97/08/27 第3回クロイツフェルト・ヤコブ病等専門委員会 第3回 公衆衛生審議会成人病難病対策部会 クロイツフェルト・ヤコブ病等専門委員会 議  事  録                                      厚生省保健医療局エイズ疾病対策課   第3回公衆衛生審議会難病対策部会       クロイツフェルト・ヤコブ病等専門委員会議事次第 日 時 平成9年8月27日(水)  14:00分〜16:10分 場 所 厚生省5号館別館第2会議室  1 開 会  2 議 事  (1)CJD及び類縁疾患調査研究結果について  (2)献血例について  (3)その他  3 閉 会 出席委員  佐藤委員長  北本 委員  品川 委員  祖父江委員  立石 委員  柳川 委員  小池 委員(代理)       中村 先生 ○佐藤委員長  それでは定刻となりましたので、ただいまから第3回公衆衛生審議会成人病難病対策 部会クロイツフェルト・ヤコブ病等の専門委員会を開催いたします。  会議に先立ちまして委員の出欠状況につきまして事務局から御報告お願いいたします。 ○三丸補佐  本日は端委員、山内委員が御都合つかず欠席されておりますことを報告いたします。 また、今回は津久江委員が長期出張のため代理で公衆衛生審議会委員である小池日本医 師会常任理事。また特定疾患調査研究事業における遅発性ウイルス感染研究班の中村自 治医科大学助教授に出席いただいておりますことを併せて報告いたします。 ○佐藤委員長  議事に入ります前に、厚生省の課長さんの人事異動がございましたので御挨拶をお願 いいたします。 ○中谷課長  一言御挨拶を申し上げます。  7月17日付でエイズ疾病対策課長を拝命いたしました中谷でございます。エイズ疾病 対策課組織がえがございましたけれども、エイズ、ハンセン病、それから、いわゆる特 定疾患難病とこのような研究・治療。それから、特別な政策的配慮を要する疾患を担当 することになりました。  このクロイツフェルト・ヤコブ病につきましても大変な社会的関心を集め緊急調査を していただき、その結果が4月3日に報告をいただいた訳でございますが、その後、9 年2月13日から実施をしておりますこの調査の結果につきまして今日御報告があり今後 の施策の展開につきましてさまざまな御示唆をいただけるものと期待をしております。 どうぞよろしくお願いを申し上げます。  本日はまことに暑い中を御多用中ありがとうございました。よろしくお願いいたしま す。 ○佐藤委員長  ありがとうございました。  それでは、議事に移りたいと思いますが、その前に資料の確認をお願いいたします。 ○三丸補佐  本日資料として御用意させていただきましたのが、会議資料として4点、参考資料と して5点あります。  まず会議資料ですけれども、資料1としまして「厚生省クロイツフェルト・ヤコブ病 及びその類縁疾患調査解析結果報告」。  資料2でありますけれども、これはあらかじめ各専門委員の先生方にファックスでこ の解析結果を事前にお知らせしまして、そのときに先生方から出てきました意見をまと めております。  資料3ですけれども、「クロイツフェルト・ヤコブ病及びその類縁疾患の危険因子に 関する調査実施要領」。これはいわゆるクロイツフェルト・ヤコブに対するケース・コ ントロール・スタディーを中村助教授のもとでやっていただいておりますので、その実 施要綱と現在の実施状態を中村先生から説明していただきます。  資料4としましては、昨日ですけれども、クロイツフェルト・ヤコブ病に関連した血 液製剤の回収について記者発表がありましたので、その資料を付けております。  また、参考資料としまして、参考資料1は、昨日の記者発表の際に使用された参考資 料をそれぞれ付けております。  まず参考資料1としまして「クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)血液製剤に関す る対応について(概要)」ということで、医薬安全局血液対策課がつくられた資料があ ります。  参考資料2、「クロイツフェルト・ヤコブ病に(CJD)関するQ&A」ということ で日本赤十字社。  参考資料3、「血液凝固第因子製剤及びアルブミン製剤回収のお知らせ」。回収が かかりました3社からの製品についての資料があります。  参考資料4として、これは8月24日ですけれども、ヤコブ病に献血歴のあった患者さ んがあったという新聞報道。  参考資料5ですが、この10例が今回及び前回の全国調査のどの例に当たるかという一 覧表を付けております。  これ以外に、各先生方の机のところにあると思いますけれども、あと2点資料があり ます。1点は、本クロイツフェルト・ヤコブ病及びその類縁疾患調査票の実際の個人の 報告票を委員長先生の方からこの場でも検討して目を通していただきたいということで それぞれ付けております。  並びに先回、端先生から御報告がありましたけれども、本日あいにく御欠席ですので 日本脳神経外科学会の方で行われていますCJDに関する第3次調査の結果報告の概要 ということで、ファックスで資料をいただきましたのでそれを付けております。ただし この資料2点につきましては、特に日本脳神経外科学会の報告は9月に正式で出るまで はまだ取扱注意ということで両方とも回収を会議終了後させていただきます。  資料としては以上です。 ○佐藤委員長  ありがとうございました。  それでは議事に移りますが、第1の「CJD及び類縁疾患調査研究結果について」事 務局から御説明お願いします。 ○三丸補佐  このCJD類縁疾患調査につきましては、本年の2月の通知をもちまして、96年の1 月以降、診断例ということで報告をいただいておりますけれども、その結果につきまし ては、自治医科大学の中村助教授の方で解析結果としてまとめていただきましたので、 それを御報告していただきたいと思います。 ○中村助教授 自治医科大学の中村でございます。北本先生が班長されております遅発性ウイルス感 染調査研究分科会の班員といたしまして、厚生省が実施しておりますクロイツフェル ト・ヤコブ病及びその類縁疾患調査の解析を担当させていただいております。  資料1に報告ということでまとめさせていただきましたけれども、概要について御説 明申し上げます。  今年の2月から始まりましたこの事業につきまして、6月末までに47例について厚生 省に報告が挙がっております。その報告された実際のデータにつきましては、今、三丸 補佐からお話がありましたように、別紙の資料ということでコピーが先生方のお手元に 入っていると思います。  最初に申し上げておきますけれども、私の作成いたしました報告の中の番号が出てお るところ、また、3ページ目、4ページ目に表計算ソフトの打ち出しがございますけれ ども、ここのどちらも出ております一番左端にありますIDという項目がございます。 これらはすべて調査票の原表の右上に付いております手書きの番号と一致しております ので、必要がある場合にはそちらの方を御参照いただけたらと思っております。  この47例のうちでございますが、昨年度佐藤先生の研究班の方で実施いたしました緊 急全国調査のデータと照らし合わせましたところ11例が既に昨年度の佐藤班で報告が挙 がっている例でございました。全体47例と今回新たに挙がってまいりました36例につき まして、性、年齢、発症年の分布を1ページ目の真ん中から下の方に示しております。 これらの性、年齢分布につきましては、標本サイズが小さいものですから確定的なこと は言えないんですけれども、昨年度の全国調査の疫学像と矛盾しないものであろうとい う評価をしております。  発症年でございますが、新規の36例につきまして、そこの表の右下に付けております けれども、93年が2例、94年も2例、95年が5例、96年が22例、97年発症というのが5 例挙がってきております。  40歳未満の若年発症例が1例。21番の症例ですが、32歳男性であります。家族歴はご ざいませんで、既往歴として4〜5歳のころ外傷で手術を受けておりますが、硬膜移植 の既往はないということでございます。  もう一度、もとに戻りますが、新規の36例の発症年でございますが、そこに挙げられ ておりますように、96年が22例で97年5例ということで、これは一番最後に触れており ますが、把握率の問題もかかってくると思います。しかしながらこの結果よりここ数年 でCJDの罹患率が高くなってきているというようなことは言えない。患者数の増加は 見られないというふうに解釈しております。  2ページ目に移りまして、ここから先でございますが、新規の36例につきまして解析 した結果を挙げさせていただいております。特定の地域に集中しているかどうかという ことですが、この36例のうち北海道と岩手県が4例ずつで、多少集まっているのかなと いうことでございました。今のは出身の都道府県でございます。  主な生活住所都道府県、また現在の居住都道府県も岩手県とする者が5例ずつおりま した。しかしながら、これにつきましては、本事業が岩手県で徹底しているために多く の症例が挙がってきたということの可能性の方が高いと思っております。岩手県で患者 が多いということはこのことからは直接的には言えないと理解しております。  それから、36例中2例が通院ということで、残りの34例は入院でございました。  家族歴がある者が1例、6番の症例ですが、調査票に「父」のところにマルが付いて おるだけでございまして、ほかの記載はございません。  職業歴、食品嗜好についても特定の傾向が見られておりません。  CJDの患者との接触歴、動物との職業的な接触歴を持っておる者もおりません。そ の他の動物との接触歴というのが4例ありましたけれども、特定の傾向が見られており ません。  既往歴でございますが、手術歴がある者が16例ありまして、このうち3例で乾燥硬膜 移植歴が報告されております。それぞれの移植された年ですが、昭和57年(1982年)昭 和62年(1987年)昭和61年(1986年)、この3例です。  そのほか手術歴ではいろいろとございますけれども、特記すべきものは見当たりませ んでした。  それから鍼の治療歴があるものが5例おりましたが、これについても評価は多いのか どうかというのはこのデータだけからは非常に難しいと思います。  その次の経過でございますけれども、1例のみが不明となっておりまして、そのほか 残りはすべて進行性でございました。症状の有無につきましては、2ページ目の真ん中 あたりの表に掲げておりますように、ミオクローヌスが89%、進行性痴呆又は意識障害 が全例。以下、そこに掲げてあるとおりになっております。  脳波につきましては、PSDが観察された者が28例、観察さなかったと記載されてい るものが7例、1名は不明ということでございました。その他の脳波の異常が15例で見 られております。26例では画像診断で脳萎縮の所見がある。9例について「無し」とい う報告でございます。プリオン蛋白遺伝子の検索は14例で行われておりますが、異常あ りは2例だけでした。  剖検は4例で実施されておりまして、調査票をごらんいただければ分かりますが、8 つの疾患と鑑別出来るかどうかということの調査を行っておりますけれども、いずれの 項目につきましても30例以上で「鑑別できる」という回答がなされております。  診断でございますが、確実例が3例、ほぼ確実例と答えた者が27例、疑い例が6例で した。  最後ですが、先ほども触れましたように、前回の佐藤班で行われました緊急全国調査 では、94年、95年の患者発生数が年間 100例を超えております。これと比較いたしまし て、97年の半年6月までの報告例が5例というのはかなり少ない数字になっております。 このことから、本疾患の患者が減少したというふうに考えるよりはむしろ把握率、すな わち本調査の趣旨が医療機関の末端まで周知徹底しているかどうかというところで、実 際に発生しても届け出がなされてないものがかなりの部分あるのではなかろうかという ふうに推測しておるところでございます。  患者の発生状況の時間的な傾向を正確に観察するためには今後把握率を上げることが 必要だろうと私どもの方では考えております。以上でございます。 ○佐藤委員長  中村先生どうもありがとうございました。非常に短い時間の間に膨大なデータをまと めていただいてありがとうございました。  それでは、中村先生の御報告について質疑応答に移りたいと思いますが、御報告の順 序に従って御意見いただきたいと思いますが。 ○三丸補佐  佐藤先生、それぞれ個票の検討が多分入ると思いますので、個票を見ていただきなが ら最後にまとめてやっていただいた方が二度手間にならないと思います。 ○佐藤委員長  個票の1例ごとに事務局の方から問題点を。 ○三丸補佐  中村先生の方からワークシートで出ておる3ページ、4ページに書いてある表と、各 委員の先生から若年発症例とか、この症例については検討を要するというコメントをい ただいておりますので、それについて読み上げながら個票を1番から順番に進めていき たいと思います。  まず1番ですが、これは昨年の重複例ですので飛ばさせていただきます。  2番も重複例ですので、今回は飛ばさせていただきます。  3番の症例は、遺伝子変異の異常があり、codon232Arg/Met 型という報告があります。 ほかは特にありませんけれども、この症例について、ほかに特記することはありません。 次、4番の症例に進めさせていただきますが、これは動物との接触歴ということで犬 を飼っていたことがありますし、手術歴として胃潰瘍の手術の既往があります。それ以 外に特記すべきことはありません。                            何かありましたら途中でとめていただければと思います。  5番の症例ですが、これはトリとウサギを飼っていたという動物との接触歴が指摘さ れております。  6番の症例は、家族歴があるという返事であります。これが先ほど言われた家族歴プ ラという1例てございます。  次に7番の症例ですが、一応番号は合っていると思いますが、58歳で虫垂炎の既往が あります。診断はほぼ確実例となっております。  8番69歳の例ですが、これは特に特記すべき事項はなくてCJDほぼ確実例として報 告されております。  9番の症例58歳例もほぼ確実例として報告されております。特記事項はありません。  10番の症例は、胃亜全摘を受けております。62歳。これはほぼ確実例として報告をさ れております。  11番の症例は猫を飼っていたという動物の接触歴。それと虫垂炎の既往があります。 60歳。診断はほぼ確実例として報告が挙がっております。  12番の症例は重複例ですので飛ばさせていただきます。  13番の症例は特記事項はありません。ただ、職業上、農協中央会理事長ということで ヨーロッパ研修旅行等があったということです。疑い例として挙がっております。  14番の症例は重複例ですので飛ばさせていただきます。  15番の症例は痔の手術の既往があります。また、CJDとしてはatypicalというコメ ントがありますので、これの症例については検討していただきたいと思いますけれども 一応診断としては疑い例としてあります。 ○佐藤委員長 15番の症例のatypical。 ○三丸補佐  52歳です。 ○佐藤委員長 発症年齢が52歳ですか。atypicalというのは初発したのが平成8年の5月で、主治医 の先生のコメントを拝見しますと、脳波上PSDが認められない点、はっきりしたミオ クローヌスが認められない点。経過がゆっくりであるという記載ですが、能動性の無言 が1年以上たっているのに確かに起こってないんですね。ただ、すべての疾患が鑑別出 来るとなっておりますが。 ○三丸補佐  一応疑い例ということでよろしいでしょうか。  16番はいろいろとありますけれども、重複例です。ただしチェックとしてありますの は家族歴がある。虫垂炎の既往。これは献血歴があります。鍼灸の治療歴と遺伝子変異 があります。ただ、これは前回の調査で挙がっております。  17番の重複例でありますので、17、18は飛ばさせていただきます。  19番の症例は虫垂炎と白内障の手術既往がありまして、輸血の既往があります。63歳 SSでほぼ確実例として挙がっております。  20番の症例は、50歳以下として立石先生から指摘がありましたけれども、若年として 見ますと46歳の症例で、献血歴があります。コメントのところで、痙攣が前景に立つな ど、atypicalな点も見られるということがありますが、単純性ヘルペスもマイナスで他 の疾患は否定的であるということで、ほぼ確実例として挙がっております。  21番の症例、これは40歳以下の若年症例で32歳の症例です。外傷歴と2枚目のところ ですけれども、ヘルペス等によるウイルス性脳炎の鑑別が出来ないというコメントがあ ります。これについて検討していただきたいと思います。 ○佐藤委員長  これは生年月日が4月ですから31歳発症じゃないですか。 ○三丸補佐  中村先生のデータでは32歳になっております。 ○佐藤委員長  ことしの3月の6日に、この内容の記載は痙攣重積で発症してヒッスも不適切な言動 とか記憶障害、後頭葉から側頭葉にかけてのかなり広範な障害を示唆する臨床症状ござ いますし、脳波上はPSDがあるとなっているんですが、髄液の蛋白は43、やや正常の 上限になっておりますが、この記載ではヘルペス脳炎等のウイルス性脳炎が鑑別出来な いとなっておりますので、確かにこれだけの病歴ですと、例えばヘルペスウイルスの抗 体の測定がどうであったのかとか、PCRで髄液中のヘルペスの抗原を検索したかどう か。ある程度ヤコブ病の参考になります髄液のNSEがどうであったか、幾つか確かめ ないとだめな内容なんですが、どうお考えでしょうか。  ほかの委員の先生御意見ございませんか。ヘルペス脳炎と決めつけるにも髄液の所見 は細胞数が3分の11、蛋白が43ですから、逆に髄液の所見は軽い。画像についても余り 詳しい記載ございませんで、画像に所見が「無し」になってますから、通常ヘルペス脳 炎のかなり激症ですと大抵は変化があるのが多いんですが、報告された先生が恐らく困 られたのだと思いますが、何か御意見ございませんか。この症例については、その後の 経過と、また幾つかの事務局の方で設問をつくりまして、例えば、髄液のその後の推移 はどうであったかということと、これは3月にしか調べておりませんから、単純ヘルペ ス脳炎の抗体価、血中と髄液の抗体価とPCRによる抗原の検出の有無、髄液中のNS E、これはヘルペス脳炎のときも増えますから、絶対的なヤコブの診断にはなりません が、他疾患を鑑別出来るという点でNSEの有無。  それから、ワッセルマンの記載がございませんで、血中髄液のワッセルマン反応。脳 波と画像もその後の所見について、3月発症でこれだけの神経症状を出していますから ヤコブ病ですと5カ月たちますと大抵は画像上所見が出てきますから、そういう所見が ないかどうか。  ほかにこの主治医の先生に問い合わせることについて、後でもお気づきでしたら教え ていただいて、再調査を。 ○北本委員  私、20番と21番の症例はフォローアップが必要ではないかという気がします。20番の 症例は経過中二度の痙攣重積。21番ははなから繰り返す重積発作というのがありますの で、PSD、ランス・アダムス的なもので出来はせんかというものがありますので、脳 波と画像の経過というのはかなり重要ではないか。 ○佐藤委員長  例えば、血管炎のような炎症所見がなかったかどうかとか。 ○三丸補佐  それでは、その2例につきましては、また調整させていただいてフォローアップの追 加調査をさせていただきます。一応現段階ではCJDとして考えておいてよろしいです か。 ○佐藤委員長  保留にされたらいかがでしょうか。 ○三丸補佐  保留。 ○佐藤委員長  例えば、32何例把握が出来たということではなくて、32例を差し引いて、2例は診断 を再検討する症例がいまいちだという記載でもう一回再確認してから入れられたらいか がでしょうか。 ○中谷課長  後で書きぶりについてはもう一度事務局案をお諮りしたいと思いますけれども、暫定 的にこうでございますね。重複例を除いて36例が報告されましたと。そのうち三十何例 についてはほぼ確実というような判定をいたしましたが、2例については更に詳しい調 査をすることにいたしましたというような書きぶりを基本に後でもう一度お諮りをいた します。 ○佐藤委員長  はい。ほかに御意見ございませんでしょうか。 ○三丸補佐  20番の方も。 ○北本委員  20番も要ると思うんですけれど。 ○佐藤委員長  質問を考えまして照会するということで、場合によっては診察に出かけるということ になると思います。 ○三丸補佐  次に進めさせていただきますがよろしいでしょうか。  22番は重複例ですので飛ばさせていただきます。  23番、57歳の症例で、特にひっかかってくるところはありません。疑い例として報告 があります。  24番、25番は重複例ですので飛ばさせていただきます。  26番は49歳の症例、50歳以下であり、職業が羊毛職という記載があります。あと鍼治 療を受けております。これはほぼ確実例として報告されております。  27番、74歳症例で猫、山羊の接触歴があります。胆石の手術歴があります。ほぼ確実 例として報告されております。  28番、72歳症例で骨折外傷の既往があり、鍼灸の治療歴があります。ほぼ確実例とし て報告されております。  29番、69歳の男性で鍼灸歴の既往がありまして、遺伝子の異常が E200Kというのが指 摘されております。コメントには、今までのところ家族に同様の症状を呈したものはい ないようであるということでほぼ確実例として報告が挙がっております。 30番は鍼の既往と英国への渡航歴があります。58歳の症例で確実例として報告が挙が っております。 31番は重複例ですので飛ばさせていただきます。 32番は特にチェック事項はありませんけれども、65歳の男性でほぼ確実例で報告が挙 がっています。 ○北本委員 30番の症例は、私病理を見まして、これは一般的なスポラディックタイプのCJDで したので普通のCJDと。クラークはありません。ミューテーションもございません。 ○佐藤委員長 ありがとうございました。これは付け加えておかれた方がよろしいですね。英国の旅行 歴がある症例ですからね。今の北本先生の30番の症例。 ○三丸補佐 次に33番、61歳の男性で特にチェック事項はありません。ほぼ確実例として報告が挙 がっています。 34番、45歳の若年例で献血の既往があります。鍼の既往があり、海外渡航歴があると いうことで、佐藤先生から情報集めるようにと言われたんですけれども、イギリスには 行ってないそうです。東南アジアの方には何回か出かけている。これについては佐藤先 生の方から直接診察した方がいいのではないかというコメントをいただいております。 ○佐藤委員長 34番ですね。 ○三丸補佐 34番。 ○佐藤委員長 この方は。 ○三丸補佐 45歳。 ○佐藤委員長 その理由は。 ○三丸補佐 多分海外にしばしば行かれているというところでひっかかられたと思うんですけれど も、イギリスとか欧州には行ってないそうです。 ○佐藤委員長 その必要がなさそうですね。 ○三丸補佐 ほぼ確実例として報告が挙がっております。 次に35番、63歳、乳がんの既往があります。それで疑い例としての報告があります。 36番、虫垂炎と副鼻腔炎の既往がある58歳の症例で疑い例としての報告が挙がってお ります。 37番、70歳の症例でほぼ確実例として報告が挙がっております。コメントは特にあり ません。 38番は65歳の症例で外痔核のオペをしております。ほぼ確実例として報告が挙がって おります。 39番、46歳の症例、若年例で小脳の手術を受けております。それと硬膜を57年8月に 移植手術を受けております。ほぼ確実例として挙がっております。一応この乾燥硬膜に つきましては、担当の脳外科の先生に一番最後に1枚付けておりますけれども、確認し たところロット番号は分からない。ただライオデュラと思われるが、この時期テュトプ ラストが発売されていれば、テュトプラストの可能性もあるというコメントをいただい たんですが、テュトプラストの販売承認が60年からですので、57年では多分ライオデュ ラでよろしいだろうと考えております。                       40番の症例ですが、88歳で白内障の手術をしております。ほぼ確実例として報告が挙 がっております。  また41番、60歳ですけれども、特にコメントはありません。ほぼ確実例として挙がっ ております。  次42番、三叉神経痛の手術を、最初平成5年というふうに書いてあったんですけれど も、主治医から訂正の手紙いただきまして、62年4月に硬膜移植も受けております。ほ ぼ確実例として挙がってきておりまして、いろいろ資料を付けておりますけれども、東 京の病院の方で受けております。担当の部長の方に確認したところ、ライオデュラを使 用したがロット番号は不明と。ただアルカリ処理の前のものか、後のものかも不明とい うことです。87年4月です。  43番、60歳の症例で虫垂炎の既往と献血歴があります。ほぼ確実例として報告が挙が っております。  44番の症例は66歳の症例で髄膜腫の手術を昭和61年に受けております。コメントとし て失調症とするCJDの可能性が高い。GSSと共通点のある症状もあるということを 言われております。ここでも情報をいただきましたけれども、1枚めくってもらったと ころでライオデュラという情報はいただいております。ロット番号はいずれも不明でし た。 ○佐藤委員長  ライオデュラは、これはたしかどちらか特定出来なかったという後で手紙が来ていた と思うんですが。 ○三丸補佐  そうですか。 ○佐藤委員長  2次アンケートが事務局に来た最初のアンケートで、その後。 ○三丸補佐  これは特定出来ませんでしたということで。 ○佐藤委員長  三重大学の方から特定出来ませんでしたとまた訂正の手紙が来ておりました。現在、 国府台病院に入っておりますが、娘さん頼って東京に来られました。 ○三丸補佐  次に45番の症例ですが、79歳で特にコメントはありません。確実例として報告が挙が っております。  46番の症例ですけど、76歳、4年前、ロンドン、パリなどの旅行歴があると。テール スープなど食した可能性があるというコメントがあります。  最後になりますけど、47番、75歳の症例でほぼ確実例として報告が挙がっております。  一応個人票の報告としては以上です。 ○佐藤委員長  ありがとうございました。どうも短時間の間にまとめていただいて御苦労さまでした。 何か御質問ありませんか。 ○立石委員  42番の症例、非常に重要だと思います。1987年の手術で、それで調査票から見ると、 4月の三叉神経痛に対する手術。この時点では、恐らくライオデュラは新しい消毒はま だ導入してないんじゃないでしょうか。 ○三丸補佐  かもしれませんけれども、ちょっとうちではつかんでおりません。 ○立石委員  たしかあのときは、アメリカが輸入禁止したのは5月で、その後ブラウン社はたしか 5月以降製法変えたとかという噂がありましたので。 ○佐藤委員長  あの年の12月ぐらいから切りかえが始まってきていますから、これは旧処理法のもの として。 ○立石委員  旧と考えていいでしょうね、恐らく。 ○佐藤委員長  ほかにございませんか。  それでは中村先生の御報告についての御質問、御意見を承りたいと思いますが、1 ページ目の問題の症例を今お話になって、それから把握率のことは、先ほど中村先生触 れられましたが、中村先生の御報告の2ページ目につきまして、何か御意見ございませ んでしょうか。この把握率の問題はまた後で、別にどういう方法でこれに対応するかと いうことを御審議願いたいと思いますが、ほかの問題について御意見ございませんか。 ○中谷課長  記者さんたちに聞かれたときの言いぶりでございますが、このようでよろしゅうござ いましょうか。47例報告があったけれども、11例が重複例だったので36例について検討 しましたと。そのうち2例についてはCJDと診断することが保留になりましたので、 報告された医療機関に事務局として更なる情報を求めて次回委員会に諮ることといたし ましたと。大体このようなことでよろしゅうございましょうか。 ○佐藤委員長  それとほかに敷衍する、例えば若年発症者、イギリスのV−CJDを思わせるような 症例は、今回の調査では見当たらなかったということと、硬膜移植例とか、それはまた 別に項目で最後に出します。 ○中谷課長  説明いたします。 ○三丸補佐  それでは、資料2について説明させていただきます。  各先生方からいろいろ意見いただきましたけれども、それぞれを調査についてという ことと、調査票について、その他というふうに振り分けてやらせていただきました。こ のうち1の3番の「報告例についての検討」ということは、先ほどそれぞれ個票で検討 していただきましたので飛ばさせていただいて、(4)の「献血歴のある症例に関して の今後の対応」については、この後、血液対策課の方からも説明がありますので、その ときに検討していただきたいと思います。  1番の1、2については後で話させていただきますけれども、まず調査票について、 六点の指摘がありました。  1.転帰欄が必要で入院、在宅、死亡。  2.診断別の中に家族性CJDの項目が必要。  3.病理解剖:予定あり、無しの記載欄は不要。  4.海外旅行、滞在調査欄が必要。  5.髄液のNSE値が必要。  6.画像の項目:初期変化を捉える意味で脳波と同じようにその他の異常・検査時期 を問う項目が必要。  という意見が出ておりますが、これにつきまして、事務局でも検討いたしまして、現 在の調査票自体をすぐに変えるというよりも追加調査として必要があるものについては やりたいと考えております。それにつきまして御討論いただければと思います。 ○佐藤委員長  この調査票の作成については、私が相当責任があるんですが、いざ御回答いただきま すと、ここに幾つか御指摘ありますようなまとめ上の不備が気がつきましたが、中村先 生まとめておられて、何かこういう点が問題だということをお気づきになりませんでし たでしょうか ○中村助教授 職業歴、食事嗜好、特に私の立場からそういう発症前のリスクファクターになるよう な項目につきまして、一部今御検討いただきましたように記載があることはあるんです が、記載がないものについて、はっきりとそういうことがないのか。それとも主治医が たまたま気がついたから書いただけなのか、そこの評価がこの調査票では多少難しいの かなという気がしております。  例えば、食品の嗜好などについて、肉を生で食べるようなことがあったのかどうかと いうことについてきちんと調べておく必要があるとすれば、そういった項目を1つ取り 上げて、きちんとそこについて「あり」「無し」ということで書いていただくというよ うなことでないとちょっと評価が難しいなというふうに考えております。  それから、ここにも御指摘になっておりますが、病理解剖の「予定あり」「無し」に ついては入力しながらどきっとしたんですけれども、ちょっとどうかなと思いました。 ○佐藤委員長  私もうっかりしました。どうして入ったのか。気がつかなかったんです。 ○中村助教授 そういったところを解析しながらちょっと気になりました。 ○佐藤委員長  今度は調査票の請求がありましたら、大改定でなくて、そのときに既に今御指摘のあ った項目は手書きだけでも入れていただいて、それをリクエストあったところには配る ということでお願いしたいと思います。  ほかに委員の先生でお気づきのことございませんでしょうか。  画像の項目について、6の「その他の異常・検査時期」について、検査時期が落ちて おりましたですね。また、その他の異常と内容をもう少し記載出来るようにして、画像 の所見を把握した時期について設問するということを加えたいと思います。  もし後でもお気づきなことがありましたら追加してください。それでは先へ進めてい ただけますか。 ○三丸補佐  それでは、大きな項目の}の1、2ですが、先ほど中村先生からも指摘がありました 把握率の問題もかかわってくると思いますけど、1.本年度の症例届出方法の問題と今 後の対応について。2.登録された患者さんのフォローアップ、死亡等の確認をどうす るかという問題につきまして、我々の中でも検討はさせていただきましたけれども、フ ォローアップ・スタディーにつきまして、ある時期にまた調査研究班の方にお願いして 遠隔期の成績というか、死亡とかの確認をかけていただけるようなフォローアップの調 査をしたいということを考えておりますことと、もう一つ、届出制、いわゆる把握率の 問題につきましては、これは大きな問題だと考えますので、現在クロイツフェルト・ヤ コブにつきましては、治療研究の対象疾患に挙がっております。  下のIIIの1にもありますけれども、医療受給者証は今年初めてなりましたので、1月 から3月までで、全員新規登録になりますけれども、83例の報告があります。この83例 は、いわゆる今生きているCJDの患者さんという数ですので、発症年がどうだという 情報はありませんけれども、来年6月ごろにまたこの1年間の情報が来ますので、出来 ましたら来年の夏のこの委員会のときにそれと突合した結果を見ていただいて、把握率 がどうだったこうだった、今後どういうふうにするべきであるという検討をしていただ ければと事務局では考えております。 ○佐藤委員長  把握の方法について、今、事務局から御説明ありましたが、これについて御意見ござ いませんか。来年6月でしたね。 ○三丸補佐  6月ぐらいに結果が挙がってくると思いますので。 ○柳川委員  来年6月に何例でしたというのが分かる。 ○三丸補佐  その前の年に医療受給者証を何件交付しましたという件数と個人票も取り寄せようと 思います。 ○柳川委員  来なかった分はその時点で取り寄せていただくということですか。例えば、150 例そ の時点であったということが分かりましたと。この調査で70例報告が来ていましたとい うと、残りの80例の情報を何らかの形で。 ○三丸補佐 とりたいと思います。それともう一つ、うちの調査研究事業の問題点といいますか、 他方優先ですので、老人保健になる65歳以上の交付件数はほとんど落ちるという傾向が ありますので、高齢者のCJDの患者さんが落ちちゃう。こっちじゃないとつかまえら れないという問題点もあるかもしれません。ただ、それは突合した結果を見て、そのと きに検討していただければと思います。 ○柳川委員 今医療機関から自発的に、以前に冊子を差し上げてあって、自発的にその都度出して いただくという体制ですね。 ○三丸補佐 現在まで3回ぐらい通知を出して協力は要請をお願いしています。 ○柳川委員  そうですか。 ○佐藤委員長  通達が行っている訳です。 ○柳川委員  時どきプッシュしていただくということはやっぱり続けていただく必要があるかもし れない。 ○三丸補佐  こういう会見の席でもそういう協力をお願いしたいということでやっています。 ○中谷課長  今のところをもうちょっと補足をいたしますと、普通各県から何件、例えばCJDに ついては医療券を交付しましたよという報告が来る訳です。それを報告ばっかりじゃな くて、だれのだれべえに出したよと、こういうことを付けてもらおうじゃないかという のが今の説明でございます。そうしますと、ここでも少なくともイニシャルと生年月日 が分かっておりますので、大体これは突合出来るんじゃないかと。そこで漏れが分かる んじゃないかということをやってみようじゃないかということでございます。  ただ、具体的には最初のときから患者票みたいなものを付けてもらうのか、名前だけ ぐらいは最初教えてもらってやるのか。ちょっと患者さんのプライバシーみたいなこと も配慮しなければなりませんので、その具体化につきましては事務局であずからせてい ただいて検討をさせていただきたいと思っております。  それで、こういうことは余りほかの難病研究班ではやっていないことなので、多分こ れが大変新しいことで、こういう疫学的な調査にもうちょっと医療券の交付を使えない だろうかとかねがね思っておりましたので、もしプライバシー等の問題をうまくクリア しながらやってみたいという気持ちでございます。 ○柳川委員  これは後から資料3の危険因子に関する調査にもうまくその方法が結びつけば大変い い。 ○佐藤委員長  そうでねす。 ○北本委員  これは私は本当に大事なことだと思うんですね。患者さんを把握するというのは、ま た後で御報告あるでしょうけれど、血液製剤の問題、血液製剤の場合ロットナンバーの 問題、採血の問題とかいろいろありますね。だから本当に疑い例以上の人たちの把握と いうのは物すごく大事だという気がしますので、何とかこの会がイニシアチブをとって 出来るだけ細かい把握が出来たらと思うんです。 ○佐藤委員長  来年の6月とまで言わなくて、もう少し早く数カ月後にこの把握率についての予測が 出来ませんか。 ○三丸補佐  1年きっちりまとった資料をもらった方がいいんじゃないかとは考えておりますけれ ども。それと一応類縁疾患調査は半年ごとに検討していただいてやることになっており ますので。 ○佐藤委員長  今毎月挙がってきていますから、余りにも悪いようであれば、また何らかの方法を検 討するということになると思います。 ○三丸補佐  それでは、1番、2番終わりまして、3番の1も先ほどの件で終わらせていただきま す。  2番ですけれども、これは先ほどの個人票の一番最後に2枚もので資料が付いており ます。「日本脳神経外科学会CJDに関する第3次調査の結果報告」。これは先ほども お話しました端専門委員の方から情報提供いただきまして、まだ未公表の資料ですので 本日は回収させていただきますけれども、現在7月31日までの結果として、約半数の施 設より回答を得ております。調査票の回収率が 51. 7%。その中で記載が不十分等の施 設を除いた365 例が集計されております。  あと脳神経外科の手術件数と硬膜の移植の件数について集計されていまして、これは 83年、84年、85年、86年、87年の5年間ですけれども、手術件数がそれぞれ4万件前後 になります。「硬膜移植あり」というのは、移植したという記載があった、確認出来た ということで、「硬膜移植不明」というのは、この手術では使っているだろうけれども 記載がなかったという集計になっております。それぞれが5年間で2万 5,000件と 8,000件ですから合わせて3万 3,000〜3万 4,000件の硬膜使用例があった。だから年間 5,000件見当よりちょっと多いぐらいです。という集計結果であります。 次にめくっていただきまして「硬膜移植例の追跡調査について」。これは 336例を対 象としておりますけれども、先ほど集計されています硬膜移植例のうち大体半数が追跡 終了をしております。そのうちCJDとしてつかまっているのが24件あるそうです。 ○中谷課長 これは9月の段階で発表するんですか。 ○三丸補佐  9月ぐらいに発表する予定だということですけれども、まだ確実にいつとは聞いてお りません。  一応これにつきましては、情報提供だけなので、うちの方からはコメントは差し控え させていただきます。  次ですが、先ほどの順番から飛んでしまいましたけれども、Iの3の(3)「輸血を受 けた症例(手術例等も含む)」ということで、「輸血がCJD発病の危険因子になった か否かの検討」ということをすべきではないかという意見をいただきましたので、現在 北本先生が班長しておられます遅発性ウイルス感染調査分科会の方の中村助教授にこれ についてのケース・コントロール・スタディーをやっておられますので、その要領を紹 介していただくとともに、現在までの現状を御報告していただきたいと思います。 ○中村助教授 資料3でございます。昨年度の佐藤班のときから、私自身が非常に悩んでおりました のは、例えば硬膜移植について、それが危険因子であるということは結果を見れば明ら かでございますけれども、それが数量的にどの程度危険なのか。いわゆる相対危険度を 出すというときに、必ず日本人一般でどの程度硬膜移植を受けているのかといったよう なことが問題になります。  疫学研究の世界では、ケース・コントロール・スタディーということで、適切なコン トロールを選びまして、それが一般人の代表であるということで危険因子の比較をケー スとコントロールの間でいたしまして、相対危険を明らかにするのが一般的でございま す。  このたび、御報告いたしましたような形で厚生省からヤコブ病の調査ということで情 報をいただきまして、これをケースといたしまして、コントロールを適切に選んで、そ れらの危険因子と思われる状況について一般的な状況を明らかにすることによって種々 の因子の危険度を数量的に評価出来るのではなかろうかということで、北本班長とも相 談させていただきまして、このような調査を現在進めておるところでございます。  具体的に申し上げますと、調査対象者ですが、厚生省に報告しましたのは47例ですが これらの中から、実際に調査票を拝見いたしまして、余り古いものでも仕方がないなと 思いまして、柳川先生とも相談いたしまして、昨年、今年の2年間に発病したものにつ きまして、医療機関にお願いをいたしましてコントロールを選んでいただくということ で現在行っております。  コントロールを選ぶ条件といたしまして、資料3の下4分の1ほどのところに書いて ありますけれども、まず性別を一致させる。年齢を一致させるということで、完全一致 ではございませんで、出生年プラスマイナス2年以内ということ。それから、症例ケー スと同じ年に初診であったもの。4番目といたしまして、クロイツフェルト・ヤコブ病 及びその類縁疾患でない疾患のものであれば構わないということで、これらの条件を満 たすものが複数いるときには対象ケースと初診日が最も近いものをコントロールとして いただくということで医療機関にお願いしているところでございます。  調査票につきましては、現在配りましたブルーのものですが、この枠で囲んだ部分が コントロールとして入手する情報ですが、これはごらんになっていただければ分かりま すように、厚生省の調査の病前の情報と全く同じになっております。すなわち発症年月 日、初診年月日、こういったところは現在のこの方のコントロールの病気の状態、プリ オン病の家族歴。厚生省の調査の方はただ単に「家族歴」というふうになっております けれども、こちらの場合は「プリオン病の家族歴」ということにしてあります。  それから「職業歴」「食品嗜好」「接触歴」「既往歴」という形でコントロールに対 して情報を集めておりまして、これをケースと比較いたしまして、最終的にはケース・ コントロール・スタディーという形で相対危険を明らかにしたいと考えております。  先ほど申し上げましたように、96年、97年の2年間に初診された患者さんにつきまし て、34名ございまして、34件すべて電話でまず主治医の先生にお願いを申し上げました。 すべての先生が快くお引受けいただける、あるいは検討したいということで、34名につ きましてコントロールをお願いしますということで調査票をすべてお送りしております。 現在に至るまで21例につきましてコントロールの調査票が回収されております。まだ解 析の段階ではございませんので、細かなことは申し上げませんけれども、ちらちら眺め まして、特に興味のあります乾燥硬膜の使用につきましては、これはコントロールでは 1例も今のところ挙がってきておりません。  コントロールの診断名ですが、これは種々雑多でございまして、特にケースが入院さ れている診療科がかなり大きなファクターになっておりまして、脳卒中であるとか、外 傷であるとかいろいろな疾患が挙がってきております。あるいは分裂病というのも精神 科の方から挙がってきておりますけれども、いろいろな病気が挙がってまいりました中 で、乾燥硬膜についてはコントロールはいないと。  それからいろいろと問題になっております硬膜以外の手術がリスクになるのか。ある いは輸血がリスクになるのかといったことにつきましては、今後数を重ねていって明ら かにしたいというふうに考えております。 ○佐藤委員長  今、中村先生からコントロール・スタディーの御説明がありましたが、何か御質問、 御意見ございませんか。 ○北本委員  ケース・コントロール・スタディーである因果関係を見ていくときに、もちろん頻度 にもよると思うんですけれど、大体何例ぐらい見ていけば。 ○中村助教授  よく受ける質問ですけれども、相対危険度の大きさによってそれは変わってまいりま す。例えば、相対危険度が1.幾つとか2とか、そういったものになりますと、ケースと コントロールの数を相当大きくしないと有意な結果にならない。逆に相対危険度が非常 に大きな場合には数は少なくても有意に出てくるということで、いちがいには答えを申 し上げることが出来ません。  ただ、昨年度の佐藤班の報告書に書かせていただいたんですけれども、別の方法で硬 膜移植がどれだけリスクを高くするのかということで試算したんですが、これが妥当か どうかというのはちょっと難しいんですけれども、低く見積もっても相対危険は30倍と いうふうに出ておりますので、50例も集めれば、少なくとも有意に高いということが出 るのかなと実は思っておるんですが、可能性といたしまして、コントロール群で硬膜移 植例が全く出てこないという可能性もかなり高いと思います。その場合は相対危険が無 限大ということになりますので、統計学的な評価が非常に難しくなってまいります。  その辺のところをどうしようかなということを考えておるんですけれども、例えば、 仮に1つあったとしたときに、相対危険がこれだけになって、例えば95%信頼区間が計 算出来ると。それよりももっと上にあるんだからより有意であるというような形にまと めざるを得ないのかなというふうに今のところ考えておるところでございます。 ○祖父江委員 今、診療科のことをちょっと触れられたんですが、例えば外科系と内科系をコント ロールにとる、頻度によって。例えば、輸血歴なんかは全然違ってきますよね。コント ロールの診療科。実際にどういうふうに1例に対して1例をというのは、主治医に言う という形ですか。 ○中村助教授 CJDの主治医にコントロールをお願いしますということで、診療科もそういう意味 でマッチされたということになっております。 ○佐藤委員長  今の北本先生の御質問に関連してなんですが、コントロールを、例えば3倍報告して もらうとかして、統計的な検討する際の母集団の優位性を高めるような方法はないんで すか。 ○中村助教授 ございます。ケース1に対してコントロール1よりはコントロール2、3というふう に上げていった方が高くなりますけれども、ただ現段階で主治医の先生にお願いしてコ ントロールもお願いしますということでやるのがどうかなと思いますと、すいませんけ ど、1例だけお願いしますということで、まず電話でお願いして調査票を郵送している ような状況でございまして、これはむしろ先生方にどのようなものか御検討いただけれ ばと思いますけれども、私の方といたしましては多少遠慮いたしまして、ケース1に対 してコントロール1ということで御報告いただいている次第でございます。 ○佐藤委員長  コントロールについては、学問的にはこのぐらいの数が必要であるというのがもし分 かったら、例えば、この内容ですと、私どものところで依頼されたとしても10枚書くの はそんなに難しくないです。その日来た新患から選んで配れば、そこで書けますから、 そう大変な手間じゃないんで、せっかくやられるんでしたらもう少し数を増やした方が よろしいですね。 ○柳川委員  今のとちょっと関連あるんですけれども、それとそれ以外の情報、脳外科の資料が非 常にそういう意味では役に立つのではないかと思うのは、1ページ目のところで、21万 件の手術の件数があって、そして「移植あり」と。「移植不明」も多分あるだろうとい うことでしょうね。 ○三丸補佐  そうです。術式的には使っているだろうと考えられるけど、記載がなかったという形。 ○柳川委員  そうすると16%になりますよね、11.6と 4.1。そうすると脳外科手術の16%はこの回 答のあった施設では硬膜移植を受けている。回答率が50%ですから、じゃ年間手術がこ れの倍よりもっと多いのか知りませんが、そういうような推定も出来そうだし、硬膜移 植がどのぐらいあるかという推定も出来そう。 次のページを見せていただきますと、これも非常に重要な情報でありまして、硬膜移 植があって追跡終了というのは、50%終了していて24例あるということは、1000対1既 にここである訳で、これが未療例がもしやって同じように出れば1000対2とか、そのぐ らいの頻度で出ているであろうという、こういうような情報をいろいろ集めてきてみれ ば、今のケースのかわりに、ケースに対応するコントロール2でとらなくても、例えば ケースでは30分の5あったと。コントロールは30分の0あったという、その辺の情報で も、60分の0にすれば、なおいいかもしれないけれども、30でも十分な、それが30じゃ なくて、ケースが50になればなおいいんですが、それでも非常に重要な情報を提供する ことは間違いないので、こういう情報をうまく活用すればというふうに思います。 ○佐藤委員長  硬膜移植については、この脳外科の調査された情報は非常に重要なんですが、例えば 腹部手術、前に外科手術がたしか近藤先生の疫学調査でリスクファクターになっている というのがありましたから、硬膜手術は非常に高いけど、外科手術は一般と同じかどう かとか、また、地域性があるかどうかというときには、例えば去年の調査では幾つかの 県が非常に有病率が高かったですが、それが果たして事実かどうかということについて は、やはりケース・コントロール・スタディーに非常に期待するところがあるので、対 象数を増やすということについては何か付箋を付けていただいて、そういう趣旨なんで 御協力をお願いしますというと、私の感じからすると、ほかの疾患について10例記載す るのは、その場で記載するんであるとそう手間じゃないんですね。  ですから何を目的にするかですけど、脳外科手術だけでなくて、やっぱり腹部手術の 問題、輸血歴なども気になりますので、そういう情報を集めようとすると、私はコント ロールは数が多い方がいいんじゃないかと思います。 ○柳川委員  脳外科の「硬膜移植あり」についてはCJDの追跡を、CJDであったのかどうか調 べたんですが、「硬膜移植無し」の、例えば21万のうちの2万 5,000を引いた19万ぐら いの人からCJDが出ているかどうかということが分かれば、それで非常に重要なリラ ティブリスクが出るような気がいたしますね。 ○佐藤委員長 それと生活歴が影響するかどうか。たしかうろ覚えなんで正確じゃないんですが、近 藤先生は男性が発症したときにはその奥さんをコントロールにされて、奥さんが発症し た時期にはだんなさんをコントロールにされて、全く性は逆になりますけれども、それ が生活歴調べる上においては非常に有用だったという話を聞いたことあるんですけど、 そういうことは意味があるかないかということなんですが。 ○中村助教授 通常のケース・コントロール・スタディーにおきましては、コントロールのとり方が 3種類ございまして、1つはホスピタル・コントロールで、要するに患者さんが出たと きに同じ病院に来ているほかの疾患の患者さんということで、この場合もホスピタル・ コントロールということになると思います。  2つ目はネーバーフッド・コントロールと称しまして、ケースの近隣者ということで 例えば、兄弟も、ネーバーフッドの本来の意味から兄弟というのは外れるかもしれませ んけれども、あるいは隣に住んでいる方とか、そういったことからコントロールを得る ことがございます。  3つ目は、ポピュレーション・ベースドで、住んでいる方の、例えば市町村の全リス トからランダムに選んでくるというやり方があるんですけれども、今の家族の連れ合い の方という話になりますと、これはネーバーフッド・コントロールの1つの形式なんで すが、生活歴についてかなり夫婦で一致してしまう可能性があるんですね。例えば、C JDで問題になるのは、イギリスに旅行したことがあるかとか住んだことがあるかとか あるいは、そこで肉をよく食べたかどうかなんていう話になる訳でございますけれども 恐らく夫婦で一緒に行くであろうと。そうすると解析いたしましても違いが出てこない ということになると思うんです。したがって、私としては、この場合には連れ合いの方 をコントロールとしてとるということには賛成出来ません。 ○佐藤委員長  ちょっと余談になりましたが、先に進みたいと思いますが、よろしくお願いします。 ○北本委員  ちょっとだけ先生よろしいですか。いわゆる調査票が医療機関から疾病対策課の方へ 送られてきて、その都度中村先生のところへ行っているんですか。 ○中村助教授  行っています。 ○北本委員  そしたら、その都度であれば、臨床としてはそんなに負担じゃないですね。 ○佐藤委員長  負担じゃないです。 ○北本委員  出来るだけフレッシュのうちに、つまり臨床医もフレッシュなうちに書いていただく ことが大切だと思います。後から調べ直すとなったら大変でしょうから。 ○三丸補佐  ほぼリアルタイムに2〜3例まとまるぐらいの数はあるかもしれないですけど、最初 だけはちょっと大量にいきました。 ○外口課長  血液対策課長の外口でございます。  血液製剤とクロイツフェルト・ヤコブ病の関連についてでございますけれども、資料 の4をお開き願います。資料4の最初の3枚が昨日公表した資料でございます。それか ら、参考資料1が私どもが作成した解説用の資料でございます。参考資料2の日赤のつ くりましたQ&A。参考資料の3以下が各社が報道機関用に作成した各製品別の概要が 入っております。参考資料4は日曜日の読売の新聞記事です。参考資料5がこれから解 説する調査の中身の数字の解説に使う図でございます。  まず資料4の2枚目を見ていただきます。今回3社9ロットを回収いたしました。こ このロットにサイズ書いてありませんけれども、アルブミンだと大体1万 5,000本ぐら いで、ほかの製剤ですと数千本になります。1万 5,000本というと大体献血者の数にす ると4万人分ぐらいになります。  3ページ目が今回の調査でCJDの患者さんが発症前に献血していた血液製剤で製造 された製剤ですけれども、有効期限を過ぎているものの情報が書いてあります。この中 には1)2)3)とありますけれども、3)については輸血用血液製剤がこれだけ分か ったということであります。  それで数字がいろいろ複雑になりますので、参考資料5、一番最後の紙1枚お開き願 います。どういった調べ方をしたかと申しますと、ここに図がありますが、まず緊急全 国調査、皆さん御存じのように 829症例を出した調査がございました。あの調査のとき には、献血歴については、「献血歴」と書いてあって、そこにマルをつけるかどうかと いう調査票でした。その献血歴にマルをつけたのが実は2例ございました。ただ、主治 医の方に確認いたしましたところいずれも10年前の症例であると。これは残念ながら記 録がフォロー出来ません。それが薄い灰色で塗っている左上の2という数字でございま す。  ちなみにこの2例は、私どもの知る得る範囲では、1例は乳がんのみの手術で、もう 一つは「手術歴不明」という記載でした。  しかしながら献血歴のマルだけでは当然よく分からないケースが落ちている可能性あ りますので、日赤にコンピュータの献血の記録がきっちり整備されたのが平成7年の3 月です。それで平成7年の3月以降に献血可能な年齢であった人、死亡してない人、64 歳未満の人、そういうことになりますけれども、その人たちについて、この 829例で、 そういった可能性のある人すべて、ここで 197と書いてありますけれども、その 197人 の患者さんのお名前と生年月日を全部主治医の方に聞きまして、日赤のコンピュータに ぶつけてみました。そしたら、ここに書いてあるように2例出てまいりました。  この2例のうち、1例は緊急全国調査分でございますけれども、53歳の女性の方、献 血を2回していまして、数ロットをほかの患者さんに輸血している。血漿分画製剤の原 料となることはありませんでした。  もう一例は、その後の調査との重複例でもありますけれども、その後の調査では「献 血歴あり」と変わっちゃったんですけれども、いずれにしてもここで見つかったんです けれども、この調査票で言うと16番の方。家族性の患者さんですね。GSS。この方が いわゆる輸血用血液の原料ともなる血液を献血しておりましたし、血漿分画製剤の原料 となる血液も献血していただいておりました。以上で、これで2足す2で4になります。  それから、96年1月から97年6月のその後の調査ですけれども、その後の調査で、今 最後に説明した重複分を除いて新たに3名「献血歴あり」で出てきております。これが この調査票で言うと20番と34番と43番です。20番については、先ほど保留という御意見 でしたけれども、これについては日赤のコンピュータ記録にデータがありませんでした。 ということはかなり前の献血になるのではないかと思います。  34番の方については、6回献血をしておりまして、輸血用血液あるいは血漿分画製剤 の原料となる血液を献血していただいております。                    43番の方についてはこれはまだ調査中であります。  今回は6月30日締めのが47番まで来ておりますけれども、私どもの調査の趣旨からし て、まだ先生方に完全に確認していただく前から動く必要がありますので、実はいわゆ る直近のものをあと3件見つけて既に主治医の方への連絡を始めております。それが後 で出てくるかと思いますけど、51と55と58なんですね。これはここに出ていない資料で す。  そのうちの1例は10年以上前だということが確認されておりまして、ほかの2例につ いては、今氏名の確認をしております。御存じのように、調査票はイニシャルで出てき ておりまして、私どもの方としては日赤のコンピュータ検索にかけるときに、漢字の名 前と生年月日で聞いて、それが出てきたところで住所の確認をして、最後にもう一度本 人の同定をすると、そういうステップでやっています。  ということで、今まで「献血歴あり」というので、我々としては今10例把握して、献 血歴が確認出来たものが3例です。もう一度言いますが、16番の症例と34番の症例と、 緊急全国調査時点の1例であります。  それらからつくりました製剤で回収可能というか、有効期限内のものが先ほどの資料 4の2ページ目にある3社9ロットとなります。それを昨日から回収を始めております。  各国の状況ですけれども、アメリカ、カナダ、フランスもちろん回収するようにして おりますが、ドイツなどは安定供給の関係から考えて、まだ回収という判断をしており ません。これは各国で意見分かれておりますけれども、日本の方ではこういった場合に は回収することとしております。  それから、今までにアメリカでつくった製品でアルブミン等で回収したのが今まで7 回ございます。献血でつくった製剤での回収は今回が初めてございます。  参考資料の1番。これは私どもの方で作成しまして、都道府県とか関係のところに使 っている説明資料なんですが、1番から5番までは御案内のとおりの内容ですが、6番 「血液製剤を投与された患者への説明について」。ここのところと今後のフォローをど うするか。ここが一番のポイントになろうかと思います。  患者への説明について、結論から申し上げますと、現時点では主治医の判断にゆだね ると。こういったことを考えております。実際には使った血液製剤によってケース・バ イ・ケースだと思います。例えば、凝固因子製剤を使っておられる方があれば、実際に 御自宅に在庫がございますので、これはよく説明をして、まず製造番号を確認してもら うことが必要であります。これはそのように指導しております。  それから、輸血用血液製剤の場合は、これは製造番号からレシピエントの方が特定出 来ますので、これは御本人にとってはメリットが現時点ではありませんので、大変難し い問題ですけど、仮に本人の同意が得られるならば、長期的なフォローによる、社会的 貢献という言い方がいいかどうか分かりませんけれども、そういった疫学調査の対象と して御協力いただくことは可能と思います。  そのほかの分画製剤、アルブミンとかグロブリン、これは御存じのように、今診療録 に製造番号を書く習慣がございません。それで特定が不可能に近い。それでこれは御本 人の特定も出来ませんので、説明するとしても一般ですし、疫学調査をするにしてもち ょっとこれは無理ではないかと思います。                      ただ、9月以降は血液製剤については保管管理簿をつくってもらうような通知を今出 しておりますので、それが出来てきた後ではちょっと状況が変わるかと思いますけれど も、実際に保管管理簿に当たるような製剤が出てくるのはまだ大分先ですので、現時点 ではここのところは利用は難しいだろうということになりまして、特定出来るのは輸血 用血液製剤を使用された方のみです。それから、御本人にとってすぐ説明する必要があ るのは在宅療法で使う可能性がありますので、凝固因子製剤を使う方と考えています。  それから、今後のフォローの仕方ですが、輸血用血液製剤の方は本人を特定出来ます ので、この方をどう協力いただくか、これが1つのポイントであろうかと思います。そ れから、凝固因子製剤の方もどこまで絞れるかということは検討に値するのではないか と思います。それから、先ほどアルブミン製剤が1万 5,000本が1ロットと申し上げま したけれども、そのほかの分画製剤につきましては、これはもう少し検討が必要ではな いかと思います。 私どもの方で、今こういったフォローアップを米国でどういうようなやり方をしてい るのかというのを昨日CDCに問い合わせておりますので、また、そういう情報が入り ましたら、そういったものも含めまして、もし仮にプロトコルかなんかあれば、同じよ うなやり方でやるともう少し効率的なやり方も出来るのではないかと思っています。 あと、このフォローアップをするのであれば、突然申し上げて恐縮ですけれども、例 えば、北本先生の研究班の中で、何かそういう解析出来る枠をつくっていただければ、 日赤の方、また関係するほかの機関、そういった方のコーディネート等は我々もいろい ろお手伝い出来るのではないかと思います。 ○佐藤委員長 外口課長さんからの、今回献血者から由来する血液製剤についての御説明でしたが、 御質問ございませんか。 ○立石委員 輸血を受けた人の特定が出来るとおっしゃいましたが、大体今の把握された時点で何 人ぐらいが特定出来そうですか。 ○外口課長 現在分かっている時点で使った製剤が15ロットですので、これは今後また増えていく こととは思いますけれども、1人で数本使っている例もありますけれども、11医療機関 になりますので、恐らく11人の方に行っているんじゃないかと思います。 ○立石委員  直接輸血というような形で輸血を受けた人も特定出来る訳ですね。 ○外口課長  出来ます。 ○立石委員  その人は大体何人ぐらい。 ○外口課長  これはもうしばらく調査に時間かかりますけれども、例えば、製剤で言った場合に赤 血球製剤とか新鮮凍結血小板とか、それが違うロットがばらばらに分かれて行っている 訳でございますので、11の医療機関ですから、大体11人に分かれているのではないかと 私は思っています。ただ、輸血用血液製剤ですから、ほかの集団と比べると10年内の死 亡率は結構高いんですね。だから、そういったものは長期的なフォローのときには考え ておく必要があります。少なくとも10人弱の方はフォローは出来ると思っています。  一番古い例で平成3年ですから、記録が無しというのは恐らくないんじゃないかと思 います。 ○立石委員  数はそれぐらいでも、これは学問的には意味があることですから、出来たら厚生省と 北本班の話し合いで何かいいフォローアップを出来ればね。 ○中谷課長  今の患者さんの中でエイズの方おられますか。血液製剤を使われた方で。 ○外口課長  凝固因子製剤を使われている方だったら、ある一定の比率で患者さんはおられる訳で すから。血友病の患者さんの中でCJDのリスクが高いという報告はたしかなかったと 思いますけれども。 ○立石委員  血友病の患者さんには確かにないですね。だから凝固因子に関してはまず大丈夫かも しれませんが、それ以外の輸血に関しては、今までヘイエの論文があるだけですから、 それに匹敵するような仕事がもし日本で出来れば非常に意味があることだろうと思いま す。 ○小池委員  回収の中に、ペプシン処理の人免疫グロブリンと静注用のグロブリン、MCLSやな んかにたくさん使う訳ですけど、そのほかにエタノール分画やなんかで麻疹の重症化を 防ぐとかいうガンマーグロブリンという製剤なんかはどうなっていますか。それもク ローズドされているんですか。 ○外口課長  回収対象の中には筋注グロブリンは入っておりませんので、それは入っておりません。 ○柳川委員  参考資料3の5ページの3−2というのは、グロベニン−Iというのは、これは川崎 病の患者に使っている。 ○外口課長  静注用の。 ○小池委員  スタビライザーに使われている可能性はありますか。 ○外口課長  確かにアルブミンですと、スタビライザーというか、添加剤というか、そういったの で確かに使われております、いろいろな製品について。ただ、添加剤の回収とか、それ をどうするかというのは量が微量なこととか、安定供給に与える影響とかが恐らくある んだと思いますけれども、これはFDAの方でも明示してないです。いわゆる即回収す るかどうか。  また、私どもの方といたしましても、自主回収は妨げるものではありませんけれども 行政の方として回収を今まだ求めるというところまではまだ判断し切れておりません。 現時点の知見からは。それは今後のCJDと血液製剤の関係がもう少し明確になってく る中で段階を変えていく話じゃないかと考えています。 ○祖父江委員  血液による動物実験、トランスミッションがうまくいったどうか、そういう何か今ま でのデータというのはありますか。 ○外口課長  有名な立石先生の実験がございます、マウスのトラスミッション。ただ、ヒトの血液 ですと、私の探した文献ではチンパンジーに打ったりとか、そういったものでの発症は ないですね。あと、少し関連した文献では、佐藤先生のお書きになった総説のところに 2つほど例が、フランスのクレンジのペーパーとオーストラリアのクラインのペーパー がございましたけど、1つは肝移植とアルブミンでこういったCJDの患者などの血液 が混じったようなアルブミンと、あとは大量の輸血と、それからあの症例は57歳でした か、ある程度の年齢層だと。そういったいろんなファクターが絡んだので発症した例で ただ、これは疫学的な分析はなかなか難しいんで、ただ1例報告としていろんな可能性 が書いてあった文献が1個ありました。  それからあと、クラインのペーパー『ランセット』の93年だったかと思いますけれど も、それはCJD・リレーテッド・トランスフュージョンという表現だったか、何かそ んな表現で書いたあったんですが、コントロールがとってないんですね。だから単に輸 血歴のある患者さんが数例あったというだけで、そこはちょっとまだ評価出来ないので はないかと思います。その程度だったと思います。  あとは動物実験の成績で、いわゆる静注ではうつらないけれども、齧歯類の脳に直接 打ったときには感染実験が成立すると。その程度だったと思う。  ちなみにWHOが今年の3月に出している見解では、これは私どもの作成した資料4 の1のところに書いてありますが、「WHOの専門家会合による勧告において、『血液 製剤によってヒトの間でCJDが伝達される可能性については、証明されていないし、 その疑いのある事例もないが、引き続き調査が必要である。」こういったコメントにな っております。この辺は立石先生が出席されておられますので、あと説明していただけ ればと思います。 ○佐藤委員長  立石先生、今の問題について、血液からトランスミッションする確率と申しますか、 可能性について少し解説をお願いします。 ○立石委員  今課長さんのおっしゃられたとおりでありまして、ヒトの輸血をあるいは血液製剤か らの感染レート、普通にヒトからヒトに感染したというエビデンスは今までない訳です。 動物実験のレベルでも患者さんの血液、白血球そのほかをマウスの脳内に直接接種する ことによって少数が発症するというケースがございますが、脳内接種以外の普通の輸血 とか普通の医療に使うような形で接種しても動物は発症しないということでございます。  ですからWHOの今年度の発表の結論、輸血によってうつるエビデンスはないが可能 性はゼロではないというような持って回ったような言い方をしている訳であります。 ○佐藤委員長  外口課長が紹介されたクレンジのペーパーですね。この方は肝移植を受けて、同時に 輸血も受けている訳なんですけど、肝臓の方のドナーはヤコブでなかったし、高度の 129の遺伝子の配列も違っていたんで、肝臓からはうつってないということをまず言って 同時に使ったアルブミン製剤のロットを調べていったら1例献血した後にヤコブになっ た患者さんが含まれていたということで、恐らくそれから感染した可能性は非常に強い ということと、また病理像がクール斑が出ているんですが、通常のスポラディックとい うよりは少し問題のあるケースとして紹介されているんですけど、ちょうどマニュアル つくるときにこのペーパーを落としていまして、その後に十字先生からの総説を頼まれ たときに全部文献を検索しましたらこのペーパーが見つかって、そこには紹介してある んですが、1例はやはり問題の症例はあることはあるんです。ただ、1例報告なので、 課長さんおっしゃたように非常に判断は難しいです。  それから質問は別なんですが、献血していただくときの除外基準が妥当かどうかとい うことの判断の材料にもなると思うんですが、献血をされてから発症するまでの期間は どのぐらいありましたでしょうか。一番短い人で。 ○外口課長  ちょっと待ってください。 ○佐藤委員長  ドナー。 ○外口課長  ドナーは、一番短い方というか、平成8年5月に献血された方が一番直近ですから、 この方は短いですね。 ○佐藤委員長  症例の何番に。 ○外口課長  34番の方ですね。 ○佐藤委員長  34番の方、発症はいつでしょうか。平成9年の3月ですね。やっぱり1年近くたって から発症しているので、なかなか事前に除外するのは難しいというか、ほとんど不可能 に近いんですね。この症例拝見しても。  ほかにこの問題について御質問ございませんでしょうか。 ○北本委員  先ほどちょっとプライバシーの問題があるというふうに言われたんですけれども、今 年の1月からの医療受給者証、あれの名前の把握というのは物すごい大事じゃないかな という気がしているんですよね。名前と場所が把握出来れば、一応コンピュータにアク セス出来ますよね。 ○外口課長  名前と生年月日で出来ます。 ○北本委員  ことは統計といいますか、いわゆるアンケート調査で済む問題じゃないような気がす るんですよね。 ○外口課長  実際に主治医の方とやりとりするときに、患者さんの御家族の同意が得られないとか いったケースが実際あるんですね。そういうことを勝手にやっちゃいけないのかなと。 ○佐藤委員長  主治医もそうですが、家族の方もうつる病気だと言われて見舞いにも来ないし、なる たけ伏せておいてほしいという方がやっぱり調査に行きましたときありましたから、お っしゃるような問題あると思います。 ○外口課長  確かに流通中の製品もあることを考えると、出来るだけ早くやる必要あるんですけれ ども、他方、今の知見だけからかなり強制的なやり方をしていいものかというのは悩み ます。 ○中村助教授  今の北本先生の話は、いわゆる公費負担の患者のリストを上げてきて、それでチェッ クをかけたらということで、家族の同意とかなんとかという問題には直接的にはかかわ ってこない問題ですね。 ○外口課長  公費負担。目的外使用という点ではかなり共通性はあるんじゃないかと思いますけれ ども。 ○三丸補佐  現状では一応家族のプライバシーにかかわる情報は都道府県の方では出してないとい うことになっているんです。 ○中谷課長  そこのところが今の研究のやり方の1つの隘路になっているものですから、やや腰が ひけたような来年といいますのは、実は来年の医療受給者証を出すときに、こういう研 究目的のために、場合によっては研究班の範囲でお名前なんかが出ることがありますよ。 それでもこういう研究プログラムに研究協力者としてあなたも参加しますかと、こうい うような聞き方をきちんとして、一般的なインフォームド・コンセントをとらないとだ めなのかなという論議をしております。その整理はちょっと時間がかかるのかなという ので来年ということになっております。 ○北本委員  その検討していただければ十分だと思います。 ○中谷課長  仮に今血液対策課の方とも相談をいたしますけれども、仮に物すごいハイリスクで、 ともかく血液から非常にハイリスクでうつるということであれば、超法規的に、例えば 名前を全部出してもらって、輸血をしたかどうか、これは調べなければいけないと思う んですが、そこまでは事態が切迫してないのではないかというのがとりあえずの私たち の判断を今のところしております。よろしいでしょうか。 ○北本委員  はい。 ○佐藤委員長  よろしいですか。次の問題なんですが、血液対策課の方でつくられた参考資料1の2 ページになりますが、患者さんへの説明ということで、実はこの委員会に出る直前にあ る大学の先生から電話いただきまして、該当するロットを使用しておったという連絡を 受けて、1本は未使用だったので回収をしたけど、もう一人の患者さんについては全く 全部使っておったので、患者さんについての説明をどうしたらよろしいですかという質 問を受けたんですが、きょうの委員会終わって、恐らく厚生省の方からも何らかの資料 が示されますから、それを待ってからにしてほしいという御返事しているんですが、こ の6の説明の内容について、「主治医の判断に委ねる」となっていますが、実際にこの 説明する立場になりますと、患者さんにどのぐらいのニュアンスで伝えるかということ になりますが、この文章で十分意が通じているかどうかについて少し御意見いただきた いと思いますが、いかがでございましょうか。  まず、ほとんど血液製剤について伝達される可能性については、1例が何とも言えな い症例以外は証明がほとんどないということと、発症前診断は不可能であるということ と、治療法もないということと、次の場合は輸血を受けた患者さんからの質問に対する 答えですが、実際に該当のロットを使用しておられた患者さんについては、これは当然 告知はする訳でしょうか。 ○外口課長  それは輸血の場合ですか。 ○佐藤委員長  あなたは該当のロットをもう使用されておりましたよということを教える訳ですね。 ○外口課長  これはなかなか難しい問題で、まず6番ですけれども、これは患者さんへの説明のと きに使う言葉というか、考え方を整理したものでありまして、だから、それはまさに ケース・バイ・ケースじゃないかと思います。だから言い方としては、必ず伝えなけれ ばいけないような場合には、現状では血液製剤で感染しているという確認された例はあ りませんから、御心配要りませんよというような説明をするのが一般的じゃないかなと も思いますし、あと一般的に主治医の判断ですけれども、今すぐ言わなければいけない か、あるいは患者さんにもう少しメリットが出てきた時点、例えば、診断法とか、何ら かの発症予防法とかもう少し知見が出てきたときに説明するような、そういうやり方も 1つあるのなかと思っています。  それから、ここに書いてありませんけれども、2次感染のおそれはまず考えがたい訳 ですので、その点で今すぐ言わなきゃいけないかどうかというのは、それはある程度の 時間的余裕はケース・バイ・ケースで考えてもいいんじゃないかなと思っております。 ○佐藤委員長  今の外口課長さんのお話について、少し委員の先生方の御意見も伺いたいと思います けど、もし、そういう患者さんが御自分の担当であったときに、その先生には、あした 御返事しますと言ってあるんですが、これを見て、まず告知をわざわざする必要がない と判断するかどうかですけど、どうでしょうかね。祖父江先生いかがですか。 ○祖父江委員  私も可能性について証明がない人の疑いの事例が、先ほどの1例しかないということ ですので、ケース・バイ・ケースで主治医の判断なんでしょうけれども、告知は今はち ょっと早いんじゃないかなという感じは、もう少し議論しますけど。 ○佐藤委員長  もう少し情勢がわかってからでしょうかね。 ○北本委員  これはちょっとコメントなんですけれども、2次感染の危険性がないと言われました けど、多分そういう人はいないと思うんですが、こういうものを受けた患者さん。この 人が血液を供給する立場になるということはないですかね。 ○外口課長  それは輸血を受けた場合は今は排除しています。ただ、血液製剤の場合は、これはほ かの条件にひっかからない場合は排除されません。ただ、そこをリスクとして読むかど うかですね。各国のドナースクリーニングの排除のところでもそこまでは挙げてないで すね。もう少しそれは知見を積み重ねていきたいなと思っているんですけれども。 ○佐藤委員長  投与された患者さんについては長期フォローが可能だったら望ましいということです が、これは患者さんに告知しない場合はこっそりと医療機関がそれを長期フォローする ということについても少し問題があって、やはり何らかの倫理委員会的なもので、告知 の問題についてはやはり別な機関で1回その御意見いただいた方が、私よろしいように 思うんですが。 ○外口課長  長期フォローでしたら、やはり患者さんの同意なしには長期フォローは多分出来ない と思いますし、また、こっそりというのはまずいですから、そういうやり方は。 ○佐藤委員長  先ほどの北本先生の御質問に関係あるんですが、2例とも血友病の患者さんなんで、 大出血したときに、医療関係者がこの血液を浴びるということがあるので、それもまた 周りが全然知らないということも少し問題になる可能性もあるので、幾つかのケース・ バイ・ケースということの逆な意味の感染予防という立場からも何らかの防御策が必要 になりますから、問題は難しいですね。  例えば、 100万人に1人ぐらいなんで、自然発生とほとんど発症率変わりないから、 そこまでナーバスになって患者さんに不安を与える必要がないということで、この委員 会なり、あるいはその問題についての別な委員会で結論出れば、それでよろしいんです が、やっぱり一応討論詰める必要があろうかと思います。これはいかがですか。 ○三丸補佐  一応この委員会では情報提供という形ではやっていただきたいと思うんですけれども やはり同じようにCJDとか扱っている中薬審の方でも伝達性海綿状脳症の部会があり ますので、血液行政に対する云々はそちらの方で意見を、うちとしては情報提供という 形になるのではないかと思います。 ○佐藤委員長  この委員会の責任ではないということですね。 ○三丸補佐  はい。 ○外口課長  まだ、そこまで。 ○中谷課長  ここで論議をしていただいた方がよろしいと思うんですが、1つ大きな分かれ目は、 少なくともこういう整理をしたからにはそれを率直に患者さんに伝えた方がいいんじゃ ないかという意見もあると思いますね。今後のフォローアップもして、うつる可能性と いうのは証明されてませんと。ただ、あなたにはこういう製剤を使っておりますという ことは、むしろ率直に、これは私の課長という立場から離れて、ひとりの医師としては 自分の患者には率直に言ってしまった方がいいんじゃないかという気は私自身はしてお りますが。 ○外口課長  私も何をベースに心配ないと言うかというのは、やっぱりWHOの3月のリコメン デーションというのが一応国際的なコンセンサスかなと。これを引用するのが現時点で は少なくともいいのかなと。確かにクレンジのデータとかいろいろ理論的可能性は幾ら でも追求出来るんですけれども、それらも踏まえてのリコメンデーションだったと思い ますので、根拠を聞かれたときには、これをベースに言って、少なくとも患者さんが聞 いてきたときには、それが説明出来る状況にあれば、それは説明するし、そうでなけれ ば、主治医の方によって、もう少し知見が集まって、患者さんにとって明らかなメリッ トなり、それに近いものがあるときに説明するというような、少し時間を追った言い方 もあるのかなと思います。  ただ、言わない方がいいかとか、そこまでは判断出来ないと思いますね。いつ言うか という時点では、知見を見ながらという判断なのかなと思います。 ○佐藤委員長  硬膜の場合は新聞に出てから、班長の立場なので、電話で直接、例えば、1985年に自 分は手術を受けて、硬膜も移植されているけど、どのぐらい危険があるんでしょうかと いう問い合わせは数件ありましたですね。それは、例えば潜伏期から判断しても、10年 以上たってますから、非常に多くの人は潜伏期過ぎ去っているので、今発症してないの であると。頻度はより少なくなっているはずだということと、また2万人使ってますか ら、2万人に10人くらいの発症率なんで、あなたが 1,000人に1人とすると、当たらな いといいですねとそう返事しましたが、そういう問い合わせは数件ありましたですね。 ○外口課長  確認ですけど、そうすると輸血用の方のフォローの話ですけれども、もしこの委員会 で出来るならやるべきだろうという御意見であれば、また私ども日赤の方とも調整して みますので、それで北本先生の方とまた具体的な詰めをさせていただくということでよ ろしゅうございましょうか。 ○佐藤委員長  フォローするときは、当然相手の患者さんには告知した上でということになりますね。 ○外口課長  それも含めてどういうやり方が出来るか。まず日赤の方で現状を何人の方にどういう ふうに、患者さんが今どういう状況か、死亡例が何名か。これはまだ告知の前に出来る ことでありますので、そういうデータをもう少し集めてからですね。 ○北本委員  今のは血液製剤じゃなくて。 ○外口課長  輸血血液。 ○北本委員  輸血血液ですか。 ○外口課長  それ以外、本人が特定出来ませんので。 ○品川委員  北本先生にお聞きしたいんですが、PLPSCをリンパ節あるいはティッシュから検 出するということはヒトの方では検出しようとする試みは余り意味ないことですか。 ○北本委員  いや、そんなことないと思います。 ○品川委員  要するに発症前に死んだとかというようなことに関連してですね。 ○北本委員  新型のCJDのことが確かであれば、ちょっと解説しないと分からないんですけれど も、リンパ節で異常なプリオン蛋白が検出されるのはマウスの実験系では検出されます。 それから品川先生がやられたヒツジの実験系、こういうのも。 ○品川委員  実験じゃなくてナチュラルで。 ○北本委員  ナチュラルで。両方とも観察されます。我々ヒトのいわゆるスポラディックCJDを 何例かやったんですけど、全く検出出来ないんですね。ちょっと違うニュアンスがあっ たんですが、イギリスの新型のCJD、あれでは異常プリオン蛋白が検出されるんです。 だから、外来性の因子として入ったようなものは、今後例えば扁桃とかリンパ節で検出 出来るんじゃないかという可能性があります。 ○三丸補佐  輸血とか硬膜とかで入ったということですか。 ○北本委員  ええ。硬膜は私が調べた限りまだ2〜3例しかないんですけれど、それではネガティ ブなんですけれど。 ○品川委員  それはどこですか。 ○北本委員  リンパ節と脾臓ですね。 ○品川委員  脾臓もですか。 ○北本委員  ただ、今後そういう目でもう一回見ていかないかんのじゃないかと。そうすると発症 前診断につながっていくかもしれない。その外来性で受けたときは。それが言えるなら ば、明確にこの人は自然発症じゃないんだと。何らかの外界からのもので発症したんだ というのは言えるようになるかもしれない。研究のニュアンスが強過ぎますが。 ○三丸補佐  素朴な質問なんですけど、いわゆる異常型プリオンが正常に戻るということはないん ですか。 ○北本委員  それは本当のこと言ったらだれも答えられないような気がする。少なくとも着実に沈 着していっている動物実験ではそんなことはない。 ○佐藤委員長  1例だけ異常型と正常型は両方沈着しているというペーパーある。 ○北本委員  あれは先生、ミューテーションタイプのやつとワイルドタイプのやつが異常になった んです。 ○佐藤委員長  ほかにございませんでしょうか。この血液製剤の問題は非常に深刻な問題もはらんで いますが、ともかく患者さんには、あるいは使用された人たちには過度の不安は与えな いように御配慮よろしくお願いします。  ほかに御質問ございませんか。それでは、ちょうど定刻ですが、これで本日の議事を 終了させていただきます。  事務局から連絡お願いいたします。 ○中谷課長  最後本当であれば、ありがとうございましたと言って終わるところなのですが、ちょ っと幾つか論点があると思いますので、事務局側としまして、こういう理解でいいか、 確認をさせていただきたいと思いますので、すいませんがちょっと長くなりますが、よ ろしくお願いいたします。  まず第1に、実は記者さんたちが今日カメラ撮っておりましたけれども、これが終わ った後、どんな論議したのかという話をしてくれとこういうことがあると思います。で すから、それのためにも共通の認識を持っていた方がいいと思いますので、まず、私か ら聞かれれば申し上げるのは淡々と事実関係を申し上げる。あと、佐藤委員長から、こ の委員会のディスカッションを紹介していただけたらと思っているんですが、事実とし て申し上げることは、まず新報告例が36報告がありましたと。しかし2例についてはペ ンディングとなりましたということを申し上げると。  第2に若年発症例、これは皆さん関心を持っていると思うので、49歳以下は5例でし たと。しかし、新変異型はありませんでしたと。  3番目が脳外科手術を含めて手術の既往歴がある方が16例ありましたと。そのうちヒ ト乾燥硬膜を使っておられる方が3例でありましたというようなお話をすると。  4番目が輸血歴ありという症例は、血液対策課で把握しているのが今まで10例ござい ますと。献血歴10例ございますと。これにつきましては、昨日回収のときに血液対策課 の方がもう既にお話しされているので余り深く聞かれないんじゃないかと思いますが、 一応こんな事実関係を申し上げようと。  これが私が申し上げることでございます。  それから、多分委員長に聞かれるのは幾つかのことを聞かれると思いますので、この コンセンサス確認ということで申し上げますと、まず1つは、今後この委員会の調査を どうするのかといったときには、1つにはやはり献血例を含めてフォローアップをしな ければいけないというコンセンサスが出来ましたということだと思います。ここは多分 言わない方がいいと思いますが、具体的にはここを言わない方がよろしいと思いますが 北本班にやっていただき、具体的には日赤と北本先生との間でもう少し詰めるというよ うなコンセンサスだと思います。多分ここは言わない方がいいと私は思っております。 もう少し詰める必要があるからであります。  次に、我々といたしましては、やはり今回のような医療機関にお願いをした調査の漏 れがある可能性が大変大きいものですから、医療証の登録と、これとマッチングという のを可能性として考えていこうと。こういうことがコンセンサスとしてできたと思いま す。これにつきましては、漏れをなくすような努力をしなければならないというような ことを申し上げ、かつ出来ることであれば、委員長から各医療機関は引き続き協力をお 願いをしたいということをアピールしていただけたらと思っております。  それから3番目、これも積極的に言うかどうかは別といたしまして、コンセンサス確 認ということで言えば、輸血を受けた方、回収をされた血液及び血液製剤を受けた方々 に対しては、基本的には私の理解は告知をするのが原則であると。ただし、そのタイミ ングについては主治医の方と患者さんとの関係を尊重すべきであるというようなコンセ ンサスだったと思います。その言いぶりについては、WHOの3月の輸血例では感染例 はないけれども、引き続きフォローが必要であると。こんな言いぶりが中心ではないか というようなところが今日の意見の主だったところだというふうに理解をしております。  これで、委員長出来ることであれば、若干これでいいよとか、中谷の言ったことちょ っと違っているんじゃないのということを御指摘いただければ、我々自身としては安心 して、この会議室を去れるということになりますので、よろしくお願いいたします。 ○佐藤委員長  中谷課長さんの方からの記者発表用に1つは事実関係を正確に伝えるということと、 この委員会での討議内容と今後の対応についての問題と2つ大きく分けられまして見事 にまとめられましたが、最初の方の事実関係は何回も確認していますので、御意見あり ませんでしょうか。 ○三丸補佐  1点だけ教えていただきたいんですけど、保留例の2例のうち1例はヘルペス脳炎の 否定が出来なかったという、20番については理由としてどういうふうな。 ○佐藤委員長  痙攣発作が非常に多いので、他のビールス感染とか、例えば血管炎のようなものを除 外しないとだめなんで、再度検査データとその後の経過を確認した上で確定診断したい と、そういうことですね。 ○三丸補佐  ありがとうございました。 ○外口課長  委員長。 ○佐藤委員長  どうぞ、外口課長。 ○外口課長  中谷課長の方にちょっと補足させていただきますけれども、告知の問題とフローアッ プの問題はこちらから言わなくても向こうから質問が来る可能性がありますので、そこ でもう少し詰めておきたいんですけれども、まずフォローアップの方ですが、仮にフォ ローアップを今後どうするかと聞かれたときには、受血者が特定出来る輸血用血液製剤 の場合にどうするかについて、本人の告知の問題等いろんな問題があるので、北本先生 の研究班とあとは日赤とか関係者の間で改めて何らかの方法でフォローアップ出来るよ うな方向で詰めていくと。そういったことになったと、このぐらいの感じでしょうかね。 ○佐藤委員長  そうですね。 ○外口課長  告知の面ですけれども、これはイエスかノーかで言えば、もちろん告知なんですけれ ども、輸血用血液製剤と凝固因子製剤と血漿分画製剤でまた違いますので、凝固因子製 剤の場合はもちろん自宅にある訳ですから、当然のようにきっちりと、そんな心配ない ということを言いながら患者さんに納得していただくことが必要でしょうし、輸血用血 液製剤はフォローアップとの問題との絡みでどのように協力を得られるかという問題で すけど、どちらかというと、出来れば協力をしていただきたい。  ただ、血漿分画製剤の場合は、本人が特定出来ないんですね。だから今告知すべきと いう言い方をどういう言い方で言うかですね。これはちょっと難しいと思うんですけれ ども、基本的に個人が特定出来るかという面とか、今後の知見も含めて言わないという ことはもちろんないんだけれども、いつどのような言い方をするかについては、これは 主治医の判断、そういう感じかなと思います。 ○佐藤委員長  今、外口課長のお話で、凝固因子製剤だけは、自宅にあるものについては、本人に連 絡している訳ですから、それについては告知云々じゃなくて、話した上で回収してます よということになった。告知している訳ですね。 ○立石委員  そのときは、特に今まで血友病の患者さんでCJDになった人はいないというのはは っきり言ってあげるべきだと思います。 ○佐藤委員長  そうですね。  今の立石先生の、出来るだけ不安感を取り除くという観点からも血友病の患者さんで の発症者はいないということを明示するということにしたらいいと思います。  ほかにございませんでしょうか。それから医療機関の漏れについては、先ほど中谷課 長がまとめられた方向で話し合いをもたれたということを話しされた方がよろしいと思 います。ほかにございませんでしょうか。  それではこれで議事を終わりたいと思います。 ○中谷課長  今度は本当にお礼だけですので、長時間ありがとうございました。きょうおまとめい ただきました内容でございますが、公衆衛生審議会成人病難病部会が9月8日に開催予 定でございます。そのときに御報告させていただきますので、よろしく御了承いただき たいと思います。ありがとうございました。 照会先:厚生省保健医療局エイズ疾病対策課 担 当:三丸 内線2355 直 通:03ー3595ー2249