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全国厚生関係部局長会議資料(児童家庭局)

1.児童福祉法等の改正について

(1)中央児童福祉審議会基本問題部会中間報告について

 児童福祉法は昭和22年に制定され、戦後50年を迎えようとしているが、少子化 、夫婦共働き家庭の一般化、家庭と地域の子育て機能の低下、離婚の増加等、児童及び家庭を取り巻く環境の変化を踏まえ、現行の児童福祉法を中心とした児童家庭福祉制度について、質の高い子育ての環境づくりを目指した制度として再構築を図るため、中央児童福祉審議会に基本問題部会を昨年3月に設け、当面、まず取りむべき課題として、
(1) 児童保育施策
(2) 要保護児童施策
(3) 母子家庭施策
の3本の柱に即して14回の審議をいただき、
(1) 「少子社会にふさわしい保育システムについて」
(2) 「少子社会にふさわしい児童自立支援システムについて」
(3) 「母子家庭の実態と施策の方向について」
として、それぞれ、中間報告を取りまとめいただき、昨年12月3日厚生大臣に提出していただいとところである。

(2)今後の方向等について

 昨年末、基本問題部会報告を受け、全国児童福祉主管課長会議を開催し、報告書の内容等について説明させていただいたところであり、年末の忙しい中ご出席いただいたことや同会議の議事録の市町村への配布をいただいたことを改めて御礼申し上げる。
 厚生省としては、同報告等を踏まえ、平成10年4月の施行を目指して、関係方面と調整の上、今通常国会に改正法案を提出できるよう準備を進めているところであり また、児童福祉法等の見直しと併行して、基準等の見直しについても、今後、検討を進めていくこととしているので、各都道府県・指定都市・中核市におかれても、引き続き、ご理解ご協力を賜るようお願いしたい。

2.エンゼルプランの着実な推進について

(1)  平成6年12月16日に、厚生・文部・労働・建設4大臣合意により策定された「今後の子育て支援のための施策の基本的方向について」(エンゼルプラン)は、来年度には3年目を迎えることになる。
 エンゼルプランは、少子化が子どもの成長や社会経済に大きな影響を及ぼすことが懸念される中で、子育て支援に社会全体で取り組み、総合的・計画的に推進するために策定されたものであり、厚生省としても、関係諸施策を着実に推進することとしている。
 また、先般、厚生・文部・労働・建設4省により、エンゼルプランのフォローアップのための会議を開催したところであり、厚生省だけでなく、関係省庁とも連携を図り、引き続き、子育て支援施策を推進してまいりたい。

(2)  エンゼルプランの施策の具体化の一環として、女性の社会進出の増加等に伴う、保育需要の多様化等に対応するため、当面緊急に整備すべき保育対策等について、大蔵・厚生・自治の3大臣合意により、平成11年度末までの目標を定めた「当面の緊急保育対策等を推進するための基本的考え方」(緊急保育対策等5か年事業)に基づく低年齢児保育や延長保育等の多様な保育サービスの充実のために、平成9年度予算案においては、総計2,431億円(前年度予算2,187億円、対前年度比11.2%増)を確保したところであり、着実に事業の推進を図っていくこととしている。
  

3 少子社会に対応した新たな取組等について

(1)少子社会を考える国民会議の開催について

ア 趣旨
 晩婚化等を背景に、近年少子化が急速に進行しており、平成7年の合計特殊出生率は、現在の人口を将来も維持するのに必要な2.08を大きく下回る1.42となっている。
 出生率の低下により、経済活力の低下や社会保障負担の増大、労働力供給の制約、子どもの社会性の低下など、社会、経済に大きな影響が生ずることが指摘されている。少子化の問題について国民各層の参加を得て、地域レベルから自らの問題として幅広く議論を喚起し、積み上げていくため、地方レベルでは市民会議、中央レベルでは国民会議をそれぞれ開催するものである。
イ 会議の内容
 ・市民会議(地方開催)

少子社会の現状、課題及び問題点等について、広く地域の方々から意見を募る。

 ・国民会議(中央開催)

 各市民会議からの代表者等が一同に会し、少子社会にこれからいかに対処するか等の意見の集約を図り、提言を行う。

ウ テーマ

 「少子社会を考えるーまちづくり、企業づくり、社会づくり、文化づくりー」

エ 実施時期

(2)少子化についての専門的な研究の推進について

ア 研究の趣旨

 少子化に対応するため、エンゼルプランの推進等により、子どもを持ちたい人が安心して出産や育児ができるような子育て支援対策を進めているところであるが、平成7年度の合計特殊出生率は1.42と史上最低を更新し、少子化がさらに進行している。
 これからの社会を引き続き活力のあるものとしていくために、少子化について今後どう対応していくか、改めて社会全体で考え、腰を据えて取り組んでいく必要がある。
 その前提として少子化の要因や少子化が子どもや経済社会に与える影響等について専門的な研究を行うとともに、将来の担い手である子ども達や子どもを取り巻く環境の問題についても必要な調査研究を行い、少子化への対応の方向性を明確にしていく。

イ 実施機関

 社会福祉法人恩賜財団母子愛育会の児童問題研究所を機能強化し、実施。

ウ 研究内容
 ・少子化が経済社会に与える影響等に関する研究
 ・少子化と雇用、税制、教育等の関係に関する研究
 ・少子化社会における児童関連施策の政策効果の評価・分析
 ・少子化を克服した諸外国の調査研究
 ・その他

(3)児童福祉法制定50周年への対応について

 本年は児童福祉法が制定されて50年目の節目の年であり、半世紀の足跡を振り返るとともに、21世紀を展望するため、記念のイベントや、児童福祉功労者への厚生大臣表彰を予定している。
 従来から厚生省主催で行ってきた各種行事、会議の開催に際し、児童福祉法50年の歩みを記念し「児童福祉法制定50周年記念」という冠を付した会議、行事として位置づける予定であるので、各都道府県においても、各種行事、会議の開催に際しては、「児童福祉法制定50周年記念」とするなど、児童福祉法の理念の一層の実現に向けての取り組みをお願いしたい。

4 保育対策について

(1)緊急保育対策等5か年事業について

 平成7年度からスタートした「緊急保育対策等5か年事業」を着実に推進するため、各都道府県・指定都市・中核市においては、積極的な取り組みがなされているところであるが、引き続き管下市町村及び保育所に対しその内容として制度の改善・見直しを行うことが書かれていることも含め「緊急保育対策等5か年事業」の趣旨を徹底するとともに、自治体においても、それぞれの地域のニーズを踏まえ、計画的なサービス提供につとめること等により、これらの施策を推進されるよう特段のご配慮を願いたい。

(2)乳児保育等特別保育対策について

 近年の女性の社会進出の増加等に伴う保育需要の多様化に対応するため、特別保事業等の積極的な取り組みが要請されているところであるが、特に都市部において、ニーズに応じた多様な保育のサービス量が十分に供給されていないと考えられる。
平成9年度予算案においては、「緊急保育対策等5か年事業」に基づき、各事業の件数等の充実を図ったところである。

※緊急保育対策等5か年事業の主な改善点
平成8年度 平成9年度予算案
・乳児保育
乳児保育指定保育所 7,850カ所 9,505カ所
産休・育休明け入所予約モデル事業 1,400カ所 1,400カ所
低年齢児保育促進事業 1,600カ所 2,400カ所
(増分は10月実施)
・時間延長型保育サービス事業 2,830カ所 4,000カ所
・開所時間延長促進事業 4,133カ所 4,347カ所
(増分は10月実施)
・一時的保育事業 600カ所 800カ所
・地域子育て支援センター事業 400カ所 600カ所
 また、今般、新たに「家庭支援推進保育事業」を創設したところであるが、これ は、「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」(昭和62年法律第22号)が平成8年度限りで失効し、地域改善対策特別保育事業が廃止されることとなるが、地域改善対策協議会の意見具申及び閣議決定において、現行事業の一般対策への移行と所要の行財政的措置の必要性が指摘されていることから、家庭環境に対する配慮などきめ細かな保育を行っていけるよう創設されたものである。
 各都道府県・指定都市・中核市におかれては、現在の多様な保育ニーズに対する積極的な取り組みが行えるよう、管下市町村及び保育所に対しより一層のご指導をお願いしたい。

(3)保育所の整備について

 老朽改築等の保育所の整備については、緊急保育対策分として従来の整備量に加え83億3、800万円を計上し、平成7年度を初年度とする緊急保育対策等5か年事業の3年次目を着実に推進することとしている。
なお、平成9年度においても国庫補助協議が相当多く見込まれ、補助採択を絞り込まざるを得ないことが予想されるため、協議に当たっては、社会福祉施設整備共通の整備方針等のほか、地域における人口の動向、保護者の就労状況等を勘案して、適正な配置が図られるよう配慮するとともに、老朽度等整備の緊急性を十分精査のうえ真に必要なものを厳選して協議されたい。
また、国庫補助の採択にあたっては、(1)ニーズ調査等に基づき、低年齢児保育や延長保育等の特別保育のサービス量の将来目標を策定し、公表している市町村(2)特別保育対策に新たに又は拡充して取り組む保育所(3)老人福祉施設等との合築・併設を行う保育所は優先採択する方針である。

(4)民間保育サービス、認可外保育施設等について

 べビーシッターや認可外保育施設など民間保育サービスについては、女性の社会進出や就労形態の多様化などによる保育ニーズが多様化する中で、都市部を中心に発達してきているなど、それぞれの地域の実情に応じて、地域の保育所で応えきれない個別的なニーズに対応したサービスを提供するという役割を果たしてきている。
 このため、サービスの質の確保等を図ることにより、適切な運営の確保が図られることが必要と考えており、平成8年度に引き続いて平成9年度においても、駅型保育モデル事業等施設型保育サービス事業への助成や在宅保育サービス助成事業について実施を図ることとしたので、事業運営に当たって よろしくご協力願いたい。
 なお、事業所内保育施設(院内保育施設を除く)に対する運営費の助成については、労働省の育児・介護雇用安定助成金において助成が行われることとされたのでご承知願いたい。
 一方、認可外の児童福祉施設の中には安全面等について問題を有するものがあることから、特に、指導監督の必要性の高い認可外保育施設については、児童の安全確保等の観点から劣悪な施設を排除するために、児童福祉施設最低基準とは別に当面の指導基準を設け、これに適合するよう指導を行っているものであり、今後とも、認可外保育施設に対する指導の徹底を図られたい。

(5)保母養成関係について

地方公共団体及び社会福祉法人が設置している保母養成所に対して、運営費を補助しているところであるが、平成9年度予算案において、公立分については、地方公共団体の事務として十分に同化・定着していることから一般財源化することとされたので、御了知願いたい。
 今後とも、保母養成所の適正な運営についてよろしくご協力願いたい。

5 母子保健対策について

(1)少子社会に対応した総合的母子保健対策の推進等について

【市町村移譲】
 平成6年母子保健法を改正し、住民に身近で頻度の高い母子保健サービスについて、主たる実施主体を市町村に移譲することとしている。
 母子保健事業の市町村移譲は、広域の給付としての、都道府県による市町村に対する十分な指導・支援等があってはじめて円滑に実施されるものであり、各都道府県におかれては、平成9年4月からの実施に向けて重ねて特段の御配意を願いたい。

【総合的な母子保健対策の推進】
 母子保健は、生涯の健康の基礎であり、また、次の世代を健やかに生み育てるための基礎であることから極めて重要であると認識しており、住民の多様なニーズに対応した母子保健対策の一層の推進を図ることが必要となっている。
 このため、平成9年度においても、実施か所数の増を図り、少子社会に対応した総合的な母子保健対策の充実強化を図ることとしている。


 (1)生涯を通じた女性の健康支援事業 5か所 10か所
 
女性の生涯を通じた健康管理のための健康教育を行うとともに、女性特有の諸問題に対応するするための相談支援体制の整備を図る。また不妊で悩む夫婦に対し、不妊治療方法等の相談等を医療機関等で実施

 (2)周産期医療対策費 5か所 12か所
 
都道府県において出産前後の母体及び胎児、新生児の一貫した管理を行う総合周産期母子医療センターの整備を推進し、これを核として地域の周産期医療センターや分娩機関とのネットワークを図り、緊急分娩や高度の新生児医療に対応したシステム体制の基盤整備を図る。

 (3)総合周産期母子医療センター運営事業 5か所 12か所
 
周産期にある妊婦のうち、合併妊娠症、重症妊娠中毒症、切迫早産、胎児異常等母体又は児におけるリスクの高い者を対象として、出産前後の母体及び胎児、新生児の一貫した管理を行うための総合周産期母子医療センターに対し運営費を補助。


 (4)乳幼児発達相談指導事業 5か所 10か所
 
心身の成長発達の支援を必要とする乳幼児(グレーゾーン児)の健全な発達・発育を支援するため、発達相談指導事業や専門スタッフ派遣事業を実施し、乳幼児の発達支援と保護者の育児不安等の解消を図る。

 (5)家庭療育支援(ショートスティ)事業 5か所 10か所
 
心身の成長発達の支援を必要とする乳幼児及び慢性疾患にり患している児童の保護者が社会的にやむを得ない事由により、一時的に家庭において療が困難な場合、医療機関等においてショートスティを実施。

(2)子どもの心の健康づくり対策事業の創設について

(1)趣 旨
 近年、少子化、核家族化、社会連帯意識の希薄化による地域の養育機能の低下など、子どもや家庭を取り巻く環境が著しく変化する状況において、子どもが豊かな心をもち、希望に満ちた有意義な人生を送ることができるよう、社会的機能を活性化することが求められている。このため、子ども、家庭及び地域社会の養育機能の充実強化を図ることにより、母親の育児不安等の解消を図るとともに、特に、虐待・いじめ等の社会的な問題に的確に対応するため、小児科医等による早期発見、早期対応や子どもの健全な発達のための心のカウンセリング等を実施し、総合的な子どもの心の健康づくり対策を推進する。

(2)事業内容
 ア 心の健康づくり運動の推進
  (ア)心の健康づくり普及啓発
 虐待・いじめ防止のための啓発・防止キャンペーンを展開するとともに、親子の心の信頼感の形成や地域社会の養育機能の向上を図るため、地域住民へのパンフレット等の作成配布を行う。
  (イ)健全な発達の支援
 小児期を通じた、一貫記録個別ファイルを作成することにより、従来、乳幼児期と学童期の間で連続性を欠いていた健康情報の一貫管理を行うことにより、健全な発達支援のための基盤整備を行う。

イ 育児不安対策
  (ア)育児不安への専門相談
 保健婦、助産婦等を活用し、助産所等又は自宅訪問を行い、メンタルケア、虐待、育児不安等に関する専門相談及び指導を行うとともに、専門相談に応ずる在宅の保健婦、助産婦等を対象に研修を実施する。
  (イ)グループリーダー育成・活動支援
地域の母子保健活動を行うグループリーダーを育成・研修し、保健婦、助産婦等と連携して育児経験のない家庭や、育児不安等の悩みを抱えている家庭への支援を行うとともに、住民組織の育成を図り、地域のふれあい活動等を支援する。

ウ 虐待・いじめ対策
  (ア)心のケアカウンセリング
 虐待・いじめ等の早期発見・早期対応を図るため、小児科医等を活用した電話相談やケアカウンセラーによるハイリスク者(望まない妊娠、超未熟児等)に対するカウンセリングを実施し、病状の重篤化や再発の防止を図る。
  (イ)心のケアカウンセラーの育成
 虐待・いじめ防止に関する専門的な相談を行うケアカウンセラーを育成、個々の事例に応じた適切な指導を十分行うことができる体制を整備する。

(3)実施主体 : 市町村(補助か所数 71市町村)

(4)補助率 : 1/3

(3)母子保健強化推進特別事業の拡充について

 母子保健施策の充実強化を図るため、平成8年度から地域に根ざした自主的な母子保健行政の推進を支援する観点から、地域の実情に応じた事業を実施する都道府県に対し、補助を行っているところであるが、平成9年度から新たに市町村に対しても補助対象を拡大するとともに、事業内容を追加し、その充実を図ることとしている。

(1)事業内容
 ア 妊産婦乳幼児死亡等改善対策費
 イ 母子疾病予防等対策費
 ウ 小児・母性保健連携強化事業(追加事業)
 エ その他、地域の実情に応じた先駆的モデル事業

(2)実施主体 : 都道府県、市町村

(3)補助率 : 定額

(4)妊産婦健康診査費等の一般財源化について

(1)妊産婦健康診査費
 妊産婦に対する健康診査は、昭和23年度に創設し、健康診査の受診の促進を図る観点から、昭和44年度からは医療機関委託による健康診査を実施し、定着しているところであるが、平成9年度から健康診査、訪問指導等の基本的な母子保健事業を住民により身近な市町村に移譲し、きめ細やかなサービスの提供を図ることとしている。
 一方、市町村においては、昭和52年度から1歳6か月健康診査等の健診事業が行われており、今般、妊産婦健康診査を実施するに当たって、医療機関と十分な連携を採りながら、市町村事業として実施するための一定の基盤整備は図られている。地方公共団体の健康診査の事務として定型化していることから、地方の自主性、自律性を尊重しつつ、住民により身近な市町村において、地域の独自性を生かしたサービスを提供できるよう一般財源化することとしているので、管下市町村に対する周知徹底について御配意願いたい。
 なお、今回の一般財源化に当たっては、次のように、平成9年度以降、3年間の経過措置を設け、激変緩和を図ることとしている。

○ 一般財源化する補助金
(目)母子保健衛生費補助金
  (目細)妊婦乳児健康診査費等補助金
   (積算)妊婦乳児健康診査費 (うち妊婦に係る分)
       妊産婦乳幼児健康診査費(うち妊産婦に係る分)

○ 経過措置の内容
 
都道府県 政令市
特別区
市町村 政令市・特
別区・市町
村における
交付税措置
(注2)
財源配分 補助金 の負担 割合
(注1)
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
(3/9)
1/3
2/9
1/9
経過措
(6/9)
2/3
2/9
1/9
了(全
(6/9)
2/3
4/9
2/9
付税措


2/9
1/9


3/9 相当
6/9 相当
9/9 相当

 (注1) 補助金の負担割合相当分の費用は、補助うら分として交付税で措置される。
 (注2) 各年度の割合相当分の費用が、交付税措置されることとなる。

(2)妊娠中毒症等対策費
 昭和38年度創設され、妊娠中毒症等の妊娠又は出産に支障を及ぼすおそれのある妊産婦の疾病に要する費用の一部を支給してきたところであるが、地方公共団体の事業として同化、定着したものと認められること等の理由により平成9年度より一般財源化することとしている。

<6> 児童健全育成対策について

(1)児童厚生施設整備について

平成9年度においては、前年度に引き続き、児童館、児童センター並びに県立児童厚生施設(通常型・宿泊型)の整備の促進を図ることとしている。
 なお、設置に当たっては、開館時間、休日等の開館、放課後児童対策事業及び母親クラブ等の実施、ボランティア室の設置等、児童館運営の充実に努められたい。

(2)民間児童厚生施設等活動推進等事業について

(1) 民間児童厚生施設等活動推進事業
 平成9年度において、従来の児童厚生施設事業費のうち、公営分については一般財源化し、一方先駆的・中核的な活動を実施している民間の児童館に対し重点的に助成を行う等、民間児童厚生施設等の活性化を図ることとしている。

(2) 地域組織活動(母親クラブ)
 児童館等を拠点として活動している母親クラブは、親子世代及び世代間の交流、文化活動、児童養育に関する研修活動、児童の事故防止活動等地域における児童の健全育成に大きな成果を挙げている。
 平成9年度においても、補助対象か所数を増やすこととしており、母親クラブ活動のより一層の推進を図るため、都道府県・指定都市単位での母親クラブ連絡協議会に対して、県内研修会及び連絡協議会の事務に要する費用の助成を行うこととしている。
 また、都道府県・指定都市・中核市単位での母親クラブ連絡協議会が未組織の府県においては、組織化に努められたい。

(3)放課後児童対策事業(児童クラブ)について

 昼間保護者のいない家庭の小学校低学年児童等に対し、児童館・児童センター等身近な社会資源を利用し、その育成・指導、遊びによる発達の助長などのサービスを行う事業であるが、平成9年度においては、補助対象クラブ数を6,000か所から6,900か所へと大幅な増を図ることとしている。

(4)児童環境づくり基盤整備事業について

 近年の出生率の低下、核家族化や都市化の進展、地域コミュニティの弱体化に伴う育児不安、多様な人間関係を経験する機会の減少など、子どもや家庭を取り巻くさまざまな問題が生じていることを踏まえ、児童が健やかに生まれ育つための環境づくりの基盤整備を図るため、都道府県・市町村が行う地域の実情に根ざした児童環境づくりの基盤整備の促進を図るものである。

(1) 児童育成計画(地方版エンゼルプラン)の策定については、平成8年度に引き続き助成を行うこととしている。

(2) 都道府県児童環境づくり推進機構については、8ブロックで行うこととしている。

(3) また、従来より子どもにやさしい街づくり事業で行っていたイベント開催事業については、平成5年度より地方交付税に積算されており、かつ地域での定着状況に鑑み地方単独事業に位置づけた。

(4) しかし、特に全国的に優れており必要性の高いと認められる児童健全育成事業については児童育成事業臨時安定運営対策事業において、個別に対応していくこととする。

7 母子寡婦等福祉対策について

(1)児童扶養手当について

 児童扶養手当制度は、手当の支給要件、事実関係等が複雑多岐にわたり、又、事実関係も変動要因が多いことから的確な運用が必要とされる。そのため、常に支給要件や事実関係の的確な把握が必要であるとともに、受給資格者に対する本制度の広報はもちろん、受給者に対する制度の趣旨・支給要件等についての周知徹底を図ることが必要である。
 このことから各都道府県においては、市区町村、福祉事務所、母子相談員、民生・児童委員等関係機関との連携を強化し、不適正な受給が行われないように留意するとともに、不適正受給に伴う債権発生防止にも留意する等、厳正かつ適正な制度運営に努められたい。
 また、管下市区町村に対して、認定請求、現況届等関係書類の適正な審査を引き続き指導するとともに、担当職員への研修会等を通じ、受給者や新たに手当の請求を行う者への適切な応対を行うこととし、児童扶養手当制度に対する誤解を防ぐことにより、本制度に対する国民の信頼を損うことのないようにされたい。

(2)母子家庭等の自立促進について

 離婚の増加を始めとして、母子家庭等をめぐる状況が変化する中で、その自立を図ることが重要な課題となっており、就労支援施策や相談指導体制の整備等母子家庭の態様や需要等に応じたきめ細かな自立支援策が必要とされている。
ア 相談指導体制の整備
 母子家庭等に対する自立促進のための相談・指導体制の一層の充実強化を図るためには、母子相談員や母子寮、母子寡婦福祉団体等の果たす役割は極めて重要であり、特に、母子相談員については、母子寡婦福祉貸付金の業務に限らず、各種相談業務への積極的な対応が必要であり、その活用と適正な配置についてご配慮願いたい。

イ 就労支援施策
 母子家庭等の就労支援については、労働省においても職業訓練手当の支給等各種の就労対策を実施しており、都道府県におかれても関係機関と十分に連携をとりながらそれらの施策が十分活用されるよう御配慮願いたい。
 また、従来からホームヘルパーの講習の実施等各種講習会を開催しているが、平成9年度予算案において、ホームヘルパー研修の内容の充実等を図ることとしているので、受講後の就労支援を含め市町村等関係機関と十分に連絡調整を行い、就労に結びつくようその推進に特段の御配慮を願いたい。

ウ 母子寡婦福祉貸付金について
 平成9年度予算案においては、前年度の44億円に5.5億円を増額し、49.5億円を計上することとしている。
 これは、近年の貸付需要の伸びに対応し、貸付原資を確保するためのものであるが、本貸付金においては償還金が重要な資金源であることに鑑み、その償還促進については従来以上の努力をお願いしたい。
 なお、本貸付金が母子家庭や寡婦の経済的自立のために効果的に活用されるよう広報などにより周知するとともに、各々の資金が必要な時期に貸付けが行われるようその速やかな事務処理について一層のご努力を願いたい。

エ 母子寮の運営指導について
 近年、母子家庭の質的変容に伴い、生活指導上複雑困難な問題を抱えた入所者が多くなってきており、母子寮機能のより一層の充実強化が重要となっている。また、夫の暴力や虐待から逃避するケースでは緊急一時保護の対応が要請されている。
 しかし、現行の母子寮の中には単なる住居の提供にとどまっており、母子家庭のケースワークや児童の健全育成等を図るという役割を十分果たしていない施設も少なくない。
 そのため、母子寮がその本来的機能を十分発揮できるよう、市町村等関係機関との連携を十分にとり、地域における母子家庭の実情を把握し、母子寮の有効的活用についてなお一層のご指導を願いたい。

オ 父子家庭への支援について
 父子家庭に対しては、従来から育児、家事の支援として保育所への優先的入所、一時的な傷病により日常生活を営むのに支障がある場合等に援助を行う介護人派遣事業、児童の養育が残業等の事由により困難となった場合に児童福祉施設において一定期間、養育・保護する子育て支援短期利用事業等を実施してきたところである。
 また、平成8年度より、父子家庭等の子どもが気軽に相談できる大学生等を家庭に派遣し、育成指導等を行うホームフレンド事業等を含む父子家庭等支援事業を実施したところである。
 各都道府県においてもこれらの事業の広報及び積極的な活用を願いたい。

8 児童自立支援対策について

 保護者がいない児童、虐待されている児童、その他環境上保護が必要な児童、非行を犯し又は犯す虞のある児童等の保護が必要な児童に対する自立を支援する施策については、児童相談所や児童委員等の関係機関による相談指導、養護施設や教護院等の施設や里親への措置などを通じて実施してきているところである。
 しかし、近年の児童をめぐる環境の変化に伴い、自立の支援が必要とされる児童の態様も益々複雑多様化してきており、新たにいじめ、虐待等の問題への対応が求められている。これらの問題への対応は単に児童のみをその支援の対象とするのではなく、家庭あるいは地域も視野に入れたきめ細かな対応が必要とされる。
そのため地域児童健全育成推進事業や都市家庭在宅支援事業等の各種の事業を実施してきているところであるが、平成9年度は特に、次の事項につき充実を図ることとしている。

(1)いじめ対策事業の創設等について

 平成6年11月に愛知県で起きた中学生の自殺を契機に、「いじめ」問題は国民の大きな関心を呼び、文部省を中心としてその対策が講じられている。
 当省としても児童相談所における相談指導や地域児童健全推進事業等の「いじめ対策」を実施してきているが、平成9年度より新たに福祉と教育関係機関の合同研修事業を実施することとしている。この合同研修事業は、「いじめ」問題が主として発生している学校及びその関係者と非行を始めとして問題児を専門的に扱っている教護院等の児童福祉関係者が合同研修を実施することにより、児童への理解を深め、「いじめ」等の児童の問題への適切な対応を図るとともに福祉と教育の相互理解と連携の促進を図るものである。
 また、いじめ問題の早期発見・早期対応を図るため、いじめ防止に関する専門的な相談を行うケアカウンセラーを育成し、個々の事例に応じた適切な指導を行う子どもの健康づくり対策を実施することとしている。

(2)養護施設等退所児童自立定着指導事業の創設について

 養護施設等を退所した児童が自立定着するには、退所後のきめ細かな支援が必要である。特に、保護者のいない児童はもちろんのこと、保護者がいてもその支援が期待できない児童で、特に対人関係の設定が不得手で職場への適応に時間がかかる児童等に対しては、退所後もきめ細やかな相談援助が必要である。
 このため、従来の養護施設等退所児童アフターケア事業を廃止し、平成9年度より新たに養護施設等退所児童自立定着指導事業を創設し、退所前の施設が指導することに改め、更には訪問指導の回数を増やすなど退所児童への施策を充実させ、その自立への支援を強化することとした。

9 児童福祉施設の整備及び運営について
(1)児童福祉施設の整備について

ア 児童福祉施設の施設整備費は、社会福祉施設等施設整備費に一括計上されているところである。
 平成9年度の社会福祉施設等施設整備費予算(案)においては、前年度予算額に比べ308億6千万円増(対前年度比17.1%増)2,108億7千9百万円を計上し、緊急保育対策等5か年事業の着実な推進を図ることとしている。
(ア)緊急保育対策整備分として、従来からの整備量に加えて83億3千8百万円を計上し、平成7年度を初年度とする5か年計画の3年次目として、昭和40年代から昭和50年代にかけて多数整備された保育所について、改築整備を行うとともに、保育所の多機能化のための整備を推進する。
 さらに、老朽社会福祉施設緊急改築整備分として、従来から進めてきた老朽社会福祉施設の改築整備に加え、44億6百万円を計上し、災害に強く、快適な居住空間を備えた施設への改築整備をより一層推進する。
(イ)一般整備分として241億1千5百万円を計上し、上記以外のその他の施設整備についても所要の整備量を確保する。
イ 設備整備費については、前年度予算額に比べ8億5千3百万円増(対前年度比6.3%増)の144億6千5百万円を計上し、整備量に対応した必要な額を確保したところである。
ウ 平成9年度における主な改善内容は次のとおりである。
・子育て支援短期利用(ショートスティ)事業用居室の整備
 現在、養護施設等において空き室を利用し、保護者の疾病、出産等の社会的事由により子どものショートスティ事業を行っているが、その需要は近年ますます高まってきている。このため、入所児童の増減に影響されず安定的にショートスティ事業を実施するために、今後、これらの施設の改築等の際に専用室を併せて整備できることとしている。

(整備内容)
施設整備
  養護施設 ……… 1人当たり 11.38u × 利用(増加)定員
  母子寮 ……… 1世帯当たり37.92u × 利用(増加)定員
  乳児院 ……… 1人当たり 6.09u × 利用(増加)定員
初度設備 112,000円 × 利用(増加)定員

エ 平成9年度の整備方針等
 児童福祉施設等の整備については、各都道府県等における老朽施設の実態や近年の入所児童等の動向など施設全体の状況を踏まえ、計画的な整備が図られるよう配慮されたい。
 平成9年度においては、次の事項を基本として整備を図る方針であるので、これらを十分踏まえ、各々の整備計画内容を十分精査し、真に必要と認められる事業のうち優先度の高いものについて協議されるようお願いする。
 なお、平成9年度の社会福祉施設整備費の国庫補助協議の内容については、別途通知する。
(ア) 「緊急保育対策等5か年事業」に基づき、老朽化している保育所の改築整備を促進するとともに、地域のニーズに応じられるよう保育所の多機能化を図るための整備を推進する。
(イ)国民の生活水準の向上に対応した居住環境の向上を図るとともに、施設入所児童等の安全性を確保する観点から、災害に強く、ゆとりある居住空間を備えた施設とするため、老朽施設の改築、大部屋解消のための増・改築及び火災、地震等の防災対策に配慮した施設の内部改修の整備を促進する。

オ その他の留意事項
(ア)補助金の富裕団体調整について
 富裕団体向けの補助金等の調整については、平成9年度においても、引き続き、補助金等の整理合理化の一環として富裕団体に対して調整措置を講ずることとしているので、了知願いたい。

カ 社会福祉施設整備業務の再点検について
(ア)社会福祉施設整備費の繰り越し事務の適正な取り扱いについて
 社会福祉施設の施設整備の明許繰越(事故繰越)に係る所要の手続きを経て、大蔵省の各財務局で繰越承認を得ているにもかかわらず、明許繰越の事務処理がなされなかった事例があった。
 ついては、かかる事態が生じないよう細心の注意をお願いするとともに、場合によっては繰越手続きの誤りとして県費で負担する事態も生じかねないので、県の事業所管課と国費係(支出官)は緊密な連携のもとに円滑な事務処理をお願いしたい。
 また、「社会福祉施設等整備費負担(補助)金の繰り越しによる事業内容の変更申請手続きについて」(平成7年3月16日社援施第58号社会・援護局長、老人保健福祉局長、児童家庭局長連盟通知)により周知しているところであるが、変更申請の手続きに当たっても遺憾のないよう取り扱われたい。
(イ)施設整備業務等の再点検のための調査委員会の設置について
 今回の社会福祉法人の施設整備費補助金等の仕組みを悪用した事件については、現在省内に調査委員会を設け、事実関係の究明を進めるとともに、施設整備費補助金全体を通じた業務の再点検を行い、再発防止策について検討を進めているところである。
 今回の事件で明らかになった問題点については、都道府県等の意見も十分踏まえ、具体的な改善事項について、1月末を目途にとりまとめる予定にしているところである。
 都道府県等におかれても施設整備費の業務の再点検について検討をお願いするとともに、適正な執行について万全を期すよう管下社会福祉施設に対する指導の徹底をお願いしたい。
(ウ)社会福祉施設整備費の国庫補助基準単価の調査について
社会福祉施設整備費の国庫補助基準単価については、平成6年度に三省合同実態調査(大蔵、自治、厚生)を行うとともに、建築工事費の変動等を踏まえ、平成8年度までに所要の改善を図ってきたところである。
 平成9年度においては、消費税引上げの影響を含めた実勢単価等について、あらためて関係省庁の協力も得ながら実態調査することとしている。
 具体的な調査内容、調査方法等について検討を行い、決定次第ご協力をお願いすることとしているのであらかじめ了知願いたい。

キ 社会福祉施設整備業務の再点検について
(ア)防災対策の取り組み
 社会福祉施設の防災対策については、入所児童等の安全確保の観点から、「社会福祉施設における防火安全対策の強化について」(昭和 62年9月18日付け社施第107号社会局長、児童家庭局長連名通知)等の趣旨を踏まえ、管下社会福祉施設に対し指導をお願しているところである。施設の運営上、入所児童等の安全確保が最重要課題であることを再認識していただき、スプリンクラ−設備、屋内消火栓設備の整備及び夜間防火管理体制の整備など、施設における具体的、効果的な防災対策に万全を期すよう管下社会福祉施設に対する指導の徹底に努められたい。施設整備費においても、入所児童等の防災対策、処遇改善の観点から、防災対策に配慮した整備を優先的に採択することとしている。また、措置費においても、地域住民との連携による合同避難訓練や避難用具の整備等を行う総合防災対策強化事業が施設機能強化推進費のメニュー事業として算入されているところであり、これらの制度の積極的な活用を図り、社会福祉施設の防災対策の充実を図られたい。

(イ)被災施設の早期復旧
 社会福祉施設等災害復旧事務の取扱いについては、「社会福祉施設災害復旧費国庫負担(補助)の協議について」(平成7年3月30日付け社援施第76号社会・援護局長、老人保健福祉局長、児童家庭局長連名通知)により、災害発生後速やかに児童家庭局所管施設については、企画課施設調整室に報告するとともに、復旧事業の早期着工を図り、施設運営に支障が生じないよう指導の徹底をお願いしたい。

(2)児童福祉施設の運営について

ア 施設の適正な運営

(ア)施設の役割と適正な運営管理の推進

 施設は年々増加し、平成7年10月1日現在の措置費対象施設は約3万3千か所、利用者は252万人となっており、その運営に要する経費は、利用者の自己負担を含め、総額3兆656億円となっている。
 その事業規模からみても、社会福祉施設に対する国民の期待と関心は益々大きくなっており、その期待に応えるため適切かつ効率的な運営に努めることはもちろんのこと、国民の福祉に対する多様なニ−ズに応えるため、社会福祉施設運営指針等を活用した施設の自主評価を積極的に行うなどさらにサ−ビスの向上に努める必要がある。
 また、施設は、地域福祉活動等地域における拠点としての機能を担うよう期待されており、その設備や専門的機能を地域に積極的に提供していくことが重要となっている。
 さらに、今後必要となってくる福祉関係の人材を確保していくため、各児童福祉施設において実習生、ボランティアの受入を行う等管下施設に対し積極的な取組について指導願いたい。
 社会福祉施設の運営費の運用と施設運営の指導については、平成5年3月19日付社援施第39号通知等により行われているところであるが、理事長の独断的運営により多額の使途不明金が発覚するなど施設の経理等に関する不祥事の発生が依然見受けられるが、施設運営に対する国民の信頼を著しく失うこととなり、誠に遺憾である。
 ついては、指導監査担当課等との連携を図り、適正な施設運営について引き続き指導されたい。

(イ)職員の勤務条件の改善
 施設の運営に当たっては、施設の業務に従事する者の確保やその資質の向上を図ることが極めて重要となっている。このために、各施設が各々の実情を勘案し、業務省力化機器の積極的導入や業務の改善、合理化などの創意工夫を図り、積極的に職員の勤務条件の改善に努めるよう指導されたい。
 なお、今後の施設福祉サービス体制の充実を図るには、施設職員の資質の向上はもとより、業務の見直し、職員処遇の充実、働きやすい勤務体制の整備等を行うことが不可欠であるが、所定労働時間や年休取得の状況を見ると必ずしも十分ではない施設も散見されるので、措置費に算定されている職員処遇改善のための経費(業務省力化等勤務条件改善費、年休代替要員費等)の趣旨を十分に踏まえ、管下各施設を指導されたい。

(ウ)児童福祉施設の感染症予防対策について
 昨年発生した、病原生大腸菌O−157による食中毒の問題は、国民の日常生活に深刻な影響を及ぼしたところである。
 特に、体力が弱い乳幼児等が感染しやすいといわれており、その感染予防対策等については、児童福祉施設においても、種々の対策を講じてきているところであるが、食品衛生調査会食中毒部会の検討結果を踏まえ、具体的な取組方法を示す予定である。
 なお、引き続き、管下児童福祉施設に対しては、衛生部局と緊密な連携を図りながら指導されたい。

イ 平成9年度児童福祉施設の運営費(措置費)の改善内容について

 児童福祉施設の運営費(措置費)については、施設入所児の処遇及び職員処遇の一層の向上を図るため、所要の改善を図ることとしている。
 その主な改善内容については次のとおりである。

(ア)業務省力化等勤務条件改善費の改善

 施設職員の勤務条件の改善を図るため、職務の困難性を勘案し、保母等直接処遇職員及び調理員の行う業務のうち委託、代替可能な業務について、業務の外部委託や賃金職員の採用により業務を省力化し、実質的に勤務時間の短縮が行えるよう業務省力化等勤務条件改善費について計画的に改善措置を講じてきているところであるが、平成9年4月からの週40時間労働制に伴い、週40時間勤務体制がとれるよう改善を図ることとしている。

 (参考)措置費における改善状況
職員数 労働基準法 5年度 6年度 7年度 8年度 9年度案
301人以上 6年4月から
40時間
42時間 40時間 同左 同左 同左
10人以上〜
300人以下
9年4月から
40時間
42時間
41.5時間
(30分の
短縮)
41.5時間
41時間
(30分の
短縮)
10月実施
41時間
40.5時間
(30分の
短縮)
10月実施
40.5時間
40時間
(30分の
短縮)
10人未満 46時間の

(イ)保育所事務職員雇上費の改善

 平成9年度においては、特別保育(乳児保育、延長保育等)を実施する121人以上の保育所について週5日分(年間260日分)とし、その改善を図ることとしている。(10年1月実施)


10 平成9年度における児童福祉行政指導監査の実施について

 管下市町村及び児童福祉施設に対する指導監査については、かねてから格段のご協力を煩わしているところであるが、平成9年度における児童福祉行政指導監査は、近年における行政の動向及び当省・各都道府県の指導監査結果、会計検査院の検査結果並びに社会福祉法人の経営施設における不祥事件等に鑑み、それぞれの関係法令・通達にもとづく適正な執行、運営を確保する観点から、特段の配意を煩わしたい。
 特に、本年4月から社会福祉法人に対する指導監督等を政令指定都市及び中核市に移譲する道府県及び新たに中核市に指定される市を有する県にあっては、当該指定都市及び中核市が実施する指導監査事務が円滑に行われるよう、特段の協力を願いたい。
 なお、厚生省が行う平成9年度の指導監査実施計画(案)については、全国児童福祉主管課長会議においてお示しする予定である。

(1)児童福祉施設関係について

児童福祉施設関係の指導監査については、所定の年1回の実施に努めるとともに、次の点に留意して効果的に実施されたい。
(1) 社会福祉法人及び児童福祉施設における不祥事件を見ると、理事会が十分機能していないこと、会計事務処理に関する内部牽制体制が確立されていないこと等に起因することが多いので、これらの点に配慮した指導監査を実施する等により常時その実態を把握し、施設における不祥事件の発生防止に努められたい。
(2) 保育所措置費の精算に関して、徴収金に係る階層区分認定事務に不適正な事例が見受けられ、会計検査院からも指摘されているので、引き続き指導の徹底を図られたい。
(3) 指導監査は次の点を主眼に実施されたい。
ア 市町村に対する指導監査
 ・乳児保育、延長保育等多様な保育需要への適切な対応
 ・徴収金に係る階層区分の適正な認定
イ 社会福祉法人及び児童福祉施設に対する指導監査
(ア)法人及び施設の運営管理適正化の推進
 ・理事会及び監事監査の適正な実施
 ・会計経理の適正な実施
 ・安全管理対策の確立
 ・保育所の私的契約児についての適正な運用
(イ)適切な入所児処遇の確保
 ・職員の充足
 ・給食業務における衛生管理の徹底
(ウ)適切な職員処遇の確保
 ・適正な給与水準の確保
 ・勤務時間の短縮等労働条件の改善

(2)児童扶養手当支給事務関係について

 児童扶養手当支給事務指導監査については、児童扶養手当の支給事務の適正な執行、運営を確保するため、次の事項を主眼にして効果的に実施されたい。
 ・請求書等の受理に当たって、受給資格等の審査に必要な添付書類等の整備に関する適正な指導の徹底
 ・現況届未提出者に対する提出指導の徹底
 ・受給資格喪失届提出の励行及び受給資格喪失時点の確認の徹底



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