戻る

室内空気汚染に係るガイドライン(案)に対する意見の募集結果について

平成12年6月26日

厚生省生活衛生局企画課
生活化学安全対策室

1.概要

 平成12年4月27日に開催された「第2回シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会」において検討された「室内空気汚染に係るガイドライン(案)」の内容につき、以下のとおり意見募集を行いました。

(1)期間:平成12年5月12日〜同年6月12日の約1ヶ月間
(2)告知方法:厚生省ホームページ、記者発表等
(3)意見送付方法:電子メール、FAX、郵送のいずれか
 このたび寄せられましたご意見につきましては、取りまとめの便宜上、案件ごとに適宜集約させていただきました。
 今回、ご意見をお寄せいただきました方々のご協力に厚く御礼申し上げます。

2.受付意見件数

 合計 36件(意見提出者数)

<内訳>
・企業 14件
・団体 10件(事業者団体 5件、NGO 5件)
・個人 12件

 提出意見はほとんどが複数の項目について意見が述べられており、のべ意見数は223件となりました。

3.受付意見の概要

 意見(のべ意見数)の内訳は以下のとおりで、意見の詳細及び対応・回答については、別紙に記載します。

<内訳>
・指針値に対する意見 58件
・測定法に対する意見 142件
・その他 23件


1.指針値全般に対する意見

No 意見の概要 件数 意見に対する対応・考え方
1  多岐にわたる化学物質が室内空気中に存在すると考えられることから、個々の物質単独の指針値だけでなく、その総量に対する指針値を設定すべき。
 ヨーロッパでは化学物質の種類毎に目標値を決めた上で、トータルのTVOCについても評価しようとしている。このような規制についての厚生省の考えは。
 データが不足しているため個々に物質の安全性の評価をしていると規制は確実に遅れることになる。これ以上被害者を増やさないためにTVOCとして一括の規制を早急に実施すべきである。
 TVOCの指針として予防原則を適用し、まずトルエンの指針値を採用するべきである。
4  TVOCを室内空気汚染の指標として有効利用する可能性については、厚生省の検討会「快適で健康的な住宅に関する検討会議」(平成7〜10年)において既に指摘されているところです。
 本検討会においては、個別の化学物質の指針値の策定と併行して、TVOCの指針値の策定方法についても検討していきたいと思います。
2  指針のない他物質への移行が懸念されるため、類似の物質についても注意を促す説明を加える必要がある。 1  指針値の策定された物質の類似物質についても、個別の指針値策定と併行して、TVOCの指針値の策定方法に関する検討事項のひとつとして、その取扱い方を検討したいと思います。
3  全てのVOCを規制対象とするのは、実際には影響のないものまで含めてしまうことから、社会的な利便性等から考えて好ましくない。健康影響について、個々の物質のリスク評価を行うことが重要で、そのために関係各機関による疫学的調査を含めた情報収集の体制を作るべき。 1  シックハウス(室内空気汚染)問題に関して、厚生省では、その試験研究機関や保健所、医療機関等の連携によって、室内化学物質及び健康影響に関する実態調査を実施し、その成果を活用していきたいと考えています。
4  単独についての研究も大切ですが、現実問題として日常生活には、環境ホルモンその他を含む化学物質に暴露しているのが現状です。そのため、階層、ライフスタイル別の生活パターンを想定し、そこで検出された複数物質のモデルによる研究が大切と思います。
 トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン及びその他の物質が複合された場合の人体への影響を考慮する必要があるのではないかと思います。
 複合毒性についてはどう考えるか。
3  化学物質の複合毒性に関する考え方については、TVOCの指針値の策定方法に関する検討事項のひとつとして検討を進めたいと思います。
5  芳香族炭化水素に対してWHOヨーロッパの目標値は50μg/m3となっている。複合作用や化学物質過敏症等に対する毒性評価が科学的に困難な現状では、室内の指針値は一般大気中の濃度の実態に準じて決めるべき。 1  直近のWHO空気質ガイドラインでは、ご指摘の芳香族炭化水素類に関する指針値は確認できませんでした。ご指摘の点は、1990年の第5回空気質と気候に関する国際会議で提示された文書によるものです。しかしそこでは数値の説明として、明確な毒性評価に基づいたものではない旨記載されています。
 化学物質の複合毒性に関する考え方については、本検討会では、TVOCの指針値の策定方法に関する検討事項のひとつとして検討していきたいと思います。
6  10年前にWHOでTVOC300μgとのガイドラインがあり、さらに芳香族炭化水素で言えば50μgとのことだが、今回キシレンのみで870μg、トルエンを加えると1130μgにもなる。パラジクロロベンゼンを加えた3つで1370μgになるが多いのではないか。他の化学物質が加わることを考えると危険な量ではないか。 1  直近のWHO空気質ガイドラインでは、ご指摘のTVOCや芳香族炭化水素類に関する指針値は確認できませんでした。ご指摘の点は、1990年の第5回空気質と気候に関する国際会議で提示された文書によるものです。しかしそこでは数値の説明として、明確な毒性評価に基づいたものではない旨記載されています。
 本検討会では、個別の化学物質の指針値の策定と併行して、TVOCの指針値の策定方法についても検討を進めていきたいと思います
7  室内濃度の指針値がWHOに比べても高すぎる。どうやって他の指針値と整合性を取っていくのか。個人差があるはずであるし、低濃度長期暴露が問題になる場合は当てはまらない。もっと常識的な値を盛り込むべき。 1  トルエン及びキシレンの指針値は、直近のWHO空気質ガイドラインで示されている数値と同じ数値になっています。また指針値の算出においては、ヒトの個体差を考慮し、不確実係数10で除すことにより、補正を行っています。
 一方、パラジクロロベンゼンの指針値は、より直近の評価可能な知見として、WHOが採用したデータとは異なる、ビーグル犬を用いた経口投与実験のデータから算出致しました。得られた指針値240μg/m3は、WHO空気質ガイドラインに示されている134μg/m3よりも高くなりますが、後者については、算出の過程に不明確な部分があったことから、算出過程が明確に示される前者を指針値として採用することと致しました。
8  今後の物質の評価についても動物実験をベースとするのか。 1  疫学調査に代表されるヒト暴露に関する評価可能なデータがあれば、そのデータが優先されます。今般のトルエンの指針値策定に際しては、ヒトにおける疫学的な調査研究データが考慮されています。
 しかし、多くの化学物質において、評価可能なヒト暴露に関する研究データはほとんど存在しないのが現状であり、このような場合、一般に動物試験データの評価結果から、ヒトに対して外挿する方法が採られます。
9  キシレン及びパラジクロロベンゼンについては、人以外の生物に対する試験結果(それぞれラット、ビーグル犬)から指針値を設定していますが、その値が過剰ではないのか疑問を感じる。また、ラットやビーグル犬における影響と人における影響との関係を説明して欲しい。 1  キシレン及びパラジクロロベンゼンについては、評価可能なヒト暴露に関するデータがなかったことから、動物試験データからヒトに対して外挿する方法を採りました。
 その際、一般的な方法として、不確実係数10で除すことにより補正を行っています。その理由は、ラットやビーグル犬などの動物で認められた毒性影響がヒトにも発現する可能性がある場合、動物における発現量と同じ濃度で発現する可能性があるのかどうか、種差を考慮しなければならないためです。
10  シックハウス対策のための指針値設定であるのだから、アレルギーや化学物質過敏症への対策を基本にすべき。今すぐには無理ということであれば、少なくとも将来的な削減計画と目標値を設定するべき。 1  今般の指針値策定は、既存の毒性知見をもとに、耐容1日摂取濃度(TDI)を算出し、個体差等の不確実係数で補正し、より影響を受けやすい方々をも考慮した策定になっています。これによって室内汚染レベルの低減化が促進されるものと期待します。
 なお、アレルギーや化学物質過敏症を考慮した指針値策定では、極めて低濃度での汚染が問題となり、個体差も非常に大きいことから、現時点で定量的なリスク評価は困難であり、むしろ慢性暴露による中毒量を指標とした指針値を策定して、その普及に努めることで、いっそうの室内汚染の低減が図れればと思っています。
11  WHOのガイドラインでも新築住宅は適用外であり、築後1週間はガイドラインの50倍、築後6週間までは10倍までは許容できることが提案されていることもあり、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼンの濃度指針値を新築住宅へは適用外又は緩和措置を施していただきたい。 1  ご指摘の提案は、直近のWHO空気質ガイドライン(1999年)では、確認できませんでした。
 今回の揮発性有機化合物(VOC)の指針値策定では、新築の場合、居住開始後に居住者が暴露されるであろう最大濃度を測定することを想定しているので、測定値が指針値を超えたからといって、その濃度で継続的に暴露されない限り、すぐに健康影響が起きるという性質のものではありません。
 また築後の内装や建材からのVOCの室内放散は、その住宅の構造や仕様等により、時間経過による減衰の程度が大きく異なることも予想されます。
 従って一定期間の暴露にって起こる毒性を指標として指針値を策定し、測定法は暴露が最大となるであろう方法を採ることによって、より安全性を確保できる評価を行うことで、VOCの室内濃度の低減化の促進が期待できるものと考えます。
12  トルエン、キシレンの室内濃度指針値は長期暴露による人体への影響を考慮して導き出されたものであるが、測定はいわば短期暴露による人体への影響に関連するものを測っている。従って今回の指針値を新築住宅に適用することには無理がある。 1  今回の揮発性有機化合物(VOC)の指針値策定では、新築の場合、居住開始後に居住者が暴露されるであろう最大濃度を測定することを想定しているので、測定値が指針値を超えたからといって、その濃度で継続的に暴露されない限り、すぐに健康影響が起きるという性質のものではありません。
 また築後の内装や建材からのVOCの室内放散は、その住宅の構造や仕様等により、時間経過による減衰の程度が大きく異なることも予想されます。
 従って一定期間の暴露によって起こる毒性を指標として指針値を策定し、測定法は暴露が最大となるであろう方法を採ることによって、より安全性を確保できる評価を行うことで、VOCの室内濃度の低減化の促進が期待できるものと考えます。
13  目的と対象選択基準を初めに書くべきである。 1  指針値を設定することにより、室内汚染の低減化を促進し、快適で健康な居住空間を確保することが目的であり、対象物質は、実態調査の結果、一部の家屋で非常に高い汚染が認められた3物質をまず選んで、指針値策定を試みたところである。ご指摘の趣旨が明らかになるように報告書に記載します。
14  今回の3物質を選択した理由を記載すべき。他にも危険な物質があるがなぜこの3種だけなのか。
 この3物質を対象にした理由は。それ以外に影響のある物質はないのか。
2  先に行われた「居住環境中の揮発性有機化合物の全国実態調査」の結果、一部の家屋における室内空気汚染が高かったトルエン、キシレン及びパラジクロロベンゼンの3物質について、まず、室内濃度指針値の設定を試みているところです。今後は、実態調査の結果も踏まえ、これら3物質以外のVOCについても、指針値を策定していくこととしています
15  指針値の対象物質としてベンゼンも加えるべきだと思う。ベンゼンは揮発性が高く、発がん性の疑いがあり、新築住宅でも確認されたとの資料があるからである。 1  今後順次室内濃度指針値の策定を検討していく物質にベンゼンも含まれます。
16  クロロホルムについてもWHO空気質ガイドラインを超えた事例が2〜3割あることを考えると、今回の規制対象に入れるべき。 1  今後順次室内濃度指針値の策定を検討していく物質にクロロホルムも含まれます。
17  シロアリ駆除剤や殺虫剤等の薬剤についても、緊急に調査し基準値を設定すべき。 1  シロアリ駆除剤や殺虫剤等の薬剤についても、室内濃度指針値の策定を検討したいと思います。
18  この3物質に関する先進諸国の指針値と、各国がその値をどのように決めたかを説明して欲しい。 1  ホルムアルデヒドの指針値策定の際、調査を実施しておりますが、これら3物質について具体的に指針値を策定した事例は確認できませんでした。
 これについては、調査から大夫時間が経過していること、またTVOCについての検討の際に海外の進捗を把握する必要があることから、再調査を実施したいと思います。
19  日本では海外に比べ室内VOC濃度が非常に高濃度に検出される。外気濃度もWHO・ヨーロッパWGガイドライン値を上回る場合があり、VOCガイドライン値設定には日本の実態を多少考慮する必要がある。 1 WHO空気質ガイドラインの目的は、各国が自身の実態を考慮し、自身の空気質基準の策定に役立たせることとされています。
 今回の指針値策定では、居住環境中の揮発性有機化合物の全国実態調査の結果を基に、一部の家屋で室内空気の汚染が高かった3物質を選定しました。実態調査の結果は、引き続き、その他のVOCの指針値策定を進める上で、参考にすることとしています。
20  トルエンとキシレンを併用し、その合計量がキシレンの指針値を上回った場合はどう判断したらよいか。 1  今回策定した指針値は、個々のVOCに関するものです。これら化学物質の合計量に関する指針値の考え方は、TVOCの指針値の策定方法に関する検討事項のひとつとして検討していきたいと思います。
21  指針値を強制力のある規制値とすべきと考えるがどうか。 1  指針値の策定によって、住宅施工者による、VOCの室内濃度の低減化のための、自主的な住宅構造や仕様等の改善の取組みが期待できると考えています。
 なお指針値策定以後も、汚染実態に改善がみられないことが明らかになった場合は、法的な裏付けのある規制値の設定について検討する必要があると考えています。
22  個体差に関する安全係数を一律に10としているが、子供や老人、過敏症の人たちなど、より強い影響を受ける可能性がある人たちのことを考え、更に厳しくするべき。 1  個体差に関する不確実係数は、「10」が一般的に広く認められており、これによって、より強い影響を受ける可能性がある場合も考慮した補正が行われます。しかし用量−反応曲線が急勾配である場合や安全域が狭い場合等、物質の性状や個体の特殊な罹患状態のために慎重な検討が求められる場合については、係数の必要な調整を行い、より厳しい評価が行われます。
23  トルエンやキシレンの被検対象群のボランティアは、比較的頑健な若い成人と思われますが、ことに中枢神経系への影響については、年少者への特別な影響を十分考慮して下さい。 1  指針値の策定においては、毒性評価から得られた数値を、ヒトの個体差を考慮し、不確実係数10で除すことによって、年少者への影響も考慮した補正を行っていると考えております。
24  「揮発性有機化合物に対する感受性は個人差が大きく、これらのガイドライン値を達成していても、居住者に健康影響が出る可能性を全く否定することはできない。これらのガイドライン値より、いっそう濃度を低減する努力が関係者に求められる。」と言う趣旨の文言を加えていただきたい。 1  指針値の策定によって、住宅施工者等関係者による、VOCの室内濃度の低減化のための、自主的な住宅構造や仕様等の改善の取組みを期待したいと考えておりますので、その旨追記したいと思います。
25  指針値は平均時間を特定すべきで、測定方法もそれを考慮して定めるべき。 1  指針値策定の根拠となる毒性データが短期間の暴露によるものなのか長期間の暴露によるものなのかを明記します。また測定法については、新築の場合、暴露が最大となるであろう方法を採っているので、この測定値をもって指針値と比較することで、より厳しい評価、すなわちより安全性を確保できる評価を行うことができると考えています。
26  ガイドライン値はこの濃度以下の暴露が日常的に継続しても健康影響が表れない数値と理解されます。一方で内装材料や家具等からの化学物質の蒸発散は時間の経過とともに減少しますので新築時の濃度で日常的に暴露されることは考えにくい。暴露期間と濃度との関係を明確にし、総暴露量により評価を行えるよう指針化してほしい。 1  今回の揮発性有機化合物(VOC)の指針値策定では、新築の場合、居住開始後に居住者が暴露されるであろう最大濃度を測定することを想定しているので、測定値が指針値を超えたからといって、その濃度で継続的に暴露されない限り、すぐに健康影響が起きるという性質のものではありません。
 また築後の内装や建材からのVOCの室内放散は、その住宅の構造や仕様等により、時間経過による減衰の程度が大きく異なることも予想されます。
 従って一定期間の暴露によって起こる毒性を指標として指針値を策定し、また測定法は暴露が最大となるであろう方法を採ることにより、より安全性が確保できる評価を行うことによって、VOCの 室内濃度の低減化の促進が期待できるものと考えます。
27  指針値の重量濃度(μg/m3)に体積濃度(ppm)を併記する必要はないのではないか。体積濃度は温度によって変わるが温度条件が示されていないので不適当であり、ホルムアルデヒドの室内環境基準では重量濃度のみ示されているので、これと整合性を取ったほうがよい。 1  ご指摘に従い、単位変換の温度条件を併記することとします。
28  公の指針値として公表するには、統計学的や疫学的な調査結果に基づく裏付けが必要であると考える。しかし今回の指針の裏付けとなっている調査では、サンプル数の少なさ、バラツキの多さ等、指針値の裏付けとしては不十分と思われる。 1  今般策定した指針値は、主として毒性評価の観点から、既存の文献等を用いて算出したものです。この指針値は、新たな知見が集積されることにより、将来、変更され得るものであると考えています。
29  知見が十分でない部分が、あることは多いことはよく分かりますが、直感的にこれらガイドラインが出してきた数値を納得するだけの根拠がこれらの説明からはあまり感じられません。目標値であるなら、理想は高く持つべきで厳しくてもいいのではないかという印象を持ちます。 1  今般策定した指針値については、非発がん性影響を指標として耐容一日摂取量(TDI)を求める方法で算出されていますが、このようにして算出された指針値は、この濃度以下の暴露であれば、暴露しても健康影響は起きないであろうという意味の値です。その算出においては、毒性データから種差及び個体差を考慮した補正を行い、安全性が確保されるように配慮しています。
30  精子減少についての知見、出産児の性差など内分泌かく乱物質としての影響は考慮したのか。 1  指針値策定において検討した毒性知見には、生殖発生毒性データも含まれます。しかし、内分泌かく乱作用の影響が疑われるかどうかという視点からは、未だ科学的知見が十分でないため、考慮しておりません。

トルエン
No 意見の概要 件数 意見に対する対応・考え方
1  トルエンの指針値を260μgとするのは、現状資料では、確実にその優位性が認められるとは言い難く、再調査が必要と思われる 1  今般策定した指針値は、主に毒性評価の観点から、既存の文献等を用いて算出したものです。この指針値は、新たな知見が集積されることにより、将来、変更され得るものであると考えています。
2  (1)について、どの程度の文献調査をし、ここに記されている結果を採用した理由を明確にすべき。他にないからでは採用に値しないと思う。「最近の研究報告では特に見いだされていない」と言うことは、十分な研究が行われているのか疑問である。 1  現在までに判明している国内外の文献、特にWHOなどの国際機関から公表されているものについて可能な限り調査した結果、内容として特筆すべきもの、又は毒性評価のための重要な根拠となり得るものについて、引用致しました。なおWHO空気質ガイドラインで採用された毒性データ以降、最近の新たな知見があるかどうか調査しましたが、特に該当するものはありませんでした。
3  (2)の最初の段落について、これはトルエンが発がん性とは関係ないということがいいたいための引用ではないか。引用ばかりせず、引用するならばその理由と、そこで書かれている結果をガイドラインとしてはどう考えたかを明示すべき。 1  ヒトに対してトルエンが発がん性があると結論づける十分な根拠はないということです。結果として、トルエンについては、ヒトに対して発がん性があるとは分類できず、遺伝子障害性も示さないとみなされたので、指針値としては、非発がん性影響を指標とし、耐容1日摂取量を求めることが適当と判断されました。
4  (3)について、WHOのガイドラインの採用では人種による差などは全く考慮されないのではないか。基準は一番弱いものに合わせるべきではないか。WHOがこのように考えているので日本としてもこれに準じたということか。 1  発がん性に関するIARCの指標は、我が国をはじめ国際的に受け入れられてきているものであり、それを踏まえたWHOの見解も国際的に受け入れられるものと考えます。また、人種差等については、それに関する知見があれば、それに基づき毒性を評価することになりますが、トルエンについて人種差があるとの知見は得られておりません。
5  (3)について、TDIは急性影響を考えた場合の指標であるように思うが、この限度いっぱいで毎日生活しても発がん性について本当に大丈夫という根拠は示されるのか。中毒などは本当にないとするのか? 1  TDIは、生涯にわたってその濃度(量)の暴露(摂取)を受けても影響が認められないであろう最小の暴露濃度(摂取量)のことをいい、慢性毒性の観点からの指標といえます。
6  (12)について、流産しないと言うことのみに注目して、胎児への影響なしと考えている点を疑問に思います。流産しなかったが、胎児への深刻な障害の例が残るものはたくさんあるのではないか 1  ラットを用いた生殖発生毒性試験で、胎児の発育遅滞などの影響を観察しています。指針値策定では、ヒト女性への暴露による神経行動機能への影響及び自然流産率の上昇という現象を、胎児への影響に至る前の段階での毒性指標として採用致しました。

キシレン
No 意見の概要 件数 意見に対する対応・考え方
1  一般に流通しているキシレンにはエチルベンゼンが含有されているが、実測値とキシレンの指針値を比較する際には、3種の異性体の和のみを用いるのか、それともエチルベンゼンが含まれるか。毒物劇物取締法ではエチルベンゼンを含有していてもキシレン(劇物)として取り扱われるが、同法との整合性についてはどうか。 1  キシレンについては、3種類の異性体の混合物とみなして、指針値を設定したものです。なお、キシレンに関する室内濃度指針値は、室内空気中に含有されるキシレンの濃度について設定されたものであり、有機溶剤などとして一般に流通しているエチルベンゼン含有のキシレンについて設定されたものではありません。

パラジクロロベンゼン
No 意見の概要 件数 意見に対する対応・考え方
1  ガイドライン(案)では、OECDのリスク評価文書から部分的に引用したイヌの経口試験データに基づいて指針値を設定しているが、評価の手法及び結論はOECDの評価とは異なる。国際的な評価と調和し、科学的な議論に適合するよう、指針値を見直してほしい。
 具体例としては厚生省のリスク評価でマウス及びラットの吸入試験での肝臓、腎臓障害を基礎として求めた2.23mg/m3(0.37ppm)、OECDのリスク評価で、消費者の健康に懸念がないとされた3.3mg/3(0.545ppm)、WHO及びEHC128および改定後の空気質ガイドライン値となる1.0mg/m3(0.17ppm)がある。
2  マウス及びラットを用いた吸入試験及びビーグル犬を用いた経口投与試験では、共に肝臓及び腎臓への毒性影響が観察されており、双方とも血液循環を介して毒性を発現していることが推察されます。また実態調査の結果、日本での室内濃度は諸外国の報告例に比べ2〜3倍高く、またヒト血中にも数十ppbで検出されるデータが報告されています。
 これらに鑑み、指針値策定には、より直近のビーグル犬の経口投与試験のデータを採用し、肝臓及び腎臓に影響を与える用量から吸入暴露に換算した数値を指針値とすることで、マウスの吸入試験から得られる数値よりは低い値を設定する方針と致しました。
2  指針値は、WHOのガイドライン134μg/m3と比較しても2倍と高い。日本は血中濃度も高いのだから、少なくともWHOガイドライン以下にすべき。 1  WHO空気質ガイドラインに示されている数値については、その算出過程に不明確な部分があることから、より直近で算出根拠を明らかにできるビーグル犬の実験データを用いました。
3  パラジクロロベンゼンについては3.2ppbでモルモットのアレルギー性結膜炎をひどくした実験があり、さらにマウスで発ガン性が確認されていることを考えて、ガイドライン案の2000分の1のレベルに変更すべきである。
 北里大学等のモルモットの実験でパラジクロロベンゼンの濃度が0.0032ppmでアレルギーが悪化したという結果が出ているが、アレルギーという観点は考慮されないのか
2  御指摘のモルモットを用いた実験は、アレルギー性結膜炎の増悪効果をみるためのものですが、文献からは、32ppbよりも高濃度になると逆に増悪効果が弱くなることが観察されており、本実験の結果を指針値策定の根拠とするには、TDIの算出とは異なる方法論が必要になると思われます。
 また、「マウスで発がん性が確認されていること」に関しては、「マウスの種特異的な高感受性の結果によるものであり、ヒトへのリスク評価に反映させることは困難」とされており、指針値策定の根拠にはならないと考えています。
4  パラジクロロベンゼンの汚染源はトイレタリーと防虫剤の二つであることを考えると、両者の製造・販売を禁止することが最も有効であると考えられるがどうか。
 パラジクロロベンゼンが240μgとされているが、これは高濃度であり、発がん物質であるとのことなので、使用禁止にして欲しい。
 用途のほとんどが衣類の防虫剤、トイレの消臭剤であって、しかも代替品があるのだから使用中止の英断を下してはどうか。
 室内濃度規制があっても、その物質の使用自体が認められている以上、パラジクロロベンゼンによる健康被害を避けるのは難しく、せめて教育関連施設では設置不可としてほしい。
4  現時点では、策定した指針値をもって、安全性は確保できるものと考えています。今後の汚染実態の推移や新たな知見の集積により、必要な見直しを検討していきたいと思っています。
5  パラジクロロベンゼンの指針値0.04ppmは、0.02ppmという実態調査結果を考慮したときにどのような妥当性があるか、検討した結果を明記した方がよいのでは。 1  先の「全国実態調査」の結果、パラジクロロベンゼンの室内濃度の平均値は128.4μg/m3及び123.3μg/m3であり、これらは約0.02ppmに相当します。一方、平成10年度の室内濃度の測定に供された試料の6割以上が0〜50μg/m3(0〜0.0085ppm)という低濃度の範囲に存在している反面、500μg/m3(0.085ppm)を超える極めて高い濃度の試料も少なからず存在しています。
 従って、毒性評価に基づくパラジクロロベンゼンの室内濃度指針値として240μg/m3(0.040ppm)が策定された場合、一部の500μg/m3(0.085ppm)を超える極めて高濃度の室内空気汚染の実態が改善されることが、期待されます。
6  資料によれば、パラジクロロベンゼンは室内空気に加えて、血液、母乳、胎児への汚染も見られている。指針値0.04ppmの場合、血液濃度はどの程度になると予測されるか。その場合の胎児への移行はどうか。また母乳中の濃度の予測はどうか。それらの濃度で胎児を含めた人体への影響はどうか。 1  第1回検討会時に配布しました、長野県衛生公害研究所が実施した調査結果よれば、血中濃度も室内環境と同じレベルの濃度になっていることが確認されています。また胎児への移行や母乳中への移行については、同じく第1回検討会時に配布しました、中澤裕之氏(星薬科大学教授)を主任研究者とするクロロベンゼン類等の分析に関する調査結果によれば、妊婦血が0.63ppb、さい帯血は0.68ppb、母乳は2.0ppbという結果であって、母乳中濃度と血液中濃度との差に明らかな傾向が見られず、また胎盤のフィルター効果の有無の考察も今後の検討課題とされています
7  厚生省は水道水の監視項目にパラジクロロベンゼンの基準を設定しているが、その算定した根拠は。 1  WHO飲料水水質ガイドラインにおいて検討された毒性データを検討している。すなわち、2年間のラット経口投与試験で腎臓への影響から得られたLOAELを不確実係数1000(種差10、個体差10、LOAEL使用10)で補正し、TDIが107μg/kg体重と計算され、ガイドライン値はTDIの10%を割り当てることにより、300μg/lと設定されています。
8  異性体であるo-,m-も含めて対象とすべきと思う。o-ジクロロベンゼンはp-ジクロロベンゼンと同様の毒性を持っている上に、有機溶剤や洗浄剤、殺虫剤として使用されており、生産量もp-の1/3程度(平成6年)ある。 1  キシレンについては、そのほとんどが3種の異性体の混合物として流通していることから、指針値の設定に際しても、これらの混合物として扱うのが適当と考えました。一方、パラジクロロベンゼンは、他の異性体を含む混合物として流通されるよりも、むしろパラジクロロベンゼン単独で流通されているという実態に鑑み、当異性体のみに関する指針値として設定することが適当と考えます。WHOの空気質ガイドラインにおいても、キシレンは混合物、パラジクロロベンゼンは当異性体のみについて、それぞれ指針値が設定されています。
9  文献22)の最新版によれば、個人暴露濃度3.3mg/m3(0.545ppm)を最悪のケースとして採用し、Margin of Safety からリスク評価を行った結果、最終的に消費者に対するリスク低減の必要性はないと判断されている。この結果は3.3mg/m3(0.545ppm)以下であれば、パラジクロロベンゼンはヒトの健康に影響がないことを示しており、厚生省の行った実態調査結果(平成10年:室内濃度最大値2.2mg/m3、個人暴露濃度最大値2.8mg/m3)からみて、パラジクロロベンゼンについては指針値を設定する必要がないことになる。 1  文献22)について、OECDにおいて評価が終了したということは確認できませんでした。またOECDやWHOにおける評価の試みは、各国が自身の実態を考慮し、自身の空気質基準の策定に役立たせることができると考えています。
 我が国の平成9年の実態調査の結果からは、パラジクロロベンゼンの最大室内濃度は、6058.7μg/m3と非常に高い値を示しています。また平成9年及び平成10年の実態調査の結果、我が国の平均的レベル(中央値)等を諸外国での報告例と比較すると、我が国のそれは2〜3倍以上高くなっていることが明らかにされています。
 従って指針値を設定する必要がないとは決して言えないと考えます。

2.測定法に関するご意見

No 意見の概要 件数 意見に対する対応・考え方
1  家屋の種類によって換気量が異なり、それによって室内の最大濃度も異なると考えられることから、一定の換気量を与えて測定すべきである。 1  ご意見の通り家屋や天候の状態によって換気量は異なり、室内の最大濃度も変動します。しかしながら、強制的に一定の換気量を設定した場合には、逆にその家の換気の現状とかけ離れたものになる可能性があり、この場合適当ではないと考えます。
 換気量については可能ならば平行して測定し、困難な場合には影響を与えると思われる事項を出来る限り記載することで対応したいと考えます。
2  「換気量の測定が可能な場合、これを測定する」とあるが、以後にはこれを反映する記載がない。この記述の意図を明確にされたい。 1  換気量については、あわせて測定されていればより綿密に値の評価が出来るので、可能な限り測定されていることが望ましいと思われますが、分析機関や保健所が技術を有していない場合が多いと想定されるので義務づけてはいません。
3  住宅の気密性能すなわち換気回数により密閉時間を変えるべきではないか。 1  現実に換気回数を測るのが望ましくはありますが、技術的に困難が想定されます。気密性能については1の注1で触れています。
4  計画自然換気システムが備わっている住宅については、開放してかまわない換気口面積の上限を設定した上で、換気口を開放して測定を行うことを認めるべき。
 今後の住宅では最低0.5回の換気回数が居住標準と考えられるので、常時使用することを想定した自然換気口は開放して採取すべき。
 「注6:小窓等のパッシブ型・・・採取する。パッシブ・・・こととする。」、あるのを、建設省の住宅評価方法基準を考慮した書きぶりにしていただきたい。
3  1の注6にありますように、本件で使用を認める自然換気システムは、強制換気システムと同等の性能を有する場合に限ることとしています。
5  最近は省エネルギー対策として積極的に自然換気を利用するシステムが開発されており、今後も利用増加が見込まれます。したがって試料の採取方法として「自然換気システムを考慮した試料の採取方法」を記載していただきたいと思います。 1
6  「注8:・・中央式機械換気システムを指す」とあるのを、建設省の住宅評価方法基準を考慮した書きぶりにしていただきたい。 1  「常時の計画機械換気を指す。24時間の連続運転が確保できるもので、間歇的に運転される局所換気はこれに含まれない。」と改めます。
7  「注5:居室の常時換気システムには・・・連続換気を原則としない局所換気システムは含まない」とあるが、24時間換気モードを具備した換気システムは当然含むべきである。実際局所ファンに微弱連続換気モードを負荷することで室内空気環境が大いに向上することを実証実験で確認している。
 トイレの換気扇を24時間運転する簡易な「第三種換気システム」も常時換気システムとして扱ってよろしいでしょうか。もちろん居住者が簡易にON-OFF出来ないような処置をとることを前提としています。
2
8  (財)住宅・建築省エネルギー機構発行の「室内汚染低減のためのユーザーズマニュアル」にも、浴室、トイレ、台所等の換気扇を適宜運転して換気することは室内の化学物質濃度の低減に有効とある。密閉時には常時換気システムのみ運転してよいとするのは如何なものか。 1  所有者の意志で間歇的に使用されることが前提とされている局所換気装置については、常時室内環境を制御しているとは認められませんので、測定時には使用しないことが適当であると考えます。
9  常時換気システムを有する住宅では、測定に先立つ密閉状態の維持の段階で、換気システムを稼働させた状態を5時間以上維持させるとあるが、現状のシステムは居住者の操作によって換気量を変化させることが出来るものが多い。この場合には、どのような条件で運転をさせるべきかの記載があると助かると思う。 1  通常の使用状態で行いますが、それが簡単に設定できない場合は、もっとも低いレベルに設定することが妥当と考えます。
10  常時換気システムは稼働して採取してよいことになっていますが、入居者の都合で停止されたり、効率が低下する場合が考えられるので閉鎖時と稼働時の両方の採取が必要と考えます。 1  本測定法では常時使用することが前提となっているものについては、停止を求めていませんが、希望される場合は差し支えありません。
11  1.1.2(2)2)の密閉状態の確保で「小窓等の換気口はしめることとする」とあるが、排気型セントラル換気方式による常時換気システムは外壁に面した換気口より常時外気を吸気する事が前提のシステムであるので、「排気型セントラル換気の場合、換気口は開けた状態で行う」とすべき。 1  排気型セントラル換気装置の吸気口は、ここでいう小窓等の換気口には含まれないと考えます。「換気システムの機能のため必要なものを除く」と言う文言を追加いたします。
12  新築住宅と居住住宅の2つの測定法が示されているが、ガイドライン値はこれらの結果に対してどのように適用すればよいか。 1  本測定法案では、新築住宅と居住住宅の2つの方法を示しておりますが、これは新築住宅と同様の方法で居住住宅を測定することには困難が予想されたため分けているものです。ガイドライン値はどちらの方法で得られた値においても、満たされていることが望ましいと考えます。
13  新築住宅の測定法と、居住住宅の測定法で得られた値は同等として用いることが出来るのかが言及されていないので、この点について教えて下さい。 1
14  冒頭に「新築住宅における・・最大濃度を推定するためのもの」とあるが、平均値的な考え方である指針値と比較するのにこの測定目的は合わないのではないか。 1
15  新築住宅における測定法で、「最大濃度を推定する」とするのは不適切であり、また、ガイドライン案の指針値は新築時は最大濃度、居住時は平常時と言う大きな評価条件の食い違いにも関わらず同じ値を用いており不合理である。採取条件を見直すか、新築時の指針値は参考値とするか、居住状態への補正を行うべきと考える。 1
16  新築住宅はガイドラインの適用範囲から外すべき。新築住宅における室内空気中化学物質の測定は、室内空気中の揮発性有機化合物の最大濃度を推定するためのものと記述されているが、住宅供給者側から見た場合、この目的が明確に伝わってこない。現状のレベルを把握し低減していこうという趣旨のものか、指針値以下の住宅を引き渡していこうという趣旨のものなのかが分からず、これを確認することが当然の責務と解釈されるケースも考えられ、供給者側に過大な負担を、購入者側に過大な不安を与える恐れがある。
 新築住宅の評価法は日常とかけ離れているので居住状態での24時間平均濃度のみを評価対象とする、居住状態での想定平均濃度への換算を行う、試料採取条件を見直すのいずれかの対応を望む。
 最大ではなく総暴露量を評価する方法に見直していただきたい。
3
17  夏季に居住者が暑さに耐え、窓も開けず、空調も行わなずに室内にいることはなく、居住者が実際に暴露される条件に合致させて採取及び測定をするべき。 1
18  5時間密閉後の測定が望ましいとされていますが、指針値算定の根拠の多くが長期間暴露であること、夏季にこのような密閉室内で居住することは考えられないこと、外出から帰宅した場合も換気もせずに使用することは考えられないことから、より居住者が実際に暴露される条件に近いものにした方がよい。 1
19  5時間閉鎖による採取方法は実用性が高く評価できるが、この採取方法による値は最も危険側の状況を想定した最大濃度評価のための値であり、通常の居住状態では起こる可能性が低い値であることをより明確に記述すべき。 1  入居後も起こる可能性があると考えられますので、原案の通りでよいものと考えます。
20  「採取の時刻は揮発性有機化合物濃度の日変動で最大となると予想される2〜3時頃に設定することが望ましい」とあるが、例えばWHOにおける室内化学物質濃度は定常状態を想定しているとのこと。このため長時間のサンプリングが望ましいとされており、短時間のサンプリングであれば定常状態が確保できる条件で行うことが望ましいと思うが、あえて最大濃度測定を望ましいとする理由は何か。 1  日変動の最大がおおよそ午後2〜3時にあるという知見が得られている以上、安全側の観点から、この時刻をもって採取するのが現時点では適当であると考えます。
21  キッチン等の扉を開放した状態は標準居住状態とは考えにくいこともあり、また、その意味で全ての内部建具を開放させる意味が理解できない。
 建具等の扉を全て開放することは一般的な住まい方とは全く異なる形態であり、意味を持たない。また「居住、平常時における揮発性有機化合物の存在量や暴露量を推定する」と言う目的にもそぐわない。
 通常、居住者はキッチンやクローゼットの扉は閉めて使用すると考えられるので、実状に合わせて閉めて採取する方が妥当ではないか。2
 密閉状態にすれば夏場であれば室温は30〜40℃にまで達する。さらにキッチンの戸棚、クローゼット等の備え付け品の扉まで開放すると言うおよそ日常生活では考えられない状況で測定することは、結果として住宅供給者側に過大な負担や購入者に過大な不安を与える可能性があり、問題がある。
 日常生活ではキッチン戸棚、等の扉等は閉めていることなどを勘案し、居住者が実際に暴露される条件に合致させて採取及び測定をするべきと考えます。
 本条件で測定するのであれば、比較としてこれらを閉じた場合のデータも取るべきではないか。
6  本測定法においては、備え付けの家具についても家の一部と見なしたことから、安全面の観点からも扉は開放することとしています。
22  試料採取日の気温、湿度は何時の時を指しているか。 1  採取時(閉め切り時ではない)における平均を指します。のでこの旨明記するように致します。
23  測定値は気温の影響を強く受けると考えられ、冬と夏とでは測定値が異なると考えられるが、ガイドライン値はこれらの結果に対してどのように適用すればよいか。 1  ご意見のとおりVOC濃度は気温に左右されると考えられますが、冬場にガイドラインをクリアしていても、夏場の測定ではクリアできないと言うことであれば、ガイドラインを満たしているとはいえません。基本的に季節を問わずガイドラインが満たされていることが望ましいと考えます。
24  外気温度によりVOCの放散量は大きく左右され、夏場は放出が多い。従って測定は夏場が望ましく、冬に行わなければならない場合は、夏場を模擬するために測定温度を指定して欲しい。空調で温度調製することも考慮して欲しい。
 入居者が常時使用している空調機や暖房機によって、通常暮らしている温度条件に設定して採取することが妥当と考える。
2  温度条件は天候状況、地域によって大きく異なり、通常状態を画一化して測定することは、この場合望ましいことではないと考えます。
 また、温度が低い場合はホルムアルデヒドの放散量が低下すると思われるので、安全性の観点から温度補正を行っていますが、同じ理由で温度の上限値については設定していません。
 その他のVOCについては温度補正の根拠が得られておりませんので言及していませんが、これについては今後の検討課題です。
25  新築住宅の採取方法の場合、夏には人が居住できない異常に高い室温で採取する場合がよくある。こうした場合一定温度まで温度補正をして評価する方法が妥当である。
 温湿度補正に関して温度が25℃未満の時には補正を推奨しているが、夏場などの測定で温度が高い場合は標準的な温度(25℃)への補正も考慮すべきではないのか。
 25℃以上の際は補正しないのか。
 通常の居住環境を超えて温度が上昇した際の補正式を明示していただきたい。
 夏季の閉め切り状態では室温が30℃以上にもなる場合がある一方、冬季は約10〜20℃程度である。低い室温の場合は補正が推奨されているが、高い場合も生活するときの温湿度を考慮し補正するか判断基準を設けるべきである。
 午後2時〜3時頃に設定することが望ましいとあるが、同時刻でも季節により温・湿度条件が違うので標準条件の設定や補正方法が必要と考えます。
 季節による気温差、湿度等の影響は結果に顕著に現れると考えられるが、これらを標準化する方法を示していただきたい。
 基準となる測定時の温度、湿度の規定を設けるべき。
 測定日の温湿度により測定結果は異なるので条件を明確にすべき。
 入居時における冷暖房運転に関する補正の扱いはどうするのか。(夏場にエアコンをかけて25℃に制御している場合は、補正をかけなくてもよいことになるが濃度は低くなる。)
10
26  ホルムアルデヒド濃度測定について「室温が25度に満たない場合には以下の式により温度の補正を行うことを推奨する」とあるが、上限値についてはどうか。
 VOCの温度補正はしないのか。
2
27  加湿器は運転させるのか、停止させるのか。 1
28  日射による内装材等の温度上昇によって、揮発性有機化合物の発生は変化すると思われるが、これはカーテン、雨戸等の状態によって変化すると考えられる。これらについてどのような条件で測定を行うべきかの記載があると助かると思う。 1  設備は各住居によって異なるものと考えられますので、測定時の条件を記載することといたします。
29  完成後の経過時間でVOCの放散量は異なる(2ヶ月後くらいにピーク)ので、完成後どの程度経過して測定するのか明確にして欲しい。
 測定までの条件は決められていないが、測定までの期間中におかれた環境により分析値に違いが出ると考えられる。測定前に一律にヒーターで暖房後に換気するなど、測定前の統一基準を設ける必要がある。
 竣工後又は施工後何時測定して結果を評価すべきか明確にしておく必要がある。
3  採取・測定は原則として引き渡し前に行うべきものと考えます。
30  集合住宅では同様の間取り・部材・施工方法を用いた住宅が多く、その全てを採取及び測定の対象とすることは費用対効果の面から疑問を感じる。同一と考えられるプランについてはサンプル検査等で対応すべきと思われます。
 集合住宅を対象とした場合、全戸の測定を実施する費用と手間は膨大なものとなり、事実上同条件(同じ日、時刻)の計測は不可能で非現実的。各住戸の設計プラン毎に測定対象とするのが単純明快だが、プランは異なっても建具や仕上げ材料等の数量に大幅な違いがない場合などは測定の省略を検討可能な場合も考えられる。どのような条件の住戸を選択するのか、全戸の何%を測定する必要があるのか等、サンプリングを行う条件を明確にする基準が必要である。
 集合住宅の新築時において全ての住戸においてこれらの測定が必要なのか、そうでなければ何%実施すべきかが不明。
 このときの対象住戸の選定方法についても記載して欲しい。
3  どの住居の測定を行うかは、それぞれ判断されるべきもので、測定法中で言及すべき事柄ではないと考えます。サンプル抽出をして測定した場合には、個々の住居がガイドライン値を満たしていると言うことは出来ません。
31  採取及び測定は全ての住宅において新築時に実施するものではなく、特に性能保証した場合に新築時に行うほか、何らかの問題が発生した際にその問題解決の手段として居住時に実施するべきものであると言う共通認識(位置づけ)に立った内容とすることが、現実の住宅建築、住宅供給の取引実務における混乱の回避、コストの増大防止の観点から必要であると思われます。その場合も費用負担について明確なルールを事前に作成する必要があります。 1
32  新築住宅においても24時間採取(パッシブ法)の設定も検討していただけたらと思います。測定目的とは異なりますが、入居前に生活条件下で測定することも意味があると思います。 1  パッシブ法を用いた採取と測定については、今後の検討課題と致します。
33  改築住宅の場合、実際に居住している場合には新築と同様の採取方法を取ることは難しいのではないか。また家具等からの放散に関して具体的にどのように考慮するのか明確にしていただきたい。 1  新築住宅と居住住宅の測定法では測定の目的が異なるで、目的にあわせて選択して下さい。ただし、新築住宅の測定法では、測定開始から終了時まで、住宅内で生活行為を行うことは出来なくなります。この旨を受けて一部文章を変更いたします。
34  建物性能の比較のためにも居住住宅でも新築住宅と同じ条件で採取することを認めるべき。
 「室内空気中化学物質の採取で対象とする住宅は、新築住宅と居住住宅とを区別して採取する」とあるのを「室内空気中化学物質の採取で対象とする状態は、生活行為のない状態と生活条件下とを区別して採取する」としていただきたい。
2
35  入居後の住宅については24時間閉鎖を行うことになっていますが、新築時と比べて濃度が高くなると予想されます。
 入居後の測定についても5時間閉鎖で行うほうが比較対照がしやすく有意義なデータになると考えます。
1
36  居住住宅において日常生活(平常生活)における状態での24時間空気採取を条件とし、生活状況に係る項目の記録を求めているが、生活因子のため各化学物質の濃度が上昇する可能性があり、本来の住宅構造からの放散量との関係が不明確になる危険性がある。この設定は再検討すべき。 1  居住住宅の測定方法は、その通常生活がガイドライン値を満たしているかは判定できますが、住宅構造からの放散量を特定することは出来ませんし、目的としていません。
37  記録すべき事項の多くは研究資料の蓄積を目的としているように受け止められる。記録事項がどのように活用できるのか吟味していただきたい。記録すべき事項には「必ず」、「参考までに」、「可能であれば」と言うようなウエイト付けが望ましい。研究目的と言う位置づけも含まれるのであれば、使用されている塗料や接着剤の種類、施工時期、施工面積等も参考として記録対象とすべきでないか。
 生活記録に関しては入手が難しく、その取得後の管理も難しい。何のためのデータなのか、それを測定結果にどのように反映させるのかを説明できる理由を明確にしていただきたい。データをどのように扱うかによって優先度が決まる。
 観察記録の作成のためには分析員が24時間張り付いて作業を行う必要があるように見受けられます。これはあまりにも現実離れしているように感じられます。
3  記録すべき事項は得られた結果から、その原因を推定する際に参考となるものです。原因を推定することにより、改善すべき箇所、行為が推定でき、生活環境の改善策につながります。従ってこの記録は生活者本人が記録するべきもので、専門家は必要に応じてアドバイスするものと考えます。また、ここに記された項目については全て記録することが望ましいと考えます。
38  季節、天候、居住者の行為により測定結果に差が生じると考えられるのでその評価方法を明記していただきたい。 1
39  感作性や刺激性のある物質については、もっとも高濃度になる場所の、あるいは時間でもって環境や暴露を規制することが広く行われています。貴省が平成9年に公表されたホルムアルデヒドに対する指針値は刺激性及び感作性を根拠に導き出されたとされておりますので、0.1mg/m3と言う値は最大濃度を示し、30分とされているのは測定感度を勘案してのことと考えられます。今回の居住住宅における試料採取時間は24時間となっており、前記指針値に対しては不適切と考えます。
 この場合未入居住宅における測定法を用いるべきだと考えます。
 VOCについてはそれぞれ設定の根拠となった暴露期間が異なっているが、測定法は30分平均濃度あるいは24時間平均となっているがなぜか。
 ホルムアルデヒドのガイドライン値は30分平均値であるが、24時間採取をした場合の測定結果はこれとどのような比較・検討をするのか。
3  測定の実用性から考えて、ここで示された30分値、24時間値をそれぞれの暴露時間に換算して判断するのが適当と考えます。
40  サンプルの採取は悪条件下で行うべきである。被害は悪条件下で生まれることが多いので、サンプルの採取は悪条件下で行う必要がある。今回の提案は被害者の発生と測定データが乖離するように仕掛けたトリックのような採取方法となっている。 1  新築住宅における測定法は、厳しい条件下でサンプルの採取を行う方法となっています。また、居住住宅の測定法は日常生活を忠実に再現するものですので、目的に合わせて選択して下さい。
41  例えば共働きで、子供は塾通いのため終日換気なく、夜遅く家族が帰宅する、と言った具体的な日常生活に合致した測定法も比較対照群として採用されるべきと思います。 1
42  指針値をやや上回った場合などは日を改めて複数回の再測定を行い、平均値で評価するような考え方はないか。
 この条件で測定を行うと特に夏場には指針値を上回るケースが多いものと推定される。その場合の対処方法について出来るだけ多くの情報を提供してもらいたい。
2  指針値は複数回の平均で判断されるべきではないと考えます。上回った場合、何らかの処置を施した上で再測定し、結果にその旨を記すのが望ましいと考えます。
43  全ての場合に2重採取を原則とするのは負担が大きすぎるので、緩和できる条件を定めて欲しい。特に外気については参考値であり、一般的な値が分かっているので2重採取は不要と考える。
 2回採取、2重測定となっているが、時間的にも、費用的にも負担が大きく、ポンプが1台であれば試料の採取だけでも6時間かかり、費用も30〜40万程度かかる。
 2重測定としていますが、データに差違は原理的に見られないと思われますし2つ測定するのであれば、測定場所を移動して平均を取ったほうがよいと思われます。部屋も場所によって測定値が異なることは考えられます。
 ドアを開放して単室化し、居間と寝室の2カ所で測定するならば2重採取は必要ないと考える。特にマンションでは似たような住戸が多く必要はないと考える。2回測定の場合温度条件が異なれば±15%以上の差となる。この場合は再測定ではなく大きい方の値を取ればよい。
 住宅内で8台のポンプが24時間稼働することになり、音が気になって眠れないなどの問題が生じる。計測費用の観点からも2重採取は必ずしも必要ないと考える。
 3箇所で2重測定をすると全部で12点の測定となりますが、これは現実的なのでしょうか。騒音による安眠妨害になる恐れはないでしょうか。労働省の作業環境基準のように1回測定も許可できないでしょうか。ポンプ1台で間欠採取は可能でしょうか。
6  ガイドライン値との比較を厳密に行いたい場合には、測定結果の信頼性確保の観点から2重測定を行うことが適当であると考えます。
44  「原則として2回採取、2重測定を行う」とあるが、本測定とブランクをあわせると1物件につき最低8サンプルを分析することになる。この場合、費用は数十万円に達することが予想されるが、これは現実的ではないのでないか。
 測定を業者に依頼すると、1住戸で40〜50万円の費用が見込まれる。新築時のマンションでは数百万単位の測定費用が発生することになるが、このような高価な方法を国として推奨するのはどうか。
 将来的には顧客の要望に応じるために施工会社または分譲・販売会社等が採取及び測定を実施し安全性を示す必要性が生じることが想定されるため、より費用負担の少ない方法も併せて検討し、採用することが望ましい。
 この方法にて採取及び測定を行う場合、その費用があまりに大きく、施主、分譲会社、施工会社、購入者のいずれかが負担した場合でも最終的には住宅価格の大幅な上昇要因となることは避けられない。集合住宅では各戸毎に外気やトラベルブランクをする必要はないと考える。
 外気は試料採取時の風向きや風速の影響を多大に受けるため、得られたデータの評価の絶対性が無く意義が見いだせない。コストが高価であるため、再現性が乏しい試料に関しては測らなくてもよいことにしていただきたい。
 新築住宅においてこのような厳しい測定方法と指針値が用いられると分譲会社や施工会社は慎重にならざるを得ず、住宅の完成後引き渡しまでの期間を余計に取らざるを得なくなり、コストに跳ね返るだけでなく住宅の速やかな引き渡しに使用を来すことが懸念される。
 外気やトラベルブランクの測定はいらないのではないか。
7  本測定法はガイドライン値を満たしているかの最終的な判定に用いることを意図して作られており、性格上細かい分析を要求するのはやむを得ないものと考えます。また、厳密な最終判断を下す場合には、ここに記されていますような精密な測定法を用いることが望ましいと考えます。単に実態把握を目的とする場合は、製品の信頼性の範囲内で測定できる簡易な分析法を用いることも可能です。
 簡易な分析法については、今後新技術の開発や新しい測定装置の開発が見込まれます。
45  分譲住宅の販売や中古住宅の取引は、年間のある時期に集中する傾向があり、本ガイドライン案に示された方法で特定の一時期に大量の住宅にて採取及び測定を行う場合、住宅の速やかな引き渡しに支障をきたすことが懸念されます。 1
46  今回の正式な方法では、個人の方が気軽に測定を依頼できる金額にはならないと思います。ホルムアルデヒド以外は信頼できるデータを持つ簡易測定方法がないとのことですが、ホルムアルデヒドだけでもガイドラインの中に簡易方法をのせてはどうでしょうか。
 採取方法、測定方法は専門業者が持っている高価な機器を用いるものであり、簡単には測定できない。専門業者に依頼した場合、40万円以上の費用がかかるので、簡易測定器の提案をお願いします。
 個人の負担を考慮してもっと安価な測定方法を取り入れていただきたい。
 測定業者に見積もってもらったところ、1住宅あたり147万円となった。最終的には住まい手が支払うことになるが、高すぎると思う。ホルムアルデヒドだけでも例えば簡易的な検知管による測定・判断でもよいと考える。
 本ガイドラインでは非常に精密な採取と測定を行うよう定められているが、同じ部屋においても自然条件が異なれば値は変わる。余りにも精度が高すぎるように感じられるので、簡略化の検討をお願いしたい。
 この方法は高感度、高精度だが専門家でないと実施できない。時間と費用もかかるのでより簡易な方法が求められることは明らかです。測定方法としてはより簡易な分析法が求められることは明らかで、簡易測定法を中心に検討、評価するべきだと思います。
 実務レベルで新築住宅の濃度を測定するのであれば、2重測定できないケースや簡易な測定法も認め、ガイドラインに併記すべきである。
 簡易な測定(費用、手間ともに現実的なもの)を明確にして欲しい。
 VOCの簡易測定は難しい面があるが、現実的な対応が出来るよう配慮していただきたい。
 精密分析はコストが高く、実行上難点も多い。簡易測定の併用が望まれることとなるが、信頼性から判断材料とすることは難しい。簡易測定器での測定についてもしっかりとした考え方を提示して欲しい。特に一般ユーザーは簡易測定でも正確な値が分かると考えがちで、望ましくない値を示した場合の影響が問題。
 簡易測定法に対して長所、短所を明示し市民権を与えるべき。
 分析方法がHPLC及びGC/MSで規定されているが広く対応できるように簡易測定器による方法も認めて欲しい。
12
47  簡易測定法で指針値以上であったときに、最終判断を標準的方法で行うこととし、指針値以下であれば簡易測定法でも判断してよいことにしてはどうか。 1
48  試料採取の高さを床上1.2〜1.5mとしているが、空気より比重の重い物質も多々あり、寝たきりの老人や乳幼児はもっと低い位置で空気を吸っている。床上10〜30cm程度の空気も分析する必要はないか。
 密閉後の空気中の分布も均一とは思われないので条件を明確にすべき。
2  一般的なガイドライン値との比較のための測定は、原案の通りの高さで行い、特殊な事情については別途希望に応じて行うことが必要と考えます。
49  高さは呼吸する0.6〜1.5m程度が妥当と考える。 1
50  集合住宅の高層階ではここに記された外気の測定は出来ないので、別途検討していただきたい。 1  採取口のみを設定すれば可ですが、それが難しい場合は、外気では測定ポイントを明記すればよいと考えますので、その旨を追加いたします。
51  生活状況に係わる項目に「1日の床暖房の総使用時間」を追加すべき。 1  ご意見を受けて、暖房器具の種別の欄に床暖房を追加いたします。
52  測定条件を厳格に適用しても、測定値は環境条件によって異なる。検量線データの点数や2連測定値の差の検定など、細部は参考例の扱いとし、分析者の判断と技術にゆだねてはどうか。 1  この測定法は標準的な方法としてお示ししているものであり、各分析機関の信頼性確保の方法に乗っ取り、部分部分をアレンジする事を妨げるものではありません。
53  文中に「使用するサンプラーは第三者機関等で測定精度が保証されたもの」、「同等の信頼性が確保できる場合には拡散吸着法によって」との記述があるが、具体的な機関、サンプラーを明示していただきたい。
 第三者機関とはどのような機関でしょうか。申請の方法や評価基準、試験基準を記載する必要があると考えます。
2  これらについては体制も含めて今後の検討課題と致します。
54  冒頭に「・・・同等以上の信頼性が確保できる条件であれば・・」とあるが、この条件とは何か。信頼性を保証するために第三者機関の証明等が必要になるのか。 1
55  ホルムアルデヒドの測定法についてはAHMT吸光度法も健康住宅研究会の報告で信頼できる分析法とされているが、これを含めて何種類かの方法を選択出来るようにするべき。 1
56  分析機関等に関する条件をガイドラインに記載する必要がある。 1
57  空気中化学物質の採取や測定を行うのに、何らかの免許や資格の設定を検討しているか。また、これに関する講習会や説明会開催の予定はあるか。
 資格の必要性について記載していただきたい。
2
58  ホルムアルデヒドの測定について30Lとなっているが、建設省の官民共同研究では10L(10分)で行っており、データは取れているので10Lでも十分であると思います。 1  8ページに記載のありますように、流速を調整することで最終捕集量は適宜変更して差し支えありません。採取時間に関しては概ね30分でお願いいたします。
59  温度補正の式 C’=C×1.09(25-t)×(50+rh)/100
 の根拠となる実験報告等が有れば明示して欲しい。
 湿度補正の分母・分子は逆ではないか。
 温度25℃、湿度50%が基準となっている理由と根拠を明確にする必要がある。
 この式の根拠と精度を明示していただきたい。
4  ご指摘の通りミスプリントがございましたので本文中の式を修正いたします。また、気温25℃、湿度50%はJISの標準環境条件を採用しております。参考文献としては、井上明生「ホルムアルデヒド気中濃度のガイドライン対策」木材工業Vol52,No.1,1997の他、関連学会で発表があります。
60  測定方法が3種示されているが、どれを用いたかを記録するようにすべき。 1  ご意見を受けて追加いたします。
61  24時間の固相吸着-加熱脱着法では、現在標準的に用いられているTENAX管等では、通常のポンプでは破過してしまう恐れがある。
 居住住宅でのVOC採取は採取装置を用いて24時間で5〜20Lとなっているが、総採取量を基準にして単位時間あたりの採取量を低減させることは装置上限界がある。低吸引量に設定しても総量では設定量を超え、その場合破過する可能性もある。採取条件を再検討すべき。
2  このような場合は、マスフローコントローラーを接続し、流量を絞ることが適当と考えます。原案では最終採取量を参考値として提示しておりますのでご利用下さい。
62  トルエン、キシレンの場合はTENAXが一番感度がよいようなので、限定した方がよいとおもわれます。又採取量は2Lでよく、採取時間は10分ぐらいが適当と思われます。この場合も単回の測定で十分に思われます。 1  基本的に、どの捕集管を用いるかは限定するよりも、分析者の判断に任されものると考えます。
63  固相吸着/溶媒抽出の精度保証は難しいのではないか。 1  分析機関によって得意とする方法を選択していただきたいと考えます。
64  トルエン、キシレン等の分析方法にガスクロマトグラフ法を追加して欲しい。
 標準試料の分析によるリテンションタイムを検討することにより、FIDでも測定できるはずなので、他の検出器も入れるべき。
 FID法は既に一般化しており、調査や研究で用いられているので加えていただきたい。
3  測定値の信頼性が確保できる条件であれば、検出器に必ずしもMSを使用する必要はありません。このことについては注に記載がありますので原案の通りが適当と考えます。
65  カラムの種類について記載されていない。
 内面にメチルシリコンまたは5%フェニルメチルシリコンを0.5〜1.5μmで被覆したキャピラリーカラムとあるが、市販品としてはどのようなものがあるか。
2  条件に該当する製品が数社より発売されています。
66  クライオフォーカスしない方法も認めるべき。中沸点程度の有機物質であればクライオフォーカスしなくても分離できる。 1  28,29ページにもありますように、クライオフォーカスしない装置も例示しています。
67  2回採取、2重測定とあるが具体的にどういう意味か。 1  基本的には2本の捕集管に同時に採取を行うことですが、30分採取の場合、連続した2回の採取でもよいとしています。
68  文中の用語で「2回試料採取」、「2重測定(n=2)」、「2回連続または2重平行」、「2回ずつ採取」、「2重採取」と言うように、記述が明確でなく、混乱を生ずる可能性がある部分が見受けられるので、用語の整理が望まれる。 1  ご意見を受けて、本文中では原則として「2回ずつ採取」に記述を統一し、説明が必要な部分については注に記載することとします。
69  2.10(3)の測定結果には2重測定結果の報告の仕方が明記されていないので教えて下さい。 1  各測定値と平均値をそれぞれ記載するよう、本文中に追加いたします。
70  「測定平均とそれぞれの測定値の間に±15%以上の開きがある場合には原則として欠測扱いとし、再度試料採取を行う」とあるが、その根拠と、実測ではどの程度の頻度で起こったのかを示していただきたい。 1  同一サンプルを測定し、両者に30%以上の誤差が認められるならば、何らかの操作上のトラブルが推定されるので、欠測と規定しています。
71  複数の物質を測る場合、ある物質のみ±15%以上の開きが出る場合が考えられるが、このときの欠測の扱い方について説明して下さい。 1  開きが生じてしまった物質のみを欠測として扱ってよいものと考えます。
72  別添2のP21、9〜10行に検出器の精度の保証という表現があるが、これの意味するところは何か。 1  ここで言う精度の保証とは、単一の測定対象物質について繰り返し測定した値にずれがなく、また混合物であるサンプルで妨害を受けないということです。
73  2.8検出下限値及び定量下限値の部分で未使用捕集管の測定は測定毎に行うのか、ロット毎に行うのか不明確。 1  基本的に保管方法が問題なければ、ロット毎でよいと考えます。
74  2.10の注9に目標定量下限値はガイドライン値の1/10とすると記載されていますが、他の項では明確にされていませんので、同じと考えてよいのか教えて下さい。 1  同様ですが、その旨を記載するように致します。
75  標準原液、溶液調製に関して、単位溶液中の含有量だと思いますので「この溶液1mlは各々の標準物質1000μg(または100μg)を含む」が正確な表現と思います。 1  ご意見を受けて修正いたします。
76  内標物質についてトルエンd-8を使用しているが、測定対象物とピークが隣接しているものを内標準とするのは疑問が残る。ベンゼン-d6を内標準とするほうが、室内存在量やコストの面からもリーズナブルに思える。 1  内標準については各測定機関で通常使用しているものを用いて差し支えないと考えます。
77  3.1.7の注12に「・・・トラベルブランクは室外で行う」とあるが、トラベルブランクの定義が不明確。室外の状況は外気として測定すればよい。 1  トラベルブランクについては各測定法の注に説明がありますのでご参照下さい。
78  3.2.7または3.3.7で示された計算式中の
 E:試験液量(ml)
 v:GC/MSへの注入液量(μl)
 に該当する項目が試料がガス体であるため無く、計算できません。「有害大気汚染物質 測定の実際」(環境庁)の計算式とも異なっており、見直しをご検討いただきたい。
1  本文中の式を修正いたします。
79  低ホルムアルデヒド材料(F1,E0)を使用して建築した場合に、本測定法で夏季の高温時でも指針値をクリア出来ることは確認されているのか。 1  換気条件や設計上の問題で結果は異なってくるものと考えます。
80  住宅の設計・施工の段階にて所定の建材・接着剤・塗料等の使用を促進することで、結果として指針値の遵守がはかられる仕組みとすべきであり、採取及び測定はその補完措置であると明確に位置付けることが必要。 1
81  工事完了からの不特定の期間における対象成分の減衰傾向に関する情報を明示していただきたい。 1  日本建築学会、空気調和・衛生工学会等で多数報告されていますのでご参照下さい。
82  指針値で言及していないホルムアルデヒドについて測定法では述べられているなど指針値と測定法に相互関係がない。この方法での測定方法の結果が指針値で適応できるのか。 1  ホルムアルデヒドについては平成9年に指針値が提案されています。
83  判定が望ましくなかった場合の責任はどこにあるのか、改善策や再測定は誰が責任をとって行うのかコメントいただきたい。 1  測定の結果は個々のケースで解析・判断されるべきもので、カイドライン中で一律にコメントすべき事柄ではないと考えます。

3.その他

  意見の概要 件数 意見に対する対応・考え方
1  「暴露」とは秘密を暴露する、などのような言葉を表す文字と広く解釈されていると考える。ゆえに、さらされていると言う意味における「ばくろ」を暴露と表すのはいかがなものかと思う。 1  最新の辞書によると「ばくろ」に対し「暴露」と「曝露」が併記されております。「曝露」は常用漢字ではないため厚生省では「暴露」を使用しています。
2  「シックハウス症候群」及び「シックハウス」の用語の定義を厚生省として明確にすべきと考える。 1  今後の方針等については、別途考え方をお示しいたします。
3  このガイドラインはゴールでなくスタートという位置づけをし、ガイドラインの定期的見直しや、疫学調査、モニタリング等を通じ、継続的に考えていくことが重要であると思います。 1
4  室内空気汚染の削減効果を得るためには、単に指針値を決めるのではなく、化学物質による室内汚染対策全体の中に位置づけるべきである。 1
5  本ガイドラインに関して、他省庁との連携はどのようになっているのでしょうか。 1
6  ハウスメーカーとしては、トルエン・キシレンに関しての材料の規格(JISのF1、JASのE0など)が無い段階で室内濃度に関する指針が発表されても具体的な対応策が取り難い状況。これらについても検討して欲しい。
 建材・接着剤・塗料等のメーカーの生産品が本ガイドラインの指針値を十分にクリアできる質を既に確保しているのか疑問。どのような建材を選定し、どのような対策を講じるべきかを判断する情報が不足している。
 設計・施工・分譲会社等は建材の高質かを求めますが、建材・接着剤・塗料等メーカーの高質化製品の生産が需要に答えられるのか疑問。
3
7  建材メーカーとしては材料、製品レベルの評価試験方法及び評価基準が必要になります。製品個々の評価数値のご提案と、建材単体の測定方法として、スモールチャンバー法、例えばFLEC法、ADPAC法なども追加していただきたい。
 現在国内には材料からのVOC放散量測定に関する公式評価方法が存在しない。今回室内濃度の基準等が設定されても、構成材料との関連、対応策を一定の基準で検討することは出来ない。材料からのVOC放散量測定方法についても合わせて検討すべきではないか。
2
8  設計・施工・分譲会社等と居住者とのトラブルを回避するため、わかりやすい手引き書の作成を本ガイドラインの作成と同時にお願いします。 1
9  乳幼児は床をはい回り、ものを舐めたりする事が多いので、化学物質の摂取経路には接触や経口も考えられる。それらの表面のふき取り調査もするべき。 1  これらにつきましては今後の検討課題と考えます。
10  室内の空気が食品を二次汚染する可能性がある。特に脂溶性のものへの濃縮が懸念され、実態調査を考えて欲しい。 1
11  室内に存在する化学物質が火気や熱、光により化学反応を起こしたり、生物作用で分解されたりして別の物質に変わる恐れがある。これらの実態についても調査して欲しい。 1
12  健康被害実態調査も併せて実施するよう要望する。 1
13  ヒトの脳への影響が認められているものについて、近年の青少年犯罪・学校崩壊等との関連がないものかどうか、脳生理学的研究ともに、単に戸建て住宅に限定されない指導が必要と思います 1
14  シックハウス対策としてベイクアウトや強制換気がありますが、これは大気汚染につながりかねません。また、産業廃棄物のかなりの割合を建材が占めることから、循環型社会に向けたゼロ化指針は重要です。 1


戻る