97/09/30 第4回厚生科学審議会研究企画部会議事録          第4回厚生科学審議会研究企画部会議事録 1.日  時:平成9年9月30日(火) 13:00〜15:00 2.場  所:厚生省特別第1会議室 3.議  事:(1)厚生科学研究に係る評価の実施方法の在り方について        (2)平成10年度科学技術関係予算概算要求主要事項について 4.出席委員:矢崎義雄部会長       (委員:五十音順:敬称略)          大石道夫 柴田鐵治 寺田雅昭        (専門委員:五十音順:敬称略)          杉田秀夫 高久史麿 寺尾允男 初山泰弘 真崎知生 柳澤信夫 ○事務局 定刻でございます、ただ今から第4回厚生科学審議会研究企画部会を開催い たします。本日は土屋委員、真柄委員、宮本委員、山崎委員から御欠席の連絡をいただ いております。それでは矢崎部会長、議事の進行をよろしくお願いいたします。 ○矢崎部会長 それでは、本日もお忙しいところをお集まりいただきましてありがとう ございました。本日は議題が2つございますので、よろしくお願いいたします。それで は、事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 お手元に議事次第という1枚紙、それから配布資料といたしまして、資料1 「国の研究開発全般に共通する評価の実施方法の在り方についての大綱的指針要旨」。 資料2といたしまして、「研究評価マニュアル」。 資料3といたしまして、「国立試験研究機関所内研究評価マニュアル」。 資料4といたしまして、「平成10年度科学技術関係予算概算要求主要事項」。 それからブルーのファイルに厚生科学審議会研究企画部会参考資料といたしまして、 科学技術庁、厚生省、文部省、通商産業省、農林水産省のそれぞれの研究評価の在り方 についての一連の資料をとじ込ませていただいております。 以上でございます。御確認をいただければと思います。 ○矢崎部会長 お揃いでしょうか。どうもありがとうございました。実は本日議題に入 ります前に、厚生科学審議会令では「部会長に事故ある時は、あらかじめ部会長の指名 する委員又は専門委員がその職務を行う」とされております。現在この部会長代理がま だ未指定の状態でありますので、この規定によりまして、今回から寺田委員にお願いし たいというふうに存じますけれども、御了承賜りますでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。それでは、本日の議題に入らせていた だきたいと思います。まず議題1でございますが、厚生科学研究に関わる評価の実施方 法の在り方についてまず事務局から説明をよろしくお願いいたします。 ○事務局 それでは、資料1に基づきまして、まず御説明申し上げたいと思います。 御承知のように7月28日科学技術会議におきまして、「国の研究開発全般に共通する 評価の実施方法の在り方についての大綱的指針」というものが出されました。それを事 務局、私どもの方で要旨という形でまとめさせていただいたものが資料1でございま す。これに沿いまして御説明申し上げます。大網的指針そのものの方は先程御説明いた しましたブルーのファィルの中に綴じ込んでございます。 まず大綱的指針でございますが、第1章に目的というものが書いてございまして、こ の指針の策定の目的と意義ということでありますが、外部評価の導入、評価結果の公 開、研究資金等の研究開発資源の配分への適切な反映を求めるという大きく3つの目的 というものが記載されている訳でございます。 意義といたしましては、先程の目的とも関係する訳でございますが、限られた財政資 金の重点的、効率的な配分、柔軟かつ競争的で開かれた研究開発の環境の実現というこ とを意義といたしております。 それから第2章といたしまして、対象ということで、この指針が対象とする評価の範 囲ということでございますが、国費によって実施される研究開発全般を対象にしている ということでございます。 第3章に評価実施主体、研究者及び評価者の責務ということでございますが、評価実 施主体は国民に対する積極的な情報提供を図るという趣旨を踏まえまして、厳正な評価 を実施するということになる訳でございます。次に評価を受ける研究者につきまして は、自発的に評価に協力するとともに、その結果を十分に生かして、次なる研究開発に 取り組んでいただきたいということになる訳でございます。それから評価者の方でござ いますが、厳正な評価を行うということを常に認識するとともに、優れている研究開発 は伸ばし、研究者を励まし、また適切な助言を与えるという趣旨もあるのだということ を忘れてはならないということが記載されておる訳でございます。第4章といたしまし て、評価の在り方ということでございますが、基本的な考え方といたしまして、評価の 実施主体におきましては、予め評価の対象、目的、評価者、時期、方法、結果の取扱い 等を明確にし、それから具体的な実施方法を定めるということになっている訳でござい ます。 その中でまず(1)としまして評価基準・過程の明示ということでございますが、外部 からもその実態が分かるようにということで、透明性を確保するということがうたわれ ております。(2)としまして外部評価の導入ということでございまして、評価者の選任 にあたっては第三者、評価実施主体にも、また被評価主体にも属さない者を評価者とし て外部評価を導入することが必要ということが記載されております。その第三者の中で 必要に応じまして、専門家以外の有識者等を含めることが重要であるというふうに記載 されております。(3)としまして開かれた評価の実施ということでございまして、評価 の過程で得られた情報は積極的に公開していくことが必要であるというふうにうたわれ ております。(4)としまして研究開発資源の配分への反映等評価結果を適切に活用する ということがうたわれております。 それに引き続きまして、評価実施上の共通原則ということでございまして、先程の (1)〜(4)までの原則、その基本的考え方に留意しつつ、共通的に含まれるべき原則とい うことで幾つかのポイントがうたわれております。 まず評価対象の設定ということでございまして、評価にあたりまして、評価をする実 施主体は何を評価対象とするかを明確に、また具体的に設定する必要がある。しかし、 この指針につきましては、研究者の業績評価を直接の対象とはしないという原則がうた われておりますけれども、必要があれば適切に評価することも肝要であるというふうに うたわれております。 それから評価目的の設定ということでございますが、何のために評価をするのか、ど ういう評価をするのかというようなことでその目的、性格、態様、規模、期間、分野等 に対応して、研究開発機関の評価についても具体的な評価目的を明確に設定する必要が あるということでございます。 評価者の選任等でございますが、適切な外部専門家(評価対象の研究開発分野及び関 連する分野の専門家で評価の実施主体にも被評価主体にも属さない者)を評価者とする ことを原則とするということでございますが、当然必要がある場合には評価実施主体、 または被評価主体に属する者が評価者に加わることも適切に判断されるべきであるとい うふうにうたわれております。 特に、大規模かつ重要なプロジェクト、特にまた社会的関心の高い分野につきまして は、評価者に外部の専門家だけではなくて外部の有識者、つまり評価対象とは異なる研 究開発分野の専門家その他有識者であり、当然第三者である者を加えることが必要とい うふうにうたわれておる訳でございます。 機関の評価ということで、研究開発機関を対象にして行う評価につきましては、外部 有識者を加えることが適当であるというふうにうたわれております。 評価者につきましては、明確な在任期間を設けるということ。原則といたしまして、 その氏名を公表するということで評価者の選任等に係る適切な仕組みを整備するという ことがうたわれております。 評価時期の設定ということでございますが、原則として事前事後の各時期に評価を行 うということがうたわれております。しかし、5年以上、長期にわたる研究開発につき ましては、それともう一つは研究開発の実施期間の定めがないものにつきましては、例 えば3年程度を1つの目安といたしまして、定期的に中間評価を実施するということが うたわれております。 追跡評価といたしまして、学会等における評価や実用化の状況等を研究の終了後も適 時に把握するということを考慮する必要があるというふうにうたわれております。 研究開発機関につきましては、各評価実施主体が、例えて言いますと3〜5年程度の 期間を1つの目安といたしまして期間を設定し、機関評価を実施するということでござ います。 評価方法の設定ということでありますが、具体的な評価方法、項目、基準、 手続、手法を明確にするということ。それから誰が評価方法を設定するのかということ も明らかにする必要があるということでございます。 評価の目的や対象に応じまして、適切な評価項目を設定するとともに、出来る限り具 体的な基準を設定し、評価の基準の明確化を図るということがまた要求されている訳で ございます。 評価の最終的な結果を出すにあたりましては、各項目について検討を加えるととも に、総合的な判断をすることが必要ということが言われておる訳でございます。 評価対象の国際的、または国内的な研究開発の現状の中での研究水準、または民間分 野において著しい技術の進展が見られる分野にあたっては、民間における研究開発の状 況の中での位置付け等について評価を可能にする評価項目を取り入れることも必要であ るということが言われております。 評価委員会の形式でございますが、合議制による評価、単独又は少数の評価者に判断 を委ねる評価など、評価対象に応じた適切な方法を採用することが必要であるというふ うに言われております。 中間評価の場合でございますが、特に評価者と被評価者の間で意見交換を行う機会を 出来るだけつくるよう努めることが適当であるというふうに言われております。 評価結果の取扱いということでございますが、評価結果の研究開発資源の配分への反 映等適切な活用を行うという基本的なところで御説明したとおりでございます。 評価結果の公開ということでございますが、評価結果、またはこれに基づいて講じた 措置、または講じる措置、そういうものを含めまして、政府の刊行物、またはインター ネットを利用して分かりやすい形で積極的に情報の公開を図ることが必要であるという ふうに言われております。 評価結果等の被評価者への開示ということでございますが、原則として、評価の結 果、またはその理由、それを評価者に開示されるよう適切な措置を講じる必要があると いうことでございます。 評価実施体制の充実ということでございますが、評価の実施の仕組みを定め、これを また公表していくということが必要であるというふうに言われております。評価のため の参考資料となります論文であるとか、そういうものにつきましてのデータベースを構 築するということが必要であるというふうにうたわれております。 留意すべき事項といたしまして、評価にあたりまして、過重な負担の回避ということ がうたわれております。 研究開発の性格等に応じた適切な配慮ということでございますが、研究開発がそれぞ れ基礎研究、応用研究、開発研究、試験調査色々それぞれ性格が異なる訳でございま す。それを十分に考慮いたしまして、それぞれにふさわしい評価を行うことが必要であ るということでございます。特に野心的な研究開発の実施を阻害しないように評価をす ることが重要であるということがうたわれております。 数値的指標の活用ということでございます。先程評価実施体制の充実ということで、 論文等につきましてのデータベースの構築が書いてありますが、同じようなものを確認 していくということでございまして、定量的評価手法、要するに一定の客観性を有する ものについて参考資料として活用していくことが必要である。しかし、数値的指標ばか りを重視しないように、つまり定量的な側面と併せて定性的な側面を総合的に判断して いくということが重要であるということも併せてうたわれております。 試験調査や短期間では業績を上げにくい研究開発の評価ということでございます。こ れらの評価につきましては、一般的な研究開発とは異なる評価指標を用いる等配慮をし ていくことが必要であるというふうにうたわれております。 人間の生活・社会及び自然との調和ということでございますが、人間の生活・社会及 び自然との調和を図ることが重要な研究開発活動につきましては、評価の目的、評価の 方法の設定、または評価者の選任にあたりまして、人文・社会科学の視点も十分に取り 込まれるように留意しなければならないというふうにうたわれております。 第5章といたしまして、研究開発課題の評価ということでございます。研究開発課題 というのはここでは国費により実施される特殊法人、民間機関、公設試験研究機関等に おける研究開発課題を含むという定義になっておりますが、今まで申し述べました共通 原則に加えまして、例えて申しますと、研究開発課題の評価では、課題設定のための評 価、または成果の評価を行うことが必要であるとか、または分布型メガサイエンスや国 際共同研究として実施される研究開発につきましては、一定の目標の下に複数の省庁が 連携して実施する研究開発課題については連携をとって行う、または協力をして行うと いうことが必要であるということがうたわれております。 競争的資金による研究開発課題の評価ということでありますが、競争的資金による研 究開発課題につきましては、短期間、または少額のものを除き、事前評価に加えて中間 及び事後における評価の徹底を図ることも必要であるというふうに言われております。 評価の実施主体は研究開発課題の評価の結果を集約し、制度そのもの、またはその運用 等の適切さを判断するということになっております。 重点的資金による研究開発課題の評価ということでありますが、要するに高額なもの が多いということでありますので、慎重な評価が求められているということでございま す。評価者の選任は機密の保持が必要な場合を除いては、今まで述べました共通原則を 踏まえた評価者の選任を行うことが必要であるというふうに言われております。ここで は特に事後評価ということの重要性がうたわれておりまして、国民の関心も高いという ことが考えられる訳でございまして、また、そのために類似の課題の事前評価をより適 切な実施に資するためにも事後評価というものが重要であるということがうたわれてお ります。特に大規模なものにつきましては、評価者に外部有識者を加えるとともに、出 来る限り国民各般の意見を評価に反映させることが必要であるというふうにここでうた われておる訳でございます。 国を挙げて実施するメガサイエンス等の特に大規模かつ重要なプロジェクトの評価と いうことでございますが、これにつきましては、研究開発を実施する主体から独立した 形で外部専門家、またはその他の外部有識者によって構成された組織による評価を実施 することが必要というふうにうたわれております。3年程度ごとの期間を目安といたし まして、中間評価を行うとともに、事後評価によりまして、達成度の把握、計画の妥当 性というものに関します考察と反省を行いまして、将来に資するということが必要であ るというふうにうたわれております。 基盤的資金による研究開発課題の評価ということでありますが、これらの研究開発に つきましては、将来の研究開発の芽を生む多くの可能性を秘めているということがある 訳でございますので、研究者による論文発表等を通じた学会等における評価、または研 究者自身による自己評価というものを基本といたしまして、必要に応じて機関評価の対 象に含めるなどということで実を上げていくことが適当であるというふうに言われてお ります。 第6章といたしまして、研究開発機関の評価ということで、全体的な共通原則に加え まして、研究開発機関の種類に応じて以下のとおり実施するものとするというふうにう たわれておりまして、厚生省と特に関係ございますのが国立試験研究機関ということで ございます。当該機関の運営全般を対象とし、その評価の結果は改善に反映することが 必要であるということでございます。それから機関評価の実施にあたりましては、具体 的な社会的、経済的ニーズへの対応ほか、新しい研究領域・方法等の創造能力、研究の 最前線の変化に適切に対応していく柔軟性、組織の効率的運営等が重要な指標であり、 被評価機関の使命や任務に応じての総合的な評価が必要であるということでございま す。評価者の構成につきましては、小規模な機関、または運営に関する機密の保持が必 要な機関を除きましては、今、説明しておりますこの指針に定めます評価実施上の共通 原則を踏まえたものとする必要があり、それから出来る限り国民各般の意見を評価に反 映させるものとするという原則が記載してございます。 大学等につきましてはここでは省かせていただきまして、研究開発を実施する特殊法 人等ということでございますが、これは先程述べました国立試験研究機関に準じた措置 が講じられるようにするということでございます。 最後といたしまして、本指針の見直し等ということでございますが、科学技術会議は その評価の実施状況についてフォローアップを行い、結果を踏まえまして、必要に応じ 本指針をより適切なものとすべく見直しを行うということが記載されておる訳でござい ます。以上が7月に科学技術会議から出されました大綱的指針でございます。これを踏 まえまして、各省庁がそれぞれの指針を作っていくということになる訳でございます。 参考資料といたしまして、先程御説明いたしました大綱的指針の本文を付けておりま す。それに付属いたしまして、科学技術庁が平成9年9月11日に研究開発評価の推進に ついてということで、先程の大綱的指針を受けまして、科学技術庁の方の評価に当たる 指針が出ております。 文部省関係でございますが、学術審議会の「学術研究における評価の在り方について (中間まとめ)」という形で平成9年7月25日に出されております。 通商産業省は、「通商産業省技術評価指針」ということで、平成9年8月15日に官報 告示をされたものがございます。 同じく平成9年7月22日でございますが、農林水産技術会議決定ということで、 「農林水産省における試験研究機関及び研究課題の評価に関する指針」、これは概要だ けを付けております。 若干御説明申し上げますと、通産省の指針は研究開発プロジェクトと工業技術院傘下 の試験研究機関というものを対象といたしております。プロジェクト研究の研究課題に よっては追跡評価を実施するということ。試験研究機関の行う所内の評価につきまして は、外部評価の補助的なものとして位置付けるということがうたわれております。 農林水産省で申しますと、主要な研究課題につきましては追跡評価を実施するという ことでございます。試験研究機関につきましては、農林水産省の技術会議が実施します 5年ごとの機関評価、試験研究機関ごとに設置された外部有識者を構成員とする評価委 員会による毎年の機関評価を実施するということがうたわれております。 文部省の方の学術研究における評価の在り方についての中では、研究課題の評価につ きましては、経常的な経費による研究、一般的な公募研究、学術政策上の見地から推進 される研究、それぞれに分類して在り方について規定いたしております。文部省でござ いますので、大学等における研究評価は自己点検評価を基本としており、特に外部評価 を導入することとはされておりません。大学共同利用機関等につきましては、自主的に 外部評価を実施するというふうに規定されております。 科学技術庁が出されたものにつきましては、主に科学技術庁関係の試験研究機関の評 価ということを中心に指針が作成されている訳でございます。 以上が簡単ではございますが、科学技術会議からの意見を踏まえて各省の対応という ことでございます。 引き続きまして、現状での厚生省の研究評価マニュアルと国立試験研究機関所内研究 評価マニュアルでございますが、厚生科学審議会の前身でございます厚生科学会議の研 究評価の基本的在り方ということで、平成元年8月の提言を受けまして、策定されてい るものでございます。 研究評価マニュアルでございますが、評価の対象となる事項ということで、事務局サ イドで基本的な事項の点検を行い、評価担当専門家、それから研究企画委員会というと ころで専門的観点から評価をし、それから行政的観点の評価を行うということがうたわ れております。それから公募研究と指定研究に分けまして、事前評価のやり方について 記載がございまして、併せて中間評価、事後評価の行い方、それからそれぞれ研究事業 ごとに専門家10名程度で構成されます研究企画委員会を置くというような構成になって おります。 国立試験研究機関所内研究評価マニュアルでございますが、これも先程の厚生科学会 議の提言を受けまして定められているものでございます。評価の対象といたしまして は、研究所内の研究体制、研究の実施状況というものを対象にするということでござい ます。  研究評価制度でございますが、事前評価、定期評価というものを行っていくこととし ております。  評価委員につきましては、専門家10名程度より成ります評価委員会を置き、そのうち 3分の1以上は所外の専門家とするということが言われております。  研究実施報告書の様式というものについても定めがなされている訳でございます。 参考資料3「研究評価の改善について(案)」としまして、平成8年6月24日厚生科 学会議「研究の評価及び人材の確保に関する小委員会」で御議論をしていただきまし た、厚生省の研究評価の改善に関する意見書を付けてございますが、これはこの部会の 委員でもあられます高久委員に委員長を引き受けていただき御検討いただいていたもの でございますが、科学技術会議で大綱的指針を設定するということになりました関係 上、それを踏まえた上で、また改めて検討するということになっているものでございま して、参考ということで今日お付けさせていただいているものでございます。 私の説明は以上でございます。 ○矢崎部会長 科学技術会議の大部にわたる大綱的指針を精力的に要領よくまとめてい ただきまして、ありがとうございました。これに基づいて厚生科学の研究の評価の在り 方について今日御議論をお願いするところでありますが、研究評価をどう進めるかとい うことは、とりもなおさず厚生科学としての研究の在り方を、ここである程度性格づけ る位置づけになるかと思いますので、この評価の実施の在り方について先生方から忌憚 のない御意見と御議論をいただきたいというふうに思っております。 先程御紹介のありました、高久委員が班長でつくられた「研究評価の改善について」 において内容が細かく検討されておりますので、出来ればこれを土台にし、先程事務局 から御説明ありましたような大綱に沿って、また考慮しながらこの在り方について作成 していきたいというふうに私ども考えておりますので、よろしくお願いいたします。 ○事務局 すみません。説明を忘れておりました事項がございまして、先端的厚生科学 研究専門委員会委員の研究評価に関する主な意見であります。前回の研究企画部会でお 認めいただきました先端的厚生科学研究分野につきまして、事前評価にあたるかと思い ますが、専門委員会を開催した訳でございます。その中で色々な意見が出ておりました ので、参考までに御紹介いたしまして、議論の参考にしていただければと思います。評 価方法につきまして、専門家評価委員と行政評価委員の評価の関係については更に検討 すべきという意見がございました。これは専門家の評価委員の評価を重視すべきという 意見と、またはその逆で、行政評価委員の評価を重視すべきという意見と両方があった ということでございます。 それから専門委員会では、候補課題を絞った上でヒアリングを行い、課題選択を行っ た方がいいのではないかという意見がございました。 課題選択にあたりましては、他の研究事業と重なって採択されないよう、事前チェッ クを十分に行えるような体制にすることが必要ではないかという御意見がございまし た。 臨床研究の採択につきまして、今回は研究応募数が少ないということがございま したので、やはり臨床研究の採択につきまして、一定の配慮をする必要があるのではな いかという御意見がございました。 一部の研究分野の評価小委員会では、委員に基礎の研究者が偏り過ぎているのではな いかということで、もう少し臨床の研究者を入れるべきではないかという意見がござい ました。 中間、事後評価を厳しく行うことが必要であるという意見がございました。 中間評価といたしまして、必要に応じ研究を実施している施設に訪問調査を行うべき ではないか。いわゆるサイト・ビジットの実施ということが御意見として上がっており ました。 評価結果等の公表については、評価結果を申請者等に通知するとともに、採択課題の 内容、交付額も含め厚生省ホームページに掲載すべきではないかという意見。 それから厚生省ホームページに研究報告書、要するに交付額も含めて掲載し、広く意 見を伺い、匿名以外の意見について、各専門委員会に提出するとともに、その回答に努 めるということをしたらどうか。または中間報告の場合は、それを中間評価の参考にし たらどうかというような御意見もございました。 研究成果につきまして、シンポジウム等を企画するなど、国民に対してそのPRに積 極的に努めるべきであるという御意見もいただいております。 1億円以上というようなことになろうかと思いますが、高額な研究については、研究 予算の5%くらいをフィージビリティー・スタディー、いわゆる研究の実施可能性、研 究の効果予測調査等に充てるということを考慮したらどうかというような意見が出てお りましたので、御参考までに御紹介させていただきました。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。この厚生科学研究の評価の実施で御議 論お願いしたいと言っても大分内容的に広い範囲で、どこから意見をお伺いしたらいい かということで先生方も御発言しにくいかと思います。科学技術会議の大綱的指針に従 いますと、研究者及び評価者の責務、これは当然ですけれども、次の評価の在り方で、 基本的な考え方、あるいは評価の過程を明示するということと、外部評価、それから情 報の公開ということを強くそこで述べられています。例えば最初の議論としまして、情 報の評価の業績の公開の場合に色々パテントの問題とかがありますので、例えば、実際 に評価するときに情報の開示が必要であり、また開かれた評価の実施ということです が、どこまでオープンにするかどうかということですね。公開のシンポジウム、学会発 表の場合と、本当に内容をディスカッションするクローズドのヒアリングまで公開をす るとか、そういうこともやはり議論していかなければいけないと思いますけれども、例 えのお話をしましたけれども、後で紹介されました色々な意見がございましたが、何か これについて先生方でお気づきの点、あるいは御意見ございますでしょうか。 ○高久委員 この中で研究専門委員会というのは、前の私どもがつくりました厚生省の 厚生科学会議でつくった評価の評価担当専門家というのと大体イクイバレントと考えて よろしいのでしょうね。 ○事務局 はい。 ○高久委員 この中で一つ二つ意見を言わさせていただきますと、サイト・ビジットは 文部省の科学研究費でも特に特別推進研究でやっておりますが、やはりやった方がいい と思います。しかし数を絞りませんと非常に大変ですから、ある一定度以上の金額のも のについてはサイト・ビジットをやられたらいいのではないかと思います。 それから、フィージビリティー・スタディーは金額が1億円以上とありますが、フ ィージビリティー・スタディーもやられた方が良いのではないかなという感じがしま す。私は直接関係ないのですが、今回の先端的厚生科学研究の中で採択された課題でも 専門が違うからはっきりは言えませが、本当に出来るのかなと、フィージビリティー・ スタディーをやった方が本当は良いのではなかったかなというような課題がない訳でも なかったものですから。いつからするかという問題など色々あるでしょうが、テーマに よっては何年かたって非常にたくさんの研究費を使って結局何も出来なかったという、 そういう場合も当然あり得るとは思うのですが、その数が余り多いと批判が起きてきま すので、1年ぐらいはフィージビリティー・スタディーをやった方が課題によっては良 いのではないかという印象を持ちました。 以上であります。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。大変貴重な御意見だと思います。今の 御意見に対して、あるいはほかの御意見でいかがでしょうか。 ○杉田委員 今のことに関連しますけれども、サイト・ビジットというのは実際にビジ ットした人などの意見では非常にこれは有効であるとしています。それから単なるどこ かで年に1回集まってヒアリングを聞くよりは、サイト・ビジットというのは非常に現 場でいろいろな細かいことが分かっていいと言われるのですが、問題は、それはビジッ トする人に相当負担が掛かるということが第1点と、これは一体どのくらい頻繁にやっ たらいいのか、その辺について御意見があったらお聞かせいただきたい。例えば、毎年 やることが実際望ましいのだろうと思います。年に1回ですね。だけれどもそれはやは りビジットする人には相当負担ですよね。つまりこれが専門ではないものですから、そ の辺についての検討はいかがでしょうか。 ○矢崎部会長 大綱にも評価者に過重な負担を掛けないことというふうに書いてありま すので。 ○高久委員 文部省の特別推進研究事業のときは3年とか5年のテーマで1回だけです ね。途中が必要なのですね。大分前に経験したことなのですが、2年目か3年目かにお 伺いしたら申請とは全然別なことを一生懸命しゃべられた。この人は実際には申請した 課題をやっていないではないかと批判されて、特別推進研究費をその後もらえなかった ことがありました。ある程度期間を置いてきちんとやっているかどうかを見る。3年の プロジェクトで1回やれば色々分かると思います。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。サイト・ビジットは本当に時間も掛か りますし、費用も掛かりますのでそう何回も出来ないということですが、今の御意見で すとある額以上の大型プロジェクトでは、中間評価として1回はサイト・ビジットした 方がいいのではないかという杉田委員、高久委員の御意見ではないかと思います。 ヒアリングについてはいかがでしょうか。今年は研究費を配布しましたので、今年度 をどういうふうに評価するかが1つの課題ではないかと思います。例えば、今年度は書 面評価でとどめるのか、今年度もある程度ヒアリングをすべきなのか。来年度は是非、 またこれも全員やる訳にはいかなくて、高久委員が言われたようにある額以上の方は是 非ヒアリングを実施するということに関しましては、先生方いかがでしょうか。このヒ アリングも先程申し上げましたようにクローズドな、本当に先端的なデータまでを、パ ブリッシュする前のデータまでを述べるようなクローズドのヒアリングの会と、公開シ ンポジウム的な、あるいはだれでも興味があったら参加出来るような研究発表会的な方 法と2つ方法が考えられると思うのです。例えば、とりあえず今年配布しました研究費 についてどういうふうに中間評価を進めるか。何か御意見いただければと思います。 ○初山委員 ヒアリングは出来ればやった方がよろしいのではないかと思うのです。1 つは、本当の専門分野の先生方はお分かりですが、やはり行政側、あるいは専門分野以 外の委員が理解するにはヒアリングをやっていただくと分かりやすいという感じがいた しました。 ○矢崎部会長 それは今年の配布の……。 ○初山委員 今年の配布といいますか、今年選考いたしました中で専門委員会でヒアリ ングさせていただきましたけれども、ヒアリング前に考えていたことと、ヒアリングさ せていただいた後の印象はかなり違ったのが、私は専門外であったためかもしれません けれども二、三あったような気がいたします。今度採用された研究についてのヒアリン グというのは、この前お話ありましたように何年かたってやるべきではないかという感 じがいたします。これは私の意見です。 ○高久委員 採択の時のヒアリングの問題ですが、ヒアリングにはいい点と悪い点があ ります。グループ・ワークの場合大体ヒアリングをやりますとお話の上手な方が通りや すくなる。矢崎部会長も御経験あると思うのですが、1人の研究ですとその人の仕事の クォリティーをよく判断出来るのですが、グループ研究ですと全体の仕事をまとめて話 をするものですから、プレゼンテーションのうまい方、まとめの上手な方がすっと通っ て、余り話が上手ではない方の課題が落ちてしまうという問題があることはあります。 勿論ヒアリングをやるとよく分かる点もあるのですがそういう問題点もあるということ を指摘させていただきたいと思います。 ○矢崎部会長 そういたしますと、書面での報告書を出していただく。 ○高久委員 私が今申し上げたのは事前評価です。事前評価でヒアリングする時に、個 人の1人の仕事の場合にはいいのですが、色々なグループの、自分が中心になっている グループの研究をまとめて話をするときにはプレゼンテーションのうまい人がどうして も有利だということです。それでも構わない点もあると思うのですが、内容よりもプレ ゼンテーションの仕方で採用される可能性があるということです。 ○柴田委員 その議論の前に素朴な疑問をお聞きしたいのですけれども、私は研究現場 にいないので特に。先程からずっと説明を受けた評価の方法の総論については全く異議 ないのですが、例えば厚生科学の研究をこの前選んだ部分がありますね。その選んだ人 たちというのは言わばその問題について一番詳しい方なのだろうとは思うのです。だか らそのテーマを評価するのには最も適した方なのだと思うのですけれども、選んだとい うことによって一種の当事者になってしまって、なるべくその当事者でない人がいいと いう原則と離れてくるのだろうと思うのです。 だから具体的に今、出ているお話でも、選んだ人たちが評価者になってやるのなら ば、ヒアリングでも書面でもと思うのですけれども、そうではない人がその問題につい て的確な評価が出来る専門家が選んだ人以外にも十分得られるのかどうかという、その 基本的なところをお聞きしたいのです。選んだ人はその評価者に入れないでやっていけ るのかどうかということなのです。 ○矢崎部会長 原則としては、選んだ人が入らざるを得ないという事がありますね。 ○柴田委員 入らざるを得ない程度で済みますか。 ○矢崎部会長 現実問題として外部評価という実際の評価実施主体にも、被評価主体に も属さない評価者として、ある程度外部の方に加わっていただかなければいけないとい うことにはなるかと思いますけれども、具体的にそれをどういうふうにしていくかとい うことはこれから、例えば専門家以外の、そこの領域の専門以外の有識者をどのぐらい 加えて、どういうふうに進めるかということもこの在り方の1つの大きなポイントでは ないかというふうに思われます。 ○柴田委員 そうしますと、いわゆる選ぶ時、つまり事前評価のときに事前評価委員と 中間評価ないしは事後評価委員というものを、ある程度その問題についての詳しい専門 家を分けてしまうとか、最初から分けてそういうふうに考えるとか、そういうようなや り方というのは果たして可能なのでしょうか。 ○矢崎部会長 どうでしょうか。事前評価と中間評価は別な人がやった方が本当は理想 的なのですけれども。 ○高久委員 しかし、実際には事前評価をやりますと、かなり勉強させられるといいま すか、その評価についての記憶がありますので、中間評価も同じ人がやった方が良い面 もあります。別な人が良いのかもしれませんが、また勉強し直しということで、マンパ ワーの問題とコスト・パフォーマンスのことを考えますと、私は事前評価をする人が中 間・事後評価をやっても構わないのではないかと思います。別な人を付け加えてもいい ですが、事前評価をやったから中間評価には入らないというのは現実的でないし、実際 にまた極めて難しいと思います。 ○柴田委員 恐らく現実はそのとおりではないかと思いますし、それでいいのかなと思 うのですけれども、本当の全体の総論では研究者ないしは何ら関係者ではない人がとい うことな訳ですね。だから事前評価者は関係者ではないというふうに規定してよろしい のかどうかという、そういうふうに考えれば問題は全くないのですけれども、ある意味 では選んだ人というのはその問題については多少当事者にはなるだろうという気がする のです。専門家はそんなたくさんはいないはずだというのと、現実論としては関係ない 人が望ましいといってもそうなかなかいかないのかなと思います。そうなれば最初から 事前評価、中間評価について同じ方がやるならば先程のヒアリングの問題にしろ、サイ ト・ビジットの問題もおのずと人が具体的に決まってくるのではないかなというふうに 思うのです。その点、事務局はどういうふうにお考えなのですか。 ○事務局 評価の部分は大変難しい分野であろうと思っております。ただ今の委員の御 指摘のように、事前評価と事後評価の部分を分けるべきではないかというようなことで ございますが、確かにその辺は総論的には分けるべきであるというふうな考え方を持っ ております。ただ、全く別の人、委員会をつくって全部やった方が効率的かどうか、あ るいは可能かどうかという現実論に立ちますと、必ずしもそれは適切ではないというよ うなことも考えられますので、事務局としましては、出来れば全く同じであるという必 要はないと思っておりますが、若干入っていただきながら別の評価のための組織をつく っていくべきではないだろうかというふうな考え方でございます。ただ、この辺につき ましてはまだ時間もございますので、この場で色々御議論いただきまして、その辺を伺 いながら事務局案というものを提示していきたいというふうに思っています。 ○柴田委員 分かりました。結構です。 ○大石委員 ちょっと一般論で申し訳ないのですけれども、評価は当然なのでございま すけれども、評価を今まで見ていきますと、事前評価というかあるプロポーザルに対し てそれが採択すべきかどうかと。この評価は当然しなければならない訳ですけれども、 中間評価というものが果たしてどの程度意味があるかということについては、私は少し 異なった意見を持っています。 これはある3年なり5年なりのプロポーザルを、その人に研究費を渡すということは 最初の人が責任を持つべきことなのでありまして、中間評価して、そのときにもしそれ がだめだった場合に、どの程度厳しい、例えば研究費を取り上げるとか、そういうよう なきちっとしたことがない限り、私はむしろ3年なり5年なりその方に一切お金を任せ て、次にその方が応募した時にそれを厳しく評価する。これが私の描いている評価の形 でございまして、そうすることによって、一つは非常に中間評価が煩雑だということを 除くと同時に、実際にある期間を与えて任せて、そこまでは選んだ人が責任を持つとい うことになります。3年なり5年なり期間を決めたとき迄に出来なかった場合には、そ れはもう当事者が責任をとるというような形で、選ぶ方と選ばれた方と評価される側と の立場をきちっと明確にすることが必要なのではないかと考えます。 どうも日本を見ていますとその辺が少しあいまいになって、実際には評価はするのだ けれども、評価とか外部評価とか色々なことを言うのだけれども、実際にその評価に対 して、本当にだめだった場合にはどうするのかという点がやや曖昧ではないかと思える のです。一般論なのですけれども、そういうような意見を持っていて、皆様方と少しニ ュアンスが違う考えかもしれませんけれども、私はそういう一種の考え方を持って評価 というものを今まで考えてきた訳でございます。 ○真崎委員 私も似たような意見を持っておりまして、研究の分野にもよりますけれど も、大体私たちの周辺の研究を見ていますと、1年で出来るような研究というのはない 訳です。ですから、1年目は準備段階であると考えています。2年目に何か出てくると いうような研究の場合、1年目で評価などされると何も出ていないのではないかという 判断が出てくる訳です。ですから、今の御意見のように責任をその方に任せてある程度 を見て、その後で評価をするというのはいいのではないかと思います。特に今年のよう な場合、半年ぐらい後からスタートする訳ですね。そういう場合にはかなりお任せし て、ある時間を置いてから評価するのがいいのではないかと思います。 ○柳澤委員 先端的厚生科学研究についての、単年度ごとのヒアリングというか評価の ことなのですけれども、一応3年ということで今回課題を採択した訳ですけれども、実 際に1年目が終わりましたけれども、今度2年目、3年目というふうになっていった時 に、今回採択したものだけで基本的に進んでいくのかどうかというポリシーにも関わる ことだと思うのですが、私自身は今の真崎委員の御意見とは少し違いまして、採択した 課題を見てみましても、研究計画と実際に要する経費との関係がそんなに明確でないも のもかなりあるのです。それが適切に使われるということを勿論期待する訳ですけれど も、実際に適切に使われるかどうかというのはやはり単年度ごとにヒアリングをして、 研究のプログレスとともに経費の使われ方についてきちんと情報を得て、場合によって は使い方について指導といいますか、アドバイスをしてあげるということは必要かもし れません。 それからまた、ある程度費用をまた別の研究の方に、全部という訳にはいかないでし ょうけれども差し向けるというふうなことも考えてもいいのではないかというふうに思 います。それはただ研究を具体的に進めていただく上で、直接その課題についての研究 の効率性ということだけではなくて、これから先にこういう大型の研究を行う場合に、 どういうふうな経費と研究目的と実際の成果というものが確保されるかということを、 1つのそういう道筋をつくるというふうなことの上にも役に立つのではないかというふ うに思いまして、今まではどちらかというと研究費をもらうこと、あげることについて の審査は非常に厳しかったけれども、一旦もらってしまったらどうやって使って、何が 成果として出てくるかということはそんなに正確に評価されなかったということが今、 問題になっているということの出発点だろうと思います。そういうことを考えますと、 私は単年度ごとの評価というのは、余り研究者を萎縮させるということのないような形 で、しかし適切に使われるのかということを念頭に置いた形の評価というのはやった方 がいいのではないか、ヒアリングはその1つの手段として使えるというふうに考えま す。 ○寺田委員 話が前に行ったり後ろに行ったりして申し訳ないのですけれども、この会 議でやる出来上がった形というのはどういう形を想定しているのか、文書で示すのでし ょうか。これは先端的厚生科学研究だけの話をしているのか、それとも厚生科学全般の 話をしているのかによって文章にする場合も随分違うと思うのです。研究機関の資料と してわざわざ出しておられるので、例えば国立研究試験機関の評価も含めて論議されて います。たまたまこちらにこの前報告された先端的厚生科学研究の話が出ておりますか らそちらに話が動いていますけれども、ここで話すべきなのは厚生科学全般の話ではな いのですか。 もしそうだとしますと、資料2に出ています厚生科学会議での評価についての案を基 にして、科学技術会議で提言されたものと合うか合わないか。それから、例えば行政的 な研究も随分多うございますから、それに対しての評価をどうするかとか、そういうふ うな議論の進め方をしては如何でしょうか。 先端的厚生科学研究のお話がせっかく進んでいますのでそちらに戻りますと、先端的 厚生科学研究に関しましては、私も本質的には3年間で見たらいいと思うのですけれど も、少し不安なところがあるのです。もともと厚生科学とは何たるやというところにな ります。これはなかなか難しいのですけれども、本当にヘルスサイエンスであって、い わゆるパブリック・ヘルスから臨床的なベッド・サイドのサイエンスまで含むという立 場で物事を見ていって、実際にそれはサイエンスとしての研究が成り立っているのかと いうところを検証することが必要です。本来から言うと3年間任してしまってもいいの だけれども、やはり1人の方に1億円差し上げている訳ですから、2年目ぐらいに1回 やっておいた方がいいのではないかなと思います。先端的厚生科学研究は5年ですか。 ○矢崎部会長 3年です。 ○寺田委員 3年ですよね。だから2年目ぐらいに1回やっておいて、そうするとその 評価の結果が先程言われましたその次のプロジェクトを選ぶときの参考になりますね。 そうでないと3年目に評価してこれはだめだということになり、結局3年間全く無駄な お金を使ったことになります。それから国民に対する透明性というのは1つのアカウン タビリティーがありますから、1億の金を預けて3年間研究者に任せるという、本来は そうあるべきだと思うのですけれども、日本はそれほど成熟はしていないのではないか と思うのです。そういう研究者を防衛するためにも、先端的厚生科学研究に関しては2 年目ぐらいに1回やるのがいいのではないかなというのが私の感じです。まず、全体の 議論の進め方、どこへ話を持っていくかというのをまず話をして頂ければと思います。 ○伊藤審議官 それでは私から。これは先端的厚生科学研究のみの評価の在り方ではな くて、厚生省の行う研究全般についての評価の考え方をどうするかということだと思う のです。一つには、科学技術会議の大綱的指針を受けて、それを厚生省の研究に適合さ せた場合に、厚生科学という観点から付け加えたり、ここは余り重要ではないとか、そ ういう作業が必要になってくるのではないかということです。そして、その1つの考え 方の参考として、厚生科学会議の時代に検討したものを、参考までにこういうものを実 は一度検討したことがありますということで御提出した訳です。 従って、対象としては先端的厚生科学研究だけでなく、例えばプロジェクト研究です とか、医薬品機構で行っております保健医療分野の基礎研究など厚生省の行っている、 国費を使って行っている研究全部だと考えていただいていいと思うのです。その他に個 別の研究テーマのみではなく、厚生省の研究所の評価をどうしていくかというテーマに ついても併せて御検討いただきたいということでございます。 ○寺田委員 そうしますと、出来上がった形というのは、いわゆる科学技術会議の指針 というのがございますね。これに付記するような書類を付けたらいいのか、そうではな くて全体これを参考にした、これと同じぐらいのものをここで書けというのか、どうな のでしょう。 ○事務局 まだ出来上がりのイメージは必ずしも明確になっている訳ではございませ ん。例えて申しますと参考資料といたしまして、通産省の技術評価指針というものを一 応お付けいたしておりますけれども、こういうような形で、これはプロジェクト研究と 工業技術院傘下の研究所の評価ということでやり方について明らかにしたものでござい ますので、この程度のイメージをお持ちいただければと考えております。 ○寺田委員 そうしますと、時間の関係とか色々ありますから、ここではこの部会とし ての意見をある程度フリーに話をして、次の会のときには素案をつくってとか、あるい は別の人のそれを基にして素案をつくって持ってきてくださって、それを基にして議論 するという順番になるのですか。それとも、ここの下にサブ委員会までつくってやるの か、どういう経過でこれをいつ頃までにつくるかということを教えていただければと思 います。 ○事務局 出来上がりのイメージは先程事務局からお答えしましたように、一般的な形 で書かせていただきます。ただし、研究の種類によりまして若干特殊な部分があれば、 その部分は特別に付け加えるという格好のものになるのではないかと思っています。 それから、ここですべて細かい点を一々御議論いただくと大変時間も食いますので、 時間の制約もありますので、ここで色々御議論いただきまして、それらを私どもで一応 事務局案としてまとめた形で御提示をしまして、そこで逐条的にこれはいかぬとか、こ のように変えるべきであるというふうな格好にしていただいた方が時間の節約になるの ではなかろうかというふうに考えておるところでございます。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。またワーキング・グループをつくって 原案をつくる時間もありませんので、今、課長からお話しいただきましたように、先生 方に忌憚のない御意見を伺いながら原案をまとめて、また次回先生方にご提示して問題 点があれば御指摘いただく、ということになるかと思います。 今、評価ということでちょっと時間をいただいたのですが、中間評価が目前に控えて いることですので、今までのお話を総括しますと、やはり最初に高久委員がおっしゃら れたように、ある額以上のプロジェクトで、柳澤委員と寺田委員がおっしゃったよう に、成果がどのくらいに上がっているかというよりは、実際に経費がきちんと適正に使 われているかどうかとか、余り研究成果というふうに言いますと研究者が逆に萎縮して しまう可能性もありますので、そういう観点から中間の評価といいますか、非常に今回 は額が大きいものがありますので、それについてはチェックさせて頂くということでし ょうか。 ○高久委員 いわゆる1億円研究というのがありましたね。あれは何人ぐらいでやって いるのですか。その教室だけでやっているのではなくて、グループをつくってやってい るのではないかと思ったのですが。 ○事務局 今回の先端的厚生科学研究分野につきましては、建前といたしまして、特定 の研究者個人が主体となって応募するということで、原則として班構成のものは対象と しないという形になっております。但し、先生御承知のとおり大型の研究内容、全国的 規模の研究が必要なもの等では班研究に類似した形にはなっておりますが、原則として 1か所、1人が応募するという形でございます。 ○寺尾委員 私の意見を言わせていただきます。というのは、研究の評価なのですけれ ども、これは研究期間に非常に依存すると思うのです。今3年間ということだったので すけれども、そうしますと3年間で中間評価するというのは、特にヒアリングのような ことをやるというのはどうかと思うのです。勿論毎年報告書を出さなければいけないと 思うのですけれども。 研究期間が短い研究テーマで一番大事なのは事前評価が一番大事だろうと思うので す。そうしないと、研究のスケールといいましょうか規模が非常に小さくなっていって しまうのではないかなということがありまして、結局評価をやって一番何がマイナスか というと、なるだけ論文が出るような研究だけをやる、つまり研究そのもの全体の本質 から少し外れているようなことをやるというようなことになっていきまして、それで研 究のスケールが小さくなるということが一番よくないことだと思うのです。ですから3 年間ぐらいの研究ですと、やはりこれは事前評価をかっちりやって、勿論事後もやるの でしょうけれども、その中間のことについては勿論ヒアリングをやっても構わないとは 思うのですけれども、すべて機械的にヒアリングをやるというのは、私は必ずしも賛成 出来ないのです。 ですから、それは毎年報告書を出してもらうなり何なりして、3年たったところで事 後評価をして、それを更に続けるというようなことになったとき、先程大石委員が言わ れたように、そこでだめだったら切ってしまうというようなやり方の方がいいのではな いかなと思います。ですから5年の研究期間であれば途中で、3年ぐらいで、1度ヒア リングなり何なりやるのが必要かと思うのですけれども、その期間によって随分違うの だろうと思うのです。 それともう一つは、事前評価と中間評価と事後評価では評価のやり方を違えるべきで はないかなという気がいたします。ですから、機械的に点を付けて点がいいとか悪いと かというのは余りよくない評価のやり方で、事前評価だったら点を付けても構わないと 思うのですけれども、中間あるいは事後で点を付けても余り意味があるとは思わないの です。 ○高久委員 お金の使い方は、我々にはよく分からないのではないでしょうか。事務の 方々はよくお分かりになると思うのですが、僕らが専門家としてやるのは研究の評価で あり、お金の使われ方の評価はなかなか難しいと思います。例えば、申請した高額の機 械を買っているか買っていないかぐらいは分かりますが、消耗品として要求された経費 がどう使われているかというのは、事務の方が見ないと分からないのではないかと思っ ております。 それから、日本の研究の期間が少し短か過ぎるという批判があって、科研費でもこの 頃5年間というのが多くなっています。ですから5年間の課題なら当然3年目ぐらいに 厳重な評価をして、だめならそこで打ち切るべきだと思います。要するに5年間の計画 を3年間でやめさせるぐらいの権限を持たないと評価をする意味がないのではないかと 思います。3年間のものについては、中間評価を一生懸命やっても現実的ではないので はないかという感じがいたします。ですからもしやられるとしても、かなりの高額のも のとか、あるいは本当にテーマ等を考えてフィージブルなのかどうかということに少し 問題がありそうな課題とか、それぐらいに絞られる必要があると思います。実際に3年 間の計画といっても研究が始まるのは大抵遅くなりますし、1年間で成果というのもそ れほど上がるものではないし、やはり二、三の委員の方がおっしゃったように、特定な 課題に限ってやるなら、もう少し研究期間を長くして途中でやめさせるようにした方が 良いのではないかと思います。医薬品機構の場合には5年ぐらいのものが多い。そうす ると3年ぐらいのときにきっちり評価をして、サポートするのはやめるというぐらいの 覚悟でやると中間評価の意味があると思います。3年間の場合には余り一生懸命やって も労多くして功少ないのではないかと思えます。ただ一部には、私も他の分野ですから はっきりは分かりませんけれども、この研究は本当に出来るのかなと思うような高額の 課題がありましたから、そういう課題は2年ぐらいたったときに本当に研究が進んでい るのですかということは聞いてみたい気がします。 ○大石委員 さっきの私の意見に少し補足させていただくのですけれども、今、非常に 評価ばやりで、これは厚生省だけでなくて文部省も通産省も色々やっているのですけれ ども、どうも日本の評価というのは本当の意味の評価というものかどうかということに ついて私は疑問を持っていますし、この成果が期待されるような形では恐らく出てこな いだろうというのが私の個人的な印象です。 理由は、さっきも言いましたように、期間はともあれ中間評価をするとか、それでも いいのですけれども、それが実際に評価するけれども、それにどう実際に処置をするか という点が非常に不明瞭で、今までのやり方でいきますと、一応そういうことはするけ れども何事も起こらない。そこで結果として何が起こるかといいますと、はっきり言い まして、結局こういう研究費を受けている方と、それと評価する、受けている方に一種 の免罪符というか甘えがそこに生じてきてしまうということなのです。 また外国の例を言って申し訳ないですけれども、例えばNIHの場合は、3年の場 合、4年の場合、5年の場合とございますけれども、実際に最初の評価ではきちっと5 年なら5年お金を含めて評価しますけれども、その間には評価は一切ございません。出 すのは毎年1枚、会計の報告とその年に何を論文として出したかということで5年間過 ごす訳でございます。そのときに今度は次に、そこでやめてしまえば話は別ですけれど も、やはりその人の研究者生命が懸かっている場合は、その5年間というのは恐らく日 本と比べて中間報告も何もございませんけれども、その緊張感というか緊迫感というの は相当なものでございまして、やはりそこに計画性なり、3年なり5年なりの与えられ た期間で研究をするという研究者の緊迫感が非常にある訳です。私は別にそれがNIH の成果の原因とは申しませんし、日本は日本の行き方があると思うのですけれども、や はり評価というものが日本では少し形式に流されているのではないかと考えるのです。 何かやればそこでいいのではないかというお互いの甘えがそこに出てくるのを私は非常 に懸念して、さっきそのようなコメントをさせていただいた訳です。 ○真崎委員 日本の評価が甘いということに関連してですけれども、外国の場合は色々 なプロポーズがあったとき、あるいは中間の評価も専門家がやる訳です。先生方も多分 御経験があると思うのですけれども、ある日突然、例えば私のところに送られてくる訳 です。これをどう思うかと。それでレビューを書く訳です。そういう専門家がやるとい うところが違う訳です。ところがこれは専門家以外の方を加えるというところなので す。そうすると、専門家以外の人が進んでいるプロジェクトに対して評価をするという のは非常にきついことなのです。ですから、それが外国と逆の方向に行っているので、 どういう意味かなというふうに私は今、考えているところなのです。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。前の高久委員のつくられた案の中に、 中間評価としては2年以上にわたる研究継続の意義の確認とともに、途中年における研 究の軌道修正をお願いするということがあります。それと、1年目は書面評価を行っ て、2年目からは研究発表会などの研究者からの発表、ヒアリングを踏まえて評価を実 施すると。 先程の評価のやりっぱなしはいかがなものかということに関しては、研究企画委員会 は必要に応じて研究計画の変更、研究費の増減、研究範囲の変更、研究の中止などを指 示するということが書いてあります。大石委員のおっしゃるアメリカのシステムは事前 評価がものすごく厳しくて、事前評価にサイト・ビジットも含んだ大変な、時々私の方 にもこんなに厚い書類が、大型プロジェクトでこれを採決していいかといった照会が突 然ヨーロッパから来たりしますけれども、そういう意味で、我が国の事前評価というの が少し危ういところなきにしもあらずなので、私としては中間評価というのである程 度、さっき細かいようなお話になったかもしれませんけれども、予算がしっかり使われ ているかどうかというのは要するに目的に沿って使われているかということであって、 細々とした数字の上でのチェックではなくて、研究がその方向にうまく動いているかど うかということであります。成果をここまで上げなければいかがなものかということで はなくて、そういう意味で、やはりある程度の額の大きいものについてはしっかり評価 していった方が、事後評価するときには大変楽ではないかというふうに感じます。研究 の内容、先程おっしゃられた期間によってもまた性格が違いますので、押しなべて全部 ということではありません。 それで、今お話があったのは、先程の先端的厚生科学分野、この間の研究企画部会で 決めたものに対してですけれども、厚生科学全体の評価についてはまた違った評価の視 点で文章を作成しないといけないと思いますけれども、とりあえずはそういうような方 向で、評価に関してはまとめていってよろしいでしょうか。 ○柴田委員 その点は全く異議がありません。当然途中でやった方がいいと思います。 さっきも一番最初に出した疑問で、今度厚生科学全般についてということであれば少 しあれなのですけれども、でもやはり基本的なことは同じだと思うので、評価というの はだれがするかというのが最大の問題だと思うのです。だれがするかによって評価とい うのは全く変わってもくるし、その意義もあったりなかったりするのだと思うのです。 そういうことから言うと、一般論として書かれる部分は科学技術会議の抽象論がよく出 来ている訳ですからいいのだと思うのです。そうするとそれに加えるものといったら、 やはり厚生科学ということであれば、多少厚生科学の特徴である国民の健康とか、衛生 とか、そういうことに関係する社会性とか、そういうものが加味されてきた研究だと思 うのです。そのときに一番の特徴の1つは、行政評価委員が入ってきているということ もあるのだろうと思うのです。だから後のところで一般論に付け加える部分としては、 社会性とか、そういうことを評価するための評価委員のつくり方、評価委員の構成の仕 方だろうと思います。 もう一つは先程の疑問で、やはり事前評価と中間評価、事後評価というのは全く同じ 人ではいけないという気がしてしようがないのです。それはとにかくいいかげんな研究 を選んだ場合には、それがだめだった場合には選んだ人も問われる訳です。当然選んだ 人も問われるという部分が入っていないといけない。そうかといって全く別にすること は現実問題としては出来ないということはよく分かるので、何らかの形で中間評価、事 後評価については事前評価以外の委員を一定の比率で加えるというような具体案を厚生 科学の特徴として加えられると、多分ここでつくられるものが多少意義があり、具体性 を持ってくるのではないかと考えます。評価のお話というのは具体的にならないとかな り意味が薄いと私は思っているのです。評価の議論というのは抽象論で幾らしていても だめで、やはり誰がするかということをかなり明確に出していかないと効果がないとい うふうに思うので、私の意見としてはそういう事前の評価委員にプラス一定の比率で別 の人を加えるというようなことを総論というのでしょうか、全体の案に出来ないかなと いうのが私の意見として言わせていただきます。 ○矢崎部会長 ありがとうございました。そういうことも考慮してまいりたいと思いま す。 もとに戻りまして、厚生科学としての評価という場合に、今、柴田委員がおっし ゃられた厚生省としての切り口をどういうふうに生かすかというのは、私はむしろ事後 評価とか中間評価よりも事前評価が非常に重要なポイントではないかと思うのです。そ れで、やはり事前評価に厚生科学としての研究の在り方というものをそこで議論してい ただいて、1つのテーマといいますか、研究の方向性というものを提示していただいた 後で、実際に研究が走り出しますと社会性、あるいは厚生科学からのという、そういう テーマで動いていますから、そのテーマのとおりにやってくださいよという評価以外に はなかなか難しいと思うのです。 ですから、厚生科学としての研究推進には是非ともそういう視野に立った先生方の事 前評価へのガイドラインみたいなものをつくることが、柴田委員のおっしゃる意味では 非常に重要なところではないかなというふうに私は感じたのですけれども。 ○柴田委員 事後の方にもそのことは大事なのではないでしょうか。むしろその方向と 違う方向へ、社会性ないしはそういう目的から離れてどんどん趣味的な研究に入ってい ってしまうようなケースに対して、ちょっと待てということを途中で言うようなケース が巨額なお金を使っているだけにあるのではないかと思います。そういう意味では、行 政評価委員というのが中間や事後の評価委員にもやはり入っていた方がいいのではない かというふうに私は思うのです。 ○矢崎部会長 それは勿論柴田委員のおっしゃるとおりだと思います。 ○寺田委員 柴田委員が言われるのは今までの厚生省が抱えてきた問題で、多分研究者 をプロテクトするために行政というのか素人の人も入った方がいいという御意見だろう と思います。一般の国民の方の代表的な方が入っても大きなお金だったら構わないと思 うのです。大石委員がおっしゃったように、どこでも評価・評価と唱えていますが、大 体サイエンスが評価出来るはずがないのです。サイエンスは新しいことをつくる訳です から、新しいことは分からないことですから、本当のいいサイエンスは評価出来るはず がないのです。ですけれどもを国民の金を使って研究をしているわけですから、やはり 評価はしなくてはいけません。評価してお前はこっちの方向に行けとか、あっちに行け というのは本当は出来ないということをよく意識しておくことが大切であると思いま す。 ですから、矢崎委員長がおっしゃったように、事前評価をきちっとやって、そこでそ の後、本来任せるべきものだと思うのですけれども、1億円もの国民の税金を1人が例 えば使うとなると、残念ながら研究者を守るためにも評価委員会が必要であると思いま す。私は常にそう思っているのです。だからそういう立場の方で広い心を持った方がそ ういうところに入ってくるというのはいいのですけれども、いかにも自分が研究を支配 出来るというような態度で入ってくる方は、一般論としては避けたいと思っておりま す。 ○柴田委員 私は一般の国民代表を入れろと言っているのではないのです。むしろ専門 家でいいのです。その問題についての専門家が、そのテーマの専門家を全部事前評価の 評価委員にしてしまった場合には、多分さっき言ったような評価者が、つまりその研究 を選んだこと自身が問われるという部分についてチェックが働かなくなってしまわない かという心配をしているだけなので、一般国民代表的なものまで入れる必要があると思 うのは、本当に先端医療の、この前議論になったようなクローンだとか、そういう非常 に人間の尊厳に関わるような研究みたいなものについては医療の専門家ではない人が入 るべきだとは思いますけれども、この厚生科学の研究テーマはもっともっと普遍的なも のがいっぱいありますし、やはり専門家でないと評価は少し難しいと思うのです。だか ら専門家という前提で私はお話ししているのですけれども、事前評価に参加した専門家 だけで後の事後評価もというのではなくてということで、別の専門家、それに参加しな かった専門家が入った方がいいという意見なので、全部に素人を入れろという素人論で はないのです。 ○寺田委員 例えばがん克服の場合は、企画作業部会があって、こちらに評価作業部会 があって、その上を両方ブリッジする親委員会がある企画評価委員会が全体を見ている 訳です。だから企画をする人が評価もするというのはおかしいので、本来から言うと、 言われるように評価されるのは企画そのものが評価される訳ですから、企画をしたこの 人を選んだという、この計画を選んだという人も評価の対象になるので、企画作業部会 の人は原則としては評価作業部会からアウトになります。かなり研究の内容を知ってい る人が企画作業部会にも入ってくることになります。本質的には企画と評価というのは 別個だというふうに思っています。ただ、そうすると人数が多くなりまして、かなり 色々なところでオーバーラップをしなければいけないのではないかなと考えます。私は 仕事の内容によりましては、厚生科学、特にパブリック・ヘルス的なものはかなり一般 の、一般といったらある種の不純な政治的目的を持っている方を言うのではないのです けれども、全然専門以外の方が5人のうち1人ぐらい入られるのは悪くないと思ってい ます。研究の内容によって違うと思いますし、もしくは文部省的なもので、非常にアカ デミックにしていくような研究になりますと、これは本当に専門家でないといけないと 思うのですけれども、かなりパブリック・ヘルスの要素が入ってくる場合は専門外の人 が入ってもらったら困るというのではなくて、場合によっては積極的に入ってもらうの もいいのではないかと思っています。 ○柴田委員 そういう意味なら大賛成です。 ○寺尾委員 評価で非常に重要なことは、大綱的指針の第3章に○で始まる文章が3つ ありますけれども、最後に書いてあるところだろうと思うのです。特に後段の方ですけ れども、「優れている研究開発を伸ばし、研究者を励まし、適切な助言を与える」とあ ります。これが多分評価の一番重要な精神だと思うのです。ですからただ単にこの研究 はよく進んでいるとか、だめであるとか、そういう評価ではなくて、だめだったらどう やったらよくなるかというような視点でもって常に見るということが大事で、これは非 常に簡単に書いてありますけれども、非常に重要なことが書いてあるのではないかなと 私は思うのです。 ○矢崎部会長 おっしゃるとおりで、研究活動を活性化し、すぐれた成果を上げていく ための研究評価ということでありますので、そういう対応で今後進めなければならない と思います。しかし、基本精神はそうですけれども、既に何回も申し上げておりますよ うに、今回非常に大型のプロジェクトがありますので、それについて研究の方向性と か、そういうものを考えていただくということもあり得るのではないかということでは ないかと思います。 ○柳澤委員 簡単に申し上げたいと思いますけれども、厚生科学研究全般についての評 価に関して、先程審議官から厚生省の研究所の評価のことも含まれるというふうなこと をおっしゃったことに関して申し上げたいのですけれども、やはり厚生省の研究ですか ら、大きく分けて政策的な研究と基礎的な研究というのがあると思うのです。それらは 内容も違いますし、評価の物差しが違いますし、研究の期間が違いますし、是非こうい った研究の在り方というか内容によって評価の方法を適切に提案するようにしていただ きたいというふうに思うのです。 例えば、政策的研究の場合には、必ずやらなければいけない研究ですから、ある年限 5年なら5年で達成出来なければ研究者を変えて同じテーマで続けるというふうな性格 のものであって、それに対して基礎的な研究というのは、どちらかというと研究、自由 であるというふうなことで成果が出れば非常にいいというふうな立場だと思いますか ら、おのずから評価の方法など違うと思うのです。 それに関してもう一つだけ申し上げたいのは、そういう政策的研究というのは色々な 国立試験研究所が行うべきだという位置づけをするのか、そうではなくてある程度の期 間を見て、こういった厚生科学としての研究企画部会等で検討するのか、厚生省のお考 えも伺いたいのですけれども、やはりこういった政策的研究というものをもっと具体的 に研究企画として練って、それでやっていくということが必要ではないかと思うので す。先端的厚生科学研究のときには確かに大事なテーマは出ているのですけれども、ど ちらかというと受け身ですよね。テーマだけ出して、それにあてはまるような研究者の 研究計画を出してもらってよいものから選ぶ。やはり厚生省のそういう政策的研究とい うのは、もっと本当に緊急の課題から長期的な課題までありますし、長期縦断的な研究 というのはそんなにすぐに成果は出なくてもどうしても必要なものというのはあると思 うのです。その辺のことは評価とはまたもっと前の段階ですけれども、是非併せてお考 えいただきたいというふうに思います。 ○矢崎部会長 それは第1回目の研究企画部会で寺田委員も御発言になられた一番重要 なポイントだと思います。今回はこういう研究応募をお願いするということになりまし たけれども、来年度はもう少し厚生省の今、政策研究とおっしゃられましたけれども、 そういう先程のパブリック・ヘルスサイエンスとしての今、何が重要な課題なのである かということを十分議論した上で、予算の関係であと御説明いただくかと思いますけれ ども、困難な場面にあたるかもしれません。何とかそういうプロジェクト研究というも のをやっていかないといけないのではないかというふうに思うのです。 例えば、先程の通産省やほかの省庁のものは、ある程度プロジェクト研究でうまく走 れば民間の企業がそれを引き継いでどんどんやってくれます。このパブリック・ヘルス サイエンスの方はとてもそういうことが望めませんので、そういう意味ではやはり厚生 省の研究としてその時々の状況に合った研究を確実に、本当に総力を挙げて推進すると いう体制も整えていかないといけないというふうに思う訳で、柳澤委員のおっしゃられ ることも十分今後は視野に入れて厚生科学としてやっていきたいと思っていますし、事 務局の方も全くそういう御意見でいらっしゃると思いますので、よろしくお願いしたい と思います。 国立試験研究機関その他の評価というのは、それについても具体的に何か文章にする 予定なのでしょうか。 ○事務局 大綱的指針には先程も御説明ありましたように3つの分野を含んでおりまし て、その中に研究を実施する試験研究機関、厚生省ですと国立試験研究所やナショナ ル・センター等が対象に入ってくると考えます。従前厚生科学会議におきまして御検討 いただいたものをベースにしまして、所内評価マニュアルについては既に公表いたしま して、各研究機関でこれを基にしたものをそれぞれ作成、実行していただいているとこ ろであります。これはもう既に動いているところですけれども、やはり大綱的指針に合 わせて厚生省版のものを整備していくという点から、事務局といたしましては、各研究 機関についてもこの国立試験研究機関等の評価マニュアルから更に発展させまして評価 指針を整備していただきたいというふうに考えております。 ○矢崎部会長 それでは、評価についても文章化した原案をつくって、また先生方に見 ていただくということになるかと思います。素案がございますので、大綱に沿って整合 性を照らし合わせて案をつくらせていただきたいと思います。何かそれについて先生方 でこの際こういう文章を付け加えるようにとか、あるいはこういうポイントを指摘すべ きであるとかいう御意見がありましたら、この機会に拝聴したいと思います。 ○事務局 この場で御意見を急にお願いしておりますので難しいと思いますので、もし お気づきの点が後ほど色々ありましたら、事務局にファックスなり電話なりでお寄せい ただければ、それを踏まえまして次回の事務局案に反映させていただきたいというふう に考えておりますので、宜しくお願いいたします。 ○寺尾委員 国立試験研究機関の評価なのですけれども、1つ難しい点は、事前評価と いうのはほとんど現実の問題として予算の関係で出来ないのです。ですから、そこをど うしたらいいかという1点が残っています。 それから、国立試験研究機関は私どものように行政的な必要性から出てくる試験研究 と、基礎的な研究という2つの二面作戦的な方向で行っている訳ですけれども、これは 評価基準が全然違うと思うのです。その評価基準をどういうふうに設定したらいいのか という問題がありまして、これは非常に難しい問題で、日本でも昭和30年代ぐらいから 延々とやっていますけれども、いい研究評価の基準というのは出来ていないのではない かなという気がしまして、これをどうしたらいいかなという問題があるのです。 ですから、その辺かなり難しい問題がありますけれども、何かやらない訳にいかない ということで今までも数年間やってきております。私どもの評価委員会は全員で9人な のですけれども、5人が外部の方で内部が4人ということで、意見を言うのは外の人だ けということでやってきておりまして、色々御意見いただくのですけれども、我々の研 究所の努力だけで対応するものと、これは全く対応がつかない、厚生省がといいましょ うか、厚生科学課で考えてもらわないと出来ないようなことまで色々出てきまして、そ ういうところをどうしたらいいかという問題もまた1つあるのです。これは今後の問題 としてまた色々御相談申し上げたいと思いますけれども、よろしくお願いいたします。 ○伊藤審議官 まさに厚生科学課で考えなければいけないこと、それはきちっと対応し ていくということが必要ではないかなと思うのです。というのは、今、私の認識では、 それぞれ試験研究機関が内部的にやっていただいている評価というのは、翌年度の予算 なり、人事のところはなかなか非常に難しい問題がありますが、研究所の人事なり組織 なりにつながっていくようなシステムになっていないのです。ですから、基本は厚生省 附属の研究所がその設置目的に応じてその仕事をきちっとやれるような体制なり、組織 なり、人事なり、それから実際政策的な目的に応じて担当した研究成果なり、外部への 研究成果の還元なり、そういうものを微に入り細に入りというよりは、そういう大きな 設置目的にかなった体制になっているか、どこに問題点があるか。それを毎年やるとい うのはなかなか大変でしょうから、10幾つも機関がありますから、それが予算なり人事 なりに反映してくる、そういう仕組みをつくるということがねらいではないかなと思う のです。また色々後程御議論いただきたいと思います。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。私どもの大学では附属研究所などが設 立目的に合った活動を行っているかどうかという厳しい評価を、それには外国人を含ん だ評価をして、そういうシステムをつくって一つ一つの附属研究所の評価を行っていま すので、あるいはそういう方向に動くのかとも思います。 その他では、また評価に戻ってしまいますが、ここの意見の中にありました専門家評 価委員と行政評価委員の関係についてでございます。この研究企画部会では両方の視点 からの評価を座標軸を変えて二次元でこの評価をするということで進めてまいりまし て、勿論研究ですからある程度の研究遂行能力というものが最低限必要であります。で すから行政的な目的だけではなかなか出来ないという部分もあったかと思いますけれど も、今回は厚生科学研究ということで目的その他が十分応募する方もある程度理解して いただいたので、両者の評価の余りにも大きな乖離というものは専門委員会、あるいは 評価委員会で議論にはならなかったので、これはある程度この研究の方針の立て方その ものに理解が得られてうまくファンクションしたというふうに理解されます。今後この 専門家委員と行政委員との評価の関係についてはそういうような対応で進めていかさせ ていただいてよろしいでしょうか。どちらを大事にするかということではなくて、違っ た座標で評価すると。そのときの社会的な情勢とかパブリック・ヘルスからの重要点と いうことで、ある程度そういう座標軸の原点が少しずれることもあり得るかと思います けれども、そういうことでやらせていただきたいと考えます。 それから評価のポイントとして先程最初の方で申し上げましたが、なるべく国民に研 究の推移を知らしめるということで公開の成果を発表するような機会を出来るだけつく るようにということを研究者の方々に御協力していただくという意味でも、この研究評 価の中に大きなポイントとして、やはり重要なことだと思いますので入れさせていただ きたいと思っております。 先程前向きの評価というお話をいただきましたけれども、しかし実際に評価するとき は厳しく評価していくことが本筋だと思いますので、その場合には、やはり非公開にな らざるを得ないのではないかと思います。パテントの問題もありますので本当の評価を するときには非公開が原則になるかと思いますけれども、その点についても御了承いた だければ大変ありがたいと思います。 その他何か先生方ございますでしょうか。もしなければ、今までの御意見を踏まえま して、事務局の方で厚生科学研究にかかわる全体的な評価の在り方についての原案を作 成していただきまして、その作成の過程においては先生方からどうぞインフォメーショ ンを事務局の方に入れていただき、私の方も総括的に事務局の御相談に乗って何とか原 案を作成しまして、次回の研究企画部会で御議論いただきたいというふうにしたいと思 いますけれども、それでよろしいでしょうか。 ○寺田委員 文章をつくるときに、厚生科学がうまくいくもいかないも、すべて研究者 というか人ですから、文章に書いていただくときに、例えば行政的と言うか曖昧なこと で訳の分からないところで研究申請がはねられるとか、変な圧力が研究に掛かってくる のではないかというふうな言葉は注意して書かれた方が本当は、やはりいい人を集める ことが出来ると思います。厚生科学の研究がうまく出来るかどうか将来にわたって1つ の大きな柱が出来るかどうかの境目です。学者というのは一般的に御存じのように非常 にわがままですから、学問以外のことで介入されると嫌だとか、勝手なことを言う人が 割合ありますので、行政的というのは非常に積極的でいいことだというふうな印象を与 えるような書き方をしていただければと思います。そのとおりなのですから。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。そうしますと、少しキーワードを考え ながら進めさせていただきたいと思います。 ○高久委員 例えば、行政的というよりも厚生科学的見地とかいうふうにされた方が。 ○矢崎部会長 そうですね。厚生科学研究というのは先程寺田委員がおっしゃられたパ ブリック・ヘルスサイエンスですから、サイエンスの一分野ですので、先生方の御意見 に沿った方針でまとめていきたいと思います。それでは、大変な事業になるかと思いま すけれども、事務局の方でよろしくお願いいたします。 それでは、時間が迫ってまいりましたので、議題の2の平成10年度の厚生科学研究費 補助金の概要についてよろしくお願いいたします。 ○事務局 資料4「平成10年度科学技術関係予算概算要求主要事項」を用意してござい ます。現在これは平成10年度政府予算編成に向けまして、厚生省から要求中のものとい うことでございます。 ご覧いただきますように、一般的に国家財政全般に財政再建期間中ということで、昨 年のものに比べまして増加等が厳に抑制されておるということでありまして総合計915 億円に対しまして、10年度要求923億円という微増の形での要求となっております。 一般会計の科学技術振興費のうち、厚生科学研究費補助金が一番主要な部分でござい ますけれども、ここでは平成9年度から創設いたしました先端的厚生科学研究分野で先 般採択課題を選んでいただきましたもの、いわゆる6本柱のものについて、ここでは前 年増もしくは微増の形ですが、1番のヒトゲノム遺伝子治療研究につきまして、従来の 形の研究から各省連携した形でヒトゲノムにおきます遺伝子の機能解析を含めた形で乗 り出すということで科学技術庁を中心にしました5省庁連携の形で10億余りの要求増を いたしております。その他のものにつきまして、若干その範囲の見直し等によりまして 微増を図ったものがございます。 健康安全確保総合研究分野、これは従前になかったものでございます。従前の色々な 細かい政策的な研究等を全部見直しまして、この5本の柱に集約いたしております。し かしながら全くの新規要求ではありませんで、従前ありましたものを整理統合して要求 ということですので、金額的には若干の増の範囲にとどまっております。生活安全総合 研究では、生活衛生局所管の食品衛生、あるいは環境科学問題、いわゆるレギュラリト リー・サイエンスということで先般の御議論で指摘いただきましたものを主にカバーす る形で要求しているものでございます。この中には現在話題になっておりますダイオキ シン、あるいは環境ホルモンと言われます内分泌攪乱物質対策、あるいは水道等におき ます原虫問題といった新しい形の生活を脅かす問題に取り組むというものをこの柱に掲 げております。 医薬安全総合研究では、レギュラトリー・サイエンスのもう一本の分野、医療・医薬 品関係におきます安全性確保ということをここに集約して要求しております。 それから健康科学総合研究では、いわゆる疾病の中でも感染症関係は既に今年の先端 的厚生科学研究で対処いたしましたが、それ以外の疾病、特に生活習慣病と呼ばれます 分野、あるいはストレス等の影響によります疾病と健康の中間に宙ぶらりんでいるいわ ゆる半健康状態といったものに積極的に取組をするということで、健康科学ということ で集約いたしております。 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究では、医薬品等の安全対策につきましては医薬 安全総合研究で取り上げたところですが、逆に新しい医薬品を創造する、あるいはそれ を支える分野ということで従前のものを統合いたしまして、ここに開発型の創薬等ヒ ューマンサイエンス総合研究というものを開いております。 最後に、こういった技術に対する評価、特に医療分野のシステム全体としての評価等 を推進していくということで、医療技術評価総合研究といった形で取りまとめました。 以上のような5本と、今年度から創設いたしました6本、計11本の大型研究によりまし て、厚生省の中の色々な研究については何らかの大型研究に分類出来るようにというふ うに集約に努めているところでございます。 なお、総合的プロジェクト研究というふうに簡単に表記しておりますが、この中には がんに関わりますがん克服10か年、あるいは長寿科学総合戦略、それとともに同様な国 家的な計画に基づく研究の推進ということで、障害者に関わる研究、少子・高齢の少子 の分野、子ども・家庭に関する研究といったものを国家的プランに基づく研究分野とい うことで4分野を総合的プロジェクト研究分野に集約しております。 このような形で集約する一方、科学試験研究補助金等におきます特定疾患、あるいは 小児慢性疾患に関するような大型研究につきましては、これを厳に見直す形で縮減を図 っているところでございます。 試験研究機関、あるいは医薬品副作用被害・研究振興調査機構、御議論の中で出てま いりました機構におきます保健医療分野の基礎研究につきましては、従来のその他部分 からこの科学技術振興費に区分し直しまして、37億円という形の増額要求を行っており ます。 以上のようなところが特色でございまして、これらの要求につきましては、現在大蔵 省と官邸等を含めまして調整中でございますが、この具体的な内容につきまして、原則 として公募によって利用していくというような科学技術基本計画の指示事項に基づきま して、引き続き今後のこの研究企画部会におきまして、どのようなものを公募課題とし て掲げていくかということについて御議論のほどをお願いしたいというふうに考えてお ります。時間的に本日十分な御議論いただく時間がないと思いますので、こういったよ うなものとともに今後事務局で順次資料を整備いたしまして、御提供してまいりたいと いうふうに考えております。よろしくお願いいたします。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。今の話のような概算要求で、これは全 部認められた訳ですか。 ○事務局 要求でございます。 ○矢崎部会長 でございますので、当部会で今後も次年度の平成10年度課題方針の決定 に向けてまたこの会で、今お話しのように厚生科学の在り方を含めて事前評価の一部と して課題の方針の決定の議論をいただくことになるかと思いますので、何とぞよろしく お願いいたします。何か今日の御議論を踏まえて最後にどなたか御意見ございませんで しょうか。 ○寺田委員 予算のことで質問よろしいでしょうか。結局先端的厚生科学研究費はヒト ゲノムを除いて新しいプロジェクトの公募はしないということになりますか。要するに 予算が増えないので、今のをランニングしているから、だから今やっている評価を厳し くして半分ぐらいにお金を減らさない限り公募出来ないということですね。 ○事務局 この部分につきましては、理屈の上では3年間担保ということにいたします と、新規増以外の部分は原則として重点研究として採用出来ないということになります が、現実には1年限りというふうに認められた重点研究が幾つかあるというようなこと でございます。その他、奨励研究が非常に多額にわたる部分がございますので、その部 分を重点研究に回すとかということで、それぞれ詳細に検討中でございますけれども、 全くゼロではないということでございまして、それぞれどのような形で公募させていた だくか、その辺はまたこの部会にお諮りいたします。 今年みたいな非常に幅広の形で公募いたしますと殺到してきました場合に非常に困る というようなこともございますので、来年度の公募につきましては、ヒトゲノム遺伝子 治療分野を除きましては若干テーマを絞らせていただかないといけないのかなという感 じを持っております。その辺につきましては、またこの部会に原案を上げまして、十分 御審議いただきたいと考えているところでございます。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。寺田委員それでよろしいでしょうか。 また十分に御議論の程をよろしくお願いしたいと思います。その他今の予算を含めて御 質問ございませんでしょうか。 それでは、そろそろ時間が参りましたので、この会議をそろそろ終了させていただき たいと思います。それでは、次回の本部会の日程等につきましては、また事務局の方で 調整させていただきたいと思いますのでよろしくお願いします。 なお、本日の議事録及び提出いただきました資料は公開いたしますので、十分その点 御承知の程をお願い申し上げます。 ○事務局 ブルーのファイルでございますが、それぞれ委員のお名前を付してございま す。これは次回以降も随時議論の中で参照していっていただかなければいけないという ことになろうかと思いますので、事務局でお預かりいたします。また次回以降自ら持っ てきていただける方は、今日お持ち帰りいただいても結構でございます。 それから、机の上に今後の先生方の御予定を確認させていただく為の資料を御用意い たしておりますので、今日予定が分かっておられる方は御記入の上残しておいていただ きたいと思います。或いは後程お帰りになってから、事務局の方に予定表をお送りいた だきたいと思います。 それから議論の中でお願いいたしました評価の在り方につきまして色々御意見がおあ りになる先生方につきましては、とりあえず来週中ということを目途に、事務局にどう いう形でも結構でございます。電話なりファックスなりということでお送りいただいて も結構でございますので、御意見の提出につきまして、よろしくお願いしたいというふ うに思います。 以上でございます。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。それでは原案をつくりますので、是非 先生方から今日の御議論に関係なくても、何かお気づきの点があったら忌憚のない御意 見を事務局の方にお寄せいただければ大変ありがたく思います。 本日は長時間にわたって貴重な御意見をいただきまして、どうもありがとうございま した。今後ともよろしくお願いいたします。これをもちまして、閉会といたします。  問い合わせ先 厚生省大臣官房厚生科学課  担 当 岡本(内3806)  電 話(代)03-3503-1711 (直)03-3595-2171