平成12年9月20日
医薬安全局審査管理課
薬事法に基づく化粧品の規制に関する告示及び省令の改正については、平成12年4月7日から5月8日までインターネットのホームページ等を通じて御意見・情報を募集したところ、19通の御意見・情報をいただきました。お寄せいただいた御意見・情報とそれらに対する当省の考え方につきまして御報告いたします。なお、とりまとめの都合上、頂いた御意見・情報は、適宜集約したものとしております。御意見・情報をありがとうございました。
いただいた御意見・情報については平成12年12月末まで厚生省行政相談室で閲覧することができます。
なお、パブリックコメントの対象ではない事項に関する御意見も寄せられましたが、パブリックコメントの対象となる事項に限って考え方を示させて頂いております。
1 化粧品品質基準の廃止、化粧品基準の制定に関する御意見等の概要と御意見に対する考え方 |
1)配合可能成分リストに特定成分の追加、あるいは特定成分の配合上限値を変更してほしい。(複数意見)
2)粘膜に使用されることがない化粧品のうち、洗い流すもの、洗い流さないものを分けて配合基準を設定する必要はないものと考えられる。
3)「フッ素化合物のうち無機化合物」について、制限は、「遊離のフッ素」の歯牙に対する効果及び毒性に対するものと考えられるので、「フッ素化合物のうち無機化合物」を「フッ素化合物のうち水溶性無機化合物」と変更すべきと考える。また、化粧品種別配合成分規格に収載されている「合成金雲母」及び「合成金雲母(2)」の本質を見ると、「ケイフッ化カリウム」が含まれている。
4)成分の規制リストに関し、英語でのリストの作成を希望します。
5)これまで医薬部外品においてのみ使用が認められていた有効成分と配合量については、新制度移行後も 作用緩和なものを除き、化粧品に認められるべきではない。医薬部外品において使用が認められた際、種々の条件が付された特定の成分について、化粧品での配合禁止成分リストあるいは配合制限成分リストに収載してほしい。(意見複数)
6)配合禁止成分リスト中の「プロカイン等の局所麻酔剤」は、「ベンゾカインを除く局所麻酔剤」と変更した方が良いと思われます。「ベンゾカイン(別名「パラアミノ安息香酸エチル」(日局及び粧原基収載品))」は、医薬品としては局所麻酔剤、化粧品では紫外線吸収剤「パラアミノ安息香酸及びそのエステル」として使用され、配合禁止成分とすると矛盾を生じると思われます。
7)配合規制成分リストのホルモンに関する基準として用いる「国際単位」を医薬部外品のホルモン配合基準に合わせて、「重量単位」に変更していただきたい。
<御意見に対する考え方>
これまでの化粧品における規制を踏襲したものですが、国際単位の重量単位への換算について別途通知致します。
8)タール色素の定義を明確化して頂きたい。(複数意見)
9)既に、許可を得て使用しているタール色素は、新制度移行後、ポジティブリストになくても、新しく、申請許可を得ることなく使用できるようにして頂きたい。
10)化粧品の配合成分と、パーマネントウェーブ用剤、染毛剤の有効成分及びその量との位置関係が明確でない。
11)安全性の担保された「法定タール色素」以外の有機合成染料を化粧品扱いの染毛料へ配合することを可能とし、新たなポジティブリスト作成を要望する。
12)すでに試験済みでない成分についての感作性試験の実施と報告を義務づけると共に、病院等における被害調査を容易ならしめ結果を集約できる情報システムを作るよう要望します。
13)医薬審第1110号(平成11年7月19日)「ポジティブリスト収載希望成分の取扱いについて」で は、紫外線吸収剤の定義の説明として、「紫外線から製品を保護するためだけに使用される紫外線吸収剤は含まない。」とあったが、今回、紫外線吸収剤の定義がない。
14)成分名について、告示で用いる成分名称については、日本化粧品工業連合会が作成する「化粧品の成分表示名称リスト」に収載されている「表示名称」にて行うか、又は告示にカッコにて併記して戴きたい。
2 「品目ごとの承認を受けなければならない化粧品の成分を指定する件」並びに「成分の名称を記載しなければならない医薬部外品及び化粧品の成分を指定する件」の改正に関する御意見等 |
1)「指定成分表示」制度を残すこと。“指定成分”制度をなくすのではなく、むしろ弱点を補って強化されることを要望します。
2)表示成分の中で色を変える、若しくは印を付ける等の方法によって、旧表示指定成分が表示されることが適当。
3)改正後の厚生省告示「薬事法の規定に基づき、成分の名称を記載しなければならない医薬部外品の成分」の別名又は略称として、化粧品の全成分表示用に化粧品工業連合会(粧工連)が定める表示名称を加えることを希望します。
4)安全性情報の報告と公開:化粧品原料基準(粧原基)や化粧品原料基準外成分規格(粧配規)などに記載された以外の成分については、安全性データの報告を義務づけ、消費者が閲覧できるようにすること。 または、各製造者又は販売者に成分及び製品の安全性データの公開を義務づけること。
5)危害情報の収集及び活用:化粧品に関わってきた危害について、報告を義務づけ、販売量に対して発生数多いもの(多発事故)と被害が重篤なもの(重大事故)はただちに 消費者に知らせる方策をとること。多発事故と重大事故については、原因を究明して、再発防止に必要な対策、すなわちネガティブリストの追加や原料規格の改正などにつなげること。
6)成分表示を消費者にわかりやすいものとすること。さまざまな名称で表示されることは、消費者にとってわかりにくいことになるので、できれば表示名称を統一していただくようお願いしたい。
7)表示名称はわかりやすい名称とすること。日本化粧品工業連合会のリストでは、INCI名称の音訳を“表示名称”としているため、消費者に馴染みのない名称が主たる名称となっています。消費者にわかりやすい名称で表示が行われるよう、ご指導をお願いしたい。国際化等の理由でINCI名称の音訳を使用することが止むを得ないとすれば、新しい名称が消費者に理解されるよう、貴省並びに業界団体等による格別の対策をお願いいたしたい。
8)できるだけ用途名を併記すること。消費者にとって成分名称は難解であるため、添付文書等でできるだけ用途名を併記するよう、ご指導お願いいたします。
9)12年3月27日に中央薬事審議会で配布された「3全成分表示における留意点」のところで、「キャリーオーバー等であっても、配合禁止成分検出は不可であること」となっていますが、検出感度が年々向している昨今では、関連する成分は、実質、全く使えなくなります。それでホルマリン、メタノール等には、キャリーオーバー成分として許される制限量を規定すべきだと考えます。
10)全成分表示の特例についている情報開示の条件が厳しすぎるので規制緩和の主旨に沿って、実質的に情報が伝われば良いのですから情報開示の条件を体制整備だけに絞ることを望みます。
11)非開示成分について、他製品に使われていても、新規の使用目的で使用する場合は、非開示成分として認めるべきであると思います。
12)直接の容器への全成分表示の特例として、容器表面に表示すべきを全成分が書ききれない場合は、中に封入と容器表面に記載の上で、容器中への封入した状態での全成分表示を認めるべきだと思います。
13)新制度移行日に現に製造(輸入販売)されている品目への全成分表示の特例について、施行予定日以前に、届け出等済ませて、製造体制の出来ているものは、施行日以降、一定の条件を満たせば、一定期間(1年半)、全成分表示の特例を認めることを明確に文書で示すべきです。
3 「医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令」の改正に関する御意見等 |
1)米国で認められている赤色201号と赤色202号のバリウムレーキの顔料を日本でも認めて欲しい。
2)「医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令」別表第1記載されているタール色素の規 格については、第7版食品添加物公定書に記載されているタール色素の規格と同一の内容にすべきであると考えます。同一化学物質について、「一物二規格」となれば不合格品が、緩い規格の方に流れる可能性があります。
3)タール色素関連で、使用できるレーキの拡大は、今後、どのようなスケジュールで、どのようになされるのか、明確にして頂きたい。
この他、試験法についての御意見も頂きましたが、次回の改正の際の参考とさせて頂きます。