97/06/26 第8回臓器移植ネットワーク準備委員会議事録 第8回臓器移植ネットワーク準備委員会議事録 平成9年6月26日(木) 16:00〜18:35 於:厚生省特別第1会議室 出席者  ○井形 昭弘  糸氏 英吉  大島 伸一  大塚 敏文  開原 成允    筧  栄一  川島 康生  北川 定謙  高杉  豊  谷川 久一    野本 亀久雄 藤見  惺 水戸 廸郎  矢崎 義雄  横山 健郎    吉原 健二   (○:委員長 順不同・敬称略) 議事次第 1 開会 2 保健医療局長挨拶 3 議題  (1)心臓・肝臓移植のレシピエント選択基準(細則)(案)について  (2)多臓器移植ネットワークの在り方について  (3)ドナーカード(意思表示カード)について  (4)その他 4 閉会 ○成瀬補佐  それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第8回「日本臓器移植ネットワー ク準備委員会」を開催したいと思います。  本日は、お忙しい中ご出席いただきまして、大変ありがとうございます。  まず、委員につきまして、前回開催以降変更がありましたのでご報告したいと思いま す。  最初に、全国衛生部長会会長の成瀬道彦、神奈川県衛生部長が代わられまして、後任 に高杉豊、大阪府環境保健部長が就任されました。その関係で、全国衛生部長会の会長 といたしまして本日この席に就任していただきました。どうもありがとうございます。  また、今回新たにご就任いただきました委員の方をご紹介したいと思います。まず、 久留米大学医学部第二内科教授であります谷川委員。よろしくお願いいたします。ま た、東京大学医学部第三内科教授であります矢崎委員。よろしくお願いいたします。  なお、社団法人日本腎臓移植ネットワーク理事長の島崎均委員が本年5月にお亡くな りになったことを謹んで報告いたします。  本日の先生方の出席の状況でございますが、16名の委員の方全員出席ということでご 報告をさせていただきます。  審議に入る前でございますが、小林保健医療局長よりご挨拶を申し上げる予定でござ いましたが、本日、国会のため若干遅れておりますため、貝谷臓器移植対策室長よりご 挨拶申し上げます。 ○貝谷室長  ただいまご紹介いただきました、臓器移植対策室長の貝谷でございます。  本日は、どうもお忙しい中お集まりいただきまして、大変ありがとうございます。  特にまた、今回からご参加いただきました谷川先生、矢崎先生、両先生には、特に内 科の視点からご意見を賜ることができれば大変に幸いと存じております。どうぞよろし くお願いを申し上げます。  本委員会も本日で第8回目ということになりました。第1回目が平成5年の12月末 ということでございますので、既に3年半が経過してまいりました。本委員会のそもそ もの目的が多臓器ネットワークの整備ということでございまして、残念ながら法案の成 立が進捗はかばかしくなく今日までまいったわけでございますが、先般、様々な経緯を 経まして臓器移植法案、成立に至ったわけでございまして、これから法律の施行までの 間に、多臓器ネットワークの整備ということで私ども行政的にも、また関係者の調整の もとで重い責任が課されていると考えているところでございます。  これまで、この委員会におきましては、レシピエントの選択基準、あるいはネット ワークそのものの様々な検討をしていただいてきておりますが、いよいよ大詰めの検討 をいただくことになったわけでございます。  本日は、ご案内のとおり、心臓と肝臓のレシピエント選択基準、これにつきまして、 前回のこの委員会でもご議論をいただきました。その後、関係学会にもご紹介をして、 本日できれば最終的な案ということでおまとめいただければ幸いと考えております。  また、そのほか臓器移植ネットワーク、多臓器ネットワークの実際上の様々な詰める べき点が残っておりますので、きょうはその点について十分ご議論をいただきまして、 できうれば次回の会合に多臓器ネットワークのかくあるべしというひとつの報告書をご 議論いただければ有り難いと考えているところでございます。  これから具体的にご議論をいただくわけでございますが、私のほうから、それに先立 ちまして、先般成立いたしました臓器の移植に関する法律の審議経過その他につきまし て、若干お時間をいただきましてご説明を申し上げたいと思います。  資料を用意しておりますので、とじられた資料の一番後ろのほうに参考資料というこ とで参考資料1、2、3、4とございますので、そこをご覧いただきたいと思うんです が。  参考資料の最初の1というところに、この法案のこれまでの経過というものがそれぞ れまとめられております。  ご案内のとおり、この法律は、先般成立しました中山案と言われているものでござい ますが、この法律につきましては昨年の12月に提出されております。それ以前の経過 につきましてはご案内のとおりでございまして、平成6年に最初の法案が出されて以 降、様々な経過を経てきているわけでございますが、昨年の12月に出されました後、 本年3月18日の衆議院本会議での趣旨説明・質疑が行われまして、以後、衆議院の厚 生委員会で相当精力的なご審議をいただいたわけでございます。その間、ご覧いただき ますように参考人の意見聴取も含めて、また対政府質疑といったこともございまして、 大変様々な観点からのご議論がございました。  そして、平成9年4月24日の衆議院本会議におきまして衆議院で可決がなされまし た。ご案内のとおり、衆議院では 320名の議員の方の賛成ということで可決されまし て、3分の2を超えるような賛成でございました。  その後、参議院のほうに送付されまして、平成9年の5月19日に本会議でやはり趣 旨説明・質疑が行われまして、以後、参議院のほうではこのための特別委員会というも のが組織されまして、委員会審議のほか日本医科大の救命救急センターを視察するほ か、大阪府、新潟県それぞれで地方公聴会の開催、あるいは東京で中央公聴会を開催す るなど、これも大変精力的な審議が行われまして、本年の6月16日の日で一応質疑を 終局し、そしてそれに対して議員のほうから修正案が提出をされ、その修正案で参議院 が委員会及び本会議とも可決されたわけでございます。  その後、即、衆議院のほうに修正案で回付されまして、衆議院側においても本会議で 3分の2を超える多数をもちまして修正案を可決をし、その段階でこの案が法律として 成立に至ったわけでございます。  このような経過をたどっておりますが、前回この会合でもお話ししましたように、審 議の中におきましては、いわゆる中山法案のほかに脳死を人の死としない立場からの対 案が、衆議院、参議院、両方の院でそれぞれ提起されまして、同様に審議がなされまし た。いずれも否決ないしは審議未了ということで、この案そのものは成立するに至って おりません。そのような経過で法案の成立ということでございます。  なお、先ほど申しましたように、参議院では修正がなされておりますので、修正のポ イントについて簡単にご説明を申し上げたいと思います。  参考資料の2というものがございまして、この資料は中山案と、それから修正後の法 案の比較をしたものでございます。ポイントは、第6条のいわゆる臓器の摘出を定めた 規定を中心に修正が行われております。  第6条の1項で、中山案の下のほうの第6条1項をご覧いただきますとわかります が、「死体(脳死体を含む)」というような規定でございましたが、この部分を修正を いたしまして、「死体(脳死した者の身体を含む)」というような規定に変わっており ます。趣旨は、そういう亡くなられた方に対する表現をより丁寧にしたというような趣 旨とお聞きしております。  それから第2点目が、その第2項、第3項でございます。第2項では、このいわゆる 第1項で定義いたしました「脳死した者の身体」というものの定義を行っておりまし て、「脳死した者の身体とは、その身体から移植術に使用されるための臓器が摘出され ることとなる者であって脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至ったと判定さ れたものの身体」ということでございまして、いわゆる中山案では特に規定はございま せんでしたが、ここでは移植のために摘出される、臓器といいますか、そういうケース について特に脳死した者というような規定を設けたと。そこに限定といいますか、そう いうことで限定をした趣旨をここではっきり書いております。  そして3項では、臓器の摘出を行うためのその前段階としての脳死判定を行う場合に は、その者が生前に臓器の提供を行う意思を明らかにしていることに併せまして、臓器 の提供を前提とした脳死の判定に従う意思を書面により表示している場合、つまり、生 前に臓器の提供と脳死判定に従うという両方の意思を本人が書面に書いている場合。そ れが一つ。それからさらに、その旨の告知を受けた家族が脳死の判定を拒まない場合に 限って行うことができるというようなことで、やや要件が加重されているところでござ います。  そして、第4項以下の規定につきましては、脳死判定あるいは臓器の摘出を行う場合 の手続をより慎重にするということでございまして、第4項は、脳死の判定には2人以 上の医師をもって充てるということでございまして、この点につきましては従来、竹内 基準でこの内容を定められておりますので、実際的には第4項に書かれたものは従来と は変わってないかと思います。はっきり法律に書いたということでございます。  それから第5項は、その当該判定を行った医師は、その旨の当該判定が的確に行われ たことを証する書面を作成しなければならない。  そして第6項で、摘出を行う医師は、あらかじめ、脳死判定を的確に行ったという書 面をあらかじめ交付を受けているということで、この間の手続がきちっと行われるとい うことを法律上もはっきり書いたということでございます。  その他のもろもろの修正が行われておりまして、罰則の強化等が中身の一部に入って いるところでございます。  以上が修正の要点でございます。一言で申しますと、脳死を人の死ということについ ては、移植の場面においてこの法律で規定することとし、臓器移植が行われる場合は脳 死は人の死であるということのみを規定し、それ以外の一般の脳死については触れない と。こういうような趣旨からこのような修正が行われたというふうに私どもは理解して いるところでございます。  なお、このように終盤で成立いたしましたこの法案につきまして、官報公布が7月1 6日と予定されております。したがいまして、この法律の施行は公布の日から3カ月後 ということになりますので、10月の16日にこの新しい法律が施行される運びになる 予定でございます。  また、このほかに参議院の委員会では附帯決議が行われておりまして、後ほどご覧い ただければと思いますが、参考資料の4につけてございますが、附帯決議が行われてお りまして、ネットワークの体制整備、あるいはレシピエントの選択基準、そういった事 柄にも附帯決議の中で触れられておりまして、これは後ほどご覧いただければと思いま す。  厚生省といたしましては、この法律の施行までの4カ月足らずの準備期間ということ でございまして、本委員会におきます様々な検討、ネットワークのそのもののあり方、 あるいはドナーカードの普及策、そういったご検討のほか、私ども厚生省として今後、 脳死判定基準というものを厚生省令で定めていくということも予定しているところでご ざいまして、様々な準備を経まして施行に遺漏のないような形でもっていきたいと考え ているところでございます。  何とぞ先生方のご検討を引き続きお願いいたしまして、簡単でございますが冒頭のご 挨拶にかえさせていただきたいと思います。本日は、どうもありがとうございます。 ○成瀬補佐  それでは、議事に入る前に資料配布の確認をさせていただきたいと思います。  お手元の資料で、まず、第8回日本臓器移植ネットワーク準備委員会議事次第とあり ます。その後ろに準備委員会の名簿が入っていると思います。その後ろに、差し替えが あったと思いますけれども、座席表になっております。それと、きょうの会議資料でご ざいますけれども、会議資料の目次。そのあと、資料ナンバーが1番、2番、3−1、 3−2、3−3、それと資料の4番。それと参考資料でございますけれども、参考資料 が1番、2番、3番、4番。以上が一応お手元のほうに配布されていると思います。そ のほかに、今回、ドナーカードの新旧この2枚、お手元のほうにあると思います。おそ ろいでございましょうか。また途中に不備がございましたら事務局のほうに申し出てい ただきたいと思います。  それでは、井形委員長、よろしくお願いいたします。 ○井形委員長  それでは、ただいまから、いろいろご審議をいただきたいと思うわけでありますが。 ただいま、室長さんからもお話ありましたように、臓器移植が一歩踏み出しましたけれ ども、問題が非常にたくさんあります。附帯決議にもありますように、いろんな問題が この委員会には重くのしかかっておるわけであります。しかし、完璧なものはできませ んし、走りながら考えるということが必要ではないかと思いますが、よりベターな努力 を先生方にぜひお願いして、私は委員長という立場ですけれども、皆さん方が16分の 1ずつの責任を分担していただいて、できるだけ最善の報告をまとめるように、何とか ご協力をお願い申し上げたいと思います。  それでは、議題の1に入らせていただきます。議題の1は、心臓・肝臓移植のレシピ エントの選択基準(細則)の案についてご審議いただいたわけであります。この案につ きましては、法律が通る前でありましたけれども、前回の委員会でご論議いただいてお りますけれども、このほど関係学会からご意見等をいただきまして、それぞれの作業部 会において最終的な案としてとりまとめたとのことであります。きょうは、心・肝の作 業部会の座長の先生、おいでいただいておりますので、そこでご報告いただいて、これ についてこの委員会でお認めいただくような論説をとりたいと思います。  では、心臓移植のレシピエント選択基準案につきまして、川島先生からご報告をお願 いできれば有り難いと思います。よろしくお願いします。 ○川島委員  どういたしましょう。前回既に、このまま一応目を通していただいておりますので。 前回ご指摘いただいたところはそのとおりになっていると思います。  具体的な選択方法というのが一番問題ではありました。といいますのは、ネットワー クがブロック化されている場合と、まだされてない時期にどうするかという問題がござ いますので、これはAとBと2つに分けまして、ブロック化された場合にはBのほうを 使うということで書いてございます。  それから、その一番最後に、O型のドナーがどんどん吸い上げられていくという事態 がもし将来起これば、その場合にやはり考え直さなければならないであろうということ が書いてございます。といいますのは、一番最初の適合条件のところに、血液型として ABO identicalでなくても、compatibleなドナーも候補者とすると。患者も候補者と するということになっておりますので、そうなりますとO型のドナーが他の血液型の方 に使われてしまうということが起こりうるわけでございますので、この場合には再考し ようというところでございます。  そのほかのところは、読んでいただければあまり問題になるところはないのではない かと思っております。以上でございます。 ○井形委員長  どうもありがとうございました。今、川島先生のお話にもありましたように、前の委 員会でこれは一応出されて、いろいろ審議をしたわけでありますけれども、ただいまの ご報告につきまして、どうぞご自由に発言をいただきたいと思います。いかがでしょう か。  後にまた肝臓の移植のレシピエント選択基準がございますので、それでは、それを水 戸先生にご報告いただいて、あと、繰り返してまた元へ戻って皆さんのご意見をお願い したいと思います。  では、水戸先生、お願いします。 ○水戸委員  肝臓のほうの作業部会を担当させていただきました水戸でございます。  資料の2の方をご覧いただきたいと思います。前回のこの委員会でもいろいろご指摘 がありましたのと、それから、前回の委員会で、2月の4日の一応了承と、しかし承認 ではないと。その後、各学会あるいは研究班の意見を聴取して、もう一度この委員会に 提出をするようにということで、細則原案を、2月の4日のネットワーク準備委員会で 了承された案を肝臓学会、内科学会、肝移植研究会などの関連学会、あるいは厚生省の 研究班が同じような選択基準を作る研究班が2カ所の、2班がございましたが、それぞ れに意見を求めました。それぞれの研究班、学会、研究会のご意見を集約して若干の修 正を行ったものが今回の肝移植選択基準(細則)修正案であります。  第1点は、今の川島委員のほうのご提言と若干異なるんですが、血液の適合度につい て多くの方々から、O型の方が不利になっては困るというご指摘がありまして、肝臓の ほうでは点数制を加えたものですから、血液型の適合度に同一の場合は 1.5点。それか ら、適合の場合は1点を加え、それぞれの意見で最も多かった点を修正いたしました。  なおまた、第2点は、IV.その他の項で、見直しの時点で、時期なのか例数なのかと いう議論がたくさんございまして、当初はドナーがどれだけ出るか全くわからないこと もあり、一応例数10の時点で見直しを行う予定といたしました。  以上が修正点でありますが、前回の委員会でも点数制にするのはなじまないのではな いかというご意見もございました。しかし、今回の選択基準案については、諸外国を見 てみますと、例えば米国のユノス(UNOS)の基準とは異なるのではないかとか、い ろいろなご指摘がありました。しかしこれは、ユノス(UNOS)の基準というのは緊 急度を優先しております。しかし今回、この私どもの作業部会で選択しましたのは適応 疾患を優先した点であります。その理由は、米国では約1年間に 4,000例の肝移植が行 われておりますが、日本ではこれから10月16日から施行される案では果たしてどれだけ の例数が出るかわからないということもあり、限られた提供者という極めて制限される のではないかと推測されます。したがって、多くの待機患者からの選択が、点数づけに よるより客観性を持たせる必要があろうかと考えて点数づけをいたしました。  2番目には、提供者の善意が最も有効に生かされること。すなわち、短期並びに長期 的に移植後の予後がよい疾患を優先いたしました。このことは、提供者の善意のみなら ず国民の期待に応えることになり、その後の提供の増加につながるものと考えて作業部 会では点数づけをいたしました。  そのような結果が、きょうの選択基準(細則)修正部分のところにはアンダーライン が引いてございます。  そしてちなみに、それぞれの疾患別に緊急度並びに疾患別にそれぞれの、それから血 液型を加えました参考の資料を3枚目に添付いたしております。これではII群、III群 I群よりも優先順位は上がらないと。緊急度その他では上がらないというようになって ります。以上でございます。 ○井形委員長  ありがとうございました。それでは、先ほどの心臓とも併せて、皆様のご議論を経た 上で、この委員会の最終決定としたいと思いますので、お気づきの点あるいはコメント を、ぜひお願いいたしたいと思います。  これはかなり専門部会で細かく議論を詰めて、一度はこの委員会にも出されておりま すけれども。特に大きな問題点がなければ、この委員会の最終決定とさせていただきた いと思いますけれども、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。どうぞ。 ○横山委員  中身はよくわかったんでございますけれども、1点だけ共通する質問事項なんでござ いますけれども。心臓案でも、あるいは肝臓案ですね。ネットワークが組織的にも機能 的にもブロック化された場合というような記述がある。それは、どこで誰が判断すると いうことを想定して。この委員会でそういうふうにネットワークが組織的にも機能的に もブロック化された場合というふうに判断することを想定されておられるのか。そのへ んをちょっと確認しておきたいのですが。 ○重藤補佐  事務局からお答えいたします。組織的にも機能的にもブロック化された時点と申しま すのは、移植施設とも関係してくると思います。当面、今のところ移植関係学会合同委 員会で、心臓、肝臓とも東西1カ所ずつというようなことがございますので、ブロック ごとで独立してそういった制度を作っていくためには、ブロックごとにそういう移植施 設が整わないといけませんけれども、まだその時点ではございませんで、当面、移植施 設が移植関係学会合同委員会でそういう東西1カ所ずつ程度ということとなっておりま すので、その間は、北海道で移植をといっても移植施設がございませんので、当然その 受け皿としてのネットワークとしても、整備といいましょうか、そういうブロックごと に考えるにはちょっと難しいということでございます。  移植が進んできて、移植件数が進んできて成績も出てくる。年間の件数も出てくる。 ブロックごとに体制を整備していくという、移植施設と合わせてそういうネットワーク システムも構築できるということになりましたら、そのときに考えるということでござ います。  その場でございますけれども、基本的には当ネットワーク準備委員会は多臓器のネッ トワークを作るための委員会でございますので、当然、これからあと、本日またご議論 をしていただきますが、ネットワークのそうした基本的あり方を検討していただく場 を、どんな場でやっていただくのかということも含めて、本日の議論でやっていただく ことになろうと思います。  移植施設につきましては、移植関係学会合同委員会がご選定いただくということに なっておりますので、そういった状況、移植の実際面どれだけ進むのかという状況を踏 まえて検討されるということになろうかと思います。 ○井形委員長  よろしゅうございますか。 ○横山委員  大変結構でございます。 ○井形委員長  これもやっぱり走りながら考えるひとつのスタイルになるんでしょうか。そういう既 成事実ができていった時点でどうすればよろしいかということを刻刻考えていくという ことになろうかと思いますね。 ○川島委員  心臓移植の場合と肝臓の移植の場合と、かなり書いてあることが違いますので戸惑わ れる方もおられるのではないかと思うんですが、これは臓器の特殊性というのがかなり ございますので致し方ないわけなんですが、ただひとつ、虚血の許容時間といいます か、そのことに関して、心臓のほうは優先順位のところに記載がございます。肝臓のほ うは適合条件に記載がございます。このことは、できることであればどちらかに統一し たほうがいいのではないかという気がいたしますが、ただ、私は心臓の専門でございま すので、心臓の場合をいいますと、4時間以内に手術が終わる、つまり血液循環が再開 するというのをひとつの条件にしておりますけれども、それでなければ絶対にできない というものではないと。そういう考えから、これは優先順位のひとつに加えたわけであ りますが、肝臓の場合は適合条件ということにしておられて、12時間以内で行えること と言っておられます。12時間以上たつのは絶対にやらないというのであれば適合条件で いいかと思うんですが、いかがでございましょう。そうでないのであれば優先順位のほ うがふさわしくないかなという気もするんですが、いかがでございましょうか。 ○水戸委員  これもまた優先順位にしますと、また点数が加わってくることになってしまいますの で、このI群、II群、III群を分けて、また点数を何点の配分にするかを考えなきゃなり ませんし、当初はともかく最も安全な12時間以内に行える例数にやろうと。今では16時 間、あるいはツバクでは24時間というのもございますが、12時間以内がやっぱり安全だ ということで適合条件に加えたということで、今、優先順位の中に加えますと、また点 数の何点に配分するかということになってまいりますので、この範囲内で収めたいなと 私は考えております。 ○井形委員長  今のような臓器別の、少なくとも表現の差ですね。きょうは、これで最終決定をした ら、そのまま決まっちゃう。例えば腎臓なんかも、もう一度見てみたら、ちょっと表現 の方法で統一を欠くような面があるんじゃないかという気もしてきたけれど、どうで しょうか。 ○重藤補佐  事務局の意見としましては、当面スタートするときについては、概ね問題がないとさ れる基準で一応いかさせていただきませんと、いつまでたってもスタートが切れません ので、そうさせていただきたいと。できるだけ早い時間にアナウンスします。そうしま せんと、ネットワークのほうでも、そういう基準に合わせてコンピューターのシステム を組みませんといけませんし、そうしたもろもろの準備を考えますと、一応スタートの 段階は一応同義語と。それぞれ基本的考え方が違うということは一応あるとしても、一 応最初のスタートの段階では、それぞれの臓器で問題がなければスタートさせていただ ければと考えています。  ただ、未来永劫変わらないわけじゃございませんので。こういう基準というものはそ の常々見直すなり検討をして重ねていくべきものであろうかと思います。  また、本日またあとでご議論いただきますが、そうした要するに検討をする場という ものも、どうした場で検討をいただくのかということもご議論いただきながら、そうい う見直しなり再検討ということも今後のスケジュールとして入れ込んでいきながら、と にかくでも、最初はとにかく最初が決まりませんとスタートがなかなか切れませんの で、異論といいましょうか、大きな問題点がなければスタートしないと、今の時期に決 めないとちょっと間に合わないんじゃないかなというふうに思っております。 ○井形委員長  法律が7月16日公布で、3カ月後に施行しますから、今からまたやり直しているとな かなか時間がないということですね。専門の先生にいろいろご検討をいただいた内容で ありますから、それでご異論がなければ本日はこれでお認めいただいて、次の議題へ進 みたいと思います。ご異議ございませんでしょうか。ありがとうございました。  それでは引き続きまして、大きな問題でありますが、多臓器移植ネットワークのあり 方についてということであります。正式には日本臓器移植ネットワークと呼ぶんでしょ うね。多臓器ということはありますが。事務局からご説明をお願いします。 ○重藤補佐  それでは、ご説明をさせていただきます。  資料の3−1、それから3−2、資料の3−3を説明をさせていただきながら先生方 に今後のご議論のお願いということでご説明いたします。  まず、資料の3−1、「臓器移植ネットワークのあり方等に関する検討会 中間報告 (概要)」というものがございます。これは平成5年の5月11日に策定をされたもので ございます。これにつきましては、多臓器の移植をにらんで、どんな公平・公正なシス テムを作るかというようなことでご検討をいただいた場でございまして、これはもう前 回の準備委員会でも資料に載せさせていただきまして、事務局より説明をさせていただ いたものでございます。  特に、その3番の将来の体制というところでございますが、ここのところで、「多臓 器を対象とする全国的な臓器移植ネットワークを組織し、日本臓器移植ネットワーク・ センター(仮称)と数箇所のブロック臓器移植ネットワーク・センター(仮称)を設置 することとし、これらのセンターはいずれも移植実施施設とは独立した組織とする」 と。「それぞれの主な機能は次のものとする」と。大まかな流れが書かれております。  それから、ちょっと戻りますけれども、基本的な考え方ということでございますけれ ども、情報ネットワークのことについて述べているくだりでございますけれども、「公 平性の確保については、全国をカバーするネットワークを整備しドナー情報等の統一化 を図り、公正性を保障するためネットワークに評価委員会を設け、臓器移植に関する情 報は、可能な限り公開することを原則とする。また、臓器移植ネットワークを整備する にあたっては、この基本的な考え方に基づき既存の腎移植情報システムを活用しつつ構 築する」というようなこともございます。  こうした検討会の中間報告を受けまして、次の資料の3−2でございますけれども、 当日本臓器移植ネットワーク準備委員会におきまして平成7年の4月17日に、「腎臓移 植ネットワークの整備について」というような報告書が出されまして、こうした前回の 中間報告を受け、その基本的考え方にのっとってまず、その当時されていた腎臓移植に ついてネットワークを整備するということで報告書がまとめられて、平成7年に社団法 人日本腎臓移植ネットワークが整備されたということでございます。  本日、先生方にご議論をいただきたいことは、こうした「腎臓移植ネットワークのあ り方等に関する検討会 中間報告」、それから「腎臓移植ネットワークの整備につい て」というような基本的考え方を踏まえまして、脳死下で行われる心臓それから肝臓移 植につきまして、どうしたら公平・公正な臓器の配分システムを構築をしていくかとい うことについて具体的な検討をお願いをしたいというふうに本日は考えております。  資料の3−3でございます。事務局として具体的にどうしても多臓器の移植につきま しては、どうしても先生方にご検討をいただき、方針として打ち出していただかねばな らないと考えられる項目を抜き出しまして、本日、これの項目を一つひとつご議論をい ただいて、方向性について示していただければというふうに考えます。本日示していた だいた先生方のご意見を踏まえまして、次回までに事務局がまたまとめまして、また先 生方と意見交換をしながら最終的な報告書を作りまして、10月16日に施行される法律の ために公平・公正な臓器移植の配分システムを作っていきたいというふうに考えており ます。  その主な論点、これは事務局で考えさせていただいたものでございますけれども、報 告書に盛り込むべき主な論点としまして、検討の経緯。これは、私がいま申しました中 間報告、それから腎臓移植ネットワークの整備についてというような経緯で検討をした ということでございます。  それから、2番の基本的考え方。日本腎臓移植ネットワークが今現在ございます。こ れとの関係。これを整備していくのがどうなのか。ここらへんでも考え方を示していた だければというふうに思います。  それから基本的原則。公平かつ適正なシステム、レシピエント登録及びドナー情報の 一元化、臓器移植の評価と情報公開、関係者の協力体制、唯一の臓器斡旋機関、国際間 の臓器移植の一元的窓口というような基本的な原則、事務局で一応素案を考えさせてい ただきましたけれども、これでよろしいのか。もっと盛り込むべき項目はあるのかない のか。  それから、レシピエント選択及びドナー適応について。先ほど、レシピエントの選択 基準を策定いただきましたけれども、その公平・適正なレシピエント選択と評価と。レ シピエント選択、それからレシピエントの登録名簿の管理、それから、そうしたものの 評価とか問題事例の審査、統計処理、情報公開。一体どういう形でやっていくのか。  それから、ドナー適応基準。これは現在、移植関係学会合同委員会でお願いをしてお ります。こうしたものを今後どうしていくのか。  それから、選択基準の見直し。どうした場で、どのような場で今後行っていっていた だくべきかどうか。  それから2枚目でございます。4番として、日本臓器移植ネットワークの運営等につ いて。ブロックセンター。ブロック体制がどんな形でスタートするのか。どういう形が 望ましいのか。現在、移植施設は東西に1カ所ずつというようなことでございます。そ ういった、移植施設がそういう形で現在、移植関係学会合同委員会で今、その施設を調 査しているというところでございますが、そうした施設が特定された場合に、どんな形 で、ブロックといいましょうか、臓器移植の配分体制を考えたらいいのか。それからブ ロックセンターの人員構成。それからHLA検査との関係、どうしていくのか。  それから2番目といたしまして、情報管理体制。レシピエントの登録名簿をどうやっ て作成をしていくのか。それから適応の審査はどんな形で行っていくのか。それから、 コンピューター・システムはどんな形で行うべきか。それから、登録及び更新の方法は どうやっていくのか。それから、移植施設との情報交換をどんなふうにやっていくの か。  それから委員会体制。委員会等の人員構成、審査委員会等、どうしていくのか。  それから4番としまして、移植施設。これは、ネットワークがその移植施設をどう やって登録して抹消していくのか。これは現在、移植関係学会合同委員会が特定をして おりますけれども、そういうことを受けて今後どういう形で臓器の配分する施設をネッ トワークとして登録するのか。それから、問題ある施設についてはどんなような手続を とるのか。  それから、ネットワークの財源をどうしていくのか。  それから6番としまして、役員とか役員構成はどのようにしていくべきなのか。  それから次のページになります。5番としまして、普及啓発について。1番として、 ドナーカードの普及方策をどのようにして行っていくか。  2番としまして、今回、法律で地方公共団体の責務ということも理念規定で入ってご ざいます。それで、地方公共団体との関係をどのように構築していくのか。  それから3番でございますが、現在今は各都道府県に腎臓バンクがございます。こう したものとの関係をどのように考えればいいのか。  それから4番、その他としまして、救急救命施設等への働きかけ。臓器移植が行われ ることになっても救急救命施設等の協力関係を抜きには臓器移植が進みませんので、こ うしたことへの働きかけをどういうふうにしていくのか。それから、関係学会との関係 はどのように考えていくのか。  6番としまして、コーディネーターをどのようにして養成をしていくのか。  それから7番、その他としまして、多臓器ネットワークの運営の基本的あり方につい て議論する場をどうしていくのか。現在、準備委員会がございますけれども、当然準備 委員会でございますので、ネットワークが整備されたということになりますと、それ以 降、どのような場でネットワークのことについて議論する場を設けていくかというよう なことについて方向性をお与えいただければというふうに思います。  本日、短い時間の間に非常に盛りだくさんの項目で大変恐縮でございますけれども、 一つひとつがそれぞれに重要な事項でございますので、先生方、十分ご議論をいただい て、今後の臓器移植ネットワークの体制として花が開けばというふうに考えております ので、ひとつよろしくお願いをいたします。 ○井形委員長  それでは、今からいろいろ事項について方向だけを確認するようなことで議論を進め ていきたいと思いますが。  まず、基本的考え方につきまして、資料の3−2の腎臓移植ネットワークのときに基 本的な考え方というのを列記しましたけれども、まずここで決めていただきたいのは、 昔からそういう方向で来たわけでありますからそれでいいと思うんですけれども、日本 腎臓移植ネットワークを母体として臓器移植ネットワークを構築していくと。これをご 確認いただきたいと思います。これは、今まで委員会でそういうことで来たわけであり ますけれども、まだしっかりとそのことをルールとしては決めておりませんので、この 委員会ではっきりお決めいただきたいと思いますが。この点については、よろしゅうご ざいましょうか。ありがとうございます。  それでは、基本法則の中に、3−2にもずっと出ておりますけれども、レシピエント の登録及びドナーの情報を一元化する。これはもう、ネットワークの本来の使命であり ますから、これもよろしいですね。何かご意見がある方は、ぜひ手を挙げておっしゃっ てください。  それから、レシピエントを公平かつ適正に選択する。先ほどいただきました選択基準 がお決めいただいたわけでありますが、これを公平にやっていくということ。これを確 認していただきたいと思います。  それから、臓器移植に関係する事項についての評価と情報公開を行いますと。これ は、腎臓のときもそうでありましたし、そのとおりでありますが、これを実施すべきで あると。  それから、関係者の協力体制を構築する。これも、腎臓のときはそう言っておりまし たけれども、臓器移植ネットワークを通さない臓器移植は認めないということで、これ は国会でも非常に議論されたところですね。このことについてのご確認をいただきたい と思います。  それから、国際間の臓器移植の問題は、このあいだ法律提案者の中山先生にお会いし たときもかなり言っておられましたけれども、とにかくこの臓器移植ネットワークを一 元的窓口にして対応する。これには、外国人が臓器移植を受けたいという人もありま しょうし、外国人のドナーもありましょうし、いろんな国際間のこれからはいろんな問 題が起こりうると思うんですけれども、そのときにこのネットワークが一元的な窓口に する。これがちょっとここにも項目が書かれておりますけれども、これらについてのご 確認をいただきたいと思いますが。  このようなテーマについて、いま申し上げたようなことで、ご意見ございましたら、 どうぞおっしゃってください。はい、どうぞ。 ○吉原委員  このネットワークを通さない臓器移植は認めない。国会でいろいろご議論があったと いうことですが、どんなご議論があったかは知りませんけれども。これは法律的にはな かなか。私、実態的にはこれでいいと思うんですけれどもね。法律には何も書いてない ですね。そのへんは問題がないというか、そのへんはどんな議論があったのか、ちょっ と紹介してください。 ○貝谷室長  やはり、当然のことながら臓器移植ネットワークを通さない移植が行われてはならな いということが議論されまして、そのための法的な担保は何かというお話がございまし た。法的な担保というのは、率直に言って法律上なかなか、これは今、先生がおっしゃ るように難しい面がございまして、提案者の先生方からは、法的な意味では難しい面は あるけれども、実態的には、今、腎が行っているように移植施設をまず登録する。それ から、移植実施施設で仮にそういうことがあるならば、以後、臓器の配分を一切行わな い。その他厳正な措置を行うことによって実態としてそこを担保していく。腎が行って いるような形で厳正にやっていくんだというようなご趣旨の答弁が提案者側からなされ ておりまして、私どもも基本的にそのような方向で対応するべきであると思っておりま す。 ○井形委員長  仮にそういうことが起こったとしたときは、今、室長さんが言われたようなことであ りますし、当然やっぱり裁判が起こるんでしょうね。 ○吉原委員  ここで別に法律論をする時間的な余裕もないと思いますが。私は、結論はこれでいい と思うんですが、厳密に言うと、ネットワーク自体、こういうことは本当は法律事項な んですか。それともそうじゃないんですか。政府提案でないのだから。どういうふうに お考えですか。 ○藤見委員  私の記憶違いかもしれませんけれども、最初の法案のたしか12条だったと思うんです けれども、斡旋業の項目があって、臓器を斡旋するものは厚生省から斡旋業を受ける必 要があり、現在その組織として、このネットワークにだけ斡旋業を出しており、斡旋業 を通さないのは、たしか法律違反になるような解釈があったような記憶があるんですけ れども。 ○井形委員長  これはどうですかね。そういう議論をしましたよね。 ○貝谷室長  もちろんおっしゃるとおりでございまして。ただ、法律上は業としての規制になって おるものですから、仮に1件あった場合にどうなるかというのは、直接的にそれに触れ るかどうかというのは議論の出てくるところと考えております。今、基本的には、斡旋 自体は許可を与えた斡旋業者、具体的にはネットワークということになりますけれど も、それ以外に、たまたま患者さんの、ご自身の受け持たれている患者さんのために やったということになりますと、法律上はなかなかこれ違反、この条項違反だというと ころまで行けるかどうかは確かに議論のあるところだろうと思っております。 ○井形委員長  どうですかね。これは報告書に書くときに、認めるべきでないという報告を差し上げ るのかしら。それとも、認めないぞという決意を込めて報告するんですかね。こういう 内容を報告したいと思いますけれども、認めないということは、この委員会の権限でい いんでしたっけ。これは厚生省の権限になるのかしら。 ○貝谷室長  そういう意味では、この委員会としての基本的な考え方ですので、認めるべきではな いというのか、あるいは認めないという、そういう決意をきちっと書いていただいて、 実際それを尊重する形で実際のネットワークが運営されると。様々な、例えば先ほどい いました施設の登録から外すとか、そういうようなペナルティをきちっとやるという中 でそれが担保されるということになっていくだろうと思います。 ○井形委員長  川島先生や水戸先生、いいですか。 ○川島委員  ここで言う国際間の臓器移植というのは、臓器を外国から送ってもらうとかシッピン グされるとか、そういう場合を想定してのことでございますね。 ○井形委員長  それから、米軍の提供があり得ると思いますね。 ○川島委員  外国へ患者さんが行くということは含まれておらないわけですね。 ○井形委員長  ちょっと僕は考えておりません。入っているわけ、それも。外国へ行くときの。 ○重藤補佐  事務局の案としては、そういうことを想定して書いたわけじゃなくて、臓器の提供を いただいたときに、必ずそのネットワークを通して配分するという意味で、この項目で 出させていただきました。 ○川島委員  国内でですね。 ○井形委員長  だから、本人が外国へ行って、受けたいといって行くことについては、このネット ワークは関知しないんですね。よろしいですか。どうぞ。 ○谷川委員  腎臓の場合は、レシピエントの登録というのは、透析という手段がありますからずっ と生命を保持することができると。ところが、心臓にしろ肝臓にしろ、ある限られた生 命の人を登録するわけですね。その場合に、ドナーは例えば1年に10人しか出ないとい う場合に、 100人も 200人も登録するという事態になると、登録するということはある 程度亡くなりますよと。近い将来に生命を失いますよという、こういうことをして登録 するわけですから、腎臓とだいぶケースが違うんで、ちょっとネットワークというとこ ろを通してやるにも、レシピエントの登録というところで非常に大きな問題が起こるん じゃないかと。あまりたくさん登録しても、結局1年間にできる人は5人か10人だとい うことになると、非常に大変なことも起こりうる。ケアをするのが大変じゃないかとい う可能性もあるので、そのへんのところをうまくやらないといけないんじゃないでしょ うか。 ○井形委員長  そうですね。そういうことがあるからこそコンピューターを使って、即時で、リアル タイムでやりましょうということなんですけれどもね。 ○谷川委員  ええ。それはいいんですけれども、例えば 100例登録した場合に10例しかできない。 90名の人ができないという状況になって、その人は、やっぱりインフォームドコンセン トでやるわけですよね。それは移植ができないで亡くなられるという事態が起こるわけ で、そのようなことをどういうふうにケアして、どうしたらいいかということが一番大 きな問題じゃないかと。 ○井形委員長  それは大きな問題ではありますね。ありますけれども、ただまあ、今の場合、それ じゃあ、別にかわるべき方法があるかということは、やっぱり公正な、皆さん同じ条件 で待っておるわけでありますから、命の贈り物、臓器の贈り物があったときは、ある ルールに従ってしましょうということを担保すると。そのうちにドナーがたくさん出て くれば。 ○谷川委員  それは出てくればいいんですけれども。 ○水戸委員  その点は、今、谷川先生がご心配されるのは当然なんですが、腎臓でも、今、16,000 人の方が登録して、年間、死体腎の提供というのは 200例に満たないわけですから、 ざっと計算すると 100年近くかかってしまうと。それでも皆さん再登録をしていると。 ただ、透析があるからいいんですが、肝臓の場合になるとやはり、例えば余命1年未満 というか、そういう方が登録されるわけですから、希望を持たせることしかできない。 ある意味ではね。だけど、やはり登録しない限りは選定しようがないということですか ら、当初はやむを得ないんじゃないかと思います。 ○井形委員長  これもやっぱりいろいろ現実に即してしていくと思いますけれどもね。 ○谷川委員  あまりたくさん登録しない、逆に少なめにしていかないと、やっぱりちょっと。 ○水戸委員  ですから、おそらく肝臓のほうでは、I群、II群、III群とつけたII群、III群という は、おそらく登録されないで、I群の方が、例えばI群ですと先天性胆道閉鎖症ですと 400例ぐらいいらっしゃいますから、そのぐらいの方が登録するということになってく んじゃないかと思いますが、実際には。 ○開原委員  これは当たり前のことかもしれないんですが、臓器移植と言ったときには、例えば生 体肝移植とか生体腎移植も臓器移植の一部にはなると思うんで、それは含むのか含まな いのか。多分含まないんだろうと思いますが、そこははっきりさせておいたほうがいい のではないかと。 ○井形委員長  これは後でまたどこかに出てきたと思います。含まないです。含まないでまいりま しょうということですね。 ○横山委員  その点では、腎臓移植ネットワークのときに、生体間の腎移植についてのデータも収 集していくという一文が入っておりましたから。データの収集という意味では入ってい るんじゃないですか。考え方が同じだとすればですね。 ○重藤補佐  データの収集については、腎臓移植ネットワークについては確かにあったかと思いま すが。ただ、多臓器のときにどのようにスタートするかということはご議論をいただけ ればというふうに思います。 ○吉原委員  先ほどのネットワークを通さない臓器移植は認めないというのは、報告書でそういう 考え方を出したとき、どこで、何で決めるんですか。そういうことは、世の中にどうい う形でそういうことを決めることになるんですか。いろんな決め方があるでしょうけれ ど。 ○重藤補佐  ですので、広く周知をすると。 ○吉原委員  何かで決めなくちゃいかんわけでしょ。それは何で決めるんですか。この報告書が出 たあと、役所としてはどういうふうなことでそういうことを。周知って、新聞に書くだ けというわけにいかないでしょ。どういうふうにするんですか。 ○貝谷室長  ここでのご議論につきましては、私ども、基本的に多臓器ネットワークの運営のベー スにしますし、局長通知等で行政上の文書としてきちっと示す予定でございます。それ から、当然ながら当該ネットワークに対しては私どもの局長のほうからの文書で、こう いう検討の場で、こういう結論になったと。これに基づいた運用をすべしということは きちっと示していく考えです。 ○吉原委員  その文書というのは、都道府県知事あての文書というか。 ○貝谷室長  いいえ。もちろんそれにも載せることはあると思いますが、直接的にはネットワーク に対しましてそういう内容の通知を行うとともに、間接的になりますが、当然都道府県 のところにも中に入れて示していきたいというふうに思っております。 ○吉原委員  しかし、ネットワークというのは何だというのは全然わからないですよね、まだ今の ところ。そういうのはどういうふうな手順を考えているわけですかね。割合これはきち んとしないと。私は実態的にはこういうことでいいと思うけれど、よく考えておやりに ならないと、いろいろ議論が出てくると思いますけれども。単に通知というようなこと で済むかどうかというのは。 ○貝谷室長  基本的には法体系の中で、そういった今のネットワークを通さない移植というものに ついての直接的な規定はございませんので、あとは、こういった当然のことをきちっと やれるように、この委員会での結論をきちっと、先ほどいいましたように行政的には通 知によって、当該ネットワーク、それから当然各医療機関に対する連絡という意味では 都道府県経由のそういった通知の中できちっと示していくことになると思います。 ○吉原委員  少なくとも法令の形じゃないんですね。 ○貝谷室長  ないです。 ○吉原委員  法令というのは、政令とか省令とか、そういう形じゃない。実際の運用基準みたい な。 ○貝谷室長  実際上の運用の基準できちっと。 ○井形委員長  本日は、主な論点を大体まとめていただいて、これからまだ具体的に詰めていくわけ でありますから、いま言われたようなことは、厚生省で少しお考えいただいて、手順を どういうふうにしていくか、私もあまりクリアカットにはわかっておるわけではありま せんが。  少し時間を急ぎませんと全部審議が終わらない可能性がありますので。  それじゃあ、基本的考え方は今のようなことでよろしいでしょうか。腎移植ネット ワークを母体として組織していくと。それから、公正・適正な、あれにも書いてあった のと同じですね。それから、国際間の問題はネットワークを一元的窓口にするというよ うなことでありますが。ご異議がなければそのようにまとめさせていただこうと思いま す。  次は、レシピエントの選択及びドナーの適応については、心臓、肝臓、腎臓それぞれ のレシピエント選択基準を作りまして、それに基づいて公平・適正なレシピエントの選 択を行うべきであると。これはよろしいですね。  それから、レシピエントの登録名簿の管理は、全国で統一的に行う。全国ネットワー クを通じた臓器の配分を行うべきであるということ。これもよろしゅうございましょう か。どうぞ、ご意見があったらどしどしおっしゃってください。  それから、レシピエント選択の評価及びその結果の公表。問題事例の審査。移植医療 に関する統計処理、情報提供などは積極的に行う。行うべきであるということになるの でしょうか。これはネットワークが行うことになるんですね。よろしゅうございましょ うか。今は、レシピエントの選択及びドナーの適応についてであります。  それから、ドナーの適応は、移植関係学会合同委員会で作成したドナーの適応基準と 同じとすると。これからネットワークも厚生省も移植関係学会の合同委員会も一本化し ないと信を問われますのでね。それぞれ違った意見が出てあれすると困りますので、そ れはぜひ一本化したいと思いますが。今のドナーの適応基準、よろしゅうございましょ うか。 ○川島委員  移植関係学会合同委員会で決められたドナーの適応基準というのはかなり古いもので ございますけれども、これを先日来、ワーキンググループの中で見直しておりますが、 これはこの次の移植関係学会合同委員会のときに提出させていただくということでよろ しゅうございますですか。 ○井形委員長  これは定期的に見直していく。時間的に余裕ありますか。 ○重藤補佐  次回、7月の29日に移植関係学会合同委員会が開かれるということでございますの で、そこの議題として適応基準が取り上げられております。適応基準がございません と、ネットワークの事業も走れませんので、日本循環器学会の矢崎先生がおいでです が、最終的にタートするときの基準をそのときにお示しいただき、また、それに基づい て行う審査についても、一応手順をお示しいただけたらということでお願いをしている ところでございます。 ○川島委員  わかりました。 ○井形委員長  ここでは、合同委員会が新しい案を出されましたら、それはそれですけれども、ここ で考え方としては、合同委員会で作成したドナーの適応基準と共通させると。よろしゅ うございますか。  それから次が、選択基準の見直しでありますが、もちろん、先ほどから何遍も申しま すように走りながら考えるということであれば、選択基準については定期的に見直しが 必要である。これは国会でも言われていることでありますが。当面の間は公衆衛生審議 会、移植の専門部会ができておりますけれども、その検討を行いますけれど、将来的に は臓器移植ネットワーク内にそのための体制を整備していくべきである、ですかね。こ ういうことでよろしゅうございますか。最初から整備しておいてもいいんですけれど、 ちょっと時間的には間に合わないと思いますね。  それから、当然のことでありますが、肺、膵臓などの選択基準が必要になってまいり ますが、これも公衆衛生審議会の専門委員会ですね。専門委員会に作業部会を設置して 早急に検討していきたいと。いくべきであるというのかな。  今までのところで特にご異論がなければ、こういう方向で合意が図られたということ でよろしゅうございますか。  次が、臓器移植ネットワークの運営などに関してであります。  まず、現在のブロックセンターがございますので、それはそれでそのとおり行ってま いるわけでありますが、具体的な提案を受けていますのは、心臓、肝臓については当 面、東西の2地区体制ではどうか。これは非常に重要な問題でありますが、よろしいで しょうか。ひとつは、ネットワークですから日本全国を1地区としてネットワークする というのが建前でありましたけれども、肝臓も腎臓も東西それぞれ1施設ずつでスター トするわけでありますので、2地区制度に分けて。そして、これは皆さんのほうにはあ れですかね。東海・北陸ブロックは、ちょうど東西に分けますとまん真ん中に当たるも んですから。それで、差し当たりは西地区に属することになりますけれども、これは、 具体的にはまたいろいろ問題が起こってくると思うんですね。それで、基本的にそうい うことにしておいて、そして、例えば静岡、富山あたりが東京の施設、あるいは東京の ほうが便利だということであれば、それはそれでまた対応を考えていくと思いますが、 大まかに言って。はい、どうぞ。 ○大島委員  私も井形先生と同じ東海・北陸地区に属しているので。今までのブロックセンター が、ブロックセンターとして一応腎臓の場合に機能していますので、心臓とか、特に心 臓だと思いますけれども、できるだけ、東西2地区に分けるのは、これは今の流れから いって、最初スタートするのは東西2地区というのは非常にやむを得ないというのか、 それでスタートするのが極めてリーズナブルかなというふうに私自身は思います。  それで、東海・北陸が、そうするとちょうど真ん中に当たるわけでして、それで、ブ ロックとして一応機能していますので、その機能が、真ん中で、例えば静岡は東のほう に近いからということで、真ん中で切られますと業務そのものの内容が非常にやりにく くなりますので、一応属するのは西なら西ということに東海・北陸ブロックは属させて いただきまして、それで現実にドナーが出たときに、それは今、6マッチでもそういう 場合にどう対応するかということは、東海・北陸ブロックから北海道へ送ることもあり ますし、沖縄へ送るということもありますので、ドナーが実際に出たときに東海・北陸 の中で、井形先生がセンター長ですけれども、センター長のご判断でどちらへ送るのが 実際的かということを東海・北陸の中で決めさせていただくほうが業務としてはうまく いくんではないかなというふうに思います。 ○井形委員長  いかがでしょうか。アメリカと比べては、日本はネットワークとして全日本ひとつと いうことが最初はうたわれておったわけですけれどもね。現実に北海道の人を大阪へ運 ぶ。臓器をですね。ということもあまり現実的ではありませんし、これを分けるという のを、原則として分けると言ったほうがいいのかな。どうでしょうかね。  それで、関東・甲信越ブロックセンターが東地区の、近畿ブロックセンターが西地区 の中核となるセンターの役目を果たすべきである、ですかね。したほうがいい。この報 告書になるわけでありますが。  どうぞ積極的にご意見をおっしゃってください。これは、報告書が出ますと皆さんの ところへそれぞれ合意したのかどうかという責任が問われますので。  肝臓もこの対応で全部いくんでしたっけ。 ○川島委員  今の先生のおっしゃったのは、腎臓についてはブロック。 ○井形委員長  以前のとおりね。 ○川島委員  以前のとおりにやって、その上に心臓と肝臓については東西に分けてやるということ でございますね。その場合にはやはり、一番最初に先生が、患者の登録名簿の管理など は全国統一的に行うとおっしゃいましたけれども、この東西に分かれている時点におい ても、それは全国統一してやるわけですか。むしろやっぱり、その時点ではまだ東西に 分けておいたほうが機能的にはファンクションしやすいように思いますが、その点はい かがでしょうか。それ以外の機能もいろいろあると思いますが。 ○重藤補佐  ちょっとそこの一元的というところの意味なんでございますが、要するにネットワー クが名簿管理を一元的にやるということでございます。ですので、例えば腎臓について も、それぞれ名簿の管理を各ブロックごと入力なり情報管理をやっています。各ブロッ クセンターもネットワークの一員でございますから、各ブロックセンターでそれぞれ データの管理を行っていても、それは一元的にネットワークがやっているという意味で す。第2ネットワークとか第3ネットワークとか、そういうものを作るということでは なく、要するにデータの管理はネットワークが行うという一元的の意味で、ネットワー クの支部であるブロックごとの区分けをするしないの一元、二元の意味ではありませ ん。名簿管理をひとつにするのか、各ブロックごとするのかというものは運用で決めて いただければと考えております。ですので、基本的考え方の一元的という、事務局が書 いた心づもりは、ネットワークが管理をするという意味でございます。  ですので、西、東に分けず全部ひとつで全部やるべきだというのもご意見でございま すし、物理的に心臓の場合は臓器の摘出から血流の再開まで4時間ですので、北海道で 臓器が提供された場合、1番に選択された方が大阪で入院されているというようなとき に北海道から大阪へ行くよりも東京で待っている1番の方に入れたほうがより適切なの かどうなのか。そこらへんのところのご判断かと思います。ですから、ネットワークが 一元的に名簿を管理するんでございますけれども、その運用の仕方をどういうふうに 作っていくのか、当面、移植施設は東西1カ所ずつという状況に合わせて、どういう運 用を図っていただけるかということで、今、ご議論をいただいていると考えています。 ○水戸委員  これ、心臓、肝臓でそれぞれまた違ってくるんですが、井形委員長がおっしゃったよ うに、原則としてという言葉をぜひ入れてほしいと思うんですね。出た場合に、肝臓で すと、関西地区に一番適合する方が、1番の方がいらっしゃる。札幌から直行便で関西 空港あるいは大阪に送れば十分間に合うわけですから、やはり一元的に管理をしておい て、肝臓の場合は全国でレシピエントの登録は一元的に管理をしておいて、ドナーが出 たときに、移植施設は東西それぞれ置いておく、1カ所ずつで結構ですが、当面は。ど こに送るかは、やはり選択基準で決まった1位のところで、最も交通手段がいいところ という場所を、やはり1位になる方は何人も出てくると思いますから、そういうこと で、原則としてというようにしていただければ有り難いと思います。 ○井形委員長  東海・北陸ブロックは、静岡なんかが問題になりますが、静岡は大阪へ行くよりも ずっと東京が近いんですね。でも、ブロックで分けますと愛知は大阪へ属することにな りますが。静岡の人は、大阪府移植病院としては東京を希望することが起こりうると思 うんですけれどもね。ですから、画然と2つに東西ブロックに厳重に分けると。東の人 は絶対西へ行ってはいかん、西の人はいかんと。そういうイメージが出るのはまずいと 思うんですね。ネットワークの原則から言って。原則じゃまずいですか。これも、報告 書が出たらそのまま一人歩きしちゃいますからね。どうします。 ○横山委員  今のテーマは、ネットワークの運営についてのお話ですよね。 ○井形委員長  はい。 ○横山委員  ですから、ネットワークを運営する上で、東のブロックセンターと西のブロックセン ターと分けて、そこではそれぞれ運営するというお話で、臓器の分配とか登録とかいう ことについての運営をする問題であって、実際の配分とかとは違うことですよね。配分 については、先ほどの原則どおり配分すればいいわけですから。そういう意味で、運営 ということでは東西2つに分けると。移植施設も2つしかないわけですから、それでい いんじゃないかと思うんですけれども。 ○井形委員長  そういう表現でいいですか。 ○開原委員  ちょっと私もよくわからないんですが、質問なんですが。これはむしろ理念的な問題 だと思うんですが、東西に分けるという意味は、仮にドナーが出たときには、もしそれ が東側のドナーであったときは、西側のレシピエントということは全く考えに入れない ということなのか、それとも一応考えに入れた上で両方で、一応マッチングは両方で とってみるのかみないのか。そこは、どっちかということはかなり理念的に違った話に なるんだと思うんですけれどもね。東のレシピエントだけしか考えないのか、それとも 両方を考えるけれども運用上で東のほうを選ぶというふうに考えるのかというのは、か なりきちんとしておかないと。 ○井形委員長  私は、運営上のほうがいいんじゃないかという気がしますけれどもね。 ○大島委員  開原先生のお話は、出来上がり図をどこでどういうふうに考えるかによって話が全然 違ってくると思うんですね。アメリカで例えば心臓が 4,000例行われていると。それと 同じイメージで物事を考えていいのかどうかという話になるわけで。腎臓の場合でも、 今は 200例ですけれども、これが 2,000例になったら、今のブロック体制というものを よほどきちんとしておかないといけないということは当然よく理解できると思います。 心臓の場合に、当面、年間に数例しか当然行われないだろうという前提でお話をしてい るものですから、非常に過渡的な話にならざるを得ないと思うんですね。  ところが、理念として考えた場合に一体どうなのかというのは、出来上がり図をもし 考えたときに、年間に日本で心臓が 400という、仮にですね。それぐらいの数が行われ るということになれば、これはもうブロックをきちんとしないと多分非常に難しいお話 になるだろうというふうに思うんですね。  そういう意味で、今、理念としては当然、腎臓で走り始めているひとつの組織がある もんですから、この組織というものはきちんと維持していくと。そこの中に過渡的に、 どうしても過渡的に心・肝が入らざるを得ないと。それを、最終的にはこういう形にな るんだけれども当面は、という言葉をどうしてもつけざるを得ないので、そういう意味 では、かなりフレキシブルな議論をせざるを得ないんじゃないかなというふうに思いま すけれども。 ○井形委員長  どうぞ。 ○重藤補佐  その考え方はどちらでもよろしいかと思いますが、ただ、患者さんは、おそらく余命 が幾ばくかの方で、ICUに入っていたり入院されている方と思います。したがいまし て、移植待機中は、おそらくそこの移植病院で入院されているか、それかその近くで生 活しながら通院治療を受けて待っているというような状態かと思います。したがいまし て、患者さんについては西で移植を受けられるのか、東に移植を受けられるのか、どち らかを選択せざるを得ないかと思います。それはもう決まることだと思います。そのと きに、臓器が提供されたときに、その臓器を、全国で1番に選択された方に配分をする のか、それとも、心臓の場合は4時間の制限がございますので、東で提供された場合東 地区の1番、西で提供された場合西地区の1番というような、ルールを作るのか作らな いのか。そうでなくて、日本全国どこで提供されてもとにかく名簿の1番に移植し、 西、東は関係ないということにするのか。そこらへんをきちんと決めていただかないと いけません。どちらでもよろしいんですが、ただ、ネットワークで運用するときに、コ ンピューターのロジックを組まなければなりませんので、あらかじめどちらであるべき かというご提言をいただかないといけません。どちらでもいいということであるとロ ジックが組めなくなります。  したがって、東で提供された臓器も、西・東合わせて、どちらでもいいからとにかく 優先順位の高い方に行く、そういうルールにするのか、それとも、東で出たものは東で 完結をするのか決めていただきたいと存じます。そこをご判断いただいて、どちらかご 示唆いただければ、それによってコンピューターを整備できると考えています。これも 早く決めませんと、最初のスタートのときのロジック、選択のコンピュータープログラ ミングができませんので、方向性だけご議論をいただければと思います。 ○川島委員  それはそんなに難しいことはございません。心臓に関して言えば、東で出たものは 東、西で出たものは西です。それは、保存時間の関係から、現時点ではそうせざるを得 ません。問題になるのは、やはり静岡県、そのあたりだと思いますけれども、2カ所し かないんですから、「おい、おれのところにレシピエントおらんよ」といって電話をす ればそれで済むことですから、そんなに難しいことではないと思います。肝臓はちょっ と違うかもしれません。 ○井形委員長  ひとつは、両方をきちっと、2つのネットワークを作るというイメージは避けたほう がいいと思うんですね。せっかくネットワークを作るのにね。それから、もしか東ばっ かりに10人ドナーが出て、西に全然出ないということが起こったときに不公平感がずっ と出てくると思いますね。だから、いま言われたように、緩く連携して、原則として東 は東、西は西ということでじゃまずいですか。 ○重藤補佐  ただ、コンピューターがそこの要求に応えられるかどうか。 ○横山委員  今、なぜそのような話が蒸し返されるのか、ちょっと理解が困難なんですけれど。先 ほど選択基準で、一番先に話題が出たときに、選択基準が出されて、まだブロック化す べきか云々かんぬん、条件が整わない以上この選択基準でいくというふうに私は了解し たわけなんですね。現在そういう状況なんですから、西だの東だのといったことは関係 ないと思うんです。先ほどもう議論が済んでいると思うんですよね。患者選択について は。 ○重藤補佐  心臓については、移植施設が東と西に1カ所ずつあります。心臓についてブロック、 ブロックといいましょうか、要するに腎臓のような7ブロックという体制はそろってい ませんが、施設が東西1カ所ずつとなれば、時間的制限が4時間というエリアを考えた ときに、やはり、ブロックというものを考慮した基準というものが考えられます。 ○横山委員  ですから、受ける患者から見ればそれでいいんですけれど、ドナーは東に出るかしれ ないし、西に出るかしりませんし、今、水戸先生がお話しになったように、北海道から 大阪まで2時間で行っちゃうわけですから。そうですよね。ですから、臓器の配分につ いてまで東は東、西は西というふうにする必要はないんじゃないですか。一番先にお話 しになったとおり、選択基準に従って、その時間内にやると。 ○重藤補佐  心臓も肝臓もひとつだと。 ○横山委員  いうことでもってやるというふうに先ほど了承されたと思うんですから。 ○水戸委員  選択基準の中にもう既に制限がある、4時間という、向こうのほうは。うちらは12時 間ですから。ですから、心臓の場合には東は東、西は西と思うんですが、肝臓の場合と いうのは、まだ12時間。それは一元的に運営するということでしておいて、あとは、移 植センターを2カ所にするということだけが決まっていれば、あとは選択基準で。 ○野本委員  多分このネットワークが動き出すと、トラブルが起こると「おまえ何とかせい」と言 われる役割になると思うんで、その立場から少しお願いしたいんですけれど。  私、東西に、近畿のブロックと、それから関東・甲信越のブロックセンターと2つの センターがついているのは、むしろその近くにある移植センターを情報面でサポートす るために必要なシステムだと考えておりますから、分けるのはやりやすいようにお分け になったのでいいと思うんです。ただ、できる限り近くに情報を提供してくれるそうい うセンターがないと、ブロックセンターがないと移植施設はやりにくいと思いますの で、西と東に、近畿は少し人員も強化して西のほうの心・肝のチームを支援すると。そ れから関東・甲信越は関東の2チームを支援するという体制さえ認めていただいておけ ば、あとはよろしい。どういうやり方でおやりになろうが何とかやれるだろうと思いま す。ただ、その2つがなくて、両方とも一元で本部から情報を提供して云々ということ になりますとなかなか、手抜きがあったりしたらというか、手落ちがあったらいけませ んから、そんな感じはします。 ○井形委員長  しかし、具体的にはやりにくいですね。厚生省の言うようにきちっと決めておいがほ うがコンピューターには良い。 ○野本委員  それでも、作られても、川島委員がおっしゃられたように、2つのブロックしかあり ませんので、そこで電話一本かければ大体協定ができるんじゃないかと。今度から、脳 死からの移植に関しては、初めの時期はかなり地域的にも、それから臓器の提供に関し ても調整分野が多くなると思うんです。だから、調整分野のベースにはきちっとした ルールを作っておいていただきたいと。きちっとしたルールを作っておいていただい て、医療現場である程度の調整をやるというやり方しかないんじゃないかと思うんです が。例えば、いま言った静岡や富山の扱いと同じようなことがいろんな面で出てくるん だと私は思っているんですが。 ○井形委員長  はい、どうぞ。 ○大島委員  それからもうひとつ、システムとして動かそうと思うときには、レシピエントをどこ へ登録するのかという、どこで受けるのかということの問題が出てくるんですね。例え ば腎臓でいけばブロック内で、ブロック内に登録している。最大限の幅でですね。です から、県ごとに登録しているということもありますけれども、少なくとも、それはどこ で決めているかというと、その居住地区でもって決めるわけですね。そうすると、水戸 先生のお話の場合に、日本国ひとつであるというふうにすれば、プールはひとつのプー ルだと。ひとつのプールにした場合に、最適の患者さんが決まったと。決まった場合、 どこで受けるのかというのは、その患者さんが希望した2つのうちこっちだと。それは 北海道の人が西のほうへ行って受けるケースもあれば、九州の人が東のほうへ来て受け るケースもあるだろうということを想定されたお話なのか、それはやっぱりちょっと具 合悪いと。どこかで線引きをするのに西、東、あるいはブロックとかということが、レ シピエントの登録というところでシステムとして動かそうと思うと何かの線引きが必要 になってくるということがあるかと思うんですね。 ○井形委員長  きょう何とか結論を作らなきゃいけないんですが。どうぞ、なるだけ多くの方に発言 していただきたいと思いますが。原則としてじゃまずい。 ○重藤補佐  ただ、コンピューターのシステムを作るのに、どういうようなイメージでプログラム を作るのかということがございますので。例えば心臓の場合は4時間という時間的制約 があるということで東西で分けるということであれば、関東地区で東の名簿登録を行 い、西は西で行うということが考えられます。そうであればそれぞれの順位を別個に 作っておくということになりますし、もし全国ひとつだということになると、中央で、 全部のデータを入力して、どこから出ても全国で1番を選択することも考えられます。 あとは、患者さんがどこに入院しているのかで移植病院が決まるということで、そこの 組み方が若干違ってきますので、日本一律全部ひとつに名簿を管理すればいいのか、そ れぞれ分けて入れるのかだけわかれば、あとは作れるんではないかなと思います。 ○開原委員  この問題は、私は、レシピエントの名簿を全国で1つにしておくのか、それとも2つ に分けて持っておくのかという話だと思うんですが、私は、やっぱり臓器移植の理念的 な公平・公正という話からすれば、やっぱりレシピエントの名簿は1つにしておくべき ではないかなと思うんですが。ただ、運用上は、全く1つの名簿を東と西が両方がコ ピーして持っているという、そういう状態が一番いいのではないかという。ですから、 東のほうでも西の名簿も持っているし、西のほうでも東の名簿を持っているという、そ ういう状況をやっていくということでいいんじゃないかと思います。 ○井形委員長  僕も、全国のネットワークなら、それがあるべき姿だと思ってもいいんじゃないか と。 ○藤見委員  今の腎臓移植ネットワークも、1つのソフトにそれぞれのブロックセンターから情報 を入力して、レシピエント選択のときの条件として全国で選択する場合とブロックで選 択する場合があるわけです。ですから、同じソフトに東と西で打ち込んでネットワーク でつないで、全国で選択する条件と、東で選択する条件、西で選択する条件を作ればい いんで、そんなにソフト的に難しいことは何もないと思います。入力をそれぞれのブ ロックで打ち込むか、ないしは、中央で打ち込むか、そこは運用上の問題だと思いま す。 ○井形委員長  今のご提案でどうですか。いいですか。 ○吉原委員  これは意外となかなか難しい問題じゃないかと思うんですけれど。患者はどちらか、 東か西かどちらかを選べるんですね。これは患者の意思を尊重しているわけですか。 ○井形委員長  はい。それは特に静岡やあれなんかは、東京に近い人は東京に。 ○吉原委員  東京の人が大阪を選ぶことができるわけですね、患者。大阪の病院で受けるというこ と。それはできるんですね。 ○井形委員長  できるんですね。 ○大島委員  腎臓の場合は、一応ブロック内で、そこから先のもっと細かい規定はないかとは思い ますけれども、原則として、その県の人はその県内で受けるという形に。ですから、そ の県内の病院を選ぶのはその患者さんのある部分自由ということはあるかもわかりませ んけれども。 ○吉原委員  ほかの肺とか心の場合はどうなんですか。 ○大島委員  これは、今のところ全くありませんので。ただ、将来、先ほど開原先生のお話にあっ たように、 400例、 500例というようなことを考えたときに、患者はどこでも、例えば 九州の人が北海道で受けるのは自由であるというようなことをやりますと、そうすると 今度はシステムをどう考えるのかという話が次には出てくるかと思います。 ○吉原委員  じゃあ、原則としてそういうことは認めないんですか。九州の患者が北海道で。 ○大島委員  腎臓の場合にはないと思います。認められてないと思います。 ○吉原委員  肝・心の場合はどういう考え方なんですか。どういうふうにやろうと思っている。 ○川島委員  心臓の場合は、現実にここのStatus1、Status2の患者が対象になるんですが、 Status1の患者というのは入院しているわけですので、選ぶということは現実にできま せん。入っている入院で手術を受けるしか仕方がないわけです。それから移るというこ とはできないわけです。 ○吉原委員  いや、そうなんですか。 ○川島委員  ですから、臓器によってそれは違うんです。 ○水戸委員  肝臓の場合は選べるんですね。肝臓の場合は。ですから、臓器によってそれぞれ違う んですが、例えば肝臓の場合は、九州の方が北大に行きたいということを希望する方も いらっしゃる。 ○吉原委員  それは認めるんですか、認めないんですか。 ○水戸委員  ですから原則として。だから、あとはレシピエントの登録のときにどこで受けるとい うことを登録させれば私は結構だろうと思うんですが。どこの病院で受けたいと。例え ば今、最初は当初は東西の2カ所ですが、いずれ多くなった場合にはブロック単位とい うことになるだろうと思いますので。ですから、当初は2カ所ですから、東ならばどこ の病院を選ぶ、西なら京都大学なら京都大学を選ぶと。それは患者さん、レシピエント が地区に関係なしに病院を選択すべきだろうと思うんですが。 ○吉原委員  患者の立場から言うと、私は、西の患者が東の病院を選べるようにすべきだと思いま すけどね。 ○水戸委員  と思いますね。 ○吉原委員  臓器のほうは全国どこでも一本。一体東西2地区に分けるというのは一体どういうこ とになるんですかね。 ○川島委員  現実に腎臓のように長期間保存できる臓器であってもブロックに分けて仕事をしてお られるわけなんですよね。 ○吉原委員  ですから、腎臓と肝臓と心臓とは全部違った基準になるんですか。 ○川島委員  それぞれ違うんですね。 ○吉原委員  違うんですか。違うんなら違うらしく区別して考えないと、何か議論がこんがらがっ ちゃうんですね。 ○井形委員長  腎臓と違う心・肝を、違うからこうしましょうかという案が出ておるわけですね。で すけれども、あまり画然とする、例えばそれは、循環器病センターへ入院していても、 東京の人が大阪へ行って娘さんのところで悪くなってそこでするということはあるの で、何も関東の人が関西にと言っても、別に住民票とかそういうものを出せということ じゃありませんから、そういう意味では選べる。 ○川島委員  そういう選択はもちろんできるわけです。移植の適応となって待っている状態の患者 さんは施設は選ぶことはできない。対応するということはとてもできませんということ なんです。 ○横山委員  ちょっと一点確認したいんですけれど。川島先生にご質問したいんですけれども。患 者選択ですね。レシピエントの選択には時間制限を優先させると、こう書いてあるわけ ですね。そこで、地区を優先させるという考えがおありなんですか。今現在は。 ○川島委員  あります。 ○横山委員  例えば、ぎりぎりのところですね。静岡なら静岡のドナーが東京へ行ったほうが近い のに、そこが西地区だとすれば、その心臓は関西でやるべきだというお考えがあるわけ ですか。 ○川島委員  どこかにこれは書いたつもりですけれども、ブロックごとに考えるというのを基本に しないと非常にコンフューズするだろうということで、ブロックごとにやるということ を考えていますけれども。しかしそれは、この2ページの具体的選択方法のBのところ に書いてありますが、そういうスタンダードでいきましてブロック内に適応する患者さ んがおられない場合には、何番かの順番でここでいきますと。優先順位4のところから は他のブロックのところの患者さんにアプローチするということになっております。 ○横山委員  そうすると、東西に2つのブロックとすると。肝・心移植に関してはですね。 ○川島委員  当面そうですね。 ○横山委員  という状況は、もう既に先ほどの説明で、これはブロック化が機能的にも制度的にも 行われた状態と、こういうふうに考えるわけですね。 ○重藤補佐  そこらへんは先生方のご判断で。事務局としては、要するに2つで運営してくれとか 1つで運営してくれということは申し上げる立場でございませんので。 ○横山委員  それは、全国7つ、8つ。 ○重藤補佐  7つということはないですね。要するに、今の腎臓移植ネットワークは7つでござい ます。それがそのまま生きるということは絶対にあり得ません。ただ、そのときに、 今、2施設ずつあるという状況をどういうふうにご判断、先生方がいただくかと。それ で、2施設だから東西2つのブロックという緩い考え方でどうなのかというのがひとつ の考え方でありますし、それから、そんなの2つだったら、もう全部1つにして統一で やって、もうブロックなんか考えないで全国、東から出ても西に入れるし、一番選択基 準の高い方が入院している病院でやりゃいいじゃないかというのもひとつの考え方でご ざいます。そこらへんはもう、ここの先生方のご判断でいただければ有り難いなという ところでございます。 ○井形委員長  ネットワークの中にブロックをたくさん、7つ作ってきたわけですから、1つのネッ トワークに東西の両ブロックを置くということならいいんでしょ。 ○川島委員  そうです。具体的にはそうだと思います。 ○井形委員長  ですから、いわゆる東は東だけの患者のリストも、西から出たら絶対東に交流がない という形にしないという形の2ブロックならいいんじゃないですか。そうしたら皆さん ご賛同いただけると思いますけれども。それじゃ困る。 ○重藤補佐  それは結構でございます。 ○井形委員長  いかがですか。いいですか、先生方。きょうは総論ですから、ほんわかとした報告書 にはね。今のぎりぎりの議論は、もうちょっと時間をかけておきますけれども。だか ら、1つのネットワークの中に東西の両ブロックを置くと。それで、その中心となるの は関東と近畿が中心になると。 ○矢崎委員  やはりブロックで分けるということに対して一般的な理解が十分、この中での議論で も相当議論を呼んでいますので、やはり両方、誰でもアクセスできるような母体のデー タベースを置いていただいて、心臓の場合には優先順位でトップに虚血時間ということ がありますから、その中から患者を選ぶ場合には、虚血時間でやればどうしても東西に 2つにセンターに分かれてしまうので、最初から東西を2つにブロックに分けて云々と いうと、やはりいろいろ議論が分かれて、例えば腎臓とか肝臓であれば全国統一だけれ ど、心臓だけ東西にブロックを分けるというとなじまないと思います。  ですから、最終的には2つのセンターになるので、どこからでもアクセスできる。ど こかが責任を持って最終的に管理して、心臓の場合には第一の条件、虚血時間がありま すので、もうマップを作っちゃえば自然に、その結果としてブロックが分かれますの で、最初から東西を2つのブロックというと何となく釈然としないところがあるので、 いかがでしょうか。ドナーが多く出るということがわかればまた別ですけれども、そう でない限りは非常にセンシティブになっていますので、できれば公平・公正という意味 では全国に誰でもアクセスするような状態に。これではちょっと運営上難しいのでしょ うか。 ○重藤補佐  いや、大丈夫かと思います。 ○矢崎委員  それで、自然に運営上、東西の2つの地区に分かれ、交通の便利のいいところは少し 遠くても西に入ったり東に入ったりするかもしれません。 ○川島委員  今、矢崎先生がおっしゃったように、単一のコンピューターを使ってやっても、結果 として2つに分かれるということになるんですよね。それはそれでいいんですけれど も、そうしたら、それじゃそういうマネージをどこでやるかということになると、先ほ ど野本先生がおっしゃったように、全国統一で1つだから、近畿のブロックに何もサ ポートしないよ、関東・甲信越のブロックセンターにも何もサポートしないよ、という のでは機能しにくいのではないかという、そういう点があると思うんですね。ですか ら、そこで実際にファンクションする組織のある、インスティテュートのあるところの ブロックセンターというのは何らかの形でやはり手当をしてやらないと機能しにくいん じゃないかと、そういうことでございます。 ○矢崎委員  これは、先生、腎臓のネットワークと心臓のネットワーク、肝臓のネットワークで は、支援体制は随分違うと思うんです。さっき谷川先生がおっしゃられましたように、 心臓の場合にも非常に患者さんの状態が刻刻変わるわけですね。その情報をきっちりと らえるというのは、例えば、ある治療法によって一時適応から除外してよい患者さんも 出てきますし、そういう意味で心臓の場合には疾患を優先ではなくて、大体我々が考え ているのは拡張型心筋症を考えていますので、その場合にはやっぱり患者さんの状態と か、そういうことがどうしても優先されてしまうと思うんです。 ○井形委員長  その時々刻刻のことは選択基準ですか。先ほどの中では。どう書いてあるんでしたっ け。この、きょうとあしたと状態が違うとか、いま言うのは、クリティカルな場合は。 ○矢崎委員  重症度の判定ですけれども、患者さんは、例えばStatus1の場合でも、また2に戻る 可能性もありますし。ですから、必ずその人がどんどん悪くなるかどうかというのを、 肝臓の場合でもそういうことを考慮して疾患を優先するというふうに言われているわけ ですよね。 ○谷川委員  しかも疾患によって随分予後が違うものですから、あまり悪いやつを初めにやるわけ にはなかなか。しかも適応の人がたくさんいるもんですか。 ○井形委員長  公正な移植を、ひとつは実務的な意味がありますし、ひとつは対社会的に皆さんに納 得してもらう必要があるんですね。ですからネットワークが重要になってくるわけで。  すみません。予定した時間をだいぶこの問題に使っちゃいましたが、何とか今日、妥 協点を見出したいと思いますけれどもね。 ○吉原委員  私は、お決めになるならやはり、座長のおっしゃった緩やかな基準にされたほうがい いんじゃないかと思いますね。原則としてという考え方で入れて、あまりきちんとした ものでないスタートを。 ○井形委員長  そうですね。ありがとうございます。そうしたら、1つのネットワークで行くと。そ して、現実的には1つのネットワークの中に2つのブロックを作ると。2つのネット ワークを作るわけじゃないということを強調してね。そして、先ほど言われたように、 東に出て適当な条件に合わなかったら西へ行くこともあり得るとかね。そういう。実際 コンピューターの手続をどうすればいいかは、ちょっとまた後で考えますけれども。 ○重藤補佐  わかりました。そのようにしたいと思います。 ○井形委員長  今のようなのでよろしいですか。どうもすみませんが、またこれから、実際に起こっ てみたら、「ああ、これはまずい」「あれはまずい」ということがいっぱい起こるだろ うと思うんですよね。 ○水戸委員  東西に移植施設が2カ所あるわけですから、東西のブロックにそれぞれ支援センター を置くという、私、それでいいのではないかと。あまり画然と、東は関東のブロックセ ンターがやる、西は云々がやるというのでなくて、東西の移植施設に合わせて支援施設 として関東ブロックと関西ブロックがなるということでよろしいんじゃないですか。 ○井形委員長  施設が2施設であれば、それを支援する近くのセンターに任務を負わせると。そうい うことで。しかし、そのあたりはあれですかね。全く、ひとつは、東も西も作らないん だというのと、どこか選択しなきゃいけませんものね。それだけ決めてあったらネット ワークは1つで全国どこへ行っても優先順位は、北海道に出ても大阪へ行く、九州に出 てもこっちへ行くということに理解されますよね。ですから、原則として現実的な処理 は2ブロックに分けて運営するという表現ならどうですか。 ○重藤補佐  そのへん、事務局で十分承って、次回にまたお出しいたします。 ○井形委員長  事務局も苦しいところでしょうけれども。それじゃあ、今のはそれで。  それであとは、今は人員構成は腎を中心に構成していますけれども、多臓器になりま すと心臓、肝臓の関係者を増員する必要があるでしょう。これはよろしいですね。  それから、心臓、肝臓のHLAの検査センターとの連携関係は、腎臓と同様、HLA の検査結果を登録すること、すべきである。それは当然でしょ。よろしいですね、肝臓 もね。  すみません。時間が少なくなってきたので若干端折りますけれども、どうぞ手を挙げ てご意見をおっしゃっていただきたいと思います。  次に、情報管理体制でありますが、レシピエントの登録名簿をどのように作成するか というのでありますが、心・肝の場合には、移植に適応があるか否かを審査した後に ネットワークに登録する手続が必要と。そして、審査する場は関係学会で組織する。こ れはよろしいですか、川島先生。 ○川島委員  はい。問題ありません。 ○井形委員長  主治医から学会の審査委員会にいってネットワークに登録されると。  それから、腎移植で行われている情報管理体制をそのまま多臓器に使いますから、佐 倉病院に設置されたコンピューターをメインシステム、臓器移植ネットワークに設置さ れたものをバックアップシステムとし、それらを活用していく。これは従来の方針どお り。このバックアップシステムというのも、ちょっといろいろいわくがあったわけであ りますが。 ○水戸委員  よろしいですか。学会の審査委員会、例えば肝臓だと肝臓の審査委員会で適応を決め ていくというのですが、実際に、先生、肝臓学会で、例えば急性肝不全が、劇症肝炎が 出たとき、いちいち委員会は開けるんですか、これ。 ○谷川委員  それはちょっと、例えば劇症肝炎の場合は無理だと思いますね。 ○水戸委員  ですから、これはどこで。それこそ支援センターの中での。登録をして、あとは選択 は支援センターの中で、東西のブロックの支援センターで順位づけるということで、学 会の審査委員会の中でいちいち開くということは。 ○井形委員長  それはしにくい。 ○水戸委員  不可能だと思います。 ○井形委員長  登録された時点で。 ○水戸委員  登録した時点で審査ならいいんですけれども。 ○井形委員長  チェックして、これは登録から外れますというようなことを言えばいいですね。 ○谷川委員  それならいいですね。登録した時点で適当かどうか。 ○水戸委員  登録は、それこそ北海道なら北海道のブロックセンターに登録して、そしてそれが中 央のコンピューターのほうへ入っているというシステムで、その登録した患者さんを後 から学会の審査委員会のほうへ出すのはあれだと思うんですが。学会の審査委員会を通 じてから登録されるのでは到底間に合わないと思います。 ○谷川委員  北海道のブロックを通してという意味ですか。 ○水戸委員  いや、それぞれのブロックが、やっぱり僕は登録患者さんを中央のコンピューターに 打ち込まなきゃならないと思いますが。腎臓と同じように。そういう意味では、7つの ブロックは僕はなくならないと思いますね。あるいは、それぞれの施設が中央のコン ピューターに入れるのですか。 ○井形委員長  これは、この審査委員会を通す。主治医は登録するときにチェックを受ければいいん じゃないのかな。チェックを通ってないと登録できないというのでは時間もかかって困 る。いま言われたように。 ○矢崎委員  心臓の場合は、一応拡張型心筋症の患者さんですので、大体この経過がわかりますの で、学会で適応委員会を形成して、そこでリストアップして。 ○井形委員長  決めているわけ。 ○矢崎委員  決めているわけです。 ○井形委員長  それじゃあ。 ○矢崎委員  劇症肝炎みたいに急激に飛び込んできて、重症だからもうすぐ心臓移植ということ は、当面の間はやっぱり現実問題として出てくるかもしれないけれども、そうすると施 設の選定ということが意味なくなってきますので、我々としては循環器学会が適応と認 めた症例の中から選んでほしいという。適応基準の中にあるんです。 ○井形委員長  それは、マニュアルというかルールを決めて、それに合ったものと言っておけばいい んですか。それとも、実際に出ていって審査するわけ。その個々のケースを。 ○矢崎委員  個々のケースを。もう登録しておくわけです。ずっと、そういう拡張型心筋症の患者 さんを、ある時期が来て悪くなった患者さんについては全部登録するように学会で努力 してやっていきます。 ○井形委員長  そうすると、肝臓もそれでいいですね。 ○水戸委員  肝臓に関しては、もうちょっと検討したほうがいいんじゃないかと思います。いろい ろなケースが多いもので。劇症肝炎の場合どうしたらいいかとか、ほかの場合どうした らいいか、ちょっと先生、少し時間をいただいて、検討委員会できちんと方向づけした いと思います。 ○井形委員長  これは、それまでのうちはネットワークの登録は早くしておかないと、登録をして、 それについて新しい条件をチェックしていただいて、外れたものは外すという。 ○重藤補佐  時間がありませんので、そこのところ、肝臓については、事務局のほうで肝臓の先生 方と詰めさせていただいて、次回までにおまとめしてお示しできたらというように考え ます。 ○井形委員長  よろしいですか。どうもすみません。  次が、まずは情報の更新ですね、登録してからの。これは、腎臓は年1回になってお りますが、心臓、肝臓は、その都度、状況が変わった都度、情報を変えていただくと。 これはいいですね。更新料なんていうのはどうなってくるのでしょうか。  原則として、きょうは大まかなところを決めればいいわけですから。  それから、適応についての審査委員会でも定期的に調査していくと。これは、先ほど のものとも関係してまいりますが。  それから、移植待機患者の名簿管理体制。これは、移植施設と定期的な情報交換の場 を設定しておく。これはよろしいですか。  それから、腎移植ネットワークが、今もう活動をしているわけですけれども、多臓器 に対応するように人員をもう少し強力に拡充していくべきである。  それから、審査委員会については、日本腎臓移植ネットワークの審査委員会を基盤と して整備していく。これはよろしいですか。  それから、移植施設は登録制、その施設だけに臓器を配分する。これがきょうの重要 なハイライトになるわけでありますが。この施設の特定は、全国、納得してくださって いるのでしょうね。これを決めていいですか。差し当たり。 ○水戸委員  これは合同委員会でやっているんですね。ですから、ネットワークの関係ではないん ですね。 ○井形委員長  でも、その移植施設に対応したネットワークということになりますからね。そうする と、ここではその希望だけを述べることになるのかな。 ○貝谷室長  今の点ですが、基本的にどこの施設で移植を行うかは関係合同委員会で、お決めにな ることですけれども、ネットワークとしても腎臓はきちっと腎の移植施設ということで 登録されておりますので、心臓、肝臓についても合同委員会のほうで、特定された施設 をネットワークとしてもそれにリンクしてきちっと登録をする。そのように連動してい るという形が必要だということをこの中で一言言っていただければいいと思いますけれ ども。 ○井形委員長  よろしいですね。それから、移植関係学会合同委員会の指定された施設を登録する。 これは整合性。別でやることはできませんから。  それから、その定期的な見直しは、同じく移植関係学会合同委員会のご提案による。  それから、問題のあった移植施設は登録を抹消し、臓器を配分しない等の処置をと る。これは表現がきついですね。現実にはこうですけれども、この精神を表現していく ということですね。 ○吉原委員  ひとつ教えてください。法律ではどこの病院でやってもいいことになっているんです か。 ○重藤補佐  はい。 ○吉原委員  それだけです。 ○井形委員長  ありがとうございます。多分、指定されたところ以外はやらないと思いますけれども ね。だけど表現は、いくつかの病院が指定されて、差し当たりはということになってい るでしょ。差し当たり心臓は2カ所、肝臓は2カ所になっております。それが、差し当 たりがいつまでを指すのかですね。これは若干問題になるかもしれません。 ○野本委員  私、移植をやる側の移植学会とネットワークと両方の立場から、両方とも困ることが ひとつありますのでお願いしておきたいのですが。移植施設の数なんかを拡大していく ときの手順などにも一言触れておいてください。何かないと、私がそういう暴走族を 「だめです」というふうに、何でだめだというのか言えないということになりますの で、ひとつよろしく。 ○貝谷室長  少し事務局で考えまして、次回に。 ○井形委員長  それから、財源の問題が、皆さんのところには白紙になっておりますが、腎移植を踏 襲いたしますので、会員の会費、寄付金、国庫補助、レシピエントの登録・更新料など が財源になっていく。この順番をどうしていくかですね。額の大きさによってあれをし ていきますけれども、原則として今の腎移植のネットワークに準じた財源を準備してい くということでよろしゅうございますか。  それから、受益者負担。もちろん公正な各国のあれもそれぞれ実費と称するものは若 干支払っているわけでありますが、この受益者負担をどう考えるか。これはちょっと課 題でありますが、何かご意見ございましょうか。 ○矢崎委員  さっき心臓のほうで申し上げたのは、心臓は登録すれば終わりではなくて、常に チェックしないといけないんではないかということで、支援センターに対するサポート を十分していただかないと十分なファンクションを得られないんではないかということ で、従来のネットワークの拠点とちょっと違ったニュアンスで運営とか人員の整備と か、そういうものを考えていただきたいということで、ちょっとさっき心臓の場合には 特殊であるということをお話し申し上げたのですが。よろしくお願いいたします。 ○井形委員長  これは、東西ブロックを分けたときの支援センターのことですね。これはどこかへ書 き足しておいていただけないでしょうかね。  この受益者負担をうたうかうたわないか。これはちょっと先の問題かな。今すぐには 言えないですね。これ、あまりギラギラ今から出しちゃうとあれだし、少し定着してか らは無理ですかね。早く決めておかないといけないのかな。 ○貝谷室長  いいえ。 ○井形委員長  それから、その他では、心臓、肝臓、腎臓関係の専門の理事等からなる常任理事会を 頻繁に開催し、そこで合意が形成されるように努める。  それから、今、腎臓が中心になっておりますけれども、ネットワークは多臓器に対応 するような役員構成とすべきであると。これはまあ、そういうことになろうかと思いま すが。よろしいでしょうか。 ○大島委員  当面多分、多臓器が始まりますと、いろいろ難しい問題だとか混乱が起こることは必 至だと思いますので、あまりガチガチした組織で、型どおりの手順を踏まないとどうに もならないというのだと非常にやりにくい感じがしますので、今ご指摘いただいたよう なのをかなり自由に動かせるような、もちろん事務局も入っていただいて、それで心・ 肝の実際の、心・肝・腎の実際によくわかっている人たちが自由に集まって自由に議論 ができるというようなシステムがあると当面はいいんじゃないかなという感じがしま す。 ○井形委員長  ほんわかと表現すればいいんじゃないですかね。はい、どうぞ。 ○横山委員  役員の構成について、ほかの意見があったのをちょっと聞いたことがあるんですけれ ども。男女比の割合が、いささか考慮していただければというような声があったような 気がするんですけれども。この後の問題、ドナーカード云々の、他の関係団体の関係で も出てくるかと思いますので。現在は、たしか 100対0ぐらいですか。そんなふうな声 を聞いたことがありますので。 ○井形委員長  これを報告書に書きますか。ちょっと書きづらいね。あまり男女比を意識しておるの かと言われそうな気がする。そういう意見があったということを尊重してするというこ と。  それから、ネットワークの会員は、今、腎臓関係の方が主でありますが、今後は多臓 器に関する団体、施設の代表、学識経験者、多臓器に対応した構成が必要と。これもよ ろしいでしょうかね。なかなかどの時点で腎臓のネットワークを臓器ネットワークに変 えていくかということは、相当準備をして、しかもその間にぽっかり穴が空いたのでは 困りますので、何とかうまくするような文言を挿入しておいたほうがいいのではないか と思いますが。  それから、普及啓発について。項目、どんどん進んでいきますが。ドナーカードの普 及対策は、これは報告書にはぜひ、いろいろ努力をして普及すべきであるということで ありますが。普及啓発用のパンフレット、それから、今までの腎になさっておったよう な、国、地方公共団体、民間、学会、腎臓バンクなどの役割をどういうふうに多臓器に 対応させていくかということが、これは問題の提起になるんでしょうかね。  それから、保険証や免許証の活用。これは、脳死臨調でも議論されたと思いますが、 どうでしょうかね。検討すべきであると提案しておきますかね。なかなか抵抗があるみ たいで、この委員会の意見が出れば若干進みやすいのではないかと思いますが。  それから、既存の腎臓のドナーカードや腎臓バンクの登録者の所持者にはどのような 働きかけをしていくべきか。これも、ちょっと今、即座には決定できませんね。腎臓だ け持っている人のところへ行って、「あなたはそれじゃだめだからこれに変えなさい」 というのも、ちょっと言いづらいことは言いづらいですね。こういう問題があるという ことの指摘をしていきたいと思いますが。  それから、地方公共団体との関係は、法律で規定が設けられた地方公共団体との連携 をどのように図っていくか。それから、難病対策の一環として保健所との連携を図るべ きではないか。これも問題提起になりますね。  それから、きょうも腎臓ネットワークで議論が出ましたけれども、腎臓バンクをどの ような役割を持っていただくかですね。これは、多臓器に対応した問題に対処してほし いと。そのとき、その名前でいくのかどうなのかでありますが、これもちょっと反応を 見てみないとあれですね。向こうがどういうあれをしてくれるか。協力を要請すること になるんでしょうか。どうでしょうかね。やっぱり私たちは腎臓だけで集まった人だか ら、それは対応できないと言われたら、それもだめということもなかなか言いにくい し。  それから、救急救命施設等の臓器提供施設に何らかの形で働きかけをしていったほう がいい。このあたりも問題提起ですかね。あまり露骨にやると、いよいよ臓器をねらい に来たなんていうイメージを持たれるとあれですし。理解を深めていただくというので すね。  それから、コーディネーター。 ○吉原委員  戻って恐縮ですけれども、ネットワークは、財源とか役員のことはお話に出ましたけ れど、主体というのは何も触れる必要はないんですか、この報告書では。運営主体とい うのは一体誰が責任、どういう組織がやるのかということは何も議論が出てないようで すけれども、それはよろしいのでしょうか。財源とか国庫補助とか会員とかということ は書いてあるけれども、一体どういう組織にするんだということが全然触れられてない と思うんですけれども。 ○貝谷室長  冒頭ございましたように、今、社団法人で腎臓のネットワークが立ち上がっておりま すので、そこを基盤としてやっていくということでございますが。 ○吉原委員  それはわかるんだけれども、組織の形態が、国なのか国以外の、どういう組織でやる のかということはきちんとしておく必要があるんじゃないですかということですが、そ れはどうですか。 ○貝谷室長  そういう意味では、私ども、今、腎臓でなされているような公益法人ということで実 施していただければという考えを持っておりますが。 ○吉原委員  それはそれならそれでしっかりしておかないと、これだと何が何だかわからないと思 います。ネットワークという運営主体というのは一体誰になるのか。その次に役員構成 だとか財源の問題が出てくる。一番いわば大事なことですので、腎臓を使うなら腎臓の あれを使うと。あれと同じようなものを臓器に準じたものを、多臓器は準じるものを作 るという考え方ははっきりさせておかないと、これだけ大事な仕事をやらせるというか やってもらう、その主体の問題が出てこないというのは、私はどうかなというふうに感 じますが。 ○糸氏委員  今のことと関連なんですけれども。この法律の、今度できた法律の中に、ネットワー ク準備委員会になっていますが、こういう委員会というものを作るとか、こういうもの を作れというようなことは法律には書いてないわけですか。どうなんですか。 ○貝谷室長  この委員会の関連では特にございません。 ○糸氏委員  法律の第14条に臓器あっせん機関というのが出ていますよね。臓器あっせん機関。こ れは、あと、政令か省令で出すわけですか。 ○貝谷室長  このあっせん機関そのものは、既に腎臓で行われているような、いわばネットワーク というのが、この法律上は腎臓のあっせん機関と、臓器あっせん機関という位置づけに なります。 ○糸氏委員  そういうふうに法律では読むことになっているわけですか。腎臓のやつだと。 ○貝谷室長  はい。 ○糸氏委員  法律に書いてあるわけですか。 ○貝谷室長  そういう意味では、法的な根拠は、今おっしゃったような規定の中でこのネットワー クの根拠規定というのは置かれております。 ○糸氏委員  それで、そこらの主体がどうもはっきりわからないので、何かそこのところをしっか り、今後のネットワークで大事なことですし。それで、法律の中でも臓器あっせん機関 は云々というようなことも出ておりますから、そこらのところで、誰が運営して誰が主 体になってくるということを初めからやっぱりはっきりしておかないと、非常に今後の 議論にも影響があるんじゃないかなと私は思うんですけれどもね。 ○吉原委員  一番大事なことだと思いますね。 ○糸氏委員  それと、もうひとつ、私、申したのは、やはりこういうことは、今度の法律ができる 場合でも随分国民的議論を巻き起こしたんで、果たして、専門家の先生はもちろん学会 を中心にやってもらうのは当然ですけれども、一般の国民のほうの意見というものを入 れなくていいのかと。例えばネットワークの関係でもですね。そういう方は、このネッ トワークの中に国民の声というものを代弁するような方が、例えば現在でも患者の会と かいろいろありますよね。そういう人の意見も入れないと、医療提供だけのほうの理論 だけでいいのかという批判は起こるかもわからない。非常にこのごろ厳しい世論、特に 医療に関しては厳しい世論になっていますので、そういうことも十分お考えいただい て、やはりそういう方々の意見も酌んだという形を入れて、誤りのないように運営して いったほうがいいんじゃないかなと。これは意見です。 ○井形委員長  まさに正論だと思いますね。そのあたりは、また具体的な人選が始まったときにいろ いろ参考にしていただきますが、この報告書にはやんわりと、いま言われたようなこと をくみ上げて、こういう大きな道筋はこうであるというふうな表現にしていきたいと思 いますが。 ○川島委員  ちょっと戻って恐縮でございますけれども、この新しい法律で臓器移植が本当にでき るかどうかという一番大切な問題は、今、すっと流されましたドナーカードの普及の方 策のところですので、一言だけ意見を申し上げたいと思うんですが。  やはり、腎臓の臓器提供のドナーカードの普及の程度と、実際にそこから提供された 腎臓の数などから考えますと、やはり本当に臓器移植を普及させるためには何千万とい うオーダーのドナーカードが出ないとだめじゃないかと思うんですね。これだけ大きな 国民的な議論を巻き起こしたことですので、やはり最終目標は全国民が持つと。成人は すべて持つというぐらいのつもりでやらないとだめだと思うんですね。そのためにはや はり、委員長は今、かなり抵抗があるようだとおっしゃいましたけれども、抵抗があれ ばこそ、この会議ではやはり保険証の活用とか免許証の活用というのを強力に進めるべ きであるということは、やっぱり口にしておいていただきたいなというふうに思いま す。 ○井形委員長  それは別に異論はありません。オランダですか。オランダは住民登録のときに意思を 問うようなことをやっていますね。そういうことが必要であることはかなりウエイトを 置いて報告書を作ること。  それから、コーディネーターは、腎ネットのコーディネーターを再教育していくこと でよろしいか。それから、都道府県のコーディネーター、同様か。再教育を具体的にど うしていくか。養成体制をどうするか。コーディネーターの要件、資格をどうするか。 それぞれみんな大きな問題でありますが。腎ネットの場合のコーディネーターの方は、 やっぱりご協力いただくことになるんじゃないでしょうかね。再教育というか、教育か な。研修。行く行くはコーディネーターも国家資格を持つようになってくれればいいと 思いますけれども、今すぐには間に合いませんから。これも提言。資格について早急に 検討すべきであると。それから、少なくとも腎移植のコーディネーターの方には新人に も理解を持っていただいて、ご協力いただく方向で決めるべきであると。  それから、すみません。もう予定の時間をだいぶ過ぎましたが。  臓器移植ネットワークの運営の基本的なあり方について論議する場はどうしていく か。どうなりますかね。公衆衛生審議会でもこういう仕事はなさるでしょうし、この委 員会は、ネットワークが発足すれば、準備委員会ですから解散でしょ。 ○貝谷室長  一応多臓器のネットワークができた段階で役割を終わるというのがこの準備委員会の 性格でございます。 ○井形委員長  そうすると、十分基本的な議論をする場を作るべきであるという提案をさせていただ ければいいですね。  それから、心臓、肝臓以外の臓器移植についても本報告書の考え方を踏襲すると。い いですか。膵臓、肺臓。 ○川島委員  膵臓、肺臓のことに言及されるのであれば、小児の移植のことについても一言、言及 しておいていただきたいと思います。 ○井形委員長  そうですね。わかりました。それでは、これは、次回もう一度やったときに原案を見 て議論していただきますね。したがって、きょうは皆さんのご意見をお聞きしたという ことで、それを取り入れた形で素案を作ってご審議いただくことになります。  次に、ドナーカードのことを、ぜひお願いいたしたいと思います。 ○重藤補佐  事務局よりご報告いたします。資料の4でございます。ドナーカードにつきまして は、これから最も重要になってくることかと思います。これまでの中山原案に比べまし て修正がかかりました分、脳死の判定に従う意思を書面により表示している場合という ことが臓器提供の条件になりましたので、そこにありますように、「私は、脳死の判定 に従い、脳死後、移植のために○で囲んだ臓器を提供します」というような形であれ ば、この法律に基づいたドナーカードとなり得るのではないかというように原案として を示させていただきました。これについて先生方からご意見をいただきまして、もしよ ろしければ、こうした内容で今後設立されるであろう臓器移植ネットワークにおけるド ナーカードのモデル案といたさせていただきたいというように存じます。ご意見があれ ばいただけたら幸いでございます。 ○井形委員長  法律に従えばこういうことでよろしいんじゃないかと思いますが。マスメディア、特 に慎重論を唱えた人がこれで納得するかどうかというのは若干危惧を持ちますけれども ね。というのは、2つ項目を、参議院では2つ並べて、脳死に従います、これ、2つ書 きましたから。私のフィーリングはまさにこれで、これでぜひ通していただきたいと思 います。うまく記者発表をしていただきたいと思います。よろしいですか、この案。  さて、予定の時間をだいぶ延長しちゃって、どうもすみませんでした。そうすると、 きょうのこれで一応主立った議題は終了いたしました。若干不消化な議論もあったんで すけれども、これはこれで皆さんのご意思をそのまま反映させて素案を作って、次回、 ご意見を承って最終案に決めていくということにさせていただきます。  小林局長が、お見えくださっておりますので、小林局長から一言、お願いします。 ○小林局長  準備委員会の先生方には、大変お忙しいところをお集まりいただきまして、本当にあ りがとうございました。  そして、大変重要なことを大変急がせてご審議をいただきまして恐縮をいたしており ます。  今、貝谷室長に申していたのですが、先生方には次回は、事務局としてもう少し調整 をしまして、今度は書いたものとして先生方に見ていただきまして、それについてご議 論をいただくという形で最終的にまとめたいと、このように考えておりまして、きょう のご議論だけでやっぱり言い忘れたことがあったら、また次回のときにと思いますが、 大変重要なことでしたら前もってお電話をいただくなりファクスでもいただければ大変 我々が原案づくりに楽でございますので、ご協力をいただければと思う次第でございま す。  本当にきょうはどうもありがとうございました。  あと、事務局のほうで次回の日程の調整をさせていただきます。 ○井形委員長  それでは、次回の日程。 ○重藤補佐  7月の中旬。 ○成瀬補佐  次回の委員会につきましては、きょうの議論を整理しまして、できれば7月の中旬ご ろを一応考えておりますけれども、ここの席で日程等を先生方で決めていただければと 思いまして。よろしくお願いしたいと思います。井形先生に日程の調整をお願いしたい と思います。 ○井形委員長  そうすると、具体的にもう提案してください。何日はどうですかと手を挙げてもらっ たほうが早いでしょ。厚生省のご提案の日程を言ってください。 ○貝谷室長  中旬ということですから、例えば7月の14日からの週で委員長のご都合のいいところ を順番にちょっと言っていただいて。 ○井形委員長  22。22がうまくいきそうですか。  22か23はいかがでしょうかね。僕は23日のほうが望ましいけれども、23日でもいいで すか、厚生省は。 ○貝谷室長  23ですか。はい。 ○井形委員長  どうもすみません。都合が悪いと手を挙げた方には申し訳ないけれども。先ほどのよ うに10本も手が挙がっちゃったらとても実行できませんので。それでは一応23日の午後 を予定させていただいて、それまでに、審議の時間が短うございましたから、皆さんの ご意見は、この委員会で発言したものと同等の価値がありますので、いろんなアイディ アをぜひ移植対策室のほうへお寄せいただいて、それを取り込んだ形の案を作って、審 議時間の足らないことはそれでカバーしていこうと思いますが。 ○貝谷室長  2時ぐらいからいかがでしょうか。午後2時から。 ○井形委員長  2時はいかがですか。きょうのように、4時にきっかり終われというとちょっときつ いかもしれませんので、少し長く取っておいていただくかな。 ○重藤補佐  できるだけ素案は事前に先生方に、ファクスで送らせていただきます。 ○井形委員長  それでは、4時に終わるように努力すると。 ○重藤補佐  努力いたします。事務局のほうでも。 ○井形委員長 それでは、どうも不手際で時間が長くなりました。ご協力に感謝申し上げます。再度 申し上げますけれども、この問題は社会から大きく注目されておりますので、ぜひ皆さ んの英知を絞って、よりベターな答申を出すようにご協力をお願いをいたします。どう もありがとうございました。 問い合わせ先 厚生省保健医療局エイズ疾病対策課臓器移植対策室    担 当 重藤(内2361)、眞鍋(内2364)    電 話 (代)03-3503-1711