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社会福祉主事に係る養成制度の見直しに関する意見募集の結果について

 社会福祉主事に係る養成制度の見直しについて、平成12年2月29日から3月21日まで厚生省のホームページ等を通じて御意見等を募集したところ、10件(郵送6件、電子メール4件)の御意見等をいただきました。お寄せいただきました御意見等とそれらに対する当省の回答につきまして御報告いたします。なお、とりまとめの都合上、いただいた御意見等は適宜集約したものとしております
 今回、御意見をお寄せいただきました方々の御協力に厚く御礼申し上げます。

[社会福祉主事制度について]
1 社会福祉士、介護福祉士等他の資格との整合性
 保健福祉に関して様々な資格が創設されているが、その中での社会福祉主事の資格の位置づけが不明確である。社会福祉主事の位置づけを明確にしなければ保健福祉の分野で資格による混乱が生じるのではないか。

(答)

○ 今回の見直しは、社会福祉主事資格を社会福祉事業従事者全体の基礎資格として位置づけ、従事者全体のレベルアップを図ろうとするものです。
○ 社会福祉士、精神保健福祉士については、今国会に提出中の「社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律案」による改正(以下「法改正」という。)により、社会福祉主事と同等の者であることを明確にすることとしており、従来不明確であった制度間の関係が整理されることとなります。

2 社会福祉主事の待遇改善
 社会福祉主事は、より専門的な業務を行う職員でありながら、相応の待遇がなされていないのではないか。

(答)

国においては、特殊勤務手当を地方交付税において措置しており、その額の決定については、各地方公共団体独自の判断に委ねられています。

3 資格取得の負担増大
 福祉専門職制度を採用している行政機関では、大いに役に立つ資格であると思うが、時間と労力をかけて取得しなければならなくなる今回の改正は、資格取得希望者にとって負担となる。

(答)

○ 社会福祉基礎構造改革において、利用者の立場に立った福祉制度の構築を進めていく中で、社会福祉主事には、社会福祉の専門職員として高度の知識や技術が国民から求められております。こうした要望に応えようとする取組みが今回の改正であります。
○ なお、今後、現任訓練の充実等、現場での対応可能な方法も活用していきたいと考えています。

4 社会福祉主事に係る養成制度の見直し
 採用の基準に大学に入学できるものというのがあるが、必要なのは本人の学力であって学歴ではないことから、入試においてふるいにかけるだけでよいのではないか。

(答)

○ 社会福祉主事は、福祉事務所において社会福祉各法に定められている援護、育成又は更生の措置に関する事務を行う等、その職務は重要な役割を担っていることから、法律により任用資格を定めているものです。
○ なお、社会福祉主事の任用資格を得るには、
(1) 大学において一定の科目を履修して卒業すること
(2) 高校を卒業して厚生大臣の指定する養成機関(修業年限2年以上)を卒業すること
(3) 社会福祉関係の現任者として厚生大臣の指定する通信課程を修了すること
(4) 地方公共団体に就職し、厚生大臣の指定する講習会を受講すること

の方法があります。


[社会福祉主事養成機関]
5 都道府県要請等の尊重について
 今回の改正案には、都道府県要請等の尊重という項目がないが、要請は必要ないのか。それとも、通知等で別途指導するのか。

(答)

○ 養成機関の指定申請手続については、平成12年度からは、地方分権一括法の趣旨を踏まえ、従来行っていた都道府県の進達を廃止します。
○ このため、平成12年度からは、養成機関が直接厚生大臣に申請を行うことになることから、都道府県において進達書に意見等を付す義務はなくなります。
○ しかしながら、都道府県等からは実習施設に関する意見書をいただくこととしておりますので、必要があれば、その際に養成機関の設置等に対する意見を述べていただくことができます。

6 社会福祉主事資格が取得可能な介護福祉士養成施設に対する指導
 介護福祉士養成施設等のカリキュラムの変更においては、ゆとりある介護福祉士教育を目指しているが、社会福祉主事養成機関においては、時間数の増加が見込まれる。

(答)

○ 今回の改正は、社会福祉主事がその養成課程の中で、社会福祉主事としてふさわしい一定の資質の確保を図るという観点から見直しを行ったものです。
○ そのため、社会福祉主事養成機関の必修科目及び実習について時間数が増加となっているものの、他の科目の時間数については減少しており、結果として総時間数については、増加とはなっておりません。

7 修業年限
 2年制の介護福祉士養成施設との併設をしている場合、養成施設の修業年限を3年にしたら、ゆとりある教育ができるのではないか。

(答)

○ 介護福祉士養成施設と社会福祉主事養成機関と併修を行う場合には、2年間の修業年限でも教育できることとはなりますが、社会福祉以外の科目の時間数が少なくなるなど時間面で厳しい課程となります。
○ このため、社会福祉主事養成機関と介護福祉士養成施設等と併修を行う場合に、ゆとりある教育を行うことができるようにするため、場合によっては、年限を3年に延長して実施することも可能となります。
○ なお、その場合には、介護福祉士養成施設及び社会福祉主事養成機関ともに、厚生大臣に対する変更承認の申請が必要となります。

8 教員資格要件(1)
(1) 専任教員の資格要件は、専修学校の専門課程の専任教員として当該科目を3年以上担当した経験がある者となっているが、非常勤講師として3年以上の経験であっても要件として十分であると思われるので、専任という要件を削除していただきたい。
(2) 社会福祉主事任用資格を有し、5年以上の相談援助業務に従事し、かつ介護支援専門員(ケアマネージャー)の実務研修を終了した者は、教員として十分な知識経験を有すると考えられるので、教員資格要件に加えていただきたい。
(3) 法学、経済学、社会学、心理学の教員資格については直接的な専門科目ではないので、もう少し幅を持たせた教員資格としていただきたい。

(答)

((1)について)

 専任教員には、単に教科だけでなく、学生指導やカリキュラム全体の企画管理等の業務も求められていることから、専任教員の履歴が必要と考えております。
((2)について)
 単に介護支援専門員の研修終了だけでは、教員として必要な相談援助業務の経験を満たしているものとは考えておりません。
((3)について)
 社会福祉事業従事者の資質向上には、一般教養科目の充実も重要であることから、専門科目と同様の資格要件を求めております。

9 教員資格要件(2)
 盲学校、聾学校及び養護学校の教員若しくは校長経験者を「障害者福祉論」「社会福祉援助技術及び同演習」「心理学」等の科目担当の専任教員の有資格者として加えてほしい。

(答)

 専任教員の資格要件については、単に障害児教育の資格・経歴のみをもって、教員資格者とはしていませんが、それぞれが各教員資格要件に該当していれば教員となることができます。

10 実習指導者資格要件
 実習指導者の資格要件の「8年以上の従事経験」とあるのを、介護福祉士養成施設の要件と同様に、「5年以上」とされたい。

(答)

 社会福祉主事養成機関の実習指導者については、相談援助業務というその職務の重要性等に鑑み「8年以上」としているものです。

11 他の養成機関との併設の場合の教員配置
 他の社会福祉専門職の養成施設との併設の場合、教員配置等はどうなるのか。

(答)

社会福祉士及び介護福祉士等の養成施設と併設する場合の専任教員については、各社会福祉主事養成機関の養成実施体制等の実情に即した配置になりますので、個別にご相談いただきたいと思います。

12 社会保障論
 社会保障論(30時間)については、社会福祉概論(60時間)の中で教えられるので必要ないのではないか。

(答)

○ 今回のカリキュラム改正に当たっては、通知において各科目ごとの教育の目標及び内容をお示しすることとしております。
○ その中で、社会保障論と社会福祉概論の教育の目標及び内容を明確に区別してお示しすることとしていることから、従来介護福祉士養成施設等との併修を行っていた養成機関にあっては、今回の改正により、社会保障論の設置が改めて必要になります。

13 養成機関の科目の読替え
 今回のカリキュラム改正によって、社会福祉士養成施設等との科目の読替えはどうなるのか。

(答)

○ 今回の改正においても、社会福祉士一般養成施設等との間で読替えができるようにします。
○ また、社会福祉士一般養成施設等のほか、精神保健福祉士一般養成施設等及び介護福祉士養成施設との読替えもできるようにします。
○ なお、読替えの範囲の通知については、3月末日に発出する予定です。

14 実習の読替え
 現行120時間の現場実習が180時間に増えているが、介護福祉士養成施設の場合、どこまで読替えが可能なのか示してほしい。

(答)

社会福祉主事養成機関の実習は、その目的から相談援助業務や福祉事務所等の社会福祉機関実習が加わることから、読替え可能な範囲は規定された実習時間の半分の90時間となります。

15 演習室
 演習室について、「少なくとも学生30人につき1室の割合の演習室を有すること」とされたい。

(答)

○ 演習室について、他の養成施設等と同様に「少なくとも学生20人につき1教室」とし、「30人」に変更することは考えておりません。
○ なお、意見募集において、指定基準(1)のカで「社会福祉援助技術演習が学生30人以下で実施可能となる数の教員を有すること」としておりましたが、「学生30人以下」については、指定基準(1)のケ「少なくとも学生20人につき1室の割合の演習室を有すること」の規定との整合性を図る観点から「学生20人以下」といたします。

16 施行期日等
 新たな指定基準については、準備期間、検討期間が少ないことから、「平成14年4月1日以降に入学した者に係る養成課程から適用」とされたい。

(答)

 厚生省としては、社会福祉主事の資質向上を図る観点から、速やかに養成課程の改正を行いたいと考えております。そのため、「平成13年4月1日」としたものであり、皆様の御理解をいただきたいと思います。

17 指定基準の適用時期
 従来より社会福祉主事養成機関として指定を受けている場合、新たな指定基準の適用は平成13年4月1日から施行、という解釈でよろしいか。
 新科目の変更や教員確保のための準備期間を必要とするので、少なくとも告示改正後、実施までは1年間の猶予をいただきたい。

(答)

○ 既に社会福祉主事養成機関として指定されている場合には、科目の変更等指定基準の適用は平成13年4月1日以降に入学した者に係る養成課程からであり、約1年間の準備期間があるものと考えています。
○ また、教員資格等の指定基準の適用については、平成15年4月1日以降に養成機関に入学した者に係る養成課程から適用されます。

[3科目主事]
18 社会福祉主事の資格に関する科目指定の読替え
 現在、指定された科目の読替えについては認められていないが、今後も同じ取扱いなのか。

(答)

社会福祉主事の資格に関する厚生大臣が指定する科目については、現行においては、読替えができないこととしておりますが、今回の社会福祉主事制度の見直しにおいて、読替えができるよう、その取扱いを改める予定です。

[その他]
19 社会福祉主事養成課程への志願者の減少
 社会福祉主事養成課程への志願者は徐々に減少している。今後の社会福祉主事任用資格に対する福祉の現場におけるニーズがどのようになるのか危惧している。

(答)

○ 厚生省としては、今回の法改正において、社会福祉主事の位置づけを何ら変更しようとするものではなく、引き続き福祉事務所での中核的役割を担う者として位置づけているところです。
○ また、社会福祉基礎構造改革に関する議論においても、社会福祉主事任用資格については、福祉事務所の現業員等のみならず、社会福祉施設の生活指導員等にも必要な資格とされ、社会福祉に携わる者の基礎的な資格として有効に活用されているとの指摘がなされています。


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