97/12/25 第1回生活環境審議会水道部会水質管理専門委員会 第1回生活環境審議会水道部会水質管理専門委員会議事録 日時:平成9年12月25日(木)10時〜12時 場所:通産省別館共用第905会議室 ○事務局  それでは定刻となりましたので、水質管理専門委員会を開催させていただきます。 本日は御多忙中にもかかわらず、水質管理専門委員会に御出席いただきまして、委員の 皆様には厚く御礼申し上げます。 委員総数は16名でございますが、本日は13名の方が御出席予定となっております。相澤 委員と渡邉委員が遅れておりますが、いずれお見えになるかと思います。 本日は第1回の専門委員会でございますので、僭越ながら私の方から委員の先生方を御 紹介させていただきます。 農業環境技術研究所の上路委員でいらっしゃいます。 国立感染症研究所の遠藤委員でいらっしゃいます。 国立環境研究所の大井委員でいらっしゃいます。 東京大学の大垣委員でいらっしゃいます。 大阪市水道局の梶野委員でいらっしゃいます。 愛知県衛生研究所の河村委員でいらっしゃいます。 国立医薬品食品衛生研究所の黒川委員でいらっしゃいます。 国立公衆衛生院の国包委員でいらっしゃいます。 麻布大学の平田委員でいらっしゃいます。 北海道大学の真柄委員でいらっしゃいます。 東京都水道局の松澤委員でいらっしゃいます。 国立感染症研究所の渡邉委員でいらっしゃいます。 続いて、事務局の方を紹介させていただきます。 水道環境部長の浜田でございます。 水道整備課長の岡澤でございます。 水道整備課補佐の橋詰でございます。 水道整備課補佐の井上でございます。 私松澤と申します。よろしくお願いいたします。 本専門委員会につきましては、生活環境審議会水道部会の藤田部会長と相談いたしまし て座長を黒川委員にお願いすることにいたしております。それでは、黒川座長よろしく お願いいたします。 ○黒川座長  今お話のとおり座長を仰せつかりました黒川でございます。僭越ながら座長をやらせ ていただきます。よろしくお願いいたします。 それでは、本日の生活環境審議会水道部会水質管理専門委員会を始めさせていただきま す。 まず、水道環境部長の浜田部長からごあいさつをお願いいたします。 ○浜田水道環境部長  本日は年末のお忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。水質 専門委員会としていろいろ御議論いただいてきた委員会を改めまして水道部会に水質管 理専門委員会ということで設置していただくことになりました。その委員を快くお引き 受けいただきまして、誠にありがとうございます。併せて御礼を申し上げます。 今日はその第1回ということでもございますので、私の方から少しごあいさつをさせて いただきたいと思います。 先生方も重々御承知のとおりでございますけれども、水道の水質問題につきましては、 さまざまな課題を抱えながらここまでやってまいりました。平成4年にはそれまでの課 題を見つめまして、当時の水質専門委員会で大変な御議論をいただいた上で、水道法に 基づきます水質基準の大幅な改定をさせていただいたところでございます。ただ、その 後もさまざまな動き、特に社会的に水道水質に対する関心を寄せていただくような問題 も出てきております。 最も私ども対応に追われましたのが、一昨年になりますけれども、クリプトスポリジウ ムによる水道水を経由した感染症の発生というような全く経験もしなかった事態でござ います。それ以外にも、後ほどまた詳しく申し上げますけれども、例えばWHOを中心にい たしまして、新しい化学物質、あるいは病原性物質について世界的にも議論が進んでお る状況でございます。 こうした動きに我が国も的確に対応していくことによりまして、水道水に対する安全性 の確保に万全を期していくということが国民の水道への信頼を高めることにつながると いうことで、この水質管理専門委員会で昨今の情勢を踏まえましたさまざまな検討課題 を御審議いただき、私どもの政策に反映させていただきたいということでございます。 従いまして、非常に御審議いただく内容は多岐にわたる訳でございます。当面、いろい ろな新しく話題になっております物質や、病原性微生物につきましてどう対応していっ たらいいかというようなことを御議論いただきますとともに、やはり水質問題につきま しては基準を定めるだけではなくて、その基準をいかに各事業体で適切に守っていただ くような管理をしていただくかということが極めて大事であるということが、先ほど申 し上げましたクリプトスポリジウム事件などを経験しまして改めて思い起こした次第で ございます。従いまして、こうした水質管理の在り方などにつきましても、幅広い御議 論をいただければというふうに思っている次第でございます。 何かとお忙しい中だと思いますけれども、こうした趣旨でこの専門委員会での御議論を お願いしたいと考えておりますので、どうかよろしくお願い申し上げまして、私の冒頭 のごあいさつとさせていただきます。 ○黒川座長  どうもありがとうございました。それでは、議事の前にこの委員会の公開について事 務局から御説明があるようですので、よろしくお願いします。 ○事務局  生活環境審議会の決議によりまして、平成9年4月より専門委員会の会議の公開等に つきましては、「原則として発言者氏名を記した議事録を公開する」ということになっ ております。「ただし、個人の秘密及び企業の知的所有権等が開示され、特定の者に不 当な利益、又は不利益をもたらすおそれその他非公開とすることについて正当な理由が あると認められる部分については、座長の決するところにより、当該部分は非公開とす る。」このように取り決められているところでございます。本日配布いたしております WHOのワーキンググループのレポート及びそれを1枚にまとめた日本語の資料につきまし ては、WHOのレポートが"Distribution Limited"とされていることから、非公開としてい ただきたいと思います。 ○黒川座長  今の事務局の説明にありましたとおり、WHOワーキンググループの資料につい ては非公開とすることにいたしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします では、次に配布資料の確認をお願いいたします。 ○事務局  1枚目が本日の議事次第でございます。 1枚めくっていただいて委員名簿がございます。 右肩上に資料番号が付したものが資料1〜資料5とございます。資料5の後に先ほど非 公開ということでお願いいたしました横のものでございますが、「WHO飲料水水質ガイド ラインの改訂に係る物質について」という資料、これを非公開といたしたいと思います 更に1枚めくっていただきまして、参考1、参考2とございます。この下に、左肩上に データ編と書いてございますが、「水道水質基準の各項目の検出状況」とございます。 それから一番下でございますが、WHOのワーキンググループのレポートでございます。こ れの右上に"Distribution Limited"とされているところでございます。 ○黒川座長  よろしいでしょうか。それでは、議事に入りたいと思います。まずはこの専門委員会 の今後の進め方についてという議事でございますので、御説明お願いいたします。 ○事務局  お手元の資料1に沿いまして、御説明申し上げます。資料1のタイトルは「水質管理 専門委員会の基本的進め方について」というものでございます。  まず「水質管理専門委員会における審議の対象」でございますが、水質管理専門委員 会では皆様の任期期間中2年間におきまして、水道に関する水質管理方策を専門的、科 学的見地から審議していただきたいと考えております。具体的には、水道水質基準の設 定に関する事項、水道における水質管理方策、その他必要な事項ということでございま す。また、専門委員会の審議の結果は水道部会に報告いただき、厚生省におきまして、 水道水質基準の改正などの所要の措置を講じたいと考えております。 更に、厚生省が行ってまいります水道の水質管理の施策に関しまして、随時新たな知見 等に基づきまして、御助言いただきたいと考えております。 以上が審議の大まかな対象でございます。2番目の「当面の検討事項」でございますが 水道水質基準の設定に関する事項でございます。 当面の検討事項は、水道水質基準及び監視項目の見直しでございます。この見直しは主 としてWHOにおける飲料水水質ガイドライン改訂の動向に対応するものでございますが 併せまして、現況の水質データに基づきまして、現在の水質基準の項目、あるいは監視 項目に関しまして所要の検討をいただきたいと思っております。 その検討の対象となります物質でございますが、これはイ〜ハにございますものでござ います。まずWHOの飲料水水質ガイドライン改訂関係の物質でございます。これは後ほど WHOの資料に基づきまして御説明いたしたいと思います。それから、現在監視項目に掲げ られている物質でございます。これにつきましては、資料4で後ほど御説明いたしたい と思います。更にゴルフ場使用農薬につきましても、資料5で後ほど御説明いたしたい と思います。これら3つのグループの物質につきまして検討をいただきたいということ でございます。 この見直しに当たりまして、平成4年度に水質専門委員会におきまして水道水質基準及 び監視項目を設定いただきましたときに基礎としました考え方につきまして必要なレビ ューを行っていただき、今回の見直しを進めていただきたいと思います。平成4年度の 基準の考え方は資料3の方で後ほど御説明して、レビューをお願いしたいと思います。 それから1枚めくっていただきまして、具体的な検討の進め方でございますが、WHOの飲 料水水質ガイドライン改訂作業の検討結果をレビューしていただくというのがまず第1 でございます。更に現行の項目につきましては、我が国の水質状況を踏まえながらデー タが集積されているものにつきましては、出来ますれば来年の3月末を目途に、更に データの集積が必要ということになったものにつきましては来年の秋を目途に取りまと めをお願いしたいと考えてございます。この辺りのスケジュールにつきましては資料2 にございますので後ほどご説明いたします。 ここに書いてございますように、大まかな進め方としましては、まず水質データの確認 をいただき、更に毒性などのデータのレビューをしていただき、水道水質基準にするか あるいは監視項目として追加するか、こういった検討をまずしていただく。それから具 体的な基準値、あるいは指針値の案を設定していただきたいと考えております。更に水 質試験方法について定めていただき、その他必要なことがございましたら、基準の運用 について留意事項を御指摘いただきたいと考えてございます。以上が当面御審議をいた だきたい事項でございます。 それから3番目でございますが、「水質管理方策の審議の進め方」です。この水質管理 方策の審議の進め方につきましては、当面の検討事項の水道水質基準の見直しの検討の 後に、水質管理方策に関して審議をお願いするということでございます。出来ましたら 来年度4月以降順次この審議にも入っていただきたいと考えております。 具体的には、原水の管理、例えば、原水の水質の試験といったものを念頭に置いており ます。特に取水停止の考え方、場合によっては取水停止の水質に関する基準ですとか、 そういったことを審議していただきたいと考えております。それから、水質検査の頻度 の考え方でございます。現在は毎日、あるいは月1回といった形で定められております が、この頻度について科学的に整理していただきたいと考えてございます。更に、水質 基準に適合する水を常時供給出来るような衛生上の措置。現在は主として消毒に関して 定められておりますが、これについて更に加えるものがあればそれらを審議していただ きたいと考えております。その他必要な事項を検討していただきたいということでござ います。 以上が主な審議をお願いしたい事項でございます。 4番にございますように、その他についてもお願いしたいと考えているものがございま す。 それは当面の水道水質基準などの見直しの対象とはならない物質などでございますが、 存在状況の監視ですとか、あるいは調査研究、更には対策の実施といったものが必要と 考えられるものに関しまして、専門的見地から厚生省の対応方針などについて審議いた だいて、助言をお願いしたいということを考えている次第でございます。 ○事務局  続きまして、当面の検討スケジュールということで、資料2をごらんいただきたいと 思います。当面のスケジュールとして4つに分けておりまして、1)WHOの動向、2)水質専 門委員会のスケジュール、3)水道における未規制化学物質等調査研究班。この調査研究 班につきましては、本年の8月に研究班を設置いたしまして、WHOで改訂の議論がなされ ている項目につきまして研究に着手しているものでございます。それから、4)未規制物 質基準化検討調査。これは今、申し上げましたWHOの議論になっている項目を中心に我が 国の水道水源における存在状況等を調査するというものでございます。 まずWHOの動向でございますが、来年の2月に化学物質の追補の公表予定がございます 更には3月に病原性微生物の専門家会合が開催される予定となっております。 次に当専門委員会のスケジュールでございます。次回の専門委員会につきましては、2月 上旬ごろを予定しております。この中では、未規制化学物質の現況データ及び毒性の評 価といったものについて御検討いただくということを考えております。更には、基準項 目、監視項目の追加の検討ということをお願いしたいと考えております。2月の下旬には もう一度専門員会を予定してございまして、基準値の案、指針値の案の設定、更には試 験方法の検討をお願いしたいというふうに考えております。そして3月の上旬から中旬ご ろには取りまとめをお願いしたい。下旬には水道部会への報告、そして4月以降に水道水 質基準の改正等といった流れで進めてまいりたいと考えております。 それから3)の水道における未規制化学物質の調査研究班でございますが、11月には各検 討班の検討状況の整理をいたしまして、2月に現況データの整理、毒性評価の整理。更に は2月の中旬、試験方法の整理。そして3月に全体的な取りまとめを行うという予定でご ざいます。 それから未規制物質基準化検討調査の方でございますが、11月には現況データの整理、 3月には最終的な取りまとめというスケジュールを考えてございます。 以上でございます。 ○黒川座長  それでは今、御説明ございましたけれども、何か御意見、御質問等ございましたらど うぞ。資料2で御説明になった3)の水道における未規制化学物質等調査研究班というの はたしか眞柄委員が主任研究官として検討しているかと思いますが、どういう内容かご 説明願えませんでしょうか。 ○由田水道水質管理官  それは眞柄委員から御説明していただいた方がいいかもしれませんが、内容は、WHOに おいて改訂の対象とされている物質を中心として、水道の原水及び浄水における検出状 況の把握、処理技術の現況を調査していただき、解析を行っていただくということと、 それに加えまして、これは黒川座長の方にも少し御尽力いただいておるものであります が、毒性のレビューということもこの中で含めてやっていただいております。また、試 験方法などについてもどのような方法をとるべきかということもこの研究班の中で整理 していただこうと思っております。以上でございます。 ○黒川座長  それから4)の厚生省調査というのはそちらの水質管理室の方でおやりになるというこ とでありますね。 ○由田水道水質管理官  これは実は日本水道協会の方にお願いしておりまして、現況のデータ収集を併せてや ってございます。この4)のところも3)の中に組み込まれまして、全体としてデータが整 理出来るのではないかというふうに考えております。 ○黒川座長  いかがでしょうか。質問がないようでございますれば、次の水道水質基準の改訂等と いうことで、資料3に基づいて御説明をお願いします。 ○事務局  お手元の資料3「水道水質基準及び監視項目の設定に関する基本的考え方」という資料 について御説明いたします。 今回の水道水質基準の見直しに関しましては、この基本的考え方に沿いましてお願いし たいと考えているところでございまして、これについてレビューをお願いしたいという ものでございます。平成4年12月に水道水質基準は46項目に拡充され、また監視項目が設 定されたところでございますが、その際に水質専門委員会において議論された水道水質 基準及び監視項目の設定に関する基本的な考え方は次のとおりでございます。 まず1番目でございますが、「項目選定の考え方」でございます。「検討対象項目の範 囲」でありますが、1つはWHO飲料水水質ガイドライン、更に米国安全飲料水法、これら における項目を基礎としまして、まず項目リストをつくる。なお、農薬につきましては 我が国における農薬の利用状況を別途考慮するということになっておりました。 (2)の「基準項目と監視項目の選定」でございますが、作りましたリストを基に水道での 検出状況、用途、使用量などから候補となるべき項目を選定しております。更に、毒性 情報から得られる評価値の1けた下の値を超えて検出されているものの中から、総合的 に判断して重要と考えられるものを基準項目、基準項目に準ずると判断されるものであ ってモニタリングが必要だと考えられるものを監視項目として選定しております。 何を基準項目にし、何を監視項目と選定するかという具体的考え方でございますが、こ れが下の方に書いてございます。まず「基準項目」でありますが、基準値に近いレベル となる蓋然性が高いものを選定するということで、最大値データが評価値の50%を超え ていることと、かつ検出率が数%のレベルに達していると。こういうものについて基準 項目に入れるということでございます。 更に2枚目でございますが、「監視項目」でございますけれども、監視項目については今 後の動向を把握するというもので、評価値に近くなる可能性が乏しいと考えられるもの を除いて幅広く選定してございます。具体的には、最大値データが評価値の数%レベル 以上であって、かつ検出率が数%レベル以上というものについて監視項目に入れてござ います。それぞれ基準項目、あるいは監視項目というふうに項目分けしたものについて 次は基準値を設定するということになりますが、その考え方が2番にございます。 まず発がん性の有無の評価ということをしております。これはIARCの発がん性評価を基 にしまして、その分類に従って発がん性がある、あるいはその可能性が高いという1、 2AのものについてI類という分類。それから、多分可能性があるという2Bのものにつ いてI類、あるいはII類という形で分類しております。このうち、非遺伝毒性と判断する ことが妥当な場合にII類という形にしているところでございます。それから、発がん性 では分類出来ない3につきましては、II類またはIII類と分類しております。発がん考慮 の必要性が高いというものについてはII類を適用する。発がん性がない可能性が高い4 のものについてはIII類という形で、I類からIII類にまず発がん性の観点から分類してご ざいます。 3ページ目でございますが、そのように分類したものについて基準値の設定をここに書 いてあるように行ってございます。 まずI類。これは発がん性がある、高いものでございますが、これについては水からの摂 取について生涯を通じたリスク増分を10−5以内とすることを基本とするということ で、これについてはこの考え方で基準値を設定しています。 それから、III類については通常のADIの考え方による値の設定をいたしております。ADI の10%以内に水からの摂取量を抑えるということで基準値を決めていただいております II類でございますが、ADIの考え方において発がん性のおそれを考慮して値を設定すると いうことで、III類でとられた算出法により算出されたレベルの更に10分の1を基本とす るというような考え方で具体的な基準値を設定しているところでございます。 更に、「分析技術から見た検討」を加えていただきまして、定量可能なレベルでない場 合には基準化ではなく一定の技術的手法によりその確保を図る方法を検討するというよ うに整理されてございます。 また、「処理技術から見た検討」もしていただいております。処理などの技術について 必要な検討をなされなければならないという考え方でございます。 更に「監視のあり方」について検討をいただいております。 それから「基準値の性格」でございますが、慢性的な影響を基に設定されたものについ ては一定期間の平均値により評価する。急性的な影響を基にして設定されたものについ ては最大値で評価する。それぞれそういうことを基本として基準値の性格づけをいただ いております。 一番最後の4ページ目でございますが、ただいま御説明申し上げたものをフローにいたし ております。最初にリストから項目をつくり、検出状況に基づいて、あるいはその用途 ですとか、使用量に基づき重要なものをピックアップしていく。それから毒性評価でI類 からIII類に分類して値を算出する。それぞれ基準項目、監視項目について更に分析、あ るいは処理技術の観点から検討をいただいて、最終的に基準値等の設定というところに 至るわけでございます。 以上でございます。 ○黒川座長  ありがとうございました。5年前で、私も毒性情報評価だけでございますけれども委員 として少しお手伝いした覚えがあります。あのとき眞柄委員もずっとやっておられたわ けですが、何か補足ございますか。 ○眞柄委員  今、御説明があったとおりでありますが、1点付け加えますと、いわゆる一般細菌と大 腸菌群数についてはこのときはそれほど深く検討しなかったということが1つ。 もう一つは、水銀とカドミウムが代表だと思いますけれども、以前からあった水質基準 値を出来るだけ尊重して検討したということがあったと思います。その2点が追加的に申 し上げることだと思います。 ○黒川座長  これは今後の最もベースになるところなもので、皆さん納得していただいてこれから 先へ行くということなので、少し時間を取ってもよろしいかと思いますが、どうでしょ うか。 言葉の問題ですけれども、2、発がん性の有無の評価において、あの当時ですと2Bに ついては非遺伝毒性と判断するのが妥当な場合と書いてありますけれども、このごろ、 例えば農薬などでは非遺伝毒性、いわゆるノンジェノトキシックと称して発がん性が見 られるという物質が非常にたくさん出ております。このため、最近は、非遺伝子障害性 という言葉を使っておりますのでその方がよろしいかと思います。別に学会との整合性 という訳ではありませんけれども、行政的にも同じ用語を用いることで同じことを言っ ているということがはっきりする方がでよろしいかと思うのですが。 ○梶野委員  3ページ「基準値の性格」のところで、慢性的なものを平均値で、急性的なものを最 大値でと、これを基本とするということで基本なのですけれども、例外に扱う場合の考 え方としては何かあったのでしょうか。例えばトリハロメタンを慢性的なものと見た場 合に、これは平均値で扱うのではないかと思うのですが、現在は最大値になっています が。 ○眞柄委員  基準値の性格とすれば、基本的には最大値が基準ですから、基準を達成しているか達 成していないかという判断は慢性毒性を考慮したものでも、急性毒性を考慮したもので あってもそれは最大値だろうというふうには言えると思います。  ただ、国民の方が自分のところの水道水で、例えばトリハロが超えていたときに、こ の状況が健康影響を憂慮しなければならないかどうかというときの説明ぶりとしては、 これは慢性影響による障害であるから平均値による評価がいいのではないかというよう な表現ぶりがこの基準値の性格ということに書いてあって、基準値の運用の話とは別だ と思います。基準値の運用はあくまでも水道法の4条で定める水質基準ですから、その 基準値を超えないように施設を整備したり、施設の維持管理をしなければならないとい うのが基準値ですけれども、性格としてはこういうものだというふうに理解していただ ければよろしいのではないかと思います。 付言すれば、平均値で超えているようなことがあったら、それはまさにゆゆしきことだ ということになるということです。 ○岡澤水道整備課長  水質基準は最大値を超えてはならないという基準があるのですけれども、それとは別 に給水停止の基準というものがございまして、これは水質基準を超えたらすぐに給水停 止をするということではなくて、人の健康に影響を及ぼすおそれがある場合に給水停止 をしろということで、水質基準を超えるということと、人の健康に影響を及ぼすおそれ がある場合ということを法律上一応使い分けているのです。ですから、水質基準は超え てはならないという値で定めるけれども、運用上、人の健康に影響を及ぼすかどうかは 平均値で判断するということではないかと思います。 ○黒川座長  3ページの(2)のI類、II類、III類というところですけれども、I類に関して私の記憶 ですと、−5乗リスクか、−6乗リスクかという議論をやり、−5乗以内という数字で基 準値を設定しましたが、当時の専門委員会としては最終的にはこういう表現は用いてい なかったのではないでしょうか。 ○由田水道水質管理官  報告書の中にはこの文言が書かれておりませんが、当時の議論の資料にこれでいこう ということで使われたものであります。 ○黒川座長  −5乗でやっているということを今回公開するわけですが、今まで知られているのかも しれませんけれども、あの当時は公開を前提としてはいなかったのではないでしょうか ○眞柄委員  あのときは安全性を十分考慮してという文言であったかと思います。 ○黒川座長  そういう記憶があるので少しお聞きしたいのですけれども、今回は−5乗ということを 明らかにしていくということになりますでしょうか。 ○由田水道水質管理官  報告書の中での書きぶりというのはまさに今、眞柄委員がおっしゃられたような文言 で書いてございます。ただ、当時の委員会の中でこの考え方で行きましょうということ で確認された資料ということで提示させていただいております。したがって、当時の扱 いは実は公式には公表されておりません。結果として、先ほど眞柄委員のおっしゃった 文言が外へ出るという形になっておりますが、いろいろな方面でこのリスクの考え方と いうのは既にあらかた知られているのではないかという情勢にあるのではなかろうか。 さすればこの考え方はきちんと公表してまいりたいと思うわけでございます。 もう一つは、なぜこういう数字にしたのかということのプロセスの透明化ということが 求められております。これからまた修正が若干あることになるのですが、現段階でこれ を基本に考えたというふうなことで出させていただいた方がいいのかなという判断をし ております。そこのところにつきましては先生方の御判断もあろうかと思います。 ○黒川座長  私どもはこういうことばかりやっておるのですけれども、5年前ですと少し抵抗がある 数字で、10万人に1人というのはその1人の命が云々などという議論もあった訳ですけれ ども、だんだん国際的にも定着といいますか、日本でも受け入れられそうだと思ってこ うお書きになったのだと私は理解しております。こういうことでよろしいでしょうか。 それから、II類についてですが、発がんのおそれの観点からファクターを見込みレベル の10分の1というのはもう1つ10を掛けろということですね。 ○事務局  もう一けた下に下ろすということです。 ○黒川座長  普通は御存じのとおりADI100で割って、もう一つ下げていくということですね。 不確実係数というのはいわく言い難いところがありまして、もろもろの物質の生産量が 非常に多いといった場合にやるし、こんなところでよろしいですかね。 ○国包委員  同じページの今、御指摘があった後の(3)の項目ですが、「分析技術から見た検討」の ところなのですけれども、3行の前半の部分は内容が分かるのですが、後半の部分につい ては具体性に欠けるものですから、私のような前回の議論に関与していなかった者にと ってはどういうことであったのかというのがよく分からないのですが、もし可能であれ ばお差し支えのない範囲で説明いただければと思いますが。 ○眞柄委員  ここは「定量可能なレベルでない場合には、水質としての基準化ではなく」の後に句 読点が入るのだと思うのです。「必要な場合には、一定の技術的手法によりその確保を 図る方法等」というのがよく分からないということだと思いますが、もっと分かりやす く言えば、基準値として想定される数値が定量限界以下だった場合には基準値は定量限 界まで上げ、定量可能なレベルであることを確保するという意味だと思います。 ○国包委員  分かりました。 ○黒川座長  これまでの委員の指摘を踏まえて、もう少し文言直す必要があれば、私がさっき指摘 した非遺伝子障害性というのもありますが、もう一度次回のときに訂正の上配布いただ けるようお願いいたします。 ○河村委員  同じく(3)の「分析技術から見た検討」のところなのですが、実用可能な分析技術とい うのは、例えば、現在分析が最高レベルで行われるということを考慮しているのか、い わゆる分析項目によっては何種類か載っているのがありましたね。そうすると、例えば 金属などですと非常に高感度に分析出来る機械も、非常に価格が高いものである訳です ここら実用可能な分析技術というのはどういうものを想定して書いておられるのでしょ うか。 ○眞柄委員  覚えている範囲で申し上げますけれども、今、河村委員がおっしゃられたように実用 可能というところは随分議論がありました。それで、かつてトリハロメタンの数値を通 知で示すときに、ガスクロマトグラフ分析計が実用可能であるかないかということが随 分議論になったことがありまして、それと同じように、今、河村委員がおっしゃったよ うに農薬ですとか、あるいは金属関係について誘導結合プラズマ発光分光分析機器(以 下「ICP」)を入れるとか、ガスクロマトグラフ質量分析計(以下「GCマス」)を入れる とかというのが実用可能であるかどうかということが議論になりました。 結論的に言えば、GCマス、ICPは実用可能な分析技術であるという専門委員会の御判断が あったわけでございます。そういう意味では実用可能なというところが基準を設定する 時点で本当に実用可能かどうかは別ですけれども、この基準が決まって施行の段階には 実用可能になるだろうというようなところまで踏み込んで判断がされたというふうに私 自身は理解をしております。 ただ、ここでポイントとすれば、GCマスなりICPを導入することによって、先回の水質基 準の改正では項目数が増えた訳ですが、同時一斉分析が可能になるということで、コス トの低減が図れるということも議論になって実用可能な範囲が、いうなれば広がったと いう経緯があったかと思います。 ○河村委員  そうしますと、例えばICPという分析方法がある訳ですけれども、そのほかに同じ項目 を測るのにもっと非常に安い機械で測る方法も併記されておるわけですね。 ○眞柄委員  試験方法としては併記してありますし、試験法で併記していない方法でも同等の精度 を有する方法というのがなお書きで入っております。そういうこともありましたので、 先回の水質基準改正の段階で試験検査機関の精度管理の制度を導入することによって、 ある意味では各試験検査機関での技術、財政的な水準というものの範囲で適宜選べるよ うに一応したというふうに理解はしておりますが。 ○河村委員  ただ、機械を整備するときに非常に高い機械というのはなかなか買えないのです。 安い機械で測れるのであればそれでやれということになってしまう可能性があるもので すから。 ○黒川座長  よろしいでしょうか。それでは先へ進ませていただきます。資料4に基づいて、現行の 水道水質に関する基準ということで御説明をお願いいたします。 ○事務局  資料4について御説明いたします。  既に御案内のとおりでございますが、現行の水道水質に関する基準につきましては、 まず健康に関連する項目29項目、更に水道水が有すべき性状に関連する項目として17項 目がございます。これらに加えまして、水質基準を補完する項目として快適水質項目13 項目及び監視項目26項目が設けられてございます。 2枚目にそれぞれ水質基準の項目について項目名と基準値が示してございます。 更に3枚目でございますが、快適水質項目と監視項目について同じように示してございま す。4枚目でございますが、水質の現況について御説明いたします。ただいま私どもには 平成6年〜平成8年度3か年分の水質基準などに係るデータが集積されているところでござ います。 このうち平成8年度の結果については現在まだ一部について精査を行っておりますので仮 集計というものを御報告させていただいております。 まず健康関連項目の状況でございます。これはすべての項目においてほとんど達成して いる状況にございますが、一般細菌、大腸菌群、ヒ素、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素、 これらについては超過率が0.1%を超えているものでございます。 性状関連項目でございますが、これについてもすべての項目においてほとんど達成して ございます。ただし色度、マンガン、鉄、pH、濁度、蒸発残留物、有機物等、これらに つきましては超過率が0.1%を超えるという状況でございます。 これらの超過状況の経年的状況でございますが、超過状況につきましては悪化する傾向 にはございません。そのほか各項目の検出状況について概況をまとめてみますと次のと おりでございます。 ここに書いてございます水質項目については全体の99%以上が基準値の10%以下の濃度 となっております。これは監視項目に該当するようなレベルでございます。更に次の水 質項目は基準値の50%を超えるものが全体の1%以上となっているものでございます。こ れは先ほどの考え方によると、基準項目に位置づけるべきものというものでございます 5枚目以降に、ただいま説明いたしました事項について数字でそれぞれ示してございます 例えば5ページ目表3でございますが、これは平成6年〜8年度3か年分をまとめて超過施 設数、あるいは超過率というものを掲載してございます。以下6ページが性状関連項目に ついての超過状況でございます。 7ページが健康に関連する項目について平成6年度〜8年度それぞれの別に超過状況を示し たものでございます。これを見ていただくと、超過状況が悪化するという傾向にはござ いません。 それから8ページでございますが、これは同じく性状関連項目について6年度〜8年度それ ぞれの超過状況を見たものでございます。 9ページでございますが、これらの主な超過原因と、どのような対応がとられているかで ございますが、おおむね超過原因が判明し、それぞれ対策がとられているというところ でございます。まず一般細菌、大腸菌群に関しましては、採水ミスですとか、滅菌機の 整備不良というようなことが原因となり、基準値を超えるという結果が出ていたという ことでございますが、それぞれ正しく行った後には基準値内となっています。 ヒ素につきましては、地質の影響により超過しており、これらについては水源の変更な どによって対応がなされているところでございます。 硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素につきましては、原水水質の悪化ということが原因であり 水源の変更などにより対応がなされているということでございます。 以下、性状関連項目についてそれぞれここに書いてございますように超過原因があり、 それに対応した対策がとられているということでございます。 続きまして、10ページに入らさせていただきます。今度は監視項目についてのデータで ございます。監視項目につきましては、浄水、原水においてデータを取っているところ でございますが、まず浄水においての検出状況でございます。 浄水において水質基準項目として入れるかどうかを検討すべき考え方としましては、先 ほどの資料にございますように、最大値が指針値の50%を超え、かつ検出率が数%のレ ベルというものがございますが、これに該当するものをこの1枚目の中段に表として掲げ てございます。3年間を通じてこういった検出レベルになっているものはニッケル、アン チモン、ほう素、ジクロロ酢酸、ホルムアルデヒド、抱水クロラールでございます。そ の内訳について年度ごとに6年度〜8年度まで3か年分及びそれぞれの単年度ごとにこう した検出レベルにあるものについて中身を書いてございます。6年〜8年まで共通して出 ているものがニッケル、アンチモン、ほう素、ジクロロ酢酸、ホルムアルデヒド、抱水 クロラールでございます。 それから同じように原水において同様の整理をいたしましたのが下にある表でございま す。3年間を通じてこうしたレベルに達しているものについては、ニッケル、アンチモン ほう素、ジクロロ酢酸でございます。 次の11ページでございますが、以上の結果から、基準項目とすべきかどうか検討する必 要のある項目としましては、ニッケル、アンチモン、ほう素、ジクロロ酢酸、抱水クロ ラール、ホルムアルデヒド、これらを基本として検討をいただきたいと私どもとしては 考えてございます。 それから更に指針値を超過しているなど、検出濃度が高くなっている物質について御紹 介いたします。これらについては検出率は高くございませんが、一部指針値を超過して いるというものでございます。これは農薬でございますが、ここに書いてございますよ うに、イソキサチオンなど超過しているものが見られたということでございます。 超過の原因と対策でございますが、ほう素については地質の影響、温泉水の影響、ある いは海水淡水化の場合に高くなっているというのが原因でございます。またアンチモン でございますが、これについては工場排水、あるいはアンチモン廃坑というものが原因 になっています。 それからニッケルでございますが、ここに書いてございますように降雨による濁質の影 響などが原因となっております。 以上のデータについてまとめていますのが12ページ以降でございます。12ページの表が 監視項目について平成6年〜8年度3か年をトータルとして浄水について指針値に対する 検出濃度レベルを整理したものでございます。 13ページが6年度についてそれを見たものでございます。14ページが同じように平成7年 度について見ているものでございます。以下15ページが平成8年度でございます。 それから16ページ以降は今度は原水に関して平成6年〜8年度3か年分。17ページが平成 6年度分でございます。18ページが平成7年度分。19ページが平成8年度分ということでご ざいます。 最後に参考として、「水質基準に係る水質検査等について」ということで、既に委員の 皆様には御案内のとおりでございますが、水質検査につきましては水道法の第20条に基 づき、水道事業者により行うということにされておりまして、その検査のやり方、内容 につきまして参考のところに書いてございます。 2番の「水質検査の内容」にございますように、定期の水質検査というものがございまし て、ここに書いてある表のように1日1回から月1回実施を省略出来るが、最低年1回実施 という形になってございます。月1回実施の部分に3つの健康関連項目が分類されており ます。月1回実施が基本で、最低年1回に省略可能なものとして26の健康関連項目が分類 されてございます。 もう一枚めくっていただきますと、水質検査につきましては、定期の検査のほかに臨時 の水質検査というものがございます。これは水源に異常があったときなどに検査を行う というものでございます。 そのほか、法定ではございませんが、通知により水道原水の検査について水道事業者、 あるいは都道府県に実施をお願いしているところでございます。 それから3番目でございますが、水質検査、水質監視について計画的な取組みを都道府県 を中心に水道事業者と連携して取り組んでいただいているところでございます。 先ほど御説明いたしました監視項目については、大規模な水道事業者を中心とした測定 を実施していただくという形でお願いしてございます。 後ほど資料が出てきますが、ゴルフ場使用農薬についても同様にモニタリングの実施を お願いしているところでございます。 最後でございますが、水質検査結果の評価といたしまして、健康関連項目について短期 的な検査結果から評価するもの、あるいは長期的な検査結果から評価するものといった 形で大きく2つに分けまして、検査ごとの結果を基準値と照らし合わせて評価するもの あるいは検査ごとの結果を基準値と比較し、基準超過が継続するかどうか評価するもの こういう形で評価を行い、対応については取水及び給水を緊急停止するか、あるいは原 因究明して、低減化対策を実施するというような形で短期的な対応、あるいは長期的な 対応という形で分類しているところでございます。 以上でございます。 ○黒川座長  かなりぶ厚い資料でございましたけれども、よろしいですか。まずは、平成6〜8年度 において、基準を概ね達成していることを確認できるかと思います。測定施設数、例え ば5ページあたり1万5千何がしという数は、全体の何%という感じなのですか。施設数と いうのがありますが、これは全体のどれぐらいを占めるのでしょうか。これは浄水です か。 ○事務局  ほとんどすべての上水道事業の施設でございます。簡易水道については入ってござい ません。 ○眞柄委員  それから浄水というのは浄水場なのか、項目ごとによって給水栓水で測るのと両方あ りますよね。これはどちらのデータですか。 ○事務局  浄水場のもあれば、給水栓水のものもあります。 測定施設数とございますけれども、1つの施設で2か所測定ポイント設けている場合も ございますので、正確には測定地点数でありまして、地点毎の最大値について集計して おります。 ○黒川座長  施設数というより地点数という書き方が正確だということですね。 11ページの3)で基準項目として検討する必要のある項目というのを論議していただくと いう理解でよろしいでしょうか。今後これを検討する必要があると提案している訳です ね。眞柄委員、何かありますでしょうか。 ○眞柄委員  検出状況に対して基準化の考え方を適用すればそのようになるわけですが、先ほどあ りましたように未規制化学物質等調査研究班で調査しているものもありますし、今、御 紹介がありましたようにニッケル、アンチモンについては簡単に説明がありますけれど も、監視項目のままでいいのか、基準項目にしなければいけないのかというのは検討が 必要かと思います。特定の発生源等があったときにはそれなりに対応がとれればあえて 基準にする必要もないのかもしれませんし、その辺のところを次回以降事務局等で資料 を提供していただいて、委員会として検討するというのでよろしいのではないでしょう か。私も先ほどお話ししましたように、未規制化学物質等調査研究班で幾つかの項目に 関係しておりますので、場合によればその成果も御報告して御検討いただければと思い ます。 ○黒川座長  ここに6つの項目が挙げられておりますが、このほかに何か検討すべきという御意見が ございますでしょうか。 ○大井委員  前の議論になるのですが、特定の超過原因が起きやすいという意味では、簡易水道で は起きやすいと思いますが、簡易水道についてはどのように考え方を整理したらよろし いでしょうか。 ○由田水道水質管理官  今のところ簡易水道のみについて、このような形でデータが集積されておりません。 ○大井委員  十分統計的な処理が出来るデータに基づいて議論するという考え方でよろしいですか ○由田水道水質管理官  そうですね。それをベースにする以外今のところ方法はないと思うのです。 ○事務局  給水人口で申し上げますと、上水道事業は1億1,200万人ということで、大宗は上水道 で把握されるということかと思います。 ○岡澤水道整備課長  簡易水道において基準値が設けられているものについては一応年に1回測らせるように していますが、監視項目のような新しい項目について測定する対応は出来ておりません ですから、幅広く汚染の実態を調べるためには上水道の方で状況を把握して、何が必要 かというのを判断せざるを得ない。基準を決めたものについては勿論簡易水道にも適用 いたしますけれども、基本的には一般的にいって簡易水道の水源というのは、地質系の ものは強く表れる可能性がありますけれども、汚染系のものは下流に比べると上流で取 っているものが多いですから影響が少ないという特色があるということを頭に入れてお いていただいて、汚染のデータを判断していただくということが適切ではないかと思い ます。 ○由田水道水質管理官  一点ここはなかなか難しいところなのですが、いわゆる監視項目の測定に関しては都 道府県で水質管理計画を立て、大規模水道事業者を中心にして、ここは県の中でいろい ろな関係機関と協議してもらいますが、都道府県の概況が大体把握出来るような地点で 水質監視を行うようにと指導をいたしております。それに基づいて行われているもので ございますから、ほぼ全国の概況が把握できるのではないかという理解を一応しており ます。 ○渡邉委員  データの取り方で質問なのですけれども、例えば一般細菌などの場合に採水ミス、そ れで再検査した場合には基準値だったという場合に、データとしては超過施設数として 入ってくる訳ですね。例えば鉄の場合も配水管の老朽化が超過原因で再検査すると基準 値内であるというのがありますね。鉄を測った場合水をよく出した後にもう一回測った らOKだったという意味なのですか。 ○事務局  そうです。 ○渡邉委員  これも測り方のミスという意味になるのでしょうか。 ○岡澤水道整備課長  これは鉄が出たのだからデータとしてはあった訳でしょう。採水ミスというのは、そ のデータとしては本来採用されないデータということになります。 ○事務局  本来でしたら渡邉委員がおっしゃるように、これは採用しないで再度測り直すという ことが測定の正しい考え方かと思いますが、そこをそのまま御報告いただいているとい うことだろうと思います。例えば、測定する給水栓のまさに蛇口のところが汚れたまま で採水してしまったという単純なミスがあってそういう結果が出ているというのがほと んどでございます。 ○渡邉委員  そうすると、それを排除しないと汚染の実態とか水質の実態というのは分からない訳 ですよね。それを排除出来るのですか。人為的なミスによるものを排除した実態のデー タというものを示さないと示したことにならないのではないかと思います。 ○事務局  超過原因をそれぞれ個別に聞いてございますので、平成6年度は少し困難なところがあ るのですが、7年度、8年度につきましてはそういった測定ミスに分類出来るものについ ては除いて再整理することは可能でございます。 ○黒川座長  そうすると超過率はますます下がってくるということになりますね。 ○事務局  そうです。 ○河村委員  監視項目の表がたくさんあるのですが、19ページで結構ですけれども、モリブデンの 欄のところで施設数と10%以下というところ、ほかの項目はほとんど合計したものが施 設数になっている訳ですけれども、モリブデンだけ著しく差があるような気がするので すが、これは集計の仕方でこういうふうになっているのでしょうか。 ○事務局  申し訳ございません。記入に誤りがございますので整理した上で再提出させていただ きます。 ○遠藤委員  ホルムアルデヒドが浄水には必ず出ているのですが、原水には出ていないですね。 となってくると、ホルムアルデヒドが出ている原因というのはむしろ家庭とか、ビルと か、そちらの方の施設にあって、水自体が汚れているというようなこととは違うような 感じもするのですけれども、そういうものに対してどういう扱いをするのか。勿論水に 含まれていることは事実なのですが。 ○眞柄委員  ホルムアルデヒドは相澤委員が専門ですけれども、基本的には消毒の副生成物です。 ですからクロロホルムと同じようなもので、塩素処理でも出来ますし、オゾンでも出来 ますし、いわゆる酸化処理の副生成物ですので、原水にはなくても浄水の方には出来て くるということです。 ○平田委員  非常に初歩的な質問で恐縮なのですが、資料3にもう一度戻りまして、1ページと2 ページに基準値というのと評価値というものが出ておりますが、これの違いをもう一度 御説明いただけますか。 ○浜田部長  評価値と申しますのは、まだ基準値とか指針値にする前に毒性から来た数値でござい ます。基準値というのは、例えば評価値の50%を超すデータが数%あるという場合に、 では基準値にしましょうといいますと、これは基準値になります。それから指針値とい うのは、評価値の数%の値が数%程度データに出ていますよという場合に、では監視項 目にしましょうといって監視項目になりますと指針値というふうになります。そのもと の呼び方をここでは評価値というふうに整理されております。 ○平田委員  それはつまり監視項目になったときにその評価値が指針値になるという訳なのですね 分かりました。 ○国包委員  資料4に戻るのですが、監視項目ではなくて水道水が有すべき性状に関連する項目に関 してなのですけれども、臭気について何もコメントがないのです。実際問題としては臭 気で問題になっているケースが非常に多いですよね。一般の人も水道水の臭気が具合悪 いのだということでクレームも多い訳ですし、やはり臭気について現状どうであるかと いうのを厚生省はデータ持っておられる訳ですので、是非この中で書いておいてほしい 異常でないことですから、特に集計していないという、実際は異常が結構ある訳ですけ れど。 ○黒川座長  臭気のパラメーターというのはどうなのですかね。臭い、臭くないというのは主観的 といいますか、数字で出るのですか。 ○国包委員  数字では出せますけれど、ただ、そこまできちんと測っている例は限られています。 ○黒川座長  そうしますと、次回以降水質基準項目として検討するものとして先ほどの6つ、ニッ ケル、アンチモン、ほう素、ジクロロ酢酸、抱水クロラール、ホルムアルデヒドという ことを検討いたしたいと思います。そういうことでよろしいでしょうか。 それでは先に進ませていただきますが、次にゴルフ場使用農薬のことについて御説明お 願いいたします。 ○事務局  それでは資料5でございますが、「ゴルフ場使用農薬にかかる水道水の水質目標につ いて」という資料で、ゴルフ場使用農薬の項目とその目標値及び水質の現況について御 説明いたします。 まずゴルフ場使用農薬につきましては、設定の経緯がございます。平成2年に厚生省とし て最初に21項目を設定いたしまして、更に平成3年に9項目を追加し、30項目に設定した 訳でございますが、平成4年の水質基準の改正のときにこのゴルフ場使用農薬のうち水質 基準として2項目、監視項目として6項目を定め、現在は22項目がゴルフ場使用農薬と いうことで水質目標を設定しているところでございます。 この水質目標の考え方は、平成2年当時に、このような考え方で決めたものでございま す。 生涯にわたる連続的な摂取をしても人の健康に影響を生じない水準を基とし、更に安全 性を見込んで定めたものであり、万一一時的に水道水がある程度水質目標値を超える状 況があっても、直ちに健康上の影響が生じるものではなく、当該農薬の季節的な使用方 法、採水時期などの状況を把握の上、年間平均値として評価されるものである。こうい う考え方で設定しております。 モニタリングについて使用状況を把握の上、実施するということにしてございます。 1枚めくっていただきますと、この22項目について水質目標が設定されております。 また1ページ目に戻っていただきまして、検出状況でございますが、全般的状況といた しまして、水質目標を超過している幾つかの項目の数データがございますが、全般的に はほとんど検出されていないという状況でございます。原水において今のような状況で ございます。また浄水では、不検出という状況になってございます。 したがいまして、検出されている農薬すべてにおきまして監視項目を基準項目にするか どうかという場合の考え方に準じて考えてみますと、基準値として検討すべき最大値が 50%を超え、かつ検出率が数%レベルといった考え方に当てはまるものはございませ ん。 3ページ目をごらんいただきたいと思いますが、平成6年度〜8年度トータルとして原 水について最大値を整理したものでございます。ここに書いてございますように、幾つ かイソフェンホス、クロルピリホスなど検出がいささか出ているものがございますが、 いずれにせよ検出状況としては非常に低い、検出率としては非常に低いレベルになって ございます。 また1ページめくっていただきますと、4ページ浄水でございますが、不検出というこ とでございます。 以上でございます。 ○黒川座長  いかがでしょうか。 ○上路委員  私もはっきりした記憶がないのですけれども、ゴルフ場使用農薬については本年度ま た5項目ぐらい増えたと思うのですけれども、それをどう扱うか。それをもう一遍確認 していただきたいと思います。 ○事務局  委員のおっしゃられたのは、環境庁の指導指針の中でということかと思います。アセ フェート、メタラキシル、ジチオピル、トリクロピル、ピリブチカルブという5項目に ついて環境庁の方で指導指針値というものを設定いたしております。ただ、水道の方で は体系的にこれら5項目についてデータの収集を行ってございませんので、水道側とし てのデータはない状況です。今後、今のゴルフ場使用農薬と同様に新たに環境庁の指針 に加わった5項目についても監視を行っていきたいということにしたいと考えておりま す。 ○黒川座長  そうすると加えて27項目になると、それを監視項目としていく方針だということで すね。 ○事務局  ゴルフ場使用農薬ということで監視を行っていきたいということでございます。 ○黒川座長  そういう方針でいかがでしょう。よろしいかと思うのですが。それでは皆様御賛成と いうことで。 次に、WHOの飲料水ガイドライン改訂作業について御説明願います。 (以下非公開資料の説明のため当該部分につき略) ○黒川座長  ということで、これは先ほども御説明あったように非公開の資料だそうでございます 御質問ございますか。実は国立医薬品食品衛生研究所の方で毒性専門家の間でWHOの資料 の評価を始めておるところでございます。 特にないようでございますので、参考資料の説明に入ってよろしいでしょうか。 ○事務局  それでは、参考資料につきまして御説明申し上げます。お手元の参考資料1というこ とで「非イオン界面活性剤について」という資料でございます。 非イオン界面活性剤については埼玉県の飯能市において水道水の発泡という事例が発生 しております。原因は特定された工場の排水に含まれていた非イオン界面活性剤による ものでございます。この界面活性剤につきましては、現在水道水が有すべき性状に関す る項目として、泡立ちの観点から陰イオン界面活性剤について0.2mg/lと設定しており ますが、近年この界面活性剤、特に非イオン界面活性剤については陰イオン界面活性剤 の伸びと同様に伸びてまいりまして、その量も陰イオン界面活性剤と同様程度の量まで 増加してきているということから、非イオン界面活性剤についても発泡の観点からの検 討が必要だろうということで検討を開始しているところでございます。この検討につき ましては、先ほど申し上げました水道における未規制化学物質調査研究班において研究 を実施していただいているところでございます。 なお、前段申し上げました埼玉県の事例でございますが、発生源である工場排水につき まして行政指導が行われまして、排水処理の改善が行われております。その結果どうい う形になったかという推移を今ウォッチしているところでございます。 ということで、我が国においても水道原水、浄水での検出状況の把握やその実験による 泡立ちの状況を把握していこうというふうに考えているところでございます。 参考資料2でございますが、「クリプトスポリジウム等病原性微生物について」という ことでございます。 昨年の6月に埼玉県の越生町で町民1万3,000人のうち8,800人というほとんどの町民が感 染症に罹患したという事件が発生しております。厚生省は昨年の10月に緊急に水道にお けるクリプトスポリジウム暫定対策指針を定めまして、都道府県を通じて全国の水道事 業者に対して予防対策等を示したところでございます。 暫定対策指針の予防対策につきましては、本年の6月末時点で対策の必要な施設について の調査を行っております。その結果、必要な施設は1,135施設ございまして、その中で98 施設がまだ未対応ということになってございます。これらの未対応施設については、早 急に対応をとるよう指導を行っているところでございます。 更に全国的な存在状況の調査ということで、全国94水源水域277地点の水道原水につきま して調査を行いましたところ、クリプトにつきましては6水源水域8地点で検出されてお ります。またジアルジアにつきましては、16水源水域24地点で検出されております。 これらの調査結果等を踏まえ、また新たな知見というものが出てきておりますので、そ ういった知見も踏まえまして暫定対策指針の見直しや充実を図るために8月には「水道に おけるクリプトスポリジウム等病原性微生物対策検討会」を設置いたしまして、摂南大 学の金子教授に座長をお願いいたしまして、御検討いただいているところでございます また、水道水における検査については現行の試験方法が非常に難しいということでなか なか正確な検査が困難であるという状況を踏まえまして、迅速で容易かつ正確な検査方 法の改良あるいは開発について研究を進める必要があるということから、「水道水を介 して感染するクリプトスポリジウム及び類似の原虫性疾患の監視と制御に関する研究 班」ということで、今日も御出席いただいております国立公衆衛生院の国包委員を主任 研究者といたしまして取り組んでいただいているところでございます。 また、厚生省といたしましては、関係する環境庁、建設省、農林省に呼び掛けをいたし まして関係省庁連絡会を設置いたしまして、対策等につきまして連携を図ってまいりた いということで関係省庁連絡会を実施しているところでございます。 更には、クリプトスポリジウムが特に免疫力の低下している方々に対しては非常に危険 なものであるということから、感染予防の周知を図る必要があるということで、本年の 8月にエイズ疾病対策課から煮沸飲用等の注意事項について都道府県衛生主管部局へ通知 をしたところでございます。 また、本年の10月には厚生省の健康危機管理調整会議におきまして、クリプトスポリジ ウム等病原性原虫類総合対策を決定いたしました。これは水道だけではなく厚生省管轄 の食品保健対策や感染症対策、救急医療対策といった総合的な対策が必要ということで それらを総合的に取りまとめたものでございます。 WHOでの検討でございますが、WHOの専門家会合は先ほどのスケジュールのところでも申 し上げましたが、3月開催の予定となってございます。 以上でございます。 ○黒川座長  それでは参考資料1と2一緒に御説明していただきましけたれども、1の方でまず何かご ざいますか。 2の方、これは国包委員何かありますか。 ○国包委員  今日おいでの先生方のうち何名かの方もこのメンバーに加わっていただいて、全部で 10名ぐらいで行っております。一応、3年計画ということで進めていくこととなっており ます。 ○黒川座長  そうしますと、一応議事としてはこれで終了ということでございますが、これまでの ところで何か追加の御発言でもございますれば。あとデータ編というのは先ほどの説明 で使ったということでよろしい訳ですね。 ○平田委員  最後の参考2のところでございますが、今回のこの委員会ではこの問題はどういう扱 いになるのかということを明確にしておいていただきたい。それは前の非イオン界面活 性剤もそうでございますが。 ○由田水道水質管理官  非イオン界面活性剤の方につきましては、現在研究班の方で他の未規制化学物質と同 様に研究していただいているところでありますが、1つは、発泡という観点から基準化が 必要ではないかというレベルのものが何か取りまとめられますれば、そのあたりをベー スにいたしまして、性状に関する項目の方での御議論をしていただく可能性があるとい うことでございます。今すぐにこれを議論してくださいということではないのですが、 途中でそういうふうになる可能性があるということでよろしくお願いしたいと思います それからまた、非イオン界面活性剤に限りませんが、特にこのような毒性等の観点から 今回話題に出なかったもの含めて、場合によれば専門的、あるいは科学的な知見から先 生方に御指導をお願いしたいと思っておりますので、この点も場合によればよろしくお 願いしたいと思っております。 それからクリプトでございますが、これは実は3月にWHOで微生物関係の専門家会合が あるということを申し上げましたが、このときに、例えば、今のところ私どもが仄聞し ている限りにおきましては、どうも基準という形の数値などは出てこないのではないか ということを予想しておりますが、もし仮に何か基準というふうな格好のものが出され た場合には、この中で同様にまた御検討いただくということになるかと思いますので、 その節にはよろしくお願いしたいということでございます。 したがって、当面クリプトに関してここでやるというよりは、むしろクリプトに関して は暫定対策指針というもので運用しておりますので、別途金子先生の方に座長をお願い しております検討会の方で検討を続けていきたいと。また、検討会の方で取りまとめら れた場合には、御報告させていただきたいと思っております。 ○ 黒川座長  よろしいでしょうか。ありがとうございました。次回の予定はいかがいたしますか。 ○ 事務局  先生方のご都合を伺いましたところ、2月12日午後、3月2日午後がご都合がよろ しいようなのでその日にお願いできればと思います。 ○ 黒川座長  それでは2月12日午後、3月2日午後ということでお願いいたします。事務局御連絡ほか にございますか。 ○由田水道水質管理官  特にございません。 ○ 黒川座長  それでは、今日の議事を終了いたしたいと思います。ありがとうございました。 照会先 厚生省水道環境部水道整備課  3595−1711(内4034)