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「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(PRTR法)」に係る対象化学物質の案に対する意見募集結果について

平成12年3月

厚生省生活衛生局企画課
生活化学安全対策室

1.概要

 平成11年11月16日に開催された厚生省生活環境審議会生活環境部会及び中央環境審議会環境保健部会・化学品審議会安全対策部会合同会合において審議された「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律に係る対象化学物質の案」の内容につき、以下のとおり意見募集を行いました。

(1)期間:平成11年11月19日〜同年12月18日
(2)告知方法:環境庁、厚生省、通商産業省ホームページ、記者発表、関係情報誌等
(3)意見送付方法:電子メール、FAX、郵送のいずれか
 このたび、寄せられましたご意見につきましては、取りまとめの便宜上、案件ごとに適宜集約させていただいております。
 今回、ご意見をお寄せいただきました方々のご協力に厚く御礼申し上げます。

2.受付意見件数

 合計164件(意見提出者数)

<内訳>
・企業 96件  
・団体 45件  
  うち、事業者団体 28件
労働団体 2件
NGO 15件
・個人 23件

※1:提出意見の中に複数の項目について意見が述べられているものがあり、のべ意見数は470件となった。

※2:上記の件数には、生活環境審議会の意見募集対象外である製品の要件及びPRTR対象事業者に対する意見を含む。

3.受付意見の概要

 対象物質に対する意見(のべ意見数)の内訳は、以下のとおりであり、意見の詳細及び対応・回答については、別紙に記載する。

・対象物質に関する意見
 うち
224件
1)物質選定の考え方への意見 19件
2)対象候補物質全般への意見 75件
3)第一種指定候補物質への意見 96件
4)第二種指定候補物質への意見 4件
5)対象物質への追加意見 17件
6)その他 13件

4.寄せられた意見及び意見に対する考え方・対応


寄せられた意見及び意見に対する考え方・対応

I.対象物質について

1.物質選定の考え方への意見

No

意見の概要

件数

意見に対する考え方・対応

1

現時点でリスクが低いとされているものであっても、人体や生態系に対する安全性が学術的に確認されたもの以外は全て対象にすべき。

3

本法は、その化学物質が環境中に存在している状況が実際に人や動植物に悪影響を及ぼすものかどうかという因果関係が立証されていないものも含め、動物実験などによって一定以上の有害性があることを示す科学的根拠があり、かつ、相当広範な地域の環境での継続的な存在が認められ、または見込まれる化学物質を広く対象とすることとしています。

また、対象物質の選定の際には、化学物質による環境の汚染により生ずる人の健康に係る被害並びに動植物の生息及び生育への支障が未然に防止されることとなるよう十分配慮することと規定されており、これを踏まえて選定することとしています。

なお、内分泌かく乱作用につきましては、現在、選定するための科学的知見が十分に集積されていないことから試験方法や評価方法の確立を急ぎ、優先度の高い物質から早急に試験を行い判断することが適当であると考えます。

2

外因性内分泌攪乱物質のような例もあり、現時点では毒性が低いとされる物質も広く対象物質にすべき。

1

3

対象物質に指定することは、「その物質が重大な危険有害性を有する」との評価を国民に示すと言える。この影響は重大で、計り知れない。真に重大な危険有害性が認められる化合物に限定すべき。将来、新たな危険有害性が確認された段階で追加等の措置が講じられることは、異論ない。

4

本法は、化学物質の用途を問わず、また、その化学物質が環境中に存在している状況が実際に人や動植物に悪影響を及ぼすものかどうかという因果関係が立証されていないものも含め、動物実験などによって一定以上の有害性があることを示す科学的根拠があり、かつ、相当広範な地域の環境での継続的な存在が認められ、または見込まれる化学物質を広く対象とすることとしています。

また、対象物質の選定の際には、化学物質による環境の汚染により生ずる人の健康に係る被害並びに動植物の生息及び生育への支障が未然に防止されることとなるよう十分配慮することと規定されており、これを踏まえて選定することとしています。

なお、国及び地方公共団体において、対象物質の性状等について国民の理解を深めるよう努めるものとされています。

4

PRTR対象候補物質の中に化粧品原料がリストされている。

今後、化粧品への全成分表示の導入により、PRTR対象物質が化粧品に使用されていることが明白になるが、「身体に対しては安全な化学物質」と「環境を汚染する化学物質」を明確に分類して判断できる消費者は少なく、不必要な恐怖を煽られて消費者を混乱に陥れる可能性が高い。

このため、化粧品原料となる物質には社会的需要性も考慮して選定して欲しい。

1

5

医薬品を対象物質から除外して欲しい。

(理由)

  • 有害性の根拠データは信頼できるものであるが、医薬品として投与される量よりも遙かに超えた領域の結果であり、医薬品そのものの有害性と混同されるおそれがある。
  • 作業環境において規準以上の厳しい管理を行っている。
  • 医薬品の投与量は微量であり、広範囲な汚染に繋がるとは思われない。

1

本法の対象物質選定の考え方に当てはまるものは対象とすることが適当と考えます。

(理由)

物質選定の考え方は(1)No.3、No.4の意見に対する考え方・対応を参照下さい。

6

自然作用による化学変化の自然作用とは、どのような範囲を指すか?容易に生成するの容易にとは、どのような条件範囲か? 燃焼は自然作用か? 焼却はどうか?容易にとは化学反応と同様の程度と考えて良いか? (参考資料1?1,I?(2))

1

「自然的作用による化学的変化により容易に生成する」とは、通常の環境中での分解反応等(加水分解等)により、容易に生成されることを考えています。

7

参考資料1-1 PRTR及びMSDS対象化学物質の選定方法について(案)p3「事故的な大量排出の際などでは問題となるが、通常の環境濃度レベルで問題とならない有害性については、それのみをもって物質選定のための有害性項目として用いる必要はないと考えられる」中で言う「それのみをもって」という表現をしないといけないような物質として何が予想されるのか、具体的に検討すべき。

1

対象化学物質を選定する際の基準にどのような有害性項目を用いるかの考え方について記述した部分であり、具体的な物質を想定しているものではありません。

8

なぜ100トンが基本となるのか、「環境中に検出されやすくなる」という根拠が資料からは判断できない。根拠資料を明らかにして検討すべきである。

1

環境庁が行っている化学物質環境汚染実態調査(通称;黒本調査)の平成8年度までの集計によれば、1年間の製造・輸入量が100トン未満のものの環境検出率(検出物質数/調査物質数)は10%以下でしたが、100トンを超えると検出割合が急激に増加(100-1000トンでは41%)する傾向があることから、1年間の製造・輸入量が100トンを超える化学物質について「相当広範な地域の環境での継続的な存在」ありとしたものです。

9

第一種物質で年間で生産・輸入量100トン以上という選定基準は大きすぎる。

1

10

「明らかに環境中に放出されやすい物質」の基準は何か。

 

また、物質選定にあたり、「使用形態を特定することが困難である」から使用形態を考慮しないというのは安易すぎないか。

2

化学物質は一般に様々な用途に使われていることが多く、また、用途が変わり得ることから、使用形態を各物質について考慮すること自体が困難であるため、原則としては製造・輸入量のみで物質の相当広範な地域の環境での継続的な存在を判断しています。

ただし、農薬については、使用形態から見て明らかに環境中に放出されやすい物質であることから、1年間の製造・輸入量10トン以上のものを選定しています。

11

PRTR及びMSDS対象化学物質の選定方法について(案)の「I.選定物質の基本的考え方に、次の項目を追加して欲しい。

  • この場合には、大気汚染防止法をはじめ、環境保全上の目的から制定されている他の関連法令で規制対象となっている物質を優先的に考慮の上、選定する必要がある。
  • また、目的は異なるとしても同様の制度が既に存在する場合には、それらの制度との整合性を重視して対象物質が選定されることが必要である。

1

原案どおりとすることが適当と考えます。

(理由)

本法は、対象物質の選定要件として、関連法令で規制対象となっているか否かではなく、当該化学物質の有害性と相当広範な地域の環境での継続的な存在について定めており、これに従って物質を選定しています。

ただし、ご指摘のように、他法令に基づき既に排出量の把握、集計等が行われている場合には、重ねて本法の対象とはしない等、既存の法令との整合性を重視しています。

12

PRTR及びMSDS対象化学物質の選定方法について(案)の「II 3.その他の留意事項」に、次の項目を追加して欲しい。

  • 諸外国で使用が禁止されている物質でありわが国で使用が認められている物質、または、そのような観点からわが国でも使用を禁止すべきという意見が出されている物質については、諸外国及び国内の状況を踏まえて優先的に検討した上で、必要に応じ追加
  • その物質の使用により、死亡者などの重大な被害が発生しているという報告がある物質については優先的に検討した上で、追加

1

原案どおりとすることが適当と考えます。

(理由)

本法は、対象物質の選定について、「環境の保全に係る化学物質の管理についての国際的動向、化学物質に関する科学的知見、化学物質の製造、使用、その他の取扱いに関する状況等を踏まえ、化学物質による環境の汚染により生ずる人の健康に係る被害並びに動植物の生息及び生育への支障が未然に防止されることとなるよう十分配慮して」行うことを規定しており、これを踏まえて対象物質の選定方針を定め、対象化学物質を検討したところです。

対象化学物質は、物質選定の基本的考え方に示したとおり、本法の趣旨を踏まえて定期的に見直しを行うべきであり、その際にはご指摘の趣旨も参考にして検討していきます。

13

日本産業衛生学会等の許容濃度の適用に誤りがある。

(理由)

日本産業衛生学会は許容濃度の数値をそのまま大気汚染、または一般室内汚染の許容濃度の限界値としてはならないとしており、既に許容濃度が定められているからとの理由でそのまま適用できない。

1

ご指摘の通り、作業環境の許容濃度は作業条件下での暴露を想定して設定された値であり、労働の場以外での環境要因の許容限界値として用いてはならないとされています。

このため、作業環境と一般環境の差を十分考慮して作業環境許容濃度を人への有害性を示すデータの1つとして用いています。

2.対象候補物質全般への意見

No

意見の概要

件数

意見に対する考え方・対応

1

「(金属)元素及びその化合物」としてまとめている物質について、元素自体に毒性がある場合に、その元素を含む化合物全体を対象とすることの根拠が示されていない。

また、「元素及びその化合物」とすると対象物質の特定が困難。

これらについては、対象物質を個々に特定する、安全性が証明されているものは除外するなどの対応が必要。

33

原案どおりとすることが適当と考えます。

(理由)

元素自体に毒性があり、その化合物も元素と同様の毒性があると評価されている物質については、原則として当該元素及びそれを含む化合物全体を対象とすることが適当と考えます。

なお、既にPRTR制度を導入している諸外国(米国、カナダ等)におきましても、多くの金属化合物が「元素及びその化合物」として指定されています。

2

「(金属)元素及びその化合物」は元素としての含有量に幅があり、有害性に強弱があることから、当該元素含有量によりランク分けすることが必要。

7

3

合金類、金属間化合物は、無害な形態を取っていることから指定化学物質の対象から除くことが適当。

2

合金類(金属間化合物を除く)は、金属の混合物として扱うことが適当であると考えます。また、金属間化合物については、「元素及びその化合物」として指定された金属を含むものは対象となります。

(理由)

「元素及びその化合物」と指定したものは、元素とその化合物が同様の毒性があると評価されたものであり、金属間化合物を除外していない場合は他の化合物と同様に扱っています((2) No.1の意見に対する考え方・対応を参照下さい)。

なお、どのような混合物が対象になるかにつきましては、製品の要件で述べております。

4

複合酸化系顔料は、金属酸化物の複合体であり、単一金属酸化物の有する物理的・化学的性質は失われていると判断されている。また、米国でFDAでも認可されており、指定化学物質から除外して欲しい。

4

複合酸化系顔料、有機キレート化合物についても、「元素及びその化合物」として指定された金属を含むものは原則として対象となります。

(理由)

「元素及びその化合物」として指定されているものは、IARC等で「元素及びその化合物」として扱われている等、専門家の評価により元素と化合物は同様の毒性があると評価されているものを選定しているからです((2) No.1の意見に対する考え方・対応を参照下さい)。

5

溶解性金属化合物には、金属がイオンとして溶解する以外に、含金属染料などの有機キレート化合物がある。これらは除外していただきたい。

1

6

「溶解性」の定義を明確にしてほしい。

13

「溶解性」の定義につきましては、「常温で中性の水に対し、1%(質量%)以上溶解すること」であると考えています。

7

「(金属)元素及び化合物」で、(溶解性)指定の有無の根拠を示して欲しい。

2

溶解性に限定しているのは、ACGIHにおける作業環境の許容濃度等の設定が溶解性化合物に限定されているもの、生態毒性のみの有害性しかない物質等、溶解性の物質に限り有害であると認められる場合です。

8

No.334〜No.354の金属類について全て「(溶解性)」の項を入れるか「廃棄物については、溶出試験による」項目を入れてほしい。また、No.355(ホウ素及びその化合物)及びNo.356(無機フッ素化合物)に「(溶解性)」の項を入れてほしい。

(理由)

土壌の汚染に係る環境基準や産業廃棄物に係る判定基準においては溶出化合物についての基準を定めており、これらとの整合性がない。また、溶解性を認めている金属と認めていない金属があり一貫性がない。

1

原案どおりとすることが適当と考えます。

(理由)

溶解性のものに限るかどうかについては、(2)No.7の意見に対する考え方・対応の通りです。

廃棄物の溶出試験についてのご意見は、移動量の算定方法の検討にあたって留意すべき事項に関するものですので、今後政府において参考にすることが適当と考えます。

9

化審法で「生分解性あり」と判定された物質については、一義的に除外すべき。

(理由)

生分解性の物質については、環境中での残留期間が短く、影響が低いため。

1

本法の対象物質選定の考え方に当てはまるものは対象とすることが適当と考えます。

(理由)

本法は、対象物質の要件として、相当広範な地域の環境での継続的な存在を要件としており、今回は「一般環境中での検出状況」又は「製造・輸入量」を主に用いて行いました。

生分解は短時間で生ずると一義的にはいえませんので、「生分解性あり」と判定された物質であっても環境から検出される場合もあり、一律に除外することは適当ではありません。

10

技術的に可能であるのならば、対象化合物の最終的な有害性分類(ハザードランク)を検討し、公にしてほしい。

(理由)

有害化学物質削減に向けた自主的な取組を行う際の優先順位決定のための指標としたいため。

1

各指定化学物質の有害性項目ごとの分類につきましては、参考資料として公表されています。

なお、物質選定の基準とした有害性の各項目は、それぞれ異なる作用を表すものであることから、異なった有害性項目で選定された物質同士の有害性の強弱(ハザードランク)を単純に比較することはできません。

11

「有機」の定義を明確にしてほしい。

1

化学大事典(共立出版)で示されているとおり、有機化合物とは、無機化合物とされる一部の簡単な炭素化合物を除いた炭素化合物のことです。

12

「無機」の定義を明確にしてほしい。

1

化学大事典(共立出版)で示されているとおり、無機化合物とは、炭素以外の元素のみから構成されるすべての化合物及び一部の簡単な炭素化合物のことです。一部の簡単な炭素化合物で無機化合物とされるものには、二酸化炭素等の酸化物、シアン化物、チオシアン酸塩、炭酸塩等があります。

13

対象化学物質の異性体は無視してもかまわないか。

1

異性体を個々に指定している場合は当該異性体のみが対象となり、異性体を包括する名称で指定された場合は、それに含まれるすべての異性体が対象になります。

14

候補物質の有害性の具体的な数値が示されておらず、選定根拠があいまい。

2

具体的な選定基準及びそれぞれの物質がどの選定基準により選定されたかについては、すべて参考資料として公表されており、定量的評価による項目は、その数値についても示されています。

3.第一種指定候補物質への意見

(皆様から寄せられました意見等を踏まえ、名称を変更する場合がありますが、この名称は仮のものであり、政令指定の際には他法令との整合性の観点等から変更になる場合もあります。)

No

意見の概要

件数

意見に対する考え方・対応

1

No.20「1,3-ジイソシアナト(メチル)ベンゼン」の中にNo.193は含まれるため、No.20に一本化すべきである。

3

ご指摘のとおりNo.193(CAS No.584-84-9)は、No.20「1,3-ジイソシアナト(メチル)ベンゼン」(CAS No.26471-62-5)に含まれますので、No.20の名称を「メチル-1,3-フェニレン=ジイソシアナート」とし、No.20とNo.193を1つにまとめます。

2

選定基準に立ち返り、物質の見直しを。(No.34「テトラフルオロエチレン」、No.35「ピロカテコール」は、IARC3であり、2である基準に合わない)

1

原案どおりとすることが適当と考えます。

(理由)

ご指摘のテトラフルオロエチレン及びピロカテコールについては、最新のIARCの発がん性分類において「2B」とされています。

3

No.41「3,3'−ジクロロベンジジン」 (CAS No.91-94-1)を除外して欲しい。

(理由)

製造業者が限られ、用途も中間物であり環境中への排出はない。さらに、化審法等の他法令の規制を受けており、現状でも十分管理はなされている。

1

原案どおりとすることが適当と考えます。

(理由)

「3,3'−ジクロロベンジジン」は有機顔料であり、生産、使用等の過程で環境中に排出される可能性があります。

4

No.76「グルタルアルデヒド」は、使用実態等から対象外が妥当。

(理由)

十分な管理下で扱われ、また、生分解性でもある。

1

原案どおりとすることが適当と考えます。

(理由)

本法は、環境中への排出量等を把握し、集計・公表すること等の新たな措置を規定し、事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境保全上の支障を未然に防止するものです。

また、本法での「相当広範囲な地域の環境での継続的な存在」の判断については、今回は「一般環境中での検出状況」又は「製造・輸入量」を主に用いて行いました。

5

No.84「エチルチオメトン」について、農薬経口毒性表のADI値から判断すると、経口クラスは2が妥当と思うが、第1種候補表を見るとクラスが1となっているが、どのような判断からこうなったのか。

1

エチルチオメトンの経口クラスを3とします。(第1種指定候補であることに変更はありません。)

(理由)

エチルチオメトンについては、日本で農薬として登録された際のADI 0.0015 mg/kg/dayに対応する経口クラス3とします。

6

No.147 (CAS No.64440-88-6)のビス(ジメチル〜)二スズは、ビス(ジメチル〜)二亜鉛の誤りではないか。

1

CAS No.64440-88-6は、ご指摘の通り、スズではなく亜鉛の化合物ですので、名称を訂正します。

7

No.197 (CAS No.5124-30-1;メチレンビス(4,1-シクロヘキシレンイソシアナート))の名称を、IUPAC命名法に準じながらできるだけ実用に近い表現であり、第1種No.32,33とも整合性の取れる4,4'-メチレンビス(シクロヘキシレンイソシアナート)としてほしい。

1

IUPAC命名法により見直しを行い、メチレンビス(4,1-シクロヘキシレン)=ジイソシアナートに変更します。

8

No.248「ビス(水素化牛脂)ジメチルアンモニウム塩酸塩」を「ビス(水素化牛脂)ジメチルアンモニウムクロリド」に変更して欲しい。

(理由)4級アンモニウムの塩化物であり、塩酸塩ではない。

1

ご指摘のとおり、No.248は塩酸塩ではなく、4級アンモニウム化合物ですので、名称を「ビス(水素化牛脂)ジメチルアンモニウム=クロリド」に訂正します。

9

No.302「p-ジクロロベンゼン」の発癌クラス2、経口クラス3及び作業環境4を削除していただきたい。

(理由)

p−ジクロロベンゼンの発がん性については、厚生省のリスク評価において、人へのリスク評価に反映することは困難とされている。また、経口クラスについては、EPAの水質クライテリアに従えば、経口クラス4になる。

1

p−ジクロロベンゼンの発がん性については、ご指摘のとおり、げっ歯類特異性であり人へのリスク評価に反映することは困難であるとされていますので、その旨を脚注に記載いたします。また、経口毒性のクラスについては、EPAの飲料水基準が0.075mg/lであることから、経口クラス「3」になります。なお、作業環境濃度が61mg/m3と作業環境クラスで「4」となります。これらの記述は削除しません。

10

No.329「ポリ(オキシエチレン)=4−オクチルフェニル=エーテル」を「ポリ(オキシエチレン)(EO:10モル未満)=オクチルフェニル=エーテル」に変更して欲しい。また、この名称に対応したCAS番号である「9036-19-5」を採用して欲しい。

(理由)LC50値が10mg/l以下となるのは、オキシエチレン(EO)の繰り返し数が概ね10未満であるため。また、流通形態では4−オクチルフェニルに限定されていないため。

1

流通形態を考慮し、「ポリ(オキシエチレン)=オクチルフェニル=エーテル」(CAS No.9036-19-5)と変更します。ただし、EOに関しては、原案どおり限定しないことが適当と考えます。

(理由)

当該化学物質は、ECETOCにより評価されていますが、ここでの数値は平均付加モル数であるため、実際の化学物質は、EO 10モル未満のものに限定されるものではありません。

11

No.330「ポリ(オキシエチレン)=ノニルフェニル=エーテル」を「ポリ(オキシエチレン)(EO:10モル未満)=ノニルフェニル=エーテル」に変更して欲しい。

(理由)LC50値が10mg/l以下となるのは、オキシエチレンの繰り返し数が概ね10未満であるため。

1

原案どおりとすることが適当と考えます。

(理由)

当該化学物質は、ECETOCにより評価されていますが、ここでの数値は平均付加モル数であるため、実際の化学物質は、EO 10モル未満のものに限定されるものではありません。

12

No.331「アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩(直鎖型)(C=10-14)」は生分解性が良く、環境中濃度が生態毒性影響濃度よりも充分低いことから、第1種から除外して欲しい

3

原案どおりとすることが適当と考えます。

(理由)

「アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩(直鎖型)(C=10-14)」については、ECETOC生態毒性により生態クラス1〜2とされていることから、今回の物質選定基準に該当します。

13

No.332「ポリ(オキシエチレン)=アルキルエーテル (C=12-15)」は生分解性が良く、環境中濃度が生態毒性影響濃度よりも充分低いことから、第1種から除外して欲しい

4

原案どおりとすることが適当と考えます。

(理由)

「ポリ(オキシエチレン)=アルキルエーテル (C=12-15)」については、ECETOC生態毒性により生態クラス1〜2とされていることから、今回の物質選定基準に該当します。

14

No.332「ポリ(オキシエチレン)=アルキル=エーテル(C12-15)」を「ポリ(オキシエチレン)(EO:10モル未満)=アルキル=エーテル(C12-15)」に変更して欲しい。

(理由)LC50値が10mg/l以下となるのは、オキシエチレンの繰り返し数が概ね10未満であるため。

1

原案どおりとすることが適当と考えます。

(理由)

当該化学物質は、ECETOCにより評価されていますが、ここでの数値は平均付加モル数であるため、実際の化学物質は、EO 10モル未満のものに限定されるものではありません。

15

No.333「錯塩を除く無機シアン化合物」において、シアン酸ナトリウム等のシアン酸塩類は、シアンイオンを生成せず、毒性も全く異なることから、シアン化合物と同じ分類として区別するべきでない。

1

ご指摘の通り、シアン酸塩はいわゆるシアン化合物とは全く別の毒性を示すものであることから、現在の名称「錯塩を除く無機シアン化合物」を、「無機シアン化合物(錯塩及びシアン酸塩を除く)」といった明らかにシアン酸塩が含まれない名称に変更します。

16

No.336「クロム及び3価クロム化合物」は、溶解性に乏しく基本的に安全であることから、対象物質から外すべき。

1

原案どおりとすることが適当と考えます。

(理由)

クロム及び3価クロム化合物については、作業環境クラス3(日本産業衛生学会及びACGIHのTWA 0.5mg/m3)、感作性クラス1(日本産業衛生学会及びACGIH)等とされており、(2) No.1の意見に対する考え方・対応に従い、クロム及び3価クロム化合物として指定することが適当と考えます。

17

No.336「クロム及び3価クロム化合物」のうち、以下の物質は安全と考えられるので指定物質から除外して欲しい。

  • クロムを含有するチタニウムクロムエロー(3)
  • 無機有色顔料中のクロム化合物(酸化物)(1)
  • クロムを含むCAS68186903 C.I.ピグメントブラウン24(1)
  • クロムを含むアニリンブラック(1)

6

18

No.337「6価クロム化合物」は、化合物として物質を特定してほしい。また、6価クロムから、クロム酸鉛を除外し、発がんクラスを2ないし3としてほしい。

8

原案どおりとすることが適当と考えます。

(理由)

6価クロム化合物については、IARCにおいて6価クロム化合物として発がんクラス1とされており、また、ACGIHでも水に可溶性・不溶性の両方を発がんクラスA1とされており、(2) No.1の意見に対する考え方・対応に従い6価クロム化合物として指定することが適当と考えます。

また、クロム酸鉛につきましては、米国NTPにおいてクロム酸鉛として発がんクラスaとされており、クロム酸鉛のみ6価クロム化合物から除外するなどの変更の必要はないと考えます。

19

6価クロム化合物をまとめて発ガンクラス1としているが、参考資料1−6の表中で発ガンクラス2とある物質まで一括して表示することはやめてほしい。

1

原案どおりとすることが適当と考えます。

(理由)

IARCでは「6価クロム化合物」として発がん性クラス1としています。これを優先して採用したものです。

20

No.338「ニッケル(金属)」の発ガン性/感作性/経口毒性/作業環境について、最新のACGIHが反映されていない。最新の情報・データから、見直しを行い対象から削除してほしい。

3

原案どおりとすることが適当と考えます。

(理由)

IARCにおける発がん性クラス「2B」や、日本産業衛生学会における作業環境許容濃度(TWA)が1mg/m3であること等のACGIH以外の機関における最新の評価から、ニッケル(金属)は、対象としています。

21

No.338「ニッケル化合物」の発ガンクラスは、科学的根拠が明確になるまでは、「クラス2」とすべき。

1

原案どおりとすることが適当と考えます。

(理由)

IARCは、「ニッケル化合物」として発がん性クラス1としています。

22

溶解性ニッケル化合物は、ACGIHでA4に分類され、硫酸ニッケルなどは確認されていない。このような物質を「ニッケル化合物」と一括りにせず、分別すべき。

1

原案どおりとすることが適当と考えます。

(理由)

IARCにおいて、「ニッケル化合物(金属を除く)」として発がん性クラス1とされていることから、「ニッケル化合物」として指定することが適当と考えます。

23

No.338「ニッケル化合物」のうち、以下の物質は安全と考えられるので指定物質から除外して欲しい。

  • ニッケルイオンを含有するチタニウムエロー(4)
  • 水酸化ニッケル(1)
  • ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル(1)
  • ニッケルを含むC.I.ピグメントエロー53(1)

7

原案どおりとすることが適当と考えます。

(理由)

ニッケル化合物については、発ガン性クラス1(IARCクラス1)とされており、(2) No.1の意見に対する考え方・対応に従いニッケル化合物として指定することが適当と考えます。

24

アンチモンを含有するチタニウムエローは、生理学的に安全・無害であるとされ、No.341「アンチモン及びその化合物」として一括指定することは、問題あり。

4

原案どおりとすることが適当と考えます。

(理由)

アンチモン及びその化合物については、経口クラス2(WHO水質ガイドライン0.005mg/l)、作業環境クラス2(日本産業衛生学会のTWA 0.1mg/m3)とされており、(2) No.1の意見に対する考え方・対応に従いアンチモン及びその化合物として指定することが適当と考えます。

25

ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛は、No.342「亜鉛化合物(溶解性)」に含まれるか。

1

ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛の溶解度は、1mg/ml未満であるため、亜鉛化合物(溶解性)には含まれません。

26

No.342「亜鉛化合物(溶解性)」から、酸化亜鉛(少なくとも無機焼成顔料中の亜鉛)は、除外してほしい。

1

酸化亜鉛は水に対して不溶ですので、亜鉛化合物(溶解性)には該当しません。

27

No.343「スズ及びその無機化合物」を削除願いたい。

2

「スズ及びその無機化合物」を削除します。

(理由)

「スズ及びその無機化合物」は(日本産業衛生学会の)作業環境許容濃度がTWA 2mg/m3の粒子状物質であることから、今回の選定基準の対象外であり、第1種指定候補物質から削除します。

28

No.345「銀化合物(溶解性)」について,フリー銀イオンを生じないチオスルファト銀錯塩のように、有害性の低い物質も対象とされているため、個別名称を上げていただくか,「銀化合物(フリーの銀イオンを生じる溶解性銀化合物)」とされたい。

1

ご指摘の点は、原案どおりとすることが適当と考えます。

(理由)

銀化合物(溶解性)は、ACGIHによりTWA0.01mg/m3を根拠として指定したものですが、ACGIHにおいてフリーの銀イオンを生じるものに限定されていません。

(なお、あわせて(4)No.3の意見に対する考え方・対応を参照下さい。)

29

No.346コバルトは、有害といって良いのか。

(理由)

コバルトブルーは安定であり有害性は弱い。また、米国、フランスで使用が認められている。

1

原案どおりとすることが適当と考えます。

(理由)

コバルト及びその化合物については、発ガン性クラス2(IARCクラス2B)、作業環境クラス2(日本産業衛生学会のTWA 0.05mg/m3)とされており、(2) No.1の意見に対する考え方・対応に従いコバルト及びその化合物として指定することが適当と考えます。

30

No.346「コバルト及びその化合物」のうち、以下の物質は安全と考えられるので指定物質から除外して欲しい。

  • コバルトイオンを含有するコバルトブルー(3)
  • 磁気媒体に含有されるコバルトの酸化物(1)

コバルトを含むC.I.ピグメントブルー28(1)

5

31

No.347「銅(金属)」は、人間の生活の中に深く浸透している汎用金属であり、明確な理由もなく第1種指定化学物質に指定することは問題である。汎用金属のうち銅のみが指定されることには納得できない。

1

銅(金属)を第一種指定候補物質から削除します。

(理由)

銅(金属)の選定理由はACGIHの銅(ヒューム、ダスト、ミスト)の許容濃度のみでしたが、これは急性的な影響によるものでしたので、第一種指定候補から削除します。

32

No.348「銅化合物(溶解性)」から「水溶性銅フタロシアニン」を除外願いたい。

(理由)

銅イオンを遊離しないため。

1

銅イオンが生態毒性の原因であることから、「銅塩類(溶解性のものであって、錯塩を除く)」とします。

銅フタロシアニンは銅イオンを遊離しないため、これにはあたりません。

33

No.348「銅化合物(溶解性)」とせず、特定できる物質名とし、更に食品添加物は第一種指定化学物質から外すこと。

(理由)

銅化合物(溶解性)には、人の健康を損なうおそれがないとして厚生大臣が指定した食品添加物が含まれ、矛盾している。

原案どおりとすることが適当と考えますが、名称は「銅塩類(溶解性のものであって、錯塩を除く)」とします。

(理由)

水中の銅イオンに由来して生態毒性を示すと科学的に判断したため、上の回答のとおり「銅塩類(溶解性のものであって、錯塩を除く)」とします。

また、「銅塩類(溶解性のものであって、錯塩を除く)」の有害性は生態毒性です。

34

No.349「マンガン及びその化合物」において、マンガン酸化物でも2価のものと4価のもので毒性が大きく異なる。化合物ごとに毒性を検討すべき。

(理由)

マンガン酸化物でも2価のものと4価のもので毒性が大きく異なるため。

原案どおりとすることが適当と考えます。

(理由)

(2) No.1の意見に対する考え方・対応に従い「マンガン及びその化合物」としています。

35

No.350、モリブデンの有害性評価に用いたデータの信頼性に疑問がある。また、環境検出も発生源が特定された3カ所のみであり、単純に複数箇所で検出と考えるのは、問題あり。

(理由)

モリブデンの有害性評価の経口クラスのランク3について、WHOのガイドライン値を経口クラスの判断値にすることは問題がある。米国EPAにおいては、三酸化モリブデンに限定している。また、検出についても3カ所のみからである。

7

WHO飲料水水質ガイドライン(1993)では、モリブデンについて、NOAELの根拠とした研究についていくつか問題があるとしながらも、それを考慮した上で飲料水水質ガイドライン値を0.07mg/lを提示しています。これは、国際的に用いられている信頼性のある数値と考えています。

環境検出3カ所は複数地点であり、今回の選定基準に当てはまります。

36

No.350「モリブデン及びその化合物」を削除又は、「溶解性及び三酸化モリブデン」に限定していただきたい。

1

原案どおりとすることが適当と考えます。

(理由)

モリブデン及びその化合物については、経口クラス3とされており、(2) No.1の意見に対する考え方・対応に従いモリブデン及びその化合物として指定することが適当と考えます。

37

物質選定に当たっては「元素及びその化合物」の取り扱いは十分な検討が必要、モリブデンについては、危険有害性の参考資料には、無機の一部が引用されているにすぎないのに、ピグメントレッド81,ピグメントバイオレット3、ピグメントブルー1等の有機金属化合物まで対象となるのはおかしい

1

38

モリブデンを使用した染色レーキ顔料は変異原性試験では陰性との評価有り。

1

39

No.352「五酸化バナジウム」を改め、「バナジウム化合物」と変更していただきたい。

(理由)

1981年以前のACGIHによるバナジウム化合物に対するTWA 0.5mg/m3は、撤廃されていない。

3

原案どおりとすることが適当と考えます。

(理由)

1981年以前のACGIHの基準は、新しいものが出て更新された時点で撤廃されており、選定理由とした現在のACGIHのTWAは五酸化バナジウムのみを対象としています。

40

No.355「ホウ素及びその化合物」に、トリフェニル(n−オクタデシルアミン)ボロンは含まれるか。

(理由)

確認のため。

1

含まれます。

41

No.356「無機フッ素化合物」を除外してもらいたい。

(理由)

水道水中に含まれているため。

1

無機フッ素化合物は一律には除外しませんが、名称を「無機フッ素化合物」から、「フッ化水素及びその塩(溶解性)」と変更します。

(理由)

フッ素イオンについては、水質環境基準0.8mg/mlで経口クラス4ではありますが、環境中でそれを上回って検出している地点があることから第一種指定候補としたものです。

水道法に基づく水質基準も0.8mg/mlと設定されており、水道水に含まれていることを理由に対象から除外することは、適切ではないと考えます。

ただし、有害性の根拠とした水質環境基準が実質的にフッ素イオンを念頭にしていることから、フッ素イオンを生成するものに限るように名称を変更します。

42

No.356「無機フッ素化合物」について、六フッ化硫黄や螢石等の比較的無害な物質も含まれる。真に対象となる物質名で規定すべき。

12

4.第二種指定候補物質への意見

(皆様から寄せられました意見等を踏まえ、名称を変更する場合がありますが、この名称は仮のものであり、政令指定の際には他法令との整合性の観点等から変更になる場合もあります。)

No

意見の概要

件数

意見に対する考え方・対応

1

No.5「アミトロール」は、農薬登録が失効しているにもかかわらず環境中に見いだされているため、第一種に指定すべき。

1

第一種指定候補物質とします。

(理由)

アミトロールは平成10年度環境ホルモン緊急全国一斉調査において複数地点での環境検出があったため、第一種指定候補とします。

2

No.49 (CAS No.101-68-8)の名称を、IUPAC命名法に準じながらできるだけ実用に近い表現であり、第1種No.32,33とも整合性の取れる4,4'-メチレンビス(フェニレンイソシアナート)としてほしい。

1

IUPAC命名法により見直しを行い、「メチレンビス(4,1-フェニレン)=ジイソシアナート」に変更します。

3

No.79「インジウム及びその化合物」はACGIHのTWA値(許容濃度)0.1mg/m3から選定されたようだが、同じTWA値であって同程度の毒性の金属銀が選定されていないことから、インジウムも第二種指定から外してほしい。

1

ご指摘を踏まえ、金属銀を第一種指定候補物質とし、No.345「銀化合物(溶解性)」とあわせて「銀及びその化合物(溶解性)」とします。ただしインジウムについては、原案どおり対象とすることが適当と考えます。

(理由)

金属銀はご指摘のとおりACGIHのTWA値で0.1mg/m3でクラス2となること、製造・輸入量も1000〜10000トンと基準に適合することから、第一種指定候補物質とすることが適当と考えます。

インジウムの場合は肺、骨、消化器への慢性的影響があり、製造・輸入量も10〜100トンであることから、除外はできないと考えます。

4

No.80「白金化合物(溶解性)」は、第二種指定から外してほしい。

1

ご指摘をふまえ検討した結果、「白金化合物(溶解性)」を削除します。

(理由)

白金化合物(溶解性)は、「白金化合物(溶解性塩)」と表現することが適当でした。この化合物の製造・輸入量は確認できず、また、環境中からの検出実績もないことから、対象から削除します。

5.対象物質への追加意見

No

意見の概要

件数

意見に対する考え方・対応

1

バリウムは、パイロット事業の対象であり毒劇法にもあるので入れるべきである。

1

「バリウム及びその化合物(溶解性)」として第1種指定候補物質に追加します。

(理由)

作業環境クラス3である「バリウム及びその化合物(溶解性)」について再調査しましたところ、製造・輸入量区分が10000トンでありましたので、第1種指定候補物質に追加します。

2

「アスベスト」を第一種指定化学物質に指定すべき。

(理由)

以下のように、今回の選定基準(案)の要件を満たしている。

  • 「発がん性クラス1」である。
  • 年間製造・輸入量が10万トン以上。
  • 環境庁やいくつかの地方自治体のデータから一般環境中で複数地点より検出されている。

4

ご指摘を踏まえて第1種指定候補物質に追加します。

3

ベンゾ[a]ピレンやメチルコラントレン等の多環芳香族炭化水素類は、発がん性物質として知られており、対象化学物質とすべきである。

1

原案どおり、対象物質とはしないことが適当と考えます。

(理由)

発がん性が知られている多環芳香族炭化水素で製造・輸入量が認められるものはなく、ご指摘のベンゾ[a]ピレン、メチルコラントレンは、事業活動に伴って付随的に生成・排出される化学物質です。このような化学物質については、排出量の推計が一般に困難であるため、技術的に対応が可能なものを対象とするとの考え方に則って検討した結果、ご指摘の2物質は対象化学物質としませんでした。

4

「塩化水素(ガス状)」は、パイロット事業では対象であったが、PRTR法では第1種指定物質から外れている。理由はなぜ。

2

今回の対象物質選定においては、「事故的な大量排出の際などでは問題となるが、通常の環境濃度レベルで問題とならない有害性については、それのみをもって物質選定のための有害性項目として用いる必要はない」との考え方に則って検討しています。その結果、塩化水素(ガス状)は、通常の環境濃度レベルで問題とならない有害性のみを有するものであることから第1種指定物質候補とはならなかったものです。

5

なぜ次の物質が第1種指定候補物質あるいは第2種指定候補物質から除外されるのか。*窒素酸化物*硫黄酸化物*煤塵*モントリオール議定書附属書に記載されている物質で今回選定されていないもの*地球温暖化物質(二酸化炭素、代替フロン等のHFC,PFC,SF6)

3

  • 窒素酸化物及び硫黄酸化物については大気汚染防止法等により実効性のある排出量把握及び総量規制がなされており、重ねて本法の対象物質とする必要はないと判断したものです。
  • ばいじんは種々の物質の混合物で、ばいじん中の化学物質(元素及び化合物)を特定することは不可能なため、PRTRやMSDSという制度にはなじまないものであります。
  • モントリオール議定書附属書に記載されている物質で今回選定されていないものは、国内での過去の累積の「製造・輸入量」が10トン未満の物質であるからです。
  • 地球温暖化物質につきましては、「地球温暖化対策推進法」において、既に排出量を把握し、抑制する体制が整備されており、重ねてこれをPRTRの対象とする必要はないことから、本法の対象とはなっていません。

6

獣医薬であるカルバドックスは発がん性が知られているが、指定されないのか。

1

原案どおり、対象物質とはしないことが適当と考えます。

(理由)

カルバドックス(CAS 6804-07-5)の発がん性については、EUにおいてクラス2と分類されているのみであるため、今回の基準では対象となりません。また、他の有害性についても、選定基準には当てはまりません。

7

「テレフタル酸ジメチル」が、PRTR対象候補物質となっているが、原物質の「テレフタル酸」は対象でないのか。

1

「テレフタル酸」は、第一種指定候補物質となっています(No.296)。

8

オーラミンは、第二種No.16「マゼンタ」と同様に日本産業衛生学会で発がん性物質の第2群Bに分類されているが、第2種には入っておらず、選定基準が不明。

1

ご指摘のオーラミン(CAS 492-80-8)は、「発がん性クラス2」に分類されますが、製造・輸入量区分が「0」であることから、対象外となっています。

9

農薬は、家庭用殺虫剤、シロアリ駆除剤等農業用だけではなく様々な分野で用いられており、仮に農薬としての数量が少なくともその他の分野での数量をあわせると選定基準の年間数量を超えることもあることから、農薬の活性成分は全て、第1種指定化学物質にすべきである。

1

今回の物質選定にあたり、農薬の有効成分の取扱量(製造・輸入量)につきましては、農薬用途だけでなくその他の用途も含めた数量を把握しています。したがって、ご指摘の点は既に考慮された上で農薬の選定が行われているところです。

10

農薬などに含まれる溶剤、界面活性剤、警戒剤,共力剤、その他の添加剤についても有害なものは第一種指定化学物質とすべき。(特に、オクタクロロジプロピルエーテル)

1

ご指摘のような物質についても、今回の選定基準に当てはまるものであれば選定されるものであります。

オクタクロロジプロピルエーテルにつきましては、基準に該当する有害性を示すデータが確認できないため選定されていません。

11

放射性同位元素である天然ウラン、ヨウ素131も対象化学物質に加えるべき。

1

放射性物質につきましては、その有害性と取り扱いの特殊性から、原子力基本法等で一般的な化学物質とは別に特別な管理がなされているところであり、本法の第2条において、「この法律において「化学物質」とは、元素及び化合物(それぞれ放射性物質を除く。)をいう。」として除外されています。

6.その他

No

意見の概要

件数

意見に対する考え方・対応

1

制度当初として、多くの物質を対象とされたことは高く評価する。今後も必要に応じて、増やすことを求める。

1

今回、PRTR制度の対象となる物質を初めて指定するにあたり、現在得られている科学的知見に基づいた種々の専門家による検討の結果、一定以上の有害性と相当広範な地域の環境での継続的な存在が認められる第一種指定候補物質を354、一定以上の有害性と相当広範な地域の環境での継続的な存在が見込まれる第二種指定候補物質を81選定したところです。

これら指定候補物質については、科学的知見の充実状況やPRTR制度の運用により得られた排出量データ等に応じ、今後定期的に見直すことが適当と考えます。

具体的な見直しの方法については、今後検討すべきと考えます。

2

対象化学物質について、パイロット事業の対象物質と比較して大幅に増えていることは評価できる。

1

3

指定物質数を米国並の600にしてもらいたい。

1

4

「物質選定の具体的な考え方」の案の最後の部分の「状況に応じて定期的に見直すべき」との考えには、大いに賛成であるが、具体的な方策が全くふれられていない。早急な検討を望む。

2

5

見直しの際には、物質数を増やすべき。

1

6

現在問題とされている物やグレイゾーンにある物質があることから、対象にすべき物質の検討を早急に行い、今後の適切な見直し(時期・基準・数)を検討すべき。

2

7

第1種指定化学物質リストについて、農薬系、農薬系以外、無機化合物に大分類した上で、アイウエオ順等にして検索しやすいようにしてほしい。

2

本法の対象物質が政令によって指定された後には、関係者が物質の検索をしやすいような工夫をする必要があると考えます。

8

労働省のほうでも別途MSDSの物質指定を行うと聞いているが、PRTR法のもとで決められるMSDS交付義務とダブルスタンダードとなる。それでは、法の目的である「事業者の自主管理の促進」をそこなわなうおそれがあるように思われる。省庁縦割の弊害はなくし、交付義務を課せられる物質は1本化すべき。

1

労働省では労働衛生の観点からMSDS対象物質を定めるものであり、本法では、事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止する観点からMSDS対象物質を定めるものです。

結果としてMSDSが重複する物質が出てくることになりますが、事業者に過度の負担とならないよう、MSDSの交付等の際に同じ様な内容のものを各法ごとに別々に提供しなければならないような対応は避けることが適当と考えます。

9

労安法で指定されているMSDS通知対象物質名とPRTR法の指定化学物質名とを統一し、同一化学物質が二つの名称にならないようにしてほしい。

1

同一物質については、できる限り名称の整合性をとることが適当と考えます。

10

環境庁、日化協で行っているパイロット事業に加えて、本法によるPRTRが始まれば、3本立てとなる。混乱を避けるため、化学物質を一致させてほしい。

1

現在、環境庁で行っているパイロット調査は、PRTR制度の本格導入に向けた試験的な調査であり、法に基づいて本格的にPRTR制度が導入される平成13年度からは、PRTRの対象は法に基づいて政令指定された化学物質のみとなります。

なお、日化協が行っているものは業界が独自に行っているもので、コメントできません。


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