98/11/07 中央児童福祉審議会母子保健部会 中央児童福祉審議会母子保健部会 議 事 録 厚生省児童家庭局母子保健課 中央児童福祉審議会母子保健部会会議次第 日 時:平成9年11月4日(火) 10:00〜12:20 場 所:通商産業省別館901 号 議 題 (1) 小児(幼児)の肥満とやせの判定表・図について (2) 母子健康手帳の改正について (3) その他(報告事項)について ○事務局 中央児童福祉審議会母子保健部会を開催させていただきたいと思います。本日は大変 お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。 初めに、母子保健課長より挨拶をさせていただきます。 ○母子保健課長 高いところより失礼いたします。 本日は早朝より、また非常にお忙しい中、委員の先生方には御苦労さまでございま す。日ごろから私どもの母子保健行政には多大なる御尽力、御協力をいただきまして、 この場をかりて厚く御礼申し上げます。母子保健をめぐる情勢、いろいろと新聞紙上を にぎわしている中にも優生保護法の問題、あるいは母乳とダイオキシンの問題、あるい は小児慢性特性疾患の問題、様々な問題が先生方のお目にとまるかと思いますが、本日 はそういったものついても一部御審議をお願いしたいというように考えております。 本日の審議は本年度第2回ということでございまして、一つは前回御審議いただいた 継続のものでございますが、小児の肥満とやせの判定表の関係、それ以外には母子健康 手帳の改正を出来れば来年の4月をめどに行いたいということで、それについての幾つ かの議題を用意させていただいおります。 この4月から、私ども母子保健行政におきましては、いわゆる母子保健法の改正によ りまして、3歳児健診等のいわゆる母子の健診が基本的には住民に身近な市町村事業に なりまして、現在までのところ大きな支障はなく進んでいるというふうに認識させてい ただいております。更に、来年の4月には児童福祉法の改正が施行されまして、保育所 を初めとする少子化対策がまた大きな一歩を踏み出すというような形になっておりま す。先生方には引き続き御支援を賜りたいということをお願いいたしまして、開会のご あいさつとさせていただきます。どうぞよろしく御審議をお願いいたします。 ○事務局 本日の部会は9名の委員の出席をいただいておりまして、定数に達しております。 なお、委員の異動がありましたので紹介させていただきます。 まず退任ですけれども、9月30日付で任期満了に伴いまして、L委員並びにM委員が 退任されました。代わりに10月1日付で新たにG委員並びにF委員が就任されました。 また本日は、小児の肥満とやせの判定表につきまして御意見を伺うためにK教授に参 加いただいております。 それでは部会長に議事の進行をお願いいたします。 ○部会長 おはようございます。お忙しい中を、また午前中からお集まりをいただいてありがと うございます。今日はいろいろ幾つかの大事な案件もございますので、どうぞよろしく お願いいたします。 また、新しく委員に御就任いただいた先生方よろしくお願いいたします。 今日は特に子供の肥満とやせの判定に関しての問題がございますので、K先生どうも ありがとうございました。物々しい状態で始まりましたが、後ほど御説明があると思い ますけれども、早速これから始めさせていただきたいと思います。 それでは、お手元の議事次第に従いまして始めさせていただきますが、まず1が「小 児(幼児)の肥満とやせの判定表・図について」でございます。これは前回一度御発表 及び御意見の交換をいただいたところでございますけれども、その時に宿題などもいた だいておりましたので、今日重ねてK先生においでをいただいて御説明をいただき、こ の部会としての方向を決めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたし ます。 それでは早速ですが、K先生お願いいたします。 ○K説明員 前回御説明申し上げましたけれども、先ほどのお話では新しく委員に加わられた方も いらっしゃるということですので、簡単にお手元の資料に従いまして、先回と重複する ことろがあるかもしれませんけれども、出来るだけ簡単に分かりやすく説明させていた だければというふうに思っております。 特に幼児の肥満とやせの問題ですけれども、現在成人も含めまして、学童期の、特に 肥満が問題になっている訳ですが、これは先般、国の施策としても方向づけられました 生活習慣病という観点から子供にとっても非常に重要な問題なのですが、その起源をい ろいろ検討してみますと、幼児期、特に3歳ごろからそのような問題が始まっていると いうことで、幼児につきましていろいろな肥満に対するアプローチがございました。 そこで、幼児に対する肥満の問題、特にどういった場合に肥満と考えるか、それの対 をなすと言ってはちょっと問題が別なんですけれども、一般的には対の問題であるや せ、こういったものを具体的に分かりやすく、かつ、差し当たってある一定の方式で検 討が出来ないかということで、平成5年から厚生省の心身障害研究で小児肥満予防対策 に関する研究、これは「小児期からの健康的なライフスタイルの確立に関する研究班」 という班の中の分担研究の一つでございますが、私が責任者になりまして、その班が発 足をいたしました。そこで種々検討いたしました結果がこれから御説明する肥満とやせ の判定図・表でございます。 従来、保健所、市町村、それから成人におきましてはカウプ指数、これは先ほど申し 上げましたBMI(ボディ・マス・インデックス)という言葉で呼ばれておりますけれ ども、体重を身長の二乗で割った値が用いられております。我々も一応幼児期は18とい うような数字を出しておりますが、ちょっと飛びますけれども、お手元の資料の4ペー ジ、「幼児のカウプ指数パーセンタイル曲線」というのを見ていただきますと、これは 厚生省が先般行いました平成2年度の乳幼児身体発育調査結果として報告されているも のから抜粋した訳でありますけれども、年齢によりまして正常値、特に肥満、やせを判 定いたします際に大きく値が違ってまいります。具体的なものは、その前の3ページに 書いてございますけれども、このように基準値が大きく変わりますということは、ある 一定の平均的な身長と体重をしている、その時に求めたカウプ指数で体重の多い者、今 は肥満ですけれども、それからやせている者、これを判定いたしますと大変間違った結 果が出てくるということになります。 基本的な考えといたしましては、体重は大きく二つに分けられておりまして、一つは 体脂肪量、もう一つはリーン・ボディ・マスとも言われますが、除体脂肪量ということ でございまして、肥満は体脂肪量が非常に増加した状態を肥満と言っている訳でありま す。したがいまして、非常に短期間の間にある標準的な体重が大きく増加するというこ とは、リンボリマス、ジョウタイ脂肪重量が増すということも一部ありますけれども、 そのほとんどは体脂肪重量が増しているということ。いわば肥満の傾向を示すというこ とを意味しておりまして、これが標準体重というものを策定して、後でまた御説明申し 上げますけれども、その標準体重から肥満度というものを求めて肥満とやせの判定をし ようという基本的な考え方でございます。 それで、標準体重を求めるにはとうしたらいいのかということなんですが、先ほど申 し上げましたように、平成2年度に厚生省が全国的な規模で乳幼児の身体発育値という のを検討しておりまして、そこで性別、年齢別、月別等になりますけれども、身長別の 体重というものを報告しております。それを統計的に処理をいたしますと、資料の1ペ ージの一番下に書いてある式に換算することが出来る訳でございます。具体的には5ペ ージ、これが男の子で、6ページが女の子でありますが、こういった比較的単純で分か りやすい曲線に換算することが出来ます。これらの妥当性につきましては、研究班及び 小児肥満研究会、それから小児保健学会等で検討いたしまして、小児保健研究という雑 誌に投稿をしてございます。したがいまして、この性別、年齢別、身長別の体重表とい うのは妥当性がある訳ですが、5ページ6ページは年齢が消えておりますが、これはい ろいろ検討した結果、幼児期、特に乳幼児期では思春期ほど大きな個人的な成長の差が ございませんので、年齢を消してしまって、ただ単に身長と体重の関係で標準の体重を あらわせばよい。即ち、幼児期には身長が決まりますと、それに対して標準の体重を決 めて構わないという結論に達しました。 それで、肥満の判定の方法ですけれども、大きく問題になりますのは乳幼児期です が、乳児期の肥満については差し当たってここでは問題にしないという事にしておりま す。理由は二つございますが、一つは外国からでも報告があり、我々も検討いたしまし て、乳児期に太っていると我々が判定するもので、病気でないものを除きますと、今、 問題になっている生活習慣病とはほとんど関係がない。これは、外国の報告では良性肥 満 (benign obesity in child hood)というような言葉で呼ばれているんですが、そ ういったことで、乳児期の肥満は生活習慣病としての危険因子として問題にならないと いう点が一つございます。 それからもう一つは、乳児期に肥満等をいろいろと気になさる保護者の方はかえって 神経質になってしまいまして、本来注意をしていただかなければいけない方たちは余り そういった問題に関心を示さない。大変神経質になって乳児期の育児を行うということ は大変問題もありますし、危険であるという観点から乳児は除いてございます。 したがいまして、原則として1歳以上、出来れば2歳以上から小学校に上がるぐらい までの幼児を対象にしております。そういう理由から5ページ、6ページの身長は70セ ンチから120 センチまでになっておりますが、理由はそのような理由でございます。肥 満度は1ページの注の1に書いてございますけれども、実測体重から先ほど申し上げま したような標準体重を引いて、それを標準体重で割りまして100 を掛けたもの、簡単に 言いますと、標準体重に対して何%増しの体重になっているかということで判定をいた しました。 判定区分は肥満とやせの程度の区分ということで1ページの3に書いてございますけ れども、プラス15%以上20%未満が太り気味、20%以上30%未満がやや太り気味、30% 以上は太り過ぎといたしました。 一般に学齢期に入りますと肥満度20%以上を肥満としておりますけれども、時々質問 をいただく訳ですが、15%以上ということであれば、学齢期が20%としているので、肥 満の頻度が非常に高くなるのではないかという御質問をよく受ける訳でありますけれど も、幼児期から学童期にかけて、それまで肥満していなかった子供たちが肥満をし始め てくる訳でございまして、そういうプロセスの中で見てみますと、これも厚生省の心身 障害研究でもう七、八年ぐらい前になるでしょうか。幼児の肥満の判定基準についての 研究班が出来まして、その当時いろいろと幼児期の肥満についての判定も検討いたしま したが、プラス15%の線が、その後の学童期の20%以上の肥満を対象に考えていく上、 その経過を見る上で妥当な線でございます。 ちなみに、先ほどカウプ指数というのは肥満を判定する際には問題があるということ を申し上げましたけれども、大体プラス15%というのがカウプ指数に直しますと18ぐら いでございます。30%以上というのは普通学童期では中等度肥満でございますが、先ほ ど申し上げたような理由で、これも幼児期の肥満の疫学的な問題から30%以上を肥満と いたしました。 そして、今回の肥満に関しましては指導ということよりも、むしろ支援していく。こ れからの育児について保護者、特に母親を支援していくという体制を十分とりたいとい うことから、太り気味の場合は、要注意として指導、支援及び経過観察、それからやや 太りすぎの場合には、その持つ意味について保護者に教育を行うとともに指導、支援を 行いますが、30%以上の幼児期の極端な肥満の場合には、内分泌の病気であるとか、種 々の病気の場合もございますので、太り過ぎている場合には、出来ればと言いますより も、医療機関で一応病気がないということを検討していただいたほうがよいというふう に考えております。普通はここに書いてございますように+15%から−15%未満を普通 の体格といたしました。先ほど申し上げましたが、やせは肥満の対の問題ではございま せんで、やせというのは子供にとりまして非常に重要な問題でございます。 やせには三つあると思っておりますが、身長に対して体重は少ないのだけれども、そ の増え方は一応正常のパターンで増えていっている。正常のパターンかどうかにつきま しては、また後で御説明を申し上げたいと思います。それから、体重は増加して、その 増加の仕方が正常の基準に達していない。要するに体重の増加が不良であるというタイ プであります。それからもう一つは、過去の体重よりも現在の体重が少ない。よりやせ てきたという場合でありますが、あとの二つの場合、体重の増えが悪い。それからやせ てきているという場合は、極めて子供にとっては重大な問題でございますので、一応や せと判断した場合、やせを一応+15%から−20%未満といたしましたが、要注意として 出来れば医療機関等に指導を申し上げたい。 それから、−20%以下は大変やせ過ぎているので、先ほど申し上げたような理由で医 療機関に照会をしなければいけないと思います。蛇足だと思いますけれども、大体先ほ ど申し上げました体脂肪重量と除体脂肪重量というのは10%ぐらいから25%ぐらいの間 に体脂肪量が全体重の中にございまして、したがいまして、肥満のように30%以上もや せるということは除体脂肪重量が減っている可能性が強い。極めて重篤な状態と考えな ければいけないという意味で肥満の程度区分はマイナス20%以下というのは大変大きな 問題だというふうに考えております。 以上が基本的な問題でございますが、何か御質問ございますでしょうか。 ○部会長 ありがとうございました。 詳しい御説明をいただきましたが、何か御質問ございましたらお願いいたします。 ○J委員 新しい判定曲線の、例えば+10%、15%、20%、それぞれがパーセンタイルで言うと どのぐらいに当たるかというデータはありますでしょうか。 ○K説明員 大体15%以上で3パーセンタイル値ぐらいになると思います。 ○J委員 97パーセンタイル、そういうことになる訳です。 ○K説明員 そうです。97パーセンタイル値です。その根拠としましては、いろいろ多数例で調べ ているんですけれども、これを基準にした場合に全体の3%ぐらいの数値を占めます。 したがいまして、97パーセンタイルぐらいの点に当たっているというふうに思っていま す。 ○部会長 今までの御説明の分でよろしければ、続けてもう少しお願いいたします。 ○K説明員 この判定曲線を用いる利点でございますが、まず第一は体格指数、先ほどいいました カウプ指数であるとか、それから単に肥満度、こういったものを用いますと、現状では 乳児は別といたしまして、1歳半健診、3歳児健診、特に幼稚園あるいは保育所におき ましては、毎月のように体重をはかっております。身長も年に3回ぐらいはかっており ますが、1時点、時点で例えば現状の肥満度としては20%だから、これは肥満ですとい う判定が行われるということはある意味では混乱を起こします。我が国の母子保健の上 で大変よいことといいますか、国際的にも誇るべきところは、各個人が経時的な身体計 測値を持っている点でございまして、しかも、いつも私が強調しているのですけれど も、これが少なくとも学校保健等から入ってきた、それから戦後入ってきたといたしま しても、非常に長い歴史を持っておりまして、関係者が身長とか、体重をはかる精度と 言いますか、これが極めて高いということです。 たまたま体重とか、身長がはかってあるとすると、御存じのように計測値に問題が生 ずるのですけれども、各関係者が身長をはかる、体重をはかるということについて慣れ ておりまして、非常に正確な記録がなされているという点があると思います。ですか ら、経時的に資料を持っていると同時に、その身体計測値が正確であるという点であり ます。そうしますと、この曲線を用いることによりまして、身体計測が行われたたび に、非常に簡単に肥満度の経過を追うことが出来ます。 したがいまして、ページ5、ページ6に掲げてあります曲線を上回る、あるいはパタ ーンが上向きになるとか、基準線と言っておりますが、それが下向きになるということ で、早く子供の成長の問題点に気がつくことが出来る。仮にある程度内の肥満、あるい はやせの状態でありましても、この基準線に沿って大きくなっているということであれ ば、しばらく経過観察をしてもよいということが言える。そういう経時的なデータを追 うのに大変分かりやすいというのが第1点であります。 それから、2点目は確かによい体格指数が仮に出来たといたします。カウプ指数、あ るいはローレル指数に代わるものが出来たといたしましても、全くの素人と言います か、保護者がカウプ指数18ですから太っていますとか、カウプ指数20ですから、これは 大変ですと言われましても、それは具体的に何を意味しているのかということを十分理 解することは難しいのではないかというふうに思っています。 それから、ローレル指数は特にそうなんですけれども、カウプ指数は先ほど申し上げ ましたように、身長が違ったり、あるいはある一定の身長でも、それに対して体重が変 化していく。こういった時に各年齢で一定の基準を使うことが難しい。それは先ほどの グラフでお示ししたとおりであります。こういうことで子供の発育の経過が、単に肥満 だけではなくて、もし成長のことについて十分な理解があれば、成長の異常について理 解することは大変容易であるという点が判定曲線を用いる非常に大きな利点であろうと いうふうに思っております。したがいまして、この判定基準は単なる一時点の基準では なくて、個々の子供さんが持っている身体計測値を経時的にプロットをしていただけれ ば非常に大きな効果が上がってくるというふうに考えております。 しかし、問題点も幾つかございまして、判定曲線における課題でございますが、問題 点というよりも課題のほうが適切かと思いますけれども、身長に対する標準体重という ものは果たしてあるのかということがございます。その算出根拠の妥当性について検討 しておかなければいけませんが、これは先ほど申し上げましたように厚生省の平成2年 度の乳幼児身体発育値から計算したものでございます。特に思春期におきましては発育 の個人差がございまして、同じ身長でも発育の時期によって体重が違うというようなこ とがございますけれども、幼児期にはその問題点がないということで、統計的にいろい ろ処理をいたしましても、身長に対する標準値の算出根拠というのは妥当性があるとい うふうに考えております。 それから一番問題になります、ある身長に対する標準体重は、ここで算出したもので よいのかという問題がございますが、これは先ほど申し上げましたように、判定曲線の 経過を追っていくということで、その問題はほとんど解決出来るというふうに思ってお ります。 2番目は標準体重、これは今回の値でいいのか、調査の都度計算する必要があるので はないかという御意見がこの間出ておりましたが、我が国の幼児の体格等を考えてまい りますと、1960年以降は大きな変化が余り見られておりません。むしろ肥満傾向といっ たものは肥満傾向を示す子供の増大等によりまして、単なる平均値が大きいほうへ移動 する可能性もございまして、私自身といたしましては、1990年(平成2年)に行われま した厚生省の乳幼児身体発育値等を当分の間一定の基準にする。学童につきましても、 同じように厚生省と年度を合わせるという意味で、1990年(平成2年度)の文部省の報 告値を一つの基準にすればいいのではないかというようなことも考えております。 例えば学校保健統計調査報告書を見てみますと、女子の13、14、15歳の体重は、どち らかといいますと少し最近少なめになっておりまして、それこそカウプ指数、BMI等 でやりますとBMIが小さな値をとってしまう。これはやせ願望を表しているのではな いかと思いますし、学校保健統計調査報告書による肥満傾向時の出現頻度を見てみまし ても、女子の中学生の年齢では頻度がむしろ減ってきているような傾向もあります。 肥満の傾向が増えるという傾向と同時に、そういう傾向も見せておりまして、我が国 の子供たちが育っている環境は至適な環境ではないか。それはなぜかと申し上げます と、乳児の死亡率が最低を記録しておりまして、これは端的には子供が最もよい環境で 生活をしている証拠ではないかと思っていますが、そういう意味でここで用いました基 準値といったものが当分動かさなくてもいいのではないかというふうに考えておりま す。ただ、厚生省は10年ごとに調査が行われておりまして、2000年に向かって調査が行 われる予定でございますし、文部省のほうは、毎年国の指定統計として身体発育値に関 する統計を報告しておりますので、この点は今後検討する必要があるかと思いますけれ ども、私見では今申し上げたとおりであります。 3番目の問題でありますが、これは今、日本肥満学会でも問題になっておるんです が、御存じのようにWHOが生活習慣病、特に肥満撲滅運動を展開することになりまし て、国のレベルで、その問題を位置づけてきております。それで、我が国からも内科系 の先生ですけれども、委員が出てその問題を扱っているんですが、我が国では、全ての 子供が先ほど申し上げましたように、正確な経時的な身体発育値を持っていますので、 このような判定曲線を使って的確に子供の発育の状態を評価することが出来るんですけ れども、外国ではそのデータがないために、常にBMIに変換するようにという要求が 出ております。しかし、BMIは先ほど申し上げましたようにカウプ指数ですけれど も、非常に大きな問題がございます。それで、今度日本肥満学会で、これは幼児も含め まして、厚生省とも連携を取りながら進めていこうと思うのですけれども、日本肥満学 会で一定の小児期の肥満に対するガイドラインをつくることになりまして、たまたまW HOがそういう委員会をつくって、その中に日本の委員の先生方も入っていらっしゃい ますので、今の問題を十分国際的にアピールしていこうというふうに思っております。 要するにカウプ指数であるとか、ローレル指数は、少なくとも幼児期、それから学童期 に関しては一定の基準で判定出来ない。このことは既に随分古くなりますけれども、30 年か40年前になるでしょうか、船川先生や高石先生が学校保健研究に既に報告されてお りまして、身長の低い子のローレル指数の平均、身長の平均的な子供のローレル指数の 基準、身長の高い子のローレル指数は変えなければいけないというようなことを報告さ れておりまして、カウプ指数、ローレル指数ともに問題がございます。しかし、我が国 のこういった仕事を国際的に評価してもらうためには、今申し上げました少なくともB MIの問題をクリアしなければいけないと思っています。 蛇足ですけれども、不思議なことにカウプ指数で計算してまいりますと、幼児期、学 童期、男の子ですと、十六、七歳、女の子ですと十四、五歳になるまでは、先ほど申し 上げましたように、身長によって標準値が変わってまいります。ところが、成人に達し ますと身長による差がなくなってしまって同じ数値になってしまうんです。これはどう いうところに関係があるのか、ちょっと問題だというふうに思っております。 それから、国際的な問題としてはもう一つ体格指数、先ほど申し上げましたように、 カウプ指数とローレル指数は、カウプ指数の場合は身長の二乗で体重を割っております し、ローレル指数は身長の三乗で割っていていろいろ問題が起こるので、別記数といい ますか、それは2と3の間にあるということを研究していらっしゃる方もございます。 なぜそういうことを申し上げたかと言いますと、この3の問題はWHOの今後の世界的 なレベルでの肥満対策に対する我が国の位置づけということで問題になる可能性があり ますし、それに対しては十分対応しおうと思っている訳であります。 ちなみに申し上げますと、これは全くの余談ですけれども、外国では、成人の場合、 BMIは30以上を肥満としているのだそうでして、日本は30以上の肥満の頻度は非常に 少ない。そして22から30までの肥満が圧倒的に多くて、そうするとWHOの肥満対策の 対象にならないというような問題が起こってきていまして、これも今後我が国が世界的 な視野に立った肥満対策を立ていく上で大きな問題だということでございました。 それから、4番目は同じようなことを何度も申し上げることになるかと思いますけれ ども、従来どういう理由でしょうか、保健所関係、母子保健関係ではカウプ指数がよく 用いられて、学童期にはローレル指数がよく用いられていたのですけれども、この判定 曲線を使うことの利点を十分今後説明していく必要があると思います。そのために幼児 期の肥満マニュアルを作成することにしておりましたが、今申し上げましたように、こ れは厚生省のほうの見解もそうでございまして、余りいろいろなものが出るよりも、き ちんと統一された見解を一つ示すほうがいいのではないかということで、日本肥満学会 等と連携をとりながら、先ほど申し上げました厚生省の研究班の成果を踏まえて、小児 期、当然幼児期の肥満マニュアルを作成し、これはこの1年ぐらいの間に作成するつも りでございます。 それから年齢区分がございませんので、年齢区分の中での身長等の発育をある程度把 握するということから、5番でございますけれども、先ほどの図に四角が盛り込んであ ると思いますけれども、これは身長の3パーセンタイル値から97パーセンタイル値、体 重につきましても、同じような、いわば母子手帳に載っております正常の範囲内を参考 のため示して、先ほど申し上げましたあらゆる子供の幼児期の成長の評価にこの判定曲 線が役立つように工夫をいたしました。 指導、管理、支援区分につきましては、先ほど御説申し上げたとおりでございます。 以上でございます。 ○部会長 ありがとうございました。 この判定曲線を使うことのメリットとか、あるいは問題点までを含めまして大変詳し く御説明をいただきましたが、全体を通じまして、あるいは実際にこれを健診、あるい は育児相談、医療の場で使っていただく場合の問題も含めまして、何か御質問ございま したらお願いをいたします。 ○B委員 肥満に対しては生活習慣病云々で、先ほどK先生がおっしゃったようにWHOで肥満 撲滅運動とかがあって、そうしますと成人、特に若い女性はダイエットに対していろい ろメディアからそういう情報をたくさん得て、雑誌等が氾濫していますけれども、例え ばお母さんが乳幼児を連れて相談に行った場合の支援対策として、食べちゃいけないよ とかというのは、これは子供にとっては不満というよりも非常に大変なことなんです。 いわゆる支援に対してのガイドラインと申しますか、特に医療機関を訪れた場合に、ド クターあるいは保健婦さん、栄養士さんからどういうようなサジェスションが一番妥当 かというのが、まだ私たちには見えてきていないんですが。 ○K説明員 端的に申しますと、先生がおっしゃいましたように、この時期で注意をしなければい けないのは病気の肥満だけでございまして、病気の肥満のほとんどは身長がだんだん低 くなってまいりますが、肥満度で見ますと、身長が低くなるというのはおかしいんです が、伸び方が悪くなってきて、体重が増えますから非常に急速な体重の増え方をしま す。そこが一つの病気であるかないかの分かれる点ですけれども、それから母子健康手 帳などで身長の伸びをチェックをしていただければいいのですけれども、病気の肥満で ない場合は、一言で申し上げますと、先生がおっしゃいましたように、幼児に対しまし て、やせさせるとか、食事制限をするとか、そういった指導はしないというのが原則で ありまして、むしろ、こういった状況がどういうことを意味するかということを保護者 の方に理解していただく。その場合に、成長曲線と言いますか、肥満度判定曲線のいい ところは、最初経過を見ましょうということで経過を見ておりまして、問題になってく るような肥満の子供さんというのは、お母さんがごらんになっても、お父さんがごらん になっても、おばあちゃんがごらんになっても、おじいちゃんがごらんになっても全く 異常なパターンをとります。実際やってみると分かりますが、ものすごい勢いで体重が 増えてしまうんです。そして、これはどこかおかしいのではないかということは保護者 の方、特にお母さん方が気がついていただく。それが第一だろうというふうに思ってお ります。 具体的は先ほど申し上げましたように、日本肥満学会等を中心にいたしまして、最初 に保護者や地域保健の母子保健関係の方々に対するマニュアルをつくりまして、引き続 き医療関係の先生方に子供の肥満を正しく理解していただくようなマニュアルをつくろ うと思っておりますが、ポイントは体重の増え方が少しおかしいのではないのかという 気づきと、それに関する問題を保護者の方に理解していただく。それをポイントにした いと思います。 ○B委員 ありがとうございました。 ○部会長 具体的なあれとして今の問題は大変大事ですが、幼児期の子供に対しては別にダイ エットをしなさいとは言わないで、運動をしなさいというお勧めをするというのは先生 よくおっしゃっていたので。 ○K説明員 今むしろ食事のほうは、ある程度といいますか、かなり問題は解決するし、手立ても ある訳ですが、是非運動をしていただきたい。一緒に外遊びをするとか、運動の機会 を、簡単に言いますと子供は少々食べても構わない訳で、どんどん動けばいいというふ うな基本的な考えのもとに指導していただけるとありがたいというふうに思っていま す。 ○部会長 現場ではそういう指導をかなりしているはずなんでございますけれども、これからこ ういうものがもし世の中に出るならば、そういう機会におっしゃるような指導の中身も マニュアル的にお示ししなきゃいけないとは思います。 ○D委員 保健所の現場で、あるいは医療の領域で使う場合に、先生おっしゃるように、頭の切 りかえといいましょうか、従来あったカウプとか、ローレルとかが新しい形になるとい うことになりますと、これの名称といいましょうか、非常に分かりやすくて説明もしや すい形のアイディアが必要ではないかと思うんです。つまり、肥満の判定となると、す ぐ別のカウプとか、ローレルを思い出してしまうものですから、その点を現場で使用す る際のアイディアがありましたら一つと。 もう一つは、先ほど5ページ、6ページで3パーセンタイルの範囲を直線でお示しい ただいておりますが、私、統計のことはよく分かりませんが、確立楕円などの計算で出 すとよりスムーズじゃないかと思うのですが、そういう点はいかがでしょうか。 ○K説明員 実は、私が前に学童期の子供たちですけれども、主に文部省の学校保健統計調査報告 書の資料を使いまして計算した時は、先生がおっしゃるように等確立楕円で5パーセン タイル値を棄却させて、95%が入るような楕円を書いてまいりましたのですが、これも 先生がおっしゃるように、書くとすれば楕円にしたほうがいいかとも思うのですが、そ の点、むしろ先生方の御意見を伺いたいと思っているんです。割り切ってしまいまし て、身長の正常な範囲、体重の正常の範囲というふうに一応考えている訳なんですが、 釣合いの異常は、この曲線のほうで見ていただこうということでして、確立楕円にいた しますと、そういう身長と体重のつり合いの分布の統計的処理ということになるかと思 うのですけれども、これはちょっと意味合いが違っておりまして、身長は身長の正常範 囲、体重は体重の正常の範囲、そして、その中での身長と体重のつり合いは曲線のパ ターンで見ていただこうという考えでやっておるのですが、先生がおっしゃるように、 誤解をされまして同じような御意見で御批判をいただく可能性はあるかというふうに思 いますが、今申し上げたような点の説明をつけ加えておきたいということが一つ。 それから、最初申されました肥満の判定曲線になっておりますが、これはA先生でし たでしょうか、先回も御意見をいただきまして、単に肥満度と言うと肥満ばっかりの感 じもするし、やせのこともあるし、それ以外のことも、先ほど申し上げましたように慣 れてまいりますとこれで異常が判定出来ますので、肥満度判定曲線という名称につきま しては、検討して最終的には何かよい案、例えば幼児期の成長判定曲線でしょうか、名 前もあれですけれども、パッと見たらすぐ肥満という印象がないような形にしたほうが いいかもしれないとは思っておりますが。 ○部会長 何かいい名前がありましたら、愛称的なものでもありましたら、広げていく上で是非 考えていただけるとありがたいんですが、A先生何かありますか。 ○A委員 前回議論したことが、今の御説明にかなり盛り込まれていますので、よろこんでいま す。肥満という語だけが前面に出ないように、どうぞよろしくお願いします。 ○部会長 ともかく、これをつくっていただいた基本的なスタンスが親をおどかさない、指導と いうよりも支援だというお話がありましたが、そういう立場で上手にこれを使うように していきたいなと思いましたが、使っていただくお立場で小児科系の先生方いかがです か。J先生。 ○J委員 今までのカウプあるいはBMIとか、ローレルなどは、今、K先生が詳しく説明され たような問題点があって、経時的に見ていく場合に全く不適切であったし、それから今 までも肥満度という指数は使っておりましたけれども、その都度計算するのが簡単では ないといいますか、一々表から換算して計算するのが現場では面倒な点もありますの で、こういうグラフがあって、そこへプロットしていくことによって非常に簡単に自分 の身長と体重のつり合いを判断出来る。それからまた、更にそれを経時的に見ていく上 で非常に便利なものであろうというふうに思います。 ○部会長 ありがとうございます。H先生。 ○H委員 毎日臨床している立場として肥満の子供も何人か来ますが、先ほどK先生が言われた 食べてもいいから運動をしろと言われても、食べた量だけ運動でカロリーを減らすとい うのは、これは至難の技でして、かなりの運動しても、それだけのカロリーは移す必要 性があるということありますね。私のところに来ている坊やですけれども、今ローレル でやっていますけれども170 ぐらいあって、運動が好きな子なんですがやせないという のがあります。そこら辺はやはり、ある程度両方併用したほうがいいのかなと私は思っ ています。 もう一つの問題は、今までの母子健康手帳でも、例えば乳幼児の身体発育曲線があり ますね。これを実はせっかく昔からあるのにプロットをほとんどされてないという現実 があります。プロットされていませんと、私のところにきた時に今までの分を全部プロ ットし直して見ます。これが普通にいっていますと安心しますが、先生がさっきおっし ゃった途中から急にカーブが落ちてくるというのは確かにあります。あるいは上がって くる。これが非常に大切なことなので、せっかく今度の肥満度判定曲線が出来てもプロ ットしなくては何の意味もないので、実際に使っていただくというPRの方法と申しま すか、どのようにしたらみんながやってくれるかというのを、この場の審議ではないか もしれませんけれども、そこまで含めた御議論をお願いしたいと思います。 ○部会長 確かにせっかくいいものが出来ても使っていただかないといけませんので、これは小 児科に限って言えば、小児科学会以外保健学会などがありますので、こういうようなと ころでPRをしていただくなり、このカーブをもう少しばらまくなり、いろいろな方法 があろうかと思います。 ○K説明員 このカープの読み方になれていただきますと、母子手帳が要らないという訳ではない んですけれども、母子手帳は身長と体重を分けて書いていかなければいけないのです が、それを併記をしてございますし、日常診療の中では1点をとればいいという点でも 楽ではないかと思うのです。それで少し慣れていただきますと、身長と体重とを分けて やっていたようなパターンの異常が、この成長曲線の中でも出てくるというふうに考え ています。 ○部会長 保健相談をやっているお立場でFさんいかがでしょうか。 ○F委員 今、K先生が御説明いただいたものは、特にこの肥満とか、やせとかという子供たち に対しての曲線というふうに受け止めてよろしいのでしょうか。 ○K説明員 そうではなく受けとめていだきたいんですが、もともとの出発点が生活習慣病対策、 その中でも非常に分かりやすくて、対策をいろんな個所でそれぞれ既に行われておりま して、そういう点に対していい点も弊害もまたあるものですから、そういったものを是 正したり、いい方向へ持っていきたいという気持ちがありましてこうなっているんです が、先ほど来申し上げておりますように、またD先生から御指摘もありましたように、 これは名前がよくないので、あらゆる子供の発育の異常とか正常の判定に使えるはずな んです。 ○F委員 1次スクリーニングをやっている立場なものですから、大変たくさんの子供たちの身 体計測をその場で判断する時には、どうしてもこのパーセンタイル値、発育曲線を主に 使って判定してしまっておりますので、特に3歳児に関しては、ただこのパーセンタイ ル値だけでいいのかなという疑問がありましたものですから、どの判定基準を使って肥 満予防、あるいはやせの早期発見に対応するかというのを、現場の中ではちょっと今 迷っている段階ですので、この曲線がもう少し1次スクリーニングから使えるようにな るには、どういう形で取り入れたらいいのかなというのを今、説明を聞きながら考えて おりました。 ○J委員  今までの成長曲線が、横軸が年齢で、縦軸に体重と身長と両方あったということで、 身長と体重それぞれについて点を打ったというのに比べて、今度は身長と体重に関して は1点になる訳ですけれども、それの代わり追っていく上では、その都度そこへ点を 打ったところに何月何日とか、あるいは何歳とか、それを入れる必要がある訳です。そ の辺の使い方などについても少し説明といいますか、工夫が要るんじゃないですか。 ○K説明員 10ページは使い方を書いてあるんですけれども、この図表の上の空いている部分がご ざいますね。70センチから90センチぐらいの上方部分は全く空いておりますので、この 部分に計測値を書く、計測年月日だけを書くような、そういう欄を設けたいと思って、 実際はたしかそういったものも入ったものも用意していると思うのです。目で見て分か る時に、年齢がどこかで判定出来る基準がなければいけないと思います。 ○部会長  さっきA先生もおっしゃったように、私自身も健診をやる時は、必ず体重、身長をプ ロットして、今まではこういうのがなかったので、体重がこの辺で、身長がこの辺だか らバランスがいいですねとか、太り過ぎじゃなしに大柄なんですよとか、そういう説明 をしてきた訳ですが、これから先はこういうものが一緒に使えるようになると、特に太り 過ぎかなとお母さんが心配したりというようなケースに、説明が大変しやすくなるなと 思って伺っておりまして、行く行く母子健康手帳にこういう曲線が入るかもしれません し、当面はこういうものを別につくって使っていただくかもしれませんが、現場での使 い勝手もよさそうだと思いました。  C先生いかがでしょうか。 ○C委員  体型という観点から見ますと大変優れていると思うんです。例えば発育成長障害の問 題の時に、体型だけを主眼に母親に説明していいかどうか、その辺はどんなふうにして いけばいいのかなというふうな疑問が少し出てきますけれども、それは特定なグループ に入る訳で、一般の方々とは違うアプローチをしなきゃならない。しかし、今までです と、確かにK教授がおっしゃるように、カウプ指数が離乳時期と1歳、2歳と変わって くるし、18だったのが、今度は太ったのかやせたのか、幼児になれば体型がだんだん細 くなってしまっていて、うちの子やせたのではないかというお母さんもいるし、そうい う点から見ると、この図ではっきり、お子さんがバランスよく育っていますよというこ とに対して母さん方の安心感は強まってくるだろうと思います。 ○部会長  ありがとうございました。 E先生、これは赤ちゃんには使えませんけれども、何か御意見ありますか。 ○E委員  伺っていて大変合理的になるのではないか、特にお母さんたちに成長曲線として一目 で分かるというような点では、とてもよいのではないかと思います。さっき記載されて いないという点については、母子健康手帳では、実は妊婦の体重についてもプロットす るようになっている訳なんですけれども、あの辺からのところをきちんと医療サイド で、早いうちからグラフを使うという方向を定着させていく努力がまだ必要だと思いま した。 ○部会長  ありがとうございました。 A先生、ほかに何か御注文はありますか。マニュアルの話もちょっと出ていましたが。 ○A委員  前回の委員会の時すごくこだわった同じ点です。おおよそ何歳ぐらいがどこの位置に あるかをぜひ入れていただきたい。学問的立場と、教育的立場と言うのでしょうか、こ れを使っていく時に一般の母親や家族にとって目安があったほうがいいという話は一度 分けて御検討いただくといいかなと思います。ですから、この5ページの波形がおおよ そ2歳頃、3歳頃という感じで、かかれているんだと思いますが、そうしたおおよその 目安が見て分かるほうが一般の人にはよいと思います。 ○部会長  この枠は1歳から始まって5歳までということになりますか。 ○K説明員 恐らく今までのいきさつから仕方のない面があるんですけれども、いろいろ御意見を 聞いておりますと、これをもう少し広い観点から使うことについてのマニュアルづくり をする必要があるかと思いますが、この枠があることで、一つはC先生が言われた問題 も解決をするかもしれないと思うのです。確かに、つり合いだけで考えていますと、 ちょっと大きな問題を起こすことがございます。先ほど申し上げましたけれども、病気 があって、体重が増えてくるような場合に、ものすごい肥満だということで紹介されて くることがあるんですが、それは全然肥満とは異質な問題なんですが、そういったこと は先生おっしゃるように、こういった枠組みの使い方で、全体の発育の位置も中ぐらい のところにいるのか、大柄のほうにいるのか、小柄のほうにいるのか、そういったこと も判定出来るようにしたいというふうに思います。 それから、これは手間がかかる作業なんですけれども、スクリーニングの目安として 使われた場合も、必ずパターンを見ていただくと、過去の成績をプロットしていただき ますと、大変分かりいいかというふうに思うんです。一番の問題点は、伺っておりまし て、肥満度判定の対策がこういうことになっておりますけれども、もうちょっと広い観 点からの使い方、判断の仕方を検討させていただきます。 ○A委員  国際的にも使う方向をねらうとすれば、例えば途上国の場合は、全体に体重の低い子 供たちの位置づけが出来にくくなり、使いにくいと思いますので、よろしくご検討下さ い。 ○部会長  この曲線を使うようになったからこっちの曲線が要らなくなまという訳ではありませ んで、必ず併用いたしますので、おっしゃる意味は大事ですが、現場ではそれを無視す ることにはならないだろうと思います。 ○A委員  いつかは変わっていくんじゃないですか。 ○部会長  ですから、今度2000年に。 ○母子保健課長  その辺も含めて、この場で御議論いただければと思うのですが、要するに、こういっ たものもある程度母子健康手帳等に載せて普及していったほうが、世の中、非常にいい ものであれば、それのほうがよろしいのではないかという気もしないでもないのもので すから、載せるのであれば、平成2年のデータですので、同じベースなものですから、 現在使われている身長とか体重の表と併せて活用するということも一つの方法として、 いわゆる母子保健法の省令にのっかっている事項なので、省令まで改正して表をつけ加 えるか、あるいは現在のものを外してつけ加えるかとか、あるいは当面はそういう省令 には入れないで、任意としてのせておいて使い勝手を見ていくかとか、いろんな方法は あると思うんですが、そこら辺も含めて御議論いただければというのが1点と。  それから、先ほど冒頭にマスコミの方が入っていらっしゃいましたけれども、今日の 審議会でこういったものをやるということをお伝えしてございますのて、それの関係で ちょっと入っていた訳でして、それもこちらのほうで御了承が得られれば、この後マス コミに対してこういうようなものを検討していただいて、ほぼ了承を得たというような ことで、対応したいなと思っております。その2点を御審議をいただければと思います。 ○部会長  母子健康手帳の改正の話がこの次に出てきますけれども、それとこれが絡むかどう か、その辺は厚生省へも後ほど伺おうと思っていたところでございます。 ○母子保健課長  今日結論を出していただかなくても、母子健康手帳のほうは今回とあと次回で併せて 検討したいと思っていますので、今日はおおよその流れさえ議論いただければ、また一 部修正して次回お出しするとか、そういうことも可能ですので。 ○部会長  私としては、今日は当面、これを実際に現場で使ってみる。厚生省が生活習慣病の予 防を目標にして、保健指導から育児の支援へという考え方の中で、これを現場でとにか く使ってみ始めようということについて、この部会が了承していただけるならば、その 方向でとにかくこれをスタートさせていただいて、これが母子健康手帳の中に入ったほ うがいいということになれば、またそれを考えていただく。私としては当面二段階で考 えたり、現場で少し使っていただいた上での御意見を集めたり、そんなことを考えてい たんですけれども、そんな方向でいかがでしょうか。 ○C委員  部会長がおっしゃるように、ある程度のプラティカル・アプリケーションをして、そ れが現場でどういうふうに母親にも、あるいは医療関係者に対しても、適合するかどう か、その辺を御検討になってから踏み切られるといいと思います。  私の意見としては、併記していただければ一部の先生は従来の表を使いますし、それ から新しい方式を使われる場合は、その子供がどの辺の体型などの位置づけにあるか、 両者を比較していかれればいいんじゃないかと思います。 ○部会長  ありがとうございました。  G先生、御専門外ですけれども、いかがでしょう。 ○G委員  勉強させていただいています。ただ、ちょっと思いましたのは、従前の方式というの は、使用者の一人として見た時、年齢での区分のウエイトが大きくて、小柄な子供を 持った場合には成長が遅いように、年齢集団の中で大きい小さいと比較して、こだわる という側面が強かったような気がするんです。年齢による区分が強い。今回のほうがそ ういう規格に当てはめていくという発想ではなくて、その子供、子供の個性を見るとい う発想には近いグラフで、今後の子育てとしてはいいのではないか。非常に発育の早い 子もいれば、非常におっとりと小さいタイプの子もいる訳で、そういう場合に、その子 供の成長発達が健やかであるかどうかという視点で見るならば、こちら表のほうが親は 安心するのではないかという気がして聞いていました。専門外ですので、すみません。 ○部会長  ありがとうございました。確かにおっしゃるとおりです。  さっきK先生が言われたように、極めてまれな特定な病気は別として、一般にはおっ しゃるとおりだと思います。そういう使い方をするように、これから呼びかけていきた いと思いますが、ほかにございましょうか。  もしよろしければ、今C先生におっしゃっていただいたような方向で、とにかくこれ を世に少し出していただいて、これの使い勝手等々少し現場の方々から御意見をいただ いた上で、あとは何年もしないで厚生省値の2000年値が出ますから、その時にもう一回 計算してみて、90年度のほうがいいか、2000年値のほうがいいか、またこれは検討して いただく必要があるかと思いますけれども、ここ一、二年を急がなくてもいい話だと思 いますので、そんな方向で皆様方、殊に現場を預かる小児科関係、あるいは保健婦関係 の方々の御意見を出来るだけその間に集めて、よりよい形でこういう中に入れていった らいいなと思いました。そんな方向で、これから事務局で考えていただいてよろしゅう ございましょうか。 課長、とりあえずそんな方向でよろしいですか。 ○母子保健課長  はい。 ○部会長  ありがとうございました。 そうしますと、ここで御了承を得ましたので、厚生省からこのデータといいますか、 考え方が表に出ていくことになるかと思いますが、この点について何かお話ございます か。よろしゅうございますか。 ○G委員  ネーミングはどうなさるおつもりですか。ある程度チャーミングなネーミングを考え たほうがいいのではないかと思います。 ○母子保健課長  この場でご検討いただいてはどうでしょうか。 ○部会長  この場でいいのが出ればありがたいのですが、もし出なければ、とりあえず仮称で いっていただいて、誤解のない、しかも使いやすいいい名前を。 ○G委員  これはA委員が言われるように、肥満度と言うのだけはやめて、「肥満度・やせ」と かというふうに、せめてそれだけは正確に出されたほうがいいのではないでし ょうか。 ○部会長  肥満だけと言われると、確かに今肥満を心配しているお母さんが多いですか ら。 ○B委員  冒頭に申しましたように、これは指導・支援ですよね。今、部会長がおっしゃったよ うな指導のガイドライン的なものは、ある程度統一と言いますか、H先生は運動だけで も足りないというようなことで、どんどん動かせとか、食べろ、食べろと言う、ちょっ とまだ混乱がございますよね。ですから、少なくともこういうようなことが望ましいぐ らいなガイドライン的なものが一緒に付けられれば、例えば今新聞記者とかおっしゃっ たですけれども、具体的にはどのようなことをやるんですかと言われた場合のものを 持っていないとちょっと心配だなと思っているんです。 ○部会長  ありがとうございました。是非それは厚生省にも考えていただきますし、K先生、乗 りかけてというより乗り出した船ですから、その辺も含めて更に御検討をいただいて、 学会等に出していただけると大変ありがたいと思います。お考えおきいただきたいと思 います。 ○K説明員 分かりました。当面、「肥満度」を取りまして中ポチの「やせ」を入れる、それはよく ないですか。 ○A委員  逆の発想で、例えば「すくすく成長曲線」とかはいかがですか。ほとんどの子にとっ ては、肥満かやせかは勿論知りたいけれども、それらを含めてこの成長の方向がこの子 にとってのぞましい方向かを知りたいのでしょうから。 ○K説明員 J先生も最初質問していただきましたし、この中にも書き加えておきましたが、大体 3%ぐらいの子供たちだけに使うというのでは問題がありまして、先ほどおっしゃった ように使い方は非常に広いということは事実だと思うんです。 ○母子保健課長  そういたしますと、例えば大人の場合も、もう既に昭和60年代に「成人の肥満とやせ の判定表・図」というのがありまして、多分それをひとつ真似て、このテーマは「小児 (幼児)の肥満とやせの判定表・図」としたのだろうと思うんです。どういう内容のも のかということを、ある程度タイトルで表すものですから、それは必要かなと。単なる 成長度の図だと、ちょっと何が成長するか分からない。ただこの曲線のほうは、先生方 のおっしゃるように成長度判定曲線か何かのほうがいいのかもしれませんね。 ○部会長  とりあえず、その線でお願いをいたします。ありがとうございました。  それでは2回にわたってK先生から御説明をいただきましたが、小児の肥満とやせの 判定に関することは、とにかく実用化して厚生省からに表に出していただく。今後の普 及あるいは判断の評価については、更に学会方面でいろいろ御検討をしていこうという ことで御了承をいただきたいと思います。ありがとうございました。  それでは、議事の2でございますが、「母子健康手帳の改正について」でございます。 これは今の話は入っていないと思うんですけれども、この母子健康手帳の説明等の中に 一部改正をしたほうがよいのではないかという点が幾つか出てきておりますので、その 点についてお諮りを申し上げたいと思います。  先ほど課長が言われましたように、今日結論というよりも、もう一回年内にでも続き をやらせていただきたいと思いますので、2回の御議論で御了承いただけたものについ ては直していきたいということだと思いますけれども、特に直す中で、お手元に現物が ございますけれども、紫外線の問題がちょっと今、特に皮膚科の方から問題提起がされ ておりまして、昔は日光浴が健康のために大変大事だと。育児書を見ますと、まず最初 は足首何分、膝まで何分ということまで書いてあった訳ですが、今の世の中ビタミンの 面でそれほどの心配はない。一方で、紫外線の害が、今言いましたように皮膚科の方で 言われ出しております。殊に白人が問題なんでしょうが、皮膚がんが非常に増えている という話ですし、小児皮膚科学会などに行きますと、皮膚科の先生は小児科は赤ん坊を 小さい時だけ見ていて日光浴を勧めていればいいけれども、がんが出来て文句言ってく るのは俺たちのところなんだから何とかしてくれなんて、いやみまで言われるようにな ってきました。それはそれとして、そういう問題がございますので、この点については、 K先生にちょっと御意見をいただきたいので、まず最初に紫外線の点をお願いいたした いと思います。  事務局から御説明をお願いいたします。 ○事務局  それでは、資料の2の1ページをお願いいたします。  1ページ目の2の「紫外線防止について」でございます。配布しております母子健康 手帳の見本でございますが、この18ページをごらんいただきたいと思います。 改正の趣旨ということで、改正が必要かどうかも含めまして御検討をいただきたいと 思っておりますが、趣旨といたしましては、今、座長のほうからお話がございましたよ うに、現行では母子健康手帳の中に日光浴に関する記述がなされておりますが、近年紫 外線による皮膚等への障害が問題となっておりまして、かといって一方では、日光の下 で子供が伸び伸びと運動するというようなことも重要でございますので、そういっここ とも踏まえまして、この記述について総合的な御意見をちょうだいしたいと思っており ます。 特にこの改正案というところ、私どもも、この「日光浴」というところを残すべきか 残さないべきかというところから、事務局案ということではお示ししておりませんが、 全体的な御検討をいただきたいということで課題に出させていただいております。 なお、環境庁におきましては、紫外線による健康影響予防対策ということを検討して おりまして、今後関係省庁の担当者の連絡会議、それから保健指導担当者等のための紫 外線保健指導マニュアルといったものの作成も考えているようでございますが、ただ、 厚生省としましては、子供の健康という観点でこういった御議論をしていただいたこと が、どうも、これまで余りなかったようでございますので、この場で是非総合的な御検 討をいただきたいと思います。 以上でございます。 ○部会長  ありがとうございました。 そういうことなどがありまして、「日光浴」という言葉の部分をどうしようという御 提案でございます。成長に特に関係もあろうということでK先生にお残りいただいてま すが、何か御意見ございますか。 ○K説明員 小児皮膚科学会等でもいろいろ問題になっている訳ですけれども、どのような状態 で、どのような時間、こういう年齢の子供さんが外気に当たっているか、日光に当たっ ているかということが問題でございましてと私は思っております。日常的な生活の中で は、むしろその辺のところが、どこに線を引くかということが実際には難しいからとい う点が最大の問題になっているだろうと思うのですけれども、そういった問題を議論し 始めますと赤ちゃんを連れて成層圏は飛行機に乗れないとか、これは外国でも問題に なっているんですが、手のレントゲンを撮っている先生たちが書いていらっしゃるんで すけれども、大西洋を2回飛行機で往復するとか、スキーに2日でしたか3日でしたか 行けば、手のレントゲンに当たるぐらいの放射性物質にさらされてしまう。紫外線の問 題はちょっと意味合いが違うかもしれませんけれども、同じような意味合いを持ってい るように思うのです。  ですから、一般的な日常的な生活、これはおよそ常識的な線があると思いますけれど も、赤ちゃんを真っ裸にして直接日光にさらすとか、あるいは今は少なくなったかと思 いますけれども、裸の幼稚園ということがあって、朝から晩まで裸で外で遊ばせるとか、 そういうことがなければ大きな問題を生まないのではいないか。その問題をそのような 形で取り上げますと、全ての生活が出来なくなってしまうというふうなことにつながっ てくるように、いろいろ小児皮膚科学会等の皆さんの御意見を聞いて、そのように現状 では思っております。 ○C委員  コーカシアンと違って、スキンキャンサーの発生率が黄色人種において最近になって どのくらい増えたかどうか、はっきりしたデータがほしいと思うんです。 それから、乳児期という時期に、くる病の対策という問題が陰にある訳ですけれど も、乳児期に、ある程度の紫外線、極端なものではなくて、通常の生活の常識範囲内に おける紫外線を浴びるということが、更年期になって皮膚がんを併発する誘因になり得 るのかどうか大変疑問が多いので、感覚的な問題で決めてしまうというのはいかがなも のかなと。そうすると、ここに書いてある天気のよい日というのですけれども、薄着で 散歩するというのは一向に差し支えないのではないかというような感じがしますけれど も、まず皮膚科学会のお答えとか、そういうのを一応いただいた上で判断するというこ とはどうでしょうか。またオゾン層がどんどん壊れてくると、我々の種族も皮膚がんに かかってしまうのかどうか、その辺が分からないんですけれども。 ○部会長  今、C先生から御指摘のような、数字を含めたデータというのはあるのでしょうか。 何となく心配だから、ちょっと考えてみようかという話と受け止めていいんでしょう か、どうなんでしょうか。 ○事務局 厚生省では、特に子供の分野につきましては、数字的に研究的に集めたというような ものは、心身障害研究の中ではなかったかと思っておりますが、環境庁の方が紫外線の 研究班をずっと組織しておりまして、その中には慢性影響と急性影響ということで一応 報告書を作成しております。ただ、それは子供に特化したということではなく、一般論 としてがん研究等を中心に報告書が出ておりますので、またそういったものを御報告さ せていただきたいと思います。  この場で先生方にお伺いしたいのは、子供のころの日光浴と骨粗しょう症とか、そう いった骨への影響の関係のようなものは、今まで学会等で議論されたことというのはあ るのでしょうか。 ○C委員  A先生とか私などが小児科医になったころ、最後の時代だったと思うのでございます けれども、肋骨ネンジョとか、クラニオタウンサーですとか、くる病に対して相当警戒 していた時期なんです。ビタミン・チョコラDDとかを飲ませたりしていた時期でござ いまして、そういう時代を経てきた古い階層に族する小児科医としては、余り日光浴を するなと言って昔の方式で育てていいのかどうかというのは大いに疑問が残るところで す。 ○部会長  これはごらんいただくように、書いてあるのが三、四か月のところでございますの で、これは今おっしゃったように、昔のくる病が怖くてという時代からの、我が国に限 らないのでしょうが、外気浴が入っていますけれども、育児の心得みたいなものをその まま引っ張ってきていると思うのです。そういう歴史的な背景等もございますけれど も、一方では子供の外遊びはいっぱいしてもらいたい訳で、その辺の兼ね合いがありま すから、ここは三、四か月という時点で、この「日光浴」という言葉が入っているのを どうしようというふうに受け止めていただいて、この次にかけて御議論をいただければ なと思います。 ○D委員  今、事務局がおっしゃられたように、多分環境の影響としては、がんの関連で紫外線 の悪影響が論議されております。これは小児の場合もリスクのある疾患が幾つかござい ます。一つはアルミノ、アルビニズム、白子症の子供たち、それからもう一つはいろい ろがんのリスクが高い病気の、例えば染色体のフラジャイル症候群という幾つかの病気 がございますが、その場合を除けばほとんど問題にならない。恐らく皮膚科の際の議論 は、多分一つはそういう遺伝的な劣性の因子を持っている人たちがリスクが高い。それ はがんが発病するとか、いろんなこと分かっている訳ですが、そういうのを除けば、ほ とんど問題はないというふうに私は考えていますので、同じような影響の問題ですと、 電磁線であるとか、いろいろ議論されていてもまだ研究が進んでいない。そうすると結 論が出せない訳ですから、しばらくはこのまま、この記載は親子の指導にとってはなか なかいいのではないかと思うんですが、そういうリスクのある場合は勿論別ですから、 私の意見としてはこのままでいいのではないか、しばらく様子を見ていいのではないか という気がいたします。 ○A委員  基本的にはD先生のお話に賛成なんですが、これは言われ始めたのはたしかアメリカ でして、コーカシアンというのは確かに紫外線に弱いということがあるようなんです。 私が読んだのは正規な文献だったかどうか忘れましたけれども、日本人と比べて一般的 に10分の1ぐらいだろう。黒人は更にその10分の1ぐらいだろうというデータがありま した。でも、10分の1というのは、アメリカの今の皮膚がんの数から見て、これはある 程度問題にしなくちゃいけないだろうということがあります。それから、日本でもかな り長い列島ですから、日照時間の長い、短い、強い、弱いがありますし、先ほどC先生 おっしゃったようなビタミンDあるいはAというのは、まだWHOでも進めているとこ ろもありますから、そこら辺も考慮しながら、例えば先生がさっきおっしゃったように 裸にして日光に当てるというような極端なことはしては困るでしょうけれど、薄着で表 で、いわゆる外気浴の形、その程度のところに落ち着くのが一番いいのかなという気が していますけれども。 ○E委員  部会長と御一緒だったと思うんですけれども、この母子健康手帳改定の時に、平成4 年ですか、私も仲間で一緒で改定させていただいた時の記憶をたどると、たしか日光浴 というのは、当時のトレンドでも、今論議されていることと同じ意味で気になるという 発言があって、括弧の中が入ったというふうに私は記憶しているんです。それで日光浴 が非常に気になれば、「や日光浴」というところを外しても大体趣旨は通っていくのか なというような気がするんですが、本当はデータが欲しいところですけれども、そんな 遠隔データ等は簡単にとれてはいないと思うし、粗しょう症の問題もまだ最近のこと で、実際に粗しょう症の検査を受けても、あなたの過去のデータが積み上げていないか ら本当のところは分からないないなどという結果が出てくる時代ですので、そういうと ころから考えてみると、日光浴というのを積極的にやらなくてもという流れがあるとす るならば、そこを外して、このままで残しておくということは出来るのでないか。括弧 の中には天気のよい日とちゃんと書いてある訳ですし、そんなところでどうでしょうか という気もしますが。 ○部会長  C先生どうぞ。 ○C委員  これまた全然別の社会的観点からなんですけれども、これだけ子供が少なくなってき た。この三、四か月というのは恐らく乳母車をお使いになって、公園に行かれたりなど する。子育てをしていることが御婦人にとって楽しいというような感性を持つために は、やはり外気浴とか、そういう記載は私は必要ではないか。医学的な問題ではなく て、社会的な問題からですね。 ○A委員  私もC先生のおっしゃられた観点です。病理的な立場だけではなくて、暮らしの視点 で密室の中での保育にすぎることが心配です。是非残していただきたいと思いました。 ただ、「何々や日光浴」というところがなくてもよろしいかと思います。 ○部会長  例えば天気のよい日に薄着で散歩するなどしていますかというふうに書いてしまって もいいという御意見ですね。ありがとうございます。  ほかにございましょうか。  次回もう一回議論させていただきますので、今の御意見は記録にとどめさせていただ いて、もし新しいお考えが出ましたら次回お願いいたします。  K先生すみませんでした。もしお時間があるんでしたらいていただきたいんですけれ ども、お急ぎでしたら、ご遠慮なくお願いします。よろしければ終わるまであと30分い てください。 じゃ、「母子健康手帳の改正」の次の点にお願いをいたします。胆道閉鎖症の件です ね。よろしくお願いします。 ○事務局  それでは、資料の2の1ページの1をお願いいたします。  これは母子健康手帳の見本の16ページのほうになっております。改正の趣旨でござい ますが、胆道閉鎖症研究会、これは日本小児外科学会内にございますけれども、この研 究会によりますと、胆道閉鎖症全国登録集計報告では、1995年の年間登録数114 例中 「生後黄色便あり」と答えた方が66例(58%)でございました。また入院時便色が「黄 色」というのが4例(3.5 %) 、「淡黄色」が29例(25%) となっておりまして、単に 便の色が「灰白色〜白色」といった記述では便の色からのスクリーニングの意義が損な われるおそれがあるのではないかということで課題とさせていただきました。  改正案でございますけれども、こちらの省令事項の部分でございますが、「保護者の 記録〔1か月頃〕」のところでございますけれども、この内容を案といたしましては、 現行で「便の色は何色ですか」というふうに記載してありますが、ここを「うすい黄色、 もしくは灰白色の便がつづいていますか」というふうに直したらいかがかという案を提 案させていただいております。  また、ただし書きが16ページの下のところにございますけれども、これにつきまして も、「便の色が灰白色〜白色で、白目(しろめ)や皮膚が黄色〜黄緑色である場合は、 胆汁が流れにくい状態が疑われるので、至急小児科医の診察を受けてください」とござ いますけれども、それを右側のように、「便の色がうすい黄色、レモン色、灰白色で白 目(しろめ)や皮膚が黄色〜黄緑色である場合は、胆汁が流れにくい状態が疑われるの で、一日も早く小児科医、小児外科医等の診察を受けてください」というように改正案 を載せさせていただいております。よろしく御審議をお願いしたいと思います。  別の資料で追加で配布している資料がございますけれども、こちらは御参考までに配 布させていただきましたが、胆道閉鎖症の子を守る会というところから、このような同 様の要望が出ておりますので、その旨御参考までにお願いいたします。 ○部会長  ありがとうございました。  この便の色については、実はさっきE先生が言われたように、前にこの改定が行われ た直後から色が白とは限らないよという話は出ておりまして、この機会に変えられれば ということのようでございますが、この点については御意見いかがでしょうか。これは 実際に患者さんの便の色がこういう色だったというのであれば、確かに早く見つけるた めには、この程度から気をつけたほうがいいと思いますし、最近、便の色の色調を印刷 したものを配っておいて、あ母さんにそれと照合してもらったらどうだという、そうい う案も出ているように伺っております。この点についてどうぞ。 ○J委員  実際、胆道閉鎖症の赤ちゃんの便というのは、ここに従来、無胆汁便で言われていた 白色とか、灰白色ということはむしろ数の上ではそれほど多くなくて、クリーム色とい いますか、薄い黄色だったり、その便の色からいえば、確かに改正案のように変えれば 広くつかまる、そのことを端緒につかまえるという場合には役に立つと思います。  僕が前にいた栃木県では、自治医大小児科にこれを専門にやっている者がいて、母子 手帳に便の色の見本を入れて、1か月健診の時に、この子の便がどの色に当たるかとい うのを示してもらって、その上で無胆汁といいますか、正常な便以外のものであった場 合にはスクリーニング検査をするというふうな手順で、マススクリーニングを試行して いた。その後ずっと続けているかどうかというのは確かめていないんですけれども、そ ういうこともやっておりますので、出来ればこれをもっと確実に、ちょっと趣旨が変わ ってくるかもしれませんけれども、この病気のスクリーニングということをもっと強く 打ち出すのであれば、便の色を実際に示して、どの色に相当するというのを見てもら う、出来ればそのほうがいいんじゃないかと思います。 ○部会長  あれは研究班で見本かなんかが出来ていましたか。御参考までに今度もし手に入った ら見せていただきましょうか。いい色の印刷さえ出来れば実用的だと思いますけれど も、ありがとうございます。  ほかにございましょうか。この点については特に御異議は少ないようでございますの で、また次回もう一回検討させていただきます。  では、改正の第3点でございます。今度は生まれる前の妊娠中の問題でございます が、これまた御説明をお願いいたします。 ○事務局  それでは2ページの3の「妊娠中の薬剤に関する記述について」を御説明申し上げま す。  改正の趣旨でございますが、現在の母子健康手帳には、薬剤に関しての記載が何もな いことから注意喚起を促す観点から、その必要性について検討するということでござい ます。  改正案といたしまして、現行では、特に薬剤の影響、注意といったものが記載として 全くないということで妊娠中の薬の影響についてはということでの欄を設けるか、また は49ページの「すこやかな妊娠と出産のために」という欄がございますけれども、こう いったあたりに少し一言加えるかというような欄の設け方の問題も一つございますが、 改正案といたしましては、「妊娠中の薬の影響については、本来期待する効果(主作用) のほか母体に対する副作用と、胎児への影響を考える必要がありますので、事前に薬の 効果と副作用について医師および薬剤師に十分説明を受け、適切な用量・用法を守りま しょう」という記載の案でございます。  これにつきましても、先ほど参考資料としてお配りいたしました1枚の紙の下のとこ ろでございますが、妊娠中の薬剤に関する記述についてということで団体の要望が出て おりまして、これは特に陣痛促進剤に関する要望でございますけれども、要望内容とい たしまして、出産の状態に関してアプガースコアの評価表と点数を記載する欄を設けて ほしいということ、また陣痛を誘発・促進した時、薬剤の量とその理由を記載する個所 を設けてほしいということ。また出血量の数値と処置内容を記載する個所を設けてほし いということ。また四つ目といたしまして、薬とインフォームドコンセントの欄を設 け、陣痛促進剤の使用に関しては、重篤な副作用が発生することがあるので、特に十分 な説明と同意のもとに使用することが大切であると記載してほしいという御要望が出て おります。  アプガースコアの点に関しましては、平成3年に心身障害研究の中で「高齢化社会を 迎えるに当たっての母子保健事業策定に関する研究」の中に母子健康手帳に関する委員 会を設置し、改定作業を行ったところでございますが、その際、アプガースコアの項目 を申請するかどうかの御検討をいただいた経緯がございます。その際には、御検討の結 果採用するに至らなかったという審議結果がございますが、この要望の中には、陣痛促 進剤についての記載をしてほしいということと、アプガースコアを書くようにしてほし いという母子健康手帳関連の御要望がございましたので、御参考までにお示しいたしま した。  私どもといたしましては、薬の影響全般についてこれまで全く記載がございませんで したので、こういった注意事項を一つ載せたらどうかというふうな案で載せさせていた だいております。よろしくご審議をお願いいたします。 ○部会長  ありがとうございました。  この問題につきましては、日本母性保護産婦人科医会の方でも御検討いただいた経緯 があるようでございますので、B先生から御発言をお願いいたします。 ○B委員  陣痛促進剤に関しては、被害を考える会からここにございますように、昭和58年ごろ から団体と交渉してまいりました。陣痛促進剤と言いますのは、オキシトシンとか、プ ロスタグランジンというのがございまして、これはやはり経緯を見れば御理解出来るか と思いますけれども、脳性麻痺というものが非常に問題になりまして、この被害を考え る会の被害者と申しますか、そういう人たちは主に赤ちゃんの脳性麻痺、あるいは子宮 破裂という問題でございます。しかし、これを考えるにもっと脳性麻痺というものが、 CPに関しては、赤ちゃんの出生数に関しては以前と比べて非常に少なくなってきたと いうデータもございます。これはやはり陣痛を起こす薬によって正常な分娩にもってい くというような努力があったかと思います。ですから、これは薬剤の、いわゆる効の 方、それに反して時たまと申しますか、陣痛が過強陣痛になって子宮が破裂を起こした りして、そういうような状況が起こったということも、また事実でございます。 この関係に関しては、既に私ども厚生省とも一緒になって記者会見をした経緯がござい ます。そういう関連から被害者の会からも母子手帳の中に薬剤を、こういう薬を使った からこういうことがあったんだということを入れてほしいと申しますけれども、実際に こういう薬を使って、効能効果というのはございますのに、また別の状況において載せ るというのは、私たちとして、医療従事者としては非常におかしな点がございます。と 申しますのは、例えば一般の心不全の患者さんに対して、やはり心拍数の増強のために 薬を使うという場合にはもう既に薬効に載っている訳でございます。それを別の機会、 あるいは記載に書くということはちょっと考えても矛盾が生じるということがございま す。  それからまた、妊婦さんに対しては、既に私どもに来る時は、既にいろんな妊娠をし ているという事実があって、またその時に、例えばレントゲン、あるいは睡眠薬、ある いは安定剤を飲んだというようなことがございます。私たちはなるべく赤ちゃんを生ん でほしいという方向に注意を惹起しているんですけれども、心配だから堕したいという ような母親が非常に多うございます。そういう指導の面も含めて、こういうような、団 体から言われた文書をそのままここに載せるというのは、私たちとしては非常に反対で ございます。出来れば何も書かない。こういうような妊娠中の薬というのは、もう既に インフォームド・コンセントが十分いっておりますし、それから薬効・効能効果の中に も妊娠中についての薬については十分記載事項がございますので、あえて載せる必要は いかがかなということが一つでございます。  それから、先ほど申しましたようなアプガースコアに関しても、やはり立ち会ったド クター一人ひとりによってスコアの書き取りが、例えば5点だったのが4点、4点だっ たのが2点というふうに誤差があるかと思います。ですから、はっきりこれがのびたと いうのは、事実的にこういうものを載せた場合の効果、あるいは影響が大きいから、こ こに当然外したのではないかと思っております。  以上でございます。 ○部会長  ありがとうございます。  基本的なことでひとつ教えていただきたいんですが、今の陣痛促進剤に限って言え ば、この薬の副反応で生まれる赤ちゃんのCPが起きたというんですか、それともお産 が重くなったかなどの二次的な理由でCPが起こったと。 ○B委員  ほとんどが過強陣痛といって急にお産がきて子宮が破裂して帝王切開が間に合わな かったと、そういうのはございますけれども、ただ、陣痛促進剤をやって自然に生まれ た例ではほとんどございません。 ○部会長  ありがとうございました。  御質問がございましたら、これは産科の方のはっきりした領分のお話なので、私ども よく分かりませんけれども、御質問がございましたらお願いいたします。 ○B委員  追加で、そのCPに関しては、これは随分前から言われたんですけれども、帝王切開 してもCPというのは当然出てきているということが全世界で分かっております。やは り薬を使ってCPになってしまった。使わなくてもあるいはCPになってしまったかと いう、その因果関係というのは私たちも探ることが出来ないので、この点もやはり被害 者の方たちと何回も話しても、そこは接点が通っておりませんけれども、事実として、 帝王切開でも、そういうCP児というのと症例があるということ、患者さんと被害者の 会も知っていただきたいということはいつも言っております。 ○部会長  C先生、これは小児科、産科と関係なく日医のお立場でいかがでしょうか。 ○C委員  医師賠償保険を日本医師会でやっておりますけれども、その中のメジャーのパートは ギネコロジストによって占められている。かつてほかの診療科のほうからやや文句が あったというようなことを伝え聞いております。  以上です。 ○B委員  非常に厳しいことを言われまして、結局1人じゃない訳ですね。本人と赤ちゃんとい う2人ということですから、倍率としては2倍の受ける率があるということ、五つ子と か、六つ子という、そういうことも考えられる。 ○部会長  この問題はG先生が関係あるでしょうが、今日は御意見を伺いません。  H先生どうぞ。 ○H委員  一つはアプガースコアを記載するということが将来、例えば入学とか、入園の際の データに使われるという危険があると耳にしたことがあります。これはどっちをするか というと当然いい方をとるということになります。ですから、それはやはり差別の一端 ではないかというふうに私は考えています。  それから、ある特定の薬剤の被害ということが、これがもし要望が通りますと、これ は限りなく広がっていく危険がある。これは単に陣痛促進剤だけの問題ではなくなると いうことを考えておかなくてはいけないだろうと思います。 ○部会長  E先生何か御意見ありますか。 ○E委員  今A先生がおっしゃったとおり、アプガースコアについては前回の改定の時には保育 園、幼稚園、学校等でこのデータを意味もなく差別の材料に使うということがあって、 アプガースコアが特に象徴的に出てきたのですが、同じように、例えば余り疾病として は意味のないものでも、ここに記載をすると、それが差別の対象になるという問題が実 は日本の中では陰湿に進んでいるということがありまして、欄があると書いてしまうこ とがあるというようなことは繰り返し語られたと記憶しています。ですから、そういう ものにどう対処していくかというのも実は迫られている問題だと思っております。  ただ薬剤について、厚生省が2ページに示された改正案については、この内容ならば 啓蒙の意味で入れるべきだと私は思ういます。 ○部会長  今日はいただいている時間の残りも少ないことですし、急にここで結論ということに はなりませんので、次回継続的にまた御意見がございましたらお考えおきいただきたい と思います。  G先生もひとつお考えおきくださいませ。  これが妊娠中の薬剤の記載を提案されました背景等の事情でございますので、次回ま たよろしくお願いいたします。  第4点は、これは労働三法の改正に伴う記載の改正ですので、これは機械的なもので ございますけれども、簡単に御説明いただけますか。 ○事務局  お時間の関係もございますので、簡単に御説明申し上げます。  2ページの4のところをお願いいたします。改正の趣旨でございますけれども、男女 雇用機会均等法及び労働基準法の改正により働く女性の母性健康管理の措置が事業主に 対し義務化されるとともに、多胎妊娠の場合の産前休業期間が10週間から14週間に延長 され、平成10年4月から施行されることとなったための改正でございます。法改正に伴 うものでございますので、法の改正された部分を改正したいというふうに考えまして、 この現行と改正案は下線の部分のところが改正となっております。  多胎妊娠が10週間から14週間という改正、また3ページ目のところにございますけれ ども、「育児・介護休業法」という中に、「子が1歳に達するまでの間、事業主に申し 出ることにより、母親、父親のいずれも育児休業をとることができます」というふうに 改正されまして、これまで「原則として1回」というふうな記載が全面的に書きかえら れております。また、点線がついている「育児休業のほかに、1歳に満たない子を養育 する労働者が就業しつつ子を養育することを容易にするため、勤務時間の短縮などの措 置があります」というところが全面的に付け加えられております。  また、参考でこれまで載せられておりましたところにつきましては、「男女雇用機会 均等法では妊娠中や出産後の保健指導や健康診査を受ける時間の確保について配慮する よう努めなければならない旨、事業主に求めています」となっておりましたが、これは 努力規定でございましたけれども、男女雇用機会均等法の中に「妊産婦は、母子保健法 による保健指導又は健康診査を受けるために必要な時間を確保できるようになっていま す」ということで、正式に義務化といいますか、規定されたかっこうになっておりま す。  またこの一番下の「妊産婦が医師等の指導があった場合には、その指導事項を守るこ とが出来るよう、事業主は、勤務時間の変更、勤務の軽減等必要な措置を講ずることと なっています」ということで、事業主の義務を明記したところでございます。  次のページをお願いいたします。「これらの措置には、妊娠中の通勤緩和、休憩に関 する措置」云々と、ここの最後までの部分につきましても全く新しく追加された事項で ございますので、母子健康手帳の注意書きのところにも追加をさせていただきたいと思 っております。  以上でございます。 ○部会長  ありがとうございました。  これは法律等の改正に伴った説明、これを是非妊産婦の方も承知して十分に活用して いただきたいということだと思いますが、これは何か御質問ございましょうか。 ○C委員  ここに「育児」という字が書いてあります。3ページの上から10行目ぐらい、二重丸 で「育児・介護休業法」というふうになっておりますけれども、確かに妊娠の時の健診 に関して休んでいいというようなことがありますけれども、子育てに関する、例えば予 防接種とか、あるいは乳児健診に関して休んでいい、そういう項目が全く書いていな い。これでは子供を生み育てている婦人がどんなにあせって苦しくなってしまうか。行 政も少しよく考えてもらわないと、これでは少子化がどんどん進んでしまってどうにも ならないと思います。 ○B委員  私もC委員の御発言に賛成でございます。生まれる赤ちゃんというのはだんだん少な くなってしまいますね。ですから働く女性が、労働省もそうなんですけれども、とにか く生んでしまったら生みっぱなしのような是非そういうことのないような法律にやって いただきたいと思います。  それからもう一つ追加してよろしいですか。 ○部会長  はい、どうぞ。 ○B委員  妊婦健康診査に関して、多胎ということが入りまして、多胎は育児休暇というのが少 し長くとれたように思うんですけれども、多胎妊娠、特に双胎妊娠が最近非常に多うご ざいます。そうしますと、多胎妊娠は36週頃が満期の状態なんですね。そうしますと、 その前の約1か月、4週前から1週間に一遍は妊婦健康診査を受ける機会がないとほと んど早産ということで対処されてしまいますので、多胎の場合、出来れば妊婦健康診査 を妊娠の32週から1週間に1回というふうにしていただければというのが私たち日本母 性保護産婦人科医会からの要望でございます。 ○部会長  ありがとうございました。  今の両先生のお話は、今度の母子健康手帳の記載を直すという以前の法律ないしはエ ンゼルプランそのものの内容をもっと充実するようにということですね。ですので、こ の点はこの母子健康手帳の記載の変更とは別に、厚生省として是非今の御趣旨の方向で 御検討いただければありがたいと思います。  課長、そういうことでよろしゅうございますか。 ○母子保健課長  労働省に関係する部分も相当ございますので、それについては労働省の担当課の方 に、ここであった御議論について御報告させていただきます。 ○部会長  よろしくお願いいたします。 ○C委員  労働福祉省になったら出来るかもしれません。 ○部会長  それまで待っていないで是非ひとつお願いいたします。 ○G委員  ちょっとお聞きしたいんですけれども、この法改正の時には随分法律家団体も反対を して1歳以上の育児について、これでは余りにも無責任だということで要請を出してい るんですが、例えばこの前お世話になっていた別の部会では、少子化傾向をどうするか ということを盛んに考えておきながら、片っ方の労働省は別の態度だというような時 に、各省内間では法律をつくる時に、厚生省の立場というのは労働省の方には言ってい ただいているんでしょうか。ちょっと後学のために教えていただきたいんですけれど も、部会長、口をはさんでごめんなさい。 ○母子保健課長  これは勿論この法律をつくる際には関係省庁の勉強会というのがありまして、その中 でいろいろ私どもも入って議論させていただいています。ただ、最終的には労働省が所 管する法律ですので、審議会の御意見を聞きながら労働省の方で一義的に決めていく、 ただその際にも、法律が出来る過程において各省庁にこの法案でいいかということで議 論して、それでさっと変わるということはなかなかないんですけれども、一応各省庁の 意見を聞いた上でまた労働省が成案をつくっていくというような形になっています。 ○部会長  エンゼルプランは申し上げるまでもなく、厚生、文部、労働、建設、この四つの省 が、特に少子対策で考えていただいておりますので、よろしくお願い申し上げます。  この改正の5の「里帰り出産について」もお願いします。 ○事務局  4ページの5でございますが、「里帰り出産について」ということで、これまでそう いった記載がございませんでしたが、平成8年11月20日付通知によりまして、「母性、 乳幼児の健康診査及び保健指導に関する実施要領」というものの中に「産婦が一時実家 に帰省する場合等、産褥期を住所地以外で過ごす産婦を把握し、訪問指導等が適切に行 われるよう、地方公共団体相互の連携を図るようにすること」というふうな記載をさせ ていただいております。こういったことで、市町村に対しましても里帰りについて対応 すべきというふうなことを申し上げているところでございますが、母子健康手帳の中に 改正案といたしまして、「帰省する場合、分娩前後に帰省するなど、住所地以外で過ご す場合は、その旨住所及び帰省地の市町村役場保健担当に申し出、母子保健サービスの 説明を受けましょう」といった記載を設けまして、里帰り分娩につきましても、帰った ところの保健サービスで受けられるものを、情報をいただいて受けていただくような注 意事項といいますか、記載をしたらどうかというのがこの案でございます。よろしく御 審議お願いいたします。 ○部会長  以上のようなことで、これは受けられるべき母子保健サービスがきちんと受けられる ようにという趣旨の書き足しでございます。何か御意見ございましょうか。 ○B委員  里帰り分娩に関しては非常に事故が起きるということで、と言いますのは、今まで診 ていた主治医から、いきなり分からない、それの唯一の頼りが母子手帳だけだったんで すね。私たち日母としては、そういうような里帰りに関しては、その情報提供としての 書類が56年からつくって妊婦さんに渡しているのですけれども、御存じのように市町村 に移行しましてから、市町村によってはサービスの内容が全然違う訳です。ですから、 一途にこれを持っていって記載した場合に、果たしてこれが本当にうまくいくかという ことを心配しております。 それから、この記載内容によってはサービスを受ける、受けないで差別が出来るとい うことと、もう一つは帰省分娩を奨励しているようなニュアンスにも取りかねないの で、そういう点についても是非御検討を願いたいと思います。 実際には産婦人科の医療機関でもパンフレットを渡して、向こうの先生と日母として は全国の産婦人科医会の技量と申しますか、そういうのを全部把握しておりますので、 そこの病院はこういうことも出来ますということまで把握しているので、わざわざこう いうことも書いてサービスが受けられないようなことになることを非常に心配しており ます。 周産期問題に関してもそうなんですけれども、厚生省としては、各都道府県に周産期 医療協議会をつくりなさいと言ったんですけれども、実際には五、六か所しか出来てお りませんし、また周産期検討会というのもなきに等しいような状態で、市町村によって は、お金が母子保健事業に使われないというところが私たちとしては非常に困惑してお ります。その点がちゃんと出来るようになってからでも遅くはないので、やりなさいで お金がありませんというようなことにならないようなシステムを是非つくっていただき たいと思います。 以上です。 ○部会長  申し上げるまでもなく、この4月から市町村に全部サービス事業が移管されましたの で、厚生省が随分気にして指導しておられると思いますが、どうしても市町村によるむ らがありますので、この辺はある程度覚悟して対応していかなければいけないでしょう が、今のお話の中身は、殊に行政の方でひとつ御検討しておいていただきたいと思いま す。 時間がまいりましたので、この母子健康手帳の改正についての御議論は一応今日は打 ち切らせていただいて、次回引き続いて御意見をちょうだいしたいと思います。特に母 性保護産婦人科医会と事務局とで、もし少しお話し合いなどをしておいていただけます と、次回がスムーズにいくかなと思いますので、この辺もよろしく御配慮をお願い申し 上げます。 最後に、議事の3の「その他(報告事項)について」でございますが、事務局から報 告事項等がございましたらお願いいたします。 ○事務局  それでは、資料3の「平成10年度母子保健関係予算概算要求の概要」でございます が、これは平成10年度の予算が財政構造改革を推進するということで大変厳しいものに なっております。その結果ここにございますように、母子保健課の予算は総じてマイナ スになっております。  主なものを御説明しますと、1番上の方が、小児慢性特定疾患、これは後ほどまた御 説明いたしますが、これが16億円の減になっております。 それから、3行目以降にあります母子保健衛生費補助金の中で、妊婦の健康診査が一 般財源化されました関係上大幅に減になっておりまして、一般財源化につきましては、 そこにあります妊婦乳児健康診査費の中の妊婦健康診査費が一般財源化されておりま す。 それから、妊婦B型肝炎につきましても一般財源化でございまして、下から7行目の ところの母子保健訪問指導につきましても一般財源化となっております。  それから新規につきましては、ここの1番下の2行目と3行目にありますように、病 棟保母配置促進事業と特別(遺伝)相談モデル事業がありますが、この概要につきまし ては、3ページ、4ページにありますので、時間の関係でこれはごらんになっていただ きたいと思います。  以上です。 ○部会長  ありがとうございました。  ごらんいただきますように、一般財源化とか、組みかえの分は仕方はございません が、大分あちこちで節約をさせられ、新しい事業も二つほど挙げていただいたというこ とのようでございます。何か今伺っておいたほうがいいということはございますか。  これは大蔵へ出した案ということでございますね。ですから、大蔵がうんと言ってく れれば、これが実際に使えるようになるということのようでございます。細かい点でこ んなのを削るのはけしからぬといろいろ御不満もあろうかと思いますが、ちょっと違う 点でございますが、この小児慢性特定疾患治療研究費という分が大分削られておりまし て、この部会でもかつていろいろ御議論いただいたことがございます。今日は時間が12 時を過ぎましたから、もし何でしたら次回にでも少し御説明をいただいて御了承をいた だかなければいけないかなと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。よろしゅ うございますか。 ○事務局 続けて御説明をすればよかったのですけれども、ちょっと大事な事項が三つほどござ いまして、時間が押しているんですが、簡単な御報告だけさせていただいてよろしゅう ございましょうか。 ○部会長  お願いいたします。 ○事務局 資料の5ページをお願いしたいと思うんですが、実はこれは部会長にお世話役をして いただいておりますけれども、母乳中のダイオキシン類に関する検討会というのを開催 して、母乳中のダイオキシンにつきましては、母子保健課の方で検討をお願いしてきた ところでございますが、実は今年度、平成6、7、8年と心身障害研究費の中で小規模 にやってまいりました母乳中のダイオキシン類の研究が、今年度厚生科学研究費に中で かなり大規模に実施することが出来ることになりまして、これにつきましては検討会の 御意見を踏まえた上で、東邦大学の多田先生に主任研究者をお願いしまして、ここにご ざいますように形で10月にスタートしたところでございます。4都府県のお母さん方に お願いをいたしまして、母乳を採取し測定をするという事業が一つ。また、次の6ペー ジのところの下のほうの「保存母乳中のダイオキシン類測定調査」というところで、大 阪府の公衆衛生研究所が約25年間保存をしてきた母乳をはかりまして、年次推移をみよ うという、この二つの大きな研究を今年度スタートしているところでございますので、 御報告をさせていただきたいと思います。 次のページでございますが、小児慢性特定疾患治療研究事業、先ほど予算の中で約15 %ぐらいの減になっておりまして、大人の方の難病につきましては自己負担導入なこと も言われている訳でございますが、小児慢性特定疾患につきましても、抜本的な見直し を迫られているところでございますが、ここにございますように、対象者の増加等の要 因を検討いたしまして、特に内分泌疾患、下垂体性小人症の問題につきましては、この 部会でも再三問題として取り上げていただいたところでございますけれども、こういっ た一部の疾病でなかなか基準が明確になっていないというようなものについて今検討会 を開いて御検討をいただいているところでございます。 小児慢性特定疾患治療研究事業に関する検討会ということで、初回を10月7日に開催 をしておりますが、柳澤委員にも御参画いただいておりまして、こういった中で、この 事業の中のすべての疾病を対象にどのように対応していくかということを検討し、また 特に基準が不明確になっているようなものを適正化していこうというような検討をして いただいているところでございます。 この検討につきましては、年内に3回ぐらい検討会を開いていただき、最終的に検討 結果がまとまったところで、本部会にお諮りしたいと思っておりますので、まだ12月と いうことで、あと1か月少々しかございませんが、この検討会の結果がまとまり次第、 またこの部会を開かせていただきまして、この中でこの検討結果の内容についてお諮り したいというふうに考えております。 実は来年の4月から、その適正化といいますか、見直しをスタートをするといたしま すと、年内には各都道府県に方向性を出していきませんと医療機関の先生方に周知出来 ないとういことでございますので、出来れば、年内にもう一度この部会で検討内容につ いて御説明を申し上げたいと考えておりますので、是非よろしくお願いしたいと思って おります。 検討会の先生方の名簿は次のページについているとおりでございまして、各疾患群の 御担当の先生方にお集まりいただき、座長をN先生にお願いしているところでございま す。 それから、引き続きまして9ページをお願いいたします。実はこれはマターナルPK Uの問題でございまして、本来議題に載せてもいいような内容でございまして、部会の 中で総合的な観点でこれから御検討いただきたいというふうに考えているものでござい ますが、お時間もないようでございますので、今回はこういった課題があるということ を、ご報告させていただきたいと思います。  医療関係者でない先生がおられますので、ちょっとフェニルケトン尿症のことをご説 明申し上げます。フェニルケトン尿症と言いますのは先天性代謝異常の一つでございま して、フェニルアラニン水酸化酵素という酵素の遺伝的な障害がございます。この障害 のために必須アミノ酸の一つでございますフェニルアラニンの代謝が障害されまして、 血中にフェニルアラニンが増えてしまうというものでございます。正常人の大体20倍か ら50倍ぐらいに増えるというふうに言われておりまして、この物質が増えることにより まして、神経機能が障害されたり、皮膚や毛髪のメラニン色素の形成を抑制して色素欠 損を招くというような疾患でございます。 この疾患につきましては、ここにありますように、昭和52年度に先天代謝異常検査を 実施しフェニルケトン尿症のスクリーニングを行うようになって、20年が経過している ところでございます。従来からフェニルケトン尿症のお母さんから生まれるお子さんに つきましては、きちんとフェニルアラニン値を出産前からコントロールしておりません と、お子さんに障害が生じる可能性があるということで、日母を中心に現場の先生方に は既にこういった御指導をしていただいているところでございますけれども、この検査 を導入してからちょうど20年が経ちまして、そろそろこういった患者さんがお母さんに なる年齢に差しかかってきたということで、国といたしましても、何かしらこういった 方々に注意を呼びかけるというようなことが必要かどうかということを記載しておりま す。 一つは今後生まれてくるフェニルケトン尿症のお子さんを持ったお母さんに対して注 意を喚起するということで、母子健康手帳の中に、こういったお子さんが生まれた場合 には、将来、特に女の子ですけれども、お子さんに出産前、結婚した時とか、思春期の あたりでお母さんからお子さんに、将来子供を生む時には、お医者さんにかかってよく 指導を受けたほうがいいということを伝えていただくというようなことを呼びかけては どうかということがアでございまして、イの方は既にフェニルケトン尿症と診断されて いる女性のお子さんに対してまして、妊娠を計画した場合には、これを予防するため に、あらかじめ妊娠前からお医者さんの治療・管理を受けるように情報提供を行って いったらどうかというものでございます。イの方につきましては、愛育のほうで過去か ら主治医の方々の情報交換を通じまして、フォローアップ事業を実施していただいてお りますし、また都道府県でもこういった検査を長年やってきていただいておりますの で、いろいろな場面を通じて、この情報提供をしていけないかということを示した案で ございますが、先生方には、その情報提供の方法等につきまして、またいいお知恵があ りましたら御指導をお願いしたいということでございます。 ○部会長  ありがとうございました。私がちょっと早とちりをして大変失礼をいたしました。 三つの点の情報の提供並びに御検討のお願いがございまして、ダイオキシンは今いろ いろ問題になっておりますが、今のところ母乳中のダイオキシン、今、直に赤ちゃんの 健康に影響がある状況ではありませんのと、大体実態が十分にはよく分かっておりませ んので、先ほど御説明がありましたように、まず日本の実情をきちんと把握した上でと いうことで、このような調査が始まっておるということで御了解をいただきたいと思い ます。 それから、3番目の慢性特定疾患事業、それからPKUにつきましては、また次回引 き続き御検討いただくことになると思いますので、よろしくお願いをいたします。  大変失礼をいたしましたが、最後に母子保健課長からごあいさつをお願いいたしま す。 ○母子保健課長  超過して長時間御熱心に御討議をいただきましてありがとうございました。  本日の議論を踏まえまして、「小児の肥満とやせの判定表・図」につきましては、こ れから報道機関等に公表してまいりたいというふうに考えております。早ければ今日の テレビ、あるいは明日の朝刊等で、この報道がなされることになろうかと思います。  それから、それ以外の母子健康手帳の改正等につきましては、本日の議論を踏まえま して、次回、12月の中旬ごろに、この部会を予定しておりますので、その時までに参考 資料等を集めて、また御議論に供したいと考えておりますので、よろしくお願いしま す。 本日はどうもありがとうございました。 ○部会長  どうもありがとうございました。次回もまたよろしくお願いをいたします。  問い合わせ先: 所属 児童家庭局母子保健課         担当者 今村則継          電話 3174