97/08/29 公衆衛生審議会成人病難病対策部会 公衆衛生審議会成人病難病対策部会               日時  平成9年8月29日(金)                   14:00〜15:43                場所  厚生省7階第1特別会議室 (出席者) 石井 明子  石川 達郎  太田 和夫  金澤 康徳  幸田 正孝 杉村  隆  杉本 恒明  鈴木  宏  瀬在 幸安 ○高久 史麿 寺山 久美子 町野  朔  宮本 昭正  山口 規容子 山谷 えり子 小池 麒一郎*黒川  清 #西岡 久寿樹 (○:部会長 *:臓器移植専門委員会委員長 #:リウマチ対策専門委員会委員  敬称略) 議事次第 1 開会 2 保健医療局長挨拶 3 議題 (1)臓器の移植に関する法律施行規則(案)について(諮問) (2)「臓器の移植に関する法律」の運用に関するガイドライン(厚生省試案) について (3)日本臓器移植ネットワーク準備委員会報告書について(報告)    「臓器移植ネットワークの整備について」 (4)今後のリウマチ対策について    「リウマチ対策専門委員会中間報告」 (5)その他 4 閉会 ○成瀬補佐  定刻になりましたので、ただいまより公衆衛生審議会成人病難病対策部会を開催させ ていただきます。  最初に、本日の委員の出欠の状況でございますが、近藤委員、高石委員、津久江委員 奈良委員、古谷委員から、都合により欠席とのご連絡をいただいておりますので、ご報 告いたします。本日は20名の委員のうち、15名の委員の先生方が出席していることをご 報告させていただきます。  なお、津久江委員につきましては長期出張とのことでございまして、公衆衛生審議会 の会長でもあります高久部会長の了承をいただきまして、小池先生に代理出席をお願い しているところでございますが、先ほど連絡がございまして、30分ほど遅れるというこ とを伺っております。  会に先立ちまして、小林保健医療局長よりご挨拶を申し上げます。 ○小林局長  公衆衛生審議会の委員の先生方、大変お忙しいところご参集いただきまして、ありが とうとございました。また、成人病難病対策部会のもとに置かれました2つの専門委員 会、臓器移植専門委員会の委員長の黒川先生、並びにリウマチ対策専門委員会の専門委 員をしていらっしゃいます西岡先生にも、今日はお忙しいところをご出席をいただきま して、まことにありがとうございました。  本日は、先の国会で成立し、本年10月16日から施行されます臓器移植法に関連する議 題が3つ、それ以外の議題が1つございます。まず臓器移植法関係についてご審議をい ただきたいと存じます。  まず第一に、臓器移植法を実施するうえで必要となる同法の施行規則案についてであ ります。 本日お見えになっている黒川先生が委員長を務めていただいております臓器移植専門委 員会に、その検討をお願いしてまいりました。施行規則の厚生省試案が7月11日の臓器 移植専門委員会に提出され、以後4回にわたって検討が重ねられ、8月25日の臓器移植 専門委員会において、厚生省令案について同委員会として取りまとめが行われたところ でございます。本日は、この厚生省令案について、厚生省から正式に公衆衛生審議会に 対して諮問いたしたところでございまして、委員の皆様方に十分ご検討いただき、次回 の本部会においてご答申をいただければ大変ありがたいと存じておる次第でございます  2つ目の議題が、臓器移植法の運用に関する重要事項を取りまとめたガイドラインに ついてでございます。この内容についても、臓器移植専門委員会においてご検討いただ いているところでございます。なお、このガイドラインは、保健医療局長通知として出 すわけでございまして、私どもとしては先生方のご意見を参考として局長通知を発した いと、このように考えておる、そういう性格のものでございますが、今日の機会に先生 方にぜひとも、いろいろなご意見がありましたらいただきたいと思っておる次第でござ います。  3つ目の議題が、公平・公正な臓器移植のために必要となる臓器移植ネットワークの 整備についてでございます。先日取りまとめられました日本臓器移植ネットワーク準備 委員会報告書についてご報告をいたしますので、この問題についてもご意見をいただけ れば大変ありがたく存じます。  4つ目の議題でございますが、昨年11月に本部会で設置が決まりましたリウマチ対策 専門委員会での検討が進みまして、中間報告が取りまとめられました。本日、専門委員 の西岡委員からご報告をいただくくこととなっておりますので、ご意見をいただきたく 存ずる次第でございます。  以上が本日ご審議をお願いする主な事項でありますが、厚生省といたしましては、本 日諮問いたしました厚生省令やガイドラインの策定、多臓器に対応する臓器移植ネット ワークの整備のほか、意思表示のカードの普及など、臓器の移植に関する法律の施行準 備に全力を尽くしてまいる所存であります。また、リウマチ対策につきましては、本日 のご審議を踏まえ、リウマチ対策専門委員会のご論議をさらに深めていただきたいと考 えております。  本日の議題の関係は以上でございますが、最後に保健医療行政を取り巻く状況につい て一言申し上げさせていただきたいと思います。  最近、行財政改革の一環として、厚生省におきましても例外のない見直しが余儀なく されているところでございます。委員の皆様方には種々ご心配をおかけしており、心苦 しく思っておりますが、厚生省といたしましては最善の努力を行い、必要な行政施策を 推進してまいる所存でございますので、格別のご支援をお願いいたしますとともに、ご 意見がございましたら、ぜひご教授いただければと存ずる次第でございます。  特に、新聞等でご案内のように、難病対策関係については、これはいままで法律補助 ではなくて、対策要綱に基づく省令補助ということで国の予算化をして事業を実施をし てまいりました。しかし、今年の6月の閣議決定で、省令補助金については一律例外な く10%カットと、こういう閣議決定でございます。しかしながら、難病対策というのは 大変重要ということで、実は私ども、来年度予算要求ということで、この9月1日に厚 生省案として、医療費の公費負担部分のところが一部法律化を図るということで、予算 金額としては公費負担に係る金額は10%カットしたかたちで予算要求をするということ にいたしております。  そのことについては、また後ほど担当課長から若干ご説明をさせていただきますけれ ども、そういうような大変厳しい状況下にあるということです。これは政府、例外なく 一律ということでございますので、厚生省としてはその政府の閣議決定の意向に従わざ るをえないという中で対応しているわけでございまして。委員の先生方にも、よくご理 解をいただければと思う次第でございます。 以上をもちまして、私のご挨拶とさせていただきます。今日は、どうぞよろしくお願い 申し上げます。 ○成瀬補佐  次に資料等の確認をさせていただきたいと思います。一番最初に会議次第でございま す。会議次第の中には、名簿と配置図が入っております。続きまして資料一覧表があり ます。次から資料になっていきます。  まず資料1です。諮問書の写しでございます。その次が別添1、臓器移植に関する法 律施行規則(案)。別添2、その概要でございます。続きまして資料2、臓器移植専門 委員会における検討の経緯について。資料3、「臓器の移植に関する法律」の運用に関 するガイドライン(厚生省試案)。資料4、日本臓器移植ネットワーク準備委員会報告 臓器移植ネットワークの準備ついてでございます。その次に別添が入っております。別 添につきましては、日本臓器移植ネットワーク準備委員会報告の要旨でございます。資 料5、「今後のリウマチ対策について」、リウマチ対策専門委員会中間報告。資料6、 今後の対応について(リウマチ対策専門委員会)。  続きまして、参考資料の1、臓器の移植に関する法律。参考資料2、脳死判定等に関 する書式例でございます。  先生方、資料等お揃いでございましょうか。途中、不備等がございましたら、事務局 のほうにお申し付けいただきたいと思います。  それでは、高久部会長、よろしくお願いいたします。 ○高久部会長  資料、皆さんのお手元にあると思いますので、いまから部会を開始させていただきま す。  本日は、臓器移植とリウマチにつきましてご検討いただくことになっておりますので 先ほど事務局からご案内がありましたように、臓器移植専門委員会の委員長であります 黒川先生と、リウマチ対策専門委員会の委員であります西岡先生にご出席いただいてお りますことを、まずご了承お願いしたいと思います。 それでは議題に入らせていただきます。最初に臓器の移植に関する法律施行規則(案) について。初めにこれにつきまして、7月以降検討をいただいております黒川専門委員 会委員長から、同委員会における審議の経過等についてご報告していただきたいと思い ますので、黒川先生、よろしくお願いいたします。 ○黒川委員長  それではご説明いたします。まず、お手元の資料でございますが。諮問された法律施 行規則(案)についてご説明するわけですが、資料1の別添1、その概要が2というふ うに付いております。資料2を見ていただきたいわけですが。  実は、これの専門委員会が形成されまして、本年度の3月11日に第1回の委員会が行 なわれました。その後、いわゆる国会で法案が通りまして、参考資料1というのがあり ますが、その後7月11日から現在まで、このようなスケジュールでこの委員会をやって おります。第2回の委員会からは、先生方もご存知かもしれませんが、すべてこの審議 については公開ということでやっておりまして進行させていただいているということで あります。ここで厚生省令につきまして、提示されたものについて審議をして取りまと めたということで、お諮りしたいということでございます。  さて、この間で実際、竹内基準の無呼吸テストの実施方法などにつきまして、竹内基 準の作成メンバーの1人である武下先生からもご報告をいただいたということをいたし まして、脳死判定基準についての臓器移植専門委員長宛てに、その他にいくつかの学会 あるいは専門家のご意見をいただきましたので、それにつきましても検討しました。そ の検討をするためには、この委員会全体では非常に大きいので、大塚委員を中心に脳死 の判定に関する作業班を設置いたしまして、それで別に検討をしていただきました結果 さらにこの委員会にそれを提出していただきまして、8月25日の第5回の専門委員会で これをまとめたということであります。  さて、この資料1、別添1の厚生省令の案につきましては、後ほど事務局のほうから 説明がありますが、ポイントを簡単にご説明したいと思います。  別添の2、概要を参考にしながらでよろしいかと思いますが。まず臓器移植法の対象 となる臓器として、法律のほうでは心臓、肺、肝臓、腎臓及び眼球になっていたわけで すが、省令では膵臓及び小腸を規定するということにいたしました。膵臓につきまして は、前々からずいぶん研究班、その他で議論がされているところですが、小腸について も世界中で150例以上が実際に行われておりまして、それの現状を踏まえて、この省令 としては小腸も入れるということにいたしました。  それから脳死の判定基準、第2条でございますが、これにつきましても竹内基準に沿 って規定いたしておりまして、先ほど言いましたように、いくつかのところからのいろ いろなご質問、ご意見もいただきましたが、それについても検討したうえで竹内基準に 沿って規定させていただくということにさせていただきました。  それから、いろいろな書式がございます。例えば脳死判定の記録とか、臓器摘出の記 録、移植術の記録等、それからそれらの記録についての遺族、あるいはレシピエントの 家族、あるいはご本人その他について閲覧ができる範囲がありますが、それらの書式、 あるいは閲覧の範囲、その他についても議論いたしまして規定させていただいておりま す。いろいろな書式につきましても、厚生省の案を見せていただきまして、参考資料2 というのがありますが、この参考資料2についても十分に議論いたしまして、かなり改 定され、このような書式をいくつもつくりましたが、このようなことで規定させていた だいております。  それから、別添2の次のページ。いま申させていただいたのは第3項の脳死判定等の 記録のところでございますが、第4のあっせん機関に関する事項については後ほどまた ご報告がありますが、ネットワークの話をお話しいただきまして、ネットワークについ ても答申をいただいておりますので、それを取り入れているところであります。  その他に第5として、使用されなかった部分の臓器の処理方法等についても規定した ところでございます。それが主な点ではないだろうかと思います。  それから、この臓器移植専門委員会におきましては、臓器の移植に関する法律、ある いは厚生省令等の運用に関しましてガイドラインを定めることを検討いたしまして、現 在8月18日の第4回の専門委員会から実際のこの検討を行っております。これにつきま しては、現在やっているのは、資料3にありますが、実際のガイドラインというのをつ くっておりまして、これについて現在検討中でありまして、これについては9月5日に 第6回の専門委員会を開催する予定でありまして、ここでおそらく取りまとめができる と考えておりますので、以上、現在のところここまで来ているということで、検討の状 況についてご報告させていただくということにいたしたいと思います。 ○高久部会長 どうもありがとうございました。いま黒川委員長からご報告いただきま したように、専門委員会としての省令案がまとまり、本日の諮問ということになったわ けでありますけれども。事務局のほうから本日の諮問の件について、貝谷さん、よろし くご説明お願いします。 ○貝谷室長  はい。いま黒川委員長のほうから概略をご説明いただきました。本日、その専門委員 会で取りまとめが行われました案につきまして、厚生省のほうから正式に公衆衛生審議 会宛てに諮問をいたしました。諮問書の写しがございますが、その別添で具体的な施行 規則の案をお付けいたしております。概要を横にご覧いただきながら、条文を少しご説 明申し上げたいと思います。  施行規則の大きな点は、第2条のところの判定でございますが、その前に第1条につ きましてご説明申し上げます。第1条では先ほどご説明がありましたように、法律で定 められております臓器の範囲について規定しているものでございます。法律では心臓、 肝臓、腎臓、それから眼球、肺というものが法律に定められておりまして、それ以外で 必要があれば厚生省令で内蔵の範囲を拡大できる、追加できるというふうな法律の規定 になっております。今回、この省令の第1条では、膵臓と小腸を規定するという中身に なっております。  第2条が脳死判定の基準について具体的に定めているものでございます。いわゆる竹 内基準に沿って省令が規定されております。第2条を少しご説明申し上げますが。法第 6条第4項、ここで具体的な判定基準を厚生省令で定めるということになっておりまし て。その判定は、脳の器質的な障害により深昏睡、まったく反応がない状態でございま すが、ジャパン・コーマ・スケールで300、かつグラスゴー・コーマ・スケールで3と いうことで、昏睡の程度が一番高い程度に該当する場合を指しておりますが、そういう 場合、及び自発呼吸を消失した状態と認められ、かつその器質的脳障害の原因となる疾 患が確実に診断されていること。そして、この原疾患に対して行えるすべての適切な治 療を行った場合であっても回復の可能性がないと認められるものについて脳死の判定を 行うものとするというふうに規定しております。  ただし、そこの1〜4に書いております場合には、脳死の判定としないということで 除外項目を4つ挙げております。1つが6歳未満の者。そして2番目が急性薬物中毒に より深昏睡、及び自発呼吸を消失した状態にあると認められるもの。3が、直腸温が摂 氏32度以下の状態にあるもの。4が、代謝性障害または内分泌性障害により深昏睡及び 自発呼吸を消失した状態にあると認められるもの。このようなケースは脳死の状態に非 常に近い状態をきたし得る、あるいは6歳未満のケースについては基準そのものができ てないということで、対象から外すということにしております。  第2項では、具体的な確認項目を規定しております。下のほうから次のページにかけ まして、1から5番までが書いてございます。1つ目が深昏睡。それから次のページに まいりまして、瞳孔が固定していること。瞳孔径は左右とも4ミリメートル以上。3番 目が脳幹反射、対光反射など7つの脳幹反射がすべて消失していること。それから4点 目は、脳波が平坦であること。 5点目が、自発呼吸が消失していること。このような5つの項目について、すべて確認 したうえで、その後少なくとも6時間を経過した後に、再び同じように確認する。同じ ように5項目を確認することによって、脳死判定を行うという規定になっております。  ただしということで、1ページの下のほうに書いてございますが、自発運動、除脳硬 直、除皮質硬直、またはけいれんが認められる場合には、この脳死判定は行わないとい うふうに規定しております。  そして2ページへまいりますが、第3項ではその5項目の確認のうち、最後に書いて ます自発呼吸の消失、この確認は他の4つの項目の確認がなされた後に行うものとする ということで。いわゆる自発呼吸の消失、無呼吸テストにより行うわけでございますが これは最後の段階で行うということを書いております。  第4項では、脳死の判定にあたりまして、中枢神経抑制薬、筋弛緩薬、その他の薬物 の影響がないこと。そして、収縮期血圧が90水銀柱ミリメートル以上あることというこ とで、低血圧の場合がないことを確認するということを規定しております。  以上が竹内基準の、いわゆる必須項目といわれるものについての規定でございます。 そして第5項で、いわゆる補助検査につきまして規定を設けております。  以上の脳死の判定にあたっては、聴性脳幹誘発反応の消失を確認するように努めるも のとするということで、医学的には必須とされておりませんが、家族への脳死の説明、 そして納得を得るうえで、こういった聴性脳幹誘発反応が意義があるという関係方面の ご意見を踏まえまして、規定を整備したところでございます。  以上が脳死の判定に関する第2条の規定でございます。  第3条以下が、さまざまな書面、記録につきましての記載項目、その他についての規 定でございます。第3条では、法律の第6条5項を受けまして、脳死の判定を行った医 師が、的確に脳死判定を行った旨の証明書を作成する義務がございます。その証明書の 記載事項を書いてございます。ご覧いただきますように、1号から6号まで。脳死判定 基準に沿った中身が、それぞれ記載事項として定められております。そして、記名押印 または署名をするということになっております。  第4条では、移植に使われなかった臓器の処理について、ここでは焼却して処理を行 うというふうに規定をしております。  第5条では、脳死の判定を行った場合に、判定を行った医師が作成をしなければなら ない記録、いわゆる脳死判定記録についての記載事項をそれぞれ書いてございます。こ れも判定事項に沿って、確認事項を付けております。なお、脳死の判定を行うにあたっ ては、法律上、本人の生前の脳死判定に従う意思、あるいは脳死判定を行うことについ て家族が了承するという要件等々がございますので、そういったことについての書面を 添付をするということを規定しております。  第6条、3ページの下のほうになりますが、臓器の摘出に関する記録ということでご ざいまして。これも法律上、臓器を摘出した医師は、摘出した後に記録を残すというこ とになっておりまして、臓器の摘出を受けた者の属性なり、どういう臓器を摘出したの か、どういう状態だったのか等々について、細かく記載事項を規定しております。  第7条、5ページにまいりますが。摘出した臓器を使いまして、実際に移植を行った 場合には、移植術に関する記録ということで、これもやはり法律上記録を残すことにな っております。 ここにつきましても、いわゆるレシピエント、移植術を受けた者の属性なり、関係の記 載をそれぞれ残すということで規定を設けております。  以上が、さまざまな記録についての記載事項関係でございます。  そして8条、9条、10条という規定は、このようにして作成されました記録について 法律上閲覧に供するという規定がございまして、ドナーの遺族でございますとか、ある いはレシピエントの家族が見たいと言った場合には、それぞれの関係の資料が見れると いうことになっておりまして、そのような規定を8条、9条、10条で置いております。  8条では、その閲覧を認める者の範囲。これはいわゆるドナーの遺族、そしてレシピ エント、またはその家族、そして臓器あっせん機関、いわゆるネットワークということ を規定しております。  第9条では、その閲覧を請求する際の請求に関する手続。そして10条では、閲覧に供 する資料の記録の範囲をそれぞれ定めております。移植医療の性格上、ドナーの情報は レシピエントには伝わらないようにしなければならない。また、レシピエントの情報も ドナー側には伝わらないようにということで、それぞれこの範囲で閲覧させるという記 録を第10条に置いているところでございます。臓器あっせん機関は、両方の記録を閲覧 できるということになっております。  第11条から以降は、臓器のあっせん機関に関しましての規定でございまして。従来、 腎臓と角膜につきまして設けられておりました手続規定に準じまして規定を整備してお ります。  7ページにまいりまして、第14条でございますが。臓器の摘出に係る取り扱い等とい うことでございまして。医師が臓器の摘出を行う場合、あるいは行った後の臓器の扱い につきまして規定を設けております。これも従来の規定に準じて整備を行っております  15条は、移植術に使用されなかった臓器の記録について、なぜ使用されなかったのか の理由につきまして記録をする。そして、その他の項目についても記録をするというこ とにしております。  第16条では、移植術に関して医師がレシピエント、あるいはその家族に対して説明を 行った場合。この場合にも、その説明内容等についての記録を残すということで規定を 設けているところでございます。いわゆるインフォームドコンセントとして大変重要な ものでございますので、記録を残していただくということにしております。  以上が本則、16条までのご説明でございまして、附則では、第1条が施行期日という ことで、法律の施行の日、本年の10月16日からの施行を行うこと。そして、第3条では 角膜及び腎臓につきましての特例が法律の附則でございますので、それに関連いたしま す条文の読み替え規定をそれぞれ置いているところでございます。 以上が、本日諮問いたしました省令案につきましてのご説明でございます。 ○高久部会長  どうもありがとうございました。いま事務局のほうから説明がありましたけども、こ の法律施行規則の案につきまして、ご質問、あるいはご意見がおありでしたら、どうぞ ご遠慮なくお伺いしたいと思いますが。いかがなもんでしょうか。どうぞ。 ○杉村委員  第4条のところに、使用しなかった臓器は焼却しなきゃいけないと書いてあるんです よ。焼却しなきゃいけないというのは、例えばホルマリンに保存するとかいうことじゃ いけなくて、焼却しなきゃいけないわけね。それはなぜでしたかね。 ○貝谷室長  これは、腎臓につきましても従来からこのような規定が設けられております。趣旨は やはりその臓器というものは移植のために提供された趣旨と。そういう趣旨を踏まえま して、ご意思を踏まえまして、遺族への感情的な配慮といったことから、ホルマリン漬 けで残すということではなくて、使われなかった部分は部分としてキチンと処理といい ますか、丁重に扱っていくという趣旨が従来から設けられておりまして、今回もそれを 踏まえてこういった規定を整備しているということでございます。 ○杉村委員  じゃあ、何かの理由でしばらく保存されてないと困ることはないの? ○貝谷室長  医学的に、当該臓器が必要かどうか、移植に適するかどうかという検査はもちろん、 いろいろな検査が必要だと思いますけども、結果的にその臓器が使われなかったという 場合には、その段階でいろいろな意味での医学的な研究ということももちろん現場の声 としてはあるようでございますけれども、私どもとしては、そこはこれまでの経過なり それから遺族への感情その他を考えますと、焼却ということでこの場合には対応してい ただきたいと考えております。 この点につきましては、実は専門委員会でもさまざまな意見がございまして、最終的に はこのような規定に落ち着いているということでございます。 ○高久部会長  太田委員、どうぞ。 ○太田委員  臓器そのものは焼却ということでやむをえないかと思いますけども、現在、実際に使 う場合に、前もってバイオプシーをして組織を調べておりまして。それを一応ブロック で置くとか、プレパラートになっているとか、そういうものについても焼却しなくちゃ いけませんか。そのへんはどうでしょうか。 ○貝谷室長  事前に、その臓器が移植に適するかどうか、いろいろな検査をします。いま先生がお っしゃいましたような検査を。それは当然やりますけれども、それは用が済めばといい ますか、それが終われば同じように処理をしていただくということが必要であろうと、 私どもは考えております。 ○太田委員  写真を撮って残す以外に方法はないわけですね。 ○高久部会長  他にどなたか。どうぞ。 ○瀬在委員  前々から思っていたことなんですけど、対象が6歳未満と。脳死判定ですね。我が国 では。 外国では、アメリカのベーリーだとか、ドイツにしてもヘアライズその他、とても小さ いのをやっているわけなんですよ。移植をですね。本当に小さな心臓を移植しているわ けなんです。 我が国では、これが6歳未満という1つの規制をつくっているわけですね。そういうわ けでして、この専門委員会なり、あるいは厚生省の意見は将来的にはどのようなご意見 を持っておられるのか。私は、これはこれで現段階ではいいと思いますけれども、将来 的には医療の進歩の中では、世界で行われておるわけですので。我が国ではどのような 見解を持っておられるのか。 ○小林局長  今回は、まず6歳未満では脳死判定ができないと、こう言っていますから。特に心臓 の場合は、子どもさんに移植するためには子どもさんの心臓が必要ということになって 肝臓や何か、他とはちょっと違うんですよね。心臓の場合は、どうしても子どもさんに 移植するためには子どもさんの心臓がいると。こういうことになるわけですけれども、 今回の場合はまず子どもさんの脳死判定自体がここではダメだということが1つ。  それからもう一つ、今回の法律では、本人が生前に自分の臓器を提供しますという意 思表示があって、そして家族が拒まない、もちろん家族がご賛同いただくということが 必要になっていますので。本人の意思を何歳で認めるのかというのがありまして。これ が15歳未満ではダメで、15歳以上というようなことにしておりますので、どちらにして も現在のこの法律が通った 段階では、15歳以下の心臓は出てこないという状況でございます。  このことについては、国会議員の先生方も国会のご議論の中で、そこについては検討 してほしいと。いまはできないということは、皆さんご承知です。しかし、今後の検討 課題ということになっておりまして。検討課題で、じゃあすぐにOKになるかというこ ととは、また別の問題で。よくもう一度検討をしてくださいということになって、行政 当局に対する宿題となっていると、このように解釈しております。 ○高久部会長  他にどなたかおありでしょうか。どうぞ、黒川さん。 ○黒川委員長 いまのことはガイドラインで、一応今回は生前の本人の意思というのがあるので、15歳 以上ということにしてますし、それからこの後出てきますが、臓器ネットワークの整備 についてでも、やはり15歳以下の人たちについてのそのへんの議論をなるべく早く立ち 上げてくださいということが、いまから出てくると思いますが。十分考慮したいと思い ます。 ○高久部会長 どうもありがとうございました。いま、いくつかご質問がありましたけども、この法律 の施行規則の案につきましては、この諮問のとおり了承するということでよろしいかと 思いますけれども、いかがでしょうか。 どうもありがとうございました。  それでは、9月の8日に予定されています次回の成人病難病対策部会で、この法律施 行規則を答申するという運びで行いたいと思います。どうもありがとうございました。  次の議題の2に入りたいと思います。議題の2は、「臓器の移植に関する法律」の運 用に関するガイドライン、厚生省試案でありますけれども、この議題の2について事務 局から、貝谷さん、よろしくご説明お願いいたします。 ○貝谷室長  はい。資料の3でございます。法律、それから省令、そういったものの運用上、どう しても必要な重要な事項につきまして、局長通知としてまとめて関係方面に示していき たいというものが、このガイドラインでございます。このガイドラインにつきましては 冒頭局長から申し上げましたように、現在、黒川委員長のもとで専門委員会で検討が続 けられております。本日、先生方にもご意見いただきまして、さらに議論を深めていた だきたいという趣旨で、今日ご説明申し上げるものでございます。  資料の3の最初からご説明申し上げますが、ポイントのみご説明申し上げます。まず 1つ目が、臓器の提供にあたりまして、本人が事前に書面でその意思を表示するという ことになっておりますが、そもそも書面による意思表示ができる年齢については、どの ような範囲を考えていくべきかということは国会でもずいぶん議論になりました。これ につきまして、このガイドラインでは、2行目から3行目でございますが、臓器提供に 係る意思表示の有効性について、年齢等により画一的に判断することは難しいと考える が、民法上の遺言可能年齢等を参考として、法の運用に当たっては15歳以上とするとい うことでまとめさせていただいております。  また、知的障害者等の意思表示につきましては、今後さらに検討ということで、当面 は法に基づく脳死判定は見合わせるというのが後段に記載してございます。  それから2番目が、法律上、臓器の摘出の承諾にあたりまして、遺族の了承といいま すか、承諾が求められるわけでございますが、その場合の遺族というものは法律では何 ら規定がございません。その範囲についてはガイドラインで定めるようにということで 国会の付帯決議もいただいております。これにつきましてでございますが、一般的、類 型的には決められない。 しかしながら、原則として配偶者、子、父母、孫、祖父母、及び同居の親族の承諾を得 るというものとし、喪主または祭祀主宰者において、そのような遺族の総意を取りまと めるものとすることが適当であるということで、一応、同じ世帯ということで生活され ている方々を念頭において、喪主などが総意を取りまとめて返事をすると、こういうこ とで運用してはいかがかということで、いまご議論いただいているところでございます  ただしということで、そういった範囲以外の親族からも、遠くの親戚といいますか、 そういった方から異論が出されるということもあり得るかと思いますが、そのような場 合には、その状況等を把握し、慎重に判断をすべきであるということにしております。  それから、脳死判定にあたりましての家族というものの範囲につきましても、このよ うな遺族の考えに準じて扱いを行うということにしております。  3点目が、臓器の提供施設に関する事項ということでございまして。法に基づきまし て、脳死した方から臓器の提供を受ける場合、法律上はどこから提供されるという限定 は特にございません。しかしながら、これも従来からのご議論の中で、どこでも脳死判 定を行い、どこからでも提供ということではなくて、法の運用にあたって、最初はちゃ んとしたといいますか、一定の施設からの提供に限るべきであるというご議論がござい ました。  そこで、ここでは次のページにございますが、ちょっと省略しますが、(3)に書い てございますように、救急医学等の関連分野において高度の医療を行うことができるよ うな施設ということで、その下のほうに4つ列記されておりまして、大学の附属病院、 あるいは救急医学会の指導医の指定施設、あるいは日本神経外科学会の専門医訓練施設 (A項)、それから究明救急センター。こういうところであれば、救急医療そのものも 高度であるし、脳死判定を行う体制も万全であるということから、こういったところか らの提供をまず最初、考えようということで書いております。  さらに、本当に脳死からの移植が行われる最初の数例につきましては、この4つのう ち上の2つ、つまり大学の附属病院、この場合本院に限っておりますが、それから救急 医学会の指導医の指定施設、この2つの類型の施設からの提供に限って臓器の提供を行 っていこうということで議論がなされてきております。  それから4番目が、ここが今回の法律、修正されました脳死の判定をめぐりましての 修正を受けて、さまざまなかたちでご議論されているところでございますが。実際の脳 死の判定を行うまでの標準的な手順というものを示したものが、4番でございます。  今回の法律によりまして、脳死の判定を行う場合には、ご本人が生前にそれを受け入 れる、家族も反対しないという条件が付いております。従来の脳死判定を行って移植を 行うという順番からすれば、逆の手順が必要となるということで、救急の現場のほうか らもいろいろとご議論があったところでございます。 (1)では、主治医等が臨床的に脳死と判断した場合に、この移植の話を始めていこう と、こういうことを書いております。その臨床的な脳死の把握ということは、そこの括 弧に書いてございまして、先ほどご説明いたしました脳死の判定にあたっての5項目の 確認、あのうち最後の自発呼吸の消失、これ以外の4項目が確認された段階で、臨床的 に脳死と判断し、家族等と移植に向けてのお話をさせていただいたらどうかと。こうい うことで4番を書いております。  具体的には、主治医が家族からそういった臓器提供の機会について意向を聞きまして その可能性がある、あるいはご本人が臓器提供の意思があったという場合には、主治医 のほうからネットワークのほうに連絡をし、コーディネーターが来て、そこから具体的 なご説明をし、承諾が得られた場合には脳死判定を行っていくという手順が、この4に 書いております。  それから、次のページにまいりますが、脳死の判定そのものは必ずしも臓器移植に限 って行われるわけではなくて、救急の医療の現場では日常的に行われております。5で は、このような臓器移植にかかわらない一般の脳死判定に関する項目といたしまして書 いております。臓器移植の適性な実施を図るのがこの法律であって、臓器移植にかかわ らない一般の脳死判定については、今回の法律では何ら定めていないということで、こ ういった脳死判定については従来どおりの取り扱いをしてほしいと。具体的には、必ず しも死ということを決めているわけではない。従来どおりの扱いでやってほしいという ことを言っております。  それから6番では、角膜及び腎臓の移植についての取り扱いを確認的に述べておりま す。角膜及び腎臓の移植に関しましては、今回の新しい法律の附則で、従来の取り扱い が認められておりまして、下のほうに書いてございますが、ご本人の生存中の提供意思 がなくても、従来どおり眼球と腎臓につきましてはご遺族の承諾で摘出ができる、移植 ができるという取り扱いになっておりますので、それは従来どおりでけっこうですとい うこと。  それから次のページにまいりますが、しかしながら実は腎臓と角膜につきましては心 停止後でも移植が可能ということでやっておりますけども、腎臓の摘出を行う場合には 心停止後に行いますが、通例、一般の脳死判定は行われております。この場合の脳死判 定については、今回の臓器移植法によりさまざまな限定的な脳死判定には該当せず、一 般の脳死判定として行っていただいて差し支えないということも併せて書いております  それから7番では、脳死の判定についての具体的な方法をそれぞれ以下、定めており まして。 ここは専門家の先生方のご意見を盛り込んだところでございます。具体的な脳死判定の 方法については、施行規則なりに定められておりますけれども、個々の検査の手法につ いては、もちろん医学専門分野の話でございますし、竹内基準の中でもそれぞれ詳しく 書かれておりますので、そういったものに準拠してやっていただきたいということを書 いております。  そして、以下書いておりますような留意点に特に気を付けて実施していただきたいと いうことでございまして、瞳孔の固定についての考え方、そしていわゆる自発呼吸の消 失を確認する際に行う無呼吸テストについて。これは人工呼吸器を一時的に外しますの で、一般の方には大変いろいろとご議論があるところでございますし、国会でもまた議 論がございました。これについてきめ細かく規定を入れさせていただいております。  特に、従来10分間、人工呼吸を外すという説明がなされていた向きがございまして、 今回のガイドラインでは専門家の先生のご検討の結果、時間的な経過にとらわれること なく、人工呼吸器を外すことによって血中の二酸化炭素分圧が一定程度上がることをも って、この無呼吸テストを考えるということを強調すべきであるというご指摘をここの 中に入れております。  それから、これは専門家の先生からご意見が出されている点でございまして、5ペー ジにまいりますが、この無呼吸テストの中で、特に呼吸不全の患者さんでは、炭酸ガス 刺激によらずに低酸素刺激によって呼吸中枢が刺激されているような方がいらっしゃる ということの問題提起がございまして、その場合にはこの無呼吸テストの実施というの は適切ではないということから、これはやらないということで、この中に盛り込んでい ます。  それから、判定医。実際に判定にあたるお医者さんについては十分な経験を持ってい ることというのが法律の要件になっておりますが、具体的にそれは何かということ、こ れも竹内基準の中に定められておりますが、脳神経外科、あるいは神経内科、救急医、 あるいは麻酔・蘇生・集中治療、それぞれの学会の専門医、あるいは認定医の資格を持 っている方に判断していただくということにしております。そして、これはあらかじめ 各医療施設ごとに倫理委員会、あるいは脳死判定委員会などの委員会において選定を行 っていただきたいということを書いております。  それから、先ほど脳死判定は2回確認を行うということで、少なくとも6時間という 規定がございました。しかしながら、通例は6時間を基本とするということでございま す。ただし、医学的に必要がある場合、例えば二次性の脳障害などの場合には、よく観 察をして判断するということを書いております。その他、判定上の留意点を少し書いて ございます。  それから6ページにまいりますが、8番として死亡時刻に関する事項ということで、 脳死判定を行う場合には、2回の確認を行います。そして、この中では死亡時刻という 点は2回の観察の、その2回目の検査が終了したとき。不可逆性を確認したときに死亡 時刻としてほしいということを書いております。  それから9番では、臓器摘出に至らなかった場合の脳死判定について。その場合でも 脳死判定を行った結果、死と判定していいのかどうか。これについては適性に脳死判定 が大なわれた場合、仮に臓器移植につながらなかった場合でも2回目の判定時をもって 死亡とするということの運用を示しております。  その他、10番では移植施設に関する項目等々を盛り込んでおります。その他の項目の 中では、(1)では、臓器移植の臓器については、臓器移植のネットワークをすべて通 して移植を行う。ネットワークを介さない臓器の移植を行ってはならないということが 書いてございます。 (2)は検討中でございますが、日本国内にあります米軍の基地から臓器が提供される ようなケースについて、どう扱っていいのか。これについては関係省庁といま検討中で ございます。 それから(4)では個人情報の保護、それから(6)では検視について の扱い、それから最後の(7)では臓器ということではなくて皮膚とか血管、あるいは 心臓弁、そういった臓器とは考えられない、この法律の対象とならないような、いわゆ る組織というものでありますけども、そういう移植についてどういう扱いをするのかと いう点について触れております。  以上のような項目について、まだ議論を続けておりますが、示していきたいと思って おります。 ○高久部会長  どうもありがとうございました。いま、ガイドラインについて説明がありましたけど どなたかご質問、ご意見はおありでしょうか。どうぞ、杉村先生。 ○杉村委員  大変わかりやすかったです。1の一番最初のところで、書面による云々というところ ですね。それの3行目から4行目にかけて、「15歳以上を目安として判断すること」と いう、この「目安」というのは、何か曖昧な言葉のように思えるし、どういう意味なん ですか、これは。 ○貝谷室長  いまの点、実は専門委員会でもご議論がございました。大変申し訳なかったんですが この提出資料は前回の直近の専門委員会に提出した資料をそのまま使わせていただいて おりまして、この「目安」という表現は大変曖昧な表現であるので、15歳以上というこ とであれば、誤解のないように「15歳以上」とだけ書けばいいのではないかというご議 論がございまして、次回、専門委員会ではそのように修正させていただきたいと考えて おります。 ○高久部会長  よろしくお願いします。他にどなたか、ご意見、ご質問おありでしょうか。今後とも また専門委員会でご議論を検討していただくということになっておりますので、黒川先 生、ご苦労様ですけれど、よろしくお願いをしたいと思います。 それでは議題の3に入らせていただきたいと思います。議題の3は、日本臓器移植ネッ トワーク準備委員会の報告書についてでありまして、題名が臓器移植ネットワークの整 備についてということでありますが。この日本臓器移植ネットワーク準備委員会の報告 書について、また事務局のほうから、貝谷さん、よろしくお願いします ○貝谷室長  資料4でございます。日本臓器移植ネットワーク準備委員会から先般、8月18日に保 健医療局長宛てに出されました報告書でございます。  この報告書の後ろから3枚目、ページが書いてございませんが3枚目にネットワーク 準備委員会の開催状況がございまして、平成5年に設置をされた委員会でございます。 心臓、肝臓、その他の臓器を含め、多臓器と呼んでおりますが、そういった多臓器の移 植を念頭に置きまして、どうしても必要となるこのネットワークというものを具体的に どういうふうに組織していくのかということについて、何年か検討を続けていただきま した。そこに書いてますように、法案の進捗がなかなかなかったものでございますので とりあえず腎臓についてのネットワークの整備のあり方というものを平成7年の4月に ご意見をいただきまして、これをベースに現在、腎臓移植についてのネットワークはす でに整備をされております。その後、腎臓の議論を中心にやっていただきましたが、本 年の2月以降、法案の進捗に合わせまして、心臓、肝臓のご議論を集中的にやっていた だき、先般、多臓器を含めた全体の臓器移植ネットワークの整備というこの報告書をご 報告いただいたと、こういう経緯でございます。委員長は井形委員長に取りまとめをお 願いをいたしております。委員の名簿は、その次のページに付けてございます。  中身でございますが、ちょっと長いものでございますので、別添でこの報告書の要旨 というものをおつくりしております。要旨に沿ってポイントだけご説明申し上げたいと 思います。  ネットワークの整備についてのまず基本的な考え方ということでございます。臓器の 移植に関する法律に基づく心臓や肝臓などの医療の適性な推進、つまり提供された臓器 を公平に配分する、そして最も必要な患者さんに移植を行う、そのためには臓器移植ネ ットワークの整備が不可欠である。そして、2つ目にありますが、その形態については すでにある日本腎臓移植ネットワークというものを母体として、それに心臓、肝臓など の機能を付加していく。そして、全国で唯一の統一的な臓器移植ネットワークというも のを整備していくことが適切であるというのが基本的な考え方として述べられておりま す。  そして基本原則といたしまして、そこに8つほど項目がございます。公平かつ適性な システム、情報一元化、レシピエントの公平・適性な選択、それから移植に関する事項 の評価、情報公開、それからネットワークを通さない臓器移植は認めない等々の基本原 則が述べられております。こういった考え方に基づきまして、具体的な運営の方法が2 番以下に書かれてございます。  まずレシピエントの選択、そしてドナーのほうの適応ということについては、このネ ットワークは臓器のレシピエントの選択基準に基づいて、あらかじめ決められた医学的 な基準に基づいて公平かつ適性なレシピエント選択を行うことにする。それから、レシ ピエントの登録名簿の管理は、全国通して一元的に行う。そして、ネットワークを通じ た臓器の配分を行うということ。それからその次が、レシピエントの選択基準、ドナー 適応基準については、公衆衛生審議会において検討されることが望ましい。こういった ご意見になっております。  なお、すでに心臓及び肝臓、腎臓についての諸基準については定められているところ でございます。  それから3番目が、臓器移植ネットワークの運営ということで、以下ずっとそのペー ジにございます。企画管理委員会、中央評価委員会を置き、また問題があるケースにつ いての審査委員会、こういった委員会を必ず設けるようにということになっております  そして、2つ目の○では、特に心臓及び肝臓の移植について述べておりまして、この 移植を行うのはそれぞれ、心・肝、東西2チームといいますか、東西1カ所ずつに限定 されておりますので、臓器のあっせんに関するネットワークの業務も、この移植施設を バックアップするような体制を組む。本部と関係するブロックセンターで行うと。特に 基幹ブロックセンターは、東のほうでは関東・甲信越ブロックセンターが基幹センター となって移植施設をサポートする。 そして西のほう、心臓では阪大と循環器病センターの合同チームになりますが、そこで は近畿のブロックセンターがそれをサポートすると、こういう扱いでございます。  それから、財源は現在の腎移植ネットワークの経営形態に準じて、会費、寄付金、国 庫補助、それからレシピエントの登録・更新料を主要な財源として運営するということ にされております。  それから、レシピエントの登録の手順について定められております。最初は各レシピ エントのかかっております医療機関の中で、移植に適するかどうかを判断する。そして 2番目は、関係学会において適応を検討し、その結果を患者さんの意向を確認したうえ で次の段階としてネットワークに連絡をして、ネットワークで待機患者として登録を行 うと。こういう手順が述べられております。  そして、全国一律の情報管理ということでございまして。情報管理体制といたしまし ては、国立の佐倉病院に置かれましたコンピューター・システム、それとネットワーク 内にいまありますコンピューター・システムの2つの系統でやっていくべきであるとい うことでございます。  それから心臓、肝臓の移植については、当面、当然のことながら全国一元的管理でご ざいますが、名簿の作成管理を1カ所で行うということにしております。レシピエント 情報の更新についても逐次行いますが、腎臓の場合は年1回、心臓・肝臓の場合には病 状が変化するということに合わせまして、随時更新するということにしております。  そして、移植を実施します施設は、必ずこの臓器移植ネットワークに登録を行って、 その登録施設だけにこの臓器が配分されると。こういうシステムとするということにな っております。  次のページにまいりますが、4が普及啓発ということでございまして。一番中心とな ります意思表示カードというものが、今後は大変重要になってくるということでありま す。このネットワークにおいても、国民すべての浸透を目指して、この普及に努めると いうこと。それから、この法律において、国と地方公共団体の責務というものが新しく 規定として設けられております。そこに書いてありますような行政上の努力規定が入っ ておりまして、これを受けまして国、地方公共団体においても、こういったドナーカー ドなり、脳死臓器移植問題についての普及啓発に今後精力的に取り組むべしということ が述べられております。  それから、5番がコーディネーターということで。いわゆる移植のコーディネーター は、移植に係わる情報の収集、あるいはドナーとなります家族に対しての説明、それか らレシピエントの選択、それから摘出された臓器の搬送、こういった一連の業務を担当 するわけでございます。そこの次に書いてございますが、特に今後は脳死移植というこ とになりますので、高い専門性を持ったコーディネーターの確保が非常に重要になって まいりますが、当面の措置といたしましては、現在すでに活躍していただいております 腎臓のコーディネーターの方々を再教育して、それを拡充していくということが適当で あるということになっております。そして、コーディネーターについては、基本的には 医療有資格者といった方を対象に研修を行い、試験に合格した者を採用していくという ことでやるべきであるということになっております。  それから、その他ということでございまして。従来、このネットワークの基本的な考 え方をこの委員会でご議論いただきましたが、この報告書の報告をもちまして、この準 備委員会というものが一応役割を終えたということになりますので、今後、こういった ネットワークの基本的事項について検討が必要となる場合には、公衆衛生審議会の中に 設けられている臓器移植専門委員会において同様の検討を行っていくことが望ましいと いうのが、最後に述べられております。 以上でございます。 ○高久部会長  どうもありがとうございました。いまのネットワークにつきまして、どなたかご質問 ご意見おありでしょうか。どうぞ、杉村先生。 ○杉村委員  これも大変明解にご説明をいただいて、よくわかったんですけれども、1つだけ。準 備委員会のときには「日本臓器移植ネットワーク」でしょう。それから今度は、いよい よになると「日本」はなくなるわけですよね。腎臓の場合には日本腎臓何とかというふ うになってるんだけども、この「日本」というのがあったりなかったりするのは、どう いうわけですか。 ○貝谷室長  臓器移植ネットワークという、一般名詞的な使い方で議論が行われました。そして、 実際に法人の組織といたしましてスタートします際には、腎臓がそうでありますように 「日本」というものをきちんと付けたうえで整備していくと、こういう予定にしており ます。 ○杉村委員  日本臓器って読んでしまうんですよね、これ。そうすると、そういう会社があるんじ ゃないかと思ってね。 ○高久部会長  会社がありますね。 ○杉村委員  最初のときも日本臓器とどなたかお読みになったんでね。どうも失礼しました。 ○高久部会長  要旨1ページ目と3ページ目の最後に、公衆衛生審議会、あるいは臓器移植専門委員 会において検討を行うということが「望ましい」。「望ましい」というのは、どうして 「望ましい」というふうな表現になったんですか。 ○貝谷室長  この準備委員会の性格上、ご自身の検討を終えられた後の次の受け皿のご議論でござ いますので、名指しで「ここで検討を行うべし」という言い方もあるんでしょうけれど も、そこは、そういう気持ちを込めつつも表現としてはこのような表現で落ち着いたと いうふうに理解しております。 ○高久部会長  それからもう一つ、細かいことですけども。次の委員会を置くと書いて、いろいろあ りますけれども、普及啓発委員会というのは非常に重要で、やっぱりそれはメンション しておったほうがいいんじゃないでしょうかね。 ○貝谷室長 わかりました。実際に広報委員会がございますので、そこはきちんと対応するようにい たします。 ○高久部会長  他にどなたか、ご意見おありでしょうか。どうぞ、宮本先生。 ○宮本委員  お教え願いたいんですが。こちらのほうの臓器の移植に関する法律施行規則には、 第10条ですか、業として臓器のあっせんの許可の申請を云々と。これは職業として臓器 のあっせんをというふうな意味でしょう。もしそうであるんであれば、こちらの臓器ネ ットワークの準備委員会云々の報告にあります、3ページの一番上の「臓器移植ネット ワークを介さない臓器移植を行った場合などは、臓器移植を行った」云々というような ことが書いてありますが、職業に臓器をあっせんするという人たちも、何らかのかたち でこのネットワークに入らないといかんというふうな意味なんですか。それとも、どう いうあれでしょうか。 ○貝谷室長  いまの点でございますが、省令上、臓器あっせん機関ということで書いております。 これはいまお話のように業としてということでございますので、本当に1回こっきりで やる場合には、法律上のあっせん業としての許可というものは、法律上は多分必要ない んだろうと思います。 そういう意味で、業という意味を理解しておりまして、継続してずっとそういった事業 を行う場合ということでございます。職業という主旨よりも、むしろ反復、あるいは継 続してずっとそういう事業をやるんだと。そういうケースについては大臣の許可を取っ たうえであっせん業を行ってくれというのが法律の考え方でございまして、省令上はそ ういう規定になっております。そして、いま先生のほうで、3ページの上のほうですね いまの要旨の。 ○宮本委員 そうですね。 ○貝谷室長 ここで、「ネットワークを介さない臓器移植を行った場合」と。これは法律上というよ りも、むしろ政策上といいますか、実際上の話でございまして。あっせん業の許可とい うのはいま説明しましたように、反復継続することが前提ですから、1回ならいいだろ うというお医者さんが仮にいた場合に、確かに業の許可はいらないんですが、しかしな がらそれも認めないということで我々行政としては対応していきたいと思っています。 そういう意味でも、たとえ1回であってもネットワークを介さないような臓器移植とい うことは行わないでほしい。そういう場合には、ここに書いてますような厳正な措置を 取るべきであると、こういうのがこの報告書の中身になっております。 ○宮本委員 それともう一つですね。業としてというのは、あたかもこれによって収入を得るという ふうな印象を持つんですけれども、これはそういうことでいいんですか。 ○貝谷室長  収入を持つケースもございますが、一般的なニュアンスはそういうことでございます が、通例、法律などでは、そういう地位で反復継続してそういう行為を行う場合には、 業としてというのが通例でございますので。必ずしも職業といいますか、そういうニュ アンスはないんだろうと思います。 ○宮本委員  どうもありがとうございました。 ○高久部会長  他にどなたか。臓器移植ネットワークを実際に運営するのは、なかなか大変だと思い ますけども、臓器移植に関して一番重要なことでありますので、運営関係の方々、ご尽 力をお願いしたいと思います。  それでは引き続きまして、リウマチ対策専門委員会で中間報告として、今後のリウマ チ対策がまとまっておりますので、このご報告をいただきたいと思います。この報告に 関しましては、越智専門委員会委員長からご報告していただく予定でありましたけども 委員長はご都合がつきませんので、先ほどご了解を得ましたように、西岡専門委員会委 員に審議の経過等についてご説明をお願いしたいと思います。西岡先生、よろしくお願 いします。 ○西岡委員  それでは、まず冒頭に、この難病対策部会の中にリウマチ対策専門委員会を設けてい ただきましたことを我々、リウマチの診療及び研究に従事するものの1人として、厚く 御礼申し上げます。  先ほど高久先生がおっしゃいましたように、今日本当は越智委員長が説明申し上げる ところを、所用によりまして私がピンチヒッターといいますか、申し上げますけれども 実質的には越智先生とこの取りまとめをさせていただきましたので、その中身をごくか いつまんでご報告申し上げたいと思います。  まず1ページ目ですけれども。今回、リウマチ性疾患というのが、この難病対策の部 会の中に出てまいりましたので、一応リウマチという病気の概念が書いてあります。ど ういうふうな領域まで含むのかということも書いてあります。その中で慢性関節リウマ チの他、これまで多くの難病として取り扱われました、俗にいう膠原病。その中で全身 性エリテマトーデスが代表的なものですけども。それから、あと代謝性の関節の代表で あります変形性関節症を含めて、さまざまな骨、筋、骨格系の痛みを訴える疾患がリウ マチの中に含まれます。  その中で、図1に描いてありますけれども。8ページにございます。実際に日本でど のぐらいの患者がいるのかということを、これは私ども疫学の調査班、あるいはこれま での文献等によりまして、まとめてみた3つの代表的なリウマチ性疾患をここに掲げて あります。膠原病が約10万人弱。それから慢性関節リウマチが、早期も含めますとだい たい50〜70万人といわれています。特に今後人口の加齢化、年齢が高年齢化するととも に問題となってくる変形性関節症が1,000万人近くいるだろうと。こういうふうな疾患 が今後、私どものリウマチ性疾患の調査・研究、あるいは診療の方面で領域として検討 していかなくちゃいけないと考えています。 こういうふうな状況の中で、1ページ目 にも書いてありますけども、昨年度、医療法の改正によりまして標榜科目の診療科目と して、関係各方面のご尽力によりましてリウマチ科が、いわゆる自由標榜として追加さ れました。これに伴って、さまざまな問題が出てきているんですけども、リウマチの診 療体制の整備、あるいは教育・研究等も含めまして審議してまいりましたのが、この専 門委員会の中身でございます。  その内容は13ページにございますけども、これまでに、平成8年12月11日に第1回目 の専門委員会を開催させていただきました。そこで検討させていただきましたことは、 リウマチ対策委員会の設置等、それから現状、それから今後のリウマチ対策等について 第1回の会合で審議させていただきました。その後、2回、3回と含めまして、第4回 の会合のあと、今日取りまとめたこの中間報告書がまとまりました。  その次の2ページ目に書いてありますけども、その骨子は、表1にございますけども これまで我が国のリウマチ対策はどのように進んできたかということが表1に書いてあ ります。かなり歴史は古く、昭和32年のリウマチ協会設立からずっとございますけども こういうふうなリウマチ対策の歩みがございます。  その次の表2に、厚生省が特定疾患調査研究事業にベーチェット病、全身性エリテマ トーデスをいわゆる難病として、こういうふうな研究課題を取り上げていただきました  その後、平成に入りまして厚生科学研究費の補助金の中に「リウマチ調査研究事業」 がスタートいたしました。この6年間の間にリウマチの、特に慢性関節リウマチをめぐ る研究は、かなり大きく進展いたしまして、一部の慢性関節リウマチの病因に関しては 解明されてきているというふうな現状に至っております。  その調査研究の主な成果なんですけども、2ページ目に書いてありますけども、一応 早期リウマチに関する診断基準の作成が、平成2年の早期リウマチの研究班の手でまと まりました。 同時に、早期リウマチの疾患概念を提唱し、早いうちからリウマチというものに対する 治療方針の指針といいますか、そういうものも一応まとめさせていただきました。それ から、先ほど申し上げましたように、一部のリウマチの、特に慢性関節リウマチですけ ども、発症に関する病因・病態の解明がかなり進みました。  それから、3ページ目に書いてありますけども、現在研究がかなり進展している分野 として、こういうふうな、たとえばウイルスとリウマチの関連性の解明等に関して、現 在研究を進めさせていただいております。  その次、(3)医療体制ですけども。これに関しては昭和61年2月、日本リウマチ学 会の登録医制度が制定されました。それから62年11月から、この登録医は日本リウマチ 財団に移管され、現在、約2,750人の登録医がリウマチ財団に登録されております。 これは、実際にある程度リウマチの治療、あるいはケア等に関して教育をきちんと行う ということで、リウマチ財団は積極的にこのへんのところの教育研修活動を行っており ます。  問題は、リウマチの専門施設につきましては3〜4ページに書いてありますけども、 これは内科、あるいは整形外科、リハビリテーションなど、その関連分野にまたがりま すので、集学的な医療が提供される必要性が議論されました。これらの専門施設が、か なり地域的な偏在もこの審議会では指摘されておりますので、今後、どういうふうなか たちで拠点病院を整備していくかというふうな、拠点施設の整備というものも大きな課 題となって浮上してまいりました。  それから、(5)になりますけども、医療従事者の研修等に関しまして、これは特に 日本リウマチ財団等によりまして、平成4年度からリウマチのトータルモデル事業とし てリウマチのケアの実施研究会が開始されております。平成8年度に6カ所で実施され 参加人員は1,615人、合計、平成4年度から平成8年度までは6,000人以上の研修活動を 行ってまいりました。 その他、情報提供を含めまして、一連の活動をやってまいりました。  5ページ目になります。この審議会で今後のリウマチ対策のあり方についてというこ とで、まず(1)調査研究の推進。1番目に、緊急性を要する重点研究と。すなわち、 ここ5年以内に多くの研究成果が期待でき、明確な疾病制御と直結した重点的研究課題 というもので、リウマチの予防に関する基礎的研究等、4つを挙げさせていただきまし た。  それから、中長期的な研究計画のもとに、広く臨床の現場の医師と共同して研究の推 進を行うということで、集学的治療、QOLの向上に関する研究、この2点を挙げさせ ていただきました。また、疾病発症に関する長期的な疫学的調査、これは現在進行中で ありますけども、これも追加させていただきます。  それから、研究基盤の整備。国際協力を含めた研究支援活動の整備、それから研究推 進的な中心的な組織の育成等を現在審議しております。  それから6ページになります。こういった状況の中で、従来、長期慢性疾患総合研究 で実施してきましたリウマチ対策ですけども、これを本年度新設されました免疫・アレ ルギー等研究事業に移行させて、その免疫・アレルギー等研究事業の中でその研究活動 を充実させるというふうなかたちで、実際に私どものリウマチの研究の、これまで長期 慢性疾患調査研究事業の中にありました病因班の一部が、実質的にはそちらに移行する というようなかたちを取らせていただきました。実際には公募により、大型研究プロジ ェクトを採択させていただくというかたちになるかと思います。 (2)ですけども、医療の確保。これが実は引き続き重要な審議課題として、あとから 課長さんのほうからご報告があると思うんですけども、その先進的な医療の提供はもと より、教育・研修などの機能を有するリウマチセンター、この設立に関しては引き続き 重要な審議課題として、来月からの本審議会で、専門委員会の中で検討させていただき たい。2回か3回で1つの方向性、あるいはリウマチセンターの機能等について検討さ せていただきたいと考えております。  それから、あと(3)に在宅福祉サービスの点、それから医療従事者の資質の向上。 これは先ほど言いましたように、日本リウマチ財団等が現在、積極的に教育研修活動を 展開しておりますので、その中で充実させていきたいと思います。  以上、ざっとご報告をまとめましたけども、9ページの図2に多少、これも議論があ ったところなんですけども、リウマチ性疾患の病態と今後の対策の研究の方向性。稀少 性難病の膠原病からスタートしまして、慢性関節リウマチ、あるいは先ほど申し上げま したように、今後の高年齢化とともに、特に変形性関節症というのは原因が例えば糖尿 病が基礎にあったり、さまざまな生活習慣病とも密接したり、あるいは急速に骨関節破 壊が進むような難病に移行するような変形性関節症もございますので、このへんのとこ ろも含めて視野に入れながら研究の展開を進めさせていただきたいと思います。  最後に、一応今後の積み残されたいくつかの課題について、最後に今後の対応として 資料6にまとめさせていただきました。この中で、各研究者の連携を図るために、各種 研究事業、特に免疫・アレルギー等、あるいは特定疾患調査研究事業、それから長期慢 性疾患等に関する研究者を対象とした合同会議を開催を予定しております。これは後か ら課長のほうからご報告があると思いますけども、そういうふうなかたちで合同シンポ ジウムを開催して、なるべく横の連携を図りながら免疫・アレルギー、リウマチ関係の 調査研究を進めさせていただきたいと思います。  それから医療の確保、あるいは在宅福祉サービスの充実、それから医療従事者の資質 の向上、情報網の整備促進、そういうふうなかたちの課題が今後の審議課題として残さ れています。以上です。どうもありがとうございました。 ○高久部会長  どうもありがとうございました。いま、西岡委員からご説明がありましたけども、今 後のリウマチ対策について、何かご質問、ご意見、おありでしょうか。  リウマチという表現と免疫・アレルギー病という表現があるんですけども、これは両 方まったく同じというふうに考えてよろしいんでしょうか。 ○西岡委員  一般的にはかなりオーバーラップすると思いますけども、厳密に言いますと、かなり そこからはみ出ている部分も出てきます。例えば、変形性関節症等におきましては、若 干そういう免疫・アレルギーとは違った視点で見なくちゃいけないかなというふうに考 えております。 ○高久部会長  他にどなたか。 ○宮本委員  リウマチといえば、関節の病気であるわけですよね。ですから、関節の病変そのもの は免疫、あるいはアレルギーの関与というのは非常に少ないと思うんです。ですけど、 病因というか、その発症機序には、免疫、あるいはアレルギーの関与がかなり大きいと いうふうに思いますから、ベースで免疫・アレルギーにつながっているというふうに考 えていいんじゃないかと私は思いますが。西岡先生、そのあたりどうでしょうか。 ○西岡委員  けっこうだと思います。 ○高久部会長  ただ、例えばサルコイドイーシスも入ってますですね。これもやっぱりリウマチに。 サルコイドイーシスって、関節の異常がくることがあるんですか。 ○西岡委員 有名なサルコイド関節症というのはあるんですけども、ただやっぱり、メインはやはり ○高久部会長  リウマチ対策といった場合に、あるいはリウマチセンターといった場合には、ここに 書かれている病気全部を対象にするセンターをお考えですか。 ○西岡委員  どこまでお答えしていいか、ちょっとあれなんですけど。例えば代表的な、この図1 に示しましたように、一応いわゆる膠原病、それから最も代表的な慢性関節リウマチ、 その変形性関節症というのは、この3つをとりあえず仮にリウマチセンター、あるいは 拠点病院を、今後リウマチ治療のネットワーク的なものを考えた場合に、この3つがお そらく中心になってくるだろうというふうに考えております。 ○高久部会長  他にどなたか、ご意見おありでしょうか。よろしいでしょうか。それでは今後ともリ ウマチ、特に主な研究成果、慢性関節リウマチがかなり重要になると思いますけど、患 者さんも多いし、それからQOLなど考えますと非常に重要なテーマでありますので、 今後とも対策を推進していただければと思います。よろしくお願いいたします。 ご連絡事項、貝谷室長さん、ありますね。どうぞ。その前に中谷課長さんのほうから、 どうぞ。 ○中谷課長  ただいま西岡先生から若干お触れいただいたわけでございますが、資料6番で、仮に このような中間報告をここでお認めいただけるとすれば、我々が進めたいと思っている 事業を資料6にまとめさせていただきましたので、ご説明を申し上げたいと思います。  まず第1が研究の推進でございまして、先ほど来の報告書にもございましたとおり、 厚生科学研究の再編強化がございましたものですから、免疫・アレルギー疾患と、こう いうような6つの柱の1つの中で総額4億5,000万円の研究費配分が、先だっての厚生 科学審議会の企画調整部会でされたところでございます。その中でリウマチ性疾患につ きましても枠を設けまして1課題が採択されております。  それから、ご紹介がございましたとおり、各種研究班のコーディネーションというの が大変重要でございますので、関係の研究班の班長の先生方にお願いをいたしまして、 仮でございますけども11月21日に合同研究班というかたちで開催させていただこうと思 っております。  それから、これはあくまでも中間報告でございまして、積み残しの一番大きな課題が 医療の確保、特にリウマチセンターの問題だというふうに行政当局は認識しております そのリウマチセンターでございますけれども、機能ですとかリウマチ医療における位置 づけ、例えばガンセンターですとか循環器病センターのようなナショナルセンターをつ くり、それがかなり政策的に引っ張っていくようなかたちのイメージでもっていくのか あるいは現に地域でリウマチ診療、あるいは研究、実力を持っておられる機関がござい ますので、それを横につなげるようなネットワーク型のシステムを考えていくのか、 種々論議があるところでございますので、実は並行いたしまして海外の事例につきまし ても、いま調査をしております。このようなことを踏まえまして、専門委員会で引き続 きご検討いただければと思っております。  それから、在宅福祉サービスの充実について。これは難病対策全体にもかかわること でございますので、対応してまいりたいと思っておりますし、また医療関係者の方々へ の啓発、資質の向上等々につきましては、リウマチ財団や関係学会のご協力を得ながら 進めてまいりたいと、このように思っております。  以上が、このリウマチ対策について行政当局といたしまして取り組もうとしている、 あるいは取り組みつつあると、こういう状況でございます。  以上でございます。ありがとうございました。 ○高久部会長  どうもありがとうございました。今後とも、よろしくお願いしたいと思います。  それでは、事務局、貝谷さん、どうぞ。 ○貝谷室長  次回は9月8日にこの部会が予定されておりますので、本日、臓器移植の関係でご諮 問いたしました臓器の移植に関する法律施行規則案につきまして、ご答申をいただけれ ば幸いだと思っております。なお、会議の当日は、冒頭答申をいただくために、厚生大 臣が出席の予定となっておりますので、よろしくお願い申し上げます。  以上です。 ○小林局長  実は、この臓器の移植に関する法律、先生方ご理解のとおり大変厳しい条件、という のは本人の生前の意思と家族のご了解がないと臓器の提供が得られないという、大変厳 しい条件になっております。諸外国でこんな条件を付けているところはないのでありま して。そういう意味では、最悪の場合はこの法が施行になっても全然臓器移植が行われ ないという状況も想定されるところであります。  そのためには、どうしても必要なのが、実は国民の皆様方、多くの方の臓器提供につ いての事前の意思表示であります、いわゆる意思表示カード、ドナーカードについて、 多くの国民の皆様に、どうしてもそれについてのご意見‥‥ご意見というのは、ドナー カード自体は提供しないということも書けるようなデザインになっておりますけども、 そのドナーカードに多くの国民の皆さんに書いていただきたいということが一番大きな ポイントになろうかと思っております。  そういう意味で、次回実は大臣にこの会議に出てきてくださいというのは、実はこの 法律がスタートするには部会長さんから答申をいただくということが1つのポイントで ありますし、もう一つは、実は大臣は「ドナーカードにサインしたい。」と言っており ますので、サインをしていただこうと。皆さんも見ているところでそれをしていただい て、厚生省としての姿勢を示したい。確かに芝居がかっているといえばそうかもしれま せんけど、目的が国民の皆さんに多く理解してもらうということが目的なものですから 厚生大臣自ら、その任をされたいということでございますので、委員の先生方にもそこ はご理解いただいて、ちょっとその場を借りて、大臣がそこでサインするかもしれませ ん。まだ確定しているわけではないんですけども、大臣にドナーカードにサインをして いただくということを次回は考えておるところでございます。 それから、その他事項で、次回の話の前触れで、最近新聞に出てました例の難病患者の 一部負担、自己負担等の話について、若干担当課長から現状の説明をさせますので、お 聞きおきいただきたいと存じます。 ○高久部会長  その前に、実は救急でですね。救急医療のところで、免許証を取るときに救急の一応 講習といいますか、講義と簡単な実習をしてから免許証を取るということが行なわれる ようになって、一般の人に救急に対する理解とか、非常に普及したという経緯がありま してね。できれば免許証のときにドナーカードにサインをするというようなシステムを ぜひ。これは前から言われていることですけども、改めて考えていただければと思いま すが。 ○貝谷室長  いまの部会長のご発言の関係なんですが、私どもももちろん意思表示カードの普及も やりますが、いまお話しのように免許証を活用した何らかの工夫ができないかというこ とも、関係省庁といま話を進めておりますので。いまの段階では、まだ何とも申し上げ られませんけど、引き続き検討していきたいと思っております。 ○高久部会長  じゃあ、課長さん、どうぞ。 ○中谷課長  次回の部会におきましては、難病対策専門委員会報告についてもご審議をいただきた いと思っているわけでございます。その内容の一部が難病患者への自己負担の導入とい うような頭で過日報道がなされたところでございまして、ご心配をおかけいたしました ことをお詫び申し上げます。  次回の当部会にお諮りする予定の専門委員会の報告は、現在、黒川専門委員長のご指 示のもとに、最終的な作業を行っておりまして、その過程のものが何らかの経路でマス コミの知るところになったものというふうに拝察しております。  そこで、現時点におきます基本的な考え方を若干申し上げたいわけでございます。局 長が冒頭申し上げましたとおり、大変厳しい財政環境の中で施策の充実を考えていかな ければならないことになっております。閣議決定によりまして、補助金は10%減る。一 方、患者さんの数は余命の延長ですとか、診断基準の普及等によりまして、毎年10%の ペースで増加しつつございます。それに加えまして、重要者の対策等、難病対策を質的 に充実せよと、このような要望も非常に強いわけでございまして、特定疾患対策予算の 9割を超えます治療研究事業、言い換えれば患者の皆さんの自己負担を全額公費でみる ここの部分を何らかのかたちで効率化することが避けられないと、このような事態にな っております。  その具体策につきましては、当審議会、当部会のご意見を伺ったうえで厚生省として の方針を定めたいと思っている次第でございます。  なお、厚生省の概算予算要求でございますけれども、公費負担の効率化、これはもう 10%ということで、とりあえずやらさせていただき、その果実を重症疾患の保健福祉の 充実ですとか、重点研究の推進と、こういうことに振り向けまして、特定疾患の対策費 といたしましては増額ということで、いま要求をしておるところでございます。 閉会の直前になりまして、このような重い課題を申し上げてお詫びいたしますけれども 次回の委員会におきましては、何とぞよろしくご慎重な審議をお願い申しあげます。 ありがとうございました。 ○高久部会長  どうもありがとうございました。次回、なかなか大変なようでして。黒川先生、また よろしくお願いしたいと思います。  次回が9月8日の月曜日の4時から、霞ヶ関ビルの33階にあります東海大学の校友会 館、富士の間で開かれることになっております。先ほど局長さんからお話がありました ように、大臣が来られますし、おそらくいろいろなマスコミもたくさん来ると思います ので、私を含めて、ぜひ委員の先生方、遅刻なく時間前にお集まりを願いたいと思いま すので、よろしくお願いしたいと思います。  それでは、少し早めでございますけれども、本日の会議はこのあたりで閉会したいと 思います。特に黒川先生、西岡先生、どうもありがとうございました。 どうもありがとうございました。    問い合わせ先 厚生省保健医療局エイズ疾病対策課臓器移植対策室       担 当 重藤(内2361)、眞鍋(内2364)       電 話 (代)03-3503-1711