97/10/07 第5回公衆衛生審議会リウマチ対策専門委員会議事録           第5回公衆衛生審議会成人病難病対策部会           リウマチ対策専門委員会   議事録                        日時:平成9年10月7日(火)                           14:00〜16:30                        場所:中央合同庁舎5号館別館                           第2会議室(5階) 越智委員長  只今から第5回公衆衛生審議会成人病難病対策部会リウマチ対策専門委員会を開かせ ていただきます。  会議に先立ちまして、委員の出欠状況について事務局から報告願います。  塚原補佐  本日は、小池委員、杉原委員、村澤委員の3名の委員の先生がご都合がつきませず欠 席されておられます。なお、小池委員は津久江委員の後任として9月より委員になって おられますことを併せてご報告をさせていただきます。 越智委員長  ありがとうございました。それでは議事に入ります前に、資料の確認をお願いしま す。 塚原補佐  本日の資料は、資料1〜3、そして参考資料が1つございます。もし落丁等がありま したら、会議の途中で結構でございますので、ご指摘いただければ事務局で替えさせて いただきますので、よろしくお願いいたします。 越智委員長  ありがとうございました。それでは、何度かの会議で中間報告案ができたわけです が、去る8月29日に公衆衛生審議会成人病難病対策部会が開かれております。本委員 会からは「今後のリウマチ対策について(中間報告案)」に係る審議状況について西岡 委員からご報告いただきましたので、その会の様子について西岡委員から報告いただき ます。よろしくお願いいたします。 西岡委員  8月29日に、ちょうど越智先生はご都合がつかなくて、私が代理で出席して、現状 を報告させていただきました。  前回の資料をもとに、特にこれまでの厚生省のリウマチ研究班での成果、それから、 今後解決しなければならない問題等、ご報告いたしました。概ね審議会の先生方のご了 承をいただきましたが、変形性関節症とリウマチ性疾患の概念に関して、どこまで入れ るのかという議論がありまして、とりあえず、現在の研究、あるいは対策は主として慢 性関節リウマチを中心とする。将来的には変形性関節症を視野に入れた研究体制、ある いは医療体制を審議会で検討するということでご了承を得ました。それぐらいです。  越智委員長  いまのお話は、以前ご覧いただきました中間報告案、当初は膠原病10万人、慢性関 節リウマチ50万人の方向に対策が進んでいる。将来の方向性としては、変形性関節症 1千万人も視野に入れてという表現がございまして、それに関して、現段階では慢性関 節リウマチについてディスカッションしていこうというご報告だったと思います。 い まのご報告に関してご意見ご質問ございましたらどうぞ。  西岡委員  それからもう一つ、今日の懸案でありますリウマチセンターの構想についてはあと 1、2回の審議会を開いてそこで決めるということで話をしております。  越智委員長  対策部会でもリウマチセンターについて言及があったということですね。ありがとう ございました。  それでは、この報告案を受けて、厚生省としてはどのような取り組みを進めていくか ということについて、事務局よりお願いいたします。  塚原補佐  それでは参考資料1でご説明をさせていただきます。  先生方のご意見でおまとめいただきました中間報告を踏まえてどんな対応をするか。 既に動いているもの、これから動くもの、まだ検討が残っているものの3つに分かれて いますが、中間報告で「今後の対策のあり方」ということで立てていただきました5つ の柱について、それぞれ対応の中身について、1枚の紙にまとめたのがこの「今後の対 応にてついて」です。これに基づきまして私どもの課長から審議会にはご報告をさせて いただきました。1.研究の推進 2.医療の確保 3.在宅福祉サービスの充実  4.医療従事者の資質の向上 5.情報網の整備促進 という5つのテーマですが、順 を追ってご説明させていただきます。 1.研究の促進  まず、1つ目の○で、平成9年度をもって長期慢性疾患総合研究事業を廃止し、免 疫・アレルギー等研究を充実させリウマチ研究について重点課題を設定し推進していた だこうかということですが、これについては2ページをご覧いただきたいんですが、平 成10年度エイズ疾病対策課概算要求額の概要のIIその他で、先端的厚生科学研究の中 の免疫・アレルギー疾患に関する研究ということで、現在2億3500万の研究費です が、これが3億1500万になっております。説明ぶりとしては、長期慢性疾患総合研 究からこちらのほうに移す、その分の増ということでございます。  2つ目の○で、各研究事業の研究者の連携を図る必要があるだろうということで、合 同会議といったものが必要じゃないかというご指摘をいただいておりますが、これにつ いては3ページで、越智先生にお願いいたしまして、11月21日に合同会議を開いて いただこうということで、私どもも若干調整等させていただきまして、難病の研究班と 免疫・アレルギー研究班と長期慢性疾患総合研究のリウマチ班の3つの研究班が免疫と いうキーワードでつながるわけですが、その合同班会議を予定していただいておりま す。 2.医療の確保  ○ 診療の標準化のための診療ガイドラインの作成及び普及  既にリウマチ研究班 で診療ガイドラインはつくっていただいておりますので、後ほど5で申し上げますが、 リウマチ情報センターを立ち上げる予定になっていまして、その中でガイドラインも研 究班のご了解がいただければ順次載せていこうということで普及を図っていったらどう かというようなことを検討しております。  2つ目の○ モデル施設において集学的診療のあり方を研究し、集学的診療施設に求 められる機能等の分析、あるいは今後の施設の確保に反映させていこうということです が、これは引き続き検討ということで、残っているものです。  3つ目の○ リウマチセンターについて、診療、研究、研修等の面から求められる機 能確保のあり方について研究  ということで、これも引き続き研究していくというこ とで残っている課題です。 3.在宅福祉サービスの充実  ○ 難病患者等在宅生活支援事業の弾力的な運用を図る  ということで、これもこ の委員会でご指摘いただきましたように2点ほどあります。  弾力的な運用の1つは、難病等のホームヘルパー派遣事業は、手帳を持っている人は 障害者対象で行っているという前提になっていますが、実は障害者のほうも、3級、4 級、症状の変動があって重症になることもありますが、普通は重症になっていない方は 1級、2級をもらっていないということで、そういう方にはなかなかホームヘルパーが 派遣されないという実態がありますので、そこの部分を弾力的に難病のほうで埋めたら どうかというご指摘だったと思います。これについては、至急運用方法を変えていこう ということで、近く都道府県に通知をしたいと考えております。  もう1つ、弾力的運用ということで、リウマチはあまり対象となる方がおられないか もしれませんが、難病等ホームヘルパーの派遣事業については、18歳という年齢制限 がありましたので、これを撤廃しようというご指摘をいただいておりましたので、これ についても来年度予算で要求していこうということであります。  具体的には参考資料の2ページのI難病対策の主な内容の5.QOLの向上を目指した 福祉施策の推進ということで、難病患者等ホームヘルプサービス事業等以下4つの事業 が予算化していますが、これについては3億円の予算の増額を要求しているところで す。 4.医療従事者の資質の向上  1つは、厚生省リウマチ研究班で診療の指針、既に医師用の診療のガイドラインがで きておりますが、かかりつけ医用、コメディカル用といったような、対象が変われば内 容も少し変わってくるだろうということで、これを研究班で検討しているという状況で す。  併せて、こういった診療指針ができてくれば、リウマチ財団が今後議論しますリウマ チ情報センターに情報提供していく、ホームページの整備というようなかっこうになろ うかと思います。 5.情報網の整備促進  ○ リウマチ財団にリウマチ情報センターを設置して情報を提供していこうというこ との検討が現在進んでおりまして、遠からず運用に入れるのではないかと考えておりま す。  2番目の○は、必ずしもインターネットを利用できる患者さんばかりではござい ませんので、それが利用できない人にはどうしようか。これについても併せて検討して いこうということです。リウマチ財団の情報センターはまだ立ち上がっておりません が、難病情報センターが既に立ち上がっていますので、参考資料4ページですが、平成 8年度の事業として、平成9年2月に立ち上がりまして、順次内容の充実を図ってきて います。詳しい中身は直接アクセスをしていただければわかると思いますが、昨年度は 一般国民向けの簡単な情報をインターネット上開設したホームページで載せていまし て、今年度は医療関係者向けのもう少し詳細な情報を載せていこうということで進んで います。基本的にはこれと同じ方法でリウマチも対応していこうということです。  ちなみに、どんな内容が載っているかというと、5ページをご覧いただきたいんです が、難病情報センターにアクセスしていただきますと、最初にこのページが出てきま す。難病に指定されている病気についてとか、いろんな項目がありまして、それぞれの 項目をクリックしていけばまた詳しい情報に入っていくということですが、例えば、右 側の2段目にあります「難病に関する医療費について」の一番上にあります「特定疾患 治療研究事業の概要」というところをクリックしますと、次のページが出てきます。 「特定疾患治療研究事業の概要」ということで、こんな趣旨でやっていて、詳しい内容 はこんな内容です、というようなことで特定疾患に関する情報、あるいは、特定疾患の 調査研究班の班員名簿とかいろんな情報がいま入ってきています。難病情報センターで つくっている情報だけではありませんで、お蔭様であちこちからリンクを張らせてほし いというようなことがありまして、例えば、6ページの下のリンクというところをクリ ックしますと、次のページが出てきます。難病のホームページからいろいろな健康関係 の厚生省が持っています情報のページにも入れますし、国立がんセンターの治験的な ホームページとか、神経筋難病の情報のページということで、こういった関連ホーム ページがありますので、またこのリンクというところをクリックしていただきますと、 8ページのような情報が出てきます。神経筋難病情報サービスということで、国立療養 所神経筋難病研究グループがホームページを開設しているところに入れるということ で、リンクを張っていきますと、難病に入って、その後必要な情報にどんどん行けると いうことで、こういうところで難病とリウマチ、あるいはその他の病気とネットを組ん でいこう、ということで検討しておりますので、是非ご利用、あるいは中身をご覧いた だいてご意見があれば、リウマチ財団なり私どものほうにお寄せいただければ大変有難 いと考えております。  引き続き残された課題については、9月末目途に、もう10月に入ってしまいました が、第5回対策専門委員会を開催します、ということで事務局からはご説明をいたしま した。 越智委員長 ありがとうございました。いままでのこの専門委員会のまとめと いいますか、その結果がどうなって、今後どうなっていくかというご説明でございます が、非常に重要な部分ですし、またゆっくり目を通していただくにしても、とりあえず いまお持ちの疑問、ご質問がありましたら、ご意見伺いたいと思います。いかがでしょ うか。  西岡委員  言葉の問題で申し訳ないんですが、4番目の専門医制度の改善について、というのは 「改善」を「整備」に、できれば。  塚原補佐  報告書がそうなっているので改善としたんですが、わかりました。  西岡委員  それから、関係学会に働きかける、というのは、関係学会「等」を入れていたけれ ば。というのは、学会だけでなく財団がありますので。  越智委員長  ほかにございませんでしょうか。例えば、今後の対応についての3番の市町村の取り 組みの促進、これは報告書の中に、地方自治体に働きかけていく、という記載がありま したが、これは特別にということではなくて徐々に浸透させていく、ということでしょ うか。  塚原補佐  これはリウマチだけではなくて、難病も含めて2つ報告書が出ましたので、特に福祉 サービスの充実が重要な課題になりましたので、9月19日に都道府県の主管課長を集 めて、今度こういう予算でやりますので、ということで、全般的な説明をしてお願いを したということですので、直接私どもが市町村にそれをするということはないんです が、都道府県にお話をして、都道府県から市町村に指導していただくというふうに思っ ています。  越智委員長  ありがとうございます。  西岡委員  もう一つ、先ほど18歳未満の在宅福祉サービスについてありましたが、実は小児リ ウマチのあすなろ会という会があって、私ちょっと関係していますが、そういうところ では大変喜ぶ情報じゃないかと思いますので、是非この情報をきちんと伝えたいと思い ます。  塚原補佐  等級の低い方をどう弾力的に運用するかというのは通知を出せば動くんですが、18 歳未満というのは来年度予算がついてから、ということになりますので、これは来年の 4月以降、予算が通ってからということになります。  越智委員長  ほかによろしいでしょうか。それでは本日の本題に入らせていただきます。  議題は、(1) リウマチの医療体制について (2) リウマチセンターについて (3) そ の他とありますが、資料1、リウマチ対策に関する検討事項、これが今日の検討項目で すが、大きく分けて、リウマチ診療、リウマチの医療体制についてということと、リウ マチセンターのあり方、あるいは機能について、の2つに分かれるわけですが、リウマ チ診療のあり方については、いままでの委員会でも何度かディスカッションに出て参り まして、ある程度議論されたわけですが、繰り返しの議論ではなくて、でも、重要なと ころはもう一度強調していただくというところでディスカッションしていただきたいん ですが、基本的には、以前に配られました「リウマチ性疾患総合センターと地域ネット ワークケアの概念と構想」、3段構えか4段構えかというようなディスカッションもあ りましたが、あまり高い何段構えではないほうがいいのではないか、まず、直接患者さ んを診ていただくかかりつけ医、中間の地域ブロックセンター、そして、一番上の総合 センター、という3段構えのピラミッドの絵があって、ご記憶とことと思いますが、特 にその中の、直接患者さんを診ていただきますいわゆるかかりつけ医の段階、そして、 地域ブロックセンター、そのあたりの診療体制について、今後どのような体制が望まし いかというところを最初にディスカッションしていただきます。これに関する資料は… …。  塚原補佐  準備することになっていましたが、いまコピーをしておりますので。  越智委員長  お手元の資料2が現在の都道府県別の日本リウマチ学会の認定医、そして認定施設。 日本整形外科学会(日整会)の認定医。そして日本リウマチ財団の登録医。このように たくさんありますことに関しては、先日の中間報告にも、もう少しわかりやすくすっき りとするような方向で整理してほしいというような記載がございまして、これは今後の 学会、財団の問題かと思いますが、とりあえず、このような体制がございまして、特に 直接患者さんの診療に当たられますかかりつけ医がこういう段階の施設の認定医だとい うことですが、今後の方向として、どのような体制を考えたらいいのか。特に直接患者 さんを診られるかかりつけ医から、地域のある程度の基幹病院といいますか、専門委員 会の中間報告では、集学的診療施設という表現を使ってありますが、リウマチ診療の地 域での診療体制について、今後こうあるべきだということがございましたら、フリーに ディスカッションしていただきまして、何が共通点であるかということが絞れてくけば と思いますが。話のきっかけとして、この図をつくられました西岡教授に簡単に、リウ マチ診療のあり方、特に地域でのことに関して、もう一度ご説明いただきたいと思いま す。  塚原補佐  すみません、いま資料を準備させていますので、その前に資料1について事務局から ご説明させていただきます。  資料1が今日の検討事項をまとめた資料でして、資料2が、検討事項でいいますと、 1のリウマチ診療のあり方、という関係で準備した資料でして、西岡先生に作成してい いただきましたものについてはすぐ準備をさせます。資料3はリウマチセンターを議論 していただく時のペーパーということです。  資料1をご説明させていただきます。先ほど、中間報告を受けて事務局としてこんな 対応が、ということを説明いたしましたが、残された課題としては、リウマチ診療のあ り方と問題、そしてリウマチセンターのあり方、この2つに尽きるのではないか。ほか にも細かいことをいえばいろいろあるでしょうが、この2点になろうかと認識をしてお ります。  リウマチ診療のあり方、リウマチセンターのあり方、それぞれ相互に関連する事項で すが、大きく割り切って2つの項目ということで分けますと、リウマチ診療のあり方に ついては、総論的な部分と各論的な部分があるだろうということで、総論的には、リウ マチの医療というものがほかの疾病の医療と比べてどう特徴づけたらよろしいのか、と いうのが基本的な考え方を議論する上で必要だろうということで事項として挙げていま す。  そして、そういう特徴を踏まえた上で、現状でどういう問題点があるのか、というこ とをご議論していただくことがよいのかなということで、叩き台としてこんな項目を挙 げております。1つは、日常診療というものがどう確保されていくべきなのかというこ と。それから、いわゆる日常診療ではカバーできない部分について、例えば、集学的医 療施設というような言葉を使っていただきましたが、地域あるいは都道府県といった単 位での支援機能というものがどうあるべきなのか、というような観点からの議論が必要 ではないかということで、ごく簡単にこういった検討事項ということで提示させていた だいております。  2番目のリウマチセンターのあり方につきましては、一つは機能、もう一つはその機 能を発揮するための組織体制がどうあるべきかということになると思うんですが、機能 については、医療、研究、研修、情報、そして地域の医療機関との連携、という5つの 大きな点があるのではなかろうかということであります。  それから、そういう機能を発揮するためにはどうしたらよろしいか、ということで、 組織、体制があるわけですが、何もないところでは議論がしづらいということも考えま して、事務局でいくつかのパターンを準備させていただいております。それについては 後ほど2番目の議題のところでご説明させていただくことにしまして、本日の検討事項 ということで大きくこの2点を挙げさせていただいております。  越智委員長  ありがとうございます。資料2を眺めていただきますと、先ほど申しましたように、 リウマチ学会の認定医そして認定施設、その次が整形外科学会の認定医、そして、リウ マチ財団の登録医は、各都道府県別に非常に違いがございます。例えば、学会の認定施 設をみますと、認定施設の基準が一応、図書室、介護室、リハビリテーション室といっ た施設的な条件がありますが、一番の必要条件としては、いわゆる認定医が常勤で1 人、非常勤で1人あれば認定施設とする、というような定義をしておりますが、沖縄で は該当しているところがない。沖縄県全体で2名の認定医がいますが、別々の施設にお られる関係で認定施設はない。ほかの県を見ていただきましても、県に1ヵ所だけであ るというところもあって、東京などでは非常に多いんですが、県によって大きなバラつ きがある。整形外科学会の認定医、リウマチ財団の登録医ということになりましたら、 少し条件は緩い、どちらかといいますと、リウマチ学会の認定医というのが、研究、教 育というところに重点をおいておりますのと、整形外科学会の認定医、あるいは財団の 登録医が日常診療に重点をおいているというところの差があるわけですが、人数的には これぐらいのものである。  日本整形外科学会の認定医に関しては、あまりにも複雑な構造ということで、200 0年の段階でこれは消滅して、財団の登録医あるいは日本リウマチ学会の認定医に統合 していくということになっておりますが、現在のところこれだけの人がいる。  これらの人たちが、いわゆるかかりつけ医であり、認定施設といいますのは、最低限 度の条件を整えて、一応教育施設として登録されているというのが実情であります。  その他、これはある程度トライベッド的といいますか、ですけど、リウマチセンター という名前がついたところがまとめられて連絡会議がもたれたりしているようですが、 それは明確な規定がないということで、明確な規定のある認定施設、認定医に関して は、現在はこれぐらいのものであるということであります。  それが、いまお配りいただきました資料、4階建になっていますが、これが3階か4 階かというディスカッションは除けまして、上から3段目のところに、かかりつけ医、 実際に日頃リウマチ患者さんを見ていただくドクターがありまして、そのひとつ上が地 域ブロックセンター、仮にそういう名前がつけられておりますが、いわゆる地域での診 療体制ということで、このようなことが現在行われているということですが、この資料 をつくっていただきました西岡委員に簡単に、この趣旨をご説明いただきましたほうが あとのディスカッションの流れがいいかと思いますので、以前ご説明いただきました が、もう一度お願いいたします。  西岡委員  これは別に特別な意図があるわけではなくて、リウマチ医療、リウマチのケアの選択 肢、後ほど資料3以降に出てくると思いますが、特にリウマチ性疾患というのは、先ほ ど塚原補佐が言われましたが、何を対策としてキャッチフレーズでやらなければいけな いのか、僕自身考えてみたんですが、運動の機能崩壊に伴う社会的損失が極めて大き い。しかもその患者数がほかの希少性難病と違って70万人とか100万人とかいわれ ていますが、何十万というスケールの患者さんがいるということで、ほかの病気とは違 ったものだと思わなければいけないというのが基本的な考え方だと思います。  ただ、僕自身、長い間患者さんを診てきた経験から言いますと、例えば、マスコミで ちょっと報道されますと、北海道とか九州、沖縄からも患者さんがたくさんみえるんで すけど、そこで感じたことは、リウマチの患者さんというのは地域ブロックセンターを きちんとしなければいけないなあということは常々感じています。それで、各県単位と いうことを書いていますが、これは現在の段階では各県単位につくるのは難しいわけで すから、地域ブロックセンター、これは選択肢2のエイズ診療拠点病院方式に当たると 思いますので、そこでまたディスカッションしていただければいいと思いますが、まず 当面の段階としては、地域ブロックセンターを徹底的に充実させる。そのことが一番大 事じゃないかと考えます。  それから、かかりつけ医、登録医。これは別に何医でもいいんですが、少なくとも、 現在のリウマチ学会の認定医、財団の登録医等を含めて、こういう先生たちが実際に患 者さん、特に外来患者さんには必要だろうと思います。  もう一つ、一番上の総合センター。これはいまの時代には、選択肢1.これは厚生省 がつくってくれるといえば、僕たちは喜んで選択肢1をとるんですけど、財政難とかい ろいろ言われますと、なんとか総合センターの機能をいまの時代に合ったような機能を 十分考える。たしかに、がんセンター方式というのは一番いいんですが、それが予算上 問題があるということであれば、いまの時代、情報をきちっと投下するとか、あるいは 先端的研究を推進する、コンパクトなハイテクセンターみたいな形のものをひとつ考え たらいかがなものかなということです。  そういうことでつくってみました。とりとめもない話になりましたが。  越智委員長  ありがとうございました。お考えいただく順序から言いますと、リウマチ診療の一番 大きな特徴が、一つの科ではなくて、集学的医療が必要である。内科、整形外科。そし て、ドクターだけでなくて、リハビリの優秀なスタッフがいる。また、在宅ケアのため の保健所、保健婦の方々、そして実際に介護される方への指導と、非常に広い集学的な 医療が必要である。これが一つの大きな特徴だと思います。  また、ほかの疾患に比べて患者さんの数が非常に多い。50万とも70万ともいわれ て非常に多い。それぞれ重症の機能障害に侵されて、その疾患のために亡くなるわけで もなく、大きな社会的な問題になっている、という特徴もあります。  そのあたりのところを踏まえて、かかりつけ医、そして、その地域での中核セン ター、それだけで全部対応できるのか。あるいは、地区ごとの医療施設を充実するだけ ではなくて、総合センターが要るのか、というような考え方だと思いますので、地域で の医療体制のことに関して、実際のかかりつけ医、リハビリテーション、在宅ケアの体 制、そして、この西岡先生の私案でいう地域ブロックセンターという体制の中でどこま で充実できるか。そして、足りないものは何か、というところがまずはじめのディスカ ッションだと思います。今後の医療体制に関しては、この前の中間報告にも書いてあり まして、登録医、リハビリテーション、在宅ケアに関して、治療指針などをつくりなが らレベルアップしていく。あるいは、研修会等をやるということで高めていくというこ とがありましたが、そのような体制を考えた時に、今後、地域の医療体制に関してはど う考えるべきかということでまずディスカッションを進めていただきまして、その中で やはり総合センターが要るのかどうか、というところが第2番目の議題ということで進 めさせていただきたいと思います。 まず、地域の医療体制、かかりつけ医、リハビ リ、ケア、そして地域ブロックセンターのあたり、中間報告の言葉を使いますと、集学 的診療施設ということになりますし、今日の議論の中では中核的病院、イメージでは都 道府県に1ヵ所ということが書かれていますが、地域ではどのような体制を考えればい いのかということで、今後こうあるべきだというご意見、例えば、地域ブロックセン ターというのは、どのような機能が要求され、今後どういう補強をしていくべきかとい うところでご意見をいただけましたら。まず、そのへんに集中していただきたいと思い ます。  例えば、患者さんの立場から見ましたときに、いまの医療体制、特に日頃の地域での 医療体制を考えたときに、どういうところに問題があって、今後どのようにしてほしい ということがございましたら、吉田委員、お気づきの点をお願いします。  吉田委員  この4、5日に全国の支部長を集めまして、こういうお話ももたれておりますが、資 料2を見てもわかりますように、大きな地域差があります。沖縄の方なんか出ていらっ しゃるとこちらで何日か泊って先生に診ていただくということをしていらっしゃいます が、とても差があって、東京、神奈川などは恵まれていますが、山形、山梨といったと ころの方は専門医を充実してほしいということです。かかりつけ医が登録医とか認定 医、リウマチ専門のお医者さんの場合は問題がないんですが、地方では普通の内科とか 整形外科にリウマチを診ていただいているという方が多くて、これでいいのか、リハビ リをしたいけれどもリハビリの施設がなくて、早くからリハビリをするようにと言って おりますが、なかなかそれができないということで、そういうことをしていただけると ころが欲しいということをいわれています。交通費等もかかりますので、できるだけ近 くに専門医が欲しいということです。そして、整形にかかっていたら内科の先生にも連 携をとっていただきたいといったお話が出ておりました。  ですから、身近な地域にセンターができるというのはとても望むところでして、私た ちはリウマチセンター基金というのをつくっていまして、いま3千万近く集めています が、それは結局どうなるの、ということをよく聞かれます。財政的には国ではなかなか やれないようですが、身近にセンター的なものが1つでもいいですから、どこかででき るといいなあと思います。  越智委員長  いまおっしゃいました患者さんの団体、リウマチ友の会でリウマチセンター基金3千 万といわれるのは、各地域での中核病院をつくってほしいというのが一番だという、そ ういう意味ですか。  吉田委員  そうなんですけど、なかなかのようですが、できましたら。  越智委員長  非常に大きな重要な問題だと思いますが、いまおっしゃいました、例えば、認定医を 増やしてほしい。これは学会や財団から働きかけながらいまのままでも徐々に増えてい くと思いますが、認定施設というか、地域の中核病院というのはある程度の働きかけが 必要でないかと思います。  地域的な中核病院と、資料1に書かれている、日常診療の問題点、あるいは地域の支 援機能ということになるわけですが、日常診療と地域の支援機能としてのいわゆる中核 的な病院。どのようなイメージで中核的な病院が必要であるかというある程度のイメー ジが必要だと思いますが、地域の中核的な病院というのはどうあるべきだというご意見 ございましたら、全くフリーに。八木委員どうぞ。  八木委員  少しご質問からズレてしまうかもしれませんが、リウマチ疾患の特徴からいいました ら、発症して、最初はインメアメントラブルで障害が出てきて、次に機能障害が進んで ディスアビリティ、そしてハンディキャップという形になろうかと思うんですね。そう しますと、患者さんはまずかかりつけ医のところで診断していただいて、そこでコント ロールされたらいいわけですが、機能障害が進むとリハビリテーション、狭義の意味の 理学療法とか作業療法とかいう形になってくると思うんですね。そして、そういう意味 の治療が済みましたら、今度は在宅での生活をするという経過になろうかと思います。  したがいまして、かかりつけ医の先生方のところでは、診断と在宅ケアの際の対応が どの程度できるかということになると思います。そうしますと、地域ブロックセンター の中で医療だけを考えますと、リハビリテーションという、狭義の意味でいう機能訓 練、機能的な再建の仕事、役割が大きいのかなという気がいたします。  したがいまして、地域ブロックセンターの中では集約的医療とともにリハビリテーシ ョンの中枢を占める部門が必要であり、また、センターから地域に帰った患者さんが在 宅ケアをするために、センターから引き続いて広い意味でのリハビリテーションができ るようなスタッフを揃えておかなければいけない、そういうスタッフが必要であるとい うことはいえるのかなと思います。  越智委員長  在宅でのリハビリスタッフを揃えるというのは、いまの体制ではどうですか。可能で あるか。財団での地域ケア、リハケアの研修会などはだんだん広がっていくでしょうけ ど、人数的に足りるのか、もう少しこういうことをしなかったら、いわゆる地域の中核 病院ではある程度は確保できても、それぞれがお家に帰られた在宅の段階でのリハは確 保できるのかというのはどうでしょう、八木先生。  八木委員  最近ではリウマチに限らず他の疾患等で訪問看護とか在宅ケアの国の施策がさかんに 叫ばれていますので、在宅ケアにかかわるスタッフは少しずつ増えてきていると思いま す。ですから、リウマチに限らず、どんな疾患でも、在宅ケアを受けやすくなってきて いる状況はあると思うんですが、ただその中でまだ専門的な、PT、OTの方は少なく て、看護婦さんがカバーしているとか、ボランティアの方がカバーしている、ヘルパー さんがやっているというふうな状況があると思いますので、すべての面でスタッフは十 分という状況ではないような気がします。  越智委員長  体制的には、私が身近な大阪で拝見していますと、在宅のところに保健婦さん、看護 婦さん、そしてリハのPTの方、特にOTの方が積極的に行かれているのを都会では見 受けられますが、地方になるとどうなのかというのがちょっと疑問なんですが、地域的 なことをご存じですか。  八木委員  わかりません。  越智委員長  一つは、沖縄県で見られますように、例えば、認定医が沖縄県全体で2ということか ら考えますと、多分こういうことに当たられるリハの先生方とか、OT、PTといった ら非常に少ないんじゃないか。これをある程度確保する方向は考えなければならないと いうのは、日常診療上の大きな問題だと思いますが、都会型といいますか、実際に第一 線でいままで先端的な役割を見て来られました相模原の山田委員にお願いしたいんです が、先生のところはこういうものにある程度近い体制でやって来られたと思いますけ ど、特に山田先生がおられるところは一番の中核病院なんですが、地域的な医療が送ら れてくることで、特に地域の問題としてはどういうことをお気づきでしょうか。  山田委員  うちはリウマチ診療に関するほとんどを自分の病院だけでやっていますので、少なく とも地域の先生方は頼ってしまって、リウマチというだけで送られてくる患者さんが多 いように思います。リウマチの患者さんは通うのが大変ですし、遠方の場合もあります ので、在宅で治療していただきたいと思いますが、在宅の場合はすべての機能が揃って いなくて、医者、保健婦さん、あるいはリハビリの方たちがバラバラに患者さんを診る という形になりますので、いま八木先生がおっしゃったような形の、いったん中核病院 に来て、そこでい治療方針を立てて、地域に帰してそれぞれのスタッフの方々に協力を お願いするという形が一つの方法として考えられると思います。  それから、もう一つ地域で感ずるのは、特殊な病気ですので、診てくださる先生が少 ないですが、この間、うちの地域で開業医の先生方とリウマチのカンファランスをやり ました。皆さんそれぞれ患者さんを抱えてご苦労されているようです。そういう方たち が症例を持ってきてどうしたらいいか、と相談してくるわけですが、地域の中枢病院、 集学的診療のできる病院はそういう先生方にも情報をきちんと与えるという形で必要じ ゃないかと思っております。  したがって、いったん病院に来て、また戻すという方法も一つの方法だろうと思いま すが、地域の先生方が文書なりインターネットなり、なんらかの形で病院の先生に症例 を提出して、どうしたらいいか、グループで相談した結果を返す。そういうような形で の地域との連携を必要じゃないかと思います。  越智委員長  一つは、地域のかかりつけ医の先生方は、できればそういう中核病院との間で連携を とってほしいということ。それから、中核病院側から言いましたら、地域の方々と密接 に結びつく機能を持つべきだと。その二つだと思いますが、いわゆる地域の中核病院、 中間報告では集学的医療施設としていますが、各地域ごと、このイメージでは都道府県 に1ヵ所または数ヵ所あればいいなあという感じかと思いますが、地域での中核病院の 必要条件、どのようなものであるべきかといったらいかがでしょう、山田先生、いまま でのご経験から。一つのキーワードとして集学的ということがありますが。  山田委員  先ほどの5つの条件を全部揃えてないといけないんじゃないでしょうか。  越智委員長  資料2の都道府県別認定施設の数がありますが、この認定施設の中には5つの必要条 件は全部揃っていないところも……。  山田委員  現在、全部揃っているところは本当に少ないんじゃないですか。特に情報まで含めま すと、地域と密接にやっているところはほとんどないと思いますので、そういうものを 目指した集学的施設にしたほうがいいのではないかと思っています。  越智委員長  最低限度、集学的医療ができるということで、リハビリも備えている。  山田委員  内科、整形外科、リハビリができるというとです。  越智委員長  疾患の特異性からいって、ドクターが治療しただけでそのまま帰すわけにいかない。 リハビリテーションが必要ですし、家に帰ってからどうなるかということもありますの で。  山田委員  ただ、都道府県に1つ、すべてを整えた病院ということは難しいとすれば、場合によ っては、そこと連携した病院、連携しているリハビリ施設であってもいいのではないか と思いますけど。  越智委員長  都道府県というより、ある程度の医療圏の中でいくつかということで。  山田委員  都道府県あるいは医療圏といってもアクセスの悪いところもあって、端と端では交通 も不便ですから、情報がどうしても必要になってくると思います。  越智委員長  都道府県に1つというより、ある程度アクセスのいい範囲内、2次医療圏というか、 現実に患者さんがアクセスできる範囲内にある程度高いレベルを備えた集学的な病院が 必要であると。  山本先生、九州、大分県のこともよくご存じですが、いまの地域ということではいか がでしょうか。  山本委員  なかなか難しいと思うんですが、概念的に、あとでディスカッションがある総合セン ターとの関係を考えますと、リウマチの抱えている問題というのは、まず、いまはなん とかすればできることがみんなに行き渡っていないという問題が一つと、それが行き渡 ってもリウマチは治らない、という2つの大きな問題に分けられると思います。  地域ブロックセンターというのは、いまわかっていることをなるべく多くの人が享受 できるようにすることを目的とする、というような形に集約されるんじゃないかと思う んですね。それには、八木先生、山田先生がおっしゃられたとおり、レベルの高い内科 医とレベルの高い整形外科医とリハビリテーション関係のスタッフ、それはいまPTさ んが、数は少ないにしてもかなりいらっしゃいますけど、OTさんが圧倒的に不足して いるということで、なんとか情報をそこに集めて、いま我々がもっている医療の最高の ものを国民が享受できるシステムというのは、県単位に1ヵ所あるいは数ヵ所つくると いうことがどうしても必要だと思います。大分県でいえば、整備されてないということ で言うと、我々の九大生医研の付属病院は代々、日本のリウマチ学の一つの柱であった はずなんですが、温泉があって、内科医がいて、PTさんもしっかりしているんですけ ど、整形外科医がいないという致命的な欠陥がある。そこを見ただけでもとても満足で きるものではない。ですから、そういうところだけでも整備できるような方針であれば 地域ブロックセンターということになりますし、あとは人間関係になってくると思いま すので、開業医さんとの関係については、いかに地域ブロックセンターの医者が頑張る かということでいいんじゃないと思います。  しかしながら、もう一つ、その次の問題として、それではいかんともし難いリウマチ 性疾患に対する現在の医療の限界があり、地域ブロックセンターにそれを求めても無理 なわけです。いかんともし難いリウマチ性疾患を一つでも前に進めるためには、先ほど 西岡先生が言われたような、総合センターなりの機能を向上させる努力をしないといけ ない。  位置付けとしてはそういう位置付けで、地域ブロックセンターを見ていただくと一番 いいと思います。  越智委員長  その位置付けで地域ブロックセンターをみたときに、先ほどの山田先生のお言葉も重 ねますと、内科、整形外科、リハビリテーション、十分な集学的医療ができるというこ とが条件で、特にOTの方が少ないということ。そして、最低県に1つですけど、でき るだけアクセスできる範囲内、足の便の悪いところは県に数ヵ所あればいいということ かと思いますが、実際に医療にかかわっておられる先生方としてはそういうことかと思 いますが、研究面から一歩高い面から見られて松本先生、いかがでしょう。  松本委員  一歩高いかどうかわかりませんが、このブロックダイアグラムをみましても、医療と いうことに関しては、私はやはり地域ブロックセンター、登録医という方々が中心にな って医療を行うべきであろうと思います。私も大学で臨床の医者をやっておりましたと きに、いろんな合併症が起こって、もうこれ以上治らんというような状況になります と、手術はうまくいったんだけども、というようなことでムンテラをして、一番難しい 状態の患者さんを、マンパワーなり、いわゆる集学的なパワーが不足している開業医の 先生方に任せてしまう、というようなことを平気でやるわけですね。ですから、そうで はなくて、地域ブロックセンターとか、総合医療センターでもよろしいんですが、そう いうところをもう少し、集学的なおかつ人員、施設をもっと大きくして、病気が進行し ていて登録医の先生方ではとてもケアできないような患者さんをほんとに親身になって 診てあげる。そういうブロックセンターと登録医とが集学的に動くシステムをつくって いただきたい。これは私がほかの病気の患者になった立場でもそう考えます。  それから、総合センターについては、さっき山本教授がおっしゃったような、高度先 進医療を行うのではなく、高度先進医療というのは、地域ブロックセンターの中で行わ れてしかるべきかなというふうに先程来考えておりますが、先端的な研究の推進とか、 あるいはリウマチの病態の解明、それに対する新薬の開発、そういうものは、高度な頭 脳集団を抱えた、これは必ずしも臨床医でなくてもよろしいと思いますが、そういう頭 脳集団のセンターが必要であろう。高度先進医療、教育・研究の整備は地域ブロックセ ンターにおろしてもいいのではないか。そういう印象をもっております。これは私の一 方的な考え方かもしれませんが、患者になった立場で考えれば、そうあってほしいなと いう意見です。  越智委員長  患者になられた場合の考え方からすれば、いま話題にのっています地域ブロックセン ター、集学的診療施設が、単に集学的ということではなくて、高度先進医療ができるべ き施設である。そして、その上にもっと先進的な医療、あるいは研究を含めて、いまは 未解明で、どんどん進んでしまうリウマチをなんとか止められないかという研究的な部 分をやるような総合センターが必要であるというご意見ですが、総合センターのことも 含めて、あるいはリウマチセンター、そういうことも含めて、いままでのディスカッシ ョンを踏まえて、医療体制に関して、垣生先生、いかがでしょうか。  垣生委員  先生方のご意見でほとんど出ていますが、総合センターに関して、私の意見を先に言 わせていただきますと、いま松本先生がおっしゃった中で、研究は総合センターで集中 的にやるべきだということは賛成なんですが、高度先進医療ということに関しては、 どっちがいいかなと疑問を持っております。というのは、地域ブロックセンターという のは、いままでの先生方のお話にもありましたように、各県1つではとても足りなさそ うだ。ただ、そこでみんなが同じようにやれる集学的というところをつくりますと、新 薬とか新しい研究成果を試してみることは、インフォームド・コンセントもかなり必要 とするので難しいかと思います。高度先進医療をやれるという場所はやはり総合セン ターかなという気がいたします。地域ブロックセンターに特異的な場所につくれば別で すが。地域ブロックセンターを同じように各県にいくつも便利なようにつくるという発 想でいった場合は、総合センターに高度先進医療の部門をおいたほうがいいのではない かと考えます。  それから、研究・教育、そして新薬の開発ということを全部ここで集中的にやるとい うことに関して、どういう形のセンターをつくるかということをディスカッションしな ければいけないかと思います。プロジェクト制にするとか、ある意味では民間の参画も 加えるというようなこともあると思います。集中的に研究をするという意味では大賛成 でございます。  越智委員長  総合センターですね。  垣生委員  はい、そうです。地域ブロックセンターに関してはほとんど皆様と同じで、県に1つ ではとても無理だと思います。  越智委員長  古野先生いかがでしょう。  古野委員  僕は診療に関与してないのでよくわからない点が多いんですけど、直感的な印象は、 現在のこの認定施設というのがあるわけですね。これをもう少しレベルアップして、地 域ブロックセンターに替わるものにしたほうがいいような気がします。地域ブロックセ ンターをわざわざつくる必要はなくて、認定施設が集学的な治療、リウマチの専門医が いて、内科医がいて、整形外科医がいて、リハビリの専門医がいて、作業療法士とかも いるようなところを認定施設と認めてこの数を増やすと、患者さんのアクセスはだいぶ よくなるわけだし。  山本委員  この場合の数に関してですが、現在のところいくつかは大学が担っています。大学は そういう機能を果たし得ないという点が問題となります。例えば整形外科でいままでリ ウマチ専門だった教室が脊髄腫瘍の専門に移られるという可能性があるので、継続性の 面で問題がある。  越智委員長  大学では、ヘッドが変わればプロジェクトが変わるという問題があって。  西岡委員  それは拠点病院の除外項目に入れればいいんですよ。  古野委員  しかし、地域ブロックセンターというような指定をされると、そういうことは起こら ないというようになるんですか。そういうことなら。  西岡委員  そういうイメージです。  越智委員長  どういうイメージの地域ブロックセンターにするか。何年かごとにくるくる変わると いうことではなくて、どの程度できるかは別にしても、厚生省のお墨付きで、地域ブロ ックセンターにするよということで、ある程度恒常的にそこではリウマチ医療がされる というような指定がされたとして、一定のものができないか。  古野委員  各県単位、県に1つぐらいこんなのをつくられても僕はあんまり役立たずじゃないか という印象なんですね、実際の話。  山本委員  県でいえば、例えば、大分県なんかでいえば、大分県に1つそういうものができれば いい。ですから、県の大きさにもよると思うんですね。  越智委員長  もちろんそうですね。アクセスのよさというか、端から端まで行けない県とか、割合 小さい県もありますので、県に1つというより、各地域の地域性を考えて。  古野委員  そうですね。先生がさっきおっしゃったように、2次医療圏に1つのような感じであ ればいいわけです。そういう感じで地域の集約的な治療ができるところが必要だと思い ます。  越智委員長  実際には、かかりつけ医の先生が診ておられて、これは手術が必要になったというと きにはどこかに送るわけですが、どこでもいいかといえば、内科、整形外科、リハビリ が揃っていてリウマチ診療があるレベル以上のものができるというイメージだと思うん ですけど。それがある程度アクセスされる範囲内、2次医療圏といったところで要るの ではないか。それが、患者さんの立場からいえば、集学的にリハビリも、ということだ けではなしに、高度先進医療まで、これを研究的な医療という意味にとられるか、それ ともトップの、あらゆる合併症に対応できるかというような意味も含めて、多分松本先 生がおっしゃったのは、先進的、研究的な医療といわれるような高度先進医療というよ り、むしろあらゆる合併症に高いレベルで対応できるというものを高度先進医療とおっ しゃったんだと思いますが、そういう高いレベルのものがある程度のアクセスの範囲内 にあって、それが厚生省としては地域の中核病院というか、地域センターという形で指 導できる。そういうことがいままでおっしゃられたのかと思いますが。  中谷課長  すみません、話を腰を折って大変悪いんですが、いまのお話を聞いていて、率直な感 想をいうと、今のパラダイムの話をしている感じなんですね。いまのパラダイムという か、これからの医療のシステムを考えて実際に動き出すと21世紀になるんですね。そ うすると、21世紀の医療の姿をある程度念頭においていかなければいけないと思うん ですね。私が間違っているのかもしれませんが、私が理解している世の中の動きという と、集約化してそこでなんでもやるような幕の内弁当をつくろうというような方向では なくて、むしろ分散型に動いているんじゃないかと思います。あるところに全部集める のではなくて、英語でいうとパーチェスといいますか、いろいろなサービスを購入する ような感じ、例えば、リハビリテーションであれば、訪問リハビリステーションから個 人の家へのサービスを買う。外来治療は近くの病院で。訪問看護は公的なところからか もしれないし、介護保険によってまさに営利会社から看護サービスを買う。こういうよ うなパーチェスの感じじゃないかと思われます。仮にこういう流れの中で言っていく と、21世紀の世の中に昔の20世紀パラダイムの航空母艦が出てくる、戦艦大和をこ れからつくるような、考え方はいかがなものでしょうか。たとえはよくないですけど。 もっとソフトな、柔軟なシステムづくりが必要なんじゃないだろうかということを総論 的に思いました。  2番目に、これは是非ご論議いただきたいんですが、多分先生方がいま論議されてい るような問題点というのは、例えば、ある時、エイズの患者原告団の皆さんとこの場で 論議したんですが、彼らがエイズ治療に求めるものは何かといったら、患者の声をよく 聞いてください。総合的な診療をしてください、それぞれの専門職の方はそれなりの専 門技術を持ってください、コーディネーションをよくしてください、ということで、ま さにリウマチと全く同じなんですね。リウマチだけの特徴的なものがあるんだろうか。 それが現実にうまく動かないのは何か理由があるからだろう。即ち、もしマーケットメ カニズムなり、患者さんの需要が多ければ、当然そちらのほうに動いていくわけですよ ね。いま各大学で驚くほどの勢いで、整形外科ではなくて、皮膚科とか眼科の希望者が 多い。それは老人の方が増えているから、皮膚科とか眼科の希望者が多くなっているわ けです。  古野委員  それは違うんです。学生の気質が楽な仕事を目指しているんです。  中谷課長  しかし、医師が食えないという訳ではないので、多分そこのマーケットメカニズムが あると思うので、それがなぜリウマチの場合は動かないのか、というところの解析が必 要です。さもないといつまでもプロテクテッドエリアというか、いつまでも保護をして いかなければいけないひ弱な医学の分野、診療分野になってしまう。そこのところは何 なんだろうか、そういうふうに思いましたけど。  越智委員長  いまおっしゃいましたこと、今日の資料3.組織・体制の選択肢のエイズのところを みていただきましたら、たしかにある程度重なる部分があるわけですが、リウマチの特 異性といいますのは、一つは、患者さんが非常に多いということと、1つの科のドク ターでは対応が不十分であり、集学的であるということ、そして、ほとんどがご自宅で 治療されながらある段階で、かかりつけ医だけでは対応できずに、機能的に上の病院で なければ対応できない。その段階では研究ができていない。研究というレベルでは、少 なくともいまの医療現状で関節の破壊がどんどん進んでいくのを止め得ておりませんの で、それをするような研究施設が要る。そのへんのある段階での最終的に非常に高いレ ベルの研究体制。特に患者さんが多いことが一つの特徴かと思いますが、資料3の他の 疾患の体制図をもう一度ご覧いただきながら、いままでのディスカッションを踏まえ て、全体の組織図、そしてセンターとの関係、どう考えていくべきかというのをもう少 し広げてご意見を伺えたらと思いますが。資料3もご覧いただきながら、国立がんセン ター方式、エイズ方式、救急医療方式、そして、難病方式。難病の中でもいろいろあり ますが、その中で疾患の特異性を踏まえながら、中央のセンターがどのようなものが欲 しいのかということを踏まえて……。  山本委員  その前に、21世紀の医療ということを中谷課長が言われたようにディスパースして いくというか、個々の小さなブロックに分かれていくのは、本当なんでしょうか。それ はある特定の疾患についてはそうかもしれませんが、少なくとも、リウマチに関しては そういうイメージを我々抱くことはできなくて、要するに、そういうところでは決して 満足のいくレベルに達してないだろうというのが概念です。いままでディスカッション してきた、内科医と整形外科医とリハビリテーションを集中して、その地域の人が年に 何回かそこに行ってそれを享受できるようなセンターをつくり上げるほうが私はいいと 思うんですけど。そのへんの価値観が違っているとディスカッションがズレてしまうの で。  松本委員  私も課長さんのお話に多少反論させていただきます。幕の内じゃないんです。要は高 級な懐石料理を目指す。それから、研究については、私も教育者として長く携わってい ると、本当に研究で進歩させる人は100年に5、6人出ればいいんです。ですから、 リウマチの病態を解明する人は21世紀に1人出れば十分だと思います。100人のう ち、あとの99人は無駄な研究をしているんです。だけども、無駄な研究に投資するこ とは必要なんです。1人の研究を育てるために99人は無駄である。国はそういうこと に大風呂敷を広げて投資する。そういう精神で厚生省はやっていただきたい。  八木委員  私もリハビリテーションの立場から言わせていただきますと、たしかに課長さんのお っしゃるように、在宅ケアに行ったときには、この部分はここから手に入れる。この部 分はここから、という方法はあると思うんですが、リウマチの医療に関しては、一堂に 会した部分がなくて、医療の部分で、手術はここ、リハビリテーションはここから、と いうふうなシステムでなかなか難しいのかなという印象があります。いままでリウマチ に携わってきた経験を踏まえますと、患者さんは一度は全体が一堂に会した医療を受け て、ある程度の方向性を見つけられるという場を設定してあげないと満足がいかないの ではないか、という気がいたします。したがって、ある程度、患者さんの状態を安定さ せるところはつくってあげて、それ以降は患者さんの自主的の選択で、リハはここから とか、介護はここからということにしたほうがいいのかなあという印象はあります。  西岡委員  21世紀の話は当然として、一応、リウマチセンターの組織・体制について塚原補佐 から資料の説明をさわりだけ……。  越智委員長  古野先生が3時半にお出になるということですので、先生、ご意見がおありでした ら、先にどうぞ。  古野委員  僕は集学的治療ということはディスパーションと対峙するものではないと考えていま す。リウマチは総合的な医療という意味で集学的という言葉を使っているというふうに 理解しているので、総合的に治療するためにこういう特定認定医制度が必要だと考えて おります。リウマチ医療の中でそれは是非とも必要だと考えています。研究について は、松本先生おっしゃったように、誰だってああいう考えをもって研究しているわけ で、厚生省の方針として、財政的な面で制約を受けると厚生省の哲学はなくなるので、 どなたか偉い人はそういう大きな目で、松本先生が厚生大臣になるような感じの政策が 僕は必要だと思います。先生が厚生大臣だったら何も問題ないですよ。僕はそれだけを 言っておきたかったです。  越智委員長  西岡先生、どうぞ。  西岡委員  議論を深めていくことは大事なんですが、選択肢を用意していただいたので資料3を 説明していただいたらいいんじゃないかと思います。  塚原補佐  リウマチセンターを議論する上でどういう整理があるかということで、議論のとっか かりになるようにということで用意いたしました。イメージとして戦艦大和が、という ような議論をしてもなかなかそれぞれになるかと思いますので、とりあえず、4つのパ ターンを準備してみました。それぞれ、どういう病気、どういうスタイルでシステム化 が図られているかというものです。がんとエイズと救急医療と難病の4つのパターンを 具体的に挙げてみました。  選択肢の1としては、がんに対する国立がんセンター方式というものがあります。  ご案内と思いますが、中央ではがんセンターがあって、医療については、中央病院と 東病院の2つあり、研究所があります。研究費についても、がん研究助成金という研究 費がファンドされています。情報機能は、がん診療情報ネットワークシステムというも のが出来上がっていまして、スーパーコンピュータが入っていろいろやっている。研修 については、一般的な研修はしていませんが、がん克服でファンドされているリサーチ レジデント制度などで専門医の養成はしているということで、すべての面においてかな り強力に集中化が図られているという例であります。昭和36年にできて、このシステ ムがいままで機能してきたということだと思います。地方に目を移しますと、国立病院 がそれぞれのブロックセンターをつくっています。そして、県立がん、あるいは成人病 センターがそれぞれの県で整備されてきていて、診療機能が中心ではありますが、臨床 研究等の機能も付与されてきているというところです。全国的な組織体制で、国立がん センターの組織については別添1を後ほど議論の中でご覧ください。基本的には国立方 式、国の税金で運営費も全部賄われている。中央についてはそういう状況です。  選択肢の2は、エイズに対してどういう対応をとっているかということで、エイズ診 療拠点病院方式です。  これは本年から稼働しつつあります。中央は国立国際医療センターを活用しており、 新しいものをつくったわけではありませんで、国立国際医療センターのごく一部にエイ ズの治療研究部門をつくったということであります。つい先週、オープンの式がありま して開設しましたが、基本的にはモデル診療とか、臨床研究を実施するという位置付け です。基礎研究は国立感染症研究所が中心となって実施します。エイズ情報センターを 付設しておりますが、研修はエイズ予防財団がやるということで、研修部分は切り離し ています。地方に目を向けますと、ブロックごとに拠点病院を指定しており、全国で8 ヵ所、大学の付属病院、国立病院、県立病院といろいろな実施主体があります。都道府 県という単位でみますと、エイズ診療拠点病院を2ヵ所以上選定する。基本的には診療 機能が中心ですが、プラスアルファの機能も期待されているというのがエイズ方式で す。  選択肢3は、救急医療の、救命救急センター方式というものがあります。つい最近で きました周産期医療センターもこの方式だと思います。  中央の国立機関はありません。研修は全国レベルの研修財団が実施しております。お そらくいろんなところでいろんな救急の先端機関があって、それは国との関係は薄い形 で独立してやっているという形だと思います。都道府県が中心になっていて、人口10 0万人あたり1ヵ所の救命救急センターを設置することになっています。その他、都道 府県ごとに1次、2次救急の医療システム、あるいは救急情報システムができていま す。このシステムについては別添3をご覧ください。  選択肢4は、難病に対するもので、機能分散+研究班方式と命名してあります。  中央は、神経系の難病はナショナルセンターができています。膠原病等については、 国立国際医療センター、一部は国立相模原病院に臨床研究部ができて、センター機能を 有しているということです。研究、研修、情報提供についてはそれぞれこんなかっこう になっていまして、情報提供と研究は難病医学研究振興財団がやっているという形で、 研究については、筋ジスとか精神の研究はナショナルセンターがやっていますが、いわ ゆる難病、特定疾患については広く48の研究班を設けて研究班でやっていただいてい る。当然、研究班長さんがおられる施設が拠点だとすれば、拠点は3年ないし4年で 転々と移っていくというようなかっこうで、固定していないということです。地方をみ ますと、県立の施設がいまのところ特段の位置付けではないんですが、国立病院が政策 医療ということで診療を実施しております。これは難病対策の一環として昭和47年に スタートしています。これではALSとか重症の患者さんがなかなか入院できないので はないかという議論があって、来年度から都道府県ごとに重症難病拠点病院を確保して いただこうということで予算要求をしているところです。全国的な組織体制について は、確立したものはございませんで、48の研究班長さんがそれぞれ頂点になって研究 をしていただいているというスタイルです。  概ねこの4つのパターンがあるだろう。議論としては、5番目の選択肢もあるかもし れないんですが、現実に動いていうのはこの4つぐらいだろうということですが、参考 までに、特定の1つの拠点を持たずにやっている例としては、茨城県立がんセンター群 というのがありまして、これはいってみれば、拠点施設の分散方式ということで、同じ 機能をもった県が指定したがんセンターが4ヵ所、1時間半以内に県民すべてがアクセ スできるようにというような考え方で整備されているということですので、そういう方 法もあるんじゃないかということで、参考までにここに掲げました。以上です。  越智委員長  ありがとうございます。いまのご説明に関してのご質問ございましたら。残り30分 ほどございますが、いまのご説明を頭におきながら、第5の選択肢といいますか、リウ マチ特有のものがあってもいいわけですから、いままでのお話の中で、地域ブロックセ ンターということではなくて、やはりもうひとつ上の研究的、あるいは高度先進的なセ ンターが必要ではないかというお話がかなりあったと思いますが、いまの選択肢からど ういうものがイメージされるかというところを、フリーディスカッションの形でご意見 を伺えたらと思います。  古野委員  研究は基本的にある程度継続しなければ完成されないですね。それと、研究拠点が 転々と変わるというのは好ましいことではない。総合センターというのは研究重視のセ ンターということでもあるでしょうから、固定された施設ということが一番重要だと思 います。それだけを言い残して失礼いたします。申し訳ございません。  西岡委員  いまのお話は中央のセンターということで。  古野委員  中央でもどこでもいいでしょう。僕は別に大阪でも北海道でもどこでもいいですか ら、できやすいところであればいいと思います。相模原病院が十分そういう整備ができ るということであれば、そこでも構わない。  越智委員長  それは1ヵ所だけというイメージですか、それとも数ヵ所。  古野委員  いや、1ヵ所でしょうね。僕は1ヵ所でいいと思います。そこに多くの優れた研究者 が集まれば。  越智委員長  機能的には研究ということ、臨床研究ですか。  古野委員  研究最優先が僕はいいと思います。  越智委員長  地域ブロックセンターではなく。  古野委員  それは治療重視で、総合センターは研究主体の。  越智委員長  研究と教育、研修ということで。  古野委員  それが重要だと思います。  西岡委員  ということは、中央センターのメジャーな機能を研究と……。  古野委員  研究重視のほうがいいと思います。臨床研究は関連する病院ですればいい。  越智委員長  先ほど垣生先生がおっしゃってましたけど、いわゆる先端医療はどこでもできるわけ ではない。だから、ほんとの先進医療、治療研究のための患者さんを入院治療するとい うことを含めての臨床研究と、例えば、地域ブロックセンターでは研究的治療というこ とはとてもできないところもあると思いますが、研究というのはそういうふうに受けと っていいんでしょうか。  古野委員  患者さんを入院させる病院施設が必要かというと、必ずしもそれは必要ではなくて、 地域ブロックセンターでいくつか選択して共同で臨床研究を進めるほうの形がいいと思 います。  越智委員長  臨床研究というのは、入院された患者さんに限らず。  古野委員  例えば、総合センターのようなところで患者さんに対して先進的な治療を開発すると いうことであると、特定の患者さんだけになりますから、地域ブロックセンターで先端 的な治療ができるようなところがいくつかあれば、そういうところと共同で臨床研究が できるという形が効果的だと思います。  越智委員長  そこではできない研究を中央に集めてやる。  古野委員  すみません、好きなことを言って。総合センターは研究重視のほうがすっきりしてい いような気がします。  越智委員長  どこかに国に1つあればいい。松本先生、いかがでしょう。  松本委員  いま大体あらすじでは賛成なんですが、臨床研究というのは、高度先進医療というこ とと、日本ではことさらいまの社会状況が複雑ですから、なんでもかんでも書類をとっ たり、よく話すというようなことが必要ですけど、そういう時代がいつまで続くか。国 民もそれぞれ教育を受け、自然に納得する。医療に対するいろんな情報が進達して、理 解度も深まってくるということで、本当の意味の、医療の現場での高度先進医療という のはやはり地域ブロックセンターにおいていていいだろうと思います。真の最先端の研 究ということになれば、これはちゃんとした研究機関で、100年に1人か2人現れる 程度の頭脳の持ち主を期待しながら、そういう者を養成していくということだろうと思 います。  地域ブロックセンターは、人口比率でもなんでもいいんですよね、いろんなところに つくる。いくつあってもいいと思います。  ただ、心臓移植が始まったときに、ドイツに、私の友人でミューヘンからハノーバ医 科大学に行って、ユーロトランスプラントセンターをつくった男がいる。それから、 オーストラリア人でイギリスのケンブリッジでセンターのつくった男がいる。この2つ がヨーロッパの移植センターとして奢っていたんですね。その間にパリのラプチエ病院 のキャブロールが小さい病院だったんですが、人が知らない間に心臓移植を700例も やってしまった。世界でトップで、沿革成績も一番いいということになってしまったん ですね。それまでは誰も注目しなかった。だから、医療、実地診療というのは、必ずし も、名前が通ってやっているところがちゃんと全部やっているかというと、そうではな くて、コツコツと、自分の経験とマニュアルに則ってやっているところが実績を積むと いうことがありますので、地域ブロックセンターというのは、人口比率なり、あるいは 面積割りでもいいんですが、いくつかは必要に応じてつくっておいて、そんなにがっち り枠をはめるのではなくて、お互いが競争の原理を働かせる。それは医療という面では マーケットかもしれませんが、そういうことを考えた上で充実していただければいいん じゃないかと思います。  越智委員長  総合的なリウマチセンターとしては真の最先端の研究をする。1ヵ所ぐらいという考 え方ですか。  松本委員  まあ1ヵ所でしょうね。  越智委員長  垣生先生、いかがですか。リウマチセンターのイメージとしては。  垣生委員  リウマチセンターというのをほぼ総合センターとみておりましたが、総合センターは みんな(1) の中央というものに相当すると思います。じゃあ、選択肢の1〜4のどれか というと、いまの日本で新たに国立がんセンターみたいなものはきっとつくれないだろ うと思います。したがって、さっき言ったような、民間も含めたものをつくってほしい なと思っています。  越智委員長  さっきおっしゃいましたのが、先進医療の中でもいわゆる先進研究ができるような場 所ということですね。  垣生委員  そうです。そこには専念してそれをやる人が行けるような。  越智委員長  センターそのものを考えれば、選択肢1のようなものを考えながらだけど、施設とか 人員から考えれば、国立かどうかわからないけど、こういうものが一つあればという受 け取り方でいいですか。西岡先生、いかがですか。  西岡委員  その前に、吉田さん、3千万円のデポジットがあるそうですけど、患者さんの側とし ては、どういうふうな、3千万円というのは決して小さな額ではなくて、患者さんの善 意のお金だと思うんですね。その人たちはどういうイメージのセンターを考えて3千万 円という基金が集まったのか、というあたりを。  吉田委員  基金を集めようということになったのは33年前ですから、いまはその時のイメージ とは違ってきています。地域ということがすごく出てきていますので、東京に1つつく られても、私たちは……、とおっしゃいます。3千万はみんなが集めたんだからという ことで、そういう点でも困っているんですが、理想としてはがんセンターみたいなも の、と言いますけれども、財政難でなかなかできないのだろうと思います。患者として は、身近なところ、県ごとにあるというのが一番理想的で、そこはいくつかの条件が揃 ったような、ということですが、患者としては、こういうことのほかに、いま生活相談 が多くなっています。どこに相談していいか。高齢者の相談窓口でもないし、難病にも 入らないということで、就職から結婚の話までありますので、友の会の手に負えない部 分が相当ありますので、地域ブロックセンターにはケースワーカーといった人も置いて ほしいと思います。また、できるだけ自立していこうということでは自助具の開発とい った部門も置いていただけたら有難いと思います。  地域にあるということは、新しい治療法が出たりした時に、いまかかっているこのや り方でいいのかしらとか。例えば、メソトができた時に、いま使ってもらっていないけ ど、どうなのかしらと、納得したい部分がありますので、地域にセンター的なものがあ って、年に1度ぐらいの検診制度みたいなものあって、いま受けている治療がこれでい いのか、正しいのか、ということで納得して治療をしていくというところがほしい、と いうことがあります。  先端的なことを考える時に、そこで治療もできて、リハもできて、というふうに考え る人もありますが、医学的なことだけではなくて、生活面まで含まれたようなものを、 というふうに患者会では考えておりますけれども。  西岡委員  それは各地域ブロックセンターで十分対応できることですよね。言い換えれば、先ほ ど松本先生おっしゃってましたように、集学的であって、だけど先端というのは高いレ ベルという意味であらゆる合併症に対応できるようなものが地域にあればよい。松本先 生は、私が患者さんの立場であればそう考えます、とおっしゃったんですが、まさにそ のことですか。  吉田委員  そうですね。2005年か、2010年にどのへんまで研究が進んでいるかしら、と いうことの情報がほしいですね、とりあえず、もう少し近いところで、ということで す。  中谷課長  いまお話を聞いていますと、がんセンター方式で対応できるところはまずないんです よね。  越智委員長  いま吉田さんがおっしゃってられるのは、全体のがんセンター形式のものではなく て、患者さんの立場からいえば、地域ブロックセンターの充実ということにポイントを おいてられる。  中谷課長  いまのままで地域ブロックセンターというのか、プライマリーケアレベルにおける総 合的なリウマチ診療充実が一つ。それから、福祉的な相談窓口プラス、例えば、ALS なんかの場合には、家族、遺族の方々が一緒になって相談にのってあげていて、大変効 果をあげているようで、活動の場を確保するとか、あるいは研究部分については、私は センター方式の研究というのは、個人的には難問を持っています。どうせ、1つつくっ たって、人が停滞して活力が失われると思っていますから。むしろ、コンペティティブ に一番強い大学なり研究機関なりにグラントをあげて、3年なら3年、5年なら5年で 効果が出なかったらそれまで、というぐらいじゃないと、公・私立の大学を含めて公募 によって研究を募ったほうがいいんじゃないか、というふうに思いますね。  だから、ハード面の対応と、ソフト面の対応を切り分けてやっていかないと、セン ターという名前だけが進んでしまって、論議があまり進まないように思うんです。  垣生委員  センターというのは建物を含めてご理解していらっしゃるんですが、いまは研究セン ターをつくるということはそういう意味では、とてもがんセンターみたいなものはでき ませんし、いまおっしゃったように弊害もあるし、それは時限付きできちっとやってい くという意味で私は申し上げたつもりです。  越智委員長  先生おっしゃってられるのは、例えば、いままで実際にやられたことでいえば、抗T NF抗体の、抗RA6の治療はどうかといった、先端である程度患者さんにトライアル しなければならない臨床研究がある。いまの時代、きちっとしたコンセンサスも得ら れ、インフォームド・コンセントも得られ、いろんな監視機構もあるといった時に、そ れぞれが思い立ったところでやるのでなしに、最高レベルのセンターに集めてやるとい うのもセンターの一つの機能ではないか。プラスいろんな先端研究を足して、というよ うな意味でおっしゃったと思うんですけど。それと、吉田さんがおっしゃったのは、セ ンターといっても、身近な患者さんの要求としては、地域ブロックセンターでこういう 機能をということで皆さんが3千万円を集められたという、ちょっと別の話かと思いま すが。  松本委員  課長さんにまた反論して申し訳ないんですが。  中谷課長  センターの中身を論議しようという意味で言っただけですから。  松本委員  本質的には同じことを言っているんだと思うんですが、前回休んで失礼しました。前 回は厚生省関連の研究費を出す審査会に行って欠席したんですが、これは前々回に記憶 があるんですが、日本では文部省の科研費にしても、研究成果を文書で出してくること だけで評価していて、実際に本人がどの程度やったか、詳細な検討をしていないわけで す。ですから、責任の追及の程度が非常に甘いんです。だから、これを徹底する。1人 の研究者に非常にたくさんの金をあげてもいいと思うんです。5年間なら5年間、その 人に研究していただいて、本当に研究していなければその人は学会から追放してしま う。それくらいの堅い決意で皆さんが採用に臨まれれば全然問題ない。  それから、国立でなければならないかというと、僕はそうではないと思うんです。第 三セクター方式でもいいと思うんですよ。そういうものを考えられて対応する。  例えば、日本の企業の中でもトヨタなんて儲かって儲かってしょうがないわけです ね。何がために儲かっているかというと、ほとんど日本の、いろんなところに工場拠点 を持っていますけど、これはみな健康な若い労働者が、あるいは中高年の人が支えてい るわけです。そういう企業が社会に利益の一部を還元するということをほとんど知らな いんですね。そういうところにファンデーションをつくって出資してもらって、それで 第三セクター方式でいいから、ちゃんとした研究機関をつくって、研究者にはあくまで も研究実績に責任をもたせるというようなことでやれば、僕は研究機関は1つでも十分 目的を達せると思います。運用のしかただろうと思います。  中谷課長  日本にはそういう機関があんまりないんですよね。あっても、どこかの冠をかけただ けで、パッとしてるところはないので、それができたらすばらしいと思うし、私なん か、ノーベル賞をとったアメリカの医学研究所の平均ベッド数をみると、だんだん下が ってきているんですね。一昨年白血病の研究で出た聖ジュード病院は50床です。それ で、まさに研究プロトコールをつくって、そこに参加する方だけ費用免除で患者とし て、その他の人は白血病でもさよならと全部出す。そういう形で患者を集めて研究をし ている。例えば、そんな形で民間なり、患者の方々がそういう医学研究のファンドをつ くって、あるいは研究所を自前で持つもよし、それから、我々が持っている公的なグラ ンツに合体を考えてもよし、そういうことで仕組みは考えられるかもしれませんね。対 がん10ヵ年なんかはそんな形でやりましたよね。  山田委員  私は聖ジュードで2年ほど研究していました。ほんとに寄付で成り立っていて、患者 さんは全部無料なんです。入院施設は少ないんですが、患者さんは周辺のホテルを使っ て外来治療でやってるんです。飛行機代まで全部病院が面倒をみてやっていますから、 患者さんを対象にした研究は非常にやりやすいんですね。  中谷課長  私は前に広島県にいた時に、そういう形で高度先進医療施設をつくろうというのに参 加していまして、国立にしろ県立にしろ、公がつくるといいことにならないといって、 マーケットメカニズムで動かせるような病院、あるいは研究所にしないと21世紀に なってもいつまでも公費を継ぎ足していくことになる。ちなみに、がんセンターでは1 床赤字1千万というような相場ですから、200床のナショナルセンターをつくれば 20億という感じになって、ちなみに20億というのは難病研究費全部と同じという額 になります。  越智委員長  大きな施設でなくても、センターというのは、国策として重点的にという意味ではす ごい意義があると思うんですね。  中谷課長  国策の場合は、大変申しづらいことを言いますけど、リウマチの場合は、ベストテン の片手の指に入るか、ということになってくると思うんですね。病気の大きさ、マグニ チュード等から考えると、がん、循環器、国際医療、そして小児病院をつくっています ね、その次が長寿、高齢者問題だと思います。その次が糖尿病、感覚器、というような ことになって、大体1個つくるのに10年かかりますから、いま成育医療センターをつ くっていて半分まで行ったと思いますのであと5年、長寿で10年、糖尿病で10年、 感覚器で10年、これで35年ですから、ここのみんなはもういなくなります。ですか ら、そういうわけにはいかないわけですから、そういう中でどうしたらいいかというこ とがひとつです。  それから、誤解がないように申し上げますと、我々、ではなくて、私は1番目のがん センター方式に全くコンビンスしてないというか、信じてないから、あまり熱心になら ないのです。その理由は、多分リウマチの方々の95%はプライマリーケアのレベルが 上がることによって間違いなく恩恵を感じられるんじゃないでしょうか。それから、次 に吉田さんがおっしゃったような福祉との連携をよくするということで具体的に上がる んじゃないでしょうか。 そして、研究については、実はいま来年度の予算要求、とら ぬたぬきの皮算用かもしれませんが、松本先生のおっしゃったようなアカウンタブルを 持った研究をしていただこう。公募をかける時に具体的な研究目標で公募をしよう。そ のメソトロジーについては基礎アプローチを組むもよし、マルチプルなんとかスタディ をやるもよし、それは構わない。ただし、例えば、リウマチの関節破壊を半減する研究 を3年間してくださいといって応募をかけて、そしてやっていただいて、それで成果が 出かなかったらその先生は大恥をかくというような制度をいま検討しています。ですか ら、少し先生のおっしゃったような形で前に進みつつあります。  山本委員  大変頼もしいお話ですが、センターということにあくまでもこだわっているわけでは ないんですが、概念的な意味づけを、いま中谷課長が言われたように、例えば、ある公 募で3年間というのを設定したとします。たしかにその時には、こういう公募がかかっ ているということで大学の何人もがトライすると思います。だけど、それで通ったら、 やった! といって3年間やりますね。で、だめだったら赤恥をかくと。しかし、かい てもその人たちは残るわけですよね。学会から追放するというのは無理な話です。研究 に失敗はつきものです。だけども、リウマチの研究というのは、研究者サイドでいうと ちょっとギャンブル的なところがありまして、そういうテーマが与えられた時には、自 分を変身させてでもその方向に行ってしまう。この点でリウマチセンターということに こだわるのは、センターでなくても構わないんですけど、継続性だと思うんですね。ど うにもならないこの病気というものに対して、なんらかの精神的な中心があって、それ は別に建物でなくてもいい、グラウンドでも構わないんですけど。それが1つ1つの研 究が3年でおしまいということだとみんなそうなっちゃうんですね。3年もらって得し た、もらえなくて損した、ということになっちゃうんですけど、国として、ある程度い ろんなものをオーガナイズして、例えば20年でリウマチ性疾患というものに対して人 類が克服できるかどうかというように、もう少し大きなスパンでやっていただけると、 研究者自体が、要するに、若い人をリクルートする牽引力になれるんですね。3年間で この部屋のお金はなくなりましたというと、若い人は継続性がなくて、リウマチ学と か、臨床免疫研究をやろうという人が継続して入って来なくなるということです。是非 ともそのへんのサポートももう少し考えていただけると有難いんですけど。  中谷課長  似たような話は、脳研究がありましたよね。ブレーンデケイドというか「脳の10 年」ということで。リウマチは果たしてプライオリティがどのくらい上がってくるかわ かりませんが「リウマチ克服の10年」とか。そのためには「国連リウマチの10年」 とかにしないといけないかもしれませんけど、そういう継続性の面については、ご趣旨 はよくわかるつもりですが、逆にいえば、私なんか結構ドライに、研究課題はどんどん 変えてもいいんじゃないか。たしかに、リウマチなり免疫アレルギー疾患の研究という のは絶対絶えることはないし、重要だと思います。ただし、ある程度、パラダイムの変 化というか、枠組みの変化でここに投入すればわっと研究が上がるんじゃないかという 潮時といったものが研究にはあるんじゃないでしょうか。例えば、DNA解析につい て、進みそうな時にわっとそれにのっていくと意外と効果が上がる。そうじゃないと、 コツコツ25年もやってきたけど効果が上がらないというなら、パラダイムでいまはそ うなんだから、いくらやっても効果が上がらないんじゃないですか。  山本委員  その重要性は重々わかるんですが、そのパラダイムの研究だけ募集をするというの は、それをどういう形で決めるかは別にしても、それはある意味では研究の流行という ことになると思うんですね。それにある程度重点をかけるというのは当然だと思います けど、そうじゃなくても、研究者が信じている方向というのがあって、それが必ずしも 全部間違っているわけではなくて、ひょっとしたら100年に1人というのはそういう ところから出る可能性があるので、そういう意味でリウマチのフィールドというものに 対してのサポートに継続性があると非常に助かるわけです。  中谷課長  私は松本先生にさからって悪いんですけど、厚生省の研究はできたらホームランを打 ってほしいんですけど、100人打って1発ホームランが出るより、我々としては、バ ントでもいい、デッドボールでもいい、だけど、患者のために少しでも前進してほし い。10割打者というわけにはいかないと思いますけど、半歩前進を3割ぐらい行って ほしいという感じです。  松本委員  基本的には全くそうなんで、私も基本的には研究は必要だと言っておりますけれど も、重点は地域ブロックセンター、医療の充実です。ですからホームランじゃないんで すよ。デッドボールでもヒットでもセカンドゴロでも、という同じ見解です。  越智委員長  あと、これだけは言っておかなければということが……。  西岡委員  私は2つの私立医大で独立採算制でやってきたんですけど、前者は臨床を中心とし て、いまは研究をやっています。これはグラントが切れたら終りですから絶えずグラン トのサポートをきちんとしていかなければいけないということで、ホームランはなかな か難しいんですけど、安打を重ねて、時には盗塁したり、ホームスチールしたりして点 を稼いでいく。それが地道な研究につながっていくわけです。ですから、そういうのを サポートしていただければと思います。  もう一つ、一番大事な地域ブロックセンター、医療の確保、医療資源の確保に戻りま すが、せっかく越智先生はリウマチ学会の施設認定委員会の委員長ですし、リウマチ財 団でいま私は理事をやっていますので、登録医と認定医を含めて、これは私の私案で恐 縮ですが、ご承認いただければ、リウマチ学会の中の施設認定委員会とリウマチ財団で 地域ブロックセンターの基準というか、どのくらいのレベルにするか、吉田委員がおっ しゃったことも含めて、地域ブロックセンターのハードル、こういう機能を持たせた い。それから、総合センターとしても、例えば、高度先進医療は地域ブロックセンター まで落とせるという先生方のご意見もたくさんありましたので、じゃあ総合センターと しては、情報と先端的な研究の実施母体とするか、あるいは企画して運営委託すると か、山本先生がいま言われたような、なんとなくヘソ的なセンターを1つ、機能は学会 と財団でいろいろ検討するとして、そういうことを提唱したいと思います。かなり各論 的なところですが、いかがでしょうか。  中谷課長  財団なりの事業と考えられるという感じですか。論議のフォーラムというか。  西岡委員  場所ですか?  中谷課長  場所というか、枠組みを。例えば、この委員会でやるということですか。  西岡委員  この委員会で出す資料というか。  中谷課長  協議されて次の委員会に出されるというのは特に問題はないと思いますが。  西岡委員  例えば、具体的な名前を出してあれですけど、松山赤十字病院というのがあって、そ こは一つのすごくいいモデルケースだと思うので、具体的にどうなってるのかとか、そ のぐらいの拠点病院は現在の段階で全国にどれくらいあるのか、というようなことを財 団と学会で一緒にやってみたいと思っているんです。  越智委員長  ちょっと整理させていただきますと、この前の中間報告、特に認定制度に関しては、 国民にわかりやすい制度として普及することが望まれており、他の学会の認定制度、基 準認定方式と整合性を図ることが必要である、と書いてありまして、そのことに関して は、先ほど申しましたように、整形外科学会のほうは2000年のところで統合してい こうと。  また、財団、学会の問題というのは、今後その方向で進むように私たちは努力しなけ ればいけないと思いますが、実際上のかかりつけ医のレベルアップに関しては、財団の 教育システムも使いながら、これも我々はもっと考えていかなければいけない問題じゃ ないか。  地域の問題に関しては、いま西岡委員がちょっとおっしゃいましたが、学会で施設の 認定ということがありますけど、これは認定医をつくるために少しでも施設を増やして いこうということもありまして、それほど高いレベルを要求していませんが、先ほどか らご意見ありますように、地域ブロックセンターというのは、人口比で、あるいはある 程度のアクセスを考えたところに、集学的であり、しかもできるだけ高いレベルで合併 症にも対応できるようなものを、これは実際の医療上は必要ですので、その方向で取り 組まなければならない。これは非常に大きな事実だと思います。だから、学会の認定施 設というだけではなく、学会、財団、そして厚生省にもご協力いただきながら、そうい うものをつくっていくことが必要ではないか。  そして、今日ご出席の皆さんがあまり異論なくおっしゃっておられたのが、その上 の、放っておけばどんどん関節破壊が進みますリウマチ、例えば、99人の研究は失敗 でも、1人のホームランを生むためには、99人のいろんな研究をベースにしている部 分もありますし、また、慢性ですから長い経過をみての臨床研究ですから、やはり継続 性ということを考えましたら、一つは総合センター、リウマチセンターというのが欲し いというのが今日の委員の先生方のご意見だったと思います。それは研究実績に責任を もたせる形でもっとシビアに扱うということも含めて、そういう一つのものが欲しいな というところが今日の流れだったと思います。そして、その先の話になりますと、ある 程度専門的というか、細かいことになるかと思いますので、この先の話の進行をどうす るかというのは、またご検討いただくということで、今日のこのテーマに関しては一応 皆さんご意見出されたということでディスカッションを終了させていただきたいと思い ます。  今後どういう方向にもっていくかということはまたご検討ということでお願いしたい と思います。  西岡委員  せっかく資料3に1〜4までの選択肢を厚生省でご用意いただいたので、これを叩き 台にして、特に選択肢2とか4というのは、この両方の利点、いい点だけをとると、な んとなく今日のディスカッションを集約できるようなものが出てくるような気がします ので、次回までにもう少し具体的な叩き台をつくっていただいて、その上でディスカッ ションがしたらいいんじゃないかと思います。  越智委員長  資料とか、この続きはどうするかというのは、また検討していただいて、例えば、資 料を作成するとか、あとの取り扱いに関しては課長、課長補佐とご相談させていただき まして、ということで。いま決めますか。  西岡委員  といいますのは、前回医事新報にちょっと出ちゃったんですけれども、意見が分かれ てまとまらなかった、という形では困るので、一つの方向性として……。  越智委員長  ここでストップということは多分ないと思います。ただ、それをもっと専門的といい ますか、総論はここまでで、各論は別の方向でもう少し検討を進めようとするのか、あ るいは、もう少し資料を集めてここで継続審議にするかということは、いま決めたほう がいいんですか。  西岡委員  いや、それは。  越智委員長  要するに、その2つのどちらかになると思うんですが、課長、課長補佐にお任せして もいいんじゃないかと。ここで全部止まってしまうということではないと思いますの で。  中谷課長  任せていただけたらそれはそれでいいんですけど、役人は信用されていませんから、 考えていることを申し上げると、レポーティングの潮時としては、いま特に急いでいた だく必要は我々自身にはないんです。というのは、もう平成10年度の予算については 大蔵省へ概算要求しちゃったものですから、今年中に出ようが、来年3月に出ようが 我々は何もできないということですので、数ヵ月の単位で急ぐことは我々自身はないの です。ただし、いまのところでいくつか課題があって、役所で詰められること、学会・ 財団で詰めるべきところ、大きくいくつか問題点があると思います。例えば、学会同士 の話し合いのスケジュールをどうするのかという問題、それから、具体的に、仮に県に 1つ置くような総合的な診療機能を持つ病院のミリマムリクアイアメント、最低基準は どのようなものであるか。こういう問題について若干詰めるところがあると思います。 また、我々、リウマチセンター、全国レベルにあるかどうか、いま主要国に調査をかけ ています。スウェーデンとイギリスからは、ないよ、というネガティブな答えは来てい ますが、もうちょっと探してくださいといって返しています。他からは来ていませんの で、ここがまだできていません。ですから、我々自身も3番目のことについては調査す べき点があります。  ですから、時間は設定せずに、いま少なくとも3つの課題があるわけです。学会レベ ルの話、最低基準の話、それから諸外国の状況の調査。これがある程度揃ったところで また論議をする。その時期については、1番目、2番目は我々には球がありませんの で、越智教授、西岡教授が中心となってご論議が進められると思いますが、その報告を 待ってまたセットをするというイメージが私のいまのところの考えですけれども、いか がでしょうか。  西岡委員  平成11年度の予算に入れていただければ。  越智委員長  例えば、ミニマムリクアイアメント、施設認定といいますか、地域の施設認定のミニ マムであるとか、いまおっしゃったようなことで、財団あるいは学会あたりで委員会を つくってあるひとつの考え方が出たと。その段階でもう一度委員会を開くということで しょうか。それとも、それをもとにして、例えば、別の委員会を開くのか、あるいは次 の絵をかいて進んでいくのかとか、いろんな考え方があると思いますが、厚生省として の。  中谷課長  そこはちょっと考えないといけないと思います、我々自身。どういう戦略でいくの か。一つは我々がいまやっているような公衆衛生審議会成人病難病部会、この枠組みの 中での動きがひとつ。あと、私たちいま局をあげて「ヘルシージャパン21」というプ ロジェクトをやろうと思っているんですが、日本語では「健康日本21」とえらいダサ くなるんですが、アメリカでカーター政権のときに、かなり時間をかけて、主要な病気 について努力目標を定めたんです。例えば、妊婦の検診率がアメリカでは当時60%だ ったのを90%まで上げる。労働災害による死亡率の10万対20を3割減らすとか、 かなり具体的な目標を定めています。こんな形で我々も、例えば、肥満の率を何パーセ ント下げようとか、タバコの喫煙率を何パーセント下げようという具体的目標を入れよ うという論議を11年にします。ですから、私はそういう中で、いまのリウマチに関し ての問題点を率直に申し上げると、難病としては数が多すぎる。国民病としては数が少 なすぎる。こういう中間になってしまって、どっちつかずというのがリウマチ性疾患 の、変形性関節症を入れての問題だと思います。そういうような感じだと思います。で すから、「ヘルシージャパン21」を平成11年度に論議するということでいま作業を していますので、その論議をして、そのアクションプランで何かリウマチ対策のプライ オリティを高くしてシステム化を図るというのが一つの考え方です。  それから、もう一つの流れは、多分平成11年、12年に予算要求すると、大蔵省 は、「ヘルシージャパン21」が出てからお聞きしますよ、さようなら、という感じに なった場合、それでも学会がやるか、厚生省のほうはミニマムな投資でもやるか、とい う選択は学会と財団サイドであるかもしれません。  この2つがいま思い浮かぶところですが、どういう戦略でいくのが全体としてのリウ マチ疾患対策を進めることができるのか。我々としてはそういう感じでご相談したいと 思っています。私は思っていることを全部言いますので、これ以上でも以下でもありま せんのでご安心いただければと思います。  八木委員  いま非常に心配になってきましたのは、中間報告までこのくらいのスパンが設けられ たわけですが、この会の最終報告は一体どういうものになるのかなあというのをひとつ 不安に思います。それと、この会が設定されたのはおそらくいまのリウマチに対する医 療体制なり全体の体制が、悪いということではないんですが、何か手を入れられるとこ ろがあるんじゃないかということで持たれた会ですので、僕自身は理想を語るというこ とではないと思うんですね。でも、現実にちょっと足を踏み出して、それでいいでしょ う、ということになるのも怖いんですね。ですから、この会が何をもって最終結論とす るのかということが、いまのお話から非常に不安になってきているんですが、そのへん についてはどんなふうに考えたらよろしいんでしょうか。この会の最終結論はいつ頃出 るものなのかということをお聞きしたいと思います。  塚原補佐  半分はお答えになって、半分お答えにならないかと思いますが、私は立ち上げの頃か らおつきあいさせていただいておりますが、本来、このリウマチ委員会を立ち上げたの は、非常に単純な話でして、当時、公衆衛生審議会の中にいろんな議論があって、いま はエイズ疾病対策課になっていますが、当時は疾病対策課で、成人病と難病をやってい た。リウマチというのは70万人も患者がいるにもかかわらず難病にも入っていない。 成人病にも入っていない。難病対策を一生懸命やろう、成人病は生活習慣病ということ でやろう、という時にリウマチを議論しないのは問題ではないか、という非常に単純な 発想だった。方法論として、普通は、例えばリウマチについて何か問題があるんじゃな いかというような疑問を霞が関でもった場合には、実態調査をして、その結果を踏まえ て研究班を起こしてそこでいろいろ議論していただいて基礎的なデータを集めてもら う。ある程度基礎的なデータがたまって、ある程度落としどころもみつかって、財政的 にもバックグラウンドが大丈夫ではなかろうかというふうな舞台設定ができた時に初め て審議会というステージが立って幕が開くのが普通なんですが、反省としていえば、そ ういう段取りを経ていないということがありまして、私の理解では、先ほどの西岡先生 のご提案は順序は逆になったかもしれないけれども、率直に言って、これ以上、議論の 叩き台になる、ベースとなるようなデータは私どもも持ち合わせませんので、残された 課題は医療とセンターという2つのテーマだと思いますので、そういう意味ではもう少 し、皆さんで同じベースで議論ができる基礎的なデータ、基盤的なデータ、情報という ものを整理していただく必要があるのではないか、と私は思っています。  山本委員  我々が委員として参加させていただいて、勝手なことを言うかもしれませんが、一応 委員会としてある希望を出した。それはどういう予算的なバックアップで実現されるか ということが最初からほとんど提示されないできたわけですよね。課長さん言われるよ うに、リウマチセンターは当分無理なんだ、とざっくばらんに言っていただいたから少 し現実になってきたわけですけど、それがほんとにそんなことはあまり現実的でないの だったら、センターについて一生懸命ディスカッションしてもしょうがないわけですよ ね。例えば、実際に地域ブロックセンターをやるためにどの程度の予算措置が必要で、 それについては厚生省もバックアップしていただけるということがあるのか、それと も、いい案だったら採択しましょうということなのか。我々はどうしても夢を語ってし まうわけですけど、夢と現実を明らかにしていただかないと、時間的な経過も含めた提 案ができなくなってしまうということです。  中谷課長  ものすごくストレートな言い方は、お金が10億円あります、どう使ったらいいです か、ということならものすごく簡単なんですよね。だけど、世の中そう簡単じゃない し、いまの我々の状況は、1番のリウマチセンターについて、私はややネガティブなこ とを言いましたが、この考えは間違っているかもしれませんが、国立のリウマチセン ターをつくるということについて、私自身が納得してないから言うのであって、それを 先生方が、いや、それはおかしい、こういう特殊な分野は高度専門医療として、民間で はできないんだ、公的責任でやるべきだ、ということをコンビンスすれば、それはいい んです、私自身は。そういうような意見をまとめるとすれば、もうちょっとマチュー レーションの時期、研究調査がいるんじゃないか。そこについては、少なくとも私自身 は12月までに報告書をもらわないと予算要求できないというわけでもないし、仮に1 1年予算ということであれば、来年6月頃までにまとまればいいし、まとまらなかった ら12年にすればいいし、という感じです、タイムフレームは。  それから、お金について言えば、いまの時期はお金が厳しいですから、省内誰に聞い ても、それはよく検討したほうがいいよ、という感じになると思います。ですから、い ま我々ができることは、公的事業としてやるには、これだけ重要なことなんだし、これ だけの投資がジャスティファイ、正当化されるのだということを言わなければいけな い。それは国会の論議などを聞くと、菅直人さんいわく、国ができることは基本的には ないんだ。地方がやるか、民間がやるか、市場がやるか、3つしかない。国がやること は防衛と警察しかないんだ、というような感じで、多分このようなプロジェクト、新た な公的投資という面に対しては非常に厳しい目があることも事実ですから、そういう論 議をする時には、ここにお集まりの先生のほかに、医療システム論とか、経済効率と か、そんなような立場の方をちょっと入れて味付けをしないと、仮に同じような感じで 糖尿病の方を集めれば糖尿病センターという話になりますし、同じようなことで、痛風 の方なら痛風センターをという話になる。多分そういう相対的な問題点は多々あると思 います。ですから、いまのお答えをしますと、もう少し技術的な話でもんで、それから もう一度集まったほうがいいんじゃないか。その時に果たして、どんなスタンスで何を 出すのか。あるいは出さないでいて、パンチがある時に急浮上して出すようにするの か、これを判断したらいいんじゃないでしょうか。いまの段階でいつまでに出すという ことを決める必要は、少なくとも現時点ではないし、大いに研究してもいいんじゃない かと思います。  西岡委員  考え方はいろいろあると思うんですけど、この委員会で粘り強く厚生省を説得してい くということだろうと思うんですよ。だから、向こうはいろいろ変化球を投げています から、こちらも……。  中谷課長  変化球じゃないんですけど。  西岡委員  現実的にいいますと……。  越智委員長  いまどこかにデッドラインを決めて、例えば、次の予算ということを考えれば6月で いいので急がなくていい。その間に資料を集めるとか、さっきから話題になっていま す、私たちのほうであれば、中核医療施設というか、そういうものがどういうミニマム リクアイメントであるのか、そういうことを検討しながら、あるところでそれぞれ答え を出すなり、また、いまおっしゃってました外国の例も集めながら、その段階まで少し 置く、という考え方でいいわけですね。  中谷課長  そうです。  越智委員長  だから、これで消えるということでなくて、その時期であるとか、あるいはいま課長 がおっしゃいましたように、もう少し経済的な意見をお持ちの方を加えるのかというこ とも含めて、いまここで終りというわけではないんですが、次どうするということに関 する答えは出せない。それぞれ資料を集めながら、あるいは次は委員のメンバーが増え るかもわからないということを踏まえながら、課長、課長補佐にお任せをする、という ことしか現実的には言えないんじゃないかなと思うんですが。  垣生委員  先ほどから伺っていて、だめそうだとか、少し希望があるとかいう現実的なことから 言いますと、ナショナルセンターはできないかもしれない。ただし、絶対に必要な地域 ブロックセンター、ここに出されたものですと、(1) と(2) で、(1) は総合センターに 当たるようなもので、(2) が地域ブロックセンターに当たるらしいような感じがするん ですが。さっき私は(1) の問題をいま取り上げてほしいと申し上げましたけど、(2) だ けなら可能性があるとか、そういう見通しを聞かせていただければ、今後両方のディス カッションもきちんとできるし、いまはナショナルセンターのほうだけに1年間頑張っ て、どんなのを揃えるかという問題もあるんじゃないかと思いますが、そこのところ を。  中谷課長  正確に理解しているかわからないんですが、例えば、学会が地域ブロックセンターと いう看板を学会としてかけるということになれば、それはすぐできるわけですね。お金 もかからないわけですね。  越智委員長  ただ、学会のブロックセンターというお墨付をもらうことそのものはあまり意味ない んですね。一般的によく言われていますけど、学会は研究とか教育だということで、医 療は、例えば、リウマチ科の標榜でも学会とあまり関係なしに標榜されてますし、その 意味では厚生省のお墨付であるような、またミニマムの基準に関しては学会とか財団で ディスカッションをしても、最終的には厚生省のコンセンサスを得た地域ブロックセン ターと、学会が単に認定しているというのでは意味合いが違ってきますので、そういう 意味で、ディスカッションは学会でやってもいいんですけど、最終的には厚生省のレベ ルでというのは大事なポイントだと思うんですけど。  中谷課長  厚生省もただ看板を掲げてもいいですよ、と言ったのでは話にならないし、どういう 基準で認定するのかとか、認定されたらどんないいことがあるのか、そういうことは整 理しないといけないでしょうね。  西岡委員  それは実際にもうやらなければいけないと思いますね。  中谷課長  そこをやるかどうかはまたちょっと考えなければいけないわけです。というのは、全 然違った目からすると、医療機関の格付けについて厚生省が勝手に基準をつくってやる のはけしからんという意見もあるんです。それから、地方に行けば行くほど、医師会 が、行政が病院をランク付けするのはおかしいじゃないか、そんな権限はお前らにな い、医療法のどこに書いてある? という感じでいわれることがあるので、そこは詰め ないと、安易にはできないということはあります。ただし、繰り返して申し上げますけ ど、地域におけるリウマチ医療の前進ということを考えると何かもう少しできることが あるんじゃないかという気は非常に強くしています。  越智委員長  それと、さっき垣生先生がおっしゃったように、総合センターものはだめだという話 で、夢を語ったわけですけど、この夢は絶対実現できないかというと、すべてが国主導 型ではできないけれども、経済的な観点から考えられる委員の方に加わっていただいた りした時に、第三セクターだったらできるよとか、その時に国はここまで関与できる よ、とそういう考え方のディスカッションだったら前に進むんじゃないかということが 次のステップだということだと思うんですけど。  垣生委員  国がそういう時にどのくらい関与するかということを私もよく知らないので、そうい うことを聞かせていただければ、また相談ができるんじゃないかと思いますけど。 越 智委員長 いままでのことが、なんだ何も意味がなかったのかということでは決してな くて、このままで調査費とかそういう形で予算を平成10年度にはあげるにはまだ早い けれども、いまの夢を追求するにはどういうふうにすればいいのかということを検討し て、いろんな資料も集めた上で引き続き考えるならば6月でいいということだと考えて いいですね。  中谷課長  そうですね、大体そんなとこだと思います。  越智委員長  そんなことで、なんとなく、仕方がなかったのかとちょっと落胆的になりますけど、 決してそうではなくて。  中谷課長  我々は、どうなることかとビクビクしているので。  西岡委員  来年6月ぐらいまでに最終答申を出すと。  中谷課長  その時点で最終答申を出すのが得策なのか、もうちょっと待って「ヘルシージャパ ン」に絡めたほうがいいのか。そこは考えたほうがいいと思います。  塚原補佐  かなりの予算措置が必要だということになれば、我々いま一番重要な課題かという と、毎年10何パーセント増えている難病患者さんの公費負担制度をどうするか。現実 に予算要求減額で要求せざるを得ない状況にあって、率直に言ってしまえば、既存制度 の維持・見直しがまず第一の我々の課題で、新しいところにどれだけ予算を要求できる かという点については、来年言えるか、再来年言えるかというと、非常に厳しい感じが していまして、そういう意味では、財政状況が非常に厳しい時にお金のかかる話の花火 を打ち上げても、その時、見た目はきれいですが、花火きれい!で終ってしまったので は現実としては意味がない。  我々としても、つくりたいとかつくりたくないとか、そういう議論をしているのでは なくて、必要なものは必要な対策を講じていこうということで、どのくらい費用がかか るのかということで施策の優先順位もあると思いますし、そのへんを議論するベースの データがいまの段階では少ないんじゃないかという印象があるんですね。そういうこと で、もう少し何か、リウマチ対策としてプライオリティをつけるにしても、それを判断 するようなデータが必要じゃないかというような印象を私は持っています。  西岡委員  地域の拠点病院の整備が一番大事なことですよ。患者さんが通うため、そして実際の 医療提供する。その地域の医療としてどういう機能が要るか。それを満たすようなもの は現実にどのくらい全国に存在するのか。それの経済効率はどうなのか。そういうふう なかなり各論的なデータを財団、学会が一緒になってしばらくデータを積み重ねる。そ れに基づいて次のステップに進む。その間、リウマチセンターとしての本来的な、今日 のディスカッションにあったような、必要な機能をもう一回検討する。そういう作業を どんどん進めていいと思うんですね。  中谷課長  私の感じは、センターをつくるか、あるいは分散型でやるか、どうするのかというの を1回で結論を全部出してタイムスケジュールまでというのは無理なので、いくつか課 題がありますから、そこをお互いに研究し合って、それが最初の会でかつ最後の会では ありませんから、また集まって話をしたらどうでしょうか、もう少し研究してから。  山本委員  同じことを思っておりますが、はっきりと予算はそんなにとれないということが前面 にあるならば、それを踏まえた上で、夢じゃなくて、実際に5年の間に、民間も含め て、厚生省も認可した上での団体とか、そういうようなシステムというものに具体的に 走っていって、そういう専門委員も入れて具体的に検討を始めてもいいのか。そういう ことの方向を示していただいたほうがいいですね。  中谷課長  民間をかなり入れたような具体的な話を、果たして公衆衛生審議会のこの場でやるの がいいのか、あるいはリウマチ財団の場でもう少し論議をして、こういう公的な委員会 の場ではそれに祝福を与えるというような立場がいいのか、そこはちょっと考えなけれ ばいけない。民間の方からどういうふうにお金をいただいて、どういう範囲でというこ とは、少なくとも最初の段階では役所は聞かないほうがいいんじゃないでしょうか。  越智委員長  高いレベルに行くための1つのステップということで今日は終らせていただきまし て、決してこれで全部終了ではない。だけど、次の回はある程度資料を集めて、全くこ のメンバーかといえば、それは変わるかもしれない。  中谷課長  このメンバーは、基本的にこのメンバーじゃないと、公衆衛生審議会の専門委員会は そう勝手に変えることはできませんので、この委員会でやるのであれば、ヒアリングを するとか、そんな形になると思います。新たにこの場合で病院経営の委員を2人加える とか、そういうことはまた部会に戻さないと我々にはできないという制約があります。  越智委員長  そういうことで今日は。どうもありがとうございました。これで終らせていただきま す。                  (了)  照会先:厚生省保健医療局エイズ疾病対策課 担 当:塚原 内線2353 直 通:03ー3595ー2249