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医療保険制度の改正案要綱


第1 改正の趣旨

 我が国の国民医療費は、急速な人口の高齢化等により毎年大幅に増加している。
 また、近年の経済の悪化もあり、医療保険財政は危機的な状況にある。今後、21世紀に向けて医療保険制度を安定的に維持していくためには、制度全般の総合的な改革が急がれるが、一方、当面の財政危機の回避を図ることは、こうした改革を進めていくためにも、喫緊の課題である。
 このため、平成9年度においては、世代間の負担の公平等に配慮し、医療保険制度の安定的運営の確保を図るため、給付と負担の見直し等所要の措置を講ずるものであること。

第2 医療保険構造改革審議会(仮称)に関する事項

1 医療保険構造改革審議会(以下「審議会」という。)を創設すること。

2 審議会の構成は次のとおりとすること。

(1) 構造改革会議
 医療保険制度全般の総合的な改革について、医療提供体制との関連を含め調査審議するものとする。
(2) 医療保険福祉会議
 医療保険及び老人保健福祉の重要事項に関して調査審議するものとする。
 これに伴い、医療保険審議会及び老人保健福祉審議会は廃止する。

第3 医療保険制度の安定的運営の確保に関する事項

I 健康保険制度の改正

1 一部負担に関する事項
(1) 被保険者本人の療養の給付等に係る一部負担の割合を健康保険法本則で定める2割とすること。(現行は、附則で当分の間1割となっている。)
(2) 被保険者本人及び被扶養者の療養の給付等において、外来(在宅医療を含む。以下同じ。)の薬剤について次の額の一部負担を設けること。
外来で薬剤の交付を受ける際1種類1日分につき15円
2 政府管掌健康保険の保険料率に関する事項
政府管掌健康保険の保険料率を86‰とすること。(現行は82‰)

II 船員保険制度の改正

 一部負担に関し、健康保険制度の改正に準じた改正を行うこと。

III 国民健康保険制度の改正

1 一部負担に関する事項
 療養の給付等において、外来の薬剤について次の額の一部負担を設けること。
 外来で薬剤の交付を受ける際1種類1日分につき15円

2 保険基盤安定制度の国庫負担に関する事項
 保険基盤安定制度に係る国庫負担について、平成9年度及び平成10年度の国庫負担の額を政令で定める額とすること。

(参考)
政令で定める国庫負担額 平成9年度 総額450億円
平成10年度 総額670億円
平成11年度は国民健康保険法第72条の2第2項の規定に基づき2分の1の
定率国庫負担となる。

3 国民健康保険組合の国庫補助に関する事項
 新たに健康保険の適用除外承認を受けて被保険者となる者等に係る国民健康保険組合の保険給付費等については、健康保険に準じた国庫補助に改めること。

IV 老人保健制度の改正

1 一部負担に関する事項
(1) 部負担を次のように改めること。
ア 外来
(1月につき同一の保険医療機関等ごとに4回までを限度として、1回
につき500円(現行は1月につき1,020円)
(薬剤の交付を受ける際1種類1日分につき15円
イ 入院
1日につき1,000円(現行は1日につき710円)
(低所得者 1日につき500円(現行は1日につき300円(2月限度)))
(2) 部負担(薬剤に係る一部負担を除く。)の額については、医療費の伸び
に応じてスライド。

 2 訪問指導に関する事項
 訪問指導の対象者を拡大し、寝たきり老人等以外の在宅で療養中の者についても訪問指導を行えるものとすること。

V 国家公務員共済組合制度等各種共済組合制度の改正

 一部負担に関し、健康保険制度の改正に準じた改正を行うこと。

第4 施行期日

 平成9年5月1日から施行すること。ただし、国民健康保険制度の改正については、一部負担に関する事項を除き、平成9年度分から適用すること。



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