97/09/08 公衆衛生審議会成人病難病対策部会議事録 公衆衛生審議会成人病難病対策部会 議事録   平成9年9月8日(月)     16:00〜18:00 於:霞ヶ関ビル33階   東海大学校友会館「富士の間」 塚原補佐  それでは、定刻になりましたので、ただいまより、公衆衛生審議会成人病難病対策部 会を開催いたします。  まず初めに、臓器の移植に関する法律施行規則(案)の答申を行います。  高久部会長、よろしくお願いをいたします。 高久部会長  それでは、答申をさせていただきます。  臓器に関する法律施行規則(案)につきましては、去る8月の29日に開催をいたし ましたこの部会におきまして、厚生省からの諮問がなされました。ご審議いただいた結 果、原案どおり了承する旨の答申を行うことをご了解いただきましたので、本日、当部 会にお見えになっておられます小泉厚生大臣に私のほうから答申書を手渡したいと思い ます。  それでは、よろしくお願いをいたします。  (部会長より厚生大臣へ答申書が手渡される) 高久部会長  ここで、厚生大臣から一言ご挨拶をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたし ます。 小泉厚生大臣  本日は、ありがとうございます。  臓器の移植に関する法律施行規則に関する諮問について答申をいただき、ありがとう ございます。  厚生省としては、臓器移植法の施行に向け、答申いただきました施行規則や法律の運 用上の指針などを定めるほか、臓器移植ネットワークの整備などに万全を期してまいり たいと考えております。  私は、個人として臓器を提供する意思を有しておりますが、厚生省としても、国民の 皆様に臓器提供についての意思を表示していただくためのカードの普及に向けて最大限 の努力をしていく考えでありますので、引き続き委員の皆様のご支援をよろしくお願い いたします。  どうもありがとうございました。 高久部会長  どうもありがとうございました。今、大臣のお話にもありましたように、小泉厚生大 臣におかれましては、臓器移植の推進のために御自ら臓器提供者となられるご意思がお ありとのことですので、もしお差し支えなければ、この場をお借りして臓器提供意思 カードにご署名していただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。 小泉厚生大臣  (意思表示カードに署名) 高久部会長  どうもありがとうございました。  厚生大臣におかれましては、公務ご多忙につき、本日は、ここでご退席していただく ことになっております。  どうもありがとうございました。  (厚生大臣ご退席) 高久部会長  それでは、引き続きまして、本日の部会の開催につきまして、事務局のほうから説明 をよろしくお願いします。塚原さん、どうぞ。 塚原補佐  それでは、引き続きまして、本日の部会の開催につきまして、事務局のほうからご説 明を申し上げます。  まず、本日の委員の先生方の出席についてご報告を申し上げます。杉村委員、瀬在委 員、津久江委員、町野委員から、都合によりご欠席というご連絡をいただいております なお、津久江委員におかれましては、長期出張ということでございまして、日本医師会 から小池先生の代理出席をいただいております。したがいまして、本日は、20名の委 員のうち17名の委員の先生方にご出席をいただいております。以上、ご報告をさせて いただきます。  続きまして、小林保健医療局長よりご挨拶申し上げます。 小林局長  公衆衛生審議会成人病難病対策部会の開催に当たりまして一言ご挨拶を申し上げます  各委員の先生方には、かねてから本部会の審議にご協力を賜り、また、本日は大変ご 多忙の中ご出席をいただきまして、誠にありがとうございました。  また、ただいまは、臓器移植に関する法律施行規則(案)につきまして、これを了承 する旨の答申をいただき、ありがとうございました。  さて、本日の部会では、この後、難病対策専門委員会からの報告に基づき、今後の難 病対策についてご審議をいただくほか、CJD及び類縁疾患の調査の結果について専門 委員会から報告をいただくこととなっております。  このうち、今回の難病対策の見直しにつきましては、本年4月に開催された当部会に おいて、難病対策専門委員会に検討が付託されたものでございます。その目的は、平成 7年12月に当部会で承認されました難病対策専門委員会の最終報告書後の諸般の情勢 を踏まえ、特定疾患治療研究事業をはじめとする今後の難病対策について具体的な方向 を出していただくことでございますが、その検討課題は、いずれも極めて難問でござい ます。  難病対策専門委員会でご検討をいただいた主な事項を3点ばかり例示をいたしたいと 思います。  まずひとつは、ALSなどの重症難病患者の療養環境整備のあり方を、入院、在宅の 両面からどのような方向づけをするのか。  2つ目に、事業創設後25年が経過し、様々な問題点が指摘されるに至っている治療 研究事業、難病医療費の公費負担制度のことでございますが、この研究事業を今後どの ように運用をしていくのか。  3つ目には、平成10年から12年の財政構造改革のための集中改革期間においては 奨励的補助金の毎年度1割削減が政府の方針となっている中で、また、地方分権の中で 国と地方の役割分担が厳しく問い直されている現状の中で、難病対策をどのように位置 づけ、取り組んでいくのか。といった問題でございます。  黒川委員長をはじめ難病対策専門委員会の先生方には、大変お忙しい中、患者団体か らの意見聴取なども実施しながら、精力的に、かつ真剣なご審議をいただき、報告書を まとめていただきました。ご労苦に対しまして、心から感謝を申し上げたいと思います  本日は、この報告書を黒川委員長からご報告をいただき、その内容についてご審議を いただくわけでございますが、当面の難病対策の方向を定める重要な報告になるものと 考えております。  部会委員の皆様には、どうか忌憚のないご意見をいただきますようお願い申し上げて ご挨拶とさせていただきます。  なお、黒川委員、若干お時間遅れられるようでございますので、まず最初に、CJD 及びその類縁疾患の報告から始めさせていただこうと、このように思っております。ど うぞよろしくお願いを申し上げます。 高久部会長  どうもありがとうございました。  それでは、資料の確認をさせていただきたいと思います。 塚原補佐  それでは、本日ご用意をさせていただいた資料は3つございます。資料の1が、難病 対策専門委員会の報告書。2番が、それに付随する資料集でございます。資料3番とい たしまして、CJD関係の資料を添付させていただいております。以上、ご確認をいた だければと思います。 高久部会長  どうもありがとうございました。今、局長さんからお話がありましたように、黒川先 生が車の都合で少し遅れられますので、最初に議題の2の、CJD及び類縁疾患調査の 結果について、佐藤先生、よろしくお願いいたします。 佐藤委員長  CJDサーベイランス委員長の佐藤でございます。  それでは、ご指示によりまして、資料の3の専門委員会の概要についてご報告申し上 げます。1ページを主に報告資料としまして、次のページ以下は参考資料とお考えくだ さい。  今回は、平成9年6月の末までに47例を報告いただきましたが、そのうちの11例 が昨年度の全国調査で既に把握されておりました症例で、新規報告例は36名でありま した。このうちの34例についてクロイツフェルト・ヤコブ病と診断されましたが、2 例は、診断そのものについての追加調査が必要として、診断は保留してあります。  英国の新変異型CJDのひとつの特徴は若年発症でございますが、若年発症者は49 歳以下で3例報告がございましたが、新変異型と認められる症例は存在しておりません でした。  次に、手術の既往歴を有するものが16例ございまして、そのうち硬膜移植例は3例 でありました。硬膜移植の手術を受けた年代は、1982年、86年、87年4月で、 それぞれの硬膜についてロット番号の特定はできませんでした。  (4)としまして、献血歴がある症例が今回の調査期間で4例ございました。このう ちの1例は前回の報告の重複例でありました。  今回、調査結果及び調査方法について検討いたしましたが、昨年の把握率に比べまし て、今回の把握率がやや低いことが問題になりまして、これは、来年の夏をめどに、平 成9年度の医療受給者証の申請者と本調査の報告者のすり合わせ等の作業のもとに把握 率を確認した上で、もし問題点があれば、さらに調査方法について検討を行うことが決 まりました。  次に、本調査の報告例を利用したケース・コントロール・スタディの進行状況の報告 がありまして、今回、ケース31例についてコントロール22例の集計が報告されまし た。  4としまして、献血歴のある症例に対する対応についてでございますが、今回の報告 例を含めまして、現在までに血液対策課では献血歴があるCJD症例を10例把握いた しました。そのうち献血歴が確かめられた3例に関連した血液製剤については回収を行 っております。残りの4例は献血記録が既になく、3例は現在調査中との報告がありま した。  また、血液製剤の回収に伴いまして、別添の2の資料でございますが、血液製剤の投 与を受けた患者さんのうち特定できる症例については、専門委員会で共通認識の上に立 った情報を提供することといたしました。  以上でございます。 高久部会長  どうもありがとうございました。今のご報告に関しまして、どなたかご質問、ご意見 おありでしょうか。  硬膜移植例は、34例中3例と解釈してよろしいのでしょうか。 佐藤委員長  はい。新規はそうでございます。 高久部会長  どうもありがとうございました。ほかにどなたか、ご質問、ご意見おありでしょうか  まだ引き続いて調査をやっていただけるわけですね。 佐藤委員長  定期的にはサーベイランス委員会に上がってきました症例は年に2回、委員会で検討 されますが、もし何か問題があったときは臨時のことも考えておりますし、それから、 先ほど申したように、把握率などは、もう少し推移を見た上で、もし低ければ把握率を 高める検討もされると思いますし、これは引き続いて調査がなされます。 高久部会長  よろしくお願いしたいと思います。どなたかご意見。  もしなければ、事務局のほうから説明していただけますか。どうぞ。 中谷課長  エイズ疾病対策課長の中谷でございます。  黒川委員長、専門委員会委員長がお見えになるまでの間、基本的な事実関係を各委員 の先生方に共有していただこうとの趣旨で資料編のご説明を申し上げたいと思いますの で、よろしくお願いを申し上げます。  難病対策専門委員会の報告書に付随しております資料編でございます。資料番号でい いますと、資料2でございます。よろしゅうございましょうか。  まず、難病の概念についてでございますけれども、資料集の1ページを見ていただき たいわけでございます。これは、昭和47年に策定されました難病対策要綱でございま すけれども、難病の概念を1ページの図の左側の1と2、このように整理をしておりま す。  1のカテゴリーは、原因不明、治療方法未確立であり、かつ、後遺症を残すおそれが 少なくない疾患という形で、例としましては、ベーチェット、重症筋無力症等。  それから(2)のほうが、経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず介護等 に著しく人手を要する。このような小児がん、小児慢性腎炎、ネフローゼ、小児ぜんそ くがこれに当たりまして、臨床像と患者家族の置かれた社会的立場に着目した概念でご ざいます。  1番のほうは、まさに私たちが、今日論議をしていただきたいと思っております、い わゆる特定疾患でございます。(2)のほうは、小児慢性特定疾患、このようなもので ございます。この1、2を併せて難病と総称しているわけでございます。  これに対してどんなことをやっているかというのが、1ページの真ん中のコラム1か ら5まで書いてございますけれども、調査研究の推進、医療施設の整備、医療費の自己 負担の解消、地域における保健医療福祉の充実、QOLの向上、このような5つの柱建 てに沿いまして、国家予算でいいますと平成9年度には総計で940億円の予算をもっ て事業を行っているわけでございます。  図の右のほうにあります各種の施策のうちでございますが、これから申し上げます、 いわゆる特定疾患、私たちの今日の論議のことは、まず、事業費から見てみますと、項 目1の一番上の特定疾患調査研究事業、これは14分野に48の研究班を設けて研究助 成を行っております。この事業を特定疾患調査研究事業と申しまして、213億の総予 算のうち15億円が投じられているものでございます。  それから次に、医療費の自己負担の解消。この3番の項目の一番上に書いてあります 特定疾患治療研究事業。これは、213億円のうち9割に当たります186億円を占め ております事業でございまして、いわゆる医療費の自己負担を公費で負担をする。この ような仕組みになっております。  疾患から見てみますと、現在、特定疾患対策の対象となっている疾患は、3ページに ございます、1の脊髄小脳変性症から118のスモンまで、118疾患でございます。 このうち38の疾患については治療研究の対象疾患といたしまして、医療費の自己負担 分を公費で負担しております。  その38の疾患のリストが4ページ目でございます。1番のベーチェット病から38 番のクロイツフェルト・ヤコブ病まで、この38疾患について医療費の自己負担分を公 費で負担をしております。例えば、医療費の総額が100万円ということになりますと 国民健康保険の自己負担率が3割でありますから、30万円の自己負担が生じます。し かし、高額医療の制度がございますので、申請すれば自己負担上限の6万3600円を 除く額、すなわち23万6400円が払い戻されることになります。特定疾患治療研究 の制度は、6万3600円の部分についても公費負担をすることによりまして、結果的 に医療費の自己負担が全く生じない、このような制度となっております。  また、申請の手続をしなくても、38の疾患の患者であればこのようなメリットが得 られるというふうになっております。逆に言えば、残りの80疾患につきましては、研 究ですとか福祉事業の対象とはなるわけでありますが、医療費の公費負担というのはな いわけでございます。  次に、特定疾患の治療研究事業の概要について若干述べますと、この事業の目的は、 事業の実施要綱で、いわゆる難病のうち特定の疾患については、治療が極めて困難であ り、かつ医療費も高額であることを考慮し、特定疾患に関する医療の確立と普及を図る とともに、患者の医療費の負担軽減を図る、このようにされておりまして、医療の確 立・普及と医療費の負担軽減、このような2つの側面を持っているわけでございます。  どのような疾患を治療研究の対象にするかということにつきましては、難治性ですと か、重症度が高くて患者が少ないために公費負担の方法によって患者の受療を促進しな いと原因の究明ができないというような条件をもとに、厚生大臣の私的諮問機関であり ます特定疾患対策懇談会の意見を聞いて決定をしておるということでございます。  対象患者全体の推移につきましては、資料の14ページを見ていただきたいと存じま す。大体このような感じで、毎年10%ぐらいのペースで患者の方々の数が増えており ます。14ページには、患者さんの数の推移というものを示してございます。  この要因といたしましては、ひとつは診断基準の普及ということが考えられますが、 15ページ以降、各疾患別に患者数の推移を見てみますと、スモン以外の患者の方は長 期にわたって患者数が増加し続けているわけでございまして、医療の進歩に伴う効果的 な対症療法の開発、あるいは診断基準の普及等による患者さんの掘り起こしなどが推察 されるところでございます。  このような患者数の増大は、特に一部の疾患において顕著でございまして、資料の1 3ページを見ていただきますと、対象疾患38疾患のうち上位の5疾患、潰瘍性大腸炎 全身性エリテマトーデス、パーキンソン病、特発性血小板減少性紫斑病、強皮症、これ らが全体患者数の約5割を占める状況でございます。  このような患者数の増大は、当然のことながら予算の増加ということも伴っておりま して、予算の増加状況は9ページに示したとおりでございます。当事業の予算は25年 間に、発足の昭和47年、3億1000万から始まりまして、現在、186億円。 約60倍に増えているところでございます。  一方、患者の方々の現状ということで、患者の方々の自立度、どの位いご自分で生活 できるのかというのが、また前に戻りますが、4ページでございます。これは研究班の 報告によりまして、各疾患ごとにどれぐらい全面的な介助が必要か、あるいは自立をさ れているかという調査をいたしました。その結果、ここにお示ししたとおり、ベーチェ ット病を見てみますと、全面介助率が0.7%。いわゆる寝たきり状態の方が0.7% それから、自立率が91.3%。自分で生活されている方が91.3%、我々はこのよ うに読んでおりますが、各38疾患を見てみますと、例えば8番の筋萎縮性側索硬化症 この疾患の場合には、全面介助率が31.2%、自立率が34.1%、このように寝た きり状態の方が3分の1おられる。このようなことでございます。  全体を見てみますと、難病の患者の方々、平成8年度で36万人おられますが、その うち全面介助状態の方が5.6%ということで、難病患者の方々のうち8割ぐらいの方 が自分で生活ができる。それから、大まかにいいますと15%ぐらいの方が手助けが要 る、5%が全面的に介助が要る、このような実態でございます。  以上、雑駁でございますが、審議に先立ちまして事実関係のみのご説明をさせていた だきました。ありがとうございました。 高久部会長  どうもご苦労様でした。  それでは、引き続きまして、今回の難病対策の検討につきましては、審議会として難 病対策専門委員会に検討をお願いしたわけでありますが、黒川委員長を中心として、非 常に精力的に検討をしていただきまして、今回、その報告書をまとめていただいており ます。黒川先生、経過等を含めて、ご報告をよろしくお願いいたします。 黒川委員長  どうも、遅れて申し訳ありませんでした。  お手元の報告書についてご説明させていただきたいと思います。  当部会に設置されております難病対策専門委員会ですが、ここのお手元にありますが 本年の4月に、ここの部会から、今後の難病対策の進め方について検討を付託されたと ころでありまして、今度、一連の審議を踏まえて、「今後の難病対策の具体的方向につ いて」という報告をここにとりまとめさせていただきましたので、ご報告させていただ きます。  実をいいますと、ここに至った経過ですが、今回の難病対策専門委員会でありますけ れども、ここに至った経過と当委員会の審議の経過につきましては、ここの報告書の一 番最後を見ていただきたいのですが、難病対策専門委員会等における検討の経緯のとお りでありまして、まず最初に、平成5年の7月と一番上に書いてありますが、一番最後 のページですが。ここで、難病対策というのは昭和47年からずっとあって、非常に大 きな役割を果たしたわけですが、これについて21世紀に向けた総合的難病対策につい て検討をしろということがありまして、何回もこの検討を加えまして、平成7年の12 月に当委員会の最終報告といたしましてここに報告させていたことは、特定疾患の治療 研究事業の具体的な方法としては、現在、課長から報告ありましたように、この治療研 究事業というのは、ここの予算の9割近くを使っているところでありますが、具体的方 向として、対象疾患の決定に当たっての具体的な基準の作成。今どうして38疾患が治 療研究事業の対象になっていて、ほかのはなっていないのかというようなこととか、作 成をする基準による対象疾患の取捨選択というのがないと、常に一方的に増えていくば かりではちょっと問題があるし、そのあと、一部は治療の進歩その他によって、例えば 20年前に比べるとかなり病態が違っているものもあるわけで、そのような提言をさせ ていただきました。  実際は、その提言を受けて行われた特定疾患対策懇談会での治療研究事業の対象疾患 の選定基準の検討をするということについては結論を得るに至らなかったので、改めて ここの先生方の部会から、治療研究事業のあり方について検討を付託されたというわけ でありまして、それについてのご報告をさせていただくということになります。  また、今回の検討に当たりましては、最近、国会等でも取り上げられておりますし、 重症難病患者の療養の環境の整備の方向とか、もちろん財政の状況が極めて厳しいわけ で、そういうことを踏まえた上での総合的難病対策の進め方についても併せて検討を行 ったわけでありまして、その背景につきましては、この報告書の第1ページ、「はじめ に」というところでありますが、そこに記載してございます。  また、もうひとつ、この委員会の審議に当たりましては、全国の主要な、いわゆる難 病患者団体3団体というのがありますが、その団体の代表者からも意見聴取を行いまし た。これは前回の、平成5年からのときもご意見をいろいろ伺ったのですが、この報告 書のとりまとめに当たりましても改めてその患者団体の方とももう一回お会いいたしま して意見書の提出を求めて、患者サイドの意見の反映にも努めさせていただいたという ところであります。  さて、ここで、この報告書がありますが、全体を4つの柱で構成しておりまして、1 ページから2ページにわたりましては、「1 調査研究の推進方向について」。それか ら、2ページから始まるところに「難病患者の療養環境の整備について」というのがご ざいまして、さらに6ページに行きますと「難病患者等居宅生活支援事業の改善につい て」というのがございまして、さらに6ページの下のほうに第4項として「特定疾患治 療研究事業の見直し」ということについてまとめさせていただいております。  それでは、このページに従って説明させていただきますが、まず1ページの「調査研 究の推進方向について」でありますが、具体的には3つの提言をさせていただいており ます。  ご存じのように、調査研究の推進方向につきましては、一昨年から調査研究のあり方 の班編成というのを大幅に変えまして、現在2年目が終わって、かなり進捗状況が進ん でいるところでありまして、一応3年目が終わったところで、もう一回どのように編成 するかということと評価を入れるということになっておりますが。  まず、第1は、重点的な研究の実施ということでありまして、画期的な治療法の開発 とか難病患者の生活の質の大幅な改善につながるような有望な研究を新たに指定して、 研究期間を決めたうえで難病克服のための重点的な戦略研究を行うということでありま す。これは、従来の研究班からいうとかなり違った様相だと思いますが、現在、2年前 から始まっているのは、かなりこのようなニュアンスといいますか、フィロソフィーが 入っているのではないかというふうに思います。  それから2番目は、研究成果の積極的な情報提供ということでありまして、毎年の研 究成果を、先生方も研究班の班員あるいは班長先生として参加された先生が多いと思い ますが、いろいろな報告書というのができまして、いろいろなところに配られますが、 非常に無味乾燥なものが多くて、あれだけ作っても一体何の役に立っているのかなとい うことを思っておられる先生も多いと思うのですが、毎年の研究成果をわかりやすく簡 潔にまとめて情報提供をする。それで、全国の診断・治療の水準の向上に寄与したい。 しかも、どうも患者さんの団体の話を聞くと、何が起こっていて、どんなことが解って どういうことが最近起こっているのかということは、あまりご存じない。確かにあのよ うな報告書ではご存じないのが当たり前の話で、もっと患者さんや家族の要望に対応で きるように、普段の診療をされている地域のドクター、あるいは患者さんや家族にもわ かりやすいような報告書を是非作るなり、あるいは、どのようなことがされて、どうい うことがわかってきたかということを、もっともっと情報提供をするというシステムづ くりとその努力が大事だということであります。それにつきましては、いわゆる難病情 報センターというのができつつありまして、これがさらに充足されてきますが、そのよ うなものを使う、あるいは地域の保健所などを使って積極的に情報を提供したいという ことであります。それを図ってくださいという、このような方向で書いてあります。  それから、もうひとつは、特定疾患だけには限りませんが、医薬品の適応外使用研究 に関する体制の確立でありまして、ご存じのように、今の医薬品の保険での使用という のは、すべてその適応が決まっておりますが、医学の進歩その他によっては、ある薬剤 は適応外といわれても難病にはかなり広く使われているのがいくらでもあります。本当 をいうとそれは間違いだということになりますが、実際の医学的には正しいわけであり ますので、患者さんへの適切な説明、副作用あるいはそれらの迅速な対応とか、研究結 果の評価等の体制を確立して、効果的な治療方法の開発が促進されるように各研究班を 支援すべきではないかということで、実際これも2年前から、平成8年度の特定疾患調 査研究事業の中で医薬品の適応外使用指針というようなことも研究班の成果として出て いるところであります。  その次に、2ページの難病患者の療養環境の整備でございますが、全体を、3ページ の上ですが、入院又は入所施設の確保の対策というのと、地域に根ざした在宅療養の支 援対策、その次のページでありますが、そのような2つの点について提言をさせていた だきたいと思います。  まず、3ページの、入院あるいは入所施設の確保対策につきましては4つのことが書 いてありますが、まず地域における受け入れ体制の整備でありまして、患者さんに対し て適切な療養指導体制の確立を含めて組織的な入院の受け入れ体制を地域ごとに整備す るために、基幹的な病院の確保とその連携施設の構築を図ってほしいということであり ます。  2番目には、国立病院・国立療養所の受け入れ体制の整備でありまして、政策医療と しての難病の位置づけを踏まえますと、患者受け入れ体制の一層の強化を図っていただ きたいということであります。  3番目ですが、これも前の見直しからかなり強化された、資料の1ページにあります が、資料の1ページ、今、課長さんが説明したところでありますが、福祉施設の活用と 連携ということでありまして、身体障害者である患者の身体障害者療護施設というのが ありますが、患者さんの受け入れ及び病院との連携についても検討するということであ ります。つまり、患者さんの一部には身体障害者というふうに分類される方もあるわけ でありますので、そのへんの連携をもうちょっときめ細かく考えてほしいということで あります。  それから4番目には、診療報酬における支援の措置ということでありますが、これに ついても、地域における患者受け入れ体制の整備等を支援するための診療報酬の一層の 充実についても検討していただきたいということであります。  それから、4ページへ行きますと、地域に根ざした在宅療養でありますが、どうして も難病の性格からいくと、どうしても在宅療法とか、地域に根ざした医療あるいは支援 体制が非常に大事なわけで、これは医療だけではなくて福祉その他の支援も必要なわけ でありますが、これも4つの提言を行っております。  従来、これは改善されたところでありますが、まず第1に、保健所における調整機能 及び普及・啓発機能の充実ということでありまして、保健所は、保健、医療、それから 福祉、この3つの分野の各種サービスの難病患者に対する効率的な提供のために総合的 な調整機能及び一般住民への啓発機能の充実を図るということであります。これは、今 はだんだん立ち上がってきて、かなり活躍しております難病情報センターとのまた連携 も非常に大事になってくるのではないかというふうに思いますので、ぜひそのへんを十 分に充実させてほしいということであります。  それから2番目ですが、難病対策における都道府県以外の保健所の位置づけでありま して、都道府県の保健所がひとつのセンターとなっていろいろ活躍していることであり ますが、市及び区が設置する保健所を難病対策の実施機関として位置づけるようにとい う提言であります。  それから3番目ですが、難病患者の地域保健医療推進事業の見直しでありますが、移 動が非常に困難だから、やはり病院に行くのも大変だというような人も結構おられまし て、訪問相談事業、ボランティアの育成とか支援とか、訪問診療事業の充実を図る方向 で従来の事業を見直すようにしていただきたいということであります。  さらに4番目は、難病情報センターの質的充実でありまして、これは、このような難 病情報センターがありまして、患者さんあるいは家族が利用しやすいかたちでの最新の 医療情報の提供、質問に答える双方向機能の整備、訪問相談事業による患者の情報需要 の把握と情報提供の推進を図ってもらいたいという提言であります。実際、患者さんの 団体の話を聞くと、確かに難病のいろいろな研究がされたり、いろいろな施策が行われ ているらしいのだけれども、具体的に何がどうなっているのかということはわからない というところが、実は非常に不安のもとでありまして、かなりそのへんの情報、よい施 策が行われているのが十分に伝わっていないというところにもひとつ問題があるなとい うことを随分感じました。  次に、6ページに進ませていただきまして、3の難病患者等居宅生活支援事業の改善 についてということであります。これは、今年の1月から開始しましたホームヘルパー の派遣やショートステイ等を内容とする、いわゆる難病患者等居宅生活支援事業、これ は、対象になるのは、この資料の3ページにありますが、このような118と、それか らリウマチが入っているのだと思いますが、このような人たちは、いろいろな支援が実 はできるようになっております。多分、資料の5ページとか、そういうところにある、 そういういろいろな支援事業が、実は立て上げられておりますが、これを都道府県等の 現場の要望を踏まえまして、身体障害者への対応については全面除外の見直しを図ると か、それから対象者の年齢制限の見直しなどについても、18歳未満の患者は、こちら は小児ですので、またちょっと違った法律でカバーされているというので、このへんを もうちょっときめ細かく対応してほしいということであります。  それから最後になりますが、その6ページの下の4ですが、特定疾患治療研究事業の 見直し。これが一番頭の痛い問題であります。  ひとつは、事業の効果というところに書いてありますけれども、もちろん、この事業 が立ち上がったことによって大変大きな成果が全国レベルで上がったことは間違いない ことでありまして、評価として、もちろん病態の解明や治療法の研究への寄与が大きか った。あるいは、対象患者さんの把握による患者実態把握調査への寄与があった。ある いは、医療費負担の軽減による患者、家族への生活支援の効果もあったし、また、難病 に対する社会的認識の促進及び自治体の難病福祉施策の誘導効果についても非常に大き な効果があったわけで、この事業の大きな功績であったろうというふうに思います。  しかし、それについては問題点がなかったわけではなくて、7ページにいろいろな問 題点を現在指摘されているところでありまして。いくつかの問題がありますが、この7 ページの真ん中へんに書いてありますが、この事業は、科学試験研究費の補助金である という、研究事業であるということからすると、実際に参加している患者さん、あるい はこの利益を受けている患者さんと言ってはおかしいかもしれませんが、症例や疫学 データの収集手段として効率的に動いているかということが一つの問題になります。つ まり、登録している患者さんはすべて、治療研究ではなくて調査研究のほうにもある程 度データの集積いろいろなことで、もうちょっと効率的に一緒にやってほしいというこ とがあるわけですが、その点については十分ではないかもしれない。  それから2番目は、対象疾患については対症療法等の進歩による重症度が改善したと か、そのほかにいろいろなほかにも指定されていない病気があるわけでありまして、指 定されている病気の人なら結構なわけですが、指定されていない人にしてみれば、「何 で我々は指定されていないのか」と。「ほとんど同じ病気じゃないの」ということがあ るわけですが、取捨選択がある程度、医療の進歩に従ってあるべきではないかという議 論が常にあるわけであります。  それから、症例確保という点からすると、医療費の患者負担を全面公費で負担する必 要が本当にあるのかなということであります。例えば、治療研究をされた先生方、ある いは調査研究の先生方は、新しい班になると、その患者さんの実態とかいっていろいろ なところにアンケート調査をされることがよくありますが、実は治療研究のほうと整合 性というか協力関係がよければ、そんなことをしなくても、もっともっとデータが経年 的にたまっているはずなのですが、そのへんがうまくいっていないということでありま す。したがって、研究ということだけであるというと、全面的な公費負担というのは必 ずしも正しくないというふうに思われます。  その次に、この事業はもっと福祉的な側面からもあるわけでありまして、長期的な患 者さんということからいうと問題があります。  それは、7ページの下のほうにありますが、エ、オ、カと3つに書いてありますが、 まずエとして、多くの難治性の疾患で、何で一部の病気は指定されているのか、ほかの ではそうじゃないのかという、その不公平感がどうしてもあるということであります。  それから、福祉政策であると、福祉政策の一部でやるのであるとなると、例えば高額 医療費を対象にするとか、所得水準に従ってある程度自己負担の分は調整してもいいの ではないかという議論が当然起こってくるわけでありまして、このへんをやはり考える 必要がある。  それから、第3番目のカでありますが、地方自治体の福祉事業としての成熟度もかな り今までのところは高いわけでありますので、一般財源化を図るべきではないかという ことも一応考えなくてはならないのではないかということも議論いたしました。  これらの評価と問題点を踏まえますと、事業見直しの選択肢。8ページに行きますが これは一番つらいところでありますが。特定疾患治療研究事業の基本的なスタンスとし ては、この事業は、わが国独特の施策である難病対策の中心的な事業として定着してお りますし、今後とも研究事業であるということを基本に、その福祉的な側面にも配慮し ながら維持されなくてはならないというふうに考えますが、それは確実にそういうふう に提言したいと思います。  そうしたうえで、さらに厳しい財政状況の中、一部の患者さんのあいだでの不公平感 それから、本事業を維持しながら難病対策の総合的な推進を図っていくためには、事業 見直しの方向については3つの選択肢を提示したいというふうに思います。  それにつきましては、この8ページにありますように、3つ考えられると思います。  ひとつは、対象疾患の見直しであります。対象疾患は、昭和40年代の後半からだん だん増えておりますが、いろいろな疾患によっては新しい治療法あるいはその病態がわ かったことによって希少性、難病であるというその希少性とか難治性が相対的に昭和4 0年代に比べればはるかに低下した疾患もありますので、そういう疾患をむしろこの対 象から外して、新しい疾患を入れたほうがいいのではないか。最近になって新しい難病 というようなカテゴリーの病気もありますので、入れ替えてはどうかということもあり ますし、さらに、希少疾患の研究促進という意味からいうと、新たに指定された病気の 患者さんは、ぜひ調査研究にも協力してくださいということも、もちろん入ってくるわ けでありまして、患者さんの団体のほうの話を聞きますと、そういうことには全くやぶ さかでないと。実は、そういうふうに思っているほうが非常に強いんだな、ということ が非常に強く感じられました。ぜひ研究事業には参加したいという希望が随分強いんだ なというふうに思いました。  そういうことからいうと、これは平成7年の12月に先生方に報告させていただいた のと基本的には同じ、要するに入れ替えもある程度考えてもいいのではないかというこ とであります。  それから2番目も、これも一応、先生方にもご案内させていただきましたが、それぞ れの疾患について重症度の基準を導入する。重症度に応じた患者選択や患者の負担率の 設定を行うというのは割合にリアリスティックではないかというふうに思いますし、本 事業の研究的側面、それから福祉的な側面の両方に配慮した案でありまして、本委員会 の審議においても最も熱心な討論がなされた考え方であります。  具体的に申しますと、ある疾患、治療研究の対象疾患というのが資料の4ページにあ りますが、先生方、4ページの疾患の名前をつらつらずっと眺めていただくと、一方的 に必ず進行性に悪くなるという病気もありますが、中には多くの病気は治療によって緩 解をするとか、再発するかもしれませんが、緩解するとか治る病気も結構ある。あるい は、非常にシビアなものですから、患者さんとしては生きるか死ぬか、劇症で死んでし まう人もいるのだけれども、というわけですが、それでは治療によって緩解していると きはどうなのかというと、普通の生活をしている人もいる。自立率というのがあります し、一部介助率、全面介助率もありますが、その自立率も程度によって違うと思うので すが、病気によって違って、パートタイムぐらいなら仕事はできる、あるいは、フルタ イムでも残業が非常に厳しいとか肉体労働でなければ普通の仕事ができるような病態の 緩解を得るような病気もありますので、そういうときも常に自己負担はなしというのも ちょっとおかしいのではないかという考えであります。  今実際は、自己負担が全くないと、この難病そのものの病気じゃない病気にこの患者 さんもなることがあります。下痢をしたとか、簡単な話だと風邪を引いたとか、いろい ろなこともあるのですが、そういうのも自己負担は全部難病対象としてすべて公費で賄 われているというのも、ちょっとかなり不公平だなというのはどうしてもあるわけであ ります。  そこで、その重症度に応じて、当然入院とかほとんど介護が必要だという人の場合は もちろん別でありますが、かなり軽症で普通の人と同じだというような場合には、もう ちょっと、全く全面的にみんな公費負担だというのは不公平感はどうしてもあるのでは ないか。しかも、今のような医療費の問題が非常に大きいことになってきますと、どう しても既得権で、それは嫌だというのはわからなくはありませんが、そういうことをや はり進めていくべきではないかという意見であります。  それから3番目は、全額公費負担というのは、いま言ったように、やはり問題かなと 今いいましたような難治性疾患と言われているものの、やはり治療あるいは病態の歴史 的な変化、それから社会的な不公正感の問題、それから対象患者数がまた、先ほどの資 料にもありますように、どんどんなぜか増えていくのですね。ほとんどすべての病気が 増えて、増えないのはスモンぐらいだという情けない状況でありますが、そういうこと からいうと、どんどん増えてくるのをいつまでも難病だ、難病だといって、限られた予 算の中で対象疾患の入れ替えもしない。ほかの重症難病疾患の指定もして、さらに新し い新規施策の実施に要する財源を確保するということからいえば、難病対策という大き な政策医療全体を考えると、すべての現行の患者負担分の全額公費負担というのをアプ リオリにそのままやっているというのは、ちょっと見直したほうがいいのではないかと いう意見であります。  さて、その3つの主な選択肢は、どれも一応リーズナブルだと思うのですが、今後の 方向の事業の見直しの方向について、一応9ページから始まっていますが、今後の方向 ということで一応書いてございます。  ひとつは、先ほどから言っていますように、これは研究事業であるということからこ の事業の性格を理解すると、対象疾患の見直し、つまり、研究事業だというわけですか ら対象疾患を見直すとか、重症度基準の導入ということは当然のことでありますし、適 切だというふうに思われます。  しかしながら、今までの歴史的な背景その他を見てみると、審議の過程で患者さんの 団体のいろいろな話を聞いてみますと、あるいは患者さんの実態の話を聞いてみますと これについては非常に反対が強いですね。それは当然理解されるところであります。  しかし、それをするためには、ある一定の研究は必要である。これからも必要であり ますので、そういうことが非常に強く反対されるのであれば、やはり全額公費負担とい うのは、やはり見直すべきではないかということを非常に強く感じたわけであります。  そうしますと、しかし簡単に、全面公費負担は見直しよといっても、そうもいかない ので、いろいろな条件を考える必要があるのではないかということであります。  ひとつは、患者負担の方法ということでありますが、どのように負担をしていただく かということでありますが、現物給付を基本に、患者、医療機関及び行政機関の手続が 煩雑にならないように配慮すべきである。自己負担が、先ほど話がありましたように3 割が自己負担であると。そのうち、例えばこの人は、そのうちのまた3分の1となると 非常に今の医療制度からいうと手続が煩雑すぎるのではないかというのがあります。だ から、セオリーはよくても実施が難しいのでは非常に困るということがあります。  それから、患者の負担の設定に当たっては、本事業の福祉的側面にも配慮する必要が あるわけで、福祉面からいいますと重症度等の実態を勘案しながら、本来患者さんが負 担すべきである医療保険各法の患者負担の3分の1程度を患者全体で負担することを限 度としたらいかがなものかということを条件にしたいということを提示させていただい たわけであります。  これは、一部のマスコミに、何かリークしたわけではないと思うのですが、出たとき に、非常にこれは誤って報道されたのではないかと私はちょっと感じているのですが、 難病の患者さんが、こういうふうに言ったら、自己負担分の3分の1をみんな一律にど うも負担しろというふうにこれが言いそうだというふうに思われたらしいので、全くそ んなことは趣旨ではありません。むしろ、全体の患者さんが負担すべき額の3分の1程 度を、全部の対象患者さんで何とか負担していただけないかというようなふうにもって いったらどうか。つまり、入院している人とか、介護が必要であるとか、全面介護が必 要であるような人は払う必要はないわけでありまして、むしろ普通の人と同じように生 活している人の分は何とかほかの病気の人と同じようにみてくれませんかと。そうする ことによって難病対策の事業に関わる国のお金がより有効に、より適正に使われるとい う方向に持っていかれるのではないかというふうに考えたというのがこの条件でありま す。  そのほかに、調査研究といういろいろなグループがありますが、調査研究との連携を 強めてほしいというのは、平成7年の最終報告においても指摘したところでありますが この治療研究というものと調査研究、いろいろな班会議がありますが、その連携につい ては、対象患者に関する疫学的な情報の体系的な整備についても検討をするように提言 しているわけであります。これは、どうしても調査研究というのは、新たな研究班で何 かの現状を調査するというときには、むしろ治療研究と密接に最初からあれば、その疾 患のナチュラルヒストリーとか、過去10年間にどうなったかというようなことは比較 的きちんとした成績ができて、将来へ向けての新しい提言ができるのではないかという ふうには思われます。  そういうわけで、最後の10ページにまいりますが、「おわりに」ということで、現 在申し述べさせていただいたことを要望としてまとめさせていただいております。  この議論をするに当たりまして、ここの資料にあったようないろいろなデータを参考 にもさせていただきましたし、患者さん団体のご意見も大変参考になりました。という わけで、この我々の難病対策専門委員会としてとりまとめた報告の概要でございますの で、ご審議のほどをよろしくお願いいたしまして、私の報告とさせていただきます。ど うもありがとうございました。 高久部会長  どうもありがとうございました。  ただいま詳細なご報告がありましたが、どなたかご意見、ご質問等おありでしょうか  対象疾患の見直しというのが重要なのですが、その前に選定基準の作成がないとなか なか対象疾患の見直しができないということがあるでしょうね。 黒川委員長  そうですね。それも議論はしたんですが、どういう疾患を治療研究の対象にするかと いうことを、まず基準を作れといわれると大変難しいことは難しい。難病の定義は何か ということを平成5年からやらせていただきましたけれども、その定義に一応合ってい る疾患にしなくてはいけませんが、先ほどの資料にありますように、希少性ということ からいうと、いろいろな病気がやたらとだんだん増えているということからいうと、希 少性がなくなっちゃったという病気が結構だんだん出てくると思うのですね。そのとき に、「あなたはこれに合いませんからやめました」ということが本当に受け入れられる かなというのも一つの心配事です。 高久部会長  わかりました。ほかにどなたか。鈴木先生、どうぞ。 鈴木委員  最初に、一番重要なのはやはり調査研究と治療研究とをどういうふうにドッキングさ せるか。私も班長をやっていたのですけれども、問題は、治療研究の情報というのはど の程度集まっているか。これが信頼できないと思っているから班がやらないわけですね  ですから、私は厚生省のほうにお願いしたいのは、班長にお願いしたときに、例えば 私は難治性の肝炎をやっていたのですが、劇症肝炎と原発性胆汁性肝硬変というのは難 治性の肝疾患のときに治療研究対象に入ったわけですね。だからそれは。今でもアン ケート調査をやって疫学的な研究をやっているのですよ。だから、今、黒川先生が言わ れるように、それをドッキングさせるのは非常に有効だと思うのですけれども、おそら く班長の先生は、専門の先生のほうに聞いて調査したほうが正確だと。治療研究のデー タを使ってもあまり本当のことがわからないんじゃないかというふうに思っている人の ほうが多いんじゃないかと思うのですが。  そういうことで、治療研究の対象というのをどういうふうにして、今、選んで、どう いうふうにやっているのか。私、一番心配しているのは、劇症肝炎で5年間治療研究費 をもらっているという人がいるわけですよ。そうすると、私からすると信じられないわ けですね。劇症肝炎で5年間も治療研究費を受け取っているというのは。だから、どう いうふうにしてやっているかということをはっきりさせないといけないのではないかな というふうに思うのですけれども。 黒川委員長  それについても議論がだいぶありまして、ひとつは、難病として治療研究の対象疾患 の人が、いろいろな公的な補助を受けるために年に1回、また申請して、お医者さんに みてもらってデータを出して、申請をするわけですよね。そのときに、専門家の先生が 言われるほどの細かいデータを出せなんていうと、これはプラクティカルじゃないわけ なので、難病だということの更新をするためにミニマムにどれだけが欲しいのかという 程度にしていただかないと、それはなかなか難しいだろうというのは議論があります。 ですから、それを一緒にタイアップするのであれば、調査研究班のほうから、この程度 のデータは欲しいのだけれどという程度にしていただきたいなというのが一つと、各都 道府県によって申請書とその内容が少し違うということで、そのへんをむしろ研究班か ら通して、このぐらいだったら何とか主治医の先生がちょいと入れてくれるんじゃない かなという程度にしていただければということは一応ひとつのことで話してあります。  それから、いま先生がおっしゃったように、私ども、劇症肝炎というのが入っている のは一体何かなと。難病の定義からいうと希少性、それから長期にわたって治らなくて いろいろ生活の支援が要るというようなことからいうと、先生がおっしゃるように劇症 肝炎というのは短期決戦型でありますから、ちょっとこれには当たらないのだというふ うに思いますが、そうすると、ある程度定義をしたときに、劇症肝炎は当たりませんよ 入りませんよといって抜いたときに、患者さんが何と言うか。そのときに先生が何と言 われるかというところをみんな気にしちゃっているということだと思います。 鈴木委員  2つ伺いたいのですが、ひとつは、劇症は、やはりこれを外すと、本当の劇症期とい うのは、最近は血漿交換はあまりやらなくなったのですが、相当金がかかるのですね。 ですから、これはやはり何とかどこかで、難病で面倒をみなくてもいいと思うのですが どこかで面倒をみてもらわないと、特に女性で3割負担で相当の高額費となると大変だ と。これは事実だと思うのですね。  ただし、治るか死ぬかで、治った人まで何年もみる必要があるかどうかというところ は、もうひとつの議論だと。  私、もうひとつ問題なのは、クローン病とか潰瘍性大腸炎。潰瘍性大腸炎はいいので すけれども、クローン病などは、私、消化器専門でもそんなに見たことないですね。と ころが、最近は多いんですかね、こんなに。 黒川委員長  多いですね。特に潰瘍性大腸炎はものすごく多いです。 鈴木委員  潰瘍性は多くなったと思いますが、クローン。 黒川委員長  結構見ますですね。 鈴木委員  そうですか。それと、それから原発性胆汁性肝硬変が多くなっているのは、ひとつは 無症候性が入っている。だから、黄疸の程度で分けなさいとかね。  こういうことは、やはり調査研究の班に先生なり何なりが専門委員会で、対象疾患が 入っているわけですから、その対象疾患について、これからはこういう状況だから、こ ういうふうにしてくださいよ、こういうことを調べて答申してくださいよと。これは黒 川先生に全部お任せしたって、とても難しいと思うのですが、劇症肝炎とか原発性胆汁 性肝硬変だったら難治性の肝疾患のところでやってもらうとか、そういうことを考えら れれば、ある程度は整理がいくのではないのかなと思います。 高久部会長  そうですね。ただ、調査研究の班長さんがそれを見て、これは違うという症例がだい ぶ出てくる可能性があるのですね。そのときに現場が非常に困らないか。要するに、患 者さんのほうで難病のほうに、生々しい話ですけれども、難病にしてくれといわれると 先生の中には、患者さんのために、かわいそうだから難病にしてあげましょうという事 にする、そういう例がかなりいるという疑いを調査研究の班長さんは持っておられる。 実際にそういうことはときどき耳にするわけですね。そうすると、治療研究から出てき た書類を見まして、これは違いますよといって返したときに、受け持ちの先生は非常に 困らないか。現実にはそういう問題が起こりますですね。連携は、おっしゃるとおりな のですけれども。  ということは、逆に言うと、患者さんが非常に増えているという中には、福祉的な面 に、入ってしまっている。本当はその病気ではないけれども近いから入院させましょう という症例がかなりあるという疑いを調査研究の班長さんは持っていると思っています  ほかにどなたか。どうぞ、高石先生。 高石委員  今のお話と関連するかもしれませんが、黒川委員長がご説明の中で最初に、2ページ でしたか、研究成果の積極的な情報提供というところで、わかりやすく簡潔にとりまと めてというお話。本当に私、これは大事なことだと思います。毎年の研究成果の簡潔な 情報提供にとどまらず、この事業全体について、皆さんがというか、国民全体、とりわ け難病に関連していらっしゃる方が本当に事の本質がわかるような情報をやはり流して おかないと、どうしても、今、高久部会長がおっしゃったように、現場の先生が「かわ いそうだから」というだけで判断しがちです。お金のあるうちはそれはいいかもしれな いけれども、こういう状況の中ではやはりそういう意味で情報をいろいろな面でわかり やすく提供するような努力が必要ではないかと思います。 高久部会長  そうですね。ただ、患者さんのほうからも要求があって、自分の懐が痛まないという か、少し無責任なところがあるとは思うのですが、そういう事も耳に入ります。私は個 人的には経験していませんが。 黒川委員長  確かに研究班の報告も、毎年分厚い無味乾燥なのを出すよりは、いくつかの班でそう いうことが実際にはあるんですが、例えば3年終わったときに、うちの研究班では、今 こういうことがわかってきましたという、カラーの8ページぐらいの、素人にもわかる ようなサマリーを出している。それをやはり医師会その他からいろいろなところに、一 線のそういう患者さんに接している可能性が多いような方々にも、今、こういう研究が されて、今、診断はこうなってというような話を作っている班もありますので、ぜひそ ちらのほうへむしろ研究の報告は充実したいというふうに思っております。 宮本委員  先ほどの高久先生のお話ともある程度連携があると思いますが、8ページの対象疾患 における重症度基準の導入。これは大変に重要だと思うのですね。軽症のような患者さ んを、例えば難病であるからというので全額国庫負担というところに私はかなり問題が あると思います。重症度基準によってある程度疾患の重症度を分類して、重症の場合に は全額負担だけれども、例えば中度症の場合には1割をカバーしましょうというふうな 差をつけたらどうであろうかと思います。  先ほど、黒川先生からもその点についてご説明がございましたが、これはどのような 作業によって重症度の基準を作られるか。そのあたり、ご説明いただければと思います 黒川委員長  これが実は一番研究班としても行政との対応としても一番難しいところで、例えば筋 肉神経疾患の場合は、割合に緩解があるというよりは、ある程度進行性である病気が多 いので、ALSとかその他ですが。ですから、どうしてもADLのような性格の範囲と いうことで、ある程度福祉、身体障害者のようなことで一応分けられると思うのですが 内臓疾患のようなときが難しいのですね。例えば肝機能検査がこうだったらどうかとか それが実は一番ネックなので、それをどこを基準にするのか。言ったように、あるこの 病気でこういう状況だと就業が、仕事はフルタイムには何となくできないとか、自覚症 状はないけれども。というような話をどうするのかというのを少し考えなくちゃいけな いのではないかなと思います。内臓疾患の場合は非常に問題というか、難しいですね。 高久部会長  各班長にお願いして重症度基準を作ることは不可能ではないと思うのですが、一生懸 命治療して、重症から中度症になったら、あなたは今度はお金を払いなさいというと、 先生がかえって恨まれたりする。現場の先生にはなかなか難しい問題があると思います が、確かに重症度は重要ですね。  ほかにどなたかご意見を。どうぞ、石井先生。その次に杉本先生、どうぞ。 石井委員  4ページの地域に根ざした在宅療養の支援対策のところで、保健所の難病対策におけ る役割の重要性ということを述べられておりまして、このことについてちょっと申し上 げたいと思います。  保健所では、この研究事業が始まった昭和47年からいろいろな仕事をしております 初めは保健婦による訪問程度でございましたが、そのあと専門医による訪問診療、ある いは最近は医療機器貸与事業と申しまして、吸引吸入器の貸与と訪問看護サービスと併 せて行うというようなこともしております。それから、普及・啓発事業としましては、 疾病別の講演会を開催したり医療相談をしたり様々なことをしております。  しかし、今年から始まりました在宅療養者のホームヘルパー制度というのは、実はな かなか難しく、国庫補助はついておりますが、地方自治体も今、財政事情が非常に厳し いので、そちらのほうでつかなかったりしまして、東京都でも、本年度は2地区、2つ の市区で試験的にやっているだけでございます。  それと、ホームヘルパーの研修事業というのも、研修の予算も国のほうではつけてい ただきましたが、なかなか研修を受けるホームヘルパーが見つからないという現状です 在宅高齢者対象のホームヘルパーは、十分ではないのですが、かなりこの頃は増えてき ましたが、難病となりますとちょっと難しくてやれない。研修を受けるのもちょっとし り込みをしてしまうような状況でございます。これからはそちらのほうは保健所が一生 懸命に説明しまして、ホームヘルパーを見つけていかなければならないと思っておりま す。  それからは、入院・入所の充実のところでございますが、病院への入院ももちろんそ の確保は必要でございますが、患者団体からいつも言われておりますのは、長期の療養 施設が欲しいということです。それはどういう位置づけなのか。病院であるのか福祉施 設なのか、ちょっとそこらへん定かではないのですが、長期療養施設が欲しいというこ とを患者団体からはいつも言われていることです。  それから、公費負担で重症度を入れるということは、先ほどのお話にありましたよう に、リーズナブルなんですが、その重症度をどこでどういうふうに判定するかというこ とは、介護保険の認定と同じようにいろいろ難しい問題が出てくるように思いますが、 しかし、この公費負担、これだけ毎年増えていれば、どこかで何らかの歯止めは必要で あると考えております。以上でございます。 黒川委員長  ありがとうございました。実は、ご存じのように、資料の7ページから書いてあると ころですが、難病患者さんたちの在宅の生活支援というのはかなり充実させてきている ような施策がとられておりますが、今おっしゃるように、現場の保健所の方たちにそれ が十分に役に立っているかというところが、まだ問題があるというふうに思います。  それから、難病というと非常に、身体障害者とか老人その他と違って、一体何か不気 味な病気といいますか、よくわからないと今おっしゃいましたけれども、確かにそうい うのがあるのですが、難病といっても病気によっては普通の人と同じような生活をされ ている方もたくさんあるわけなので、一体その病気というのはどういうもので、どんな ふうなのかということは、実は特に保健所に行けば難病情報センターからのインターネ ットその他のアクセスがあって、保健所の方には十分にそれが伝わるように是非してほ しいということを申し上げているところであります。もし保健所の現場の方がそういう ことをもし感じているのであれば、まだその情報の伝えるメカニズム、インタラクトの ところがまだまだ不十分で、それでは患者さんになかなか行かないのではないかなとい う気がしましたけれども。 石井委員  保健所の職員は少なくとも理解しているはずでございますが、ホームヘルパーさんが 難病の方を対象としたホームヘルプに行くこと自体に躊躇するものがあるということで ございます。 黒川委員長  そのへんがだから、こちらでやっている、あるいは研究班での進歩その他が十分に情 報が伝わるようにして理解をしていただけるといいのではないか。それから、訪問看護 それから医師会の先生方による往診ですね。そのほかもされていますので、そういう意 味では大変に進歩してきているのではないかとは思います。 高久部会長  杉本先生、どうぞ。 杉本委員  非常によく問題点を整理されまして今後の方向を提示された点、私にとっても大変説 得力があり、よく納得できるわけですけれども、ただ、文章の表現の点でちょっとお伺 いをしたいわけですが。  9ページの今後の方向、(1)事業見直しの方向のところですけれども(1)、(2)の選択 肢があって、これが適切な考え方であるとの指摘が多かったということではありますけ れども、現状では(3)がやむを得ないものと考えるという、そういう表現になっており ます。  ということは、(1)、(2)は、こういう指摘はしたものの(3)で行かざるを得ないであ ろうということになりますと、この報告を受けた側は、おそらくこの(3)だけをお考え になるのではなかろうかということを心配するわけです。したがって、ここは、この報 告書の内容からしますと、「現状ではやむを得ないものとするが、しかし、なお一定の 研究を重ね、(1)、(2)についての実施のために努力を重ねるべきであると考える」と、 そういう表現になっていたほうがよろしいのではないかと思うのですが、いかがなもの でしょうか。 黒川委員長  先生のご指摘のとおり、私はここのところの文章が、あっさり簡単にあきらめすぎて いるのではないかなという気はしないでもないのですね。ですから、先生方のここの部 会のほうで、「これは引き続き検討せよ」と言っていただければ、「そうでございます か」と、またやらせていただければということになるのではないかなというふうに思い ます。  実際、患者さん団体に聞くと、それも本当は我々のほうから見ると非常に見直しとか 重症度をやるのは大変本当は当たり前のことなんだけれどといいますと、向こうも、そ れはわかるんですけれど基本的には嫌だというふうにならざるを得ないのですね。これ は患者さん一人ひとりに聞いたわけではなくて、やはり団体の代表の方ですから、その 立場もあるのかなというふうには思いました。 杉本委員  その前のページに、「中長期的な観点に立って」とありますので、これは時間がかか るものとは思いますけれども、そういうふうなご指摘をいただいたほうがいいのではな いかと思うのですが。  それと、もうひとつお伺いしてよろしいでしょうか。 高久部会長  ちょっとその前に、この報告は具体的方向についてということで文章になっています 文章を直すとなると、どうなるのですか。この報告は、発表をすることになっているの で、今の段階で直せるのですか。 荒川補佐  これを直すということになりますと、専門委員会の先生方に一応お諮りをして決めた ものですから、もう一度専門委員会へ差し戻しをしていただきまして、文章の練り直し をするということになること、そういう手続になろうかと思います。  ただ、今の杉本先生の、全くそのとおりなのですが、一応、「その実施のためにはな お一定の研究が必要だ」ということで、あきらめているわけではないということと、そ れから、そのすぐ下のイの2行目のところに、全額公費負担の見直しを行う場合には、 イの2行目のところですが、「患者の重症度等の実態を勘案しつつ」ということになっ ておりますので、重症度は可能な、いわゆる一度に全部の疾患について重症度を入れる 設定では難しいとしても、可能なところから順次、「実態を勘案しつつ」ということで すから、重症度の要素を入れながらやっていけというふうに専門委員会の報告ではいた だいたというふうに理解しておるところでございますが。 杉本委員  私も気持ちはよく理解できますので、こういう文章としての表現にはこだわるつもり はございません。 高久部会長  どうもありがとうございます。 杉本委員 それから、今のご説明に関連してちょっとお伺いしておきたいのは、こうい う報告が出ますと、国はそれを受けてある対応をされるのでしょうけれども、これに対 してどういうふうな対応が予定された、あるいはそれが実行されたということのフィー ドバックは何かこの審議会に対してございますんですか。例えば、今の療養環境整備の 問題であるとか、あるいは居宅療養についての支援とかいうようなことがあるわけです が、こういうものは具体的にどういうふうな対策がとられることになったかというよう な、あるいはとられる予定であるとかいうようなこと、そういうこと。これがどういう ふうに受けとめられたかということのほうが、実はもっと大事なのではないか。今のこ とにしましても、この(1)、(2)について、どういう今後の計画が残されたかということ をむしろ知りたいという気持ちがあるものですからお尋ねしました。 小林局長  まず、医療費の自己負担分をどうするかという話でございますけれども、今のところ 政府の予算書では、医療費の公費負担分については1割カットという形で大蔵の予算要 求に出てまいっております。したがいましてこの(1)、(2)、(3)、どれをとるにしても1 割分のカットのことを、今後厚生省は、政府全体ですから、当然財政当局とも相談をし それから、もちろん政府与党とも十分ご相談をして最終的に決定する。ただ、この審議 会のご意見としては、(3)がやむを得ない選択として選ばれたと。こういうことはまず 第一義的にあるわけですけれども、最終的には政府の決定ですから、与党ともご相談、 大蔵ともご相談をして最終的に決定をするということになるわけであります。  ただ、実は、来年度予算では10%カットされる。しかし、今まで難病対策の患者さ ん方からもいろいろ言われ、専門家からも言われている今回のご指摘のある話について は、実は、その10%削減しろと言われたのを少し返してちょうだいという形で、それ を財源として、実はいろいろな事業、新規事業を組んでおります。これは私のあとで担 当課長から、どういうのにいくら予算要求をしましたというのを今から説明させますの で、それをお答えにさせていただこうと。  ただ、自己負担のところは、今のところはこの審議会では(3)が皆さん方のご意見と してはやむを得ない案だと。しかし、(1)、(2)もありますよと。  実は、これは与党の幹部と若干話をしておりまして、幹部の中には、「いやー、(1) がいいんだ」という、(1)とはいいませんけれども、疾病の入れ替えをすべきだという 国会議員の先生もいらっしゃいますし、それから、できるなら重症度でやったほうがい いんじゃないかという先生もいらっしゃる。しかし、与党は与党として最終的に、与党 は自民党と、それから社民党、さきがけ、みんなありますので、政府側の与党としても 大変な判断だろうと思っています。  どちらにしても、難病の自己負担の話は、多分国会で予算委員会が開かれれば多分問 題になる大きな問題ですから、これは我々役人側も政府側も、それから政府与党も、私 は大変に真剣な討議がこれからされて、最終的に選ばれるものと思っております。  問題は、あとの、ここに書いてあるその他のことにつきましては、その10%予算要 求をしちゃいけないと言われたものですから、その財源分枠を使って新しい要求をして おりますので、担当課長からご説明させていただきます。 高久部会長  では、中谷さん、どうぞ。 中谷課長  それでは、きょう、実は午前中、大蔵省へ説明に行ってまいりまして、非常に記憶も 新しいところなので申し上げます。  この10%削減を上回る額を取り返そうという形で、きょう、一生懸命説明してまい りました。  まずひとつが、やはり戦略的な研究というので、結果がわかりやすい研究。しかも患 者さんの治療あるいは福利の厚生に直結するような重点研究という形で研究費を増額し ていただきたいというのが第一でございます。これについて額まで申し上げますと、5 億円、33%増という額でお願いをしてまいりました。  それから、先ほどご指摘のございました重症難病患者さんの受け入れ施設をどうする か、こういう問題につきましては、各県でやはり調整機能を果たしていただけるような 拠点病院ができないだろうか。また、それに協力するような協力病院ができないだろう か。こういうシステムづくりと、その整備費、設備費、これの要求を2億円、新規でお 願いをいたしました。  それから、今ご指摘のございましたような、例えばALSのような非常に長期に重症 な方、これをどこに収容するかという形で、ALS患者の方々を身体障害者療護施設、 ここに入所ができないかという形で、今後7年間で600床程度確保ができないか。こ のようなお願いを、これは障害福祉部が担当でございますが、連携をしてやろうという ふうに話をしております。  それから、在宅療養支援体制。今、問題点を指摘していただきました。これにつきま しては再編、強化をしようという形で、8億円ということで8倍増にしようという予算 措置をお願いをしております。  それから同様に在宅福祉の拡充につきましても、3億円、34%増ということを考え ております。  それから特に、やはり今回、医療費の削減部分を重症患者対策に振り向けたいという のがポイントでございまして、その核となりますのが、例えばALSの場合、非常に象 徴的なわけではありますけれども、人工呼吸器を装着した患者さんにどういうケアをす るか。特に、入所施設が足りないということでは在宅で相当の方がおられます。こうい う方々に1日1回は訪問看護婦が行けるような予算措置という形で、4億円の新規増を お願いしております。  このように、医療費の削減で10%減らし、それを上回る額を、今、要求して、今後 頑張っていきたいというふうに思っておる次第でございます。 高久部会長  どうもありがとうございました。どうぞ、幸田委員。 幸田委員  先ほどの杉本先生のお話に関連しての問題なのですが、資料の、9月8日付の専門委 員会の一番最後に経過がございますが、これは事務局から、検討の経緯の一番最後に、 平成9年9月8日、公衆衛生審議会成人病難病対策委員会だと、こう書いてありますが これは部会の間違いではないかと思いますが、いかがでございましょうか。 小林局長  はい。 幸田委員  ということは、おそらく先ほどの杉本先生のお話に関連しますと、部会がやはりこの 専門委員会の報告を了承すると、こういう、きょうはそのための会議だと思います。専 門委員会に別に差し戻しをしなくても、専門委員会は黒川先生が委員長で、せっかくこ ういういい報告書を作られたわけですから、これはこれとして、取り扱いとして、この 部会として専門委員会の報告を了承するけれども、ただ、重症度基準の導入であるとか 対象疾患の見直しとかということについて、さらにもう少し突っ込んだ今後検討を併せ てする必要がある、というそういう附帯意見なり何なりを付けて、この部会として了承 をしていただくというやり方は私はあるのではないかと思いますね。専門委員会に差し 戻すということはもちろんできないと思いますが、この部会として了承する。  やはりこの問題は、私が言うのは何ですけれども、やはり弱者切り捨てということに ともすると世の中は見ると思いますから、これから予算編成の過程でいろいろ、今、局 長からお話があったように紆余曲折があると思います。必ずしもこの3分の1負担とい うことに私は落ち着かないのではないかなという気持ちが非常に私は強いものですから そういうことも考え合わせると、やはりこの部会は部会としての考え方を少しやはり出 しておいていただいたほうが私はいいのではないかなと。杉本委員の発言に関連してお 願いをしたいと思います。 高久部会長  どうもありがとうございました。今までも附帯として重要なことが付け加えられたこ とを記憶しておりますので、今、幸田委員のおっしゃったことを、ぜひ附帯事項として つけ加えさせていただきたいと思います。本当にありがとうございました。  ほかにどなたか。どうぞ、古谷委員。 古谷委員  今のお話を受けてちょっとお願いしたいのですけれども。7ページの一番下の行でご ざいます。カのところで、事業としての成熟度が高いことなどから、地方自治体の事業 として一般財源化へということが出ておりますけれども、県による事業の格差はまだま だございます。それから、地域保健法のところで、この事業がいわゆる難病として位置 づけられまして、それの施行、実施を始めているところでございますので、もうしばら くは、これはまだ一般財源化しないでいただきたいなというふうに思っております。  それから、ひとつ伺いたいのは、1ページのところで「重症難病患者」という表現が ございますが、これは、療養環境整備ということからしますと、最後のほうに出てきて おります重症度の基準とはまた違うというふうに理解してよろしいのでしょうか。特に 療養環境整備等のところでは、大ざっぱに言って、神経難病等がかなりここのところに は該当するのかなというふうに仕事をしながら理解していたのですが、ちょっとそのへ んを教えていただければというふうに思います。 中谷課長  まず、後者のほうの療養環境整備、確かにご指摘のとおり、神経難病等を非常に念頭 に置いております。それから、重症度の問題。後ほど出てまいります8ページにおける 重症基準。こういった場合にはやはりALSにつきましても、資料編の4ページを見て みますと、寝たきり状態の方があれば元気な方もおられるという形での重症度でござい ます。お答えになっておりますでしょうか。 高久部会長  地方財源云々という事は。 小林局長  地方財源、いわゆる地方自治体の事業として一般財源化するという話は、これは、今 こういう考え方があるということを書いてありまして、今回はこのことをやろうという ことを皆さん方の意見書では書いているわけではないと解釈をいたしております。ただ 理屈としては、一般財源化というのは、事業が定着をし、地方自治体になじんできたも のは、そうしなさいと。総論でこれは、地方分権や何かの会議、専門家会議で言われて いるわけでして、そのことからいえば、こういう意見もあるということでご理解いただ ければと思います。特に今すぐ来年度やろうということでは考えておりません。 黒川委員長  これはあくまでも今の問題点としてこういうのがあるということを言っているわけで す。実際は、その次の選択肢やそういうことを言っているわけではない。次のページか らは、具体的な選択肢を提言している。 高久部会長  ほかにどなたか。どうぞ、金澤委員。 金澤委員  黒川委員長の大変なご努力で、この報告書は大変すばらしいものになっていると私は 思います。  ただ、問題は、この事業の見直しのための選択肢、そして、それを今後どういうふう にしていくかというふうなことだと思います。  多くの疾患は25年ぐらい前に指定されまして、その後ずっと難病であり続けたわけ ですが、私は内科医で、現在、内科の患者さんの病棟を見ておりますと、25年前と治 療環境が全く変わっていることがわかります。これはすぐ、ある疾患を外すということ ではございませんが、やはりそういう外せるような環境を整えていくといいますか、現 在この疾患の診療はこういうふうになっているのだということを、これは厚生省の方々 それからいろんなマスコミニュケーションのメディアを使って、大きく社会にといいま すか、日本国内に広く知っていただく、これだけ進歩しているのだということを知って いただくことが第一ではないかと思います。そういう環境をぜひ整えていただいて、新 しく出てきた疾患もございますし、また、この中でも、多くの神経疾患はやはり難病で あり続けると思いますので、ぜひそこらへんを重点的に予算を投入できるようにお願い をする施策といいますか、環境を整えることもお考えいただければというふうに思いま す。  また、対象疾患の中での重症度も、サイエンティフィックには納得のいくやり方でご ざいますが、先ほど高久部会長もおっしゃいましたように、福祉的な面とか、それから 現場での動き、すなわち、必要な方に必要な助成を行うということが大切であると思い ます。要するにチェックリストをきちんと作って、こういうものですと納得をいただい て、これであなたは外れます又は入りますというふうなことになればやりやすいのかな というふうに思っております。  いずれにしろ、8ページのこの(1)、(2)は、今後ぜひ推し進めていただきたいという ふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。 高久部会長  どうもありがとうございました。ほかにどなたか。どうぞ、近藤先生。 近藤委員  特定疾患治療研究事業ということになりますと、これは今まで非常に有効に機能して きたと思います。また、一方でいろいろな矛盾を抱えてきたことも事実でありまして、 どこかで割り切るしかないだろうというように考えておりまして、黒川先生のこのご報 告で私は全く賛成なのですけれども、ひとつ関連してぜひ伺いたいと思いますのは、小 児について小児慢性特定疾患治療研究事業というのがございますね。これのほうはどう なのか。やはりこれは同じ厚生省のやる事業ですから、ある程度の整合性は必要なので はないかという感じも私はするわけでございますけれども、そこらへんのところを伺い たいと思います。 中谷課長  小児慢性疾患については、若干対応が違っております。それはやはり子どもさんの発 育の特性ということを配慮されたというふうに理解しておりますけれども、具体的に何 を行っているかといいますと、やはりあれも補助金でございますので、カットはかかっ てまいります。それをどう捻出しようかというので、小児慢性疾患の場合は、非常に特 定の疾患、下垂体性小人症、これが非常に大きなウエイトを占めておりますので、そこ の部分について適正化を図る。重症度のようなものを導入するというのが対応だという ふうに伺っております。 高久部会長  わかりました。ほかにどなたか。どうぞ、奈良委員。 奈良委員  今年から委員になりましたので多少ポイントがずれる部分もあるかもしれませんが。  先ほど最初に中谷課長が説明していただいた難病対策の概要がありまして、これは大 きく難病の範囲として1と2があるということですね。あるいは、医学的な側面から見 たいわゆる難病という位置づけと、先ほどから出ています福祉的な側面からの対応とい うことに分けられるのかなと思いました。  それを考える場合に、特に福祉的な側面から考えますと、今後、高齢社会が進みます と、あらゆる疾患がかえってまたここに入りうる可能性もあるということで、これは大 変だなと思ったわけですが。これは金澤委員のお話と関係あると思うのですが、これが 昭和47年に定められて、その後、医学が非常に進歩しているわけですので、すべての 疾患について本当に洗い直す必要があるのではないかなということを感じています。  それと、47年に難病というような言葉が用いられた。本当に難病ということでこう いうものを片づけていいのかどうかですね。どうも難病という言葉のイメージも、何と なく僕は、いわゆる必ずしも明るいものではなくて、暗い側面を引きずっているような 感じがある。だから僕は、この言葉自体も見直す必要があるのではないかなというふう に感じております。  それと、先ほども、これは近藤委員との関連かもしれませんが、これから公的介護保 険がもし導入されるとして、それらに対する、治療に対してはまた別かもしれませんが いわゆる福祉的な側面からの支援という、あるいは介護という側面からは、非常にオー バーラップする部分があるだろうと。そうしますと、経済的な側面から考えても、難病 であれ何であれ、今でいう難病であれ、介護の側面というのはそんなに変わらないです よね。難病の方だから、例えば我々はリハビリテーションの専門ですけれども、ADL の改善というときに、確かに疾患の特性を考えて行うこともありますけれども、基本的 にはいかにADLを維持するか、あるいは改善するか。必ずしも病気とすべてが関連す るとは限らないわけですね。そういう意味でのシステムの効率的な活用ということも今 後考えて経済的な側面を軽減していくということも必要かなと感じております。 高久部会長  どうもありがとうございました。そろそろ時間が迫ってまいりましたが、局長さん、 何かコメントありますか。 小林局長  皆様から大変いろいろなご意見をいただきまして、ありがとうございました。  今、先ほどのこの専門委員会の意見に対して、この部会でどう答えるかということで 今、高久先生が、多分これはコメントを出していただくということを考えていますので そのコメントの中に、これこれの下記の意見をつけて了承したという形で私どものほう は、先ほどの幸田委員がおっしゃられたような形でまとめようと、今、思っております  いずれにいたしましても、難病対策というのは、確かに国民の皆さんは、国会議員の 方もそうですが、難病患者さんは一番気の毒な患者さんと、こう認識をしていらっしゃ る。ここの臨床の先生方は、実はそうではないんだと。もっと周りに気の毒な人がいる ので、難病患者さんだけではないんだよというのはよくご存じだけれど、国会議員の先 生は、そこがなかなか、難病が一番気の毒だと、こう思っていらっしゃる。それは厚生 省内でも、難病患者さんの自己負担導入。それだけを聞いてみんな「おそろしいことを やる」と、こんなふうに言う行政官もいらっしゃる。ということは、難病の実態につい て、先ほど中谷が説明した資料のように、介護の要らない人たちがたくさんいるという のをなかなか皆さん方はわかっていないという状況があろうかと思います。  そういう意味では、我々行政当局としては、このリポート、それから資料も含めて、 皆さん方に見せて、よくご理解をいただいて、そして、できる限りこの部会のご意見ど おり、だんだん施策を進めていこうと、このように思っております。  特に、大方の先生方は、先ほどの(1)、(2)のほうがより重要だという方が皆さん多い わけでございまして、そういう意味では、今すぐには、特に(2)なんかは導入できない し(1)のほうでも、また入れ替えというのは何を基準にするかというのは大変難しいわ けなので、そちらについては、ここで付けられる附帯意見も含めて、我々としては十分 そのご意向に沿って難病対策を進めていこうと思っております。ただ、まだ、ときどき また社会の変化、科学の進歩等で、またいろいろ変わりますときは、また時折そのとき どきにご意見をいただいてまいろうと、このように思っております。どうもありがとう ございました。 高久部会長  難病という言葉は厚生省が作られた言葉でして、実は英語訳もなくて、難病財団も困 っている経緯がございます。しかし、長いあいだ使われた言葉でありますし、一般の 方々には非常にわかりやすい言葉であることも事実であります。  事務局のほうで、きょうの7時から、本日のこの部会の審議内容について記者発表を することと聞いております。難病対策の見直しにつきましては、先ほどの黒川委員長か らのお話からもおわかりのように、患者さん、それからマスコミの関心が非常に高いの で、皆さんのご了承を得られれば、部会長談話という形でマスメディアのほうに発表を したいと考えております。  事務局のほうで、この記者発表の談話の原案を作りました、附帯意見が出ましたので その附帯意見をつけて部会長談話としてマスメディア各社のほうに報告をしたいと思い ます。今から読み上げていただけますか。  付け加えるほうは私が読みましょうか。 小林局長  付け加えるほうは高久先生にお願いして、まず原本を読ませます。 塚原補佐  原本のほうを読みます。  公衆衛生審議会 成人病難病対策部会 高久部会長談話でございます。  本日、公衆衛生審議会成人病難病対策部会において、難病対策専門委員会の報告「今 後の難病対策の具体的方向について」を了承した。  この報告では、調査研究の推進、難病患者の療養環境整備、治療研究事業の見直し等 の方向について提言を行っている。  特に、治療研究事業の見直しについては、この事業の評価と問題点を踏まえ、見直し の方向として、対象疾患の見直し、対象疾患における重症度基準の導入、全額公費負担 の見直しの三つの考え方を示した上で、他の難治性疾患との社会的公平、対象患者数の 増大、重症難病疾患の追加指定の必要性、患者団体の意見及び財政状況等の諸般の情勢 を踏まえ、重症度等の患者実態も勘案しながら現行の全額公費負担の見直しを行うこと もやむを得ないとの方向を示している。  この点については、本日の部会審議においても各部会員から様々な意見が述べられた ところであり、行政当局においては、本報告及び本日の意見を踏まえ、治療研究事業に ついて適切な見直しを行うとともに、重症患者の療養環境整備を始めとする総合的難病 対策の推進に取り組んで頂くことを強く要望したい。  という案でございます。 高久部会長  どうもありがとうございました。  先ほどの幸田委員のご意見がありまして、附帯意見として、これは本文のほうの2行 目に、「「今後の難病対策の具体的方向について」を下記の附帯意見を付けて了承し た」というふうにつけ加えさせていただきます。  附帯意見として、「特定疾患治療研究事業の見直しについては、今後、対象疾患の見 直し及び重症度基準の導入についての研究を重ね、その実施を検討すべきである」と。 これは、「見直しと基準の導入」というのが、研究になるのか検討になるのかわからな いのですが、「検討」にしますと、「検討」が2つ続くものですから、一応「研究を重 ね、その実施を検討すべきである」というふうにさせていただきました。この案につき まして、どなたかご意見おありでしょうか。幸田委員、これでよろしいでしょうか。附 帯意見を付けましたが。 幸田委員  ちょっと何か強すぎるような感じです。 高久部会長  強すぎるというのは、附帯意見のほうですか。 幸田委員  ええ。 高久部会長  しかし、部会の多くの方が、(1)、(2)を本当はやるべきではないかと考えておられる と思います。しかし、現実には、特に来年度の予算を考えると、差し当たって(3)をや らざるを得ないのかなとお考えだと思います。「研究を重ね、その実施を検討すべきで ある」というのが、もし強いとすれば、「実施の可能性を検討すべきである」になって しまう。いかがでしょうか。どなたかご意見。 中谷課長  少しマイルドにするとすれば、「今後検討を重ねるべきである。」という案があると 思います。 高久部会長  「見直し及び重症度基準の導入について、今後検討をすべきである」ですか。 中谷課長  「今後とも」ですか。 高久部会長  「今後とも」ですね。今まで検討をしていたわけですから。日本語はなかなか難しい 点があります。  では、そのように改めさせていただきたいと思います。  本日は、この部会に際しまして、特に難病対策の今後の方向ということで、具体的な 方向につきまして黒川委員長のほうからご報告をいただき、その事に関しまして委員の 皆様方からいろいろご意見をいただきました。どうもありがとうございました。  特に黒川先生は、非常に困難な仕事をおまとめいただきまして、どうもありがとうご ざいました。まだ宿題が残っているようでありますので、今後とも黒川先生をはじめ専 門委員会の先生方、よろしくまたご尽力をお願いしたいと思います。  本日は、どうもありがとうございました。 照会先:厚生省保健医療局エイズ疾病対策課 担 当:荒川 内線2354 直 通:03ー3595ー2249