97/09/29 第7回公衆衛生審議会臓器移植専門委員会議事録 第7回公衆衛生審議会成人病難病対策部会 臓器移植専門委員会議事録 平成9年9月29日(月) 16:00〜18:30 於:新霞が関ビル 5階 全社協 第3〜5会議室 出席者  ○黒川  清  井形 昭弘  大島 伸一  大塚 敏文  桐野 高明   小柳  仁  座間 幸子  田中 紘一  谷川 久一  野本 亀久雄  藤村 重文  町野  朔  眞鍋 禮三  森岡 恭彦  矢崎 義雄   山谷 えり子 *金澤 康徳   (○:委員長 *:オブザーバー 順不同・敬称略) 議事次第 1 開会 2 議題 (1)膵臓移植レシピエント選択基準(案)等について (2)肺移植レシピエント選択基準(案)等について (3)小腸移植レシピエント選択基準(案)等について (4)小児腎移植レシピエント選択基準(案)等について (5)在日米軍基地と臓器移植の問題について (6)その他 3 閉会 ○成瀬補佐 まだ、二、三の先生がお見えになっておりませんが、間もなくお見えと思います。 定刻になりましたので、ただいまより、第7回公衆衛生審議会成人病難病対策部会臓 器移植専門委員会を開催いたします。  本日は、お忙しい中、ご出席いただきまして、大変ありがとうございます。  最初に、本日の委員の出欠の状況でございますが、大久保先生が都合により欠席とい うご連絡がありましたので、本日は、17名の委員のうち16名の委員の先生方が出席 する予定でございます。ご報告といたします。  また、本日、膵臓移植レシピエント選択基準を策定する作業班の座長でいらっしゃい ます、金澤、自治医科大学附属大宮医療センター長にオブザーバーとして出席をいただ いております。よろしくお願いいたします。  では、会議を始める前に資料の確認をさせていただきます。  お手元の資料でございますけれども、最初に会議の次第でございます。その後ろの ページが名簿でございます。その次が配置図になっております。その次が、委員会の資 料一覧表でございます。次が、資料ナンバー1、ドナー適応基準及びレシピエント選択 基準でございます。次が資料2、在日米軍基地と臓器移植の問題についてでございま す。資料3、厚生大臣に寄せられた要望書でございます。それと、参考資料といたしま しまして、「臓器の移植に関する法律」の運用に関する指針(ガイドライン)(案)で ございます。  先生方、おそろいでございましょうか。何か途中不備がございましたら、事務局のほ うへお申しつけいただきたいと思います。  それでは、黒川委員長、よろしくお願いいたします。 ○黒川委員長  それでは、これから、第7回だったと思いますが、専門委員会を開催させていただき たいと思いますが、その前に、前回からちょっと時間がたっておりますので、いろいろ とこれに関係あるいろいろな会議が開かれたと思いますので、そのへんをまとめて事務 局のほうから先生方に報告していただきたいと思います。 ○貝谷室長  お手元の資料、資料1という厚い冊子の2ページのところに、ドナーの適応基準、レ シピエントの選択基準の策定に係る各作業班の検討経過という1枚紙が付いてございま す。  前回、この委員会、9月5日ということでございまして、それ以降、そこに書いてい ますような膵臓、小腸、肺、それぞれの作業班の検討の会議が開催されております。  また、ここには書いてございませんが、先生方に7月、8月とご議論、ご検討をいた だきました厚生省令につきまして、8月の29日に正式に厚生大臣のほうから公衆衛生 審議会のほうに諮問をいたしました。そして、9月の8日になりますが、前回の会合の あとでございますけれども、9月の8日に公衆衛生審議会のほうから厚生大臣あてに、 諮問のとおり了承するという内容の答申があったところでございますので、ご報告いた します。以上でございます。 ○黒川委員長  どうもありがとうございました。何かご質問その他ございませんでしょうか。よろし いですね。  それでは、議題に入りたいと思います。これが10月16日からということになりま すと、いろいろな、今度、臓器移植で対象となる臓器が心臓と肝臓以外にもありますの で、そのへんのレシピエントの選択基準について、今あったように幾つかの会議を設け させていただいたところでございますので、それについて、ここに、今日の議題にあり ますように、それぞれのレシピエント選択基準の案についてご報告いただいて、それに ついてご審議いただきたいというふうに思います。  それでは、きょうは、作業班、膵臓ですが、金澤先生においでいただいておりますの で、金澤先生からご説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○金澤先生  膵臓移植に関する作業班からご報告を申し上げます。  作業班は、野本亀久雄、九大教授の総括のもとに、5ページにございますようなメン バーで議論を進めました。  9月の5日及び9月の24日、2回開きまして、それぞれドナー適応基準及びレシピ エント選択基準を議論しております。  議論の中心は、他の臓器との整合性、それから臓器を配分するときの公平性及び移植 臓器の生着率の現状を考慮いたしましたものでございます。  まず、膵臓移植ドナー適応基準の案に関しましては、事務局のほうから読み上げてい ただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○重藤補佐  それでは、事務局より、膵臓移植ドナー適応基準(案)につきまして読み上げさせて いただきます。3ページでございます。 1 以下の疾患又は状態のないこととする (1)全身性、活動性感染症 (2)HIV抗体、HTLV−1抗体、HBs抗原、HCV抗体陽性 (3)悪性腫瘍(原発性脳腫瘍及び治癒したと考えられるものを除く。) (4)細菌感染を伴った腹部外傷 (5)膵の機能的あるいは器質的障害のため移植に適さないと考えられるもの 2 糖尿病の既往がないこと 3 年齢:60歳以下が望ましい  以上でございます。 ○金澤先生  ありがとうございました。ちょっと解説を加えさせていただきますと、まず、1番の 1〜5までは特に議論がないだろうと思います。  2番の糖尿病の既往がないことというのは、これはなかなか難しい問題でございます が、ドナーの血糖値では少なくとも明らかにされないということが皆さんの一致した意 見でございまして、これはご家族の方から既往を伺うということに尽きるのではないか というふうに思っております。  それから、年齢を60歳以下になぜしたかということに関しましては、これは必ずし も科学的な根拠があるわけではございませんが、すなわち従来、内分泌組織に関しまし ては、いろいろな病理解剖組織の定量的検索では少なくとも70代まではあまりアイレ ットの数、ボリューム、その他に関しまして変化がないというデータが出ております が、60を過ぎますと膵にファイブローシスなどが起こってまいりますので、やはり 60程度が望ましいのではないか。じゃあ、61でだめかということは、しかしながら そういうことはないということが班員の中での議論の結果でございました。そこらへん をご斟酌いただきまして基準と考えていただければ幸いでございます。 ○黒川委員長  これについて、まず、ご質問、ご討議いただけましょうか。この背景につきまして は、実は、臓器移植の準備というわけではありませんが、厚生省の班会議、研究班があ りまして、それでは膵腎同時移植あるいは膵臓に関しては、この適応について、レシピ エント、ドナーの適応についてかなりディスカッションは、これも金澤先生が班長でや っていただいたわけですが、かなりの議論の積み重ねが従来あったということを申し添 えさせていただきたいと思います。 ○金澤先生  ありがとうございます。そのとおりでございます。 ○黒川委員長  何か。あまりないと、ちょっと拍子抜けしちゃいますけれども。どうぞ、矢崎委員。 ○矢崎委員  糖尿病の既往がないことですけれども、いわゆる膵臓自体には異常がなくて、二次性 の糖尿病というのがございますですね。そういう、例えばインスリン抵抗性の上昇で、 インスリンの分泌レベルがむしろ向上しているものも、やはりそれは将来はベータ細胞 として機能は低下するというふうに考えておられるのでしょうか。 ○金澤先生  二次性の糖尿病の場合も、これは膵の状態を見てということでございまして、決して これは二次性の糖尿病といいますか、例えばクッシングとか、そういうふうな疾患の方 の膵が果たして不適当であるかということに関しましては、現状では少なくともそうい うことはあまりないであろうというふうに考えております。  しかしながら、二次性の糖尿病といっても、例えば膵炎の糖尿病なんかはもちろん除 かれるわけです。 ○大塚委員  実際に脳死あるいは脳死に近い患者さんを治療をやっておりますと、当然のことなが らRHとかいろんなものが入っているわけですね。そうしますと、見かけ上は当然のこ とながら血糖値が高い症例はかなりあるんですね。それはどう判定されますか。 ○金澤先生  先ほども申し上げましたように、血糖値では判断しない。血糖値が高くても、その方 を糖尿病とは判断しないということでございます。 ○大塚委員  そうしますと、多分、家族の申し出によって、家族がそのヒストリーがあるぞと言え ば、もう。 ○金澤先生  それは、糖尿病があるという前提で動きます。 ○黒川委員長  昔からじゃないですけれども、定期健康診断でそういうことを言われていたとか、何 か治療を受けていたとか、それ以上のことは、あまり家族は細かいことはわからないか もしれませんけれども、できれば病歴を電話するなり何なり、それは手だてがあるとい うふうに思いますけれども。 ○大塚委員  家族が、「さあ、それはちょっとわかりません」と言われたときはとれないんです ね。 ○金澤先生  それは一応ないということで判断をしたいというふうに思っております。明らかな糖 尿病であれば、当然家族の方がご存じであるというふうに我々は理解しておりますの で。 ○大塚委員  わかりました。 ○黒川委員長  そのほかに。どうぞ、眞鍋委員。 ○眞鍋委員  角膜のほうでも、昔、年齢制限を設けるべきだというようなことがありまして、約 10年かもっと前に、80歳で年齢制限を設けようという動きがあったのですが、その 後、なぜ年齢制限を設けるかということについていろいろ議論した結果、それは内皮細 胞の状態を見て、内皮細胞の数が1平方ミリメートル当たり2000個以上あれば、た とえ90歳の人でも十分うまくいくというようなことがわかりまして、現在では年齢制 限は取り外しておりまして、完全に内皮細胞の数を測定する機械というのを各アイバン クに配って、それで測ってもらうという、客観的に判断する材料が、今、できておりま して年齢制限はなくなったんですが、膵臓のほうにもそういう客観的に、これさえ大丈 夫であれば61歳でも大丈夫というような判定基準があるんでしょうか、どうでしょう か。 ○金澤先生  現在のところは、そういう判定基準はございません。ただ、従来、いわゆる健康な方 の内分泌組織に関しましては、加齢という非常にはっきりした影響は、少なくとも70 歳ぐらいまではないというデータが出ております。しかしながら、60を超えますと非 常に組織の中の脂肪量が増えたり、それからファイブローシスが増加したりすることに よりまして、膵組織全体のエイジングが進んでいるというふうに判断されますので、こ れは私は、70歳でも基本的には構わないと思うんですけれども、その臓器自体を正常 な臓器としてとるかどうかということで現場のご判断に任せたいというふうに思ってお ります。 ○黒川委員長  これも確かに60ということで一律に切るというわけではありませんから、原則とし てというか、あるいは望ましいということで、現場の判断だと思いますね。その判断の 根拠を一応書いておいていただくとか、何かあればいいわけだと思いますが。  そのほかに。それでは一応、また何かありましたら伺いますが、その次に進めましょ う。  それでは、レシピエントのほうですが、また金澤先生、よろしくお願いします。 ○金澤先生  レシピエントの選択基準は、4ページのように決めさせていただきましたが、これも 事務局から読み上げていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。 ○重藤補佐  それでは、4ページでございます。  膵臓移植レシピエント選択基準(案)  臓器提供者が現れた場合には、レシピエントは登録されている膵及び膵腎同時移植希 望登録者の中から以下の順で選択される。 1. ABO式血液型の一致又は適合 2. HLA型の適合による優先順位   DR座の適合とA座およびB座の適合数により、腎移植における順位と同一の順位 とする。 3. 上記1.及び2.による優先度が同一の待機患者が複数存在する場合は、膵腎同 時移植、腎移植後膵移植、膵単独移植の順に優先する。 4. 上記の条件が同一の場合は、待機期間の長い順とする。 5. リンパ球直接交差試験陰性 (附則)  1.〜5.で選ばれた登録者が膵腎同時移植の待機者であって、なおかつ臓器提供者 から膵腎両臓器の提供があった場合には、DR座の1match 以上のHLA型の適合があ れば、1腎は膵腎同時移植の登録者に優先的に配分する。  (第1順位として選択された登録者が膵腎同時移植の待機者であっても、腎臓の提供 を受けられない場合は、次の順位の待機者を選択する。)  以上でございます。 ○金澤先生  以上でございまして、1番それから2番に関しましては、ほぼ腎移植の順位と同じ順 位をとるものであります。これは、一つは、膵腎同時移植というものを頭に入れての配 慮でございます。  それから3番目の、1、2が全く同じ条件の待機患者が複数存在した場合には、これ は先ほど申し上げましたように、現状では膵腎同時移植がやはり生着率が一番いいとい うことで、当分の間といいますか、将来その条件が変わればこれを変えることを考慮し つつ、膵腎同時移植及び、既に腎臓を移植してしまった方についての膵移植、それから 膵の単独移植という順で選択をさせていただくということにさせていただきたいと思い ます。  それから、待機期間の長い順というのは、おそらくほかのところでも同じだろうと思 います。  リンパ球直接交差試験陰性も、臓器に対する自己抗体があるということは非常に具合 が悪いことですので、こういう順番、5番目でございますけれども、こういう順番で決 めさせていただきました。  それから、膵腎同時移植の場合の、膵移植をする患者さんに腎臓がいただけるかどう かということに関しましては、腎臓の生着率を考慮いたしまして、DR座の1match 以 上のHLAの適合があれば1腎をいただきたいということをお願いしているわけでござ います。  そして、もし、1〜5までの順番で決められました膵腎同時移植の待機者がDRでゼ ロマッチであったという場合には、次のランクの方、すなわち、もし同じランクで腎移 植後膵移植の方がいらっしゃれば、そこに膵が行くというふうな形で、自動的に決めて いくというふうなことでございます。 ○黒川委員長  これについて何かご質問、コメントございますでしょうか。これはあくまでもインス リン依存性の糖尿病で腎移植の適応があるという人が、レシピエントのまず最初の条件 になるわけですね。 ○金澤先生  はい。 ○黒川委員長  これはもう一つは、前も議論が出たと思うんですけれども、そういう患者さんで、糖 尿病でインスリンがなくて腎不全になっていて透析を受けていて、腎移植は受けること があるけれども、膵臓移植を受けるかどうかというのは、また別のディシジョンなりイ ンフォームドコンセントなり、そういうのが必要なわけですよね。  何かご質問ありますか。特にございませんか。  もしございませんようでしたら、この委員会では、現時点では、この法律の施行に当 たってこれを一応基準として認めたいというふうに思いますが、具体的には、もちろん このあと、例えばいろいろなマッチングが、腎臓でもそうですけれども、実際の移植の 数が増える、増えてきた場合には、またいろいろ変えられますけれども、ユノス(UN OS)の歴史なんかを見てもそうですが、数が増えればいろいろな点数、ポイント制で いろいろやりますが、今のところは、まず、数が極めて少ないというところから始めま すので、やはりある程度のこういう基準をきちんと付けておいて法律の施行を受けたい というふうに思っていますので。  もしよろしければ、これで承認していただくということになると思いますが。よろし いでしょうか。  もしよろしければ、そういうふうにさせていただきたいんですが、もちろんこれはこ れからもいろいろな進歩なり新しいデータなぞが出てくると、いろいろまた変えなくて はなりませんので、私としては、金澤先生にこの選択基準の策定など非常にご苦労をい ただきまして、ありがとうございました。今後とも、実は、きょう10月16日に向け てこれを決めていただいた基準ということで施行されますけれども、適宜これをまた見 直すとか、いろいろなことを常に検討するということがありますので、それについて も、また金澤先生に引き続き、しばらくお願いしたいと。いつまでかというのは、5 年、10年というわけではないかもしれませんが、お願いしたいということで、よろし いでしょうか。  もしよろしければ、それでは、金澤先生に、また引き続きお願いするということで、 本当にありがとうございました。 ○金澤先生  どうもありがとうございました。 ○黒川委員長  どうもご苦労様でした。ありがとうございます。  よろしいですか。もちろん、これからあとの選択基準のやつもそうですが、実際にど こでもこれをやれるかということについては全く別の問題ですので、これはまた、心 臓、肝臓と同じように、おそらく移植関連学会のほうからのいろいろな検討をして、差 し当たりやる施設はこことここというふうに多分なってくるんじゃないかと思います が、それを受けてここの委員会でまたそれを検討させていただくということで実行にな ってくるだろうというふうに思います。  どうもありがとうございました。  それでは、続きまして、お手元の議題にありますが、肺移植レシピエントの選択基準 という案ができてきておりますので、それにつきまして藤村委員のほうからご説明いた だきたいと思います。よろしくお願いします。 ○藤村委員  それでは、説明させていただきます。肺移植は、ご承知のとおり、これまで6000 例余り世界で行われていますが、あまりわが国では知られていない移植でございます。 この肺移植におけるわが国の臨床に向けての準備について申し上げますと、その初めか ら呼吸器を専門とする内科が主となって移植体制を整える方針をとってきたわけでござ います。内科医が患者をみておりまして、移植以外に治療法がないと考えたときに外科 医に移植の実施を相談するという図式が、その必要条件のひとつであるのは当然のこと であります。まず、この点が、わが国の移植医療を進めるために必要と考えたからでご ざいます。  具体的に申し上げますと、日本胸部疾患学会、これは平成9年から日本呼吸器学会と 改称しておりますが、その学会と、日本胸部外科学会、日本呼吸器外科学会、日本肺及 び心肺移植研究会、これらが合同いたしまして、肺・心肺移植関連学会協議会を作りま した。以下、協議会といたしますが、これが結成されまして、平成7年の2月1日の第 1回協議会開催を皮切りに、移植に関わる問題点を協議してまいりました。  協議会は、肺・心肺移植レシピエントの適応基準と、肺・心肺移植実施施設認定に関 する基準を作成しまして、それぞれの関連学会及び研究会での承認の後、平成9年1月 10日に公表いたしております。  さて、今回のことでございますが、これは今年の8月18日の第4回臓器移植専門委 員会におきまして、肺移植における肺移植ドナー適応基準と肺移植レシピエント選択基 準についての専門的な検討を早急に行うようにということで、本作業班が設置されるに 至ったわけでございます。  このメンバーにつきましては、ここの10ページに書いてございますが、内科4名、 外科4名。 この中で、中ほどにございます栗山先生と白日先生、新田先生、人見先生、それから私 もそうでございますが、このメンバー、それから工藤先生もそうでございますが、肺・ 心肺移植関連学会協議会のそれぞれの団体から出てきている委員の方々の一人でござい ます。このようなメンバーで、これまで2回ほど、早急にと申し上げましたとおり、検 討してまいりました。それがここの、今日ここに素案として出しました肺移植ドナー適 応基準とレシピエント選択基準でございます。  では、これを読んでいただけますでしょうか。 ○重藤補佐  肺移植ドナー適応基準(案)につきまして読まさせていただきます。6ページでござ います。 肺移植のドナー適応基準 1 以下の疾患または状態を伴わないこととする   1)悪性腫瘍(原発性脳腫瘍及び治癒したと考えられる原発性悪性腫瘍を除く。)   2)全身性及び肺の活動性感染症   3)HIV抗体、HTLV−1抗体、HBs抗原、HCV抗体などが陽性   4)臨床的に有意な肺疾患の存在   5)胸部X線検査における両肺の明らかな異常 2 良好な肺の機能   1)肺コンプライアンスが保たれている(注1)  注1は、最大気道内圧30以下。1回換気量15ml/kg 、PEEPが5の条件下というこ とでございます。   2)肺の酸素化能が維持されている(注2)  注2でございます。PaO2が 300以上、FiO2が 1.0、PEEP5の条件下、あるいは、PaO2 とFiO2の比が250〜300の間以上、PEEPが5の条件下ということでございます。 3 年齢:70歳以下が望ましい  以上でございます。 ○藤村委員  多少補足してよろしゅうございますか。 ○黒川委員長  どうぞ、お願いします。 ○藤村委員  ここで、やはり年齢のところでございますが、70歳以下が望ましいとしたことにつ いて、やはり最近の欧米の文献も含めて、検討されている内容を見ておりますと、70 歳でもドナーとして適応があれば使わせていただけるということがありまして、これ は、ここの上にも書いてございますように、もう既に胸部X線写真あるいは肺機能その 他で既にわかっていることでございますので、特に心臓における冠動脈硬化症その他が 血管の病気が特にこの肺ではあまり考えられませんので、これで70歳ということにし たわけでございます。71歳かどうかということ、そういうことについてはちょっとわ かりませんが、実際に肺の手術における高齢者というのは、現在、75歳以上をもって 高齢者というようにしているくらいでございますので、この70歳くらいのあたりが妥 当と言えば妥当ではないかと委員のあいだでは結論を得たわけでございます。何かご質 問ありましたらお答えいたします。 ○黒川委員長  どうぞ、ご質問、コメント。はい、大塚先生。 ○大塚委員  一つ教えていただきたいんですけれども、この条件になっております注1、注2のと ころですね。PEEPが5センチになっていますね。これ以上は、もう天からだめなんです か。上のほうですと、PEEPが高くなれば当然コンプライアンスは保っていないというこ とになるんですけれども、PEEP5センチというのは、これは条件であって、例えばPEEP 7センチとか10センチでは、もうだめだと。そういう意味ではない。 ○藤村委員  そういうことではございません。あくまでも肺機能の目安として書いたわけでござい ます。5センチぐらいで、肺が膨らんだところで、300Torrぐらいあればいいだろうと いう、そういうところです。それから、それと胸部X線写真と、そういうので勘案して いいだろうということです。ただ、ドナーについてこの情報で知らせていただきます と、こっちのほうから、これは第一次の選択基準でございますから、お伺いしまして、 そこで気管支鏡その他をやりまして、例えば分泌物が膿性でないこととか、そういうの が次に出てくるわけでございます。この5センチというのは、先ほどに戻りますと、必 ずしも5センチとは限らないということで、目安としてそのくらいだろうということで ございます。 ○大塚委員  ありがとうございました。 ○黒川委員長  そのほかに。はい、矢崎委員。 ○矢崎委員  酸素化能で代表されるかもしれませんけれども、肺循環の血管抵抗などは考えなくて よろしいんでしょうか。 ○藤村委員  これは具体的には、大変そういうのを知るのは難しゅうございまして、救急の病院の 先生方が、そういうところを検査するところまでは手が回らないだろうと思います。こ の酸素化能があれば大丈夫であろうと。先ほど申し上げましたように、胸部X線写真と かそういうのも参考にするわけでございますから、それでいいだろうということでいた したわけです。 ○黒川委員長  よろしいですか。救急の現場ですから、ヒストリーとかそういうことでは。 ○大塚委員  脳死の患者さんですので、なかなかガンツを入れてというところまではいかないんで すね。多くの重症患者は入れているんですけれども、トトトッと脳死になっていきます ので、そういうケースではほとんどガンツは入っていないのではないかと思います。で すから、そういう細かいところまではちょっとデータは取れないと思います。 ○黒川委員長  そのほかに。はい、小柳委員。 ○小柳委員  東のほうの臓器摘出のプロトコールを、今、作業をしておりますけれども、心臓に関 しましては、矢崎先生がおっしゃったようにWood単位が決まっております。基準で、4 〜6単位と決めてありますので、摘出のセットにスワン・ガンツのカテーテルを入れて おこうと考えています。入っていない救命救急施設では我々が入れて、肺をいただく場 合に見せていただくというようなことをする。あるいは心臓の場合でも、術後の心不全 がありますので、スワン・ガンツで肺血管抵抗を測るというつもりではあるんですね。 ですから、肺で本当に必要がないのかどうか。 ○藤村委員  私は、必要ではないと言ったわけではございませんので、あくまでもこれは第一次選 択基準でございますので、こういう情報をいただいて、それからお伺いして、そっちの ほうでやはり必要に応じてより詳しく調べて、これが適当かどうかということを決める ということになるわけでございます。 ○小柳委員  一応心臓では文書に載っておりますので、肺のほうでは触れないということでよろし いかというような、そんな意味です。横並びのほうがいいかなと思いまして。 ○黒川委員長  それはいかがですか。もちろんこれも、先ほどの膵臓と同じですけれども、これから また検討を実際に加えることは全然やぶさかではありませんし、むしろ望ましいわけ で、10月16日という一つの目安を考えているわけですが。 ○重藤補佐  心臓のドナーの基準は23ページでございます。 ○黒川委員長  そうですね。これ以上のことは、また、小柳先生あるいは実際の関わる先生方で、細 目を決めていると言ってはおかしいわけですが、そのような実行のガイドラインを作っ ているということですね。 ○小柳委員  もう少しすり合わせたところでもよろしいかと思います。 ○黒川委員長  そのようなものは、また作られるということは、それぞれ横並びと言ってはおかしい わけですが、整合性を持たせるということがいずれやってくることになると思います が。  そのほかに。もしよろしければ、次にレシピエントの選択基準についてご説明をお願 いします。 ○藤村委員  それでは、お願いいたします。 ○重藤補佐  7ページでございます。肺移植レシピエント選択基準(案)でございます。  今回肺移植に関する作業部会において、昨今の医学的知見を踏まえた肺移植の公平で 適正な運用に必要な基準について細則的事項も含めた検討を行い、以下のような肺移植 レシピエント選択基準をまとめた。 I. 適合条件   A. ABO式血液型       肺移植の場合は、ABO完全一致だけでなく、適合の患者も候補者として 考慮する。   B. 肺の大きさの適合条件       予測ドナーの肺活量÷予測レシピエントの予測肺活量× 100%で判断す る。 1)片肺移植の場合 90〜130%       2)両肺移植の場合 80〜110%  以下、予測肺活量の計算式が男性と女性で出ております。   C. 前感作抗体       ダイレクト・クロスマッチを実施し、陰性であることを確認する。       パネルテストが陰性の場合、ダイレクト・クロスマッチは省略することが できる。   D. CMV抗体       CMV抗体陰性のレシピエント(日本人の成人では極めて少ない)に対し ては、CMV抗体陰性のドナーが望ましい。(移植医の判断に任せる。)   E. HLA型       当面、選択基準にしないが、必ず検査し、登録する。 II. 優先順位   適合条件に合致するレシピエントが複数存在する場合には、以下の項目を順に勘案 してレシピエントを選択する。   A. 虚血許容時間       基本的に虚血許容時間を最優先する。ドナーの肺を摘出してから8時間以 内に移植操作が完了することを第一条件とする。(ただし、ネットワークが 組織的にも機能的にも、ブロックで分けられる場合、虚血許容時間内であれ ばブロックを中心に考える。)   B. ABO式血液型       血液型が完全一致するものを適合するものより優先する。   C. 待機期間       虚血許容時間及び血液型が同条件の候補者内では、待機期間の長い患者を 優先する。   D. 片肺移植と両肺移植の優先順位       両肺移植患者が、虚血許容時間、血液型、待機期間の項目を勘案して第1 優先順位にある場合には両肺移植患者をレシピエントとする。片肺移植患者 が第一優先順位にあり、ドナーの両肺をそれぞれに分け合うことができる場 合、片肺移植患者としては次の順位に位置する患者とそれを分け合うことと する。同一ブロック内に片肺移植の候補者が1名のみで、両肺移植の待機患 者がいる場合は両肺移植を優先する。 III. レシピエントの具体的選択法   A. ネットワークがブロック化されていない場合       待機中のレシピエントのうち、虚血許容時間内にあり、血液型が完全に一 致する症例中で、待機期間が長いものを選ぶ。血液型が完全一致するものが ない場合には、血液型の適合する症例中から待機期間の長い者を選ぶ。      注1:以上の手順で第一優先順位のレシピエントを選択することができる が、それが片肺移植患者であり、ドナーの両肺が利用できる場合には上 記IIのDによりもう一人の片肺移植患者をレシピエントとして選択でき る。         この際にも実際に移植操作完了迄の虚血許容時間を推定し、血液型、 待機期間を考慮して候補者を選択する。   B. ネットワークが組織的にも機能的にも、ブロック化された場合       ブロック内で待機中のレシピエントのうち、血液型が完全に一致し、待機 期間が長いものを選ぶ。血液型が完全一致するものがない場合には適合する 症例中から待機期間の長いものを選ぶ。ついで他ブロックに移る。  以下、表がございます。      注2:以上の手順で第一優先順位のレシピエントを選択することができる が、それが片肺移植患者であり、ドナーの両肺が利用できる場合には上 記IIのDによりもう一人の片肺移植患者をレシピエントとして選択でき る。この際にも実際に移植操作完了迄の虚血許容時間を推定し、血液型、 待機期間を考慮して候補者を選択する。 IV. その他      基礎疾患、重症度などによる医学的緊急度は将来考慮されるべきである。      また、この基準は、実績を踏まえて見直しを行う必要がある。  以上でございます。 ○黒川委員長  どうもありがとうございました。これは、先ほどの膵臓に比べるとかなりディーテー ルに書いてございますが、どうぞ。 ○藤村委員  少し補足させていただきますが。この肺移植レシピエント選択基準の案は、心臓移植 の場合のレシピエント選択基準案を参考に作らせていただいております。  つまり、まずドナーが発生したとします。次はドナーの適合条件を満たしているかど うか、つまり移植肺として使用可能かどうかということを当然検討するわけですが、そ の次に、選択基準で適合条件に合ったレシピエントを探す、そういう考え方でございま す。それから次が、レシピエントが1名であれば、それでもう、これで終了。ただ、2 名以上の場合には優先順位をおくことが必要になります。  そんな考え方で進んできたわけでございまして、これをそれぞれについて少し補足い たしますと、肺の大きさの適合条件というところで、少し、片肺移植の場合が90〜 130%というふうになっているのを奇異に感じるかもしれませんが、これは片肺移植 の場合には、やや大きめのほうがよいとされているためにこの様になりました。100 %から下のほうは90ぐらいで、上の方は30%プラスにしたと、そのようにしたわけ でございます。一方、両肺移植の場合には多少小さめのほうがいいというふうに言われ ておりますので、こういうようにしたところでございます。  それから、あとは、IIの優先順位の中のDでございますが、ここに片肺移植と両肺移 植の優先順位が書いてございます。このへんのところが少し心臓移植と違っているとこ ろでございます。 ○黒川委員長  ありがとうございました。これについて何かご質問。谷川委員、どうぞ。 ○谷川委員  心臓とか肝臓のほうですと、レシピエントの条件に年齢が入っているのですが、一応 60歳以下が望ましいと。これは、できたら若いほうの人のほうがより予後がいいし、 また、たくさんそういう希望者が多いからという背景かもしれませんけれど、膵臓とか 肺に関しては年齢のところが全くタッチされていないけれども、これはいかが。将来的 にはできるだけ一致したほうがいいと思うんですが、いかがでしょうか。 ○藤村委員  これはあくまでも肺移植レシピエント選択基準であります。レシピエントの基準とい うのは既にございまして、それでは年齢は決まってございます。これは、今年の1月 12日に、この厚生省で、施設の基準とともに協議会で決めた案を発表させていただい ており、その中には書いてございます。 ○重藤補佐  今のことですけれども、35ページでございますけれども、レシピエントの年齢につ いては、レシピエントの適応基準、要するに手術適応があるかどうかという基準の中で 定められておりますので、おそらくこれから肺の関係者の方は、肺移植のレシピエント の適応の基準を作成されることになろうかと思いますが、その中で触れられるんじゃな いかというふうに思っております。 ○谷川委員  適応基準はまだ作られていない。わかりました。 ○重藤補佐  移植関係学会合同委員会でそれは決めることになっております。 ○大島委員  腎臓の場合には既にネットワークでもってスタートしているわけですけれども、腎臓 移植のレシピエントの希望を何歳で切っていいのかという議論というのは、これは実は ありませんで、希望される方は80でも90でも希望されればいいと。ただし、最終的 には医者が医学的にその方に移植ができるかどうかというのは判断するということであ って、何歳以上はいくら待っても腎臓が来ませんよというようなことは、今のところは 一切言えない状況にあると思います。  したがって、腎臓のほうに関しましても、10年前、20年前と比べますと、年齢の 面でいけばどんどん高齢者に移植が行われているという、これは医療というのか、腎移 植の医療そのものが進歩発展してきた一つのプロセスの中で、より適応が拡大してきて いるというふうに理解すればいいんじゃないかというふうに思います。 ○黒川委員長  これについて何かありますか。腎臓の場合は、実際の希望者の登録というのは1万 5000ぐらいあるわけで、それが毎年更新、全部今は更新の業務が終わったところで すけれども、あなたは例えば62歳になったからもうおしまいです、というようなこと を言うのは適切でないということが一つ意見があると思います。それから、実際にその 人たちが、ドナー情報があったときには、その人の医学的な状況その他を主治医に伺う ということになりますし、患者さんに聞きますから、そういうプロセスであえて入れて いないというのは大島委員のおっしゃったとおりです。  それでよろしいか、座間委員、何か補足しますか、よろしいですか。  そのほか、この肺のほうにつきまして、ご意見。 ○藤村委員  最後にちょっと申し上げます。現在、心肺移植ということについての問題が出てきて いますが、これは、先般の日本移植学会が大阪でございまして、そこで心肺移植に関し ては学会のほうに、お任せするという話をお聞きしたわけでございます。私自身は、こ こで言われる学会とは一体何であるかと考えました。これは移植学会単独を意味するも のではないであろうというように認識しておるわけでございますが、それでよろしゅう ございますでしょうか。例えば心肺移植に関しても、関連学会、肺における関連学会協 議会のようなものと、それから心臓における関係学会が合わさって、それに移植学会も 加わった形で問題の検討が行われていくべきものではないかというように私は考えます が、そういう認識でよろしゅうございますか。 ○黒川委員長  野本先生、移植学会の理事長として。 ○野本委員  このあいだ2回ほどあった議論では、移植学会が窓口をせいという、いわば私が総括 のようなやり方でお世話をしてシステムを作ったらどうかというように私は受け取って おりました。委員長はそのようなおつもりで言われたんだと思いますが。 ○藤村委員  私も移植学会の理事をしておりますので、そのへんのところは聞いておりますけれど も、やはりこれまでのいろいろな臓器のこういういろいろなことを決める場合には、や はり内科サイドも主体になった、考え方で持ってきたほうが皆さんの納得が得られるだ ろうというように考えるものですから、私あえて移植学会と申し上げましたのは、移植 学会は確かに移植はしますが、必ずしも細微にわたる専門家が存在しているというわけ ではありませんので、ちょっと危惧を抱いたわけでございます。 ○小柳委員  私は藤村委員と同じ理事会におりますが、既に心肺移植の作業委員会が立ち上がって おりまして、移植学会のあと、内科医も含めた移植準備委員会を作りつつあります。 今、構成員一人ひとりに委託をしておりまして、下作業が終わりましたら、またこの委 員会にご提案を申し上げることになるのではないかと思います。それでよろしいです か。 ○藤村委員  わかりました。 ○黒川委員長  それについては、確かに心肺の同時移植の場合はどうするかというのは、今回までは まだ議題に取り上げていませんが、このネットワークができあがれば次の課題として当 然出てきますが、そのあいだに心臓移植と肺移植が実際に行われていけば、さらにいい のではないかというふうには思っております。そのへんは移植学会がやるにしても、で きるだけ開かれた、誰にでもそういう情報が十分公開されているというところは、やは り十分に配慮していただけるというふうに思っておりますが。 ○貝谷室長  今、基本的には移植学会、小柳先生なり関係の先生方のほうの当該学会での検討がま ずあって、当然心肺同時移植というのは今まで議論がされておりませんので、この委員 会でも、いずれそれはこの場できちっとした議論をした上で実施に移していくという手 順はきちっと踏んでいくことになると思います。その段階では、今、先生がおっしゃっ たような、いろんな方が入ってもらった場所で検討ということになるのではないかとい うふうに考えております。 ○黒川委員長  学会はあくまでも実質的にそういうことを検討するわけですけれども、行政的なプロ セスに行くのには、もうワンステップあって、最終的にはここの委員会に上がってくる ということになると思います。それでよろしいですね。  では、よろしいでしょうか。これも先ほど申しましたように、移植関連学会のほうか ら施設の認定その他について検討していただくというプロセスがありますので、こうい うような現在のところは選択基準を設ける。これについても、先ほどの膵臓と同じよう に、引き続きまた検討を適宜やっていただくことになるというふうに思います。よろし いでしょうか。 ○小柳委員  肺を終わります前に、どうしても申し上げたいことがございます。実は、肺移植と、 それから心肺移植のほかに、もう一つ、心内修復プラス片肺移植という分野がございま して、大変重要だと思っております。心臓と肺が法で可能になった段階で、そういう心 内修復プラス肺移植というのは、多くはプライマリーハイパーテンションあるいは肺病 変を伴う先天性心疾患であります。こういう子ども、あるいは成人ですが、臓器は法で認められているにもかかわらず、そういう治療法だけは後送りになるという可能性があ りまして、心内修復プラス肺移植という組み合わせがあるということを、ぜひわかって いただきたいと思っております。 ○黒川委員長  それはそのとおりだと思いますし、心臓にしても15歳未満をどうするかということ は、常にまだ引き続き問題に残っているわけですから。 ○小柳委員  15歳以上の症例でもそういう事例が出てくると思います。それをどう扱うかは大き な問題でございまして、既に登録の希望者が、そういうグループがたくさんおりまし て、インフォームをされ始めておりますので、早急に解決する必要があるのではないか と思っております。 ○黒川委員長   私が言ったのは、そういう人たちもいるし、15歳未満の子どもの移植を待っている 人たちもいるので、それはどちらが重要だというつもりは全くありませんけれども、ま だまだいろいろ検討をしなくちゃならないことが残っているということは皆さん認識し ているんじゃないかと思いますが。そういうことでよろしいですか。わかりました。  それでは、次の小腸の移植に移ってよろしいでしょうか。それでは、小腸移植のレシ ピエント選択基準の案につきまして、作業班が設けられましてこの基準がまとまってま いりましたので、きょうは作業班の座長の水戸先生にオブザーバーという予定だったわ けですが、きょうは来られませんので、班員の田中委員からのご説明をお願いしたいと 思います。では、田中委員、よろしくお願いします。よろしいですか。 ○田中委員  小腸の移植の作業班は、13ページにございますが、総括が野本、移植学会委員長で ございます。外科側の委員として、岡田、田中、藤堂、それと消化器の内科のほうの委 員として中澤、馬場、それで座長が水戸先生でございます。以上のような作業班で、 25日に最終案をまとめました。  11ページと12ページに、ドナー適応基準とレシピエントの選択基準を案として出 しております。  ドナーの適応基準の案ですが、1、2、3とありまして、 1)以下の疾患または状態を伴わないこととする  (1)として、全身性、活動性感染症  (2)として、HIV抗体、HTLV−1抗体、HBs抗原、HCV抗体などが陽性  (3)悪性腫瘍(原発性脳腫瘍及び治癒したと考えられるものを除く。) 2番目の適応基準として、小腸疾患及びその既往歴がない。 3)年齢:60歳以下が望ましい  以上がドナー適応基準です。  レシピエント選択基準へ行ってもよろしいでしょうか。 ○黒川委員長  ちょっとドナー基準についてご意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。前 の2つと同じような議論になると思いますが、そのほかにありましたら。一つは、1と いうところの、「以下の疾患または状態を伴わないこととする」というのが3つに共通 しているわけなので、そのへんの順番がまた3つ違っていますから、そのへんは事務局 で整理して、一応その委員長のほうにご了解を得て。例えば、全身性、活動性感染症と いうのは1番で、HIVが2番で、悪性腫瘍が3番であれば、みんなそのように揃えて おいても別に大きなことじゃないですから、一応揃えたほうがいいかなと。 ○桐野委員  ものすごく細かいことで、書くような必要はないと思いますが、原発性脳腫瘍の中 で、シャント手術、脳室フックシャント手術をしたものの中に腹膜破傷を起こすものが あります。ですから、それだけは一応ちょっと注意してもらわれたほうがいいと思いま す。 ○黒川委員長  それは貴重なご意見ですね。それは3つとも共通ですね。 ○桐野委員  特に小腸は。 ○黒川委員長  特に小腸は。おなかの中ね。これは書かなくて、そのときの医学的な判断ということ ですよね。 ○桐野委員  そうですね。そういうことがあることさえ。 ○黒川委員長  全く無視してやる人もいるとも思えないけれども。そのほかに。どうぞ、矢崎委員 ○矢崎委員  内科医側から、小腸疾患、今、60歳以下でも動脈硬化症が進んでイスケミックプラ イブスの患者さんがいますけれども、その場合、手術方法というのは血管を、よく知ら ないので、すみません、血管をそのまま付けて移植するんでしょうか。 ○田中委員  一応血管を付けて移植するんですが、肝臓でも何でもそうですが、一応こういう大ま かなところを決めて、実際はとるときに動脈硬化が強いとか、つなぐのに使えないよう な血管ということになると、その時点で一応今度は移植医側から。これはあくまでもネ ットワークで、ドナー適応基準に決めるとき、そこまでは判断できないわけですから、 一応こうしたんですが。 ○矢崎委員  その現場で実際に摘出したときに判断して、これは適応がないというふうに判断され るわけですか。 ○田中委員  はい。 ○黒川委員長  それについては何かコメント、ご意見ございますか。確かに移植の手術手技に関する あまり細かいことは書けないところがありますですよね。そのへんはあくまでも情報の 公開という前提のもとに、どういうふうなことが行われていたかということを十分にフ ィードバックする必要があると思いますけれども。どうぞ、事務局のほうから。 ○重藤補佐  ドナーの適応基準は、一応一次の除外項目ということで、コーディネーターレベルの 方がそうした情報を得て判断する第一次的な基準でございまして、実際の細かいところ は移植医の方が開けてみてご判断いただく第二次の適応基準を踏まえる。これは、ネッ トワークで運用するときの第一次、プライマリーな基準というふうに考えていただいて よろしいかと思います。 ○黒川委員長  それについてはよろしいでしょうか。そのような考えでこれの基準ができているとい うふうに理解していただく。移植医だけではなくて、そこの主治医の先生あるいは救急 医の先生、いろんな方が医学的なことについてはコメントするなり判断されるわけです から。よろしいでしょうか。  それでは、そうすると、小腸移植レシピエントの選択基準ということの案についてご 説明いただきたいと思います。 ○田中委員  まず、適合条件ですが、AからEまでございます。  まず、血液型ですが、小腸移植においてはABO式血液型の一致又は適合。  搬送時間です。小腸摘出から血流再開まで12時間以内で行えること。  C.レシピエントについて    基礎疾患が良性疾患であること。  D.CMV抗体    CMV抗体陰性のレシピエントに対しては、CMV抗体陰性のドナーであるこ   と。  E.前感作抗体及びHLA型    当面、選択基準にしないが、必ず検索し、登録する。  こういう適合条件のもとに優先順位。  適合条件に合致したレシピエントに対して、以下の項目に従って優先順位をつけるこ ととする。  A.医学的緊急度 (Status1を最優先とし、次にStatus2、Status3の順に優先する)   Status1:中心静脈栄養法の維持が不可能になった状態   Status2:血清ビリルビン値の高値持続と、肝臓障害が進行しつつある状態   Status3:中心静脈栄養法の維持が不可能になりつつある状態  B.血液型   同一緊急度に候補者が複数存在する場合は、ABO式血液型の一致を優先する。  C.待機期間   以上、A、Bの条件が全て同一の候補者が複数存在する場合は、待機期間の長い者 を優先する。  以上でございます。 ○黒川委員長  どうもありがとうございました。ご意見、コメント、お願いします。小腸の搬送につ いては、一応12時間というようなところが、ほかのデータからは大体考えられるよう ですね。 ○田中委員  もう少し長い時間でもつくというデータはあるんですけれども、一応12時間の搬送 にしました。 ○黒川委員長  ほかに。小腸は確かに、国際的な今までのデータをこのあいだ田中先生の資料で見せ ていただいても、まだ十分な実績がほかに比べれば少ないということで、はっきり、少 ないということは、それだけほかの要因に比べるとまだわからないところもあるという のも事実だと思いますが。もしご意見がなければ、これで一応認めていただいてという 話になりますが、よろしいでしょうかね。  その前に、この小腸の移植と、先ほど膵臓のときはまだお見えになっていなかったの でご意見をいただかなかったのですが、両方の作業班の総括として野本先生にご参加し ていただいておりましたので、野本先生のほうから、両方につきまして、もしコメント がありましたらいただきたいと思います。 ○野本委員  今までの十分な心・肝の審議をベースにして考えていただいたということがベースで す。それから、出発点としては、いろいろまだ、こういう例外的なケースに問題がある とか、いろんなことが出ましたけれど、出発点としては、やはり一番安心ができるシス テムを選んでいただいたと。私、総括としては初めからそういうところをお願いして議 論をしていただいたわけです。  だから、心・肝であれだけ練り上げた問題を無視しないでほしいと。2番目は、いろ いろなまだ例外的な問題に関しては、このルールでは落ちることもあろうけれど、まず 一番安心できる、国民が安心できる基本的なルールを作っていただきたいと。こういう ようにお願いして検討をしていただいたんですが、成果としては私は、これで、まず出 発点としては十分なお答えだと感謝しております。以上でございます。 ○黒川委員長  ありがとうございました。何かそのほかにご質問、コメントございましたら、どう ぞ。  もしございませんようでしたら、現在の時点では、小腸の移植の選択基準について は、本委員会としてこれを決定させていただいて、これについても先ほど申しましたよ うに、どういう施設でやるかとかという話については、また関連学会のほうでまた練っ ていただいて、基準その他について検討していただいて、またこの委員会にかけるとい うプロセスになろうというふうに思います。  では、よろしいでしょうか。もしよろしければ、それでは次の議題に移りたいのです が、これは、前から少し懸案になっておりました小児の腎臓移植のレシピエントの選択 基準ということであります。これは、現在の腎臓のネットワークでは、小児のドナーが 出たときに、これを自動的に小児に優先するという規定にはなっておりませんが、実際 は、今までのネットワークの経験からいうと、子どもさんが実際に情報が発生してド ナーになる場合に、案外親御さんのほうから、やはり子どもにあげたいんだということ を言われることが実際に幾つもありまして、そういう場合はご遺族の意思ということを 優先させておりますので、幸か不幸か、多分幸のほうだと思いますが、子どもさんのレ シピエントを優先させていただいている場合が多かったということがありますが、これ をどのようにしていくかということであります。  これについて、作業班の座長でおられます大島委員のほうからご説明をお願いしま す。 ○大島委員  今、委員長のほうから少しお話がありましたように、小児の腎臓の問題についてどう するかということは、ネットワークが発足して2年間のあいだに何回か現実の場面で問 題になっております。  もともと小児に関しましては、透析では発育ができないという医学的な大きな問題を 抱えていまして、初めから小児に関しては優先度を高くすべきではないかという議論は あったんですけれども、これがネットワークの腎臓提供の状況を見ながら考えていこう ということで当初はスタートいたしまして、2年間のあいだに、今、委員長からお話が ありましたような問題だとか、医学的には例えば、2歳、3歳からの臓器提供があった 場合に、その腎臓を大人に植えるということの妥当性、これは技術的な問題も含めまし て、その妥当性等が問題になりまして、そういった場面で一体どうするんだということ を関係者が集まっていろいろ議論をして、緊急避難的に対応をしてきたという現実があ ります。  何とかしなきゃいけないんじゃないかということが、この際というわけではありませ んけれども、再燃いたしまして、小児腎移植の作業班を開催いたしまして、ここにお示 ししたような案を提示させていただきました。事務局のほうでお願いします。 ○重藤補佐  14ページでございます。  小児提供腎に係るレシピエント選択基準(案)  腎臓移植のレシピエントの選択にあたっては、腎臓移植のレシピエント選択基準によ るが、特に15歳以下の小児から提供された腎の取り扱いについては、以下の選択基準 によることとする。 I. 適合条件  A.15歳以下の小児の死体提供腎の場合は、15歳以下の腎臓移植希望登録者(以   下、登録者とする)の中からレシピエント検索を行う。    ただし、その際、15歳以下の登録者の中に、HLA−DR抗原が1個以上適合   しているHLA−DR適合者が存在しない場合には、成人も含めた従来通りの検索   を行う。  B.レシピエント検索は全国の15歳以下の全登録者を対象とする。  C.ABO血液型については非適合者以外は全て対象とし、一致と適合は同一条件と   する。  D.ドナーリンパ球に対するダイレクト・クロスマッチ試験が陰性であること。 II.優先順位  A.HLA適合度の優先順位については下記の通りとする。  優先順位、それからDR座の適合、A座及びB座の適合数、それぞれについて順位が 定められております。  B.以上の条件が同一の患者が複数いる場合は、待機期間の長い者を優先する。  C.以上の条件が同一の患者が複数いる場合は、ドナー発生地から近い登録者を優先 する。 III.その他  将来は下記の医学的要件を選択基準に反映させる必要があると考えられる。 1 腎臓移植以外では生命維持が困難な状態(特に乳児期) 2 合併症等のため血液浄化法(CAPDあるいは血液透析)の継続が困難な状態 3 成長発育障害を防止するため、男児で10歳以上、女児で9歳以上 4 成長発育障害が存在し、身長が当該年齢児の平均より-1.5SD以下である場合 5 その他主治医が医学的緊急性が在ると判断し、しかるべき委員会で承認された場合  以上でございます。 ○黒川委員長  ありがとうございました。これについて、いかがでしょうか。これはご存じのよう に、15歳以下のドナーの場合ですから、当然今度の脳死のドナーではなくて、従来と 同じような心臓死のドナーという場合であります。 ○大島委員  今の案についてちょっと補足をさせていただきます。  15歳以下というふうに決めたのは、これは議論がありましたけれども、一応小児科 学会が15歳というのを小児に決めているということで、非常に根拠があるのかないの かよくわからないようなあれなんですけれども、ということが一つの根拠であります。  それから、選択基準は基本的には、今、ネットワークで使っている選択基準を大幅に は変えない。これは、既にコンピューターシステムになっておりますので、その基準を 根本から変えてしまうような選択基準というのは合わないだろうということが基準にな っております。  アドバンテージは、血液型を一致と適合を同一条件にしたということと15歳以下を 優先するという2つにありまして、それ以上のアドバンテージは今のところないわけで すけれども、これに関しまして、非公式ではありますけれども、幾つかの学会等の場面 で随分ご批判もいただきまして、実際にはこのような基準では小児に出る頻度というの は少ないのではないか、ほとんどないのではないかというようなご批判もいただいてお ります。  ただ、いま言ったような既にある条件をある程度満たしていかないと、HLAの適合 順位のようなものまでみんな書いてしまうというような選択基準にしますと、そうする と今度は、大人のほうのHLAの選び方が一体どうなのかという議論にまで発展しかね ませんので、当面は基本的に今ある選択基準というものを踏襲するというところで、ワ ンステップ前進したということでお認めいただいて、半年なり1年なり様子を見なが ら、現実にこれが有効なのかどうかということを判断しつつ再考していくということで お認め願えないかなというふうに考えております。 ○黒川委員長  何かご質問、コメントございますでしょうか。確かに優先順位も、14ページにある ように、DR座の適合が2と、そのあとA及びBが4から3、2、1と非常に機械的に なっていますが、これも、この準備の前の厚生省の班会議の研究会で侃々諤々やりなが ら、これでやると。これをやって数が増えたときに十分なフォローアップスタディによ ってある程度変えるかもしれない。とにかく数が増えなければ行きようがないというこ とでこのへんを決めてあるということであります。  いかがでしょうか。一つはやはり、子どものドナーが出たときには、できるだけ子ど もにしてあげようというのは人情としてはそうだと思うんですね。子どもには非常にハ ンディキャップがあって、透析だけでは成長しないとかいろんなことがあるので。今、 1万5000人の登録者がいるうち腎臓では、いわゆる子どもは何人ぐらいいますか、 座間委員。 ○座間委員  70〜80人ぐらいです。 ○黒川委員長  15歳。 ○座間委員  15歳以下です。その中からいきますと、DRひとつというのは、かなり厳しい条件 になると思います。 ○黒川委員長  ひとつ合わないといけないということになるとね。という現状なので、できるだけ子 どもさんは優先してあげたいというのは、皆さん当事者の気持ちじゃないかなと思いま すが。  これで一応お認めいただければ、これで実施するということになりますが、よろしい でしょうか。一歩前進という、現在ともかく2年半たったところでは、これをしていた だくと一歩前進という気がいたします。よろしいでしょうか。ご質問。  もしなければ、それでは、小児についてはこれを認めていただいて、実際は臓器移植 ネットワークがこれからできるわけですが、これらの選択基準の今後の取り扱いについ てはどうするかということを一応事務局のほうからお願いします。 ○貝谷室長  この場でいろいろご議論をいただきました結果でございまして、私ども、新しく10 月から立ち上がります多臓器のネットワークのほうに、ここでの専門委員会での一応決 定ということで、これをもって患者さんの選択をしてほしいということを私どものほう から局長通知でネットワークのほうに具体的に個別にご連絡して、これでやっていただ くようにしたいと思っています。 ○黒川委員長  よろしいでしょうか。それでは、そのように扱っていただくということで、きょうご 審議いただいた4つの新しい基準ですが、特に膵臓と肺と小腸につきましては、先ほど 言いましたように、これから移植関係学会合同委員会のほうでいろいろなクライテリア その他のご審査をいただいて推薦をいただく。そのあとで、またこの委員会でも審議を させていただくという形になるというふうに思います。  では、よろしくお願いしたいと思います。  それでは、次の議題ですね。本日の用意させていただいた議題に移りたいと思います が、議題の5、在日米軍基地と臓器移植の問題についてということに入りたいと思いま すが、これについては、腎臓移植ネットワークが始まってからも実はこういう問題を引 き続き腎臓移植ネットワークでずっと議論をしているわけですが、そのへんの背景も含 めて事務局のほうから、一体これは何だという話をまずしていただければと思います。 ○玉川補佐  それでは、ご説明させていただきます。在日米軍基地と臓器移植の問題について、資 料の2番でございます。  この問題につきましては、当初、ガイドライン等の中で取り上げることも検討してい たわけでございますけれども、検討を進める中で難しい問題を内包していることもあり まして、なお詳細については引き続き検討を進めているところでございますが、現時点 での考え方を委員会のほうにご報告させていただきたいと考えております。  まず、在日米軍基地におきます臓器の移植に関する法律の適用についてでございます けれども、この臓器移植法は、生前に脳死の判定に従う意思とか臓器を提供する意思を 書面によって表示していることが必要とされたという、世界的に見ても厳しい内容の法 律、立法になっている関係から、特にそうした脳死下での臓器の摘出が問題になるもの と考えておるところでございます。  在日の米軍基地は、外国ということではございませんで、わが国の領土の中に設けら れたものでございます。したがいまして、そこで駐留が認められております外国の軍隊 について、一定の場合に特別の取り扱いということが行われるということでございまし て、在日の米軍基地において日本人の医師が行うことにつきましては、臓器移植法これ に基づきます法令が適用されるということになるわけでございます。  では、在日米軍基地において、米国の軍隊の構成員又は軍属により臓器移植のための 摘出行為が公務として行われる場合どうなるかといったことでございますけれども、一 般国際法上、そうした駐留が認められた外国の軍隊には、特別の取り決めがない限り、 これを受けております国の法令の適用はないということになっておりまして、こうした 米国の軍隊が施設区域内で行います臓器の移植に関する各種の行為に関します手続とか 基準については、米国の軍隊構成員により公務として行われる場合には、臓器移植法及 びこれに基づく法令の適用は原則としてないということとなります。  ただし、いわゆる日米地位協定の中では、直接には刑事裁判権について定めた条項が ございまして、こうした条項の考え方としては、罰則については適用があるということ を前提に規定が設けられているものと考えているところでございます。  これらの適用の問題というのは、最終的には個別の事案、事件に即して判断が行われ るべきものと考えておりまして、国際法とか日米協定の問題も絡む問題であることか ら、なお検討すべき問題があると考えているわけでございますけれども、基本的な考え 方といたしましては、この資料に書いているとおりと思っております。  なお、遺族の承諾によって摘出できます心臓停止後の腎臓移植については、これまで にも移植が行われた前例があるところでございます。  こうしたことを踏まえまして、心停止後の腎移植については前例があったわけでござ いますけれど、在日の米軍基地から提供の申し出があった場合に、これを実際に受ける べきかどうか、また、どのように判断していくのか、公平・公正な臓器移植のためには 公平・公正な臓器の配分が重要なわけでございますけれども、そういう観点からどのよ うなことを考えるべきか。ドナーの適応基準の合致といったような問題についてどう考 えるか。  それから、そもそも臓器提供に係ります諸手続が、日本と米国で違う中で、そうした 違った手続によって摘出される臓器を移植術に使用するということについて、国民感情 としてどう考えるかといったような点を含め、在日米軍基地において摘出された臓器が 提供される場合の取り扱いについてご検討をいただければ幸いでございます。 ○黒川委員長  どうもありがとうございました。実は、腎臓移植ネットワークのほうでも国際委員会 というのがありまして、この問題はずっとある程度定期的に議論をしているのですが、 私が実は委員長を拝命しておりまして、これは結構微妙な問題を含んでいます。  例えば、米国では脳死が認められていますから、基地内で何か事故があるとかいろん なことがありまして、脳死患者が出たと。そのときに、提供したいと言われたときに、 従来は、国内法で腎臓以外は受ける法律がなかったのでお断りしていた。ですけれど、 今度は脳死の状態での心臓、肝臓ができますから、さあどうするかということで、もち ろん日本のお医者さんが入っていって、基地の中の病院で、「ああ、この人は脳死であ るか」と。それで行って手術をしてとってくるというのは、医師の免許がないのでちょ っと困るんじゃないかというような論点もありますし、それでは向こうがやってあげま すよと言って、向こうの脳死判定をして全部とって、基地のところで、病院の入り口で 受け取るかどうかはしりませんが、そこへ行って、しかるべく受け取って、そのマッチ ングにつきましては日本のネットワークのマッチングで一番高い人にあげましょうとい うことは、何ら差し支えない可能性もなくはない。そのときに向こうは、ついでに思い やり予算のお返しだ、などと言われると困るかもしれませんが、そうまでかたくなに断 るのかね、という話も出ないわけではないと思いますし、ついでに空軍のジェット機で 運んであげましょうかなんていうと、どんなことになるのかな、なんていう話も実はし ているわけですよ。  そういうわけで、先生方のご意見をいただきたいというのと、我々がそのときに議論 しているのは、常に日米協定と基地の法律的な扱いはどうなのかという話をして、それ も行政当局からはいろいろ調べてもらっているわけですが、そういう背景があるという ことであります。  どうぞ、ご自由に。まだちょっと時間をとって議論をしていただいても結構ですの で、どうぞよろしくお願いします。  この資料2というのは、よく読んでも何だかわからないという感じがしませんか。 ○貝谷室長  要は、ここに書いていますのは、日本人医師が、米国の基地内でもこれは日本の領土 ですから、あくまでも原則的には、日本人が行う場合、日本人医師が行う場合について は、米軍基地内であっても当然日本の臓器移植法は適用されて、一定の要件でなければ 摘出できないということになりますね、ここは。  日本人医師が、日本の病院でやるのと同じような状態でなければ米軍基地内で摘出す ることはできない。日本人がやる場合には、これは議論のないところだと思います。法 律の適用としては、国内法が適用される。臓器移植法は、その日本人医師に適用される のです。  そこは大体そういうことなんですが、問題は、じゃあ日本人が関与しないで、摘出ま でを一切、米軍関係者が全部やっちゃったと。今、先生がおっしゃったように、基地の 入り口で、摘出して、ぜひそれを役立ててくれといって日本側に手渡しをする。それを 受けるかどうかということが一つありますが、その前に、そういったことは法律的にど ういうふうな適用があるのかということを、今ちょっと事務局のほうでご説明いたしま して、そこは、端的に言うと、基本的に米軍基地内では、これは駐留を認めているとい うことでございますので、臓器移植法その他のこれに関する法令の適用はないのが原則 だと。  ただ、別途、日米の地位協定がありますので、それをよく見ますと、原則はないわけ ですが、ただし罰則、具体的には裁判権ですね。刑罰、そういったものについては、二 次的な裁判権が日本側にも留保されているのです。  したがって、一般の医療法関係法には適用はないけれども、刑罰法規、これは例え ば、心臓を摘出した場合には、場合によっては刑法上のいろんな罪との関係が議論にな りますので、そこは日本側にも二次的な裁判権は留保されている。つまり、そこは議論 があるんだと。米軍関係者が全部やったことなんだから、日本側は、それはいただいて いいんだと、単純にそこの結論にもいかない。摘出段階でのいろんな議論があって。  そうしますと、そういった一定の、米軍関係者がすべてをやる場合を前提として、そ れは有り難くそのままいただけばいいんだという単純な議論にはなかなかいかないもの ですから、これはケース・バイ・ケースというような要素があるのでなかなかできない んですけれども、ただ、提供される可能性がゼロということでもない。それはゼロでは ないと思います。いろんな限定的なケースということですけれども、可能性としては全 くないわけではないので、大変しかしながら厳しい条件がおそらく付いておるはずだと 思います。  そういう状況が一つあるのと、さらに、そういう条件下でも、仮にこうなった場合 の、ネットワークなり厚生省の今後、政策判断をする際の心構えみたいなことで先生方 のご意見があれば大変重要な参考になると思いますので。 ○黒川委員長  今までの事例でも、脳死になりそうな人がいると。それで提供したいんだけれどどう か、というのがネットワークに来るわけで、脳死の判定の基準は何かというと、それは 米軍のお医者さんが向こうの判断によって行う。こっちが行ってやる仕事じゃないです から。  それから、摘出はどうするかというと、我々が今まで議論していたのは向こうにお願 いする。その手術室のところでいただいてくる。そのあいだのプロセスで、こちらのネ ットワークのコンピューターに入れて、誰が順位でどうのこうのという話は全部、終わ ったとか終わるわけですが、それで運ぶということをするわけですが。  それが、今の話だとよくすっきりしないところがあるのは、一つは、それが脳死の判 定でとったのが、実は殺人だとか何とかいう疑問があったときですね。日本の裁判権は あるんだとおっしゃったけれど、それは米軍の基地のほうで、この裁判は我々は関わり たくないから日本でやってよ、と言った場合に行われるんじゃないですか。向こうは自 分たちでこれは脳死だと、問題ないよと言ったら、日本の裁判権は及ぶんでしょうか。 ○貝谷室長  私どもも、この地位協定、専門家じゃありませんので確定的なことは申し上げられま せんが、米国と日本側で、おそらく裁判権についてはいろいろあると思いますので、米 国側がないということであれば、日本側でやるというのは大いに可能性としてはあるの ではないかと思いますけれども。 ○黒川委員長  米国がやってしまえば日本は関係ない。 ○貝谷室長  そこは難しいところだと思いますね。そこは難しいところであります。 ○小柳委員  アメリカのボードをもって、それからユノス(UNOS)のサーティフィケーション もあって、それから移植のプロジェクトをすべての臓器において開いていいという許可 を得ている医師が日本人でいたとしますと、その人間はどういう立場になるんですか。 ○黒川委員長  その人がアクティブのライセンスを持っている場合ですね、今。その場合は米軍基地 でやっていいかどうかというのは、これはどうなるのかな。それは検討をちょっとした んですよ、実はこのあいだ。そういう可能性はどうかな、なんていう話はだいぶ議論を したんです。 ○貝谷室長  今の点で、私ども、いろんなところに確認したところによれば、アメリカでの医師免 許を持っているという点はもちろんあるわけですが、基本的にこの地位協定の上で認め られているのは、あくまでも米軍の軍隊の構成員ということで非常に厳格に要件が定ま っていますので、そこはやはり正規の軍医といいますか、そういう立場できちっとされ た場合に、そういうことになるということであって、免許を持っているというだけでは 必ずしもそういうことにはならない。 ○黒川委員長  ただ、そのときに議論をしたのは、実は、そこの軍医さんが、もちろん外科の先生、 内科の先生、いろいろおられますが、移植にこれは適応があると。脳死の判定も我々で きると。だけど、摘出する手術はあまりやったことがないからどうするかなという話 は、具体的に出てくると思うんですよ。そのときに、日本にそういうドクターがいるか ら、基地のほうからファクスなりEメールなり、コンサルタントとしてお願いしたいと 言ってきて、見ながら指導をするということはあり得るんじゃないかなという話をして いたんですけれどもね。  それから、実際にその人が、今、アクティブなライセンスがあれば、実際に執刀に関 わるということも多分あり得るのではないかと。  それで米軍の基地のほうの法律で、それで結構ということであれば、日本の裁判権は 別に及ばないかもしれないなという話はしておったんですけれども、それについてはど うでしょうか。 ○町野委員  ちょっとお教えいただきたいんですけれども、第3項目ですね、上の段の。在日米軍 基地において、米国の軍隊の構成員又は軍属による臓器移植云々のときは、これは公務 として行われるときは適用はないということなんですけれども、これはどこに根拠があ るんでしょうか。  ちょっと補足しますと、法の適用の問題と法の執行の問題、そのうちの一つが裁判権 の問題です。そういった区別されるわけですね。ですから、このとき実際にはおそら く、日本の法律を執行することはできないだろうということがあります。その執行のう ちの一つが罰則の問題なんですよね。  ですから、私もちょっとこの問題、わからないのでいろんな人に聞いたところにより ますと、当然これは法律は適用はあるという考え方のようなんですね。すべての人に聞 いたわけじゃないですけれども。  したがって、もしそうだとすると、法律は執行できないけれども臓器移植法の適用が あるということですから、軍属がやったとしてもですね。それは違法にやはり摘出され たものであるということにならざるを得ないだろうと。だから、それを日本の、それが 受け取ることができるかどうかというのは、また別の問題だろうと思います。  しかし、適用がないかどうか、これはもちろん民法上のあれなどについては異論はあ るようですね。金の貸し借りとかね。それは日本の民法がそこまで適用があるかといっ たら、そうはいかんだろうというようなことは言われますけれども、医療法については 適用があるんだというのが、どうも国際法の学者等から聞いた、私が、乏しい情報源で すけれども、聞いた範囲のことなので、何を、どのようなことでこのような結論を出さ れたかというのを、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。 ○玉川補佐  ご説明いたします。ある国に対しまして駐留が認められている外国の軍隊の法的な取 り扱いにつきまして、これは一般国際法上、国際慣習法上なんでございますけれども、 特別の取り決めがない限り、その駐留が認められた外国の軍隊は、その外国の軍隊の公 的な活動として行っている行為につきましては、受け入れている国の法令の適用はない というふうに考えております。  一方、特別の取り決めというものがある場合には、その定めに従うこととしておりま す。この場合、特別の定めとしては、いわゆる日米地位協定があるわけでございまし て、この日米地位協定の中では、例えば雇用でございますとか、出入国の関係でござい ますとか、そうしたことについて個別の定めがなされているところでございます。  しかしながら、この協定の中には、臓器移植とか、医療法でございますとか医師法で ございますとか、そうした関係についての定めがないことから、原則論に戻りまして、 そこのところについては適用はないこととなります。  その一方、先ほど別途申し上げましたように、いわゆる日米地位協定においては刑事 裁判権についての規定があるといったことから、刑罰法規の適用といったことについて は問題となりうるというふうに考えております。 ○黒川委員長  町野委員じゃないとよくわからない。どうですか。 ○町野委員  いや、私もわからないものでして。ただ、今の前段のほうですね。法令の適用はない というのは、これが特に日米地位協定に基づくものではないということですね。つまり これは、国際法上認められた原則であるということですか。それは外務省の見解です か。 ○玉川補佐  この点につきましては、関係の省庁とも協議をいたしましてまとめたものでございま す。 ○町野委員  そうですか。その第2点ですね。日米地位協定の云々ということですが、罰則につい ては、先ほども座長もおっしゃられましたとおり、もし罰則の適用はある、ただ執行で きないだけだということですと、そうすると、手続に従わなかったときは、少なくとも 死体損壊罪という罰則がかかってくる可能性があるわけですよね。ある場合には、きつ い展開だと、これは殺人罪になる可能性があるだろうということなものですから、おそ らくそうなると、執行はできないですけれども、適用があると考えざるを得ないという ことになると思うんですけれども、いかがでしょうか。 ○玉川補佐  ここの点、ちょっと微妙なところがありまして、なお検討を続けているところでござ いますけれども、町野先生が言われたような考え方も一つ考えられるところだと思って おります。 ○黒川委員長  これについては、実際の事例が発生する可能性が全くゼロではなくて、腎臓の移植ネ ットワークの場合も、たまたまそういうアクシデントその他で、実はドナーになる可能 性というのが出たよといったときに、今までの場合は脳死を法的に死と認められないか ら、心臓、肝臓はだめですよと。説明を何回もしてわかっていただいているわけなの で、腎臓の場合は実際に事例があるんですが、今度から脳死になりますと心臓、肝臓も いいじゃないのと。そちらで、ぜひ善意で、遺族がそう希望をしているんだからといっ たときに、さあどうするかというところですね。  それにつきましては、引き続き検討をさせていただいて、できるだけ早くある程度結 論を出すのがいいと思って私はいるんですが、ただ、日本の法律の問題と、いま言った ような、町野委員がおっしゃったような複雑なことがあるんですが、もうちょっと単純 に言えばいいんじゃないかなという気がしないこともないけれども、法律があるという ことですかね。  しかし、向こうの遺族と米軍の善意のお申し出をきちんとやった格好で受けれるよう な体制が、私個人としてはそれが非常にオープンであればいいんじゃないかなというふ うに思いますが。  そのへんは、今度の移植ネットワークの理事長が元検事総長の筧先生という、今まで もそうですから、そのへんの専門家の意見も伺いながら、また国際委員会ということ で、それは引き続きやっていただいて、またここにあげてくるという格好になります ね。今は問題があるんだという話を説明していただいたということで。  何かご質問その他ありましたら、どうぞ。町野先生。 ○町野委員  私個人としては、やはりこれ、出たとき、もったいないという感じが非常に私はわか るんですけれども、やはり、いわば法の網をくぐる格好で執行するという印象を私は人 に与えるんじゃないかと思いますから、やはりここは、ちょっとつらいだろうと思いま すけれども、我慢すべきじゃないかなというのが、私個人は、今、そのように思いま す。 ○黒川委員長  それをきちんとした、法の網をくぐっているわけじゃなくて、本当に向こう側の善意 をいかにきちんと受けられるかという体制を作ってほしいと思うんですが、それはどう いうふうになるんですかね。何か法律、法制局とかいろいろあるわけですか、法務省 の。 ○貝谷室長  そこは、関係省庁とずっと話をしてきたということでありまして、なかなかこの問題 の性格から見て、Aの場合はこう、Bの場合はこうということで、はっきりと明確な形 でのクリアカットな説明、前提というので議論をすることは難しいと思います。さっき 言ったような、最後は個々のケースを判断してということになりますので難しいのです が、本当に、今、委員長がおっしゃったような、移植につなげるような方向で進める場 合には、そこの点の検討をさらに詰めた上でなければ難しいのかなと。今、町野先生の お話にもありますような意見というものも、やはり私ども十分に受けとめつつ、しか し、委員長がおっしゃられるような方向での判断というのは必要だと思いますが、た だ、今のような状況ではなかなか、じゃあ受けましょうというのも大変難しい面が残っ ているのかなというのが率直な感じなんですけれども。 ○黒川委員長  そうですか。これ、基地の出た病人が、例えば沖縄なんかだと県立中央病院なんかに 行くこともあると思うんですけれど、その場合はどうなりますか。 ○貝谷室長  腎臓ですね。 ○黒川委員長  いや、これ全部。心臓も肝臓も入れて。今度、国内の病院に移ってきた場合、あるい は交通事故でそこへ入院したとか。 ○貝谷室長  入院の先が沖縄ですか。 ○黒川委員長  基地の病院じゃないということです。 ○貝谷室長  それは、沖縄中部ということであれば、そこは要するに、たまたまその患者さんが外 国の方ということであって、それはもう一般のルールということでやっていただくしか ないだろうと思います。 ○黒川委員長  ただ、外国の人だから、脳死の判定に従うぞなんて、そういうのはないわけですよ、 もちろん。向こうの意思表示カードを持っておられるという場合ですね。それから遺族 がもちろん納得している。 ○貝谷室長  それはあると思いますが、ただ、沖縄、誤解があるかもしれませんが、沖縄中部でと いうことになりますと、日本国内での発生になりますので、適法に行うためには臓器移 植法の規定に従った手順というものを踏んだ上でないと、これは難しいと思います。 ○黒川委員長  ただ、ドナーカードが違うから。だめ。 ○貝谷室長  実際上は難しいと思います。 ○黒川委員長  難しい。日本のドナーカードを持っていないといけないわけ、今度は。 ○貝谷室長  脳死判定に従うという幾つかの要件、それから脳死判定ということがありますので。 ○黒川委員長  そうですか。じゃあ、米軍基地に今度来られる、派遣される軍属と兵隊さんには日本 のドナーカードを配って、ウエルカム・トウ・ジャパンと、こういうふうにするわけで すな。それはいいかもしれないね。町野先生、確かに法律は難しいということはわかる けれども、国民感情それからこの委員会のマジョリティーの感情とは相入れなそうな感 じですね。先生、一言、最後に締めくくりに。 ○町野委員  いや、今、締めくくられましたので、もう私は。 ○黒川委員長  では、これも引き続き整備して、前向きに考えていただければというふうに思いま す。よろしいでしょうか。  それでは、その次、その他と書いてありますが、まず、お手元の資料にありますが、 小泉厚生大臣のほうに要望書が来ておりますので、それについて事務局のほうからお願 いします。 ○貝谷室長  前回の9月5日のこの委員会のあとに出されました、省令及びガイドラインについて の要望書、これは2件来ております。  1件が、そこの、これは脳死立法に反対する関西市民の会というところから出てきて おりますものが一つ。それともう一つが、臓器移植の性急な立法化に反対する連絡会、 そういったところからやはり要望書が出されています。  まず、最初のほうですが、これは、省令及びガイドラインについて、このようにして くれという点でございまして、まず、Aが省令に対する要望です。  1番目が、現行の今考えられている施行省令案では、様々な記録の内容なり範囲が簡 単すぎる。もう少し詳しく書くべきだということで、具体的には、救命救急医療が十分 行われたかどうかを確認するためにも、救急の現場で行った主な救命治療の経過とか摘 出までの処置内容なども併せて記録をさせるべきであると、こういう内容でございま す。  この点については、私どもの考えとしては、法令の規定が脳死判定についての記録と いうことでございますので、ちょっと範囲としては大きいのかなと。もともとカルテに 当然、救急の現場での内容はあるわけでございますので、当面は今のような省令でス タートするべきではないかと、こういうふうに考えております。  2点目でありますが、これは、もろもろの記録を閲覧できる者の範囲、これは省令で は、ドナーそれからレシピエント、それから臓器斡旋機関、ネットワーク、そういった ところに限定しているけれども、それ以外の者でもいいじゃないかと。個人が特定され ない範囲で閲覧できるようにしてはどうかと、こういう要望でございますが、この点は ご議論がこの委員会でもございましたんですが、やはり関係者のプライバシーというこ とも配慮しながらやる必要があるということで、ここの関係者にとりあえず省令上は絞 ってスタートしてはいかがかと思っております。  それから3点目は、閲覧だけではなくて、写しの交付、いわゆるコピーも認めたらど うかという点。これも本委員会でもご議論がございましたが、法律の委任そのものが閲 覧という規定になっておりますので、これはなかなか難しいのかなと思います。省令上 これを書くのは難しいと思います。  それから4点目は、記録の範囲について、規則5条3項、6条3項も含めるというこ とでございますが、これは少し誤解があるようでございまして、5条3項、6条3項と も、これは具体的な記録とかではなくて、留意事項を書いている条項でありまして、こ れ自体何も物としてはありませんので、ちょっと誤解かなと思います。  それから5点目、これは臓器の摘出とか移植について、疑義が生じた場合には、国会 に特別の委員会を設けて審査できるようにしたらどうかということ。これは国会の場で ご議論される話だろうと思っております。  それからBのほうが、ガイドラインについてのご意見ということで、きょう、参考に もガイドラインを付けておりますけれども、脳死だろうということで臓器移植、救急の 現場でお医者さんがご家族に臓器移植についていつの段階で切り出したらいいのかとい う点、大変重要な点でございますが、このガイドラインでは、臨床的脳死と判定した場 合ということで限定した上で書いておりますが、そういったのは、臨床的脳死の判断に ついては医師の裁量によってまちまちとなるので、文章を直すようにというようなこと でございますが、ご要望の趣旨を、こういうふうに修文すべきだという文言が下の2行 にございます。具体的にいつ救急の現場で臓器移植の話を切り出すかということについ て、少し不明確ではないかなと思います。私どもの今回のガイドラインでは、臨床的脳 死というものを規定をしておりまして、脳死判定項目のうち、無呼吸テストを除く4項 目について判定が行われた場合ということで限定しておりますので、むしろそのほうが 明確であって適切ではないかというふうに考えております。  それから、次のページでございますけれども、5について。これは無呼吸テストにつ いて、これは救命を必要としている患者さんに治療上プラスにならない。したがって、 次のように直すべきだということで、一般の脳死判定、救急の現場で行われる一般の脳 死判定については従来通りで差し支えないというのは削除をして、そこに書いています ように、「脳死判定を実施するについては、本人又は家族の書面による承諾を得るこ と」ということに変えるべきだということになっております。  この点については、無呼吸テスト自体は様々考慮して行う限り安全であるし、当然患 者さんに危険性が考えられる場合には無呼吸テスト自体は中止をするというのが基準の 中に入っております。そういう前提でありますと、これも必ずしも適切ではないのでは ないかというふうに考えております。  また、救急の現場で行われる一般の脳死判定について、このような書面による承諾 云々というのを、今回の臓器移植法の脳死判定との絡みでガイドラインに入れること は、また別の議論があるのではないかと、こういうふうに考えております。  それから3の、6について。これは、従前の行われております腎臓の摘出、腎臓の移 植についての記述の分野でございますが、同じように一般の脳死判定の場合ということ で、家族の書面による承諾を得ることということでございまして、これも、今、前にお 話ししたものと同じような問題があるのではないかと思います。  それから最後の、7−(1)−オ)ということで、脳死判定に当たっては、いわゆる 脳低温療法について、「当該治療法を行うことを脳死判定の実施の条件とはしていない ことに留意すること」という記述を削除すべきであると、こういうご意見でございます が、これは、この委員会でもご議論をいただきましたように、それは別に脳死判定の前 提条件ではないというのは当然だと思いますし、削除をするというのは必ずしも適切で はないなというふうに考えているところでございます。 ○黒川委員長  これについては、やはり一番の皆さんが心配しておられるところで、その気持ちは十 分わかるわけですが、やはり脳死判定のところにつきましては、もし差し支えなかった ら大塚委員のほうから、もし何かコメントがございましたら。いま説明のあったことで すけれども。 ○大塚委員  特にございませんけれども、この委員会でもかなりこのへんのことは議論をしてきた ところでございまして、今ご説明いただいたとおりで私はよろしかろうと思います。 ○黒川委員長  そのほかに何かご意見ございますか、これについては。確かに私どもは、その一つひ とつについて十分チェックしたつもりではあるんですが。それから、脳死の判定のいろ んなことについても、武下委員、大塚委員に、また特別な委員会を作っていただいて検 討をしていただいたということがあります。  そういうことであれば、それでは、その次の。 ○貝谷室長  もう一つのほうの要望書が出ております。これは項目が2つございまして、一つは、 移植コーディネーターの業務と責務についてということです。  いろいろ書いてありますが、要は、移植コーディネーターの方が実際に救急の現場で 臓器提供の説明をする際には、いきなりというか、やはり家族の承諾ということがあっ た上で接近をすべきだ、接触をすべきだというのが、ここの要旨かと思います。  また、主治医も、コーディネーターの方を呼ばれる場合には、当然家族の承諾をとっ てからやるのが当然ではないかと、こういう趣旨のことが前段か2段目に書いていま す。  これはむしろ、このガイドラインでもはっきり、そういう趣旨は生かされているとい うふうに事務局のほうでは考えております。  それから、最後のパラグラフですね。移植コーディネーターのかかわる範囲は、ド ナーの人権に大きくかかわる。したがって、コーディネーターの専門職としての業務内 容や、コーディネーターの踏み込める責務の範囲を、倫理規定も含めて、政省令に具体 的に明示し、徹底を図るべきだと。  この点、政省令でというのは、これは具体的な法律の委任がありませんので難しいと 思いますが、ただ、言わんとするところは、コーディネーターの方の責務というのは大 変重要なので、倫理規定などを含めて、また資質の向上といいますか、そういうところ に努力をしろというご趣旨かと思いますので、これは厚生省なりネットワークのコーデ ィネーターの皆さんと議論をしていくべきだろうと、こういうふうに考えております。  それから2点目の、脳死患者から提供を受ける臓器や組織の範囲ということで、特に ここに書かれておりますのは、いわゆる組織の移植について、もう少しきちんとすべき だというのが、要はポイントだと思います。「専門学会が必要とされる組織を明示し、 その是非を検討することを要望します」。そういうことはこの委員会でも、そういう方 向でのご議論があって、移植学会のほうでガイドライン等のご議論をされるということ で、この趣旨も生かされているのかなと、こう思っております。以上でございます。 ○黒川委員長  どうもありがとうございました。これにつきましても、何か。確かに、臓器と組織と いうのは違うんだという話が十分にわからないところはあると思うんですが。それか ら、それに対応して専門学会での、どういう組織があって、どういうふうな学問的な背 景があって、どういう実績があるというようなことを、これから野本委員長のほうにも お願いをしているところですから。何かこれについて。 ○小柳委員  ガイドラインの部会を既に作りまして、先日ここに提出いたしましたが、学会レベル でおやりなさいというお話でしたので、そのさらに検討を続けておりまして、ここに提 出をするのがよろしいですか。 ○黒川委員長  学会レベルでおやりなさいと言ったわけではなくて、お願いをしていただいて、こち らでまた検討をさせていただくということじゃないかと思いますが。 ○小柳委員  それでは、内容はほとんどまとまっておりますので、臓器摘出の範囲については、次 回にご審議をいただけると思っております。組織の移植は、現行行われておりますの と、それから私、倫理指針というのを3つ確認したんですが、合同委員会の倫理指針、 移植学会の倫理宣言と国際移植学会の倫理規定がありますが、3つともまず臓器、組織 の売買のことが書いてございます。コマーシャルに扱われているものも多少ありまし て、実態調査が必要かと思っております。 ○黒川委員長  これについては、移植学会だけではなくて、やはり関連するそれぞれの組織あるいは 臓器に関連あるところも入れて、十分に議論とその結果をやはり公表しているというの が、情報の公開というのが非常に大事なんじゃないのかなと。それをここにまた諮らせ ていただくということで、よろしいですね、野本先生。 ○野本委員  それで結構です。 ○黒川委員長  そういう議論でしたので、そのほかに、もしなければ、この2つのお手紙について は、それぞれの、事務局で揃えていただいて、一つは小泉厚生大臣へ来たので、事務局 から揃えて出せばいいのかもしれませんが、もう一つは私あてに来ていますので、ちょ っと見せていただいて、一応返事を両方に出しましょうね。 ○貝谷室長  はい、わかりました。 ○黒川委員長  よろしくお願いします。よろしいでしょうか。  よろしければ、それでは、その次、このガイドライン、お手元の参考資料があると思 いますが、このガイドラインを、先日ずっと先生方とご意見を伺っていたところなんで すが、それぞれにご意見がありましたが、私は、ちょっと1カ所、引っかかっていると いうわけではなくて、十分に議論はされたのかなというところが、ガイドラインの8 ページ目の真ん中のところから、検視というところですが、これでスースーッとみんな うなずいておられたんですけれども、これでいいのかなという話を一応確認させておい ていただきたいと思って、ちょっと先生方にご意見を伺いたいのですが、どうですか。 ちょっと読んでいただく。 ○重藤補佐  8ページの中ほどの。 ○黒川委員長  検視のところ。 ○重藤補佐  5 検視等  医師は、法第6条第2項に係る判定を行おうとする場合であって、当該判定の対象者 が確実に診断された内因性疾患により脳死状態にあることが明らかである者以外の者で あるときは、速やかに、その旨を所轄警察署長に連絡すること。  医師は、脳死した者の身体について刑事訴訟法第229条第1項の検視その他の犯罪 捜査に関する手続が行われるときは、捜査機関に対し、必要な協力をするものとするこ と。  医師は、当該手続が行われる場合には、その手続が終了した旨の連絡を捜査機関から 受けた後でなければ、臓器を摘出してはならないこと。  以上でございます。 ○黒川委員長  どうもありがとうございました。別に問題ないですかね。どうぞ、大塚委員。 ○大塚委員  ここのところなんですけれども、医師は、法第6条第2項に係る判定を行おうとする 場合に、速やかに、その旨を所轄警察署長に連絡することになっておるんですね。この 判定を行おうとするときは、臨床的に脳死であると判断したときになるわけですね。そ うですね。そうなりますと、まだ生きているうちに検視はどうだろうかということを言 わざるを得ないのではないか。そのへんはどうなんですか。 ○玉川補佐  この時点で連絡の規定を設けたのは、こうした脳死下での検視について、今まで捜査 関係当局においてもあまり例がないということもございまして、専門の調査員等を充て ることを想定していると聞いております。そうしたものを手配するという観点から、な るべくそうした検視等が必要となることがわかった時点で捜査機関にも連絡することが 必要といったことから、こうした規定を設けることとしております。  しかしながら、先生がおっしゃられた点については、死の青田刈りじゃないかといっ たご批判等も考えられるところでございまして、法第6条2項に判定を行おうとする場 合というのは、臨床的に脳死という無呼吸テストを除く判定がすべて終わっていて、そ れから、実際にご本人の意思が示された書面も出てきて、ご家族にこれから脳死判定を 行うことに関しても承諾が得られて、本当にまさにこれから1回目の判定を行うという ときに、ご連絡をいただければと思っております。  こうしたことにつきましては、関係当局と、現在、検討を進めているところでござい まして、この法第6条第2項に係る判定を行おうとする場合というのは具体的にどうい った場合かといったようなことについても、解釈を通知等で明らかにしていきたいと考 えております。 ○大塚委員  おっしゃることはよくわかるんですけれども、現実には臨床的に脳死の段階では、ま だ死んでないんですよ。脳死判定していないから。その段階で検視をしてくださいと言 っちゃっていいんですか。 ○玉川補佐  検視自体につきましては、第2回目の脳死判定が行われまして、実際に死亡診断書に 死亡の時刻というのが書かれてから手続が行われることになります。しかしながら、そ うした検視を行う専門の職員の確保といった必要性があることから、連絡は事前の段階 で行っていただくことができれば、そうした捜査関係の手続と移植医療の手続とが円滑 に進むものと考えておるところでございます。 ○大塚委員  それはよく理解できるんですけれども、現実に現場で、まだ亡くなっていないのに、 確実に死亡というのではない段階で警察に連絡したり何かということは、ちょっと私、 考えられないと思うんですけれどもね。理屈の上ではあなたがおっしゃるとおりだと思 うんですよ。だけど現場でね。もしも脳死判定をしない前に検視官が来ちゃったらどう するんですか。「ちょっと待ってくれ、ちょっと待ってくれ」と言って押し止めるわけ ですか。 ○黒川委員長  これはどうですか。実際のところは、いま言ったように、ある患者さんがいて、臨床 的な脳死判断というのは何回かやっているのかもしれませんが、だけど、まだ死んでら れるわけじゃないですよね。だけど、実は、死因についていろいろな疑義があるとか、 そういうような状況ですよね。疑義と言っちゃいけないけれど、そういうことを検査し てもらわないといかんのじゃないかという判断をドクターがした場合にということでし ょうね。 ○大塚委員  これは必ずしも犯罪とは関係なしに、例えば交通事故、そういうのもみんな入るわけ ですよ。交通事故は犯罪と言えるのかもしれませんけれども、いわゆる傷害事件ではな くて、単なる交通事故のケースもあるわけですから。ですから、玉川さんがおっしゃっ たような状況で検視官が来ていただいたんじゃ、まだその段階では亡くなっていないん だよね。 ○黒川委員長  検視に来るわけじゃないのかもしれないけれど、状況を調べに来る連絡を早めにして くださいよということなんでしょ。 ○貝谷室長  要するに、ここは法律にも書いておりますが、やはり移植がスムーズに行くというこ とを関係者が最大限お互いに調整をし合ってやるべきだと。これは救急の現場がどうの こうのではなくて、関係機関との関係ということでそういうふうに書かれています。  今、ここの趣旨は説明しましたが、これはまさに、別に検視してくださいということ でもなく、また、死を連絡するということでももちろん全くないわけで、ただ、なかな か確かにこの救急の現場からすれば、これから脳死判定を行うという段階で、まだ死は 確定していない段階で警察のほうに連絡をとるというのは、ややそこはためらうものが あるのかもしれませんが、やはりすべての諸条件が整って、さあこれからというときの 段階でご連絡していただく。それは、検視ということではなくて、我々として救急の現 場としては脳死判定を行いますという趣旨のご連絡は理解していただけるのかなと思っ ていますが、そこはいかがかなと思いますけれども。 ○黒川委員長  これは警察庁その他の捜査機関にはそのように打ち合わせはしてあるわけですね。こ れについてよろしいかということについて。 ○貝谷室長  こういうような趣旨で、こういうことで何とかうまく運べば、移植にということから みてもスムーズに行くのかなと思いますけれども。 ○黒川委員長  いかがでしょうか。 ○大塚委員  いや、ちょっと理解しにくいですね。 ○黒川委員長  文章だけだと理解しにくい。 ○大塚委員  この文章だと理解しにくいですよね。ちゃんと2回目の判定をやって、確実に死だ と。提供する場合ですから、脳死は死ですからね。その段階で検視をお願いしますとい うのが普通ではないんでしょうか。 ○貝谷室長  まさに検視はそうだと思いますね。検視ということでは、死の判定、救急の現場、医 学的に死を確認した段階で、それで連絡をするというのがこれまでの通常の検視だと思 います。 ○大塚委員  今までのね。心臓死に対する検視もそうでした。きちっと死が確定してからお願いし てお呼びしてということでやるわけですよね。これですと、まだ本当に脳死判定がされ ない前に連絡して、「待ってくださいよ。今、判定いたしますから」というような感じ にもとれないことはないですね。 ○黒川委員長  これは、実際の救急の現場の大塚委員の受け取り方というのはこうだと思うんですけ れども、町野委員のほうから。 ○町野委員  お伺いしたいんですけれども、これは医師法に基づく事務なんですか。 ○貝谷室長  これ自体は、医師法上はむしろ死が確定した段階の規定になっておりますので、ここ は今、先生がおっしゃったように、脳死判定を行う直前ですから、そこは死の前ですか ら、医師法に基づくあれではない。事実上の情報提供です。 ○町野委員  ということは、脳死になったら、もう一回通知しなきゃいけないんですね、医師法に 基づいて。 ○貝谷室長  それはそういう医師法上の、例の24時間というようなものは出てくるかと思いま す。 ○町野委員  おそらくこれを見ると、医師法の通報義務、死亡したときに通報するわけですけれど も、やはりそれをさかのぼらせたという感じがどうしても否めないというのは、それは あると思うんですよね。だから、ここのところで確実に診断された内因性疾患云々とい うのは、これは犯罪死体である可能性がある場合は除こうとするわけですから、まさに 医師法が規定している義務だろうと思うんですよね。ですから、ここいらへんのことを もう少し調整されないと、確かに死の青田刈りといいますか、移植のためだけにやった んじゃないかと思われるあれがありますから、確かにスムーズに事が運ぶ必要があるの は私も認めますけれども、ちょっとそこらへんの文章はやはり考えられたほうがいいん じゃないかという感じがいたします。 ○黒川委員長  もうちょっと具体的に書き込むのか、ガイドラインですからね。そのへんの。せっか くの趣旨はよくわかるので、確かにこういう場合の脳死を死と認めるかというのは初め てのことですから、そのへんの趣旨が十分にわかるように書くということなんですか ね。ちょっと私、ここが何となく気になっていたものだから先生方のところに。このあ いだは何も質問がなかったから出してみたんですけれども。 ○貝谷室長  今の点は、大塚先生をはじめ救急の先生方の状況を確認した上でといいますか、そこ とよく調整をした上で、この表現は考えるべきかと思っていますが。 ○黒川委員長  町野委員のほうも、またちょっとお知恵を拝借して。ということでいかがでしょうか ね。 ○貝谷室長  その点は、その範囲内で調整をしていただくということはご了解いただくということ で。 ○黒川委員長  そうですね。ガイドラインですから、全然見直さないというわけでもないし、より適 正な、わかりやすい文章に。 ○大塚委員  この問題は、我々というよりも、警察庁の問題じゃないでしょうかね。そのへんのこ とをよく連絡をし合っていただいて、お話し合いをしていただきたいと思います。 ○黒川委員長  よろしいでしょうかね。そういうことでいいでしょうか。当該の行政機関があるわけ ですから、そのへんの、誤解のないようにしておきたいと思いましたので、それでは、 そのようにお願いしたいと思います。  よろしいでしょうか。これについてよろしければ、次に進ませていただいて。 ○貝谷室長  今のガイドラインの関係で、1カ所だけ、きょう、修正して出させていただいており ます。  ガイドラインの1ページ目の第2、遺族及び家族の範囲というところで、これの4行 目に、「喪主又は祭祀主宰者となるべき者において」とあります。従来ここは、「喪主 又は祭祀主宰者において」ということで書いておりましたが、関係方面から指摘があり まして、まだ喪主となっているかどうか、脳死判定直後で未確定の場合だってあるの で、そこは救急の現場で喪主の方と言って誤解を招くよりは、そこは表現を工夫したほ うがいいというご指摘があったものですから、このように修正させていただきましたの で、ご了解をいただきたいと思います。 ○黒川委員長  そうですね。私も実は、そんなときに喪主なんて決まっているのかな、なんて思っ て、何となくちょっと変な気がしていたんですけれど。ありがとうございました。  それでは、よろしいでしょうか。  それでは、脳死判定に関するワーキンググループというのが、脳死判定、今にもあり ましたように、それからいろいろな厚生大臣への要望書その他でもそうですが、脳死判 定ということが一番ここの中では、特に国民が注目しているところだと思います。  そういうことから言うと、いろいろここがかなりキーになろうと思いますので、脳死 判定というものが医学的に適正に実施されているということを確認しながら国民の理解 を得ていくというためには、やはり今回も大塚先生に委員長をしていただいて、そうい う委員会を作ったわけですが、この中にというか、そこに専門委員会として継続的に脳 死のことについては、脳死の判定については検討、検証をしていきたいというふうに思 います。  もちろん、ネットワークができますと、それぞれの症例についての評価委員会という のを必ずやって、一例一例の事例について、どういうプロセスだったのかというのは当 然、ネットワークの業務として評価はしますけれども、検証しますが、ここの委員会 に、やはりそういうのを一つ作らせていただいておいたほうがいいのではないかなとち ょっと思っていますので、それについて事務局のほうからお願いします。 ○重藤補佐  脳死判定につきましては、国民の一番関心の深い部分でもありますので、もちろんネ ットワークにおいて評価もしていただきますが、この委員会としても症例について妥当 な脳死判定だったかどうかというものが、脳死判定に携わります専門家の先生方で専門 的にやはり評価して、間違いがなかったというようなことをある程度まとまったごとに 評価して公表していくことが必要ではないかと考えます。そうすることが、国民にとっ て脳死、臓器移植を受け入れやすいといいましょうか、理解しやすいことだろうという ふうに考えまして、そうした組織をこの委員会として持っていただけたらという提案で ございます。 ○黒川委員長  いかがでしょうかね、それについて。もしよろしければ、そのような委員会を作らせ ていただきたいというふうに思っております。それにつきましては、私どもとしては、 いろいろなこれまでの経過もありますし、いろいろなご意見もいただいたところですの で、大塚委員と桐野委員の両方にご相談いただきまして、そういう委員会を作っていた だく。それで、脳死がどのように行われているか、実情を踏まえながら、ガイドライン あるいは省令その他について、またご指導をいただきたいというふうに思いますが、よ ろしいでしょうか。  どうもありがとうございました。大塚委員、桐野委員に、またご苦労様ですが、また よろしくお願いいたします。  その他ですが、もう一つ、皆さんご存じかと思いますが、けさの読売新聞に腎臓の斡 旋の話がちょっと出ていました。これについて、特にきょう来ておられる方々からもい ろいろ何かあるんじゃないかなと思いますが、これについて先生方のご意見と言っては おかしいのですが。今、資料をお手元にお回ししていますが、皆さんご存じだと、お読 みになったんじゃないかと思いますが、「生体売買の腎臓、海外で移植」について、お 医者さんが関与しているのではないかというようなことですが、これは事務局のほうか らでいいの。私が言うの、あなたが言うの。私はこれについて何かコメントを求められ たので、私のコメントは、こういう人が本当にいるかどうかということは私は、この記 事は名前入りですから、かなりきちっとした裏をとってあるんだろうということで、も しそういうことが本当にあるのであれば、これは大変遺憾だというコメントを私は出さ せていただいたということであります。貝谷室長のコメントもございますけれども、ど のように諮りましょうか。 ○貝谷室長  とりあえず厚生省としての対応といいますか、ご説明を申し上げたいと思います。  従来から、こういう海外での臓器移植のために募集をしてということで、いわゆる臓 器売買につながるおそれのある斡旋業者については、各都道府県を通じまして、やめる ようにという指導を重ね重ねやってきております。ただ、なかなか、こういうアングラ の団体でございますので、モグラたたき的なところがございますが、ここは粘り強く 我々としてもやってきているところでございます。  ただ、残念ながら現行法では、生きている方から腎臓をいただくということそのもの を、罰するという規定が法律にありません。明確になっておりませんので、残念ながら そこは指導ということの限界があったわけでございます。  ただ、今回の新しい法律によりまして、生体からの臓器移植、それを斡旋するという ことについても明確に罰則の対象として禁止されました。したがいまして、今後は、法 律が施行されますと、こういったことは犯罪行為になります。したがいまして、そうい ったことは厳しく対応しなきゃいかんということと、それから、そういうことがなくな れば、報じられているようなお医者さんが関与してくると、こういうことも私どもとし てはなくなるんだろうと思っていますが、やはりそこは国民の移植への信頼ということ からみて、医の倫理ということは求められていくんだろうなと思いますし、厚生省とし てこのお医者さん個人をどうのこうのということはなかなか難しいと思いますが、学会 なり関係のところにおいてしかるべく対応が図られればなと、図っていただければな と、こんなふうに思っております。 ○大島委員  この問題は随分、10年、15年前からある問題でして、そのたびごとに腎臓移植関 係者、あるいは腎臓の内科の先生方も含めて、すべてのおそらく団体から、倫理規定あ るいはいろんなこういったものを禁止する声明がそのたびごとに出されてきたというそ の経緯があります。  学会として、あるいは医療側の団体として何かをするということについては、その倫 理規定なり出してきた声明に従って、きちんとやはり対応をすべきではないかというふ うに私自身は思います。これはきりのないことでして、次から次へと、もう10年以上 前からアングラでは何度も何度も同じことがやられて、しかも、この大事な時期にまた こんなようなことが出されて、一挙にまた移植関係者すべてがマイナスイメージを持た れるというようなことは個人的にもたまりませんし、きちんとすべきところでは、やは りきちんと対応をすべきだろうというふうに私自身は思います。 ○黒川委員長  ありがとうございました。何かそのほかに。  実は、国際腎臓学会も、腎臓の移植というのの売買というのがかなりやられている、 一部の国でやられているという話を聞きますんですよね。インドとかバングラデシュと かいろいろ言われていますが、アメリカでもリビングアンリレイテッドが今度はできる ようになると、友だちだというようなのが本当に売買がないかという保証は全然ないと か、そんなことがいろいろ問題になっていますので、国際腎臓学会でもエイシックスの 倫理委員会でだいぶこれをやっているんですけれども、インドの先生なんかは明らか に、論文も書いておられますが、やはり売るというのがやはりこれは倫理的に問題だと いう論文を出されていますが、一方で、このあいだ何かに出ていましたけれども、アム ネスティーインターナショナルなんかによると、全世界中で今年間大体6000から 7000ぐらいの死刑の執行が行われているんですね。記録に残っているだけでです よ。それが一月か二月前に出ていたと思うんですが、中国が大体四千数百、わかってい るだけでですね。だから、年間死刑執行される死刑の3分の2は中国だと。中国の人に 言わせると、これはどういう問題なのかというのはわからないのですが、国際腎臓学会 でもそのことが話題になりまして、死刑の執行されたそういう罪人からもらっていいの かということも話題になって話をするんですが、中国から出てきている先生方あるいは 委員の先生方にその意見を聞くと、十分に死刑の執行に際して、その前にですが、イン フォームド・コンセントじゃないけれど、臓器をあげるかねという話をするんだそう で、しかも、遺族というか家族にも、そうしたらどうでしょうかと。そうしたら天国に 行けますよとか、いろんな話があるのかもしれませんが、それに何らやましいことはな いと。十分インフォームして、反対だったらしないんだし、賛成してくれているからし ているのであって、何が悪いのだというのが、圧倒的にそういう意見なんですね、中国 の先生は。だから、国際学会として倫理規定、それに反対というのは、お医者さんが人 を処刑するときに立ち会ってそれをもらうというのはどんなもんかという意見が確かに あるんですが、中国の人は、何が悪いかと。インフォームをして、しかも死刑にされた 人はハッピーになって天国に行けると思って死んでいくんだからということを言います がね。ですから、国際学会としては、そういうことについて、今、一つのオピニオンを 出すというのは、ちょっと今は避けていると思うんですけれども、そんな背景もありま す。  そういうわけで、これについては、いま言ったようなことで、先生方にも一応ご意見 をいただきたいということで、その他ということで出させていただきました。  そのほかについては、ちょっと何とも言いようがないというところだと思います。  これでもしよろしければ、本日の議題が終了したことになりますが、全体として何か ご質問、コメントがありましたらいただきたいと思います。 ○井形委員  一つ、先ほど幾つかの臓器の基準が出ておりましたけれども、その中で、肺の中にブ ロック化された場合とブロック化されない場合という項目があったんですけれども、こ れはほかの臓器にも言えることでありますし、ここだけブロック化をするということ、 我々は、このガイドラインには施設を限定することで、限定されたら当然またブロック 化が起こると思うんですけれども。それは、ブロック化されたときは、また別途考慮す るとかいう、そういう表現ではいけませんか。 ○藤村委員  そうですね。ほかの臓器と整合性を持たせたほうがいいと思いますので、10月4日 に協議会がございますので、そこでもお断りをしておきますので。ここでも、それでは そういうふうに、ほかの臓器と整合性をつけて、直していただければ有り難いと思いま す。これは私の責任で、そういうことを協議会にお話し申し上げます。 ○井形委員  どうも。 ○黒川委員長  そうだと思いますね。 ○小柳委員  心臓の場合も、これと似たものを作っておりますけれども、ブロック化された場合と いうふうに書いていましたね。それを一言入れていただければ。 ○黒川委員長  そのへんも含めまして、それでは、本日いただいたいろいろなご意見もありますか ら、最後の調整というのは事務局のほうで整理をしていただいて、先ほどの3つの新し い基準ですね、膵臓、肺、それから小腸もそうですが、基本的な除外規定なんかは、順 番や何かは一応整理をして、それぞれが一応整合性があるものにできるところはする。  それから、移植を実際に行う場所については、関連学会のほうでこれからやりますか ら、それについて当然、ブロックについてのコメントも出てくると思いますね。心臓と 肝臓と同じようなことが出てくると思いますので、それについては今後の整理というこ とで、それを実際のネットワークのほうでそれを行っていくということになるというふ うに思います。  そういうことからいうと、臓器の移植に関する法律の施行に向けた検討ということ は、きょうが一応最後にさせていただくことになりますが、先生方には、せっかく長い 夏休みを休もうと思っていた人もいるのかもしれませんが、そういうことはなしという ことで申し訳なかったと思いますが、ありがとうございました。  それから、これの基本的事項につきましては、これから日本腎臓移植ネットワークが 臓器移植ネットワークになりまして、それの運営にこれを生かして運営していくことに なりますけれども、引き続き検討することがどんどん出てまいりますから、今後もこの 委員会を引き続き継続させていただいて、先生方に検討をお願いするという形になりま すと思いますが、そういうことでよろしいですね。そのときには、また先生方、よろし く、このまま引き続き委員をお願いしたいというふうに思いまして、私のコメントを終 わりにさせていただきまして、心から御礼を申し上げたいと思います。 ○小林局長  一言ご挨拶申し上げたいと存じます。  今、黒川先生から、また引き続きこの専門委員会を続けてご審議いただくことが出て くるお話がございました。  ただ、きょうの段階では、一応本日のこのご審議をもちまして10月16日の施行へ の準備が一応完了したことになります。細かいところは最後、残ったんですけれども。 本当にありがとうございました。今、先ほどありましたように、夏休みをつぶしてまで もずっと大変忙しい日程でご審議いただきまして、心から御礼を申し上げたいと存じま す。  実は、今お話がありました、腎臓移植ネットワークを、今度は多臓器用の臓器移植ネ ットワークに切り替えるということにつきまして、実は、私どもの省令案並びに局長通 知のガイドライン案を、与党であります自民党の社会部会と、臓器移植調査会の合同の 委員会のほうでご説明を申し上げました折に、実は国会議員の先生方から、社団法人の 腎臓移植ネットワークの運営について大変心配をしているという趣旨のご発言がありま した。  内容はどういうことかと申しますと、実は、社団法人腎臓移植ネットワークというの は、会長が小紫さん、それから理事長は、前は嶋崎さん、途中で参議院議員になられた んですが、それは選挙の繰り上げ当選でなられた。この理事長さんがお亡くなりになら れまして、今は筧さんという方が理事長で、この筧さんというのは、元検事総長、その 前は法務省の事務次官をやられたという立派な方でございますが。  この社団法人腎臓移植ネットワークが、小紫さんという会長さんからの寄付金が多額 であって、そして事務局にも小紫さんの関係企業の人が、社団の経理外の経費というの は小紫さんの個人的な寄付なり企業の寄付によってお助けをいただいている。というこ とは、個人の寄付に頼りすぎて、なぜ政府はもっと金を出さないのか、それからまた、 寄付ももっと多方面から、いろんな人から広くもらうのが筋ではないかと。こういう経 営では、一人のご意見によって大変全体の運営が曲げられるおそれがあるのではないか というご指摘でございました。  私どもとしては、小紫さんという方は娘さんがお二人いらして、この方が腎臓移植を 期待をしていたけれども間に合わなかった。それで、これではいけないということで腎 臓移植を何とか普及を図りたいという、ある意味では本当にボランティアとして、そし て自分の私財をなげうって、よかれと思ってやってこられた方で、今まで腎臓移植にお いておかしなことがあったわけでも何でもない。ただ、国会議員の先生がご指摘のよう に、大変一人の方の財力によって、ご寄付によっているということ自体は経営としても 決して好ましいことではないということで、今後改善するように政府としては努力をし ていくと申し上げたんですが、国会議員の先生方は、本来、社団法人であることがけし からないと。今回、新しい法律ができたんだから財団法人として新しいネットワークを 作るべきであるというご意見がありましたし、それから、もっと理事会を、社団法人の 腎臓移植ネットワークの理事会、今度団体が変わるにしても、その理事会の情報を公開 にすべきであるとかというような、会の運営自体も国民の皆さんが心配して見ているか ら、それに応えられるようにすべきであるというご注文等がありました。  一部の議員の先生は、今のままでは認めないという厳しいご意見もあったんですが、 最終的には、実はまず、今回の臓器移植法案の法案の提案者である議員さんの方が合計 14名いらっしゃいますが、その14名の方のうち、お二方の国会議員さん、与党から 1名、野党から1名ということですが、お二人の方を、この今度できます臓器移植ネッ トワークの理事会の理事に推薦をして、国会議員さんに、その提案者から二人入ってい ただく。そして、もう一人、最終的には腎臓移植にご理解のある国会議員さんを一人、 現在の腎臓移植ネットワークのグループの方々がご推薦があるということでございまし て、合計3名の国会議員さんが新たに理事に入っていただくという形で、この理事会が もう少し国民の広い意味での見方ができるように。  それから、今度新しく10月16日に発足するその理事会については、局長から今度 は最終的に法人の許可を出す折に、この理事会を公開するか、あるいは議事録を公開す るか、そのへんのところについては細かい詰めができていませんけれども、国民から見 える形での理事会にするということのお願いをするということで、最終的には国会議員 の先生方のご了解を得たところでございます。  そういうことで、今度の臓器移植ネットワークは、腎臓移植ネットワークが腎臓移植 の腎臓がとれてネットワークになりまして、今のところ小紫会長、筧理事長のもとで、 理事に、いま言いました国会議員さんが合計3名、そのうち2名が今度の臓器移植法案 の提案者の方が入られるという形をとり、それからその他、今までは腎臓移植の関係だ けですから、ドクターの場合もほかの臓器の移植の関係者の方も入っていただく。ま た、その他ほかの、いわゆる、今回、移植の関係で広く、輸送等が関係ありますから、 輸送関係の企業の代表の方にも入っていただく、ご協力をいただくというような構成で もって、理事の数も増えまして、国民に見える形での理事会、そして国民の皆さん方に 公平、公正な臓器の配分ができるようにということで進めていきたいと考えておりま す。  私どもとしては、本来的には確かに議員さんがおっしゃるように、社団よりは財団の ほうがベターなんだという議論に対して、私のほうは財団ができ得なかった。今、財団 を作ろうと思いますと、大体少なくとも10億円の金が必要になるわけですけれども、 とても今時になって、この3カ月のあいだに10億の金を集めるなんていうことはとて もできません。従来の社団のやり方でもって不適正があったわけではないので、その形 でもってやっていこうということで、国会の議員の皆さん方にもご了解をいただいたこ とでございます。  そんなことで、10月16日に向けて、ほぼ体制固めが終わったということを皆さん 方にご報告をさせていただいたわけでございます。  今後はまだ、先ほど黒川先生がおっしゃられましたように、まだ細かいこと等、細か くもない大きなことも残っておりますけれども、また引き続きお願いしますけれども、 きょうのところは、ひとまず今回の法施行にあたっての審議の一連の過程が終わったと いうことで、本当に心から御礼を申し上げまして、ご挨拶とかえさせていただきます。  本当にどうもありがとうございました。 ○黒川委員長  この委員会は今後も続くとして、相変わらず公開でよろしいのですね。 ○小林局長  はい、相変わらず公開で。 ○黒川委員長  私も先生方皆さんにご賛同をいただいたように、この審議会の一番よかったのは、や はり全面公開をしたことだと思いまして、いろんな意見が皆さんに聞いていただけると いうのは非常によかったと思っています。また、基本的に、いま言った財団もそうです けれども、そういう格好がいいんじゃないかなと思っています。ありがとうございまし た。またよろしくお願いいたします。 問い合わせ先 厚生省保健医療局エイズ疾病対策課臓器移植対策室    担 当 重藤(内2361)、眞鍋(内2364)    電 話 (代)03-3503-1711