97/07/23 第9回臓器移植ネットワーク準備委員会議事録 第9回臓器移植ネットワーク準備委員会議事録 平成9年7月23日(木) 16:00〜18:35 於:法曹会館2F高砂の間 出席者  ○井形 昭弘  大島 伸一  大塚 敏文  開原 成允  筧  栄一   川島 康生 北川 定謙  谷川 久一  中谷 瑾子  野本 亀久雄  水戸 廸郎  矢崎 義雄 横山 健郎 (○:委員長   敬称略) 議事次第 1 開会 2 保健医療局長挨拶 3 議題  (1)日本臓器移植ネットワーク準備委員会報告書(案)について  (2)その他 (報告事項)   ・臓器の移植に関する法律について   ・臓器の移植に関する法律施行規則(厚生省試案)について   ・意思表示カード(厚生省モデル案)について 4 閉会 ○成瀬補佐  定刻になりましたので、ただいまより、第9回日本臓器移植ネットワーク準備委員会 を開催させていただきます。  本日は、お忙しい中ご出席いただきまして、大変ありがとうございます。  会議に先立ちまして、前回開催以降、委員の変更がありましたので、ご報告させてい ただきます。  今回から新たにご就任いただきました委員の先生方でございますけれども、慶應義塾 大学名誉教授であります中谷瑾子委員、よろしくお願いいたします。  また、筧委員の所属役職が、社団法人日本腎臓移植ネットワーク理事長に変わられた ことをご報告いたします。  なお、本日の委員の出欠の状況でございますが、糸氏委員、高杉委員、藤見委員、吉 原委員が都合により欠席とのご連絡がありました。ですので、本日は、17名中13名 の委員がご出席いただいていることをご報告いたします。  審議に入ります前に、小林保健医療局長よりご挨拶を申し上げます。 ○小林局長  保健医療局長の小林でございます。  委員の先生方には、大変お忙しいところ、また大変暑い中、また交通のあまり便利で ない当会場へまげてご出席をいただきましたことを、厚く御礼を申し上げたいと思いま す。  それから、中谷先生には、急遽このメンバーに入っていただきまして、誠に恐縮でご ざいます。よろしくお願いを申し上げたいと思います。  中谷委員に入っていただいたのは、前、腎臓移植ネットワーク理事長の嶋崎先生とい う方が入っていらした。医学系ではなくて法律系の方でございますが、お亡くなりにな られまして、バランスとして医者の数がすごく多くなってしまいますことから、再度、 法律家の方ということで、臓器移植に明るい中谷先生にお願いをしたところでございま す。中谷先生にもよろしく、ほかの先生方にもよろしくお願い申し上げたいと思いま す。  さて、臓器移植に関する法律につきましては、前回の委員会におきまして成立までの 経緯についてご説明いたしたところでございますが、この7月16日に公布がされまし て、官報に掲載をされたところでございます。よって、3カ月後の10月16日から施 行されることとなりまして、それまでに臓器移植ネットワークの本格的な整備を進めて いくこととしております。  多臓器の臓器移植ネットワークにつきましては、これまでの委員会におけるご意見を 事務局において整理をいたしまして、臓器移植ネットワークの整備についてという報告 書案として本委員会に、きょう、提出をさせていただいたところでございます。  本日は、この報告書案をひとつのたたき台として、多臓器に対応した臓器移植ネット ワークの運営につきましてとりまとめをお願いできれば大変有り難いと存ずる次第でご ざいます。  このほか、臓器移植に関する法律の施行に向けた準備としては、本委員会による臓器 移植ネットワークの整備の検討のほかに、公衆衛生審議会成人病難病対策部会の臓器移 植専門委員会において具体的な脳死の判定基準などを定める厚生省令についてご検討を いただいているところでございます。これにつきましては、きょう、資料の中に、厚生 省がその臓器移植専門委員会にお出しをした資料が入っていると存じます。これは、先 ほど言いましたその委員会でご検討をいただいていることですので、ご参照にしていた だければと思う次第でございます。  また、ドナーカードの普及等の課題についても全力で取り組んでまいる所存でござい ますので、皆さん方におかれましても、ご協力のほど、よろしくお願いをいたしたいと 存じます。  以上、皆様方のご理解とご協力をお願いいたしまして、私の挨拶とさせていただきま す。本日は、本当にご苦労様でございます。 ○成瀬補佐  それでは、議題に入ります前に、既にお配りしております資料の確認をさせていただ きたいと思います。  一番最初に式次第があると思います。続きまして、準備委員会の名簿でございます。 その次が、配置図。続きまして、議題の準備委員会の会議資料。そのあとに、日本臓器 移植ネットワーク準備委員会報告書の案でございます。続きまして、参考資料−1、臓 器移植に関する法律。参考−2が、臓器移植に関する法律施行規則(厚生省試案)。参 考資料−3につきましては、意思表示カード(厚生省モデル案)について。最後にあり ますけれども、臓器移植ネットワーク整備についてに関する各委員からの指摘事項要 旨。以上でございます。  よろしいでしょうか。何か足らない点がありましたら、事務局のほうにお申しつけく ださい。以上でございます。  それでは、井形先生、よろしくお願いいたします。 ○井形委員長  皆さん、どうもご苦労様でございました。  ただいま局長さんからのお話にありましたとおり、もう臓器移植は待ったなしの状態 でありますので、我々の英知を絞ってベストな道を選択していかなきゃいけない時期に なりました。今日か、あるいは遅くとも次回には、この委員会としてのある程度の意思 を集約してご提案しなきゃいけない時期に達しております。どうか、積極的に皆さん方 のアイディアを出していただいて、ぜひベストな報告ができるようにご協力いただきた いと思います。ありがとうございました。  それでは、議題に入らせていただきます。  まず、お手元に行っております、日本臓器移植ネットワーク準備委員会の報告書案 を、今まで何回かやってきたものの先生方のご意見を集約して記載してございます。こ れをもとに少し先生方のご意見をお聞きして、修正すべきところは修正するように、O KをいただければOKいただくように進めてまいりたいと思います。  それでは、説明をお願いします。 ○重藤補佐  事務局よりご説明をいたします。座らせていただきます。  本日お配りしております、「日本臓器移植ネットワーク準備委員会報告書 臓器移植ネットワークの整備について」という冊子でございます。これは、先生方に 事前にファクスでお送りしているものと同じでございます。先生方から事前にご意見を いただいたものにつきましては、別添の資料として先生方のお手元に意見を要約したも のをお配りしてあるかと存じます。したがいまして、今回、それぞれの単元ごと、別紙 でお配りしています事前にいただいたご意見を参考にしていただきながら、先生方に各 項目ごとご意見をいただければと考えております。  進め方につきましては、各項目を私から読み上げさせていただきまして、その後、そ の項目につきまして、ご議論、ご討論をいただけたら大変有り難いと思います。よろし くお願いします。 ○井形委員長  それでは、順番を追って項目ごとにご意見を承りながら、まとまるものはまとめてい きたいと思います。  それでは、各項について事務局で読み上げていただきまして、それに基づいて質疑応 答あるいはご提案をいただきたいと思います。  それでは、検討の経緯というのが、1ページから2ページの上段までが検討の経緯で ありますが、お願いします。 ○重藤補佐 1 検討の経緯 (1)脳死臨調の答申  脳死は「人の死」か、脳死体からの臓器移植はどのような条件の下に認められるのか という、二つの課題を中心に調査・審議を行った「臨時脳死及び臓器移植調査会」、い わゆる脳死臨調は、平成4年1月に、答申を取りまとめた。  この脳死臨調においては、脳死体からの臓器提供が必要となる心臓や肝臓の移植を中 心に議論が進められたが、その答申において、臓器移植を進めるに当たっての基本的原 則として、確実な脳死判定等と並んで、移植機会の公平性の確保を挙げ、移植を適応と する患者の居住地や治療を受けている医療機関が異なっていたとしても、公平にその機 会が与えられることが極めて重要であり、臓器移植ネットワークの整備が不可欠である と指摘されている。 (2)臓器移植ネットワークのあり方等に関する検討会  この脳死臨調の答申を受け、厚生省において、これらの課題を解決するため「臓器移 植ネットワークのあり方等に関する検討会」(平成4年10月設置)を設けて検討を行 った。この検討会においては、既存の腎移植情報システムの在り方の再検討を含め、専 門家による検討が行われ、その結果、平成5年5月に中間報告が取りまとめられた。  この中間報告においては、全国で一元的に“臓器を斡旋する体制(以下「ネットワー ク」という。)”の下に地域(以下「ブロック」という。)のネットワークを整備し、 かつ、臓器提供者 (以下「ドナー」という。)に関する情報の経路の一本化や“臓器移植を希望する患者 の中から医学的に最も最適な患者を選択する基準(以下「レシピエント選択基準」とい う。)”等の全国統一化を図ることが必要であるとの基本的考え方に立って、将来目指 すべき方向として、移植実施とは独立した組織として、日本臓器移植ネットワーク・セ ンター及び数カ所のブロック臓器移植ネットワーク・センターをそれぞれ整備すること 等が提言された。 (3)日本臓器移植ネットワーク準備委員会  この検討会の中間報告を受けて、厚生省は平成5年12月に本委員会(日本臓器移植 ネットワーク準備委員会)を設置して、ネットワークに関する課題を順次検討していく こととした。本委員会においては、(1)レシピエント選択基準及びドナー適応基準(ド ナーとなることができるか否かについて医学的に判定する基準)、(2)日本臓器移植ネッ トワークセンター、(3)ブロックセンター、(4)意思表示カード、(5)腎バンク等の取扱 い、(6)臓器の斡旋に係る連絡調整を行う者(以下「コーディネーター」という。)の養 成と研修等について討議が進められ、平成6年3月には、「レシピエント選択基準 (腎・心・肝)」が策定され、平成7年4月には「腎臓移植ネットワークの整備につい て」の報告書が取りまとめられた。  このような中、平成9年6月17日に「臓器の移植に関する法律」が成立をみるに至 ったことから、平成9年6月26日に、心臓及び肝臓について「レシピエント選択基準 (細則)」を公表し、さらに10月16日に施行される予定の同法の適正な運用を図る ため、臓器移植ネットワークの設立を目指した最終的な検討を行い、これまでの本委員 会の討議の集大成として、臓器移植ネットワークの整備についての報告書を取りまとめ た。  以上でございます。 ○井形委員長  以上が検討の経緯でありますが、事前に先生方のお手元にこれが行っておると思いま すし、ご意見をいただいておるわけでありますが、この項目に関しては特にご意見があ まりなかったように思いますが、いかがでしょうか。淡々と経緯を書いてあるわけであ りますから、特に事実に間違ったところもないと思いますし、ご意見がなければ、経緯 はこのままいきたいと思いますが、ご意見いかがでしょうか。よろしゅうございます か。  結局また最終的に、もう一度どうするかをご相談しますけれども、差し当たりそれで は、この項目をパスして、次の「基本的な考え方」、これはいろいろご意見がおありに なると思いますが、次の「基本的な考え方」をお願いします。 ○重藤補佐 2 基本的な考え方  心臓や肝臓などの移植医療に対する国民の信頼の確保のためには、移植機会の公平性 の確保と、最も効果的な移植の実施という両面からの要請に応えた臓器の配分が行われ ることが必要であり、このためには、臓器移植ネットワークの整備が不可欠である。  死体腎による腎臓移植については、既に社団法人日本腎臓移植ネットワークがその役 割を担っており、腎臓移植希望登録者の中からレシピエントを公平・公正に選択すると ともにドナーに関する情報の入手から移植実施までの一連の連絡調整を行う体制が確立 されている。したがって、心臓や肝臓等の臓器移植に対応した臓器の配分等の移植医療 を推進するための組織づくりのためには、既存の社団法人日本腎臓移植ネットワークを 母体として、心臓や肝臓等の臓器移植に対応した新たな機能を付加し、全国を通じて唯 一の統一的な臓器移植ネットワークを整備していくことが適切であると考えられる。  臓器移植のネットワークの設置形態については、既に腎臓移植ネットワークが臓器移 植に関係する団体や移植施設の代表、学識経験者等を会員とし、こうした腎臓移植関係 者の自主・自立性を尊重する意味から、民法第34条に基づく公益法人である社団法人 として設立されており、多臓器に対応する臓器移植ネットワークについても、このよう な考え方を踏まえ、社団法人として設立することが適当と考えられる。  なお、臓器移植ネットワークの事業については、その公益性に鑑み、社団法人日本腎 臓移植ネットワークに対して、現在、多額の公的補助が行われているところであり、多 臓器を対象とする事業の展開に際しても、高い公益性が求められることから、前述のよ うに民法法人としての経営形態を採りつつも、行政と密接な連携を図りつつ運営がなさ れることが重要であると考えられる。 また、運営に当たっては、平成5年5月の「臓器移植ネットワークのあり方等に関す る検討会中間報告」及び平成7年4月の「腎臓移植ネットワークの整備について」の報 告を踏まえ、次の考え方を基本原則とすることとする。 ・公平かつ適正なシステムを構築する。 ・レシピエント登録及びドナー情報を一元化する。 ・レシピエントを公平かつ適性に選択する。 ・臓器移植に関係する事項についての評価及び個人情報の保護に配慮しつつ必要な情報 公開を行う。 ・関係者の協力体制を整備する。 ・臓器移植ネットワークを通さない臓器移植は認めない(生体移植を除く。)。 ・国際間の臓器(既にアイバンクを通して斡旋が行われている角膜を除く。)の斡旋に 関しては、臓器移植ネットワークを一元的窓口とする。  以上でございます。 ○井形委員長  ありがとうございました。これに関しては、何人かの委員の方からご意見が寄せられ ておりますので、いかがいたしましょうか。これをそれぞれ。 ○重藤補佐  では、ざっと事務局からご紹介をいたします。 ○井形委員長  紹介をしてください。 ○重藤補佐  いただいている意見を事務局からご紹介申し上げます。  まず、「民法第34条に基づく公益法人である社団法人として設立されており」とい うくだりのところで、「社団法人として設立することが適当と考えられる」というとこ ろがございますけれども、その「設立」を「運営」にという字句の訂正がございまし た。  それから、きょうご欠席の吉原先生からです。事業の性格を考えると、社団法人より も財団法人のほうが適当ではないか、ということがございました。 それから、「民法法人」という言い方をするのか、「公益法人」という言い方がよい のではないか、というご意見がございました。 それから、ここの文章で述べる「臓器移植」という言葉の範囲について、最初にはっ きり定義する必要性があるのではないか。  それから、外国での移植についても、ここで扱うのかどうか明記をする必要があるの ではないか。  それから、運営の基本原則にある臓器移植に関係する事項についての評価は別立てに して、きちんとその機能の中に含めるべきではないか。それに伴い、「4 臓器移植ネ ットワークの運営等」の中に、評価についての1項目を設けるべきではないか。さら に、評価に関連して、生体移植や海外での移植後のフォローアップについて、その責任 の所在が曖昧になっているところがあるので、この際はっきりさせたほうがよいのでは ないか。  それから、最後の原則にドナーに関しての記述がない。ドナーカードの配布をするの であれば、ここに何らかの記述が必要ではないか、というご意見がございました。 ○井形委員長 どうぞ、この項目及び、いま読まれた意見以外に、皆さんから積極的なご意見をいた だきたいと思います。はい、どうぞ。 ○筧委員  今の事務局から述べられた意見の補足でございますが、2ページの下から6行目です か、「社団法人として設立する」というのを「運営」に改めてはどうかというその趣旨 は、既に腎臓移植ネットワークが社団として成立して運営されておりますので、それを 母体として機能を付加するということでございます。その手続がどういうふうになるか は別といたしまして、新たな法人を設立するわけではございませんので、「設立」とい うよりは、「社団法人として運営することが適当と考えられる」という趣旨でございま すので、補足いたします。 ○井形委員長 私も同様に思いますが、よろしいでしょうか。「設立」とすると、全く異質のものを 新しく作るというイメージになりますけれども。前々から、まずは腎移植ネットワーク を作って、それで多臓器にそれを基本に移行するということが決められておったと思い ますので、「設立」ではなくて「運営」でよろしいのではないかと思いますが、よろし いでしょうか。はい、どうぞ。 ○開原委員  私も少し補足をさせていただきたいと思いますが。ここでの文章で述べる「臓器移 植」という言葉の範囲について最初にはっきり定義する必要性があるのではないかとい う、そこのことなんでございますけれども、臓器の移植に関する法律というのの第五条 では、臓器というものを定義して、「人の心臓、肺、肝臓、腎臓及びその他厚生省令で 定める内臓及び眼球をいう」というふうに定義されているんですね。そうすると、ここ でいう臓器というのが、この臓器の移植に関する法律の臓器と同じことを意味している のか、それとも違うのか。ある程度後ろのほうに括弧書きでその範囲が示されているよ うにも思うんですけれども、これはかなり基本原則でありますので、括弧書きなどでは なくて、一番最初に、やはりここでいう臓器とは何をいうのかということをやっぱりき ちんと定義しておかないと、あとで混乱するのではないかと思います。  そういう臓器の中身の問題と、それからもうひとつはシチュエーションのほうの問題 で、生体の場合、それから外国の場合等、通常の臓器移植であっても普通とは違ったシ チュエーションの臓器移植もあると思いますので、そのへんがこのレポートで扱われる のか扱われないのかということは、最初にきちんとはっきりさせた上で後の議論をした ほうがいいのではないかと、そういうことでございます。 ○井形委員長  これは、新しく通過した法を受けてのネットワークの整備委員会でしょ。 ○貝谷室長  そうです。 ○井形委員長  ですから、どこかへ「法の精神に従え」とか、そういうことを入れておけば今の問題 は解決するように思いますけれども。どうぞ、意見をおっしゃってください。 ○貝谷室長  今、開原先生がおっしゃったことは、全くそのとおりだと思います。厳密に書くべし ということであれば、私どももその趣旨に従って直させていただきたいと思います。 ○開原委員  ただ、多少微妙な問題として、例えば、組織の移植というようなのが、おそらく今後 起こってくるのではないかと思うので、そういうのは除くのか除かないのかとか、そう いうような問題もいろいろあるのではないかなという感じはいたします。 それから、法律のほうでも、「その他厚生省令で定める」というふうに書いてあっ て、そのその他というのが、実際問題としては、この法律を引用しても何のことやらわ からないということになるのではないかと思いますけれども。 ○井形委員長 やがて、この間の会議のときも、例えば骨なんかはどうするのかとか、それから、ほ かの臓器がどんどん広がって、皮膚とかそういうのがありますけれども、今の場合は、 とりあえず決められた法がうまく動いていくように決めるわけでありますから、将来と もこれが広がったときには、また改めて検討すればいいので、ネットワークは、法律の 下にあるネットワークという解釈ではいかがですかね。つまり、医学全般に関わるネッ トワークのあり方ではなくて、法に規定されて、その法に規定されたものを運営するた めのネットワークという解釈なんですけれども、私は。 ○開原委員  私もそれで結構だと思うんですが、そのことをはっきりさせていれば。 ○井形委員長  それから、生体と外国の例をネットワークの仕事に加えるかどうかということは、ど うでしょうかね。むしろ厚生省のご意見によって決まると思いますけれども。 ○貝谷室長  臓器の移植に関する法律上は生体は対象外でありますので、臓器売買を関するところ を除きましてですね。死体からの移植が前提になっておりますので、そういう意味では 当然の前提ではございますが、そこもはっきり書くべしということであれば、先ほどの 基本原則の中に括弧書きで少し、「生体を除く」と少し書いておりますが、もう少しは っきり書くということであれば、工夫は必要かと思いますけれども。 ○井形委員長 なかなか外国のことにもこれが踏み込むことは。もちろん、現状を把握し、どうした らいいかというサジェスチョンを与えることはネットワークとしてはすることになるの かもしれませんけれども、少なくとも今は、とにかく国内での第1号がスムーズにいく ことが大事で、また、外国で移植を受ける人に、これで何か規約を作るとすると、若干 それをセーブするというか、そんな印象を与えるような気がするんですけれどもね。ほ かの方のご意見をどうぞ。 ○中谷委員  発現の前に一言。私は先程ご紹介いただきましたように、本日初めて会議に出席させ ていただきましたので、これまでの8回にわたるこの準備委員会の詳細かつレベルの高 い御議論についての十分な理解に欠けるところがありますため、不適切な発言をするこ ともあろうかと思いますが、その時はどうぞご指摘、ご指示下さい。 よくわかりませんけれども、とにかく今度の臓器移植法は、今、諸先生方がおっしゃ られるように限定的ですよね。外国の例えば我が国もその加盟国になっておりますWH Oの1991年の臓器移植ガイドラインにしても、生体からの移植についてもきちんと 規定しているほか、「ヒト臓器という語は臓器と組織の両者を含む語としています。ほ かの外国でも、大体臓器移植というときは組織も入れていますので、そういう意味で は、わが国ではそれが入らないんだということ、臓器移植の定義といいますか、先ほど 開原先生が言われたような、きちんとしたものを、法律を見ればわかるよといわれて も、このガイドラインでも、ネットワークのほうでもやはり一応はっきりさせたほうが いいのではないのかなというふうに思います。  もう一点よろしいでしょうか。ここにもご指摘がありますけれど、これは民法法人と して何とかというのは、これはどういう理由でこういう言葉が出てきたのでしょうか。 それが私にはちょっと理解できなかったものですから。 ○貝谷室長  事務局のほうで。通称を使いまして、誠に恐縮でございました。一般的には、公用語 では公益法人という言葉がふさわしいかと思っておりますが、そこは修正すべきだろう と思っています。 ○中谷委員  その直後に行政との密接な連携云々という語が出てきますから、それで民法というの が出てきたんじゃないかというふうには想像いたしましたけれども。普通には言わない ものですから。 ○小林局長  開原先生、先生のおっしゃった外国の話というのは、具体的にどういうことを想定さ れているのですか。 ○開原委員  外国に行って、それで移植を受けた例の話でございます。 実は、なぜそれを申し上げたかというと、それの後半のところにある、実は評価のと ころと多少関係があるんですけれども、私の理解では、臓器移植ネットワークの非常に 重要な機能のひとつは、移植を受けた患者のフォローアップをして、それでその結果を 評価して、それを公表していくということにあるというふうなことが、たしかうたって あったんではないかと思うんですが。実は、今回のレポートには、その評価のところが ほとんど触れられてない。つまり、フォローアップした評価のことが触れてないという ことと、それから、もし評価をするのであれば、外国で受けた移植とか、それから生体 の移植とかというのも、実は評価という立場からすると、私は大変大事なデータになっ てくるのではないかという感じもするので、斡旋のところは、そこは除いてもいいと思 うんですが、評価のデータを集めるというところは、やはりそこも視点の中に入れてお いたほうがいいのではないかというのが私の意見でございます。 ○形委員長  これは、臓器移植の研究班がありますでしょ。あれとネットワークとは、一応独立し たものですね。だから、そういう、厚生省が指導して、そういう外国へ行ったあとのフ ォローアップとかそういうのを、ネットワークが責任もってやらなくても、そういう データを集めてきちっとその情報を流していただければいいような気がしますけれども ね。 ○大島委員  今のところ腎臓の現状は、ネットワークのほうでは死体腎移植だけしかフォローアッ プのデータも扱っておりません。移植学会がすべてのデータを扱っていたんですけれど も、コンピューターの機能がちょっとおかしくなっちゃいまして、数年間ブランクがで きているという状況になって。今、それは非常に大きな問題だということで、学会のほ うで、すべての移植に関するデータをどうするかというようなことを考えておりまし て、具体的に、そのデータを集める、心・肝についてはまだあれですけれども、腎臓に ついて、特に生体腎移植のデータをどう集めるのかということのその組織づくりを具体 的にもう始めていまして、もう動きつつあるというのが状況です。  したがって、ネットワークのほうでは、生体腎移植のフォローアップデータというの は、今のところは扱っておりません。 ○井形委員長  おっしゃるとおりに僕も思うんですけれどもね。ただ、うちのネットワークが外国で やったもののフォローアップといっても、結局それの、それは適切であったか、技術は うまかったか、親切にやってくれたか、もっと突っ込めば、ドナーの選択はよかったか ということまで我々が言うようになると、せっかく人道主義的に外国でやってくれたも のに、何だかちょっとけちをつけるような印象があるんじゃないかと私は心配するんで すよね。だから、データはデータとしてまた別にきちっと集めて、ネットワークとして は省いてもいいんではないかと。決して重要じゃないと思っているわけじゃありません けれどもね。 ○川島委員  心臓につきましては、それはインターナショナルなレジストレーションで、世界中ど こで行われても登録されるようなシステムになっております。 ○井形委員長  ああ、そうですか。そうすると、それは、どうしますか。ネットワークがそれをやる べきだというご意見。 ○川島委員  そうじゃなしに、実際にやった施設からレポートを出すようになっておるんです。 ○井形委員長  そうですか。はい、どうぞ。 ○水戸委員  先ほど、臓器移植の範囲ということで開原先生からと、それから中谷先生からもあっ たんですが、法案でどうなっているかはっきりわかりませんが、脳死体から摘出した臓 器が、いわゆる血管吻合で移植されなかった場合の利用ということは禁止されているん ですか。ということは、欧米では、膵臓が今は最も多く使われているんですが、血管吻 合ができない場合には膵臓からベータ細胞分離して移植ということが臨床的に行われて いますし、今、肝細胞の移植も行われつつあるわけで、そういう点で、臓器移植の範囲 というのが、組織、細胞というのは全くこの範疇外であるというように書くのかどうな のか。そのへんもやはり将来的には重要な。せっかく摘出したけれども、血管がつなげ ない、しかし、無駄にはなってしまうのではなくて、そこから細胞を取り出して臨床的 に使っていいのかどうかというようなことも考えておく必要があると思いますけれど も。 ○貝谷室長  今の点は、法律そのものの議論だろうと思います。臓器移植法につきましては、先ほ ど中谷先生がおっしゃいましたように、この法律では臓器ということを定義しておりま して、いわゆる組織なり細胞ということについては適用外になっておりますので、それ 自体は規制されません。 ただ、臓器の移植をするという目的の下に臓器を摘出し、もちろん了解をとって摘出 した後で、結果的に医学的な面から移植に使われなかった臓器については、法律上ちゃ んと処理しなければいけないという法律上のもう規制がかかっておりますので、それを 別の目的に行うというのは、別途また様々な検討が必要だろうと思っておりますし、法 律上の議論が出てこようかと思います。  それから、今のをちょっと戻りますと、基本的な考え方の今の点で、開原先生のほう からお話がありましたように、臓器移植という範囲をはっきりさせる。それから、生体 移植あるいは海外に渡航しての移植というケースは、この報告書の範囲からは別である と。この報告書では触れてないというようなことをどこかではっきり書けば問題は。そ こはきちっとしたほうがいいのかなと思っています。 ○井形委員長 それでよろしいですか。はい、どうぞ。 ○川島委員  次のテーマに移ってもよろしゅうございますね。この項目ですが。 ○井形委員長  この項目で、ドナーカードの。 ○川島委員  一番最後に書いてあるところなんですが。そもそも論で、臓器移植とは何ぞやという お話が出ましたけれども、このネットワークというのが、そもそも何をするのかという ことは、この文章にはちっとも出てこないと思うんですね。それはやはりはっきりして おかないと混乱するんじゃないかなと思うのは、ひとつは、今回の法律の附則の第二条 ですか、政府の役割というのが書かれておりますが、ひとつはドナーカードを普及させ るということ。いまひとつはネットワークを整備すること。これについて検討して、適 当な処置をするということが述べられておるんですが、この会議はネットワーク準備委 員会であって、ドナーカードについては、少なくともタイトルとしては入っておらな い。その中で、ごく一部分、今まで意思表示カードということで議論はされましたけれ ども、現実にはネットワークのほかの部分の議論に比べてははるかに少ない議論しか行 われておらないと思うんですね。  ところが、法律の附則にも2つ並べて書かれましたように、このドナーカードの問題 というのが、実際にはこの法律の下では、移植ができるかどうかを制するわけですの で、それは非常に私は大事なことであろうと思うんです。  この基本的な考え方の中にも、この一番最後の意見は私が書いたんですが、ネット ワークとしての基本的な考え方の中にドナーカードの普及ということが一言も触れられ ていないというのは、私は大変大きな問題であると思うんです。ドナーカードの問題 は、私はどちらかといえば、本当に政府が、行政が100%タッチしてやったほうがい いんじゃないかと思うぐらいなんですが、もしもこれをネットワーク準備委員会でやる のであれば、この部分にもはっきりと項目を設けて、ドナーカードの配布のことを書い ていただき、そして、このあとの部分でも、ネットワークに関することを、普及活動と いうふうな格好で、普及啓発活動というふうなことで何となく間接的な表現にしてしま わないで、はっきりとネットワークの仕事として、こういうふうにして配布するんだと いうことをもっとはっきり書いていただかなければ、これはこの今回の法律をきっちり 受けとめたということにならないのではないかと、そういうふうに思います。  ですから、この2番目の項目、基本的な考え方の中にも、ドナーカードの配布をこの ネットワークでやるのであれば、それを明快に打ち出していただきたいというのが意見 でございます。 ○貝谷室長  このネットワーク準備委員会の討議事項の主要な項目としてドナーカードという項目 も、これまで議論していただいております。腎臓につきましては自由配布制に転換する というような基本的な方向も、これまで議論していただいておりますし、私ども、ネッ トワークの仕事のうちのある種非常に重要な仕事だと思っておりますので、今、川島先 生がおっしゃったような方向で、むしろ位置づける、この中ではっきり書いていく、基 本原則の中にも入れるということであれば、それはそれでよろしいのかなという気はい たしますけれども。 ○井形委員長  そうなると、ドナーカードの配布は、このネットワークが、ただひとつの機関とし て、ここを窓口にして配布の運動を展開するという意味ですか。それとも、政府は政府 でまたやり、ほかの団体もほかの団体でやると。それにも協力するということになるん でしょうか。 ○貝谷室長  ちょっと恐縮ですが、行政上の責任は今まで以上に出てきております。法律の附則で 書いてあることと、それから、法律の本則でも、国及び地方公共団体の一般的な普及啓 発義務ということで入ってきておりますので、国としても責任はもちろんあります。ま た、ネットワークも併せてそういった仕事もやっていただくというような、そういった 二系列で流れていくといいますか、普及をしていくということが効果的ではないかとは 思いますし、今までの先生方のご議論でも、ネットワークがむしろこういう仕事をやっ ていくべき。もちろん行政も行政としてやるべしと。こういうことではないかなと思い ますけれども。 ○井形委員長  わかりました。そうすると、ネットワークだけがあれではないけれども、とにかくド ナーカードの普及に努めるのを、このネットワークの仕事とすると、重要な。そういう 表現を書き加えればいい。 ○川島委員  どうなんでしょうかね。2つのところからそういうドナーカードが配布されるという ふうなことは非常に混乱を招きますし、非常に効率の面でもいかがかと思うんでござい ますけれどもね。むしろそれよりも、ネットワークとしては啓発活動に徹するというこ とで、ドナーカードの配布というのは、これは行政の責任でやっていただくということ のほうがすっきりするんじゃないかなという気がするんですが。あっちからもこっちか らも、現在でもそうですけれども、あまりにもたくさんのところがドナーカードを発行 して、1人で3枚も4枚も持っている人がおられて、それが1枚ずつに計算されておっ たのでは、これは実態もわからないですし、非常に効率が悪いと思うんですが。 ○井形委員長  献血なんかと同じように、できるだけ命を贈り物をしましょうというのは、やっぱり 行政もポスターを張り、運動を展開していただくほうがいいので、ドナーカードはネッ トワークだけですよということではまずいんでしょうかね。ドナーカード自体は、法律 的にはどこが発行しても有効なんでしょ。ですから、将来とも、例えば免許証に書くこ とが成功すれば、それは警察庁が主導権を持ってやっていただける。多ければ多いほう がいいと思うんですけれども、どうですか。 ○川島委員  委員長がおっしゃいますように、多ければ多いほうがいいのは明らかなんですけれど も、ただ、それが本当に隅々まで行き渡るかという問題でございますね。たくさんの カードが出ても一部に固まっておるというのでは効率は上がらないわけで、やっぱり 隅々まで行き渡らせるためには、おっしゃいましたように、運転免許証でありますとか 保険証でありますとか、そういうものを使わない限り、あるいはオランダでやっており ますように、成人に達したらそういうカードの書式を郵送すると。そこまでやらなけれ ば、この今の法律の下では実際の臓器移植はできないんではないかと思うんですね。  試算してみますと、やっぱり1億2000万全員が意思表示のカードを持ってはじめ て所定のといいますか、肝臓、心臓で500例ぐらいの移植がやっとできるという程度 ですので、一部に配れる範囲に配りましょうという程度では、とても私はこれはやって いけないと思うんです。 ○井形委員長  どうぞ、ご意見を。 ○水戸委員  基本原則のところに1項目、せっかく5で普及活動とあるわけですから、1項目をま ず入れておくと。それで、5の点でどうするかということをやらなきゃならないんじゃ ないかと、そう思いますね。私はやはり、せっかく5の普及活動というのがあるわけで すから、また、ドナーが現れない限り移植というのはできないわけですから、ぜひ基本 的な方針の中に啓発活動ということを1項目入れてほしいと、そう思います。  それから、今、ついでといったら申し訳ございませんが、脳死臨調それから、ここの ネットワークの意見でもあったんですが、今いったオランダ方式だとか、あるいは運転 免許証だとか云々と、健康保険証だとかということの、イエス・ノーじゃなくて、ある いはノー・イエスということを明記してもらうということがぜひ必要だろうと。だけ ど、今回のこの報告書(案)では、それが全部消えてしまってカードだけということに なっておりますので、報告をする限りには、私は、もうちょっとより、強制的なことは 避けるって書いてありますが、ノー・イエス、ノーを言わせることは強制ではないだろ うと思います。ですから、第三のどちらでもないを含めて、全国民が何らかの形で意思 表示できるようなことを考慮すべきであるということを、ぜひ入れてほしいと。 ○重藤補佐 この報告書自体は、ネットワークの準備委員会の報告書で、ネットワークにどのよう な仕事をやっていってもらうかということに関することが記載されています。当然、国 としても免許証の活用なり保険証の活用なり、それはそれで国としてもやってきます が、ネットワークでどんな仕事をするべきかという報告書でございますので、ドナー カードにつきましてもやはり記載することは必要かと存じます。例えば、発行元が国の 発行したドナーカードでありましても、我々のドナーカードをネットワークにお願いし て配布について協力していただくというのは同じようにやるわけですから、発行元がど こであるのかという違いだけでございます。ネットワークのもとの補助金についても厚 生省から行っていますし、その発行元をどこにするかというだけの違いで、仮に国で作 ったとしてもネットワークに協力をお願いして、これまでのいろいろな活動の中で協力 してもらうということは同じようにやるわけでございますので、ネットワークにもド ナーカードの普及啓発に力を入れていただくということは必要でありまして、やはりこ の報告書の中で書くべきであろうというふうに事務局としては考えた次第でございま す。 ○川島委員  非常にご苦労をなさっている点だろうと思うんですけれどもね。普及啓発活動をこの ネットワークはやらなければならない。これは当然そうだと思います。私、一番最初 に、ネットワークは何ですかと申し上げたのは、そこなんですね。ネットワークの仕事 として意思表示カードを配布するところまでネットワークの仕事なのかどうかというこ とですね。この配布という仕事は、ネットワークの仕事として非常に重たい。有効な カードの配布というのは非常にこのネットワークとしては荷が重いので、これは行政が おやりになって、そして、それを普及啓発するのをネットワークでやるというのであれ ば、これは非常にすっきりするわけです。そういうことで、一体このネットワークの仕 事というのは何でしょうということを最初にお尋ねしたわけなんです。私としては、そ こまで行政がやっていただかなければ、この法律の下では、今、水戸先生がおっしゃい ましたように、この法律の下ではとても移植は難しかろうというふうに思うわけです。 ○貝谷室長  先生、今の点、また後ろのほうで、また川島先生は随分ご意見をいただいております ので、あわせて言っていただくということで、今の点は、基本原則に入れるかどうかと いう点をここの部分ではご議論いただくことにして、今のご意見ですと入れるという方 向でございますので、事務局としてそのように調整したいと、こう思います。  ご意見の要旨の上から2つ目に、このネットワーク事業の性格を考えると、社団法人 で従来やっているけれども、財団法人というやり方もむしろあり得るんじゃないかとい うご意見。きょうたまたまご欠席なんですが、吉原委員からもご意見をちょうだいして いまして、このへんについて、私ども事務局としては社団法人ということでご提案させ てもらっていますが、いかがかということで、ちょっとお諮りいただければ有り難いと 思います。 ○井形委員長  むしろこれは僕らより筧先生とか中谷先生にお願いします。どちらがいいですか。 ○筧委員  今の腎臓移植ネットワークが社団法人でずっと運営しておりますので、財団にすると なると、財団という名前のとおり金が要るわけで、どこかからたくさん集めてこなき ゃ、5億、10億と必要になるんじゃないでしょうかね。それよりは社団法人で、社団 法人でやりにくいということも特にないと思います。設立の基礎が定款と寄付行為と違 うくらいで、あとは、会員であるとか、いろんな決議の仕方なんか多少は違いますけれ ども、いま急に金を10億集めろといったって無理ですし、運営していって支障があれ ば将来の問題としては考えるとして、現状では社団法人で、腎臓移植ネットワークを母 体として行うとすれば、それで発足するのが無難じゃないかという気がいたします。  中谷先生、どうでしょうか。 ○中谷委員 よくわからないんですが。ただ、社団法人ですといろいろ経済活動といいますか、収 益を上げたりするときに規制がかかりますね。財団はそれがないわけですけれども、こ のネットワークの性格上は、やっぱり社団じゃないのかなというふうに考えておりまし た。もっとも、基になる日本腎臓移植ネットワークにはおそらく「基本財産」と呼べる ものはないと思いますが、そうなると新たに寄付金を募集しなければ財団法人は創設で きないわけで、これを作るのには相当時間がかかるので、さしあたってはその構想は無 理だと思います。なお、法人の運用については財団法人でも社団法人に近い運用、社団 法人でも財団法人に近い運用が現実に行われているのが少なからずあるようです。ご参 考までに。 ○井形委員長  こういうご意見でありますが、ほかにご意見なければ、大体それを反映した形にした いと思います。  それでは、次に、レシピエントの選択及びドナーの適応という項目があります。お願 いします。 ○重藤補佐 3 レシピエントの選択及びドナーの適応 (1)公平・適正なレシピエント選択と評価  臓器移植ネットワークは、既に本委員会において定めた、心臓、肝臓及び腎臓のレシ ピエント選択基準に基づき、臓器移植ネットワークが公平かつ適正なレシピエント選択 を行う。また、レシピエントの登録名簿の管理は、全国で一元的に行い、全国ネット ワークを通じた臓器の配分を行うこととする。  また、レシピエント選択等の評価、問題事例の審査、移植成績に関する統計処理・情 報提供の業務についても臓器移植ネットワークにおいて行っていくこととする。 (2)見直し  レシピエント選択基準については定期的に、ドナー適応基準については、必要が生じ た場合に見直しを行っていくものとし、当面、公衆衛生審議会において、その検討が行 われることが望ましい。  指摘事項につきまして。 ○井形委員長  お願いします。 ○重藤補佐  引き続き。レシピエントの選択及びドナーの適応のところでいただきました指摘事項 でございます。 まず、見直しのところでございますけれども、「当面、公衆衛生審議会において、そ の検討が行われることが望ましい」というのに引き続いて、「将来はネットワーク内に 専門委員会を設置して見直しを行うものとする」という項目を追加してはいかがかとい う意見でございます。以上でございます。 ○井形委員長  いかがでしょうか。どうぞ、ご意見をいただきたいと思います。 ○筧委員  今の点ですが、これは、前回の委員会で井形委員長からもご発言がありまして、現状 はそれは公衆衛生審議会でおやりになっていること、これはもう当然でありますが、将 来の問題としてはネットワークの中に専門委員会を作るというのが望ましいというだけ のことでございますので、そういう意見でございます。 ○井形委員長 わかりました。将来は、このネットワークが極めて権威の高いもので、ここで決めた ものはみんなが、あそこで決めたものだからといって従ってくれるような風潮になれ ば、当然ネットワークが主導権を持ってやるんでしょうけれども、とにかく定着するま ではいろいろ問題があり得るわけでありますから。どうしますかね。今、筧委員が言わ れましたように、将来はというので、これは採用されても結構ですし、されなくても結 構ですし。私もネットワークの一員ですから。はい、どうぞ。 ○貝谷室長  今の点でございますが、腎臓の場合でも、実務的なところは、もうネットワークの中 でされております。ただ、今回、こういった多臓器のネットワークを立ち上げるに当た りまして、現段階で考えますと、やはり、今、原案でお示ししているとおり、当面の検 討をとりあえず今回はおまとめいただくと。もちろん、井形先生なり筧先生がおっしゃ ったような、将来的にはそういうことも可能性としては十分あると思いますが、現段階 でそこの将来の方向まで打ち出すのがいいのかどうか、心臓、肝臓を考えますと、そん な状況です。 ○水戸委員  実際には、このネットワーク準備委員会で心臓、肝臓の選択基準を決めたわけです ね。突然この公衆衛生審議会というのが出てくるというのは、ちょっと。やはり本来は ここで決めて、前の選択基準も、それから見直しも、この会で行われていたわけですか ら、それを引き続いて見直す場合には、同じようなシステムの中で本来は見直すべきだ ろうと思うんですが。ですから、筧委員のご提言のとおり、今とりあえずは云々であっ ても、将来はというのはあったほうが私はいいと思います。 ○井形委員長  私の理解では、この委員会は、もうバトンタッチしますと散会の運命にあるわけだと 思うんですけれどもね。したがって、今のをどういうふうにしていくか。川島先生、何 かご意見。 ○川島委員  同じです。 ○井形委員長  どうしましょう。というのは、きょう後でお諮りしますけれども、この委員会は今 回、もしくは紛糾すればもう一回で卒業ですということをお諮りするんですね。ネット ワークができる準備委員会ですから、ネットワークが成立すれば仕事が終わったという ことになるので、そうするとそのときには、それにかわるべき委員会というのが今のと ころありませんから、こういう公衆衛生審議会という名前が出ておるのではないかと思 うんですけれどもね。どうでしょう。 ○小林局長  私どもの立場からいいますと、今この委員会でやっているわけですが、今度これが終 了します。公衆衛生審議会というと、国民の皆さんからいけばお役所の中だから割に物 が言いやすいと。ところが、ネットワークの中に入ってしまうとなると、国民から見る と少し遠くなるという感じがあるもんですから、私はそうではなくて、国民の皆さんと ともに歩くというのなら、公衆衛生審議会のところに当面はそうしておくと。多臓器ネ ットワークがうまくいくということを国民にご理解いただいた後に考えればいいんでは ないかと。それを否定するつもりは私どもありませんけれども、公衆衛生審議会という ところに置いておいたほうが、審議会にはいろんな人が入ってますので、そこにご議論 を任せておくというほうが、今の段階としては私は適切ではないかと。将来のことまで は、多分そうなるだろうと思いますけれども、書く必要性は今はないんではないのかな と、こんなふうに思っているところです。 ○井形委員長  解釈としては、この委員会が発展的解消を遂げたものが公衆衛生審議会であると。そ ういうことになるんですかね。 ○川島委員  それは現実にございますでしょ。公衆衛生審議会というのがあって、その可能性。 ○井形委員長  公衆衛生審議会はやっておるんですよね。ここは3分の1ぐらいが兼任されているん でしたっけ。 ○貝谷室長  7人の先生は審議会のほうの専門委員を兼ねていらっしゃいます。 ○井形委員長  公衆衛生と臓器移植というのは、ちょっと遠いような気もしますけれどもね。でも、 臓器移植専門委員会と言うんじゃなかったっけね、あの委員会は。 ○貝谷室長  公衆衛生審議会に3月に設けましたのは、臓器移植専門委員会というものでございま して、審議会の正式な機関としてやっていただいております。  今、委員長がおっしゃったように、この委員会自体は準備委員会でありますので、ネ ットワークが立ち上がれば、それをもって一応目的は達するという整理でございます。 ただ、そうはいっても、今、局長からお話ししましたように、行政での検討の場という ことはなくなるのかといえば、そうではなくて、やっぱり臓器移植全般についての検討 の場というのは、その臓器移植の専門委員会でございますので、ネットワークの議論は そちらのほうに引き継がれるというふうに思っています。 ○井形委員長  どこかこの委員会の精神が別の組織に移行したというニュアンスがどこかに出ておれ ばいいと思うんですけれどもね。 ○貝谷室長  今の報告書案の一番最後のほうに、その他のところで、8ページでございますが、こ の本委員会は、これで一応目的を達してあれするけれども、今後はこういう場でネット ワークの基本的な項目については審議会で検討を行っていくことが望ましいのではない か。というように今後の問題についても触れているところでございます。 ○井形委員長  わかりました。また、全体を見渡してもう一度議論いたしますが。 次、運営について、続いてお願いします。それから、ついでにご意見も一緒に説明し てください。 ○重藤補佐 4 臓器移植ネットワークの運営等 (1)ブロックセンター  基本的に、腎臓移植ネットワークの7つのブロックを単位として臓器提供につながる 情報の収集や臓器提供者の家族への説明等の活動を行うが、移植施設が心臓及び肝臓移 植それぞれ2カ所づつに限定されていること(見込み)から、レシピエント名簿の登録 及び管理、臓器提供のあった場合のレシピエントの選択、移植病院との連絡調整等の臓 器の斡旋に直接関わる業務については、当面、本部及び基幹となるブロックセンターに 集約して行うこととする。  実際には、関東・甲信越ブロックセンターが東地区(北海道、東北、関東甲信越)に おいての、近畿ブロックセンターが西地区(東海北陸、近畿、中四国、九州・沖縄)に おいての心臓及び肝臓移植の基幹ブロックセンターとして、ネットワーク本部と連携を とりながら、ドナー情報の把握、レシピエントの選択、移植病院への連絡、臓器の摘出 及び搬送等の手配等の一連の業務を中心的に行うこととする。基幹ブロックセンター以 外のブロックセンターにおいては、臓器提供のあった場合、ネットワーク本部、東西の 基幹ブロックセンターと連携の下で、円滑に臓器移植が行われるよう協力するものとす る。  また、特にこれら基幹ブロックセンター等の人員については、多臓器移植に対応でき るように、それぞれの分野について知識や経験の深い関係者を配置することが求められ る。 将来的には、移植実績を踏まえ、現在の腎臓移植ネットワークの7つのブロックを基 本単位とする体制を目指すこととする。  いただいております意見でございます。  (1)のブロックセンターにつきましては、「将来的には、移植実績を踏まえ、現在 の腎臓移植ネットワークの7つのブロックを基本単位とする」ということは、公平性の 確保には少なくとも各ブロックに1施設が必要であると思われる。特に劇症肝炎等の緊 急性を要する場合がある。当初から7つのブロックを基本単位とせずに、将来的という 表現で十分であるが。  これは、劇症肝炎などで、北海道の患者の方が劇症肝炎で入院している病院から九州 大学に病院が移るということは不可能に近いので、そうしますと、疾病の中に劇症肝炎 があったとしても、松本にお暮らしになっている方は適用があるけれども、北海道にお 暮らしの方は適用がないというような状況になるのではないか。不公平ではないかとい うご意見でございます。  それから、委員会についてでございます。  委員会を読んでありませんでしたので、委員会を読んで、続けさせていただきます。 (2)委員会  臓器移植ネットワークの委員会については、その実務的な運用について審議・決定を 行う「企画管理委員会」、レシピエントの選択、臓器配分の決定、移植施設の決定等の 一連の臓器斡旋について評価を行う「中央評価委員会」、レシピエントの公平・公正な 選択のみならず、インフォームド・コンセント(説明と同意)、移植手術及びその前後 の医療の妥当性、法令の遵守、ドナーに係る脳死判定や提供手続等も含め、臓器移植に 関して問題の生じた事例について幅広く審査を行う「審査委員会」を設置するものと し、委員構成については、多臓器移植にも対応するように配慮することとする。  なお、その他、臓器移植ネットワークの運営に必要と考えられる委員会を整備してい くものとする。  この委員会のところにいただいております意見としましては、「なお、その他、臓器 移植ネットワークの運営に必要と考えられる委員会を整備していくものとする」という ものに、「いくが、多臓器への業務拡大に対応する費用増大に対し配慮されるべきであ る」というものを追加してはいかがかという意見でございます。  それから、「インフォームド・コンセント(説明と同意)」という日本語があります が、この日本語による説明は現在ではあまり適当ではないのではないか。この部分を削 除してはいかがかという意見でございました。  次に移ります。 (3)財源  基本的には、社団法人日本腎臓移植ネットワークの運営形態に準じ、会員会費、寄付 金、国庫補助、レシピエントの登録・更新料等を主要な財源とする。 (4)情報管理体制  レシピエントの臓器移植ネットワークへの登録以後の管理体制としては、現在の腎臓 移植ネットワークにおける情報管理体制と同様に、国立佐倉病院に設置されたコンピ ューターをメイン・システム(関東)、臓器移植ネットワークに設置されたものをバッ クアップ・システム(関西)とし、それらの活用を図ることとする。  また、具体的なレシピエント登録名簿の管理等について、腎臓移植においては、全国 7つのブロックセンターごとに名簿の更新やレシピエントの選択作業が行われている が、心臓及び肝臓については、全国の情報を一カ所に集約し名簿を作成し管理するもの とする。  ただし、レシピエント名簿の管理やレシピエントの選択が正しくなされたか否かにつ いて、確認をする意味で、一カ所に集約されている名簿について、各ブロックセンター の電算機の端末から照会ができるような体制を整備することが必要と考えられる。  レシピエントの情報の更新については、腎臓移植の場合、少なくとも年1回は行うこ ととされているが、心臓及び肝臓のレシピエントの情報の更新については、その疾病が 短期間に病状の変化を来たし易いことから、患者の状態に合わせ、主治医や各医療機関 の施設内検討会等からの報告の都度、更新することが求められる。こうした情報交換を 円滑に行っていくためには、臓器移植ネットワークと移植施設等とが定期的に情報交換 を行うことが適切と考えられる。 さらに、レシピエントの病状については、主治医等から報告を受けるだけでなく、日 本循環器学会や日本肝臓学会等の関係学会で構成される適応検討会においても、定期的 に調査するものとする。  ここでいただいている意見でございますけれども、「レシピエントの臓器移植ネット ワークへの登録以後の管理体制」というところで、「コンピューター」という言葉を削 除してはいかがかと。それから、「関東」それから「関西」という言葉を削除してはい かがかという意見。 それから、「関東」、「関西」は何を意味しているのかという意見。 それから、「腎臓移植においては、全国7つのブロックセンターごとに」という箇所 で、この文章は、全国的に見て公平性を期するという最初の理念から外れている現在の 運用体制を述べていることとなるが、言い切ってよいのかというご意見。  それから、臓器の更新の責任がどこにあるか明確にしておく必要はないのか。  それから、ネットワークに情報を入力する責任を、移植施設、主治医、学会とのいず れかに決定すべきではないか。  それから、「ただし、レシピエント名簿の管理やレシピエントの選択が正しくなされ たか否かについて、確認をする意味で」というくだりの文章については削除してはいか がか、というご意見でございます。  次に移ります。 (5)適応の審査  心臓や肝臓移植の適応については、腎臓移植のように人工透析を受けているという明 確なものとはなっていないことから、臓器移植を行うことの適応について、公平・公正 な審査を行うことが、臓器移植ネットワークに登録する以前の手続として必要となる。  個々の患者に臓器移植の適応があるか否かについては、専ら医学的な観点で判断され るべきものであり、そうした意味において、心臓や肝臓の移植の適応基準は、移植関係 学会合同委員会において検討がなされてきた。このような考え方を踏まえ、臓器移植の 適応を審査する場としても、適応基準に記載されているように、日本循環器病学会や日 本肝臓学会等の関係学会において臓器別に組織することが適当と考えられる。  臓器移植を希望する患者が待機者名簿に登録されるまでの手順としては、(1)各医療機 関の施設内検討会で臓器移植の適応について評価がなされ、適応があると判断された場 合、(2)関係学会における適応検討会に諮られ、適応があると審査された後に、(3)臓器 移植ネットワークに登録されるという流れを基本とする。ただし、劇症肝炎等の治療に 緊急を要する場合は、前述の(2)の審査は、事後行うこともやむを得ないものと考えられ る。 (6)移植施設 心臓及び肝臓の移植施設についても腎臓の移植施設と同様に臓器移植ネットワークに 登録するものとし、その施設だけに臓器を配分することとする。 移植施設の登録については、これまで心臓及び肝臓の移植施設が移植関係学会合同委 員会において選定作業が進められてきた経緯を踏まえ、移植関係学会合同委員会での選 定施設を臓器移植ネットワークにおける移植施設として登録することとする。 移植施設の定期的な見直し・追加についても、移植関係学会合同委員会における選定 を踏まえて移植施設の見直し・追加を行うものとする。  また、万が一にでも臓器移植ネットワークを介さない臓器移植を行った場合などにお いては、臓器移植を行った移植施設に対して、登録を抹消すること等の処置を含めた厳 正な処置がとられるべきものとする。  ここでいただいております意見は、「移植施設の登録については」というくだりのと ころで、「移植関係学会合同委員会の選定した施設を臓器移植ネットワークにおける移 植施設として登録する」というくだりのところを、「審査」という、要するに重きをな すのはネットワークの審査を重きをなすというような形で改めたらいかがかと。要する に、審査を臓器移植ネットワークにおいて行うということにしたらいかがかという意見 でございます。追加についても、ネットワークが審査するという形にしてはいかがかと いう意見でございます。それから、(7)法人組織の在り方  新しく設置される臓器移植ネットワークの役員(理事及び監事)については、多臓器 移植に対応するために、それぞれの移植分野の専門家やその他学識経験者を含めた構成 とすることとし、その選定に当たっては、臓器移植ネットワークの高い公益性に鑑み、 関係方面の意見を十分踏まえることが必要であると考えられる。  会員については、臓器移植に関係する団体や施設の代表のほか、学識経験者等を含め て、多臓器に対応した構成とするものとする。 なお、臓器移植ネットワークの発足後においては、心臓や肝臓移植の業務が加わるこ とにより、さまざまな調整を要する課題が生じると考えられることから、当面、臓器移 植ネットワークの運営全般について、心臓、肝臓及び腎臓の各分野の学識経験者や法曹 関係者等からなる常任理事会を組織し、常任理事会を機動的に開催することにより、円 滑な運営を図るものとする。  以上でございます。 ○井形委員長  さあ、それでは、どうぞ。ご提言くださった先生もいらっしゃると思いますし、自由 討議をお願いします。どうぞ。 ○水戸委員  最初の(1)ブロックセンターのところでご意見を申し上げたものですから、まずそ この件でお話し申し上げます。  これは脳死臨調の報告、あるいは今回の報告の基本的な考え方でもそうですが、移植 の機会の公平かつ適正、あるいは居住性が異なっても同じ公平性を保つというのは基本 的な考え方であります。  そこで、今回は、当面というか、当初はともかく東西のそれぞれの施設ということに なったことを踏まえて、先日、肝臓学会の中で肝移植問題検討委員会が開かれて、選択 基準適応症の見直しその他を行いました。肝臓学会の意見としては、選択基準にある第I 群、第II群、第III群とあるんですが、第I群にある劇症肝炎の患者さんは、全くこれは 文字だけの表現であって、実際の適用には全くならないと。当初、2カ所で行われたと きには、慢性肝疾患が対象になる。それはやむを得ないだろうと。しかし、何らかの形 で公平性が、レシピエント側から見て公平感が持たれるようなことにならなければ、こ のネットワークは形骸化するおそれがあるということが論議されました。  そこで、この(1)の最終的に書いてある「将来的には」というこの言葉一言でいい のかどうなのかということを、ぜひ検討していただいて、この「将来的には」の前に何 らかの形で理由を書いていただくか、あるいはこれで十分だということなのか、そのへ んを、ブロック単位、ある意味では私は、今の7つのブロック単位ごとにやらない限 り、患者の長距離移送が困難な急性の劇症肝炎に対する対応は全く行われない、無に等 しいだろうと、そう思ってご意見を申し上げた次第です。 ○井形委員長  いかがでしょうか。そもそもこのネットワークそのものが全国で公平性を保つために ということでありますから、若干そういうニュアンスを加えたらどうでしょうかね。実 務的には7つのブロックでやることになると思うんですけれどもね。ですけれど、全国 1システムという理念の下に7ブロック。水戸委員が言われるように、7つのシステム を作りましたというニュアンスは与えないほうがいいと思うんですがね。どうでしょう か。表現の問題。どなたかご意見ありませんか。 ○川島委員  心臓につきましても、当面、2チームというお話が出ておりますけれども、やはりそ れでは公平性は保てないという意見は非常に強うございますので、できるだけ早い機会 に、それをせめてブロック単位にまで施設を増やすということが意見として非常に強い 意見が出ております。そういうことからいいますと、水戸委員の今のご発言に、心臓側 としてもやはり賛成したいと思います。 ○井形委員長  筧委員、どうぞ。 ○筧委員  両先生の高邁なご理論とは別のことでございますが、きょうの事務当局のほうからお 読みになりました意見の補足でございますが、5ページの上のところですか、情報管理 で、関東とか関西とかコンピューターという言葉を抜いたらどうかというのは、関東、 関西でいろいろ臓器の配分についてのご議論のあることは、前回、よく承知いたしてお りますけれども、ここの、つまり情報管理というコンピューターに入れておくというく だりで関東、関西と書くというのが、両方に分けて持つようにとられますので、やはり コンピューターに入れておく情報管理というのは、メイン・システムと、それからバッ クアップ・システムと、あくまでメインとバックという2つのものを併用してこれを活 用するという趣旨であろうかと思いますので、ここのくだりに関東、関西という言葉 は、むしろ誤解を招くのではないかというのが趣旨でございます。東、西で心臓とかそ の他の配分の運用についての問題は全然別でございます。これはこの情報管理の体制と いう問題でございます。  それから、その下のところで、「ただし」、つまり、各ブロックセンターから電算機 の端末から照会できるような体制に整備することが必要と。確かにそうなれば非常にい いことは間違いないんですが、電話とかあるいはファクス等で、どうもやらざるを得な いと思いまして、これでやるとなると莫大な費用がかかるんじゃないかと思いますの で、今の段階でこれを書くことは、むしろ必要はないんじゃないかというだけのことで ございます。  それから、そのあと、移植施設のところの選定の問題ですが、移植関係学会合同委員 会での選定、これにネットワークの審査というのをその次の段階で加えるという意見で ございますが、これも内容は、移植関係学会合同委員会で喧々囂々議論されたものが間 違うはずはございませんけれども、やはりネットワークが全国を取り仕切って中心であ るという趣旨からいいますと、その選定されたものをもう一度審査をする機会を、やっ ぱりネットワークは持っているべきではないかと。選定並びに見直し・追加について も、そういう項目を入れておくべきではないかという意見でございます。以上でござい ます。 ○井形委員長  確かにほかの先生からも、「関西」、「関東」については御意見があるんで、ちょっ とご意見を。 ○重藤補佐  事務局の趣旨は、この財政事情の中、2つもあるというのはいかがなものかというも のもありますので、一応、震災が関西に起きても関東に起きても、やっぱり人の命を預 かる大切な情報ですので、つぶれることはないという意味で、要するに情報を2つに分 けて管理しているという意味で書いたということでございます。ですから、2つで運営 するとか、関東と関西と別々にやるということではございません。 ○井形委員長  そういう表現を省いてもいいので。 ○貝谷室長  全く問題ありませんので、これは修正いたします。 ○井形委員長  それから、どうでしょうか。今の、移植関係学会合同委員会とネットワークとの関係 ですけれども、確かに筧委員のおっしゃるとおりではありますが、私自身は、どうもそ こで食い違うことが前提になったような表現になっちゃうもんですからね。本来は一本 でなければおかしい。移植学会の合同委員会でやったのとネットワークが審査しまし て、やっぱり違っているということになると、これはゆゆしき問題になりますから、形 としては、ネットワークが移植関係合同委員会そのものを抱え込んじゃって、委嘱して ネットワークの意見とするとか、あるいは、何か便法でできないかなという気がします けれどもね。厚生省はいかがですか。 ○貝谷室長  そこは、二重審査というそういう問題も表現上出てくるというご指摘ですから、そこ は少し。例えば、ネットワークにおける所要の手続を経てということであれば、それは 手続は当然とるわけでございますので、そういうことであるならばどうかと思いますけ れども。 ○井形委員長  それから、あと出されている問題、どうでしょうか。インフォームド・コンセントは よろしいですね。それから、業務拡大に対応する費用増大に配慮でありますが、これは 当然のことで、ネットワークの準備委員会ですからそこまで言わなくともあれかなとい うのと、それから、別途に、しっかり財政的援助をしますというお墨付きでもいただけ れば非常に。どういう表現にしましょうか、これ。ちょっとネットワークの準備にはな じまないような気がしますけれどもね。でも、それは財政援助をしないぞという意味に なると困りますから、当然。 ○貝谷室長  ここのくだりで、費用増大にちゃんとやれということをいう、場所としてどうかなと いうことと、それから実態的には、大変厳しい中いろいろやらせていただいております ので、大変有り難いことだと思いますけれども、この委員会の報告としてどこまで触れ られるかは、どうかなという。 ○井形委員長  ここへ書いたほうが予算をとりやすいんでしたら、加えていただきたいと思います。 ○貝谷室長  いろいろと軋轢を生じかねないということで、そこは政府にお任せいただければ有り 難いと思います。 ○井形委員長  とにかく今まで腎臓だけで、将来は発展するとはいいながら腎臓だけでやってきた業 務に、肝臓、心臓という大きな仕事が入るわけですから、これはネットワークそのもの も質的に変貌しますし、財政基盤も当然変化してこないとやっていけないというのは現 実ではないかと思いますけれどもね。 どうぞ、ご意見があれば、どうぞおっしゃって ください。はい、どうぞ。 ○谷川委員  ちょっと前に戻るんですけれども、先ほど水戸先生がおっしゃった「将来的に」とい うのは、できたら近い将来というぐらいにしていただいたら。と申しますのは、肝臓に 関しては生体部分肝移植が非常にうまくいって、どこでもできるという背景があるの と、それから、劇症肝炎という、ものすごく急にやらないといけないという2つの事情 がありますので。ただ、ドナーの肝臓に関しては全国に平等に配っていただいていいん ですけれども、施設に関しては、できるだけ早く広げてもらったほうがいいんじゃない かという立場から、「近い将来」という表現のほうがいいんじゃないかというふうに私 は思います。  それから、先ほど、移植施設のところで、これはまだ討議されてませんのですかね。 ネットワークが施設を決めるとか、あるいはネットワークが施設の最終的に決めるとい うのですと、それは、ネットワークのどの委員会が決めるかということが非常に問題で ある。そのへんまで明らかにしないと、ネットワークがそれまで決めるべき必要がある のかどうかというところを、ちょっとご討議いただいたほうがいいんじゃないかと思い ます。 ○井形委員長  何かコメントありませんか。 ○小林局長  今の移植施設の選定の話ですけれども、さっき私、審議会とネットワークの中の委員 会の話を申し上げたんですが、まだスタートもしていないネットワークの評価自体も、 国民から見た場合にはまだわからない。というとなると、ネットワークの中身が決めら れるということについては、国民は、そのネットワークの委員会自体が公開でされるの かどうかとか、そういうようなことも含めて、まだ国民からは遠い存在なので、私は当 面の間は、ネットワークの中でものを決定するという形をとられることに対しては、大 変厚生省としては国民に説明に困ると、こう私は思っておるところであります。  したがって、さっき室長の貝谷もちょっと遠慮がちに言って、手続としてネットワー ク委員会も、そのかわり決まったものを鵜呑みにしろと言われて、手続的にも審議もさ せてくれんのかというのは、それは確かにきつい言い方かもしれませんけれども、やっ ぱり今のところ、今までやってきたのは移植関係学会で決めてきたということでやって いるわけですから、そこ自体の形を急にここで一挙にネットワークの中の委員会に入れ てしまうということについては、私は国民の理解はまだまだ得られる段階にはなってい ないと、私は思っておるところでございます。 ○谷川委員  そうですね。ネットワークは、どちらかというと事務的なことに徹しておられたほう がいいかもしれませんね。 ○小林局長  そう。ですから、事務的なことだとか。将来の話については何も否定しているわけで はないのですけれども、今の段階ではやっぱり早いのではないのかと、こう事務局では 思っておるところであります。 ○大島委員 もともとネットワークがネットワークとして機能をするためには、本当はある一定水 準の臓器提供があって、それから、それを受けてやる側の施設の技術が一定以上に安定 しているという、そういう前提条件があってはじめてネットワークというのは欧米では できあがってきたと思うんですね。ところが日本の場合には、公平性の担保をどうする かという議論から始まって、これがなければ移植ができないというそのところからス ターとしたもんですから、今の議論というのは、これはおそらく噛み合わない議論だろ うと思うんですね。  移植をやろうとする医者の側からいけば、何とか公平に、どこの地域の人にも公平に というふうに思うんですけれども、今、局長がおっしゃられたように、国民の今までの 議論、国会での議論なんかも聞いていますと、国民の側の意識としては、まだやっても いないところに、そんなたくさんのところで始めて、技術がまともにできるのかという その議論で、おそらくこれは随分、この話がまとまるには、ある一定の時間と経験が踏 まれないとだめなんじゃないかなというふうに思います。  おそらく、その段階で一体どうすればいいのかというのは、今、局長が言われたのが ひとつの考え方かなというふうに私も思いながら聞いていましたけれども、ただ、腎臓 移植と、それから心・肝との間で、同じネットワークの中でも違った形態になってしま うと、やり方が。そのへんの整合性をどこかで何か言っておくか、あるいは何かしてお かないとちょっとまずいんじゃないかなというような。理由を明快にしておくとかとい うことが必要なんじゃないかなというふうに感じましたけれども。 ○井形委員長  ありがとうございました。どうぞ。 ○川島委員  今、局長がおっしゃったことは、大変そのとおりであろうと思うんですが、将来のこ とで、ちょっと私、思いますことは、やはり施設を決めるという作業までこのネット ワークに取り込むのは大変なことだと思うんですが、ただ、だからといって関係学会合 同委員会だけに任せておきますと、今までのああいった委員会の経緯からいいますと、 どんどん増えてくる可能性がございますね。ですから、このネットワークとしては、あ る程度、この地域にはこういった、この臓器の移植をする施設が要るとか、全体として の施設を今の時点ではどれぐらいに絞っておきたいと。そういったアドバイスをするよ うな機能は持っていたほうがいいのではないかなという気がいたします。 ○井形委員長  ほかにどうぞ。この案の4ページの一番上の「2カ所づつに限定されていること(見 込み)」と書いてありますね。「見込み」というよりも、「される」、「計画が進んで いる」とか、せめてもうちょっと格好いい表現がいいと思いますが。 ○貝谷室長  すみません。これは今現在ということで、きょうの提出資料なもんですからこう書い たんですが、これは、今月29日に。 ○井形委員長  決定できる。 ○貝谷室長  決定がされれば、関係学会合同委員会で。これは「限定されている」という表現に統 一すべきだろうと思います。 ○井形委員長  わかりました。いかがですか、よろしいですか。それでは、最後の普及啓発。 ○川島委員  すみません。ひとつだけ申し上げそびれたのですが。意見として、ネットワークに情 報を入力する責任をいずれかに決定していただきたいということでございます。これ は、むしろ私、矢崎先生のように患者さんを預かっておられる方のほうからのご意見を いただいたほうがいいのではないかと思うんですが、私たちの心臓についていいます と、やはり、その施設に患者さんはおそらく登録されていることになると思いますの で、施設からそういうネットワークに情報を入れるというのでいいのではないかと思い ますが、その点はいかがでございましょうか。ばらばらに入れられると、おそらく混乱 するだろうと思いますが。 ○井形委員長  どうでしょうかね。このネットワークは、情報が入れば、それからは全責任を持つ と。その前のことをネットワークは規定するのかな。どうでしょうか。先生方のほう。 ○川島委員  私が申し上げるのは、1人の患者さんについて、いろんなところから情報が入力され ると、これは混乱いたしますから、入力するのはどういう段階で入力するかということ をはっきり決めておいたほうがいいだろうということでございます。 ○重藤補佐  事務局から、そこのところにつきまして説明いたします。入力は、要するにレシピエ ントの登録名簿に載せるというところは、ネットワークの本部なり、関東甲信越ブロッ クなり、責任のあるところで統一的に一カ所で心・肝について当面やるというようなこ とが、書いてあります。 したがって、病院が個別的に登録するとか登録しないとかいうことでなくて、病院の 施設内の検討会から上がって、心臓の場合については適応基準に書いてありますように 循環器病学会の適応委員会を経たものを連絡をいただいて、ネットワークの担当者が、 一カ所で名簿を作成するという手順になります。  それから、状況の変化に応じまして名簿の変更が生じたときには、各施設内の検討委 員会からご報告いただいたたびにネットワークで更新を責任を持って行う。したがいま して、ネットワークとしては、医療機関から、医療側から情報をいただいたところから 責任が生じます。きちんと情報を間違わずに入れ、名簿の更新等も適切にその都度行っ ていくということになるかと思います。 ○川島委員  それは全くそれで結構なんですけれども、ここに書いてありますのは、「患者の状態 に合わせ、主治医や各医療機関の施設内検討会等からの報告の都度」とありますので、 主治医と医療機関の施設内検討会とは両方から報告されるとか、あるいは、学会の検討 会から報告されるとかいうふうなことになると混乱すると思うんですね。やはりそれを 統一しておいていただいたほうが。これはやはり施設からでいいんじゃないでしょう か。そういうふうに思います。 ○重藤補佐  ただ、ちょっとそこが適応基準に名簿への登録は、循環器病学会の検討会を経るとい うことになっています。更新については、施設でよければ施設でいたしますし、更新も 学会の検討会を経るんだということであれば、そうなります。そのあたりについて、矢 崎先生どのような感触でしょうか。 ○矢崎委員  私どもは、循環器学会と移植学会と合同で今は症例適用委員会を正式に作って、しか も、個々の症例で病態がどうであるかということをきっちりフォーマットを決めて登録 していただいて、それで最終的に判断しているわけであります。ですから、そこを通し てネットワークに登録するということを、当面の間はそれでお認めいただきたいと思い ます。  それと、肝臓と違うのは、心臓は非常に、肝臓は疾患をメインにして登録されていま すけれども、循環器のほうは大体拡張型心筋症ということで、そうしますとあとは、患 者さんの病態によって、現時点で適応のタイミングであるという状況から、いろいろな 内科的なあるいは外科的な治療法によって改善して、一時リストから除いていただくと いうこともあり得るわけです。その場合もやはり、頻回に適応委員会を開いて、主治医 からの情報は、まずそこの委員会でいただいて、そこで議論して、それでネットワーク のほうに報告をさせていただきたいというのが、私どもの、今、描いているイメージで あります。  したがいまして、個々の施設で情報のネットワークとやりとりをされると、将来はそ うなると思いますけれども、当面の間は、できたらそういうふうにしていただきたい。 ある時期になれば当然、そういうステップになるかと思いますけれども。私どもはそう いうことで当面は対応していきたいというふうに考えていますので。 ○川島委員  これはどちらでもいいんです。各施設から申請したものを学会で申請していただいて 報告をいただいて各施設から報告するというのでもいいかと思ったんですが、学会がそ こまでやっていただけるのであれば、当然それで異議はございません。それで結構で す。ただ、一本にしておいていただきたいということだけです。 ○重藤補佐  わかりました。そのように。 ○川島委員  もうひとつ、よろしゅうございますか。先ほどご意見のありましたブロックセンター の電算機の端末から名簿を照会することをやめてはどうかというお話でありましたです けれども、これは、患者を抱えている側といたしましては、ウエイティング・リストの どのへんにあるんだろうということで患者さんに対する説明も全く違うわけですので、 やはりそれぞれの施設からコンピューターは、ウエイティング・リストというのは覗け るというふうな体制は整えておいていただきたいと思います。 ○井形委員長  これはどうでしたっけね。お金がかかることになるんじゃないかな。ファクスとかそ ういうことでお問い合わせがあれば、随時お答えはできると聞きましたけれども、どう なんでしょう。 ○貝谷室長  表現が「端末」となっていますので、結構大がかりなシステムの可能性があります が、当面そこまでの費用の点が少し心配ですけれども。要は、今、川島先生がおっしゃ ったように、各ブロックで自分の抱えている患者さんがどういう状況なのかがある程度 わかることが大事だという趣旨でここの原案で書いておりますので、もし端末というこ とがあれならば、違う表現でやりながらも、しかし、趣旨をはっきりわかるように、各 ブロックセンターでも状況が把握できるようなことも併せて検討、整理するべきだとい う趣旨のことは触れたほうがいいのかなというふうに思っておりますけれども。 ○井形委員長  つまり、「端末」という言葉を書かずに、随時情報がわかるようなシステムが必要 と。 ○川島委員  それで結構でございます。 ○井形委員長  それでは、また全体をいたしますが、最後の項目、お願いします。 ○重藤補佐  最後ではなくて、まだ多少残っております。 5 普及啓発 (1)意思表示カードの普及方策  臓器の移植に関する法律では、脳死後での心臓や肝臓などの臓器の提供に関して、あ らかじめ書面により脳死の判定に従うこと、また臓器を提供することについての意思表 示が必要となることから、心臓や肝臓等の移植においては、意思表示カードの普及が極 めて需要な課題となっている。  したがって、臓器移植ネットワークにおいても、意思表示カードの普及に最大限の努 力を払うことが求められ、ドナーとなり得る国民すべてに意思表示カードが浸透するこ とを目指して計画的に配布するものとする。その際、強制的な配布とならないような配 慮も必要と考えられる。 その普及については、国、地方公共団体、関係医学会、腎臓バンク、患者団体等と密 接な連携を図り、あらゆる機会を通じて意思表示カードを配布し、意思表示カードが国 民の間に浸透し、定着するよう積極的に活動を展開することとする。特に、既存の腎臓 のドナーカード所持者や腎臓バンク登録者に対しては、腎臓バンク等を通じて、働きか けを行うことが求められる。 また、意思表示カードとともに普及啓発用のパンフレットを併せて配布し、臓器移植 について、国民の理解と協力を得るための工夫も必要である。  ここのところのご意見といたしましては、臓器の移植に関する法律の附則第二条2項 を踏まえると、ドナーカードの普及については、ネットワーク準備委員会と別のところ で検討するのでない限り、これについてもっと内容を充実させるべきではないか。  それから、「ドナーとなり得る全国民すべてに意思表示カードが浸透することを目指 して計画的に配布する」の表現は大変結構であるが、その後に続く文章が消極的ではな いか。「強制的な配布とならないような配慮も必要と考えられる」という文章は本当に 必要か。意思表示を強制するのではなく、意思表示カードを配布するのは行政上必要な 書類を配布するものであり、配布することそのことが強制であるとは考えられない。  続いて、「その普及については」のところの文章も他力本願ではないか。  それから、ドナーカードの配布は政府直轄の仕事にしてもよいのではないか。思い切 った報告書の改定を望むというご意見をいただいております。  次に、(2)地方公共団体との関係 臓器の移植に関する法律において、国とともに、新たに地方公共団体の責務として 「移植医療について国民の理解を深めるために必要な措置を講ずるよう努めなければな らない。」と規定されたことから、意思表示カードの普及等に関して、これまで以上に 行政としても取組みの強化が求められているところである。特に、臓器移植が適応とな る拡張型心筋症等の患者対策は、従来から難病対策として保健所の事業として展開され てきたことから、今後、保健所においても意思表示カードの普及や所管内の救急救命施 設への情報提供の依頼、コーディネーターとの連絡調整等の業務について臓器移植ネッ トワークとの連携を図りつつ、各地域で展開していくことが適当と考えられる。  ここの部分でいただいております意見につきましては、保健所の役割のところで、 「今後、保健所においても意思表示カードの普及や所管内の救急救命施設への情報提供 の依頼、コーディネーターとの連絡調整等の業務について」というところで、保健所が 救急救命施設との関係がわかりにくいということ。 それから、そのほかにも、保健所が救急救命施設に情報提供するということが意味が わからないということで、保健所の業務のイメージとちょっと異なるというようなご意 見でございます。  それから、(3)腎臓バンクの役割  これまで、腎臓移植に関して、ドナー登録と普及啓発等に取り組んできた腎臓バンク については、多臓器に対応した普及啓発活動にも積極的に取り組んでもらうよう、協力 を呼びかけていくことが必要である。 ここのところのご意見としては、勝手には決められないと思うが、腎臓バンクの将来 像は示すべきではないかというご意見でございます。  それから、(4)でございます。その他  臓器移植ネットワークとしても、救急救命施設等の臓器提供施設や日本救急医学会等 の関係学会に、臓器移植についての理解と協力を要請していく不断の努力を払うことが 求められる。 ここは意見はございませんでした。以上でございます。 ○井形委員長  どうぞ、ご意見をご提案くださった方から追加のご発言をいただきたいと思います が。はい、どうぞ。 ○川島委員  一番最初のところで出てまいりましたので、もうご意見は申し上げましたが、ここに 意思表示カードの普及方策として書いてあります意見、私の意見がかなりたくさんござ いますが。本質的にはやはり、啓発活動というのと配布するというのとの役割を、この ネットワークが受け持つのかどうか。啓発活動は当然ネットワークの仕事でございまし ょうけれども、配布を本当にやるのかと。本当にやるのであれば、やはりはっきり、全 国民に行き渡るような配布の仕方というのを具体的に提言したほうがいいのではないか というふうに思います。 もしもこれをネットワークの仕事から外すにしても、今まで審議してまいりましたこ とを踏まえて、臨調の答申の中にも書いてあることでございますので、やはりドライ バーズライセンスであるとか健康保険証のことなども、やはり触れておいたほうが、お 役所のほうで今後やっていただくのにも、むしろやりやすいのではないかなという気が するんでございますが。 ○井形委員長  ありがとうございます。このあたり、少し表現を積極的に変えて、やっぱり「ネット ワークはやるぞ」ということを書いたほうが、対外的な影響は大きいと思いますけれど もね。はい、どうぞ。 ○大島委員  川島先生が再三おっしゃられていますように、国民の意思がどれだけ確認できるか が、この法案の下で移植を行えるかどうかの、その死命を制することだろうというふう に私も考えています。 中谷先生にちょっとお伺いしたいんですけれども、強制的な配布とか、その強制的な というのは、例えば国民に意思を聞くということは、もうこれは強制になるんでしょう か。そういう議論というのか、そういう声がときどき全体、例えば国によってはすべて の、シンガポールとか、オランダもそれに近いと思うんですけれども、すべてイエスか ノーかということを、もう聞いているという国もあるわけですけれども、このような法 律ができた上で、国民のすべて、成人式かどこかは別ですけれども、どこかのチャンス ですべての国民に意思を聞くというような行動というのは、これはもう強制になるんで しょうか。 ○中谷委員  カード配布に際してカードの受理そのものをノーと言ったときには渡さないというよ うなことは必要じゃないでしょうか。そうじゃないと、やっぱり強制と解されてもやむ を得ないものがあり、そういうことに対しては大変強い反発があると思いますが。 ○大島委員  意思を聞くこと自体は強制では。 ○中谷委員  イエスもノーも完全に自由に選択できるのであれば、勿論強制と言うことにはならな いと思いますけれども。 ○大島委員  ということは、財源の問題とか、いろんな技術的な問題が解決さえされれば、そうい う選択肢はあるというふうに考えてもよろしいわけですね。 ○中谷委員  よろしいんじゃないでしょうか。 ○谷川委員  先ほど川島先生がおっしゃったように、このネットワークは、どちらかといったら公 平な臓器の配分とか、あるいは最も適当なレシピエントを選ぶという実務的なネット ワークですから、むしろドナーカードは別のシステムでやられたほうがいいんじゃない かというふうに私は。例えば、ここにいるメンバーの中にも日本医師会の先生もおられ るし、日本医師会とか厚生省とか、そういう2つ、3つの団体が中心になってやるとい う形で、その下に何か実務的なやっぱり広げるというシステムを作られたほうがいいん じゃないかというふうに私は思います。 ○井形委員長  報告をまとめるときに、どうやってまとめましょうかね。少なくとも、何もしないと いうわけにはいかないと思うんですね。ですけれども、これが全国のトップを切ってや っていくのか、あるいは、それをサポートするのか。私はやっていってもいいと思うん ですが。どうぞ。 ○重藤補佐  ドナーカードの経緯でございますけれども、最初、腎臓移植につきましては、腎臓バ ンクで登録制でやっていたんでございます。しかし、それでは件数が出ませんでしたの で自由配布制のドナーカードを展開していくということが、この委員会の腎臓移植の報 告のときにもご議論いただいたわけです。そして自由配布制のドナーカードの普及啓発 に努めるということの議論がこの委員会でなされ、その報告書である腎臓移植ネット ワークのあり方についての報告を受けて、こうした事業の流れとなっております。  したがいまして、腎臓移植のドナーカードを作って配布するというノウハウは、既に 腎臓移植ネットワークが持っておりますし、せっかく作ってきたものを活用しないとい う手はございません。その主体は国なのかネットワークなのかは、そこはご議論がある かと思いますが、ただ、国が主体的にやるにしても、あらゆるところで活用して配らな ければいけませんので、当面、ネットワークについても、これまでの腎臓カードの普及 のためのノウハウの蓄積というものは活用していかないと、もったいないのではないか なというふうに考えます。  したがって、この報告書でも、普及啓発の一環として、それからドナーカードの書面 による意思表示というものを確保して、とにかく業績を上げるという上からも、ドナー カードの配布を行っていくということはやはり書くべきなんだろうと思っております。 ただ、それは、先生がおっしゃるように、国が全面的に本当にしっかりやれといわれた ら、そのとおりでございまして、それは国としても一生懸命やっていかなければなりま せんが、ネットワークとしても、やはりこれまでの蓄積を生かして、協力をしていって いただきたいというふうに考えておる所存でございます。 ○川島委員  考えられていることがよくわかりました。というのは、確かにこの委員会でそういう 議論がなされた経緯はございますね。しかしそれは、この今の法律ができる前のことで すね。その時点ではそれがベストの方策であったわけですけれども、この法律ができた 時点では、それはもうはっきりいいまして御破算にしてもいいぐらいのことであると思 うんですね。それは大変、大蔵に対しては、それは物は言いにくいんだろうと私は思い ますけれども、そこはやっぱり考え方を変えていただかなければならないんじゃない か。  それと、もうひとつは、数十万枚配布されておりましても、数十万枚というのは、私 が申し上げますのは、1億出さないとだめなんですね、これは。だから、1%にも満た ない数なんです。ですから、それに拘泥することは私はないと思います。やはり、全く 新しい制度で始めるというのでなければ、この新しい法律の下での移植は進まないので はないかというふうに思います。現実にそれを行っている国もあるわけですのでね。わ が国ができないということはないだろうというふうに思います。 ○貝谷室長  今、事務局のほうから。今、川島先生も、また、ほかの先生方からも意見があります ので、ここは少し、国側といいますか、行政上のこれまで以上の役割というのは当然出 てきますし、また、私どもはやるつもりです。この報告書自体はネットワークとしてど うすべきかということですから、国としてこうしろ、ああしろということを直接やるの はどうかと思いますが、まあしかし、そういうことも当然やった上でネットワークとし てもこういう事業も併せてやるべしというような方向で少しこの部分、ドナーカードの 部分といいますか、この部分を少し、いま出たご意見を踏まえて少し直してみたいと、 こういうふうに思います。 ○中谷委員  ドナーカードにつきましては、たしか臓器移植学会で200万枚ほど用意されたとい うふうに伺いましたけれども、それができあがった法律と合わなくなったので、また作 り替えなきゃいけないというようなお話も漏れ承っているんですけれども、一体どうい う形でドナーカードというものをお考えなのか。例えば、運転免許証に、それに相当す るような記入欄を設けるとか、あるいは健康保険証という話も出ていましたし、何をお 考えなのでしょうか。それとも、全く独立のドナーカードというものをお考えになって いらっしゃるわけですね、今のところは。 ○貝谷室長  学会のほうは、今、先生がおっしゃったように、あらかじめ従来の法案をベースにし て早めに作ろうということで作られました。それは、法律が修正されることによって、 法律上、少しまずいもんですから、それ以外のもので対応するということで、今また別 途、準備が進められているようでございます。  それから、基本的にこのドナーカード自体は、法律上の要件が書面にはっきり出てい れば、別に一定の書式じゃなければだめだとか、カードじゃなければだめだということ はありません。したがいまして、今、川島先生がおっしゃったように、免許書とか保険 証に法律上の要件がきちっとあらわれていればいいわけです。私どもはそう思っていま すが、ただ、免許証、保険証というのは、ほかの制度で既にきちっとしたものになって おりまして、そこに移植のことも書いてくれということで、従来からずっとやっており ますが、他力本願の部分でございまして。 ○中谷委員  運輸省との話し合いがうまくいかないとかいろいろ。 ○貝谷室長  各省と、あるいは各制度との調整を今やっていますが、まだまだ十分調整はついてお りません。したがって、ここだけでいきますと全然進みませんので、まずは私どもが自 力で努力できるドナーカード、それ自体を普及させることをまず先行させて、並行し て、今、免許証とか保険証ということを、当然それは検討課題というふうに私どもとし ても思っているところでございます。 ○北川委員 先ほど来の川島先生の、このドナーカードをどのくらい普及させるか、皆さんが持っ てもらえるかというのは非常に重要なポイントだということがよくわかるわけでありま すが、今のお話で、従来のネットワークのドナーカードは、それはそれでよろしいと思 うんですが、今、事務局でお話しになった運転免許証とか、あるいは保険証に書き込む ということを本当にこだわるのかですね。私は、そこは、いろんな制度で決まっておる ものに様式化をして書き込むということは、なかなか難しいんだろうと思うんですけれ ども、保険証を持つときに、あるいは運転免許証を交付されて持つときに、それに何か 少しうまくフィットするような形のものをそれに付け加えてあげるというような方式で でもできないのかというようなことを考えるわけであります。 ○貝谷室長  今の点で若干事務局から補足させていただきますと、ひとつは保険証、今おっしゃっ たように、様式そのものに入れるというのは、相当のやっぱりいろんな配慮が必要です が、保険証のカバーの中に、例えば一緒に配布するときに折り込んで渡すとか、事実上 一体的に持ってもらうような形でやるということは、それは保険制度のほうでも検討の 余地はあるということで、多少そこは弾力的な感じがあります。  それから免許証のほうでも、免許証それ自体はあれですけれども、免許の更新の際 に、免許センターに来るときの場所に、そういったカードを置くなり、いろんな形での 協力は、実は既にやっておりまして、まだ十分じゃなくて、そこをきちっとまずやるべ しというようなことを所管省庁のほうから言われておりまして、まずはそういうところ を一歩一歩やった上で、ある程度意思表示というものが日常的になじんでくれば、おの ずと各制度でも議論としては十分、起こってくるだろうというふうには私ども思ってい ますので、まずまず一歩ずつ私どもとしては進んでいきたいと、こう思っています。 ○井形委員長  思いつきですけれども、週刊誌とか月刊誌、新聞あたりに印刷してやるなんていうこ とはできませんかね。 ○貝谷室長  広報、政府全体としては総理府になりますので、そこはお願いしていますが、ちょっ と、その紙ができるかどうか。むしろ、ドナーカードとか、私どもが作る広報媒体、説 明書、パンフレット、そういったものは必要ですし、その終わりのほうに切り取れるよ うなものを作るとか、そういった工夫は当然やっていきたいと思っています。 ○川島委員  室長のお話でよくわかりました。いろいろご苦労なさっているのは本当によくわかる んですが。ですから、この委員会の報告書としては、やはり当面そういったドナーカー ドの普及に努めるけれども、こういうことについては将来はこういうことを目指してや っていただきたいということをはっきりやっぱり明記しておいたほうがいいんじゃない かなと。そうしなければ、将来うやむやになってしまったのでは困るということなんで ございます。 ○中谷委員  ドイツでも、6月25日に臓器移植法というのができました。そのときに、臓器の提 供の意思表示について、どういう方式をとるかということが最後まで争われたわけです けれども、その報告によりますと、いわゆるコントラクティングインというのですか。 日本の法律はそうなってますよね。非常に厳密な意思表示が必要になっていますけれど も。それですと、提供は1ないし2%であると。ドイツはそうではなくて、拡大された 意思表示方式というのをとりまして、これだと60%から80%ぐらいの提供が得られ ると。 さらに、通知方式というのがありまして、通知方式というのは、やっぱり家族として は臓器の提供をしてもいいと、本人の意思がはっきりしなくても家族が、かつて本人は こう言っていたとか、ああ言っていたとか、要するに日本の前の忖度の問題なんですけ れども、そういうことを言うと、家族が本人から臓器の摘出について決定するので心に 負担を感じる。だから、そういう決定をしないで、こういう場合には脳死ですよと。も し提供していただけるならば、こういう方法がありますよというようなことを情報を提 供しまして、そして、いついつまでに返事をしてくださいと。返事をしなければ、それ は提供の意思があるというふうにしましてね。家族としては、自分で決定しないから心 が安まるというのですね。そういうので通知方式というのがあって、これだと70%か ら80%ぐらいの提供が得られると。それからコントラクティングアウト、フランスが そうですけれども、コントラクティングアウトならば90%得られるという。  ですから、日本の法律によりますと1%から2%ぐらいしか臓器の提供が得られない だろうということになりますので、やっぱりドナーカードが大変重要であるというご認 識、先生方は皆さんお持ちでいらっしゃいますけれども、数の上からもそれが立証され たような気がするんですけれども。ちょっと情報の提供まで。 ○井形委員長  この報告書は、ネットワークがどうあるべきかということを、成り立つためにどうす るかということを答申しますので、川島先生のご意見を入れれば、ネットワークの仕事 として取り組みなさいという報告書になるんですかね。それでいいですね。ここだけが やるかどうかは別として、とにかくネットワークの業務のひとつとしてドナーカードを 推進する。 ○川島委員  大変難しいところだと思うんですね。業務として取り組むということになれば、あそ こがやるんだからいいじゃないかということになってしまう危険を感じますね、やは り。ですから、ネットワークとしては当面それはやるけれども、この仕事については、 もっと大規模な新しいシステムを考えていくべきであろうというふうなことはやっぱり 書いておいていただかなければ。今までのばらまき方式というのは、全く効果がござい ませんので、これでやると本当に移植はできないと思います。このネットワークとして やれるのは、本当に、いくらばらまいても結局はばらまき方式にすぎないと思うんです ね。 ○井形委員長  なかなか将来まで。お金の問題があるから、あれだね。やるぞといって予算が下りな かったといったら怠慢。何か川島先生のご意向を取り入れたうまい表現を考えられない でしょうか。 ○貝谷室長  普及啓発ということ自体は、そういう角度からはネットワークとしての仕事だろう と、川島先生のおっしゃったとおりだと思います。それから、ドナーカードの、配布と いうとちょっとあれですけれども、ネットワークが直接配布できる範囲というのは、お そらくそんなにないわけで、物理的に。そういう意味でのプロモーターといいますか、 そういうものはやっぱりひとつの流れとしては、従来の腎の流れというのは、やっぱり 大事にしてやるべきだろうと私どもは思っていますので、そこは少し表現などは少し工 夫させていただきたいと思います。 ○井形委員長  規定の時間がもう過ぎまして、誠に申し訳ありません。コーディネーターのところを お願いします。 ○重藤補佐 6 コーディネーター  臓器移植を適正に実施していくためには、移植施設や臓器提供側の医療機関とも独立 した立場で、臓器移植に係わる情報の収集、ドナーの家族に対する臓器移植についての 説明等の実施とともに、適正なレシピエントの選択、臓器の搬送等の一連の臓器移植に 関わる業務を行うコーディネーターの役割は極めて重要である。  特に、脳死後の臓器移植に際しては、これまでの心臓死以後の移植と異なり、例えば 臓器提供者の家族に対して脳死について深い理解が得られるように説明することが求め られること、また心臓や肝臓の移植は、臓器の摘出から血流の再開までの時間的制約が 大きいため、搬送手段の選択等に細心の注意が必要となることなどから、高い専門性を 持ったコーディネーターの確保が強く要請される。  このような高い専門性を持ったコーディネーターの確保に向けては、養成の段階から の取組みの強化が重要と考えられるが、当面の措置として、既に腎臓移植についての経 験等を有する社団法人日本腎臓移植ネットワークのコーディネーター及び都道府県コー ディネーターを再教育しつつ、拡充を図っていくことが適当と考えられる。 なお、再教育は、臓器移植ネットワークがコーディネーター研修会等を実施し、再教 育の機会を提供するものとする。  コーディネーターについては、これまでの腎臓移植等のコーディネーターと同様、基 本的には医療有資格者等を対象として、一定以上の経験、研修を経た上で、臓器移植ネ ットワークが実施する試験に合格したものとすることが適当である。  ここでいただいた意見でございますけれども、「このような高い専門性を持ったコー ディネーターの確保に向けては」というくだりの最後のところでございますけれども、 「都道府県コーディネーターは、専任かつ常勤で活動することが不可欠である」という 部分を追加していただきたいというご意見。  それから、コーディネーターの資格のところでございますけれども、医療有資格者に 加えて、「または4年制大学卒業者」というのを加えてくれということ。 それから、コーディネーターについて、ドナーコーディネーターとレシピエントコー ディネーターという考えがあるが、これについて触れていなくてもよいのかというご意 見をいただいております。 ○井形委員長  どうもありがとうございました。それでは、どうぞ、ご発言いただきたいと思いま す。 ○中谷委員  ひとつ伺いたいのですが、現在、コーディネーターというのは国家資格を持っている わけですか。 ○貝谷室長  これは実際上は腎臓移植ネットワークの職員以外にはおりませんので、事実上国家資 格ということではなくて、まさにネットワークが採用する人の資格ということで定めて いるというのが現状です。 ○中谷委員  将来的にはそういうものを考えるわけですね。 ○貝谷室長  国家資格といいますと、通常ですと、ある一定以上の集団、数ですね。それから、一 定以上の専門性の認知というのが必要だと思いますが、将来は別にして、なかなか数の 面からは難しいのかなという感じは今はしております。 ○中谷委員  その養成はとっても難しいですね。いつか私、その研修会みたいなものに呼ばれたこ とがありますが、その時得た印象からもぜひレベルの高いコーディネーターの育成のた めにご努力いただきたいと思います。 ○重藤補佐  ドナーコーディネーター、レシピエントコーディネーターの件でございますけれど も、レシピエントコーディネーター、アメリカではきちんと移植施設にいて、レシピエ ントのフォローなり心のケア等をするコーディネーターがいるわけなんでございます が、ただ、日本の場合は、まだ数的にもなかなかそんなにないんではないかというふう に考えております。また、病院のMSWとかソーシャルワーカーとの分化の問題もござ います。数が出てきて、それで専任の人を置くぐらいの業務ということになってくれば 当然考えるべきことだと考えておりますが、当面スタートする段階からレシピエント コーディネーターがいないと始まらないということではないのではないかというふうに 事務局では考えていまして、一応コーディネーターはドナーコーディネーターをイメー ジにして書き込んでおります。 ○井形委員長  ネットワークから都道府県のコーディネーターが専任かつ常勤で活動することが不可 欠であるというのは、これは望ましいとか、相手があることですから、いうことで書く ことは出来そうですけれども、あと、4年制大学卒業者と書いてありますが、これは、 そのほうが望ましいとは思いますけれども、やっぱり3年制、2年制の大学を出た人も いますし、この4年制大学という言葉が非常にやっぱり差別感を生むんですね。ですか ら、行く行くはそうでしょうけれど、この4年制大学というのは表現しないほうが僕は いいのではないかと。つまり、医療有資格者ということで、将来は4年制にもっていく とか、国家資格ができたときは4年制を目指すという含みで。そうしませんと、ただで さえ少ないコーディネーターに、「4年制なら俺はやらんわ」というふうな気を起こす んじゃないかという気がいたしますけれども、どうでしょうか。 ○筧委員  中谷先生がおっしゃるように、できるだけ質のいい人を養成せにゃいけませんけれど も、あまりつけないほうがいいかもしれませんね。 ○井形委員長  もちろん、それはもう。そういう表現を書けばいいかもしれませんね。 ○中谷委員  そうですね。4年制と限定しないで、医療有資格者で、かつそういう。 ○井形委員長  質の高い、経験豊富な。 ○中谷委員  養成を受けた者というふうになさればいいんじゃないでしょうか。 ○井形委員長  それでは、その他。どうぞ。 ○谷川委員  このコーディネーターに関しては、都道府県のそういうのがおられるというのは僕は 初めて聞いたんですね。むしろ私が思うには、一番重要なのはドナーのコーディネー ターなんですね。いかに日本でドナーを確保するかというのは、レシピエントのほうは いろいろ経験のある人は多いと思うんですけれども。だから、ドナーが出る一番出るの は救命救急センターで、特に高度救命救急センターというのは、全国で6カ所か何かし かありませんので、ですから、少なくとも日本に6カ所ぐらいの高度救命救急センター で一番脳死の状況が多いわけですから、そういうところに1人ぐらいきちんとしたド ナーコーディネーターを置くような対策をまずされるのが一番重要じゃないかというよ うに私は思いますが。そこに常駐しないとやっぱり意味がない。出張してやるなんてい うことは到底できないんじゃないかと思います。 ○井形委員長  ありがとうございました。それでは、その他をお願いします。 ○重藤補佐 7 その他  臓器移植ネットワークの発足をもって、本委員会は解散するが、今後の臓器移植ネッ トワークの運営の基本的事項について検討が必要となる場合には、公衆衛生審議会成人 病難病対策部会の中に既に設けられている臓器移植専門委員会において検討を行ってい くことが望ましいと考えられる。 なお、未だ定められていない肺等の移植のためのレシピエント選択基準等について も、できるだけ速やかに同専門委員会において検討することが求められる。  ここでいただいている意見としましては、小児の臓器移植について触れられていな い。言及すべきではないかということ。  それから、準備委員会の報告書自体の語尾でございますけれども、準備委員会は意見 を述べる立場であるので、本委員会において断定的な「こととする」、「ものとする」 という表現ではなくて、「など望ましい」、「べきである」等の表現が適当ではないか というご意見でございます。 ○井形委員長  私は全く事務的な意見ですが、小児のことはもちろん書いたほうがいいには決まって いますし、私もそう思っていますけれども、実際、小児の問題と小児の本人意思との関 係がはっきりしていないときに小児を進めるという言い方はちょっと誤解を受けるんじ ゃないかという不安を感じますけどね。どうでしょうか。 ○川島委員  これは私が書いた意見でございますけれども、小児の臓器移植について具体的にどう こうしろというのではなしに、その問題がまだ解決しておらないから、ネットワークと してもその方向についての検討をしなさいというふうなことを書いていただきたいと、 そういう意味でございます。 ○重藤補佐  この委員会、この報告書自体は、法律で定められた臓器移植を公平・公正に行ってい くためのネットワークの整備についての報告書でございます。小児についてはどうして も、法律で本人の意思、書面による意思の必要性が定められており、当然意思が有効で ある年齢ということが判断されますので、法律的な事項になってしまいます。法律的な 事項の検討をしろとかしないとかいうものをネットワークの整備のあり方の報告書に盛 り込むというのは、多少違うと存じます。そういう問題であれば、公衆衛生審議会等の 法改正とか法律のあり方のところの議論として出ていくものではないのかと考えまし て、この報告書には触れてないということでございます。 ○井形委員長  不本意でしょうけれども、いかがですか。それでは、そのまま公衆衛生審議会のほう へ、こういう意見があったということをお伝えして。移植を受ける人たちの団体から は、そういう強い声がありますから、それはまさに正論でありますし、私もそう思って いますが、脳死の判定基準もまだできておりませんから、早急に作るべきだと思います し。ですけれども、本人の意思というところがまずクリアしないと先に進むには。 ○中谷委員  小児というのは、特に6歳未満は竹内基準では脳死判定の除外例になっていますね。 でも、そういう竹内基準に準拠するといいながら、名古屋大学では6歳未満についても 脳死判定をしていらっしゃるはずですね。竹内基準に従うといいながら、私、きょう、 日本の脳死判定基準の比較というのを持ってまいりましたけれども、各大学によって随 分違うんですね。それも、この委員会とは直接関係はありませんけれども、やっぱりい ろいろこれから問題になると思います。 ○井形委員長  共通性がありますね。せっかく作ったのなら、後でください。 ○中谷委員  差し上げます。皆さんには差し上げるつもりで持ってまいりましたので。 ○井形委員長  それでは、一応ざっといたしましたが、いかがでしょうかね。全体を通じて、どう ぞ、ご意見を。 ○北川委員  この報告書は、誰に向かって報告するんでございましたですかね。テーマは臓器移植 ネットワークの整備でありますけれども、これは誰に向かって提出するのか、ちょっと 気になったんであります。それはなぜかというと、先ほど来の川島先生がおっしゃって おられる、国がもうちょっとやってほしいという気持ちがものすごくあるわけですよ ね。テーマはネットワークに関することなんだから、それに関連して、全般的に広がっ て全移植問題について国に対して物を言うというのは、それはちょっとおかしいかもし れないけれども、このネットワークに関連して、例えば普及の問題について国はこうや ってほしいとか、そのくらいは言ってもいいんじゃないかなというふうにちょっと感じ ております。 ○井形委員長  形式的には、この委員会から局長に具申して、局長がネットワークをどう、国が作る ことに参考にされる。大体は尊重されるとは思いますけれどもね。あるいは、北川先生 が言われたようなことは、皆さんの附帯要望として局長あてに出してもいいんですけれ どもね。 ○貝谷室長  今、委員長がおっしゃったようなことで対応はしていただけるなら、それはそれでよ ろしいかと思いますけれども。 ○北川委員  それから、もうひとつよろしゅうございますか。7ページのところで、さっき保健所 の業務のことを書いてございましたが、これは、さっき委員長のお話で、ちょっと全面 的に書き換えられるというふうに承ったので、それならばそれでいいんでありますが、 拡張型心筋症だけが何か保健所でやっているような、そんなニュアンスに受けとめられ るんですね。そうではなくて、臓器移植というものも公衆衛生というか、地域保健全般 の中での重要なテーマだと考えれば、保健所も保健所が持っている機能をこのために提 供するということは一向差し支えないし、むしろ望ましいことだと思いますので、それ はそれとして、位置づけを変えていただければいいのではないのかなというふうに思い ます。 それから、もうひとつ、全体で気になったことは、この臓器移植ネットワークという のは、これは一般名称的な、抽象的なといいますか、そういう機能のことだと思うんで すね。文章の中で、例えば、日本臓器移植ネットワーク云々とか、あるいは、社団法人 日本腎臓移植ネットワークとか、固有名詞と、よく読んでみるとちょっと混然としてい るところがあるように思いますので、そのへんはもう一遍よく整理をしていただくとよ ろしいのではないのかなと。  それからもうひとつ、文章でちょっと気になったのは、2ページの一番下から8行目 でございますが、後ろのほうで、「こうした腎臓移植関係者の自主・自立性を尊重する 意味から」とありますが、腎移植関係者というのはどのことを指しているのか、移植医 療施設なのか、あるいは全体か、言ってみれば我々も含めて関係者と言っているのか、 これによって、自主・自立性を尊重する意味から公益法人を作ったというのは、ちょっ とよくわからないんですね。だから、もしすれば、これは私の解釈だったんですけれど も、腎移植関係者、これは移植施設と考えれば、からの自主・自立性かなというふうに 読めばいいのかなと思ったりしているものですから、そこのところはちょっと詰めてい ただいたらどうかなというふうに思います。以上でございます。 ○大島委員  中谷先生のお話なんかを聞いていて、ちょっと小児の問題が少し引っかかったんです けれども。一番最後の最後に、いろいろとこじつければ、意思の問題とかいろいろある かとは思うんですけれども、こじつければ、やっぱり全く関係がないわけでもないの で、脳死の判定の問題とかいろいろ言い出せばいろいろと議論が出てくるところかと思 いますので、例えば、「なお、未だ定められていない肺等の移植のためのレシピエント 選択基準と、及び欧米では標準的治療になっている小児の臓器移植についても」という ような一文を入れるようなことはご検討いただけないでしょうか。 ○井形委員長  これは、ネットワークがイニシアチブをとってやるというのも、先ほどの、答申の後 に、この委員会でこういう希望があったという項目で、今の大島先生の言われたことと か川島先生の言われたこととか、それからついでに、お金をたくさん出してほしいと か、そういうことを書いて出して有効ですかね。これは受け取らんと言われたら、もう しようがない。 ○貝谷室長  いえ、いえ、そんなことございません。報告書はまさにネットワークの整備でござい ますから、それに関連して先生方から役所に物を言いたいということであれば、それは それできちっとご意見は承りたいと思います。 ○井形委員長  こういう意見がありましたと、ご配慮くださいと。それでどうでしょうか。そうしま したら、ネットワークは決して事務的に嫌々やっているのではなくて、前向きにこうい う未来を描いて積極的にやっている団体だというイメージをアップするのに役立つと思 うんですね。 すみません、不手際で随分時間が遅れちゃっておるんですが。  それでは、これからの取扱いについてお諮りいたしますが、きょうは先生方からのご 意見をいただきましたので、一度これを、ご意見を取り入れる形で整理いたしまして、 報告書案を作成いたします。  そして、事務局のほうから各委員の方に、こういう報告書を出しますということでフ ァクスあるいは持ってまいってご意見をお伺いして、そして最終報告書のとりまとめを いたします。事は急いでおるわけですね。文面、文言その他、表現その他のことにつき ましては、委員長一任、これは役所で言う言葉で、委員長一任というのは、私が自由勝 手にするぞという意味では決してありませんでね。よく相談して、一番ベストな選択を させていただくということで、委員長一任ということで取り合わせていただきたいと思 います。きょうも、こんな報告書は全然だめだというご意見はありませんでしたので、 これを中心に、ぜひまとめさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございましょ うか。ありがとうございます。 ○川島委員  これでもう終わりですか。 ○井形委員長  大体終わりでありますが。 ○川島委員  もう我々がもう一度議論する場はないわけですか。 ○井形委員長  どうします。 ○川島委員  これは非常に重要なことだと思いますし、今、私がいろいろ縷々申し上げたことにつ きましても、やはり文言は一度見て確認したいなという気がするんですが。 ○井形委員長  それは十二分にいたします。先生方のところへお回しして。 ○貝谷室長  もちろん、そこの文章その他は、そこは慎重に先生方のご意見を踏まえまして、また は委員長ともご相談の上、先生方の納得いただける文章で最終報告はまとめるというの は当然でございます。 ○井形委員長  それでは、そのほか事務局から何か。 ○貝谷室長  もう時間が大変過ぎて誠にすみません。報告事項がございますので、委員長、もう報 告事項に入ってよろしゅうございますか。 ○井形委員長  どうぞ、お願いします。 ○貝谷室長  2点だけ、簡単にご報告申し上げます。  お手元の参考資料で付けておりますが、先日、7月の11日ですが、公衆衛生審議会 の臓器移植専門委員会のほうに厚生省のほうで法律の実施のために必要な省令の試案を お出しいたしました。きょうは、簡単に説明をと思っておりましたんですが、ちょっと 時間の関係がございますので、これは割愛させていただきまして、こういう内容の省令 案で、専門委員会のほうで議論しているということをご紹介させていただくにとどめた いというふうに思います。何かご意見ございましたら、また別途、事務局のほうにご連 絡いただければ幸いでございます。  それから、2点目のご報告でございますが、参考資料3というのが最後にございまし て、これはドナーカード、いわゆる意思表示カードにつきまして、法律が修正されたも のですから、修正後の法律を受けて、こういう文案であれば文章として大丈夫ですよと いうことで、厚生省でモデル案を、これは前回の委員会にも似たようなものを出しまし た。そのあと各方面から指摘がございまして、もう少し直したほうがいいという点がご ざいました。  1点は、様式の2.のところで、「心臓が停止した死後」とございます。これは従 来、「心臓が停止した後」ということでございましたが、ここはやはり「死」というの をきちっと書いた上でドナーカードに書いてもらったほうがいいだろうということで、 そこは取り入れさせていただいております。  それから、この様式の一番下のほうの「家族の署名」というところがございます。こ この欄は、これは家族が臓器提供に同意するしないということの要件ではなくて、この ドナーカードを本人が持っているということをある家族がちゃんと知っていますよとい う確認のためにここの家族署名欄に署名していただくと、こういう趣旨で設けました。 従来は、そのちょっと小さい字で1行書いてございます、この注釈が不十分でございま して、法律上の要件と誤解されている方がほとんどでございまして、そこをはっきり と、法律上の要件ではないけれども、こういう趣旨でこの欄を作っているのですという ことをはっきりドナーカード上も明示するほうがいいだろうということで、字は小さい ですが、こういうのを入れたほうがいいということで直したものでございます。  以上、2点、ご報告をさせていただきました。 ○中谷委員  「署名下さい」よりは「署名して下さい」のほうがよさそうな気がしますけれども。 小さい字のところ。 ○貝谷室長  「署名して下さい」。 ○井形委員長  そうですね。「して下さい」。「して下さいませ」。 ○水戸委員  それから、これを前の委員会のときいただいてある人に見せたら、反対する方はむし ろ、脳死判定に従うのはみんなこの濃い字でゴシックで書いてあるけれども、3番目は 薄いと。だから、同じ同等にしておいたほうが、皆さん抵抗なしにできるのではないか というご意見もあったという。余計なことですけれども。 ○貝谷室長 わかりました。ありがとうございます。 ○川島委員  これは言葉の問題で、あまりこんなことを言っても仕方がないんでしょうけれども、 2番目の「心臓が停止した死後」というのは、心臓が停止するということが死であるよ うなニュアンスを与えるんですが、これはサイエンティフィックには全くそうじゃない んですがね。これで本当にいいんでしょうかね。大変恥ずかしい文章ですが。 ○貝谷室長  「停止した後」ということでございますが、正確にここを書き出すと確かにサイエン ティフィックにはいろいろときちっと書かなきゃいかんわけですが、「死後」というの と、心停止した上で死んだと、両方の趣旨を盛り込んだつもりで、非常に言葉が足りな いんですが、限られたスペースで申し訳ございません。 ○川島委員  心臓が停止した上で脳機能がなくなったというふうに理解してくれということです ね。わかりました。 ○井形委員長  それでは、約30分超過いたしましたが、きょうはこれで終了させていただきます。 正式の会議はこれが最後になります。先生方のご努力に感謝いたします。委員会がなく なりましても、この委員会の精神はそのまま生き続けますし、多くの先生方はそれぞれ の委員会に所属しておられますので、ぜひここで一堂に会して議論したことを、ぜひ忘 れずに、健全な移植が定着できることを希望いたしまして、きょうの会議を終わらせて いただきます。どうもありがとうございました。以上 問い合わせ先 厚生省保健医療局エイズ疾病対策課臓器移植対策室    担 当 重藤(内2361)、眞鍋(内2364)    電 話 (代)03-3503-1711