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毒物及び劇物取締法施行規則の一部改正に対して寄せられた御意見・情報について

平成12年11月16日
厚生省医薬安全局安全対策課

 毒物及び劇物取締法施行規則の一部改正については、平成12年9月25日から10月24日までインターネットのホームページ等を通じて御意見・情報を募集したところ、7通の御意見・情報をいただきました。お寄せいただいた御意見・情報とそれらに対する当省の考え方につきまして御報告いたします。
 いただいた御意見・情報については、平成12年12月末まで厚生省行政相談室で閲覧することができます。
 御意見・情報をありがとうございました。


<御意見の概要と御意見に対する考え方>

1 毒物及び劇物取締法施行令(以下「令」という。)第40条の9第1項ただし書きの厚生省令で定める場合について

【御意見】

○ 「ア 一回につき200mg以下の劇物を販売し、又は授与する場合」とありますが、毒物については特に規定されておりません。
 つきましては、例えば、「1回につき20mg以下の毒物を販売し、又は授与する場合」というように毒物につきましても数量の裾きりの規定を追加記載していただきたい。

○ 濃度の除外規定がないため、0.01%のものでも数量が多ければMSDSの交付の対象となります。この場合も濃度による除外を明記していただきたく思います。

○ 例えば、硝酸タリウムを199mg販売してもMSDSは要らないが、硝酸タリウムを含む製剤の場合、非常に微量含む場合でも劇物に相当し、20ppmの濃度で1kg販売しても硝酸タリウムで20mgにしかならないのに製剤全体として劇物であるためにMSDSが必要となり矛盾する。

【御意見に対する考え方】

 1回につき200mg以下の劇物を販売し、又は授与する場合」については、劇物の経口急性毒性の判定基準は「LD50が30mg/kgを超えて300mg/kg以下のもの」であり、成人体重を60kg、安全係数を1/10とし、30×60×(1/10)≒200mgとしたものです。
 毒物の経口急性毒性の判定基準は「LD50が30mg/kg以下のもの」であることから取扱量による情報提供の対象から除外することはできません。
 なお、劇物を含有する製剤のうち含有率が低く、毒性が判明しているもの等であって、保健衛生上の危害が発生するおそれの低いものは毒物及び劇物指定令(昭和40年政令第2号)(以下「指定令」という。)において劇物から除外し、毒物及び劇物取締法(以下「法」という。)の規制の対象外としています。

【御意見】

○ 「一回につき200mg以下・・・」となっていますが、この文面ではその都度MSDSを提供しなければならないと解釈されます。同一相手に何回も譲渡・販売する場合は現実的に対応できません。

【御意見に対する考え方】

 毒物又は劇物を販売し、又は授与するときに、当該毒物劇物営業者により当該譲受人に対し、既に当該毒物又は劇物の性状及び取扱いに関する情報の提供が行われている場合については、令第40条の9第1項ただし書きの規定により情報提供の義務の適用を除外しています。

【御意見】

○ 農薬等を農家に販売する場合は、「専ら生活の用として消費する消費者に対して販売し、又は授与する場合」と解釈してよろしいでしょうか。

【御意見に対する考え方】

 農薬は令別表第1の上欄に掲げる劇物に該当しないことから、御質問の場合は含まれません。

【御意見】

○ 令第40条の9第1項ただし書きの厚生省令に農薬製剤を入れていただきたい。
 農薬製剤が除外されない場合は、流通在庫については対象外としていただきたい。
 また、農家等使用者への情報提供は製品ラベルの代用を認めていただきたい。

【御意見に対する考え方】

 情報の提供は、販売を通じて譲受人において毒物又は劇物による危害防止措置が講じられるようにするために行うものですので、流通在庫であっても毒物又は劇物を販売し、又は授与するときは、その販売し、又は授与する時までに譲受人に対し、当該毒物又は劇物についての情報提供が行われなければならないものと考えます。
 なお、最終使用者については、容器の表示を確認することができることから、容器の表示として必要な情報の内容が記載され、かつ、その方法により情報を提供することについて、譲受人が承諾したものであれば差し支えないと考えます。

2 令第40条の9第4項の厚生省令で定める事項について

【御意見】

○ 令第40条の9第4項の厚生省令で定める事項の「ア 情報の提供方法」では、相手が磁気ディスクを要求すれば、それに従わざるを得ません。ここは「文書によるものの他、」として文書による交付は無条件で認めていただきたく思います。

【御意見に対する考え方】

 文書の交付以外の方法で情報提供を行う場合には、その方法により情報を提供することについて譲受人が承諾したものによらなければならないこととしています。省令の条文では、そのことがわかりやすい表現に改めます。

【御意見】

○ 「情報の提供は、邦文により行わなければならない。」となっていますが、「情報の提供は、原則として日本語により提供しなければならない。」か、もしくは、「情報の提供は、日本語により提供しなければならないが、化学物質名、外国の機関名、外国文献名等は英語で記載してもよいものとする。輸入品でかつ研究用途のものについては英語でもよいものとする。」としていただきたい。

○ 毒性情報等専門的な情報は、専門家が利用する点から、現時点でのデータは、外国の文献が質、量共に多く邦文でなければならないとすると作成側の負担が大きすぎるので英文データも認められるようにしていただきたい。

【御意見に対する考え方】

 単位又は製品名、外国の機関名、外国文献名等の固有名詞等については、邦文中に記号又は原語をそのまま表記しても差し支えないものと考えます。
 しかし、情報の提供は、用途に関わらず譲受人において毒物又は劇物による危害防止措置が講じられるようにすることを目的とするため、譲受人にわかりやすい情報の提供をしなければならないと考えますので、このような場合、必要に応じ、邦文による表記を併記することが望ましいと考えます。
 なお、外国語の文献をそのまま提供することは、譲受人にわかりやすい情報とはいえないので認められません。

【御意見】

○ JIS様式のMSDSであれば同等として認められる旨の項目追加をお願いしたい。

○ 情報の内容の項目は(ア)〜(ス)とありますが、他の省庁のMSDSの互換性を考慮し、これ以外の項目記載しても構わないのでしょうか。
 また、書式の見本となるものがあるのでしょうか。

【御意見に対する考え方】

 「JIS Z7250化学物質等安全データシート第1部:内容及び項目の順序」で定められている内容は、法で定められている提供すべき情報を含むものと考えます。
 厚生省令では提供する情報の内容を定めていますが、書式を定めていません。
 また、提供しなければならない情報の内容を定めていますが、それ以外の情報であっても、必要に応じ提供を行うことは差し支えないものと考えます。

【御意見】

○ 純品の場合は名称・含量などを記載することは容易ですが、製剤の場合に名称及び成分については法上では毒物及び/又は劇物のみを必須としていただきたい。
 また、含量については明確に定めないか、ラベルに表示しているものと同等としていただきたい。

【御意見に対する考え方】

 法において規定する情報の提供は、毒物及び劇物を対象としているものです。
 含量については、法第12条第2項第2号の規定に基づき表示するものと令第40条の9に基づき提供するものが異なることは、譲受人に混乱を与えることとなるので統一することが望ましいと考えます。

【御意見】

○ 廃棄上の注意は、「毒物及び劇物の廃棄の方法に関する基準」(昭和50年11月26日薬発第1090号)をそのまま記載しても構わないでしょうか。

【御意見に対する考え方】

 差し支えありません。

3 施行期日について

【御意見】

○ 施行日が平成13年1月1日となっていますが、春先に施用する水稲用除草剤など季節性を有する多くの農薬は、既に市中に流通しており、末端販売店における施行日からの対応が困難なことから、施行に関して猶予期間を検討していただきたい。

【御意見に対する考え方】

 「毒物及び劇物取締法施行令の一部を改正する政令」(平成12年6月30日政令第366号)において施行日を平成13年1月1日としていることから、できません。

4 その他

【御意見】

○ 法第16条(運搬等についての技術上の基準)、令第40条の6(荷送人の通知義務)において規定する書面の交付がありますが、今回の情報の提供は、これとは別物と考えて構わないでしょうか。
 また、「毒物及び劇物の運搬事故時における応急措置に関する基準」(昭和52年2月14日薬発第163号)が制定され、令第40条の6に規定する書面(見本)として広く用いられておりますが、令第40条の9においても同様に情報の提供の見本となるものを作成するのでしょうか。

【御意見に対する考え方】

 法第16条に基づく令第40条の6の規定による荷送人の通知は、毒物又は劇物の運搬を委託する場合に、荷送人が運送人に対し、あらかじめ、事故の際に講じなければならない応急の措置の内容等を記載した書面を交付することにより、主として毒物又は劇物の運搬事故時における危害防止を目的としたものです。
 今回の情報提供は、毒物又は劇物を販売又は授与するときに、毒物劇物営業者から譲受人に対して、火災時の措置、取扱い及び保管上の注意、廃棄上の注意等の情報を提供することにより、譲受人により運搬時の他使用時、保管・貯蔵時、廃棄時、事故発生時等における危害防止が図られることを目的としていることから、これら2つのものは別のものとなります。
 また、見本の作成については、先述のとおり、現在のところ厚生省では様式を定める予定はありません。

【御意見】

○ MSDSに関しては、通産省、環境庁、労働省が関係しており現場が混乱しています。一本化を強く望みますが不可であれば、対象となる物質は異なるにしても運用(政令レベル)は統一することを強く要望いたします。

【御意見に対する考え方】

 各法令により情報を提供する目的は異なっていますが、極力、事業者に過度の負担とならないよう、情報の提供の際に同じ内容のものを各法令ごとに別々に提供しなければならないことは避けるよう努めます。


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