97/07/16 公衆衛生審議会難病対策専門委員会議事録 公 衆 衛 生 審 議 会 成 人 病 難 病 対 策 部 会 難 病 対 策 専 門 委 員 会 議 事 録                                          厚生省保健医療局エイズ疾病対策課           公衆衛生衛生審議会成人病難病対策部会     難病対策専門委員会議事次第 日 時 平成9年7月16日(水)  10:00分〜11:15分 場 所 厚生省7階 特別第1会議室  1 開 会  2 議 事  (1)今後の難病対策の具体的方向について(案)  (2)その他  3 閉 会                                            出席委員  黒川委員長  大野 委員  古和 委員  西谷 委員  堀井 委員   ○黒川委員長 おはようございます。時間になりましたので、ただいまから難病対策専 門委員会を開催させていただきたいと思います。この間からそれほど時間がたっており ませんが、きょうは委員の先生方、この間よりは部屋が広くなって委員の数が減ったと いう感じですが、出欠状況についてよろしくお願いします。 ○荒川補佐 本日は高久先生、瀧島委員、津久江先生、竹澤先生の計4名がご都合がつ かずに欠席されております。 ○黒川委員長 どうもありがとうございました。  それでは、この間の議事の進行では、きょうでまとめさせていただきたいという方向 に持っていきたいと考えておりますが、きょうは小林局長も来ておられますので、まず 局長の方からお願いします。 ○小林局長 専門委員会の先生方おはようございます。  大変お忙しいなか、まげてこの会議に御出席いただきまして厚く御礼申し上げたいと 存じます。  本委員会は、平成7年12月の当委員会の最終報告書後の諸般の事情を踏まえまして、 今後の難病対策について具体的な方向を出していただくことを目的といたしております が、事務局から提起させていただいている課題はいずれも極めて難問でございます。  1つは、ALSなど重症難病患者の療養環境整備のあり方を入院・在宅の両面からど のように方向づけるのか。  2つ目は、事業創設後の約25年を経過をいたしまして、さまざまな問題点が指摘され るに至っている治療研究事業(難病医療費の公費負担制度)を、今度どのように運用し ていくのか。  3つ目が、平成10年から12年の財政構造改革のための集中改革期間においては奨励的 補助金の毎年1割削減が政府の方針となっている中で、また、地方分権論の中で国と地 方の役割分担が厳しく問いなおされている現状の中で、難病対策の位置づけをどのよう にするのかといった課題がある現状の中で、難病対策の位置づけをどうするのかといっ た課題につきまして、個人の価値判断によって、あるいはそれぞれの人間が置かれた環 境によって、また立場によって、大きくその評価基準が異なる問題でございます。  私といたしては、大変難しい問題の検討を委員の皆様にお願いいたしているわけでご ざいまして、本当に恐縮をいたしている次第でございます。  しかしながら、皆さんのお知恵をお借りしながらも、具体的な施策についての決定と 責任は行政が負うべきものであることは当然でございまして、私もそのことは十分認識 をしているつもりでございます。  本日は、現在までの議論の経過を踏まえ、現段階での結論をおまとめいただくと聞い ておりますが、どうか忌憚のないご意見をいただきますようお願い申し上げまして、甚 だ雑駁でありますが、ご挨拶とさせていただきます。  どうぞ、よろしくお願い申し上げます。                     ○黒川委員長 どうもありがとうございました。そういうわけでございますので、 難しい問題ではありますが、まとめに入って、きょうでその上の部会に報告させていた だけるようにしたいと思っていますので、よろしくお願いします。  それでは、早速議事に移りたいと思いますが、先生方の方に前回の議論を踏まえた上 でのまとめ案というもののドラフトをお送りしていると思いますが、きょうの資料につ いて事務局からお願いします。 ○荒川補佐 本日、資料3点、先生方のお手元へ配付させていただいております。1つ は、ただいま黒川先生からお話のございました、本委員会の意見具申案でございます。 「今後の難病対策の具体的方向について(案)」。  2番目、3番目は参考資料でございまして、参考資料1は、先週7月8日に出されま した「地方分権推進委員会の第2次勧告、−分権型社会の創造−」という勧告の中から の抜粋でございまして、国庫補助負担金の整理合理化と地方税財源の充実確保というと ころを抜粋させていただいたものをつけさせていただいております。  参考資料2は、これはただいま私どもの局長からも話がありましたが、「財政構造改 革の推進について」という6月3日の閣議決定の内容でございます。  以上が本日の資料でございます。 ○黒川委員長 ありがとうございました。  この資料1に沿って、きょうは議論を進めていきまして、一応先生方の御意見をある 程度まとめさせていただきいたと思います。前回御案内いたしましたように、きょう患 者さんの団体をお招きしておりますので、3つの団体からのヒアリングをまず第1回に 行ったわけですが、先生方の御意見を踏まえて、今までのところでかなり煮詰まっては いるわけですが、それをまとめて少しヒアリングをして、少し説明させていただきたい と思っています。  それにつきましては、この間もお願いしましたが、一応私の方で先生方の御意見を全 体をまとめた上で、この後、患者さんの団体の方にこちらの趣旨を説明させていただけ ればと思っておりますが、よろしいでしょうか。  大体11時か、11時15分ぐらいまでに、こちらの会は終わらせたいと思っていますので よろしくお願いします。  資料1について説明をお願いしたいと思います。 ○荒川補佐 それでは、資料1でございます。「公衆衛生審議会成人病難病対策部会難 病対策専門委員会報告『今後の難病対策の具体的方向について』(案)」でございま す。  「はじめに」というところが1ページ目ございますが、ここは本専門委員会を開催す るに至った経緯を縷々述べている部分でございます。  全体が4項目に分かれておりまして、1番目が「調査研究の推進方向について」、2 番目が、「難病患者の療養環境整備について」、3番目が「居宅生活支援事業の改善に ついて」、4番目が「治療研究事業の見直しについて」という大きな4項目で構成して おります。  まず最初の「調査研究の推進方向について」ですが、これは、平成7年12月の最終報 告を受けてのその後の取り組みを書いた上で、今後の具体的な方向として2点記載して ございます。  最初は「研究成果の適切な公表」ということでございます。これは当委員会の審議の 中で御指摘をいただいた内容を踏まえまして、患者・家族の皆さんに対してもう少し分 かりやすい形で研究成果の適切な公表をやっていくということ。また、研究者や一般国 民へももう少し研究成果を積極的にアピールしていくべきではないかということでござ います。 これにつきましては、もし、こういう御提言をいただけるということになれ ば、各研究班の先生方にお願いして、毎年誇るべきというか、画期的なといいますか、 そういう研究成果についてはマスコミなどにも積極的に情報提供をしていきたいと考え ています。  2番目は、「医薬品の適応外使用研究に関する体制の確立」でございますが、これは 平成8年度の特定疾患調査研究事業の中で、特定疾患の医薬品の適応外使用調査研究班 によって実態調査が行われて報告がなされておりますので、これを踏まえまして、各臨 床調査研究グループにおける取り組み方について、その体制を確立していくという内容 でございます。これにつきましては、この間の審議の中でも出ておりましたけれども、 オーファンドラッグ制度との連携についても具体的に取り組んでいきたいということで ございます。 2の「難病患者の療養環境整備について」でございます。  これは当専門委員会の課題の中でも非常に大きな課題の1つでして、その対策の必要 性が最初の部分に述べられております。3ページに移りまして、この大きな柱「難病患 者の療養環境整備について」、(1)は「入院(入所)施設の確保対策」ということと、 (2)の「地域に根ざした在宅療養の支援対策」という2つの項目で構成しておりますが (1)の「入院(入所)施設の確保対策」につきましては、具体的な方向として4点挙げ ております。  (1)は「地域における受け入れ体制の整備」でございまして、これは前回の委員会に おきまして、西谷先生からも細かく御指摘をいただいたところでございまして、患者に 対する適切な療養指導体制の確立を含む組織的な入院の受け入れ体制を地域ごとに整備 する必要があるのではないかということで、そのための基幹的な病院やそれに準ずる病 院、協力病院のようなものをイメージしておりますが、そういうものを整備して、地域 として入院の受け入れのネットワーク体制のようなものを構築をしていくということの 内容になっております。  (2)は、これは以前からの取り組みですが、「国立病院・療養所の受け入れ体制の強 化」について引き続き取り組んでいく必要があるのではないか。  (3)は、「福祉施設の活用と連携」ですが、これは難病のケア・システム調査研究班 の7年度の調査研究の結果、特定疾患患者の約12%が実は身体障害者であるということ が明らかになっておりますので、こういう結果も踏まえまして、身体障害者療護施設等 における受け入れについて、勿論そういう施設の場合は十分な医療の供給ができません ので、病院との連携体制などに配慮しながら、そういう療護施設における受け入れにつ いても検討していくべきではないかということでございます。  (4)は、「診療報酬における支援措置」、これは平成6年度から診療報酬において、 特定疾患患者に対するいろいろな措置が講じられてきているわけでございますが、特に (1)、(2)で挙げました入院体制の整備をしていく上では一層の充実が求められるという 内容でございます。  4ページに移りまして、療養環境整備の2番目の柱であります「地域に根ざした在宅 療養の支援対策」ということが述べられておりまして、これは具体的な方向としては、 (1)から(4)まで、これも4点具体的な方向を示しております。  (1)は「保健所における調整機能及び普及・啓発機能の充実」ということでございま して、これも本委員会の中でたびたび指摘されたところですが、保健所を中心にした在 宅療養のいろいろなサービスのコーディネートをしっかり図っていく必要があるのでは ないか。また、難病患者を地域で支えていくためには地域住民の理解も必要だというこ とで、そのための普及・啓発機能の充実についても配慮していく必要があるのではない かということです。  (2)は、「難病対策における都道府県以外の保健所の位置づけ」ですが、これも従来 の難病患者地域保健医療推進事業が都道府県への補助事業として都道府県の保健所だけ が対象になっている。実際には都道府県の保健所以外に中核市等が数が増えておりまし て、そこが現在の保健医療推進事業ではすっぽり落ちているということがございまし て、これについては、保健所政令市についての位置づけをしっかりやるべきではない か。  (3)は、「難病患者地域保健医療推進事業の見直し」ですが、(1)、(2)、特に(1)の施 策をやっていく中で、先ほどの地域における入院の受け入れ体制の整備ということを図 っていく上で、従来の保健医療推進事業を適切に見直していく必要があるのではない か。  具体的には、重症患者に対する訪問相談の充実というようなことも考えていく。ま た、訪問診療をもっと効果的に活用できないかということがございます。  これらの事業の充実に伴いまして、患者・家族教室モデル事業ですとか、在宅人工呼 吸器使用特定疾患患者緊急一時入院事業については、効率性の観点から見直しを行って いくということでございます。  (4)が、「難病情報センターの充実」でございまして、これもこの専門委員会におい てたびたび指摘されたところでして、難病情報のホームページの開設を実施したところ ですが、もっと利用しやすい形でインタラクティブといいますか、双方向性というもの を取り入れていくべきではないか。  この委員会で指摘いただいた中で、インターネットはなかなか全部の難病患者さんが 活用できるわけではないので、情報のアクセスポイントとして保健所であるとか、地域 における難病の拠点病院や患者団体を位置づけてネットワーク化を図っていくことが必 要ではないかという御意見を書かせていただいたものでございます。  第3の大きな柱であります「居宅生活支援事業の改善について」ですが、これにつき ましては、具体的な方向として(1)、(2)、身体障害者への対応として、身体障害者全部 除外しておりますが、特に実態としては3級以下の身体障害者は、在宅サービスがなか なか受けられないということがございますので、そういう人たちを除外してしまうと本 事業の趣旨が達成されないのではないか。  (2)に、本事業の場合に18歳未満を除外しておりますが、これについても見直す必要 があるのではないか。  4が「治療研究事業の見直しについて」でございまして、これが非常に大きな問題で ございます。  この委員会での検討では、(1)「事業の効果」この事業が現在まで果たしてきた役割 について何点か議論していただきましたが、ここで挙げさせていただきましたのは、ア からエの4点でございまして、病態の解明や治療方法の研究に寄与してきた。  対象疾患を容易に把握できるために、各種の疫学調査による患者の実態把握に寄与し てきた。  継続的な医療費負担の軽減により、患者とその家族の社会生活を支援してきた。  この事業の副次的効果として、難病に対する社会的認識を促進し、患者団体の創設等 とも相まって難病に対する社会的偏見の除去に寄与してきたという4点を挙げておりま す。 ただし、この事業にはいろんな問題点があるということでございまして、その問 題点が7ページでございますが、幾つか議論していただいた点でして、この事業が「科 学試験研究費補助金」であるという研究事業としての側面に着目した問題点として3つ 挙げております。  ア.具体的な症例や疫学的なデータの収集を効率的に行なうという研究の観点からす ると、本事業は効率的な研究事業と言えるのか。  イ.長年にわたる研究の成果によって対症療法等が非常に進歩して、重症度に改善が 見られる疾患を他の重症度の高い疾患と適切に入れかえていく取捨選択が必要ではない か。これは最終報告においても御指摘をいただいている点でございます。  ウ.希少疾患の症例確保という観点から見れば、厳しい財政状況の中で、医療保険各 法(老人保健法を含む)における医療費の患者負担分を全額公費で負担する必要がある のか。症例の確保ということであれば、全額負担は要らないのではないかという議論が ございます。  次に、この事業の福祉的側面に着目した問題点として3つございまして、ア.多くの 難治性疾患の中で、なぜ一部の特定疾患だけを公費負担医療とするのか。他の難治性疾 患との間に不公平が生じるのではないか。これは特に総務庁の行政監察局が8年度の監 察の中のヒアリング等で厳しく指摘をしているところです。  イが、「高額の医療費」についての基準の設定。この要綱が医療費が高額であること に着目をして公費負担をするということになっておりますか、だとすると、高額の医療 費についての基準を設定するとか、もしくは福祉施策としての側面からすると、患者の 所得水準等に配慮する必要があるのではないか。  ウに、この事業を事業開始後25年がことしで経過をし26年目に入ったわけですが、事 業としての熟度が非常に高い。地方自治体の事業として定着しているということで、一 般財源へ移行させるべきではないか。これは地方分権委員会、きょうお配りいたしまし た第2次勧告にもそのような指摘がなされているところです。  これらの問題を踏まえまして(3)「今後の方向」としてどういうふうに考えていくか ということですが、いろいろそういう問題点はあるけれども、総合的に見れば、この治 療研究事業が難病対策において果たしてきた役割(1)で述べた意義は依然として失われ ていないと判断されるのではないか。本事業はそういう意味では、今後とも研究事業で あるということを基本に福祉的側面にも配慮しながら維持していくということが基本的 な方向になるのではないか。  ただし、厳しい財政状況の中でこの事業を維持するとともに、難病対策の総合的な推 進を図るために、(2)で指摘した問題も踏まえて、次の点について検討する必要がある のではないか。  (1)は、「公費負担のあり方」ですが、限られた予算の範囲内で上記1から3て指摘 した難病対策としての各種施策を実施する上で必要な財源を確保するため、医療費の公 費負担分について患者負担を導入することが考えられるが、その検討に際しては、次の 点について留意する。  2つ挙げておりまして、ア.患者負担導入の方法については、定額負担または定率負 担が考えられるけれども、いずれにしても現物給付を基本に、患者、医療機関及び行政 機関の手続が煩雑にならないように配慮する必要があるのではないか。  イ.患者負担を導入する場合には、本事業の福祉的側面にも配慮する必要があるた め、財政的観点からの要請のみに基づいて一時期に大幅な負担率を導入すこることは好 ましくない。当面、本来患者が負担すべき医療保険各法の自己負担分の3分の1程度の 負担を限度として検討すべきであるということです。  何で3分の1なのかという部分については、後ほど資料をお配りをして御説明をさせ ていただきたいと思います。  (2)が「対象疾患の選定」ですがこれはこの委員会でも特に強く検討の経過の中で御 指摘をいただいている点ですが、対象疾患の選定について、最終報告において、具体的 な基準の作成による対象疾患の評価と取捨選択を考慮すべき旨を提言していただいてお ります。その後、この提言を受けて行われた特定疾患対策懇談会での検討においては結 論に至りませんでした。これは第1回の委員会で報告させていただきましたけれども、 (平成9年3月19日:特定疾患対策懇談会からの部会報告)で、いろいろ難しくて結論 に至らなかったということになっております。研究費の効率的な活用の観点から、対症 療法の開発状況等も勘案し、希少性や難治性が相対的に低下したと思われる疾患の他の 疾患との入れ替えについて、今後とも中長期的な観点に立って検討すべきである。  特にこの委員会で御指摘いただきましたのは、これをやるためには患者、現場の医 師、研究者、三者にわたる総合的な研究が必要ではないかという御指摘もいただいてお りまして、そういう意味で中長期的な観点に立ってさらに検討していく必要があるので はないかということです。  (3)「対象疾患における重症度基準の導入」でございましてこれもこの委員会で強く 御指摘いただいているところでして、研究事業としての観点からは、重症度の低い患者 も対象として実態の把握に努めていく必要がありますが、対症療法の開発に進歩が見ら れる一定の疾患については、それだけ研究の度合いも相対的に低くなっているというこ ともございますので、重症度の高い患者のみを対象とすることも考えられるのではない か。そういうことも選択肢の1つとして、対象疾患における重症度基準の導入を真剣に 検討すべきではないかという御指摘をいただいて、そのまま書かせていただきました。  (4)に「調査研究との連携」ですが、これは最終報告でも御指摘いただいていますが 本事業対象者に関する情報の体系的な整備について、この事業が研究事業であるという ことからもさらに検討していく必要があるのではないかということです。  以上が現在までの審議の経過を踏まえてまとめた現段階での案でございます。 ○黒川委員長 ありがとうございました。前回のたたき台の資料に、さらに先生方の御 意見をいろいろ踏まえて非常によくまとめていただいたと思いますが、これについて御 意見を伺いたいと思いますのでよろしくお願いします。やり方としては1ページごとに やっていくかということもありますが、今までずっと議論してきたところですので、先 生方、特に問題のあるところ順番どこでもよろしいですから全体を通してということで お願いいたします。 ○西谷委員 黒川先生がおっしゃったように、非常に短期間によくまとめていただいた と私も思います。特に幾つかここで論議した問題を組み込んでいただいていると思いま すが、その中でも、言葉の上からだとちょっとあれですが、1つは最初に出てくるもの ですからどうもひっかかるのですが、「研究成果の適切な公表」というのは、「公表」 というよりはむしろ「情報公開」というふうな言葉にしたらどうかと思います。  2ページ目の上から10行目ぐらいのところに、「難病情報センターとの連携について も考慮すべきであること」とあるが、実際難病情報センターはそういうふうには機能し てないわけです、実態としては。だからむしろ各班長連絡会議等において広報活動部と いうか、情報公開をするためにどういうふうにしたらいいのかということを少し有機的 に、それぞれバラバラに広報されても困ると思うので、有機的に連携して、特に患者・ 家族の関心の高いものを取り上げていくというか、そういうための機関というか、小委 員会というか、そういうものも考えてみてもいいのではないかと思います。  特に局長がおられるので、おられなくなる前に申し上げておきたいのですが、私も国 立療養所におったものですから、入所施設の確保は非常に重要だと思いますが、こちら のいろんな最近の配付していただいた資料の中にも国立病院・療養所はひょっとすると 民間化されるとか、廃止するとか、そういうようなことも書いてありますが、そうする とこれは非常に大きな問題になってくる。特に難病患者が国立療養所・病院にデペンド しているだけに、これは確実ではもちろんないのですが、念頭に入れて考えることは、 そうなった場合には、国立療養所といえども独立採算とまではいかないけれども、採算 性が非常に強く迫られてくると。そうすると途端に難病患者はすぐに敏感に、これは締 め出しだというふうになってきかねないので、多分どういう方法がいいのか分かりませ んけれども、緩和ケア病棟というのは比較的定額性でうまくいっているわけです。  難病に関しては、実は3、4年前に院長していた時分、大分国療の医療を政策医療に 限定して、80%以上でないと難病病棟と認めないとか、ということがあって国立療養所 はかなり難病にシフトして病棟をつくっているわけです。しかし、難病対策は当然採算 が悪いんです。ですから難病緩和ケア病棟に関しては比較的それを逸失利益とか、そう いうふうな計算でうまく運営されているわけですから、難病病棟についても緩和ケア病 棟に準じた診療報酬を体系的にとれないかと、そういうことも検討課題としては、特に 国立病院・療養所がそういうふうな方向に行く可能性が出てきた場合には当然含まれて くる話で、これはわりに緊急に起こってくる可能性もあるので、少なくともどこかにそ ういう言葉を入れておいて、今後の検討課題というふうにでもしておくべきだろうと思 います。  訪問看護ステーションの話でちょっと前出ていたと思うんですが、ここには全然触れ てないということですが、さっき出ていたように京都市のような政令都市において、訪 問看護ステーションで難病を扱うので説明してくれというふうなことを言われているぐ らいに関心は高いです。あるいは保険点数上でも認められているんだけれども、そこは 入れておいた方がいいのではないかと思います。 ○黒川委員長 これは4ページの(2)のところ、地域に根ざした在宅療養ここのところ に具体的な名前を入れると。 ○西谷委員 そういうところではないかと思います。 ○荒川補佐 4ページ(2)の4行目のところに「訪問看護等の医療サービスの提供が行 われるているが、これらの各種事業ついては、患者への提供についての総合的な調整が 行われていないため」ということがありますので、これを今後の方向の方をhからkの 中でどこかに入れるようにいたします。 ○西谷委員 そうですね。とりあえず、それぐらいにさせていただきます。 ○小林局長 国立病院と療養所の問題でお話がございましたが、私が国会答弁でもお答 えをいたしておりますけれども、国立病院・療養所は政策医療はきちんと今後ともやっ てまいりますと。それで、国民の皆様方は新聞情報によると、国立病院・療養所は民営 化するのではないかというお話でありますが、政府で考えているのは、いわゆる民営 化、民間企業にするという考え方ではなくて、政府としてエージェンシー化というんで すか、エージェンシーそのものがどういうものかというのは実はまだはっきりしてなく て、国民の皆さんにも分かりにくい現実ではあるんですけれども、例えば、政策医療を やって、その分赤字になる部分はやはり国家として、そこには財源を入れていくという ふうに考えていただければいいと思うので、診療報酬上ペイしなければ、それは一般財 源を入れて、難病患者さん等の政策医療はやっていくということにはかわりないと、ま ず、そういうふうにお考えいただければと思うのでありますが、ただ、ALSを例えて 言いますと、ALSの患者さんも10年前と今では大分医療のやり方も変わってきてはい るだろうと思うんですけれども、国立病院・療養所というのは各県に1つあるか、また はないかというような現状で、そこに入れられてしまうと家族と離れちゃうということ になるわけです。  そういうことが果たして難病患者さんにとってケアの面でいいのだろうかと。かえっ て地域医療の中で、今エイズが拠点病院を設けているように、拠点病院を整備して、そ こで地域医療の中で面倒を見ていただくと。その分どうしても金がかかるというなら、 診療報酬だけでやれないなら公費を入れるというような考え方もあるのではないか。そ こはある意味では難病の研究班の方でよく御議論をいただく方が本来あるべきで、頻度 が少ない。この方は家族とも離れてもやむを得ない。国立療養所でやる方がよりベター であるという病気のものとそうでないものとはやっぱり分けて考えていかないと、何で もかんでも国立病院・療養所でやるべきだというふうに言われてしまうと、やっぱり家 族と患者を離してしまうということを政府として言っている形になってしまいますの で、そこまではよく考えていかないといけないのではないか。  しかし、国立病院・療養所が政策医療をやっていくという基本的な考え方自体は前も 今も変わってないということで御理解いただければと思います。分かりますでしょう か。 ○西谷委員 政策医療的な面は実際には一般病院でもALSの患者を扱っていると思う んですね。ですから、その点は逆にちょっと誤解を招きかねないので、それを何か説い ていくような方法として考えていっていたらどうか。 ○古和委員 ただいまの議論とちょっと関連しますが、局長さんがALSの例を挙げら れたのですが、おっしゃるようにALSの患者さんはすべて施設に収容しなければなら ないことはありません。ALSのような難病の患者さんが一番不安に思っていること は、急変したときにどこへ行けばよいかが不明であることだと思うんです。ですから病 状が落ち着いているときは自宅におり、地域の訪問看護などの支援システムを利用しな がら、ファミリードクターの対応で療養できます。急に病状が悪化したときに欠く医療 圏毎に緊急入院可能な拠点病院賀あるといいと思います。交通事情とも関連しますが15 キロ、せいぜい20キロ範囲、横浜、相模原地方ですと10キロぐらい拠点となる病院があ ればと思います。  神奈川県ではALSは私のところに県委託の難病呼吸管理ベッドとして15床を確保 しています。緊急時にはいつでもいける体制が必要です。また緊急避難は尿記の悪化時 のみでなく、近所の家事で類焼の危険があるときなども入院してきます。このような体 制をきちんと整えておくことが必要で、それに対して、むしろ国立の病院が積極的に参 加してくださるといいなあと常々思っています。  現実的には、神奈川県で15床確保していましても16人目が出たことがあるんです。16 人目の収容場所をさがすのに苦慮しました。このようなことが政策面から解消できれ ば、患者さんは、非常に安心されると思います。 ○小林局長 今のお話、大体同じ考え方なんですが、ただ、15整備していて16人目出た ときにどうするか。それが即国になるかどうかというところはまた1つ問題があって、 隣の神奈川県の場合ですと、各医療圏ごとに、例えばある程度整備をしていくという考 え方に立つと、国へ行く前に隣の医療圏でもという。 ○古和委員 私はそのときは県立病院へ頼みました。 ○小林局長 国全体で私も今一歩おくれていると思うのは、「地域医療」という概念 で、地域というエリアを見て、その中でどれだけ整備をしていくのが大事か。だから、 それはその地域に国立病院・療養所があればいいのですけれども、ない県もあるわけで すから、そういう意味では、「地域医療」という概念でやっていき、その中にはもちろ ん国立病院、療養所も協力するけれども、各地方自治体立の病院にも御協力いただい て、地域ごとに計画をつくっていって、この地域は人口これだけある、ALSはこのぐ らいの患者が出る。万が一のときにどうするか。  ただ、施設だけつくってもケアする医者がいなければ、これも問題ですから、そうい う意味では地域医療のあり方が私は一番重要ではないのかと。国立病院・療養所も各自 治体でつくられる地域医療に積極的に参加していくことが大切だと、このように思って おります。 ○古和委員 確かにおっしゃいましたように、断られる大きな理由は専門医がいないと 断られる。 ○小林局長 そうです。 ○古和委員 そうしたときに、あなたのところはこういう患者さんに何かあったときに は受け入れるんだと決めて、そういう専門医を常に常置されるような方法に持っていか ないとなかなかこれは解消しないと思います。常に断られる、向こうの言いわけはそう なんです。 ○大野委員 最初の西谷先生の指摘されました調査研究の推進方向というところで「研 究成果の適切な公表」というところですが、私もちょっとここにひっかかります。今ま で適切に公表してこなかったようなニュアンスがあるので、「有効な提供」とか。「提 供」という言葉にして、「適切」という言葉を避けていただいたらいいのではないかと 思います。要するに患者さん、家族にも分かりやすく提供していくという意味が前面に 出るような形の方がいいと思います。  それと治療研究の方のところ、大変問題点があって、いろいろ問題の整理、討論が行 われたわけですけれども、(1)公費負担のあり方、(2)対象疾患の選定とか、4項目出て いて、並列してありますと、何となく方向性がちょっと緩まるかなという感じです。 (2)のところをもう少し表に出るようなふうにできないかなという気がいたします。  (4)の調査研究との連携、これは前からの懸案になっていることですが「本事業対象 者に関する情報の体系的な整備」というところの情報とは何を意味しているのか。これ だけ読めば分かりませんので、例えば疫学的あるいは医療・福祉的情報とか、ちょっと 具体性を持たせた方がいいと思います。要するに患者さんの福祉ニード、医療ニード 等々がうまく吸い上げられるようなシステムであるというニュアンスが前面に出るよう にしていただいた方がいいと思います。そんなことを2カ所ぐらい感じましたので申し 述べました。 ○西谷委員 ちょっと大野先生の話と関連して、既に最終報告を出しているわけです。 ところがそれ以後になぜこれをやらなければいけないかということに関する、これは患 者会などはよく知っているんですが、一般の人は余り何のことか分からないと思うんで す。特に研究者も分からないかもしれない。もう少し端的に書いてもいいのではない か。  そこでちょっとお聞きしたいのですが、この前、木村課長は10%削減がこれからある のだという話で、この資料読むと確かにあるということだけど、10%削減は決まったこ となんですか。 ○荒川補佐 きょうお配りしました参考資料2でございますが、「財政構造改革の推進 について」というのがございますが、本年の6月3日に閣議決定された内容ですが、1 ページに「今世紀中の3年間を『集中改革期間』」としますと。ずっと行きまして、3 ページに厚生省について、8,000 億円超の当然増について 5,000億円以上削減すると か、いろいろ書いてありますが、、後ろの方で恐縮なんですが、16ページに補助金の見 直し、整理合理化のところが出ておりまして、ここで13の「補助金」の(1)のところで 「聖域なく見直しを行なう」と下線を引いております。(2)のところで「地方公共団体 に対する補助金」については削減・合理化を図るとして、その内容として17ページi で、「その他の補助金については、集中改革期間内の毎年度、各省庁ごとにその1割を 削減する」ということが、財政構造改革会議の提言を受けた閣議決定の内容になってお ります。 ○西谷委員 その場合に、省庁ごとに1割というのは、省庁の中である程度のメニュー はできる、そういうことですか。 ○荒川補佐 そのように理解をしております。 ○西谷委員 そうすると非常に重要な課題であれば、そこにはそれほど大きな削減はか けないということなのか、あるいはそれはこれからもちろん決められるのでしょうけれ ども、この難病に関してはどうなのか。 ○荒川補佐 3年間毎年10%ずつ削減しますと、難病関係の予算は3分の1以上減りま して、ほとんど施策としては崩壊してしまうということになるだろうと考えておりまし て、私どもとしては難病対策を守るというか、充実させる立場からはこの専門委員会の 意見を踏まえて対処していきたいと。  西谷先生の御指摘、何で今さらこの専門委員会やっているのかという点については、 私最初省きましたけど、「はじめに」という1ページのところで4つ理由、(1)、(2)、 (3)、(4) と挙げております。特に今の問題は(4)の問題です。 ○西谷委員 よく分かるんですけれども、文章的に言うと「はじめに」の7行目に「最 終報告を基本とした今後の難病対策の具体的方向について検討を行なう必要が生じたた め」というのは回りくどいんだけれども、結局は再検討を迫られておると、そういうふ うにはっきり書いた方がいいのではないか。 ○荒川補佐 分かりました。「最終報告を踏まえて」というのは、最終報告で5つの柱 というのを出していただきまして、1つは調査研究の推進、2、医療施設の整備と、3 番目が治療研究、いわゆる医療費の負担軽減、4番目が地域保健推進事業で、5番目が QOLを目指した居宅生活支援事業の話、この5本の柱は基本的に崩したくないと。そ の5本の柱を踏まえて、それをどういうふうに進めていくかということで、この専門委 員会にお諮りをしたということでございますが、その辺もう少し分かりやすく、言葉に ついては。 ○西谷委員 もう一つ、その問題に関係するんだけれども、結局ある程度患者が増えて いくのはやむを得ないだろうと思うんです。ただ、ここにもいろいろ書かれているよう に、どの患者も全部一様にやることは不可能な状況になっているという認識に立てば、 やはり重症度によって分けていったらどうかというのが、私はこの前も申し上げたし、 結局いろいろ考えてもそれ以外ないと思います。  先ほどおっしゃった3月19日の、特定疾患対策協議会で、こちらからの要望に対して 検討された資料、ちょっと持ってくるのを忘れたものだから、今事務局にお借りしたん ですけれども、この中の6ページに、なかなか重症度分類ができないといいながら、つ まり疾患によって病態が異なるため困難であるとしても、将来の新たな基準の方向の1 つとして検討されるべき課題であるというふうな言い方をしています。ですから、そこ にある種柔軟性というか、難しい問題だけど、状況によってはやっぱり考えなければい けないのか、そういうふうにもとれる文章なんですね。  ですから、これはこの部会にお願いするよりも、本当はこの前申し上げたけど、班長 に非常に困っている問題なので、患者会とも話し合いながらでもいいから、班長は1人 ずつやっぱり前面に立ってもらわなければいけないと思うんです。ある程度重症度はで きないことないんです。パーキンソンなんかは初めからやっている。やっているからし ようがないということで受け入れているんだけれども、それ以前の疾患に関してかなり 軽症化しているのは事実だという病気は幾つかあるわけですから、その中で大まかな見 通しとして、例えば2割ぐらい削れとか、削るためにはどういうグレーディングが必要 なのかというところまで踏み込んでお願いすれば、私は医者としては、少なくともこう いう非常に難しい状況に立っておる医療人としては、これは良心を持って応えるべきだ ろうと思います。そういうことをやはりお願いすべきではないかという気がします。 ○大野委員 それに関して、前回のときにも申したのは、研究者がどう考えるかという ことと、現場で実際に治療していらっしゃるお医者さんがどう考えるか、その辺のとこ ろまで踏み込まないといけないわけです。それだけでやると机の上でやったと言って患 者団体の方からかなり反発が来るだろうから。患者団体の方も、この前の「あせび会」 の人のおっしゃったように、こっちの難病の患者さんを助けてあげなければいかんとい うお話がいっぱいありますから。その辺のところも入れて早急に一度やられたらいかが でしょうか。患者団体からも削減が来るということは認めているみたいな発言でしたの で、それならという格好で意見をもう一度聞かれたらどうでしょうか。 ○荒川補佐 分かりました。 ○木村課長 荒川補佐の先ほどの予算の説明に補足をいたしますと、閣議決定に書いて ございますように、各省庁ごとに1割削減でありますので、省庁の中でどうしても削れ ない部分があれば、多分ほかの方で削っていくことになるかと思いますが、現時点では 厚生省全体、各局ごとに各補助金について1割削減の努力をするということで進んでお りまして、したがいまして、現時点で難病対策は無理だから省全体で何とかお願いをし たいという、まだそういう状況にはございませんで、あくまで局内でその努力はしなく てはいけないという状況であります。  局内においても、ほかの局内のほかの補助金をもっと削って、この難病対策はそのま まにすべきだという1つの方法もあるかと思いますが、とても実情としては、ほかの方 も2割、3割削れる状況ではありませんし、特に特定疾患治療研究費というのは額が多 うございまして、何しろ 186億なものですから、この1割といっても18億強であります ので、なかなかこれをほかに転化するのは容易でない。また、それと難病対策でどうし ても重症患者の対策は、これは1つの来年度の重点課題として取り組まなくてはなら ん、その予算措置をどうするかということもありますので、したがいまして、そんなこ とを考えますと、どうしても現時点では1割削っていくということで臨まざるを得な い、そういうやむを得ない状況であります。 ○荒川補佐 先ほどの説明の中で、3分の1を限度にということを申し上げましたが、 これの関係の資料をお配りさせていただいて説明させていただきたいと思います。  「平成10年度予算の基礎数値」ということで、まず1枚目にございますが、これは平 成8年5月分の社会保険支払基金のデータ、たしか20万件ぐらいだったと思いますが、 全部取り寄せまして、データ解析をしまして、そこから今回の健保法改正分と患者の自 然増分等を推計しまして、平成10年度にどのぐらいの患者の人数と医療費の単価が見込 まれるかというのを出したのがこれでございまして、本年の平成9年3月末現在の患者 の総数が35万 8,800名でございますので、大体毎年3万人ぐらいずつ増えておりますの で、全体では来年度は40万人ぐらいになるだろうと思っておりますが、入院患者が約2 万 9,900人。入院患者の1月当たりの医療費ですが、これは平均が22日でございます。 これは検査入院などが含まれておりますので、平均22日になっておりまして、約5万 6,000円です。通院患者の1月の数ですが、40万 6,600人。 これは1人の患者が複数の医療機関にかかっている場合がありますので、一応こうい う数字になる。通院単価は1カ月1人平均 6,100円程度。通院は1医療機関1人につい てみると 2.14 回。 また、調剤等の患者が8万人。これは数が多いのは訪問看護でございまして、平均が 5,100 円。 入院の単価が5万 6,000円でちょっと安過ぎはしないかということですが、これはど ういうことかと申しますと、6万 3,600円の高額療養費制度がございまして、要するに 6万 3,600円以上の部分は全部高額療養費で切られていると。実際にかかっている平均 の入院患者1人当たりの1カ月医療費総額は50万円を超えておりますが、平均2割負担 としますと、それでも10万円を超えております。ただし高額療養費制度で6万 3,600円 を超える部分は全部きられていると。この中には、先ほど言いましたように、1週間と か2週間の検査入院などの患者がかなりございますので、それらをならしますと患者負 担分は5万 6,000円ということでございます。 それをもとに3分の1の負担を導入した場合にどれぐらいの額になるかということで ございますが、下に書いてございますが、高額療養費制度は6万 3,600円(低所得者 3万 5,400円)といったものをベースに計算しておりますが、通院の場合は3分の1で すので 2,000円程度。 これが70歳以上の高齢者医療の場合ですと、定額負担と薬剤負担で推計しますと 3,400円ですから、高齢者の医療費よりは安くなる。 高齢者の場合については、老人保健法の自己負担分もこの制度の対象になりますの で、 1,133円とさらに安くなるということでございます。 入院の平均負担額は、先ほど言いましたように、1万 8,660円ですが、最大限負担額 は一般の患者は医療費分が6万 3,600円の3分の1で2万 1,200円、食事療養費分が 7,600円で2万 8,800円になると。これは高齢者の場合ですと定額 1,000円掛ける30日 で3万円に食事療養費分を入れますと5万 2,800円ですので、3分の1負担を導入した としても半分程度である。  高齢の難病患者の場合は、さらに5万 2,800円の3分の1になりますので、1万 7,600円程度になる。そう大きな負担ではない。 低所得者につきましては、高額療養費が6万 3,600円ではなくて、3万 5,400円にな りますので、3分の1負担ということになります。食事療養費も1日 760円でなくて 650円になりますので、計算しますと1万 8,300円。高齢者の低所得者の場合1日入院 500円ですが、これでも食事療養費と合わせますと3万 4,500円ですので、低所得者の 場合でも、低所得者の高齢者よりはさらに本制度の方が半分ぐらいに安くなるというこ とでございます。 ところがこれが2分の1になりますと、通院が 3,000円、入院が2万 8,000円。最大 限負担が一般の高額療養費適用でございますと、4万 3,000円になりまして、かなり高 くなるかということでございまして、3分の1程度が当面の限度なのではないか。  最後に入院患者については、医療費は全額公費として、食事療養費分だけ自己負担に してはどうかといった場合にどうなるかという案がございますが、これですと大体おお むね医療費、食事療養費を込みで3分の1にした場合と余り変わらないという結果が出 ております。  これが現在の個人負担分の試算の状況でございます。 ○黒川委員長 ありがとうございました。いかがでしょうか。そんなような根拠で計算 されているわけですが。 ○大野委員 現在の状態で3分の1程度の負担を限度として考えると、186 億のうち、 どのくらい縮減になるんですか。 ○荒川補佐 平成10年度の事業費総額は約 550億円でございます。3分の1負担を導入 しますと、その 550億の3分の1ということでございますので、かなりの自己負担の導 入になるわけですけれども、実は都道府県に対する交付率が、本来交付すべき額よりも 現在下回っておりまして、その辺を勘案しますと、先ほど木村課長が申し上げました 186億 3,000万を3分の1を導入したとしても1割を縮減するのがやっという計算にな ります。 ○黒川委員長 いかがでしょうか。しかし、それはことしはいいけど、来年また10%で すか。再来年もまた10%なんですか。 ○荒川補佐 その辺につきましては、医療保険制度の抜本改正の話もありますので、そ の方向等を見極めながらまた考えていかなければいけない。今も御指摘いただきました 重症度の問題もございますので、それらも含めて総合的に考えていきたいということで ございます。 ○黒川委員長 今回はこれでいいけど、そういうことも考えないと、来年度の10%は厳 しいということですよね。 ○西谷委員 もう一つは、自己負担分そのものがどんどん変わっていく可能性が今後あ りますね。 ○木村課長 医療保険制度のあり方いかんでですね。 ○西谷委員 私はこの3分の1というのは、もう一つ意味が分からなかったので、今聞 いてよく分かりましたけれども、3分の1負担すると全患者さんに施行するよりも、む しろ重症になった人にはそういうものはなくてというか、要するに3分の1をしなくて も重症度によって分けた方が本当に困ったときには有効な制度なんだという意味の本来 の趣旨からいうと生きてくるのではないか。3分の1にした方が簡単だとは思うんです よ。今後ずっとそれは決めて、あとは自動的にやればいいんだからいいけれども、せっ かく病気のいろんな本体と実態と対応させて、重症度を決めることはそれほど臨床の先 生方1人1人がコンセンサスをつくるのは大変だけど、幸いにしていろんな診断基準と いうものをつくっていますから、それからすると重症度を決めるのはそれほど難しくな い。  ただ難しいのは、Aという疾患の重症度の何がBという疾患の重症度のどれに当たる かというのを決めるのは難しいと思うんですけれども、例えばパーキンソンは1つの例 だけど、ヤールの1、2、3、4、5とあるんだから、初めの1、2は切ったとか、こ ういうふな、既にあるものを適用していろんな疾患分類の重症度分類というのがありま すから、それでもって決めていくことは可能だとは思います。 ○木村課長 この患者の自己負担のあり方の、特に具体的に当面3分の1を限度として という辺の書き方につきましては、実はこの報告をいつお出しいただくか。それはこれ から最後に委員長からお話があると思いますが、きょうのここでおおむねの御了解をい ただいた後、多分委員長に御一任いただいて、その時期と細部の調整はお任せいただけ ればと、そんな御提案があると思いますが、一番これから予算編成と関連いたしまし て、ここの自己負担のあり方につきましては一番のポイントになってくるところだろう と思っております。  したがいまして、この3分の1という具体的な書きぶりをどうするか。これはこの 後、患者団体の御意見もお聞きすることになっておりますので、その辺の感触も含め、 かつ、また先ほど申しましたように、省内全体での調整をどうするかということも含 め、またかつ来年度、再来年度さらに10%の削減がかかってくるといたしますと、本当 にそれもにらんで行なうべきなのかどうか。果たして来年、再来年続けて削減率に沿っ た一部負担の引き上げみたいなものもやれるのかどうか。そんなことも考え合わせ、さ らにまた医療保険制度の抜本改正でどうなるのか。その辺もまた考えなくてはいけませ ん。いろんな要素が絡み合ってきますので、ここの辺の最後の書き方をどうするかは非 常に微妙な問題でございますので、そんなことでお含みをいただきまして御理解をいた だければと思っております。 ○黒川委員長 今回は外来の場合だけですか、入院もですか。入院は食費だけか。その 辺ははっきりしておかないと。 ○荒川補佐 ここは「3分の1程度を限度として」というふうに書いてありますので、 全部ひっくるめて、アッパーリミットだけを決めておくと。あと、具体的にその中でど う決めるかというのについては、今、木村課長が申し上げましたように、具体的な運用 の中でやっていくのか、もしくは患者団体の意見をどう踏まえるのかということを含め て総合的に考えていきたいということなんですけれども。3分の1を限度だからといっ て、来年からすぐ入院も食事療養費も通院も薬剤費も全部ひっくるめて3分の1ですと いうところまでいくかどうかは別問題ということだろうと思います。 ○黒川委員長 そうすると、今の委員の先生の御判断では、先ほどから言っているよう に、重症度その他いろいろ決めるのは難しかったということがあると、入院については 別かなと、食費だけというような話を考えておいてもいいわけですね。今のところは。  外来の場合は、確かに入院しなくてもいい程度と、どういう程度か知らないけど、と いうことから言えば、この前のヒアリングのところでも比較的受け入れられやすい提言 かもしれませんね。また、その病気そのものに関係ないことまで全部自己負担こっちが 持っているというのもしんどいなという話は団体の方も分かっているということはあり ますよね。その辺はその先に今度整備しなければいけない問題かもしれないけれども、 今回は触れておかないでということですね。  それから、前から難病の調査研究班からでも随分出ているんですが、先ほど2ページ マター、「毎年の研究成果を分かり易く簡潔にとりまとめて公表することにより」と か、この辺が言葉の問題がいろいろありましたが、確かに調査研究のあの分厚い報告書 は余り要らないですよね。課長の方からも研究班の班長をやっていると時どき言うんで すけれども、みんな何となくつくっている。今度は「患者やその家族はもとより研究者 や」と、研究者というのは一体何を意味しているのかというのがちょっと分からないの ですが、これは研究範囲でしょうね。ほかの班にも入っていないという意味だろうと思 うんだけど、そのほかの一般の従事者という視点があってもいいのではないかと思うん ですよ、普通のお医者さん、看護婦さん、一般国民への研究。「その他の研究者や医療 従事者」と書いておくと、そういうのをむしろつくってくださいよと。  フルテキストの報告書のまとまったものは行政当局とどこかにあればいいわけで、簡 単なやつをぜひホームページに出すと。これについてはすべてホームページの何とか見 てちょうだいということを書いておいて、フルテキストがほしければ、ここに言ってく ださいというような格好を整備しておいた方が私はいいのではないかと思います。 ○塚原補佐 今の研究報告書の概要をつくって情報公開していこうという件でございま すけれども、実は危機管理というような観点もあって、厚生科学課が今取りまとめてお りますけれども、厚生科学課が中心になって、厚生省の中の厚生科学研究費であります とか、こういった難病の研究費とか、全体的に報告書を非常に簡潔にまとめて、それぞ れの班ごとに、例えば国立公衆衛生院にデータベースをつくって置くとか、そういうよ うなことを今検討しておりますので、そちらの方とも連携をとりながら難病の方も検討 していくことになっておりますので、御報告させていただきたいと思います。 ○黒川委員長 ホームページはあるんですね。 ○塚原補佐 もちろんホームページあります。 ○黒川委員長 厚生省の中に、この難病のもみんな入っているわけですか。 ○塚原補佐 難病医学研究財団です。 ○黒川委員長 難病医学研究財団ね。 ○三丸補佐 難病情報センターの方は、今ヘルスネットというところのサーバーを借り て、難病財団の方でホームページをつくって持っております。 ○黒川委員長 それを見ると、今までの報告書は一応あるわけですね。資料の中に。 ○三丸補佐 まだ名簿だけで、ことしの事業として、それを平成8年度分から入れてい こうというふうに動いております。 ○黒川委員長 だから一般向けの冊子にしろ報告書にしろ、ホームページのアドレス、 HTTP何とか、WWW何とかかんとか、何とか、スラッシュなんとかというところを 一言書きなさいというふうにそちらが言った方がいいと思いますね。  そのほかにいかがでしょうか。要するにアドレスをちゃんと書くようにということで すからね。  18歳未満の患者さん、この話はどうしますか。これからの話ですか。6ページ、「対 象者の年齢制限の見直し」。疾患によっては、違った局のプログラムでカバーされてい るわけですけれども。検討すべきであるというから。 ○塚原補佐 小児慢性特定疾患との関係もありますので、そこはちょっと事務局の方で 少し検討させてください。 ○黒川委員長 来年度引き続きやりますか。 ○荒川補佐 治療研究事業そのものは18歳未満を除外してないんです。それから予算の 関係もありまして18歳未満は一応除外していたんですけれども、疾患そのものが長期慢 性疾患の方と明確に区分けをしているわけでもございませんので、一部重複しているも のとか、全く別の疾患もありますので、18歳未満を除外している理由は、実際のところ は余り明確な理由はないということで、我々としては見直す方向で、見直すというのは 入れる方向で検討したいということでございます。 ○黒川委員長 今のこれは、5ページですが、「居宅生活支援事業」だけについての問 題を言っているんですか。 ○荒川補佐 そうです。 ○黒川委員長 治療研究は18歳未満も入っているんですね。 ○荒川補佐 既に入っております。 ○黒川委員長 ですから、ここのところを言っているわけですね。 ○荒川補佐 はい。 ○黒川委員長 分かりました。  ほかにいかがでしょうか。大体のところは先生方の意見もいろいろ出ましたけれど も、大体共通しているのではないかという話だと思います。全体の財政構造の改善とい うところがありますから、それに沿ってやらざるを得ないということですので、もしよ ろしければ、ここでまとめるという方向でありますが、第2回にいろいろ患者団体から もお話を伺ったところですので、この後こういう方向で行きたいんだけれども、いかが なものかという話をその方々と私と当局とで話をさせていただいて、説明させていただ いて、全面納得というわけにはいかないと思いますけれども、それに沿った格好でこの 報告書を作成して、上の部会に報告させていただくということでいかがでしょうか。 (「はい」と声あり)  ではそのようにさせていただきたいと思います。  そういうことで、あと事務局の方から。 ○荒川補佐 本日はお忙しいなかありがとうございました。この専門委員会におきまし て、5月13日以来、計4回の御審議をいただきましてまことにありがとうございまし た。ただいまお話ございましたように、今後委員長と打ち合わせの上、公衆衛生審議会 の成人病難病対策部会の報告書を取りまとめをさせていただきたいと考えております。 なお、最終報告書ができました段階で、各先生方には改めてその内容をお送りさせてい ただきたいと考えております。  今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございました。 ○黒川委員長 どうもありがとうございました。 問い合わせ先 厚生省保健医療局エイズ疾病対策課    担 当 荒川(内2354)    電 話 (代)03-3503-1711        (直)03-3595-2249