97/07/11 第2回公衆衛生審議会臓器移植専門委員会議事録 第2回公衆衛生審議会成人病難病対策部会 臓器移植専門委員会議事録 平成9年7月11日(金) 10:00〜12:17 於:法曹会館2F高砂の間 出席者  ○黒川  清  井形 昭弘  大久保 通方 大島 伸一  大塚 敏文   桐野 高明 小柳  仁  座間 幸子  田中 紘一  谷川 久一   野本 亀久雄 藤村 重文 町野  朔  眞鍋 禮三  矢崎 義雄   山谷 えり子  (○:委員長 順不同・敬称略) 議事次第 1 開会 2 保健医療局長挨拶 3 議題 (1)臓器の移植に関する法律について (2)臓器の移植に関する法律施行規則(厚生省試案)について (3)「脳死の判定に関する研究」報告書について (4)心臓、肝臓移植のレシピエント選択基準(細則)について (5)その他 4 閉会 ○成瀬補佐  定刻になりましたので、ただいまより、第2回「公衆衛生審議会成人病難病対策部会 臓器移植専門委員会」を開催させていただきます。  本日は、お忙しいなか出席いただきまして、大変ありがとうございます。  最初に、本日の先生方の出席の状況でございます。森岡先生が都合により欠席という 連絡がありましたので、本日は17名の委員の方で16名の先生方が出席いただいてい るところでございます。続きまして、小林保健医療局長よりご挨拶を申し上げます。 ○小林局長  おはようございます。保健医療局長の小林でございます。  委員の先生方には、大変お忙しいなか時間をやりくりをしていただきまして多数ご出 席いただいたことを心から御礼を申し上げます。  また、きょうは悪天候にもかかわらず、また、ここは交通機関としても大変不便なと ころでございますけれども、まげてご出席をいただいたことを本当に厚く御礼を申し上 げたいと思います。 本専門委員会は、臓器移植に関します諸問題をご検討いただく場として公衆衛生審議 会成人病難病対策部会に設置されたものでございまして、本年3月11日の会合に続 き、本日が2回目の会合でございます。 前回お集まりいただいて以降、臓器移植に関する法律が国会において成立し、臓器移 植に関する法的な枠組みが固まりつつあります。  本日は、同法を受けて具体的な脳死の判定基準等を定めることとなる厚生省令の内容 についてご検討をいただきたいと思います。  それでは、子細については後ほど事務局からご説明をいたしますが、今般成立をいた しました臓器移植に関する法律の審議経過について簡単にご報告申し上げます。  今般成立したいわゆる中山案は、昨年の12月に衆議院に提出をされました。本年3 月18日の衆議院本会議における趣旨説明のあと、厚生委員会において精力的に審議が 行われました。その間、脳死を人の死としない立場に立つ対案、通称金田案と申してい ますが、この金田案が国会に提出されたりいたしましたが、4月24日に衆議院本会議 において、中山案が3分の2以上の賛成をもって可決をされたところでございます。  参議院には中山案が送付された時点で、脳死を人の死としない立場に立つ対案、通称 猪熊案が国会に提出されておりました。この対案は衆議院で否決された法案と内容をほ ぼ同じにするものでございます。  この両法案は、5月19日の参議院本会議における趣旨説明のあと、臓器移植に関す る特別委員会において精力的に審議されました。参議院の場合には厚生委員会ではな く、特別委員会を設けて審議をされたということでございます。  その間、日本医科大学救命救急センターの視察や、大阪、新潟における地方公聴会及 び中央公聴会の開催なども行われました。  そして、6月16日の臓器移植特別委員会において中山案に対する修正案が提出され ました。同日、修正後の中山案が同委員会で可決されました。この修正案は、自民党参 議院を中心に検討されたものであります。  この修正案の主なポイントは、臓器移植の場合であって、かつ脳死判定につきこれに 従う旨の意思表示がある場合に限って、脳死した者の身体が死体に含まれるものとする ものであります。  その後、翌17日の午前に参議院本会議で可決、賛成181名。午後に衆議院本会議 で可決、賛成323名で可決されまして、修正後の中山案、いわゆる参議院自民党案が 法律として成立をしたところでございます。  臓器移植法は、このような経過を経て、通常国会終盤において成立をいたしました。 公布は7月16日の予定でございます。そして施行は、公布から3カ月後の10月16 日と予定をされておるところでございます。  なお、参議院において附帯決議が行われており、ネットワークの体制整備やレシピエ ント選択基準などについても触れられておるところでございます。  厚生省といたしましては、4カ月足らずの準備期間中に、本委員会でその内容をご検 討いただくこととしている厚生省令ほか法律の具体的な運用のためのガイドラインの策 定や、ネットワークのあり方や、ドナーカードの普及策の検討等に向けて全力を尽くし てまいる所存でございますので、皆様におかれましてもご協力のほど、よろしくお願い をいたしたいと存じます。  本日は、臓器移植法施行のための厚生省令の内容についてご議論をお願いするわけで ございますが、この厚生省令は、脳死の判定基準等、大変重要な内容について定めるこ ととしておりますので、委員の皆様方には十分なご検討をお願いしたいと存じます。  その一方、法律の施行までわずかな時間しか残されていないことから、可能であれば 8月中に厚生省令案のとりまとめを行い、遅くとも9月までには公衆衛生審議会に対す る厚生省令案の諮問答申を行うことができれば大変に有り難いと考えております。  また、法律の具体的な運用のためのガイドラインやその他の項目につきましても、事 務局において素案を作り、本専門委員会のご意見も伺いながらとりまとめてまいりたい と考えておるところでございます。  最後に、審議会の公開に関して皆様方にお願いがございます。本専門委員会につきま しては、前回の委員会において議事録を公開することとしたところでございますが、臓 器移植の問題についてはできるだけ情報の公開を進めることが国民の理解につながるも のと期待されていることから、本専門委員会の議事についても、裁判所における公開の 方式に準拠した方式による公開という方式でご理解が得られれば大変有り難いと存ずる 次第でございます。  以上、皆様のご理解とご協力をお願い申し上げまして、私の挨拶とさせていただきま す。きょうは本当にどうもありがとうございます。 ○黒川委員長  よろしいでしょうか。先生方、どうもありがとうございました。これは、今、小林局 長のお話にありますように大変重要な会でございますので、ぜひ先生方のお立場からい ろいろ専門のご批判をいただきまして、厚生省令をなるべく納得のいくような格好で検 討していただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。  それから、今、局長のお話にもありましたように、この会を公開するかどうかという ことでございますが、そのへんについて先生方のご意見をまず伺っておきたいと思いま すが、いかがでしょうか。まだ決まったわけではありませんが。どうぞ、ご意見をいた だきたいと思います。大久保委員のほうから、どうでしょうか。 ○大久保委員  私は、公開のほうがずっといいと思います。議事録公開も、すべてオープンにしてや るものだと思いますので、おそらく皆さんそうだと思います。 ○黒川委員長  野本委員、いかがですか。 ○野本委員  この問題、とにかく国民レベルでの関心の問題であるし、やがて出てきたものは全国 民が何らかの形で関わる。特定の患者さんだけが関わる話じゃありませんね。臓器提供 というのは一般市民のことですから。そうすると、これはもう、審議の過程からきちっ と情報公開をしていないと最終的に我々が、厚生省の要望を受けて案を出しても、そこ でまた、もう一回議論が蒸し返されると何の意味もありませんので、やはりプロセスを よく知ってもらうのが一番私は正しいやり方だと思います。公開に大賛成です。 ○黒川委員長  小柳委員、いかがでしょうか。 ○小柳委員  基本的に私どもがやってまいりました何年間かの、国民の合意を取り付けるといいま すか、たくさんのご意見をちょうだいして何か核になるものを作るというような作業 も、すべて公開でやってまいりました。プロセスを公開するということが非常に大切で して、結論より前に、まずプロセスで参加していただくという共通の認識がありまし て、それで最終的な結論が容認されることが非常に容易になるかと思っておりますの で、私も、ぜひ積極的に公開でお願いしたいと思っております。 ○黒川委員長  田中委員、いかがでしょうか。 ○田中委員  公開という具体的なスタイルはよくわからないんですけれども、基本的に公開そのも のには賛成です。 ○黒川委員長  矢崎委員、いかがですか。 ○矢崎委員  この間、いろいろなマスコミの人と話してきましたけれど、まだまだ我々の医師サイ ドとそうでない方のあいだの知識のといいますか、情報のギャップが大きくて、おそら くプロセスにおいていろいろ、なかなか意思が通じないところが、本意が通じないとこ ろがあるかと思いますけれども、その困難さを超えて一つひとつ理解を深め合うという ことで、公開というのは大変意義があるのではないかというふうに思います。 ○黒川委員長  大島委員、いかがでしょうか。 ○大島委員  全く異存ございません。積極的に公開してやるというスタイルのほうがいいというふ うに私自身も判断しております。 ○黒川委員長  大塚委員、いかがでしょうか。 ○大塚委員  私も全く異存ございません。これは、公開をして、やはりきちっとした正しい報道を していただいて国民に理解を求めるという意味では、私は公開のほうがずっといいと思 います。賛成です。 ○黒川委員長  井形委員。 ○井形委員  私は、積極的に出したほうが、正しい報道と、それから誤った報道が流れないという こともあると思うので、結構だと思います。 ○黒川委員長  皆さん、よろしいですか。山谷委員、どうですか。 ○山谷委員  やはり報道はされておりましたけれども、一般の人々にやっぱり問題点がきちんと行 き渡っていなかった部分がありまして、移植医の方たちが、何か自分たちがやりたいた めにというようなことも思っている方がいらっしゃったわけでございますから、そのへ んを、きちんと公開することによって、プロセスを踏んでコンセンサスを得ながらやっ ていくということが一番重要ではないかというふうに思います。 ○黒川委員長  眞鍋委員、いかがでしょうか。 ○眞鍋委員  原則的に賛成です。 ○黒川委員長  町野委員。 ○町野委員  賛成でございます。 ○黒川委員長  藤村委員、いかがでしょうか。 ○藤村委員  しっかりした報道をしていただくためにも賛成でございます。 ○黒川委員長  座間委員、いかがでしょうか。 ○座間委員  理解していただくためには公開は賛成いたします。 ○黒川委員長  桐野委員。 ○桐野委員  賛成いたします。 ○黒川委員長  谷川委員。 ○谷川委員  賛成でございます。 ○黒川委員長  全く問題ない、全員一致となってしまいましたが。私も実は公開がいいのではないか というふうに思っておりました。というのは、やはりいろんな問題があるのは当たり前 で、これは1+1が2になるような答えが出る問題ではありませんので、国会の審議も 十分でないとかいろんなことが言われて、理解されてないところに一番問題があるので はないかと思っていますので、ぜひそのようにさせていただければと思います。局長の 話では8月いっぱいにということですから、8月は比較的先生方もスケジュールが余裕 があるんじゃないかと思っていますし、お盆の週もありますから。最初、貝谷室長と、 お盆の週は5日間、毎日12時間やろうかなというぐらいの覚悟でやったほうがいいの ではないかと申し上げていたんですが、ぜひ、先生方全員のご一致ということで、それ では公開というふうにさせていただければと思います。ありがとうございます。  では、公開の取り扱いについて、それでは局長のほうから。どのようにこういうこと を扱ったらいいかということで。 ○貝谷室長  お手元のほうに、傍聴される方へということで注意事項を記載したものが1枚ござい ます。通例、このような形で行っておりまして、実際に3つ目に、写真撮影やビデオカ メラ、テープレコーダーの使用は審議中はご遠慮いただくという裁判所方式ということ でお願いしてはいかがか。報道のほうにもこれでお願いしていったらいかがと思ってお ります。 ○黒川委員長  そういうことでよろしいですか。ありがとうございました。それでは、このような方 式で、傍聴される方へという条件をつけていただきまして、本日から本委員会の会議を 公開とさせていただきたいと思います。それでは、そのように計らっていただけますで しょうか。 ○成瀬補佐  会議を始める前に資料の確認をさせていただきたいと思います。お手元の資料でござ いますけれども、一番上に議事次第があります。その議事次第の中に委員名簿と配置図 と。続きまして、資料の一覧。資料ナンバー1、審議経過でございます。資料ナンバー 2、法律の概要。資料ナンバー3、臓器の移植に関する法律。資料ナンバー4、法律の 施行規則です。資料ナンバー5、脳死の判定に関する研究。資料ナンバー6、選択基準 (細則)。続きまして、参考資料1と2。お手元のほうに配布されていると思いますけ れども、何か不足がありましたら事務局のほうにお申しつけ下さい。  よろしゅうございましょうか。それでは、黒川先生、よろしくお願いいたします。 ○黒川委員長  それでは、最初の議題に入りたいと思いますが、議題の一応いろいろな問題という か、皆さんに共通の立場に立っていただきたいということで、まず1の、議題に従いま して、臓器の移植に関する法律についてということで、事務局からまずご説明を伺いた いと思います。 ○玉川補佐  それでは、臓器の移植に関する法律についてご説明させていただきます。  臓器移植法の審議経過につきましては、お手元の資料の1番。また、臓器移植法の概 要については資料の2番。それから、修正されました条文につきましては資料の3番と いうことで配布をさせていただいているところでございます。このうち移植法案の中山 案につきましては、前回の専門委員会におきまして既にご説明をさせていただいている ところでございますので、ここでは、その後、参議院において修正された内容というも のにつきましてご説明をさせていただきたいと考えております。  まず第1に、臓器の移植に関して規定しました第六条の第1項の関係の修正でござい ます。中山案におきましては、従来「死体(脳死体を含む)」という形で規定しており ましたのを、「死体(脳死した者の身体を含む)」と変更されております。この「脳死 した者の身体」というのは、続く法律の第六条第2項におきまして、臓器が摘出される こととなる者であって脳死と判定されたものの身体というように規定されておるところ でございます。  修正の第2点目でございますけれども、第六条の第3項におきまして、臓器の摘出に 係る脳死の判定につきましては、臓器の提供者本人が脳死判定に従うという意思を書面 で表示いたしておりまして、家族が脳死判定を拒まない、そういう場合にのみ行うこと ができるということになりました。  第3点目でございます。第六条の第4項から第6項という規定でございますけれど も、ここにつきましては、脳死判定手続の厳格化を図るという観点から修正が行われた ものでございます。脳死判定を移植とは無関係の2名以上の医師によって行うこととす るとともに、この判定医は、判定の証明書を作成しなければならない。臓器の摘出に は、事前にこの証明書の交付を受けていなければならないと。このような修正が行われ ているところでございます。  その他の修正点といたしましては、罰則規定の強化といったことが行われているとこ ろでございます。  以上が、中山案からの修正点の概要でございますが、参議院の臓器移植に関する特別 委員会の審議におきましては、この臓器移植法案につきまして、法律の施行にあたって 必要な移植に係る環境整備や事前の準備に万全を期すこと等の8項目からなる附帯決議 が行われているところでございます。8項目につきましては、資料3の末尾、9ページ でございますけれども、こちらに掲載されているところでございますので、詳細につい てはご参照をいただければ有り難いと存じます。 ○貝谷室長  いまの説明につきまして、1点だけ補足いたしますが、資料3の法律案の六条の第4 項。いま話がありましたように、脳死の判定の厳格化ということで修正が行われた部分 でございますが、その4項の条文をご覧いただきますと、脳死の判定は、的確に行うた めに必要な知識、経験を有する二人以上の医師ということのあとに括弧がありまして、 「(当該判定がなされた場合に当該脳死した者の身体から臓器を摘出し、あるいは移植 術を行うこととなる医師を除く)」ということで、判定を行う医者と移植を行う医者は 法律上、同一であってはならないということがはっきり書かれております。従来、竹内 基準でも当然この内容は入っておりましたが、それを法律で明確化したという点が修正 点に入っておりますので、補足させていただきます。 ○黒川委員長  この資料3の9ページの附帯決議、これについてはいいですか。読めばいいと言われ ても、どうでしょうかね。 ○貝谷室長  附帯決議は、今の法律の資料の最後の9ページでございますが、参議院のほうの特別 委員会で何点かございます。いま説明がありましたように、1番目の項目では、公平・ 公正なレシピエント選択が行われる適正な基準、これは選択基準の設定、あるいは臓器 移植ネットワークの体制整備といったことに万全を尽くすべきであると。施行までの時 間があまりないものですから、それまできちっと、安易な移植が行われたとの批判を招 くことのないような準備を十分やるようにというのが、まず1点目でございます。  それから2点目が、移植実施施設を厳選するため、従来の検討結果の再検討を行うと いうことで、これは移植関係合同委員会のほうでチェックということで現在行われてい るものでございます。  それから3点目が、家族及び遺族というものが法律上いろいろ出てまいりますが、こ の範囲につきましては、法律上はどこまでが遺族であるということは明確になっており ませんので、運用の目安をひとつ作るべきであるというのが3点目。  それから4点目が、ドナーとなる方は本人の意思というものが大前提になりますの で、どこまでが、例えば下の年齢が何歳以上の方であればドナーの意思表示ができるの かということにつきまして早急に検討を行うと。国会では15歳、概ね15歳ぐらいを めどに、それ以上であれば意思表示ができるのではないかという議論がございまして、 本当に15歳でいいのかどうか、そのへんを今後詰めていく必要があるというふうに考 えております。  それから5点目でございますが、ドナーカード、意思表示カードの普及がどうしても 必要ということとともに、この脳死の問題についての普及啓発がどうしても必要だと。 それから、コーディネーターの資質の向上、それから養成といったこと。  それから6点目が、脳死判定基準、今回の試案で触れておりますが、脳死判定基準そ のものにつきましても、当然ながら医学の進歩に応じて常に検討を行っていってほしい と。  それから7点目が、いろいろ救急の現場での取り組みとして、脳低体温療法を含めて あらゆる医療を施した後に脳死の判定を行って、いやしくも安易に判定が行われたとい うような不信を生じないような対応をしてほしいというのが第7点目。  それから第8点目が、これは今後の国民の理解を深めていくために、移植の実施状況 でありますとか移植の結果、そういったものを毎年、国会のほうに報告書を出して公表 していってほしいと。  以上、8点ほどの附帯決議になっております。 ○黒川委員長  ありがとうございました。それでは、臓器の移植に関する法律についてという議題の 1でございますけれども、今のようなご説明をいただいたんですが、何かご質問その 他、どうぞご遠慮なく。はい、どうぞ。 ○大塚委員  今の附帯決議の7番でございますけれども、「脳低体温療法を含めあらゆる医療を施 した後に行われるものであって」ということは、つまり脳低体温療法をやった、基本的 にないとだめだということになりますか。 ○貝谷室長  そういうことではございません。国会でも、脳死判定の前提条件として脳低体温療法 をやるべきではないかという議論が一部ございましたが、そういうことではなく、当然 適用も限られておりますし、常にこれを義務づけるということは適当ではないというこ とで審議が行われておりますので、そういう趣旨からみますと、適用があればもちろん あれですが、それを必ずやるという趣旨ではないというふうに私どもは理解しておりま す。 ○大塚委員  わかりました。 ○黒川委員長  そのほかに、どうぞご遠慮なく。それでは、もしあるかもしれませんが、ありました ら、また後でご遠慮なく言っていただければと思います。  それでは、議題の2に進ませていただきますが、臓器の移植に関する法律の施行規 則、厚生省試案でございますが、これについてまずご説明いただければと思います。よ ろしくお願いいたします。 ○玉川補佐  それでは、臓器の移植に関する法律施行規則(厚生省試案)についてご説明させてい ただきます。資料の4番をご覧ください。  まず、第一条でございます。内臓の範囲でございますが、臓器移植法における臓器と いたしまして、法律で規定をいたしております人の心臓、肺、肝臓及び眼球に加えまし て、厚生省令で膵臓を定めるというものであります。法律のほうの条文で申しますと第 五条でございます。 ○黒川委員長  この資料3ですね。資料3の法律のほうの第五条を見ていただきたいと思いますが。 ○玉川補佐  続きまして、省令の第二条、判定の条項でございます。臓器移植法の第六条の第2項 になりますけれども、脳死した者の身体というものにつきましては、その身体から移植 術に使用されるための臓器が摘出されることとなる者であって脳幹を含む全脳の機能が 不可逆的に停止するに至ったと判定されたものの身体をいうこととされているところで ございます。厚生省令の第二条は、この脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに 至ったとの判定の基準を定めるものであります。この判定の基準は、基本的にいわゆる 竹内基準に準拠して定められているものであります。  まず、省令の第1項でございますけれども、この判定は器質的脳障害により深昏睡、 この中身といたしましては、ジャパン・コーマ・スケールで三百に該当する状態にあ り、かつ、グラスゴー・コーマ・スケールで三に該当する状態にあることですが、この 深昏睡と自発呼吸を消失した状態となっており、かつ、器質的脳障害の原因となる疾患 が確実に診断されておりまして、行い得るすべての適切な治療手段によっても回復の可 能性がないと判断される者について行うということにしておるところでございます。  ただし、六歳未満の者、急性薬物中毒により深昏睡及び自発呼吸を消失した状態と認 められる者、体温が直腸温で摂氏三十二度以下の状態にある者、代謝性障害又は内分泌 性障害により深昏睡及び自発呼吸を消失した状態と認められる者につきましては、この 限りではございません。  第2項におきましては、判定について、その方法を定めているところでございます。 判定は、深昏睡、瞳孔が固定いたしまして瞳孔径が左右とも四ミリメートル以上である こと、脳幹反射の消失、平坦脳波、自発呼吸という、この5点の状態が確認されまし て、かつ、その確認の時点から少なくとも六時間を経過した後に再び、深昏睡、瞳孔の 固定、脳幹反射の消失、平坦脳波、自発呼吸の消失という状態が確認されるということ をもって行われることとしております。  ただし、自発運動、除脳硬直、除皮質硬直、又はけいれんというものが認められる場 合には、この限りではございません。  竹内基準におきましては、脳死判定の観察期間につきまして、6時間経過をみて変化 がないことを確認する、二次性脳障害、6歳以上の小児では6時間以上の観察期間を置 く、ということとされておりますが、法令上の表現といたしまして、少なくとも六時間 を経過した後に、再び確認されること、といった規定ぶりにしているところでございま す。実質的にその意味するところは竹内基準とは変わりありません。  省令第二条の第3項についてでございますけれども、いま申しました5点の確認のう ち自発呼吸の確認につきましては、その侵襲性に鑑み、ほかの4点の状態が確認された 後に行うものと規定をしているところでございます。  省令の二条の4項でございます。判定に当たりましては、中枢神経抑制薬、筋弛緩薬 その他の薬物が判定に影響していないこと及び収縮期血圧が九十水銀柱ミリメートル以 上あることを確認するということとしております。  また、第5項におきまして、判定に当たりましては、聴性脳幹誘発反応の消失という ものを確認するよう努めると規定しているところでございます。これは、第2項に規定 いたしました必須検査のほか、補助検査としてできる限り聴性脳幹誘発反応の消失につ いても確認するよう努めるということでございます。  省令の第三条、判定が的確に行われたことを証する書面についてでございます。臓器 移植法の第六条の第5項にございますけれども、判定を行った医師は直ちに、当該判定 が的確に行われたことを証する書面の作成ということが求められているところでござい ます。また、法律の六条の6項におきまして、臓器を摘出しようとする医師は、あらか じめ、この書面の交付を受けなければならないとされているところでございます。 省令の第三条は、この書面につきまして、判定を受けた者の住所、氏名、性別及び生年 月日、判定を行った日時並びに判定が行われました医療機関の所在地及び名称、判定を 行った医師の住所及び氏名、それから判定が的確に行われたことを証する旨、このこと について記載をして、記名押印又は署名をしなければならないということについて定め ているところでございます。  省令の第四条。使用されなかった部分の臓器の処理についてでございます。臓器移植 法の第九条の規定により、病院、診療所の管理者は、死体から摘出された臓器であっ て、移植術に使用されなかった部分の臓器ということについては、省令で定めるところ によって処理しなければならないと定められているところでございますけれども、その 部分の臓器の処理につきましては、焼却して行わなければならないということを定めて いるところでございます。同様の規定は、現在、角膜及び腎臓の移植に関する法律の施 行規則においても定められているところでございます。  第五条、判定に関する記録でございます。臓器移植法の十条におきまして、医師は、 脳死の判定を行った場合には、判定に関する記録を作成しなければならないと義務づけ が行われておりまして、法律の十条の2項では、五年間これを保存しなければならない と規定されているところでございます。  厚生省令の第五条におきましては、この記録すべき事項につきまして、判定を受けた 者の住所、氏名、性別及び生年月日、判定を行いました日時並びに判定が行われた医療 機関の所在地及び名称、判定を行った医師の住所及び氏名、判定を受けた者の原疾患、 判定を受けた者が六歳未満の者と、第二条第1項各号に掲げる者に該当しなかったとい う旨、それから判定を受けた者の確認時におきます体温、血圧及び心拍数、それから判 定を受けた者の状態の確認の結果、それから確認を行いました日時並びに確認時におき ます自発運動等が認められなかったという旨、それから中枢神経抑制剤等の薬物が判定 に影響していないこと等の確認の結果、ということにつきまして記録を作成することを 求めておりまして、これに記名押印又は署名をしなければならないとしておるところで ございます。  省令の五条の2項におきましては、この記録には、判定に当たって測定いたしました 脳波の記録、判定を受けた者が生存中に判定に従う意思を表示した書面の写し、家族が いらっしゃる場合には家族が判定を拒まない旨を表示した書面を添付しなければならな いこととしているところでございます。  省令の第五条の第3項におきましては、この添付しなければならないとした書面のう ち、家族が判定を拒まない旨の書面について、判定を受けた者の住所及び氏名、判定を 拒まない旨を表示した家族の住所、氏名及び判定を受けた者との続柄というものが記載 されていなければならないとされているところでございます。  第六条、臓器の摘出に関する記録でございます。臓器移植法におきましては、判定に 関する記録同様、臓器の摘出に関する記録につきましても法律の第十条の第1項におき まして医師にその記録作成を義務づけ、2項で五年間保存を義務づけているところでご ざいます。  省令の第六条におきましては、この記録すべき事項というものの内容を規定している ところでございます。内容といたしましては、臓器の摘出を受けた者の住所、氏名、性 別及び生年月日、臓器の摘出を受けた者の死亡の日時、臓器の摘出を受けた者の死亡の 原因となった傷病及びそれに伴います合併症、臓器の摘出を受けた者の主な既往症、臓 器の摘出が行われた日時並びに臓器の摘出が行われました医療機関の所在地及び名称、 臓器の摘出を行いました医師の住所及び氏名、臓器の摘出した別、これは臓器の左右の 別と部位の別を含むものであります。それから摘出した臓器の状態、摘出した臓器に対 する処置の内容、臓器の摘出を受けた者に対します血液学的検査、生化学的検査、免疫 学的検査その他の検査の結果、それから臓器の摘出を受けた者が生存中に臓器を移植 術、これは臓器の機能に障害がある者に対しまして、その機能の回復又は付与というこ とを目的として行われる臓器の移植術ということでございますが、この移植術に使用さ れるということの提供の意思。これを表示した旨の告知を受けた遺族がその摘出を拒ま ない旨、それからその遺族の住所、氏名、臓器の摘出を受けた者との続柄、臓器の摘出 を受けた者に遺族がいないときは、その旨。それから、摘出いたしました臓器の斡旋を 行った者の住所及び氏名。これらのほか、臓器の摘出を行った医師が特に必要と認めた 事項。これらにつきまして記録を作成いたしまして、記名押印又は署名をしなければな らないとされているところでございます。  省令の第六条の第2項におきましては、この記録に添付すべき書面といたしまして、 臓器の摘出を受けた者が生存中に提供の意思というものを表示していた書面の写し、臓 器の摘出を受けた者に遺族がいらっしゃる場合におきましては、当該遺族が臓器の摘出 を拒まない旨を表示いたしました書面、これを添付しなければならないこととされてい るところでございます。  六条の3項におきましては、この遺族が臓器の摘出を拒まない旨の書面、添付するこ ととなっていますこれにつきましては、臓器の摘出を受けた者の住所及び氏名、摘出を 拒まない臓器の別、臓器の摘出を拒まない旨を表示いたしました遺族の住所、氏名及び 臓器の摘出を受けた者との続柄というものについて記載されていなければならないとい うことになっているところでございます。続きまして、第七条であります。臓器移植法 におきましては、摘出した臓器を使用した移植術に関する記録につきましても法律の十 条1項におきまして、医師に摘出に関する記録を作成し、その2項で五年間保存しなけ ればならないと義務づけているところでございます。厚生省令の第七条は、この記録す べき事項について定めているものであります。事項といたしましては、移植術を受けた 者の住所、氏名、性別及び生年月日、移植術を行いました日時、移植術が行われました 医療機関の所在地及び名称、移植術を行った医師の住所及び氏名、移植術に使用いたし ました臓器の別、移植術を受けた者に移植術を行うことが必要であると判断した理由、 移植術を受けた者に対します血液学的検査、生化学的検査、免疫学的検査その他の検査 の結果、移植術を受けた者又はその家族が移植術を行うことを承諾した旨、移植術に使 用した臓器のあっせんを行った者の住所及び氏名、これらのほか、移植術を行った医師 が特に必要と認めた事項、これにつきまして記録を作成していただきまして、記名押印 又は署名をしなければならないとされているところでございます。  続きまして、第八条、記録の閲覧につきましてご説明申し上げます。臓器移植法にお きましては、その第十条におきまして、記録の作成を義務づけるとともに、第3項にお きまして、この記録を保持している者につきましては、移植術に使用されるための臓器 を提供した遺族その他の厚生省令で定める者から当該記録の閲覧の請求があった場合に は、厚生省令で定めるところにより、閲覧を拒むことについて正当な理由がある場合を 除き、当該記録のうち個人の権利利益を不当に侵害するおそれがないものとして厚生省 令で定めるものを閲覧に供するというふうに規定をしているところでございます。当該 規定の趣旨といたしましては、臓器移植が適正に行われたかどうかを事後的に確認検証 するとともに、臓器を提供した遺族や移植術を受けた者又はその家族にとって、当事者 としてケースを確認するというものであると考えられるものであります。このような趣 旨を踏まえまして、厚生省令の第八条は、記録の閲覧の請求を行う者というものを定め ているところであります。この記録の閲覧の請求を行う者というのは、移植術に使用さ れるための臓器を提供した遺族、それから移植術を受けた者又はその家族、それから臓 器のあっせん機関、臓器のあっせん機関と申しますのは、業として行います移植術に使 用されるための臓器を提供すること又はその提供を受けることのあっせんについて厚生 大臣の許可を受けた者と、こうした臓器のあっせん機関につきまして記録の閲覧の請求 ということを行うということとしているところであります。  省令の第九条も、この記録の閲覧の関係でございます。第九条は、記録の閲覧の請求 により記録を閲覧に供するときは、記録を保存する者は閲覧の請求書の提出ということ を求めるということができることになっているところでございます。請求の年月日、請 求をする者の住所及び氏名、請求をする者が移植術に使用されるための臓器を提供した 遺族である場合には、臓器の摘出を受けた者との続柄、請求をする者が移植術を受けた 者又はその家族である場合には、移植術を受けた者との続柄、それから請求に係る記録 の別について記載した請求書を保存している者に対しまして提出していただくことと なっております。 こうした請求があった場合に、実際に閲覧していただく保存記録のうち個人の権利利 益を不当に侵害するおそれがないものは何かというものを定めたものが厚生省令の第十 条でございます。移植医療におきましては、ドナー側の情報と、それからレシピエント 側の情報というものを遮断いたしまして、相手方を特定できないようにする必要がある という考え方を踏まえまして、個人の権利利益を不当に侵害するおそれがない記録につ きまして、記録の閲覧の請求を行うものごとに、その不当に侵害するおそれがないもの を定めているところでございます。  まず、臓器あっせん機関につきましてでございますが、判定に関する記録、それから 臓器の摘出に関する記録、それから摘出した臓器を使用した移植術に関する記録、それ から、これらの記録に添付されています書面、こうしたものが閲覧の対象となるもので ございます。 省令の第十条の第二号、移植術に使用されるための臓器を提供した遺族についてでご ざいますが、当該臓器に係る判定に関する記録、それから臓器の摘出に関する記録及び これらの記録に添付されている書面というものでございます。  一方、移植術を受けた者と、それからそのご家族につきましては、当該移植術に係る 摘出した臓器を使用した移植術に関する記録、それからこれに添付されることとなる書 面でございます。続きまして、厚生省令の第十一条、臓器のあっせんの許可の申請につ いてでございます。臓器移植法は、その第十二条におきまして、業として移植術に使用 されるための臓器を提供すること又はその提供を受けることのあっせんをしようとする 者は、臓器の別ごとに、厚生大臣の許可を受けなければならないとされているところで ございます。 厚生省令の第十一条は、臓器のあっせんの許可を受けようとする者は、申請者の住所 及び氏名、それから臓器のあっせんを行う事務所の所在地及び名称、臓器のあっせん手 数料又はこれに類するものを徴収いたします場合は、その額、臓器のあっせんを行う具 体的な手段、申請の日を含む事業年度及び翌事業年度の事業計画及び収支予算というも のを記載いたしました申請書に申請者の履歴書、法人の場合には定款等でございますけ れど、これらを添えまして厚生大臣に提出しなければならないと定めているところであ ります。同様の規定につきましては、角膜及び腎臓の移植に関する法律施行規則におい ても規定されているところであります。  厚生省令の第十二条でありますが、これは申請事項の変更の届出について定めたもの であります。省令の十二条は、臓器のあっせん機関が、申請者の住所及び氏名又はあっ せんを行う事務所の所在地というものに変更が生じた場合には、速やかに、それから、 臓器のあっせん手数料又はこれに類するものを徴収する場合には、その額、ないしは臓 器のあっせんを行う具体的な手段と、こうしたものを変更いたしますときには、変更の 十五日前までに厚生大臣に届け出なければならないということを規定しているものであ ります。同様の規定は、角膜及び腎臓の移植に関する法律施行規則においても規定され ているところでございます。 続きまして、厚生省令の第十三条、臓器のあっせんの帳簿についてでございます。臓 器移植法におきましては、その第十四条におきまして、臓器あっせん機関は、帳簿を備 え、その業務に関する事項を記載しなければならないこととされているところでござい ます。厚生省令の第十三条は、臓器あっせん機関が備えるべき帳簿に、臓器のあっせん を行った相手方の住所及び氏名、臓器のあっせんを行った年月日、臓器のあっせんを 行った具体的な手段、臓器のあっせん手数料又はこれに類するものの額というものを記 載しなければならないこととされております。この規定につきましても、角膜及び腎臓 の移植に関する法律施行規則において同様の規定が規定されているところでございま す。  第十四条は、臓器の摘出に係る取扱い等について定めたものでございます。厚生省令 の第十四条から第十六条は、臓器移植法の包括委任規定に基づき定められている規定で ございます。省令の第十四条は、臓器の摘出に係る取扱い、摘出後の措置、摘出した臓 器の表示等について定めたものでありまして、医師は、摘出を行う場合には、臓器が病 原体に汚染され、又は損傷を受けることのないよう注意する。それから、摘出した臓器 の取扱いについても同様とする。また、摘出を行った場合には、摘出後の摘出部位等に 適当な措置を講じる。摘出を行った場合には、摘出した臓器ごとに表示を義務づけてい る。それから、臓器の取扱いについては、礼意を失わないように注意しなければならな い。こうしたものについて定めているところであります。  省令の第十五条でありますが、移植術に使用されなかった臓器の記録等について定め るものであります。第1項は、臓器の摘出を行いました医師が、当該臓器を移植術に使 用しないこととした場合には、その理由を臓器の摘出に関する記録に記載しなければな らないと定めているものであります。 第2項は、臓器の摘出を行った医師以外の医師が、当該臓器を移植しないこととした 場合には、臓器を移植術に使用しないこととした理由、臓器を移植術に使用しないこと とした医師の住所及び氏名、それから臓器を移植術に使用しないこととした医師の住所 及び氏名等につきまして記録を作成いたしまして、記名押印又は署名しなければならな いとされているところであります。 また、これらの記録につきましては、省令の第3項におきまして、五年間保存しなけ ればならないと義務づけられているものであります。 なお、同様の規定は、角膜及び腎臓の移植に関する法律施行規則においても規定され ているところであります。 第十六条、移植術に関する説明の記録についてであります。臓器移植法におきまして は、医師は臓器の移植を行うに当たりましては、第四条におきまして医師の責務といた しまして、診療上必要な注意を払うとともに、移植術を受ける者又はその家族に対し必 要な説明を行い、その理解を得るよう努めなければならないと規定しているところでご ざいます。こうした規定を踏まえまして、厚生省令の第十六条におきましては、医師 は、移植術を受ける者又はその家族に対しまして、移植術の前に、当該移植術の実施に ついて説明を行った場合は、説明を行いました医師の住所及び氏名、説明を行った日時 及び場所、説明を受けた者の住所、氏名及び移植術を受けた者との続柄、説明を受けた 者とともに立ち会った者がいたときは、当該立ち会った者の住所及び氏名、説明した事 項につきまして記録を作成し、記名押印又は署名をしなければならないとしているとこ ろでございます。この記録につきましても五年間の保存ということを義務づけていると ころでございます。  以上が本則の内容でございます。  附則におきまして、まず、施行期日を定めているところでございます。この省令の施 行期日でありますけれども、法律の施行の日、本年の十月十六日を予定しております が、法の施行の日から施行することといたしております。  また、臓器移植法の成立に伴いまして、角膜及び腎臓の移植に関する法律のほうが廃 止されますので、それに伴いまして、角膜及び腎臓の移植に関する法律施行規則につき ましては、形式的には廃止するということになっているところでございます。  また、臓器移植法におきましては、その附則の第四条におきまして、医師は、当分の 間、本人の生前の意思が不明等の場合で、遺族が書面により承諾しているときには、脳 死した者の身体以外の身体から眼球又は腎臓を摘出することができることとしておりま すが、係る場合の眼球又は腎臓の摘出に関する記録につきまして、厚生省令の第三条に おきまして記録すべき事項、それから記録を作成した際の記名押印又は署名といったも のの規定を定めているところでございます。この記録につきましては、眼球又は腎臓の 摘出を受けた者の遺族が、当該眼球又は腎臓の摘出を承諾する旨を表示した書面を添付 しなければならないと2項で書いているところでございまして、その書面につきまして は、3項にございます事項というものを記載することとしているところでございます。  以上が省令の概要でございます。 ○黒川委員長  そこですが、どういたしましょうか。ここでたくさんの議論の対象があると思うんで すが、その次に、実は、脳死の判定に関する研究の報告書というのがありまして、脳死 の判定をどうするかというのが出てきますので、議題の3のほうにまで進んでいただ き、説明をいただき、それから自由に先生方のご意見を伺いたいというふうに考えてお りますが、よろしいでしょうか。そういうことですので、議題の3に進ませていただい て、脳死の判定に関する研究報告書ということについてご説明をしてください。 ○重藤補佐  事務局から、脳死の判定に関する研究の報告をさせていただきます。座らせていただ きまして説明させていただきます。 脳死の判定に関する研究でございますけれども、資料の5でございます。これは、平 成8年度の厚生科学研究で、主任研究者、ここにおいでの大塚委員にお願いをしたもの でございます。主任研究者は日本医科大学の大塚先生、それから研究協力者としまし て、名古屋大学の勝又先生、人と企業研究所の岸先生、杏林大学の島崎先生、東京女子 医大の高倉先生、慶應義塾大学の戸谷先生、三井記念病院の萬年先生、日本医大千葉北 総病院の横田先生、に脳死の判定に関する研究をしていただきました。 この研究は、脳死の竹内基準ができましてからもう数年を経過しているということ で、やはり時折々医学的な見地から検証をするということが必要であること、それか ら、脳低温療法、鼻腔誘導脳波等、脳死判定と関わる可能性も否定できない新しい医学 的知見がマスコミ等報道されて出てきたことから、それらと竹内基準と、専ら医学的な 観点でどのような関係があるのか、またないのか、ということを検証いただくというこ とを目的といたしました。  それから、補助検査も、医学の進歩ととも種々出てまいりましたので、補助検査を今 の段階でどう評価するかという点を御検討いただきました。  以上、竹内基準が策定から数年を経過して再度確認をするということ。それから、脳 低温療法、鼻腔誘導脳波という新しい知見との関係。それから、補助検査の今の段階で の医学的な評価という点を研究班の先生方にお願いをして検討をいただきました。  その結果が、1ページ目の四角で囲ったところの研究要旨というところでございま す。数回にわたって研究班を開きまして、先生方にいろいろ最新の知見を持ち寄ってい ただきましてご議論をいただいた成果でございます。研究要旨のところだけ読ませてい ただきます。 脳死の判定基準として広く知られている竹内基準について、判定に関係あるとされて いる治療法や補助検査の取り扱いなどに関して、現在の医学水準に照らし合わせて検討 を行った。  その結果、以下の結論に達した。  1、竹内基準は、現在の医学的水準に照らしても妥当で必要かつ十分である。 2、脳低温療法は、脳死に至らないための治療法の一つであって、脳死の治療法では ない。 3、鼻腔誘導脳波は、脳死の判定に関して直接的には関連しない。 4、患者家族などにより理解を得るためのものとして補助検査が考えられる。補助検 査は、その信頼性や簡便性などの観点から、さまざまな次元のものがあるが、脳 幹機能の評価には聴性脳幹反応(竹内基準でいう聴覚脳幹誘発電位検査法)が有 用であると考えられる。 という結論をいただいております。  この報告書の5ページをご覧いただきたいと存じます。これはそれぞれの補助検査の 評価でございます。8ページに進んでいただきまして、表2、検査内容及び検査手技に ついてでございます。補助検査として私ども考えられるもの、それから竹内基準に記載 されておるものを選びまして、そこにございますように聴性脳幹反応、体性感覚誘発電 位、短潜時体性感覚誘発電位、デジタルサブトラクション血管撮影等、様々な補助検査 として考えられる項目のそれぞれの簡単な説明でございます。5ページにまた戻ってい ただきまして、脳死判定基準における補助検査の評価ということで一覧表にまとめさせ ていただきました。  この表1のところの検査の評価というところをご覧いただきたいと存じますけれど も、そこで、信頼性、それから簡便性、普及性、非侵襲性、これはどれだけ人体に影響 を及ぼすかというようなことですけれども、非侵襲性、それから再現性、何回も繰り返 しても同じ結果が出るのか出ないか、というような点、5項目についてそれぞれの先生 方から、○、×、△、ということでご評価をいただきまして、それぞれの項目ごと、先 生方と一つひとつチェックをいたしまして、研究会の総意として補助検査の評価をいた しました。  そこで書いてございますように、聴性脳幹反応、信頼性だけが△。これは、交通事故 等で聴覚の神経がそもそも障害を受けた場合になかなか検査が、結果が出ないというこ ともございますので、信頼性が△ということでございます。  次の体性感覚誘発電位が、信頼性、普及性、再現性の面で△ということでございま す。 それから脳血管撮影でございますが、信頼性が△、簡便性が×、それから非侵襲性が ×、再現性が△となっています。  超音波血流測定法ということで、再現性が×となっています。あと、普及性、信頼性 が△ということでございます。  次のページに、Dynamic CT、Xe enhanced CT 等ございます。その中で、やはり 一番最初の5ページにありますとおり検査をずっと見ていきますと、補助検査として は、現在、聴性脳幹反応というものが補助検査で推奨するに足る検査ではないかという ように研究班でも結論をいただいたところでございます。  以上でございます。平成8年度、大塚先生をはじめ先生方に、本当にご協力をいただ きまして、現在におきます竹内基準と、それぞれ関係する検査、治療法、それから補助 検査等について研究をいただいた結果でございます。 ○黒川委員長  ありがとうございました。次に先生方のご意見を伺う前に、今の脳死の判定に関する 研究について、大塚班長がここに委員としておられますので、大塚先生のほうから何か ございますでしょうか。 ○大塚委員  ただいま、重藤さんから詳細な説明がございましたとおりでございますけれども、そ もそもこの研究班のスタートが、最近、脳低体温療法でございますとか、あるいは鼻腔 誘発脳波というものがいろいろ報告されたり実際になされておりまして、一般の方々に 対して、脳死の判定というものに対して、かなり実は懸念を持っておられる方がいらっ しゃるのではないだろうかといことで、この竹内基準の見直しというものをこのメン バーでやっていただいたわけでございます。  結果は、竹内基準は極めて妥当性のあるもので、さらに新しい必須検査を加える必要 はないという結論になったわけでございます。  後ろのほうに世界の脳死判定基準も出ておりますけれども、竹内基準というのは、世 界の中でも最も実は厳格な基準であると言ってもいいぐらいだと思います。したがっ て、委員会の中では、聴性脳幹反応も要らないのではないかというお話が実はあったわ けでございますけれども、記録性に優れておりますから、そういうものを取って、ご家 族の方に説明するのにはいいのではないかということで、補助検査としてこの一つをつ け加えさせていただいたということでございます。以上でございます。 ○黒川委員長  どうもありがとうございました。それでは、随分長いご説明をいただいたわけです が、議題の2と3、両方を合わせて先生方にご質問、ご意見などを伺いたいと思いま す。いろいろご意見があるのではないかと思いますが、どうぞご遠慮なくお願いいたし ます。はい、どうぞ、大塚委員。 ○大塚委員  いくつか質問をさせていただきたいと思うんですが。厚生省試案の施行規則の第二条 の2でございます。「判定は、次の各号に掲げる状態が確認され、かつ、当該確認の時 点から少なくとも六時間を経過した後に、次の」というふうに続いております。「少な くとも六時間を経過した」ということは、六時間でもいいし、十時間でもいいし、二十 四時間でもいいということでございますか。 ○貝谷室長  おっしゃるとおりでございます。竹内基準そのものにも、今日、参考資料で付けてご ざいますが、そういったことはちゃんと記載されておりまして、基本的には六時間とい うことで書かれておりますが、しかしながら、これは画一的に、常に六時間でなければ いけないということでもありませんと。もちろん症例によっては若干プラスαの時間を みる必要もあるということが書かれておりますが、一応六時間を通例は基本とするとい うことでございます。  ただ、先ほども説明いたしましたが、小児の場合、六歳以上の小児ですが、あるいは 二次性の脳障害のケース、ここはやはり慎重に時間を経過を確認するということで、そ こだけ六時間以上にという表現が使われておりまして、この、きょう、参考資料の1で お配りしております、竹内基準そのものでございますが、いま私が申し上げましたとこ ろが出ております。下のページの17ページ、参考資料の1ですね。参考資料の1、昭 和60年度研究報告書というものがございます。その17ページの右の欄の(4)とい うところに時間経過という欄がございます。ここで書いてございますように、3行目か ら4行目でございますが、「本判定基準で示した時間(6時間)は絶対に必要な観察時 間である。年齢、原疾患、経過、検査所見などを考慮し、個々の症例に応じてさらに長 時間観察すべきである」ということで、一応6時間をきちっと押さえていただく、これ は基本でございますが、ケースによってはプラスαという趣旨で述べられているところ でございます。 ○大塚委員  そういたしますと、前に死亡時刻の検討会のときに私も参画をさせていただきました けれども、いろいろ議論があった末に、2回目の判定時を死亡時刻とする。この省令の 中には死亡時刻のことは全然出ておりませんけれども、そうなりますと、2回目の判定 が6時間のときもあるし12時間のときもあるし24時間のときもあるということに なってまいりますと、甚だこれはまずいのではないかなという感じはするんですが、ど うでしょうか。 ○貝谷室長  基本的には2回目のということで既にされております。したがいまして、私ども基本 的には、6時間というものをやはり、ある程度そこは原則ということで考えていくべき ではないかというふうに考えております。少なくとも6時間ということで、そこはも う、6時間を超えたらいくらでもいいんだということではないんだろうと思っておりま すので、6時間を基本として押さえつつ、中には、必ずしも6時間ではないケースもご ざいますが、基本はやっぱり6時間ということで押さえていただくということで、初 め、第1回目の検査をやりまして、第2回目は、やっぱり基本は6時間後ということ で、できるだけ考えていただくというほうが、きちっとした死亡時間を確認していくと いう意味からは適切じゃないかというふうに考えております。 ○大塚委員  そうしますと、現場で私どもが実際にやる場合に、2回目が深夜になってしまう、あ るいは日曜日になってしまうというときには、何時間後でもいいということになると、 当然延ばすことになるわけですね。深夜になるのは、まあ眠いから朝やろうとかね。日 曜日になるから月曜日にやりましょう、とかということになる可能性だってあるわけで すよね。そこは、いいんですか。 ○貝谷室長  救急の現場で、いろんな意味で脳死判定が行われていることは承知しております。そ この中では、従来は臓器移植につながらないケースがほとんどだと思っていますし、ま た今後もそうだろうと思います。今回やはり、特に脳死判定というものが死亡というこ とに法律上きちっとつながったわけでございまして、私どもとしては、国民の理解を得 ていくためには、この臓器移植につながる脳死の判定、つまり法律上は死の判定になり ますので、そこはできるだけ6時間ということでお願いできないかと考えております。 ○大塚委員  希望的な条項ということになりますね。救急学会では、これはあまり決めてもらいた くないというのが真意なんです。と申しますのは、初めの脳死判定だって、臨床症状で もって脳死になったんではないかなと思われるときにやっておるわけですよね。それ だってかなりズレがあるじゃないかと。1回目だってズレがあるんだから、2回目は、 例えば5、6時間後とか12時間後と決めてもらいたくないという意見が強うございま して、これはご参考までに。  それから次は、第五条の9項でございますが。 ○黒川委員長  このことで、ほかの委員のご意見をちょっと伺ってみましょうか。 ○大塚委員  ああ、結構です。 ○黒川委員長  いつするか。6時間と決められてしまうと、それじゃあ、救急の現場の先生として は、いつ、それじゃあ、判定して、6時間を見越してやるということになってしまうん ですよね。おそらく現場の先生は、見ている感じで多分これは医学的な判断だと思うん ですけれど、脳死ではないかなと思われるからやるわけですから、それについて何かご 意見ございますか。どうぞ、藤村委員。 ○藤村委員  私が質問したいのは、脳死かどうかはわからない時期での第1回目の判定を行ってか ら、次の判定までの間のことです。どのようにこの患者さんを扱えばよろしいか。まだ 死体ではないわけですから治療をしなければならないわけですね。その場合に、その間 の治療の仕方によっては、例えば治療を放棄しているのではないかという懸念が出てく ることもございますね。 ○大塚委員  それは先生、ありません。絶対にこれはありません。2回目をやらなければ確定しま せんから。1回目に脳死だということはわかりますけれども、今のこの竹内基準でも、 6時間を超えてから2回目を必ずやらなくちゃいけないんですね。したがって、2回目 をやるまでの間は治療を放棄するということは絶対にないです。 ○藤村委員  ちょっと適切ではない言葉を使いましたが、私が質問申し上げたいのは、その間の治 療についての考え方でございます。 ○大塚委員  考え方、例えば昇圧剤を使うかとか使わないかとか、輸血をするとかしないかと。 ○藤村委員  はい、そういうことです。 ○大塚委員  それはやっております。 ○藤村委員  わかりました。 ○黒川委員長  それはやはり救急の先生から言えば、まだ患者さんですから、それは全部ベストのこ とをされるんじゃないでしょうかと思いますけれども。そのほか何かございますか。脳 死の判定をする時期のことになってしまいますね、これだと。よろしいですか。町野委 員、どうぞ。 ○町野委員  いつ脳死が確認時かという問題は、いろいろあると思うんですけれども、私は個人的 には、先生が言われたように最初のときにさかのぼって、そのときやっぱり脳死の時期 だろうと思いますけれども、やっぱり問題なのは、今度は臓器摘出のときだけに脳死が あるということですよね。このようになりますと、結局ある範囲で判定されたときだと いう具合に、もう法律でこうなっちゃったということですね。そうなりますから、結局 これ、いいかどうか非常に私は疑問なんですけれども、とにかく今の法律で、今度これ が現行法になったときの体制では、判定時とすると、2回目の確認時とするとしたとし ても、私は、法律そのものによるものですから、しようがないのかなというのが私の意 見でございます。 ○大塚委員  実際には先生、2回目の確認時のときが死亡時刻になっているんです、今。と申しま すのは、法医学会の方々は、最初の判定時にさかのぼって死亡宣告をしなさいというふ うにおっしゃるんですけれども、現場では、2回目の確認をやって、「いや、実は6時 間前に死んでたんです」とはなかなか言えないです、これは。ですから、どうしてもや はり2回目の確認時ということにならざるを得ないんですね。ですから、その2回目の 確認時が時間が延びたり縮んだりしていいんでしょうかということを私は申し上げたん です。法的にはどうでございましょうか。法律的には。いろんなその問題が起こってく ると思うんですけれども。 ○町野委員  法律的にどうなるかという問題というのは、これは本当に裁判所が判断しなければわ からないということなんですけれども、理屈の上では私は、最初の、1回目に徴候とい いますか、それを判断した時点だという法医学会の意見がそうだということですと、私 はそれは妥当なものではないかという具合に思います。 ○大塚委員  そうであれば、ここにそういうことをきちっと記載しなくてよろしいですか。それ は、またこれは改めて検討するんですか。 ○貝谷室長  今の、2回目の判定時を死亡時点とするかどうかにつきましては既に、いろんな学会 なり、それぞれのお立場からのご意見はございますが、これは脳死臨調以来この問題を 重ねて討議されてきておりまして、方向といたしましては2回目の死亡時期が適当であ るという、もちろん法律家の先生もいらっしゃいましたが、全体の中ではそういう方向 で出されております。  それから、私ども厚生省のほうで平成6年にワーキンググループを設けまして、大塚 先生にもお願いして発足いたしましたが、その中でもやはり、いろんな法的安全性の問 題なり、いま大塚先生がおっしゃったような家族に対する説明、その他の事情から、2 回目の判定時をもって死亡時刻とするということが適当であるというご意見もいただい ておりますので、私どもといたしましては、2回目の判定時をもって死亡時刻とすると いうことでお願いをしていきたいというふうに考えております。 ○大塚委員  それは私も了解しているんですけれども、2回目の判定の時間を6時間なり10時間 なり24時間なり、ばらばらでいいんでしょうかということを申し上げているんです が、できるだけ6時間ということで了解とさせていただきます。  それから次は、五条の九号でございますけれども、これは附帯事項の三にも出てきて おりますけれども、「意思を表示していた旨の告知を受けた家族が判定を拒まない」 の、家族といった意味を、どこまでを言うんだろうかという問題なんですね。こういう のをやっぱりきちっと決めていただきませんと、なかなか難しいんですよ。 ○黒川委員長  それについていかがでしょうか。どうぞ。 ○貝谷室長  先ほど附帯決議にもございました。この今回の法律の中では、遺族なり家族というの が随所に出てまいりまして、従来の角膜・腎臓の移植に関する法律の中でも具体的な範 囲は法律なり省令に特にはありません。ただ、これだけやはり重要な問題、また、こう いうふうに省令案でも出てまいりますので、省令上具体的にここまでだというきちっと 線引きをして、逆に言えば、線引きをする以上は、それ以外の人たちの意思というのは 考慮されない形になります。ただ、そういうやり方は、むしろこの移植医療の問題で は、むしろ問題のほうを含んでいるので、むしろそこは線引きをすることのメリットよ りもデメリットのほうが大きいという国会でのご議論がございまして。しかしながら、 目安も何もなく家族、遺族というのも、これも困るということで、役所のほうに対しま して、この家族なり遺族の具体的な範囲をどうするのか、ひとつガイドラインをきちっ と作るようにというような注文がついておりますので、具体的にどこまで目安が作れる かわかりませんが、今、実際に運用が困らないような範囲で、しかしながら、非常に画 一的な線でないような、なかなか難しいんですが、そういった方向で何かできないか、 これから検討してまいりたいと思っています。 ○黒川委員長  よろしいですか。 ○大塚委員  これはぜひお願いいたしたいと思います。もう一つ、いいですか。 ○黒川委員長  そのガイドラインは10月16日までに作るということですね。 ○貝谷室長  そうです。また、私どものほうでまとめまして、先生方にもきちっとお示しをし、意 見をいただきたいと思っています。 ○黒川委員長  そうですか。何かこれについては。これは結構、書いてあるけれど難しい問題だと思 うんですね。 ○大塚委員  現実には難しいと思いますね。 ○黒川委員長  その家族によって、家族の構成とか歴史とか文化とか宗教によってだいぶ変わると思 うんですね。だから、そのへんはなかなか難しいと思います。 ○大塚委員  もう一つは、十四条の4でございますけれど、「摘出した臓器の取扱いに当たって は、礼意を失わないように」、非常にいいことだと思うんですけれども、臓器だけでな くて、摘出してしまった遺体に対しての礼意をもっときちっと書いてもらいたいと思う んです。 ○黒川委員長  6ページですね。これは法律のほうにも何か書いてあったような気がしますけれど も、法律には何て書いてありましたか。 ○貝谷室長  いま大塚先生がおっしゃったのは、全くそのとおりでございまして、法律の八条に礼 意の保持というところがございまして、「臓器を摘出するに当たっては、礼意を失わな いように特に注意しなければならない」ということで、摘出することでございますが、 当然ご遺体といいますか、そういったものに対してそういう規定を置いているところで ございます。したがいまして、省令のほうでは必ずしもそこは明確になっておりません でしたが、摘出した後の臓器と、例えば搬送の段階でございますとか、いろんな場面が ございますので、そこは法律に書いてないことを少し敷衍したということでご理解いた だきたいと思います。 ○黒川委員長  これはよろしいでしょうか。そうすると、法律のほうで、遺体については十分礼意を 尽くすというふうにカバーされていて、そのあと出た臓器についても当然そういうこと なんですよ、ということをもう一回省令で言っているということですか。小柳委員。 ○小柳委員  礼を尽くすということは私どもも、私は移植手術を担当する立場ですが、非常に大変 気になりまして、過去にいろいろな仕事をしますときに、この部分はどういうふうに書 いたらいいかということを考えてまいりましたが、この文章でございますと、どなたが 礼を払う立場にあるのか非常に難しゅうございまして、救命救急の病院に摘出チームが 伺うこともありますので、そこをある程度明確にしたほうがいいかなというふうに思っ ているんですけれども。  私ども漠然と考えておりましたのは、摘出チームの一部を残して、臓器搬送に携わら ないで1人ないし2人を残して、ご遺体が救命救急病院を離れるまでというぐらいまで 厳しく考えたことも実はございますんです。そういったことは、これから細かい私ども の、省令とか通達ではなくて、もっと細かいお作法を決めなきゃならないとは思ってい るんですけれども、どなたが礼を払うかというところが必ずしも明確ではないかなと、 こんなふうに感じました。 ○貝谷室長  今の点でございますが、小柳先生のおっしゃるように現場でのきめ細かな配慮という のは、当然やっぱり私ども、これから必要だろうと思います。ただ、その規定をどこま で省令で書くかというところがございますので、特に誰に限って礼をこうやるんだとい うのは、ちょっと規定上はいかがなものかなということで、特に、これは、関係する関 係者が常に等しくこういう気持ちで臨むという趣旨を書いたものというふうにご理解い ただきたいと思います。 ○黒川委員長  実際、移植のネットワークをやっていてもそうですけれども、コーディネーターの方 たちは特にそういう現場に当たることが多いわけですが、やはり後のフォローアップと か、遺族に対するいろいろな感謝の気持ちというのは、人が残るとかそんなことではな いし、省令に書くようなものでもないんだけれどもということなんでしょうね、本当 は。こう書かれてしまうと、それについてはいかがなものかというご意見があったわけ ですけれども、ほかにご意見ありますか。座間委員、何かありますか。 ○座間委員  今まで腎臓のほうでの提供をいただいた場合は必ず、コーディネーターが複数で動け るときは、1人は搬送のほうに当たって、1人はご遺族の方にご挨拶をして、ご遺体が きれいに、ご家族の方の最後のお別れのときに、嫌なイメージを与えないような形で死 後の処置がされているかということもきちっと確認をしてから、ご家族との最後のお別 れをしていただくというようなことには注意をしております。できるだけ、少なくとも 臓器の場合ですと、お寝巻の下で傷がわかりませんけれど、角膜なんかですとやはりお 顔が変わるとか、そういうようなことがありますので、そのへんは事前に眼科の先生方 とも連携をとりまして、お顔の変形や何かがないようなことを注意してはおりました。 ○黒川委員長  法律の八条のほうを十分に当事者は考えろということであって、省令の意図は、摘出 したあとの搬送中、それらを含めての臓器についてもそうなんですよということを、わ ざわざ言ってくれたということかもしれませんけれども、言わずもがなかもしれないで すな、ということですね。そのほかに。 ○野本委員  今の話とは別なことでもいいですか。 ○黒川委員長  はい、どうぞ。 ○野本委員  この省令はよくできていて、実際、私が移植学会のリーダーとして動くときに、そう 大きな問題はないと思うんですが、ひとつわからない、これはわからないことなんです が、書いてないから。臓器が心、肝、肺、それからそれに省令で膵が入りましたね。こ こに書かれてない組織、例えば動脈であるとか静脈であるとか、それから小腸であると か、そういう書かれてないものに対する対応はどういうように考えたらいいんでしょう か。書かれてないものは勝手だということにはいかんと思うんですが、そのあたりのこ とについてちょっと考えをお聞かせ願いたい。 ○貝谷室長  今回、この法律が制定された趣旨は、移植術そのものは法律の根拠が絶対不可欠だと いうことではなくて、移植医療を国民の理解を得ながらルールを決めて円滑に行ってい くためにはひとつの法体系が必要だという考え方から出発しております。その意味で は、この移植法の体系の中で特に禁止されてない、あるいは直接触れてないケースはや れるんだというのが基本的な考え方だと思いますが、ただ、組織につきましては全くそ の適用外でございますので、いま先生がおっしゃったような血管その他の組織につきま しては、一定のご家族に対する説明なり了承ということで実際にやっておりますし、そ れで可能だというふうに考えております。  ただ、いまお話の臓器ということにつきましては、この法律で第五条で、この法律に おける臓器とはということで、移植を念頭に置いた臓器というものは、ある程度この法 体系の中で適切に運営していこうと、一定のルールのもとで移植をやっていこうという ことが法律の趣旨として出ておりますので、例えば、いま先生がおしゃった小腸の問 題、これは現実的に例が今ありますが、私どもとしては、移植医療として国民の中で、 今これからやっていこうという考えがあるならば、むしろこの省令の中できちっと位置 づける。そうしたうえで、このルールのもとでやっていただくといことでお願いできれ ばと思っておりますし、そういうほうが国民の理解の上からもいいんだろうと思ってい ます。 ○谷川委員  今お話になった中で、これは小腸はもう、生体移植が始まっているところもあるんで すね。ですから、膵臓と小腸ぐらいは具体的に書いていただいたほうが、ひょっとした らいいんじゃないかと。 ○貝谷室長  この法律のそもそもの骨格が、平成6年当時のご議論のもとで始まっております。そ の当時、確かに小腸移植ということは日本ではあまりなかったわけでございますが、そ の後の法律の審議の過程でそういう話が少しずつ出てまいってきているという状態でご ざいます。ただ、省令で臓器を追加していくということはできるわけでございますが、 私ども、スタート段階では、ある程度、既に現時点で移植というものが、確立と言って はあれですが、ある程度日常的な医療でも大丈夫だと、こういう段階で異論のないもの である程度スタートしていくということがむしろ適当ではないかというふうに考えてお ります。 ○田中委員  私は、ぜひ小腸は省令として入れていただきたいという意見です。というのは、19 93年、4年ぐらいから、小腸移植がかなり世界でも評価され出して、97年になって かなり確立される方向へと行っています。膵臓を取るときも、小腸を一緒に取ることも ございます。日本で120人ぐらいの人が、ホームハイパーアリメンテーションを受け て、その60人の人たちは、やがてだめになっていく傾向にあります。これは膵臓を入 れるとするなら、小腸移植研究会でも同じような立場として推進していっていることか ら考えますと、ここで膵臓ということだけ置きますと小腸の希望が全くなくなるわけで すから、省令には同じように膵臓と小腸を入れていただきたいというふうに希望しま す。 ○貝谷室長  今、田中委員のほうからございましたので、私どもも、その後の現在行われている小 腸移植の状況、まだ十分つかんでいるわけではないというふうに思いますので、いろん な情報をまた集めまして、ご議論いただきたいと思っています。 ○黒川委員長  ちなみにこれは厚生省の臓器移植の範囲には入っているわけですか、適用その他につ いて。小腸。できているんですか。例えばレシピエントその他について。 ○重藤補佐  レシピエントの選択基準等について心・肝は作成いたしました。それから肺と膵につ いては、まだこれからでございます。小腸についても、やはり同様、それよりももう少 しまだ進んでいないという段階です。 ○黒川委員長  そうですね。糖尿病その他を含めて膵の場合は一応何回か集まりがあって、ガイドラ インは一応はできていますけれども、それをどうアップデートするかというところは、 また別な話ですから、現在のところはいいのではないかというところで進んでいると思 いますけれども。どうぞ。 ○町野委員  若干疑問があるんですけれども、もし省令で小腸まで加えるということになります と、明示的に法律の規定がかぶってきて、それはいい面も確かにありますけれども、他 方では、本人が、死体からの場合ですけれども、本人がドナーカードによって提供の意 思表示がないときはこれは取れないということになりますけれども、そのことまで考慮 された上で、私は規定するかどうかはやっぱり考えられたほうがいいように思います。 ○黒川委員長  よろしいですか。大久保委員、どうぞ。 ○大久保委員  私もそう思います。今の話の小腸ですけれど、こういうところでは小腸と、話がすぐ 出ますけれども、普段、普通の方なら、小腸を摘出するとか提供するなんていう考えは ほとんどありませんので、ドナーカードに小腸と書かれることは、まず絶対ないと思い ます。今の段階でそれを加えると、実際に提供が出てくる可能性が非常に薄いと思いま すので、小腸に関しては外したほうがいいのではないかと思います。 ○野本委員  私が質問した理由は、多くの臓器にその他、まだ研究段階にあるものは専門職集団が 研究しながら正しく行動せよというので一括して、以降、手をとったほうがいいと思う んですが、その中に特に膵を省令に入れたということで、いわば3段階になってしまっ たんですね。法律のほうできちっと決められた臓器の群と、それから省令で決められた 群と、省令に書かれていない群が出てきたわけですから、そこらあたりの基本的な取扱 いの態度、方針をここで決められたらよろしかろうと。私は、きちきちと身動きとれな いようにしてしまえというので提案したのではございません。ただそれは、現場といい ますか、大塚先生のほうのチームと私のチームとが、それで一緒にやっていかなければ ならないんですけれども、そのときに必ず「さあ、困った」ということになりますし、 書いてないからいいんだという意見と、書いてないからできないんだという意見とで、 がちゃがちゃ、がちゃがちゃになるもんですから、そこらはひとつ考えておいていただ いて、この専門委員会で方針を立てていただいただけでも、こういうのが基本的な方針 であるというふうに指導できますので、ぜひお願いをしておきたいと思います。 ○黒川委員長  この件について、省令で膵だけ加わっているわけですけれど、そのへんももうちょっ とご意見いただいたほうがいいんじゃないでしょうかね。行政としてどう扱うかという ことのほかに、専門委員としてはどう扱いたいかという話をちょっと伺いたいんです が。どうぞ、大塚委員。 ○大塚委員  これは、外国なんかへ行ってみますと、もう本当にドナーとして何から何まで取って しまうという傾向にあるんですけれども、例えば骨、これなんかもかなり適用になると 私は思うんですね。たまたま、その関係の委員がいらっしゃらないからそれが出てこな いと。小腸とか膵臓とかと関係のいらっしゃる委員はそれを主張されるということで あって、これはやっぱりもう少し全体的に討議をする必要が私はあるのではないかなと いうふうに思うんです。 ○黒川委員長  いかがでしょうか。その膵というのを省令で指すということについては、かなり学会 その他では、もうコンセンサスが得られているような雰囲気なんですか。パブリックも 含めてという意味ですけれども、そうなると。 ○重藤補佐  膵臓については、まだ日本ではまだまだそんなに数多くはやられてないかと思います が、ただ、方向として選択基準をきちんと定めて、きちんとやっていこうということで は、関係者の先生方、コンセンサスが得られていますし、腎臓移植のときにも膵臓も多 少されていますので、そうした先生方のこれまでのつながりの中でそういったコンセン サスが得られている。肺についても、かなり最近、肺移植についてはマスコミ等も取り 上げられておりますし、先生方のほうでもやりたいと、そうしたものをきちんと定めて やっていくという方向であろうというふうに思います。肺については、特に心肺同時移 植という問題もあり、心臓移植とつながっている部分もございますし、そこらへんでき ちっと今後、肺と膵については、とにかく心・肝と同様きちっとした適用基準、選択基 準を定めてきちっとやっていくという方向が、一応関係者の中でも合意が得られている のではないかというように考えております。 ○黒川委員長  よろしいですか、野本委員。 ○野本委員  これはかなり難しい問題で、実際の移植が本格的に始まりましたら、一番ぶつかる問 題だと思うんです。かつ、今までの研究や検討ですね。検討とグレードがそれぞれ違う んですね。そこがありますので、これは私どもが、単なるひとつの提案ですけれども、 どなたかに世話をしていただいて、作業チームを作ってもらって情報を集めると。例え ば、今おっしゃられた骨のほうの人たちとか、いろんなところがありますので、自分の ところのグループのいわゆる臨床への適用というのはどれぐらいやれているんだとい う、実際に国民の医療として役に立つようにするののどのレベルにあるかということを やはり把握して、そしてそれをどう取り扱うかはここの専門委員会で議論をすると。し かし、少しそこらあたりの情報をどなたかが中心になって集められないと、これは、今 おっしゃられたように、ここにおるメンバーがたまたま臓器担当する人がおればよろし いんですが、そうでないとなかなか答えが出にくいと。ついでに言わせてもらいます と、組織移植で小腸ということでということですと、田中先生あたりにお世話していた だいて情報を集めてもらうといいのではないかなと。だから、作業チーム的なものを 作ってもらって、電話で連絡するなりファクスで連絡されるのがいいんですけれども、 医者仲間では大体どういう分野は誰が一生懸命というのは大体検討がついておりますの で、ただ、くどいようですけれども、臨床へきちっとシステムとして応用するという段 階に関しては、臓器ごとがばらばらです。したがって、そこらあたりも掌握しないと専 門部会としての態度は、方針は決められないような気がいたします。 ○黒川委員長  わかりました。それでは、野本先生は今は移植学会の理事長ですか。 ○野本委員  はい。 ○黒川委員長  じゃあ、野本先生のほうで、ちょっとそのいくつかのアイテムについて、やっぱり世 界的な現状と、移植医側から見た問題と、レシピエント側から見た現状と、それから一 応アウトカムについてどういうふうになっているのかという話を少し調べていただい て、次回まででもよろしいですかね。ちょっと難しいかな。 ○野本委員  私はよくわかりませんから、臨床をやっている田中先生に。 ○黒川委員長  先生のほうからそれを明示してやっていただければよろしいのではないかと思って。 ○野本委員  はい、わかりました。 ○黒川委員長  これはちょっとペンディングにさせておいていただいてよろしいでしょうか。じゃ あ、そのほかに。確かにこれはちょっと奇異な感じがしますね。矢崎委員。 ○矢崎委員  今の話に関連しますけれども、私は、心臓の内科医の立場で、非常に限られた範囲内 でしかお話しできませんけれども、私どもとしては、やはり脳死臓器移植を医療として なるべく早くに定着させていただきたい。それはやはり、目の前にした患者さんが、生 命余後が1年以内の非常に重症な方を何とか救ってあげたいということで、私ども何と か状況を整えたいということでございますので、いろいろご議論はあると思いますけれ ども、まず医療としてぜひ定着するには、やはり脳死の問題とか、法律の問題とか判定 の時期の問題とかいろいろあるかもしれませんけれども、十分に議論を尽くすことは必 要ですけれども、私、ここの厚生省の案を読まさせていただきまして、いろいろのご議 論があるかと思いますけれども、これでぜひやらせていただければ大変有り難いと。ま た、いまご議論の問題点というのは、小腸、骨とかありますけれども、それはそれでま た別に議論していただいて、この会は、できれば、私どもの勝手な意見かもしれません けれども、心臓と肝臓にある程度集中して議論していただければ大変有り難いというふ うに思っています。 ○黒川委員長  どうぞ、大島委員。 ○大島委員  私も同じようなことを実は言おうと思ったんですけれども。脳死下でどうするかとい う問題がやっぱり優先度としては非常に高いんで、骨の問題とか皮膚の問題というの は、これはこれで非常に大変な問題だと思うんですけれども、これは、ちょっと、今こ こで議論をしている問題とは少し切り離して考えていったほうがいいんじゃないかなと いうふうに思いました。  それから、もう一つよろしいでしょうか。ちょっと話を変えても。 ○黒川委員長  ちょっと待ってください。そうすると、もう一つは、膵臓を省令に足したことが、こ れは糖尿病のことを考えているわけですよね、多分。IDDM(インスリン依存型糖尿 病)だと思うんですが。今月の「This is読売」のちょっとお医者さん側の意見が出て いたように、IDDMの患者さんは、それがないと、膵臓がないと死んでしまうという 状況とはちょっと違うので、心臓、肝臓とはちょっと違うんではないかなという気がす るんですがね。例えば、腎臓を植えれば後はインスリンがあるしという話で、膵臓を植 えたためにむしろ死んでしまったというケースがむしろあり得る話だから、実際、患者 さんを持っている、レシピエント側を持っている主治医とすると、腎臓はぜひもらいた いと。だけど膵臓までやることはないんじゃないのということは、レシピエント側のか なりの判断になるんじゃないかなという気はするんですよね。確かに心臓、肝臓は、も うしないとだめだということはかなりはっきりしていますので、そのへんはどうかなと いう、矢崎委員と同じような気がするので、これの全体の法律の目的はちょっと違うん じゃないかということと、この省令についても、あと3年後にはもう一回また見直すと いうことはいつでもできるので、そのへんをちょっとまた考えておいていただきたいと いうふうに思いますけれども。それは私のコメントということで。  その次、それじゃあ、大島委員。 ○大島委員  第四条のところで、移植に使用されなかった臓器は焼却して行われなければならない というふうに規定してありますけれども、実際に現場の感覚からいきますと、もし、移 植に使われないという理由というのはさまざまあるかと思いますけれども、使われな かった臓器を十分に検討して、なぜ使われなかったのかというようなことをきちんと検 討して次の移植に生かすということは、非常に場合によっては重要な場合があるかと思 うんですけれども、そういったものも一括して含めて、これはだめだと。とにかく使わ れなかったらすべて焼却しなければいけないというような意味というふうに受け取って よろしいんでしょうか。 ○貝谷室長  医学の進歩のためにそういった臓器もきちっと調べるべきだというのは、全くそれは それで正しいことだと思うんですが、ただ一方で、やはり、医学の進歩のための研究 と、この臓器移植の問題というのは、大変国会の中でも議論をされて、むしろそういう 方向への心配ということが国会の中では大変大きな議論としてございました。やはり臓 器移植のための臓器の摘出であるということで、そこはきちっと割り切って考えていく ということで議論がなされておりまして、いま先生がおっしゃったことは、それはそれ で全く私ども、わかるんですが、この案を作りましたのは、そういう国会での議論、そ れからこれまでの腎臓のケースを想定しまして、一応こういうことでいかがかというこ とで。私どもとしては、そこはやはりきちっと焼却ということでお願いできないかと 思っています。 ○大島委員  これはやはり現場の医療をやっている医者の立場からいいますと、なぜ使えなかった のかということが、臓器そのものに問題がある、いろんなケースがもちろんあるかと思 いますけれども、これは、調べられるところはやっぱり十分に調べさせていただきたい と。もちろん、そのための手続というのはきちんととるべきであるし、無断でとか内緒 でとか、よく言われるように、訳の分からない形でもって処理してしまうとか、そうい うことは一切なしに、きちんとした手続を踏んで、それはきちんと調べさせていただき たいというのが私の、現場にいる医者の側からの非常に強い気持ちです。 ○黒川委員長  いかがでしょうか。どうぞ、眞鍋委員。 ○眞鍋委員  私は角膜のほうで同じような問題がありまして、角膜の場合も、焼却しなければなら ないということになっておりまして、いろいろな人から、このところは何とかならない かという現場からの非常に強い声があります。アメリカでは、アイバンクアイというの は、余っておるということもあるんでしょうけれども、研究材料の最たるものでありま して、どんな論文にもアイバンクアイを利用してこういう研究をしたということが報告 されておるんですが、日本でそれをやると法律違反ということで、日本ではそういうこ とは一切行われないということになっておりまして。アメリカの眼球を研究用のために 輸入するというようなことが発生しておるというのが現状でありまして。ぜひ角膜だけ でなしに、網膜とか、あるいは水晶体とか、そういうほかの組織の中にも角膜移植をし てはならないような、例えば病原菌がおるというようなことで利用しないということが あり得ますので、そういうことを検査することも許されないというのでは、ちょっと困 ると思いますが、ぜひ、せめて検査だけでも、患者の安全性を守るための検査はやって もよろしいというぐらいのことを、ぜひ許可していただきたいと思います。 ○黒川委員長  ひとつは、摘出した臓器が何らかの理由で使えないという判断は、何かやはりその判 断した根拠が、目で見たものとか感じとか何かあるんだと思うんですけれど、そういう ことじゃないですかね。 ○眞鍋委員  これは、眼球全体を使わないというのじゃなしに、、、、、、 ○黒川委員長  いや、いや。使わなかった臓器というのは、臨床的にお医者さんが、何か使えないと いう理由があったわけですよ、根拠が。だけど、それはその中で、後で調べなくてもそ の根拠があったわけだから、それをもう一回何かで調べたいということですか。 ○大島委員  ほかの臓器の場合には、私はよくわからないんですが、例えば腎臓の場合に、どうい う場合を想定したらいいのか、わかりやすい場合、日本の場合には、心臓死で摘出しま す。したがって、亡くなられる前の状況によって、いわゆる温阻決時間というのです か、腎臓の状態が非常に影響を受けるわけですね。低血圧が非常にずっと長く続きます と腎臓そのものにも影響が出てくると。 そういう状況だとか、あるいは、実際に心臓が止まってしまって、その後でというの か、同時ぐらいに我々が呼ばれて飛んでいって、その間に20分、30分、心臓マッ サージをやりながら経過をみていくと。そういう状態でもって腎臓を摘出した腎臓を使 うか使わないかというのは、最大限の、今の段階でもって考えられる最大限の努力をし て、検索をして、使用すべきか使用せざるべきかというのを検討するわけですけれど も、それでもどうにもわからない。どうにもわからないというときに、それは使うのか やめるのかというのは、本当に紙一重の場合があるわけですね。  それで使わないという判断をしたときに、それが正しかったのかどうかというのは、 前の状態、例えば30分間心臓マッサージで維持して、その場合に使わなくて、その腎 臓を病理検査に出して、「ああ、やっぱり使わなくてこれは正解だった」というような ことが、ひとつの蓄積として残っていけば、こういう状況ではやめたほうがいいとか、 あるいは、結局使わなかったけれども、後の病理検査でやってみたらこれは十分に戻る 腎臓であったとか、というような知識というのか、その実績の蓄積が出てくると思うん ですけれども、そういったことというのは臨床の場では非常に大きな価値のあることだ と。価値があるというのは、医者の研究意欲どうのこうのということではなくて、次の 患者さんにどう生かせられるかという点で非常に価値があることだというふうに私は 思っています。 ○黒川委員長  それでは、眞鍋委員。 ○眞鍋委員  全く賛成であります。例えば角膜の場合は、眼球をいただいて、そして角膜を使うわ けです。そうすると、残りの眼球は残るわけですね。そのことを焼却しなさいというこ とでございますね。ところが、その眼球を調べることによって、その角膜を使っていい のかどうかということを判断する場合もありますので、そういう検査という意味で、ぜ ひ、そういうことは行っても礼を失することにはならないのではないかと思うんですが いかがでしょうか。 ○黒川委員長  町野委員、よろしいですか。どうぞ。 ○町野委員  最終的に焼却すればいいのであって、検査することまでは、これは別に禁止している ものではないと理解していたのですが、そういうことではないでしょうか。 ○貝谷室長  本当に移植に適するかどうか判断するため、それは当然のことでありますが、医学的 にこれは使わないと判断した後で、その移植に関係のない形での、関係がないと言った ら怒られますが、ほかの目的のためにやると。次の移植に備えて研究するというのは、 そこはなかなか難しい問題をはらんでいると思っております。 ○町野委員  簡単にですけれども。そのようなストリクトな態度だとすると、やはり、まだちょっ とこれから検討する必要があるように思います。つまり、結局いま、摘出された臓器と いうのが、やっぱり単純な物ではありませんで、売買は禁止されているし、一種の人格 権の対象でございますから、これをどのように倫理的に扱うかという問題については、 ほとんど議論が日本ではされていないだろうと思います。ですからこれは、別の委員会 を作るか何か、それはわかりませんけれども、やはりこれは研究を続けるべき課題だろ うというふうに思います。 ○黒川委員長  小柳委員。 ○小柳委員  大島先生は腎臓のことをおっしゃいましたが、心臓ではもう少し具体的な問題があり まして、ホモグラフトの話であります。わが国の搬送の事情からしますと、おそらく虚 血ぎりぎりのマージナルドナーというのは、これはたくさん予想される話でありまし て、虚血時間を計算して4時間を超えそうな心臓を使うかどうかという話になります が、そういうときに、臓器提供の意思を示された貴重な臓器を使わない場合に、その心 臓と血管がホモグラフトとして使えないかという話が必ず出てくる話だと思うんです ね。現在は、ノンプロフィットのアメリカではバンクがやっていたり、それからコマー シャルにもそれを作っている会社がありますけれども、わが国ではほとんどドネーショ ンがありませんで、心停止後でもなかなか提供はされてないんですけれども、そういう マージナルで外れてしまった臓器がさらに利用されるという方法は将来ないものかとい うふうに思っています。そのグラフトが手に入らないために治療が非常に難しい分野が 私どもにもございまして、いま大島先生がおっしゃったような、あきらめて捨ててしま う臓器のその先というのを、少し検討する必要があるのではないかというふうに思って います。 ○黒川委員長  いろいろなご意見が出ましたけれども、ひとつはやっぱり、これ、社会がどう見るか ということだと思うんですね。次の世代に、次の人たちのためにと言うけれども、常に それを言い訳にしていろんなことをやっていたじゃないかということは必ず言われると 思いますね。だからそれが使えないという臨床的な判断が、例えばバイオプシーを一部 するとか、そういうことだったらもちろん許されると思いますけれども、やっぱり十分 にウォームイスケミクタイム(温阻血時間)でどうやったというのは、かなりデータが 蓄積するわけですから、それを1個の腎臓を目の前にして、するかしないかというのは 大変難しいディシジョンだとは、僕らもネットワークをやっていてよく感じますけれど も。やはり、だからそれをさらにというのは、ついついエクスパンドしてしまうんじゃ ないかというところに、やはりそれほどの信頼関係はまだできてないかなということ は、私はちょっとおそれますので、やはり今回の趣旨はあくまでも脳死での、皆さんが 思っているところは心臓、肝臓、それから腎臓も一応いまは死体腎ですけれども、そう いうところをきちんと整備しようというところが主な目的ですから、これのときに、そ の気持ちはよくわかるんですけれども、ちょっと時間をかけて、やはり実態としてどう いうふうなものがあるのかということをもっと積み上げていったほうが僕はいいんじゃ ないかなというふうに思いますけれども。 ご意見はもっとあると思うんですが、ちょっと、その次のことを、今回まだあります から、少し議題の4をちょっと説明していただきたいと思いますが。まだこれで終わり ではありませんから。 ○重藤補佐 時間が迫ってまいりました。座らせていただいて説明させていただきます。 資料の6でございます。心臓移植レシピエント選択基準。それから肝臓移植のレシピ エント選択基準でございます。これは、日本臓器移植ネットワーク準備委員会でご議論 をいただいてきたところでございます。 これは、レシピエント選択基準と申しますのは、先生方はご存じのように、移植を受 けたい患者さんが登録をしているわけなのですが、それが医学的に一番ふさわしい方に 提供された臓器が配分されるように公平・公正な分配をするための一種の手続といいま しょうか、その順位づけのための採点項目といいましょうか、そういうものでございま す。  心臓移植のレシピエント選択基準につきましては、7ページをご覧をいただきたいと 存じますけれども、それぞれの委員の先生方に作業部会を編成していただきまして、1 ページから2ページ、3ページに書いてありますように、待っている患者さんがどう いった形で1番、2番、3番、4番というような移植の順番づけをするかという優先の 順位を定めるための基準でございます。時間がございませんので、あとはご覧おきいた だきたいと思います。 それから、肝臓につきましても同様に、14ページにございますけれども、肝臓の専 門家の先生方を中心に検討いただきまして、それぞれ8ページから、肝臓移植につきま して、待っている患者さんがどういう方が1番、2番、3番になるのかというような優 先順位を定めるための基準を作成をしていただきました。 これは、本日ご出席の井形委員が日本臓器移植ネットワーク準備委員会の委員長でご ざいまして、その委員会で、平成9年6月26日に正式な選択基準ということで定めさ せていただきましたので、これを本公衆衛生審議会のほうにご報告ということにさせて いただきたいと思います。 ○黒川委員長  これについては、また読んでおいていただいて、次回に一回やったほうがいいんじゃ ないかと思いますが、その前に一言、一応委員だった先生方がおられますので、まず矢 崎委員のほうから何か一言ございますでしょうか。心臓のほうですね。 ○矢崎委員  心臓移植のレシピエントの選択基準及び適用基準につきましては、2年半前の関連学 会の合同委員会で決めましたけれども、その間に、やはり医療の進歩がありまして、適 用基準にもある程度手直しを加えたいと。そして、7月の下旬に開かれます合同委員会 にもう一度提出して、そこで正式なアプルーブメントをいただくということでありま す。  月曜日に小柳先生の心臓の移植委員会と、私どもの内科側の循環器病学会と話し合い まして、既に先生方には、川島先生を中心にご意見を伺っていますけれども、最終的に 両学会の担当の先生に再度最終的に詰めて、そして合同委員会に持っていきたいという ふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。 ○黒川委員長  小柳委員、どうぞ。 ○小柳委員  具体的な手続はそれでよろしいかと思うんですけれども、レシピエントの選択基準に つきましては、これはネットワーク準備委員会のお仕事でありますので、最終的には ネットワーク準備委員会で最終決定をしていただくことかと思っております。地域間の 各種ネットワークが立ち上がっておりましたけれども、それらもすべて統一作業は終 わっておりまして、これ以上議論することはないかと思っております。適用基準につき ましては、矢崎先生がおっしゃったとおりでございます。 ○黒川委員長  ありがとうございました。それでは、肝臓移植の作業部会の委員のうちで谷川委員が ここにも委員としておられますので、谷川委員のほうから。どうぞ。 ○谷川委員  原則的には心臓と同じでございますが、いろいろ私どもの肝臓学会では、肝移植問題 検討委員会、これは外科の先生も含めた委員会で、最終的にいろんなネットワークで決 めたこととか、あるいは合同委員会に出すことを改めて、実は昨日、行ったわけでござ います。先ほどお話がありましたように、レシピエントの選択基準、これは最終的には 23日に井形先生の委員長のもとで行われるんですけれども、この選択基準自身は問題 はあまりないかもしれませんけれども、実際ドナーがほんのわずかしかないという場合 に、たくさんのレシピエントを登録しちゃうと、広がって非常に大変なことになるとい うところで、実際は、この選択基準より、むしろそちらのほうのコントロールをどう やってきちんとしたらいいかということを、もうちょっと具体的に考えなければうまく できないというのがきのうのお話でございました。  それから、適応基準に関しましては、前からディスカッションしてあったとおりでご ざいまして、多少レシピエントの選択基準と適応基準、合同委員会で望まれた、これは 数年前に、6年に作ったものの整合性を少し、疾患の内容は同じでございますけれど も、多少表現が違いますので、それを訂正して今度の29日の合同委員会でお認めいた だくということでございます。心臓と違って肝臓は少し適用疾患が多いもんですから、 これまた非常に難しい問題をはらんでいて、むしろこういう基準よりも、むしろ具体的 に作業をする場合にどうしたらいいかということをもうちょっと肝臓学会の検討委員会 で詰めていきたいというふうに思っております。実際は、また、一応ネットワーク委員 会と合同委員会が終わった時点で、肝臓学会でまた問題検討委員会で総合的に考えて、 さらにこのことが円滑に行われるような検討をしたいと、こういう意思であります。 ○黒川委員長  そういうわけで、これは資料3のこの法律そのものの附帯決議のところにも書いてあ るわけでありまして、公正・公平なレシピエント選定云々かんぬん、それからネット ワークの整備その他ありますが、それについてネットワークのほうから、井形委員のほ うから一言何か。 ○井形委員  特に申し上げることはございません。こういう選択基準は、移植学会の合同委員会、 それからネットワーク、それから厚生省、こういうものが全部一本化してないと、それ ぞれ若干ニュアンスが違うのでは世の中の理解が得られないと思いますので、そういう 点に関して、ここでも皆さんのご意見があれば、ぜひ議論をしていただいて、ベストな 案を必ず集約してまいります。 ○黒川委員長  ありがとうございました。それでは、これについては先生方にまたお目を通していた だいて、その後に臓器移植ネットワークのほうの整備も進むと思います。この委員会 は、そちらのほうが主な目的ではありませんので、きょうの議論、まだ不十分なところ がたくさんございますので、また次回、また先生方に十分ご意見を伺いたいというふう に思っております。  次回の会合なのですが、先生方のご予定を、いま伺ったところ、8月の1週、2週あ たりに、まず次をやろうと思っているんですが。相変わらず全部丸というところはない んですね。それで、どういたしましょうか。こちらで決めさせていただいてもいいし、 一番数が多いところで、僕はなるべく早くやりたいというのがひとつあるのですが。8 月の13日の水曜日の午前中というふうになるかな。いま決めちゃっていいんですか。 ○貝谷室長  いまのほうがいいと思います。 ○黒川委員長  そうですか。それでは、まず次回は8月の11日の午前。11日です。 ○貝谷室長  11日、月曜日。 ○黒川委員長  はい、月曜日。それから、その次もいいですか。 ○貝谷室長  では、その次の会を。 ○黒川委員長  では、18日、次の月曜日の午前。 ○貝谷室長  18日、月曜日の午前。 ○黒川委員長  また午前。それから、また1週間置きますか。そうすると、その次は午後ぐらいにし ておかないといけませんね。25日の午後。 ○貝谷室長  8月25日、月曜日の午後。以上、一応3回分、予定を入れさせていただいてよろ しゅうございますでしょうか。 ○黒川委員長  よろしいでしょうか。その先は、また考えさせていただいて。まとまり具合によって ということにしましょう。 ○大久保委員  きょう厚生省令をいただいたんですけれど、どうも私はよくわからないんです。例の 書式ですが、いろんな書類が出てきますね。その書類を、できれば簡単なドラフトでい いから、作っていただくと非常に比較しやすいんですね。ざーっと書いてあるだけでい いです。どういう形の書類かというのを、ドラフトだけでよろしいので、ぜひ次回まで にお願いしたいと思います。 ○黒川委員長  よろしいでしょうか。では、第2回目、ちょっと時間がオーバーしてしまいました が、先生方、本当にありがとうございました。それでは、また次回までに、十分にきょ うの議論と資料をまた調べていただきたいと思います。どうもありがとうございまし た。 ○貝谷室長  それでは、次回は8月11日、午前ということですが、10時からということで予定 させていただきたいと思いますが、会場等は、また後日ご連絡申し上げます。よろしく お願いいたします。 ○黒川委員長  午後のこともなるべく早くしてください。1時から3時か、3時〜5時か、4時〜6 時かいろいろあると思うので。 ○貝谷室長  午前中の場合は10時から12時、午後は2時から4時でお願いいたします。 ○黒川委員長  結構です。 ○貝谷室長  25日は午後でございます。もう一回確認します。8月11日、月曜日の午前10時 から。それからその次が、8月18日、月曜日、午前10時から。8月25日、午後2 時からでございます。委員長、それでは、これで本日は終了させていただきます。どう もありがとうございました。 以上 問い合わせ先 厚生省保健医療局エイズ疾病対策課臓器移植対策室    担 当 重藤(内2361)、眞鍋(内2364)    電 話 (代)03-3503-1711