97/07/10 第1回厚生科学審議会先端医療技術評価部会議事録        第1回厚生科学審議会先端医療技術評価部会議事録 1. 日   時:平成9年7月10日(木)  10:00〜12:00 2.場  所:厚生省特別第1会議室 3.議  事:(1)委員紹介        (2)厚生科学審議会先端医療技術評価部会について        (3)遺伝子治療臨床研究評価について        (4)先端医療技術に係る論点について          (5)部会の公開の在り方について        (6)その他 4.出席委員:高久史麿部会長       (委員:五十音順:敬称略)          軽部征夫 柴田鐵治 寺田雅昭        (専門委員:五十音順:敬称略)          入村達郎 加藤尚武 廣井正彦 松田一郎 森岡恭彦 山崎修道 ○事務局 それでは、定刻になりましたので、ただ今から第1回厚生科学審議会先端医療技術評 価部会を開催いたします。 本日は、初回でございますので、まず初めに、当部会に所属されておられます委員及 び専門委員の御紹介をさせていただきます。お名前を名簿順に読み上げさせていただき ますので、どうぞ御着席のままで結構でございます。 まず、部会長であります自治医科大学学長、高久史麿委員でございます。それから、 東京大学先端科学技術センター教授、軽部征夫委員でございます。本日は御欠席でござ いますが、早稲田大学人間科学部教授、木村利人委員でございます。それから、株式会 社朝日カルチャーセンター社長、柴田鐡治委員でございます。それから、本日は同じく 御欠席でございますが、作家の曽野綾子委員でございます。国立がんセンター研究所 長、寺田雅昭委員でございます。東京大学薬学部教授、入村達郎専門委員でございま す。京都大学文学部教授、加藤尚武専門委員でございます。それから、本日は御欠席で ございますが、津田塾大学学芸学部教授、金城清子専門委員でございます。山形大学医 学部附属病院長、廣井正鱒齧蛻マ員でございます。熊本大学医学部教授、松田一郎専門 委員でございます。日本医師会副会長、森岡恭彦専門委員でございます。国立感染症研 究所長、山崎修道専門委員でございます。以上の13名の方々に、本部会への所属をお願 いいたしているところでございます。 続きまして、当部会の部会長を御紹介させていただきます。厚生科学審議会令第5条 第2項の規定に基づきまして、部会長は、その部会に属する委員及び専門委員のうちか ら会長が指名することとなっております。豊島会長からは、高久委員にお願いしたいと いうことでございますので、よろしくお願いいたします。 ここで、伊藤科学技術担当審議官から御挨拶を申し上げたいと思います。 ○伊藤審議官 一言御挨拶を申し上げます。 初めに、委員及び専門委員の皆様におかれましては、大変お忙しい皆様であるにもか かわらず、この部会への御就任を快くお引き受けいただきまして、厚く御礼申し上げた いと思います。 近年、科学技術の重要性が認識されているところでございますが、私どもといたしま しても、厚生省所管の科学技術に関する重要事項を御審議をいただくために、今年度か ら厚生科学審議会という新しい審議会をスタートさせたところでございます。5月19日 に第1回の厚生科学審議会が開催されまして、この審議会の下に2つの部会を設置する ことといたしまして、1つが、この先端医療技術評価部会でございまして、もう一つ が、研究企画部会でございます。そして、この審議会の全体の会長には豊島先生が選出 された訳でございまして、厚生省の所管する科学技術につきまして、どういう分野の研 究を進めていくかとか、どういう研究体制をつくっていくかという問題につきましては 研究企画部会、そして、もう一つのこの部会におきましては、いろいろ近年問題になっ ております科学技術の進歩に伴う、いろいろな社会とのかかわりに関する問題点などに ついて御審議をいただきたいと考えている訳でございます。 このように、最近の科学技術の進歩、先端的な技術が医療分野へ応用されるにあたり まして、いろいろ社会的・倫理的問題を提起していることが報道等、また私どもにもい ろいろ関係の学会なり医療現場から相談等も来ている訳でございます。例えば、遺伝子 治療につきましては、ヒトの遺伝子に手を加えるという治療であることから、社会的、 倫理的に見て妥当であるかどうかという慎重な検討を行うべきであろうと考えておりま す。従いまして、この部会におきましては、例えば、遺伝子治療の臨床研究でございま すとか、更に最近、出生前の遺伝子診断の問題でございますとか、更に、クローン技術 などの先端医療技術などの社会への適用、そういう色々な問題が今、議論する必要があ るのではないということでございまして、このような先端医療技術を社会に適用する場 合の色々な問題点につきまして、幅広い観点から御審議をお願いしたいというのが本部 会を設置した理由であろうかと思っております。従いまして、私どもとしては、まず、 何を論点として取り上げていくかということにつきましても、全く白紙の状態から御議 論いただいたらどうかというふうに考えておりますので、ひとつ幅広い観点からの御審 議をお願いいたしまして、皆様方の御協力をお願い申し上げたいと思います。よろしく お願いします。 ○事務局 次に、本日は初めての会合でございますので、事務局の紹介をさせていただきたいと 存じます。順不同でございますが、まず、下田厚生科学課長でございます。それから、 西沢研究企画官でございます。茂木課長補佐でございます。岡本課長補佐でございま す。高山バイオテクノロジー専門官でございます。それから、私、坂本でございます。 どうかよろしくお願いいたします。 それから、当部会の審議に密接に関連いたします分野の担当の課長が出席しておりま すので、御紹介させていただきます。順不同でございますが、まず、岩尾健康政策局研 究開発振興課長でございます。それから、鶴田医薬安全局審査管理課長でございます。 小田児童家庭局母子保健課長でございます。実は、このほか大臣官房の障害保健福祉部 企画課社会参加推進室長の三友室長が参加の予定でございますが、本日は、所用のため 欠席をいたしております。 それでは、以後の議事運営につきましては、部会長よろしくお願いいたします。 ○高久部会長 先端医療技術評価の部会という非常に難しい部会の会長を仰せつかりまして、かなり 大変だなというのが実感でございますが、皆様の御協力を得まして、円滑な運営に努め ていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 それでは、議事を進めていきますが、本日は、第1回目の会合ですので、まず厚生科 学審議会、更に、先端医療技術評価部会の組織と運営について、更に関連する法規につ いて事務局の方から説明をよろしくお願いします。 ○事務局 それでは、資料番号2-1をお開きいただきたいと存じます。 この厚生科学審議会は、厚生省の組織令に基づいて設置された審議会でございまし て、その所掌事務といたしましては、表にございますように「厚生大臣の諮問に応じ て、厚生省の所管行政に関する科学技術に関する重要事項を調査審議すること。」とい うような形で、その役割が明示されているところでございます。 それから、この厚生省組織令に基づきまして、資料2-2 でございますけれども、厚生 科学審議会令というものが定められております。ここにございますように、最初に「組 織」というところが第1条にございますけれども、第2項に「審議会に、専門の事項を 調査審議するために必要があるときは、専門委員を置くことができる。」ということに なっておりまして、委員と専門委員によってこの審議会が構成されているというような 構成になっております。 それから、また5条のところに部会の規定がございます。こちらの方の5条の第1項 のところに「審議会は、その定めるところにより、部会を置くことができる。」という ことになっておりまして、5月19日の厚生科学審議会におきまして、この審議会に研究 企画部会と当部会、すなわち先端医療技術評価部会という2つの部会が設置されること になってございます。 それから、2項にございますように、「部会に属すべき委員及び専門委員は、会長が 指名する。」ということでございまして、先ほど御紹介させていただいたとおりでござ います。 それからまた、5項にございますように、「部会長に事故があるときは、あらかじめ 部会長の指名する委員又は専門委員が、その職務を行う。」こととされております。そ れから、第6項をごらんいただきますと「審議会は、その定めるところにより、部会の 決議をもって審議会の決議とすることができる。」ということでございまして、案件に よりましては、当部会の決議をもって審議会の意見とすることが出来るという形になっ ております。これは案件の軽重等によろうかと思います。 続きまして、資料の2-3 でございますけれども「厚生科学審議会運営規程」という規 程がございます。この規程は、去る5月19日の審議会で審議会としての運営についての 取決めとして定められたものでございます。簡単に御説明しますと、1条をごらんいた だきますと「会議」と書いてございますが、この規程は部会にも準用されておりますの で、基本的にはこの条項が適用になります。従いまして、例えば、3項で審議会の定足 数としましては委員の2分の1以上となっておりますし、5項で「議事は、出席した委 員の過半数をもって決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。」、部会の 場合は部会長の決するところによるということになる訳でございます。 また、第4条に「会長は、厚生大臣の諮問を受けたときは、当該諮問を部会に付議す ることができる。」ということで、諮問案件につきましては部会に付議され、そこで審 議をしていただくということがある訳でございます。 それから、8条でございますが「審議会及び部会における議事は、次の事項を含め、 議事録に記載するものとする。」ということになっておりまして、毎回の部会の会議に つきましては議事録を作成いたすということになっているところでございます。 以上、簡単でございますが。 ○高久部会長 どうもありがとうございました。 今、説明が事務局からありましたが、その中に、厚生科学審議会令で「部会長に事故 があるときは、あらかじめ部会長の指名する委員又は専門委員が、その職務を行う。」 ということになっております。この部会長代理につきましては、皆様の御了承が得られ れば寺田委員にお願いをしたいと思いますので、よろしく御了承のほどお願いいたしま す。 それでは、本日の議題に入らせていただきます。本日は、第1回目の会合ですので、 始めに、当部会の審議事項につきまして、事務局の方から説明をお願いいたします。 当部会の審議事項は、大きく分けまして遺伝子治療臨床研究の評価と、その他の先端 医療技術に分かれますので、まず、遺伝子治療臨床研究評価の件について事務局の方か ら説明よろしくお願いします。 ○事務局 遺伝子治療臨床研究につきましては、我が国に先駆けまして米国において1990年頃か ら実際にヒトへの応用が始められたところでございます。しかしながら、現在なお研究 段階にあるという状況でございまして、厚生大臣が主催する専門家会合といたしまし て、厚生科学会議というものが早くから遺伝子治療に関する問題点の討議を進めまし て、ガイドラインを平成5年に報告をしております。これに基づきまして、平成6年厚 生大臣が遺伝子治療に関する指針を告示いたしまして、併せて厚生省に遺伝子治療臨床 研究中央評価会議という専門家の会合を設けることにいたしております。今回、部会長 をお引受けいただきました高久先生に、この会合の議長を務めていただいております。 ここにおきまして、我が国で初めて平成6年8月に北海道大学におきまして、ADA欠 損児童に対する治療研究というものの計画の提出がなされ、これについて審議を始めた ものが我が国での遺伝子治療臨床研究評価の先駆けでございます。 この仕組みと申しますのは、こういった臨床研究を行おうとする施設におきまして、 まず施設内で臨床研究が妥当かどうか、医学のみならず広く法学や倫理観も含めた幅広 い専門家の参集を得まして、計画の妥当性を評価していただく。その結果、よしとされ たものについて更に厚生大臣に意見を聞くことが出来るという形で、厚生大臣に意見を 求められた場合、厚生大臣は更に医学あるいは薬学、更に法学、倫理学といった幅広い 分野の専門家による中央評価会議に、その倫理性及び科学的妥当性について意見を求め る。その結果、必要に応じて厚生大臣として施設設置者に対して計画に対する意見を述 べるということになっております。 これまでに、2つの計画につきまして意見を述べ、また、そのほか2つの計画が現 在、厚生大臣に意見を求めてきております。その詳細につきましては、その表にあると おりでございまして、細目については資料をお開きいただきますと、これまでの2つの 案件、また、現在検討中の2つの案件、それぞれ1ページずつ簡単にまとめておりま す。 最初のページにありますものは、北海道大学医学部附属病院において現在進行中のA DA、アデノシン・デアミナーゼ欠損症の児童に対する遺伝子治療臨床研究でございま して、平成6年に計画が提出され、審議の結果、平成7年にその計画をよしとするとい う判断を示しております。現在、その治療研究を実施いたしましてADA欠損症児童に 対して著しく病状の改善が見られ、現在、普通の児童と同様に小学校に進学している状 況でございます。今後の予定としましては、経過観察ということで計画は引き続き続行 という形になっております。 次の資料7-2 でございますが、熊本大学におきましてHIV感染者に対する遺伝子治 療の試みとして研究計画が出されたもので、平成7年11月に計画の提出があり、平成9 年5月最終的に実施計画を了承する旨の意見を出したところでございます。しかしなが ら、その後、本年6月ベクター供給元であります株式会社ミドリ十字において薬事法に 基づく治験届けが厚生省に出された後、更にミドリ十字社内において詳細を検討してお ったところ追加的に報告すべき情報があったということで、中央薬事審議会遺伝子治療 用医薬品調査会におきまして、その追加報告を検討しているところでございますが、内 容については非常に詳細に検討する必要があるということで、ミドリ十字に対しては、 この治験計画の進行を一時停止するようにという指示が出されておるところでございま す。 併せまして、熊本大学の方におきましても、ベクターの供給等において重大な支障が 今のところあるということで、計画の実施を見合わせておるということの報告をいただ いております。 次いで、資料7-3 、東京大学医科学研究所における遺伝子治療臨床研究実施計画でご ざいますが、腎細胞がんの方を対象といたしまして、GM-CSF遺伝子導入をした当該がん の細胞を自己複製能を喪失させた上で戻すという形の研究でございまして、平成8年に 計画の提出があり、現在、作業部会において検討が進んでおるところでございます。 また、次の資料7-4 でございますが、岡山大学におきます遺伝子治療臨床研究実施計 画。非小細胞肺癌に対する遺伝子治療ということで、遺伝子治療とともにシスプラチン という合成の抗癌剤を合わせて併用する計画になっております。これも、平成8年12月 に計画の提出がありまして、現在、作業部会において検討中というものでございます。 申し訳ございませんが、10ページに戻っていただければと存じます。 この10ページの図は、遺伝子治療臨床研究実施計画の評価について、先に厚生大臣が 出しました指針では、どのような仕組みになっておるかというものを図示したものでご ざいますが、上の四角の中、実施施設におきまして総括責任者が実施施設の長に対し計 画を提出し、施設内審査委員会においてこれを検討する。そこで、了とされたものが厚 生大臣に対して意見を求めてくるという形になっておりまして、厚生大臣は意見を求め られた場合、この厚生科学審議会に対して、その計画の科学的妥当性、倫理性について 意見を求めるという形になっております。従前は、「厚生科学審議会」とあるところが 「遺伝子治療臨床研究中央評価会議」という形であった訳でございます。従いまして、 この審議会におきましては、資料に添付いたしております遺伝子治療臨床研究に関する 指針に基づいた計画の倫理性、科学的妥当性について作業部会、今回ですと専門委員会 ということになるかと思いますが、専門委員会等による助けを借りながら御意見を出し ていただくということが、この審議会に対して期待されているところでございます。 一応、極めて簡単に、仕組みと過去の経緯について申し上げました。 ○高久部会長 どうもありがとうございました。 今、遺伝子治療の臨床研究の評価について、今までありました中央評価会議との関係 を含めて、現状を説明していただいた訳でありますが、どなたか御質問、御意見はおあ りでしょうか。特に、御意見がありませんでしたら、当部会で従来行っていました遺伝 子治療臨床研究中央評価会議の職務を引き継ぐことにいたしたいと思います。よろしい でしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○高久部会長 では、そのようにさせていただきます。 それに関連しまして、資料8ですが、組織が変わったことによりまして、本日改めて 厚生大臣から厚生科学審議会に対して2件の遺伝子治療の臨床研究計画について諮問を 受けて、豊島会長の方から当部会に付議されております。これにつきましては、遺伝子 治療臨床研究中央評価会議の作業部会を、この部会の委員会として設置して引き継いで 作業をお願いすることにして、その結果を踏まえて当部会で審議することとしたいと思 います。御存じのように、従来の遺伝子治療に関しましては、大学病院で行われる場合 には厚生省の遺伝子治療の臨床研究中央評価会議と、それから、文部省の同じような遺 伝子治療の研究に関するライフサイエンス部会の下の専門委員会で検討することになっ ています。しかし、実際には、両委員会で合同の作業部会を設置して、主に、科学的な 内容について検討してきた訳であります。それから、この資料8にあります東京大学、 岡山大学の遺伝子治療に関しましては、既に作業部会で作業中でありますので、その作 業部会の結果を見て、この部会で審議することにしたいと思いますので、よろしく御了 承をお願いしたいと思います。 引き続きまして、先端医療技術に関する論点について、事務局の方から説明よろしく お願いします。 ○事務局 資料9でございますが、お開きいただければと存じます。 先ほど、審議官の挨拶でも申し上げましたように、この審議会でどのようなことをど ういうふうに取り組んでいただくかということについて、白紙で実はお願いをしておる ところでございますが、一応、簡単な項目だけをそこに掲げさせていただいておりま す。先端医療技術評価部会として先端医療技術の評価に取り組むとは言いながら、ここ で言う先端医療技術は何かということが、そもそも問題になろうかと思います。私ども としては新しいということだけではなく、その医療技術が社会的に十分な受容がなされ ていない、受入れがまだしっくりといっていないというようなものにつきまして、この 部会においては技術的な側面のみではなく、社会的な側面を含めた幅広い評価をお願い する必要があるものについて取り組んでいただくのではなかろうかというふうに考えて おります。 とりわけ最近、話題になっておりますものといたしまして、あるいは既に厚生省にお いてお願いをしておりますものとしては、遺伝子治療というものがそこに掲げさせてい ただいております。すなわち、他の薬剤とか、外科的な手法によっては治療出来ない治 療困難な遺伝病、あるいは現在取り組みを大々的に進めております、がん・エイズのよ うな致命的な疾患といったものに対して、遺伝子を改変することに治療というものに大 きな期待があるところでございますが、米国、欧州を含めましてその実績については 様々な意見があるところでございます。 また、現在は、厚生省の基準等では体細胞における治療のみを許しておりまして、 子々孫々にわたるような生殖細胞における遺伝子治療は、これを許していないというと ころでございます。 こういったような点について、今後、更に技術が進むにつれまして、いろいろな課題 が出てくるのではなかろうかというふうに考えておりますし、遺伝子治療そのものにつ いてもまだまだ色々と社会的な受容は十分ではないという意見もあるかと思います。 また、その遺伝子治療に先立ちまして、本来であれば疾病の診断という点で、あるい は遺伝子病以外の遺伝的な疾患でないものについても、さまざまな病気に関連する遺伝 子が発見され報告されているところでございまして、遺伝子診断というものについて社 会的な関心が大きく高まっております。特に、出生前診断といった形で遺伝子診断を用 いることによりまして、生誕後において重篤な疾患が予想されるお子さん、あるいは 胚・卵といいますか、これの扱いということについて大きな関心を呼んでいるところで ございますし、また、生後いわゆる大人の方においても遺伝子診断によって疾病のリス クを避けることが出来るのではないかという期待とともに、新たなリスクを負っている ということに伴う社会的な取扱いといったものについて、遺伝子診断に対する期待とと もに、それの持つ危険性といいますか、こういうことについての関心も高まっておるか と思います。 また、羊あるいは猿のクローン誕生ということで、極めて大きな関心及びヒトのク ローンというものも目前ではないかという議論、こういった中で宗教的な見地からのい わゆる嫌悪感、反発といったものもあって大きな話題となっている。例えばヒトクロー ン技術につきましても、いろいろな悩み、特に夫婦間において子どもが得られない方々 における究極の技術としてのヒトクローニングということもあり得るのではないかとい う意見もありますし、やはりヒトの尊厳という見地からヒトのクローニング、複製は絶 対に許してはならないという意見もあろうかと思います。 こういったようなことに絡んで、既に幾つかの報告が関連のところから出ておりまし て、実は、お手元のもう一組の資料、参考資料というふうにまとめさせていただいたも ののところに、ヒトクローンに関する対応がどのようであったかということを、まとめ させていただいております。参考資料の方でございますが、そこのところでは、まず、 科学技術会議、政府にあります我が国の科学技術に対する一番大元締めの会議でござい ますが、そこの政策委員会におきまして「ヒトのクローン研究に関する考え方」という ことで、「当面、そのような研究に対する政府資金の配分を差し控えることが適切」と いった形での対応は示しております。 次でございますが、その後、文部省の学術審議会、これは大学等におきます色々な研 究についての審議会でございますけれども、こちらにおきまして、やはりクローン羊の 作成事例等にかんがみてということで急遽意見を取りまとめられまして、なお書きとい たしまして、科学研究費補助金、これは文部省が大学等に対して交付しております政府 の研究支援資金でございますが、申請があった場合ヒトにかかわる課題の採択、すなわ ちヒトのクローニングといったものについては採択を当面差し控えるという反応を示し ております。 その次でございますが、科学技術会議、ここでは大きな我が国の科学技術の課題につ きまして逐次報告を出しておりますが、現在、諮問第24号といたしまして「ライフサイ エンスに関する研究開発基本計画について」ということで検討が進んでおりまして、担 当をしております科学技術会議ライフサイエンス部会で案が公表されております。この 案の中でも、そこにありますとおり、クローニング技術を用いたヒト個体の複製につい ては、社会的に容認されていない、これを実施しないこととすべきであるという形で盛 り込まれておるところでございます。 一方、海外におきましては、我が国も加盟しております世界保健機関WHOの総会、 この5月に行われましたが、そこでは、特別に「ヒト複製のためのクローニング技術に 関して」という決議が総会としてなされておりまして、まず、『「ヒト個人の複製を目 的としてクローニングを行うこと」については、「人の尊厳と道徳に反し、倫理的に受 け入れられない」』というふうに明言する一方、これの技術について非常に可能性を秘 めているといったことを文章に含めた上で、事務総長に対しまして関連国際機関や各国 政府、医学関連団体などとの協議を通じ、人の保健分野に及ぼす倫理的、科学的、社会 的影響を事務総長に対して調べるように求めております。また、加盟各国に対しても、 それへの協力を呼びかけているところでございます。 また、つい直近行われましたデンバーサミットにおきましても、とりあえず今回話題 となりました「ヒト子孫を造り出す目的で体細胞核の移植を用いることを禁止するため 適切な国内措置と緊密な国際協力が必要」、なかなか簡単にはいかないということを表 明しております。 このようにヒトクローン技術につきましては、なかなか社会的に受け入れられていな いということとともに、その技術全体につきましては、大きな期待があるということが 示されているところではないかと思います。 また、ヒトのこういったクローニングに先立ちまして、クローニング以外にもクロー ンを作成するにあたりまして、当然ヒトの細胞あるいは受精卵・胚といったものを使用 する、こういった研究についてどこまでこれが許容されるのか、あるいはどういった場 合に許容されるのか。また、更に大きくなったヒト組織、臓器、こういったものについ てどういった研究が、どういう環境でなされるべきなのかといったことについても、さ まざまな論議がございます。 また、更には、ヒトそのものではなく、最近ではいろいろな科学技術の進歩によりま して、動物にヒトの遺伝子等を組み込むことによって有用な物質をつくり出す、更に は、当該動物の組織というものを用いて高度の研究を行う。更には、そういった動物を 変改することによって臓器の移植に用いられるような臓器を供給させるといった広い範 囲の研究の可能性があるという声も聞いております。これらについても、科学的な問題 だけではなく、非常に感情的な面を含めました反発といったものも大いにある。また、 倫理面として特に商業利用について、これを厳に禁ずるべきではないかという声もある 一方、供給に当たっては当然、商業ベースでの問題もあるんじゃないかといった幅広い 論議があるかと思います。こういった中で、国として現在、遺伝子治療臨床研究につき ましては、実施する施設から個別計画ごとに意見を求めるという形で、厚生大臣が審査 をお願いしているところでございますが、こういった個別課題ごとに国が直接関与する というやり方のほかに、例えば専門の学会等にお願いをしていくとか、あるいは、それ ぞれの専門医療機関等の実践に委ねる等、緩いやり方。また、ガイドラインで設けるべ きか法規制かといったことについてもいろいろな論議があろうかと思います。 内外を見ましても、極めて厳しい法規制を引いている国、事実上、法規制がない国と いうように非常に様々であるやに聞いております。 こういったようなことを、この審議会で御審議いただく上では、専門家の方々がお集 まりいただいておりますが、十分という訳にはまいりませんので、委員以外の専門家の 方を招致して、その方の意見を聞く機会を設ける、あるいは、いわゆる専門家以外の方 からも意見を求めるという形で、現在、厚生省でもインターネットにホームページを設 け、そこへ書き込み、あるいは投書の形での御意見を受けるということを少子問題に関 して実施しております。こういったような窓口を設けさせていただく。あるいは、実態 ということで内外のいろいろな情報ということで収集いたしまして、この審議の場に提 供していくといったことを事務局として考えております。まだ、白紙ということでござ いますので、各委員の方々からの御意見を是非お願いいたしたいと思います。 ○高久部会長 どうもありがとうございました。 今、事務局の方から、この先端医療技術評価部会での議論の対象とすべき問題につい て詳しく説明があった訳でありますが、この問題について委員の皆さん方から御議論を いただきたいと思います。どなたか御意見はおありでしょうか。 ○寺田委員 議論というよりもちょっと質問で、最初の部分の10ページの遺伝子治療のことで、ち ょっと細かいことなんですけれども、一番下に書いてあります「実施計画毎」、これは 委員会の名前はどういう委員会の名前になる訳ですか。専門委員会と説明のときにおっ しゃっいましたけれども、専門委員会というのは、ここの部会の中に専門委員という方 がいらっしゃますので、それとの名前が混乱を起こすような感じがちょっといたします ので、何か適当な名前を付けていただければということです。今、仮にそれが専門委員 会ということになりますと、部会長から今まで作業部会で行っていた仕事を引き続き、 この専門委員会が作業を行うというふうに本日命令したということで解釈してよろしい んですね。 ○事務局 申し訳ございません。つい、いろいろな名前がありまして、寺田先生から御指摘のと おり事務局の誤りでございまして、専門委員会という名前を用いることは不適当でござ います。ただ、御指摘のとおり内容といたしましては従前、中央評価会議作業部会とい うことでお願いをしておりました2つの作業部会につきまして、この遺伝子治療臨床研 究の実施計画の評価に関しましては、この審議会の先端医療技術評価部会の下に設けら れる委員会ということで引き続きお願いをしたい。委員会の正式な名称につきまして は、従前、作業部会の部会長を引き受けていただいておりました寺田委員と、それか ら、この部会の部会長、高久委員に御相談しながら定めさせていただきたいと思いま す。 ○寺田委員 どうもありがとうございます。細かいことで済みません。 ○高久部会長 文部省とも名前をすり合わせないといけないでしょうから。 では、軽部委員、お出掛けになる前にどうぞ。 ○軽部委員 申し訳ありません。ちょっと出掛けなければいけないんですけれども、私はエンジニ アなものですからクローンの問題には、また別の視点から大変興味を持っております。 私の分野はセンサー技術とかあるいは人工臓器用の材料を開発するという分野でいろい ろ今まで研究をやってきましたが、特にここでありますような遺伝子診断なんかを非常 に短時間で出来るようなセンサーの開発、DNAセンサーと言っておりますが、そんな 研究を今やっております。ここで先ほど御説明いただいたようなことがいろいろな形で 関連する訳ですが、技術開発をやっている立場からいいますと、そういうものが本当に パブリック・アクセプタンスがとれるのかなということを常に心配しながらやっている 面もあります。 それから、もう一つは、例えばクローン技術みたいなものの、特に動物の臓器、動物 へのヒトの遺伝子の導入も含めて、動物の臓器を今度は人に移植するような問題、ある いは、それに係わる色々な技術的な問題に歯止めが掛かって国際競争力を日本が失うと いうことを大変心配しております。御存じのように、バイオテクノロジーの分野は、明 らかにアメリカ及びヨーロッパに負けております。そういう中で、こういう医療関係の バイオテクノロジーが更に水をあけられるということは、実は色々な意味で日本に今 後、大きな問題をもたらすのではないかなという気がいたしておりまして、そういう意 味で、世界の情勢を見ながら禁止をするのではなくて、そういうことが一部ではちゃん と出来るような、あるいはきちっと確認出来るようなことを考えながら、この厚生科学 審議会でもクローン問題とか遺伝子診断の問題、あるいは遺伝子治療という問題を技術 を考えたときに日本が世界との競争力を失わないように、是非していただきたいなとい うふうに私は考えております。どうもありがとうございました。 ○高久部会長 どうもありがとうございました。 ○柴田委員 意見に入る前に、ちょっと質問をさせていただきたいんですが、先ほどの10ページの 表で、それぞれの機関で、まず病院なりあるいは大学なりの施設内審査委員会とあるの は、いわゆる倫理委員会のことだと思うんですけれども、この倫理委員会でゴーサイン が出たものだけが上がってくるという御説明でしたよね。その場合に、そこの倫理委員 会でどういう審議がなされ、結論に至るまでにどういう検討がなされたかということ は、全部報告があると考えてよろしいのかどうか。その点をちょっと御質問します。 ○事務局 説明を簡略化したために舌足らずで申し訳ございませんでした。厚生大臣が示しまし た遺伝子治療臨床研究に関する指針でございますが、これだけ縦書きなものですから、 とじがちょっと不便で申し訳ございません。「審査委員会は」ということで書き出して おります。この審査委員会というのは、遺伝子治療臨床研究を行おうといたします施設 の中に設けなければならないというふうに規定しているものでございますが、ここでは まず、計画の科学的妥当性及び倫理性を総合的に審査をするということで、いわゆる基 礎の分野、分子生物学、細胞生物学、遺伝学といったところから、遺伝子治療臨床研究 の当該の疾患に関します臨床専門医、また、法律に関する専門家及び生命倫理に関する 意見の専門家といった方々から構成されているということ。すなわち、科学畑だけでは なく、患者さんの権利とかあるいは倫理といった問題に助言出来る、発言出来る方を交 えた審査会でということになっております。この審査会で審議された内容、結果につき ましては、厚生大臣に対して意見を求めてくるにあたって添付をされてくるということ でございます。 実は、本日御参加いただいております松田委員は、熊本大学病院長といたしまして計 画審査委員会の取りまとめ、また委員長としての厚生大臣に意見を求めるということで 御苦労された経験がおありでございます。場合によっては御助言をいただけると思いま すが、各施設内におきましてこういった専門家を集めた意見を集約した結果、これは施 設委員会としては施設長に対してゴーサインを出す。なおかつ、その施設長は厚生大臣 に対して念のため確認といいますか、意見を求めるという形になっております。 しかしながら、我が国でも北海道大学で1例、熊本大学が2例目になるという、まだ まだ経験の少ない分野でございますので、審議に際しまして時間を要しておるというの が実情でございます。 また、当然のことながら、海外で類似の例があったものを参考として我が国で実施す る場合、海外でのいろいろなデータというものにつきましても、それを要約あるいは翻 訳をいたしまして提出をいただいておるという状況でございます。 ○柴田委員 ありがとうございました。続いて、意見も言ってよろしいですか。 それでは、ちょっと早いかもしれませんが意見を。この遺伝子治療、遺伝子診断、ヒ トクローン、体外受精というような、先端医療の中でも極めて難しい、特に社会的な関 心と同時に、ある意味では自然の摂理に反するという形の反発も非常に強いような技術 の問題全般に通じることですが、ただ、だめだ、だめだ、というだけでは済まないと思 うんです。先ほど、軽部委員もおっしゃったように、いろいろな形で研究は進んでいく ことは確かで、そのときに何が必要なのかというと、まず過去に学ぶことです。日本で 先端医療での最大の失敗例は心臓移植ではないかと思います。第1例から第2例までに 30年間もブランクをつくってしまったこと、その間大変な紆余曲折があり、ジグザグな 道を歩んできて、いまだにそれが続いている。その一番の原因は、これは私の独断です けれども、そもそもが「密室でなされた」ということだと思うんです。それから、第2 点は、そのことについて、日本の医学界はきちんと総括をしなかったということ、それ が今日まで混乱状況に至った最大の原因だと私は考えています。 ですから、それを考えますと、この種の先端医療、特にヒトの尊厳にかかわるような テーマの先端医療が社会の中に受け入れられていくために必要なことは、まず、密室で なされてはならないということです。いわゆる公開というんでしょうか、あるいは倫理 委員会での検討でもいいでしょう。公開という言葉は、非常に広いのでいろいろな方法 がありますけれども、客観的な第三者のいる委員会で検討されることは一つの公開だと 思います。そういう公開が絶対必要だということと、もしそれを破って行われた場合に は、やはりその是非をきちんと総括し、だめなことはだめとはっきり言わないといけな いんだと思います。恐らく、公開については、各施設の倫理委員会があり、更に厚生省 や文部省の専門委員会、作業部会が検討するということで、かなり確保されてきたと思 いますけれども、そういう手続きを飛ばしてとか、あるいは不十分なまま密室で行った ような場合には厳しい評価と言いましょうか、そういう総括をきちっとして社会的制裁 を与えるということが大切なんじゃないかと私は考えています。一つ一つのテーマは私 自身も専門家ではありませんし、気が遠くなるほど難しい内容だと思うんですけれど も、そういう公開の方式というかシステムをきちっと作っていくことが、まず一番大事 なことじゃないかと思います。 それから、もう1点、その中で私は各大学、各病院に置かれている倫理委員会の役割 というのが非常に重要だと思うので、この倫理委員会についての指導、というとちょっ とおこがましいのかもしれませんけれども、倫理委員会がしっかりした委員会であるよ うに、そしてしっかりした審議がなされるように、また、そこで検討された情報が相互 に伝わる、言わばネットワークとして日本全体に機能するような組織化が進められるよ うに指導していくことも大事なテーマかなと私は考えております。 ちょっと長く述べ過ぎて済みません。 ○高久部会長 大学の倫理委員会につきましては、大学倫理委員会の会がありまして、年1回会合を 開いて講演を聞いたり、ディスカッションをしたりしております。会長も決まっており ます。ただし、それは大学の普通の倫理委員会でして、遺伝子治療に関しましては先ほ ど事務局の方から説明がありましたように、大学の倫理委員会で審査をしてもいいけれ ども、その場合に先ほど事務局で言いましたような人的構成になっている倫理委員会な らば、そのままそこでやって良い。もし、そういう構成になっていないならば、そうい う人を付け加える新たな委員会をつくって、そこで検討をしてくれというふうに決まっ ております。しかし、おっしゃるように、心臓移植の場合に密室性ということと同時 に、医療人がプロフェッショナルな立場でそれに対して批判をしなかった。日本はなか なか第3者への批判というのがやりにくい社会でありますけれども、私も医療界にいる 者として、あの場合にきちんと専門の立場で批判をすべきであったというふうに思って おります。おっしゃるとおりだと思います。 ほかにどなたか御意見おありでしょうか。 ○松田委員 熊本大学の松田ですが先ほどの厚生省の方から説明がございましたけれども、もう少 し付け加えさせていただきますと、遺伝子治療に関しましては、特別に遺伝子治療だけ の倫理部門の審査委員会をつくりまして、それにつきましては、文学部からの哲学の教 授、法学部から法哲学の教授、それから、作家の方に一緒に入っていただきまして、そ れ以外は基礎系、遺伝子部門の基礎の方、臨床の方、一応これは薬として将来使われる ということで薬理、遺伝子薬理の専門家、そういった方たちに入っていただいてそこで 審査をいたしました。まず最初に、科学的にサイエンティフィックに本当にどうかとい う問題、その次には倫理的な問題、そういう問題を十分に詰めて合計7回ぐらいやった と思いますが、それぐらいを月に1回もしくは数か月に1回の割合で資料が入り次第デ ィスカッションするというふうにいたしまして、それを厚生省、文部省の方に提出いた しました。 それ以外にも大学には倫理委員会がありますし、その倫理委員会の下に私たちの先端 医療技術だけの、ちょっと先端医療技術までいきませんけれども、患者さんを中心にし て行うような、そういうリサーチといったもの、患者さんのサンプルを使ってリサーチ をするということに関してはまた別なところがありまして、そこでディスカッションを して、それは月に1回行われています。そこで認可されたものしか行われない。更に、 そこでもって認可出来ないというような大きな問題に関しては、倫理委員会に上げると いうふうにしておりまして、2つの段階を経て大学での色々なことが行われている。例 えば、新しい治療をしようとするときには、そこにかかりますし、患者さんのサンプル を使って検査をしよう、リサーチをしようというときには、そこにかかる、そういうシ ステムで行われています。 ○高久部会長 どうもありがとうございました。対象とすべき分野についてということで、先ほど事 務局から説明がありましたように、6つの分野を挙げております。いずれも重要な分野 でありますが、差しあたってどの問題を議論すべきかということについて、各委員の 方々から御意見をお伺いしたいと思います。それでは、順番に山崎委員いかがでしょう か。 ○山崎委員 遺伝子治療、遺伝子診断はいずれも必要ですが、私たちの感染症の分野で考えるなら ば、5番目の「ヒト組織・細胞を用いた研究」、これは現在スキード・ヒューマウスが 一般には使われておりますが、これのヒト臓器・組織をいかにして入手するかという点 で、産婦人科医との共同研究とか作業において、一般的なガイドラインが示されていな いので個別にやっている訳です。ですから、患者からのインフォームド・コンセントを どういう形で受けるべきかというような、その基本的な考え方にスタンダードがないも のですから、これは非常に緊急に部会でもって検討していただきたいことの一つだと思 います。 ○高久部会長 今、産婦人科医とおっしゃったのは、胎児も含めている訳ですね。 ○山崎委員 胎児の組織を使うものですから、アボーションの。その取得がみんな個人レベルの関 係で現在はやっております。しかし、これは世界的にも問題にされておりまして、やは り国として何らかのガイドが示されるべきではないかと考えます。 それから、ここには書いていないことでもよろしゅうございますか。例えば、エイズ ワクチンの開発、これは普通のワクチンと違いまして、いろいろな社会的な問題が絡ん でくる可能性がございます。こういうものの臨床試験をやるときに、一般の方々のコン センサスというものがもし得られるならば、エイズワクチンの臨床試験の開発研究に非 常に役立つというふうに思われます。今とりあえず考えつくのは、その辺のところで す。 ○高久部会長 どうもありがとうございました。それでは、森岡委員お願いします。 ○森岡委員 やはり、今、一番社会的に関心が深いのは遺伝子に関する問題だろうと思うんです が、特に、遺伝子治療は大分いろいろ議論されてますけれども、まだ何か分からないと ころがある。 それから、2番目に遺伝子診断の問題があります。まだどういうふうに日本で扱うか ということがはっきりしていないところです。その辺が非常に大きな問題だと思いま す。 ○高久部会長 松田委員いかがですか。 ○松田委員 皆さんの意見と余り変わらないと思いますけれども、現実問題としては遺伝子診断、 遺伝子治療の問題は勿論大事なんですけれども、遺伝子治療に関しましては、厚生省、 文部省が出されている指針がありまして、私たち実際に指針に従ってディスカッション していきましたけれども、それで余り大きな問題があるとは思えなかったと思います。 非常に内容としては充実していますので、そのステップを1つ1つ踏んでいくことによ って、私たちは申請書まで持っていけたと思っていますけれども、遺伝子診断に関しま しては、かなり大きな問題があって、我々、人類遺伝学会としてもガイドラインを数年 前につくりまして、今年英語版を人類遺伝学会の雑誌に載せる訳ですが、それには各幾 つかの関連した学会との折衝を持ちまして、ある程度の学会で認めていただいたという ことで、それをベースにして、今私達はどういうことを考えているかということを一応 の基本線を出しました。 大きな問題点は、先ほど柴田委員がおっしゃいましたように、実はガイドラインとい うものをつくった場合に、それをどのようにみんなが守ってくれるのかという問題で す。それは守らなかったときに別に罰則はありませんので、その辺をどのように対応し たらいいのかという問題が1つ残っています。 先ほど申しましたように、ガイトラインでいくのか、それとも法的な規制をするかの というかなり大きな問題がありまして、その辺のところも一回含めてディスカッション いただいたらいいのではないかというふうに思います。 ○高久部会長 遺伝子診断の場合に、ガイドラインで一番問題になった点はどこですか。 ○松田委員 遺伝子診断で一番問題になった点は、実際に、その前に私たちは「遺伝相談と出生遺 伝子診断のガイドライン」を作り、それを出しまして、その後、「遺伝子診断のガイド ライン」を作りました。基本的には出生遺伝子診断とか遺伝相談について色々意見を集 めたのですが、遺伝子の問題だというと個人の情報としてかなりのものがそこに入って いますので、それをどうやってプロテクションするかという問題がありましたし、それ から、もう一つ大きな問題は、多分これは寺田委員の方なのかもしれませんけれども、 それをつくるときに一応がん遺伝子も頭にあった訳です。家族性のがん遺伝子のことが 一応ありまして、その問題を見つけたとしても、それをどのように患者さんに対応する のか、患者さんに開示するのか。まだ実際は分かっていない訳ですが。そういうふうに 未知の問題が、まだ、かなり残されているということです。その問題をどう対応してい くかというのが、かなり大きな問題だと考えました。 ○高久部会長 どうもありがとうございました。それでは、廣井委員。 ○廣井委員 私は産婦人科の立場から申し上げますと、先ほど柴田委員がおっしゃいましたよう に、大学の倫理委員会で色々なことを決めると同時に、我々学会の倫理委員会で色々な ことを決めている訳です。例えば、先ほどの出生前診断で受精卵の胚生検を用いるとい うような問題についても、学会でもかなり議論しております。ところが、この委員会の 議論と学会の結論が異なると、非常に大きな問題になるので、私は遺伝子診断のうち、 特に出生前の胚生検による診断については出来るだけ早く論議していただきたいなとい う気がいたします。 それから直接、ここに挙がっていないんですけれども、私どもの関係する問題とし て、非配偶者間人工受精、他人の精子を用いるということに対して、もう既にそれを商 売としてインターネット上に出て、結婚していない女性から相当申し出があるというよ うな話があるので、そろそろ議論しておいていただきたいなと個人的には思っておりま す。 以上でございます。 ○高久部会長 どうもありがとうございました。それでは、加藤委員お願いします。 ○加藤委員 ヒトクローン技術について、ヒトクローンを個体としての出生を目的としたヒトク ローンの研究というのと、それから、もっと基礎レベル、細胞レベルでのクローン技術 が部分的に重なってくるような研究というのを、どういうふうにきちんと表現上分ける かという問題があるんじゃないかと思うんです。規制の方法にもよりますけれども、大 体こういう問題ですとヒトクローン、ヒトクローンと一般的に言っているということ自 体が色々な誤解の種になるので、その辺、もし規制の対象となるような研究領域がある とすれば、それはもうちょっとしっかりと特定する必要があるんじゃないかと思いま す。ヒトクローンの場合に、多分ヒトクローンの出生を目的とした研究のプロジェクト を出している研究機関というのはないんじゃないかと思うんですけれども、遺伝子診断 ですと遺伝子診断だけではなくて、もうちょっと広い意味での出生前診断の問題となる と、これは極めて焦眉の急と言ってもいいほど基準が問題になっている領域で、しか も、遺伝子治療が今、実際に治療は出来ないけれども、診断は出来るという領域が広が るという形で遺伝子関係の治療技術が開発されていくと、診断は出来るけれども治療は 出来ないので、結局、出生前診断によって人工妊娠中絶で処理するというケースがどん どん拡張していくという経過の中で医療開発が進んでいくだろうと思うんです。その中 で、出生前診断についての適切な基準がないということは、ある意味で非常に恣意的で 商業的な出生前診断の利用の可能性というものも絡んできますと、この領域で妥当な線 をなるべく早く出すということが適切な研究開発にとって、どうしても不可欠ではない かと思います。 ○高久部会長 おっしゃるように、ヒトのクローニングはその内容の幅が非常に広くて、人によって 考え方が色々違うので、もう少し正確な表現をした方がいいと思います。個体の人間を 造ることを目的としたヒトのクローニングには皆強く否定しています。しかし例えば、 無精子症の夫を持った奥さんから、どうしても自分の主人の遺伝子を持った子どもを産 みたいという強い要望が出たときに、100 %ノーと言えるのかという様な問題は将来起 こってくる可能性がある。今のところまだ効率が非常に悪いのですが、動物で高い確率 で可能になったときに、この問題も考えなければならないのではないかと思っていま す。 それでは、入村委員よろしくお願いします。 ○入村委員 私は、薬学という立場からコントリビューションということなんですが、薬学という エリアも今、非常に日本の薬学というものの国際性とか、これは製薬会社ということも ありますし学問という意味でもあります、そういう言葉がいろいろ問われているときで もありまして、どの程度そういう非常に揺れているところをリプレゼント出来るかどう かというのはよく分からないんですが、私の個人的なバックグラウンド何かも含めまし て、まだ、この中ではきっと最年少ではないかと思うんですが、若造ですので色々勉強 させていただいて、コントリビューションが出来るところはコントリビューションして いきたいと思っています。 1つは、私は実は、遺伝子治療に関しましては中薬審の遺伝子治療の中央医薬品の調 査会というところにも席を備えさせていただいているんです。そういうことで、あちら ではこの前もいろいろ話題になったことですが、安全性というところを審議している訳 でございますけれども、こちらの審議会の方では大所高所に立って安全性と有効性とい うのは切っても切れないところにございますので、その辺も含めてどういうときに何を 問題にして向こうで審議したらいいのかということを違う立場から色々御審議願えれば と思っています。 それと、私は基礎の研究者として、実は海外で活動してきた経験が結構あるんです が、先ほど軽部委員が日本の競争力ということを話題になさいましたが、特にこういう 倫理とかそういうことが話題になるときに、日本の特殊性ということがよく言われたり するんですが、私は、これからはそう言っている一方で、向こうでは違うカルチュラ ル・バックグラウンドを持った人の意見というか倫理というものが非常に大事であると いうふうなことがしばしば話題になる訳です。ですから、こういうところでもって、日 本の特殊性というよりはグローバルなスタンダードになるような新しいものをつくって いくという、これは非常に長い目で見ないといけないのかもしれませんが、そういうぐ らいの重いものを背負っている、世界のスタンダードをつくるんだというぐらいのつも りでいた方がいいのではないかというふうに思います。 もう一つ、私の専門というのは、実はがんの生物学であるとか免疫学とか生化学であ るというところでございまして、遺伝子診断のがん遺伝子ということも私のやっている ことの範囲内に入っている訳ですが、遺伝子診断というときに、例えば、がん遺伝子、 これは寺田委員の前であれなんですが、ある遺伝子があると必ずまずいことになるとい う訳ではない。ところが、しばしばそういうインフォメーションというのは独り歩きを 始めてしまうことがあります。そういうパブリックに本当の正しいインフォメーション をどうやって流していくかというのは非常に難しい問題でもありますけれども、こうい う委員会の果たされていることの1つでもあると思いまして、その辺も大変大事な問題 になるのではないかと思います。 以上でございます。 ○高久部会長 どうもありがとうございました。それでは、寺田委員よろしくお願いします。 ○寺田委員 この中でというよりも、今一番早急にやらなければいけないと思うのは、遺伝子診断 のことです。ガイドラインというかどういう形にするかは別にしましても、ある程度、 専門家だけではなくて色々な方のコンセンサスを得る形でやる必要があります。ご存じ のようにヒトゲノムのプロジェクトはどんどん進んでおりますし、今のところは6,000 から7,000 あると分かっている遺伝病の内、70ぐらい分かっているんですか、これはど んどん増えていくと思います。だから、否応なしに出生前遺伝子診断ということにも対 応しなくてはいけないということが起こると思います。 それから、もう一つは、普通のがんのように1つの遺伝子で決まらないような複数の 遺伝的な要因で決まるようなもので、しかし、これは出生前ではなくて出生後といいま すか、あなたはこれぐらいこの病気になる可能性があるという、いわゆる予測医学的な 面が随分これから出てくると思います。それに対して、商業的に使われないようにどう するか。使われないと言ったらおかしいですけれども、悪用されないような社会をつく る。 それから、遺伝子というのは、先ほども皆さんおっしゃってますように、非常に情報 量が多いということと、その情報が個人1人のものではなくて、親族、先祖、子どもす べてに及ぶので、これをどういうふうなところで国民の皆さんが納得した形でやってい くかということが大事だというふうに考えています。 それから、もう一つ、遺伝子診断ばかり申し上げて恐縮なんですけれども、ヒトゲノ ムの学問的あるいはアカデミックな興味からで進んでいっています。一方、今、軽部委 員がここにいらっしゃらないんですが、アメリカではマイクロチップで機械化して、非 常に迅速で効率よくこれから遺伝子診断をやっていくということになりますと、遺伝子 診断の一般医療における重要性の増加もこれから5年後には避けて通れない。それか ら、そういう機械を使わなくても研究室レベルで手工業的に、例えば臨床の普通の病院 で遺伝子診断が出来る状態に既になっています。遺伝子治療とちょっと違った、かえっ て私の感じとしましては遺伝子治療よりもかえって浸襲の大きいものであります。出来 るだけ早く、人類遺伝学会なんかでもガイドラインをつくっておりますから、そういう ことも参考にして国全体として作ることが必要と考えます。当然どこでつくったらいい のかというのが、また議論の1つの対象になろうかと思いますけれども、早く作ること が必要だと思います。また、胎児の組織とか、受精卵の問題、これはまた別途に生殖技 術ということの中に一つ総括された中で色々議論していくのが大事かと思います。当面 は遺伝子診断についてガイドラインを作ることが必要と考えます。 ○柴田委員 先ほど全体的な意見を申し上げたんですが、ちょっと付言すると、恐らくここに挙が っている例は、どれも難しくて大変なテーマだと思うんですけれども、ここに挙がって いないものでも、先ほどから出ているように人間の出生に関する技術といいましょう か、医療といいましょうか、そういう部分に際どい部分が多いんだと思うんです。体外 受精、人工受精、先ほど廣井委員から出ました非配偶者間の人工受精の問題などは、十 分な社会的論議がなされないうちに社会に入ってしまったケースですね。それだけに、 そういうものをもう一回考え直して、議論し直すということも大切だと思うんです。こ ういう医療を一言で、これは私達の命名なんですけれども、「際どい医療」という言葉 で括ったことがあります。いわゆる先端技術を利用して人間の尊厳にかかわるような医 学を「際どい医療」ないしは「際どい医学研究」と命名すればここで問題になるような テーマは多分、この中に全部入ってくるのではないかという気がするんです。 こういう問題は、いわゆる医療、それとも、もう少し商業利用的なものなのか、更に はもっと際どい「人間改造」的な利用というようなものなのか、どうも明確な一線は引 けないんだろうと思います。だから、大変なんだろうと思うんですが…。ですから、こ こで大事なことの第一は手続き面のルールをつくること。そのルールが守られれば密室 性が排除され社会的な目がそこに注がれること、特に第3者の目が注がれるようにする ことです。第二に、そういう手続きを守らず抜け駆け的な問題が起こった場合には、そ の対応をどうするかというのを、それもまた1つのルールとして作り上げておくことで はないか。そして、このルール作りは、私は法律ではない方がよいのじゃないかと思う んです。心臓移植の問題では新しい法律の制定になりましたけれども、この場合は、法 律ではなくて、むしろ学術研究として当事者を含めた1つのガイドラインとし、このガ イドラインを守らなかったときどうするかという形で論議をしていく方がいいように思 います。恐らく法律となると、また別の問題が出てくると思うんです。先ほども触れま したけれども、心臓移植の場合、その後の経過がおかしくなってしまった原因の一つは 司法が介入して、司法が最終的に不起訴という判断を下したことと無関係ではありませ ん。「非常に問題はあるけれども不起訴」という司法の判断が、その後の社会全体の判 断を誤らせてしまったんだと私は思いますし、こういう問題は法律にはなじまないんじ ゃないかと私は思っています。 ○高久部会長 どうもありがとうございました。委員の皆さん方の御意見をいろいろお伺いいたしま すと、遺伝子診断それから、ヒトの受精卵・胚を用いた研究、ヒトの組織・細胞を用い た研究、これは特に胎児ということでありますので、主な焦点は遺伝子診断とヒトの受 精卵・胚を用いた研究の倫理即ち生殖倫理という問題が重要ではないかと思います。遺 伝子に関係する倫理的な問題と、クローニングを含めた生殖に関する倫理の2つの問題 が従来から生命倫理の大きな柱になっていた訳であります。この両者が又お互いに非常 に密接に関係していることは皆さん御存じのとおりでして、特に、遺伝子診断が胎児の 時代あるいは受精卵の時代に出来るようになったということが、生命倫理の問題を非常 に大きくしてきている。この2つ問題は密接に関係をしていると思います。 先程加藤委員がおっしゃったのですが、アメリカでは遺伝子診断の対象として先天性 疾患は余り問題になっていない。アメリカの場合には先天性疾患を早く診断して、人工 流産してもらう。遺伝子治療の対象はがんとかエイズの様な疾患の多い疾患になってい る。その点なども日本とは考え方が違うといえます。先程から、人類遺伝学会や産婦人 科学会の方で色々努力されてガイドラインをつくられているということですが色々なガ イドラインを学会としてつくられるのはいいと思うのですが、先端医療技術の様に社会 的な影響がある問題について、学会だけで決めてしまうと、世の中の人が必ずしも受け 入れてくれないことがあります。せっかくこの先端医療技術評価部会が出来ましたの で、この部会で色々な分野の方の御意見を聞いて、まとめていくのがいいのではないか と思っております。 しかし、口で言うのは簡単ですが、例えば生殖倫理に関しても、廣井委員が重々御存 じだと思いますが、色々な御意見が出てきます。それをこの部会で全部受け止めなけれ ばならない。今まで産婦人科学会が苦労してこられたことが、今度は厚生省の方が苦労 をするようになるのではないかという気がして、気が重い。しかし、どこかできっちり しておきませんと、現場のお医者さんは困られるでしょう。私としては生殖倫理といい ますか、生殖の医療に関する色々な倫理的な問題に、まず取り組んではと思います。確 かアメリカで、最近、上院にNIHのバーマス所長が呼ばれて体外受精卵の遺伝子診断 をNIHの研究者が95年から96年にやった事について喚問されたというのが、ごく最近 の『サイエンス』に載っておりました。日本でも鹿児島大学で計画した事がある。遺伝 子診断とも関係がありますので受精卵あるいは胎児の組織に関係した生殖倫理の問題に ついて、色々皆さん方の御意見を伺っていきたいと考えておりますが、いかがなもので しょうか。もし御異論がなければ、そういうことでこの問題について少し議論をしたい と思います。 それから、先ほど、柴田委員から御意見がありましたガイドラインでやるのか法律で するのかという問題。この問題については私は素人で余りよく知りませんが、アメリカ はほとんどガイドラインで、一方ヨーロッパは法律、特にフランスなどは法律で色々決 めているというふうに聞いておりますが、その問題などについても詳しい方がいらっし ゃいますので、この委員会で御意見をお伺いして議論をしたいと思っております。よろ しくお願いいたします。 なお、先ほど加藤委員の方からクローンのことについてお話がありましたが、クロー ン研究につきましては、先ほど事務局から説明がありましたように、科学技術政策委員 会から基本的な方針が決まるまで、当面、研究に対する政府資金の配分を差し控えるこ とが適切であるという見解が出されておりますし、学術審議会も同様の立場をとってお ります。当部会としても、この科学技術会議と学術審議会との見解と整合性のとれた見 解を示すこととしてはどうかと考えております。確か、アメリカの場合に、3か月間か けて議論する、それまでは政府の研究費は出さないということを決め、その後ヒトの個 体をつくるクローニングは禁止するというふうになったのですね……。 ○加藤委員 5年間禁止だったと思いますよ。 ○高久部会長 5年間ですか。 ○加藤委員 多分、その問題は相当アメリカとヨーロッパで違ったガイドラインが出来る方向にな るんじゃないかと思います。 ○高久部会長 そうですか。分かりました。アメリカの情報しか入っておりませんが、外国もそうい うことですので、一応、事務局の方で案をつくりましたので、それについて事務局の方 から説明していただけますか。 ○事務局 今、部会長の方から御指示ありましたものにつきまして、お手元に今届けさせていた だいております。極めて簡単なものでございまして、今、部会長から御説明ありました とおり、内外のいろいろな声明とか決定等の骨子はこんなところではなかろうかという ものを事務局の方で部会長と御相談しながら作成しました。読み上げさせていただきた いと思います。 「ヒトクローン研究について(案) 1 個人の複製を目的としたヒトのクローン作成 については、社会的に到底受容されるものではないことから、当面、その研究は行うべ きではない。2 しかしながら、クローン技術自体は、長期的に人の健康と福祉を脅か す様々な課題の克服に直接又は間接に貢献し得る技術として期待されている。3 従っ て、動物や細胞レベルでの研究については、引き続き慎重に推進すべきである。4 な お、クローン技術に係る研究を進めるにあたっては、社会的な受容に配慮し、情報公開 に努めることが必要である。」 一応、このようなものを用意させていただいております。 ○高久部会長 極めて簡単な4項目ですが、これについて何か排除すべき、あるいは追加すべき点が ありましたら、どうぞ御意見をお伺いしたいと思います。 ○山崎委員 これは、テーマはヒトクローンとなっておりますから、当然この1、2、3、4はヒ トクローン研究にかかわるものという前提で考えるという意味では問題ないのかもしれ ませんが、3番の「動物や細胞レベルでの研究については、引き続き慎重に推進すべき である。」、これはヒトクローン研究に関する動物や細胞レベルの研究というふうに考 えてよろしいのでございますか。余り今日は議論されませんでしたが、さっき事務局で 紹介された文部省の学術審議会で、今、議論しておりますいわゆる遺伝子操作技術の進 展に伴う倫理問題という中で、いわゆるノンヒューマン・プライメート、霊長類を対象 とした研究のことが恐らく議論されているんだと、私は内容は知りませんが。医学の研 究の面では、今後ますます猿の利用というのは非常に需要が上がってくると思うんです けれども、猿の個体差が非常に大きいために研究の進展が阻まれる。これを効率化して より正確な情報を得るためには、クローンの猿というのは非常に有用だと私は思うんで すが、霊長類といってもノンヒューマンであるからここでは問題にしないのか、あるい はそういう問題もこの委員会で議論すべきなのか、その辺がちょっと。ヒトクローン研 究についてということと絡んで疑問に思うのですが、いかがでしょうか。 ○高久部会長 私も学術審議会のライフサイエンス部会に出ていました。座長でなかったものですか ら少しぼんやりしていましたが、たしか猿のことが問題になっていました。どの程度進 めていくのかということが議論にはなりましたけれども、たしか結論は出ませんでした ね。 ○山崎委員 私が質問したいのは、3番目の解釈です。これはヒトクローン研究を目的とした動物 細胞レベルについては引き続き慎重に推進する。しかし、ヒトクローンを対象としない 今のような医学の研究目的とした猿なんかのレベルでの研究については、どんどんおや りなさいというふうに読んでもいいのか、それも絡めてこれは解釈すべきかというとこ ろなんですけれども。 ○高久部会長 これは「引き続き慎重に推進すべきである」と書いてありますから、どうでしょう か。どんどんというよりも、一応やることはやるけれどもということで……。 ○加藤委員 この文面そのものが、今、山崎委員のおっしゃったようにヒトクローンという中での 話なんですか、3項目というのは。それとも、色々な審議会の報告では、特に畜産部門 でのクローンは禁止出来ないという条項がありますから、例えば動物というのは、そし て畜産部門のことを考えて言っているんじゃないんですか。 ○高久部会長 畜産よりはマウスなどの実験動物を主に考えておりました。猿などが一番問題になる と思います。あるいは、犬も問題になると思いますが、畜産のことではないと思いま す。山崎委員がおっしゃったように、例えばエイズにかかりやすい猿がたまたま出来た ときに、それをクローン化して研究を進めるということは当然考えられる訳です。それ は、ある程度やむを得ないですかね。 ○山崎委員 よく、猿はほかの動物と違うと言われるんですけれども。それは私はいつも引っ掛か る訳です。日本は余りうるさく言われる方は少ないですけれども、外国では……。 ○加藤委員 この1番の項目で「個人の複製を目的としたヒトクローン作成については、社会的に 到底受容されるものではない」ということについては、先ほど高久先生が場合によって は受容されるかもしれないという説を既に述べておられる訳ですけれども、クローンが 人間の尊厳に反するという理由を考えていったときに、1つは人格という概念に対して 侵害しているという理由が成り立つ可能性がある訳です。そのときに、高等動物である チンパンジーなどの場合には、人間の人格と同じ人格概念が成立するという判断を出し ている人が相当たくさんいる訳です。したがって、特にチンパンジーのように人格的な 意識が非常に強い動物について、それを実験動物に利用するということ自体に反対する 学者が相当強くいる訳で、日本の場合には猿を実験に使うことについての異論というの が余りないんですけれども、この問題は1番の問題と3番の問題が内容的にいうと絡ん だことになってくると思います。 ○高久部会長 そうですね。「当面」という言葉を入れたのは、先ほど申し上げたように今のクロー ニングの技術の効率が非常によくなったときに、無精子症男性の細胞からのクローニン グを全く認めないのかという問題が出てくる可能性があるのかと思って「当面」という 言葉を入れたのですが、それは社会的、倫理的に全く許されない行為になりますかね。 ○加藤委員 クローンが社会的に受容されないということは確かなんですけれども、人格権の侵害 になるというのは理論的に成り立つかどうか非常に疑問だと思います。生物学的に言っ て、クローンというのは一卵性の双生児と同じであるとすると、もしクローンを生んで はいけないのだとすると、一卵性双生児は生んではいけないということにもなり得る訳 で、クローンの出生それ自体が、だれかの人格の侵害になるというのは恐らく成り立た ないのではないかと思います。ただ、多くの人々が受け入れていないという事実がある ことは確かなので、しかも、もう一つの面では、クローンの出生については人間として のほかの動物とは違う安全性の問題が絡んでくるので、そこでこの問題については極度 の慎重さが必要だということは確かなんですが、普通考えられているような意味でのい わゆる他者の人格に対する侵害がクローンで成立するという判断は、相当厳しい吟味に 掛けると疑問が出てくる余地があると思います。 ○高久部会長 そうですね。クローンの技術が出来たときに、第2のヒットラーやフセインが造られ るのではないかという事がマスメディアに載りました。ヒットラーは過去の人ですが、 フセインが自分の複製を造りたがるのではないかということや、臓器移植を目的として クローン人間を造るのではないかとかいわれました。しかし、そういうことはほとんど あり得ないと思います。それから、クローン人間は一卵性双生児と全く同じかという と、この場合ミトコンドリアDNAが違いますので、100 %クローンではないんです ね。ミトコンドリアDNAは母親の方から来ていて、父親のDNAが核に入っていても ミトコンドリアDNAも色々な影響を与えます。勿論、生後の社会的な影響はまた別で す。何となく個人の複製を許すと移植に使ったり、独裁者が自分の複製をつくるという ような現実にはあり得ないようなことがいわれる。そこで社会的に受容されないという 表現が一般的かなと思っただけでして、非常に精密に言いますと、加藤委員のおっしゃ るのが正しいかと思います。私が気にしているのは3の中で山崎委員がおっしゃったよ うに、特にチンパンジーなどについても推進すべきであるかどうかということです。動 物を実験動物という形にすると、チンパンジーは実験動物としてはいけないという意見 があるならば、それはやめましょうというずるい考え方ですが、加藤委員、チンパン ジーは大分実際に使われていますね。 ○加藤委員 例えば、ベクターの安全性のチェックのときに問題になりましたけれども、アメリカ ではベクターの安全性についてチンパンジーによるチェックを要求しているのに、日本 ではチンパンジーの安全性チェックに使われている個体数がアメリカと比べて圧倒的に 少なくて、恐らくベクターがどんどん利用されるようになったときに、日本が自前でベ クターの安全性のチェックをするに必要なチンパンジーの個体数が不足しているという 指摘を受けたことがあります。 ○高久部会長 今アメリカでは、ほとんどチンパンジーを使っていないと思いますよ。ちょっと違う と思いました。 もし、御異論がなければ「実験動物」という形で、森岡委員、何か御意見あります か。 ○森岡委員 この文章には「社会的に到底受容されるものではない」とまず書かれていて、「当 面、研究は行わない」というのは論理的におかしいという気がするんです。社会的に容 認されていないということから、当面、その研究は行うべきではないというなら、まだ いいと思うんですが。それと、もう1点、細かい点ですけれども、「人の健康と福祉」 という「福祉」という言葉が気になります。「健康」と「福祉」と並べると何か「福 祉」という言葉が気になるんです。要らないような気もするんですけれども。 ○高久部会長 「健康」でいいかもしれないですね。 ○森岡委員 こういうふうに並べると「福祉」というのは、社会福祉とかそういう感じになる。 ○高久部会長 病気の治療は健康の中に入るのですか。健康の維持に……。 ○森岡委員 健康というのは、広い意味で言うと、精神的なものも全部入ってしまいますね。 ○高久部会長 病気の治療は入るのですね。健康で良いのですね。 ○森岡委員 そうなんですけれどもね。一般的には「福祉」というと、何となく経済的に困ってい る人とかの対象のような感じがしますね。 ○高久部会長 それから、もう一つ「社会的、倫理的」といわれなくて良いのですかね。まあ「社会 的」にしましょう。今、森岡委員のおっしゃったように「到底受容されるものでない」 と言って、しかも「当面」というのは矛盾していますから、やはり「社会的に受容され ていない。したがって、当面、その研究は行うべきではない」というふうにした方がい いと思います。 ○入村委員 ちょっとよろしいですか。クローン研究という言葉そもそもの問題で、ちょっとこう いうふうに使われるときというのは、学問的なときと違うような気がするんですが、3 番で「細胞レベルの研究」ということが出てくるんですが、ヒトクローン研究というよ うなコンテクスでクローン研究というのが使われるときは、必ず個体の問題だと私は思 っていたんです。 ○高久部会長 そうでもないと思いますよ。バイオのときに使いますね。 ○入村委員 ただ、細胞のクローンというような話は、もう非常に一般的な問題でございまして、 慎重も何もない訳です。幾らでもどこでもやっていることですから。ですから、これは ちょっと違うのではないかという気がするんです。ですから、ここで多分問題にしてい るのは、個体のクローンをつくるための細胞レベルの研究という問題だと思うんです、 3番の「細胞レベルの研究」というのは、恐らく。 ○高久部会長 もともとのヒトクローン研究の場合の一番の特徴は、核をエヌクレーションして別な 核を入れて同一の細胞をつくっていくという技術ですね。 ○入村委員 ですから、結局それは個体のクローニングを目的とした細胞レベルの研究なんです よ。 ○高久部会長 例えば、試験管の中で特定の細胞を、この技術を使って増やすということは出来るの ではないかと思うのですが、皮膚の細胞とか。 ○入村委員 それは、一般的なこういう倫理を話題にするときのクローン研究というものの外側に あるのではないかというのが、私の意見なんです。それは、一向にやって構わないこと なのではないんですか、そんなことはないんですか。 ○高久部会長 どうでしょうかね。「慎重」ではなくて「引き続き」という方でいいのかもしれませ んが、ちょっと違うのではないかと思ったのです。 ○入村委員 つまり、個体のクローニングという問題と細胞レベルというのは大分違うという気が 私はするんです。 ○山崎委員 ちょっとよろしゅうございますか。私も、それはちょっと疑問には思ったんですが、 細胞レベルというのは恐らく先生のおっしゃっているような意味ではなくて、ドーリー さんの問題ではないですか。単細胞をターゲットにして、そこから個体をつくるとい う。 ○入村委員 そうなんです。だから、個体をつくることを目的とした細胞レベルの研究というの を、ここでは実際には言っているんですけれども、ただ、それと細胞レベルのクローニ ングということとは、ちょっと意味が違うのではないでしょうかということです。 ○山崎委員 では、「動物や細胞を対象とした個体発生の研究」とか、そういうような表現ならい いんですかね。 ○入村委員 どういうふうに言ったらいいのか分からないんですが、「細胞レベル」というのはと ってしまってもいいんじゃないかということなんです。 ○高久部会長 そうすると、人間の細胞は全然いじれなくなるかなと思って気になっているんです が。将来、個体の発生を目的としなくても、羊のあの研究が乳腺の成熟した細胞が分裂 して個体が出来ていくということが、細胞分化の問題として非常に問題になりました ね。そうすると、人間の卵子をとってきてドーリーでやったと同じことをして、試験管 のレベルで本当に細胞が分化し得るのかという様な研究はする必要があるのではないで すかね。 ○入村委員 ですから、それは非常にやった方がいいというか、大事な研究な訳です。ですから、 それをクローン研究というカテゴリーに入れてしまって、それを規制するというのは適 当ではないのではないかというのが私の意見なんです。つまり、クローンというのは個 体をつくる研究であるというふうに、一般的な今言われているクローンというのはそう いうふうに語られていると思うんですよ。だけれども、実際にはセルテラピーとかそう いうことを目的に細胞を使うために、ある細胞を増殖させるという研究は、ちょっと一 般的な感じでいうクローン研究ではないような気がするんです。 ○高久部会長 分かりました。おっしゃるとおりだと思います。確かに、そこまで書くとかえって阻 害することになりますね。分かりました。 先ほどからいろいろ御意見を伺いましたので、皆さん方の御意見を参考にして、ま た、次回のときに、もう一回、御議論をお願いしたいと思いますので、よろしくお願い します。 ○柴田委員 それでよろしいんですけれども、4の話は議論していないので、4については私は 「公開に努める」というのでは弱過ぎると思うんです。ここは、むしろ「情報はすべて 公開されることが必要である」というぐらいに強い言葉にしていただきたいと思いま す。これは、直すときの参考にお願いしたいと思います。それだけです。 ○高久部会長 公開すべきだと思います。ただ、研究者の場合は発表すればいいのですが、会社の研 究ではパテントの問題とかあって、公開してくれない場合があります。しかし、最終的 には公開されることになると思いますので、公開すべきであるというふうにします。公 開というのは論文発表という形でもいい訳ですね。 ○柴田委員 このクローンの研究は、やはりこういう研究をこういうふうにするんだということ、 つまり、これは一応禁止ですけれども、2、3はやっていいと言っている訳ですよね。 ただ、やっていいけれども、そこは情報公開しなさいよということを4できちっと抑え ておかないといけないと思うんです。ですから、先ほどの細胞レベルの心配はやってい いという方だから、そう心配しなくてもいいと思うんですけれども、公開の方はかなり 厳しく歯止めをしておかないと、これが密室でなされていくとなれば、すぐ1につなが るという疑惑が必ず出てくる訳です。だから、やはり4のところの公開という原則を歯 止めにしておかないといけないのではないか、というのが私の意見です。 ○高久部会長 分かりました。それでは、御意見を伺いましたので、修正した上で決定させていただ きたいと思います。 時間が余りありませんが、次の議題として、議事の公開の在り方について御議論願い たいと思います。これにつきましては、先月開催されました第1回の厚生科学審議会の 総会で取扱いが決定されておりますので、これについて事務局の方から説明をよろしく お願いします。 ○事務局 資料10のところに5月19日に厚生科学審議会で決議されました公開に関する事項につ きまして添付いたしております。審議会の公開につきましては、政府全体の方針とし て、なるべく審議会における議論というものを公開していこうというような方向にござ いまして、また、厚生省も同様に考えております。まず、資料10を読み上げさせていた だきます。 「1 委員及び専門委員の氏名及び職業については、公開するものとする。 2 審議会及び部会の開催予定に関する日時、場所及び議題については、あらかじめ公 開するものとする。 3 審議会及び部会については、それぞれ会長及び部会長の決するところにより、会議 又は会議議事録を公開するものとする。 4 審議会及び部会の提出資料については、公開するものとする。」 という4項目でございます。1点だけ補足させていただきますと、3点目に書いてご ざいます会議又は議事録の公開ということでございますが、この点につきまして総会で は、「会長の決するところにより」の運用といたしまして、議事の公開法については議 事録の公開を基本とする。しかし、案件により特に必要な場合には事前に委員の皆様方 に御連絡した上で、その御了解を得て会議を公開するというような運用をとってまいり たいというような御説明があったところでございます。 ○高久部会長 厚生科学審議会の公開については、今、事務局の方から説明があったような形での公 開ということです。この部会におきましても審議会の公開の方針に従いたいと思います ので、よろしく御了承お願いしたいと思います。 ○森岡委員 議事録の公開はいいんですけれども、会議の公開というときには、実際誰が来られる んですか。誰が傍聴者を選ぶんですか。 ○高久部会長 会議の公開のときには、マスメディアの人達が大部分ですが、それ以外の人も申込め ば出席できる。申込み順ですか。 ○事務局 過去の例で申し上げますと、例えば、遺伝子治療臨床研究中央評価会議で公開を行い ました場合には、あらかじめ厚生省において公告を行った上で申込みをいただく。どこ の誰であるかということを申込みをいただいた上で、通常用意いたしました席を超える 申込みがございますので、まずマスコミの方、次いで残余の席について申込みのあった 個人の方、事実上必ずしも一般個人ではなく、関連する開発等の業を行っている企業の 研究者というものも多うございますが、抽選の上で入っていただくという形をとってお ります。したがいまして、急に飛び込みということはない形で行っております。同様の 例は科学技術庁等でも実施しておるところでございます。 ○廣井委員 公開の場合は分かるんですけれども、その人たちが発言する権利はあるんですか。 ○高久部会長 普通は御遠慮願っています。ただ、あらかじめ事務局の方に申込みがありまして、一 応お伺いした方がいいと判断した場合には文章を読んでいただく、あるいは事務局が代 わりに、その方の用意された文章を読むという形をとっておりまして、フリーな発言は ございません。 ○廣井委員 生殖に関するこれから検討をするときは、恐らく色々な団体が入ってきたりして大変 もめるんじゃないかという懸念をしている訳です。 ○高久部会長 血液行政の懇談会のも座長していますが、色々な方が来られた。一応、御意見はお伺 いいたしました。あらかじめ申込みがありまして、時間を限って話を聞きましたが、生 殖の場合にはもっと大変ではないかと思います。 それでは、今後の審議の進め方について事務局の方から説明をよろしくお願いしま す。 ○事務局 先ほど御指示のありましたように、今後、生殖医療等を中心に議題を進めてまいりた いということでありますので、事務局といたしましても関係部局等と協力しながら準備 を進めたいと思っております。準備の都合上、出来れば次回会合は9月を予定させてい ただきたいと思います。各委員の御都合につきましては、改めて事務局の方からお尋ね 申し上げた上で日程の設定をさせていただければと思います。 今後、先ほど御示唆がありましたとおり、関係の専門家の意見を聴しながらというこ とでございまして、部会長と相談しながら関係の専門家、例えば内外の法令組織等に詳 しい方の御発言をいただくとか、あるいは自治体の医療の現場に携わっている専門家の 方にお越しいただく、あるいは先ほど御指摘ありましたとおり不規則発言にならないよ うに、むしろ、色々この問題について関心のあるグループの方から適切な方に御参加い ただいて御主張をお述べいただくといったような形のものを組み込みながら、出来れば 2か月に一度ぐらいずつの開会で審議を進めていただければと思っております。 また、その際に、これをどういう形で行うかということで、先ほど部会長からお話が ありましたとおり、原則として議事録の公開でもってこれを行う。議事そのものを公開 すべきかどうかということについては、あらかじめ開会をする前に日程の御確認等の御 案内を当然差し上げますので、そういった機会を利用いたしまして委員の御意見を承っ た上で、公開にするかどうかを部会長が決するということで準備を進めていかせていた だければと思っております。公開ということの例といたしましては、マスコミ関係の 方々の席を設けている例も内外にはあるようでございます。 ○高久部会長 予定の時間がまいりましたので、これで本日は閉会させていただきます。色々御意見 をいただきまして、ありがとうございました。 なお、本日の会議の概要につきましては、記者クラブの方から説明を求められていま すので、事務局の方から記者クラブの方々に本日の会議の概要について説明をしてもら うことを御了承お願いしたいと思います。 本日は、どうもありがとうございました。  問い合わせ先:厚生省大臣官房厚生科学課     担当:坂本(内線3804)、高山(内線3807) 電話:(代表)03-3503-1711 (直通)03-3595-2171