97/12/12 第3回厚生科学審議会議事録 1.日  時:平成9年12月12日(金) 14:00〜16:00 2.場  所:厚生省特別第1会議室 3.議  事(1)厚生科学研究における評価の実施方法の在り方について (2)平成10年度における厚生科学研究費補助金公募研究事業について (3)手術等で摘出されたヒト組織を用いた研究開発の在り方について (4)先端医療技術評価部会の審議状況 4.出席委員:豊島会長 (委員:五十音順:敬称略)         飯田委員  石井委員  内山委員  大石委員  大塚委員  岸本委員  木村委員  柴田委員  曽野委員  竹田委員  寺田委員  船越委員  茂木委員 矢崎委員 ○事務局 それでは定刻になりましたので、ただ今から第3回厚生科学審議会総会を開催いたし ます。本日は、軽部委員が御欠席でございます。 最初に、本日の配布資料につきまして御説明申し上げます。資料1「厚生科学研究に 係る評価の実施方法の在り方について(研究企画部会報告)」。資料2「平成10年度に おける厚生科学研究費補助金公募研究事業について(研究企画部会報告)」。資料3 「平成9年度厚生科学研究費補助金(先端的厚生科学研究分野)における応募状況につ いて」。 資料4「手術等で摘出されたヒト組織を用いた研究開発の在り方について」 に関します諮問書、それから付議書案でございます。資料5「ヒト組織を用いた研究開 発の在り方に関する専門委員会(仮称)の設置について」。資料6「生殖医療に関する 関係団体からの意見聴取の状況」。資料番号が付いている資料は以上でございまして、 その他にクリップ止めになっております参考資料ということで、「平成10年度における 厚生科学研究費補助金公募研究事業について(関係資料、未定稿)ということでござい ます。 その他に、お手元に「新型インフルエンザ問題について」という資料が配られている かと思います。これは午前中でございますけれども、厚生省健康危機管理調整会議が行 われまして、その結果を踏まえて記者発表を行ったときの資料でございます。若干説明 をさせていただきますけれども、御承知のとおり香港で新型インフルエンザH5N1と いうタイプが発見をされておりまして、それに対する現地の調査、それから今後の対応 ということが健康危機管理調整会議で協議をされました。 現地調査の結果ということで、国立感染症研究所のウイルス第一部の根路銘室長に行 っていただきまして、その報告を受けた訳でございますが、今回までに4例の新型イン フルエンザの患者さんが確認をされておりますが、その4例はすべてH5型ということ で新型のウイルスであるということが確認をされております。 2番目といたしまして、現時点ではヒトからヒトへの感染についての確認はなされて おりませんが、今後とも引き続き香港政庁、WHO、CDC、それから国立感染症研究 所が協力しまして、その流行についての監視を強化をすることとしたということが報告 された訳でございます。 それを踏まえまして、厚生省といたしまして新型インフルエンザ対策ということでご ざいますが、まず国内の侵入監視体制の強化ということで、H5型の検査キットという ものを感染症研究所で作成をいたしております。それを来週早々にも地方衛生研究所に 配布し、国内でのH5型の検出体制を強化をするということでございます。 それから海外調査の強化ということで、香港政庁からもこの検査キットというものの 要望がございましたので供与を行う、または香港におきます流行状況等の調査、それを 協力していくということでございます。 それから、インフルエンザワクチンの件でございますけれども、現時点で新しいイン フルエンザワクチンにつきまして、その製造用ウイルスの分析を開始いたしておりま す。今後ヒトからヒトへの感染が確認をされましたら、ワクチンがいつでも生産出来る ようにということで準備を整えるということでございます。 それから、抗ウイルス薬ということで予防内服薬のアマンタジンというものがある訳 でございます。これは現時点ではパーキンソン病の治療薬という形で使われている訳で ございまして、そのインフルエンザに関します効能拡大の申請の可能性につきまして検 討を要請をするということ。 以上につきまして、今後の対応ということで厚生省で取りまとめた訳でございます。 一方、国民への情報提供ということでございますが、3枚目、4枚目に付けておりま す新型インフルエンザにつきましての一般向けのQAというものを作成いたしておりま す。これにつきましては、本日中に厚生省のホームページに掲載いたしまして情報提供 に努めていくということでございますが、とりあえず現時点で分かる内容を取りまとめ ている資料でございまして、これにつきましては順次内容の充実を図っていくというこ とでございます。 簡単ですが、資料の御説明でございます。以上でございます。それでは会長、よろし くお願いいたします。 ○豊島会長 それでは、早速本日の議題に入りたいと思います。 まず初めに、研究企画部会から「厚生科学研究に係る評価の実施方法の在り方につい て」という報告がまいっておりますので、矢崎部会長から御報告をお願いいたします。 ○矢崎部会長 それでは報告申し上げます。 本年8月7日に厚生大臣から諮問を受けまして、同12日に当部会に付議され、審議し ておりました、資料1「厚生科学研究に係る評価の実施方法の在り方」につきまして報 告申し上げます。 本件につきましては、9月30日の第4回研究企画部会から計4回にわたり審査を行 い、12月3日第7回研究企画部会においてご覧の資料1にございますように研究企画部 会としての報告を取りまとめたところであります。詳細につきましては事務局より報告 をお願いいたしますけれども、御審議のほどをよろしくお願い申し上げます。 ○豊島会長 それでは、事務局の方からよろしくお願いします。 ○事務局 それでは、資料1につきまして御説明申し上げます。 まず第1編「総括的事項」、第2編「研究課題の評価の具体的実施方法」、第3編 「研究機関の評価の具体的実施方法」ということで3編構成になっておりますが、その まず第1編から御説明を申し上げます。 第1編「総括的事項」ということでございまして、まず目的でございますが、これは 平成9年8月にここに書いてございますように内閣総理大臣決定ということで、国の研 究開発全般に共通する評価の実施方法の在り方についての大綱的指針というものが出さ れた訳でございます。これを踏まえまして、各省庁でそれぞれの研究開発におきます評 価の実施方法につきまして検討をしている訳でございまして、厚生省においても同様に それについて検討をしたということでございます。 この目的といたしましては、その下の丸の方の後半部分でございますけれども、外部 評価を実施をする。評価の結果を公開をしていく。それから、その結果につきましては 研究費等の研究開発資源の配分へ適切に反映をしていくという大きく3つの目的がある 訳でございます。 この評価の対象ということになる訳でございます。この指針という形で今回取りまと めていただいているものの対象範囲でございますけれども、1ページの下の方に書いて ございます から になる訳でございますが、基本的に厚生省の研究費、それから厚生 省の試験研究機関、そういうものがすべて対象になるということでございます。 第3章「評価実施主体、研究者及び評価者の責務」ということでございますが、評価 をする主体、研究費の所管課であったり、または研究機関であったりというところが、 それぞれの事業または機関の性格に適した評価の仕組みを出されていく指針を基本とい たしましてそれぞれ定めるんだということがうたわれておる訳でございます。 それから、研究者につきましても自発的、積極的に評価に協力をするんだということ である訳でございます。 それから、評価というものは要するに優れている研究を伸ばし、よりよいものになる ように適切な助言を与えるという性格が重要であるということである訳でございます。 第4「評価の基本的考え方」でございます。 「1.外部評価の実施」でありますが、外部評価と申しますのは丸の一番上の行の後 半からでありますが第三者、つまり評価をする人、評価実施主体にも、または研究者の 所属する機関、その両方にも属さない者、いわゆる第三者を評価とした外部評価という ことである訳でございます。その評価者は基本的には当該研究分野、またはそれに関連 する分野の専門家から選任をする。しかし、必要がある場合には研究分野以外の専門家 等の有識者からも選任をするものとするという形になっている訳でございます。それか ら、必要に応じまして研究事業を所管をしている厚生省の所管課、または関係課に所属 する者、または被評価主体、いわゆる研究機関に所属するような者も評価者として選任 することが出来るという形になっている訳でございます。 「2.開かれた評価の実施」ということでございまして、情報の積極的な公開という ことがうたわれております。 「3.研究開発資源の配分への反映等評価結果の適切な活用」ということである訳で ございまして、評価の結果に基づきまして研究開発資源の重点的、効率的な配分であっ たり、または計画の見直しであったりというようなことに適切に活用していくというこ とであります。 「4.評価支援体制の整備」ということであります。評価するということになります と作業が過大にならないようにということで、要するに研究活動そのものに支障が生じ ないようないろいろな、例えて申しますとデータベースの整備等を図ることによってそ の評価を支援をする体制を整えるようにということである訳でございます。 「5.研究の性格等に応じた適切な配慮」ということでございますが、厚生省の研究 事業または研究機関、そういうものがそれぞれの性格を持っておる訳でございまして、 一律的に評価の基準を設けるということではなくて、それぞれの事業が持つ性格、また は目的を十分考慮したふさわしいもの、いわゆるそれぞれの性格に応じた評価を行うこ とが必要であるということである訳でございます。 第5章「本指針の見直し等」でありますが、今、取りまとめていただいたものにつき ましては随時見直しを行うということである訳であります。 第2編「研究課題の評価の具体的実施方法」であります。評価につきましては一番上 の丸でございますけれども、新規申請課題の採択の可否及び指定研究課題の適否につい て審査する事前評価、それからその研究の継続の可否を審査します中間評価、それから 研究が終わった後の研究成果を審査いたします事後評価、その3つの過程に分けること が出来るということである訳であります。 それから、必要に応じまして施設に直接訪問をして調査を実施するということもある ということである訳であります。 それから、先程申しました3つの評価がある訳でありますが、その第1番目といたし まして「1.事前評価」ということがある訳であります。事前の評価につきましては研 究事業ごとに事前評価の委員会を置くということがある訳でありまして、その委員につ きましては2つ目の丸でありますが、当該研究分野の専門家から構成されますが、必要 に応じまして専門家以外の有識者や、それから関係課の職員等も委員になることが出来 るということであります。 それから、事前評価小委員会につきましては基本的には専門的・学術的観点と、それ から行政的観点という、大きく分けまして2つの観点から評価を行い、それを総合的に とり行うということである訳であります。 それから大型の公募研究事業、いわゆる先端的厚生科学研究分野等でありますけれど も、これにつきましては必要に応じましてヒアリング、それから先程申しました施設の 訪問調査を実施をし、評価を行うということである訳でございます。 それから、事前評価委員会の中に評価の小委員会を置くということが出来るとなって おりますが、これにつきましては評価小委員会で課題を絞り込むという作業をとり行う ことになる訳でございます。 「(2)評定事項」につきましては先程御説明いたしましたとおり大きく分けて2つの観 点から評価をする。1つの観点が専門的・学術的な観点、もう一つの観点が行政的観点 ということである訳でございます。専門的・学術的観点というのは、ポイントとしまし て5つのポイントがございます。1番目が研究の厚生科学分野における重要性、2番目 といたしまして研究の厚生科学分野における発展性、3番目といたしまして研究の独創 性、新規性、4番目といたしまして研究目標の実現性、5番目といたしまして研究者の 資質、施設の能力という、この5つの観点、ポイントから評定をしていただくというこ とであります。 行政的観点は3つになる訳でございまして、第1番目に行政課題との関連性、2番目 といたしまして行政的重要性、それから3番目といたしまして行政的緊急性、この3つ で評定をしていくということでございます。その他に研究内容の倫理性等、総合的に勘 案すべき事項も合わせて評定をしていくということでございます。 「(3)評定方法」といたしまして5段階でそれぞれ評価をしていくということでござい ます。 「(4)留意すべき事項」ということでありますが、事前評価委員会の委員は当該研究事 業に応募することが出来ないものとするということでございますし、自らが現在所属し ておられる部署から上がってきた研究課題については評価をしないということでありま す。評点付けにつきましては1課題につきまして複数名の委員が行うということであり ます。それから最後の丸でございますけれども、他省庁と十分の連携調整を図るという ことであります。 「2.中間評価」であります。基本的には先程御説明いたしました事前評価と同様の 仕組みで評価をしていくということになる訳でございまして、評定事項につきましても 専門的・学術的観点、それから行政的観点という、大きく2つの観点から評定を行うと ともに、事前評価と同様に総合的に勘案すべき事項ということで倫理面等を評定をして いくということになります。「(3)評定方法」につきましても先程同様、5段階で評点を 付けていくということでございます。「(4)留意すべき事項」につきましてもそれぞれの 委員につきましてはそれぞれの事業に応募することが出来ない、または自らが所属して いる部署から上がってきた継続の研究課題については評定をしないということである訳 でございます。 委員会につきましては中間評価と、それから後に御説明いたします事後評価の委員会 は同一の委員会ということで中間・事後評価委員会を置くということでございます。ち ょっと順番が後先をしてしまいましたが。 「3.事後評価」でございます。先程御説明いたしましたとおり、中間・事後の評価 委員会は同一のものとして設置をするということでございます。 「(2)評定事項」につきましても専門的・学術的観点、それから行政的観点という大き く分けて2つに分けて評価、評定をしていくということであります。 それから、評価の際には特に専門学術雑誌への発表であるとか学会での講演、発表な ど、研究成果の公表状況や特許の出願、または取得状況につきまして考慮をしていくと いうことになります。「(3)評定方法」につきましても先ほどと同様5段階評価というこ とになります。 実施体制でございますけれども事前評価、それから中間・事後評価委員会の委員の数 は大体10から15名程度ということでございます。 それから、中間・事後評価委員会の委員の概ね3分の1は事前評価委員会の委員とは 異なる者をもって充てるものとするということで、事前評価委員会がそのまま中間・事 後評価委員会になるということではなくて、事前評価委員会以外の委員が中間・事後評 価委員会の3分の1程度は入るということでございます。 第2章「評価結果の通知・公表等について」でございます。 「(1)事前評価」につきましては、課題の採否の結果というものが評価になる訳でござ いますので、これを厚生科学審議会に報告するとともにそれぞれの申請者に通知をいた します。その際に、必要に応じまして評価結果の内容等を研究者に通知をするというこ とでございます。 「(2)中間評価」でございますけれども、中間評価につきましては研究継続の可否とい うものが厚生審議会に報告をされます。それから、事前評価と同様に結果が申請者に伝 えられるとともに、事前評価委員会の方に情報がフィードバックをされるということに なります。その際に、必要に応じまして研究計画の変更でありますとか研究費の増減、 または共同研究者の変更等が必要があればそれを研究者に助言等をするということであ る訳であります。 それから、「(3)事後評価」につきましては同様に結果につきましては厚生科学審議会 の方に報告をいたすとともに事前評価委員会、それから個々の研究者に評価を通知をす るということでございます。 「2.評価結果の公表等について」ということでございますが、その評価の公表はそ れぞれの研究事業所管課によりまして刊行物、それから厚生省のホームページ等により 公表をされていくということになりますが、その中身といたしましては下に記載してい る 、 ということで研究採択課題、研究費の交付予定額や研究報告書の概要、それか らそれぞれの評価委員会の委員の氏名が公表されていくということであります。 しかし、公表にあたりましては個人情報でありますとか企業秘密、または未発表の研 究成果、知的財産権の取得、特許の取得等には十分配慮するものとするということであ ります。 第3編「研究機関の評価の具体的実施方法」ということでございますが、これは厚生 省の研究機関全体の活動全般を評価対象とします機関評価を定期的に実施をするという ことでありまして、評価の方法は10名程度の当該研究機関に所属していない専門家より 構成される評価委員会を置くということ、それから研究機関全体の評価を3年に1回程 度を目安として定期的に行うということでございます。 やり方といたしましては、研究機関の各部がそれぞれの現状をまとめた報告書を作成 し、研究機関の長に出しまして、それを評価委員会が評価をしていく。その際には研究 機関との討議等を行って総合的な見地から評価を実施するということであります。それ から報告書を取りまとめ、厚生科学審議会に報告がされるということである訳でありま す。 「2.評定事項」につきましてはここに記載してあります から の事項について評 定を行うということでございます。 「3.評価の実施体制」ということで、評価委員会の委員につきましては冒頭でお話 ししましたように外部評価ということになりますので、基本的に当該研究機関に所属し ていない者で当該研究機関の長が選任をする者ということになりますが、必要に応じま して研究機関の所掌する専門分野以外の有識者またはそれぞれの所管課の職員というと ころもメンバーになるということでございます。 第2章「評価結果の通知・公表等について」は基本的に研究機関の長に対して評価を いただいた厚生科学審議会でそれぞれの研究機関に対する改善すべき事項、意見、そう いうものを取りまとめまして提示をするということでございます。 それから、その改善意見等につきましてはその対応状況につきまして審議会に報告を していくということでございます。 「2.評価結果の公表等について」も基本的にそれぞれの課題の評価と同様に刊行 物、それから厚生省のホームページ等に公表いたしますとともに、公表にあたりまして それぞれ個人情報等については十分配慮をするということでございます。 第3章「事前の自主点検の実施等」ということでありますが、各研究機関には既に設 置されています所内の評価委員会を活用をして評価を行っていくということでございま す。 17ページ、18ページにとりあえず流れ図ということで参考に付けさせていただき ます。 以上でございます。 ○豊島会長 どうもありがとうございました。ただ今の御説明につきまして御意見、御質問がござ いましたらどうぞ。 ○木村委員 大変に分かりやすく、明快に御説明いただきましてどうもありがとうございました。 先程の説明にございましたように、内閣総理大臣決定で厳しい財政事情の下とは言い ながら比較的研究技術に関する財政は割に優遇されているというふうにお伺いしている 訳ですけれども、そういう中で厚生省がこういう原則をつくっていくということになっ た訳ですが、今までもやはり何らかの意味のガイドラインがあって、そしていろいろ決 定していたと思うんです。それで、今回のこれが今までのものとどこがどういうふうに 違うのか、どこが前進したのかということにつきまして御説明をいただきたいというの が1つ。 更にもう一つあるんですが、ここに大変詳しく評価についてお書きいただいた訳です が、私が個人的にお伺いしたいと思うのは、先回もお伺いしたのでございますけれど も、この公募につきましては官報で告示、並びに病院、医学部その他機関に告示すると いうこと、更にインターネットその他でやるということでございますけれども、そうい う場合に申請者のこういう条件みたいなものは記載されているのかどうか。今日の評価 の中には大変に詳しく、例えば10ページを見ますと、10ページの下から2つ目の丸のと ころに「評価の際には、専門学術雑誌への公表、学会での講演、発表など研究成果の公 表状況や特許の出願及び取得状況について考慮する」というのは、これは申請者のこと について言っているんでしょうか。それとも、委員がそういうことを評価してやるとい う委員側の事情なのか。そこら辺の主語がちょっと不明なところがあるという感じがし たんですが、これに関連して申し上げますと、例えば具体的にはそういう応募にあたっ ての資格も評価の中に入っているということになりますと、あるいは基本的にはどんな 人でも自由に申請出来るということになっているのか。その場合に、例えば国籍とか、 国外における研究とか、研究費の総額の内訳とか、いろいろあるかと思うんですけれど も、そういう応募者の資格を含めた、言わば評価の素材になる情報につきましては厚生 省としては今までどういうふうにやってきたのか、またこれからどういうふうにするの かということについてちょっとお伺いしたいと思います。その2点でございます。 ○豊島会長 今の例としてお示しになったところは事後評価の部分ですね。だから、これは当然や はり研究者のそれについてということになると思うんですが。後ろの方の御質問の中の 10ページですね。 ○木村委員 これは事後評価でございますか。 そうしましたら、私が聞きたかったポイントは、事前にどういうような応募の資格が あるのか。その評価の場合の具体的な条件について、現在まで厚生省はそれをどういう 形で示していたかという点と、それから一番最初に申し上げましたような、これが非常 に斬新なといいますか、新しいとすれば、かつてのものとどこがどういうふうに違って いるのか。 その2点につきまして、ちょっとお伺いしたいと思います。 ○豊島会長 それでは、事務局の方からお願いします。 ○事務局 厚生省の研究の評価につきましては、「研究評価マニュアル」を、またそれぞれ国立 試験研究機関のために「所内研究評価マニュアル」という2つのマニュアルを提示をい たしておりまして、それに基づきましてそれぞれ評価がなされてきた訳でございます が、今回の新しく取りまとめていただいたものが以前とどこが違うかということでござ いますが、以前のものにつきましては外部評価ということで、評価委員の資格等が明確 になっていなかったようなところにつきましてそこを明確にした、または評価結果の公 開というところに、例えばインターネットであるとかというところで、要するに明確に どういう形で公開をしていくかということを決めたということである訳でございます。 それから、新しく出来ましたこの厚生科学審議会にそれぞれ結果を報告をしていくと いうこと、つまり同じくこれも結果の公開ということになろうかと思いますけれども、 その辺りにつきまして以前のマニュアルよりは明確に規定をさせていただいたというこ とでございます。実際に評価が行われていなかったということでは決してありません で、従来から評価を行ってきた訳でございますが、先程申しましたこの大綱的指針の中 で、目的としてポイントになっているものにつきまして明確化をさせていただいたとい うことでございます。 それから、厚生省科学研究費の申請者の条件ということでございますが、基本的には 個人ということになる訳でございまして、その個人も大学の研究者または国立の試験研 究機関の研究者、または財団法人等で研究をやっているところの職員、またはその民間 のところで研究をとり行っている方、一応すべてが対象ということになっておりますの で申請が可能でございます。 それから、主任研究者につきましては日本在住の日本人となっております。分担研究 者等では外国人の方も入ることは可能であるということでございます。以上でございま す。 ○豊島会長 どうもありがとうございました。よろしゅうございますか。 ○木村委員 よく分かりました。研究費の総額につきましては各個人の申請者の自由に任されてい る訳でございますか。応募にあたっての申請の金額がございますね。それは何か一定の 枠内にある訳でございますか。 ○事務局 この審議会の中でも御報告をしてきました先端的厚生科学研究分野につきましては、 公募要領というものの中で大体の金額の目安をお示しをいたしております。たとえて申 しますと5,000万円から1億円程度であるとか、例えば奨励研究であれば500万円程度で あるとかというような形で示させていただいているところもありますし、必ずしもそれ が明確になっておらず、研究者の主体に任されているという研究費もございますが、現 在事務局といたしましては来年度の要綱等につきましては、その辺りにつきましてはそ れぞの研究事業に応じた額を設定をしていくということを一応考えております。 ○豊島会長 どうぞ、大石委員。 ○大石委員 研究企画部会には本当に労を多とするのですけれども、研究者側から言いますと、や はり少し形式的になり過ぎるおそれが将来あるのではないかということを懸念している 訳でございます。それで、いろいろな形で評価というのが非常に大事なことは私も十分 承知している訳でございますけれども、非常に微に入り細に入って、こういう評価をす るのが本当の意味での独創的な研究を育成していくためには、私はいささか少しこれは 形式的にすぎるところがあるのではないかということが1点でございます。 それから、中間評価をする訳でございますけれども、これは5年とか長期の研究計画 の場合はいいと思いますが、例えば3年とか短期の場合に、果たしてそういうことをす る意味があるのかどうかについて、もう少し実務的にいろいろ最も有効な手段を考えて これが研究者の負担にならないようにしたらいいのではないかと思っております。 それから、第2点として日本の特徴といたしまして、評価をやりますと、評価するこ とが目的化されてしまいます。評価の方法については非常に細かくここにも書いてある 訳ですが、評価をいかに反映させるかに関しましては非常にあいまいで、その点、評価 を将来の研究費の配分へ適切に反映させることが必要だと思います。評価のしっ放しと いうことでは本当の意味の評価にはならないと思います。 それから第3点は評価委員でございます。私は一番重要なのは事前評価で、基本的に は中間評価、事後評価は必要ないという意見なのですけれども、やはりその評価委員は 本当にレベルが高く、その分野を十分に分かる方をどのようにして選ぶかということに ついて、諸外国の例と比べますと日本はやや安易に選んでいるという感じがする訳でご ざいます。 以上の3点だけ、私個人の印象も含めてちょっと述べさせていただきました。 ○豊島会長 今のはお答えする必要はございますか。 ○大石委員 ございません。 ○豊島会長 その辺によく気を付けて評価を実施しろということでございますね。どうもありがと うございました。 それでは、内山委員どうぞ。 ○内山委員 幾つか私の意見、あるいはお伺いしたいことがありまして、余り時間を使いたくない のでポイントを並べて申し上げますので、ちょっとお書きとめいただいて、後ほどお答 えいただけるところはお答えいただくということにしていただきたいと思います。 全 体を通じてみまして、一番最初にこのガイドラインというか、指針をつくった目的とい うのが書いてありますが、そもそもこの評価の目的というのが実は基本的な考え方の中 に抜けているような気がするんです。 といいますのは、これは一言で言えば厚生科学研究費の評価でありますが、これが厚 生省の中だけで使うものではなくて、もし外へ公にするものであれば、厚生科学研究の 目的というのがはっきりしていないと、どういうことを基本的に考えに入れて評価をし たらいいのかということがなかなか分かりにくい。実は科学技術庁のガイドラインには それが載っているんですが、ここにはどういう訳か抜けているという気がいたします。 それは具体的には第4章「1.外部評価の実施」の前に、厚生科学研究の目標あるい はその目標に沿った評価をするんだという目的が具体的には保健、福祉、生活の向上 云々といったようなことが入った方が分かりやすいだろうというのが1点であります。 それから、事前評価委員会の中の評価小委員会というのが、これはどうしても実際運 営する場合には必要だと思われますけれども、今、大石委員のお話にもありましたよう に、評価をする人を選ぶのが非常に難しくて、この研究全体の展開というのは評価者に 左右されるということを十分考えておかないと、評価小委員会というものがすべての事 前評価の決定権をにぎるということになりそうな気がいたしますので、その辺を十分御 検討、御注意いただきたいと思います。 それから「(2)評定事項」、これは専門的・学術的観点というのと行政的観点とありま すが、本当を言うとこれは両方とも厚生科学分野における専門的・学術的観点と、厚生 科学研究の中での行政的観点ということになります。厚生科学と行政とを別に分けたと いう感じではないというふうに私は思います。 しかも行政的観点、6ページの下の方の が関連性、 が重要性、 が緊急性であり ますが、この3つは往々にして厚生科学研究から見ますと試験検査、あるいは方法開発 でありまして事後的な研究であります。それで、この   の他に本当は行政的観点か ら見た厚生科学研究としては、現在の行政に関連がなくても行政施策の立案とか、開拓 とか、あるいはそういったものに利用出来る有用性のある研究というのは極めて重要 で、これは私の今まで関連した分野ではかなり重要な意味を持っていたというふうに思 います。 「(4)留意すべき事項」というところに非常に厳しいことが書いてありますが、これだ けは是非具体的にお考えいただきたいんですけれども「事前評価委員会の委員は、当該 研究事業に応募することができないものとする」。非常に立派ないいことだと思います が、これは委員の任命あるいは委員の選定と、それから公募の時期というものがどうい う関係になっているかということをよく考えてみますと非常に難しい点があるなという ふうに思います。どちらが先なのかということですね。それで、本当にこれが実施出来 るように御指導をいただきたいと思います。私はこれまで評価委員が評価課題の選定を やっていた例を幾つも知っておりますから、そういうことがないようにお願いをしたい と思います。  それから「事後評価」にだけ「留意事項」というのが抜けております。恐らくこれは 御議論はあったのだと思います。実はこの留意事項というのは事前・中間評価に書いて ある留意事項と同様のものが是非必要であるということが1つ。 それから、私はこれは本当に入れていいかどうかというのは研究企画部会でお考えい ただきたい訳ですが、「研究開発資源」という言葉がよく出てきます。これは恐らく研 究費ということだと思いますが、その規模すなわち研究費の額が事後評価の場合に考慮 されるべきではないか。規模を考慮して評価するという点と、あるいはこれまでの私の 経験では他との重複報告、前年度との重複報告、無関係な論文の引用、そういったもの をどういうふうに表現していいのか分かりませんが、そこら辺を十分留意していただき たい。それが留意事項として必要なのではないかというような気がいたします。 それから、先程大石委員のお話にも評価者の能力ということに類したお話が出ました が、評価者というのは万能ではありませんから、評価者の能力外の研究成果というのが あるんですけれども、その場合には客観的ないろいろな情報を集めるとか、あるいはそ れが専門分野である人の意見を新たに聴取するとかといったようなことも留意事項とし ては必要なのではないかと思います。 本当を言うと、これは根本的に矛盾を含んでいるのであって、独創性とか新規性とい うのは結局、評価者が知らなかったことが一番独創性のあることなんだろうと思います から、そういう点では根本的な矛盾があることはあるんですけれども、そこを何とか解 決してこの事後評価をうまく展開していただきたいと思います。 ついでですけれども、このページのちょうど中間に「事前評価委員会は、評価小委員 会の委員を選任する」とすらすらっと書いてありますが、これは必要に応じてとか、特 例としてといったようなことが前に書いてあるのと並べてみますと、全体として首尾の 不統一性のような感じがいたします。 研究機関の方なんですけれども、13ページに、これは各研究機関というのは私は一番 最初の定義を見て、一般会計の研究機関も特別会計の研究機関も全部含んで研究機関で あると理解しております。それで、この部ごとに報告書を取りまとめてそれを評価委員 会が報告を受けて評価をして報告書をつくって機関長に提出して、機関長がまたこれを 取りまとめてと一番下に書いてあります。ちょっとこの意味は分かりませんが、機関長 が取りまとめて厚生科学審議会に報告する。こういう日本のいわゆるヒエラルキーと言 ってはいけないかもしれませんが、要するに筋に従って出てくる報告というものがどの くらい本当の姿を表すかということは極めて難しいところがあるということは経験上感 じております。 それで、部とか室、室は研究単位としては必要でしょうけれども、部とか何とかとい うことにこだわらない研究評価の方法というのがないものかなと実は考えております。 「機関評価の評定事項」というのが から まであります。実は研究企画部会に出さ れていた古い資料を見ますと人事管理というのがあったんですが、人事管理というもの だけが必要だと私は思いませんが、人事管理に類した、要するに人材の選任法ですね。 いわゆる責任者の選任法、それから研究者の流動性といったものは十分評価の対象、評 定事項になると思いますので、人選のやり方、研究者の動き方といったようなこともお 加えになった方がいいんじゃないかなという気がいたします。以上でございます。 ○豊島会長 ありがとうございました。 それでは、船越委員お願いします。 ○船越委員 それでは、3・12・15ページにそれぞれ記載されております評価結果の公表について でございますが、3ページをご覧いただきますと、この公表につきまして但し書きがご ざいます。そこにプライバシーとかプライオリティー、そのほか知的財産権の取得等に かかることについては十分配慮を行い、とございますが、これを評価される側から考え てみますとまだ不安が残りますので、十分な配慮を行い、権利が損なわれないよう保証 するものとするというように書いていただけないものかと思いますが、いかがでござい ましょうか。 ○豊島会長 どうもありがとうございました。それだけでよろしゅうございますか。 ○船越委員 はい、それだけです。 ○茂木委員 簡単に2つ意見と2つ質問を申し上げたいんですが、1つはさっきから評価者の選任 の問題が出ておりますが、先生方の分野では師弟関係が非常にきずなが強いという話を 伺っております。言わばやや俗っぽい言葉で言えば親分・子分の関係がかなり強いとい うふうに伺っておる訳でございますが、そこら辺をうまくバランスをお取りにならない と、この評価にやや問題が出てくるという感じがいたしますので、そこら辺のバランス をうまく取って評価者をお選びいただくということが必要だろうというのが第1点でご ざいます。 それからもう一つは、事前評価と中間評価の委員会は3分の1、人を入れ替えるとい うお話でございますが、これは見方の違う意見で評価をするということにおいては大変 意味があることであろうというふうに思いますけれども、しかし一方、この事前評価の 場合に非常に高く評価されたものが、中間評価の場合に評価者が替わったことによって そうでない評価が出るという危険性もあるんじゃないかというふうに思う訳でございま して、その辺は十分に御注意になることが必要なんじゃないかという、この2点が私の 意見でございます。 それから質問でございますが、中間で中間審査の評価の結果ノーと出た場合、それを どうなさるのかということを伺いたいと思うんです。それは、例えば民間の研究機関で 興味のあるものがそれを引き継ぐことが出来るのかとか、そういう点でございますが、 それを伺いたいのが1つです。 それからもう1つ、14ページのところに研究機関の評価委員会の場合、「当該研究機 関に所属していない者で、当該研究機関の行う研究分野の指導的研究者から、当該研究 機関の長が選任する者」というふうに書いてあるのでございますが、評価される機関の 長が選任するということなのでございましょうか。もしそうだとすると若干問題がある ように感じるのでございますが、それが質問でございます。以上です。 ○豊島会長 どうもありがとうございました。まだありますか。 ○木村委員 これは手続上のことなのでちょっと質問なのでございますけれども、研究企画部会が 大変に慎重な、かつ何回にもわたる審議を得てこうやって一応おまとめいただいて今日 御報告いただいて、私ども大いに益するところがあった訳でございますけれども、この 中でやはり基本的なラインとして出てきた事前、中間、そして最終というのは、これは 慎重な討議を得て出した結論ですので、私は基本的に国民の税金を使ってやる研究につ いては、これはきちんとした方がいいと。確かに科学者側から見ますと、大石委員が先 程言われたような問題はあるかと存じますけれども、基本的には大石委員もこれに賛成 ということでございますが、その点は明確にしなければいけないと思うんです。 第2に、今いろいろ我々は総会でございますのでいろいろな意見を申し上げている訳 でございますが、これを差し戻すというような形になって研究企画部会をまたやるとい うことで今、話しているのか。それとも、ここで討議したことが研究企画部会の報告に 加えられて言わばこの最終報告が出てくるのか。そこら辺の手続上のことについて私は ちょっと詳しくないものですから、それによって討議の内容もあるいは大分変わってく るということもあると思うんです。例えば、研究企画部会では大変なエネルギーを費し てここまできちんとつくって、事務当局もこれだけまとめ上げられたことでございます ので、小さな文言のことでしたらいざ知らず、全体的にここで果たしてどこまでいろい ろな意味の根本的な修正を加えることが出来るのか。そこら辺のところの関係がどうな っているのかということをちょっとお伺いしたいというふうに思いますけれども、いか がでございましょうか。 ○大石委員 私は必ずしも今、木村委員のおっしゃったことについては全面的な賛成はしておりま せん。ただ、これはこれとして一つの意見であると思います。 今、木村委員のおっしゃったことでちょっと気になるのは、国民の税金を使っている から形式的にきちんとするということではなくて、大事なことは国民の税金を使う意義 があるとすれば、一番効率的にそのお金を使うにはどのようにするべきかという点であ ると思います。必ずしもこういう形で、いろいろな細かい形式で評価をするというのが 私は国民の税金の一番いい使い道だとは思っておりません。私の申したいのは、研究者 として研究の結果が一番あがるようにお金を有効に使うことが、国民の税金の最も無駄 のない使い方だと思います。その点の誤解のないようにお願いします。 ○木村委員 その点はちょっと問題があると思うんです。やはり研究者に都合のいいようにやって きたということで、いろいろな問題が現実に起こってきた訳です。これは新聞その他の 報道を見れば分かるように、私どもやはり国民の税金を使うということが公明性、そし て公明正大性を増すということの一番重要なポイントの一つとして浮かび上がってきた 訳なので、大石委員の言われることもよく分かりますが、一般国民の立場から見ると科 学者の都合のいいようにやるというよりも国民の税金を使うことの意味を公正、公明、 公開ということで原則を貫く。 しかも、二重にも三重にもきちんとした使い方を明確にする。それが実は科学者の研 究にとっては一番いい方法であるということに私は結び付いていくというふうに思いま すので、今の大石委員の見解にはやや納得出来ないところがございますが。 ○豊島会長 この点につきましてはそれぞれ御見解があるから、幾ら議論をしても尽きないと思い ますので、そういうことも踏まえた上でどういうふうに運営していくかということにな るんだと思います。両方の意見があるということは、やはり皆さんよく御存じのことだ と思うんです。 それで今、木村委員がおっしゃいました中で、これにどういうふうに対処していくか という問題、そこを一応まとめなければいけないかというふうに思うんですが、今、御 質問いただいた中のかなりの部分は気を付けてやっていけということだったかと思うん ですが、その中で事によると部分的には改定の必要の場所もあるかと思いますが、これ は矢崎研究企画部会部会長からお答えいただけますか。 ○矢崎部会長 今いろいろ意見をいただいたディスカッションは部会の中でもやはりありまして、そ の結果としてこれをまとめた訳であります。いろいろな意見をベストな方法でまとめる のはなかなか困難でありました。 それで、第5章「本指針の見直し等」ということにありますように、これについては より適切なものとして見直しを行うということであります。それで、本日の御意見で、 これは豊島会長のお考えでございますけれども、もし是非この点は必要であるというこ とであればそれを加えるなり、手続上の問題はまだ考慮の余地はあるというふうに私自 身は考えております。ただ、今いただいた意見の大部分は部会の中で議論をして、その 中でいろいろなことを考えながらつくったのが実情でございますので、私どもとしては 余り細かく規定するのではない。しかし、余り大まかにやるのでは意味がないのではな いかということでこういう形になったのです。  実際の運営につきましては先生方の御指摘の点を十分配慮しながら運営していきたい というふうに考えております。個個の問題についてはちょっと時間が掛かりますので、 そのディスカッションの経緯とか経過についてはここで申し上げる時間がないので省略 させていただきたいと思います。 ○豊島会長 どうもありがとうございました。大体の線はお分かりいただけたかと思うんですが、 これはどのような条文をつくっても運用によってうんと変わると思うんです。ですか ら、運用を非常に気を付けてやっていただくこと、それから運用面自体についてこの委 員会でかなりチェック機構が働くというふうに考えていただいて、多くのところは多少 の文言をもう一度検討していただくという多少の手直し程度でいける場所が多いんじゃ ないかというふうに思います。 それで、今お聞きした意見の中で入れるかどうかということをここで検討していただ いた方がいいと私が感じます点は、1つは厚生科学研究としての評価の目的をイントロ ダクションのところにそれを入れた方がいいという御意見がございました。それをどう いうふうに考えるかということ。それからもう1つは、特許その他につきまして権利を 損ねないように気を付けるということまでを入れた方がよいかという、その2点を加え るか、加えないか、ここで決めていただいた方がいいんじゃないかというふうに思いま す。 ○船越委員 配慮だけではなくてやはり保証がないと、責任とまでは言いませんけれども。 ○矢崎部会長 確かにおっしゃるとおりで、その文言は入れさせていただきだければというふうに思 っております。 ○船越委員 是非お願いします。 ○豊島会長 それから、厚生科学に関する初めのイントロダクションのところで国民の健康、福 祉、云々という、それを入れた方がよいという御意見もございましたが、この点に関し てはいかがでございましょう。 ○事務局 もともと厚生科学審議会を発足させますにあたりまして、厚生科学というものにつき ましてはどのような分野を考えておるかということにつきまして、資料をもちましてい ろいろ御説明をいたしたところでございます。単なるサイエンスだけではなくて、厚生 省が所掌いたします人文系等の分野もすべて網羅をするものであるというようなことで 御説明をいたしておりましたので、この評価の在り方の中でも特に触れていなかった訳 でございます。 ただ、皆様方の御意見で、厚生科学というものを改めてそこで書いておいた方がいい ということであれば、それを付け加えることは出来ます。私ども事務局といたしまして は自明の理であるというようなことで触れなかったということでございます。 ○豊島会長 いかがでございましょうか。 ○内山委員 当然私はそういうお答えだと思っておりました。先程申し上げましたように仲間内で は当然自明の理なんです。 ただ、農林水産省がこういうことを思っているとか、科学技術庁がこう思っている、 通商産業省がこういう評価の指針を持っているといったようなものが外へ出るのならば というふうに私も申し上げたつもりでおりまして、外へ出るのならば厚生科学研究とい うものの根本的な目的が分からない人も、御存じない方もいらっしゃるので、厚生科学 審議会のところに出た資料を一々添えて出すのならばいいですけれども、そうでなくて 独立で判断されるのであれば必要ではないか。どちらでも結構でございます。 ○矢崎部会長 今の内山委員の御意見で、これだけで独立で見た方にもよく分かるように是非目的の 中に厚生科学研究についての説明を付け加えさせていただきたいと思います。先程豊島 会長がおっしゃったような文言で説明をさせていただければというふうに思っています ので、よろしくお願いいたします。 ○豊島会長 よろしゅうございますか。 ○木村委員 今まさに同じことを言おうとした訳ですが、やはりこれは部外者といいますか、内部 の方でない方々が特に読みますし、またインターネットに載る訳ですので、その文言に ついて内山委員の御提案に私は全面的に賛成します。 ○豊島会長 それでは、大体御意見も出尽くしましたようでございますので、今日いろいろ御議論 をいただきました御意見につきまして十分考慮しながら、多少文言の手入れをしなけれ ばいけないところは少し手入れをさせていただく。それから今、議論のポイントになり ました2点につきましてはその点を書き加えさせていただくと、そういうことで御了承 いただけますでしょうか。その内容につきましては事務局とも部会長とも十分に相談し てまいりますが、出来ましたら私に御一任いただければと思いますが、いかがでござい ましょうか。よろしゅうございますでしょうか。 どうもありがとうございます。それでは、そのように取り計らせていただきたいと存 じます。 それでは次に、同じく研究企画部会から「平成10年度における厚生科学研究補助金公 募研究事業について」という報告がまいっておりますので、矢崎部会長から御報告をお 願いいたします。 ○矢崎部会長 それでは、本年12月3日に資料2にございますように厚生大臣から諮問され、当部会 に付議されました「平成10年度における厚生科学研究費補助金公募研究事業について」 の件でございます。去る12月3日に第7回研究企画部会において審議をいたしまして、 その結果、部会としてほぼ諮問どおりに了承するということとされましたので、ここで 報告いたします。 なお、その詳細につきましては事務局から報告いたしますが、御審議のほどをよろし くお願い申し上げます。それでは、よろしくお願いします。 ○事務局 それでは資料2と、それからクリップで止めております参考資料に基づきまして簡単 に御説明をさせていただきます。 資料2、2ページ「平成10年度厚生科学研究費公募研究事業(継続事業分)の方針に ついて」、これは厚生科学研究費補助金の9年度からの継続事業のみについて取りまと めたものでございまして、全体は参考資料1というところに「平成10年度の厚生科学研 究費補助金概算要求一覧表」というものが付いておりますが、その左の端の方に「新」 という字が付いております。この新規の事業につきましては10年度新たにとり行う研究 事業、または従来の研究事業を組み替えて新規扱いになっているというものでございま して、それ以外の事業につきまして継続事業ということで取りまとめさせていただいた ものでございます。 全体につきましては、その参考資料ー2に取りまとめさせていただいている訳でござ います。平成10年度の厚生科学研究費の公募研究事業の方針につきまして御審議いただ く訳でございますが、継続事業というものだけ取りまとめておるものは、理由といたし まして平成10年度新規事業につきましてはまだ予算要求中である訳でございまして、事 業そのものがまだ認められている訳ではございませんので、その残り、新規の事業につ きましては予算が認められた後に公募する際の方針ということはまた後日議論というこ とになろうかと思いますので、今回につきましては継続事業分につきまして御議論いた だきたいと思います。 しかし、全体が分からないと議論が出来ないかと思いますので、参考資料ー2という ところに全体を付けさせていただいている訳でございまして、このページには案という ことになっておりますので、予算が認められた後にまたもう少し議論をして最終案にま とめていくということでございます。 それから、参考資料ー3これは参考資料ー2に基づきまして大体の公募の官報の告示 のイメージでとりあえず取りまとめさせていただいたものでございまして、これは今日 御議論いただいて御了承いただければ、それを踏まえまして最終的に官報告示の案にし ていくということでございますが、大体の課題のイメージをそれぞれの委員の方に持っ ていただくための参考資料ということでございます。 それでは資料2でございますけれども、平成10年度の厚生科学研究費公募研究事業の 方針についてということでございます。継続事業は2ページ、3ページにあります10の 課題ということになる訳でございまして、5番目以降の脳科学研究事業以降の6つの事 業につきましてはこの厚生科学審議会の中で一度平成9年度の採択につきまして御報告 した事業の継続事業という扱いでございまして、5脳科学研究事業につきましては記載 してあるとおりの事業という形で募集をしたい。または、以下、6ヒトゲノム・遺伝子 治療研究事業、7高度先端医療研究事業、8新興・再興感染症研究事業、9エイズ対策 研究事業、それから10感覚器障害及び免疫・アレルギー等研究事業につきましては平成 9年度を踏まえまして平成10年度に新規に公募をするという大きな方針ということで記 載をさせていただいております。 それから1厚生科学特別研究事業、これにつきましては従来から緊急的な行政課題に 対応した研究ということで指定を中心にとり行ってきた事業でございますけれども、今 後につきましては先程御説明いたしました先端的厚生科学研究分野の6事業の奨励的研 究というものがあった訳でございまして、これは若手の研究者で1年限りというような 事業でございますけれども、それにつきましては今後、1厚生科学特別研究事業の「保 健医療、または福祉の向上に資することを目的とする独創的または先駆的な研究」とい う中で募集をしていくということにいたしております。 それから、2統計情報高度利用総合研究事業につきましてはここに記載してあるとお り、厚生省の統計情報の利用につきましての研究ということでございます。 それから、3がん克服新10か年戦略事業でございますけれども、これにつきましては 一番下の行に記載してございますように平成10年度は公募しないということになってお りますが、この事業につきましては3年で1つの単位というか、1つの期間ということ で今まで実施してきておりまして、この事業につきましては平成9年度に新規の事業が 始まったということになりますので、平成10年度は公募をしないということで考えてお ります。 それから、長寿科学総合研究事業につきましてはここに書いてありますようにいわゆ る新ゴールドプランに対応して老化や老年病に関する種々の研究、または社会科学的研 究ということをとり行う研究事業という位置づけでございます。その詳細につきまして は参考資料ー3に、それぞれ平成10年度で新規に公募をする大体のイメージということ で記載をしてございます。これにつきましては、それぞれの事業に予算の伸びがあった 部分であるとか、それから継続課題がどの程度あるかとか、そういうことにつきまして やはり事業ごとに異なりますので、若干公募の仕方が統一的にはなっておりませんけれ ども、それぞれの事業の中で平成10年度に新規に公募出来る、大体予算の枠をにらみま して、例えば平成9年度でやり残した、または採択出来なかった課題、または行政的に 重要な課題でこちらで取り組んでいただきたいというようなものにつきまして具体的に 記載をさせていただいているというような形になっておりまして、若干それぞれの事業 で書き方、書きぶりが異なっておりますけれども、それは予算の枠であるとか、それか ら継続の事業の割合、そういうものが異なるということになりますので、そこは御留意 いただきたいというふうに思います。 簡単ですが、以上でございます。 ○豊島会長 どうもありがとうございました。ただ今の御説明につきまして御質問ございますでし ょうか。 ○木村委員 資料ー2でございますが、詳しくいろいろ御説明していただきましたが、6ヒトゲノ ム・遺伝子治療研究事業というところでございますけれども、その一番下のところ、右 側の一番下から3行なんですが「これらの研究基盤の高度化に関する研究、ヒトゲノム 解析や遺伝子治療研究等の社会的側面(倫理)に関する研究」と、これはこういう形の ものが厚生省の文章の中にきちんとこういう形で入ったということは大変画期的ないい ことだというふうに思うんです。 でもいろいろな形で、この間も寺田委員の方から御説明がありましたように、例えば がんの研究に関してインフォームドコンセントをやったりとか、そういうことがあった んでしょうけれども、こういう形できちんと入ったので、せっかくでしたら、これは国 際的に受け入れられているWHOとか、ヨーロッパ共同体とか、そういうところではエ ルシー(ELSI)という言葉がありまして、これは常用語になっているのでございます が、エシカル・リーガル・ソーシャル・インプリケーション(Ethical legal Social Implication)ということなんですね。ですから、国際的にこれは翻訳されて世の中に出 ていくということもございますので、ヒトゲノム解析や遺伝子研究治療等の倫理的、法 的、社会的側面というふうにして、括弧の倫理というのを取っていただいて、倫理的、 法的、社会的側面というふうにした方が、国際的な水準に合わせて日本もここまでヒト ゲノム研究に研究費の一部を割いてやろうという方向が意欲的に見えるのではないかと いうふうに思うので、もし言葉の修正ということでその余地がございましたら、それを 入れていただければ私どもバイオエシックスの専門家としてはありがたいというふうに 委員の一人として思っております。 ○豊島会長 いかがでございますか。 ○矢崎部会長 是非加えさせていただきたいと思います。 ○豊島会長 ほかに何か御質問、御意見ございますでしょうか。 ○内山委員 これは一応お願いですけれども、例えば参考資料をずっと拝見して、公募研究課題と いうのが案として載っておりますけれども、これには一番下の新の付いている創薬等ヒ ューマンサイエンス総合研究というのは載っておりませんが、これは恐らくまだ出来て いないということだと思いますが、この創薬という言葉に私は非常にこだわるんです。 いろいろな継続事業の中にも入っておりますいろいろな病気を対象にした研究の中で予 防、診断、治療という言葉が出てきますが、がん克服の場合には新しい抗がん剤の開発 等ということが書かれておりますけれども、この創薬というのは縦糸、横糸の関係です べてに共通している問題であるというふうに思います。 それで、その創薬というのをどこかひとくくりにしてくくってまとめているというや り方であるのか、あるいは参考資料エイズ対策研究事業という中の公募研究課題を見ま すと、この中には医薬品開発というのは明らかに入っていないように見えるんです。そ ういうのはどういうふうに考えていくのかなと思います。 それで、生活安全と医薬品安全を独立の研究事業に立てていただいたのは大変私は結 構なことだと思うんですが、生活安全、医薬品安全もまだ最後の創薬とヒューマンの中 には安全性の評価とか何とかに入っておりまして、どうもそこら辺のダブりがあって悪 いという訳ではありませんけれども、その割り切り方というか、説明を十分研究者の納 得のいくようにしていただきたいという感じがいたします。よろしくお願いいたしま す。 これはお答えいただかなくて結構です。研究者に対してそういうふうに……。 ○豊島会長 どうもありがとうございました。その辺を注意して公募してくれということだと思い ます。 それでは、大体これで御意見も出尽くしたかと思います。それでは今、御議論のあっ たところを十分踏まえてやっていきたいと思います。 ○矢崎部会長 一言議事録に追加で、先程の議論に載せていただきたいのは、研究企画部会での詳し い討議の内容はインターネットでも公開されておりますので、この案が出来るまでに至 ったプロセスがそこでお分かりいただけるのではないかと思います。是非それを参照に またお考えいただきたいということで追加申し上げました。 ○豊島会長 どうもありがとうございました。 それでは今、申しましたように、先程の倫理の問題のところは修正させていただくと いうことで、全体としてはこれでお認めいただいたということでよろしゅうございます でしょうか。 どうもありがとうございます。それでは次に、12月10日付で厚生大臣から資料4のと おり、「手術等で摘出されたヒト組織を用いた研究開発の在り方について」が諮問され たところでございます。本件につきましては、まず先端医療技術評価部会において御審 議をお願いし、御報告をお願いしたいと思っておりますが、事務局からその内容の詳細 について御説明をお願いいたします。 ○事務局 健康政策局研究開発振興課から、資料5に沿いまして御説明をさせていただきます。 まず、「検討の必要性」でございます。新薬の開発でございますが、現在動物を用い た前臨床試験からヒトへの臨床試験というふうに進む訳でございますけれども、薬物の 代謝や反応性に関するヒトと動物の間での種差が存在するということから、必ずしも動 物による試験の結果がヒトに適合しないということがございます。その結果といたしま して、臨床試験におきまして予想もしなかったような副作用が発生するということもよ く知られているところでございます。 また、実際の臨床の場になりますと幾つかの薬が同時に併用されることはございます けれども、その結果やはり予想もしなかったような副作用が出るということも知られて いるところでございます。 このような問題がございますので、諸外国を見てまいりますと、手術等で摘出されま したヒト組織を直接に用いた研究、試験管の中などで用いた研究が行われておりまし て、特にアメリカにおきましてはそのようなガイドラインまで出されている状況でござ いまして、そのガイドラインの中ではむしろ積極的にそういった組織を動物実験の代わ りに使うべきではという推奨がされている状況でございます。 今、申し上げましたように、現実に手術等で摘出されましたヒト組織を用いた研究開 発が可能となりますと、人体に対する薬物の作用や、あるいは代謝機序の性格の把握が 可能となりますので、不必要な臨床試験あるいは不必要な動物実験を排除出来るという ことになる訳でございますし、また薬物相互作用の予測も可能になる訳でございます。 また、その手術等で摘出されましたヒト組織を用いた研究開発は、こういった薬の開 発だけではなく直接的にヒトの病変部位を用いることが可能でございますので、疾病メ カニズムの解明や、あるいは治療方法、診断方法の開発にも大きく貢献出来るのではな いかというふうに期待されているところでございます。 一方、ヒト組織を使用するということで当然その提供者の意思確認や、あるいは倫理 的な面での検討というものも不可欠な訳でございます。従いまして、この手術等で摘出 されたヒト組織を用いた研究開発の在り方につきまして、そもそもそれはよろしいかど うか、あるいはそういったガイドラインが必要であるかどうかなどを含めまして、厚生 科学審議会において御検討をいただきたいということでございます。 次に専門委員会を設置いたします必要性でございますけれども、今、申し上げました ような手術等で摘出されたヒト組織を用いた研究開発につきましては薬理学的な検討、 細胞科学的な検討、こういった専門的、科学的な検討が必要でございます。また、同時 に当然倫理的な面での検討も必要かと思います。このように多くの面からの御検討が必 要ということで、こういった議論を検討、整理していただく意味で専門委員会を設置 し、論点を整理した上で先端医療技術評価部会或るいは厚生科学審議会総会で総合的な 御審議をしていただくのが適当ではないかというふうに考えた次第でございます。 なお、3番目に予想される論点ということで、諸外国の状況などを見まして現時点で 考えられますところを挙げさせていただいておりますけれども、1つはそもそもそのよ うなことが許されるかどうかということがありますし、そういった目的とか意義という ものを明らかにする必要があるかと存じます。 また、仮によろしいということであったとしましても、そのような研究開発が何でも 許されるということはあり得ないと思います。どのような形でその事前評価をするかと いうことが重要になってくるのではないかと思います。 また、手術等で摘出されましたヒト組織の提供の在り方、あるいは制約などについて の責任の問題も明らかにしていく必要があるかと思います。例えば、公的なバンクのよ うなものを設けた方がよろしいのかどうか。或るいは、インフォームドコンセントをど のようにとるか。また、技術的な問題でございますけれども、採取いたしました組織を どのように保存するのかというような御検討があるかと思います。 それから、経費の問題が当然出てまいります。それから、個人情報の問題もあるかと 思います。 更に別の観点から申し上げますと、それを用いる研究者の安全確保ということも重要 になってくるのではないかと思います。 以上がお諮りをする趣旨でございますけれども、最後のページに参考ということで挙 げさせていただいておりますのは、現在諸外国で行われている例を整理をいたしました ものでございまして、実際にヒト組織を利用しましたインビトロ試験の例といたしまし ては、この表にございますように部位といたしましては皮膚とか肝臓等がございます。 それから、現在まで私どもが承知しております他国での現状でございますが、米国に おきましては非営利の機関、NRDIとかIIAMなどと略されておりますけれども、 そういった機関が全国レベルで供給を実施しております。先程申し上げましたようにF DA、アメリカの医薬品を許認可、審査をする機関でございますが、このFDAではイ ンビトロでの試験のガイドラインということで、ヒト皮膚を使用すべきであるというふ うに明言をしております。 また、ヨーロッパにつきましては研究グループと病院間の契約で独自に供給を実施し ているという情報がございます。 また、イギリス等におきまして既にそういった組織が出来ているという話もございま す。 以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○豊島会長 どうもありがとうございました。 それでは、ただいまの御説明につきまして御意見、御質問がございましたらどうぞ。 ○木村委員 一番最後の参考のところには、ヒト組織を利用したインビトロ試験例というところで 胎盤、薬物の胎児移行というのがございますが、私ども先端医療技術部会の方でもいろ いろ生殖医療をめぐっては討議しておりますが、もし手術等で摘出されたヒト組織とい うふうに言いますと幅広く考える。例えば、人工妊娠中絶手術により摘出された胎児を 実験の対象とする。例えば、アルツハイマー病の治療にフィーダスの脳の一部の細胞が 使われるというような現状が実際にある訳でございますね。そういうテストも行われて いるし、実験も行われている訳でございますけれども、そういうような点については、 このヒト組織を用いた研究開発というカテゴリーの中に現在、厚生省のお考えといいま すか、この御提案では胎児の言わば中絶、人工妊娠手術による胎児の組織は含まれない ということのように理解したんですが、しかし、胎盤はここに例として挙げられており ますが、その間の関係はいかがなのでございましょうか。 ○豊島会長 それでは、お答えいただけますか。 ○事務局 私どもといたしましては、妊娠中絶等によります胎児というものについては検討の対 象にはしないという考えでおります。それで、先生御指摘のものは現在、諸外国で行わ れている例として挙げさせていただきました。 ただ、どういったものを検討対象にするかということにつきましては、そこを含めま して審議会の方に議論をおゆだねしたいというふうには思っております。 ただ、私どもとしましては検討の対象からは除外させていただければというふうに考 えております。 ○豊島会長 他にございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。 どうもありがとうございました。それでは、このように答申をお願いするということ にしたいと思います。 それでは、最後に先端医療技術評価部会から審議の状況について御報告をお願いいた します。それでは、寺田部会長代理よろしくお願いします。 ○寺田部会長代理 先端医療技術評価部会の高久部会長に代わりまして、私が審議状況につきまして説明 させていただきます。 当部会におきましては、先の第2回総会でも御報告申し上げましたとおり、生殖医療 技術の在り方につきまして資料6をごらんくださいませ。資料6の1ページ目に示しま した「生殖医療を巡る論点」に沿って検討を進めております。それで、現在関係団体等 から意見聴取を行っており、これまで2回にわたり日本医師会、日本小児科学会等の7 団体から御意見を伺ったところであります。それで、各団体の御見解の概要につきまし てはこの資料6の2ページ目から書いてございます。 なお、今後の日程につきましては平成10年1月以降、遺伝関係学会・法曹関係団体・ 障害者団体・女性団体等から御意見を伺っていく予定であります。それが生殖医療につ きましての先端医療技術評価部会の審議状況でございます。 2番目は、この部会での審議対象となっております遺伝子治療、臨床研究につきまし ては前回の総会で報告申し上げましたとおり、従来の遺伝子治療臨床研究中央評価会議 におきまして検討実施中でありました、がんを対象とする東京大学医科学研究所附属病 院及び岡山大学医学部附属病院からの臨床研究実施計画の2点につきまして、引き続 き、がん・遺伝子治療臨床研究作業委員会により、科学的な見地からの論点整理を進め ているところであります。 以上、2点につきまして現在の審議状況を御説明させていただきました。 ○豊島会長 どうもありがとうございました。ただいまの御説明につきまして御質問ございますで しょうか。よろしゅうございますでしょうか。 それでは、その他何か事務局から御用意ございますか。 ○事務局 資料3の御説明を抜かしておりましたので、資料3につきまして御説明を申し上げま す。 前回の第2回厚生科学審議会におきまして、軽部委員から宿題をいただいておりまし た、平成9年度の厚生科学研究費補助金の中の先端的厚生科学研究分野につきまして助 手等からはどの程度の応募があったのかということでございまして、1枚めくっていた だきますと先端的厚生科学研究分野におきまして重点研究というところでございます が、とりあえず申請額ということで分類をさせていただいておりまして、1,000万円以上 の申請額のあったものをまとめたものでございまして、713件の応募がございましたが、 助手等つまり助手以下ということになりますが、その方からの応募は20件でありまし た。以上でございます。 ○豊島会長 どうもありがとうございました。 これは前回の御質問に対する御報告ということで、それでは特に何か先生方から御発 言ございますでしょうか。 ○寺田部会長代理 私も研究企画部会の委員の一人としていろいろ貴重な御意見を拝聴してました。矢崎 部会長が言われましたように、研究評価につきいろいろな広い立場からいろいろな立場 を考えて討論をいたしましたが、厚生科学といいますのは例えばリスクが国の前にあ り、緊急性のある研究からかなり長期的にやる研究というのもあり、本当のことを言い まして一つの評価基準というシステムをつくるというのは大変困難で、余りがちがちに したらいけないと考えています。 ところが一方、やはり国民の税金を用いて研究をしているという立場がありますか ら、この辺でいいのではないかという評価は必要です。いろいろな立場から考えますと 御不満の点もいろいろあるんじゃないかと思いますが、出来ましたら余りきっちりとし たものでないガイドラインという、ガイドラインは定義によりまして法律ではないとい う理解の上で、割合その場その場である程度の解釈をしていただく上でのガイドライン であるというふうに私は少なくとも納得して、議論をさせていただいた次第です。 以上、あたり前の話ですけれども、私の意見を付け加えさせていただきました。 ○豊島会長 どうもありがとうございました。他に何か御意見ございますか。どうぞ。 ○石井委員 直接今日の個別の問題ではなくて全般的な話ですけれども、厚生科学研究分野を含め て、研究が行われますと、成功したか、失敗したかに余り関係なく研究人材の経験が残 る訳ですね。ですから、ある意味で人材育成というか、長期的な我が国の研究者のスト ックが増えている。もっと広く世界全体の人材が増えているということでございまし て、どういう形がいいのか分かりませんけれども、そういう人材の蓄積をトレースでき ないまでも一応知っている。少なくとも国がやる研究については、ある研究投資がなさ れた上で何が残っているかという評価としては直接な研究自体のこともありますが、人 材が残っている。場合によってはそちらの方が、長期的には非常に重要だとも言えます ので、この辺は何かいいお考えがございましたか。極端に言いますと失敗ばかり続けて いる研究者だけれども大変いい研究者だという場合もあろうかと思いますので、この辺 は別に温情を持てとは申しませんけれども、温かい目でずっと見ていくということも、 広い意味の評価としていいのかなというふうに感じましてコメントさせていただきまし た。 ○豊島会長 あとはよろしゅうございますか。どうぞ。 ○内山委員 将来の研究企画部会の中でのお話の中に入れていただけるかどうかは分かりませんけ れども、先程ちょっと触れさせていただいたんですが、先程の評価の必要な理由という 中に、柔軟かつ競争的で開かれたという話であるとか、或るいは創造性が十分発揮され るといったようなことがありましたが、これは研究を評価する、成果を評価する、或る いは成果を事前に評価をするということだけではなくて、研究機関の組織そのものがや はり相当問題なんじゃないか。 それこそ制度に縛られたといいましょうか、研究員がいて、主任研究官がいて、室長 がいて、部長がいて、所長がいるというような体制そのものにも問題があるんじゃない か。これは理化学研究所などを拝見しておりますと、やはり柔軟で競争的、あるいは独 創性を生かすというためには、従来の古い明治時代からの組織だけに頼っていたのでは だめだということはよく分かりますので、厚生省は率先して試験研究機関の組織をもう 一回見直していただく必要があるのではないかと思います。これは全部を変えてくださ いという意味ではなくて、必要な場合には変えられるような柔軟性を持つようなことを ひとつ議論していただけるとありがたいなという気がいたします。 ○豊島会長 どうもありがとうございました。他にございますでしょうか。どうぞ。 ○矢崎部会長 先程時間がないのでお話出来なかった点を追加させていただきます。 私個人としては評価というのは、1つは事前評価で、研究課題の採択などにつきまし ては透明性・公平性ということで、きちんとした評価ということがポイントでありま す。2つ目の目的は単に評価の在り方というのは何も締め付けるために評価するのでは なくて、今お話のように実際にこの評価の結果をどう生かすかというのが一番大事なポ イントではないかと思います。それで、評価を行うことによってむしろマイナスという ことではなくて、非常にオリジナリティーの高いものとか、あるいは実績の上がったも のはむしろ研究をもう少し中心的な位置に調整して持っていくというような、そのポジ ティブなセレクションとして評価を利用していただければということであります。 それで、研究者をエンカレッジするという意味の評価ということで、私はそういう趣旨 でこの在り方についての骨子をつくらせていただいたというふうに理解しています。 従いまして、先程の内山委員からの御発言の研究施設の在り方その他については、なか なか研究機関自体では難しい点もあろうかと思いますので、人事の点その他、人の管理 ということを中心に、その研究機関の長を中心とした方々が評価を基にして中を改革す るなり、組織の運営を方向づけるということにこの評価を利用していただければ大変あ りがたいということです。ポジティブな意味でこの評価をするという意味をウェートを 置いていただければ大変ありがたいというふうに思います。 そういうことで、今後の部会におきましては、更に厚生科学の本質的な在り方とか、 そういうことにも議論を加えていきたいというふうに思っております。今日貴重な御意 見をいただきましたので、それに基づいてまた検討させていただきたいと思っておりま す。以上です。 ○豊島会長 どうもありがとうございました。 いろいろまだまだ御意見はあるかと思いますけれども、一応この辺りで本日の会を閉 じさせていただきたいと存じますが、よろしゅうございますでしょうか。 それでは最後に審議官から、今回の会合につきましてごあいさつ願います。 ○審議官 一言御礼申し上げたいと思います。 本日は、2件の諮問につきまして御審議をいただき、おまとめをいただきまして大変 ありがとうございました。この厚生科学審議会は今年度4月に設置されまして、5月に 第1回目を開催させていただいた訳でございますが、その間、総会が本日を含めまして 3回、研究企画部会が7回、先端医療技術評価部会が4回ということで、発足第1年目 といたしましては大変たくさんの回数で、委員の皆様方に御苦労をお掛けいたました。 この席を借りまして厚く御礼申し上げたいと思います。 本日、御了承いただきました厚生科学研究に係る評価の実施の在り方につきまして は、審議の中でいろいろな角度から御意見をいただいておりまして、私ども事務方とい たしまして、この運用にあたりましては単に形式に流されることなく、この評価の仕組 みをつくった本来の目的を忘れない形で実施をしていきたいと考えております。 また、その上で不都合なところがあればまた御議論をいただきまして改めていくとい うようなことになるかと思います。 また、平成10年度の公募研究課題につきましても今日の御議論を踏まえまして遺漏の ないように進めさせていただきたいと思います。 今年度、恐らく本日が最後だと思いますが、この発足以来の1年間の御協力に感謝申 し上げますとともに、また来年も引き続き御協力をお願い申し上げまして、簡単でござ いますが御礼の言葉に代えさせていただきたいと思います。 ○豊島会長 それでは、お忙しいところ御熱心な討論をありがとうございました。これで本日の会 は閉会させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。 ○事務局 事務局から最後に伝達事項がございます。 委員の先生方には、12月24日を予備日として予定をとらせていただいておりましたけ れども、今日の御議論で取りまとめが出来ましたので、12月24日の予定はキャンセルを していただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。 問合せ先 厚生省大臣官房厚生科学課 岡本(3806)、坂本(3804) TEL (代表)03-3503-1711 (直通)03-3595-2171