97/08/18 第4回公衆衛生審議会臓器移植専門委員会議事録 第4回公衆衛生審議会成人病難病対策部会 臓器移植専門委員会議事録 平成9年8月18日(月) 全社協第3〜5会議室 出席者  ○黒川  清  井形 昭弘  大久保 通方 大塚 敏文  桐野 高明   小柳  仁 座間 幸子  田中 紘一  谷川 久一  野本 亀久雄  藤村 重文  町野  朔 眞鍋 禮三  山谷 えり子  (○:委員長 順不同・敬称略) 議事次第 1 開会 2 議題 (1)臓器の移植に関する法律施行規則(厚生省試案)について (2)「臓器の移植に関する法律」の運用に関するガイドライン(厚生省試案)につい て (3)日本臓器移植ネットワーク準備委員会報告書    「臓器移植ネットワークの整備について」(報告)について (4)その他 4 閉会 ○成瀬補佐  ただいまより、第4回公衆衛生審議会成人病難病対策部会臓器移植専門委員会を開催 いたします。  本日は、お忙しい中、ご出席いただきまして、大変ありがとうございます。  最初に、本日の委員の出欠の状況でございますが、大島委員、森岡委員、矢崎委員 が、都合により欠席のことでございますので、本日は、17名の委員のうち14名の委 員が出席いただいておることを報告いたします。  では、会議に入る前に資料の確認をさせていただきたいと思います。  最初に、議事次第、3枚ほどつづってあります。続きまして、会議の資料の一覧表で ございます。次が、資料1、臓器の移植に関する法律施行規則でございます。資料2、 小腸移植後の小腸グラフト生着率と患者生着率でございます。資料3、脳死判定等に関 する書式例でございます。資料4、「臓器の移植に関する法律」の運用に関するガイド ライン。資料5、ガイドラインに関する参考資料。資料6、日本臓器移植ネットワーク 準備委員会報告書でございます。最後に、参考資料といたしまして、臓器の移植に関す る法律でございます。  何か不備な点がございましたら、事務局のほうにお申しつけいただきたいと思いま す。 ○眞鍋委員  患者生着率というのは生存率の間違いではないですか。 ○成瀬補佐  それは後ほどまた訂正いたします。  それでは、黒川委員長、よろしくお願いいたします。 ○黒川委員長  それでは、第4回ということで続けさせていただきますが、よろしくお願いします。 きょうは、3人の先生が欠席でございます。  それでは、議題に入りたいんですが、きょうは、厚生省の試案という資料1でありま すが、これについて若干の字句の修正があるということですので、これについて、まず 事務局のほうから説明いただきたいと思います。 ○玉川補佐  では、前々回、前回にお示しいたしました厚生省令の試案から若干の変更を行ってお りますので、主な変更点につきましてご説明させていただきます。  資料の1をご覧ください。前回、8月11日にご提示いたしました厚生省の試案から 変更したところにつきましては下線を引いておるところでございます。  主な変更点といたしまして、一番重要な二条関係のところと、その他、若干の修正点 についてご説明させていただきます。  1ページ目の第二条、第1項におきましては、深昏睡、深い昏睡という言葉が、同項 の第二号にもございましたので、一番最初の下線は、その引用漏れを訂正しておりま す。  それから、その次の「以下」というのは、法令上の用語の使い方という観点から修正 をしたものでございます。  それから、その次の、「行っても」、「行うものとする」、ここについては、前回、 「行ったとしても」、「行われるものとする」としていた表現を適正化しているもので ございます。  第二条の1項の二号及び四号でございますけれど、前回まで「状態と認められる者」 とありましたが、「状態にあると認められる者」と、ここも表現の適正化を行っており ます。  三号につきましては、前回まで「体温が」となっておりましたのを「直腸温」という ことで表現の厳密化を行っているところでございます。 第二条の第2項の関係でございます。 一番最初の下線部でございますが、第1項の一番最初のところで、「法第六条第四項に 規定する判断に係る同条第二項の判定」というのを「以下「判定」というということ で、略称規定を設けておるところでございますけれども、その略称規定のかかるところ の適正化の観点から、「同条第二項の判定」というのを「以下「判定」という。」とい うことにいたしまして、法第六条第四項に規定する判断に係るというのは、第二項でも 改めて表現しているところでございます。  それから、次の下線部につきましては、「行われる」となっていたものを「行う」と したものであります。  また、これまで、「頚部付近をつねったとき」という表現を2カ所ほど行っていたわ けでございますけれども、「頚部付近に刺激を加えたとき」という変更を行っておりま す。  また、第2項の一番最後でございますけれども、従来、自発運動、除脳硬直、それか ら除皮質硬直、けいれんの場合には「この限りではない」となっておりましたのを、 「判定を行ってはならない」と表現の明確化を行いました。  第二条の3項でございますけれども、「前項第5号の確認は」となっておりましたの を「前項第5号の状態の確認は」としております。  第4項、第5項につきましては、第2項の冒頭と同様に、引用の関係で、「法第六条 第四項に規定する判断に係る」という文言を加えております。  以下、主な点だけご説明させていただきます。  第五条の第1項でございますけれども、新たに第九号と第十号という2号を加えたと ころでございます。  3ページでございますが、第九号につきましては、第二条第五項の確認ということ で、省令上聴性脳幹誘発反応の消失について、確認するように努めるものとするという 規定が置かれているものでございますけれど、これを行った場合につきましては、その 結果についても記録をするということでございます。  それから、第十号のほうでございますけれども、本人が脳死判定について意思表示を 書面により表示していた旨というものを加えておるところでございます。これは、次の 十一号のところで、家族の判定を拒まない旨については、記録に記載することとしてい ることとのバランス上、新たに付け加えたものであります。  同様に、第六条におきましても、第十一号を新たに付け加えているところでございま す。ただいま説明いたしました第五条と同様に、本人の臓器摘出に対する意思を書面に より表示していた旨というものを記録に記載すべき事項として新たに1号加えたもので ございます。  以下、若干の法令上の条項の引用漏れでございますとか、表現の適正化、明確化、そ れから、準用関係の規定の適正化等の修正を行っているところでございます。 ○黒川委員長  どうもありがとうございました。このように少し訂正があるわけですが、またこれは お目通しいただいて、何かありましたら、またご意見をいただきたいと思います。  それでは、次の議論に進みたいと思います。前回の積み残しになっております小腸移 植ということがあります。これについていろいろなご意見を伺ったわけですが、きょう の資料2が来ていますので、前回の引き続きということで、田中委員のほうから資料2 についてご説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○田中委員  資料2の説明をさせていただきます。  先ほどのご質問ですが、小腸移植後の小腸グラフトの生着率と患者生存率でございま す。生着率となっていますが、どうも申し訳ありません。生存に直してください。  前回の資料の中で、タクロリムスについてグラフトの生着率がきちんと記載されてい ませんでしたので、改めてタクロリムスとサイクロスポリンの使用分の患者生存率、生 着率を記載させていただきました。  そこにお示しします中で、タクロリムス使用群を見ていただきたいと思います。1年 生存率は、生着率が小腸単独ですと59%、それから患者生存率が83%です。これ は、括弧をしていますのは、前回の資料の中でグラフト生着率というのを図1に記載し ていますが、その図1からおおよその数を推定した値でございます。そうしますと、グ ラフト生着率が59%、患者生存率が83%と申しますのは、グラフトが生着しない場 合にグラフトを切除することによって患者の生存を得るという方法で患者生存率が上回 っているという結果でございます。  同様に、肝臓、小腸同時移植、多臓器移植も、おおよそそういう結果でございます。  小腸は、小腸不全がまずありまして、通常の経口摂取では生命を維持できないような 小腸機能をいうわけですが、その小腸不全の対策として、前回もご報告しましたよう に、60年代より完全非経腸栄養がなされるようになりまして、現時点では、この小腸 不全の人は家庭内で、この完全非経腸栄養をすることによって生活をしているわけで す。しかしながら、この経腸栄養ができなくなる状況、すなわち、あらゆるルート、静 脈ルートが閉塞してしまう場合、あるいは留置したカテーテル、つまり栄養を投与する ためのカテーテルを静脈内に入れるんですが、その静脈に起因する敗血症やその他の合 併症で、この栄養の続行が不可能に陥る場合が移植の対象になるわけですが、不可能に なるということは、すなわち生死にかかわるわけでして、もし完全静脈栄養の続行がで きなければ死を意味するということでございます。  本邦における小腸移植の適応の推定数について、その後、前回の報告が日本在宅静脈 栄養研究会による登録の結果で、1994年の9月のデータが最終ですので、その後、 新たな登録が実施されているか、それが公式にレポートされているかという点について 調べますと同時に、この登録の中心メンバーであります大阪大学小児外科教授の岡田正 先生にお電話してお聞きいたしました。その後も毎年30名ずつ増えているそうであり ます。したがって、1997年8月時点では200名前後ということが予測されていま すが、これは、登録委員会に出ているもので、正式にまだレポートされてないようでご ざいます。  このうち、中心静脈栄養の続行が不可能となり、小腸移植の適応となります患者さん は約30%。すなわち、多くの患者さんは中心静脈栄養で行けているわけですが、30 %の方が中心静脈の続行が不可能となり、死のプロセスになるわけです。したがって、 この統計は、この在宅静脈栄養研究会に入っている場合の登録ですので、本邦全体から 考えると、もう少し症例がある。すなわち、小腸移植の適応は本邦では、60名前後が 小腸移植の適応になるであろうと考えられます。  本邦の小腸移植のほうは、生体小腸移植の一例で、これは京都大学で行われた一例で ございますが、昨年の5月に、2歳6カ月の子が小腸不全になり、完全にすべてのルー トが閉塞した子どもに、母親をドナーとして行われた一例のみでございます。現在は、 種々の合併症を経ながら、一応免疫学的には移植腸管は安定した状況でして、少し合併 症はあるものの、次第に軽快の方向といっている症例だけでございます。  以上でございます。 ○黒川委員長  どうもありがとうございました。これについて、小腸グラフトの現在の国際的なレベ ルでの現況ということについてご説明いただいたわけですが、さて、ご意見をいただき たいと思いますが、いかがでしょうか。  実際は、ほとんど、数が実際のところ国際的にもまだ少ないということがありますよ ね。それから、TPNがかなり進んでいますので、TPNを行えなくなった人というこ とですが、私のように腎臓をやっているほうからいうと、腎臓の人も透析をやってい て、移植をしなくても死んじゃうという状況じゃない人に移植をするわけですよね。そ うすると、TPNをやっていても回復の見込みがないわけだとすると、もちろん小腸が ないわけですから、移植をしてうまくいかないとき、またバックアップしてTPNに行 くというようなことは、国際的にはどうなんでしょうか。 ○田中委員  実際上、TPNが続行不可能になった人を絶対適応とすれば、そのグラフトがだめに なったら、TPNの続行が不可能になるわけですから、そういう意味では、小腸移植が うまくいかねば、その患者さんは死の転帰をたどるという状況です。 ○黒川委員長  TPNがうまくいっているときに、うまくいかなくなると栄養状態すべてが悪くなる わけですね。いいときに移植するというのはどうですか。 ○田中委員  まだ小腸移植そのものが、多くの面の問題点を解決されていませんので、やはりTP Nが続行できるあいだは、移植するにはいかがなものかというのが世界の基準です。 ○黒川委員長  そうすると、やはりもうちょっと小腸移植の経験とかを積んでいくと、患者さんに説 明するときも、かなり状態がいいときにも勧めることができる時代がくるであろうとい うことは言えますね。 何かご質問、どうでしょうか。 小腸を、今、入れると決めて いるわけではありませんが、入れることも含めて、またご意見をいただければと思いま すけれども。 ○谷川委員  先ほどの小腸を入れるかどうかの討議なんですけれど、前回、黒川先生もおっしゃい ましたが、あとの臓器はどういう移植の臓器があるかというと、もう小腸しか残ってな いんですね。ですから、そういう意味からいいますと、せっかくこの法案あるいは法令 を作るという段階で、やはり入れておいたほうが将来的にもいいのではないか。また、 患者にとっても、そういうひとつの手段があるということは非常にいいことではないか というふうに私は思います。もし、そういうことが可能であれば、私も消化器のほうの 理事をやっておりますので、そういう方面のバックアップも内科でもするというふうに 思っています。 ○黒川委員長  いかがでしょうか。とりわけご意見ない。難しいから、もうちょっと考えたほうがい い。  実際のところは、おそらくこういう法律で何かしないと問題が起こるというのであれ ば、小腸も入れておいても何も困ることはないのではないかというようなことがひとつ 考えられますね。  ただ、実際にやるとなると、今、田中先生がおっしゃったように、準備状況が十分で ないのかもしれないということがあって、だから入れないという理由にもあまりならな いかもしれません。そうなると、もちろん、これからおそらく移植学会にお願いしなく ちゃならないんじゃないかと思いますが、こちらのほうも、法律的にはいいんだけれど も実際にやるかどうかは全然別問題であります。それについては、レシピエントがどう なんだ、適応の問題、それから施設の問題、それからネットワークにどういうふうに乗 せるべきかというような、種々の解決しなくちゃならない問題が医学的及び行政的にあ りますから、それが整備された時点で、もちろんやれる状況、法律的にはやれる状況を 作っておいて、実際的にやれる状況になるかどうかは、もうちょっとこれから移植学会 あるいは、このまた委員会にいずれ上がってくることと思いますけれども、そういうプ ロセスを経て実際にやれるかどうかという話を、これは医学的な問題なので、そのへん をお願いしたらどうかと思いますが、いかがでしょうか。  ですから、これには入れると。省令には入れておいて、実際にやれる状況を、できる だけ早くといっても、現状がどの程度かということを、このようなデータがありますか ら、野本先生、移植学会の理事長でいられますので、野本先生を通じて、移植学会はそ れなりのワーキンググループをいろいろ作られて、心臓、肝臓、その他と同じように、 レシピエント、ドナー、それぞれの適応、それからいろいろな状況ですね。詰めていた だくという作業をこれから始めていただくということで、いかがでしょうか。 ○野本委員  そのようにいたします。それを、こちらの委員会なり厚生省なりに提出して、次のス テップはオフィシャルにしていただくというふうにしたらいいと思います。 ○黒川委員長  そうですね。いかがでしょうかね。もしよろしければ、それでは今回、小腸は入れる ということで、これが皆さんの大方のご意見ですので、小腸は入れるという、この省令 には入れておくということにしたいと思います。  それから、いま言ったような種々の選択基準、それから施設の問題、臓器移植ネット ワークへの委託というのですかね。そういうような話をこれから詰めていただきたいと いうことと、もうひとつは、私も実をいうと内科医ですから、いろんなそういう患者さ んを、実をいうと私自身もみているんです。私は、UCLAにいた頃も、実はそういう 患者さんをたくさん見ておりまして、その中で初めて、アルミがずっとアルブミン製剤 に入っていて、非常にペキュリアなオステマレーシアになった症例を見ていて、これは 報告したんですが、それを見てから初めて、透析のあの例の骨症がアルミじゃないかと いうことに気がついたのは、実はそういうTPNの患者さんで気がついたんですね。そ れを分析したら、アルミがアルブミン製剤にたくさん入っているということがわかっ て、それを報告して、それから使わなくなったんですが、TPNの患者さんをみている と、非常に元気な方もおられますけれども、そういうわけで、そういう生活をしている んだという人がたくさんおられるということを、やはりもっともっと一般に知っていた だくということも、実は必要なんじゃないかというふうには思っています。  今回、知らない人が聞くと、突然、唐突に出てきたような感じがするかと思います が、実はそういう患者さんが意外に多くて、その人たちの生活状況とか、そういうこと をもうちょっと皆さんにも理解していただくということが大事なんじゃないかなと思い ますので。これは、谷川先生をはじめ、それらの患者さんをよくみておられる先生方の ほうにもご理解をいただき、また、行政のほうからもご理解をいただければというふう に思っております。  では、そのようにさせていただきたいと思います。  それから、いま言ったように、将来的にはおそらく、この技術が進んでくると、今の 腎臓移植のように、透析で非常に元気な人がマッチングで受けると。うまくいかなかっ たら撤退して、また元に戻るということもおそらく可能なんじゃないかというふうに思 います。よろしいでしょうか。  それでは、この省令の一番最初のところの第一条ですかね。そこのところに小腸とい う言葉が入るようになると思いますが、これは行政的に作業を進めていただきたいと思 います。  ありがとうございます。  それでは、前回は、第一条、第二条までいったわけですが、第三条以後ということ を、また資料1に沿ってご討議をいただきたいというふうに思います。  第三条は、2ページの第三条から始まりますから、そこからについて、事務局のほう から説明いただけるんでしょうか。よろしくお願いします。 ○玉川補佐  第三条以下、書面がたくさん出てまいります。本日の資料の3でございますが、脳死 判定等に関する書式ということで、ここでまとめて簡単にご説明させていただきたいと 思います。資料3と合わせて資料1をご参照いただければ大変有り難く思います。  資料3の冒頭にございますように、臓器の移植に関する法律の関係で作成することと されている書式を大まかに分ければ、医師等が作成する記録と、家族、遺族の承諾関係 の書面、記録の閲覧の請求書、それからその他ということで、臓器あっせん機関関係の 書類という、この4種類に分かれるところでございます。  医師が作成する記録等からご説明させていただきたいと思います。資料3の、第1 ページ目でございます。  脳死判定の的確実施の証明書ということで、省令では、資料1の2ページ、第三条で 定められているものの書式でございます。なお、資料3にございますのは、すべてモデ ル的な書式ということでございまして、省令による記載事項がすべて記載されていれ ば、それは法定の書面として適法なものでございますけれど、ここではモデル的な書式 として提出させていただいております。  法律の六条の5項で、本法に基づく脳死判定を行った医師は、直ちに、判定が的確に 行われたことを証する書面を作成しなければならないとされておりまして、これを受け て、1ページの的確に行われた旨の証明書を作ることとしているところでございます。 この書面が交付されていないと法律上臓器摘出をしてはならないということとされてお ります。  記載内容といたしましては、3条の各号にございますように判定を受けた者、日時、 医療機関、判定医といったことについて書かれているところでございます。  資料3の2ページ、脳死判定の記録でございます。これは、資料の1の2ページにあ る省令の第五条の第1項に記載事項が規定されているところでございます。これは本法 に基づきます脳死判定を行った場合、作成が義務づけられている書面でございまして、 検査関係の事項といたしましては、資料3の2ページには、原疾患名、適用除外の関 係、これは省令第二条第1項各号の適用除外ということでございます。それから3ペー ジに移りまして、各種の生命徴候。それから、省令第二条第2項各号に規定されており ます必須の検査項目として、深い昏睡、瞳孔の固定、脳幹反射、平坦脳波、自発呼吸と いった項目が挙げられております。4ページに移りますと、省令の第二条第2項但し書 きにございますような自発運動、除脳硬直、除皮質硬直、けいれんがあるかどうか。そ れから、第二条第4項の確認として、中枢神経抑制薬とか筋弛緩薬等の薬物の影響の確 認。それから、補助検査の項目を、今回の省令の修正に合わせて入れているところでご ざいます。  また、脳死判定を受ける者が生存中に判定に従う意思を書面によって表示しているか どうか、家族が判定について拒否していないかどうかということを項目として入れてい るところでございます。  次の5ページの注にございますように、この記録につきましては、脳波の記録、生存 中に判定に従う意思を表示した本人の書面の写し、家族が脳死判定を拒否していない旨 を表示した書面、この3つの書面を付けていただくこととしております。  大変恐縮ですが、18ページをご覧下さい。これらの書面のうち、家族が脳死の判定 につきまして拒否していない旨を表示した書面の様式、脳死判定承諾書の書式例として 載っているところでございます。これは、省令の第五条第3項に記載事項が定められて いるところでございます。この書面を、先ほどの記録に添付していただくこととしてい るところでございます。  戻りまして、6ページ目で、臓器摘出の記録の書式でございます。これは、省令の第 六条第1項、資料の1の3ページの条文に対応するものでございます。これにつきまし ても、臓器摘出を行った場合、作成が義務づけられているものでございます。  これにつきましては、摘出した臓器の名称でございますとか、状態、これに対します 処置、摘出を受けた者に対する諸検査の結果、生存中に提供の意思を書面によって表示 しているか、遺族が臓器摘出について拒否していないかどうか。臓器あっせん者等の事 項を記載することとしておるところでございます。  この記録につきましても、8ページの一番最後の注にございますように、臓器摘出を 受けた者の提供の意思を表示した書面の写しと、遺族が臓器摘出を拒まない旨を承諾し た書面を添付することとされております。  このうち後者の書面につきましては、19ページになりますが、臓器摘出承諾書の書 式ということで付けているところでございます。省令の第六条第3項が、資料の1の4 ページにございますが、これに対応するものでございまして、臓器摘出を受けることに 対して依存ない旨の承諾書を添付していただくこととしているところでございます。  戻りまして、資料の9ページでございます。臓器摘出の記録として、もう一様式、付 けておりますが、こちらは、省令の附則の第三条第1項に対応する書式でございます。 法律の附則の第三条第1項におきまして、従来どおり遺族の承諾による心臓死後の腎 臓、眼球の摘出が経過措置として認められているところでございますが、これに対応し た摘出の記録でございます。6ページからの記録との違いは、ご本人の臓器提供の意思 を書面によって表示している旨の記載がございませんで、遺族が摘出を拒否していない ではなく、承諾をいただいているということになっているところでございます。それか ら、本人の提供意思につきましては、当然、書面の添付がこの書式ではございません。  次に、移植の関係の記録でございます。12ページでございますが、省令の第七条に 対応する記録でございます。これにつきましても、臓器を使用した移植術を行った場 合、作成が義務づけられているものでございます。  記載内容といたしましては、移植した臓器の名称や、移植を行う必要性、移植を受け た者に対する検査の結果、移植を行うことにつき承諾がある旨、こうしたものについて 記載していただくこととしているところでございます。  それから、15ページでございますが、不使用臓器の記録についてでございます。摘 出した臓器につきまして、不使用となった場合、摘出医の段階で不使用となった場合に つきましては、先ほど見ていただきました臓器摘出記録、これの11ページのところに なるのでございますけれども、臓器を移植に使用しなかった理由ということを記載して いただくこととしておりますが、摘出医以外のところで臓器摘出が不使用となった場合 につきましては、15ページの記録を作成していただくこととしております。こちらの 記録に、移植に使用しないこととした理由等の記載をしていただくということとしてい るところでございます。  それから、16ページでございますけれども、移植術の実施の説明記録でございま す。法律の四条におきましては、医師は、臓器移植に当たって、移植術を受ける者、そ の家族に必要な説明を行いその理解を得るよう努める、となっているところでございま すけれども、これを受けて、省令の十六条で、移植術実施について説明を行ったときに は記録を作成すべきとなっているところでございまして、この規定に基づく書式でござ います。  これにつきましては、説明を行った場所でございますとか、説明を受けた者、立会 人、それから、説明した事項としてどのようなものがあるといったことについて記載を していただくことを考えているところでございます。  以上が、医師が作成すべき記録、ないしは、その添付書面のご説明でございます。  そのほかの記録等の書式といたしましては、20ページに記録の閲覧請求の際の請求 書の書式を入れてございます。記録の閲覧請求があったときには、省令で定めるものを 省令で定める者に対して閲覧に供することとなっておりまして、その際必要とされる請 求書としては、20ページにございますような書式で行うということを想定しておると ころでございます。  その他の書式といたしましては、21ページ、22ページに、臓器あっせん業の許可 申請書及び臓器あっせん機関の帳簿ということで、それぞれ省令の第十一条、第十三条 の規定に基づきます書面の書式例を入れているところでございます。  以上でございます。 ○黒川委員長  どうもありがとうございました。たくさん書式があるわけですが、それぞれの厚生省 令に当たる書式、必要なものがあるわけで、それについて揃えていただいたということ ですが、これについてご意見。 ○藤村委員  19ページでございますが、臓器摘出承諾書書式例というところで、1で、肺(右・ 左)、それから腎臓も右・左、そういう臓器を右・左というように分けて書いてあるの は、どういうことを想定されているのでございましょうか。 ○重藤補佐  腎臓の右・左と申しますのは、要するに、使うものが右だけの場合もあろうかという ことで、そうした区別というものを一応書式で書いておいて、そういう場合に対応でき るようにということでございます。肺の場合も、腎臓と同じように左右臓器があります ので、ちょっと実際にそういう場合がないということであればあれでございますが、一 応左右臓器のある場合は可能性としてはあるのではないかという判断で書かせていただ いたんでございます。そういう可能性がないということであれば、別に必要ございませ ん。いかがでしょうか。 ○藤村委員  そのような、臓器を摘出することに承諾された場合に、それが左か右かどっちかとい うのは、ちょっと現場では想定できません。そういうことはまずあり得ないと思うんで すが、いかがですか。 ○黒川委員長  座間委員、どうぞ。 ○座間委員  腎臓の場合ですと、ご家族のご希望で一腎のみということが現実にあります。一腎の みは本人のために残しておいてほしいというようなご家族の希望が起きることは今まで にもありました。左右どちらということまでは限定はありませんでしたけれど、一つは 残しておいてほしいというご希望はありました。 ○眞鍋委員  眼球の場合もそういうことがございまして、特に献体の場合ですね。献体の場合に、 学生の解剖実習なんかに献体をいただいた場合には、学生のためにも一眼を残してほし いという希望がありまして、また、アイバンクと献体団体との申し合わせで、献体の場 合には一眼しかいただかないという場合がございます。この場合はもちろん、右だけを いただくとか、左だけをいただくというようなことは関係なく、どちらかをいただくと いう形で一眼をいただくということです。 ○藤村委員  肺の場合はやはり、どちらかということでも結構ですけれども、両方を使わせていた だく場合も多いことでございますので、なかなか現実にはちょっと無理かなという気が いたしました。 ○黒川委員長  確かに腎臓をやっていると、座間委員のおっしゃるとおりに、患者さんはいろいろな 気持ちがあると思いますので、こういうことが書いてあるのは差し支えないんじゃない かと思っていますが。ほかに、どうぞ。 ○大塚委員  1ページ目の、脳死判定の的確実施の証明書、次の脳死判定記録書式、いずれもそう なんですが、判定日時が一日しかないんですね。これ、初回も2回目も、2枚作るんで すか。 ○玉川補佐  判定を最終的にした日時を記載していただくことを考えております。省令の第五条の 第1項による脳死判定の記録につきましては、その書式が3ページでございますが、1 回目の確認の日時、それから2回目の確認の日時と、それぞれにつきましてここで記載 をしていただくことにしております。これらのすべての検査を終えた時間というのが、 最後に判定を判断していただいた時間と省令上はとらえておりまして、その日時を判定 日時の欄に書いていただくことを考えております。2回目の時間の終了時を考えており ます。 ○大塚委員  そうしますと、2回目判定したときの時間ということですね。 ○玉川補佐  2回目の検査、確認を行いましたその時間でございます。 ○大塚委員  わかりました。 ○黒川委員長  書式にわざわざ断らなくても、かなり慎重な事柄ですから、おそらく間違えることは ないんじゃないかと。2回目とわざわざ括弧して書くようなことではないということで しょうね。 ○小林局長  わかりやすくしたほうがいいと考えております。 ○山谷委員  閲覧請求に関してなんですけれど、これはコピーというのは可能なんでしょうか。 ○貝谷室長  国会のほうでも議論がございました。この法律の体系では、閲覧を請求するという規 定が入っておりますが、いわゆる謄写、コピーについては法律上規定されておりませ ん。したがいまして、特に法律上はコピーをさせない、あるいはコピーを請求できると いうことにはなっておりません。そこは従来どおりの扱いということで任せるというこ とになっております。 ○山谷委員  それは、個人情報の保護という観点から許可しないということですか。 ○貝谷室長  法律案の審議の際にも、そういったご議論がありました。やはり、コピーを認めた場 合に、その複製されたものが転々とするケースもあるというようなご議論があったかと 思いますけれども、やはり、プライバシーの保護といいますか、そういった点に配慮し た形で、今は閲覧だけということで法律上は定められているというふうに私どもは受け 取っております。 ○黒川委員長  これに関して、どうぞ。このことに関してでよろしいですか。ほかにご意見あります か。この閲覧のことは、第九条か何かでしたかね。九条だったと思いますが、5ページ ですね、省令のほうは。これに関してはいろいろなことはあるわけですか。要するに、 いろんな細かい規定があり得るはずですよね。例えば、ドナーの側がレシピエント側の 情報を欲しいとかいうような話があるわけですから、そのへんについてはどうでしょう か。 ○貝谷室長  おっしゃるとおり、移植医療の性格からいいまして、ドナー側の情報はレシピエント 側に、また、レシピエントの情報はトナー側のほうには伝わらない形で運用することが 必要だと思っています。省令でも、この範囲で閲覧を行うようにということで、具体的 に書いてありまして、レシピエント側からの請求があった場合には、レシピエント側に 関わる部分の情報を閲覧をさせると、こういうふうな形で、今の省令の中にも情報の範 囲ということを具体的に書いております。 ○黒川委員長  あとは、閲覧できる人の範囲というのは何かあるんですか。 ○貝谷室長  閲覧できる人の範囲もこの省令で定めることになっておりまして、省令の第十条、5 ページでございます。十条で、それぞれの記録につきましては次の者にということで、 第一号、第二号、第三号ということで、それぞれ列記することになっております。 ○黒川委員長  これの閲覧についてはよろしいですか、そのほかに。またあったら、またお聞きした いと思いますが。 ○貝谷室長  すみません。それと第八条ですね。省令の第八条で、そもそも法律第十条第3項に規 定するこの範囲の者という範囲をそこで、省令の第八条で書いておりまして、移植術に 使用されるための臓器を提供したご遺族、それから移植術を受けた者、レシピエント、 それからその家族、それから臓器あっせん機関というようなことになっております。 ○黒川委員長  この家族のことの議論は、また別に出てくるわけですけれどもね。これは承諾する家 族と、またちょっと違うかもしれませんから、このへんはまたちょっと別に議論してい ただくとして。どうぞ、山谷委員。 ○山谷委員  私は、コピーができたほうがいいのではないかという意見なんですが。というのは、 そんなに転々としてというよりも、むしろコピーができて家族側が納得できるほうがい いのではないかというふうに思うんですけれども。例えば、大久保委員は、現場でどん なふうな感触をお持ちでいらっしゃいますか。 ○大久保委員  私は、コピーというよりも、この承諾書ですね。何も提供した家族とか、臓器を受け た者に残らないというのはどうなのかなと。閲覧より前の話ですね。基本的に何らかの 形で、アメリカの場合だったら、脳死判定して、どういう形で臓器を提供したというの は一覧表で来ますよね。提供した家族に対しても何かの形で書類、これと同じものじゃ なくてもいいですけれども、どういう形で臓器が提供されましたとか、いや、これは使 われませんでしたとかという、きちっとした報告書が、何かの形で残るというのが必要 ではないかと。そうすることによって、それほど閲覧ということも必要なくなるだろう し、また、受けた者としても、どういう形の移植か知りたいと思いますが、受けた者 は、病院との繋がりがずっと続きますからね。移植の先生とお話ししてということもで きるんですけれども、とりあえず提供してしまった人というのはそれで終わりですか ら、何らかの形の記録が提供した人の家族に残るということを考えたほうがいいんでは ないかと思いますけれども。 ○黒川委員長  何かご発言したい。座間委員。 ○座間委員  今の状況ですと、腎臓の場合ですと、記録類というのは全くご家族に行っておりませ ん。ご希望があれば、承諾書のコピーをお渡しするというような形でやっております。  それから、これは決められた形ではないですけれど、担当したコーディネーターがご 家族に対しての報告書のようなものをお手紙の形でもってお送りするというようなこと はやっております。 ○黒川委員長  現在、例えば一般的に、病歴は誰のものかなんていう議論がありますよね。病歴の公 開とか、そういうことがあるとなると、今、大久保委員がおっしゃったように、実際の 現場でそういう状況が起きたときに、いろんな判定をしましたよとか、いろんな話は、 実際にはそれを病歴の公開ということでコピーを作ってドナーの側にお上げしても、そ んなことは一向に差し支えないんでしょうね。それを「いけないよ」なんていう法律が あるのかしら。それはどうですか。  病歴の公開とかいろんなことになると、病歴は誰のものかとなるじゃないですか。そ うすると、ドナーのいろんな状況があって、脳死判定がどうだった云々かんぬんと、書 式がありますよね。それをくださいよと言ったときには、そこの受け持ちのお医者さん がコピーを作ってあげるのはちっとも悪いことはないんじゃないか。それを妨げる理由 はないですね。どうですか。そんなことしちゃいけない、なんていうことはないんじゃ ないかと思うんだけれど。 ○貝谷室長  これはご本人との関係で、どうしても問題になってくるケースもあると思いますし、 そこは、別にこの法律ができたから、従来行っていた範囲のものが、この法律でだめに なるということはないと思いますので、そこは、この法律で別に禁じたものではないと は思いますが、閲覧については一歩進んで、そういうものをきちっと法律の中に認めた とふうになったという、こういうふうに理解しておりますけれども。 ○黒川委員長  だから、救急の現場でそういうことが実際に行われたときに、遺族の方が記念に欲し いとかいろんな話があったときに、それはコピーは作ってあげても構わないわけです ね。というような気がするんだけれども。 ○小林局長  今、大久保委員がおっしゃられたお話ですが、やっぱり確かに臓器提供をされた方 が、何らかの形で、どういうことがあったということがわかるようにしてあげるという のは、いいことだと私どもも思いますので、これは法律事項ではない話ですから、少し 前向きに何か対応どうできるか、少し検討させていただきたいと思います。確かに、そ のこと自体が、閲覧ができるできないという議論よりも、もっと大切なのかもしれな い。そっちのほうでやっぱりご遺族の方が、誰か亡くなったとき、これを誰かのために した、患者さんのために努力した、やってあげたということが、やっぱり残るほうがも っと大切かもしれません。もう一遍、それは法律外のこととして少し検討をさせていた だきたいと思います。 ○黒川委員長  UNOSなんかではどうなっているんでしょうか。誰かご存じの方、おられますか。 座間委員、知っている。大久保委員。 ○大久保委員  以前、見せていただいたのは、どういう形で脳死判定が行われて、それから、どれだ けの臓器が摘出されて、それがどれだけの人に提供されたかということを、きちんとし た報告書として、かなり分厚いレポートとして来るそうなので。そこまでは大変でしょ うけれども、でも、それに近い形で、何らかのやはり報告書がドナーの家族に行くとい うことは非常に大事じゃないかと思います。 ○黒川委員長  そうでしょうね。 ○井形委員  ドナーがあってレシピエントがあったときに、この資料が全部公開されますと、誰の 臓器がどこへ行ったかということが全部わかるんじゃないでしょうか。このあたりは、 一般的にはアメリカあたりはわからない。 ○大久保委員  そうじゃなくて、ドナーの家族だけに報告書が行くわけですから。 ○黒川委員長  ドナー側の記録でしょ。 ○大久保委員  記録が、ドナーの家族のほうに行くだけですから。レシピエントのほうの記録が行く んじゃなくて。誰だじゃなくて、どういった臓器が、どういう形で摘出されたかという ことが、何人に提供されたということがドナーの家族に行く。 ○井形委員  しかし、これは、移植に使用された臓器を提供した遺族である場合と、それから、請 求者が移植を受けた者、レシピエント。記録閲覧請求書式には、提供した遺族と、それ からドナーとレシピエントの両方の家族が見られることに。 ○大久保委員  ドナーの情報はドナーの家族だけ、レシピエントの家族はレシピエントの、要するに 移植のほうの情報しか見れないわけです。 ○井形委員  そういうことは明記されているんでしたっけ。 ○貝谷室長  はい。 ○黒川委員長  請求できる範囲がきちんと書いてあるんでしょうね、という話をしたわけで、ドナー に関わる部分はドナー側の遺族だけということです。 ○井形委員  全然別のことですけれども、1ページですね。脳死判定の的確実施の証明書、省令。 これが、法律的には正しければそれで結構なんですけれども、何となく判定した人がサ インしているのに、的確に行われたという客観的な表現で、評価委員会の言うような表 現になっておりますけれども、これは行った者であることを証明するじゃ、まずいんで しょうかね。ちょっと当事者として責任が他にあるような印象がありますが、いかがで しょうか。 ○玉川補佐  若干形式的かもしれませんが、参考資料の2ページのところでございますけれども、 法律の第六条の第5項という、この記録のそもそもの根拠の規定がございます。第2項 の判定を行った医師は、直ちに、当該判定が的確に行われたことを、これを証する書面 を作成しなければならないということが規定されておりまして、証明の内容として、的 確に行われたことというのが入っている関係で、こうした様式にしているところでござ います。 ○井形委員  わかりました。 ○大塚委員  井形先生がおっしゃったことなんですけれども、私も、これをちょっと見ていると、 判定医が自分で自分を証明しているみたいなもので、第三者がこれを的確だよと言って いるわけじゃないんですね。ですから、例えば、判定医療機関の下に判定医が2人、名 前を書くところがございますね。その判定医と、最後の作成者の判定医と同じ人でもい いんですか、これは。 ○玉川補佐  判定医と同じ者が署名することとしております。 ○大塚委員  同じ人でいいんですね。上の2人の人のうちの1人が最後に作成者としてサイン、捺 印してよろしいんですね。これは2人とも書くんだ。判定した人が、その人が、例えば Aさん、Bさんが判定したとすると、Aさん、Bさんの名前も書くわけですね。 ○玉川補佐  さようでございます。 ○大塚委員  ちょっとおかしな感じがしますけれども。例えば、脳死判定委員会の委員長が署名す るとかというのなら話はまたわかるんですけれども、私が判定して、私の名前で的確に やりましたと自分で自分を証明しているようなことになるんじゃないかと思うんですが ね。そのへんは、どうでしょう。 ○貝谷室長  これは、法律の規定が、まさに判定を行った医師が、確実に自分は判定をしたという ことを、移植をする先生に伝えるためにやるべしというのが法律の精神ですので、実際 上は脳死判定委員会ではなくて、法律上は、まさに判定を行った方が書いていただく必 要があります。しかし、この書式まで、そこまでとらわれてやるのがいいのかどうか。 そこは、ちょっと一度、検討させていただきたいと思っております。 ○黒川委員長  これは、まだちょっと要検討事項でよろしいですか、次回。 ○大塚委員  これでいいとおっしゃるならば、それは簡単ですから、僕らにとっては。 ○黒川委員長  そうですね。しかも、これ、判定医が書くということを、わざわざ作成者の一番下の ところに書いてあるわけだから、ほかのチョイスがないことになっちゃいますね。機関 の長でもいいような気もしないでもないけれども。 ○大塚委員  そうですね。病院長とか、あるいはセンター長とかという方が証明するというのは、 またひとつのやり方だと思いますけれども。 ○黒川委員長  判定医も可とか何とか言うんだったらね。 ○大塚委員  これで国のほうがこれでいいとおっしゃるならば、これで私はいいですから。 ○貝谷室長  これは法律上の議論なものですから、法律上の規定で、判定を行った医師の法的な義 務としてこういった書面を作るというのが定められております。したがいまして、この 書面を移植医なり摘出医に渡さなければいかんわけです。したがって、これは、こうい う内容で定めてありますが、ただ、現場になじみやすいような表現が書式例としてとれ るかどうか、ここはもう少し工夫の余地があるかもしれません。 ○黒川委員長  そうですか。ちょっと工夫してみてください。これでいいというのであれば、これで いいと。法律はそういうものだということかもしれませんけれどもね。  それから、20ページの記録閲覧請求書というのは、さっきから何となくみんな頭の 中にもやもやしているのがある理由は、この書式の問題じゃないかと、ちょっと私、 今、思ったんですが。ひとつは、移植のドナー側に関するものがアクセスできるものと いうのは決まっているわけですよ。そうなると、そこにはっきり書いておいたほうがい いんじゃないですか。要するに、ドナー側だというのであれば、これとこれしかないん だからという話で、それを全部欲しいのか、その一部なのかという話がはっきり出て、 レシピエント側の場合には、これしかないんだよという、全く別の書式にしておかない と、もらったところがうっかり間違えることもあるしということがあるんじゃないか な。そのへんがちょっとはっきりしていないんじゃないですか。 ○貝谷室長  わかりました。次回までに検討させていただきます。 ○黒川委員長  検討というか、直すということで。 ○貝谷室長  そういう方向で直させていただきます。 ○黒川委員長  ほかに。はい、どうぞ。 ○谷川委員  非常に細かいことなんですけれども、7ページ、13ページ。 ○黒川委員長  書式の7ページ。 ○谷川委員  7ページと13ページ。細かいことなんですけれども、免疫学的な検査で、HBe抗 原と書いてありますけれど、これ、B型のウイルスがキャリアかどうかというのは、H Bs抗原のほうがいい。e抗原が陽性か陰性かというのは、ウイルスがたくさんいるか 少なくいるかということなんです。これはどうなんでしょう。少なくとも肝臓を移植す る場合には具合悪いんですけれども、腎臓だったら、Bのキャリアでも、ウイルスが少 なくてもいいかどうかという。特にウイルスのキャリアでもいいのかどうかということ で、心臓やら腎臓だと少しはウイルスがいてもいいよと。e抗原抗体陽性というのは非 常に、抗原陰性というのは非常に妙な、むしろBのキャリアだったらHBs抗原陽性か どうかのほうが適当じゃないかと。本当は肝臓を移植する場合は、もっと厳密にやらん といかんのですけれども、少なくともウイルスがやたらキャリアがいるかいないかだっ たら、HBs抗原陽性か陰性のほうが。e抗原というのは、ウイルスがたくさんいるか 少なくいるかということの判定にむしろ使われるので、ウイルスのキャリアだけだった らs抗原陽性か陰性のほうが。 ○黒川委員長  これは、移植、肝臓の場合の適用についてはどうなっているんですか。それと一応整 合性があるはずだと思うんだけれども。 ○重藤補佐  HBsですか。 ○谷川委員  s抗原のs。s抗原陽性のほうがウイルスがキャリアかどうかということ。 ○黒川委員長  これは厚生省の臓器移植のいろんな研究班その他でも、そうなっているわけですか。 それと一応合っていたほうがいいと思うんだけれど。 ○重藤補佐  HBsだと思います。 ○黒川委員長  これは間違い。 ○重藤補佐  感染ということで頭があったために、eとなったんだと思います。 ○谷川委員  sのほうが適当だと思います。 ○黒川委員長  では、sに直したほうがいいということですね。これは間違い。 ○重藤補佐  適応基準のほうにあるものと合わせますので。 ○黒川委員長  そうですよね。そうしてください。 ○谷川委員  10ページもそうですね。 ○眞鍋委員  これも細かいことですが、日本語とそうでない言葉とで、否定の否定というのが非常 にややこしくなるんじゃないかなという感じがしますので。この頃の若い人は、「いな いか」と言ったら、「はい」と言うか、「いや、いない」という、否定が英語と同じよ うな否定を考える人のほうが多くなりつつあるように思うので、否定していない「は い」というのがどっちなのかということがわかりにくいんじゃないかと。どちらかとい うと、「否定していない」、「否定している」というふうに、答えのほうをちゃんと明 確に書いておいたほうがいいんじゃないでしょうか。 ○黒川委員長  例えばどこでしょうか。 ○眞鍋委員  4ページの「家族が脳死判定を否定していない」、「はい」「いいえ」というのがあ りますね。この「はい」というのが、否定しているのか、いないのかというのがわから なくなるような、「否定していない」というのを「はい」という答えで間違うんじゃな いかという感じがするので。だから、「否定していない」という答えをここへ書いてお いたほうがいいんじゃないかと思います。「いいえ」のほうは、「否定している」とい うふうに書いておいたほうがいいんじゃないかと思うんですが、いかがですか。 ○貝谷室長  明確化いたします。 ○黒川委員長  確かにそういうことはなきにしもあらずですね。ほかに。どうぞ、大久保委員。 ○大久保委員  13ページなんですけれども、実は、12ページからの臓器移植記録書式例の、「移 植を行うことに承諾がある (はい・いいえ)」というのがあるんですが、これは厚生 省令のほうからいきますと、基本的に承諾するのが、本人もしくは家族ですよね。基本 的に普通は本人なはずで、そういうことで2つ、どちらでも書けるということなんです ね。  本人が現実に意思表示ができれば、ここは本人ということですね。意思表示ができな い場合だけに家族ということですか。 ○黒川委員長  13ページ。 ○大久保委員  12ページからの分の、その次の、12ページの書式の2ページ目、要するに13 ページの、「移植を行うことに承諾がある (はい・いいえ)」の段なんですけれど も、基本的には本人が意思表示ができないときのみ家族で、本来はこれ、本人でいいと いうことですよね。それの確認なんですけれども。 ○玉川補佐  大久保委員ご指摘のとおり、省令上も、移植術を受けた者、またはその家族が移植術 を行うことを承諾した旨となっており、通常のご本人が承諾するような場合であれば、 その旨を、小児等の場合とか、ご家族の場合ということになれば、その家族の承諾とし て記載するということになると思います。 ○大久保委員  ここを見ると「続柄」と書いてあるから、「本人」と書けばいいのかもしれないけれ ども。 ○玉川補佐  そのとおりでございます。 ○黒川委員長  本人でない場合は、どういう続柄かということですか。 ○大久保委員  本人の場合でない場合はこの家族、要するに続柄を書くということですね。 ○座間委員  承諾書の臓器摘出承諾書。 ○黒川委員長  何ページですか。 ○座間委員  19ページのほうのことでもよろしいでしょうか。この承諾書を見ますと、1番に脳 死後、2番に心臓が停止した死後というふうに分かれているんですけれど、前回のとき にもちょっと小柳委員のほうからも出ましたけれど、当初は脳死下での提供を承諾して いたけれど、状況によって心停止下での提供というようなことが起きるような場合を想 定して、1、2を同時に作成してもよろしいのでしょうか。 ○貝谷室長  これは、特に、1番の「脳死後」ということを明示的に意思表示をするためにこうい う規定を設けておりますが、そういう趣旨であれば、1番と2番あわせて、腎臓の場合 ですと両方可能性がありますし、それは丸を付けていただくのは一向に差し支えないと 思います。 ○座間委員  そうしますと、心臓が使えなかった場合、心臓弁に移行するということは可能なわけ ですね。 ○貝谷室長  それは、ここの議論とはまた別の議論かと思います。前回、その点は。 ○座間委員  この書式ですと、組織や何かはその他のところに書き込んでいただけばいいわけです よね。 ○玉川補佐  この書式は臓器移植法に基づくもの、そのための同意の書式としてということでござ いますので、心臓弁については組織となりますので、この法令により記載が必要となる 書面の範囲からは外れてまいります。実際、そうしたものを行うに当たっては、現在に おいても遺族の方の承諾という手続等が必要となると思いますけれども、それは、ここ で示している書式とは法令上別のものとして考えることになります。したがいまして、 そうしたものについて書面を用意していただくことはあり得ると思いますけれども、こ の場で定められているものについては、そうした組織について記載することを想定して 作成したものではありません。 ○座間委員  そうしますと、ここで「その他」というのは、組織ではなくて臓器のことを言ってい るのでしょうか。 ○重藤補佐  今、実際的に可能かどうかは別として、死後の心臓停止後の肝臓移植とか肺の移植と か、もし医学的に可能であれば、もしそういうものを「その他」ということで、あり得 るということで「その他」にしております。ただ、組織については、この法律の枠外で ございますので、別途、承諾書をきちんと取っていただくということになるかと思いま す。 ○座間委員  わかりました。 ○眞鍋委員  そうしたら、このところの同じ19ページなんですが、「心臓が停止した死後、移植 のために臓器の摘出を受けることに異存ありません」というのに対して腎臓と角膜があ りますが、角膜というのは、もう組織になってしまうし、実際は摘出ということになり ますと、眼球を摘出するのであって、「眼球」というふうにしておかないといけないと 思うんです。眼球銀行のほうも全部、角膜銀行ではなしに眼球銀行という名前でやって おりますので。 ○玉川補佐  申し訳ありません。書式でございますけれども、十九ページの上のほうについては、 本則のほうに対応したものでございますけれども、下の2番のところにつきましては、 省令の附則第三条第1項の摘出記録に付属、添付させることについて念頭に置いた書式 例でございます。こちらは、法律の附則のほうが従来の角・腎法、角膜と腎臓について 規定しているという関係から、法律上の扱いとしましては腎臓と角膜ということを記載 したほうが法令上は明確ではないかということで角膜という表現を使わせていただいて いるものでございます。 ○黒川委員長  これは、従来の問題と、新しい法律ができて、省令ができて、それから附則で従来の やつはそのまま生きているということを書いているわけなので、実際の書式その他、今 回の法令、省令に合わせたものをまず整備してということをしているんでしょうね。そ のへんが、実際にこういうのが決まったら、法律的には問題がないとして、実際の施行 に当たっては現場の人たちの混乱がしないように十分ないろいろなキャンペーンといい ますか、指導というか、コミュニケーションをよくするということは大事になるんじゃ ないでしょうかね。これとはちょっと別の問題だと思いますからね。 ○眞鍋委員  問題は、今、アメリカなんかでもだんだん技術が進歩して、眼球をとらなくても角膜 だけをいただいたらいいという方向に変わりつつある。日本人の心情としては、眼球を とるのはだめだけれども、角膜だけだったら提供してもいいよという人が非常に多くな ってきつつあるということもあって、それのほうの技術がだんだん進歩しつつはあるん ですね。そうなりますと、角膜になりますと、もう組織ですから、こういうものにはと らわれなくなるのかなという感じはするんですけれどもね。角膜の移植に関する法律と して取り扱われるものはすべて眼球として今までは取り扱われておったから、法案の中 にも取り入れられたんだろうと思うんですが、それが角膜として独立して取り扱われる ようになりますと、ちょっとややこしいことが起こるんじゃないかなと、ちょっと危惧 しておるんですがね。 ○貝谷室長  表現は、法律なり省令上の文言に合わせまして、ここは角膜ではなくて眼球というこ とに直す必要があるだろうと思います。 ○黒川委員長  そうですね。眼球だけれど、実際のところは角膜だけで目をとるわけではないですよ というのは、技術の進歩だということですよね。それは、実際の現場で説明すればいい ことじゃないかなという気はしますけれどもね。法律的には、まだ角膜と腎臓があるわ けですから。  そのほかに、いかがでしょうか。 ○桐野委員  細かいことなんですけれども、死亡日時は何時何分、これは当たり前ですね。ところ が、臓器摘出と移植については、日時を明確にするようにというふうに書いてあるんで すが、省令では。書類では何時何分まで書いてあるんですが、この何時何分というの は、どこをもって決めるかというようなことはあるんでしょうか。 ○黒川委員長  例えば6ページ。 ○桐野委員  そうです。6ページ、それから12ページ。9ページにもありますね。 ○玉川補佐  摘出ないしは移植という行為が行われました時点ということを考えております。 ○貝谷室長  一応法令上の用語としては日時というのが通例でございまして、一般的には、事柄に 応じて、何分ということが必要のある場合には、当然その分まで記載していただくこと になろうかというふうに思います。事柄の性質によって、日時という表現でどこまで書 くかということになると思っております。 ○重藤補佐  臓器として取り出した時間を、大体、そんな何秒まで誤差があってはいけないという 代物ではないかと思いますので、大体取り出した時間をお書きいただければと思いま す。 ○黒川委員長  この死亡日時は、その場合は脳死の判定をした時間。2度目の。 ○貝谷室長  この臓器摘出、臓器移植を行う前提で行った場合には、2回目の判定時間というとこ ろをもって死亡時刻ということになる。これは、後ほどのガイドラインの議論に入ると 思います。 ○黒川委員長  実際に摘出した日時を書いてくださいということですね。  そのほかに。またいろいろあるかと思いますが、一応ここでは、それでは、この書式 のことは一応議論を打ち切らせていただいて、またもし何かありましたら、次回、持ち 出していただいて結構だと思いますが、きょう、いろいろなところが指摘されましたの で、そのへんについて、ちょっと事務局案としてお願いしたいと思います。  それでは、よろしいでしょうか。では、議題の2のほうに行きたいと思うんですが、 いろんなガイドラインについて試案がありますので、それについて事務局から説明して いただいて、いろいろご意見を伺いたいというふうに思います。 ○重藤補佐  それでは、資料の4でございます。私のほうから、全部、まず読み上げさせていただ きます。   「臓器の移植に関する法律」の運用に関するガイドライン(厚生省試案)    平成9年8月18日 1 書面による意思表示ができる年齢等に関する事項  臓器の移植に関する法律(平成9年法律第104号。以下「法」という。)における 臓器提供に係る意思表示の有効性について、年齢等により画一的に判断することは難し いと考えるが、民法上の遺言可能年齢等を参考として、法の運用に当たっては、15歳 以上を目安として判断すること。  知的障害者等の意思表示については、一律にその意思表示を有効と取り扱わない運用 は適当ではないが、これらの者の意思表示の取扱いについては、今後さらに検討すべき ものであることから、主治医等が家族等に対して病状や治療方針の説明を行う中で、患 者が知的障害者等であることが判明した場合においては、当面、法に基づく脳死判定は 見合わせること。 2 遺族及び家族の範囲に関する事項 (1)法に規定する「遺族」については、一般的、類型的に決まるものではなく、死亡した 者の近親者の中から、個々の事案に即し、慣習や家族構成等に応じて判断すべきもの であるが、その範囲は、原則として、配偶者、子、父母、孫、祖父母及び同居の親族 の承諾を得るものとし、喪主又は祭祀主宰者において、前記の「遺族」の総意を取り まとめるものとすることが適当であること。ただし、前記の範囲以外の親族から臓器 提供に対する異論が出された場合には、その状況等を把握し、慎重に判断すること。 (2)法に規定する「家族」においても、上記「遺族」についての考え方に準じた取扱いを 行うこと。 3 臓器提供施設に関する事項  法に基づく脳死した者の身体からの臓器提供については、当面、次のいずれの条件を も満たす施設に限定すること。 (1)臓器摘出の場を提供する等のために必要な体制が確保されており、当該施設全体につ いて、脳死した者の身体からの臓器摘出を行うことに関して合意が得られているこ と。 なお、その際、施設内の倫理委員会等の委員会で臓器提供に関して承認が行われてい ること。 (2)適正な脳死判定を行う体制があること。 (3)救急医学等の関連分野において、高度の医療を行う次のいずれかの施設であること。 ただし、最初の数例の脳死した者の身体からの臓器提供については、大学附属病院 (本院)及び日本救急医学会の指導医指定施設に限ること。 ・大学附属病院 ・日本救急医学会の指導医指定施設 ・日本脳神経外科学会の専門医訓練施設(A項) ・救命救急センターとして認定された施設 (4)なお、上記(3)の「最初の数例」に関する判断については、厚生省において、臓器移 植ネットワーク、関係学会等と協議の上、別途示すものとすること。 4 脳死した者の身体から臓器を摘出する場合の脳死判定を行うまでの標準的な手順に 関する事項 (1)主治医等が、臨床的に脳死と判断した場合(臓器の移植に関する法律施行規則(平成 9年厚生省令第 号。以下「施行規則」という。)第2条第2項各号の項目のうち第 5号の「自発呼吸の消失」を除く、第1号から第4号までの項目のいずれもが確認さ れた場合。)以後において、家族等の脳死についての理解の状況等を踏まえ、臓器提 供に関して本人が何らかの意思表示を行っていたかについて把握するよう努めるこ と。家族等から、その意思表示の存在が告げられた場合、又はその意思表示の存在の 可能性が考えられる場合には、主治医等は、臓器提供の機会があること、及び承諾に 係る手続に際しては主治医以外の者(臓器移植ネットワーク等のコーディネーター) による説明があることを、口頭又は書面により告げること。   その際、説明を聴くことを強制してはならないこと。   なお、法に基づき脳死と判定される以前においては、患者の医療に最善の努力を尽 くすこと。 (2)主治医以外の者による説明を聴くことについて家族の承諾が得られた場合、主治医 は、直ちに臓器移植ネットワークに連絡すること。 (3)連絡を受けた臓器移植ネットワークにおいては、直ちにコーディネーターを派遣する こと。派遣されたコーディネーターは、主治医から説明者として家族に紹介を受けた 後に、家族に対して、脳死判定の概要、臓器移植を前提として法に規定する脳死判定 により脳死と判定された場合には、法において人の死とされていること、本人が臓器 を提供する意思及び脳死判定に従う意思を書面で表示し、かつ、家族が臓器提供及び 脳死判定を拒まない場合に、脳死した本人から臓器を摘出することができること等に ついて必要な説明を行うとともに、本人が書面により脳死の判定に従い、かつ臓器提 供に関する意思を表示しているか否かについて書面により確認すること。また、家族 が、脳死判定を行うこと及び臓器を提供することを拒まない意思があるか否かについ て確認すること。   主治医は、家族が希望する場合には、これらの者の説明に立ち会うことができるこ と。   なお、説明に当たっては、脳死判定を行うこと及び臓器を提供することに関する家 族の承諾の任意性の担保に配慮し、承諾を強要するような言動があってはならず、説 明の途中で家族が説明の継続を拒んだ場合は、その意思を尊重すること。また、家族 の置かれている状況にかんがみ、家族の心情に配慮しつつ説明を行うこと。 (4)脳死を判定する医師は、本人が書面により脳死の判定に従い、かつ臓器を提供する意 思を表示していること並びに家族も脳死判定を行うこと及び臓器を提供することを拒 まないこと又は家族がいないことを確認の上で、法に規定する脳死判定を行うこと。 5 臓器移植にかかわらない一般の脳死判定に関する事項  法は、臓器移植の適正な実施に関して必要な事項を定めているものであり、臓器移植 にかかわらない一般の脳死判定について定めているものではないこと。このため、治療 方針の決定等のために行われる一般の脳死判定については、従来どおりの取扱いで何ら 差し支えないこと。 6 角膜及び腎臓の移植の取扱いに関する事項  角膜及び腎臓の移植に関する法律(昭和54年法律第63号)は、法の施行に伴い廃 止されるが、いわゆる心停止後に行われる角膜及び腎臓の移植については、法附則第4 条により、従来どおり、本人が生存中に眼球又は腎臓を移植のために提供する意思を書 面により表示していない場合においても、当該眼球又は腎臓の摘出について、遺族から 書面により承諾を得た上で、摘出することができること。  また、いわゆる心停止後に行われる腎臓摘出の場合においても、通例、心停止前に脳 死判定が行われているが、この場合の脳死判定は治療方針の決定等のために行われるも のであり、法第6条第2項に定められた脳死判定には該当しないものであること。した がって、この場合においては、従来どおりの取扱いで何ら差し支えなく、法に規定する 脳死判定を行うに先だって求められる本人の脳死判定に従う等の意思表示及びそれを家 族が拒まない等の条件は必要でないこと。 7 臓器摘出に係る脳死判定に関する事項  (1)脳死判定の方法   法に規定する脳死判定の具体的な方法については、施行規則において定められてい るところであるが、さらに個々の検査の手法については、「厚生科学研究費特別研究 事業脳死に関する研究班昭和60年度研究報告書」、及び平成3年2月に公表された 「厚生省『脳死に関する研究班』による脳死判定基準の補遺」に準拠して行うこと。   なお、以下の項目については、特に留意すること。 ア)無呼吸テスト    (検討中) イ)補助検査  補助検査については、家族等に対して脳死判定結果についてより理解を得るためのも のとして意義が認められるが、信頼性や簡便性などの観点から、聴性脳幹反応(上記報 告書における聴性脳幹誘発電位検査法)が有用であり、施行規則第2条第5項に規定さ れているように、できるだけ実施するよう努めること。 ウ)判定医  脳死判定は、脳神経外科医、神経内科医、救急医又は麻酔・蘇生科・集中治療医であ って、それぞれの学会専門医又は学会認定医の資格を持ち、かつ脳死判定に関して豊富 な経験を有し、しかも臓器移植にかかわらない医師が2名以上で行うこと。  臓器提供施設においては、脳死判定を行う者について、あらかじめ倫理委員会等の委 員会において選定し、氏名、診療科目、専門医等の資格、経験年数等について、院内の 見やすい場所に掲示する等の手段により公表すること。 エ)観察時間  第2回目の検査は、第1回目の検査終了時から6時間を経過した時点において行うこ と。  ただし、脳死判定を受ける者の年齢、脳死に至った原疾患、経過等を考慮し、二次性 脳障害等医学的な必要があると判断される特段の理由がある場合には、更に長時間観察 すること。観察時間を延長した場合、その理由を脳死判定の記録における「その他判定 を行った医師が必要と認めた事項」の欄に記載するとともに、事後、臓器提供施設の倫 理委員会等の委員会に報告を行うこと。 オ)その他  いわゆる脳低温療法については、脳卒中や頭部外傷等の脳障害の患者に対する新しい 治療法の一つであり、脳死した者を蘇生させる治療法ではないこと。  また、脳死判定を開始するに当たっては、それ以前に原疾患に対して行い得るす べての適切な治療が行われたことが当然の前提となるが、脳低温療法の適応について は、主治医が患者の病状等に応じて判断するべきものであり、当該治療法を行うことを 脳死判定の実施の条件とはしていないことに留意すること。 (2)脳死の判定以後に本人の書面による意思が確認された場合の取扱い   7(1)の脳死判定基準と同じ基準により一般の脳死判定がされた後に、本人の書面に よる意思や家族の承諾が確認された場合については、その時点で初めて法に規定する 脳死判定を行う要件が備わると考えられることから、改めて、法に規定する脳死判定 を行うこと。 (3)診療録への記載   法に規定する脳死判定を行った医師は、法第10条第1項に規定する記録を作成し なければならないことは当然であるが、当該記録とは別に、脳死判定の検査結果につ いて患者の診療録に記載し、又は当該記録の写しを貼付すること。 8 死亡時刻に関する事項  法の規定に基づき脳死判定を行った場合の脳死した者の死亡時刻については、脳死判 定の観察時間経過後の不可逆性の確認時(第2回目の検査終了時)とすること。  また、死亡診断書の記載に際しては、脳死判定により死亡診断がなされた場合には、 死亡時刻の記載の他に、脳死判定に係る第1回目の検査終了時の時刻についても、死亡 診断書の「その他特に付言すべきことがら」の欄に併せて記載すること。 9 臓器摘出に至らなかった場合の脳死判定の取扱いに関する事項  法の規定に基づき、臓器摘出に係る脳死判定を行い、その後移植に適さない等の理由 により臓器が提供されない場合においても、当該脳死が判定された時点(第2回目の検 査終了時)をもって「死亡」とすること。 10 移植施設に関する事項 (1)脳死した者の身体から摘出された臓器の移植の実施については、移植関係学会合同委 員会において選定された施設に限定すること。 (2)移植関係学会合同委員会における選定施設が臓器移植ネットワークにおける移植施設 として登録され、その施設だけに臓器が配分されること。 (3)移植施設の見直し・追加については、移植関係学会合同委員会における選定を踏まえ て適宜行われること。 11 その他の事項 (1)公平・公正な臓器移植の実施   移植医療に対する国民の信頼の確保のため、移植機会の公平性の確保と、最も効果 的な移植の実施という両面からの要請に応えた臓器の配分が行われることが必要であ ることから、臓器(角膜を除く。)のあっせんを一元的に行う臓器移植ネットワーク を介さない臓器の移植は行ってはならないこと。また、海外から提供された臓器(角 膜を除く。)についても、臓器移植ネットワークを介さない臓器の移植は行ってはな らないこと。 (2)我が国における合衆国軍隊基地からの臓器の提供   (検討中) (3)法令に規定されていない臓器の取扱い   臓器移植を目的として、法及び施行規則に規定されていない臓器を死体(脳死した 者の身体を含む。)から摘出することは、行ってはならないこと。 (4)個人情報の保護   移植医療関係者が個人情報そのものの保護に努めることは当然のことであるが、移 植医療の性格にかんがみ、臓器提供者に関する情報と移植患者に関する情報が相互に 伝わることのないよう、細心の注意を払うこと。 (5)摘出記録の保存   臓器の摘出に係る法第10条第1項の記録については、摘出を行った医師が所属す る医療機関の管理者が保存することとされているが、当該摘出を行った医師が所属す る医療機関以外の医療機関において臓器の摘出が行われた場合には、臓器の摘出の記 録の写しを当該摘出が行われた医療機関の管理者において保存すること。 (6)検視  (検討中) (7)組織移植の取扱い   法が規定しているのは、臓器の移植等についてであって、皮膚、血管、心臓弁、骨 等の組織の移植については対象としておらず、また、これら組織の移植のための特段 の法令はないが、通常本人又は遺族の承諾を得た上で医療上の行為として行われ、医 療的見地、社会的見地等から相当と認められる場合には許容されるものであり、かか る取扱いについては今後も変わらないものであること。  以上でございます。 ○黒川委員長  どうもありがとうございました。このようなガイドラインを全部読んでいただいたわ けですが、一応、事項がたくさんありますから、その一つひとつについてご審議いただ ければと思います。よろしいでしょうか。  では、資料4に沿って、今のガイドラインですが、まず第1、書面による意思表示が できる年齢等に関する事項、これについてはいかがでしょうか。一応15歳以上にして ありますが。それから知的障害者のこと。  これ、15歳とすると、あとにまた、これは今回はちょっと違うんですが、子どもの レシピエントの場合どうするかという問題が出てくると思うんですよね。例えば、5歳 の子がいるとか、そういうときどうするかという話が出てくるんですが。それは、また それでしなくちゃいけないんですが。  書面による意思表示ができる年齢。そうすると、15歳、16歳の人にも、一応ド ナーカードみたいなものを配っておくということですかね。できればですね。そういう のをサインして持ちたい人がいれば持っていてもよろしいよということですかね。多分 ね。  何かご意見ございません。  これもかなり議論はされているところなんですが。そうすると、またご意見ありまし たらいただくとして、2番に移りましょうか。遺族及び家族の範囲に関する事項。これ は、なかなか難しい、いろんな意見もあるかと思いますが、これについてもご意見をい ただければと思います。これは、付いているどこかの資料にいろいろ、国会の議論がど うなったかというのがありまして。 ○貝谷室長  資料の5ですね。 ○黒川委員長  資料5ですね。国会の審議で、もちろん、遺族とか家族という話の、いろいろな法令 で使われているわけですが、それについていろんな議論がここに書いてあります。これ も参考で、また読んでいただければと思うんですが。例えば、15歳にしている理由と か、いろんな議論がされている。それから、家族とは何だというような、いろいろな議 論と、それから、家族、遺族、親族なぞを用いた法令の例が5ページ目にちょっと出て おりますけれども、こういうのを参考にしながらこのガイドラインは作られているとい うふうに思います。  確かに遺族のサインも、さっきの書類からいうと、一人の人が最終的にはサインする ことになっていますよね。そこまで、中までこちらがいちいち口出すことじゃないし、 家族によって構成とか歴史が全部違うし、誰が代表かというのも家族によってだいぶ違 うと思うんですが。これはかなり、ガイドラインを作成する事務局側としては苦労され たところじゃないかと思いますけれども。  何か言えと言われても、なかなかすぐ言えるような問題じゃないということも確かな んですね。いろんな事案があるから。これはどうだ、あれはどうだと言われても、じゃ あ、自分の胸に手を当てて、私のうちだったら、自分が脳死になったらどうだろうかと 考えると、みんなかなり事情は違うんじゃないかと思うんですね。それを一言で言えと いわれても難しいんじゃないかと思いますが。 ○大久保委員  真ん中の下のほうですけれども、「前記の範囲以外の親族から臓器提供に対する異論 が出された場合には、その状況等を把握し、慎重に判断する」と、これはなかなか難し いことじゃないかなと。基本的には、こういった問題というのは家族に任せるのがね。 要するに、家族の中で合意が得られればそれでいいのかというところをある程度出さな いと、一人でも絶対反対したらだめなんですよというのか、それとも、それは家族の中 で基本的に話し合って、やろうということであればいいのか、ちょっとこれだとわかり にくい。家族としても、どういうふうに判断していいのかね。一人でもいたらだめなの かなというふうに思うのか、それともそうじゃなくて、その問題に関してはすべて家族 が基本的に決めることですよということをもう少し明確にしたほうがいいんじゃないか なと思うんですけれども。 ○黒川委員長  どうですか。 ○貝谷室長  いろんなケースがあって一概に言えない部分はありますが、今回この試案を作りまし た考え方は、先ほど委員長がおっしゃいましたように、一定の家族の範囲ということは 当然想定しながらも、最後は喪主なり祭祀主宰者などの、代表的な方が全体の意見をま とめてほしいんだと。そういう形でなければ、なかなか実際は難しいんだというところ がポイントでございまして、そういう中で、いや、その範囲外の人から異論が出たら、 まずはいろいろ話はしてもらうけれども、最終的にまとまらなければ、なかなか実際上 難しいでしょうと。これまでの角膜なり腎臓なりの移植の遺族の取扱いをお聞きします と、大体そんな取扱いであるようですし、まあまあ、こんなところかなというふうなこ とです。 ○黒川委員長  そのときに、医療従事者がどうするか、コーディネーターがどのように動くかという のは、なかなか簡単にはいかないんじゃないですかね。ケース・バイ・ケースで、例え ば僕らでも日常しょっちゅうあるのは、剖検の承諾をとるときに、何か3年も4年も会 ったことのない一番下の弟さんが、どこか遠いところから出てきて「絶対反対」なんて 言ったときにどうするかというような話と同じで、やはり遺族の人たちと話して、「さ あ、どうしますか」と、最終的な判断は向こうに任せるということですけれども、それ しかできないですよね。 ○大久保委員  もうひとつ。一応家族の方が承諾されて、実際に脳死判定をされて摘出に移ったとき に、今の話じゃないけれども、地方から誰かが出てこられて、「いや、もう絶対反対な んだ」という話が出たときに、どこの段階で中止をするのかしないのか。ここまできた ら、要するに脳死判定をして、実際に摘出のほうまで、もう準備にかかっているときだ ったら、そのままいくのか、それとも、どうしても一人強硬な人が出てきたらどうする のかとかね。現実問題としては結構ある話だと思うんですよ。 ○黒川委員長  それから、その強硬意見を言う人が、兄弟ぐらいだったらいいけれど、又いとこぐら の人でもそういうことを言いかねない場所はいくらでもあると思いますよ。 ○小柳委員  私自身、大変リスクの高い手術をしておりますので、非常に似た場面でインフォーム ドをしていると思っておりますけれども。実際に、委員長がおっしゃったように、普段 会ったことのない遠くのおじさんとか、こういうときに張り切られる親族の方がいらっ しゃって、そういう方が実際に一人反対された場合には事は進まないというふうに思っ ておりまして、特に、脳死臓器移植がスタートしての数年、1、2年は、この点がおそ らく何か問題を起こすきっかけになるかと思いますけれども。この「慎重に」という言 葉を選ばれたところには、ある程度慎重にという意味が含まれていると思っております が、これは非常に現実に即しておりまして、実際には反対があったらできないと思って おります。 ○大久保委員  どの時点で、ある程度進んでいた段階でもやめにするのか。 ○小柳委員  多くは、そういう方が遅れて来られますが、そういうときにも撤退するということで すね。 ○大久保委員  どの段階においても。 ○小柳委員  そういうふうに私は理解しております。将来、そういう事情が変わるといいなと思っ ておりますけれども。 ○黒川委員長  そこで強引に推し進めても、なかなか事は難しいんだけれども、それはあくまでも、 その方の家族の問題で、遠いおじさんだか何か知らない人が来て、絶対反対と、小柳先 生がおっしゃったように、そういうときに限ってそういうことを言う人というのはいる んですよね、確かに。僕らもしょっちゅうそういう経験はあるんだけれども。そういう ときは、最終的には遺族の判断に任せて、「さあ、どうしましょうか」ということで、 こちらはやっぱり手を引いて見ているよりしようがないんじゃないかな。ある程度相談 を受けたときにはしますけれども。もちろん、ニュートラルな立場でお話はさせていた だくつもりでは、主治医としてはいつもそうしていますけれどもね。 ○大久保委員  摘出した後だったら。 ○黒川委員長  それがもう一つ別の問題で、そのときには承諾書をもらっているわけですよね。その 承諾書にサインされた後に遠くのおじさんが来ちゃっていろんなことを言ったという話 は、もうしちゃったんだからどうだ。それでも納得できないからやめろと言い張ったと きにどうするかということでしょうね。法律的なプロセスは通っているわけだから、そ れはあり得る話だと思います。 ○座間委員  現実に腎臓の場合ですと、配偶者、お子さんから承諾書をいただいて、ご兄弟から、 時間がある程度たったときに反対があった。その場合は、やはりご家族の中でもって結 論を出していただく。それが、準備にもう既に入っている状況でも、その結論によって 撤退することはあります。ただひとつ、今、大久保委員の話を聞いていて、摘出に入っ た時点でそれが出たときにどうするのかなというのは、ちょっとわかりませんけれど も。 ○大久保委員  摘出に入っているとか、摘出してしまったというときは、基本的に今度はレシピエン トのほうの側もある程度準備に入っているんですね。だから今度はレシピエント側のほ うの人権をどうするのかということになってくると思うので、そのへんをちょっと。決 めるか決めないかは別にしても、少し議論をしておいたほうがいいのではないかと思っ ております。 ○黒川委員長  そうですね。遺族の方にいろいろコーディネーターが説明されて、サインをして、承 諾していろいろ準備が始まって、摘出が始まって、摘出の時間も記録にサインしちゃっ て、どこか宙に浮いちゃったということもあり得ますよね。だけど、そのときに来てご たごた言われても、しかし大変だな。実際の現場としてはいろいろ対応はされるでしょ うけれども、そういうことを考えると。  遺族が、少なくとも遺族というのは、しょっちゅう一緒に生活している家族という人 たちが「うん」と言っているわけでしょうからね。そこで、さあ、だめだよと。実は脳 死じゃなかったんだなんて言われると、かえって困りますよね。心臓死なんだろうけれ ど、腎臓だけあげますなんていうと、まだ心臓は動いているんですよね。そういうこと になりかねないから、やはり、承諾書をもらった場合は、一応説明して、どうしても何 とかという話は、これは実際のケース・バイ・ケースで大変ですね。だけど、起こりう る話だと思うけれど、それは家族内の問題で、こういうふうになってしまってという話 で、相手の話もあることだからという話で、一応承諾書はいただいていますからという 話で納得していただくよりしようがないんじゃないかな。しかし、ケース・バイ・ケー スですね。法律では確かに言えないような問題がいくらでもある。何かありますか、事 務局としては。 ○貝谷室長  これは、今、大久保委員からもお話しがありましたように、レシピエント側がある種 準備段階に入っている場合には、提供者側の意思を100%尊重することができるかと いうのは、そこの段階では問題があると思います。別のほうの骨髄の移植なんかです と、完全にご本人が移植を前提に前処置をしていますので、移植を行えないということ は、ほとんど死を意味するケースもありますので、その場合には一定の条理上の制約が かかるというような説明がなされておりまして、弁護士さんなんかが間に入って取扱い をやっておりますけれども、かなりレシピエント側の準備状況が出てくる場合には、一 定の制約といいますか、今、委員長がおっしゃったような方向での扱いというのが望ま しいのではないかなというふうに思っております。 ○黒川委員長  実際の想定質問をいろいろしていても仕方がない部分も確かにあるんですね。そうい う場合は確かに、あとは法律的な問題で、弁護士さんが入ってくるような係争関係にな ってくるのかもしれませんね。  さて、それでは、第3、臓器提供施設に関する事項ですね。これは、大塚先生その他 で随分やっていただいておりますので、学会のご意見もある程度今まで随分聞いていま すので、こういうところなのかな、差し当たりは、ということですかね。これについて は、何かご質問、ご意見ございますか。ガイドラインとしてはこういうところではない かと思いますが。 ○座間委員  臓器提供が行える施設として、この4つの項目が挙げられておりますけれど、今回の 法律で、本人の意思、ご家族の意思ということが非常に重要な役割をというか、重要な 点として挙げられているわけなんですけれども、この4施設以外のところにそういう方 が入院していた場合で、ご本人の意思もあり、ご家族にも強い希望があった場合、こう いう場合はどうしたらよろしいのでしょうか。やってはいけないんでしょうか。 ○黒川委員長  何かご意見はありますか。それは大塚先生のほうで何か想定されているんでしょうか ね。 ○大塚委員  これは、学会ではこういうふうに決めておるんですけれども、これ以外のところから 提供者が出た場合には、きちっとした倫理委員会なり脳死判定委員会なり持っていると ころであれば、私は出していただいて結構だと思うんですね。我々、学会として、そこ から出すなという命令権もございませんし、そういう患者さんがいらっしゃったら、そ の病院の責任の下にお出しいただいて私はいいのではないかと思います。 ○黒川委員長  そのときに、判定その他について自信がないとか言われれば、外からエキスパートの 要請をするとか、いろんなことでやればいいということでしょうかね。それは、この文 言というのかな、それとは特に問題にはなりませんか。それについて何かご意見あるか しら。 ○貝谷室長  ガイドラインということで、私ども、こういう形でできるだけやってほしいというこ とでございますから、今のようなご方針であれば、これに抵触するということにはなら ないと思います。 ○黒川委員長  そうですね。これはガイドラインだから、あくまでも。 ○大久保委員  2で、適正な脳死判定を行う体制があるということだから、脳死判定ができるところ であればという、最低限脳死判定ができないと提供施設にはなれないんだろうと思いま すが。 ○重藤補佐  ただ、日頃のコーディネーター活動の中で、いろいろ救急現場についてコーディネー ターは情報を持っているかと思いますので、そういった脳死判定をきちんとできるかど うかということもあわせてネットワークが判断することになると思います。地区であれ ばブロックセンター長なりに、いろいろなことで相談をしながら、本当に提供していた だいて大丈夫かどうかという判断をするのかと思います。そこらへんについては個別事 例で、コーディネーター活動としては、情報を上げてもらうということに全力で動いて もらうことが必要で、脳死判定ができない施設から提供の申し出があった場合には、そ の関係者がいろいろ英知を絞って、本当にその体制があるのか、あるいは十分だという ようなことを判定することになります。これはコーディネーターとその施設だけで判断 するということじゃなくて、やっぱりシステム全体としての一応チェックをすることが 必要で、ガイドラインとはいえども、やはりそこはルールでございますので、そういう ことを勘案しつつ現場で判断いただくことが必要です。脳死判定をきちんとできるかど うかそうした能力の判断をした上でやっていただくというのが事務局の願いではござい ます。 ○黒川委員長  いかがでしょうかね。コーディネーターの方が一人で判断するわけじゃなくて、そう いうときがあったらどうするかって相談する人がたくさんいると思うんですよね。それ こそ、そういうのは、特に定着するまではいろんな人の意見を聞きながら判断するわけ なので、時間的な余裕が全然ないわけではないですから、多分そういうことはできると 思いますね。これはあくまでもガイドラインですから、そういうときどうするかといっ たら、いろいろ相談して、誰にでも明らかになるような格好での適正な判断をするとい うことが一番大事だということじゃないかしら。座間委員、いいですか、そういうこと で。  そのほかに、これについていかがでしょうか。  それから、4番ですね。脳死した者の身体から臓器を摘出する場合の脳死判定を行う までの標準的な手順。 ○大久保委員  これは、本人が脳死判定を認めている、いわゆる心臓等の場合なんですけれど、6の 角膜・腎臓には、全くこの話がないので、これだけを読むと、心停止後の、要するに本 人の意思が表示されていないときに、救急医と主治医としてはどうしたらいいかという ことが全く記されていない。これだけ見てしまうと、「ああ、この人は臓器提供の意思 があるな」と、「提供意思が表示できるな」というときのみ、コーディネーターのほう に通報するというだけになってしまう可能性があるんじゃないか。  だから、表示があるかないか、あればもちろん脳死で心臓とか肝臓の摘出可能、提供 ができますけれど、それ以外でも角膜と腎臓の提供はできるんですから、そういったこ とに関しても、主治医としてネットワークのほうに通報するようにする。家族に臓器提 供についての説明を受ける意思があるかどうか確認をするというようなことをどこかに 入れないと、これだけだったら、主治医が見て、脳死の表示があるかないか、本人が脳 死を容認しているかどうかという確認が全然とれなかったら、全く臓器ネットワークの ほうに通報が行かないのではないかと思いますけれども。 ○黒川委員長  これは、4だけを読むとそうだけれども、5、6を一緒に一括審議という格好でご質 問を受けたほうがいいのかな。書き方の問題かもしれませんが。4、5、6。4だけ読 んで、5、6は全然読まないというわけじゃないと思いますから、4、5、6というと ころで一緒に扱っていただいたほうがいいのかもしれません。4のあとに5、6という のがガイドラインに付いていると、それについては比較的問題は薄まるというか、はっ きりはしているんだと思うんですが。 ○眞鍋委員  もとへ戻って申し訳ありませんが、一番最初、書面による意思表示ができる年齢につ いても、一番最初に、臓器移植に関する法律における臓器提供に係るという、その前 に、脳死者からの臓器提供というふうに、脳死者という言葉を入れたほうがいいんじゃ ないでしょうかね。そうしないと、死後の腎臓提供でも15歳以上でなかったらの本人 の証明が要るということになってしまうので、脳死者からのというのを、但し書きをこ こにも入れておいたほうがはっきりしていいんじゃないかと思うんですね。 ○黒川委員長  これは法制上の問題、むしろ行政的な問題のほうに関わってくるんじゃないかと思い ますが、事務局としてはいかがですか。 ○貝谷室長  そこは、趣旨として私どもは、これで、今回の法律の原則的には、ご本人が意思表示 をするというのが法律の本則になりましたので、その上で、本人の意思表示というのは 一体何歳からということで書いております。今、お話がありましたように、附則で腎臓 と眼球、角膜についても、ご本人の意思にかかわらずといいますか、ない場合でもご家 族が判断できるという規定がありますので、そこと誤解が生ずるかどうかと。その規定 が、この記載によって誤解を受けるかどうかということですが、もしそこは危ないとい うことであれば。 ○眞鍋委員  次の2も3も、すべて「脳死した、脳死した」という説明が入っていますのでね。 ○黒川委員長  それは、行政的に、あるいは法制的に言うと、臓器の移植に関する法律というのが1 04号ですから、やっぱりそれを使っているということなんじゃないかと僕は思ってい るんだけれども、どうでしょうか。実施に当たって誤解を招きやすいという議論は、ち ょっとまた別の観点でやらなくちゃいけないんじゃないかなと思いますけれども。どう ですか、事務局としては。 ○貝谷室長  そこは、この法律の意思表示の有効性ということがありますので、附則にある眼球な り腎臓の特例も、この法律の中に入っておりますが、ただ、附則自体は家族の承諾、ご 遺族の承諾ということになっておりますので、直接このガイドラインの一番最初に書か れていることで何か問題が生ずるということは少ないのかなという感じがしていますけ れども。 ○黒川委員長  これはガイドラインだから、ガイドラインのこの一番最初に、第1番のその前に、一 言そういうことが書いてあると説明しやすいのかもしれないということはあり得ますか ね。ガイドラインにそれは書いてもいいかもしらんな。 ○貝谷室長  次回までに検討します。 ○黒川委員長  そのほかに、4、5、6を一括していますけれども、いかがですか。例えば、5と か、5の3行目の右端、「何ら差し支えない」とか、6の、3ページですけれども、6 の一番下から3行目の真ん中に、やはり「何ら差し支えなく」というのは、この「何 ら」という言葉は、やっぱり法律的にはあったほうがいいのかな。  もう一回言おうか。ガイドラインの3ページの5の、真ん中へんですけれども、5 の、一般の脳死判定に関するのも結構ですよと、やりなさいと、医療の判断として。そ れの3行目の右端に「何ら差し支えない」。その「何ら」という言葉がやっぱり、法律 上あったほうがいいのかな。 ○貝谷室長  いや、ここは特になくても。 ○黒川委員長  なくても何ら差し支えないんですか。どうですかね、これは。それから、角膜・腎臓 の下から3行目の真ん中もね。「何ら差し支えないんだよ」ということを言っているけ れど、あったほうがいいのかな。どうですかね。 ○小林局長 ないほうがいいです。 ○黒川委員長  ないほうがいいですか。いかがですか。なくていいんじゃないかな。  脳死判定の手順については、また、このあいだからのペンディングのことがあります が、それでは、7ですね。7の、臓器摘出に係る脳死判定に関する事項ということで、 判定の方法がずっと書いてありますが、無呼吸テストについては大塚先生のほうで、 今、作業班でやっていただいていると。  それから、いろいろな方法のことがあって、観察時間、その他がありますが、これは いかがですか。 ○大塚委員  このあいだ、すべての最後に、私ちょっとお聞きしたんですけれども、4ページのウ の判定医のところなんでございますけれども、最後のところ、「あらかじめ倫理委員会 等の委員会において選定し、氏名、診療科目、専門医等の資格、経験年数等について、 院内の見やすい場所に掲示する」ということをやれということなんですね。これは、具 体的には、当院の脳死判定医はこのような者ですということでもって名前をずっと羅列 するんですか。それで、見やすい場所ってどこを言っているんですか。これは、待合室 とかそういうところへ張り出すんですか。 ○重藤補佐  待合室とか、掲示板があれば、そこで、そういう氏名を羅列していただければ有り難 いなということでございます。そのへんは、きちっとやりますという意思表示としてで すね。 ○黒川委員長  そんなことまでやる必要はあるのかな。わざとらしいんじゃないですか。これはしか し、現場の人たちとか、一般の人たち、自分に脳死が起こるなんて思ってもいないし、 自分の家族にも思ってないという人たちが大部分、でも起こっちゃうんですよね。そう いうときに、そういうところにわざわざ書いている必要があるのかな。やっぱりコーデ ィネーターが来られていろいろな話をするとかいう話で、かなり情報の公開性という か、第三者性は担保されるんじゃないかという気がするけれども。わざわざこんなこと を書いて、普通の今の病院でも、私は何の認定医でございますなんてどこにも書いてな いですよね。うちの内科部長は内科学会の専門医でありますとか。そうすると、そうい うふうにしてほしいんだけれどもね、実を言うと。これだけにこういうことをするとい うのは、ちょっと変な、なじまないような気もしますね。 ○重藤補佐  事務局で検討をさせていただきます。 ○黒川委員長  大塚先生とだいぶ話しはされているんじゃないかと思うんだけれども。だから、下の 3行は要らないということですかね。 ○大塚委員  これは、法律でこうやれって言っているんですか。 ○黒川委員長  これはガイドラインだからね。 ○貝谷室長  ガイドラインでございますので、できるだけ事前に、その場になって誰かということ じゃなくて、ある程度この範囲の中で2人以上があるということで、一定の判定医の方 を施設ごとに決めておいていただくと。それはかなり多くの方でも結構だと思います が。そうして客観性を担保するということが必要だということだと思いますので。後段 のほう、3行あるうちの「見やすい場所に掲示する」というところは、そこはちょっと あれしますが。 ○重藤補佐  ネットワークに連絡してもらうとか、そういうことにするのか、そこらへんは、ちょ っとまた。 ○貝谷室長  ここの「倫理委員会等の委員会において選定をする」というところまでは、趣旨とし ては書いてもいいのかなというふうに思っておりますし。 ○黒川委員長  「院内の見やすい場所に掲示する等」と、ここのところがなければ、ネットワークに 登録しておくとか、コーディネーターが行ったときに、ここのどういうお医者さんがい るんですかということが、ちゃんとリストとか、それを証明する書類とか用意されてい ればいいんじゃないのかな。さっき言ったコーディネーターの話じゃないけれど、さっ き言ったみたいに、一般の施設でないときに、そういう遺族の意思があってというとき に、ここはどうですかといったときに、そういうのがちゃんと整備されていれば問題は 少なくなってきますよね。  資料の整備とか、倫理委員会とともに、誰がどうだという話は、きちんと整備して提 出できるようにしておけばいいのかな。大塚先生、いかがですかね。 ○大塚委員  ネットワークに連絡しておくとか、そういうことならいいんですけれども、「院内の 見やすい場所に」というと、何ともこれは、ちょっと。 ○井形委員  あまりふさわしくないようですね。やっぱり求められれば公表することとか、何とか そんな表現でどうでしょうかね。 ○黒川委員長  提示できるように用意はしておく必要はあると思いますけれども。コーディネーター とか来たときに、そういうことがあると。 ○大塚委員  そうしますと、これは、ある程度限定されてしまうわけですよね、ドクターが。そう すると、先ほどの書類に、この限定された医師の名前でなかったら通らないということ なんですか。そういうことになってしまいますね。 ○貝谷室長  実際上選任されていればいいんですか、選任されていなかった方が判定を行うという のは、ちょっと。 ○大塚委員  私のところのように、たくさん実は医局員がおりまして、みんなそれぞれ脳死の判定 ができるというところはいいんですけれども、今この指定されましたいくつかの病院の 中にも、あまりそういうことに関わり合いのあるドクターが少ないところがたくさんあ るんですね。例えば、救命救急センターの中にも、救命救急センターだってピンからキ リまでございまして、これは約130の救命センターが挙がっていますけれども、中に は全くこんなことをやっていないところもあるわけですよ。そういうところですと、本 当に脳死の判定ができるドクターなんていうのは1人か2人しかいないんですよね。そ うすると、常にその人たちが夜中でも来なくちゃならないということになっちゃうんで すね。そういうのはどうなのかなという、ひとつ危惧しているんですけれど。 ○黒川委員長  それは、先生の学会での、例の施設についていろいろ言ったときに、それをかなり先 生方のほうとしては自信があって言っているわけではないということですね。 ○大塚委員  私たちが、今ここにあります指導医指定施設というのは33施設あるんですけれど も、きちっとそれぞれやってくださるかどうかお伺いを立てたんですね。その指導医指 定施設というところでも、これはかなり高度な医療をやっているところなんですけれど も、その中でも23施設しかやるって言わないんですね。あとの10施設は保留にして くれと言って、「ノー」と言ったところはないんですけれども、ペンディングなんです よ。  ということになりますと、約130ある救命救急センターのかなりの部分は、ペンデ ィングか「ノー」というところがあると思うんですね。そのへんをどうするのかなとい う感じは実はしているんです。 ○黒川委員長  それから大学病院も、オートマチックに本院は全部いいなんて言っているけれど、本 当かなという気もしているんですけれどもね。 ○重藤補佐  施設で一応大丈夫と考えられる施設を挙げて、また、医師の側で、そういう体制な り、きちんと2人以上で組めるかどうかというのも、またそういう、両方で掛けること によって本当にきちんとやっていただくということを事務局としてはねらいにしており ます。ですので、とにかく脳死判定が定着して、きちんとこの法律が運用されるまで、 とにかく間違いのないようにといいましょうか、脳死判定は、最初の段階ですので、一 番国民が注目をしているところですので、きちんと判定をしていただくという趣旨で す。やはりある程度脳死判定ができる施設ということ、それから、人的な体制がとれる ということから、やはり大学附属病院と救急医学会の指導医指定施設の2つで、最初は とにかく、ここでスタートをしないことには、なかなか国民のすべてが受け入れていた だくということにはならないんだろうというふうに判断をしております。ちょっと大変 なのは、現場にとってハードルがちょっと高めな設定になるかもしれませんが、ただ、 そこのところはとにかく超えないと、やはりなかなか脳死の臓器移植は定着しないだろ うという判断です。 ○黒川委員長  それは例えば、実際に心・肝の移植をする施設のほうでも、最初の数例は限定してき ていますよね。それによって実際は行われる可能性のあったのができなかったというこ とも最初は起こると思うんですね。それと同じようなことで、やはり最初に行われてい る数例については、施設を限定してでも、やっぱり確実で、非常にそういう意味では国 民も納得できるような移植医療をしようということで、むしろチャンスは少なくてもき っちりしたものをしようというような趣旨ですよね、そうなるとね。もちろん、それで いいと思うんですけれども。それについては、いかがですか。  具体的には、先ほど座間委員がおっしゃったように、それに入ってないところで起き たらどうするかというような話の場合は、やはり患者さんの遺族になりうべき家族と、 そのドナーの意思のある人と、それから、その方の状況をいろいろ把握しながら、そう いうことがちゃんとできる人をきちんと行っていただくとか、そういういろんなことが 担保され、非常に公開されても全然問題ないよというようなプロシージャーをしなさい ということだと思うんですが。やはり、できなかったということもあると思うんですよ ね。いま言った、移植の行う施設を限定しているのと同じようなことで、それによっ て、どうしても最初の数が減るということはあり得るわけだけれど。  そのへんについては、どうでしょうかね。大塚先生のほうの、やっぱり学会その他で やはり非常にここは大きく関わっているところなので、そのへんはやはり、どういう人 がどういうふうにやったかという話をきちんと書いておくということが大事なんじゃな いかなと思うんですけれども。よろしいですか。 ○大久保委員  たまたま、すべてが揃っている。家族も揃って、もちろん本人の意思も全部確認でき ていて、もうほぼ脳死だろうという人がいたときに、それをきちっとした、大塚先生 の、ここだったら大丈夫だとおっしゃるような病院に移送するとかということが、それ がすごく遠いところの話は別ですけれども、東京都内だったらそういうところへ運ぶと かということは可能なんですか。 ○大塚委員  それは不可能ですね。 ○黒川委員長  患者さんの状況からいってということですね。 ○大塚委員  これも脳死の患者ですから、動かして。ベンチレーターをつけていますから、まず ね。ベンチレーターをつけて救急車に乗せてなんていうことは、血圧がどーんと下がっ てしまいましてね。シビアだと思います。 ○黒川委員長  そういうことからいっていろいろな制限はあるけれども、やはり最初の、この移植医 療を定着させるのには、ある程度ハードルが高くなるのはやむを得ないという趣旨で、 このガイドラインが書かれているというふうに理解していただければいいんじゃないか と思いますが。 ○小林局長  再検討いたします。 ○黒川委員長  はい。でも、趣旨はそういうことだと思います。  それでは、今度は8、9。5ページ。死亡時刻は脳死判定の2回目ですね。それか ら、先ほどの死亡診断書について書いてあります。それから、臓器摘出に至らなかった 場合も、脳死の判定がされた時点で死亡であると。  よろしいでしょうか、この2つのことについて。  それから、移植施設に関する事項、10にまいりますが、これは、先ほどから移植関 係合同委員会、その他から出ておりまして、臓器移植ネットワークにおいて登録されて いるというシステムになるということです。その後、適宜見直しが可能であるというこ とですね。よろしいでしょうか。  それから、11番に進ませていただきたいんですが、その他の事項ということで、こ れは、移植ネットワークを介しているということですね。  それから、米軍基地から出た脳死の臓器はどうするかという、現在検討中。  それから、3番、4番ですね。それから5番。このへんは、これでいいのかなという 気がしますが、何かご意見。6番、7番。7番、組織移植の取扱い。これについては一 言あるかもしれないけれど、座間委員。 ○座間委員  この7番の組織の取扱いのところに入るかどうかはわからないんですが、腎臓の場合 ですと、組織適合性というようなことで、移植を目的とした組織適合性ということでも って、脾臓の提供をいただいているんですね、今。一部なんですけれど。それが、ちょ っとこの中に、今までどこにも盛り込まれていなかったので、それをどういうふうに扱 ったらいいか教えていただければと思ったわけですが。 ○黒川委員長  脾臓、どのくらいですか。 ○座間委員  1cm×1cmぐらいのものを2ついただくようにしているんですけれど。 ○黒川委員長  それは腎臓を摘出するときにですね。 ○座間委員  はい、そうです。 ○重藤補佐  腎臓移植と一体のものとして、それは考えるべきものであろうというふうに考えま す。腎臓移植のために組織適合性を調べるということで、目的も何から何まで腎臓移植 のためですので、腎臓移植のために取り扱われると。要するに腎臓の摘出といっても、 その付属組織、周囲血管も含めての摘出になろうかと思いますので、腎臓移植と一体の ものとして考えて、腎臓移植が終われば、使われなかった部分として、法律が定められ ているように処分、処理をしていただければよろしいんじゃないかなと考えていますけ れども。 ○黒川委員長  腎臓移植というのは、もちろん尿管も入っているわけだし、腎動脈、腎静脈、それか ら尿管はなるべく長くというようなこともあるわけですから、それと一緒に脾臓の1セ ンチ角ぐらいも組織適合性のリンパ球のためにとるというプロシージャーが入っている というふうに理解するということですね。 ○野本委員  それでいいんですけれども、むしろこういう議事録の中へ残す判断としては、HLA 検査のためですから、血液と同じ扱いをすると、そういうふうにきちっとしておいたほ うがいいと思います。今のような定義だったら、臓器の一部を何かするという取扱いに なりますけれどもね。これは目的がそうではなくて、血液と同じことで。大体脾臓とい うのは血液、循環系の一部でしかないわけですから、血液と同じこととして位置づける と、こういうふうにしておいたほうがいいと思います。 ○黒川委員長  リンパ球のソースとしてね。それは別にガイドラインに書かなくても、今の移植のプ ロシージャーの一部ですね。採血をしてリンパ球を調べるというようなのと同じニュア ンスだということですね。 ○野本委員  判断は、しかし、いま言ったように、血液と同じという判断をしたほうがいいです ね。 ○黒川委員長  よろしいですか。それでは、このガイドラインについて、全般について、まだご質問 がありましたら受けたいと思います。どうぞ。 ○桐野委員  さっき質問したことで、大久保委員がおっしゃったことと関連するんですけれども、 臓器摘出に至らなかった場合の脳死判定、9番ですね。その時点で、これは法の精神か らいえば、きちんとやったんですから、その時点で死である。ところが、その状況は、 臓器摘出に至らないように、誰か第三者が来て至れないようにしちゃったような場合 に、つまり、私はそんな脳死判定なんて反対であると、もともと。臓器摘出も行えない し、それを死とすることも反対であるといいながら、一方では死とせざるを得ないとい う矛盾が起きてくるので、このへんのところはすっきりしておかないと対抗できないと 思います。 ○黒川委員長  これについて何かご意見。ただ、実際のプロセスは、文言だけじゃなくていろいろ な、時間とともにどんどん物が動いちゃうわけだからということもありますよね。 ○重藤補佐  やはり、きちんとした手順で、きちんとした法に基づく承諾書なり、いろいろな必要 なものが取り揃えられて、法に基づく脳死判定が行われた場合には、やはり、そのあと でいくらあったとしても、その時点で死亡であるというふうに考えております。  ですから、その時点で本当に瑕疵のない脳死判定が行われたとすれば、そこで要する に死亡であるというふうに考えております。 ○黒川委員長  趣旨としてはそうだと思うんですけれども。それでも、先ほど大久保委員がおっしゃ ったように、レシピエントのほうの準備が進んでいるのに、何か一人のことがあったか らといっても、そこで、それじゃあ、やめましたというわけにもいかないだろうと思う んですけれども。それでもやめた場合に、脳死はやっぱりそのときの死亡だろうな。や っぱり、この全体の流れから言えば。そこで何か問題が出たときには、訴訟になるとい うことかな。 ○貝谷室長  最後は個別ケースですので、訴訟に持ち込まれるケースも出てくるかと思いますが。 ○黒川委員長  そうですね。そのほかに。 ○谷川委員  ネットワークの問題かもしれませんけれど、臓器摘出に関してのコーディネーターと いう名前がたくさん出てまいりますね。現実としては、今、例えば九州で、私の大学だ ったら、コーディネーターというのは、どういうシステムで、どれぐらいそれだけの説 明をするコーディネーターがいて、実際可能なのか。あるいは、向こう半年か1年ぐら いはそういうことができるのかどうか。そのへんのシステムその他のことですね。 ○黒川委員長  それはネットワークのほうの問題ですよね。このあとにネットワークのことが出てき ますから、それでちょっとお話を伺いましょう。  そのほかに。もしなければ、それでは、ガイドラインにつきましては、ここのご意見 などを事務局で次回までに整理して、もう一回、修正報告をお願いするということで、 よろしいでしょうか。  それでは、その次ですが、実際、今の話ですが、日本臓器移植ネットワーク準備委員 会の報告というのが上がってきました。これは、井形先生が委員長でございましたけれ ども、それについて事務局から説明をお願いします。 ○重藤補佐  資料の6でございます。日本臓器移植ネットワーク準備委員会報告書「臓器移植ネッ トワークの整備について」ということでございますけれども、これは、これまで、平成 5年12月に設置されまして、9回にわたって委員会を開いていただきまして、詰めて きていただいたということでございます。  委員長は、この委員会の井形委員が委員長をお務めいただいておりまして、本日、こ の会議の開始に先立ちまして、小林局長に報告書が提出をされました。それが、資料6 が、その報告書の全文でございます。  概略だけ私のほうから説明をさせていただきます。  1ページでございます。検討の経緯ということで、脳死臨調の答申を受けて進められ ておりまして、いろいろな検討会を経て、日本臓器移植ネットワーク準備委員会が設立 されて、本日、報告書を提出いただきました。  2ページでございます。基本的な考え方でございます。基本的な考え方といたしまし ては、現在、腎臓移植ネットワークというものが腎臓移植にはございまして、それが社 団法人でございます。その2ページ目の下から5行目にございますけれども、臓器移植 のネットワークの設置形態については、既に社団法人日本腎臓移植ネットワークが腎臓 移植に関係する団体や移植施設の代表、学識経験者等の腎臓移植関係者の自主・自立性 を尊重する意味から、民法第34条に基づく公益法人である社団法人として設立されて おり、多臓器に対応する臓器移植ネットワークについても、このような考え方を踏ま え、社団法人として運営することが適当であるということで、現在の社団法人の腎臓移 植ネットワークを母体として、心臓、肝臓につきましても新たな機能を付加していくべ きであるというご提言をいただいております。  次に、3ページでございます。中ほどのところに基本的な考え方、方針としまして、 「・」で箇条書きにしてございますけれども。 ・臓器移植ネットワークは「臓器の移植に関する法律」に規定する臓器の斡旋業務を行 う。 ・公平かつ適正なシステムを構築する。 ・レシピエント登録及びドナー情報を一元化する。 ・レシピエントを公平かつ適正に選択する。 ・臓器移植に関係する事項についての評価及び個人情報の保護に配慮しつつ必要な情報 公開を行う。 ・関係者の協力体制を整備する。 ・臓器移植ネットワークを通さない臓器移植は認めない(生体移植を除く。)。 ・国際間の臓器(既にアイバンクを通して斡旋が行われている角膜を除く。)の斡旋に 関しては、臓器移植ネットワークを一元的窓口とする。 ・意思表示カードが多くの国民に所持されるよう普及啓発に努める。  ということが基本的な原則でございます。  次に、3ページ目の下のほう、レシピエントの選択及びドナーの適応についてでござ います。 (1)公平・適正なレシピエントの選択ということで、その2行目でございますけれど も、「臓器移植ネットワークが公平かつ適正なレシピエント選択を行う。また、レシピ エントの登録名簿の管理は、全国で一元的に行い、臓器移植ネットワークを通じた臓器 の配分を行っていくことが必要である」ということが提言をされております。  次、4ページでございます。4ページの4のところに、臓器移植ネットワークの運営 等に関する事項でございますけれども、(1)は、臓器移植ネットワーク本部におく委 員会、それから(2)がブロックセンターということで、そのあるべきことがまとめら れておりますが、その(2)のブロックセンターのところでございますけれども、それ の2行目の後半から3行目にかけて、「移植施設が心臓及び肝臓移植について、それぞ れ東西2チームに限定されていることから、レシピエント名簿の登録及び管理、臓器提 供があった場合のレシピエントの選択、移植病院との連絡調整等の臓器の斡旋に直接関 わる業務については、当面、本部及び基幹となるブロックセンターに集約して行うこと が適切と考えられる。」  実際には、関東・甲信越ブロックセンターが東地区、近畿ブロックセンターが西地区 の基幹ブロックセンターとなるとするべきである。ということで提言をいただいており ます。  それから、5ページの上から8行目のところでございますが、当面、移植施設がそれ ぞれ2チームに限られておりますので、現在、基幹ブロックはそういうふうに設定する のでありますが、将来的には、移植実績を踏まえ、患者選択の公平性の確保のため、現 在の腎臓移植ネットワークの7つのブロックを基本単位とする体制を目指すべきである というご提言も併せていただいております。  それから、(3)が財源。  それから、(4)がレシピエントの登録でございます。レシピエントの登録のところ は、最初から5行目の、レシピエントの登録のところの5行目のところに、「心臓や肝 臓の移植の適応基準は、移植関係学会合同委員会において検討がなされてきた。このよ うな考え方を踏まえ、臓器移植の適応を検討する場としても、適応基準に記載されてい るように、日本循環器学会や日本肝臓学会等の関係学会において臓器別に適応検討会を 組織することが適当と考えられる。  移植を希望する患者が待機者名簿に登録されるまでの手順としては、各医療機関の施 設内検討会で臓器移植の適応について評価がなされ、適応があると判断された場合、医 療機関は関係学会の適応検討会にその患者の適応について審査を依頼し、依頼を受けた 適応検討会においてはその審査を行い、その結果について各医療機関に伝えるととも に、適応があると判断された患者に関して臓器移植ネットワークに登録する意思がある ことを確認した上で、適応検討会から臓器移植ネットワークに連絡を行ってレシピエン ト名簿に登録するという流れを基本とする。」ということで、登録の手順が提言をされ ております。  それから、(5)の情報管理体制でございますけれども、情報の更新等につきまして も、今申しました登録の流れに準じた取扱いをするべきであるというご提言をいただい ております。  それから、7ページでございます。6が評価等。評価等も行っていくということでご ざいます。  それから、7ページ、移植施設でございます。移植施設のところも、心臓及び肝臓等 の移植においても、腎臓の移植施設と同様に臓器移植ネットワークに登録するものと し、登録された施設だけに臓器を配分することとすべきである。  移植施設の登録については、これまで心臓及び肝臓の移植施設の指定に関しては移植 関係学会合同委員会において選定作業が進められてきた経緯を踏まえ、移植関係学会合 同委員会での選定施設を臓器移植ネットワークにおいて所要の手続を経て移植施設とし て登録することが求められる。  移植施設の定期的な見直し・追加についても、移植関係学会における選定を踏まえ、 同様な手続で行うこととすべきである。  また、万が一にでも臓器移植ネットワークを介さない臓器移植が行われた場合などに おいては、臓器移植を行った移植施設に対して、登録を抹消すること等の処置を含めた 厳正な処置がとられるべきである。  なお、将来的に移植実績を踏まえながら、心臓及び肝臓移植を行う施設を7つのブロ ックそれぞれに整備していく等、移植施設の見直しが必要となる場合については、臓器 移植ネットワークとして移植関係学会合同委員会に対して移植施設の選定について要望 していくことも必要であると考えられる。というご提言をいただいております。  それから、8ページでございます。法人組織の在り方については、記載したとおりで ございます。  それから、大きな項目の5番、普及啓発についてでございます。  臓器の移植に関する法律では、脳死後での心臓や肝臓などの臓器の提供に関して、あ らかじめ書面により脳死の判定を行うこと及び臓器を提供することについての本人の意 思表示が必要となることから、心臓や肝臓等の移植においては、意思表示カードの普及 が極めて重要な課題となっている。ということでございます。  それから、(1)の臓器移植ネットワークの役割ということで、その普及について は、臓器移植ネットワークが、国、地方公共団体、関係医学会、腎臓バンク、患者団体 と密接な連携を図り、あらゆる機会を通じて意思表示カードを配布し、意思表示カード が国民の間に浸透し、定着するよう積極的に活動を展開するべきである。ということ で、意思表示カードの普及啓発についても、臓器移植ネットワークにおいて積極的に取 り組みがなされるべきであるというご提言をいただいております。  それから、(2)の地方公共団体との関係。地方公共団体の役割、新たに地方公共団 体の責務として、「移植医療について国民の理解を深めるために必要な措置を講ずるよ う努めなければならない。」と規定されたことから、意思表示カードの普及等に関し て、これまで以上に行政としても取組みの強化が求められているところである。という ことで、そうした行政の取組みとあわせて、臓器移植ネットワークにおいても連携をと りながら普及啓発に努めていくということでございます。  それから、(3)「腎臓バンク」との関係。これまで、腎臓バンクは腎臓のみの普及 啓発をやっていただいておったんですけれども、多臓器に対応した普及啓発活動にも積 極的に取り組んでもらうよう、協力を呼びかけていくことが必要であるというご提言を いただいております。  その他、関係学会等の協力もしていくべきであるということでございます。  それから、9ページの下の、大きな項目の6番、コーディネーターでございます。こ れは、先ほど谷川先生よりご質問がございましたところでございます。  10ページでございます。10ページの上から5行目。「また心臓や肝臓の移植は、 臓器の摘出から血流の再開までの時間的制約が大きいため、搬送手段の選択等に細心の 注意が必要となることなどから、高い専門性を持ったコーディネーターの確保が強く要 請される。  このような高い専門性を持ったコーディネーターの確保に向けては、養成の段階から の取組みの強化が重要と考えられるが、当面の措置として、既に腎臓移植についての経 験等を有する社団法人日本腎臓移植ネットワークのコーディネーター及び都道府県コー ディネーターを再教育しつつ、拡充を図っていくことが適当と考えられる。」というこ とがご提言をいただいております。  その下で、「なお、再教育は、臓器移植ネットワークがコーディネーター研修会等を 実施し、再教育の機会を提供することが求められる。」ということが述べられておりま す。  それから、最後でございますが、7、その他のところでございます。その他のところ で、当委員会との関係も述べられております。「臓器移植ネットワークの発足をもっ て、本委員会は解散するが、今後の臓器移植ネットワークの運営の基本的事項について 検討が必要となる場合には、公衆衛生審議会成人病難病対策部会の中に既に設けられて いる臓器移植専門委員会において検討を行っていくことが望ましいと考えられる。  なお、未だ定められていない肺等の移植のためのレシピエント選択基準等について も、できるだけ速やかに同専門委員会において検討することが求められる。」というこ とでございます。  それから、本日、井形委員長から小林局長に提出されたときに出された資料が、一番 最後に、資料の6の一番最後にとじてございます。そこでございますように、真ん中へ んの以降のところに、「なお、本委員会の検討すべき事項ではないが、脳死した者の身 体からの臓器移植の推進のため、本委員会として下記の意見を申し述べることとするの で、その点について、配慮いただくようお願いする。」というようなご提言をいただい ております。  1番、予算の確保。臓器移植ネットワークの行う業務が、臓器移植の適正な実施のた めに不可欠であり、且つ極めて公共性の高いことに鑑み、その運営に対して政府として 必要な予算の確保に努められたい。  2.小児の臓器移植  「臓器の移植に関する法律」においては、臓器の提供に際して、本人の書面による意 思表示が必要であり、事実上、移植が必要な小児の心臓病患者に対する臓器移植の途が 閉ざされている。したがって、小児であっても心臓移植が受けられるように、政府とし て早急に対策を検討されたい。  というご提言をいただいております。以上でございます。 ○黒川委員長  どうもありがとうございました。こういう報告書が、きょう、提出されたということ でありますが、これに関わってずっと面倒をみていただきました井形委員長が、この委 員会に委員としておられますので、井形先生のほうから何か。 ○井形委員  この委員会は、かなり重複したメンバーが入っておりますし、それから、今後、わが 国の公正な移植を定着させるためには、ネットワークも、厚生省も、この委員会も、移 植学会も、すべて食い違いなくしていくことが必要であるという視点を定めたつもりで あります。最後には要望事項も掲げましたし、今後は、この委員会にすべてをお任せす るということでありますので、ひとつよろしくお願いを申し上げます。 ○黒川委員長  どうもご苦労様でした。これは実際、腎臓のネットワークを2年半弱やらせていただ いて、関東・甲信越のほうのブロックセンター長もさせていただくと、いろんな問題が ありますね。例えば、財源の話でもそうですが、財源もいろいろな参加施設、会員の施 設からいただいているわけですが、なかなか移植の数が増えないと、会費を払っても一 体何をしておるのかねという話になりかねない、非常にそれは困るんですね。やはり、 脳死の場合もそうですが、腎臓の場合は脳死じゃなくてもいいんですが、ドナーの情報 があまり増えないというところにひとつの問題があって、せっかく登録している患者さ んが、今、1万5千人弱おられますけれども、なかなか回ってこないというところで非 常に問題になるんですね。  ご存じだと思いますが、ユノス(UNOS)なんかは、移植の数がかなり多いので、 登録した方の登録費、1回登録すればいいんですが、登録費で大体年間予算の80%を 賄っていると思うんですが、そのぐらい回転がよくなれば、誰だって登録して、例え ば、1回登録して5万円を払っても、受けられる確率がかなり高いとなれば、それで運 営できる。そういうふうになれば非常に望ましいと思いますが、現在はどうしても、あ る程度厚生省から、国から来るお金がないと非常に厳しいということがあります。  それから、2つ目、コーディネーターですが、コーディネーターが、今は移植ネット ワークのほうで、いろいろな教育とか海外の研修をさせていただいていますが、これに ついても、いま言ったような財源をどうするかとか、実際の移植が増えてこないとなか なか難しい。脳死の移植がどこまで定着するかは、先ほど言ったようないろいろなハー ドルがあっても、非常にうまくいって、みんなの協力体制があって、情報の公開という ふうなことが十分あれば、これも定着すると思いますが、腎臓でもなかなか増えないと いうのが非常に困ったもので、腎臓バンクその他と定期的に会っていろいろご説明し て、だんだん増えると思うんですが、いろいろなやり方があるだろうと思います。その へんは、ぜひ先生方のご意見をいただいて、マスコミ関係も、悪いときだけ書くわけじ ゃなくて、いいときもどんどん書いていただくと、そういうことがやはり増えてくるん じゃないかなというふうに思いますので、よろしくお願いします。  さて、そこで、時間がもうだいぶ過ぎてしまったんですが、これからいくつか決めて おかなくちゃいけないことがありますが、ひとつは、これで一応大体できてきました が、肺の移植ですね。肺の移植については、実は、心臓、肝臓のようなきちっとした適 応のガイドラインその他がまだできておりませんので、省令はできても、実際にどうす るかということで、一応レシピエントの選択基準、ドナーの適応、その他の策定、レシ ピエントの適応基準、それから移植施設の特定などのいろんな作業があると思うんです ね。これは小腸についても同じことですので、このへんを十分にこれから、準備委員会 というか、しなくてはいけませんので、その作業班を作って、それを詰める作業をして いただきたいというふうに思います。  そうしますと、肺につきましては、従来から厚生省の臓器移植の研究班その他でやっ ておられました藤村委員のほうを中心にして専門家の委員会を作っていただいて、きち っとした基準を全部作っていただくという作業をこれからしていただきたいと思います が、いかがでしょうか。それができないと、実際には書いてもなかなかできないという ことになります。  それから、小腸の移植については、一応これ、私としては、もちろん田中先生にいろ いろ調べていただいたわけですが、これはちょっと野本移植学会理事長のほうにお願い して、どういうものを作るのかということもちょっと検討していただいて戻していただ いたらどうかと思いますが。その上で作業委員会を発足させて、いろいろな必要あると ころを調べるということで、よろしいでしょうか。 ○野本委員  委員長、膵臓はどうですか。 ○黒川委員長  膵臓は、今、どこまでいっていますかね。一応、糖尿病その他でやってあるんです が。 ○重藤補佐  糖尿病学会の会長の金澤先生が、適応検討ということで、いろいろ検討会をやってい ただいていまして。 ○黒川委員長  やっていますね、何回か。それで、出してありますけれども。 ○重藤補佐  レシピエントの選択基準を定めるということになりますと。自治医科大学の金澤先生 にお願いすることになろうかと思いますが、ただ、この委員会としてのレシピエントの 選択基準の作業委員会の人選については、糖尿病、膵臓という専門の先生が本委員会に いらっしゃらないので、やっぱり野本先生にお願いをすることになるんでしょうか。 ○黒川委員長  一応それで、また委員会の案、その他について出していただいてということで、ここ でやらせていただいたらどうでしょうかね。今までの厚生省その他で私もやらせていた だいた部分で、金澤先生を委員長にして膵臓の話はずっとガイドラインは一応作ってあ りますけれども、実際にはもっと詰めなくちゃならないことがいくつかあるので、お願 いしたいと思います。  では、野本先生、よろしくお願いします。  それから、もうひとつ、腎臓移植をやっていて非常に困ったことがひとつあるのは、 レシピエントの選択基準で、子ども。子どもの透析患者さんというのは、成長障害とか いろいろなことがあって、大人以上にいろいろな問題があるんですが、子どものレシピ エントをどうするかということで、この腎臓移植ネットワークは、例えば子どものド ナーが出たときに、今の現状ですと、子どもに優先的にあげるというわけにはいかない んですね。ただ、子どもさんがドナーになった場合に、脳死じゃないですよ、これは。 子どもがなった場合に、両親のほうから、できれば子どもさんにあげてほしいという要 望があったときには、もちろんそれを尊重してそういうふうにやっております。実際 は、小児についての適応基準がきちんとしていないというところがありまして、腎臓移 植ネットワークでも、これは実は何回も検討して、ワーキンググループを作ったりして おりましたので、臓器ネットワークの準備委員会のときにそれをやっていただいていた 大島先生に一応中心になって、それをきちんともう一回、検討していただきたいという ふうに思っていますが、それについてはいかがでしょうか。そうしておくと、子どもさ んの場合が非常にいいということになります。  それで、先ほどいいましたように、もうひとつは、臓器移植ネットワークの整備につ いての最後の一言ありましたね。子どもの場合は、自分で臓器の提供の意思表示が、ま だ現在はできないわけで、そうすると、子どもの臓器移植を受けたいという人が全然こ れで除外されちゃうという、サイズのマッチの問題がありますから、心臓が中心になっ てきますが。そういう問題が、実はまだ解決されていないということですので、臓器移 植ネットワークの井形委員会でもきちんと言っておられますので、それについても、こ れから引き続き検討しなくちゃいけないということを、皆様方と確認しておきたいとい うふうに思います。よろしいでしょうか。  それですので、そのほかに何か、一般的なコメント、その他ございましたら、どう ぞ。  もしございませんようでしたら、きょうのご意見をもう一回まとめて、リバイスする ところはするということで、事務局でちょっとご苦労様ですが、次回までに整理してい ただいて、次回で、また検討事項があればさせていただきたいと思います。  次回は、前にご案内したように、8月25日、月曜日、来週の月曜日ですが、午後の 2時から4時までというふうに予定しているんですかね。一応2時から大体4時頃を予 定しておりますが、場所は、ここではなくて、霞ヶ関ビル33階、東海大学の校友会 館。隣のビルの33階でございます。そこに来ていただければ、「望星の間」でござい ますので、よろしくお願いします。 それでは、そういうことで、きょうの委員会を終わらせていただきたいと思います が。ありがとうございました。 問い合わせ先 厚生省保健医療局エイズ疾病対策課臓器移植対策室    担 当 重藤(内2361)、眞鍋(内2364)    電 話 (代)03-3503-1711