されており、その設備や専門的機能、介護等の情報を地域に積極的に提供していくことが重要となっている。
 さらに、高齢者や重度障害者等の施設の増加に伴い、今後必要となってくる福祉関係の人材を確保していくため、各社会福祉施設において介護福祉士養成施設等からの実習生の受入、寮母等職員の介護福祉士資格取得に対する支援、ボランティアの受入を行う等管下施設に対し積極的な取組みについて指導願いたい。

(イ)社会福祉施設の運営費の運用と施設運営の指導については、平成5年3月19日付社援施第39号通知等により行われているところであるが、理事長の独断的運営により、多額の使途不明金が発覚するなど施設の経理等に関する不祥事の発生が依然見受けられるが、施設運営に対する国民の信頼を著しく失うこととなり、誠に遺憾である。
 ついては、指導監査担当課等との連携を図り、適正な施設運営について引き続き指導されたい。
 なお、今回の事件については、前述のとおり業務等の再点検を行い、必要な改善措置を講ずることとしているところである。

イ 入所者処遇の充実
 平成9年度においても「新ゴールドプラン」や「障害者プラン」等により老人福祉施設や障害者関係施設を中心に大幅な施設整備が行われることとなるが、特に、これら新設施設における適切な入所者処遇や施設運営等の効率化・安定化等をはじめ、国民の生活水準の向上、ニーズの多様化等に対応したサービスの質的向上を図っていく必要がある。
 ついては、管下施設に対し、

(1)施設内外の研修会への参加等による処遇技術の向上
(2)作業手順等のマニュアル化の推進
(3)介護機器等の導入による合理化の推進
(4)賃金職員等の活用

 などの創意工夫を図ることにより、入所者処遇の一層の向上に結びつけられるよう引き続き指導されたい。

ウ 職員の勤務条件の改善

 高齢者や重度障害者等の施設整備の推進に当たっては、施設の業務に従事する者の確保やその資質の向上を図ることが極めて重要となっている。このため、各施設が各々の実情を勘案し、業務省力化機器の積極的導入や業務の改善、合理化などの創意工夫を図り、積極的に職員の勤務条件の改善に努めるよう指導されたい。
 なお、今後の施設福祉サービス体制の整備を図るには、施設職員の資質の向上はもとより、業務の見直し、職員処遇の充実、働きやすい勤務体制を整備すること等が不可欠であるが、所定労働時間や年休取得の状況を見ると必ずしも十分でない施設も散見されるので、措置費に算定されている職員処遇改善のための経費(業務省力化等勤務条件改善費、年休代替要員費等)の趣旨を十分踏まえ、管下各施設を指導されたい。
 特に、労働基準法の猶予措置が終了することに伴い、平成9年4月から週40時間労働体制が実施されるので、各施設が確実に週40時間労働体制が実現できるよう特段の指導を願いたい。

エ 社会福祉施設の感染症予防対策について

 昨年発生した、病原性大腸菌O−157による食中毒の問題は、国民の日常生活に深刻な影響を及ぼしたところである。
 特に、体力が弱い高齢者、幼児等が感染しやすいといわれており、その感染予防対策等については、社会福祉施設においても、種々の対策を講じてきているところであるが、食品衛生調査会食中毒部会の検討結果を踏まえ、具体的な取組方法を示す予定である。
 なお、引き続き管下社会福祉施設に対しては、衛生部局と緊密な連携を図りながら指導されたい。
(5)施設運営費の平成9年度予算(案)における主な改善内容
平成9年度予算(案)においては、入所者の一般生活費等について生活保護基準に準じた所要の改善を図るとともに、職員処遇の充実を図るため、勤務時間の短縮及び国家公務員に準じた給与改善等を行うこととしているので、管下施設職員の待遇改善並びに入所者処遇の一層の充実について引き続き指導されたい。
○業務省力化等勤務条件改善費の改善

 施設職員の勤務条件の改善を図るため、職務の困難性を勘案し、寮母等直接処遇職員及び調理員の行う業務のうち委託、代替可能な業務について、業務の外部委託や賃金職員の採用により業務を省力化し、実質的に勤務時間の短縮が行えるよう業務省力化等勤務条件改善費について計画的に改善措置を講じてきているが、平成9年4月からの週40時間労働体制の完全実施が図られるよう、所要の改善を行うこととしている。
(参考)措置費における改善状況
職員数 労働基準法 平成5 年度 平成6 年度 平成7 年度 平成8 年度 平成9年度案
301人以上 6年4月から40時間 42時間 40時間
10人以上〜300人以上 9年4月から40時間 42時間⇒
41時間30分
(30分短縮)
41時間30分
⇒ 41 時間
(30分短縮)
10月実施
41時間
⇒ 40時間30分
(30分短縮)
10月実施
40時間30分
⇒ 40 時間
(30分短縮)
10人未満 46時間の特例措置

(6)福祉施設経営指導事業について

 本事業は、社会福祉施設の適正かつ安定的な経営と入所者処遇の向上等をめざして、各法人、施設が行う運営の取組みに対し、専門家による指導、援助を行う体制を整備し、もって、社会福祉施設の施設運営全般の質的向上に資することを目的としている。
 平成9年度予算(案)においては、実施か所数を42県から47県(新規5県については1月実施)の全県実施とすることとしているので、未実施県については本事業の開始に向けて遺漏のないよう措置されたい。また、既実施県の状況を見るとその取組状況が低調な県が見受けられるので、積極的かつ効果的な事業の推進を図るよう指導願いたい。
 また、本事業の効果を上げるため、関係課との連携を十分図り、管内の社会福祉施設の入所者サービスの向上等に努めるよう特段の指導を願いたい。さらに、前述のとおり施設の自主評価についても支援に努めるよう併せて指導願いたい。

(7)社会福祉施設の防災対策について

ア 防災対策の取り組み

 社会福祉施設の防災対策については、入所者の安全確保の観点から、「社会福祉施設における防火安全対策の強化について」(昭和62年9月18日社施第107号社会局長、児童家庭局長連名通知)等の趣旨を踏まえ、管下社会福祉施設に対し指導を願っているところである。施設の運営上、入所者の安全確保は最重要課題であることを再認識いただき、スプリンクラー設備、屋内消火栓設備の整備及び夜間防火管理体制の整備など、施設における具体的、効果的な防災対策に万全を期すよう管下社会福祉施設に対する指導の徹底に努められたい。
 施設整備費においても、入所者の防災対策、処遇改善の観点から、防災対策に配慮した整備を優先的に採択することとしている。また、措置費においても、地域住民との連携による合同避難訓練や避難用具の整備等を行う総合防災対策強化事業を施設機能強化推進費のメニュー事業として算入しているところであり、これらの制度の積極的な活用を図り、社会福祉施設の防災対策の充実をお願いしたい。

イ 被災施設の早期復旧

 社会福祉施設等災害復旧事務の取扱いについては、「社会福祉施設災害復旧費国庫負担(補助)の協議について」(平成7年3月30日社援施第76号社会・援護局長、老人保健福祉局長、児童家庭局長連名通知)により、災害発生後速やかに施設人材課に報告をお願いするとともに、災害復旧事業の早期着工を図り、施設運営に支障が生じない指導の徹底をお願いしたい。

11 社会福祉・医療事業団の事業について

 (施設人材課)

(1)福祉貸付と医療貸付の勘定統合について
ア 福祉と医療の密接な関連性にかんがみ、平成9年4月1日より福祉貸付と医療貸付に区分されている勘定を統合し、資金の効率的な運用、利用者の利便の向上等を図ることとしている。
イ これにより、平成9年度における貸付については福祉・医療全体として必要な事業枠、資金枠を確保することとしている。
(ア)貸付契約額 4,615億円
(イ)資金交付額 4,508億円
(1) 資金運用部借入金 4,104億円
(2) 政府保証債 200億円
(3) 自己資金 204億円

(2)福祉貸付事業

ア 平成9年度における貸付規模

 上記のうち、福祉貸付事業については、新ゴールドプラン等の社会福祉施設整備を着実に推進するために必要な融資に係る貸付額及び資金交付額を確保することとしている。
(ア)貸付契約額 1,665億円
(イ)資金交付額 1,574億円
イ 貸付条件の改善

 (ア)障害者プランに基づき整備される施設等に係る融資率を引き上げる。

 75% 80%
(イ)「国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律」に基づき資産の減額譲渡の対象となる国立病院等の資産の購入資金について融資率を引き上げる。

 75%(80%) 100%

(3)特別養護老人ホーム等に対する融資審査等のあり方について

 今般の一連の事件を踏まえ、社会福祉法人認可のあり方、社会福祉施設等の整備費の国庫補助のあり方とともに、貸付事業のより適正な執行を期するため、特別養護老人ホーム等に対する融資審査等のあり方についても検討を行っているところである。各都道府県、指定都市及び中核市においては、社会福祉法人の認可審査、施設整備費補助金業務の執行において、従来以上に社会福祉・医療事業団との連携を密にし、社会福祉施設等に対する貸付事業の適正化についてご協力をお願いしたい。

(4)社会福祉施設職員等退職手当共済事業

ア 平成9年度における給付予定額
(ア)給付予定人員 34,174人
(イ)給付総額 434億円
イ 退職手当金の計算基礎額の改正について

 民間社会福祉施設職員等の給与水準の上昇に伴い、退職手当金を計算する際の基礎となる額のランクを改定することとしている。

 19ランク(62千円〜34千円) 20ランク(62千円〜36千円)
ウ 社会福祉施設職員等退職手当共済法第19条に基づく社会福祉・医療事業団に対する都道府県補助金の早期交付については引き続きご協力をお願いしたい。

(5)福祉・保健情報サービス事業

 福祉・保健情報サービス事業については、各都道府県を地方センターとして管下市町村等に対して各種情報を提供するものであり、各都道府県独自のデータベースを作成することにより、地域レベルの情報も提供できるシステムとなっている。
 さらに、平成9年度においては、市町村等がより有効に情報が活用できるよう利用機関にデータ検索のみならず、当該市町村に係るデータの加工機能を追加することとしている。
 そのため、各都道府県においては地方センターとしての機能の維持、拡充に努めるとともに、管下市町村等が利用しやすい環境づくりに努め、本システムの有効な活用を図られたい。

(6)長寿社会福祉基金の充実について

 長寿社会福祉基金については、政府出資金の運用益により、高齢者や障害者の在宅福祉の充実と、生きがい・健康づくり事業の推進を図るため、民間の創意工夫を生かしつつ、地域の実態に即したきめ細かな在宅福祉事業等を実施するものである。
 平成8年度補正予算(案)においては、さらに500億円の追加出資を行い、ボランティア団体等多様な主体が参加した在宅福祉の充実を図る等従来の施策の枠を越えたよりきめ細かな在宅福祉事業等を実施することとしている。
 なお、新たな事業の実施方法等については、課長会議等において具体的に説明することとしているが、各都道府県、指定都市及び中核市においては、本事業の趣旨をご理解いただくとともに管下団体等に対する周知方お願いしたい。

12 福祉人材確保対策の推進について

 (施設人材課)

 少子・高齢化の急速な進行等の社会状況に対応するための基盤整備を進める新ゴールドプラン等を着実に推進していくためには、福祉サービスを担う人材の養成・確保がますます重要な課題となっている。
 福祉人材の確保対策については、従来より、「社会福祉事業に従事する者の確保を図るための措置に関する基本的な指針」(平成5年4月告示)に基づき実施しているが、各都道府県、指定都市、中核市におかれても、社会福祉事業を経営する者等に対する指導等人材の養成・確保対策を一層推進するための対応に十分ご配慮願いたい。

(1)福祉人材センターの充実

 平成9年度予算(案)においては、これまで老人保健福祉局所管により運営されていた福祉人材バンクを都道府県福祉人材センターの支所として統合することとしている。
 「福祉人材バンク」と都道府県福祉人材センターを一体的に運営をすることにより、従来以上に、住民のより身近な地域における福祉人材の就労斡旋や福祉の仕事に関する啓発普及活動を実施することができ、さらに都道府県福祉人材センターが地理・交通などの地域特性に配慮し、より広域的に機能を果たすことが可能となるものと考えている。
 現在、全国62か所に設置されている福祉人材バンクについては、各都道府県内の配置状況を勘案した場合、適正な配置になっておらず、また、業務内容も職業紹介型が37か所にとどまり、残りは啓発事業のみとなっており、本来の機能が十分発揮出来ているとはいいがたい。このため、そのか所数を70か所を上限に再編するとともに、職業紹介を含めた業務展開を図りたいと考えているので御協力をお願いする。
 また、都道府県福祉人材センターにおいては、福祉人材の就労斡旋を行う際に福祉人材情報システム(ホットシステム)を利用して求職・求人票の作成・管理、紹介状の作成等を行っているが、「福祉人材バンク」を、都道府県福祉人材センターの福祉人材情報システムに繋げることにより、県内の福祉人材バンクと福祉人材センターの就労斡旋等の業務が一体的に行えるよう体制整備を図ることとしている。
 なお、都道府県福祉人材センター運営事業費については、福祉人材センターとして設置されてから平成9年度で5年を経過することから、従来以上に事業運営体制の強化を図る等の対応について、充分努められるようお願いする。

(2)社会福祉事業従事者等の資質の向上について

ア 社会福祉事業従事者生涯研修支援事業の創設
 平成9年度予算(案)において、社会福祉事業従事者生涯研修支援事業を新たに創設することとしている。
 本事業は、中央福祉人材センターにおいて新任から施設長等管理者までの社会福祉事業従事者に共通した必要な知識を付与する研修を推進するために、各都道府県に対して教材及びマニュアル等を作成・配布し都道府県が行う研修事業を支援するものである。
 新ゴールドプラン等の着実な推進のためには、社会福祉事業に従事する人材の資質の確保が特に重要であるのでこれらの者の資質を担保する研修体系の整備について、各都道府県におかれても一層の取組みをお願いする。

イ 委託研修事業の充実
 社会福祉事業従事者に対する現任研修等については、従来より(福)全国社会福祉協議会中央福祉学院に委託して実施しているところである。
 平成9年度予算(案)においては、社会福祉施設長資格認定通信教育課程について、施設長の資質の向上を図るため、介護概論や精神保健等の科目を加えるとともに、最近の新設施設の増加に対応して受講人員の拡大(600人1,000 人) を図ったところである。
 社会福祉施設における無資格施設長の解消を図るため、引き続き本課程の積極的な活用を、管下の社会福祉事業関係者に対し指導願いたい。

(3)介護福祉士、社会福祉士の養成強化について

ア 介護福祉士養成施設の設置について
 これからの高齢者等の介護問題に適切に対応していくためには、それぞれの介護現場でサービスにあたる者に、豊かな人間性とすぐれた介護技術を兼ね備えた資質の高い人材を確保することが求められている。
 とりわけ、介護福祉士が介護職員の中核的な役割を担うことが期待されていることから、介護福祉士を養成する介護福祉士養成施設については計画的に整備していく必要がある。しかしながら、現状では養成施設の設置が都市部に集中していることや、各都道府県間の養成施設数に格差が見受けられる。
 したがって、今後の養成施設の新設や定員増の予定のある都道府県においては、地域における老人保健福祉計画等の中長期的な需要や、就学人口の状況、学校運営面等総合的な観点から検討のうえ、適切な指導をお願いしたい。

イ 社会福祉士、介護福祉士養成施設に係る実習施設の範囲の拡大について
 社会福祉士養成施設等及び介護福祉士養成施設等において実践力を備えた人材を育成するためには、社会福祉施設等での実習はきわめて重要なものである。
 最近の在宅福祉サービスの充実に対応する実践能力の向上を図ることや、近年の養成施設の増加による実習施設の確保が困難な状況に対応するため、今般、実習施設の範囲を拡大することとし、在宅介護支援センター、老人保健施設、通所施設等を新たに実習施設として追加することとしたところである。
 これに伴い管下の養成施設から意見書の交付等について依頼があった場合には、よろしくご配慮願いたい。

ウ 介護福祉士等修学資金について
 介護福祉士等修学資金については、平成9年度における新規開設及び定員増に対応できる予算の確保を図ることとしているので、各養成施設と連携を図り、本修学資金の貸付が必要と認められる者の貸付に遺漏がないよう配慮願いたい。

エ 社会福祉士会、介護福祉士会への支援について
 社会福祉士、介護福祉士の全国的な職能団体として(社)日本社会福祉士会、日本介護福祉士会(任意団体)が設立され、自主的活動として全国研修会、各ブロック研修会等を実施しているところであるので、地域での活動が円滑に行われるよう特段の支援をお願いしたい。
 なお、介護福祉士会については、未設立の府県があるが、その設立予定のある府県については、すみやかに組織化が図られるよう積極的な支援をお願いしたい。

・(社)日本社会福祉士会 47都道府県 3,864名( 8年12月末現在)
・日本介護福祉士会 35都道府県 8,770名( 同上 )

(4)福利厚生センターについて

 いわゆる福祉人材確保法に基づき、発足した福利厚生センターについては、4年目を迎え、各都道府県、指定都市等の積極的なご協力により、平成8年12月現在約10万7千人の社会福祉事業従事者が加入し、事業も円滑に行われている。
 平成8年度においては、会員のニ−ズに対応するため、新たな事業を開始したほか、会員が身近な場所で利用できるよう利便性の向上に努め、福利厚生事業の一層の充実を図ることとしているところである。
 福祉サービスの向上のためには、その担い手である従事者を適切に処遇していくことが経営者の当然の責務であり、福利厚生センターへの加入も職員処遇の一環として極めて重要である。本事業は、経営者が単独では十分に対応できない職員の福利厚生事業を全国規模で共同化し、規模のメリットを生かして、社会福祉に従事する者の福利厚生の飛躍的向上を図るものである。こうしたことから、平成9年度においても福祉関係者に対する加入促進について、引き続き、積極的なはたらきかけをお願いする。
 また、本事業をより効果的に実施していくためには、行政当局の積極的な指導・支援が不可欠であるので、特段のご協力をお願いしたい。

13 生活保護及び保護施設の指導監査について

 (監査指導課)

(1)生活保護指導監査関係

近年の保護動向は、ほぼ横ばい傾向で推移しているが、都市部を中心に一部の実施機関においては、増加傾向が見受けられる。
 被保護世帯の90%以上は、高齢者世帯、傷病・障害者世帯等で占められており、これらの多様なニーズを抱える世帯に対する処遇の充実が重要である。
 また、保護の開始・廃止の状況をみると傷病による開始が80%近くを占め、傷病の治癒及び稼働収入の増による廃止が40%強となっており、引き続き、病状把握及び就労指導の徹底による自立のための指導援助が重要である。
 一方、指導監査結果や会計検査院の検査等からみると、制度の適正な運営に向けて努力されている状況は認められるが、限られた事例とはいえ稼働収入や各種年金の無申告、過少申告等による不正受給が依然として確認、指摘されており、引き続き、制度の適正実施が必要である。
 このような背景のもと、平成9年度の生活保護の指導監査に当たっては、次の事項に留意の上、指導監査を実施されたい。

ア 保護の適正実施の推進
 保護の適正実施と被保護世帯の自立助長を推進するため、保護の相談・申請・開始段階における助言指導、届出義務履行、預貯金等をはじめ各種年金の受給状況や課税状況の把握を含めた関係先調査の徹底等を重点に指導するとともに、稼働年齢層の者に対しては、病状把握及び稼働能力の有無等就労の可能性について十分検討し、就労が可能な者に対しては、求職活動状況の報告、職業安定所への同行訪問等により積極的な就労指導がなされるよう徹底を図ること。
 また、生活保護費の過半を医療扶助が占めている実態にかんがみ、医療扶助の一層の適正な運営に努めるとともに、医療扶助受給者に対する適切な処遇の確保を図るため、指定医療機関への個別指導に努めること。

イ 要援護世帯に対する指導援助の充実
 高齢者、傷病・障害者等要援護世帯については、世帯のニーズを的確に把握するとともに、保健、医療、福祉等の関係機関及び地域との連携の強化を図り、個々のニーズに応じた在宅福祉や精神保健福祉等の他法他施策の活用など、自立助長の観点からのケース処遇の充実に努めること。

ウ 組織的な運営管理の推進
 生活保護の適正実施を確保するため、幹部職員はもとより査察指導員、ケースワーカー等全職員が一体となって問題事項の改善に組織的に取り組むよう指導を徹底すること。

エ 管下実施機関の実情に応じた重点的な指導監査の実施
 各実施機関毎の保護動向、地域的特性及び保護の実施に係る前年度監査結果等を踏まえ、重点的に取り組むべき問題点や実施機関固有の事情を掌握し、その要因の分析や改善計画の策定を具体的に指導するなど実施機関の実情に応じた指導監査の実施に努めること。

(2)保護施設指導監査関係

ア 保護施設に対する指導監査について
 保護施設が健全で安定した運営のもとに、その設置目的に沿った適切な入所者処遇を確保するためには、法人・施設に対する都道府県・指定都市及び中核市の指導監査の果たす役割は極めて重要である。
 ついては、平成9年度の保護施設の指導監査に当たっては、次の事項に留意されたい。
 なお、指定都市・中核市においては、本年4月1日から社会福祉法人の認可権及び指導監査権が移管されることとなるので、施設の指導監査と併せて法人に対する指導監査を適切に実施されたい。

(ア)指導監査体制の充実強化
 指導監査に当たっては、他の社会福祉施設監査との整合性を保ちつつ指導監査体制を整備し、適正な法人・施設運営が確保されるよう計画的な指導監査を実施すること。

(イ)入所者処遇に重点においた指導監査の実施
 施設運営の基本は、入所者に対する適切な処遇を確保することにあるので、各種のハンディを有する入所者個々の人権を尊重した運営がなされているかに重点をおいた指導監査を実施するとともに、入所者の自立、自活等への援助にむけた取組みを一層図られるよう指導すること。

(ウ)必要な職員の確保と職員処遇の充実
 職員の処遇については、適切な給与水準の確保や労働時間の短縮等労働条件の改善を図るとともに、研修等職員の資質向上及び福利厚生等の士気高揚策の充実に努め、有用な人材の確保及びその定着化を指導すること。

(エ)社会福祉法人及び施設の適正な運営管理体制の確立
 法人運営の中核となる理事会運営の適正化及び監事機能の充実を図るとともに施設における経理事務に関する内部牽制体制の確立等について指導すること。

イ 実施機関に対する指導監査
 実施機関に対しては、入所措置及び本人支払額の決定事務について適正を期すよう指導すること。



[説明事項]

平成9年度援護関係予算(案)の概要

[平成8年度予算額]
114,811百万円
[平成9年度予算案]
110,715百万円

平成9年度においては、戦没者遺族、中国残留邦人等に対する援護施策を着実に推進する。

1 戦傷病者戦没者遺族の援護対策等

平成8年度予算額
111,642百万
平成9年度予算案
107,589百万
(1) 慰霊事業の実施
ア ソ連モンゴル抑留中死亡者遺骨収集・墓参     9地域 9地域
イ 南方地域遺骨収集・慰霊巡拝

 ・ 遺骨収集      3地域 3地域
 ・ 慰霊巡拝      7地域 7地域
ウ 遺骨収集等応急派遣事業      8百万円 16百万円
エ 戦没者遺児による慰霊友好親善事業     104百万円 112百万円
(2) 戦傷病者戦没者遺族等援護関係

・ 援護年金の改善

 遺族年金、遺族給与金及び障害年金の額を恩給の改善に準じ増額する。(平成9年4月から)
○遺族年金、遺族給与金
(公務死)
 年額 1,892,600円 1,908,800円
(公務傷病による軽症者の平病死)
 年額 469,910円 474,210円
○障害年金
(公務傷病、第1項症の場合)
 年額 5,555,000円 5,602,000円
(公務傷病、第5項症の場合)
 年額 2,441,000円 2,462,000円
(3) 戦没者追悼平和祈念館(仮称)の建設等
     1,315百万円 5,268百万円
(4) 全国戦没者追悼式      98百万円 101百万円
(5) 戦傷病者福祉事業      46百万円 46百万円
(6) 台湾出身旧軍人軍属未支給給与の支給
     3,257百万円 2,078百万円

2 中国残留邦人等の援護対策

 
平成8年度予算額
3,169百万円
平成9年度予算案
3,126百万円
(1) 永住帰国者援護
ア 高齢帰国者の範囲の拡大
成年の子供世帯を伴って帰国できる帰国者の範囲の拡大
    60歳以上 55歳以上
イ 定着自立制度の充実
(ア) 帰国後2年目の自立指導員の派遣回数の増
     全世帯月1回 全世帯月1回
     1/3世帯月3回加算 1/3世帯月4回加算
(イ) 自立研修センターの充実

・ 職業訓練オリエンテーションの実施

     0 20か所
・ 日本語再研修クラスの増設      1クラス 2クラス

 (日本語再研修用教室の借上げ料の計上)
(2) 一時帰国者援護      354百万円 318百万円
(3) 肉親調査(訪日調査等)      47百万円 46百万円



[関係資料]

1 戦傷病者戦没者遺族等援護法の改正について

戦傷病者及び戦没者の遺族に支給する障害年金及び遺族年金等の額を、恩給の改善(基本額の0.85%引上げ及び遺族加算の増額)に準じて引き上げる。 (平成9年4月実施)

q 障害年金(公務傷病、第5項症の場合)
…公務傷病により障害となった戦傷病者本人に支給
(現 行)
 年 額 2,441,000円 2,462,000円

r 遺族年金、遺族給与金(公務死の場合)
…公務死亡した戦没者の配偶者、父母等に支給
(現 行)
 年 額 1,892,600円 1,908,800円

2 遺骨収集等慰霊事業について

(1)ソ連抑留中死亡者遺骨収集等事業

 ア 平成9年度から今後5年間、計画的に遺骨収集を実施するため、平成9年度においては、ロシア連邦のハバロフスク地方等7地域及びカザフスタン共和国の8地域について実施することとしている。
 また、平成9年度は「遺骨収集応急派遣事業」を旧ソ連地域における墓地整備等に伴う緊急の遺骨収集にも拡充し、実施することとしている。

イ 墓参については、平成9年度から新たな5カ年計画で、埋葬地がある全ての地域(州、地方等)の墓参を実施することとし、平成9年度は8地域について実施することとしている。

ウ モンゴル抑留中死亡者の遺骨収集・墓参については、平成8年度の実施予定地域が疫病のため実施見送りとなったため、平成9年度において実施することとしている。

(2)戦没者遺骨収集等事業

ア 平成9年度の戦没者遺骨収集は、これまでの間に寄せられた残存遺骨情報に基づき、3地域において実施するほか、「遺骨収集応急派遣事業」を実施することとしている。

イ 慰霊巡拝については、平成7年度から3年計画で旧主要戦域を一巡する計画の最終年次として硫黄島、フィリピン等7地域で実施することとしている。

ウ 財団法人日本遺族会への委託・補助により実施している「戦没者遺児による慰霊友好親善事業」については、8地域において実施することとしている。

3 中国残留邦人等に対する援護施策について

厚生省においては、平成5年12月に早期の帰国希望者が全員帰国できるよう受入計画を策定して帰国の促進を図ってきたところであるが、平成8年度中には当初計画を概ね達成できる見込みである。
 平成9年度は、新たに帰国希望を表明した者等の帰国受入を行うとともに、残留邦人等の高齢化に対応した援護施策の着実な推進について、関係省庁と連携し、都道府県始め地方公共団体の協力を得て、引き続き積極的に取り組んでいくこととしている。
(1)帰国者援護の充実
ア 永住帰国希望者の帰国状況について

 早期に帰国希望していた者については、平成8年度中に概ね受入れができる見込みであるが、平成9年度以降は、早期帰国を見合わせた者の他、新たに帰国希望を表明した者、新たに孤児と認められた者について受入れを図っていくことになるので、各都道府県におかれても、公共住宅の確保等、その受入れについて引き続き御協力をお願いしたい。
イ 援護対象範囲の拡大

 平成7年度から60歳以上の残留邦人には、帰国後の安定生活を営めるよう同伴して帰国する成年の子1世帯を援護対象としたところであるが、平成9年度においては、対象年齢を60歳以上から55歳以上に引き下げ、援護対象範囲の拡大を図ることとしている。
ウ 定着自立促進対策の充実

 中国帰国者の定着自立の促進については、その高齢化が進んでいるため、定着促進センター及び自立研修センターにおける1年間の研修では充分な効果が得られない者もいたり、他方、より高度な日本語を習得したいという意欲のある者もいることから、平成8年度から帰国後2年目以降の者に対する再研修を実施している。平成9年度においては、再研修クラスの増設を図るとともに、新たに職業訓練オリエンテーションを実施することとしている。
 また、帰国後2年目以降にも地域社会における適応上のトラブルも少なくないことから、平成9年度においては2年目の自立指導員の派遣回数をさらに増やすなど、自立支援体制の一層の充実を図ることとしている。
エ 中国残留邦人等に係る新たな国民年金の特例措置の施行

 平成8年4月1日から中国残留邦人等(サハリンを含む)に対し国民年金の特例措置が講じられ、中国等居住期間のうち、20歳以上60歳未満の期間で昭和36年以降の期間が保険料免除期間とされ、この期間については3分の1(国庫負担相当額)が年金額に反映されることとなった。この特例措置を受けるために必要な「永住帰国した中国残留邦人等であることの証明書」の交付申請の指導等については、引き続き御協力をお願いしたい。
(2)中国残留孤児の肉親調査の継続
ア 訪日調査

 本年度の肉親調査については、43名の孤児について実施したところである。平成9年度においても調査経費を計上している。
イ 身元未判明孤児の肉親調査の継続

 訪日調査によっても身元の判明しなかった孤児については、各都道府県に調査員を配置して、肉親調査をきめ細かに実施しているところである。平成9年度においても、引き続き全都道府県に調査員を配置することとしているので御協力をお願いしたい。/DL>

4 戦没者追悼平和祈念館(仮称)について

 戦没者追悼平和祈念館(仮称)は、戦没者遺族の援護施策の一環として、戦中・戦後の国民生活上の労苦を伝えようとするものである。
 このため、当館においては実物資料の陳列、関連情報・図書の閲覧等の事業を行うこととしている。
 平成8年10月28日に建設工事に着手したところであり、平成10年3月に竣工、平成10年度開館をめざして、建設工事を進めるとともに、各事業の準備を進めているところである。



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