97/09/05 第6回公衆衛生審議会臓器移植専門委員会議事録      第6回公衆衛生審議会成人病難病対策部会 臓器移植専門委員会議事録                            平成9年9月5日(金)                            10:00〜12:15                            於:新霞が関ビル 5階                            全社協 第3〜5会議室 出席者  ○黒川 清   井形 昭弘   大久保 通方  大塚 敏文   桐野 高明   小柳 仁   座間 幸子   田中 紘一   野本 亀久雄  藤村 重文   眞鍋 禮三  山谷 えり子  矢崎 義雄   (○:委員長 順不同・敬称略) 議事次第 1 開会 2 議題 (1)「臓器の移植に関する法律」の運用に関するガイドライン(厚生省試案)    について (2)その他 3 閉会 ○玉川補佐  定刻になりましたので、ただいまより、第6回公衆衛生審議会成人病難病対策部会臓 器移植専門委員会を開催いたします。  本日は、お忙しい中、ご出席いただきまして、大変ありがとうございます。  最初に、本日の委員の出席状況の関係でございますが、大島委員、谷川委員、町野委 員、森岡委員が、都合により欠席とのご連絡をいただいておりますので、本日は、17 名の委員のうち13名の委員がご出席をいただいていることをご報告させていただきま す。  では、会議を始める前に、資料等の確認をさせていただきます。  本日の資料でございますが、まず資料1、「臓器の移植に関する法律」の運用に関す るガイドライン(厚生省試案)。資料2、黒川委員長に寄せられた意見一覧。資料3、 ドナーカード(意思表示カード)(案)。資料4、臓器移植専門委員会作業班の進捗状 況及び今後の日程。資料5、クリプトスポリジウム対策について。参考資料といたしま して、参考資料1、臓器の移植に関する法律(平成九年法律第百四号)。参考資料2、 臓器の移植に関する法律施行規則(案)。以上でございます。  おそろいでございましょうか。途中不備等がございましたら、事務局へお申しつけく ださい。  それでは、黒川委員長、よろしくお願いいたします。 ○黒川委員長  おはようございます。  最初にご報告ですが、先日の8月29日に、この委員会の厚生省令、施行規則の案に つきまして、この上の部会であります成人病難病対策部会に諮問をいたしました。そこ でいくつかのご質問もあったわけですが、その審議状況等について簡単に事務局からご 説明していただいてから、きょうの審議に入りたいと思いますが。そのときには、もち ろん局長、それから木村課長、それからエイズ難病対策課長、それから臓器移植対策室 長、それから重藤さん、皆さんおそろいでおられましたけれども、諮問をいたしました ので、一応ご報告しますが、事務局のほうからお願いします。 ○重藤補佐  それでは、8月29日に開催されました、公衆衛生審議会成人病難病対策部会の状況 をご説明申し上げます。  公衆衛生審議会成人病難病対策部会におきましては、本委員会の黒川委員長、ご出席 いただきまして、これまでの審議経過をご説明をいたしまして、それから、先生方から の意見の概要等もご報告をいただきました。そのあと、貝谷室長より、条文の中身につ いて先生方にご説明を申し上げました。  出された意見としましては、主に疑義といいましょうか、取り出された組織はどうな るのか、また研究対象はどうかというような、主に疑義的な解釈に関する質問でござい まして、中身的にどこか訂正を求めるというような形ではございませんでした。  その会におきまして概ね了承ということで、高久部会長よりお話しいただきまして、 次回の公衆衛生審議会の部会で答申ということとなっております。  先生方には、施行規則に関していろいろご議論を賜りまして、本当にありがとうござ いました。  以上でございます。 ○黒川委員長  どうもありがとうございました。実際いくつかの指摘は、ここで十分に議論されたこ とばかりでありまして、そこのところは十分に議論された上でこうなっているという話 で、やはり部会の先生方も適切な指摘をされるものだなと思って聞いておりました。  それから、一部、直っていなかったところがありましたね、前のバージョンで。それ はもう議論をして直すことになっておりますという話だったんですけれども、やはりそ こもすぐ指摘されてくるというのは大したものだなと思いましたね。 ○重藤補佐  そこは、施行規則ではございませんで、ガイドラインのほうの「15歳以上を目安 に」というところを、黒川委員長と同様のご指摘でございました。 ○黒川委員長  よろしいでしょうか。それでは、本日の議題に入りたいと思います。  それでは、きょうの議題に従いまして、議題の1ですね。ガイドラインについて更に 検討をしたいと思いますが。前回までの先生方にいろいろご審議をいただいたところ で、いろいろ修正、加筆があったと思いますので、それについて事務局から、まずご説 明いただきたいというふうに思います。資料の1になるということですが。どうぞ。 ○重藤補佐  私より、資料に基づいてご説明をさせていただきます。資料の1でございます。  1番の、書面による意思表示ができる年齢等に関する事項の部分でございまして、そ こで前回、先ほどのお話にもございましたように、「目安に」というものが入っており まして、それでは曖昧であるというご指摘を受けましたので、そこに下線を引いてござ いますように、「15歳以上の者の意思表示を有効なものとして取り扱うこと」という ことで、「目安」を外しました。  次に、2ページでございます。4の、脳死した者の身体から臓器を摘出する場合の脳 死判定を行うまでの標準的な手順に関する事項ということでございまして、これまで 「臓器提供に関して何らかの意思表示を行っていたかについて把握するよう努めるこ と」となってございましたが、それでは「何らかの意思表示」ということについてはい ろいろ解釈できて、そこまで踏み込むといろんなものを想定できるので、ここで例示を したらどうかというご意見がございましたので、ここで「意思表示カードの所持等、本 人が何らかの意思表示を行っていたかどうか」ということで、例示的にその中身を挙げ させていただきました。  それから3ページでございます。3ページは、4のところの同じく標準的な手順でご ざいまして、その一番最後に、前回、集中治療学会から、脳死判定に家族が望めば立ち 会うことにしてはいかがかという黒川委員長あてのご意見がございまして、本委員会で いろいろ意見をいただいて、そういう方向がよろしいのではないかというような方向だ ったというふうに事務局では考えまして、下線部でございますけれども、「なお、脳死 を判定する医師は、家族が希望する場合には、家族を脳死判定に立ち会わせることが適 切であること。」ということで挿入をいたしました。  次に、5ページでございます。脳死判定の留意事項のところのウの補助検査のところ で、「聴性脳幹誘発反応」でございます。これは前回まで、「聴性脳幹反応」となって おりまして、ABRにつきましてはいろいろな名称があるということでございまして、 それぞれ研究班とかいろいろなところでいろいろな名称を使っておりまして混乱してお ります。従いましてここでは、施行規則上、聴性脳幹誘発反応というものを使っており ますので、それに揃えたということでございます。  それから次に、7ページでございます。7ページのところで、11のその他の事項 で、(2)以下、括弧の番号に棒線が付いておりますけれども、これは以前、(2)と して合衆国軍隊基地からの臓器の提供に関する事項というものの取扱いが入ってござい ましたけれども、これは今、調整中でございまして、今回も間に合いませんでしたの で、本ガイドラインの一括してやる中身としては外しまして、合衆国軍隊基地からの提 供については、別途通知なりをしていきたいと思います。  それから、5ページでございます。お戻りいただいて、5ページの、脳死に関する留 意事項の点で、上から2行目でございます。 ここのところで、「二酸化炭素分圧が60水銀柱ミリメートル以上に上昇したことの確 認を行うこと」とございますけれども、前回までは、「二酸化炭素分圧が60水銀柱ミ リメートルの上昇を確認する」ということになっておりまして、絶対値なのか60上が るのかと。要するに、60水銀柱ミリメートルに上がるのか、それとも、ある段階から 60上がるのかというところが曖昧な記載ではないかというご質問がありましたので、 これは絶対値でございますので、明確に「に上昇した」ということで、絶対値の60と いうところが明確にわかるように字句の訂正をいたしました。  それから8ページでございます。(6)の組織移植の取扱いというところでございま して、前回も国会議員の山本議員からもいろいろご意見をいただいておりまして、組織 移植は現在行われているといっても、しっかり承諾を得るようにというようなこともご ざいましたので、そこにございますように、「したがって、組織の摘出に当たっては、 組織の摘出に係る遺族等の承諾を得ることが最低限必要であり、遺族等に対して、摘出 する組織の種類やその目的等について十分な説明を行った上で、書面により承諾を得る ことが運用上適切であること。」という中身を加えさせていただきました。  以上が、前回から今回までの訂正点でございます。先生方にいろいろご議論をいただ きたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○黒川委員長  どうもありがとうございました。前回の議論に基づいてこのような訂正、加筆が加え られているわけですが、これについていろいろご意見を伺いたいと思います。  今の場合は、訂正、加筆された場所だけについてご意見を伺っているわけではないの ですが、それ全体にしますと、もうちょっと時間がありますから、それはまたあとでご 意見を伺うとしても結構です。今の訂正、加筆された箇所だけに限ってでもよろしいの ですが。  日本国内にある米軍基地にある病院関係から出たやつについては、あとでネットワー クでやりますかね。これに書いていなくても。実際、日本腎臓ネットワークの場合は、 ネットワークも施行のガイドラインを作ってやっていますけれども。どうですかね。 ○重藤補佐  法律的にどうなのかというものについては、やはり検討が必要ですので。ネットワー クの検討は、その通知なりを受けた形でないと、ネットワークの検討の中身が、法令と いいましょうか、通知と異なる中身では、また問題でございますので、やはり今、きち っと、作業に時間がかかっていますというのは、きちっと今、法文上大丈夫であるかと いう確認を行っているわけでございまして、それを待っていただいて、その上でネット ワークで運用を検討いただければというふうに考えております。 ○黒川委員長  案外、だけどこれ、腎臓移植ネットワークでも、日米基地協定その他の法律があるか ら、そこのところの整合性は結構早くそちらのほうで検討をしておいたほうがいいんじ ゃないのかなと思うんですよね。これが10月16日から施行されると、案外早い時期 に米軍基地からのドナーというのは出る可能性がないわけじゃないから。早急に基地協 定その他、よろしくお願いします。実際のプロシージャーについてはネットワークその 他の委員会で検討をさせてもらいますけれども。  一番最後の組織移植の取扱いというのは、よろしいですか。臓器については、これで いろいろガイドライン、それから省令、法律があるわけですけれども、その他について は「特段の法令はない」と書いてありますけれども。医療上の行為として行われるのだ から、医療的あるいは社会的見地等から相当と認められる場合にはいいでしょうと。だ けど、それについては十分に説明して、書面による承諾を得てくださいと。  よろしいですか。もし何かありましたら、またあとで全体としてまとめてお伺いいた しますので、その次に進ませていただきたいと思います。  次は、きょうの議題ですが、その他になってしまうのですが、実は、前回もありまし たけれども、その後、また私あてに、いろいろこの委員会あてに意見書が寄せられてお りまして、それについて、現在のところいくつか、4つか5つか6つあったと思うので すが、先生方のところに資料も出させていただいて議論をしていただいたところであり ます。それについては、私あてに来ていますので、一応その出された先生方あるいは学 会その他に対しては、一応受け取りましたと。これについては十分にここで議論をして みたいというお話は出してありますが、それを入れて、例えば大塚先生の脳死判定のガ イドラインその他、手順を書いたのも、実はそのようなことに対応してきちんとしたつ もりなんですが、そのほかにもまた来ておりますので、それについて検討をしてみたい と思います。  資料2をご覧くださいませ。2つありまして、ひとつは、お二人ともここのメンバー ですが、移植学会よりご意見があります。資料が2つありますので、ひとつは移植学会 から、ひとつは全国心臓病の子供を守る会の川口幹事のほうからご意見がありますの で、これについて検討してみたいというふうに思います。  それでは、事務局から、よろしくお願いします。 ○重藤補佐  それでは、事務局から説明をさせていただきます。  資料の2でございます。黒川委員長に寄せられた意見一覧という資料がございます。 それの2ページ目でございます。まず、日本移植学会から出された意見でございます。 その内容につきまして、読み上げさせていただきます。  10月16日の法施行を前に、法、省令に規定される臓器の摘出について、同時に摘 出される組織の一部についての何らかの取り決めをしていただく必要があるのではない かと考えております。  そこで、日本移植学会の事務局では、臓器移植の経験の多い代表的な外科医の意見を もとに、次のような案文を作り上げました。  取り扱いは一任致しますが、臓器の摘出について、後顧の憂いなく、臓器提供の周辺 が進行いたしますようご高配を賜りたく存じております。  何卒宜しくお願いを申しあげます。  という内容で、次の3ページに、それぞれ腎移植、肝移植、膵移植、心移植、肺移植 につきまして、その臓器の移植について摘出する必要な付属器官と申しましょうか、付 属組織といいましょうか、そういうものが列挙してございます。  以上でございます。 ○黒川委員長  これについていかがでしょうか。前回もこれは一部議論があったところで、臓器移植 の目的で臓器を摘出するときには、もちろん手術のシーンがあるわけですから、その臓 器だけを取るというわけではなくて、それに付着した部分が必要なわけであります。そ れについて、それぞれの臓器について、こういうものだよということを移植学会のほう から出されているわけですが、腎臓についてはこれこれと、肝臓についてはこれこれ と、それから膵臓についてはこのような部分を取って膵臓移植に資するということであ ります。それから心移植についてはこのようでありますが、心臓の移植を受ける患者さ んによっては少し違うということを一つひとつ列挙されてございます。それから肺移植 の場合にはこれこれと。肺というのは気管とか肺動脈、そういうのがあるわけですが、 肺静脈もそうですし。  その次に、一時これも何回か議論が出ましたが、脾臓の一部、リンパ節あるいは胸腺 を、リンパ球交叉試験用に摘出されることがあるというわけであります。  このように書いていただくと、臓器移植で摘出するときの臓器の範囲というのはかな りはっきりしているということでありますが、これについて一応、これを提出していた だいた野本日本移植学会の理事長はここのメンバーでありますし、それから小柳常務理 事のご両人がちょうど委員でおられますので、補足その他ございましたら、ぜひご意見 を伺いたいと思います。 ○藤村委員  肺移植のほうですけれども、どのくらい厳密に書かなければならないか、ちょっとわ からないのですが、カッコ2で「肺静脈は心房壁の一部を含む」となっておりますが、 これは当然、「心房壁及び心膜の一部を含む」ということになりますが、この様な解釈 でいかがでございましょうか。 ○小柳委員  現場といたしまして規定をしておいていただいたほうがよろしいと考えますのは、臓 器に付随する血管、流入血管、流出血管のあたりは、やはり問題がないように一応何か 書いておく。  それから、膵臓のときなんかには、膵臓をつかみますと、非常にもろいものですか ら、脾臓をつかんで、脾臓から逆に膵臓を剥離してくるというような実際の手技がござ いまして、そのとき同時に脾臓もどうしても摘出しなければならない。その脾臓はもち ろん、一番最後に書いてありますリンパ球交叉試験に使われるわけでありますけれど も、膵臓については、そういうテクニカルな問題がある。  それから、心臓の場合には、修復しなければならない先天性の奇形などによりまして は、大動脈をかなり長く必要といたしますので、大動脈弓、あるいは弓を超えて下行大 動脈のあたりまでを摘出したいということがございますが、そのときに範囲を超えて摘 出をしたということにならないように、何か決めをしていただく必要があるのではない か。  全体としては、リンパ球交叉試験用に摘出します脾臓、リンパ節、あるいは胸腺、こ ういったものについては是非お許しをいただいておかないと問題を残すのではないか。 こんなようなことでございますが。  肝臓については、肝移植を何百例かやられた先生に一応お伺いいたしましたので。心 臓も、米国で経験のある、ドナーオペレーターをやっていた、摘出をやっていた外科医 にコンサルトいたしました。まだまだ不備だとは思いますが、全体として、精神として こういうものを、ぜひ何らかのレベルで残していただきたいということでございます。 ○黒川委員長  今の藤村先生の、心膜、ペリカルディアはどうかというのは、当たり前といえば当た り前かも知れないけれど、わざわざ剥離して取らなくちゃいけないかというような話に なっちゃうわけですね。それについてはどうですか。そうなのだと思うのですけれど も。心房壁の一部というと、心房壁の外側についている膜もあると。それはいいんじゃ ないかと思うんですけれど。 ○小柳委員  心房壁は自然に心膜に移行しますので、よろしいのではないかと思います。 ○黒川委員長  これをそこまでいちいち書いてくると、「一体何をやっておるのかね」という話にな っちゃうんじゃないかなと思いますが、基本的にはやはり、こういうのは、しかしガイ ドラインに入れるのもちょっと変な話で、臓器移植という、あるメディカルなプロシー ジャーというか手術の場合には、当然取る範囲というのは医学的に必要な部分はどうし ても取らなくちゃならないと。必要ないところは取る必要はないわけなので、そのへん ですよね。それから内容が、手術の術式に関係あるもので、非常に医療そのものの内容 に突っ込んでくるわけですから、こういうのは、あるいは省令にしてもガイドラインに しても、そんなことを書く必要があるのかなということが、ちょっと私は感じるのです が。  ですから、ある程度実際に移植あるいは摘出にかかる先生方が、移植というときには ここまでを取るのが現在のスタンダードであると。それぞれの患者さんのところによっ てメディカルなジャッジメントですから、そのへんは遺漏なきように本当はやらなくち ゃならないと思いますけれどもね。だから、それを法律にするようなことは、ちょっと なじまないんじゃないかなと思いますが。そのへんは移植学会で、今のスタンダードは こうだということを徹底するなり、常識なんだろうと思うんですが。静脈血を採血する ときには駆血帯でまずこういうふうにやって、なんていうことをいちいち書いているの と同じようなことじゃないかなと思いますけれどもね。どうぞ。 ○矢崎委員  私も、先生のおっしゃるとおりで、法令で細かく範囲を決める必要はなくて、問題 は、違う目的で、心臓移植の目的だけれど一緒に血管を取ってきてほかに用いると、そ ういうことさえなければ、目的に合った、医学的にしっかりした基準があれば、心膜で あろうと、ほかからの血管であろうと、それは何ら倫理的にも医学的にも反することは ないのではないかと思います。  ちょっと気づいたのは、ここで、膵臓と肝臓に「小児で」と書いてありますが、現在 は移植は15歳以上と決められているので、あまりこういう附則の細かい規定は要らな いのではないかということです。したがって、そうすれば小児のことも当面は入ってこ ないということでよろしいのではないかと思っております。 ○桐野委員  おっしゃるとおりだと思うんですけれども、脾臓の扱いはどうなるんですか。脾臓は 臓器であって、実際的には小柳先生がおっしゃったように扱うしかないんだろうと思う のですが。 ○黒川委員長  どうでしょうか。これは、脾臓を使う目的で取るわけじゃなくて、膵臓を移すときに 脾臓も取ったほうが、おそらく取って、ex Vivo(エックスビーボー)でいろいろした ほうが手術の成功率も高いという意味で書いてあるんじゃないかなと。これを一応法律 に書くわけじゃなくて、移植学会の移植をやる先生たち、あるいは摘出するチームに、 こういうことをやるんだよという話が徹底していれば、何の誤解も受けない。矢崎委員 が言ったように、取って、それを全く違った目的で使うのだというのではないというこ とがはっきりしていればいいんじゃないかということですが。小柳委員、どうぞ。 ○小柳委員  巷間承るところでは、さる施設で血管を余計に取ったというようなことで問題になっ たことが最近ありますので、法、省令のレベルではないと思いますが、何かこういうも のを残していただくという必要はあるんじゃないかと思っておりまして、行政とも多少 はご相談したんですが、違うレベルで残す方法はあるというふうに言っていただきまし たので、こんな文を作りました。やはり、臓器提供周辺が一番問題になると思いますの で、何かでは残しておく必要はあるんじゃないかと思っておりますが。もちろん、法、 省令のレベルのことを私ども希望して出したわけではございません。 ○藤村委員  この付記に関することなんですが、こういう件は、それぞれの移植が安全に行われ て、かつ術後のいろいろな処置を今後やっていく上にはどうしても必要なものが今後早 急に出てくるかもしれません。そういうときに、こういう付記のような縛りがございま すと何か問題だなという気はいたします。  私は、どちらかというと、将来、移植の機能を維持するために必要ものが提供者の中 から、ほかの臓器であっても得られるならば、やむを得ないのではないかと思います。  つまり、この付記の内容は、特にその臓器移植にとって必要であれば当然のことでし て、これは書かなくてもいいのではないか考えますが。 ○重藤補佐  事務局といたしましては、移植のために必要であれば、それで、どうしても必要なも のが医学的に判断されるのであれば、それは臓器移植と一体のものとして考えて差し支 えないのではないかなというふうに思っております。  しかしながら、一点は、先ほど矢崎先生がおっしゃられたように、ほかに使われはし ないかという国民の不安がございますので、そこについてはきちんと、臓器に使われな かった部分については焼却をして処理をするということで、臓器移植のために一体のも のとして取り出されたものは、とにかくすべて臓器移植のためであって、その目的を達 したら、やはり提供されたご遺族が不快と思わないように礼意をもってきちんとすれ ば、個別の、臓器等の範囲については、本当に個別症例ごとおそらく違うでしょうし、 そこは本当に医学の中の中身についてでございますので、そこまでは規定する必要はな いのかなとは思っております。 ○黒川委員長  そのへんが、従来、今、小柳委員もおっしゃったように、ちょっと誤解を受けるよう ないろんな報道もされたとか、誤解を受けるような報道というと、かえって誤解を受け るか。実際にそういうことがあったというようなことを示すような報道もあったという ことからいうと、移植に関わるものは、やはりその移植の目的にきちんと沿った医学的 なプロシージャーをするようにということですから、これはネットワークあるいは移植 学会のほうで整備して、これがスタンダードなんだよという話をどこかにきちんと提示 して、皆さんが同じ理解になっていればいいということの理解でよろしいのではないで しょうか。  野本理事長のほうから何かございますか。 ○野本委員  私の感じでは、移植に供さなかった組織臓器は焼却するということですべてが決まっ ておりますので。こういうのは、一度この専門委員会で議論があって、議事録に残して いただいておくことが非常に私は大事だと思っております。そういうものがあります と、一つの方向としてこういうことをみんなが考えておると。勝手にしていいのではな いよということを、私がみんなに指導的発言ができればよろしかろうと考えておりま す。 ○黒川委員長  では、そのようにして、外科の手術というか、メディカルなプロシージャーの一部で すので、このへんについては、それぞれまた医学の進歩について学会としてこのような のがスタンダードであるというのを出していただければよろしいのではないかと思いま すが、よろしいでしょうか。  どうも、このようなものを作って提示していただいて、ありがとうございました。  それでは次に、その資料の2つ目ですが、全国心臓病の子供を守る会の川口和子様か らのご意見が来ておりますので、これについて事務局から読んでいただけますか。お手 元の資料2の4ページ目です。 ○重藤補佐  資料2の4ページでございます。臓器の移植に関する法律の施行についてのお願い。 全国心臓病の子供を守る会から来ております。読み上げさせていただきます。  現行の臓器移植に関する施行に向けて、次の2点について、是非今回の検討の課題に 取りあげていただきたくお願い申しあげます。 1.6歳未満の脳死判定について  脳死判定基準を作成する時点で、臨時脳死及び臓器移植調査会の委員に小児科医がい なかったことと、脳死の症例が少なかったことで別に検討することになったと伺ってい ますが、それから10年あまりの歳月に、何ら検討がなされておりません。早急に症例 を集め検討を開始して下さい。 2.意志表示カードの有効性について  先日の委員会で意志表示カードの有効性は15歳以上とされました。本人の意思決定 を15歳以上を有効とするのでしたら、15歳未満は親権者や保護者の意志に委ねられ ると思います。このままでは、心臓移植でしか助からない子どもたちは、法律ができて もまったく希望がみえません。生体移植も出来ない心臓病の子どもたちは、死んでゆく しかないのではやりきれません。どうぞ再検討もしくは、課題として明記して下さい。  以上でございます。 ○黒川委員長  これは両方とも大変ごもっともなことでありまして、これは前々から話題になってい ることではありますが、これについて、2つ、医学的なこともありますが、このあいだ の15歳以上のことは、むしろ法律的なことと、それからネットワークの準備委員会の 井形委員会の方針でもこのことをわざわざ述べておられますので、これについて、それ では行政としてはどうするかという話を、まず伺ってみたいと思いますが、どうです か。どういうふうに考えているかということですね。では、小林局長のほうから、お願 いします。 ○小林局長  今回の法律では、残念ながら子どもさんのところが、臓器の提供を受けられません し、それから脳死判定もできないということでございます。  これは井形先生からも厚生省に対して、ネットワーク委員会の検討としてご要望がご ざいましたし、国会の関係でもこの関連としては何とかしてくださいというご要請がご ざいました。  厚生省では、まず、現在の法律に求められている厚生省のやることは、省令を作るこ と、ガイドラインを作ること等がありますが、それが終わった次の段階で、早速小児に 対する対応について検討を始めたいと思っております。それがいつまでにできるかとい うのは、もちろんこれは症例がどの程度集まるかということになって、いつが終期かと いうことはわかりませんけれども、早速検討を始めようと、このように思っておりま す。 ○黒川委員長  特に、この2の意思表示カードは、自分の意思で、脳死になった場合という話は15 歳以上ということでいいと思うのですが、15歳未満の場合には、保護者ですかね。親 権者、親の了承が得られればいいんじゃないかというのは、世の中の常識的な考えかも しれませんが、一応この法律、もとの法律、第百四号ですか。これには、自分で判定し ている場合に、自分で意思表示をしている場合と法律に書いてありますから、これは何 かしなくちゃならないですね。  このあいだの省令のところでも出たんですけれども、15歳未満をどうするかという のは、早急に対応を始めたいということで、井形先生の委員会からもありますから、こ れはしていただこうということにしましょう。  それから、6歳未満の脳死判定についてということですが、さて、これは、6歳未満 ではデータが十分ないからというようなことで竹内基準がずっときましたわけですが、 それについては、その後の状況というのは何か、どの程度わかっているのかということ についてですが、それについてはどなたにお伺いしましょうか。 ○重藤補佐  私どものほう、竹内先生といろいろお話をしております中で、やはり竹内先生といた しましても、6歳未満の子どもたちの判定基準が、症例が少なかったこともあり、そこ のところは要するに不備であるというご認識をされておりまして、ぜひそこのところも 早急に基準として症例を集めてしていきたいというようなお話も承っております。した がって、私どものほうも竹内先生といろいろ相談をしながら、いわゆる竹内基準につな がる格好で、6歳以上のものと全く別系統の6歳以下の基準というのも、これもまた妙 な話でございますので、一体とした、すべての年齢を網羅するような脳死判定基準の作 成に向けて今後、研究班なりいろいろなところで症例を集めて検討、研究をしていきた いというふうに考えております。 ○黒川委員長  現在、確かにこの10年で、竹内案が出てからは、日本国内だけではなくて、いろい ろなデータは集まっているとは思いますが、それをもとにしてある程度のことが出てく ればいいと思いますね。大塚先生、何かございますか。 ○大塚委員  別にありませんが、ぜひ早くやっていただきたいと思います。 ○黒川委員長  そうですね。それについても研究班を組織するなり、いろいろなことで検討をしてい ただくという方向でよろしいでしょうか。それでは、そういうふうにさせていただきた いと思いますが、よろしいでしょうか。現在のこの法律上は、このまま、今のところは ちょっと難しいけれど、できるだけ前向きにしながら早いところ対応をしたいというこ とにしたいと思います。それはそれでよろしいですね。  では、ドナーカードに行く前に、もう一回、ガイドラインに戻りますかね。ガイドラ インを、実は、省令のほうはこのあいだご承認をいただいていますので、ガイドライン にもうちょっと時間をいただいて、このガイドラインをずっと見ていただいて、これで いいかということを一応もう一回確認させていただきたいと思います。  まず、ガイドライン、資料1ですが、まず、ガイドラインについて先生方ともう一回 確認したいと思うのですが。  1ですが、これはどうしましょうか。1で、書面による意思表示ができる年齢という ことを決めなくてはならないということで、一応15歳というふうにしたということで すが、「知的障害者等の意思表示については、今後さらに検討すべきものである」とい うことでありますね。これについては何か。  一応よろしいですかね。また何かありましたらご意見はいただきますが、よろしいで すか。「目安」という訳のわからない言葉はやめたというところであります。  それから、遺族の範囲ということですが、これは2項ですが、いかがでしょうか。こ れもかなり議論をいただいたところで、遺族というのは、うちによって違うしというこ とですから、誰かがまとめていただくと。誰かというのは誰かというと、喪主になるよ うな、そのときに喪主が決まっているわけではないでしょうけれども、喪主になるべ き、のような人だなと。ある人のうちではとんでもない人がやたらと威張っていると か、いろんな状況があるとは思うのですが。それから、遠い親戚が突然出てきたという ときにも慎重に判断することですね。その状況等を把握して。その人の遠い親戚のおじ さんの意見も受け入れるかどうかは、喪主になりそうな人か、そういう人たちのその判 断で、決してあまり無理なことはもちろんできないと思いますけれども。もちろん、本 人の生前の意思ということがあって、一緒に住んで、長く住んでいた方々が、やはり摘 出をしてあげたいという意思が強ければ、それは家族の問題ですから。よろしいでしょ うかね。  では、3にまいりますと、臓器提供施設ですね。この施設がどうかというのは、今の 腎臓の場合にはかなり広く受けとめておりますが、差し当たり、適正な脳死判定を行う 体制があって、救急医学等の分野において高度な医療を行うことができると。特に、最 初の数例の脳死した者の身体からの臓器提供については、ここに書いてあるような大学 附属病院、日本救急医学会の指導医指定施設に限ると。この上の2つなんですかね。そ の3番目、4番目ということになりますが。4番に、「なお、上記(3)の「最初の数 例」に関する判断については、厚生省において、臓器移植ネットワーク云々、別途示す もの」。これについて、ちょっと事務局から、どうぞ。 ○重藤補佐  臓器の提供施設につきましては、この前の議論の中でいろいろ意見が出されまして、 この施設以外から臓器提供の申し出があったときにどうするかというようなこともいろ いろご議論をいただきました。  事務局で、受けとめていろいろ検討をいたしましたけれども、やはり最初のうちは、 国民のあいだで、脳死判定をきちんとやっているかと、きちんとできているのか、要す るに、なおざりに治療がなされて臓器が摘出されてはいないかということで、かなりそ こらへんのところについては非常に関心が高いところでございますので、それを受け て、とにかく最初するときには、とにかく誰が見てもおかしくない、もちろん施設まで 定めるのはどうかという問題も、それはもちろんございますけれども、やはりそこはき ちんとした脳死判定医が2名以上で判定をするということと併せて、医療機関において もきちんとした体制で、医療機関も責任をもって、医学会を含めてきちっとやりますと いうところを示して、安心いただくということが必要ではないかと存じます。  したがいまして、それ以外の施設から臓器提供が申し出られた場合においても、そこ はいろいろご説明をして、こういう形でやりたいから、腎臓に提供を、腎臓だけにして くれとか、そういうことでご説明をしたりするということで、とにかく最初は、ここに ありますように、最初の数例は大学附属病院、それから日本救急医学会の指導医指定施 設というところから提供していただくと。それから、最初の数例が済んだあと、日本脳 神経外科学会の専門医訓練施設、それから救命救急センターとして認定された施設に広 げていって、またそうした脳死判定というものが国民のあいだに安心をいただけるかど うかというところを本当に示して、そのあとで、そのほかの施設については、また別途 検討をすればよろしいのではないかなと考えております。  したがいまして、これまでの日本が置かれてきた臓器移植を巡る状況を鑑みますと、 当初とにかく万全の体制をもってスタートするということが。やはりそこは押さえてお く必要があろうかというふうに私ども考えているということでございます。 ○黒川委員長  これについていかがでしょうか。これはガイドラインですが、あくまでもやはり行政 的な判断ということを優先させるべきかなというふうに思いますが。いかがでしょう か。大塚先生のほう、何か。 ○大塚委員  大筋これでいいと思うのですけれども、「ネットワークあるいは関係学会等と協議の 上、別途示すものとすること」なんですけれども、これは具体的にどのようにして示さ れるんですか。 ○黒川委員長  最初の数例ということでしょ。 ○重藤補佐  この(4)の規定は、最初の数例は大学附属病院(本院)、それから日本救急医学会 の指導医指定施設に限るということにしております。最初の数例といったら、数例とは 一体何例目だという判断がございますので、そこのところを行政と関係学会と相談しな がら、例えば3例行われて問題ないということを確認し。 ○大塚委員  そうですか。最初の数例というのは数のことを言っているわけですね。 ○重藤補佐  そうです。 ○大塚委員  わかりました。 ○黒川委員長  そのほかに。3例でOKになるか、6例までいかない。そのへんの判断だと思いま す。それはこれでよろしいでしょうか。ほかに。この項は、意味はこれでクリアだと思 いますが。  それでは、第4項にいきたいと思いますが、脳死した者の身体から臓器を摘出する場 合の脳死判定を行うまでの標準的な手順に関する事項。これはだいぶ大塚先生、武下先 生にももう一回見ていただいて、いろいろなことがありましたので見ていただいたわけ ですが、これについてはいかがでしょうか。 ○大久保委員  何度も同じ話ばかりするのであれなんだと思うのですけれども。私まだ、どうもこの コーディネーターとコーディネーターの出てくる場所というのがよくわからないので。  実際に、今現在、日本で腎移植の行われている場合でも、なかなか救急医の先生方の ご協力が得られないというのが実情なので、救急医の先生に家族の意思表示の所持と か、本人の意思があったかどうかとか、そういったことまでを救急医の先生にしていた だくのはいかがなものかなと思いまして、実は、私のほうは、できれば救急医の先生に は、まず、「臓器提供の機会があるのでコーディネーターの話を聞かれますか」という ことだけに単純に絞って、そのあとコーディネーターが、ご本人の生前の意思表示と か、それからご家族の意思の確認というのをやったほうがすっきりするのではないかと 思っております。  そうすることによって、心停止後の腎移植のほうにもスムーズに移行するのではない かと。今のこの状況だと、一体どこで、もしも意思表示がなかった場合、腎移植のほう に移行してコーディネーターが来るのかというのが、よく私、何度見てみてもわからな いので、もう少し、前回も前々回も同じことばかり言っているようですけれど、ご検討 をいただきたいと思います。 ○黒川委員長  いかがでしょうか。これのセカンドパラグラフですね。2番目のパラグラフ。  実際、腎臓移植ネットワークをやっている立場からいろんな経験が、私もいろんな報 報を受けていますけれども、大久保委員の気持ちもよくわかるんだけれども、しかし、 ここにいる人たちと、それからここで傍聴をしておられる人たちは、比較的普通の人た ちよりはこの問題のことを知っているんですね。お医者さんでも同じことで、普通のお 医者さんがこの問題を、それではどのくらい知っているかというと、それほど知ってい ない人が結構多いんじゃないか。救急で患者さんが入ってきて、交通事故で入ってきた ら、そのお医者さんは何をするかというと、一生懸命になってこれを何とかして助けよ うとするのが当たり前の話ですよね。最初から、「これ、脳死になったらどうするか」 なんていうことを考えているわけないわけで。そのときに、どういう場合に一体、 「あ、これはもしかしたら臓器の提供という話になるかな」というのが医療の現場でま ず起こってくるかというのは、お医者さんのほうに起こるかというと、やはりこういう ところにいる人たちとか、それから、心臓の移植を受ける可能性のある方をしょっちゅ う見ている人とか、そうじゃないとなかなかそういうのがまず頭に浮かぶということ は、そういうことをリクエストすることも実際は問題というか難しい。やはりドナー カードみたいな意思表示みたいなのがそのところで出てくると、「おや、これは何だろ うな」と思うのが実際は普通の救急のお医者さんじゃないかなと思うし、実際の実践の お医者さんだと思いますけれども。  さて、そこで、どうでしょうか。そういうことがあったときにどういうふうに対応す るかというのは、ある程度これからのドナーカードと同様に社会的な実績を積まなくち ゃいけないんだと思うのですけれども。  セカンドパラグラフは、そういう意味ですよね。大久保委員の心配されているのは、 どういうふうにしたら、そういう脳死になりつつあるような患者さんがいる場合、ある いは脳死じゃなくても、腎臓の場合はもちろん心臓死でいいわけですから、ドナーとし てなりうる可能性があるのに、みすみす全然アクションをとっていないことがすごく多 い、ということを言っているんだと思うのですけれども。実際それはあるんですよ、す ごく。座間委員、何かありますか、コーディネーターとして。 ○座間委員  大久保委員が心配されていることは、事実、私ども実際にコーディネーターとして働 いていく上で、非常に不安というか、不明な部分は確かにあるのです。  ですから、極端なことをいえば、入院時に意思確認というのを医療の中全体でやって いけるようになれば、こういうことが拾われるのではないかというふうに思っているん ですけれども、それも現実的ではないかもしれません。  実際に臓器提供が可能性があるという状況になった時点で、主治医の先生からご連絡 をいただいて、そこで介入していくというのが一番いいのかもしれませんけれども、ま ずそういうことを今の状況では主治医は考えないのが事実だと思います。ですから、タ イミングというのは非常に難しいのは事実なので、どこでどういうふうに出ていくかと いうのは、主治医のほうからアクションが起きない限り私たちは動けないというのが現 実です。ですから、そういうことが、今、委員長のほうからありましたように、医療の 中でこういうことが、当たり前といっては変でしょうけれど、行われるようになってい くことを望んでいるというのが事実です。 ○黒川委員長  そうだと思いますね。そうじゃないと、例えば交通事故の現場で、救急車が来たら、 救急車にくっついていって、これはポテンシャルドナーですよということをわざわざ主 治医に言いに行くなんていうことになりかねないですからね。それはちょっと、やり方 としては不自然な気がしますけれども。 ○大久保委員  そこまでというのではなくて、とりあえずここに書いてあるように、臨床的に脳死と 判断された場合には、基本的に家族に対して、臓器提供の機会があるということで、 コーディネーターという方のお話を聞きますかということを尋ねるだけでいいとは思う のです。だから、その前の時点で、要するに臓器提供に関して意思表示の所持等、本人 が何らかの意思表示を行っていたか把握するとか、そういった行為自体を主治医にさせ ることが無理じゃないかと私は思うんですよ。  だから、基本的に主治医は、臨床的に脳死と判断したら、あとは、これで自分のやれ るだけのことはやったわけですから、あとの段階として、臓器提供の機会があると。要 するに家族に対して、臓器提供の機会がありますからコーディネーターのお話を聞かれ ますかという話だけをしていただくと。家族のほうが承諾されれば、当然コーディネー ターに来ていただく。「いや、結構です」と言ったら、それで終わり。  そのあとの話としてコーディネーターが伺って、臓器提供のお話を聞くといったとき に初めてコーディネーターが行って、そして、「じゃあ、ご本人はカードを持っていら っしゃいましたか」と。「持っていらっしゃったら、脳死の段階で提供できます。持っ ていらっしゃらなかったら、もしもお気持ちがあれば腎臓なり角膜の提供はできます よ」という話に移ったほうがスムーズに行くのではないかと思うのです。 ○黒川委員長  何かご意見。どうぞ。 ○座間委員  今、大久保委員のほうから出たような形式で、現実には今もやっているわけですね、 腎臓の場合。ですから、その形をそのまま継続できる間口というのは今も残っていると 思うのです。それをいかに、そういうことをやってくださる先生方が増えるかというこ とが一番の問題だと思います。 ○大久保委員  ただ、これだと、意思表示の確認自体を主治医がしなきゃいけなくなっちゃうのです ね。主治医が努めなきゃいけない。 ○黒川委員長  これは、把握するように努めるのですよ。努めるだけの話ですよ。だから、そういう ことがありますと、もしそれであれば、主治医等は、その下のパラグラフに行って、臓 器提供の機会がありますよと。いろいろだと大変ですけれども、コーディネーターの話 を聞いてみますかということを聞けばいいんじゃないですか。口頭又は書面により告げ ることで。 ○大塚委員  大変ここのところは重要なことなんですけれど。まず、臨床的に脳死と判断した場合 には、やはり主治医が臓器提供の意思があるかどうかを家族に聞かざるを得ないと思う のですね。その段階でコーディネーターにどうぞというわけには、ちょっといかないと 思うのですね。ですから、まず臨床的に、これもまた主治医はちょっと苦痛なところが あるんですね。臨床的に脳死と思ったときは、まだ生きているのですからね。生きてい る段階で臓器提供の意思があるかということを聞かざるを得ないのですよね。順序がち ょっと逆なんですよね。脳死判定をやってから、「脳死ですから臓器提供をいただけま すか」というならまだわかるのですけれども、これはまだ生きているうちに、もしも脳 死だったら臓器提供をしていただけますかということを言わざるを得ないわけなんです から、そのへんがちょっと矛盾しているところがあって、私もちょっとこのへん、すっ きりしないんですけれど。  いずれにいたしましても、臨床的に脳死ではないかなと思った段階でコーディネー ターの人に来てくださいというわけには、ちょっといきませんでしょう。やはり主治医 が。 ○大久保委員  家族の人に、とりあえずそのときに、臓器提供の機会があるということを、そのとき に聞いたらどうかという話です。意思表示のカードを。 ○大塚委員  そのときというのは。 ○大久保委員  要するに、臨床的に脳死になったときに、要するに、このままの状態では亡くなって しまうので、臓器提供という機会がありますけれども、コーディネーターの方のお話を 聞きますかというのを最初にしたらどうですかと言っているのです。 ○大塚委員  それは、なお難しいと思います。まだ生きているんですから。その段階でコーディ ネーターが前面に出てくるということに対しては、家族はものすごい抵抗があると思い ますね。と私は思うのですけれども。 ○黒川委員長  これは、臨床的に脳死というのは、本当に脳死になっているわけではないんですよ。 だから、そういう前提で話を進めるに当たっては、もちろん正式な脳死の判定は、今度 その6時間前のいつかは始めなくちゃならないわけですけれど、やはり腎移植の場合も そうじゃないですか。そうじゃないんだけれど、かなり脳死に近いと多分助からないな という話から話が始まるわけだから。どうでしょう。 ○座間委員  今、大塚委員のほうから出たように、確かに、前回のときにもお話ししましたけれ ど、ご家族にとっては、生に対しての可能性がない時点で、やはり主治医の先生もコー ディネーターのほうへの連絡というような形になると思うんですね。  今回のこの法律でいきますと、基準にのっとった脳死判定というのは、そのあとにな るというところが非常に厳しいところだと思うんです。 ○黒川委員長  それは確認をしているわけですよね。だから、そこにきて、やはり移植にはならない 可能性だっていくらでもあるわけですよね。実際、腎移植でもそういう話があって、 コーディネーターが行っていろいろな話をしても、それは話をしているだけで、そこか ら先は、全然成立しないこともいくらでもありますものね。だから、むしろ家族の側に 立っていろんな話をしているわけだから、それで十分納得して、そこから移植になると きもあるし、移植できるような状況では医学的に全然ならない場合もありますからね。  どうかな。大久保委員はそうおっしゃるけれども、しかし、医療の現場からいうと、 「主治医等が、臨床的に脳死と判断した場合」というのは正式の脳死じゃないですよ ね。まだ生きているわけだから。多分もしかしたら脳死になっていくなという話の場合 ですからね。いつそれを話を持ちかけるかというのは、救急の現場の先生にとっては結 構厳しい判断だと思います。 ○座間委員  ひとつは、ご家族と接触を持つということは最終的な目標であって、その前の時点で 主治医の先生方とのコンタクトをとるということは、早い時期に私どもでもやらせてい ただくことはうれしいと思うのですけれども。 ○大久保委員  この一番下の、「その結果、家族等から、その意思表示の存在が告げられた場合」、 「その結果」ということだから、要するに、基本的にやはり、意思表示があるかどうか ということを、これは主治医が、まだ臨床的な脳死の段階で把握しなきゃいけないわけ ですね。 ○黒川委員長  そうです。これはまだ正式の死んでいるわけじゃないですよ。 ○大久保委員  だから、私は、その段階で同じように、要するに意思表示があるかどうか、要するに 臓器提供に関して家族自体が気持ちがあるかどうかを尋ねるということは、別にこれと は全く同じじゃないかと思うのですけれどもね。それをそのあとの業務自体をコーディ ネーターが引き継ぐことがやはりいけないんですかね。 ○黒川委員長  こうなる前に、しかしコーディネーターとドクターは話は始めていますよね。連絡が あれば。それは腎臓の場合でも非常に多いことだけれど。それで話を聞いていると、無 理だとかですね。ドクターのほうでも、よくそのことをご存じない人も結構いるわけで すから、救急の現場。 ○大塚委員  私としては、脳死判定がされる前にコーディネーターに前面に出られると非常に困る ということを言っているのです。これは、家族の立場を考えますと、これはやはり、臓 器提供がまず前提にあって医療をやっているんじゃないかというふうにとられてしまう のですね。そこをやはり恐れるわけです。これだって、いま私が、ひとつ釈然としない というのは、そこに実はあるわけなんですよ。まだ脳死判定をしていない時期。脳死か もしれないけれども、まだ脳死判定をしない、これから脳死判定をやるんだと。だけ ど、その結果、脳死だとしたら臓器提供をしてくださいよと言わざるを得ないですもの ね。そこが釈然としないのですよ。 ○小柳委員  前回の繰り返しになりますので議事録にも残っていると思いますが、移植学会でド ナー作業部会というのを作って、救命救急の現場の先生方のご意見を伺っている限りで は、2回目の脳死判定のあとで登場してくれという姿勢の方が多いので、大塚先生のお 考えは、もう少し前に進んでいらっしゃるお考えだと思うのですが、なかなかそうお考 えの先生は少なくて、2回目の脳死判定までやって、それからでないと困るということ をかなり、ご理解のある先生がお二人とも口を揃えて言われたのが現状ではないかと思 うのですね。  ですから、これから先、どの時点でコーディネーターが登場していいかという現場の 了解をだんだん得ていかなければいけないんだと思うのですけれども。 ○黒川委員長  それはしかし、そうすると、このあいだも話が出ましたけれども、救急のドクターが いろいろ聞いていただいたりして、これは脳死の判定をして、臓器提供の前提でするわ けになりますよね。6時間後に2回目をして、脳死だと言ったと。そこからコーディ ネーターをもし呼んでくると、いろいろ話を聞いたら、やっぱりやめたということは起 こりうるわけですよね。そのままスムーズに行っていればいいけれども。そうしたら、 その脳死の死というのはなくなっちゃうわけですか。そうですよね。またやっぱり心臓 に戻りましょうということになっちゃう。 ○重藤補佐  そこらへんで、法に定める脳死判定というのはどういう脳死判定かといいますと、本 人のドナーカードがあって、それから、本人がその中で脳死の判定を受け入れ、これこ れの臓器を提供するというドナーカードがあって、家族も拒まないときにできるわけで すから、そこから脳死判定は始まるわけです。  したがいまして、法律に規定された脳死判定を行うためにはそれらの条件が必要なの で、それがない状態で脳死判定をやっても、それは法律的な脳死判定になりませんの で、それの2回目の判定を終わったとしても、それは何らこの法律に関係ない、この法 律に規定しない脳死判定になります。  そうしますと、その判定が終わってからコーディネーターが入りますと、そのコーデ ィネーター活動の中でドナーカードが見つかり、家族も了承するころからスタートしま す。そうしますと、脳死判定は4回やっていただくことになります。 ○黒川委員長  そうです。それはこのあいだもちょっと議論しましたね。だから、法律的な脳死判定 が最後の2回のやつで、最初の2回のやつはメディカルにやった判定をしているんだよ ということですね。  これはどうですかね。やはり臨床の現場の先生、特に救急の先生の立場というか、日 常の診療活動からどういうふうにこれを受けとめるかということが一番大事だな。 ○大塚委員  これは、一律にこの段階でコーディネーターが入るというふうに決められないのでは ないかと私は思っているのですね。中には、これは極めてごくわずかなんですが、脳死 になりそうなという状況を家族が察して、実はドナーカードを持っておりますよと、前 で申し出てくださる方が、まず少ないんですけれども、ある。そういう方には早い時期 からコーディネーターは入れるのですよ。ところが、そういうことは全くわからない場 合には、きちんとやはり脳死判定をやってからでないと、コーディネーターを入れると いうことは、ちょっと困るんですね。困るというか、家族が不信感を持っちゃう。その へんなんですよ。ですから、一律にこの段階でというふうにはなかなか決められないの ではないかと。ケース・バイ・ケースではないかなというふうに思うのですね。 ○黒川委員長  今の言われたのは、最初の脳死の判定をやったというのは、まだ法律的な脳死判定じ ゃないわけですよね。 ○大塚委員  そうですね。 ○黒川委員長  一応メディカルに、かなり確実に脳死だなという話を患者さんの家族に言うわけです ね。 ○重藤補佐  私ども、そこのとこらへんも非常に考えまして、今の大塚先生の話。本当に苦労しま して、(1)の4行目のところに、主治医が臨床的に脳死判定した場合とあって、「以 後において」と。「以後において」というふうにしたことは、スタート地点は、主治医 が臨床的に脳死と判断した場合を超えないと。とにかくスタートだけはこれ以後にして くれということで、そこからあと、1回判定をしたときでもいいし、2回判定をしたと きもあるし、それは主治医の先生と家族の考えと、そういう日常のコミュニケーション の中で、インフォームド・コンセントの中でそれは判断していただくべきことで、必 ず、臨床的に脳死と判断した場合に、その時点で入れというわけではありません。この 規定は、それよりも前になっては、やはり倫理的にも、死の青田刈りというようなこと にもつながりますので、スタートはとにかくそこに、そこが最初にしていただきたい と。それ以降については、本当に主治医と家族の関係であるという書き方でございま す。 ○大塚委員  まさに重藤さんがおっしゃったとおりなんですけれど、これは一律にはいかないとい うのは、まだ一つ実は問題もあるんですね。例えば、脳死判定をした場合に、第1回目 でもいいのですけれども、脳死ですといいますと、ほとんどの家族はショックですよ。 我々の言葉を本当に冷静に受けとめてくださるなんていう家族はほとんどいない。です から、それが落ち着くのは、2回目の判定をやって、さらに過ぎてから。本当に3日、 4日過ぎないと、私たちの話を冷静に受けとめてくださる心理状態にならないですね。 そんなときに臓器提供してくれとか言ったって、これはわからないですよ。と私は思い ます。 ○黒川委員長  そうですね。だから、このガイドラインが言っているのは、先生が言われた1回目、 1回目という脳死か、2回目という脳死か。時間がたって、患者さんのほうも、そうい う話になってくると、患者さんのほうで本当に死の受容というプロセスが多分入ってく るんだろうという気はしますけれど。そこへ初めて出てくる話なんでしょうね、臓器提 供しますかねという話が。 ○大塚委員  主治医が家族の心理状態を読んでおりまして、この段階だったら臓器提供の話を持ち 出してもいいだろうなというときは、タイミングがあるんですね。 ○黒川委員長  それはそうでしょうね。 ○大塚委員  ですから、一律に、脳死判定をしたらすぐ入れろとか、それはちょっとかなり難しい 問題だと思います。 ○黒川委員長  それはやはり救急の先生が、それまで患者さんと家族とインタラクトしているわけで すから、その判断というのは、やはり一律にできないと思いますね。 ○座間委員  今、大塚先生のおっしゃったとおりだと思うのです。ただ、私どもが実際に情報をい ただく時点で、1回目の脳死判定が済んだ時点ぐらいから関わりを持たせていただく。 主治医と、それから現場で実際に患者さんのご家族と一番接触を持っているのはナース だと思うのですけれど、そういう人たちからの情報をいただいたり何かして、ご家族へ の接触をどの時期に持ったらいいかとか、どういう話し方をしたほうがいいのかという ようなことも考えながらやらせていただくということであれば、早い時期からの情報を いただくというふうにお願いしたいと思います。 ○黒川委員長  これはだから、ガイドラインに書くようなことじゃなくて、やはり現場の先生方、 今、腎臓移植ネットワークでもそうですけれども、情報の多いセンターは、向こうもそ ういうことを意識しておられて、すごく慣れていますから、情報があると、本当にそれ は提供できるような状況になるかならないかは全然わからないんだけれど、とにかく コーディネーターとインタラクトを始めますから。といって、患者さんにまだインタラ クトしているわけじゃなくて、コーディネーターとドクターのあいだの話で、もしかし たらこの人はドナーになる可能性があるよというと、コーディネーターもいろいろなそ れなりのチェックをして、これだったらどうかとか、悪いとか、いろんな話が主治医の 側とでき始めるという準備状況はするというのは、別に書いてある必要もないし、それ をするのは嫌だという先生もおられるかもしれないし、それをなるべくしようという先 生もおられるかもしれないし。ただ、トランジッションが、それから始まって2日、3 日かかることはいくらでもありますけれども、スムーズにお互いに理解をし出すという ことは確かにあると思いますね。それはあくまでもネットワークになってからの利用法 であって、なるべく早く一応情報をいただければということはあると思いますね。腎臓 だって、情報をもらってから1週間ぐらいぐずぐずしていることはいくらでもあるもの ね。  そういう趣旨からいうと、このあいだも言ったように、臓器を提供するという前提に 立った脳死の判定というのは、もっと後でやるわけですよね。6時間で。今はこれはあ くまでも、正式の脳死というとおかしいけれど。 ○大塚委員  正式であってもいいんですよ。 ○黒川委員長  もちろん正式であってもいいんだけれど、そこからまた始めるのがね。脳幹刺激とか 無呼吸テストとかいうのが全部入っちゃっているわけですからね。 ○大塚委員  そうですね。第1回目のメディカルの脳死判定をやった段階で、ご家族の方が、「実 は、この者はドナーカードを持っております。生前こういうことを言っておりました」 ということが申し出てくれば、これは簡単なんですよ。申し出のないときは、いつの段 階でコーディネーターを入れるかということになるわけですよね。 ○黒川委員長  そうですね。それはやはりケース・バイ・ケースで、臨床の現場で、これから始めな さいなんていうのは、ちょっと無理な話ですよね。  どうでしょうか。 ○大塚委員  そういうことになりますと、これは将来のことかもしれませんけれども、そういうこ とになりますと、私どものような、先ほどの認定された、指定されたというのでしょう か、そこの施設の重立ったところに、ドナーサイドのコーディネーターというものを常 駐してくださるといいのですよ。 ○黒川委員長  そうですね。だけどそれは、なかなか難しいでしょうね。確かにドナーサイドのコー ディネーターというのは、そのコンセプトというか、それだけのマンパワーができるか どうかわからないけれど。  一番大事なことはやはり、家族、遺族の、遺族というか、遺族になる前ですけれど、 家族の気持ちをどれだけ思いやりながらスムーズにしてあげるかということが一番大事 なんですよね。それは、家族、ドナー側のコーディネーターとは限らず、ドクターでも あり、ナースでもあり、ということだと思いますけれどもね。  いかがでしょうか。当局も、いろいろこれを書くのには苦労をしたところだと思いま すけれども、頭の中でいろいろ状況を判断しながら書いた。 ○重藤補佐  先ほど申し上げましたように、(1)の規定の趣旨は、とにかく主治医が臨床的に判 断する以前においては、やはりお話をいただくことは遠慮していただくと。要するに、 一番早い段階であっても、主治医等が臨床的に脳死と判断した場合と。それから以降と いう規定の意味でございまして、それ以後であれば、2回目を判定したあとであって も、それは主治医と家族との関係の中で判断をしていただくべきことであってという趣 旨でございます。 ○黒川委員長  そうですね。これを読むと、やはりその趣旨で、そこで主治医と家族の両方が理解す れば、そこでコーディネーターが家族に話を始めてもいいわけだし、主治医が、「それ はまだ早いよ」と言っているのであれば、まだ言えないということもいくらでもあると いうことですね。  いかがでしょうかね。  そのへんの現場というのは、いろんなケースが確かにあるんだろうと思いますね。腎 臓の移植でさえもいろんなケースがあるから。だから、これはこのように書いていただ くけれども、文字どおりこういう順番というふうにとれているわけではないので、これ で一応ガイドラインとしてはよろしいかなというふうにも思いますが。特に大塚委員、 大久保委員、座間委員、よろしいですか。  3ページになって、(3)に入りますが、「主治医は、家族が希望する場合には、こ れらの者の説明に立ち会うことができる」なんて、家族が立ち会わないでくれなんて言 われるのもちょっと困るかもしれないけれども。当たり前かなということをわざわざ書 いてあることも多いわけですよね。  この(4)もよろしいですか。脳死の判定のところに行きますが。 ○大塚委員  下のアンダーラインのところもそうなんですけれども、「家族が希望する場合」とい う表現なんですが、自主的に立ち会わせてくれというケースもあるだろうし、ドクター のほうから、「今から脳死判定をやるんだけれども、立ち会いになりますか」というふ うに言うこともあるだろうし、両方を含めて言っているのですね。 ○黒川委員長  そうです。 ○大塚委員  そういうことですね。 ○黒川委員長  はい。だから、ここで、「医師は家族が立ち会いたいかどうかを必ず聞くこと」なん ていうのも、ちょっと変な話ですよね。 ○大塚委員  それはおかしいですね。 ○黒川委員長  そこまで書く必要はないんじゃないかということじゃないかと思いますけれども。  この(4)のところが、今回の趣旨の、脳死を判定する医師は、本人が書面により脳 死の判定に従って、脳死の判定をしてもらってもいいよと。その前提は、なぜかという と、臓器を提供する意思があるんだよということを言っていると。しかも、家族が、脳 死判定を行って臓器を提供することを拒んでいないんだというときになって、法に規定 する脳死判定を行うと。こういうことが書いてあるということですね。  よろしいでしょうか。特にそのほかご意見ございません。  よろしければ、それでは、5にいきましょうか。臓器移植にかかわらない一般の脳死 判定について、ここでは言っているわけではないと。そのため、治療方針の決定等のた めに行われる一般の脳死判定については、従来どおりの取扱い。これは医学的にやって 結構ですということですね。  よろしいですか。どうぞ。 ○大塚委員  この5番なんですけれども、文言はこれでいいんですけれども、実際的に、ここのと ころで、臓器提供をしない脳死患者さんのその後の治療ということが極めて曖昧なんで すね。現状でもそうなんですけれども。この曖昧のままでよろしいのですか。厚生省さ んとしては、どうお考えになっておられますでしょうか、ひとつお聞きしたいのです が。 ○重藤補佐  脳死判定以後の治療等については、これまでどおりということでございまして、この 法律は、臓器移植につながることについての規定ですから、それ以外については従来ど おりでやっていただくということしか。 ○大塚委員  従来どおりといっても、いろんなケースがあるんですね。例えば、脳死になる前の治 療をそのままずっと心停止まで続行するケースもあれば、脳死ということがわかったか ら少し消極的治療に変えましょうということで、昇圧剤とか輸血とか、全部取り除いて しまうというケースもあるわけですね。場合によっては、脳死になったんだから、もう 死なんだからといって、生命維持装置を切ってしまうというケースもあるわけですよ ね。それは、どれをやってもこれはいいということでしょうか。 ○重藤補佐  臓器移植関係の部門で言うのはあれですけれども、やはりそこのところは、対患者さ んとの関係の中で、インフォームド・コンセントの中で、患者さんが納得のいく治療 を、それと医師のいろいろ説明等の中で個別的になされるものであろうというふうに考 えております。医療の内容について、こうでなければならないというのを行政が言うと いうのも逆に問題があろうかと存じます。 ○大塚委員  そのへんが私たちは、また一抹の不安を持っているところなんですよ。2回脳死判定 をやって、脳死が死だからベンチレーターを取っちゃう、切っちゃおうということでも って切れば当然死に至っちゃうわけですね。それが場合によっては殺人罪で訴えられる ことがあるわけですよね。同じ脳死でも、片一方は法で守られ、片一方では犯罪になる かもしれない。こういうのは、私たち非常に困るのですよ。 ○重藤補佐  そこのところの議論は大変大きな問題だと思います。そこは、本当に終末期の医療を どうするか、がんの終末期をどうするかというものとも比較的似たような問題になるの かもしれません。ただ、次元はちょっと違うのかもしれません。医学的にもう死である という脳死と、がんの末期でまだ生きている方と、そこらへんは本当に次元は違うかと 思いますが、ただ、それは本当に、この法律で規定しない部分については、医学界とし てどう判断されるのか。それが患者さんの中でどういうふうに受けとめられるのか。そ れから、国民の中にどういうふうに受けとめられるのか。それは個別ケース的にどうで あるのかというようなところで、やはりそこらへんは、本当に国民としてのコンセンサ スをどう形づくられるかという問題ではないかと思っております。 ○黒川委員長  それが今回の法案の意味なわけですよね、ある意味では。だから、もし先生がおっし ゃるように、脳死判定をして、2回もして、別に臓器提供という意味じゃなくてです ね。これで脳死だということがまず間違いないと。そちらの臓器提供の意思があった り、いろんな条件が揃っていれば臓器を提供できるような状況ですねという話をするか どうかは別としてですね。しかし、医療の現場では、さてそこで、全部それでは、チ ューブから何から、もうやめたというのか、徐々に栄養輸液や何かをやめながらだんだ んスローに、パッシブに行くのか、あるいは、何が何でも全面やってくれという家族も いるかもしれませんよね。そのへんは、今の医療の判断と同じじゃないかなと思います から、そこの脳死の判定をして、これは脳死だと、みんな死だよと言っていることを認 めるわけではないんだというのが、この法律の趣旨だと思いますから、これはこれでよ ろしいんじゃないかと。 ○大塚委員  そこは、そっと置いておく。 ○黒川委員長  置いておくというか、そこは家族に説明した上で、家族がどういうことをしてほしい かによるんじゃないですかね。 ○大塚委員  わかりました。 ○黒川委員長  それでは、6。これは従来どおりだということを再確認しているということですね。 だから、従来の心停止後に行われる腎臓摘出の場合でも結構なわけで、この場合も、従 来の医学的な脳死の判定ということをすることもあるわけですが、これはあくまでも治 療方針で、これを決めるための脳死判定をしていますよと。心臓死になって摘出するこ とは、本人が云々かんぬんということはなくてもいいわけですね。今までどおりという ことです。よろしいでしょうか。  それから、7番。臓器摘出に係る脳死判定に関する事項。これはいろいろ大塚先生に また別の委員会を作っていただいて、さらにこれを検討していただいたわけですが、こ れはいわゆる竹内基準に従っていって、瞳孔の固定についても一つご意見がありました けれども、それについてもここで再確認をしたと。  それから、無呼吸テストについてもご意見がありましたが、これもはっきり書いたと いうガイドラインであります。それから、ご意見にあったことについても一応考えた上 でこうなったということです。  それから、補助検査。  それから、判定医についても一応ご意見をいただきましたが、皆さんにご確認してい ただいた。  それから、病院では、これらについての情報についてはきちんと整理しておく。  それから、観察時間は、6時間でありますが、これについてもいろいろ議論があった ところでありますが。 その次の6ページに行って、その他、いわゆる脳低温療法その 他についてのコメント。  そこまでよろしいですか。実際のこれはプロシージャーについてのガイドライン。よ ろしいでしょうか。これはだいぶ議論をいただいたところですので大丈夫かと思います が。よろしいでしょうか。  よろしければ、6ページの真ん中の(2)ですね。脳死の判定以後に本人の書面によ る意思が確認された場合にどうするか。もちろんそれは改めてやる。  それから、診療録への記載。それから、それらの記載の書式も作っていただいたとい うことですね。  それから、死亡時刻。この場合は、あくまでも脳死の判定で臓器を提供する場合です が、第2回目の検査終了時をもってということですね。よろしいでしょうか。  よろしければ、それでは7ページ、9ですね。臓器摘出に至らなかった場合はどうす るかということですが。これは、臓器摘出に係る脳死判定を行って、その後移植に実は 適さなかったんだということがわかって使えなかったような場合ですが、それも当該脳 死が判定された時点。よろしいでしょうか。 ○大塚委員  ここでも実は問題があるんですけれども。要するに、こういう形でもって提供がなさ れなかった場合に、家族が、それならば心臓が停止するまでちゃんと治療をやってくだ さいと言われたときはどうされるのですか。これは、あくまでも死んだものとして突っ ぱねるのですか。 ○黒川委員長  これをどう読むかですね。どうぞ。 ○重藤補佐  法律の附則の中に、死亡したとしても、それ以後の治療については当面保険給付され るということがございますので、当然、死亡判定をして、死亡診断書を書いたとして も、それ以後の治療を家族が望んで、とにかく納得がいくまで治療をしてくれというこ とについては保険の適用等ございますので、治療つまり処置を続けていただいて差し支 えないというふうに考えております。 ○大塚委員  そうしますと、ここのところ、今おっしゃったようなことをやりますと、要するに、 死亡時刻と心臓の止まった時刻がかなり乖離しちゃうのですね。それでいいのですか。 ○重藤補佐  とにかく法律に基づくすべての要件を満たして脳死判定をしていただいたら、そこで 死亡というふうになります。つまり、この法律では、臓器移植につながるということで 判定された脳死判定の結果は死亡となるということでございますので、そこで死亡とい うこと。ですので、そうした場合については、心臓が停止するしないということはかか わりなく、その時点で死亡として受けとめられる。当然、ご本人も書面により脳死の判 定を受け入れるというものもあり、家族も脳死を受け入れるという前提が当然その要件 の中にはございますので、そこで死亡ということになります。 ○大塚委員  平たく言うと、死んでいる人に治療をしているということになるわけですね。 ○黒川委員長  そうです。 ○重藤補佐  そうです。法律の法文上は処置ということになっていて。 ○黒川委員長  それは治療という言葉じゃないでしょうね。処置ですね。 ○大塚委員  矛盾しているような感じもしないでもないのですが。 ○黒川委員長  治療と言わなければいいのかもしれませんね。これも実際どんなケースがあるかによ りますよね。遺族の反応。脳死で心臓を取っちゃって、そのあとどうするかというのは ないかもしれないけれども、腎臓一つだけなんていうことは、ないと思うのだけれど も。 ○大塚委員  これは、やってみないことには。 ○黒川委員長  よろしいですか。では、10にまいりますが、移植施設。これは合同委員会のほうか らいっているところですので、その後、移植施設の見直し、追加等については云々かん ぬんと、そのあとの進捗状況を見ましょう。  それから、11番ですね。公平・公正な臓器移植の実施ということで、これは今の臓 器移植ネットワークを介して行うということで、介さないのは認めない。  それから、海外から提供された臓器についても、移植ネットワークを介さない臓器の 移植は行ってはならないということで、これが移植ネットワークを介すわけで、これは 国内の米軍基地も一応海外の扱いですから、これについては今から整備する。  それから、角膜については従来どおりアイバンクを通じる。  それから、法律に規定されていない臓器の取扱い。これは、海外から提供された臓器 というのは、これはそうだし、国内にある海外はベース、基地ですね。基地との法律の 問題ですね。在日の大使館の中なんていうことはあり得ないだろうね。 ○重藤補佐  おそらくないかと思います。 ○黒川委員長  ないから、どこか街の病院になるかもしれない。  法令に規定されていない臓器の取扱い。こういうことはだめだと。  個人情報の保護。これについては、どうぞ。 ○重藤補佐  個人情報の保護。つまり、レシピエントとドナーの患者の情報が行き交いますと、や はりそこのところで、大変うがった見方かもしれませんが、臓器売買といったような行 為が起こる可能性もあるというようなことと、デメリットが大変大きいということで、 ドナーサイドの情報とレシピエントサイドの情報については、これは遮断をしてわから ないようにネットワークが仲介するということでございます。  ところが、前回、大久保委員より、さりとて、ドナーのほうとして、やはり遺族の側 が、いろいろ提供したということについて本当に生かされているのか生かされていない のか、それから、いろんなそういう役に立ったか役に立たなかったか、それから、葬儀 等のときに親族に言えるとか、そういう情報は必要ではないかというお話がございまし て、これは、いろいろ検討しまして、情報の中でも、とにかく特定できないような情報 を、どの程度の情報がよくて、どの程度の情報をするべきであるのかというのは、別途 いろいろ論点もございますので、それは例えばネットワークで広報委員会なりいろんな 委員会の中で検討をいただくのか、別の組織を設けるのかは別としまして、そうした問 題について、今後、ドナーに対して礼意を尽くすという意味での、有効に活用されたか 否かという情報は提供していくような検討を私どもとしても受けとめてやっていきたい というふうに思っております。 ○黒川委員長  腎臓移植ネットワークは、初年度が161の腎臓移植が行われて、2年目が180行 われていますけれども、もちろんドナーのほうの遺族には、「腎臓をいただきまして、 ありがとうございました」と。「これは、2人の人に割り当て、大変うまくいっており ます」というような返事は必ず出しています。だけど、特定はもちろんできませんが、 だけど、心臓と肝臓に至っては、いくら隠したってわかっちゃいますよね。マスコミが 黙っていないんじゃないですか。誰がもらったとか、そんなことニュースになっちゃい ますから、遺族としては、もう丸見えもいいところですよね。だけど、これは数が多く なれば多分わからないだろうと思いますけれども。それでもわかりますかね。いつ出 て、いつどこかに移ったというのは。 ○大久保委員  アメリカぐらいになったらわからないでしょうけれども。 ○黒川委員長  そうですね。今のところは、もちろん基本はそうだけれど、自然のニュースから漏れ てしまうということはありますよね。 ○小柳委員  アメリカも、レシピエント側が非常に有名人の場合、ペンシルベニア州の知事が、心 臓と肝臓ですか、両方をやられましたときに、そのニュースを見て、ドナー側からのア クセスがあったのです。ですから、そういう危険はあるかと思っておりますけれども。 ○黒川委員長  そうでしょうね。このあいだのニッキーマントルのときの肝臓移植なんていうのは、 誰でも知っているんじゃないですか、きっと。その日に亡くなったドナーなんていうの は大体わかっているわけだから、すぐにわかっちゃうわけだけれど。  そういうことですね。プリンシプルはそうだけれど、自然に漏れちゃうだろうな、し ばらく。  では、8ページの(4)にまいりましょうか。摘出記録の保存。これはそうですよ ね。  それから、検視。どうぞ。 ○大塚委員  この検視のところも、事務局にお聞きしたいのですけれども、10月16日以降、交 通事故その他、問題のある患者さん、警察署長に連絡する。検視に来てくださることに なっているのですね。既に検察庁との話はついているわけですね。 ○重藤補佐  ええ。 ○大塚委員  それなら結構です。 ○重藤補佐  ちゃんと協議しております。 ○黒川委員長  よろしいでしょうか。どうぞ。 ○大久保委員  一番最後の、「医師は、当該手続が行われる場合には、その手続が終了した旨の連絡 を捜査機関から受けた後でなければ、臓器を摘出してはならない」。これは、法案のほ うでは、その手続が終了した後でなければ臓器を摘出してはいけないというふうに書い てある。ちょっと私が思ったのは、この連絡ということは、救急の病院と、また別のと ころへ持っていくのかなと。連絡というのはどういうあれなのかなと。こういった字句 が入ったのが。 ○玉川補佐  このガイドラインの中で「連絡」という文言を入れましたのは、法律上は、「当該手 続が終了した後でなければ」ということになっているわけでございますけれども、いつ の時点をもって「当該手続が終了した」ということなのか明確でない可能性もあるとい うことから、念のため、一応検視に当たられた当局から終わりましたという連絡行為が あって、ここで終了したということが明確になったという時点をもって次の手続に移っ ていただくこととしたものでございます。 ○大久保委員  「連絡」というと、場所が全然違うように受け取る語句みたいな感じがしたものです から。 ○玉川補佐  そういう場所的な趣旨から入れたものではございません。 ○黒川委員長  そのほかに。よろしいでしょうか。  それでは、(6)にまいりますが、組織移植。これは臓器移植を扱っているので、組 織については扱っていないということでありまして、臓器の移植等についてであって、 その対象の臓器は法律と厚生省令に書いてありますが、皮膚、血管、心臓弁、骨等の組 織の移植については、これらは組織と見なすということですね。これらの組織の移植の ための特段の法令はないが、通常本人又は遺族の承諾を受けた上で医療上の行為として 行われ、医療的見地、社会的見地等から相当と認められる場合には許容される。  したがって、組織の摘出に当たっては、これは、国会議員さんのほうからこれについ ての質問が出されたので、このあいだ議論していただいたわけですが、組織の摘出に係 る遺族等の承諾を得ることが最低限必要だと。遺族等に対しては、摘出する組織の種類 やその目的等について十分な説明を行った上で、書面による承諾を得る。そうでしょう ね。これについてはいかがでしょうか。どうぞ。 ○野本委員  前回の専門委員会で言っていただいたように、このことに関しては移植学会、このガ イドラインの骨子をベースにして移植学会としての方針を決めると。それによって国民 の不安が生まれてこないようなやり方をやるというようなことを先回に決めていただい たとおりでございますので、ちゃんとシステムを作っていきます。 ○桐野委員  6番のタイトルは、「組織移植の取扱い」となっているのに、下線部の文言は、「組 織の摘出に当たっては」となっておりますが、そうすると、いろんな技術上の目的のた めに、ただ取る。例えば、さっき僕がちょっと質問した脾臓なんかの場合も、これは組 織の摘出に当たるのかどうかわかりませんが、移植をするものについて承諾が必要なん じゃないのですか。摘出するものはすべて承諾が必要なのでしょうか。つまり、取り出 すものはすべて。そうじゃなくて、移植に使うものが承諾が必要なんじゃないのです か。 ○黒川委員長  これは、組織を移植の目的で使う場合です。皮膚の移植、血管の移植。 ○桐野委員  「組織の摘出に当たっては」となると、取り出した組織。これは移植の目的で摘出す る場合はということですか。 ○黒川委員長  そうですね。これらの組織の移植のための特段の法令はないけれども、これは医療上 の行為として行われるということなんですけれど。ですから、それを摘出をして、使う ために摘出をする場合には、それの目的とか、いろいろ十分に説明しないといけないよ ということ、と読めますが、それだとちょっとまずいでしょうか。 ○重藤補佐  当然そうした趣旨で、要するに、組織移植のために組織の摘出をする場合はという趣 旨で書いておりますけれども、それが読めないということであれば、またちょっと私ど も。これで読めるのであれば、またあれですが、ちょっと検討をいたしまして。 ○黒川委員長  「したがって」と書いてあるわけだから、最初の4行は組織の移植のことを書いてあ って、移植に使われる組織ですね。臓器移植に付帯して出てくる組織じゃないですよ。  では、ちょっと検討をしてみてください。よろしいでしょうか。  それでは、全般に何かございますか。  もしございませんでしたら、一応このガイドライン、もう一回どうしてもい何か言い たいとか、いろんなことがあるかもしれませんが、一応現在のところのこのガイドライ ンでは、先生方の今のところの合意でよろしいのではないかと思いますが、何かござい ますか。  では、このガイドラインで、これで先生方のご意見をいただいたということで、この ガイドラインをいただきたいというふうに思いますが、よろしいでしょうか。  では、このガイドラインを、それではご承認をいただいたということで、このガイド ラインを、どうこれから取り扱うのかということを、事務局のほうからお願いします。 ○重藤補佐  本当に先生方、数回にわたりガイドラインについて議論を詰めていただきまして、ど うもありがとうございます。  この意見を踏まえて作成されたガイドライン、また私どものほうで、今回もらった意 見も含め、いろいろ意見を聞きまして、法律の施行前に局長通知として出させていただ きたいというふうに考えております。出すに当たっては、また先生方にも、最終的な案 はこうなりましたというようなことをご連絡しながら通知をさせていただきたいという ふうに思っております。 ○黒川委員長  結構です。よろしいでしょうか。それでは、そのような取扱いにさせていただきまし て、進めたいと思います。  では、その次ですね。議題の2になりますが、何件かありますので、事務局のほうか ら、それでは懸案の説明をお願いいたします。ドナーカード。 ○重藤補佐  まず、ドナーカードでございます。黄色い資料で別添であります。これは、移植学会 と患者団体の方が共同してお作りいただいた臓器提供意思表示カードでございます。  この中身につきましては、移植学会それから患者団体が、私どものほうで、あらかじ めこの委員会でもご紹介をいたしましたが、厚生省の例示した案に基づいて、学会は学 会なりのご判断で、裏のドナーカードの実際の書式を定めてお作りいただいて、200 万枚、今現在、作成して配布しているというものでございます。情報提供までにご紹介 をいたしました。  厚生省といたしましても、法の施行後、速やかに第2弾として、意思表示カードを 100万枚ほど印刷しまして、早急に配る予定にしております。  資料の3でございますけれども、ドナーカード(意思表示カード)(案)というもの がございますけれども、その大きく書いてありました内容で、私ども作成をしたいと思 っております。  中身につきましては、やはり法律的事項ということで、この前、施行規則を案をお作 りいただいて、今、諮問をしているところでございますけれども、法律で定められた臓 器、心臓、肺、肝臓、腎臓に加えまして、省令で、施行規則で膵臓、小腸が加わりまし たので、法律で規定している臓器を明示しております。そうした中身で作りたいという ふうに考えておりますけれども、もし意見がございましたら、この場でいただければと 思っております。 ○黒川委員長  どうぞ。このカードだけれど、このカードを出している責任母体というの。これには 書いてないんだけれど、これはどうしますか。 ○重藤補佐  今お配りしたカードでございますけれども、このカードは、紙に書いてありますとお り、意思表示カード普及委員会というものがございまして、移植学会と患者8団体がお 作りいただいたというものでございます。 ○黒川委員長  これはね。だけど今度のは。 ○重藤補佐  今度は、私ども厚生省の予算の中で付けているものでございますので、厚生省、それ から新たにネットワークということになります。 ○黒川委員長  ネットワークだね。厚生省はなくてもいいんじゃないの。臓器移植ネットワークだ ね、多分。 ○重藤補佐  厚生省が補助金を出しておりますので。 ○黒川委員長  しかし、そのほかでもいいわけよね。遺書でもいいわけだし、日記でもいいわけだ し。 ○重藤補佐  結構でございます。 ○黒川委員長  これは、その普及を図る目的のものだということですね。 ○井形委員  脳死のあとのその他というのは、どういうことを想定しているのですか。これは、ガ イドラインでも、その他は一応今のところはないことになっているわけですね。 ○重藤補佐  その他はないのでありますけれども、例えば、全臓器とか書くとか、いろいろ書きぶ りによっては、これに規定している以外の書きぶりもあるのではないかなというような 想定でございます。ただ、おそらくあまりない。要するに、書く方はいらっしゃらない かと思いますが、いろんな特殊な例があるのかなということで書く欄を設けておりま す。 ○黒川委員長  これは、人によってはやはり、例えば家族にある特定の病気の人がいるから、そこの 臓器をすぐ思い出して書く人もいるかもしれませんよ。それは、ここでは組織と扱って いるものかもしれない。例えば皮膚とか骨なんていうことを書く人があるかもしれませ んね。それは構わないのじゃないのかな。そのお気持ちは大変有り難いと。 ○重藤補佐  黄色い紙のほうの裏に例示がありまして、これは移植学会と患者団体で作られた例示 として、いろいろその他の部分の使い方みたいなものもございます。ただ、私ども、組 織は別途お作りいただくほうが、混乱というか誤解を受けないのではないかなというふ うに思っております。 ○黒川委員長  この記入例の2というのは、心臓が停止した後は皮膚、骨もいいと。最初からこれは 臓器じゃないということを知っているなんていう人がそれほど多いとも思えないですも のね。  ほかに。どうぞ。 ○座間委員  一番下にあります小さな字の、「可能であれば、この意思表示カードをもっているこ とを知っている家族が、そのことの確認の為に署名して下さい。」。「可能であれば」 という言葉をあえて入れる必要はあるのでしょうか。 ○重藤補佐  「可能であれば」ということをあえて入れさせていただいたのは、これがないと有効 でないのかということもございまして、やはり本人の意思表示カードですので、家族署 名の欄が抜けていても法律上は有効でございます。  従いまして、趣旨は、そのカードがあるということを家族が知っていただくことがい ろいろコーディネート活動等をするときに、「ああ、あれがあった」とか、「たしか自 分が書いた」ということを思い出していただくということで、記憶が鮮明になるという 意味でこういうものを書いてあります。これがなくても大丈夫であるという意味で「可 能であれば」ということです。ただ、法律に規定してあります、家族の承諾について は、この家族署名欄とは別途とっていただくことになります。 ○黒川委員長  この「可能であれば」がないと非常におかしなカードになっちゃうわけですね。家族 もサインしろと言っているのと同じだから。だから、ここでしゃべっている人はみんな 事情がわかっているけれど、一般の人はやはりわからないと思いますよ。だけど、字が かたいね、何となくね。言葉がね。  よろしいでしょうか。どうぞ、山谷委員。 ○山谷委員  このドナーカードのことが話題になってきておりまして、普通の人は誰でも提供でき るというふうに思っているわけですが、だんだん話題になってくるにしたがって、50 までしか提供できないということを言われているわけですね。けれども、年齢は目安で あって、60でも可能な人もいると。あるいは、角膜はそのような年齢もあまりないと か、そこらへん、皆さんの認識が乱れているわけですけれども、そういうのをあえてこ ういうところに書くと、またかえって混乱するのか、そこらへんの年齢的なものはどう いうふうに考えていらっしゃるのでしょうか。 ○重藤補佐  ドナーの適応につきましては、ネットワーク準備委員会のほうでその基準を定めてい ただきまして、ネットワーク準備委員会が、この前、最終答申をいただきまして、その 後、公衆衛生審議会で付託されましたので、まさにドナー適応に関してはこの委員会の 所管事項ということになります。  現在のところ、心臓と肝臓と腎臓ができておりまして、それぞれ規定しております が、「望ましい」という記載でございます。そこらへんのところは、実際の生物的な加 齢現象と実際の年齢というものは必ずしも一致しませんが、そこは「望ましい」でござ いまして、それ以上であっても全く適応とならないというふうには考えておりません。 そこは本当に医学的な判断で利用できるかどうかということであろうというふうに考え ております。そこを明示するかどうかということについては、また私ども、検討をさせ ていただきまして、うちで作るドナーカード、それと併せて配布するパンフレットにど んなふうにして織り込めるのか、そこはちょっと検討をさせていただきます。 ○黒川委員長  この連絡先というのは、「お問い合わせは」ぐらいにしておいたほうがいいのかもし れませんよ。「私は85なんだけれどいいのだろうか」なんていうことを聞く人もいる かもしれないし、13歳でもいるかもしれないしということがあるわけですよね。だけ ど、いちいちそれを書いているのは大変だから。  よろしいでしょうか。これは一つのフォーマットですから、そのほかにもいくらでも 意思表示の仕方はあるということを理解しておきたいと思います。  その次、それでは、いろんな作業班の進捗状況ということで、どうでしょうか。 ○重藤補佐  それでは、資料の4でございます。臓器移植専門委員会作業班の進捗状況及び今後の 日程ということでございます。  最初の1枚紙に総括表が載っております。  まず最初に、脳死の判定に関する作業班。これは大塚先生にお開きいただきまして、 8月21日に第1回の班会議を行いまして、それぞれこのガイドラインに盛り込むべき 内容等につきましてご議論をいただいて、25日の第5回の臓器移植専門委員会に報告 をいただきました。  それから、小児腎臓移植に関する作業班。座長は大島委員でございますけれども、 26日に第1回の班会議を行いました。特に小児の腎臓移植につきましては、待機期間 等を考えるとなかなか腎臓が小児に渡らないということがございまして、そこをもう少 し小児を優遇するような形で、なおかつ常識的な基準はどうあるべきかというものにつ いてご検討をいただきまして、今、作成いただきました。ただ、今、各方面いろいろ情 報提供をしている作業中でございますので、追ってこの委員会に報告があろうというふ うに考えております。  それから、肺移植に関する作業班。藤村委員に座長をお願いをしておりまして、8月 28日に第1回の班会議を行いました。肺移植におけるドナー適応基準とレシピエント 選択基準について検討を行っていただきました。現在、いろいろご意見を取りまとめて いただいておりまして、9月12日に第2回の班会議を行う予定にしております。  それから、膵臓移植に関する作業班。これは、総括として野本委員、それから座長と して自治医科大学の内科の金澤先生にお願いをしております。9月5日、きょうの夕方 でございますけれども、膵臓移植におけるドナー適応基準とレシピエント選択基準につ いての検討を行う予定にしております。  それから、小腸移植に関する作業班。これも総括を野本委員、それから座長を旭川医 科大学の名誉教授でいらっしゃいます水戸先生にお願いをしておりまして、9月9日に 第1回の作業班を行う予定にしております。小腸移植におけるドナー適応基準とレシピ エント選択基準について検討を行うという予定でございます。  2ページ目からは、それぞれの班会議の班員の名簿でございますので、ご覧おきいた だきたいということでございます。以上でございます。 ○黒川委員長  どうもありがとうございました。これができあがったら、またこの委員会に出てくる わけですか。 ○重藤補佐  この委員会の作業班でございますので、この委員会に各総括または座長からご報告を いただいて、この委員会としてとりまとめていただくというふうになってございます。 ○黒川委員長  わかりました。では、よろしくお願いいたします。これはよろしいでしょうか。  もう一つあるのですね。お願いします。資料5。 ○重藤補佐  資料5でございます。クリプトスポリジウム対策についてということでございます。  これは、アメリカで水道水に、クリプトスポリジウムという原虫がありまして、これ は塩素で除去する、殺すことができないというものでございまして、発症が広範囲で起 こっているようでございまして、日本においてもいくつかのところで発生の情報がござ います。  クリプトスポリジウムにつきましては、一般の健常人でございましたら下痢症状等、 数日で治癒するというのが普通の治癒過程でございますけれども、ただ、エイズでござ いますとか、それから、この委員会に関係します移植後の免疫抑制剤で治療中の方につ きましては、それが重篤な経過をたどるということでございますので、私どものほうと しましては、資料5の1枚目にありますような注意の喚起をいただくようなお手紙を臓 器移植対策室長から各方面へ流しております。  2ページ目でございますけれども、私どものほうから各注意書きを送った送付先の一 覧でございます。  それから、一番最後にございますけれども、クリプトスポリジウムの感染予防につい てということで、そこに何項目かの注意事項がございますので、こうしたものが広く移 植後の免疫抑制剤を服用中の患者の方々に行き渡るようにというふうに考えて連絡をい たしました。  以上、報告でございました。 ○黒川委員長  3つの報告がありましたが、何かご質問ありますでしょうか。ドナーカード、それか ら作業班の進捗状況、それからクリプトスポリジウム対策。よろしいですか。どうぞ、 小柳委員。 ○小柳委員  肺移植のことについて少しお伺いしたいのですが。心臓と肺は臓器として法で認めら れておりますが、心肺移植というのが実はございまして、適応も疾患も似て非なるもの でございまして、そうしますと、法では臓器としては入っているが、しばらく本法では 心肺移植の準備作業は、これでは進まないというふうに私は思うのでありますけれど も、その点はどのようにお考えかお伺いしたいのですが。 ○重藤補佐  心肺移植につきましては、肺単独につきましても、まだレシピエントの選択基準、ド ナー適応基準、それから移植施設の特定も、これは進んでおりませんので、まず、そう した単独の移植について整備をするべきであろうということで、藤村先生にレシピエン ト選択基準等、策定をしていただいておりますし、今、作業班の予定等でお見せしたと おりでございます。  心肺移植につきましては、今後やはり心臓の関係の先生方、それから肺の関係の先生 方に集まっていただいて、検討をまた別途始めるべきだというふうに考えておりますの で、追ってそれはやっていきたいと思います。  ただ、現在の喫緊の課題は、とにかく、今、肺の移植についての検討が非常に遅れて おりますので、それをとにかく心臓、肝臓のレベルまで進めるというのが喫緊の課題で ございまして、そこを今、集中的にやっております。それが終わってから、心臓と肝臓 の先生方で、また改めて討議をしていただければというふうに考えております。 ○黒川委員長  それも全然考えていないわけではないのです。 ○小柳委員  事情は伺っておりますけれども、なるべくコミッティーを早く立ち上げていただい て、ほとんど同時進行ぐらいでやらせていただいたほうがよろしいのではないかと思う のですね。かなり遅れてしまうから。対象が違うんじゃないかと思うのですね。 ○黒川委員長  それは移植学会で、例えば、もうある程度できあがっているのですか。移植学会で。 ○小柳委員  作業ですか。いや、全然まだです。 ○黒川委員長  それをどんどん進められていいんじゃないでしょうか。と思いますけれども。どう ぞ。 ○眞鍋委員  同時移植ということもあるんですけれども、今度は同時に、多臓器提供という場合が ありますね。その場合、おそらく当然心臓が一番順位が高いといいますか、どの臓器か ら取り出すかというような。すべてを提供しますといった場合に、そういうことは決め ておく必要はないのでしょうか。例えば、眼球のほうは、ずっとあとでも十分、5、6 時間たってからでも十分ということがありますので。 ○黒川委員長  それについてはどうでしょうか。移植学会のほうに聞いたほうがいいかもしれません ね。野本先生、いかがですか。 ○野本委員  これは、アメリカでやり込んでおる連中の手順としては確定しておりますので、これ はむしろこちらにお任せいただいたほうがいいと思います。そういうフォーマットが、 スタンダードなフォーマットが必要でしたら、移植学会でいつでもお作りします。これ は、数名のメンバーに作れということになりますと、きちっとした今の世界のスタン ダードがすぐに作れる状況であります。ただ、わざわざそういうことを、私、今まで考 えておりませんのは、これは移植現場へ行ってちゃんとやられる連中は、ルーチンワー クとして一番優先順位の高いものから順番に動いていくというシステムになっておるよ うですので。特に作ってはおりません。 ○眞鍋委員  私のほうのアイバンクのほかのところから、アイバンクと腎臓と両方一緒にやってい るところがたくさんありまして、アイバンクのほうとしては、例えば夜中に亡くなった 場合には夜明けてから取りに行くというような、そういうゆっくりとした対応をさせて もらっているわけです。しかしながら、脳死ででも取らなければならない臓器と一緒に 提供するというときになりますと、夜中であろうと何であろうと、亡くなった、その判 定が下ったときにおそらく行われるであろうと。そうなりますと、アイバンクだけがの このこ後から1時間も2時間も遅れて行くと、ほかの人に対して、また家族に対して申 し訳ないのではないかというようなことがありまして、そのへんはある程度決めておい てほしいと。多臓器臓器のときには、ぜひアイバンクのほうからも飛んでこいという命 令を出していただけたら、そのように通知します。 ○重藤補佐  その件につきましては、平成7年の厚生科学研究のところで、小柳先生のところでシ ミュレーションをやっていただきまして、脳死からの臓器移植につきましては、ある程 度、公共交通機関の便を考えて摘出時間を設定しますと、夜中に、深夜に摘出になると いうのはおそらくないであろうというふうに。そこらへん、小柳先生が一番かと思いま すが。 ○小柳委員  公共交通機関を使ってシミュレーションをいたしましたので、日本の国がどの程度の トランスポーテーションで結びついているかということはわかっております。ただ、ヘ リポートも何も4時半には閉まりまして、有視界飛行のヘリコプターが多いものですか ら。そうしますと、もし5時以降、翌朝までということになりますと、これは行政のお 力を借りて、自衛隊のヘリコプターで。過去にも事例がたくさんございますので、これ は調整していただければ可能になる。ガソリン代だけで飛んでくれるはずだと思いま す。 ○大塚委員  きょうは、立派なガイドライン、皆さんご承認をしてくださっているようですけれど も、これから先の問題なんですけれども、具体的に、例えばドナーの患者さんが出た場 合に摘出チームがやってくるわけなんですけれども、私どもの施設でもそうですけれど も、おそらく日本国中の施設が全部そうだと思うのですけれども、ドナーを提供する施 設と摘出にいらっしゃるドクターとは、全く何の雇用関係もないのですね。ですから、 そのへんの協定というのでしょうかね。  それから、例えば何か事が起こったときに誰が責任をとるのかというような問題を、 一体どこでこれはお決めになるのでしょうか。施設と臓器摘出チームとのあいだでやる のか、あるいは、どこかでそれを決めていただけるのか。そのへんはどうでしょうか ね。  例えば、どっちの看護婦さんを使うのかとかね。そういう機械を持ってこられるの か、提供施設でその機械も出すのか。そういうところの細かいところを決めていただき ませんと、全くこれは先に進まないと私は思うのですね。  私、施設の長として、そのへんのことを大変実は難しいことだなと思っているのです けれども。これは厚生省が決めることでもないし、どこがお決めになられるのか。我々 提供施設と摘出チームが協定し合うのか、あるいは、取りにいらっしゃる、摘出に来ら れるドクターを私どもの施設の臨時職員にするのか、あるいは、どういう方が取り仕切 るのか。それはどうでしょうか。 ○黒川委員長  何かご意見ございますか。実際は移植するほうもだんだん協力体制ができているよう なことも聞いていますが。小柳委員。 ○小柳委員  先ほど、シミュレーションをやりました臓器提供の厚生科学研究では、臓器提供周辺 のことを洗うということで、摘出チームの身分の問題を多少検討いたしました。そのと きには、損保の会社とか、それから安全保障の会社なんかの人間にも入ってもらいまし て検討したのですが、やはりネットワークが主体となって摘出チームと契約を結んで、 摘出チームが出かけるときにはネットワークの身分に代わって出かけないと損保の問題 は解決しないというような整理をして一応もらってあります。報告書も出してあります が。そこらへんからスタートして考えていただければいいと思うのですが。ネットワー クがどうお考えかは、まだ見えません。 ○黒川委員長  そのへんは、行政として、システムとしてきちんとしているぞという話と、それか ら、ネットワークはある程度、行政も関わってきますけれども、ネットワークがするに しても、ある程度行政的に大丈夫だということを、これから相談させてもらってやると いうことですかね。重藤補佐。 ○重藤補佐  その点に関しては非常に重要なテーマかと思いますので、今度作られます臓器移植ネ ットワーク、それから、うちも含めて受けとめて、どんな形が一番望ましいのかという のを、そこの場で検討をして、間違いがないようにやっていきたい。ただ、最初のうち の段階では、臓器移植施設から摘出に行きますので、ある程度人間が一定移植施設に限 られております。それから、臓器の提供施設も、最初の数例は大学附属病院と、それか ら学会の指定施設、これは約100ほどでございますので、割と小さい範囲の中でござ いますので、そこらへん、どういう形で情報交換、それから意見はそれぞれございます でしょうから、どういう連絡調整をやっていったらいいかというようなことを今後、私 どもも受けとめさせてもらって、ネットワークと考えていきたいと思っております。 ○黒川委員長  腎臓移植ネットワークの場合も、実際そういう実践にはお金がかかったり、摘出に関 わる医療費その他の問題をどう分配するかとか、いろんなことがありますから、実際、 腎臓移植ネットワークでも、立ち上がってから、例えば大学病院の場合は、そうはいっ ても文部省から言ってもらわなくちゃいけないし、いろんなことがありましたから、や はり同じようなことがこれから整備しなくちゃいけないんじゃないかなと思いますよ ね。ネットワークはあくまでも斡旋業で、そこに医療費を全部いただいて分配するとい うわけにもいかないから、大変だったのだなと思いますね。それから、実際、車代、タ クシー代、その他をどうするのかとか、あまり変なことが随分出てきますよ。そのへん は行政と相談しながら、ネットワークの仕事だと思いますから。 ○田中委員  肝臓移植の場合は、提供病院に移植チームが取りに行く、手術に行くのですけれど、 一応我々が考えているのは、今、大塚先生が言われた責任問題とかそういうところはち ょっと抜きにして、具体的にはファクスで提供病院と、こういう設備ありますか、こう いうものがありますか、チェックしていただいて、それで我々は、セットA、セットB とか、全部準備して、それを持っていくという具体的なところまで信州大学でスケジ ュールを決めていっていますので、そういうのがまた提供病院と一回ミーティングも開 かないといけないということになりますれば、またそのようにしようかなと考えていま す。 ○黒川委員長  多分そういうプロセスは必要でしょうね。 ○大塚委員  絶対に必要だと思います。 ○黒川委員長  ものすごく必要ですよ。実際、腎臓でさえも、ものすごくやはり個別に対応がたくさ ん問題があったから、大変ですよ。 ○大塚委員  しかも、先生がおっしゃったように多臓器提供ということになってまいりますと、心 臓チーム、肝臓チーム、腎臓チーム、いろんなのが入り乱れて入ってくるわけでしょ。 そこのコントロールもどうなさるのかなという感じもしますし。 ○眞鍋委員  よほど強固なものでないと。 ○黒川委員長  手術室を使わせてもらうと、そこにあったリネンとかサプライはどうするのかとか、 ものすごくいろんな、つまらないといえばつまらないことかもしれないけれども、たく さんの実施上の問題は腎臓でさえもあったのだから、これは大変ですよ。どうぞ、座間 委員。 ○座間委員  今、腎臓移植ネットワークのほうで多臓器に向けてのコーディネーターが中心になっ たマニュアルの作成を早急にやっております。その中で、そういうような提供施設に対 しての依頼をする部分ですとか、それから摘出チームが準備しなければいけないもの、 それから、それに向けての事前のミーティングをどういう時期にやったらいいかという ようなことに関しては、ある程度継時的なものを作って、マニュアル化を、今、急いで やっております。 ○黒川委員長  それはそうなんだけれど、だけど、提供病院側にどういうふうにそれを連絡して、そ れが受け入れるかどうか全然わからないわけだから、そこのところをやはり。大変だと いうことですよ。それは多分、ネットワークの仕事と大学病院と、そういうことになる から、文部省、厚生省、いろんなところのご協力をいただくということじゃないですか ね。マニュアルどおりにはなかなかいかないですよ。  そういうことでよろしいでしょうかね。 ○大塚委員  それがうまくいきませんと、どうしても、「ネットワーク、ネットワーク」と皆さん おっしゃっていますけれども、心臓提供者が出たら、「小柳先生、頼むよ」というふう に電話がいっちゃう可能性があるのですよ。そうすると、私のところと女子医大とのあ いだのやりとりになる可能性が非常に強いのですね。そこを、まずひとつ懸念いたしま す。ですから、そのへんをどう解決されるのかなと。我々のほうにしてみれば、同じ方 が取りに来てくれたほうがずっといいわけですよ。入れ替わり立ち替わり顔ぶれが変わ るよりも。そのへんをどう解決されるかということも。 ○黒川委員長  座間委員、何か言いたいですか。 ○座間委員  今、大塚先生のほうからおっしゃられた施設間での連絡というのは、ネットワークを 経由する形での連絡になるはずですので、コーディネーターを介して摘出チームの依頼 ですとか、それからレシピエントの決定というのは行われると思いますので、そういう 形はちょっと考えにくいのではないかと思うのですが。 ○黒川委員長  それでも、あんなチームは嫌だとか、そういうことはこれから出てきますよ。すごく 起きるんだから。腎臓でもそうでしょ。割に行く人たちは、慣れているけれども、あの 連中は態度が悪いとか、だいぶすったもんだしたじゃないの。それをこっちが調整する のが大変だったのだから。 ○小柳委員  一番気にしていることでございまして、これは、私ども摘出チームを出す立場として はお願いベースと思いますので、実は、集まって相談をして、移植の摘出チーム側のお 作法を決めてからお願いに参ろうと思っています。心臓が9月18日に集まることにな っておりまして、それから、今、田中先生とご相談していますが、移植施設5施設が集 まって10月の初めに、私どもなりのお作法でよろしいかということをまとめまして、 そして改めて。日がないのでどうなるかわかりませんが、何とか詰めて作業をしてとい うふうに思っております。 ○黒川委員長  そのへんは確かに、法律にあるように、ドナーのほうに礼を失しないように、そこの 医療施設にもできるだけの、ある程度のご迷惑はかけるわけですけれども、そのへんを きちんとしておかなくちゃいけないような。ガイドラインとか法律に書くようなものじ ゃないだろうと思いますけれどもね。学会が中心になってネットワークと、いろいろご 理解をいただくというプロセスがあって、少しずつ成長するんじゃないかと思いますけ れども。  いろいろ問題もあるんだと思いますが、よろしいでしょうか。あまりよろしくないよ うですが。 ○大塚委員  それを作っていただければ、それで。 ○黒川委員長  多大のご迷惑というか、かかるんですよね。費用からマンパワーから、ちょっとした サプライから、これはありませんかとか、ものすごく。腎臓でさえもあるのだから、大 変なことだと思います。  それでは、本日の委員会はこれで終わらせていただきまして、本日のご意見等につい て、修正が一部あると思いますが、ガイドラインは一応お認めいただきましたが、一部 修正がありますので、これは調整をしていただきたいと思います。  次回は、前からご案内していたように、9月29日の月曜日、午後4時から。ここで すか。この建物。多分ここだと思いますから、またご出席のほうをよろしくお願いしま す。きょうはどうも、少し過ぎましたけれども、どうもありがとうございました。 問い合わせ先 厚生省保健医療局エイズ疾病対策課臓器移植対策室    担 当 重藤(内2361)、眞鍋(内2364)    電 話 (代)03-3503-1711