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全国厚生関係部局長会議資料(年金局)
1 厚生年金基金制度及び国民年金基金制度について
(1) 厚生年金基金制度の見直しについて
- 昨年6月に取りまとめられた厚生年金基金制度研究会報告書においては、基金財政の安定化と受給権の保全を図るとともに、社会経済環境の変化に応じた制度の弾力化を図るべきとの提言がなされたところである。
- この提言を踏まえ、順次、制度改正を実施することとしているが、平成9年度から実施する主な事項は、以下のとおりである。
- 1) 予定利率設定の弾力化
- 基金が掛金の算定に用いる継続基準の予定利率については、これまで全基金一律とされてきたが、今後は、基金が保有資産の期待収益率などに応じて、以下の上下限の範囲内で主体的に設定できるようにする。
- 上限:6.5%とする。(5年間の経過措置として、5・3・3・2規制の適用除外を受けていない基金について適用する。)
下限:10年国債の利回りの直近5年間の平均とする。
- 2) 非継続基準による財政検証の導入
- 加入員、受給者の受給権保全の観点から、最低積立水準(※)と現在保有している積立金を毎年度決算時に比較し、積立金が最低積立水準を下回っている場合には、決算の翌々年度から7年以内に回復させる計画を策定する。
- ※最低積立水準
加入員、受給者の最低保全額(これまでの加入期間に応じて発生しているとみなされる年金額)を確保するため、基金全体として最低限積み立てられているべき年金資産の積立水準
- 3) 給付水準の変更の弾力化
- 現在、基金が給付設計を変更する場合には、給付水準の引下げはできない取扱いとなっているが、基金の主体的な財政運営を尊重する観点から、母体企業の経営悪化など一定の事由に該当していることや加入員の同意を得ていることなど、一定の要件の下に、この取扱いを緩和する。
- 4) 指定年金数理人制度の導入
- 基金の財政運営の弾力化に伴い、基金財政を早期にチェックできる体制を整備するため、基金は、基金財政の継続的な診断及び助言を行う年金数理人を定め、厚生省に届け出るものとする。
指定年金数理人は、決算書等の財政書類の確認及びこれに伴う所見の記載を行うとともに、業務報告書による継続的な財政診断を行う。
- 5) 過去勤務債務償却の弾力化
- 過去勤務債務の償却期間については、これまで最短7年とされていたが、平成9年度よりこれを3年に短縮する。
(2) 国民年金基金の給付設計の見直し等について
- 1) 加入年齢(月単位)に応じた給付設計への見直し
- 国民年金基金においては、これまで、給付と掛金が加入年齢単位で設定されていたため、満年齢到達月の前月に加入した者以外の者は掛金の納付月数が多いにもかかわらず、年金額が同額となるという不公平が生じていた。
この不公平を解消するため、平成9年度より、現行の年単位の給付設計を、掛金の納付月数に応じた年金額となる給付設計に改める。
- 2) 財政調整事業について
- 国民年金基金の掛金のうち1口目については、国民年金基金連合会において、基金間で生ずる財政格差を調整する「給付確保事業」が行われているところであるが、平成9年度より、2口目以降の掛金についても同様の目的で「財政調整事業」を行い、国民年金基金における財政の安定化を図る。
(3) 厚生年金基金・国民年金基金における資産運用規制の緩和について
- 厚生年金基金・国民年金基金における資産運用規制については、平成8年度から、運用体制の整った基金について申請により5・3・3・2規制を適用除外することとするなど、すでに規制緩和がなされているが、今般さらに、次の事項について平成9年度より実施する。
- 1) 生命保険会社商品の5・3・3・2規制への組み入れ
生命保険一般勘定を安全性資産(5割以上)とするなど所要の措置を講ずる。
- 2) 5・3・3・2規制の時価への移行等
これまで簿価にて行われていた5・3・3・2規制を時価で行うこととし、また、掛金の払込割合等の変更(シェア変更)回数の制限(現行:年一回)を撤廃する。
2 年金積立金の管理運用について
(1) 厚生年金・国民年金積立金の累積状況
- 平成8年度末積立金累積額(予算) 125兆5,142億円
(2) 年金福祉事業団
- 年金積立金還元融資事業
- 1)貸付事業の資金計画額
-
福祉施設設置整備資金貸付事業 | 372億円 |
被保険者住宅資金貸付事業 | 1兆7,578億円 |
年金担保小口資金貸付事業 | 1,320億円 |
合 計 | 1兆9,270億円 |
- 2)貸付事業の主な改善
- ○子がいる世帯に対する割増融資制度の創設
- 年金積立金自主運用事業
- 1)自主運用事業の資金計画額
-
年金財源強化事業 |
2兆5,300億円 |
資金確保事業 |
9,610億円
|
合 計 |
3兆4,910億円 |
*平成9年度末累積運用額
-
年金財源強化事業 |
17兆1,860億円 |
資金確保事業 |
7兆5,670億円 |
合 計 |
24兆7,530億円 |
(3) 特別地方債
-
厚生福祉施設整備事業 |
2,272億円 |
一般廃棄物処理事業 |
5,826億円 |
住宅事業 |
70億円 |
簡易水道事業 |
1,000億円 |
病院事業 |
5,200億円 |
と畜場整備事業 |
40億円 |
観光その他事業 |
92億円 |
合 計 |
1兆4,500億円 |
子がいる世帯に対する割増融資制度の創設
(年金福祉事業団の被保険者住宅資金貸付)
1.趣 旨
- 将来の年金制度を支える子どもたちが健やかに生まれ育つ環境づくりの観 点から、「今後の子育て支援のための施策の基本的方向について」(エンゼ ルプラン)支援の一環として、子どもが3人以上いる世帯(年金加入者)に 対し、住宅取得の経済的負担の軽減が図られるよう、年金福祉事業団の被保 険者住宅資金貸付において割増融資制度を創設する。
2.概 要
- 厚生年金保険及び国民年金の被保険者であって、3年以上の被保険者期間 があり、一般住宅及び在宅ケア対応住宅(年金バリアフリー住宅)の取得又 は改造のための資金を融資する場合に、次の条件で割増融資を行う。
- (1) 割増融資の基準
- 被保険者と同居する18歳未満の子が3人以上いること
- (2) 割増融資の限度額
- 厚生年金保険 300万円
- 国民年金 150万円
- (3) 割増融資の利率
- 一般貸付金の利率(それぞれの貸付対象住宅の最低の利率)
- ※ 実施時期は平成9年4月から
- (参考) 例:厚生年金加入期間10年以上の場合(住宅の規模が125u以下)
-
|
【一般貸付】
| 【特別貸付】
| 【割増融資】
| 【貸付限度額】
|
一般住宅
| 800万円
| + 77O万円
| + 300万円
| = 1,870万円
|
|
(3.21%)
| (3.40%)
| (3.21%)
|
年金バリアフリー住宅
| 1,470万円
| + 77O万円
| + 300万円
| = 2,540万円
|
(3.21%)
| (3.40%)
| (3.21%)
|
※( )内は貸付金の利率(平成8年12月20日現在)
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