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保育所の設置認可に係る規制緩和に関する御意見等について

平成12年3月31日
児童家庭局保育課

 保育所の設置認可に係る規制緩和については、その通知案について、平成12年2月10日から3月9日までホームページ等を通じて御意見を募集したところ、2005件の御意見等をいただき、ありがとうございました。お寄せいただいた御意見等とそれらに対する当課の考え方について、次のとおり御報告いたします。なお、とりまとめの都合上、いただいた御意見等は適宜集約したものとしております。
 なお、いただいた御意見等については平成12年3月31日から4月末日まで厚生省行政相談室で閲覧することができます。
(○:御意見、御質問 ●:厚生省の考え方)

【保育所の設置認可等について】

全体について

○認可保育所の設置主体に株式会社等営利法人を認めることは、児童の処遇の低下を招くことから認めるべきでない。非営利法人(学校法人、NPO等)に限定すべき。
●今回の認可保育所の設置主体制限の撤廃は、最低基準を満たす認可保育所をつくり易くし、待機児童の解消等の課題に各地方公共団体が柔軟に対応できるようにする観点から行うものです。社会福祉法人以外の者が設置する保育所についても、児童の適切な処遇が確保されるよう、児童福祉施設最低基準(以下「最低基準」という。)の遵守義務等児童福祉法上の規制が同様に課されるものです。

○営利企業等の参入を認めることは、国と地方公共団体の責任放棄につながる。
●今回の設置主体制限の撤廃に際し、児童福祉法に基づき市町村(特別区を含む。以下同じ。)が保育の実施義務を負うことや、設置主体を問わず認可保育所には児童福祉法上の規制が課されること、国及び地方公共団体により運営費の負担が行われることなどについて変更はなく、御指摘は当たらないものと考えています。

○民間保育事業においては引き続き社会福祉法人立の認可保育所が中心となることを通知に明記すべき。
●民間保育事業においては引き続き社会福祉法人が中心となると考えています。ただし、設置認可に係る審査は、各地域及び各申請者の状況に応じて個別に行うべきものであることから、設置認可の指針である本通知では言及していません。

○社会福祉法人以外の主体に対し保育所の施設整備補助を行うのか。
●今回の設置主体制限の撤廃に際して、現行の施設整備補助の対象を変更することは考えていません。

○設置主体制限の撤廃に際しても、最低基準の維持が必要。また、設置主体を問わず最低基準や関係法令の厳格な遵守を求めるべき。
●今回の設置主体制限の撤廃に際しての最低基準の変更はありません。また、認可保育所には設置主体を問わず最低基準遵守等児童福祉法上の規制が課されることとなります。

第1の1
(地域の状況の把握)

○待機児童の存在(またはその発生の見通し)等を認可の要件として通知の中に規定すべき。
●通知の中で、地域の状況を把握する際に分析すべき事項として、待機児童数の現状及び動向を挙げています。また、「2 認可申請に係る審査等」の中で、地域の状況を踏まえて認可申請の審査等を行うよう明記しました。

○「多様な」を「潜在的な」に改めるべき。
●顕在化しているニーズについても把握することが必要と考えています。なお、潜在化しているニーズを的確に捉えることは難しい面がありますが、アンケート調査等であってその一端を示すものがあれば、当然この1.の分析対象となります。

○昭和38年児発第271号通知の中の第1の「2 年度別長期計画の策定」と同様の記述をこの通知の中に盛り込むべき。
○市町村長の意見書の添付を義務づけるなど、市町村の意向を審査に反映させるべき。
●一部修文しました。

第1の2
(認可申請に係る審査等)

○設置認可の審査に際して住民の参加を求める、あるいは第三者機関を設けるなどガイドラインを定めるべき。
●設置認可に係る審査の進め方は、各地方公共団体の判断によることが適当であると考えています。

第1の2の(1)
(定員)

○昭和38年児発第271号通知と同様に「おおむね2割以上は3歳未満児を入所させるものとし、かつ、定員のおおむね1割以上の2歳未満児の設備を設ける」ことを本指針においても認可の要件とすること。
●3歳以上児に待機児童が多く発生している地域もあることなどから、入所児童の年齢構成を明示しないこととしたものです。

第1の2の(3)の(1)
(審査の基準)

○個人や任意団体は除外し、法人格を持つ者に限定すべき。
●認可保育所において、個人が設置主体であっても長期間安定的に経営している例もあり、法人格を有しない者を除外していません。

○待機児童がいる地域に所在する保育所であることを、社会福祉法人以外の者の保育所設置を認める場合の要件に加えるべき。
●保育対策における課題は各地域によって異なることから、限定を設けていません。

第1の2の(3)の(1)のア
(必要な経済的基礎)

○(1)及び(2)では経済的基礎の条件として不十分
●(1)及び(2)は社会福祉法人設立の基準との均衡を勘案して定めたものであり、適当と考えています。なお、設置認可後の経営状況については、保育所に対する監査とともに、設置者から提出された財務諸表、現況報告書等により個別に把握することとなります。

○定員ごとの年間事業費についてガイドラインを示すべき。
●申請者の提出する収支予算書、保育単価などから判断可能と考えています。

第1の2の(3)の(1)のイ
(社会的信望)

○「社会的信望を有すること」の具体的基準を示すべき。
●保育所を経営する事業の公共性を踏まえ、事例に即して判断されるべきものと考えています。

第1の2の(3)の(1)のウ

○(ア)(イ)(ウ)のいずれかではなくすべてに該当することを要件とすべき。
●社会福祉法人に対する規制との均衡も考慮して一部修文しました。

第1の2の(3)の(1)のウの(ア)

○実務を担当する幹部職員とは何を指すのか。
●施設長を想定しています。

○「保育所」とは認可保育所を指すのか。
●児童福祉法上の認可保育所を想定しています。

○「同等の能力を有する者」というのは、どのような者を指しているのか。また、誰が判断するのか。
●例としては、最低基準を満たしかつ地方公共団体の補助対象となっている認可外保育施設で現に2年以上勤務している者であって保育士資格を有するものなどが考えられます。なお、判断は、設置認可を行う都道府県、政令指定都市及び中核市(以下「都道府県等」という。)が行うこととなります。

○経験要件を厳格にすべき。
●経験要件は、既設保育所の施設長要件との均衡などにも配慮して定めたものです。

○企業の保育現場の指導を保育所に委ねることも考慮すべき。
●社会福祉法人以外の主体については、保育所運営の公共性を確保する観点から、運営委員会の設置等の基準を示しています。

第1の2の(3)の(1)のウの(イ)
(社会福祉事業について知識経験を有する者)

○具体的にどういう者を指すのか。
●次のような者を想定しています。
・社会福祉に関する教育を行う者
・社会福祉に関する研究を行う者
・社会福祉事業又は社会福祉関係の行政に従事した経験を有する者
・数年以上社会福祉事業に各々の立場から関与した公認会計士、税理士、弁護士等専門知識を有する者
・社会福祉法人の理事

第1の2の(3)の(1)のウの(ウ)
(運営委員会)

○運営委員会の構成として、社会福祉法人の理事会の構成に参加を求められている社会福祉事業について知識経験を有する者、地域代表の参加などを義務づけるべき。
○運営委員会の人数要件や権限の範囲など運営委員会の細部の要領も通知の中に示してほしい。
●一部修文しました。なお、運営委員会の人数等については、社会福祉法人の例も参考にしつつ、施設の規模や設置主体の類型などを勘案して個別に判断することが適当と考えています。

第1の2の(3)の(1)のエ
(不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者)

○エはどのような場合が該当するのか不明。
●例をお示ししたところであり、これを参考に個別事例に即して御判断いただきたい。

第1の2の(3)の(1)のオ
(財務内容が適正であること)

○財務内容については、どのように確認するのか。
●認可申請の際、財務諸表等設置者の資産状況を明らかにする書類の提出を求めて確認することとなります。

第1の2の(3)の(2)
(認可の条件)

○認可に条件を付することができるのか。
●一定の範囲内においては、認可に条件を付し相手方に対して特別の義務を課すことが可能と考えています。

○「条件を付すことが望ましい」という表現は不十分。
●ア〜オの条件の中には、設置者の類型によってはすでに義務づけられているものもあることから、こうした表現としているものです。なお、この趣旨が明らかとなるよう一部修文しました。

○条件を付すだけで十分なのか。こうした条件に違反した場合はどうなるのか。
●違反の程度・内容に応じ、都道府県等において、改善命令、事業停止、認可取消等の措置を検討することとなります。

○年次報告の提出を義務づけるべきである。
●現況報告書の提出について、エで触れています。

○保育所運営費については保育事業のために使用することを義務づけるべきである。
●保育所運営費の使途については、別途の通知において、一定の制限を設けることとしています。

第1の2の(3)の(2)のイ
(経理の区分)

○「経理の区分」の運用の詳細を定めるに際しては、経済的合理性・社会通念に照らして妥当なものとすべきである。
○保育事業の会計上の区分は保育所ごとにも必要。
○保育所運営費の使途を明確にすべき。
●修文しました。

○経理の区分は認可の審査基準とすべきである。
●経理の区分については、実際に保育所を運営する際に継続して遵守されることが特に必要かつ重要な事項であることから、認可の条件としています。

第1の2の(3)の(2)のエ

○「著しく適正を欠く」とはどのような場合を指すか不明確。
●児童の処遇が適正に行われているかどうかを中心に個別事例に即して検討されるべきものと考えています。

第1の2の(3)の(3)
(市町村との契約)

○契約で十分なのか。設置者が契約を遵守しない場合はどうなるのか。
●その程度に応じ、市町村において、新規入所児童の委託の停止や既入所児童の保護者に対し転園の勧奨を行うことなどを検討することとなります。

○新たに認可を受けた者のみが契約を締結することとなるのか。
●市町村と保育所の間の委託関係については、その基本的な事項を児童福祉法等において既に規定していることから、これらの事項以外に契約を結ぶかどうかは個別の判断となります。

その他

○適格でない事業者に対する指導や事業停止命令などを行う第三者機関を設けること。
●保育所に対する設置認可及び監督については、児童福祉法上、都道府県等の権限とされており、他の者が行うことは困難と考えております。なお、苦情解決については、福祉サービス全般について、実効性・公平性・透明性のある苦情解決を図ることができるよう、都道府県社会福祉協議会に第三者委員会を設置する予定であり、またインターネットを通じて保育所に関する情報提供を行うシステムの立上げに向けた準備を進めています。

○倒産や業務放棄によって自治体による接収や自治体の一時的管理の制度が必要。
●児童福祉法上、地方公共団体以外の者が保育所を廃止又は休止する場合には、都道府県等の承認を受けなければならないこととされています。

【小規模保育所の設置認可等について】

第1の1
(設置認可の指針)

○「1.地域の実情把握」の60人未満20人以上の保育需要とあるが、60人以上の需要があっても小規模の保育所は必要であることから、限定すべきではない。
●一部修文しました。

○定員20人以上としているが、根拠は何か。
●保育所を安定的に、かつ、効率的に運営していく上で、最低20人は必要と考えています。

○「適切な方法がないこと」とは具体的にどのようなことか。
●60人以上の保育所を設置するのに必要な土地がないこと等を想定しています。

第1の1の(2)の(1)及び(3)

○3歳未満児に係る入所割合は、どのような趣旨か。
●小規模の保育所における保育士数の確保などの観点から規定しています。

第1の1の(2)の(2)

○第1(2)の要件に、半島振興法及び山村振興法に地域指定される市町村に所在する保育所も加えていただきたい。
●第1(2)の要件には、過疎地域に準ずる地域も含まれています。

その他

○小規模保育所の保育単価の改善をしてください。
●新たに20人保育単価を創設することとしています。

【不動産の貸与を受けて設置する保育所の認可について】


(地上権・賃借権の登記)

○登記の設定については、困難な場合がある。認可外保育施設での実績も踏まえていただくことはできないか。
●保育事業の安定性・継続性の確保を考慮すれば、地上権、賃借権などの登記や長期の賃貸借契約は必要と考えています。ただし、御指摘のように長年、安定的に認可外保育施設を経営している事例もあることから、一部修文しました。

5の(3)

○定員20人の施設でも定員60人の施設であっても、一律1千万円というのはおかしい。認可外保育施設での経験を考慮して弾力的に運用してほしい。
●一部修文しました。

○株式会社立の保育所であっても、それぞれの保育所の経理区分に賃借料相当額を確保してなければならないのか。
●本社経理において適切に管理してあれば差し支えないと考えています。この場合であっても、賃借料の財源、支出について、明確にしておくことが必要となります。

その他

○賃借料補助をすべきではないか。
●保育所の設置については、引き続き、自己所有若しくは国及び地方公共団体からの貸与が望ましいことと考えており、賃借料補助を行うことは考えていません。


児発第295号
平成12年3月30日

  都道府県知事
各 指定都市市長 殿
  中核市市長

厚生省児童家庭局長

保育所の設置認可等について

 保育所の設置認可等については、「保育所の設置認可等について」(昭和38年3月19日児発第271号。以下「児発第271号通知」という。)により行ってきたところであるが、待機児童の解消等の課題に対して地域の実情に応じた取組みを容易にする観点も踏まえ、今般、保育所の設置認可の指針を下記のとおり改めたので、貴職において保育所の設置認可を行う際に適切に配意願いたい。
 また、保育所の設置認可に係る申請があった際に、その内容が児童福祉施設最低基準(昭和23年厚生省令第63号)その他の関係法令に適合するものでなければ認可してはならないことは当然であり、この点については従来の取扱いと変更がないものであるので、念のため申し添える。

第1 保育所設置認可の指針

1.地域の状況の把握

 都道府県及び市町村(特別区を含む。以下同じ。)は、保育所入所待機児童数をはじめとして、人口数、就学前児童数、就業構造等に係る数量的、地域的な現状及び動向、並びに延長保育等多様な保育サービスに対する需要などに係る地域の現状及び方向の分析を行うとともに、将来の保育需要の推計を行うこと。
 都道府県知事(指定都市及び中核市においては市長。以下同じ。)においては、これらの分析及び推計(関係市町村が行ったものを含む。)を踏まえて、保育所設置認可申請への対応を検討すること。

2.認可申請に係る審査等

 保育所設置認可申請については、1.で把握した地域の状況を踏まえつつ、個別の申請の内容について、以下の点を踏まえ審査等を行うこと。

(1)定員

 保育所の定員は、「小規模保育所の設置認可等について」(平成12年3月30日児発第296号)及び「夜間保育所の設置認可等について」(平成12年3月30日児発第298号)に定める場合のほか、60人以上とすること。

(2)社会福祉法人による設置認可申請

 社会福祉法人を設立して保育所の経営を行う者については、社会福祉事業法(昭和26年法律第45号)をはじめとする関係法令等に照らし、社会福祉法人の設立についても適正な審査を行うこと。

(3)社会福祉法人以外の者による設置認可申請

(1)審査の基準
 社会福祉法人以外の者から保育所の設置認可に関する申請があった場合には、以下の基準に照らして審査すること。
ア 保育所を経営するために必要な経済的基礎があること。
イ 経営者(設置者が法人である場合にあっては、当該法人の経営に携わる役員とする。以下同じ。)が社会的信望を有すること。
ウ (ア)及び(イ)のいずれにも該当するか、又は(ウ)に該当すること。
(ア)実務を担当する幹部職員が、保育所等において2年以上勤務した経験を有する者であるか、若しくはこれと同等以上の能力を有すると認められる者であるか、又は、経営者に社会福祉事業について知識経験を有する者を含むこと。
(イ)社会福祉事業について知識経験を有する者、保育サービス利用者(これに準ずる者を含む。)及び実務を担当する幹部職員を含む運営委員会(保育所の運営に関し、当該保育所の設置者の相談に応じ、又は意見を述べる委員会をいう。)を設置すること。
(ウ)経営者に、保育サービスの利用者(これに準ずる者を含む。)及び実務を担当する幹部職員を含むこと。
エ 保育所を経営する事業に関し、不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者でないこと。
オ 財務内容が適正であること。
(2)認可の条件
 社会福祉法人以外の者に対して保育所の設置認可を行う場合には、設置者の類型を勘案しつつ、以下の条件を付すことが望ましいこと。
ア 児童福祉施設最低基準を維持するために、設置者に対して必要な報告を求めた場合には、これに応じること。
イ 収支計算書又は損益計算書において、保育所を経営する事業に係る区分を設けること。
ウ 保育所を経営する事業については、「社会福祉法人会計基準の制定について」(平成12年2月17日社援第310号。以下「社援第310号通知」という。)に定める資金収支計算書及び資金収支内訳表を作成するとともに、当該資金収支内訳表においては、社援第310号通知に定めるところにより保育所の各施設ごとに経理区分を設けること。また、併せて、当該経理区分ごとに、積立預金の累計額を記載した明細表(以下「積立預金明細表」という。)を作成すること。
エ 毎会計年度終了後3か月以内に、次に掲げる書類に、保育所を経営する事業に係る現況報告書を添付して、都道府県知事に対して提出すること。
(ア)前会計年度末における貸借対照表
(イ)前会計年度の収支計算書又は損益計算書
(ウ)ウに定める保育所を経営する事業に係る前会計年度の資金収支計算書及び資金収支内訳表
(エ)ウに定める保育所を経営する事業に係る前会計年度末における積立預金明細表
オ 都道府県知事は、保育所の運営が著しく適正を欠くと認めるときは、当該保育所に対し、期限を定めて必要な措置をとるべき旨を命じ、さらに当該保育所がその命令に従わないときは、期間を定めて事業の停止を命じることがあり、その際、当該保育所がその命令に従わず他の方法により運営の適正を期しがたいときは、認可の取消しを行うことがあること。
(3)市町村との契約
 社会福祉法人以外の者と市町村との間で保育の実施に係る委託契約を締結する際には、以下の事項を当該契約の中に盛り込むことが望ましいこと。
ア 収支計算書又は損益計算書において、保育所を経営する事業に係る区分を設けること。
イ 保育所を経営する事業については、社援第310号通知に定める資金収支計算書及び資金収支内訳表を作成するとともに、当該資金収支内訳表においては、社援第310号通知に定めるところにより保育所の各施設ごとに経理区分を設けること。また、併せて、当該経理区分ごとに、積立預金明細表を作成すること。
ウ 保育所の認可に対して付された条件を遵守すること。

第2 既設の保育所に対する指導

 この通知の施行前に設置認可を受けた保育所に係る社会福祉法人以外の者については、社会福祉法人とするか、又は第1の2(3)に掲げる基準等を満たすよう指導すること。

第3 実施期日等

 この通知は平成12年3月30日から施行し、児発第271号通知はこの施行に伴って廃止する。
 なお、この通知は、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(平成11年法律第87号)による改正後の地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4に規定する技術的な勧告に当たるものである。


児保第10号
平成12年3月30日

  都道府県
各 指定都市 民生主管部(局)長 殿
  中核市

厚生省児童家庭局保育課長

「保育所の設置認可等について」の取扱いについて

 本日、平成12年3月30日児発第295号「保育所の設置認可等について」(以下「児発第295号通知」という。)が施行されたところであるが、この取扱いについては次の事項に留意されたい。

1.児発第295号通知の第1の2の(3)社会福祉法人以外の者による設置認可申請の1)審査の基準については、以下のとおりであること。

(1)アにおいて「必要な経済的基礎がある」とは、以下の1)及び2)のいずれも満たすものをいうこと。

  1)原則として、保育所の経営を行うために直接必要なすべての物件について所有権を有しているか、又は国若しくは地方公共団体から貸与若しくは使用許可を受けていること。ただし、平成12年3月30日児発第297号「不動産の貸与を受けて設置する保育所の認可について」に定められた要件を満たしている場合には、「必要な経済的基礎がある」と取り扱って差し支えないこと。

  2)保育所の年間事業費の12分の1以上に相当する資金を、普通預金、当座預金等により有していること。

(2)ウにおいて「保育所等」とは、保育所並びに保育所以外の児童福祉施設及び幼稚園をいうこと。

(3)エにおいて「保育所を経営する事業に関し、不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」とは、申請者の資質及び社会的信用の面から適切な業務運営が期待できないことが当初から明らかな者をいい、例えば、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第59条第3項に基づく事業の停止等を命じられたことがある者や、同条第1項に基づく報告徴収に対して虚偽の報告等を行ったことがある者などは、これに該当すること。

(4)オにおいて「財務内容が適正であること」とあるが、直近の会計年度において、保育所を経営する事業以外の事業を含む当該主体の全体の財務内容について、3年以上連続して損失を計上している場合には、少なくとも、「財務内容が適正である」に当たらないこと。

2.昭和41年2月2日児福第3号「保育所の設置認可等について」は廃止する。
 なお、この通知は、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(平成11年法律第87号)による改正後の地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4に規定する技術的な勧告に当たるものである。


児発第296号
平成12年3月30日

  都道府県知事
各 指定都市市長 殿
  中核市市長

厚生省児童家庭局長

小規模保育所の設置認可等について

 保育所の設置認可等の取扱いについては、「保育所の設置認可等について」(昭和38年3月19日児発第271号)により、また、このうち小規模保育所に関しては、併せて「小規模保育所の設置認可等について」(昭和57年8月24日児発第713号。以下「児発第713号通知」という。)により行ってきたところであるが、今般、保育所の設置認可については、「保育所の設置認可等について」(平成12年3月30日児発第295号。以下「児発第295号通知」という。)により行うこととし、また、小規模保育所の設置認可等の指針についても下記のとおり改めたので、これらにより小規模保育所の設置認可等について適切にお取り扱い願いたい。

第1 小規模保育所の設置認可の指針

1 60人未満の定員の保育所(以下「小規模保育所」という。)の設置認可申請については、児発第295号通知の「1.地域の状況の把握」に基づき検討した結果、当該申請に係る保育所の定員を60人以上とすることが困難であること、当該地域について20人以上の保育需要が継続すると見込まれること及び他に適切な方法がないことを確認の上、以下の要件に適合することを審査し、小規模保育所として設置認可を行って差し支えないものであること。

(1)当該保育所の設備及び運営については、児童福祉施設最低基準(昭和23年厚生省令第63号)その他法令等(以下「児童福祉施設最低基準等」という。)に定めるところに適合するものであること。

(2)保育所・その所在地等が次のいずれかに該当するものであること。

(1) 市部又はその周辺の要保育児童が多い地域に所在し、かつ、保育の実施による入所児童のおおむね4割以上は3歳未満児を入所させることとしている保育所。ただし、定員21人以上の小規模保育所にあっては、3歳未満児の割合は、おおむね3割以上で差し支えないこと。
(2) 過疎地域活性化特別措置法(平成2年法律第15号)第2条第2項の規定により内閣総理大臣が公示した過疎地域をその区域とする市町村内の地域等に所在する保育所。
(3) 3歳未満児を保育の実施による入所児童のおおむね8割以上、かつ、このうち乳児は保育の実施による入所児童の1割以上、入所させることとしている保育所。

(3)定員は20人以上であること。

(4)施設長は、保育士の資格を有し、直接児童の保育に従事することができるものを配置するよう努めること。保育士その他の職員については、児童福祉施設最低基準等に定めるところにより所定数を配置すること。

2 小規模保育所に対する費用の支弁については、「児童福祉法による保育所運営費国庫負担金について」(昭和51年4月16日厚生省発児第59号の2)に定める保育単価が適用されること。
 ただし、定員20人及び21人から30人までとする小規模保育所については、各々特別保育単価が適用されるものとし、毎年度別途通知するものであること。

第2 実施期間等

 この通知は平成12年3月30日から施行し、児発第713号通知はこの施行に伴って廃止する。
 なお、第1の1は、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(平成11年法律第87号)による改正後の地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4に規定する技術的な勧告に当たるものである。


児発第297号
平成12年3月30日

  都道府県知事
各 指定都市市長 殿
  中核市市長

厚生省児童家庭局長

不動産の貸与を受けて設置する保育所の認可について

 従来、保育所の設置認可に際しては、保育所を経営する事業を行うために直接必要なすべての物件について、保育所の設置者が所有権を有していることを条件にしてきたところである。
 保育所を経営する事業が安定的、継続的に行われるためには、保育所の設置に必要な土地及び建物のいずれについても、保育所の設置者が所有権を有しているか、又は国若しくは地方公共団体から貸与若しくは使用許可を受けていることが原則であって望ましいことであるが、今般、待機児童の解消等の課題に対し、地域の実情に応じた取組みを容易にする観点から、これまでの取扱いを改め、国又は地方公共団体以外の者から不動産の貸与を受けて設置する保育所を認可する際の指針を下記のとおりとしたので、貴職において保育所の設置認可を行う際に適切に配意願いたい。

1.設置主体

 設置主体が次のいずれかであること。

(1) 既に他の保育所を設置経営している社会福祉法人

(2) 社会福祉法人以外の者

2.施設を設置する地域等

 施設の建物について貸与を受けて保育所を設置する場合については、当該保育所を設置する地域が次のいずれかに該当すること。なお、土地に限り貸与を受けて保育所を設置経営する場合にあっては、当該保育所を設置する地域を問わないものであること。

ア.出生児童数若しくは就学前児童数が増加傾向にある市町村、又は、団地、事業所の立地により人口若しくは保育需要の増が見込まれる地域
イ.保育所入所待機児童がある地域
ウ. 駅近傍等利用者にとって利便性が高い、又は、都市公園隣接地等立地特性が高い等の地域

3.地上権・賃借権の登記

 貸与を受けている土地又は建物については、原則として、地上権又は賃借権を設定し、かつこれを登記しなければならないこと。ただし、次のいずれかに該当する場合などのように、安定的な事業の継続性の確保が図られると判断できる場合には、地上権又は賃借権の登記を行わないこととしても差し支えないこと。

ア.建物の賃貸借期間が賃貸借契約において10年以上とされている場合
イ.貸主が、地方住宅公社若しくはこれに準ずる法人、又は、地域における基幹的交通事業者等の信用力の高い主体である場合

4.その他

(1)賃借料が、地域の水準に照らして適正な額以下であること。

(2)賃借料の財源について、既存事業からの継続的財源確保、公的主体による継続的補助等安定的に賃借料を支払い得る財源が確保されていること。

(3)社会福祉法人以外の者が不動産の貸与を受けて保育所を設置する場合には、(2)の財源とは別途、当面の支払いに充てるための1年間の賃借料に相当する額と1千万円(1年間の賃借料が1千万円を超える場合には当該1年間の賃借料相当額)の合計額の資金を安全性がありかつ換金性の高い形態(普通預金、定期預金、国債等)により保有していること。

(4)(3)の1千万円(1年間の賃借料が1千万円を超える場合には当該1年間の賃借料相当額)については、地上権・賃借権の登記、賃貸借契約期間の長さ等施設使用の安定性の高さ、当該主体の総合的な財政力の高さ、公的補助による継続的な賃借料補助、これまでの施設の経営・運営実績等過去の安定性の高さ等を勘案し、賃貸施設であっても安定的に事業経営が認められる場合には、2分の1を下回らない範囲内で当該額を減額して差し支えないこと。

(5)賃借料及びその財源が収支予算書に適正に計上されていること。

(6)社会福祉法人以外の者から保育所の設置認可に関する申請があった場合については、別に定める「保育所の設置認可等について」(平成12年3月30日児発第295号)」に照らして適正な審査を行うこと。

5.実施期日等

 この通知は平成12年3月30日から施行する。
 なお、この通知は、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(平成11年法律第87号)による改正後の地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4に規定する技術的な勧告に当たるものである。


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