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あいさつ

全国厚生関係部局長会議における厚生大臣あいさつ

全国厚生関係部局長会議の開催に当たり、厚生行政の諸課題について
一言申し述べ、皆様の御理解と御協力を頂くようお願いします。

まず、一連の厚生省の不祥事が、厚生行政に対する国民の皆様の信頼を著しく損ない、地方自治体の皆様や全国の福祉・医療関係者を始めとして、国民の皆様に多大な御迷惑をおかけしたことに、心よりお詫び申し上げます。
厚生省としても、昨年末、関係者に対する厳正な処分を行うとともに、厳しい綱紀の粛正を徹底したところであり、また、社会福祉施設等に係る補助金選定や法人運営の適正化について早急に対策を取りまとめます。

さて、我が国は、急速に少子・高齢化が進展する一方、経済は依然として厳しい状況にあり、未来に向かって明るい希望が持てる社会を築くために、経済や行政・財政の構造的な改革が求められるなど、大きな転換点に立っております。
厚生行政についても、二十一世紀に向けて、社会経済の活力を損なわず、将来を担う子供たちに過大な負担を課すことのないよう、社会保障の構造改革の推進が必要です。このため、サービスの質の向上などの国民の期待に応えつつ、公平・公正で効率的な社会保障制度とするよう、その再構築を進めます。
また、いわゆる薬害エイズ問題やO−157による食中毒の問題等にかんがみ、厚生行政は国民の生命、健康や安全と直結する行政分野であることを再認識し、地方自治体と連携を図りながら危機管理に万全を尽くします。
さらに、内閣の最重要課題の一つである行政改革についても、全力で取り組みます。特に地方分権について、保健福祉分野を中心として、地域の特性に応じきめ細かに対応し、住民の要望に即した体制となるようその推進に積極的に取り組みますので、御理解、御協力をお願いします。

次に、本年厚生行政がまず取り組むべき課題について申し上げます。

医療保険制度については、二十一世紀に向けて制度を安定的に維持していくため、制度全般の総合的な改革が急がれますが、一方、当面の財政危機の回避を図ることが、こうした改革を進めていくためにも必要です。
このため、平成九年には、大幅な赤字体質にある医療保険制度の安定的運営を確保する観点から、給付と負担の見直しを始めとする改革や、国民健康保険制度の安定化に必要な措置を講ずるとともに、医療提供体制との関連を含め医療保険制度全般の総合的な改革についての検討の場として医療保険構造改革審議会を設置することを内容とする医療保険制度改革を行います。

高齢者保健福祉施策については、介護を要する方が自らにあったサービスを選択し、できるだけ自立した生活を送ることができるよう包括的な介護保障の制度の構築が必要であります。このため、先の臨時国会に介護保険法案及び関連法案を提出したところであり、その成立に向けて全力を挙げて取り組みます。
介護サービス基盤についても、新ゴールドプランに基づき今後とも各地方自治体を全面的に支援し、その充実を図ります。

児童家庭福祉施策については、少子化の進行等の児童及び家庭を取り巻く環境の変化を踏まえ、エンゼルプランを着実に推進するとともに、保育所制度の見直しなど子育てしやすい環境の整備と次代を担う児童が自立した人間として成長することを積極的に支援するための環境づくりを目指し、今国会に児童福祉法等の改正法案を提出します。

また、障害者の保健福祉施策については、障害保健福祉部の創設により、総合的かつ横断的な障害者施策の推進体制が確立されました。今後とも、「障害者プラン」を着実に推進し、障害者の地域における自立の支援、社会参加の促進をより強力に進めます。同時に、資質の高い福祉人材の養成・確保に努めます。

また、不法投棄や最終処分場の逼迫、施設の設置をめぐる地域紛争の発生など産業廃棄物処理について問題が山積しております。廃棄物の適正処理を確保し、国民の信頼性の回復と安全性の向上を図り、総合的対策を講じるために、今国会に廃棄物処理法の改正案を提出します。さらに、「リサイクル型社会」の実現に向け、容器包装廃棄物の再生利用を推進します。生活排水対策としては、引き続き合併処理浄化槽の普及促進を図ります。水道行政については、災害に強い水道の整備や、安全性を確保するために、高度浄水処理施設の整備、感染性微生物対策の推進等の水道水質管理の強化を進めます。

次に、厚生行政の本年の取組について申し上げます。

食中毒対策については、大規模調理施設等の衛生管理の徹底、原因究明のための体制整備等、予防対策の指導の充実を図ります。また、輸入食品監視体制の充実等、食品の安全性の確保に努めます。

保健医療行政については、O−157など新しい感染症の発生や、結核など一時は制圧されたと考えられていた感染症の再来が問題となっております。的確な情報収集・情報提供を始めとする感染症に対する危機管理体制の充実に取り組むとともに、伝染病予防法の改正を含め、感染症対策の抜本的な見直しを行います。また、「生活習慣病」の概念の導入などを含めた効果的な疾病予防対策の構築、「エイズストップ七年作戦」の推進等に努めます。
医療制度については、先の臨時国会に提出した医療法の早期成立を図るとともに、地域保健法の全面施行に向けた保健所の機能強化等を推進するなど質の高い医療を提供する体制を確立します。
また、国立病院・療養所について、再編成を通じて機能の充実・強化を図っておりますが、昨年の法律改正と基本指針の見直しを踏まえ、再編成の一層の推進に努めますので、引き続き御協力をお願いします。

薬事行政の分野については、医薬品による健康被害が二度と繰り返されることのないよう、薬事行政組織の再編、中央薬事審議会の運営の見直し等の再発防止策に万全を尽くします。このほか、血液事業の新たな展開に向けて血液行政の見直しに取り組みます。また、昨年三月にエイズ訴訟の和解が成立したことを受けて、引き続きエイズ治療・研究推進体制の整備等の恒久対策を進めます。
さらに、老後生活の所得保障の主柱である公的年金制度について、少子・高齢化の一層の進行、経済基調の変化等に対応するため、平成十一年の次期財政再計算に向けて、給付と負担のバランスの確保等制度全体の見直しを進めます。また、基礎年金番号の定着に努めるとともに、厚生年金基金制度について、自主的に判断して運営できる柔軟な仕組みを構築することで、長期的に安定した制度を確立します。
また、厚生科学について、厚生科学審議会を設置するとともに、昨年閣議決定された科学技術基本計画に積極的に対応し、厚生科学研究を推進します。
その他、開発途上国への支援、戦傷病者戦没者遺族や中国残留邦人などの方々に対する援護、慰霊事業等の着実な実施等に努めます。

最後に、これら厚生行政の施策は、地方自治体の皆様の御協力を得て、初めて実を結ぶものばかりであります。各地域における自主的かつ創造的な施策を期待しつつ、皆様方の御理解、御協力をお願いいたしまして、私のごあいさつといたします。

 

 

全国厚生関係部局長会議における政務次官あいさつ

全国厚生関係部局長会議の開催に当たり、一言ごあいさつ申し上げます。
我が国においては、少子・高齢化の一層の進展、社会経済の構造改革の要請の中で、国民の皆様の健康と安心のために、社会保障の構造改革が求められております。
こうした状況の下、厚生省といたしましても、
○ 医療保険制度全般についての総合的な改革として、平成9年に給付と負担の見直し を始めとする制度改正を行うとともに、保健・医療・福祉にわたる高齢者の介護サー ビスを一体的・効率的に提供する制度創設のための介護保険法案及び関連法案の成立
○ 少子化問題への総合的な対応についての本格的な検討と、保育所制度の改革など質 の高い子育て支援の環境づくりを目指した児童家庭福祉施策体系の見直し
○ 産業廃棄物問題への早急な対応、保健医療分野、薬事分野などの厚生行政が、国民 の生命、健康の安全と直結した分野であることの再認識とその対応
○ 行政改革の大きな流れの中で率先垂範して、規制緩和、地方分権などに積極的に取 り組むこと等、様々な課題に適切に対応していく必要があると考えております。

その他、多様な課題の解決に向けて、各種の施策の推進に着実に努めてまいりますが、厚生行政の推進には、地方自治体における積極的な取組が必要であります。
皆様方の御理解、御協力をお願いいたしまして、私のごあいさつといたします。

 

 

全国厚生関係部局長会議における事務次官あいさつ(骨子)

全国厚生関係部局長会議の終了に当たり、一言御挨拶をさせていただだく。

(不祥事関係)

○ まず、昨年の一連の不祥事は、厚生行政に対する国民の信頼を著しく損なったものと して、極めて深刻に受け止めている。地方公共団体の皆様や全国の福祉・医療関係者を 始めとして、国民の皆様に多大な御迷惑をおかけしたことに、改めて深く心よりお詫び 申し上げたい。

○ 厚生省としても、昨年末、関係者に対する厳正な処分を行うとともに、職務関係者等 との会食等の禁止を盛り込んだ厳しい綱紀の粛正を徹底的に実施し、また、社会福祉施 設等に係る補助金選定や法人運営の適正化を早急に対策を取りまとめることとしている。

○ 今後は、綱紀の厳正な保持を図るため、職員一人一人が深く自省し、組織全体として も不祥事を引き起こす土壌がないか厳しく反省するとともに、厚生省の抱える諸問題に 全力で取り組むことにより、一日も早く国民の厚生行政に対する信頼を回復できるよう 努力する。

(6つの改革)

○ 21世紀まで残すところあと僅かとなり、日本の社会経済システムを21世紀にふさ わしい形に新たに創造するため、政府としても、行政改革、経済構造改革、金融システ ム改革、社会保障構造改革、財政構造改革及び教育改革を推進し、これを実現していく ことが必要である。

○ とりわけ、厚生省としては、社会保障制度に対する責任を自覚して、社会保障構造改 革を推進するとともに、地方分権、規制緩和など行政改革についても率先垂範して全力 で取り組んでいく。

(社会保障構造改革)

○ 社会経済の活力を損なわず、将来を担う子供たちに過大な負担を課すことのないよう、 構造改革を推進していく必要がある。その再編成の方向は、比重の大きい医療及び年金 分野を中心に、負担と給付の公平を図るとともに、効率的な制度を構築することである。

○ このため、まず先の臨時国会に関連3法案を提出している介護保険制度の創設は、社 会保障構造改革の第一歩となるものであり、その早期成立に全力を挙げて取り組む。

(医療保険改革)

○ 医療については、介護を医療保険から切り離すことを契機として、21世紀に向けて、 医療提供体制を含めた医療及び医療保険制度全般の総合的かつ段階的な一連の改革を実 施することとする。

○ その第一段階として、当面の財政危機の回避を図ることが改革を進めていくためにも を必要であり、今通常国会に、給付と負担の見直し、医療保険構造改革審議会の設置、 保険基盤安定制度の国庫負担の段階的復元等を内容とする医療保険改革法案を提出する。

(少子化への対応等)

○ 昨日公表された新人口推計においては、少子化がさらに進行し、このまま出生率が低 水準で推移し続けた場合、21世紀には人口が大幅に減少することが示された。こうし た事態に対応して、国民的な議論を喚起し、経済社会全体の在り方や社会保障制度を含 めた総合的な対応が必要である。

○ 少子化問題についての総合的な対応について本格的な検討を行う。この中で、児童家 庭福祉施策については、児童及び家庭を取り巻く環境が大きく変化しており、戦後まも なく確立された児童家庭福祉施策の体系を改めて見直す時期に来ている。このため、保 育所制度の改革など質の高い子育て支援の環境づくりを目指し、今国会に児童福祉法等 の改正法案を提出する。

○ また、年金制度についても、平成11年に給付と負担の適正化等制度全体の見直しを 行うなど、段階的に社会保障全体の構造改革を進める。

○ その他今国会においては、廃棄物処理法の一部改正の提出を予定している。産業廃棄 物処理については、最終処分場をめぐる地域紛争や不法投棄等の諸問題を解決すべく、 総合的対策を講じる必要があり、廃棄物の減量化の推進、施設に係る規制の見直し、不 法投棄対策の強化等所要の措置を講ずることとしている。

(行政改革)

○ 規制緩和については、行政改革委員会から昨年12月に提示された意見の着実な実行 は無論のこと、各界から寄せられた各種要望について全て検討を行った上で、民間の自 由な活動を不当に阻害することのないよう、積極的な措置を講じていく。

○ 地方分権については、昨年12月に地方分権推進委員会から機関委任事務制度の廃止 等を内容とする第1次勧告が行われ、また、本年6月には国庫補助金、必置規制、地方 事務官制度、地方行政体制等について第2次勧告が行われる予定である。さらに、平成 10年の通常国会終了時までに地方分権推進計画を策定することとなっている。

○ 特に、厚生省としては、保健福祉サービスについて、住民に身近な市町村に委ね、都 道府県、国がこれを支え、結果として国民に対して最良のサービスが提供されるような 体制とする観点に立って、引き続き、地方分権の推進に積極的に取り組んでいくので、 地方公共団体におかれても、是非とも御理解、御協力をお願いする。

(健康危機管理の取組)

○ いわゆる薬害エイズ問題やO−157による食中毒の問題等にかんがみ、厚生行政は、 国民の生命、健康の安全と直結する行政分野であることを再認識する必要がある。

○ 厚生省としても、複数部局にまたがる総合的な対応が必要とされる健康危機問題に適 切に対処する必要があり、厚生省健康管理基本指針を策定するとともに、各部局が行う 健康危機管理業務を側面から支援調整するために、厚生省健康危機管理調整会議を設置 したところである。

○ 今後とも、地方公共団体と連携しながら危機管理に万全を期してまいりたい。

○ 最後に、2日にわたり貴重な時間を頂き、会議に参集された皆様方に深く御礼を申し 上げ、厚生省としても、国民に対する最善の行政サービスを目指し、皆様方への支援を 約束するとともに、改めて、御理解、御協力をお願いいたしたい。


 

 


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