97/10/16 第2回厚生科学審議会議事録         第2回厚生科学審議会議事録 1.日 時 : 平成9年10月16日 (木) 10:00〜12:00 2.場 所 : 厚生省特別第1会議室 3.議 事 (1) 各部会における審議の状況について    (2) 総会において審議すべき事項について  (3) 審議会の公開について  (4) 平成9年度先端的厚生科学研究分野公募研究課題の採択について 4.出席委員:豊島会長 (委員:五十音順:敬称略)         飯田経夫 石井威望 大石道夫 大塚栄子 軽部征夫 岸本忠三 木村利人 柴田鐵治 曽野綾子 竹田美文 寺田雅昭 船越正也 茂木友三郎 矢崎義雄 ○厚生科学課長 それでは、定刻となりましたので、ただ今から第2回厚生科学審議会総会を開催させ ていただきたいと思います。  本日は、内山委員が御欠席ということで、若干の委員の方が遅れておられるようでご ざいますが、後程御出席の予定であります。  それでは、最初に、前回御欠席で、御紹介をしていなかった委員を御紹介申し上げた いと思います。まず、大石委員でございます。大塚委員でございます。  それでは、これからの議事進行を豊島会長、よろしくお願い申し上げます。 ○豊島会長  おはようございます。本日は、お忙しいところ、ありがとうございます。  それでは、早速、事務局から資料の確認をお願いしたいと存じます。 ○事務局  資料の確認をお願いいたしたいと思います。配布資料一覧として1枚紙に資料1から 5というふうに番号を振ったリストを掲げております。資料1は「厚生科学研究に係る 評価の実施方法の在り方について」、資料2は1枚紙で「生殖医療技術に関する論点」 資料3「遺伝子治療臨床研究実施計画について」、資料4も1枚紙で「厚生省所管の審 議会等の公開事例」、最後に資料5といたしまして「平成9年度先端的厚生科学研究分 野公募研究課題の採択について」という分厚なものでございます。なお、資料一覧には 書いてございませんが、一番下に参考資料といたしまして「厚生科学審議会の公開につ いて」という1枚紙があろうかと思います。以上、資料1から5及び参考資料1枚、各 お手元にお届けしてあるかと思いますが、もしも不足の分がありましたらお申し出いた だければ事務局の方から直ちにお届けしたいと思います。よろしくお願い申し上げます ○豊島会長  ありがとうございました。それでは、本日の議題に入りたいと思います。  まず、議題1「各部会における審議の状況について」、御報告をお願いいたしたいと 存じます。これにつきましては、本年5月19日に開催されました第1回総会におきまし て、各部会の審議事項について御了承いただいたところでございますけれども、現在の 各部会の審議状況について御説明いただき、その上で今後の審議の進め方について御意 見を賜れればと存じます。まず、研究企画部会では、「厚生科学研究の企画と評価に関 する事項を所掌する」とされておりますけれども、現在の審議の状況につきまして、矢 崎部会長から御説明をお願いいたします。どうぞよろしくお願いします。 ○矢崎部会長  それでは、研究企画部会の審議状況について御説明申し上げます。  御承知のように、本部会は、本年5月19日の総会で設置決定されまして、これまでに 4回、すなわち6月3日と24日、そして8月12日と9月30日の計4回開催されてきまし た。先程会長からのお話しのように、所掌事項としましては、厚生科学研究の企画・評 価に関することでありますけれども、先端的厚生科学研究分野における公募研究課題の 設定の方針、そして厚生科学研究における評価の実施方法の在り方について、現在、鋭 意審議中であります。  先端的厚生科学研究分野の平成9年度の公募研究課題の採択につきましては、第1回 部会、すなわち6月3日、そして第2回部会の6月24日、第3回の8月12日の部会にお いて詳細に検討致してまいりました。その詳細については、後程事務局より別途御説明 いたしますのでよろしくお願いいたします。 次に、厚生科学研究における評価の在り方についてでございますけれども、国の研究 開発については、財源の効率的な配分の観点から、その評価の在り方についての見直し が求められておりまして、本年7月に、御承知のように、総理大臣の諮問機関でありま す科学技術会議より全般的な方針であります「国の研究開発全般に共通する評価の実施 方法の在り方についての大綱的指針」が提出されました。これを受けまして、「厚生科 学研究における評価の実施方法の在り方」について検討することにしたものであります これは本年8月7日に厚生大臣より諮問され、豊島会長より研究企画部会長の私の方に 付議されまして、現在、当部会で審議中であります。その諮問書及び付議書は資料1の 1・2ページにございます。  第4回の9月30日の部会におきましては、各省庁における研究開発の評価指針などを 踏まえまして、厚生科学研究における評価の在り方についてフリートーキングを行いま して、今後の進め方について確認をした次第であります。 今後につきましては、前回までの議論を踏まえ、たたき台を作成しまして、できれば 本年中に部会としての結論を取りまとめて総会に報告申し上げる予定にしておりますの で、よろしくお願いいたします。 以上でございます。 ○豊島会長 どうもありがとうございました。それでは、続きまして先端医療技術評価部会につき ましては、「先端医療技術の評価に関する事項を所掌する」とされておりますけれども 現在の審議の状況につきまして、寺田部会長代理より御説明をお願いいたします。よろ しくお願いします。 ○寺田部会長代理 先端医療技術評価部会について御説明させていただきます。 平成9年5月19日の総会で設置が決定されまして、これまで2回、7月10日と10月3 日に部会が開催されました。この部会は、先端医療技術の評価に関する事項を所掌して 生殖医療技術に関わる問題、それと遺伝子治療臨床研究評価に関する事項を審議してま いりました。  生殖医療技術に関しましては、資料2に要約が書いてございますが、研究が進むに従 いまして、その技術的・倫理的観点からの検討が求められておりまして、国としての対 応が求められております。そこで、先端医療技術評価部会で取り上げることにいたしま した。先端医療技術を巡る問題につきましては、第2回先端医療技術評価部会におきま して、生殖医療技術に関する論点として取りまとめ、この論点に沿って検討していく予 定であります。また、この点は国民に広く関与することでございますので、幅広い意見 を求めるために専門家や関係団体からの意見聴取を実施するほか、広く国民からも意見 を募集する予定でございます。その結果、来年夏頃までにはそれまでの議論の状況をま とめて公表をする予定でございます。  次に、遺伝子治療臨床研究評価につきまして説明を申し上げます。これは、資料3に まとめております。この遺伝子治療臨床研究評価につきましては、それまでありました 『遺伝子治療臨床研究中央評価会議』の業務を承継いたしております。これは、資料3 の4ページに遺伝子治療臨床研究実施計画の評価手続きの流れ図がございますが、その 下の方の四角に書いてございます先端医療技術評価部会が、かつては『遺伝子治療臨床 研究中央評価会議』という名前でございました。その下の委員会でございますが、これ が、かつては研究計画書毎の作業部会でありまして、現在は『がん遺伝子治療臨床研究 作業委員会』が活動しております。  平成9年7月10日には、東京大学医科学研究所附属病院から平成8年12月2日付で提 出されました腎細胞がん関係の遺伝子治療臨床研究実施計画と、岡山大学医学部附属病 院から平成8年12月2日付で提出されました非小細胞肺がん関係の遺伝子治療臨床研究 実施計画について厚生大臣から諮問を受け、本部会に付議されました。資料3の1・2 ページのところに書いてございますが、今後、本部会の下に設置されました『がん遺伝 子臨床研究作業委員会』で主として科学的事項の論点整理を進める予定でございます。  なお、『遺伝子治療臨床研究中央評価会議』時代に、北海道大学のADA欠損症、熊 本大学のHIV感染症の遺伝子治療臨床研究実施計画を了承しております。北海道大学 のADA欠損症の遺伝子治療臨床研究に関しましては、計画どおりの治療研究を進めた 結果、当初の期待どおりの成果を上げ、現在経過観察に移行しております。熊本大学の HIV関係につきましては、その後、医薬品治験計画届出に際し、ベクターの品質管理 などに調査・整備を要する点が生じ、現在までのところ、ベクターの供給が得られない ために実施に至っておりません。  以上でございます。 ○豊島会長  どうもありがとうございました。それでは、ただ今二つの部会の審議状況につきまし て御説明いただいた訳でございますけれども、御意見あるいは御質問がありましたらど うぞ。 ○木村委員  「厚生科学研究分野公募研究課題の採択について」は、この厚生科学審議会は出来た ばかりですので、恐らく初めて取り上げることになると思います。その経緯でございま すが、旧来から厚生省に関わっている方々は皆さんよく御存じかと思うのですが、私は 存じ上げないものですからお伺いしておきたいのは、公募の手続きです。どういう形で 公募というのをやっているのか。それから、応募の資格がどうなっているのか。それか ら、なぜこういうふうに七つの研究事業が決まって、これは一体どこで最終的に決まっ たのか。この3点について、もし事務当局の方で資料がございましたらお答えいただき たいと思います。 ○豊島会長  それでは、事務局の方からお願いします。 ○事務局  では、事務局から御説明をさせていただきます。また後程採択につきましては御説明 する予定といたしておりますが、平成9年度の先端的厚生科学研究分野の公募につきま しては、資料5を御参照いただければと思います。「平成9年度先端的厚生科学研究分 野公募研究課題の採択について」でございます。  表紙をめくっていただきますと、公募研究課題の採択状況についてという資料を付け させていただいております。実際の手続きにつきましては、本年5月23日に官報告示を いたしております。その後本年6月23日迄の一ヶ月間の公募期間を設けまして公募いた しております。官報告示でそれぞれ研究計画書の提出期限や提出先を定めまして募集を 致しております。応募出来る資格といたしましては、個人の研究者ということで募集を いたしておる次第でございます。  それから、平成9年度の先端的厚生科学研究分野の設定でございますが、これは平成 9年度の厚生省の予算要求の中では、脳科学研究事業、ヒトゲノム・遺伝子治療研究事 業、高度先端医療研究事業、新興・再興感染症研究事業、エイズ対策研究事業、感覚器 障害及び免疫・アレルギー等研究事業の6分野ということでありますが、公募といたし ましては感覚器障害と免疫・アレルギー等を分けまして、最終的に七つの分野というこ とで募集をしたものでございます。  それから、採択につきましては、先程部会長から御説明がございましたように、第3 回研究企画部会で御了承をいただいたところでございます。それぞれの採択にあたりま しては、それぞれの研究事業に専門委員会というものを設けまして、専門委員会の方で 第三者的に評価を行い、それぞれの案件につきまして御評価をいただき、最終的に部会 で御了承いただいたものでございます。 以上でございます。 ○豊島会長 どうもありがとうございました。木村委員、よろしゅうございますか。 ○木村委員 どうもありがとうございました。大変よく分かりました。今お伺いしたところにより ますと、5月に告示、6月に締切、8月に審査ですね。なかなかスピードが速くて、恐 らく事務方は大変だと思うのですが、例えば脳科学研究分野では応募件数が493で、採 択件数32とある訳ですが、この中には継続とかそういうことはあり得るんですか。 ○事務局 先端的厚生科学研究分野は平成9年度の新規事業ということになっておりますので、 基本的には全部新規の採択ということでございます。 ○木村委員  分かりました。 ○豊島会長  他に何か御質問ございますでしょうか。 ○軽部委員  奨励研究というものは分野によってそれぞれあるようですが、特別重点研究と奨励研 究の違いというのは年齢だけなんでしょうか。 ○事務局  それぞれ分野ごとに特別重点研究、奨励研究というものが設けてございますけれども 特別重点研究は基本的に大型の数千万円から1億円程度の額の研究費でございます。そ れから奨励研究と申しますのは、基本的には若手の研究者が一人で行う研究事業という 形で、大体500万円以下程度の規模ということで実施しているものでございます。 期間は、特別重点研究は基本的には3年程度を一つの区切り、奨励研究は単年度限り ということになっておる訳でございます。 ○軽部委員  そうすると、特別重点研究というのはグループ研究で、奨励研究というのは個人研究 というふうに解釈してよろしいんでしょうか。 ○事務局  特別重点研究の方も、グループ研究と申しますか、基本的に少人数の研究班という形 でございます。必ずしも班構成ということではございません。 ○軽部委員  どうもありがとうございました。 ○曽野委員  遅れて参りまして申し訳ございません。私だけが分かっていないことを質問している のかもしれませんが、資料5の2ページ目の交付予定額はどうしてこう端数無しになっ ているのでしょうか。普通は、もう少し現実的な端数が出るものではないでしょうか。 ○豊島会長  事務局からお答えいただけますか。 ○事務局  それぞれ当初の申請にあたりまして、研究者の先生方からの申請額が大体端数のない ような形で出てきているものが多うございまして、最終的に専門委員会等で、予算を踏 まえまして、私どもの方で最終額を調整をさせていただいたということでございます。 ○事務局  補足申し上げますと、この段階では、どの程度の予算を今年度欲しいかということで 丸い数字で各研究者からいただいております。採択の後、詳細な積算等が出され、最終 的には研究計画終了時に精算ということになりますので、その時点では、先生の御指摘 のとおり端数が当然出てまいるということだと思います。 ○茂木委員  素人の質問で恐縮ですけれども、要望額と交付額の関係でございますが、これは案件 によっては要望額が100%満たされるものもあったり、あるいは30%とか、そういう形 になるのか、あるいは全部の案件についてほぼ同じような比率になるのか、それを一つ 伺いたい。  それからもう一つは、素人で申し訳ないんですが、公募研究のフォローアップはどう やってやっていらっしゃるのか。 ○事務局 専門委員会での検討の結果によりまして、見送るには非常に惜しい課題といった例が ありまして、このものについては、採択の際、満額は交付出来ないけれどもいかがかと いう形でやっているものも御指摘のとおりございます。それから、先程の奨励研究につ いては単年度限りということですが、その他のものは3年程度を通例とするということ ですが、国の政府の予算は原則単年度主義でございますので、毎年度ごとにその年度に おける成果の御報告をいただき、また、次年度については申請の上、精査をするという 形で進めております。それから先程、矢崎研究企画部会長からお話がありましたとおり 国の研究費等の審査は、事前だけではなく、中間、事後に、さらにはフォローアップに ついてもきちんと行うようにということが盛り込まれておりまして、こういった点も含 めた形での厚生省版の評価指針というものが研究企画部会において現在練られていると ころでございます。 ○豊島会長  よろしゅうございますでしょうか。他に御質問ございませんでしょうか。主に研究費 の方に集中しているようでございますけれども、倫理問題もいろいろ取り上げられてお りますが、あらかじめ御意見を賜っておくことがございますでしょうか。  次に、議題の2つめといたしまして、「総会において審議すべき事項等について」、 御検討いただきたいと思います。  私の方で事務局と相談いたしました上で案をまとめておりますので、これにつきまし て、まず資料を配布して、事務局の方から説明していただきたいと思います。         ○事務局  ただ今お手元に資料を配布させていただきましたが、会長と御相談申し上げまして、 会長の御指示によりまして、今お配りしたような考え方を取りまとめたものでございま す。逐次御説明いたします。  まず、総会で審議すべき事項等につきましての現行の規定ぶりでございますが、厚生 科学審議会運営規程第5条には、「部会の決議は、会長の同意を得て、審議会の決議と することができる」と規定されております。いわば部会の方で決議された事項について は、総会に諮らずとも、会長の同意があれば厚生科学審議会の決議とすることが出来る というような規程がございます。これは、通常の審議会の規定ぶりでございますが、こ の運用の考え方につきまして、厚生科学審議会の今後の進め方、在り方に関わる重要な 問題であるという問題提起が前回のこの総会でございまして、この運用についてきちん と決めておきましょうということでございますので、それで用意したのが以下の文章で ございます。  やはり厚生科学審議会というものの性格等を考えました場合に、まず第1点目として 原則として、すべての事項については総会できちんと審議をすべきではないかというこ とでございます。但し、既に総会において了承された指針等がございまして、それに従 いまして個別の事例の可否等について検討するというような個別事例のあてはめみたい な場合につきましては、これは会長の判断により審議を部会に委ねるというような運用 も可能としてもいいのではないか。但し、この場合におきましても、部会長が総会に対 しましてその審議結果をきちんと報告をするということできちんと担保してはどうかと いうことでございます。  仮に、このような考え方に基づきまして、先程各部会長から御報告がありました審議 状況、審議事項を分類してみました場合、総会で審議すべき事項としては、例えば研究 評価の在り方について、それから先端医療技術の在り方について、それから翌年度の厚 生科学研究公募課題の方針についてというような基本的な方針や考え方につきましては 当然、総会できちんと審議すべきであり、部会の方で報告をまとめて総会に報告した後 に、総会の方で審議すべき事項というふうに分類出来るのではないかと思います。  一方、先端医療技術評価部会の方でやっております遺伝子治療臨床研究計画の評価に つきましては、これは個々の大学等からこういう治療をしたいんだがということで確認 の申請がくる訳でございますが、これはまさに既に指針等が示されておりまして、個別 ケースのあてはめ、これは確認してもよいかどうかというような判断になろうというこ とから、先程の例外的に部会の方に委ねてもいい事項になるのではないかというふうに 考えた次第でございます。  以上でございます。 ○豊島会長  どうもありがとうございました。厚生科学審議会の件に関しましては、実は今年度か らスタートいたしておりますので、今年度の初めの時点で、部会に付託するべき事項と か、いろいろ審議する時間的余裕がございませんでしたので、一応、現在そういう運営 方針につきましてもう一度ここで御議論いただくということがいいかと存ずる訳でござ います。ただ今の説明につきまして、何か御意見その他ございましたらどうぞ。 ○木村委員  先般、この問題提起をさせていただいた訳ですが、結局、部会の決議は会長の同意を 得て審議会の決議とするということになってしまったら審議会がある意味がないという ことで、それに対する対応ということで、きちんとこういう形で出てきたということは 私は大変評価したいというふうに思います。  やはり審議会があります以上、部会の決議をそのまま会長の同意を得て、審議会の委 員が内容について全く知識のないままに審議会が決定したということになっては非常に まずいというふうに私かねがね考えておりましたものですから、その点につきましては 大変に評価出来る決定といいますか、方針が一応私どもの前に出てきたというふうに考 えております。  机上配布資料の一番下の「遺伝子治療臨床研究計画の評価」というところでございま すけれども、これにつきましては、「各部会の決議を総会の決議とする事項」というこ とでございますけれども、本日配布されました資料3の4ページにございます図との関 連で、もうちょっとここのところを御説明いただくと私どもも大変よく理解出来るかと 思うんです。この図で言いますと、遺伝子治療臨床研究計画の評価というのは一番下の ところになってくるのか。しかも、これは文部省の科学研究との関わりもあるのでござ いますが、そこの点について、なおもう少し御説明いただければ大変ありがたいという ふうに思います。 ○豊島会長  それでは、これは事務局の方からお願いします。 ○事務局  とりあえず、まず事務局の方から提出いたしました資料の詳細ということで御説明を させていただければと思います。  今、資料3の4ページについて御指摘がありましたとおり、遺伝子治療臨床研究実施 計画が、個別に各大学等から出てまいりました際の現在の流れというものをこの図で表 させていただいております。これのベースになっておりますのは、厚生科学審議会の前 身であります『厚生科学会議』当時、厚生大臣に対して意見が述べられて設けられまし た遺伝子治療臨床研究計画の実施に関する指針、これは厚生大臣から告示されておりま すが、これに沿ったものでございます。すなわち、医療機関等におきまして、遺伝子治 療に関わる臨床研究実施計画がなされました際、まず、その計画責任者から当該医療機 関の長に対しまして検討の申請が行われます。当該施設内に置かれます審査委員会、こ の施設内委員会につきましても、単に当事者だけではなく、基礎並びに臨床の分野の医 療の専門家、また、患者の権利等に関わります人文関係の専門家の方々、こういった 方々から構成されますが、この施設内委員会でまず御検討いただく。そこにおきまして 厚生大臣あるいは文部大臣が示しましたところの基準に合致しているかどうか、といっ た検討をやっていただいた上で、施設内審査委員会において妥当である、沿っていると いうことの了承のもとに、施設長に対しまして答申が出されます。施設長はそれをさら に厚生大臣に対して確認の申し出をすることが出来ることとされております。厚生大臣 は、その確認の申し出がありました際に、確認をするか否かを判断するために、先程寺 田部会長代理から御説明がありましたとおり、本年の初めまでにつきましては厚生大臣 の私的な懇談会であります『遺伝子治療臨床研究中央評価会議』に対し意見を聞くとい うことを行っておりました。北海道大学並びに熊本大学の件については、そのような手 続きがなされたところでございます。  そして現在では、厚生科学審議会が設置されましたことによりまして、厚生科学審議 会の先端医療技術評価部会に対して付議されるという形になっております。ここでは、 実施計画そのものの技術的な問題点だけではなく、倫理的な面からも御審議いただくと いうことで、御承知のとおりの委員構成を先端医療技術評価部会ではとっていただいて いるということでございます。その下に設けました委員会とは、従前、作業部会と称し ておりましたものでございまして、そもそも御審議いただく際に、その計画自体が科学 的な合理性に沿っているかどうか、その技術的な面での論点整理を行っていただく場と いう趣旨でございます。  それともう1点は、従来から実施計画の審議に際しましては、出来る限り公開を旨と するということをやってきておりますが、一方で先端医療技術という面、それから個々 の患者さんのプライバシーに踏み込む可能性があります。現実に北海道大学の事例、あ るいは熊本大学の事例でも、実は具体的な患者さんの病状まで含めて審議といいますか 点検を行ってきたという経緯がありまして、ここの委員会では、あくまで科学的な論点 整理を行い、最終的に公開を出来るだけ原則とするところ、つまり『遺伝子治療臨床研 究中央評価会議』で計画全体の科学面並びに倫理面からの評価をお願いしてきたという ものでございます。  従いまして、現在審議中のものにつきましても、お手元に配布いたしました資料自体 は厚生大臣からの諮問書でございますが、実際には部会に対しましてそれぞれの大学か ら提出のありました計画の概要を、出来る限り公開出来る部分について取りまとめて提 示した上、いわゆる詳細な企業秘密、患者さんのプライバシーにわたるものを含む資料 につきましては、委員会において論議を進めており、委員会で論点整理したものについ て、再度部会において詳細な御審議をお願いするということを予定しております。この ような流れ自体は従前の『遺伝子治療臨床研究中央評価会議』の流れとほぼ同等の流れ を予定しておるところでございます。図の説明は以上でございます。  今、木村委員から御指摘のありました文部省の関係でございますが、文部省におきま しても同様の基準を示しておりまして、文部省の学術審議会バイオサイエンス部会のも とで同様の審議を行っております。これまでのところ、大学の医学部附属病院において ほとんどの計画がなされてきたということがありまして、文部省と厚生省の間におきま して、論点整理を行う作業委員会、あるいは従前の作業部会につきましては、合同の形 で行うということを合意いたしまして、従前から作業委員会については合同で設置して 出来る限り論点整理について共同作業を行う。最終的な大臣の意思決定については、そ れぞれの省に設けられました別の団体で行うということで行ってきております。 ○豊島会長  よろしゅうございますでしょうか。他に何か御意見ございませんでしょうか。 ちな みに、作業部会の論点整理のところは、専門家が集まりますので、文部省も厚生省も共 同して作業を進めるということが合意されております。よろしいでしょうか。  それでは、先程御説明のありました総会での審議事項ということに関しましては、原 案のとおり決定させていただいてよろしゅうございますでしょうか。               (「異議なし」の声あり) ○豊島会長  どうもありがとうございます。それでは、原案のとおり決定させていただきたいと存 じます。  次に、議題3「審議会の公開について」でございますが、これにつきましては、第1 回の総会におきまして参考資料に示すように御了解いただいたところでございますけれ ども、その際、木村委員より御質問いただいておりますので、これにつきまして事務局 より回答をお願いいたします。よろしくお願いします。 ○事務局  資料4をお開きいただきたいと思います。厚生省におきましては、現在、21の審議会 がございますが、その審議会の開催頻度等に差がありますこと等もありまして、私ども 事務局で調査いたしましたものを資料4に取りまとめております。  審議会の公開等のものにつきましては、平成7年に内閣閣議決定によりまして「審議 会等の透明化、見直し等について」というものが出されております。ここにおいて、審 議会におけるいろいろな審議の透明化等の観点から、その議事録あるいは議事要旨等を 通じて、内容を出来る限り公開するようにというものが示されておるところでございま す。  厚生省でも、それに沿いまして、そこにありますような人口問題審議会、これは平成 7年11月に他の審議会に先駆けて議事の公開を行ってきたというものでございます。な お、厚生省の21の審議会すべてにつきまして、原則としてこの閣議決定に基づきます議 事要旨あるいは議事録の公開ということを進めておるところでございますが、いわゆる 議事の公開を行ったものは、そこにあります六つの審議会でございます。審議会により まして、名称が調査会とか何かになっておりますが、そういったものでございます。た だ、例えば総会等の開催頻度が非常に低いものについては、とりあえず部会等における 審議の公開といったもので記載しております。そこにありますとおり、審議会によりま して、議事公開に際しまして、参加した方々の数も非常にさまざまでありまして、10名 程度から一番多いもので250名というものがございます。  これはどのようにして議事公開ということをお知らせしたかというものが資料4の冒 頭にございますが、厚生省におきましては、国民への窓口の一つとして行政相談室とい うものを設けておりこちらにおいてお知らせ・掲示を致しますとともに、各省におきま すマスコミの窓口、記者クラブ、厚生省にもございますが、こちらに事前に連絡を行い ます。また、最近ですと、各省ホームページ、いわゆるインターネットを通じた広報を 行っておりますが、こちらに開催案内、あるいは行事予定の形で掲示をしております。 また、当然、物理的なものとしまして省内の掲示板がございますが、こちらにも表出を 行います。大体2週間前後ぐらいに表出をして希望を募るといったような形が多いよう でございますが、そういった形で公開の御案内をし、参加をいただく。場合によっては 抽選等を通じまして参加を合理的な範囲にとどめるといった工夫も行っているようでご ざいます。  資料そのものにつきましては以上でございますが、ほとんどのものが平成7年の決定 を受けてということで、平成7年、8年、9年といった形で順次議事の公開を進めてき ており、議事録、議事要旨の公開についてはもちろんでございます。以上でございます。 ○豊島会長  どうもありがとうございました。それでは、今の御説明につきまして、御質問等があ りましたらどうぞ。 ○木村委員  どうもありがとうございました。大変きちんとお調べいただいて、内容がはっきり分 かりました訳ですが、真ん中の公衆衛生審議会伝染病予防部会のところで、30名から 250名となっている、この多くなった理由でございますけれども、これは個人としてたま たま集まった人が多くなったのか。それとも、記録によれば、あるいはそういう記録は ないかもしれませんけれども、何か特定の団体が招集をかけてきて多くなったかという ようなこと等はいかがでございましょうか。そしてまた、その結果、この伝染病予防部 会が何らかの審議上の支障が生じたのかどうかということまで、もし記録がございまし たら、御参考までにお知らせいただければ大変ありがたいというふうに思いますけれど も、いかがでございましょうか。 ○事務局 私どもが聞き及んでいる限りでは、通例はむしろ30名程度といった参加がほとんどで あるということのようですが、そこにも注記してございますように、いわゆるピル (低 用量の女性ホルモン製剤) の取り扱いについての審議が行われた際、非常に関心の高い 方々がお集まりになった。もちろん個人として御参加でございますが、団体を通じて情 報を知って御参加されたということもあったやに伺っておりますが、ここにおいて、い わゆる警備上、非常に問題となる事件が起きたというようなことはこの審議に際しては なかったということを聞いております。ただ、250名の傍聴者を得ての審議というのはか なり異例なことではあったかと思います。 ○木村委員 どうもありがとうございました。私ども審議会でよく問題になりますのは、一番大事 なのは、議事録の公開よりもプロセスの公開であるというふうに私はかねがね思ってい るのですが、もしそれをすると、事情を知らない部外者が来て勝手に発言して議場が混 乱するとか、そういうおそれがしばしば語られる訳ですが、少なくとも厚生省で公開に して開催した部会について、あるいは審議会について、そういう例がなかったというこ とですね。しかも、250名来たときもそういう混乱はなかったということを知り得たこと は、私としては大変うれしい訳です。これはアメリカでも、私がNIHのRACといい まして、リコンビナントDNAのコミッティとか、あるいは倫理委員会、審議会、全部 公開でやっておりまして、これよりも倍ぐらい大きい部屋でございますけれども、人数 が非常に集まって混乱に陥るということはまずない訳です。  私も、東京都立病産院倫理委員会の委員長をしておりますが、エホバの証人の問題に ついてガイドラインをつくるので全面公開でやりまして、エホバの証人の方々もおいで いただいた訳ですが、全く混乱はなかった訳ですので、基本的に将来目的として、審議 会のプロセス自体を公開するということは方向として打ち出す必要があるのではないか というふうに思っております。 ○曽野委員  今、木村先生のおっしゃったことに私は反対でございまして、内容を公開することに 反対ではないんでございますけれども、人間の言葉というものは、大勢の人がいるかい ないかで全然言葉が違うんでございます。ですから、そこで全く何の差し障りもなく同 じ審議が出来たというのは、私はちょっと承服しかねるところがございます。 ○豊島会長  他に御意見ございますでしょうか。 ○木村委員  私は曽野委員の見解に全く反対でございまして、これは個人のお仕事の場合と、国の 国民の税金によって支えられている公共の業務が透明化しなければいけないという原則 とは全く違うと思うんです。ですから、そこら辺のところは、これはいわば公共の国民 の一員として、また、国民に全部見える形での作業をするということが、かつて我々が 社会的にいろいろな問題を起こしたことを再び繰り返さないための、いわば最低の責任 であり、また、委員会としての義務であるというふうに私はかねがね思っておりますの で、そういうことを実際に地方自治体の委員会などではやって、混乱を生じたケースが ないという事実だけは認めていただきたいというふうに思います。 ○豊島会長  他に御意見ございますでしょうか。 ○柴田委員  最初のときの議論とまた同じになって、木村先生と曽野先生の間で私が仲裁に立つの はおかしいと思っているんですけれども、もちろん私も公開論者ですが、すべて公開が 基本だということが大事で、公開されていれば、実際に傍聴しに来る必要も余りないん ですよね。実際に多種の記者会見からいっても、後で十分に話が聞けるならば、別にそ の時間にする必要はありませんし、また、傍聴を拒む理由もないだろうとは思うんです。 ですから、基本方針としては、これだけ公開が基本だという姿勢が厚生省全体に貫かれ ているのですから、この問題でそう心配されることはないのではないかというふうに私 は思いますし、公開が基本だという姿勢だけを貫いていけば、実際の問題でそう心配さ れなくてよろしいんではないかというふうに特に曽野先生に申し上げて、むしろ、せっ かく公開の流れを是非逆流させないようにお願いをしたいというふうに思います。公開 基本という姿勢に変わってきたことについて私は非常に高く評価しておりますし、この ことは国民の医療行政に対する信頼回復の一番大事なキーワードだというふうに私は思 っております。 ○豊島会長  どうもありがとうございました。よろしゅうございますでしょうか。  それでは、続きまして「平成9年度先端的厚生科学研究分野公募研究課題の採択につ いて」、事務局の方から御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。 ○事務局  それでは、御説明申し上げます。資料5でございますが、先程の説明と少しダブるか と思いますけれども、御容赦いただきたいと思います。  1枚めくっていただきまして、表がありますが、先程御説明したとおり、今年の5月 23日に官報告示をいたしまして公募を開始し、1ヵ月後の6月23日に締切りをいたしま した。そのときの応募件数、表の一番下の欄でございますが、全部で1,588件の応募がご ざいまして、一番多かったのは脳科学研究事業で493件の応募、一番少なかったのがエイ ズ対策研究事業の93件ということでございます。要望額の総合計、これは研究者の方の 申請額ということでございますが、411億円余りということでございます。 それを受けまして、先程も御説明したとおり、最終的な採択は8月12日の研究企画部 会で御了承いただいた訳でございますが、その間に専門委員会ということで、各研究事 業に採択にあたりましていろいろ評価をしていただく委員会を設けました。それの構成 といたしましては、それぞれの専門でいらっしゃる研究者の方、それから行政の担当者 ということで、それぞれの観点から評価をしていただいたものを、最終的に専門委員会 で御審議いただき、採択案件として取りまとめていただいたものでございます。その採 択の案件につきましては、今の表の1枚後からそれぞれ研究事業ごとに、主任研究者・ 所属施設・職名・研究課題名、それから交付予定額ということで取りまとめております ので、後程御覧いただければと思います。採択件数といたしまして1,588件応募があった 訳でございますが、最終的には246件ということで採択を予定をいたしておる訳でござい ます。それから、交付額の合計が一番下の右端の欄でございますが、55億7,475万円とい うことでございます。特別重点研究につきまして、大体2,000万円から数千万円、多いの は2億円程度でございます。奨励研究は、先程申しましたように単年度限りのものでご ざいますが、100万円から500万円程度ということでございます。 以上でございます。 ○豊島会長 どうもありがとうございました。それでは、ただ今の審議状況につきまして申し上げ ましたことに何か御質問ございますでしょうか。 ○茂木委員 エイズ対策研究事業というのは、問題の大きさから考えますと応募件数が割に少ない ような感じがするのですが、採択の方はかなり比率が高いというふうに見える訳でござ いますが、これはどういうふうに解釈したらいいのでしょうか。それだけエイズの研究 がかなり進んだ結果こうなっているんだと、要するに、応募件数は少ないけれどもかな り重点的な有用な研究応募があるので採択が多い、というふうに解釈してよろしいのか どうか伺いたい。 ○エイズ疾病対策課長  今の御質問に対しまして御返答申し上げます。 プロセスといたしまして、他の研究と全く同様に公募させていただきました。その結 果がこのような形になっております。その解釈でございますが、私たちが考えておりま すのは、やはりエイズ研究は日本におきましては、諸外国、特に北米諸国と比べまして まだやや開発途上という形で研究者の方自体の数が少ないということも影響しておるの ではないかと拝察をいたしております。しかしながら、出していただきましたプロジェ クトにつきましては、専門委員会において客観的な評価をし、このように決定させてい ただいたところでございます。 ○豊島会長 どうもありがとうございました。 ○岸本委員 この七つの柱は非常に違う分野ですけれども、それぞれについて専門の方の選考委員 会をつくってやられた訳でしょうか。 ○事務局 事業ごとにそれぞれの専門委員会を設けまして御審議いただいたところでございます。 ○岸本委員 その委員会の委員は、名前は公開されているんですか。 ○事務局 専門委員会の委員につきましては公開いたしております。 ○軽部委員 一つお伺いしたいんですが、先程、特別重点研究と奨励研究の違いを伺ったんですが 実は、なぜ助手の人が特別重点研究に一人も採択されていないのかというのが私にとっ ては非常に不思議に思う訳であります。と申しますのは、我々工学分野の人間から見ま すと、医学分野の方々は、助手の方でもかなり経験も豊富ですし、年齢的にもかなりい っておられる方が多い訳ですね。そういう中で助手の人の採用がないということは、や はり助手の人は特別重点研究に出しても不可能だと思うのか。或るいは、医学部の場合 ですと、いろいろな過去からの「助手の分際でこういうのを出すのはいかん」という何 か伝統みたいなものがあるのか。或るいは、助手の方にあきらめがあるのか。というの は、これからの日本の科学技術を考えますと、むしろそういう若い方々が日本を背負わ ないといけないということは誰しも思っていることですし、言っていることなんです。 そういう中で、厚生省の特別重点研究で数千万円、私も研究者でありますので、工学系 といえども、医学系といえども、お金の価値がよく分かるんです。本当にダイナミック な研究を続けようとしますと、数千万円のお金がないと出来ない訳ですね。ですから、 それに助手が個人研究で一人も合格していないというのは、応募があったのかどうかは 別にしまして、日本の将来を考えますと、私は大変問題があるんじゃないかというふう に考えておるのですが、ここら辺はいかがでしょうか。 ○事務局 事務局からお答えをさせていただきます。 今回の採択にあたりまして、大学の関係者の方は教授、助教授という方が中心かと思 いますけれども、脳科学研究で申しますと、国立精神・神経センターの室長クラスの方 で例えて申しますと、服部さんという方が4,000万円ということで研究が採択されておる 訳でございます。基本的に専門委員会で、科学的な視点から評価をいただいて採択をさ せていただいている訳でございまして、決して肩書き等で区別されているということで はございませんので、御理解をいただきたいと思います。 ○軽部委員 しつこいようですけど、助手の方で特別重点研究の応募はどのぐらいあったんですか。 室長といいましても、いわゆる病院の室長というのは講師か助教授ぐらいですよね。や はり若い人が特別重点研究にどれだけ応募したか、それが、今、私が問うている問題で あります。 ○事務局 手元にそれに関します資料がございませんので、次回に改めてそのあたりについて御 提出申し上げたいと思います。 ○軽部委員 結構でございます。 ○豊島会長 どうもありがとうございました。他に御質問ございますでしょうか。 ○木村委員 全体的な見通しでございますけれども、日本も経済的にいろいろな問題が出てくる訳 ですが、こういう先端的厚生科学研究については予算の枠というのが増加の方向でいっ ているかと思うのですが、昨年度からどれぐらい増えて、今後どういうふうになるか、 そういう全体の枠組の見通しみたいなものはございますでしょうか。会長、いかがでし ょうか。 ○豊島会長 それでは、今、事務局の方で資料をお持ちでございますか。 ○事務局 本日の資料にはございませんが、御指摘のとおり、我が国全般といたしまして、政府 予算全体については、今、「財政再建」という言葉を使うほどの状況になっております。 しかしながら、その中で平成10年度の予算要求に関しまして、政府といたしましては、 科学技術の分野については、特に科学技術の振興という面については、他の予算がマイ ナス査定状況にあるにもかかわらず、5%程度までの増を認めるという形で、社会保障 費と同等に特例的な増加を認める経費ということで対処されております。ちなみに、厚 生省全体におきましては、5%までの増を認められます科学技術振興費は、平成9年度 は 700億円弱でございました。これに対しまして、5%の増ということで、平成10年度 では 745億円という形で現在要求を出しておるところでございます。とりわけ、ここに あります先端的厚生科学研究分野の六つ、あるいは七つと申し上げた方がよろしいかも しれませんが、この分野に対しましては、平成9年度は総額95億円。これに対しまして 平成10年度は108億9,600万円という形で現在要求を出しているところでございます。 この内容につきましては、現在、予算要求をしておるところでございますので、まだ 政府原案にまでなっておりません。従って、今後の審議過程に基づきまして順次御報告 をしていくことになろうかと思います。なお、採択いたしましたトータルの金額約56億 円と95億円との差額でございますが、研究を支援するための経費、例えば海外から専門 家を招聘する、あるいは我が国の若手の研究者を海外へ派遣する、或るいは研究を実行 するための補助の者として、若手の研究者に対しましていわゆる俸給を支給するといっ たリサーチレジデント等の補助的な事業が含まれておることに基づくものでございます。 それとともに、御承知のとおり、政府予算に対しまして、当初額に対しまして一定程度 の節約と称します、何とか赤字を減らすために身を削るという趣旨の制約がありまして 研究費に対しましても例外ではなく節約がかかっておるということも、執行額との差額 の原因になっております。 ○木村委員 どうもありがとうございました。大変明快にお返事いただいて、ありがたく思います。 そこで、今の支援のための予算というのも、私、大変印象深くお伺いした訳ですが、 諸外国の例ですと、例えばドイツでも、フランスでも、アメリカでもそうなんですが、 最近の方向といたしまして、例えばヒトゲノムならヒトゲノムの非常に先端的な研究に 伴いまして、これは英語の略語ですけれども、ELSI(Ethical・Legal・Social・ Implication) 、例えば経済的な効果の問題や社会学的、或るいは他の分野の、もちろん バイオエシックス・倫理・哲学・宗教、いろいろなものを全体の予算の、例えばヒトゲ ノムならば2%から3%ぐらいまで付けて、厚生省なり、そういうところが実際にプロ ジェクトに入れているというケースが今、世界的に出てきております。日本では、文部 省でもそういうこととの関連でいろいろな分野が出てきている訳ですけれども、厚生省 としても、今後の方向としてそういうことを考えるべきだと私は思っておりますが、現 実にそういうことで、例えばインフォームド・コンセントの研究とか、そういうような ことで何か入っているというケースがありますでしょうか。そこら辺はいかがでござい ましょうか。 ○豊島会長  矢崎部会長か寺田部会長代理、それに対していかがでしょうか。 ○寺田部会長代理  ここのところには入っていませんが、例えば私はがんが専門で、がん研究助成金の場 合にはそういう班を一つ作りまして、インフォームドコンセントの在り方という班があ ります。それから、先生がおっしゃいましたように、ヒトゲノムでは社会的なインター アクションが多うございますし、そういう班はここでは出来ておりませんが、つくるべ きであろうと私個人は思っております。 ○豊島会長  他に何かございますでしょうか。 ○木村委員  これは、今後の課題として総会で是非討議していただいて、きちんとした対応をして いくことが国民に対する責任の一端だと思うのです。ELSI(エシカル・リーガル・ ソーシャル・インプリケーション)ということで、厚生省も正面から取り組んでいると いう姿勢を明確に示すと同時に、そのための具体的予算を確保するということが非常に 重要になってくると思いますので、これは議事録に是非残しておいていただきたいとい うふうに思います。 ○豊島会長  実際問題といたしましては、今、寺田部会長代理からございましたように、研究項目 として立てられているところがかなりあります。がん制圧の方でも、ターミナルケアも 含めて立っておりますし、エイズも立っていました。それから、長寿でもありますね。 ですから、具体的にはそういうふうになっておりますが、ここの会議の合意事項として そういうものに留意するようにというふうなことを今、決議した方がいいというのが木 村委員の御提案でございますね。 ○木村委員  はい。 ○豊島会長  これに対して、皆様の御意見を賜れればと思います。 ○事務局  先程「総会で審議すべき事項等について」ということでまとめていただいたものにあ りますように、「翌年度の厚生科学研究公募研究課題の方針」というのが総会で審議す る事項という扱いになっておりますので、必要でありましたら、その中で御審議いただ きたいというふうに考えております。 ○豊島会長  よろしゅうございますか。 ○木村委員  結構です。 ○豊島会長  では、他に何か。 ○大石委員  今の件に関してですけれども、いわゆるエシカル・リーガル・ソーシャル・インプリ ケーションというものは、ヒトゲノムの最近のいろいろな進歩その他を通じて必要だと は思うんですけれども、これは厚生省の管轄よりももう少しインプリケーションが大き い問題であるという認識を私は持っています。ただ、残念なことに、日本では、国全体 としてそういうような形の問題を実質に論議するというところが非常に明確でない訳で す。ですから、その辺は厚生省が非常に関係深いことは承知しておりますけれども、も う少し広い、あるいはもう少し大きなレベルで委員会をつくったらいいのではないかと いうふうに思っております。実際に外国では国が直接、あるいは議会の直下にそういう ようなものをつくっている訳でございますから、果してここでそういうことをすること なのか。あるいは、現実に私、科学技術庁のライフサイエンス部会でも、この前のク ローンの問題について、答申といいますか、報告を出した訳ですが、そのときもやはり 国としての態度というものをきちんと決めませんと、いろいろな面で整合性が出てこな いんじゃないかと思っております。 ○豊島会長  今の御議論は二つの論点が分かれているように思うんです。国としての社会的なそう いうことに対する議論の場というのが一つ。もう一つは、研究費として、その研究費の 中にそういうものをサポートするような一つの研究体系をつくった方がいいんじゃない かという御提案と、それはちょっと論点が違うというふうに思いますので、またこれか らも両方の論点からいろいろ御議論いただければと思います。 ○大石委員  実は、研究費のいろいろな形でそういう問題が出てくる場合でも、いわゆる基本的な 国の方針がない限り、そこに乖離を生ずる可能性があるということに私は非常に疑問を 持っている訳でございます。そういう懸念をしている訳でございまして、現実的には、 やはり国としての方針がない以上、これは別に研究者を信じない訳ではございませんけ れども、往々にして研究者自体の論理で物事を進めていく場合もなきにしもあらずでご ざいますから、やはり国としての方針がないから、基本的には今おっしゃったような問 題が出てくるのではないかということで、あえて指摘した訳でございます。 ○豊島会長  他に何か御意見ございませんでしょうか。 ○木村委員  これは、ドイツでも、フランスでも、アメリカでも、厚生省といういわば国民の健 康・保健・医療を担当する部局が企画の権限を持っている研究計画の中にそういうもの が一応入っているんですね。アメリカはNIH並びにデパートメント・オブ・ヘルス・ アンド・ヒューマンサービス(Department Of Health and Human services)というとこ ろですが、そこの中に具体的に予算措置としてれが入っているという事実はあるんです。 ですから、それは確かに大石委員のおっしゃるように国としての対応が日本では曖昧で あるということがあると思いますし、私もこの間、科学技術庁でクローニングのときに お話をさせていただいた訳ですが、そこでもやはり親部会との関係がどうなっているか というような問題も出てきました。しかし、現実の問題としては、こういう先端医療研 究の中に組み込まれていくことが恐らく国民としては望ましい。私は国民の一人として そう思うんです。 ○豊島会長  他にいかがでございましょうか。現在、クローン問題を中心としたところで先端医療 技術評価部会で検討していただいている訳でございますし、これからもそれは続いてい くというふうに考えております。 ○寺田部会長代理  種々の病気に対して、特に先端技術を用いますものは、患者さんにとっても一般に侵 襲性が高いものですから、それに関して合意を得ながら研究をやっていく必要がありま す。このような場合の合意、理解を得るためにどのようにしたらよいかという研究がも し必要であれば、そういうものに研究費を付けていくということが一つであります。先 程申し上げましたように、現実に今まで、がんとか、いろいろあります。一方、例えば クローン人間とか、私たちの分野では家族性の腫瘍とか、これは医者だけでは、あるい は医療関係者だけでは意見は言えるけれども、とても国民全体のコンセンサスを得にく いというものがありますので、そういうのはもうちょっと大きいところでというのが大 石委員のご意見だろうと思います。しかし、前者のような医療の関係、あるいは公衆衛 生の範囲内の事柄はここでやるべきと考えます。両方の面があるような感じがしており ます。 ○豊島会長  いかがでございましょうか。大分いろいろ御意見も出たようでございますが、特にあ と御意見がなければ。 ○矢崎部会長  研究企画部会で本年度は、先程この総会が本年5月19日に行われたということで、先 生方から十分な御意見を拝聴する前にプロセスが進んできたということで、今日、多く の問題点、あるいはこれからの方針に有益な、例えば先程のフォローアップをどうする のかというのは一番大事な研究評価の在り方についてでございますし、今の研究課題の 取り上げ方、あるいは公募研究の在り方につきまして、今日の御意見を十分に承った上 で、それを踏まえて、今、研究企画部会で鋭意審議中でございますので、たたき台が出 来上がったところでこの総会に提出させていただきますので、そこで改めてまた御意見 を承れれば大変ありがたく存じます。今後ともよろしくお願いいたします。 ○木村委員 最後に大変いいコメントをいただいてうれしく思うのですが、念のために一番最初の 話題に戻りますと、官報でこれを掲示したということで、我々は官報を読むことが当然 という発想になっている訳ですが、世界の諸外国、私、スイスをはじめ、いろいろな国 におりましたけれども、各政府の部局は、そのためのこういう研究内容でこういうこと に応募せよという特別のパンフレットをつくって配布したりしているんです。これを配 布するとなると大変ですけれども、ここにこういうものがあるということを言っている 政府もありますし、アメリカのNIHのように、ヒトゲノムのセンターが今は研究所に なりましたが、そこでもそういう特別のヒトゲノムのためのいろいろな重点的なものを 過去にはこういうものがあって、現在こういうものが求められているということを含め た資料やパンフレットを配布している訳です。ですから、恐らくそういうことも今後の 課題として考えませんといけないのではないかというふうに思いまして、今、大変良い いろいろな方向が出ているときに、そういうことも踏まえて今後、御検討いただければ というふうに思います。 ○事務局  公募につきまして、官報で告示をするとともに、先程ちょっと御説明を申し上げませ んでしたが、実際には今回応募に関する書類等は大学の医学部・歯学部・薬学部等へも 送付をしてございますので、参考までに付け加えさせていただきます。 ○豊島会長  多分、インターネットも出ているはずでございます。他にございますでしょうか。よ ろしゅうございますでしょうか。  それでは、どうもありがとうございました。本日の総会はこれで閉会とさせていただ きたいと存じます。  なお、本日の議事録及び提出資料につきましては公開ということにさせていただきま すので、御了解の程よろしくお願いいたします。  事務局の方から何かございますでしょうか。 ○事務局  先程御決定いただきましたとおり、総会におきます審議事項が今後多岐にわたります ので、各委員の先生方の御日程につきましてお教えいただきたいということで記入の為 の表を配布しております。なお、部会等ですでに同様の表を提出していただいている委 員には配布しておりません。御多忙とは思いますが、この場で、もしくはお持ち帰りの 上、御記入の上、事務局の方へファックスなりでお送りいただければありがたいと存じ ます。出来るだけ各委員の御都合のいい時点で順次総会を開催させていただきたいと思 いますので、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。 ○豊島会長  どうもありがとうございました。 問合せ先 厚生省大臣官房厚生科学課 岡本(3806)、坂本(3804)   TEL (代表)03-3503-1711       (直通)03-3595-2171