97/11/27 第11回年金審議会全員懇談会議事録            第11回年金審議会全員懇談会議事録 日 時 平成9年11月27日(木) 14:05〜16:20 場 所 厚生省特別第一会議室  1 開 会 の 辞  2 委員出席状況報告  3 議 事   ・ 次期財政再計算に向けての検討について  4 閉 会 の 辞 〔出席委員〕   京 極 会 長   八 木 委 員  砂子田 委 員  岡 崎 委 員  木 原 委 員   国 広 委 員  都 村 委 員  富 田 委 員  福 岡 委 員   桝 本 委 員  目 黒 委 員  山 田 委 員  山 根 委 員   吉 原 委 員  若 杉 委 員  渡 邊 委 員  船 後 委 員 ○会長  ただいまから第11回の年金審議会全員懇談会を開催します。初めに委員の出席状況に つきまして、事務局から御報告をお願いします。 ○事務局  本日は、久保田委員、神代委員、坂巻委員、高山委員及び貝塚委員が御欠席でござい まして、そのほかの委員は御出席でございます。なお、吉原委員は遅れていらっしゃる との連絡がございました。 ○会長  本日の議事に入ります。本日も前回に引き続きまして、次期制度改正の論点整理に向 けて議論を行います。前回の審議会でお諮りしたことですが、本日は事務局から論点整 理の原案を示してもらい、それをいわゆるたたき台に議論を進めます。  なお、この論点整理は、次回12月5日の審議会で取りまとめることにして、すべての 事項について御遠慮なく御議論をお願いします。  それでは、事務局から資料の説明をお願いします。 ○事務局  お手元の本日付資料1を御覧いただきたいと思います。A4の横長でございます。会 長からお話ございました「論点整理」(案)ということで柱書き。そして、これまで御 議論いただきました検討項目に沿いまして、考え方を整理をしているわけでございまし て、各検討項目について、原則としてどのように考えるかという形で表記をさせていた だいております。  したがいまして、これまで審議会等において出されました各項目についての御意見と いう形では記載をしておらないわけでございます。それから、「備考」の欄におきまし ては、各検討項目を考える場合に、参考となる数字あるいは経緯などにつきまして、最 小限の記載をしておると、こういう整理をさせていただいたところでございます。  それでは、各検討項目及び考え方につきまして、朗読をさせていただきたいと思いま す。なお、「備考欄」につきましては、朗読を省略させていただきます。  (事務局より「次期年金制度改正についての「論点整理」(案)について朗読) ○会長  ありがとうございました。それでは議論に移りますが、大項目が5つ、中項目が11、 小項目が16出ております。初めに資料全般にわたる基本的な御意見がございましたら、 それを伺いまして、それからだんだんと中項目、小項目というふうに御意見を伺うこと にします。  まず資料全般にわたる基本的な御意見がございましたら、どなたからでも御自由に御 発言いただきます。 ○A委員  この間、あえて申し上げると言って申し上げたのですが、国の財政が大変厳しいので しょうが、やはり国民の選択肢として、これを提出するというのであれば、国民の側か らも、例えば年金でありますとか、医療、介護というものについて、目的税の創設につ いてどう思うのかというのがあってもいいように思いますが、それだけ御意見として申 し上げておきます。 ○B委員  一部重なるかもしれませんが、特に目的税問題は従来議論されてきたのは、主として 基礎年金の保険料徴収との絡みで議論されてきた面が大変多いかというふうに承知をし ております。論点をこういう形で整理していただいたので、かえって浮かび上がってき たと思うのですが、現行の公的年金制度の中の基礎年金にかかわる問題はそれぞれ重要 な点がありますので、今後の整理の仕方ですが、むしろ基礎年金部分にかかわる論点 を、ただいま御指摘の目的税問題も含めて、大ぐくりの1つの柱として整理をし直して いただいた方がかえってわかりやすいのではあるまいか。御検討いただければ、ありが たいと思います。 ○会長  目的税の問題、基礎年金全般の問題、ほかにどなたか、御発言ございましょうか。 ○C委員  今、お二人の委員から話が出たわけですが、これは個別の問題として、公的年金の在 り方というようなところに絡んでくる問題だと思いますが、財源の問題は確かに問題が 御指摘のようにあると思いますから、これは目的税の問題を含めて、1つ項を立てられ た方がいいのではないかという気がします。 ○会長  例えば、御提案として、この紙の何ページ目に入れたらよろしゅうございますか。 ○C委員  2ページの「公的年金の在り方」。 ○会長  「公的年金制度について」という中の中項目の終わりの方で、「基礎年金について」 という項目を起こしますか。 ○C委員  公的年金の組み立ての問題と絡んできますから、給付と負担の問題だけではない。公 的年金の在り方の中を2つに分けるかどうかということになると思うんです。技術的に はどっちがいいか。 ○会長  どこへ入れたらいいか、何か案がありますか。 ○事務局  この場で結論めいたことを今すぐ申し上げるのは勘弁していただいて、若干検討の時 間を与えていただきたいと思います。今も御案内のとおり、基礎年金については、国庫 負担、給付水準、それぞれのところで出てくるわけですが、基礎年金については、そう いう議論を1カ所にまとめろということであれば、一番適切な場所にまとめて記載する と、こういう方向でたたき台をつくって、また御相談させていただきたいと思います。 ○C委員  もう一つは、これは大した問題ではないですが、今の公的年金との絡みも出てくるの ですが、公的年金の意義・役割等を明確にして、わざわざ「学生等」というのが入って くるのはどうなのかという感じが少ししないでもない。ことさら「学生等」と言わなく ても、いずれにしても次世代の人にわかりやすくということと、次世代の人もこれによ って利益を受けるんだよということがわかってもらわないと困るという意味だと思いま す。次世代の人に単に支えることを理解してくれというのではなくて、次世代の人も次 の世代からまた支えられるんだよということをわかってもらうところにPRの意味があ ると思うので、ことさら「学生等」というふうに言う必要はないのではないか。これは 言葉の問題ですが、少し内容もありそうなので、申し上げておきたいと思います。 ○事務局  今の学生云々の文言ですが、これは誤解があるといけませんので、あえて申し上げま すと、今の基礎年金の強制加入の対象である大学生ということではなくて、高校生、中 学生、そういう若い人を含めて公的年金について正しく理解してほしいと、こういう趣 旨で御提言があったものでございまして、表現は確かに学生ということだと、今のC委 員みたいに誤解されるおそれがありますので、これは注意して書き直さなけれはいけな いと思いますが、趣旨はまさしく今おっしゃったように次世代の人にわかっていただけ るようにと、こういう趣旨です。 ○会長  ほかにどなたか、全体的な構成、あるいは大項目について御意見ございましょうか。 ○D委員  今、事務局から御説明あったのですが、先ほどのC委員の「学生等」というところは 2つ意味があって、1つは今御説明がありましたように、大学生に教育をしています と、年金だけではなくて、社会保障全体について本当に認識が薄いことを痛感します。 特に文系とか福祉を専攻する場合はそうでもないわけですが、多様な専攻の学生がおり ますので、全般的に認識が薄いと思うんです。それは大学教育の中で、社会保障論と か、社会政策論を必修科目にしているところは割と少なくて、特に国公立はそういうの がなかなか取り入れられていないわけです。  ですから、大学生からといっては、私は遅いと思いますので、義務教育、少なくとも 中学や高校のときから、ボランティア活動とかの現場を知る意味も含めて広い意味での 福祉教育、保健教育というものが必要で、その中で特に年金という重要な制度について は、意義や役割をある程度理解させることが必要です。中、高とか、小学校でもいいか もしれませんが、頭の柔軟な時代から、もう少し福祉教育で認識させていくことが必要 なのではないかということが1点。  もう一つは、「学生等若い世代」となっておりますのは、この前、事務局から御説明 がありました年金未加入者の調査で、たしか毎回調査のたびにそうですが、かなり年齢 の高い方は未加入率が低いわけで、当然入っている。未加入者が非常に多いグループは やはり20歳から30の初めぐらいまででしょうか。そのあたりで、職を持っている、持っ てないにかかわらず、若い世代に未加入者とか未届け者、未納者が多いということで、 その辺をターゲットにもう少し国民の理解を深める必要があるのではないか。これは今 すぐというわけではありませんが、年金制度の将来にとってかなり重要な1つの論点で はないかと思います。「学生」という言葉になると、20歳以上の第1号被保険者という ふうにとられがちですので、用語を変えることはいいかと思いますが、趣旨はそういう ことを含んでいると思います。 ○B委員  関連して1つ教えてください。厚生省で社会保障問題についての学校の副教材を用意 されていると思うのですが、1つお願いは副教材を当審議会の参考資料として御提供い ただけないか。あれは実際にどういう年代の層を対象に編纂されたもので、実際の利用 率というか、利用状況はどんなふうになっているのか、もしおかわりであれば、教えて いただけると助かります。 ○事務局  10月の21日に、私ども年金現業業務の御説明をさせていただきましたが、そのときの 資料の39ページの「周知・広報」というところの(2)の2)に中高校生を対象にいたし ました年金教育ということをやっておりまして、今、B委員からお話がございました副 読本というのをつくりまして、まず社会科の先生に理解をしていただくと。そして、そ の後、それを利用して社会科の授業でやっていただくということをやっております。副 読本、中学生向け、高校生向け、それぞれつくっておりますし、学校の先生向けにもつ くっておりますので、次回にでも御配付をさせていただきたいと思います。 ○B委員  よろしくお願いします。 ○E委員  ちょっとお尋ねなんですが、2ページから3ページ、給付と負担に係る関係なんでご ざいますが、備考欄にございます「平成6年度全国消費実態調査」というのがございま す。なお、その下の方に現役世帯の収入の内容等があるわけですが、平成6年というの は、11年に対しての平成6年なんでしょうか。ここ数年来の経済的な動きを見ておりま すと大変変化があるような感じもいたしますので、あえて申し上げるような次第なんで すが、もうちょっと至近のデータ等があるいはあるのかなというような気がしないでも ないんですが、いかがなんでしょうか。 ○事務局  現在掌握している中では、全国消費実態調査では最新のものでございますけれども、 それに類する、またいろんな指標がございますが、ここでは公的なこれを使用させてい ただいております。 ○C委員  これは最新として出したんですか。それとも前回の改正のときに使ったという意味 で、5年前のものを再計算のときのデータでこうでしたということを出しているんです か。これは直近として出ているとは認識してないんだけれども、今の説明でよろしいん ですか。 ○事務局  全国消費実態調査は5年に1回行われることでございまして、現在掌握しているもの についてはこれが最新のものです。 ○C委員  5年に1回しかないわけですか。 ○事務局  全体にわたるものはこれでございます。 ○B委員  ちょっとお話が出たので、3ページの全国消費実態調査のこのデータについて意見だ け申し上げておきたいのですが、消費支出の方は、これ自体についてそんなに大きな変 動がないと思うんですが、これを2つ並べられますと、例えば特に目立つのは貯蓄額の 違いですね。上の方は、「夫65歳以上、妻60歳以上」の、これは恐らく無制限の平均値 だろうと思いますし、下の方は、30代ということですから、これはある特定年齢帯とい うことになりますが、これだけ比較すると、要するに高齢者の方々は非常に貯蓄がたく さんあって豊かではないか。それに対して現役はこれっぽちしかないのでかわいそうで はないかといったような感情的な議論にややもすれば引きつけられかねないので、この 数字について誤解のないような配慮をぜひお願いしたいと思います。  私の理解では、現役世代の貯蓄額というのは、退職時点まで次第に積み上がっていっ て、そして、退職後、これは取り崩しに入っていくと、こういう性質のものだろうと思 いますので、これだけが直接に比較されるとあらぬ誤解を生むことになるのではない か、そんなふうに思います。 ○F委員  1ページの小項目の2番目と4番目ですが、これはよく読んでみますと、少し両方そ れぞれ内容的に重なっている部分がありますし、何となく据わりが悪いような感じがし ないでもないんですね。ここのところを1つにするとちょっと無理がありますので、本 質的に何を言いたいかということをもうちょっと整理して、2つの項目の表現を少し考 えていただけるといいのではないかと思います。  1つには、2番目の方は、現実にどういう変化が起きているかということを踏まえて 年金制度全体を見直すと。それが将来的に安定した年金制度をつくるのではないかとい うことなんですが、その中に抜けているのは価値観の変化というところではないかと思 いますので、価値観の変化ということをここで出すと、4番目のところにある、「家族 や就業の形態の変化」とか「人生設計の多様化」というのは価値観の変化に伴う変化の ものですから、そういうふうなところでちょっと重なっているように思いますので、そ れを整理し直してみてはどうかと思います。  そこで問題は、初めて登場しました4番目にあります「男女共同参画社会をめざし て」、これは私としては重要だと思うのですが、これは他のもろもろの政策等の整合性 で、年金制度においても、ぜひこれを明確にすることが何としても必要かと思います。 これはほかのところとは別立てにするとより明確になるのではないか。これは私の個人 的な希望ではありますけれども、もうちょっと整理ができるのではないかというふうに 感じます。 ○C委員  ここの「論点整理」というのは、何のための論点整理かというと、今後この問題を詰 めていく上での論点整理であると同時に、いわゆる選択肢をある程度国民から、あるい は有識者から聞こうじゃないかという目的で整理されておかなければならないというの が考え方としてあるわけですね。つまり、今まで、例えばの例ですが、先般来、議論が 出ている3号被保険者の問題であるとか、そういうものも、選択肢として、国民はどう 考えているのだろうか、あるいは有識者はどう考えているのだろうかという形で、当然 登場してくる話なわけなんで、もちろんこの年金審議会自体として基本的な理念をどう とらえているかという問題ももちろん大事なのですが、一方で、今、価値観が非常に多 様化している中で、しかし、ある程度いろんな選択肢を提言して、国民各層なり有識者 の意見を聞いた上で、ある程度パラメーターを多少絞り込んだ上で次の議論に入ってい かないと設計できないわけですね。  そのときに選択の範囲というものをやっぱり持っておかないといけない。そういう視 点も失わないような整理にしておいていただきたいというのが基本的な物の考え方の1 つだろうと思います。 ○F委員  今の考え方について、私も全く同じ意見でございまして、ただ、表現の仕方をどうす るかという問題で、あちこちに同じようなことがばらばらになってない方がいいかとい うことで申し上げました。 ○G委員  言葉の問題で大したこともないんですけれども、2番目が「公的年金」と書いて、3 番目が「公的年金制度」と書いてあるんですが、これは過去にもこういう使い分けはあ ったと思うのですが、何か特に意識してこういうふうに区別されているのかどうか。 ○事務局  これは言葉の使い方でございますけれども、2番が公的年金の全体のありようという ものを考えていただくという項目。3は、制度の中の各論といいますか、中項目で整理 させていただきまして、そういった給付とか負担の問題についてお考えいただくという ことで書かせていただいたまででございます。 ○H委員  大した意見でないかもしれませんが、制度改正にかかわる総括的な範疇のことだと認 識しているのですが、これまで10回近く話をしてきた中で、幾つかのタイミングでいろ んな先生方がおっしゃった話の中にあったと思うんですが、前回改正は年金制度にとっ てどういう位置づけだったのかということは出発点の論議の中で要らないのかどうかと 思います。話には何度も出てきたと思うんですが、前回懇談会のときもこれまでいろん な節目があって、大きな改革があり、小幅な改革がありましたという話がありました。 そういうことも含めまして、前回の改正は、年金制度そのものにとって、給付と負担と いう絡みも含めまして、どういう位置づけだったのかという総括があって、1ページに お示しになっているようなことが必要なのではないか。そういう議論は全くしなかった かどうかというと、そうではなくて、早い段階の時も含めていろんな面で話はあったの ではないかと思います。そこのところの整理はもう要りませんかね。少しそこのところ が気になったものですから、発言させていただきました。 ○会長  前回の再計算のとき、私も座っておりました。前回から御継続の方もかなりいらっし ゃいますが、どなたにお伺いしましょうか。I先生、何か大局的に。 ○I委員  制度改正は、日本の場合には4〜5年に一度再計算のときに行われる。これは余り外 国には例のないやり方なんですが、確かに過去振り返ってみますと、最近問題になって おります段階保険料方式の見直しといったような問題も実は昭和40年改正あたりから問 題が出てきて、そして48年を経、60年を経、そして今日に至っておるわけですが、そう いう意味で、今回の改正をどういうふうに位置づけるか。当面の収支のつじつまを合わ せるための比較的小規模の改正と考えるか、あるいはまた構造的な改革までも含めて日 本の公的年金制度はもう考え直さなければならない時期だというふうに考えるか。その 大きな立場が1つあるわけでして、もし、後者のような立場に立つならば、今、H委員 がおっしゃったのはごもっともでございまして、私は前回改正の意味、さらにその前回 の昭和60年改正、つまり基礎年金制度ができた改正、それから、昭和48年のスライド制 の入った改正、ここらあたりが非常に最近では大きな改正で、その後の公的年金制度の 方向をここで決めたようなんですが、そこまでひとつ考え直して議論するということだ ろうと思います。  やはりこれもスタンスの問題でして、今度の改正は構造的な問題まで取り組むのかど うか、これが根本だろうと思います。 ○C委員  今の話の関連ですが、前回改正だけでは少しまずいので、最近議論が起こっているの は、私は全く知らないのですが、60年改正と絡んでいるのではないかというような気も しますし、さらにスライド制の問題等々、もちろんスライド制の果たしたプラスの問題 もあると思うのですが、マイナス問題もあったかもしれない。その辺を一遍ある程度振 り返ってみる必要があるのではないか。どうもそこの辺まで絡んでくるのだとすると、 今、I委員がおっしゃった、少なくとも48年、60年ぐらいのところはある程度の整理を しておく必要があるのかなという気が率直に言っていたします。  我々も本当のところはよくわかってない。I委員はよくわかっておられるから、I委 員から聞けばよろしいのでしょうけれども。 ○J委員  私は前回から入れていただいたと思いますが、私にとっては、今の段階で一番大きい 問題は、要するに人口の構造が意外に大きく変わったから、今までのようなやり方では つじつまが合わなくなってきたということが、前回と今回との大きな違いのように思い ます。だから、積立方式にしろとか、賦課方式はやめろとかという言葉で言われるよう なことになったのは、いつになったら人口構造が安定するか、ちょっとわかりませんけ れども、人口構造が逆ピラミッド型になっている以上は、どんなに議論しても非常につ じつまの合わせ方は難しい。そうすると修正積立方式をうまく経過させながら安定する 時期を待つというふうな非常に動態的な中での年金制度の考え方を初めて考えざるを得 なくなったのではないか。  そうでない限りは非常に楽なんです。年齢構造が安定しておりましたら、どういう計 算をしようと割と合意は簡単にいくと思うのですが、不安定なものですから大変難し い。だから、前回よりももっと難しいというところが非常に大きいと思います。 ○D委員  選択肢を提示する前の論点整理ということで、幾つかの重要な論点があると思います が、私は選択肢のことを考えますと、たくさんある重要な論点の中の1つとして、3 ページのところに出ている負担水準の限界ということがあると思うんです。既に82年の 臨調、その後の行革審、去年の社会保障関係審議会の会長の会議等でも絶えず1982年か ら続けて、国サイドから出されてきたのは国民負担率が高齢化のピーク時にも50%超え ないようにということでした。これは経済社会の活力を維持するためにはどうしても必 要なのだということで、そこでの50という数字は出てきているわけです。実際にいろい ろな経済社会の変化、特に人口等の変化があって、将来、例えば年金で言えば、新推計 では今の厚生年金の保険料が 17.35から34.3%まで上昇するということです。具体的に 働いている人とか一般の現役世代の人が将来、平均的な所得で見て、負担がどのくらい になるのか。逆に言えば、可処分所得がどのくらいになるのか。それをある程度その選 択肢の中に書いたほうがいいと思います。年金については保険料を段階的に引き上げて いけば、34.3%の半分が本人負担になりますということですね。また、医療の方もあり ますし、その他の雇用とかの社会保険の保険料もあるわけですね。それから所得税、住 民税もある。 そういうふうな差し引かれる部分の非消費支出というか、その部分が、国民負担率50 %を維持した場合に将来どのくらいになって、どのくらい可処分所得というか、生活水 準を切り詰めなけれはいけないのか。ある程度目安になる数字としては、先進諸国の平 均的な被用者の負担率がデータとしてあるわけですね。例えばデンマークとかオラン ダ、スウェーデン、フィンランドでは、年収の大体30から38%ぐらいが、これは93年の 数字ですけれども、税と社会保険料で持っていかれるということですね。また、先進諸 国で中くらいのグループのところでは、イギリス、フランス、アメリカは大体20%前後 であると。 それに比べて、今の税制とか住民税の仕組み、控除の違いとかもありますけれども、 日本は両方合わせて、税と社会保険料で平均的なサラリーマンは年収の 9.8%、今徴収 されているというか、負担しているということです。例えば高齢化のピーク時に至る、 もっと中間的なところでもいいですが、そのときに、他のいろいろな負担も合わせた負 担がどのくらいのところまでいって、どのくらいの厳しさになるのかということを示し たほうがいいと思います。事務局の方で、もちろん推計値ということになると思うんで すけれども、年金、雇用、税、所得税、住民税を合わせて、どのくらいの負担率になる のかということを示してほしい。3ページの一番下の「負担水準」のところで、「負担 の限界についてどう考えるか」というときに、これを国民にいろいろな選択肢を提示し て、どのような選択肢をみんなが選ぶかというようなことをこれからお尋ねになるのだ ろうと思うんですけれども、そのときの1つの指標として、そのようなデータがあれば いいのではないかと思います。もし可能であれば、事務局の方でそれを作成していただ ければと思います。  経済の活性化ということは、将来にとって大変大事だと思いますが、これはかなり前 の日経新聞で、団塊の世代の負担と給付との関係を調査しているのですが、例えば高齢 になったり障害になったりしたときのサービスが手厚くなれば、働いているときの負担 がもっと増えてもいいというふうに答えている人がかなり多いのですね。そういうふう な選択もあると思いますので、一体負担の限界が、年金だけのデータではなくて、もっ と全体を合わせた、税と社会保険料を合わせた全体でどのくらいの厳しさになるのかと いうことが、ある程度このくらいの給付であればこうという、メニューが提示されれ ば、かなり将来の生活設計というか、見通しもそれぞれの国民が描くことができるので はないかと思います。もし可能であれば、事務局にそのようなデータを出していただけ ればというお願いでございます。 ○会長  そういうタイプのデータがありますか。 ○事務局  まことに申しわけないのですが、実際に医療の将来負担の伸び1つとっても、現在の 制度改正の帰趨を見きわめなければなりませんし、税がどうなるかとか、雇用保険と か、これは年金局の立場で勝手な仮定を出すのは非常に難しいことでございまして、 今、私どもがつくれているデータ、例えば国民負担率が50%になったときにはどれぐら いのバランスになっているかという置き方はできますけれども、逆にこれぐらいになっ ているはずだという前提もなかなか置きがたくて、大枠で国全体の将来負担を予想した ような資料は難しいように感じておるところでございます。 ○事務局  今のD委員のお話に関係する資料としましては、実は第6回9月24日にお配りしまし た「社会保障の給付と負担の見通し」ということで、介護保険を導入した上で現行制度 を維持するとどうなるかということで、これは国民所得の伸びをどう見込むかによって 随分変わってきますので、3つのケースに分けて、一度資料を御説明したかと思いま す。  それで、この問題につきましては、選択肢を提示する際には、こういった選択肢を提 示すると、現行制度に対して、将来の国民負担率がどのくらい下がるか、そういうデー タを含めて選択肢を提示したいということで、今いろいろ作業を進めております。 ○B委員  D委員御指摘の問題は大変重要な問題だと思うのですが、幾つか絞って申し上げたい と思います。まず先生も御指摘の将来の現役世代が負担が増えてどのくらい苦しくなる かという問題を考えた場合に、これは家計の負担というのは必ずしも国民負担率という 数字によっては表現し切れないわけですね。例えば年金の給付水準が低まった。その分 だけ個人年金等々で補てんをするといった場合の、つまり公的な給付が下がった分を私 的に準備をするという、これは負担の内容が公的な負担から私的な負担に振りかわるだ けであって、家計としてはその負担は別に小さくならないという問題が1つありますの で、国民負担率という、ああいう数字そのものが日本独特なものらしいのですが、それ が家計の負担の指標になるわけではないということは1つおさえておいていただきた い。  それから、大分前の審議会で年金局が苦労してつくられたデータに、世代ごとの負担 内容の違いのデータがございましたね。70歳、50歳、30歳等々で切りわけたものです が、現在話題になりました団塊の世代が最も私的負担で苦労してきたのは御案内のとお り住宅ローンでございました。住宅ストックは、しかしそれによって整備されてきたわ けですから、後代の世代はその負担をかなり軽減されることになるということも、十分 に配慮をすべき要因なのだろうと思います。そのことは、逆に言えば、先行世代から後 代世代へストックという形でもって残されていく財であって、したがって、住宅等の負 担がそのまま維持されるというふうな前提を置くことはできないだろう。  それから、教育費の負担がこの20〜30年の間、家計を極めて圧迫してきた問題である ことは御案内のとおりでございますが、これはむしろそういった在り方そのものを問い 直されるべきテーマなのだろうと思いますので、あくまでも家計の負担の問題を1つは 私的な領域に代替される問題として射程に入れて考えていただく必要があるということ と、ストックの社会的な蓄積が後代に対して負担軽減になる分をどう考えるのかという 問題とをぜひ念頭に置いていただきたいというのが2つ目の点でございます。  それから、今日配られた資料の1ページ目のところで、3つ目のマルに「将来世代の 負担を過重なものとしないよう」という御指摘があって、これは確かに大変大事なこと でありますが、同時に現在の若い世代の年金等の制度に対する不信感は決して負担の問 題だけではなくて、彼ら自身が年金受給年代に到達したときに、果たして年金給付が保 障されるのか。この給付の問題を含めた不信であるということをやはり念頭に置くべき で、負担さえ少なければ、彼らは満足するわけではないのだろうと、ここも併せて考慮 に入れておいていただきたいと思います。  もちろん事務局からお話がありましたように、将来における可処分所得の動向を現在 の時点から正確に推計するのは、かなり大胆な仮定を置かなければならないことは、こ れは間違いないのだろうと思います。  と同時に、年金受給者の側も介護保険の導入等を含めて、あるいは医療制度改革を含 め、高齢者自身の負担は従来よりもこれは強まっていくのだとすれば、年金受給者の可 処分所得というものも、これまた同時に考慮しなければいけないだろう。その意味で、 所得代替率を従来のように名目賃金に対する年金総額というのでなくて、せっかく可処 分所得スライドを導入したわけですから、これは非常に意義が大きいと思いますが、そ の意義を 100%継承するという観点から考えれば、現役世代の負担を除いた可処分所得 に対応して、年金水準の給付設計に当たっても、年金受給者の可処分所得に対応するも の、これの所得代替率というものをいかにやるべきか、こういう議論をすることによっ て、先ほど言った若い世代の将来不安あるいは制度不信に対して応えることができるの ではないだろうか、そのように考えます。 ○会長 大項目とか、全般にわたる御意見のほかに、中項目11、小項目16ございますので、そ れぞれの個別の項目につきましても御意見をいただきます。 ○K委員  2の「公的年金の在り方」のところで、3番目のポツに、「公的年金の民営化・圧縮 (スリム化)についてどう考えるか」、この項目が出ているのですが、論点整理として は、産業界では経団連、経済同友会が厚生年金につきまして、そのレポートを出してお りますので、ぜひともその考え方について年金審としてはこう議論してこうだと、こう いう形ではっきり明確に意見を出しておくのが望ましいのではないかと思います。  私は個人的に経団連のレポート及び同友会のレポートは、行政面で実現可能とは思っ ておりませんが、これは私の理解では、社会保障あるいは社会保険という観点ではなく て、経済団体は財政金融改革、行政改革の立場から、現在の公的年金制度について解析 及び改定案を出していると思います。その中で、民営化というのは、先ほど出ました基 礎年金部分と報酬比例部分を分けて、報酬比例部分につきまして、賦課方式から積立方 式、確定給付から確定拠出、そして、これを民営化すべしと、こう言っているわけで す。私の解釈するところでは、 350兆の償却の問題について、これは税で負担するの か、どういう負担でやるのかが明確でないということで、行政的には実現が難しいのだ ろうと思いますが、その辺の問題も全体的にきちんととらえて難しいという意見を併記 しておいた方が、産業界の2団体がそういうレポート出しておりますし、あるいは通産 省の産構審の中の部会あるいは自民党の一部にも、社会保障は社会保障の観点ではなく て、行財政、金融改革の観点から提言されていますので、それはきちんとむしろされて おいた方がよろしいのではないか、こういうふうに思います。 ○会長  今の御意見についてでも結構ですが、ほかにもございましたら、どうぞ、御自由に。 ○C委員  今の意見との絡みなんですが、「公的年金の民営化・圧縮(スリム化)についてどう 考えるか」とこうなっていますけれども、公的年金の民営化というのは、漠然とした話 なのか、明確に、例えば公的年金というのは、基礎年金だけだよと。報酬比例部分とい うのは民営化するんだよと。それについてどう考えますかというような問いかけだと か、そういうふうに明確に言わないと、「公的年金の民営化についてどう考えますか」 と聞かれても答えようがない話になる。恐らく選択肢にならない。少なくともここでの まず基本的な整理としては、公的年金の1階建てと2階建てを分離するのか、しないん ですかという問いかけに整理しておかないとちょっとおかしいのかなという感じが、今 の話との関連でいたします。 ○D委員  年金に限らず社会の中の制度は、経済社会の変化に対応して、あるタイムラグを持っ て対応していくと思うんですね。年金についても既に何回か私も意見を言わせていただ きましたけれども、制度の中で女性の活動とか、生活、価値観、そういうような変化が どのように年金制度の中で位置づけられているかというのが非常に重要です。特に年金 というのは本当に全国民的な関心がありますけれども、働く女性が非常に増えてきてい るということで、働く女性が年金審議会の次期改正ということで、審議会に対して注目 している部分があると思うんですね。  審議会の構成は、働く側の代表とか事業主側とか、その他で構成されていますけれど も、今までの議論を聞いていますと、働く側の代表は、どちらかというと、働く男性の 代表という感じで、働く女性はまた違う要望なり年金制度改正に対する熱いいろいろま なざしを持っていると思うんですね。それは必ずしも働く側の代表からはそんなに出て きてないというふうに思うわけなんですね。  それで、先ほど御説明いただいた3ページの厚生年金のモデルでも、標準世帯をどう 考えたらいいかとか、ばらばらにはいろいろな働く女性から見た年金制度の在り方みた いなものが出てはいるんですけど、とても漠然としておりまして、これが選択肢を提示 するときに、どのような形で出てくるのか。今まだその前の議論ですから何とも言えな いのですが、審議会の全体で出てきたかなり強い意見をもとに選択肢をつくることにな ると、働く女性がきちんと位置づけられているかどうか問題があるのではないかと思う わけですね。  ここはまだ論点整理の段階ですから、まだぼんやりというか、何となく入っているな というような感じなんですが、ぜひ選択肢を提示する場合にはもう少し社会の中におけ る女性の役割とか生活とか、そういうものが変わってきているということもある程度き ちんと位置づけていただけるような、そういうのがもう少し出てくるようにしていただ きたいと思います。とにかく社会の中でパートタイマーであれ、フルタイマーであれ、 働く女性が増えてきているということで、そちらからの注目というのは、やはり年金審 議会に対してかなりあると思いますので、ぜひその辺のところが出てくるようにお願い したいと思います。 ○B委員  労働側委員は男ばっかりで、女の意見を反映してないのではないかという御指摘のよ うですが、申しわけございません。  しかし、その意味で、例えば委員会構成あるいはこの問題を議論する人間たちの代表 性ということをいうならば、将来の年金にかかわる直接の負担の当事者である若い世代 の発言権というのは、現在の社会の中ではほとんど保障されていないわけですね。労働 組合だって、実際の方針決定をやる執行委員なんていうのは40代以上が大部分ですし、 偉い人はもっと年上。それから、働く女性、パートタイマーを含めてというふうにおっ しゃいましたが、まさに3号被保険者の問題をめぐって、フルタイム長期勤続女子労働 者とパートタイム労働者の間では明らかにこれは意見が違うわけであります。そのこと は、いわゆる純粋専業主婦といったような数は今はかなり減っておりますが、パートタ イム女子は増えているわけでございまして、その意味で“働く女性”という言い方につ いては、私はかねてから組織内で議論するときに大変抵抗感を示しております。それは ともかくといたしまして、実際の稼得収入がある女性といっても、多くの場合にこれが パートタイムの道を選択せざるを得ない状況に置かれている、この客観的な構造をどう 考えるのかということを抜きにして議論は非常に難しい、このように考えております。  実際に、例えば連合なら連合の女性部隊の意見を、あなたは代表していないでしょう とおっしゃれれば、それについては、そういう面は多々あるだろうということを含めて 御意見を申し上げておきたい、このように考えます。  それから、それと関連いたしますが、支給開始年齢の問題が5ページにございます。 高齢者につきましても、ここのところは定年退職後の勤務延長あるいは再雇用という形 で就労している高齢者にかかわる問題でございますが、これまた現在の労働組合が構成 上うまく代表できない階層の労働者であります。そして、ここの支給開始年齢の問題に つきまして、最初のマルのところで、「平均余命の伸びや高齢者雇用の在り方との関連 についてどう考えるか」ということの表現でございます。ここはぜひ「雇用の終了と年 金支給開始との接続」というふうに我々は非常に強く問題意識を持っておりますので、 ぜひともそのようなふうにここの辺は表現を少し修正をしていただけないだろうかと思 います。  また、ここの部分の最後のマルでございますが、いわゆる2階部分についての廃止、 これについてどういう議論がこれまで公然となされたのかよく承知しておりませんが、 ここのところでは、年金の支給開始年齢が65歳になったならば、一律定年制を65歳に伸 ばせば、雇用と年金との接続が可能かと。これは形式的に考えればそうでございますけ れども、実際は60歳を過ぎた後から、それまでの労働形態にもよりますが、個人個人の 肉体的な条件については極めて個人差が広がるわけであって、むしろ将来の年金と雇用 の接続については、本人自身が引退年齢を自主的に選択できるような柔軟な制度である ことが望ましい、そのように考えます。  そういうことから言えば、この最後のマルのところは、部分年金の廃止という問題よ りも前に、例えば、廃止ということは65歳フル年金支給とこういうことになろうかと思 いますが、その場合の前倒し支給の減額率をどのように考えるか、こういう問題になる と思います。前回改正以降、前倒し支給の問題は、現在の65歳支給開始になっておりま す基礎年金について、5年の前倒しの場合の減額率が42%になっていると承知しており ますが、これ自体が算定された基本になっている生命表のデータは、恐らく昭和30年代 ぐらいの古いものであったはずでございまして、それ以降の長寿化傾向というものを正 確に考慮に入れれば、これは当然引き上げるというか、引き下げられるというか、58% でなくて、例えば70なら70、75なら75というところへ当然のことながら、これは修正さ れるべきもので、これは前回改正論議のときの1つの積み残しテーマだったのではない でしょうか。  そのことがここに明示されないまま、ただ、部分年金の廃止ということだけがこうい う形で挙がることについては非常に問題との印象を強く持つところでございます。 ○L委員  先ほどF委員から全体の1の部分のところで、重複というか、整理がもう一回必要で はないかという御意見がありましたけれども、私は「公的年金制度について」の、「給 付と負担の水準について」、2ページの、「給付と負担において、個人単位の考え方を 拡大することについてどう考えるか」という項と、その次の給付水準の、「現行の厚生 年金の標準的年金の考え方」、この項とが幾分ダブってといいますか、次の方、厚生年 金の、「従来どおりこのような世帯を標準とすることでよいか」ということが投げかけ られたときに、何を投げかけられているかというときに、つまり40年間夫がサラリーマ ンを続け、妻は全然サラリーマン生活とか収入がない生活をしているのを標準とするの でいいんですか、どうですか、ということなのか。あるいは標準世帯というような考え 方自体を続けていいんですか、という問いかけと、何か二重に聞かれているようなふう に思うんですね。ここを、だから前の部分と整理し直して、両方尋ねているのであれ ば、両方尋ねているというふうにしていただきたいと思うのです。  全般的に言えば、これが投げかけられるわけで、これからメディアにも乗り、国民が 考えるための指針になるわけですから、何を国民が問いかけられているかということが できるだけ明確にわかるような文章に整理していただきたい。何を一体私たちは考えれ ばいいのだろうかということが、なるべく普通の人にわかる形に整理していただきたい と思います。  今の40年間夫がサラリーマン、妻が全くサラリーマン期間がないというのを今まで標 準にしてきたということなんですが、先ほど2号の女性の意見が余り出ていないのでは ないかというのがありましたけれども、現実に例えばこういう標準世帯を提示されたと きに、これに合う、特に女の人の場合、私はこれだわ、と思う人はすごく少ないと思う んです。ある一定の世代の上の方はそういう方もたくさんいらっしゃるかと思うんです けれども、団塊の世代以降ですともうこういう世帯は非常に少ない。そうするとモデル としていろいろ出されても、自分の年金がどうなるのかということについてイメージが わかないわけですね。そして年金制度というのは非常に複雑であると、難しい、私には 関係ないという受けとり方をしてしまうので、そういう点からも、標準世帯という考え そのものが無理になっているということを想定していただきたい。  そこで、つまり個人単位の考え方を拡大するというのはどういうことなのかというこ とも、どういうことを問われているかがわかるように提案するべきではないかと思いま す。  もう一つなんですけれど、先ほど2号の女性の意見が反映されていないのではない か、声が聞こえてこないということがありました。例えば年金審議会のこの構成におい ても、3号という、女性の3分の1を占める3号の意見は今まで年金制度を考える上で どういうふうに聞き取られてきたのか。というのは、特に60年改正のときに、どういう ふうに扱われてきたのだろうかというのは非常に私は疑問に思います。 というのは、私は3号だった時期があるんですね。私は今1号ですけれども、2号で あったこともあり、3号にもなり、今1号なんですね。今度これからどうなるかわかり ませんけれども、女の人は長い人生の中で、年金制度の中でいろいろなものを経験し て、非常に複雑なわかりがたいということを経験しております。それから結婚、離婚、 夫が亡くなる、いろいなことを経験しますね。  ですから、そういう意味でも、私はもっと女の人にとってわかりやすい、納得のい く、すぐに、私の年金はこうなっているというふうなものにしてほしいということと、 せっかく1号、2号、3号とつくったのであれば、その各人の意見が反映されるように 審議会も意見をみんなに聞くというときに、その点もぜひ考慮していただきたいと思い ます。 ○I委員  先ほどC委員がおっしゃいました公的年金の民営化のところなんですけれども、確か にC委員の御指摘のとおりだと思うんですね。これじゃ、一体何を言っているのかよく わからない。非常に包括的に書いてありますから、これによって何でも議論していいの ではないかというふうにもとれますけれども、一体ここで我々は何を議論するのか、こ の民営化の問題についてというあたりは、世間の関心がかなりある問題だけに、私は 350兆円があるからどうにもならないという答えだけでやはり済まないと思います。 やはり民営化が提起した問題というものは、一応よく検討してみる必要がある。その 背後には、1のところに出てくる世代間扶養だとか、世代間の公平といったような問 題。あるいは賦課方式か積立方式かといったような問題。さらにはまたその積立方式を とるとして、積立金の運用はどうするのかといったような問題。こういったいろんな問 題が実はこの民営化という問題の中に提起されておる。  それとこのスリム化とは似た話なんですけれども、ちょっととらえ方が違うんです。 スリム化は公的年金の基本的な構造は、現行のままにしておいて、なるべくまさにスリ ムにしていこうじゃないかと。一方においては負担面の問題もこれありといったような ことだろうと思うんですが、ですから、そこらあたりは私は少なくとも2つ書き分けた 方がいいと思います。  そして、民営化の問題も、この審議会で世間的に関心をよんだ問題だけに、一体これ について、審議会としてはどういうふうな判断をしたかということも後日のために残し ておいた方がいいのではないか、そういうふうな気がいたします。 ○K委員  I委員に全く賛成です。世間で言われていることに対してきちんと答えた方がよろし いのではないかと思います。  それから、個別の項目ですが、公的年金制度の給付と負担のところで、3ページの下 にあって、「負担の限界についてどう考えるか」とこうあるんですが、以前、私がお願 いしましたのですが、給付のことは別にして、負担という観点から、現在の17.35%の場 合にどのぐらいの給付が可能なのかと。この前、東証のアンケートで20%というのがあ りましたけれども、中小企業は20%程度の負担にしてほしいと。これはそういう意味 で、選択肢のときにぜひとも17.35%にこだわりませんが、20%レベルというのはどういう給付の水準になるのかを提示していただきたい。 そのときに、先ほど話が出ましたように、老後の給付が十分であれば、負担が高くて もいいと、こういう意見の方も当然おられると思いますが、逆にいうと、今現在の 17.35%で、それだけもらえるならそれでいいと、こういう人も当然いるはずですね。 企業の立場からしますと、現在の負担以上に、あらゆる法定福利費は、国際競争の観 点から増えるのは、負担という観点からは賛成できかねます。  北欧諸国のレベルがございますが、我々は北欧諸国とは国際競争はしてはおりませ ん。ましてや欧州ともしていません。現在の国際競争力というのは、隣の韓国、台湾、 中国、アジア諸国としております。大手の製造業はそれなりに、リストラをしたりいろ んなことをしながら競争しておりますが、中小企業は非常にこの競争にさらされて厳し い。そういう中でこれ以上の負担は耐えられないということは、産業界では当然あるわ けですから、その場合に給付が一体幾らなのか。負担は少し増えても給付があった方が いいというのであれば、それはそういうことで考えなければいけない。その辺のところ を論点とするために、ぜひとも選択肢には20%のときにどうなるのか、できれば、その ときに 350兆円なり、別途420兆円というのがありましたが、そういうものがどういう ことになるのかも、できれば示してもらえればと思います。 ○事務局 今、I委員、K委員からもお話がございましたが、これに関連いたしまして、今選択 肢を厚生省として提示したいということで作業を進めておることはこれまでお話申し上 げたとおりですが、そういう中で、民営化につきましても、できるだけ具体的に民営化 の中身というのを示して、しかも数字が出せるものは数字も出しまして、それで広く御 議論をお願いしたいということで作業を進めております。 それから、今、K委員のお話にございました現状程度の負担でも、これは限界だとい うことで、その中で給付としてどの程度なのかと、こういう考え方につきましても、こ れも1つの選択肢でございますので、そういった問題につきましても、具体的な数値を 示した上でお示ししたいということで作業を進めております。12月5日の次回の年金審 議会で、その辺のところを詳しく御報告申し上げたいと思っております。 ○M委員  年金制度の一元化についての問いかけのトーンは弱すぎるのではないかと思います。 公的年金制度一元化の懇談会の結論は、被用者年金制度については、財政単位を大きく することが年金財政の安定化と給付、負担の公平化につながるので、漸進的に一元化を 目指すべきであるということになっておりました。現実の産業構造や就業構造の変化に よって、財政基盤が危うくなっている共済もあるのではないかと思います。したがっ て、8)の表現は、各共済組合の財政面を検討し悪化する前に一元化を積極的に進めるべ きではないか、というふうなトーンで書くべきではないかと思います。  なお、財政単位を大きくすることが年金制度の財政安定化のために必要という考え方 は、民営化の議論をする場合にも十分考慮する必要があると思います。 ○A委員  今の年金制度一元化の問題ですが、私はどういう資格でここで出ているか別といたし まして、共済年金というのは、厚生年金と違いまして、健康保険のことをやっておるわ けですね。福祉事業とかやっていまして、一元的に議論する場ではないんだと私は思い ます。  そこで、前に平成8年度のときに、この中にも一元化の懇談会をやったところに出て おられる方もおられますが、一応平成8年のときに閣議で一応これは決着をつけた問題 であります。むしろ、年金審議会というのは、私に言わせると、基本的には厚生年金を 審議する場所であって、共済年金を審議する場所ではもともとないので、共済年金とい うのは、共済はそれぞれの審議会を持って議論しているわけですから、そこの議論を待 たなけれはいかんと思うわけです。もしも一元化の議論を本当にやるつもりなら、そう いういろんな人が集まったところで議論をしないと本当の結論になりませんので、私に 言わせると、厚生年金の審議会、ここの年金審議会でそういう議論が出たというのはい いと思いますけれども、こういうのを一元化すべきだとかいうことをこの年金審議会が 言うのは少し審議会の権限を逸脱しているのではないかという感じがいたしておりま す。 ○B委員  私も一元化問題について少し申し上げようと思っていたところですので、M委員から 口火を切っていただいてありがたく思っております。  私どももこの一元化懇談会が打ち出した結論は、これこそ我が国の公的年金制度全般 にかかわる提言として、これは全体として受けとめるべき問題だと思いますし、当年金 審議会も厚生年金だけでなくて、旧国民年金の問題も併せて現在の基礎年金問題を引き 継いでいるわけでございまして、その意味では狭い意味での厚生年金に限定した議論だ というふうには参加するに当たっては考えてございません。  また、総合保険であるからというお話でございますが、もう一つの総合保険の典型例 でありました船員保険につきまして、この年金部分は既に厚生年金に統合されてござい ます。したがって、公的年金の横断的な一元化、その財政単位の拡大による制度全体の 安定性の確保という課題はこれは共通の課題なのではあるまいかというふうに思いま す。  これまでの一元化の進行過程は、厚生年金で申しますと、旧制度の定額部分を国民年 金との統合によって、現在の基礎年金というふうに集約した、これが第一段階だという ふうに言われてまいりました。  それから、被用者年金のところで、旧国鉄等、いわゆる民営化されたところが制度上 は厚生年金に入ってきたことと、また先ほど出ました船員保険の年金部分を統合したと いうところで、いわば中座した形でございます。  厚生年金の民間労働組合の立場から申しますと、何か傾くと厚生年金へ入ってくる。 また、傾くと次には入ってきたいとこういうふうに言う。現在の共済グループの中でも 労働組合で話しておりますと、そろそろやばそうかなというところは統合も悪くないな と言い、いや、当面の間、よさそうだというところは嫌だと言う。こういうような議論 を放置しておいたまま将来の我が国の年金制度の全体としての危機的な状況をどうやっ て救済しようかという議論にまじめに取り組めるものなのだろうか。これについては深 い疑問を持っておりまして、この一元化問題に関するここの記述を抜本的に強化すべき だというM委員の御意見に全く賛成でございます。 ○H委員  ほかに特別コメントすることはありませんけど、今のB委員の見解と私も全く同感で す。今、後段言われた部分については、厚生年金側は不快感を持つぐらい思いを持って いるということだけは御理解をいただいておきたいと思います。 ○K委員  5ページの「支給開始年齢」に関連するところでありますが、これは論点はこれでよ ろしいですが、選択肢のときにお考えいただきたいんですけれども、マルポツ2つ目の 65歳からの引き上げ、及びこの項の下の、60歳から64歳の部分年金の廃止でありますけ れども、もし、この選択肢の論点が、現在のほとんどの企業の60歳定年を65歳に延ばす ということとのかかわり合いで出てくるとしますと、私は個人的には必ずしもそういう ふうにしていただきたくないなと。65歳定年の問題を厚生年金制度がそうだからという ふうにされるのは産業界にとっては本末転倒だというふうに考えています。  例えば今後の日本の少子化の問題、労働力不足等の問題で企業の側がどういうふうに これを考えていくかというのはあり得るわけですが、ア・プリオリに65歳定年制だとい う前提につながる形でこれを考えていただくのはいかがなものか。といいますと、例え ば、これは負担と給付の均衡のアンバランスを、負担の側の収入を上げるためにもし考 えていると、あるいは給付の額を減らすために考えているとすれば、逆に言うと、給付 の率を下げて、それで現在の60歳で続ける。あるいは60歳から64歳の部分年金を額を下 げてでも続けると、その方がいい場合も国民1人1人あるいは企業にとってもあり得る わけなので、そういう意味で中立的な選択肢にしていただきたい、こういうふうに思い ます。 ○事務局  確認の上で少しお尋ねしたいのですが、一番最初にA委員から目的税の創設、そうい ったことも含めて検討すべきだと、こういうお話がございました。したがいまして、6 ページに「国庫負担」ということでこういう表現になっておりますが、基礎年金につい ては1カ所にまとめて書くと。また、そういう目的税の創設とか、そういったものにつ いてもどう考えるかと。こういう提言をすべきだとこういうことになりますと、ここの 表現はこれではおかしいということに結果としてなろうかと思うんですけれども、ここ のところは、先ほどのような趣旨を踏まえて書き直すと、こういうことでよろしいので しょうか。 ○C委員  要するに論点整理はあくまで論点整理ですから、答えを書くということではないと思 うんですね。だけれども、財源をどう考えるのだというときに、目的税という財源とい うものも1つの選択肢としてありますねということは書いていいのではないかと思いま す。しかし、それが年金審議会で決めつけたという必要は私はないと思います。もとも とそういう選択肢は決めつけないから選択肢なので、そういう意味で、しかし目的税の 問題を触れないのは、かえって不親切な話だろうというふうに思います。 ○B委員  基礎年金絡みのことの議論になっておりますが、6ページの一番上にあります国庫負 担の問題、現行3分の1を2分の1に引き上げることを検討するというのは、前回改正 時点で国会の附帯決議に挙がっていたところでございまして、これが今回の財政構造改 革との兼ね合いでいわば凍結をされている、こういう経緯ですので、実際には引き上げ ることは非常に難しい状況にあると我々も考えますが、そもそも国庫負担の意義・役割 というのは一体どこにあるのかということについて、次回にでも議論を深めていただけ ないでしょうか。  というのは、我々は別に保険料を引き下げるためにということを念頭に置いていたわ けではなくて、旧国民年金の現在の受給者の受給財源、年金財源に、現在の基礎年金制 度の導入に伴って、第2号の被保険者の保険料の一部がそれに充当されるメカニズムに なっているわけですね。これは父親が農業者その他であって、息子が被用者年金の被保 険者になっているというケースはこれは決して少なくないので、そのこと自体を否定す るつもりは全くないわけですが、現在の1号被保険者の中からはかなり多く脱落者が生 じていて、その人たちによって賄われるべき分までが、現在の第2号被保険者の肩にか かってくるということについて言えば、これは制度上非常に大きな矛盾だろうと。その ことに対応するとりあえずの、筋は少し違うかもしれないけれども、補填措置という意 味合いをここに強く求め、その意味で国庫負担の引き上げを主張してきております。  この国庫負担の役割あるいは意義というふうなことをきちんと踏まえるべきなのでは ないか。そこが整理されないまま財政状況が厳しいから引き上げられないといったよう な議論だけでは、ちょっと問題の整理としては寂しいなという印象を持ちます。  逆に言えば、先ほどのような補填措置という役割を考えますと、それが不十分である 一方で、1号被保険者の脱落という現象が広がるのであれば、これはむしろ旧制度のよ うに、自営業者は自営業者の自己完結した年金制度にしてしまえといったような意見が 場合によっては出かねない。これについては我々自身もそれは決して妥当な意見だとは 思っておりませんので、むしろ警戒をいたしますが、そういう意見が出てきかねない状 況を踏まえて、この国庫負担の意義・役割ということについて少し検討する時間をとっ ていただけないだろうかと思います。  なお、将来の保険料の引き上げ見通しについては、厚生年金自体はこれは保険料率で 将来の34%台の数字が出ておりますが、これはあくまでも率でございますので、本人の 所得によって当然のことながら実額には差が出てくるわけですが、1号被保険者の方は 定額負担でございます。この定額負担の現行の1万 2,800円が2倍に引き上げられる と。この見通しに立つならば、恐らく現在以上にこの脱落現象は拡大をする可能性があ って、そこについての危機意識というのは、当審議会でも共有をする必要があるのでは ないだろうか。  それとの関連で、5ページの下に「段階的な保険料免除制度」ということもでてくる のだろうと思いますが、当然のことながら、これは保険料額そのものを幾つかの、純粋 な所得比例にするかどうかは別にして、1号被保険者についても段階的な保険料にする ということが次のテーマとして、既に何度かは議論されてきたと思います。これについ ての選択肢も同時に設定をされておくのが、1号被保険者関連では重要なことになるの ではないだろうか。  そんなふうに思っておりまして、少しそういうことも補強して、基礎年金部分につい ての問題の整理をしていただきたいというのが希望でございます。 ○G委員  B委員ちょっと教えていただきたいんですが、今の1号被保険者だけで自己完結すべ きだというようなお考えもあるということをおっしゃったんですが、それは現実にどう いう格好であるのでしょうか、ちょっと教えてください。 ○B委員  考え方があるというのではなくて、そういう考え方が出かねないということを懸念し ているということでございます。つまり、元自営業者の現在の受給者、それの年金財源 を現在の現役から賄う場合に、おやじ農業、息子サラリーマンというのはいっぱいいる から2号被保険者の保険料の一部がそこの財源に回ること自体、私は先ほどのように否 定しませんが、それをともに担うべき現役の1号被保険者のところから脱落が出てきた 分の負担までしわよせを食らうのはいかにも不当だという意見が出てくるのは、これは ある意味では当然なんですね。  それに対する、制度論としては妥当を欠くとは思いますが、自営業者は自営業者でや ってくれという議論が出てきうる。きうるというのは、そういう意見に賛成していると か、そういう主張が現在ほうふつとして巻き起こっておるとか、そういうことを申し上 げているのではございません。ただ、我々はそういうことが出てきうる問題に対する1 つの対応策として、ここの基礎年金の国庫負担の3分の1を引き上げる必要を主張して いると、こういうことでございます。 ○F委員  ほかの項目なんですけれど、3ページの「給付水準」について、ここを読みますと、 備考にもありますように、給付水準というのは、世帯の消費実態をベースにして、現行 のレベルでいいかということをここで問題にしていると私には読めますが、もう一つの 問いかけは、この消費実態を前提に決めるべきか否かということがあるのではないかと 思います。その辺のところが具体的に出るような項目立てにしておいた方がいいのでは ないかと思います。  それから、同じページの基礎年金の給付水準についてですが、備考を見ますと、老齢 基礎年金額は云々ということがあります。40年加入で単身世帯幾ら、夫婦で幾らという のがありますけれど、だれが40年加入で、例えば、被雇用者としてずっと働いてきた人 が、60歳定年まで働いて40年加入となると20歳から働き始めるわけですね。果たして、 40年加入というのが可能な人は何割いるのかなというふうに疑問を感じます。まして女 性の場合、これはなかなか難しいことではないかと思いますし、これも夫がということ が大前提になっているということがベースにありますので、備考の出し方なんですけれ ども、もっといろんなバラエティーがあるはずなので、あらゆる可能性というのはとて も難しいと思いますけれども、この最大のレベルで出すというのはちょっと問題ではな いかというふうに考えますので、御一考いただけたらと思います。 ○事務局  ただいまの点の3ページの基礎年金の40年のところは、これは特に勤務経験とか雇用 とは関係なしに、20歳で強制加入で入って60歳までということなので、ここについては 特にそういう職歴とかはそういうものは関係なしに40年ということで設定されておりま すので御理解いただきたいと思います。 ○D委員  この論点整理に入ってない項目で、十数年前からILOの報告書等では盛んに出され ている被用者年金保険の被保険者の範囲に関する問題があります。稼得能力のある者 で、労働力となっていない者に対して、家庭で病人とか高齢者とか障害者のケアを行う とか、あるいは子供の養育を行う期間を保険料拠出期間、被用者年金の保険料拠出期間 とみなすことについてどう考えるかというのは、私も毎回出ているわけではないのです けれども、ここでは余り議論にならなかったのでしょうか。ILOでは20年ぐらい前か ら盛んにこの点が報告書等では議論されているんですね。それはほかの経済社会の変動 の部分にも関連することかもしれません。その点は論点には入っていないという点につ いて申し上げました。 ○L委員  今のことも重要だと思うんですが、先ほどに少し戻るんですが、基礎年金の給付水準 についてどう考えるかで、先ほどF委員から質問がありましたけれども、年金審議会の 中で討議があった中に、御意見があったと思うんですが、例えば基礎年金の給付水準は 生活保護レベルぐらいというか、それで生活できるぐらいまで、たしかJ委員がおっし ゃったかと思いますが、10万円ぐらいとか、実際のことは忘れましたけれども、そうい う議論があったと思うので、年金水準をどう考えるかという選択肢の範囲ですね。ここ に例が出ているのだけだと、どう考えるかの内容がわからないんです。  私はどう考えるかの中に、つまり基礎年金の給付水準は、1人の人が暮らせるだけの ところという意見もあるとか、そういうのも入れていただけるのかどうか。私はそうい う考えも入れてほしいと思うんですけれども。 ○B委員  基礎年金問題に関してもう一点議論したい。先ほどF委員が言った40年加入なんてい うのは可能なのかという御不審の念の表明があり、また、D先生からILOの議論が御 紹介あったわけですが、そもそも現在の就労年齢を考えますと、高校卒業して約半数の 人は高卒後就職しているわけですから、通常言いますと18歳就職ですね。短大の比率が 今は下がり始めていて、4年制大学の比率が逆に高まっている中で、高等教育の進学率 が上昇しておりますので、そういう人たちは標準的に言えば、22歳、浪人したり留年し たりすれば、それだけ遅れますが、その意味では、実際の労働市場への参加年齢はかな りばらついているわけで、現在は高校の中退者も含めて中卒資格で就職している人も一 部にはいるわけです。  そういうことを考えますと、40年という加入期間そのものは一応妥当かと思います が、その前後の年齢を20歳、60歳というふうに固定している現在の考え方でいいのかど うか。むしろ18歳で就労した人は、18歳から始めて40年。途中で何らかの形で労働生活 から離脱した人については、その離脱期間を、例えば5年なら5年あるとすれば、その 5年分をその終点に関しては延長した形。22歳で入れば、40年間ですから、62歳。途中 で抜けていたとすれば、その分だけ延長して、要するにトータルで40年といったような 基礎年金の被保険者である期間について、実際にはかなり実態がさまざまあることに対 応した柔軟な考え方を導入するというふうな議論を併せて検討されるべきだと思います し、その意味で検討項目に、どういう表現かは別にして入れていただけるといろいろな 議論の可能性が深まるのではないかと思います。 ○事務局  個人の生活のサイクルに応じて弾力的に年金制度においては、20から60歳と切らない で対応できれば、非常によろしいということはおっしゃるとおりだと思いますが、実際 の基礎年金のもとになっておりました国民年金の制度、これは対象者が自営業の方、あ るいは無業の方でありまして、就職している、いないがはっきりしている被用者と異な りまして、状況の把握、区切りをつけるのは非常に難しゅうございます。そういうこと で、一応年齢という区切りが一番明快だということで、20から60歳ということを強制加 入期間ということで、制度を創設したということが現在まで至っておるわけでございま す。  ですから事務的に可能であれば、いろんな方法はあるかと思うんですけれども、強制 加入というのを前提にとっておりますと、例えば、あるときは徴収に行って、納めてい ただく、今は、学生だからたまたま払ってないんですよとか、そういう形で把握するの は非常に難しゅうございまして、そこを年齢以外の区切りで事務的に弾力化できるかと いうことになると相当制度上は難しいというふうに考えますので、その辺も御参考に意 見等をいただければ、ありがたいと思います。 ○I委員  私もB委員の御意見に賛成でして、集金期間とか、あるいは保険料の拠出可能期間と いう問題と、20歳、60歳問題は切り離すことは可能なんですね。これは諸外国でもそう いう例は幾らでもございます。日本のようにしますと、あと60から65歳までの任意拠出 期間があるではないかとおっしゃるんですが、やはり時効という問題がありますから、 必ずしもそうはいかないと。ですから、これは検討してください。事務的に可能なのか どうなのかというのが一番大きな問題だろうと思いますので。 ○C委員  1つ、先ほど来の議論の中で、一時期払わないという問題は別としまして、負担した 人がもらう権利を有するという社会保険であるという大前提があるだろうというふうに 思います。そのことと、国民としての生きていく権利という問題をどう整理するかとい うのは、もう一つ別の問題でありまして、そこのところは明確にしておかないとなかな か納得が得られない性格なのではないかという気がします。  したがって、生涯保険料を払う見込みがない人が受給権を得るということはないとい うこと。しかし、その人は憲法で保障された権利があるわけですから、それは国として 対応しなければならないことは間違いない。そこのところの整理は明確にしておく必要 があるのではないかということを1つ前提として置いておかないと、情緒的に云々とい うことでは済まないということが1つ。  それから、もう一つは、先ほどの問題、1号との関連で出てくる問題は、要するに2 号被保険者が1号被保険者の未払い分だとかなんとかまでなぜ負担しなければいかんの かと。これは2号被保険者から言えば、非常に大きな問題なんですね。そういうことも 問題としては正確にしておかなければいけない。  3番目の問題は、さっきから出ています女性の問題にからめまして、専業主婦の立場 の主張がございませんから、私が代行いたします。というのは、専業主婦の立場ももち ろんあるわけでございますし、両方の期間をお持ちの方もあるわけだし、後に独立され ている方も、今や2号被保険者である方もおられるわけです。これは要するにある意味 で、先ほど来、ワンパターンでしか標準というのは示せないのかということは、今まで は確かにワンパターンできたわけですが、今後はワンパターンで本当にいいんですかと いう問いかけが出ているわけでございますから、ある幾つかのモデルパターンというも のを出す努力をしなければいかんだろうということはあると思うんですね。  ただし、問題は、頭の中で想像できるパターンを全部出せと言われても、これはまた 事務当局も大変なことになりますから、やはりあるウエート感、ボリュームのウエート 感というものをかませる、あるいは若干先を見て、どういう動きになるかなということ をかませる。そういったところで、あるウエート感を持ったパターンが3つか4つか出 てくるというようなことで整理しないと、これはまた示された国民の方もちょっとたま らんということになっちゃう可能性もありますので、その辺はやっぱりあるウエート感 を持たせて示していただくのがより親切なんではないのかなという気がします。そのこ とをちょっと申し上げておきたい。その問題との絡みでは、前にI委員が指摘されまし た税制との絡みの問題も実はあるんですね。130万円以下の方々が、本当は働いている にもかかわらず、働いている形にならない形で出てくる問題をどうするかという問題が 出てくるわけですが、それは問題としては、当然提起しておかなければいけないだろう と。あるいは130万円の問題も提起しておかないといかん問題だろう。ただ、年金審議 会でそれを決めるわけにいかんものですから、問題としては、しかし明確に提起してお くべきで、そういう1つの前提を、その中には、例えば130万円の人は専業主婦として とらえられている可能性はありますよという指摘はしておかなければいかんだろうと思 いますが、パターンを示すときに、それをいちいち分けてしまうのは物理的に不可能だ ろうという気がいたしますから、せいぜい3つか、4つぐらいが限度かなというふうに 思います。  もう一つ、一番最初に出ました一元化の議論なんですが、これは私は先ほどの議論は 大変不満でありまして、一元化は国家の方針として決まっているというふうに思ってい ますし、前回改正のときに再三にわたって情報を開示してもらいたい、それから共同研 究をやりたいという申し入れをしているにかかわらず、先ほどの御発言に関しては、私 個人としては納得しがたいということを申し上げておきたいと思います。 ○K委員  6ページの「総報酬制について」ですが、議論をされることは当然結構だと思います が、前回そうした議論をされたときに、60歳定年を迎えた方が再就職をして、雇用主と 被雇用主の間で結託して、賞与に片寄せて月例賃金を低くし保険料をけちるということ が起き、こういうことについておかしいと。そういう例はあると思いますが、それだけ を言いますと、この問題は民間企業と公務員及び大手と中小、こういう中で非常に大き なインパクトがあるということを申し上げたことがあると思います。今回、60歳の再就 職の人のことについては、この中で余り出てないようですけれども、大手と中小、ある いは民間と公務員、この関係で言いますと、もしも給付と負担のアンバランスの中で、 負担の総収入を上げたいと。そのために総報酬制にすれば、負担の収入が増えるのだと いうことだとすると、それはちょっといかがなものかというふうになります。  もう一点、そうではなくて、ゼロサムで総報酬にしたときに、それぞれ負担の多い人 は給付も多いと。負担の少ない人は給付も少ない。それでいいじゃないかというのであ れば、そういうふうに格差を拡大することが本当にいいのかと。それがはっきりしてな いと非常に誤解を生むのではないかと思います。したがいまして、格差を拡大してもゼ ロサムの中で世代内の負担の公平をするというなら、それはそれで結構と。  それから、何とか給付を維持するために負担の収入を上げようということであるなら ば、それはそれではっきりそういうふうにしていただいて、それが国民の中でやむなし となれば、やむを得ないと思いますが、それがあいまいでは、選択肢のときに、できれ ばはっきりしておきたいと、こういうふうに思います。 ○事務局  ただいまのK委員の御懸念につきましては、そういう御懸念が発生しないように、私 どもの方で具体的な総報酬制の姿・形・基本的な考え方をたたき台としてこの場でお示 しをいたしまして、例えば、上下限をどうするのか、保険料をどうするのか、給付にど う反映させるのか、そういった幾つかのモデルとか、そういう考え方をお示しをして御 議論いただきたいと思います。 ○H委員  今の事務局のお話の中に包含されているのかもしれませんし、今後の展開はそうなる のかなと思いつつも少し整理をした方がいいのではないかと個人的に思うものですから 発言します。何らかの制度改正をするというのがもちろん前提ですけれども、今後の展 開をどうするかというときに、先ほどから話題になっています税に関するものをどうす るのかとか、民営化云々論があるわけです。こういう改革の大きなフレームのところの 問題をきちんと方向性を出さずに選択肢を示されて、いろいろの選択肢をからませて、 結局この選択にしますというようなやり方が妥当なのか。むしろ入り口のところで、一 定の結論を見いだした上で選択肢を皆さんにお示しするというふうにするのか。そこの ところはかなり大事なことではないかというふうに思いますので、1つ申し上げたいと いうように思います。  それからもう一点は、平成6年改正の話が先ほどありましたけれども、この数年間、 そして今後の展開みたいなことを考えていきますと、マスコミの皆さんがいろいろ、あ る意味ではアジテーター的な記事を書かれる部分やいろんな注目記事がたくさん出てい るというようなこともあります。そのことで身につまされているという国民の姿もある のかもしれません。随分年金というようなものをとらえる、あるいは社会保障システム 全体をとらえる国民の目というのか風土というものが、随分変わってきているというよ うに個人的にもとらえています。そういうことを前提にして、やっぱり改革について は、ハードルは少し高いのかなというような選択肢を国民の皆さんに見せるのも1つの スタンスのとり方として大変大事なのではないか、こういうことを1つ申し上げておき たい。  もう一つは、そういう風土の改革というのか、意識改革みたいなことが起こっている という現実があると思うんです。しかしただ、そういうことだけではなしに、根底に は、年金も含めた社会保障システム全体についてギブ・アンド・テークみたいなことを 国民1人1人は持っておられると思うんですね。そこのところはきちんと踏まえた上で 選択肢を示すべきではないかと思います。  今、社会情勢がこんな状況ですから、踏んだり蹴ったりみたいなことにならないよう に、きちんとコンセンサスが得られるものというか、そういう舞台づくりをする必要が あるのではないかということを申し上げておきたいと思います。 ○J委員  私が言いたいのは、H委員がおっしゃったのとよく似ているんですが、選択肢を提示 されるときに、6ページに(5)「次期財政再計算における経済的前提等について」と いうところですけれども、これが非常に不透明な今の時期にあるのに、かなり長期の展 望をどういうふうに、例えば経済成長率、賃金上昇率等々をどう選択するのかは非常に 難しいのではないかということを心配するわけです。それはそれとして、選択肢を我々 にお示しになるとき、そして、それが国民に発表されるときに、公的年金制度というも のは頼りになるものだという印象を国民の人が持つように、そういうものとして提示し ていただきたいと思うんですね。  ということは、公的年金で支給される金額は不当に多いものではだめだと。また、不 当に低いものでもだめだと。ちょうどいいレベルの年金が出て、それを中心にして国民 が自分の生き方を選択すると、こういうことになるのではないかと思いますね。  だから、平均値でお出しになる平均というのは、人によって平均にぴったり当たる人 と、うんとお金持ちの人は公的年金は自分の欲しい金額にとるに足りないという場合も あるし、うんと貧しい人は 100%近く公的年金で生きるという人もあり得るのだという ことを説明された方がいいので、そういう形でお出しになっていただきたいと私は思い ます。 ○C委員 大事なことなんですが、つまり一番最後の8ページの年金積立金の運用の絡みなんで すけれども、実はこの前、議論がありまして、本当にちゃんと運用してもらえるんです かという話があったわけですね。問題はこれと先ほどの頭の方の年金の民営化という表 現で、ちょっとおかしな表現になっていますが、それとの絡みが出てくる話なんですけ れども、つまり公的年金というものの在り方論。それから年金基金も適格年金も一応私 的の方に入れるとしますと、それの在り方論というものを考えた場合に、先般来、やや 一緒になった議論になっていたような気がするんですけど、選択肢の問題として、公的 年金はハイリスク、ハイリターンでなくて、ローリスク、ローリターンで保障されるも のだと。  逆に私的年金の方はハイリスク、ハイリターン。場合によっては保障もないかもしれ ない。そういう物の、だれがどう保障するかということも物事の考え方をやっぱり国民 が選択する。わかっていただくし選ぶ必要があるのではないかという気がいたしますの で、忘れないうちに申し上げておきたいと思います。 ○B委員  税制との絡みの問題で幾つか御発言がありまして、これは当然のことながら、どうし ても言及せざるを得ない問題になるのではないだろうか。例えばパートタイマーの扱い の問題に関して、これは絶えず所得把握でございまして、収入把握ではないわけです ね、今の扱いでは。そうなりますとそこのところでは控除額の問題がありますが、我々 2号被保険者の場合はこれは所得ではなくて収入でございまして、賃金に対応した金額 が標準報酬月額として決められて、そこから保険料が算定される。こういうことでござ いますので、パートタイマーの問題は、我々はパートタイマーや派遣労働者に対する社 会保険の適用を拡大するということに関して基本的には主張してまいりました。そうい う観点で1つは税制の問題が絡んでくると思います。  もう一つは、4ページにあります高所得高齢者に対する給付制限の問題で、これま た、本来はこれは払うべきものは払った上で、総合課税に基づいてきちんと所得税を払 っていただいて、それによってバランスをとるべき問題だというのは、O委員含めて、 我々もまた原則はそうだと思いますが、2年後の改正までの間に税制がそんなに理想的 な税制に変わるという見通しがない中で、次善の策として年金サイドで一定の対応を図 るべきではないだろうかという形でここではテーマに挙がっているのではないだろう か。  その意味でもこの問題を議論する前提には、現行の税制が極めて不完全だということ の認識の上に立ってのものだということは明示しておいていただく必要があると思いま す。なお、ここで「例えば」という部分の一番最後に「国庫負担部分の支給を停止す る」という問題はこれは年金の在り方でございまして、こういう考え方では、国の財政 問題しか射程が行かないような気がいたします。高額所得者に対する給付制限の問題 は、ぜひとも、こういう国庫負担部分といったような国の財政問題という視点ではなく て、年金制度の在り方の問題として包括的な議論が必要かと思います。  なお、それと関連いたしまして、いわゆる現在までの65歳までの在職老齢年金の在り 方については極めて矛盾の多い制度で、今日多く論議いたしませんが、これはむしろ年 金以外の所得を含めた総所得にかかわる問題の扱いの中で一貫して扱うようにしていた だくべきだし、その場合に65歳前後でもって、大幅な扱いの違いというものは昨今既に 不合理になっているような気がいたしますので、その点だけ御意見として申し上げてお きたいと思います。  なお、御答弁は一切結構ですが、今、C委員から御言及のあった積立金運用の問題で すが、「運用の在り方」という(1)の方のところで、本文を見ますと、「年金積立金 の資金運用部への預託義務を廃止し」とこうありますが、現在の動きは既に預託義務の 廃止などという問題ではなく、預託義務の廃止といえば、預託するかしないか、すると すれば、どのくらいするかというのは、年金側の選択のように見えますが、預託すべき 財投機構そのもののいわば廃止にまで突き進んでいる以上、こういう表現は既に不適切 になっているのではあるまいか。  その中で、この資金運用の問題は大変重要なテーマでございますので、少なくともこ の程度の記述では問題の重要性にかんがみて、余りにもあっさりしすぎるという印象を 持っているということだけ申し上げておきたいと思います。 ○K委員  ただいまの資金運用のことですが、責任のとり方の議論があると思いますが、だれが 責任とってやめるとかやめないとか。あるいは情報開示をしまして、あらゆるベストの 手法を尽くした上でということによってどうなるかがありますが、もし、大きな穴があ いた場合、だれが補填をするのか。  現在の厚生年金で、先ほどの 350兆円の積立不足、これを税金で償却するのか、国債 でするのか、それとも世代間で長年にわたって保険料を上げて負担するのか。こういう 議論をしているわけですから、同じように、この資金運用をもし運用の結果、穴があい た場合に、それを公的資金の税金でカバーするのか、それとも保険料を上げてその負担 をするのか。そういうことが非常に本質的な問題ではないかというふうに思います。 そういう意味では、この前、ここで出ました事務局からの資料で、保険者の立場から 厚生省があらゆる制度設計するのは結構なんですが、運用の管理監督について厚生省と いうのは世間でどう思うかということが、今の損失の補填をどうするのかということに かかわり合いがあるのではないか。 もう一つ、先ほど言いました産業界の声の中の基礎年金部分は税金にして、そして、 若干基礎年金部分を上げて、報酬比例部分については、民営化し、かつ情報開示して、 それは保険料で負担をしていく、こういう考えですね。それに関連していますので、 今、B委員がおっしゃったように、ここはもう少し細かに議論をしないと、世間からは いろいろ言われるのではないか、こういうふうに思います。 ○事務局 この運用の問題ですけれども、これは非常に重要だというのは申すまでもないことで ございますけれども、この中身を具体的にこれからどう詰めていくかということにつき ましては、これでいくということで最終決定をしたわけではございませんけれども、こ れはかなり専門的な問題でございますので、保険料拠出者の代表等プラス経済とか金融 の専門家も入れて、具体的な中身を詰める作業がどうしても必要だろうと。そういう勉 強会も実はスタートさせておるわけですけれども、そういったところである程度たたき 台ができた段階で、この年金審でもそれをもとに御議論いただいたらどうだろうかと。 おおよその進め方としては、そんなことを今考えておるところでございます。 そういう中で大きな穴が出た場合にだれが補填するかということについて、どういう 議論があったかと申し上げますと、そういう穴があかないような安全な運用を基本にす るというのが当然なんですが、これはこういう世の中ですからどうなるかわからない と。非常に不透明なところもあるわけでございますので、ただ、そういった場合に一般 会計で穴埋めするというのはおかしいというのは、前の厚生大臣の検討会でもしばしば 言われたことでございまして、自主運用するからには、一般会計で補てんをするという 道はあり得ないのではないかということを考えております。 ○N委員  先ほど来、議論がありまして、共済組合の一元化の問題につきましてもいろいろ厳し い御意見が出ておったわけでありますけれど、一元化につきましては、基本的に私の意 見としましては極めて重要なことであるということで、それを前提にしながら申し上げ るわけでありますけれども、産業構造なり就業構造の変化がありまして、どうしても各 共済組合でかなり努力しましても、その変化に対応していくのは大変難しいという部分 があるわけです。もちろんのこと、自己努力は精いっぱいしなければいかんことは当然 でありますけれども、どうしても自己努力では解決しないような問題につきましては、 平成8年の閣議で、それなりに制度の安定性の問題なり、負担の公平性の確保という問 題が出ておるわけでありますので、そういう観点からしましても、ぜひ閣議決定の具体 的な対応といいますか、内容といいますか、そこの部分を検証していただくといいます か、そういう議論をやり合っていただきたいというふうに考えております。それが1点 です。  それから、2点目ですが、これも先ほど来からずっと議論が出ておりますので、かつ また、余りにも一般的な話でありますから、私なんかから申し上げるようなことではな いことなのかもしれませんが、いずれにしても国庫負担について、ここにありますよう に、厳しい状況にあるということを所与のものとして考えざるを得ないということが大 変よくわかるわけでありますが、そういうことでいいのかという、単純でありますけれ ども、どうしても議論が出るわけであります。将来の在り方を決めるわけでありますの で、ぜひ、税法式の議論も出ておりますが、税方式の導入のことも含めまして、国庫負 担の引き上げ等について、御論議をお願いできたらというふうに思っておるところで す。 ○A委員  議論を蒸し返すつもりは全くありませんが、今、N委員がおっしゃったように、共済 に係る閣議はまさにおっしゃっているとおりだと私は思っております。ただ、私、先ほ ど申し上げましたのは、一元化について、ここで結論を出すというのは大変難しいでし ょうと。だから、それはいろんな共済組合がありますから、公務員もあれば、私立学校 もあれば、農林業もありますから、そういう人たちが集まったところで議論しないと結 論は出せないので、ここで全体的なそのものについて結論を出すのはいささかふさわし くないのではないかということを申し上げたのでありまして、ここでそういう議論があ ったということも否定しているつもりは全くありません。そのことだけ御理解いただき たい。 ○会長  本日皆様方から御発言いただきました御意見を土台に、事務局でなるべく立派な修正 案を作成してもらい、次回、12月5日の審議会までに皆様方に個別に御相談します。そ の上で、次回の審議会で論点整理(案)の最終的な確認を行いたいと思いますが、よろ しゅうございましょうか。                (「はい」と声あり)  それぞれお伺いして調整をするように運びます。  それから、本日の資料の公開ですが、事務局でどうお考えでしょうか。 ○事務局  本日の資料につきまして、本日の御審議のためのたたき台として事務局が作成したも のでございますので、非公開とするのがよろしいのではないかと考えております。 ○会長  事務局では、議論のたたき台で、十分なものではないから、非公開としたいというお 考えのようですが、非公開でよろしゅうございましょうか。               (「異議なし」と声あり)  そのように扱います。資料の回収はしませんが、皆様方それぞれに取り扱いによろし く御注意くださいますよう、お願いします。  それでは、今後の日程について、事務局から確認をお願いします。 ○事務局  次回は12月5日午後2時からこの会場でございます。よろしくお願いいたします。 ○ 会長  本日はこれで閉会します。長時間ご苦労さまでした。 問い合わせ:   年金局 企画課   須田(3316)