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「理容師法施行規則及び美容師法施行規則」
の改正に関する意見募集結果について

平成12年8月4日

厚生省生活衛生局指導課

1.概要

 「理容師法施行規則及び美容師法施行規則」の改正案について、以下のとおり意見募集を行いました。

(1)期間:平成12年6月23日〜同年7月21日

(2)告知方法:厚生省ホームページ、厚生省生活衛生局指導課内

(3)意見送付方法:電子メール、FAX、郵送のいずれか

2.受付意見件数

 合計17件(意見提出者数)

 <内訳>

・理容業4件
・美容業1件
・理容美容教育機関4件
・医療機関2件
・行政機関6件

※:上記の件数には、意見募集対象外の事項に対する意見は含んでいません。

 のべ意見数は、複数の項目について意見が述べられているものがあり合計54件となりました。

1)表記方法等について7件
2)有効性等について11件
3)消毒方法の追加・削除等について17件
4)使用上の注意等について12件
5)その他7件

3.寄せられた意見及び意見に対する考え方・対応

 このたび、寄せられました御意見につきましては、取りまとめの便宜上、案件ごとに適宜集約させていただいております。
 今回、御意見をお寄せいただきました方々のご協力に厚く御礼申し上げます。

表記方法等について
No ご意見の概要 件数 ご意見に対する考え
 76.9v/v%〜81.4v/v%エタノール液(消毒用エタノール)は、消毒用エタノールとした方が良い。  消毒用エタノールを希釈せずにそのまま使用するほか、無水エタノールあるいはエタノールを希釈して使用することも考えられますので原案どおりとしたいと考えます。
 ただし衛生管理要領においては、消毒用エタノールを使用することが望ましい旨の記載をしたいと思います。
 第1項及び第2項の末尾を、「〜、次のいずれかの方法によりしなければならないこととする。」を「〜、次のいずれかによることとする。」とした方が良い。  法令の表記については、一般的な表記にならった表現としたいと考えます。
 第2項で、「かみそり以外の器具で〜」を「1のかみそり以外の器具で〜」とした方が良い。
 逆性石ケンは、界面活性剤である陰性界面活性剤の家庭用石ケンの逆である意味から陽性界面活性剤を呼ぶに当たり過去に命名したもので、又両性界面活性剤との区別に使用されたが、現在は消毒関係の文献・論文・雑誌では別名扱いになっています。陽性界面活性剤とするか、第4級アンモニウム塩系とし、薬品名として塩化ベンザルコニウム液と塩化ベンゼトニウム液が一般的であると考える。  従来から施行規則では、逆性石ケンという表現によっていること、理容所及び美容所では、逆性石ケンという表現になじんでいることから、原案どおりとしたいと考えます。
 消毒薬、消毒方法の記述順を、消毒効果が最も信頼できる順に記述すべきと考える。  改正案は、理学的方法、消毒薬による方法の順に記載しています。

有効性等について
 「沸騰後2分間以上煮沸する」は、日本薬局方どおりの「沸騰後15分間以上煮沸する」が適当と考える。  今回の改正案では、消毒の前に器具を洗浄することにより消毒の効果を高めることとしており、原案どおりとしたいと考えます。  
 理容・美容での器具消毒方法及び消毒処理時間を、薬事医療関係と同等とすべきと考える。
 第1項で掲げる3種類の消毒方法の有効性はあるのか。
 大切なことは各理容所でこのとおり実行されるかどうかである。印象でしかないがこのとおりきちんと消毒作業を行っているところはほとんどないのではないかと思われる。  理容師法、美容師法に基づいて、保健所を通じ理容所、美容所で適切な消毒方法を指導するとともに、パンフレット等により理容師、美容師の方に理解していただくようにしたいと考えております。
10  消毒ではなく、器具の清潔保持として、理容所及び美容所における皮ふに接する器具は、(1)使用後直ちに洗浄剤に浸し、スポンジ等を用いるなど適切な方法で洗浄した後、十分な量の流水で洗い流して除菌し、清潔に保つこと。(2)あるいは、材質や構造等に応じ、(1)と同等の効果を持つとみとめられる方法を行って除菌・消毒し、清潔に保つこと。とした方が良い。  理容師法及び美容師法では、皮ふに接する器具の消毒につき規定しており、これを受けて、それぞれの施行規則では消毒の具体的方法を規定しているものです。
11  両性界面活性剤の結核菌に対する効果は得られる時間が10分間以上では得られないので、結核菌に対しての時間は、別に明記した方が良い。  結核の主な感染経路は飛沫感染ですので、日常業務の中で皮ふに接する器具から感染する可能性は小さいと考えます。
12  瞬間除菌スプレーNF80エタノール80% この品物は消毒効果があるのか。  御質問の製品の消毒効果については承知していません。

消毒方法の追加・削除等について
13  2の(6)(7)(8)については、血液中にB型肝炎ウイルスやHIVウイルスが含まれていた場合無効であるため、削除すべきではないだろうか。特に(7)のグルコン酸クロルヘキジンの0.05%という濃度ではMRSAですら消毒できない。  第2項は、血液の付着の疑いのない器具についての消毒方法ですので、原案どおりとしたいと考えます。
14  2の(8)の両性界面活性剤は、血液の付着が考えられるかみそりはウイルスには有効でないため使うべきではない。
15  グルタールアルデヒドを消毒薬の中に加えていただきたい。  医療機関で使用されているグルタールアルデヒドについては、承認されている効能・効果が「医療器具の化学的滅菌又は殺菌消毒」に限定されており、また劇薬であり眼鏡、マスク等の防護具をつけるなど十分注意して取り扱う必要があるなど、理容所、美容所で使用するには問題があるため、今回の改正案には加えておりません。
 なお、今回掲げた消毒方法以外の方法についても、引き続き検討していくこととしています。
16  イルガサンDP300を消毒薬に加えてはいただきたい。  イルガサンDP300は医薬部外品として手指の洗浄剤として使用されており、器具の消毒薬ではないため、今回の改正案には加えておりません。
 なお、今回掲げた消毒方法以外の方法についても、引き続き検討していくこととしています。
17  ヨウ素系薬剤を消毒薬に加えていただきたい。  ヨウ素系薬剤は、HBVに対する効果は証明されておらず、また皮ふ、粘膜、創傷面の消毒に使用され、器具には用いられていないため、今回の改正案には加えておりません。
 なお、今回掲げた消毒方法以外の方法についても、引き続き検討していくこととしています。
18  酸化電位水を消毒薬の中に加えていただきたい。   酸化電位水は酸化電位水発生装置により発生した水を指しますが、機械メーカーによってその効果や信頼性が異なるため、今回の改正案には加えておりません。
 なお、今回掲げた消毒方法以外の方法についても、引き続き検討していくこととしています。
19  消毒方法は、血液の付着又はその疑いの有無に関わらず統一すべきと考える。  第1項の消毒方法を第2項の器具に対しても用いることができることとしています。
20  第1項のエタノールによる消毒で、浸す方法だけでなく、拭く方法を加えていただきたい。  拭く方法は浸す方法に比べ、消毒液との接触時間が短いため、浸す方法にしています。

使用上の注意等について
21  第1項の消毒方法では材質によって、変形、腐食があると考えられる。  器具の材質を考慮した上で、第1項の場合では、3種類の消毒方法の中から選択していただくことになります。
 また、消毒薬に関する注意事項は、「理容所及び美容所における衛生管理要領」において記載する予定です。
22  1の(3)については、かみそりがステンレス製以外の場合、錆びる原因になるので注意書きが必要であると思う。  消毒薬に関する注意事項は、「理容所及び美容所における衛生管理要領」において記載する予定です。
23  煮沸消毒の項は、炭酸ナトリウム1%水溶液の記述を加えた方が良い。
24  消毒薬の交換頻度を規定すべきと考える。
25  洗浄から消毒にいたるプロセスに関し、「消毒薬に浸漬する前に水気を取る」旨の記述を追加すべきと考える。

その他
26  普通の人はひげ剃りを断りにくいのではないか。少なくとも未成年に対してはかみそりを当てないくらいの規制があってもよいのではないか。アメリカの理容所ではかみそりを使わないと聞いている。日本でもかみそりを使わない様にするか、せめて客に使うかどうか聞くような制度を作ってもよいのではないか。使い捨て注射器を同じくらいの注意を行わないと将来に禍根を残すことになると思われる。  顔そり等の施術については、衛生管理が確保されるよう理容所及び美容所に対する指導を徹底する必要があると考えます。
27  理容所と美容所を今まで分けていたのに、ここで一緒にするのは、何か意図があるのか。  パブリックコメントでは、まとめて掲載しましたが、理容師法施行規則及び美容師法施行規則をそれぞれ改正する予定です。
28  布片の消毒を明記すべきと考える。  「理容所及び美容所における衛生管理要領」で明記したいと考えます。
29  消毒方法にかかる規制の一部改正について、経過理由等を詳細説明すべきと考える。  施行規則の改正に際しては、改正の趣旨及び改正の内容等について都道府県等に通知を発出し、関係者に対する周知徹底を依頼する予定です。
 また、今回の消毒方法の改正を分かりやすく説明したパンフレットを作成し、理容師、美容師の方に理解していただくようにしたいと考えております。
30  使用上の注意、薬品と菌の関係を現場の美容師、理容師の皆さんがすぐに実行できるような説明をしていただきたい。


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